JP2008007751A - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合金を原料として窒化物又は酸窒化物蛍光体を工業的に大量に生産する場合において、加熱時に窒化反応が急速に進み、発生した熱によって原料の溶融や分相、あるいは窒化物の分解が起こり、蛍光体の特性が低下するという問題点を解決する。
【解決手段】蛍光体を構成する金属元素を2種類以上含有する合金を、窒素含有雰囲気中で加熱することにより蛍光体を製造するにあたり、該合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域を、9℃/分以下の昇温速度で加熱する。昇温速度が速いと、窒化時の発熱により合金粉末が溶融し、合金粒子同士が融着し、内部まで窒素ガスが侵入できず、合金粒子の内部まで窒化反応が進行しない場合があるが、特定の温度域において昇温速度を減速することにより、反応熱の蓄積による蛍光体特性の低下を避けることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体の製造方法に関する。詳しくは、蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有する合金を、窒素含有雰囲気下で加熱することにより蛍光体を製造する方法に関する。
蛍光体は、蛍光灯、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、可視光線、電子線などの高いエネルギーを有する励起源により励起されて、紫外線、可視光線、赤外線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に長時間曝されると、蛍光体の輝度が低下するという問題があった。
そこで、近年、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ホウ酸塩蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、三元系以上の窒化物について多くの新規物質が合成されている。近年、特に窒化珪素をベースとした多成分窒化物や酸窒化物において優れた特性を有する蛍光体が開発されている。
特許文献1に、一般式MSi:Eu[ここで、MはCa、Sr、及びBaからなる群から選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属元素であり、かつ、x、y、及びzはz=2/3x+4/3yを満たす数である。]で表される蛍光体が開示されている。これらの蛍光体は、アルカリ土類金属を窒化することによりアルカリ土類金属の窒化物を合成し、これに窒化珪素を加えて合成するか、あるいは、アルカリ土類金属及び珪素のイミドを原料として窒素又はアルゴン気流中で加熱することにより合成されている。いずれも空気や水分に敏感なアルカリ土類金属窒化物を原料として使用しなくてはならず、工業的な製造には問題があった。
また、特許文献2に、一般式M16Si1532:Euで表されるオキシニトリド、一般式MSiAl:Eu、M13Si18Al121836:Eu、MSiAlON:Eu及びMSiAlON10:Euで表されるサイアロン構造を有する酸窒化物蛍光体が開示されている。特に、MがSrの場合に、SrCOとAlNとSiとを1:2:1の割合で混合し、還元雰囲気(水素含有窒素雰囲気)中で加熱したところ、SrSiAl:Eu2+が得られたことが記載されている。
この場合、得られる蛍光体は、酸窒化物蛍光体のみであり、酸素を含まない窒化物蛍光体は得られていない。
また、上記窒化物又は酸窒化物蛍光体は、使用される原料粉末の反応性がいずれも低いことから、焼成時に原料混合粉末の間の固相反応を促進する目的で原料粉末間の接触面積を大きくして加熱する必要がある。そのため、これらの蛍光体は、高温において圧縮成形した状態、すなわち非常に硬い焼結体の状態で合成される。よって、この様にして得られた焼結体は、蛍光体の使用目的に適した微粉末状態まで粉砕する必要がある。ところが、硬い焼結体となっている蛍光体を通常の機械的粉砕方法、例えばジョークラッシャーやボールミルなどを使用して長時間に渡り多大なエネルギーをかけて粉砕すると、蛍光体の母体結晶中に多数の欠陥を発生させ、蛍光体の発光強度を著しく低下させてしまうという不都合が生じていた。
また、窒化物又は酸窒化物蛍光体の製造において、窒化カルシウム(Ca)、窒化ストロンチウム(Sr)などのアルカリ土類金属窒化物を使用することが好ましいとされているが、一般に2価の金属の窒化物は水分と反応して水酸化物を生成しやすく、水分含有雰囲気下で不安定である。特に、SrやSr金属の粉末の場合はこの傾向が著しく、取り扱いが非常に難しい。
以上の理由から、新たな蛍光体原料及びその製造方法が求められていた。
近年、金属を出発原料とした窒化物蛍光体の製造方法に関し、特許文献3が報告された。特許文献3には窒化アルミニウム系蛍光体の製造方法の一例が開示され、原料として、遷移元素、希土類元素、アルミニウム及びその合金が使用できる旨が記載されている。しかし、実際に合金を原料として用いた実施例は記載されておらず、Al源としてAl金属を用いることを特徴としている。また、原料に着火し、瞬時に高温(3000K)まで上昇させる燃焼合成法を用いる点で、本発明と大きく異なり、この方法で高特性の蛍光体を得ることは困難であると推測される。即ち、瞬時に3000Kという高温まで昇温させる方法では付活元素を均一に分布させることは難しく、特性の高い蛍光体を得ることは困難である。また、合金原料から得られるアルカリ土類金属元素を含む窒化物蛍光体、更に珪素を含む窒化物蛍光体に関する記載は無い。
そこで、本発明の一部の発明者は、蛍光体を構成する金属元素を二種以上含有する合金を窒素含有雰囲気下で加熱することにより蛍光体を製造する方法を発明し、先に特許出願を行っている(特許文献4)。
特表2003−515665号公報 特開2003−206481号公報 特開2005−54182号公報 特願2006−086850
本発明者等が検討した結果、合金を原料として蛍光体を工業的に大量に生産する場合において、加熱時に反応が急速に進み、発生した熱によって原料の溶融や分相、あるいは窒化物の分解が起こり、蛍光体の特性が低下するという問題点があることがわかった。
本発明者等は、蛍光体の製造方法に関し鋭意検討した結果、蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有する合金を出発原料として蛍光体を製造する場合に、該合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度域を昇温速度9℃/分以下で昇温することにより、前述の問題点を解決しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(10)を要旨とするものである。
(1) 蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有する合金を、窒素含有雰囲気中で、加熱することにより蛍光体を製造する方法であって、該合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域における昇温速度を9℃/分以下とすることを特徴とする蛍光体の製造方法。
(2) (1)において、合金の重量メジアン径D50が100μm以下であることを特徴とする蛍光体の製造方法。
(3) (1)又は(2)において、蛍光体が、少なくともSiを含む4価の金属元素Mと、Si以外の金属元素の1種以上とを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
(4) (3)において、蛍光体が、付活元素Mと、2価の金属元素Mと、少なくともSiを含む4価の金属元素Mとを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
(5) (4)において、蛍光体が、2価の金属元素Mとしてアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
(6) (3)〜(5)において、蛍光体が、さらに3価の金属元素Mを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
(7) (6)において、付活元素MがCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、2価の金属元素MがMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、3価の金属元素MがAl、Ga、In、及びScからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、少なくともSiを含む4価の金属元素MがSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする蛍光体の製造方法。
(8) (4)〜(7)において、蛍光体が、付活元素MとしてEu及び/又はCeを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
(9) (7)又は(8)において、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrであり、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlであり、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiであることを特徴とする蛍光体の製造方法。
(10) (1)〜(9)において、蛍光体が窒化物又は酸窒化物を母体とすることを特徴とする蛍光体の製造方法。
本発明の蛍光体の製造方法によれば、加熱時の窒化反応の急速な進行を抑え、高特性の蛍光体、特に高輝度の蛍光体を工業的に大量生産することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[蛍光体]
まず、本発明の製造方法により製造される蛍光体(以下、「本発明の蛍光体」と称する場合がある。)について説明する。本発明の蛍光体としては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体であることが好ましい。
なお、本明細書において、蛍光体の母体とは、付活元素を固溶し得る結晶又はガラス(アモルファス)を意味し、付活元素を含有せずに、結晶又はガラス(アモルファス)それ自体が発光するものも含むものとする。
本発明の蛍光体は、本発明の製造方法により製造されたものであれば、その組成に特に制限はないが、少なくともSiを含む4価の金属元素Mと、Si以外の金属元素の1種類以上とを含むことが好ましく、さらに付活元素Mを含有することがより好ましい。ここで、Si以外の金属元素としては、アルカリ土類金属元素が好ましい。
本発明の蛍光体は、付活元素M、2価の金属元素M、及び少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含むことが好ましく、付活元素M、2価の金属元素M、3価の金属元素M、及び少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含むことがより好ましい。
付活元素Mとしては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を構成する結晶母体に含有可能な各種の発光イオンを使用することができるが、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素を使用すると、発光特性の高い蛍光体を製造することが可能なので好ましい。また、付活元素MとしてはMn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にCe及び/又はEuを含むことが高輝度の赤色又は黄色発光を示す蛍光体を得ることができるので更に好ましい。また、輝度を上げることや蓄光性を付与するなど様々な機能を持たせるために、付活元素MとしてはCe及び/又はEu以外に共付活剤を1種又は複数種含有させても良い。
付活元素M以外の元素としては、各種の2価、3価、4価の金属元素が使用可能である。2価の金属元素MがMg、Ca、Sr、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、3価の金属元素MがAl、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素であり、4価の金属元素MがSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素であることが、発光特性の高い蛍光体を得ることができるので好ましい。
また、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、2価の金属元素Mの80モル%以上をCa及び/又はSrとすることがより好ましく、90モル%以上をCa及び/又はSrとすることが更に好ましく、2価の金属元素Mの全てをCa及び/又はSrとすることが最も好ましい。
また、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、3価の金属元素Mの80モル%以上をAlとすることが好ましく、90モル%以上をAlとすることがより好ましく、3価の金属元素Mの全てをAlとすることが最も好ましい。
また、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの80モル%以上をSiとすることが好ましく、90モル%以上をSiとすることがより好ましく、4価の金属元素Mの全てをSiとすることが好ましい。
特に、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrであり、かつ、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlであり、かつ、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiとなるようにすることにより、発光特性が特に高い蛍光体が製造できるので好ましい。
中でも、本発明の蛍光体としては、下記一般式[1]で表される化学組成を有することが好ましい。
[1]
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5 )
尚、前記一般式[1]において、Mは前記付活元素Mを表し、Mは前記2価の金属元素Mを表し、Mは前記3価の金属元素Mを表し、Mは前記少なくともSiを含む4価の金属元素Mを表す。
また、前記一般式[1]におけるa〜fの数値範囲の好適理由は次の通りである。
aが0.00001より小さいと十分な発光強度が得られない傾向にあり、aが0.15より大きいと濃度消光が大きくなって発光強度が低くなる傾向にある。従って、aは通常0.00001以上、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上、更に好ましくは0.002以上、特に好ましくは0.004以上で、通常0.15以下、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.02以下となるように原料を混合することが好ましい。
aとbの合計は、蛍光体の結晶母体中において付活元素Mが2価の金属元素Mの原子位置を置換するので、通常1となるように原料混合組成を調整する。
cが0.5より小さい場合も、cが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、cは通常0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上で、通常1.5以下、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下となるように原料を混合することが発光強度の観点からも好ましい。
dが0.5より小さい場合も、dが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、dは通常0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上で、通常1.5以下、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.2以下となるように、原料を混合することが発光強度の観点からも好ましい。
eは窒素の含有量を示す係数であり、
Figure 2008007751
となる。この式に0.5≦c≦1.5,0.5≦d≦1.5を代入すれば、eの範囲は
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式[1]で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
前記一般式[1]で表される蛍光体中の酸素は、原料金属中の不純物として混入する場合、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。酸素の割合であるfは蛍光体の発光特性の低下が容認できる範囲で0≦f≦0.5が好ましい。
前記一般式[1]で表される蛍光体の中でも、下記一般式[2]で表される蛍光体とすることができる。
1’ a’Srb’Cac’2’ d’Ale’Sif’g’ [2]
(但し、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0.1≦b’≦0.99999
0≦c’<1
0≦d’<1
a’+b’+c’+d’=1
0.5≦e’≦1.5
0.5≦f’≦1.5
0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
ここで、M1’は前記一般式[1]におけるMと同様に、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選ばれる付活元素を表す。付活元素M1’としては中でも、Mn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にEu及び/又はCeを含むことが好ましい。
2’はMg及び/又はBaを表し、好ましくはMgである。Mgを含有させることにより、蛍光体の発光ピーク波長を長波長化することができる。
a’の範囲は、通常0.00001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上であり、また、通常0.15以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.01以下である。
b’の範囲は、通常0.1以上であり、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.7以上であり、また、通常0.99999以下である。
c’の範囲は、通常0以上であり、また通常1未満、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。
d’の範囲は、通常0以上であり、また通常1未満、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.2以下である。
a’、b’、c’、d’相互の関係は通常、
a’+b’+c’+d’=1
を満足する。
e’の範囲は通常、0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、また通常1.5以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
f’の範囲は通常、0.5以上であり、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、また通常1.5以下であり、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
g’の範囲は、通常0.8×(2/3+e’+4/3×f’)以上であり、好ましくは0.9×(2/3+e’+4/3×f’)以上、より好ましくは2.5以上であり、また通常1.2×(2/3+e’+4/3×f’)以下であり、好ましくは1.1×(2/3+e’+4/3×f’)以下、より好ましくは3.5以下である。
以下に、一般式[2]においてb’の値が、0.4≦b’≦0.99999の範囲であり、かつ、d’=0である蛍光体を「Sr置換量が多い蛍光体」と略記する場合がある。
本発明の蛍光体に含まれる酸素は、原料金属中の不純物として混入するもの、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に混入するものなどが考えられる。
酸素の含有量は蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
蛍光体の組成の具体例としては、(Sr,Ca,Mg)AlSiN:Eu、(Sr,Ca,Mg)AlSiN:Ce、(Sr,Ca,Ba)Si:Eu、(Sr,Ca,Ba)Si:Ce等が挙げられる。
[蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称す場合がある。)では、以下の工程を経て本発明の蛍光体を製造する。即ち、まず、原料となる金属やその合金を秤量する(原料秤量工程)。そして、これらの原料を融解させて(融解工程)合金化して、蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有する合金(以下、「蛍光体原料用合金」と称する場合がある。)を製造する。その後、蛍光体原料用合金を、窒素含有雰囲気下で加熱することにより窒化を行なう(窒化処理工程。また、適宜、「二次窒化工程」ともいう)。
本発明の製造方法では、前記窒化処理工程において、特定の温度域における昇温速度を減速することを特徴としている。
なお、上記の工程に加え、必要に応じて鋳造工程、粉砕工程、分級工程、一次窒化工程、冷却工程などを行なってもよい。
また、蛍光体原料用合金としては、目的とする組成の蛍光体が得られればよく、1種または2種以上の蛍光体原料用合金を使用することもできる。
(原料の秤量)
本発明の蛍光体の製造方法を用いて、例えば、前記一般式[1]で表される組成を有する蛍光体を製造する場合、下記一般式[3]の組成となるように、原料となる金属やその合金(以下、単に「原料金属」と言う場合がある。)を秤量して蛍光体原料用合金を製造することが好ましい(原料秤量工程)。
[3]
(但し、M、M、M、M、a、b、c、dはそれぞれ前記一般式[1]におけると同義である。)
原料としては、金属、当該金属の合金などを用いることができる。また、本発明の蛍光体が含む元素に対応した原料は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。ただし、原料の中でも、付活元素Mの原料として使用するEu原料やCe原料としては、Eu金属やCe金属を使用することが好ましい。原料の入手が容易であるからである。
合金の製造に使用される金属の純度は、高いことが好ましい。具体的には、合成される蛍光体の発光特性の点から、付活元素Mの金属原料としては不純物が0.1モル%以下、好ましくは0.01モル%以下まで精製された金属を使用することが好ましい。付活元素M以外の元素の原料としては、2価、3価、4価の各種金属等を使用する。付活元素Mと同様の理由から、いずれも含有される不純物濃度は0.1モル%以下であることが好ましく、0.01モル%以下であることがより好ましい。例えば、不純物としてFe、Ni、及びCoからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する場合、各々の元素の含有量は、通常500ppm以下、好ましくは100ppm以下である。
原料金属の形状に制限は無いが、通常、直径数mmから数十mmの粒状又は塊状のものが用いられる。なお、ここでは直径10mm以上のものを塊状、それ未満のものを粒状と呼んでいる。
2価の金属元素Mとしてアルカリ土類金属元素を用いる場合、その原料としては、粒状、塊状など形状は問わないが、原料の化学的性質に応じて適切な形状を選択することが好ましい。例えば、Caは粒状、塊状のいずれでも大気中で安定であり、使用可能であるが、Srは化学的により活性であるため、塊状の原料を用いることが好ましい。
なお、融解時に揮発やルツボ材質との反応等により損失する金属元素については、必要に応じて、予め過剰に秤量し添加してもよい。
(原料の融解)
原料の秤量後、当該原料を融解させて(融解工程)合金化して蛍光体原料用合金を製造する。得られる蛍光体原料用合金は本発明の蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有するものである。この際、本発明の蛍光体を構成する金属元素を1つの蛍光体原料用合金が全て含有していなくても、2種以上の合金及び/又は金属を併用することにより、本発明の蛍光体を製造することができる。
原料金属を融解する方法に特に制限はなく、任意の方法を採用することができる。
例えば、抵抗加熱法、電子ビーム法、アーク融解法、高周波誘導加熱法(以下、「高周波融解法」と称する場合がある。)等を用いることができる。また、これらの方法を2種以上任意に組み合わせて融解することも可能である。
また、融解時に用いることのできるルツボの材質としては、アルミナ、カルシア、黒鉛、モリブデン等が挙げられる。
ただし、特に、Siと2価の金属元素Mとしてアルカリ土類金属元素を含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次の点に留意することが好ましい。
即ち、Siの融点は1410℃であり、アルカリ土類金属の沸点と同程度である(例えば、Caの沸点は1494℃、Srの沸点は1350℃、Baの沸点は1537℃である)。特に、Srの沸点がSiの融点より低いため、SrとSiを同時に融解させることは極めて困難である。
そこで、本発明の方法では、Siの原料(即ち、Si及び/又はSiを含む合金)を先に融解させて、その後、アルカリ土類金属原料(即ち、アルカリ土類金属及び/又はアルカリ土類金属を含む合金)を融解することが好ましい。これにより、アルカリ土類金属の原料とSiの原料とをともに融解させることが可能である。さらに、このようにSiの原料を融解した後でアルカリ土類金属の原料を融解することにより、得られる蛍光体原料用合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
以下、このようにSiとアルカリ土類金属元素とを含む蛍光体原料用合金を製造する場合について詳しく説明する。
Siとアルカリ土類金属元素とを含む蛍光体原料用合金を製造する場合、融解法に制限は無く、前記の融解法を任意に採用できるが、中でも、アーク融解法、高周波融解法が好ましく、高周波融解法が特に好ましい。以下、(1)アーク融解・電子ビーム融解の場合、(2)高周波融解の場合を例に更に詳しく説明する。
(1)アーク融解法・電子ビーム融解法の場合
アーク融解・電子ビーム融解の場合は、以下の手順で融解を行う。
i)Si金属又はSiを含む合金を電子ビームあるいはアーク放電により融解する。
ii)次いで間接加熱によりアルカリ土類金属を融解し、Siとアルカリ土類金属とを含む合金を得る。
ここで、Siを含む溶湯にアルカリ土類金属が溶け込んだ後、電子ビームあるいはアーク放電により加熱及び/又は攪拌して混合を促進しても良い。
(2)高周波融解法の場合
アルカリ土類金属元素を含む合金は酸素との反応性が高いため、大気中ではなく真空あるいは不活性ガス中で融解する必要がある。このような条件では通常、高周波融解法が好ましい。しかしながら、Siは半導体であり、高周波を用いた誘導加熱による融解が困難である。例えば、アルミニウムの20℃における比抵抗率は2.8×10−8Ω・mであるのに対し、半導体用多結晶Siの比抵抗率は10Ω・m以上である。このように比抵抗率が大きいものを直接高周波融解することは困難であるため、一般に導電性のサセプタを用い、熱伝導や放射によりSiに熱移動を行って融解する。
サセプタの形状に制限はなく、ディスク状、管状なども可能であるが坩堝を用いることが好ましい。
また、サセプタの材質は、原料の融解が可能であれば制限はなく、黒鉛、モリブデン、炭化珪素などが一般に用いられる。しかし、これらは、非常に高価であり、また、アルカリ土類金属と反応しやすいという問題点がある。一方、アルカリ土類金属を融解可能な坩堝(アルミナ、カルシアなど)は絶縁体であり、サセプタとして使用することが難しい。従って、アルカリ土類金属とSi金属とを坩堝に仕込んで高周波融解するにあたり、公知の導電性の坩堝(黒鉛など)をサセプタとして使用して、間接的な加熱によりSi金属とアルカリ土類金属とを同時に融解することは困難である。
そこで、次のような順序で融解することで、この問題点を解決する。
i)Si金属を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解する。
ii)次に、絶縁性の坩堝を使用して、アルカリ土類金属を融解することにより、Siとアルカリ土類金属元素とを含む合金を得る。
上記i)、ii)の工程の間でSi金属を冷却しても良いし、冷却せず連続してアルカリ土類金属を融解しても良い。連続して行う場合には導電性の容器にアルカリ土類金属の融解に適したカルシア、アルミナなどで被覆した坩堝を使用することもできる。
更に具体的な工程を記述すると、以下の通りである。
i)Si金属と金属M(例えばAl、Ga)を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解し、導電性の合金(母合金)を得る。
ii)次いで、アルカリ土類金属耐性坩堝を使用して、i)の母合金を融解させた後、アルカリ土類金属を高周波により融解させることにより、Siとアルカリ土類金属元素とを含む合金を得る。
Si金属あるいはSiを含む母合金を先に融解させ、次いでアルカリ土類金属を融解させる具体的方法としては、例えば、Si金属あるいはSiを含む母合金を先に融解させ、そこにアルカリ土類金属を添加する方法等が挙げられる。
また、Siを2価の金属元素M以外の金属Mと合金化して導電性を付与することもできる。この場合、得られる合金の融点がSiより低いことが好ましい。SiとAlの合金は、融点が1010℃付近と、アルカリ土類金属元素の沸点より融点が低くなるので特に好ましい。
Siと2価の金属元素M以外の金属Mとの母合金を用いる場合、その組成には特に制限はないが、母合金が導電性を有していることが好ましい。この場合、Siと金属Mとの混合割合(モル比)は、Siのモル数を1とした場合に、金属Mが、通常0.01以上、5以下の範囲となるようにして、アルカリ土類金属元素の沸点よりも融点の低い母合金を製造することが好ましい。
なお、Siを含む母合金に、さらにSi金属を加えることもできる。
本発明において、Si金属を融解させた後にアルカリ土類金属を融解させること以外に、他の原料金属の融解時期には特に制限はないが、通常、量が多いもの、もしくは、融点が高いものを先に融解させる。
付活元素Mを均一に分散させるため、また、付活元素Mの添加量は少量であるため、Si金属を融解させた後に付活元素Mの原料金属を融解させることが好ましい。
前述の一般式[3]で表され、4価の金属元素MがSiであり、2価の金属元素Mとして少なくともSrを含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次のような手順で融解させることが好ましい。
(1) Siと3価の金属元素Mとの母合金を製造する。この際、好ましくはSiと3価の金属元素Mとは、一般式[3]におけるSi:M比で合金化する。
(2) (1)の母合金を融解させた後、Srを融解させる。
(3) その後、Sr以外の2価の金属元素、付活元素Mを融解させる。
ところで、いずれの原料を融解する場合でも、原料の融解時の具体的な温度条件及び融解させる時間は、用いる原料に応じて適切な温度及び時間を設定すればよい。
また、原料の融解時の雰囲気は蛍光体原料用合金が得られる限り任意であるが、不活性ガス雰囲気が好ましく、中でもアルゴン雰囲気が好ましい。なお、不活性ガスは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、原料の融解時の圧力は蛍光体原料用合金が得られる限り任意であるが、1×103Pa以上が好ましく、1×105Pa以下が好ましい。更に、安全性の面から、大気圧以下で行なうことが望ましい。
(溶湯の鋳造)
原料の融解により蛍光体原料用合金が得られる。この蛍光体原料用合金は通常は合金溶湯として得られるが、この合金溶湯から直接蛍光体を製造するには技術的課題が多く存在する。そのため、この合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体(以下適宜、「合金塊」という)を得ることが好ましい。
ただし、この鋳造工程において溶融金属の冷却速度によって偏析が生じ、溶融状態で均一組成であったものが組成分布に偏りが生じることもある。従って、冷却速度はできるだけ速いことが望ましい。また、金型は銅などの熱伝導性のよい材料を使用することが好ましく、熱が放散しやすい形状であることが好ましい。また、必要に応じて水冷などの手段により金型を冷却する工夫をすることも好ましい。
このような工夫により、例えば厚さに対して底面積の大きい金型を用い、溶湯を金型へ注湯後、できるだけ早く凝固させることが好ましい。
また、合金の組成によって偏析の程度は異なるので必要な分析手段、例えばICP発光分光分析法などによって、得られた凝固体の数箇所より試料を採取して組成分析を行い、偏析の防止に必要な冷却速度を定めることが好ましい。
なお、鋳造時の雰囲気は、不活性ガス雰囲気が好ましく、中でもアルゴン雰囲気が好ましい。この際、不活性ガスは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(合金塊の粉砕)
加熱工程に先立ち、蛍光体原料用合金は、所望の粒径の粉末状にすることが好ましい。そこで、鋳造工程で得られた合金塊は、次いで粉砕することにより、所望の粒径、粒度分布を有する蛍光体原料用合金粉末(以下、単に「合金粉末」と称する場合がある。)とすることが好ましい(粉砕工程)。粉砕方法に特に制限はないが、例えば、乾式法や、エチレングリコール、ヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いる湿式法で行うことが可能である。
以下、乾式法を例に詳しく説明する。
この粉砕工程は、必要に応じて、粗粉砕工程、中粉砕工程、微粉砕工程等の複数の工程に分けてもよい。この場合、全粉砕工程を同じ装置を用いて粉砕することもできるが、工程によって使用する装置を変えてもよい。
ここで、粗粉砕工程とは、合金粉末のおおよそ90重量%が粒径1cm以下になるように粉砕する工程であり、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、クラッシングロール、インパクトクラッシャーなどの粉砕装置を使用することができる。中粉砕工程とは、合金粉末のおおよそ90重量%が粒径1mm以下になるように粉砕する工程であり、コーンクラッシャー、クラッシングロール、ハンマーミル、ディスクミルなどの粉砕装置を使用することができる。微粉砕工程とは、合金粉末が後述する重量メジアン径になるように粉砕する工程であり、ボールミル、チューブミル、ロッドミル、ローラーミル、スタンプミル、エッジランナー、振動ミル、ジェットミルなどの粉砕装置を使用することができる。
中でも、不純物の混入を防止する観点から、最終の粉砕工程においては、ジェットミルを使用することが好ましい。ジェットミルを用いるためには、粒径2mm以下程度になるまで予め合金塊を粉砕しておくことが好ましい。ジェットミルでは、主に、ノズル元圧から大気圧に噴射される流体の膨張エネルギーを利用して粒子の粉砕を行うため、粉砕圧力により粒径を制御すること、不純物の混入を防止することが可能である。粉砕圧力は、装置によっても異なるが、通常、ゲージ圧で0.01MPa以上、2MPa以下の範囲であり、中でも、0.05MPa以上、0.4MPa未満が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がさらに好ましい。ゲージ圧が低すぎると得られる粒子の粒径が大きすぎる可能性があり、高すぎると得られる粒子の粒径が小さすぎる可能性がある。
さらに、いずれの場合も粉砕工程中に鉄等の不純物の混入が起こらないよう、粉砕機の材質と被粉砕物の関係を適切に選択する必要がある。例えば、接粉部は、セラミックライニングが施されていることが好ましく、セラミックの中でも、アルミナ、窒化ケイ素、タングステンカーバイド、ジルコニア等が好ましい。
また、合金粉末の酸化を防ぐため、粉砕工程は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスの種類に特に制限はないが、通常、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体のうち1種単独雰囲気又は2種以上の混合雰囲気を用いることができる。中でも、経済性の観点から窒素が特に好ましい。
さらに、雰囲気中の酸素濃度は合金粉末の酸化が防止できる限り制限はないが、通常10体積%以下、特に5体積%以下が好ましい。また、酸素濃度の下限としては、通常、10ppm程度である。特定の範囲の酸素濃度とすることによって、粉砕中に合金の表面に酸化被膜が形成され、安定化すると考えられる。酸素濃度が5体積%より高い雰囲気中で粉砕工程を行う場合、粉砕中に粉塵が爆発する可能性があるため、粉塵を生じさせないような設備を設けることが好ましい。
なお、粉砕工程中に合金粉末の温度が上がらないように必要に応じて冷却してもよい。
(合金粉末の分級)
上述したようにして得られた合金粉末は、例えば、バイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置;エアセパレータ等の慣性分級装置;サイクロン等の遠心分離機などを使用して、前述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整してから、これ以降の工程に供することが好ましい(分級工程)。
なお、粒度分布の調整においては、粗粒子を分級し、粉砕機にリサイクルすることが好ましく、分級及び/又はリサイクルが連続的であることがさらに好ましい。
この分級工程についても、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスの種類に特に制限はないが、通常、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの1種単独雰囲気又は2種以上の混合雰囲気が用いられ、経済性の観点から窒素が特に好ましい。また、不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は10体積%以下、特に5体積%以下が好ましい。
後述の窒化処理工程に用いる合金粉末は、当該合金粉末を構成する金属元素の活性度により粒径を調整する必要があり、その重量メジアン径D50は、通常の場合、100μm以下、好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下、また、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1μm以上である。また、Srを含有する場合は、雰囲気ガスとの反応性が高いため、合金粉末の重量メジアン径D50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは13μm以上とすることが望ましい。前述の重量メジアン径D50の範囲よりも小さいと、窒化等の反応時の発熱速度が上昇する傾向にあるので、反応の制御が困難となる場合や、また、合金粉末が大気中で酸化されやすくなるので、得られる蛍光体に酸素が取り込まれやすくなる等、取り扱いが難しくなる場合がある。一方で、前述の重量メジアン径D50の範囲よりも大きいと、合金粒子内部での窒化等の反応が不十分となる場合がある。
また、合金粉末中に含まれる、粒径10μm以下の合金粒子の割合は80重量%以下であることが好ましく、粒径45μm以上の合金粒子の割合は40重量%以下であることが好ましい。QDの値は、特に制限はないが、通常0.59以下である。ここで、QDとは、積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75と表記し、QD=(D75−D25)/(D75+D25)と定義する。QDの値が小さいことは粒度分布が狭いことを意味する。
(窒化処理工程)
本発明では、前述の蛍光体原料用合金を窒素含有雰囲気中で加熱することにより窒化する(窒化処理工程)。
蛍光体原料用合金の形状としては、粉末状であっても塊状であってもよいが、粉末状であることが好ましく、前述の粉砕工程によって得られる蛍光体原料用合金粉末であることがより好ましい。また、ここで、前記蛍光体原料用合金の全部又は一部として、下記式[6]で表される窒素含有率が1重量%以上、好ましくは2重量%以上になるまで予め窒化した、窒素含有合金や、例えば、ガスアトマイズ法によって得ることができる、安息角が45度以下である蛍光体原料用合金粉末を用いてもよい。これらの窒化処理の対象とする蛍光体原料用合金等を、以降、「蛍光体原料」と称する。
窒素含有率(重量%)=(窒素含有量/窒素含有合金の重量)×100 …[6]
窒化処理工程における窒化処理は、蛍光体原料を、例えばルツボ、トレイ等の焼成容器に充填して窒素含有雰囲気下で加熱することにより行なう。具体的には、以下の手順により行なう。
即ち、まず、蛍光体原料を焼成容器に充填する。ここで使用する焼成容器の材質は本発明の製造方法の効果が得られる限り任意であるが、例えば、窒化ホウ素、窒化珪素、炭素、窒化アルミニウム、タングステン等が挙げられる。中でも、窒化ホウ素が耐食性に優れることから好ましい。なお、前記の材質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ここで使用する焼成容器の形状は本発明の製造方法の効果が得られる限り任意である。例えば、焼成容器の底面が、円形、楕円形等の角のない形や、三角形、四角形等の多角形であってもよいし、焼成容器の高さも加熱炉に入る限り任意であり、低いものでも高いものでもよい。中でも、放熱性のよい形状を選択することが好ましい。
この蛍光体原料を充填した焼成容器を、焼成装置(「加熱炉」と称する場合もある。)に納める。ここで使用する焼成装置としては、本発明の製造方法の効果が得られる限り任意であるが、装置内の雰囲気を制御できる装置が好ましく、さらに圧力も制御できる装置が好ましい。例えば、熱間等方加圧装置(HIP)、抵抗加熱式真空加圧雰囲気熱処理炉等が好ましい。
また、加熱開始前に、焼成装置内に窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換することが好ましい。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通しても良い。
窒化処理の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素元素を含むガス、例えば窒素、アンモニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。なお、窒素含有ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。系内の酸素濃度は製造される蛍光体の酸素含有量に影響し、余り高い含有量となると高い発光が得られなくなるため、窒化処理雰囲気中の酸素濃度は、低いほど好ましく、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。また、必要に応じて、炭素、モリブデン等の酸素ゲッターを系内加熱部分に入れて、酸素濃度を低下させても良い。なお、酸素ゲッターは、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
窒化処理は、窒素含有ガスを充填した状態或いは流通させた状態で蛍光体原料を加熱することにより行なうが、その際の圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何れの状態でも良い。ただし、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とするのが好ましい。圧力を大気圧未満にすると加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して特性の高い蛍光体を得ることができない可能性がある。窒素含有ガスの圧力は少なくともゲージ圧で0.2MPa以上が好ましく、中でも10MPa以上がより好ましく、また、200MPa以下が好ましい。
蛍光体原料の加熱温度は本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常800℃以上、好ましくは1000℃以上、更に好ましくは1200℃以上、また、通常2200℃以下、好ましくは2100℃以下、更に好ましくは2000℃以下である。加熱温度が800℃より低いと、窒化処理に要する時間が非常に長くなる可能性がある。一方、加熱温度が2200℃より高いと、生成する窒化物が揮発或いは分解し、得られる窒化物蛍光体の化学組成がずれて、特性の高い蛍光体が得られず、また、再現性も悪いものとなる可能性がある。
また、加熱温度は、合金の組成等によっても異なるが、合金粉末を形成する蛍光体原料用合金の融点より通常300℃以上、中でも400℃以上、更には500℃以上、特には700℃以上高い温度であることが好ましい。
なお、本明細書において、蛍光体原料用合金の融点は、熱重量・示差熱(thermogravimetry−differential thermal analysis:以下適宜「TG−DTA」と略す。)測定による吸熱ピークから求めることができるものであり、合金の組成によって異なるが、おおよそ900℃以上1300℃以下である。ただし、明確な融点を示さない合金の場合は、分解開始温度を蛍光体原料用合金の融点とみなす。また、複数種の合金を用いる場合は、当該合金の中でも最も融点の低い合金の融点を、蛍光体原料用合金の融点とする。また、蛍光体原料用合金に代えて窒素含有合金を用いる場合や、蛍光体原料用合金と窒素含有合金とを併用する場合であっても、蛍光体原料用合金の融点を前記の「蛍光体原料用合金の融点」とみなす。
窒化処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、合金粉末と窒素との反応に必要な時間で良いが、通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上とする。加熱時間が1分より短いと窒化反応が完了せず特性の高い蛍光体が得られない可能性がある。また、加熱時間の上限は生産効率の面から決定され、通常24時間以下である。
(昇温条件)
ところで、二次窒化工程においては、一度に大量の合金粉末について窒化処理を行なう場合には、窒化反応が急激に進行し、本発明の蛍光体の特性を低下させる可能性がある。
本発明の製造方法においては、昇温条件を以下のように調整することで、急激な窒化反応の進行を抑えることができる。
なお、この(昇温条件)において記載する温度は、いずれも炉内温度、即ち、焼成装置の設定温度を示す。
即ち、窒化処理工程において、加熱する蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から前記融点より30℃低い温度までの温度域(以下、「昇温速度を減速する温度域」と称す場合がある)の加熱を、9℃/分以下の昇温速度で行なう。このように、加熱する合金の融点より100℃低い温度から融点より30℃低い温度までの温度域で昇温速度を減速する理由は次の通りである。但し、蛍光体原料用合金の代わりに窒素含有合金を用いる場合や、蛍光体原料用合金と窒素含有合金とを併用する場合であっても、前記の「加熱する蛍光体原料用合金の融点」とは、蛍光体原料用合金の融点とする。
蛍光体は、一般的に蛍光体原料をルツボ、トレイ等の焼成容器に充填し、加熱炉内で加熱することにより合成される。この際、蛍光体原料の炉内での滞留時間を短くすることで、生産性を高めることができるため、反応に必要な温度域までの昇温速度は、加熱炉の能力と坩堝等の耐熱衝撃特性が許す範囲で速いことが好ましい。
しかしながら、蛍光体原料用合金、窒素含有合金等の合金を原料として蛍光体を工業的に生産する場合においては、昇温速度が速いと、窒化時の発熱により合金粉末が溶融し、合金粒子同士が融着し、内部まで窒素ガスが侵入できず、合金粒子の内部まで窒化反応が進行しない場合がある。このため、得られる蛍光体の輝度が低下する傾向にあり、場合によっては発光しない場合もある。
焼成容器の直径が同一の場合において、合金粉末の充填量が少なければ、放熱性が高く、窒化反応時の発熱量の蓄積が少ないため、上述したような現象は生じない。しかし、合金粉末の充填量が多いと、放熱性が低下するため、窒化反応時の発熱を抑制することが望まれる。
一方で、蛍光体、特に窒化物蛍光体の合成は、高温高圧下で反応を行なうため、通常は高価な反応装置を使用することになる。そのため、一回あたりの合金粉末の充填量を増やすことがコスト低減のためには望まれる。
そこで、本発明の蛍光体の製造方法では、後述する特定の温度域において昇温速度を減速することが好ましい。これにより、蛍光体原料用合金、窒素含有合金等の合金を原料として蛍光体を工業的に生産する場合であっても、反応熱の蓄積による蛍光体特性の低下を避けることが可能となる。特に、蛍光体原料用合金にSrを含む場合において、蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から融点の間で、急激に窒化反応が進み、原料の重量が急激に増加することがあるが、この温度域で昇温速度を減速すると、この急激な重量増加が起こらなくなるという効果がある。
前記の昇温速度を減速する温度域は、通常、蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域であり、好ましくは該融点より150℃低い温度以上、より好ましくは該融点より200℃低い温度以上、また、好ましくは該融点以下、より好ましくは該融点より100℃高い温度以下までの温度域である。
ここで、蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度とは、おおよそ、窒化が開始される温度を意味する。また、蛍光体原料用合金の融点より30℃低い温度から該融点までの温度域では、窒化反応が急激に進行するため、昇温速度による窒化反応の進行の制御は困難である。
なお、前記の融点より100℃低い温度から融点より30℃低い温度までの温度域の温度とは、窒化処理の際の炉内温度、即ち、焼成装置の設定温度をさす。
昇温速度を減速する温度域において、昇温速度は通常9℃/分以下であり、好ましくは7℃/分以下である。これよりも速い昇温速度では、急激な反応熱の蓄積を避けることができず、高輝度の蛍光体が得られない傾向にある。また、昇温速度の下限には特に制限はないが、通常、生産性の観点から0.1℃/分以上であり、好ましくは0.5℃/分以上である。
なお、蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度より更に低い温度域における昇温条件については特に制限はなく、急速に昇温してもゆっくり昇温してもよい。また、加熱炉の温度制御の応答性などを勘案して、蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度より更に低い温度から、昇温速度を9℃/分以下に減速してもよい。
また、蛍光体原料用合金の融点より30℃低い温度に到達した後も加熱を続ける場合、その昇温速度に特に制限はないが、該融点より30℃低い温度から該融点までの温度域においても、通常9℃/分以下、特に7℃/分以下、また、通常0.1℃/分以上、特に0.5℃/分以上で、ゆっくり昇温することが好ましい。該融点よりも更に高い温度にまで加熱する場合にあっても、該融点からその温度までの昇温速度も、通常9℃/分以下、特に7℃/分以下、通常0.1℃/分以上、特に0.5℃/分以上であることが好ましいが、該融点より10℃高い温度から更にそれよりも高温域においては、昇温速度を減速することによる効果は特になく、この高温域の昇温速度は10℃/分以上、例えば10℃/分〜100℃/分として生産性を高めることが好ましい。
なお、ここで、蛍光体原料用合金の融点については、前述の通りである。
このように、特定の温度域における昇温速度を減速して蛍光体原料に対して窒化処理することにより、合金を原料として高特性の蛍光体を工業的に製造することが可能となる。
また、この窒化処理工程においては、特定の温度域における蛍光体原料を充填する焼成容器外壁の温度変化が小さいこと(即ち、急激な発熱反応が起きていないことを意味する。)が重要である。上記の特定の温度域とは、通常、前記蛍光体原料用合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域であり、好ましくは該融点より150℃低い温度以上、より好ましくは該融点より200℃低い温度以上、また、好ましくは該融点以下、より好ましくは該融点より100℃高い温度以下までの温度域である。
窒化処理工程において、前記の特定の温度域における1分間当たりの温度変化の範囲は、通常50℃以内、好ましくは30℃以内、より好ましくは20℃以内、更に好ましくは、10℃以内である。1分間当たりの温度変化がこの範囲を超えてしまうと、得られる蛍光体の発光特性が低下する傾向にあり、場合によっては蛍光体が得られない可能性がある。窒化処理工程における1分間当たりの温度変化の範囲の下限に特に制限はないが、生産性の観点から、通常、0.1℃以上である。但し、窒化処理工程において、温度が下がることがあってもよく、上記の「窒化処理工程における1分間当たりの温度変化の範囲」の数値は、絶対値を示すものとする。
なお、上記の「前記加熱工程における1分間当たりの温度変化」は、焼成容器の外側壁の温度(ただし、蛍光体原料を充填した高さの、1/2の高さ付近の位置に温度計を設置するものとする。以下、この温度を「焼成容器の側壁温度」と称する場合がある。)を、一定時間間隔でタングステン−レニウム合金熱電対、白金熱電対、ロジウム−白金熱電対等や放射温度計を用いて測定し、この測定値から1分間当たりの温度変化を、下記式[B]より求めた値である。
温度変化(℃/分)
= 時刻T分での温度 − 時刻(T−1)分での温度 …[B]
前記式[B]で表される温度変化がノイズでないことを確認するため、ある程度以下の間隔で温度をモニターすることが好ましい。具体的には、温度の測定間隔を、通常30秒以下、好ましくは20秒以下、より好ましくは10秒以下とする。尚、温度の測定間隔の下限としては、通常1秒以上である。
また、前記式[B]では、1分間当たりの温度変化について規定しているが、温度の測定間隔に特に制限はなく、例えば、10分間当たりの温度変化の範囲としては、通常100℃以内、好ましくは80℃以内、より好ましくは50℃以内である。10分間当たりの温度変化の範囲の下限に特に制限はないが、通常0.5℃以上である。
なお、この焼成容器の側壁温度は、加熱工程中、急激な発熱が起こらない場合には、炉内温度とほぼ一致する。従って、前記式[B]の値が炉内温度の変化等より大きくなる場合、通常、急激な発熱反応が起きていることを意味する。
上記の「窒化処理工程における1分間当たりの温度変化の範囲」を上記の範囲とするためには、下記式[A]で算出される値を、通常0.5以下、中でも0.3以下とすることが好ましい。なお、下記式[A]の値の下限は、生産性の観点から通常0.01以上である。
(蛍光体原料の質量)/{(焼成容器の質量)+(蛍光体原料の質量)} …[A]
なお、前記式[A]では、蛍光体原料と焼成容器との量比を便宜上、質量を用いて表したが、より正確に記載すると、前記式[A]で規定される値は、下記式[A']のように、質量と比熱の積(即ち、熱容量)で表される。
蛍光体原料の質量(g)×比熱/
{(焼成容器の質量(g)×比熱)+(蛍光体原料の質量(g)×比熱)} …[A']
ここで、例えば、実施例1で用いた蛍光体原料用合金(Eu0.008Sr0.792Ca0.2AlSi)の比熱は0.71J/K/gであり、窒化ホウ素(焼成容器の材質)の比熱は2.9J/K/gであり、モリブデンの比熱は0.26J/K/gであり、アルミナの比熱は0.6J/K/g、窒化アルミニウムの比熱は1.2J/K/gである。
蛍光体原料の組成によって、さらには、蛍光体原料として後述する窒素含有合金や、窒化物及び/又は酸窒化物を用いることによって、蛍光体原料の比熱が異なってくることから、好ましい前記式[B]の値も変動するが、前記式[B]の値は、通常0.05以上、中でも0.1以上、また、通常0.9以下、中でも0.75以下とすることが好ましい。
従って、焼成容器による吸熱量を大きくするために、焼成容器として、熱伝導度が高いか、あるいは、比熱が大きい材質のものを用いることが好ましい。具体的には、窒化ホウ素製、モリブデン製、アルミナ製等の焼成容器を用いることが好ましく、中でも、窒化ホウ素製の焼成容器を用いることが特に好ましい。
また、工業的に実施する場合、焼成装置の処理室容積に対する、蛍光体原料の体積の比(以下、「蛍光体原料の焼成容器内充填率」と称する。)が生産性の観点から重要である。焼成装置の処理室容積に対する、蛍光体原料の体積の比の具体的範囲としては、通常8%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、また、通常80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下である。蛍光体原料の焼成容器内充填率がこの範囲より低い場合は、通常、本発明の製造方法を用いなくても蛍光体を容易に製造することが出来るが、生産性が低くなる傾向にある。一方、蛍光体原料の焼成容器内充填率がこの範囲より高いと、焼成装置の劣化が早まる可能性がある。
なお、一度に処理する蛍光体原料の量をさらに増やしたい場合は、炉内や焼成容器内の熱の蓄積量を出来る限り減らす工夫を行うとよい。例えば、焼成容器と焼成容器の間隔を空けて放熱性を向上させたり、焼成容器付近に冷却装置を設けたり、表面積の広い焼成容器を用いたり、焼成炉内に入れる焼成容器の数量を調整したりすることにより、熱の蓄積量を調整することができる。
(再加熱工程)
窒化処理工程により得られた蛍光体は、必要に応じて再加熱工程を行ない、再度、加熱処理(再加熱処理)をすることにより粒子成長させても良い。これにより、粒子が成長し、蛍光体が高い発光を得ることが可能となる等、蛍光体の特性が向上する場合がある。
この再加熱工程では、一度室温まで冷却してから、再度加熱を行なってもよい。再加熱処理を行なう場合の加熱温度は、通常1200℃以上、好ましくは1300℃以上、より好ましくは1400℃以上、特に好ましくは1500℃以上であり、また、通常2200℃以下、好ましくは2100℃以下、より好ましくは2000℃以下、特に好ましくは1900℃以下である。1200℃未満で加熱すると、蛍光体粒子を成長させる効果が小さくなる傾向にある。一方、2200℃を超える温度で加熱すると、無駄な加熱エネルギーを消費してしまうだけでなく、蛍光体が分解する場合がある。また、蛍光体の分解を防止するためには雰囲気ガスの一部となる窒素の圧力を非常に高くすることになるため、製造コストが高くなる傾向にある。
蛍光体の再加熱処理時の雰囲気は、基本的には窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気又は還元性雰囲気が好ましい。なお、不活性ガス及び還元性ガスは、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、雰囲気中の酸素濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。酸素濃度が1000ppmを越えるような酸素含有ガス中や大気中など酸化雰囲気下で再加熱処理すると、蛍光体が酸化され、目的の蛍光体を得ることができない可能性がある。ただし、0.1ppm〜10ppmの微量酸素を含有する雰囲気とすることで比較的低温での蛍光体の合成が可能となるので好ましい。
再加熱処理時の圧力条件は、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上の圧力とすることが好ましい。圧力が低すぎると、前述の窒化処理工程と同様に加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入し、特性の高い蛍光体を得ることができない可能性がある。
再加熱処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、より好ましくは30分間以上であり、また、通常100時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下である。加熱時間が短すぎると粒子成長が不十分となる傾向にある。一方、加熱時間が長すぎると、無駄な加熱エネルギーが消費される傾向にあり、また、蛍光体の表面から窒素が脱離して発光特性が低下する場合もある。
(後処理工程)
得られた蛍光体は、必要に応じて、分散工程、分級工程、洗浄工程、乾燥工程等の後処理工程を行なってから各種用途に用いてもよい。
(分散工程)
分散工程では、窒化工程中の粒子成長、焼結などにより凝集している蛍光体に機械的な力を加え、解砕する。例えば、ジェットミルなどの気流による解砕や、ボールミル、ビーズミル等のメディアによる解砕などの方法が使用できる。
(分級工程)
上記の手法により分散された蛍光体の粉末は、分級工程を行なうことにより所望の粒度分布に調整できる。分級には、例えば、バイブレーティングスクリーン、シフター等の網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ、水簸装置等の慣性分級装置や、サイクロン等の遠心分級機を使用することができる。
(洗浄工程)
洗浄工程では、蛍光体を、例えばジョークラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル等で粗粉砕した後、中性又は酸性の溶液(以下、「洗浄媒」と称する場合がある。)を用いて洗浄する。
ここで用いる中性の溶液としては、水を用いることが好ましい。使用可能な水の種類は、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。用いる水の電気伝導度は、通常0.0064mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下である。また、水の温度は、通常、室温(25℃程度)が好ましいが、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、また、好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下の温水又は熱水を用いることにより、目的とする蛍光体を得るための洗浄回数を低減することも可能である。
また、酸性の溶液としては酸性の水溶液が好ましい。酸性水溶液の種類に特に制限はないが、塩酸、硫酸などの鉱酸の1種又は2種以上を希釈した水溶液が使用できる。酸水溶液の酸の濃度は、通常0.1mol/l以上、好ましくは0.2mol/l以上、また、通常5mol/l以下、好ましくは2mol/l以下である。中性の水溶液ではなく、酸性の水溶液を用いると、蛍光体の溶解イオン量の低減効率の点で好ましいが、この洗浄に用いる酸水溶液の酸濃度が5mol/lを超えると、蛍光体表面を溶解する場合がある。一方、酸性の溶液の酸濃度が0.1mol/l未満であると、酸を用いた効果が十分に得られない傾向にある。
なお、本発明においては、洗浄に用いる酸性の溶液としてフッ酸のような腐食性の強い酸は必要としない。
また、洗浄媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で行なってもよい。
蛍光体を洗浄する方法としては、特に制限はないが、具体的には、得られた蛍光体粒子を上述の中性又は酸性の溶液(洗浄媒)に入れて所定時間撹拌することにより分散させ、その後、蛍光体粒子を固液分離する方法等が挙げられる。
蛍光体を洗浄する際の撹拌手法には特に制限はなく、蛍光体粒子を均一に分散させることができればよい。例えば、チップスターラーや撹拌機等を用いることができる。
洗浄媒の量には特に制限はないが、過度に少ないと十分な洗浄効果が得られず、過度に多いと大量の洗浄媒を要し、不合理であることから、洗浄する蛍光体の重量の2重量倍以上、中でも5重量倍以上であることが好ましく、また、洗浄する蛍光体の重量の1000重量倍以下、中でも100重量倍以下であることが好ましい。
撹拌時間は、蛍光体と上述のような洗浄媒とを十分に接触させることができるような時間であれば良く、通常1分以上、また、通常1時間以下である。
洗浄媒と蛍光体粒子とを固液分離する手法には、特に制限はなく、例えば、濾過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。
ただし、蛍光体粒子の洗浄方法は、上述のような、洗浄媒中で蛍光体粒子を撹拌し、分散した後の固液分離を行なう手法に限定されるものではなく、例えば、蛍光体粒子を洗浄媒の流体にさらす方法等であっても良い。
また、このような洗浄工程は複数回行なっても良い。複数回の洗浄工程を行なう場合、水による洗浄と酸性の溶液による洗浄とを組み合わせて行なっても良いが、その場合、蛍光体への酸の付着を防止するために、酸性の溶液で洗浄した後、水による洗浄を行なうようにすることが好ましい。また、水による洗浄後、酸性の溶液で洗浄し、その後、水による洗浄を行なってもよい。
また、複数回の洗浄工程を行なう場合、洗浄工程の間に前述の粉砕工程や分級工程を行なっても良い。
蛍光体の洗浄は、洗浄後の蛍光体について、次のような水分散試験を行ない、その時の上澄み液の電気伝導度が所定の値以下となるまで行なうことが好ましい。
即ち、洗浄後の蛍光体を、必要に応じて乾式ボールミル等で解砕ないし粉砕し、篩又は水簸により分級を行なって所望の重量メジアン径に整粒し、その後、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させる。このときの上澄み液の電気伝導度を測定し、その電気伝導度が、通常50mS/m以下、好ましくは10mS/m以下、より好ましくは5mS/m以下となるまで、必要に応じて上述の洗浄操作を繰り返す。
この蛍光体の水分散試験に用いられる水としては、特に制限はないが、上述の洗浄媒の水と同様に脱塩水又は蒸留水が好ましく、特に電気伝導度は、通常0.0064mS/m以上であり、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下である。また、上記蛍光体の水分散試験に用いられる水の温度は、通常、室温(25℃程度)である。
このような洗浄を行なうことにより、蛍光体の輝度をさらに向上させることができる。
なお、上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度の測定は、東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」等を用いて行なうことができる。
上記蛍光体の水分散試験における上澄み液の電気伝導度は、蛍光体の構成成分が一部溶解した結果、イオンとなって水中に溶け出すことにより上昇する。上記上澄み液の電気伝導度が低い、ということは、蛍光体中のこの水溶性成分の含有量が少ないことを意味する。
また、洗浄工程を行なうことにより、蛍光体の酸素含有量も減少することがある。これは、酸素を含む不純物相、例えば結晶性の悪い窒化物が加水分解して生じた水酸化物が除去されるためと推察される。
例えば、本発明の蛍光体では、洗浄すると、以下のようなことが起きていると推測することができる。
(1)結晶性の悪い窒化物等が加水分解して、例えばSr(OH)2などの水酸化物となり、水中に溶け出す。温水、あるいは希薄な酸で洗浄すると、これらが効率よく除去され、電気伝導度が低下する。一方で、洗浄媒の酸濃度が高過ぎたり、酸性の溶液にさらす時間が長過ぎたりすると、母体の蛍光体自体が分解する場合がある。
(2)前述の窒化処理工程において加熱時に使用する窒化ホウ素(BN)製ルツボから混入したホウ素が、水溶性のホウ素窒素−アルカリ土類化合物を形成して蛍光体に混入するが、上記洗浄によりこれが分解され、除去される。
洗浄による発光効率及び輝度向上の理由は完全には明らかとはされていないが、焼成直後の蛍光体を空気中に取り出したときわずかなアンモニア臭が感じられるところから、洗浄により、この未反応又は反応不十分な部分が分解して生成した部分が除去されたことによると考えられる。
(乾燥工程)
上記洗浄後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供することができる。具体的な操作の例を挙げると、洗浄を終了した蛍光体スラリーを遠心分離機等で脱水し、得られた脱水ケーキを乾燥用トレイに充填すればよい。その後、100℃〜200℃の温度範囲で含水量が0.1重量%以下となるまで乾燥する。得られた乾燥ケーキを篩等に通し、軽く解砕し、蛍光体を得る。
なお、蛍光体は多くの場合、粉体で使用され、他の分散媒中に分散した状態で使用される。従って、これらの分散操作を容易にするため、蛍光体に各種表面処理を行なうことが当業者の中では通常の手法として行われている。かかる表面処理が行われた蛍光体にあっては表面処理が行われる前の段階が本発明による蛍光体と理解するのが適切である。
(窒化物及び/又は酸窒化物について)
前述の窒化処理工程において、蛍光体原料の一部として、以下に説明する窒化物又は酸窒化物を用いることができる。
この窒化物又は酸窒化物としては、本発明の蛍光体を構成する金属元素を1種又は2種以上含有する窒化物又は酸窒化物(以下、「原料窒化物」と称す場合がある)を用いる。前述の窒化処理工程の前に、蛍光体原料用合金等と原料窒化物とを混合しなくてもよいが、得られる蛍光体の発光特性の観点から、窒化処理工程の前に原料合金と混合しておくことが好ましい。
この原料窒化物の組成は、前述の原料合金等と合わせて目的の蛍光体組成とすることができるものであればよく、特に制限はない。従って、原料窒化物は、前述した蛍光体の組成と同様に、少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含むことが好ましく、さらにSi以外の金属元素1種以上を含むことがより好ましく、付活元素M、2価の金属元素M、及び4価の金属元素Mを含むことがさらに好ましい。ここで、2価の金属元素Mとしては、アルカリ土類金属元素が好ましい。また、均一な蛍光体を得る上では、原料窒化物の組成を、目的の蛍光体と同一の構成元素とすることが、好ましい。例えば、原料窒化物は、前述の一般式[1]で表される組成であることが好ましく、前述の一般式[2]で表される組成であることがより好ましい。
原料窒化物の具体例としては、AlN、Si34、Ca32、Sr32、EuN等の蛍光体を構成する元素の窒化物、CaAlSiN3、(Sr,Ca)AlSiN3、(Sr,Ca)2Si58、SrSiN2等の蛍光体を構成する元素の複合窒化物、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN3:Ce、(Sr,Ca)2Si58:Eu、SrSiN2:Eu、Sr1-xCaxSi222:Eu等の付活元素を含む複合窒化物等が挙げられる。なお、原料窒化物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、原料窒化物は、微量の酸素を含んでいてもよい。原料窒化物の酸素/(酸素+窒素)の割合は本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常0.5以下、中でも0.3以下、特には0.2以下とすることが好ましい。原料窒化物中の酸素の割合が多すぎると輝度が低下する可能性がある。
原料窒化物の重量メジアン径D50は、他の原料との混合に支障がない限り、特に制限は無い。ただし、他の原料と混合しやすいことが好ましく、例えば、合金粉末と同程度であることが好ましい。原料窒化物の具体的な重量メジアン径D50の値は本発明に蛍光体が得られる限り任意であるが、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、また、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上である。
原料窒化物の蛍光体原料全体量に対する混合割合、即ち、前述の合金と原料窒化物との合計に対する混合割合は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上である。原料窒化物の混合割合が低すぎると、得られる蛍光体の輝度の向上効果が不十分となる傾向がある。一方、原料窒化物の混合割合の上限は、特に制限は無いが、原料窒化物の混合割合が高すぎると、得られる蛍光体の輝度は向上するものの、生産性が低下する傾向にあるため、通常、85重量%以下とする。
このように窒化処理工程において合金等の蛍光体原料に原料窒化物を混合すると、窒化時の単位体積当たりの発熱速度が抑えられる。この結果、発生した熱により原料の溶融や分相、あるいは窒化物の分解が起こり、得られる蛍光体の特性が低下するという現象を抑制することができる。
例えば、合金粉末を原料として蛍光体を製造する場合、後述の窒化処理工程において窒化反応時の発熱により合金粉末が溶融すると、合金粒子同士が融着し、内部まで窒素ガスが侵入できず、合金粒子の内部まで窒化反応が進行しない可能性がある。このため、得られる蛍光体の輝度が低下する傾向にあり、場合によっては発光しない場合もある。しかし、合金粉末に原料窒化物を混合することにより、これらの点が改善される。
また、窒化反応容器の直径が同一の場合において、合金粉末の充填量が少なければ、放熱性が高く、窒化反応時の発熱量の蓄積が少ないため、発生した熱による合金の溶融や分相、あるいは窒化物又は酸窒化物の分解といった現象は生じない。しかし、蛍光体の合成には、高温下で反応を行なうことになるため、合成時のエネルギー消費量が大きく、一回あたりの充填量を増やすことがコスト低減のためには好ましい。そして、反応容器中の合金充填量が多いと、放熱性が低下するため、発生した熱による合金の溶融や分相、あるいは窒化物又は酸窒化物の分解が生じる可能性がある。
これに対し窒化処理工程において合金等の蛍光体原料に原料窒化物を混合すると、窒化反応容器の合金充填量を増やした上で発熱量を抑え、効率的な窒化処理を行なえる。これは、窒化物又は酸窒化物の融点は、通常、合金と比較して高いため、合金に原料窒化物を混合すると、蛍光体原料全体の放熱性を向上させることによるものと考えられ、したがって、窒化時の合金の溶融を防ぎ、窒化反応を円滑に進行させることにより、高特性の蛍光体が高い生産性で得られるようになる。
上述のように、窒化処理工程において蛍光体原料の一部として原料窒化物を用いると、一度に処理する蛍光体原料の量を増やすことができ、前記式[A]の値が上記の範囲よりも大きくても蛍光体を製造することが出来る。本発明の製造方法において、蛍光体原料の一部として原料窒化物を用いる場合の前記式[A]の上限は、通常0.6以下、好ましくは0.4以下である。
[蛍光体の特性]
例えば、本発明の製造方法により得られる蛍光体(以下、「本発明の蛍光体」と称する場合がある。)は、以下のような特性を有する。
<発光色>
本発明の蛍光体の発光色は、化学組成等を調整することにより、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等、所望の発光色とすることができる。
(発光スペクトル)
例えば、本発明の蛍光体が、前記のSr置換量が多い蛍光体であり、かつ、付活元素MとしてEuを含有する場合、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、ピーク波長465nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
まず、本発明の方法により製造された蛍光体(以下「本発明の蛍光体」と称す。)は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常590nmより大きく、中でも600nm以上、また、通常650nm以下、中でも640nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると黄味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると暗赤味を帯びる傾向があり、何れも橙色ないし赤色光としての特性が低下するおそれがあるので好ましくない。
また、本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常50nmより大きく、中でも70nm以上、更には75nm以上、また、通常120nm未満、中でも100nm以下、更には90nm以下の範囲であることが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると発光強度が低下するおそれがあり、広過ぎると色純度が低下するおそれがあるので、何れも好ましくない。
なお、本発明の蛍光体を波長465nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光ピーク波長、ピーク相対強度及びピーク半値幅の算出は、例えば、日本分光社製蛍光測定装置等の装置を用いて行なうことができる。
(温度特性)
本発明の蛍光体は、温度特性にも優れるものである。具体的には、波長455nmにピークを有する光を照射した場合における25℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値に対する150℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値の割合が、通常55%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
また、通常の蛍光体は温度上昇と共に発光強度が低下するので、該割合が100%を越えることは考えられにくいが、何らかの理由により100%を超えることがあっても良い。ただし150%を超えるようであれば、温度変化により色ずれを起こす傾向となる。
本発明の蛍光体は、上記発光ピーク強度に関してだけでなく、輝度の点からも温度特性に優れたものである。具体的には、波長455nmにピークを有する光を照射した場合の25℃での輝度に対する150℃での輝度の割合も、通常55%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
尚、上記温度特性を測定する場合は、例えば、発光スペクトル装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、以下のように測定することができる。ステージに蛍光体サンプルを入れたセルを載せ、温度を20℃から150℃の範囲で変化させる。蛍光体の表面温度が測定温度で一定となったことを確認する。次いで、光源から回折格子で分光して取り出したピーク波長455nmの光で蛍光体を励起して発光スペクトル測定する。測定された発光スペクトルから発光ピーク強度を求める。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いる。
(重量メジアン径D50
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
(その他)
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明の蛍光体は、その吸収効率も高いほど好ましい。その値は通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。吸収効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
後述の各実施例及び各比較例において、各種の評価は以下の手法で行った。
〈発光スペクトル及び輝度〉
発光スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)用いて測定した。励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長450nm〜475nmの励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。なお、測定時には、受光側分光器のスリット幅を1nmに設定して測定を行なった。
また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、後述する参考例1における蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出した。なお、輝度は、励起青色光をカットして測定した。
〈化学組成〉
ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry;以下、「ICP法」と称する場合がある。)により、ジョバイボン社製ICP化学分析装置「JY 38S」を使用して分析した。
〈合金粉末の粒径測定〉
気温25℃、湿度70%の環境下において、エチレングリコールに合金粉末を分散させ、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA−300」)により、粒径範囲0.1μm〜600μmについて測定を行った。得られた重量基準粒度分布曲線において積算値が50%となる時の粒径値を重量メジアン径D50とした。
〈融点測定〉
合金の融点測定は下記の通り行った。
示差熱量重量同時分析装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製「TG−DTA2000」)を用いて測定を行った。測定前に、真空引きを行い、次いで、雰囲気ガスをアルゴン雰囲気(酸素濃度40ppm以下)に置換した。試料約10mgを窒化ホウ素製容器に入れ、アルゴンガス100ml/分を流通させながら、昇温速度10℃/分で室温から1500℃まで昇温した。TG−DTA測定で融解に伴う吸熱を検出し、吸熱ピーク位置を融点とした。融点測定においては、Au(融点1063℃)、Si(融点1410℃)を用いて温度校正を行った。
(式[A]の値の算出)
焼成容器の質量(g)、及び蛍光体原料(g)の質量を測定し、下記式[A]に代入することにより、式[A]の値を算出した。
(蛍光体原料の質量)/{(焼成容器の質量)+(蛍光体原料の質量)} …[A]
(加熱工程における1分当たりの温度変化の測定)
焼成容器の側壁の温度を、10秒間間隔でタングステン−レニウム合金熱電対を用いて測定した。なお、温度計は、焼成容器の外表面で、蛍光体原料を充填した高さの、1/2の高さの位置に設置した。得られた測定値から1分間当たりの温度変化を下記式[B]により求めた。
温度変化(℃/分)=時刻T分での温度−時刻(T−1)分での温度 …[B]
また、以下において、合金の原料に用いた金属単体は、いずれも不純物濃度0.01モル%以下の高純度品である。また、原料金属の形状は、Srは塊状、その他は粒状である。
[実施例1]
(合金の製造)
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各原料金属を秤量し、黒鉛ルツボに充填し、高周波誘導式溶融炉を用いてアルゴン雰囲気下で原料金属を溶融した。その後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、金属元素組成比がAl:Si=1:1である合金(母合金)を得た。
続いて、Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.008:0.792:0.2:1:1(モル比)となるよう母合金、その他原料金属を秤量した。炉内を5×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、炉内にアルゴンを所定圧まで充填した。この炉内でカルシアルツボを用いて母合金を溶解し、次いで、原料金属であるSr、Eu、及びCaを加えた。全成分が融解されて溶湯が誘導電流により撹拌されるのを確認した後、ルツボから水冷された銅製の金型(厚さ40mmの板状)へ溶湯を注湯して凝固させた。
得られた厚み40mmの板状合金についてICP法で組成分析を行った。板状合金の重心付近一点と、板状合金の端面付近一点から約10gサンプリングし、ICP法により元素分析を行ったところ、
板状合金の中心部 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.782:0.212:1:0.986、
板状合金の端面 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.756:0.210:1:0.962
であり、分析精度の範囲において実質的に同一組成であった。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
得られた合金はSr(Si0.5Al0.5と類似した粉末X線回折パターンを示し、AlB型のアルカリ土類シリサイドと呼ばれる金属間化合物と同定された。
この板状合金を、窒素気流中で粉砕し、重量メジアン径D50が20.0μmの合金粉末を得た。
前述の方法により、アルゴン気流中で合金粉末の融点を測定したところ、融解開始温度は1078℃付近であり、融点は1121℃であった。
(窒化処理)
得られた合金粉末10gを窒化ホウ素製ルツボ(内径54mm)に充填し、熱間等方加圧装置(HIP)内にセットした。装置内を5×10−1Paまで真空排気した後、300℃になるまで加熱し、300℃で真空排気を1時間継続した。その後、窒素を1MPaになるまで充填し、冷却した後、0.1MPaまで放圧し、再び1MPaまで窒素を充填する操作を2回繰り返した。加熱開始前に50MPaまで窒素を充填してから、600℃/時で炉内温度1000℃まで昇温し、同時に内圧を135MPaまで約50MPa/時で昇圧した。続いて、炉内温度1000℃から1200℃まで66.7℃/時で昇温し、同時に内圧を135MPaから160MPaまで昇圧した。その後、炉内温度1850℃、内圧190MPaになるまで600℃/時で昇温、昇圧し、この温度及び圧力で1時間保持して蛍光体を得た。
得られた蛍光体の粉末X線回折測定の結果、CaAlSiNと同型の斜方晶の結晶相が生成していた。
実施例1において、合金の融点(1121℃)より100℃低い温度(1021℃)から合金の融点より30℃低い温度(1091℃)までの温度域の昇温速度は、1.11℃/分である。
得られた蛍光体について、前述の方法により、465nm励起による発光特性を測定した。その結果を表1に示す。表1には、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を併記した。
[比較例1]
HIP内での窒化処理において、昇温速度600℃/時で炉内温度950℃(内圧130MPa)まで昇温した後、950℃で2.5時間保持し、その後、炉内温度1850℃(内圧190MPa)まで600℃/時で昇温したこと以外は実施例1と同様に窒化処理を行い、蛍光体を得た。
比較例1において、合金の融点(1121℃)より100℃低い温度(1021℃)から合金の融点より30℃低い温度(1091℃)までの温度域の昇温速度は、10℃/分である。
得られた蛍光体について、実施例1と同様に発光特性を測定し、その結果を表1に示す。表1には、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を併記した。
[比較例2]
HIP内での窒化処理において、昇温速度570℃/時で炉内温度1850℃(内圧190MPa)まで昇温したこと以外は実施例1と同様に窒化処理を行い、蛍光体を得た。
比較例2において、合金の融点(1121℃)より100℃低い温度(1021℃)から合金の融点より30℃低い温度(1091℃)までの温度域の昇温速度は、9.5℃/分である。
得られた蛍光体について、実施例1と同様に発光特性を測定し、その結果を表1に示す。表1には、式[A]の値及び加熱工程における1分間当たりの温度変化を併記した。
[参考例1]
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.008:0.992:1:1(モル比)となるように、Ca(CERAC社製200mesh pass)、AlN(トクヤマ社製グレードF)、Si(宇部興産社製SN−E10)、及びEu(信越化学社製)をアルゴン雰囲気中で秤量し、アルミナ乳鉢を用いて混合した。得られた原料混合物を窒化ホウ素製ルツボへ充填し、雰囲気加熱炉中にセットした。装置内を1×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、装置内へ窒素を0.1MPaまで充填した後、1600℃まで昇温し、1600℃で5時間保持した。得られた焼成物をアルミナ乳鉢で粉砕し、粒径100μm以下のものを採取して目的の蛍光体を得た。励起波長465nmにおける、この蛍光体の発光ピーク波長は648nmであった。
Figure 2008007751
表1より、合金の融点(1121℃)より100℃低い温度(1021℃)から合金の融点より30℃低い温度(1091℃)までの温度域をゆっくり昇温することにより、得られる蛍光体の輝度が向上していることがわかる(実施例1)。
これは、特定の温度域において昇温速度を減速した実施例1では、昇温速度が速い比較例1及び比較例2と比べて、窒化による反応熱の蓄積が減少したためであると推測できる。

Claims (10)

  1. 蛍光体を構成する金属元素を2種以上含有する合金を、窒素含有雰囲気中で、加熱することにより蛍光体を製造する方法であって、該合金の融点より100℃低い温度から該融点より30℃低い温度までの温度域における昇温速度を9℃/分以下とすることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  2. 請求項1において、合金の重量メジアン径D50が100μm以下であることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、蛍光体が、少なくともSiを含む4価の金属元素Mと、Si以外の金属元素の1種以上とを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  4. 請求項3において、蛍光体が、付活元素Mと、2価の金属元素Mと、少なくともSiを含む4価の金属元素Mとを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  5. 請求項4において、蛍光体が、2価の金属元素Mとしてアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項において、蛍光体が、さらに3価の金属元素Mを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  7. 請求項6において、付活元素MがCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、2価の金属元素MがMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、3価の金属元素MがAl、Ga、In、及びScからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、少なくともSiを含む4価の金属元素MがSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  8. 請求項4ないし7のいずれか1項において、蛍光体が、付活元素MとしてEu及び/又はCeを含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  9. 請求項7又は8において、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrであり、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlであり、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiであることを特徴とする蛍光体の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、蛍光体が窒化物又は酸窒化物を母体とすることを特徴とする蛍光体の製造方法。
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