JP2008007492A - ビカルタミドおよびそのアナログの製造方法 - Google Patents

ビカルタミドおよびそのアナログの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 前立腺肥大治療薬(抗男性ホルモン剤)またはその他の医薬品中間体として有用な、ビカルタミドまたはそのアナログをラセミ体または光学活性体の形態で効率良く製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、ビカルタミドまたはそのアナログの出発原料として利用可能な、以下の式(I)の化合物を得る方法を開示している。本発明の方法は、以下の式(II)で表される化合物を、溶媒中、紫外線照射下にて、酸化剤と反応させることにより行われる。
【化1】
Figure 2008007492

これにより、簡易かつ優れた収率で式(I)の化合物を得ることができる。得られた式(I)の化合物を用いると、ラセミ体または光学活性体としてビカルタミドまたはそのアナログを簡易かつ優れた収率で製造することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ビカルタミドおよびそのアナログの製造方法に関し、より詳細には、ビカルタミドまたはそのアナログを効率良く製造し得る方法に関する。
アンドロゲン遮断は、前立腺癌患者のための一般的な治療方法である。種々の非ステロイド抗アンドロゲン剤が前立腺癌を治療する際に使用することが知られている。ビカルタミド(N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパンアミド)は、例えば、非ステロイド抗アンドロゲン剤の1つであり、前立腺肥大治療薬(抗男性ホルモン剤)として一般的に使用されている。
ビカルタミドは、以下のような構造:
Figure 2008007492
を有する。上記構造におけるプロパンアミドのα−炭素はキラル炭素であるため、ビカルタミドはキラルな物質である。
上記前立腺肥大治療薬としての使用においては、例えば、ビカルタミドはR体がS体の約60倍もの活性を示すことが報告されており(非特許文献1)、当該分野においてはR体のビカルタミドを効率良く製造するための研究開発が多く行われてきた。
例えば、非特許文献1〜5は、上記ビカルタミドおよびそのアナログをそれぞれ効率良く、あるいは新規な合成ルートを通じて製造するための方法を開示している。しかし、これらの文献に記載の方法はいずれも、上記ビカルタミドを得るためには、比較的多くの反応工程を要する、充分な収率で製造することが困難である、などの問題が工業的観点から指摘されている。また、これらの文献のうち、非特許文献1および3で製造され得るビカルタミドはラセミ体となるため、当該ビカルタミドを得た後に(またはその過程で)当該分野において公知の手段を用いて光学分割することが事実上必須であり、所望の(R)−ビカルタミドのみを取り出すには、そのような工程の追加が避けられない。
一方、特許文献1は、(R)−ビカルタミドのみを選択的に合成する手法として(R)−プロリンを出発物質に使用することを開示している。しかし、(R)−プロリンは一般に入手し難く、高価な物質である。このため、(R)−ビカルタミドの工業的製造においては生産性(価格効率)の観点から、当該技術は必ずしも適切なものともいえない。
さらに、特許文献2は、上記(R)−プロリンの使用に代えて、例えば、4−フルオロベンゼンチオールにキラルなブロモラクトンを反応させるなどの工程を通じて、所望の(R)−ビカルタミドを製造する方法が開示されている。しかし、当該方法によっても、目的のビカルタミドを工業的観点から効率よく製造し得るとはいうことができない。
また、特許文献3では、ラセミ体の2、3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を(+)−デジドロアビエチルアミンで分割し、(R)−ビカルタミドの合成原料となる(S)−2、3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン酸を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法では、分割工程で副生する(R)−体((R)−2、3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン酸)の再利用は困難であり、そのまま廃棄されることから、効率の良い製法であるとは言えない。
米国特許第6,019,957号明細書 特表2003−512351号公報 国際公開WO01/00608号パンフレット タッカー,エイチ.(Tucker,H.)ら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),1988年,31巻、p.885−887 タッカー,エイチ.(Tucker,H.)ら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),1988年,31巻、p.954−959 ジェイムス,ケイ.(James,K.)ら、「シンセシス(Synthesis),2002年,第7号、p.850−852 ネア,ヴィ.(Nair,V.)ら、「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),2004年,第45号、p.9475−9477 マーエフカ,シー.(Marhefka,C.)ら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry),2004年,47巻、p.993−998
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、前立腺肥大治療薬(抗男性ホルモン剤)もしくはその他の治療薬またはそれらの前駆体として有用な、ビカルタミドまたはそのアナログを光学活性体またはラセミ体の形態で効率良く製造し得る方法を提供することにある。
本発明は以下の式(I):
Figure 2008007492
で表される化合物の製造方法であって、
以下の式(II):
Figure 2008007492
で表される化合物を、溶媒中、紫外線照射下にて、酸化剤と反応させる工程;
を包含し、
ここで、
は保護基であり、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基であり;そして
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である、方法である。
1つの実施態様では、上記酸化剤は、以下の式(III):
Figure 2008007492
(ここで、R、R8‘、R、およびR9’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、またはシアノ基である)で表される化合物である。
1つの実施態様では、上記酸化剤は、上記式(II)で表される化合物1モルに対し、0.8当量から10当量の範囲で使用される。
1つの実施態様では、上記式(II)で表される化合物は光学活性な化合物である。
さらなる実施態様では、上記式(II)で表される化合物は、以下の式(II−I):
Figure 2008007492
で表される化合物である。
本発明はまた、以下の式(IV):
Figure 2008007492
で表されるビカルタミドまたはそのアナログの製造方法であって、
上記のいずれかに記載の方法により得られた、以下の式(I):
Figure 2008007492
で表される化合物を、脱アセチル化する工程;および
該脱アセチル化して得られた生成物を、溶媒中、以下の式(V):
Figure 2008007492
で表される化合物と反応させる工程;
を包含し、
ここで、
は、ハロゲン原子、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、−S−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−CO−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−NH、−NHC(O)−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、
Figure 2008007492
(ここで、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、または−NCSであり;
は、硫黄原子、酸素原子、または−NH−であり;
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基であり;
は、硫黄原子、酸素原子、−NH−、または−SO−であり;そして
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である、方法である。
本発明によれば、ラセミ体または光学活性体としてのビカルタミドまたはそのアナログを簡易かつ優れた収率で製造することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の方法を用いて製造される化合物は以下の式(I):
Figure 2008007492
(ここで、Rは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基であり;そしてRおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である)で表される化合物である。
すなわち、上記式(I)において、Rは、C〜Cアルキル基であって、該アルキル基を構成する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル基であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基であり、より好ましくは、未置換の直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基である。
また、上記式(I)において、RおよびRを構成する置換基がハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、RおよびRは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状のC〜Cアルキル基である。
本発明により製造される上記式(I)の化合物は、例えば後述するビカルタミドまたはそのアナログの材料などに使用することができる。
上記式(I)で表される化合物は、以下の式(II):
Figure 2008007492
(ここで、Rは保護基であり、Rは、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基であり;そしてRおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である)で表される化合物を、溶媒中、紫外線照射下にて、酸化剤と反応させることにより製造される。
上記式(II)において、Rとしては、保護基であれば特に制限はされないが、好ましくはアラルキル型保護基が挙げられる。また具体的な例としては、ベンジル、4−メトキシフェニルメチル、4−ニトロフェニルメチルなどが挙げられる。
上記式(II)において、Rは、C〜Cアルキル基であって、該アルキル基を構成する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル基であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基であり、より好ましくは、未置換の直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基である。
また、上記式(II)において、RおよびRを構成する置換基が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、RおよびRは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状のC〜Cアルキル基である。
本発明に用いられる上記式(II)の化合物は、光学活性な化合物またはラセミ体の化合物のいずれを用いることができる。本発明の方法により製造され得る式(I)の化合物を、光学活性体(例えば、光学純度が60%ee以上であるもの)で得ることを所望する場合は、上記式(II)の化合物を光学活性体(例えば、60%ee以上であるもの)として用いることが好ましい。
本反応において、用いられる酸化剤は、酸化反応一般に用いられる酸化剤であれば特に限定されないが、例えば、以下の式(III):
Figure 2008007492
(ここで、R、R8’、R、およびR9’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、またはシアノ基である)で表される化合物である。
上記式(III)の化合物において、R、R8’、R、およびR9’の置換基は、好ましくは、R、R8’、R、およびR9’の少なくとも1つがシアノ基であり、より好ましくは、R、R8’、R、およびR9’の少なくとも2つがシアノ基であり、そしてさらに好ましくは、R、R8’、R、およびR9’のいずれか2つがシアノ基でありかつ該2つのシアノ基の位置が、上記式(III)の化合物のキノン骨格において、互いにオルト位またはパラ位である。
なお、上記式(III)の化合物において、R、R8’、R、およびR9’を構成し得るハロゲン原子の具体的な例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
上記式(III)の化合物において、酸化剤の具体的な例としては、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)が挙げられる。
本反応に用いられる酸化剤の量は、特に限定されず、当業者によって適宜設定され得る。具体的には、例えば、式(II)で表される化合物1モルに対し、使用される酸化剤の量は、好ましくは0.8当量から10当量であり、より好ましくは、1.0当量から5.0当量であり、さらに好ましくは1.0当量から2.0当量である。該酸化剤の使用量が0.8当量未満であると、式(I)の化合物が充分に生成されない恐れがある。また、該酸化剤の使用量が10当量を上回っても、得られる式(I)の化合物の収率に変化が見られず、むしろ生産性に劣る恐れがある。
また、本反応において、照射される紫外線は、当該分野において周知である紫外線であれば、特に限定はされないが、白色光または所定の範囲に制御された光のいずれであってもよい。該紫外線が波長範囲の制御された光である場合、該波長範囲は、好ましくは、200nm〜400nmであり、より好ましくは、250nm〜380nmであり、さらに好ましくは、300nm〜360nmである。また、該紫外線は、上記の範囲であれば任意の波長(例えば、352nmなど)の光を用いることもできる。該紫外線は、通常本反応の間で照射され得る。なお、該紫外線の照射には、当業者に周知な手段(例えば、ブラックライト、または水銀ランプなど)を用いることができる。
本反応に用いられる溶媒は、反応に不活性なものであれば、どのような種類のものであっても良いが、好ましくは有機溶媒であり、さらに好ましくは低級二トリル類であり、具体的にはアセトニトリルが挙げられる。式(I)の化合物を効率よく製造することを考慮すれば、アセトニトリルを用いることが好ましい。
本発明における反応時間は、必ずしも限定されないが、好ましくは1時間〜48時間、より好ましくは12時間〜36時間である。また、本反応における反応温度も必ずしも限定されないが、例えば室温である。
反応後、得られた化合物は、必要に応じ、当業者に周知な方法および手段を用いて、有機層への抽出、洗浄、および/または精製が行われてもよい。
このようにして、目的の化合物を良好な収率で製造することができる。
なお、本発明では、式(II)の化合物としてラセミ体がそのまま使用される場合、得られる式(I)の化合物は、当該分野において周知な光学分割方法を用いることにより、光学活性な化合物として取り出すことができる。
あるいは、本発明において式(II)の化合物として光学活性体が使用される場合、式(I)の化合物は、その絶対配置が反応の間も引き継がれるため、同様の絶対配置を有する光学活性な化合物として得ることができる。このことにより、後に得られた生成物に対して光学分割などの操作が不要になり、結果として、所望の絶対配置を有する化合物を効率良く製造することができる。
本反応において、得られる式(I)で表される化合物は、以下の式(IV):
Figure 2008007492
(ここで、Rは、ハロゲン原子、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、−S−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−CO−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−NH、−NHC(O)−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、
Figure 2008007492
(ここで、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、または−NCSであり;
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基であり;
は、硫黄原子、酸素原子、−NH−、または−SO−であり;そして
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である)で表されるビカルタミドまたはそのアナログの製造に使用することができる。
上記式(IV)において、Rを構成する置換基がハロゲン原子である場合、Rは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である。また、Rを構成する置換基がハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基である場合、Rは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cのアルキル基である。また、Rを構成する置換基が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基である場合、Rは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルコキシ基である。
上記式(IV)において、R10、R11およびR12は、好ましくは、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である。
また、上記式(IV)において、Rは、C〜Cアルキル基であって、該アルキル基を構成する水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル基であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル基であり、より好ましくは、未置換の直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基である。
また、上記式(IV)において、RおよびRを構成する置換基が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基である場合、RおよびRは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cアルキル基であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状のC〜Cアルキル基である。
次に、本反応で得られる式(I)の化合物を用いて、上記式(IV)で表されるビカルタミドまたはそのアナログを製造する方法の一例について説明する。
まず、本反応で得られる式(I)の化合物を、脱アセチル化する。その後、脱アセチル化して得られた生成物をさらに、溶媒中、以下の式(V):
Figure 2008007492
(ここで、Rは、ハロゲン原子、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、−S−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−CO−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−NH、−NHC(O)−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、
Figure 2008007492
(ここで、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、または−NCSであり;そしてRは、硫黄原子、酸素原子、または−NH−である)で表される化合物と反応させることにより、式(IV)で表されるビカルタミドまたはそのアナログを製造し得る。
上記式(V)において、Rを構成する置換基がハロゲン原子である場合、Rは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である。また、Rを構成する置換基がハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基である場合、Rは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cのアルキル基である。また、Rを構成する置換基が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基である場合、Rは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、分岐鎖状、または環状のC〜Cのアルコキシ基である。
上記式(V)において、R10、R11およびR12は、好ましくは、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子の少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖状、または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である。
上記脱アセチル化に要する反応条件等は当該分野において周知であり、当業者によって任意に設定することができる。
上記式(IV)のビカルタミドまたはそのアナログの製造方法において、式(V)の化合物は、好ましくは式(V’):
Figure 2008007492
(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、上記に定義される基と同様である)で表される化合物である。式(V’)の化合物の具体的な例としては、4−フルオロベンゼンチオールが挙げられる。
上記式(IV)のビカルタミドまたはそのアナログの製造方法において、式(I)の化合物と式(V)の化合物との反応に使用される溶媒は、好ましくは有機溶媒である。使用可能な有機溶媒の具体的な例としては、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミドが挙げられる。
本発明において、式(I)の化合物と式(V)の化合物との反応は、必ずしも限定されないが、式(I)の化合物の1級水酸基をトシラートなどの脱離基に変換した後、不活性な溶媒中、塩基の存在下に式(V)の化合物を作用させて行なわれ得る。式(I)の化合物の1級水酸基をトシラートなどの脱離基に変換する反応は、−10℃〜25℃、より好ましくは−5℃〜25℃の範囲の温度下で行われ得る。当該反応の生成物と式(V)の化合物との反応は、−10℃〜25℃、より好ましくは−5℃〜25℃の範囲の温度下で行われ得る。さらに、上記二つの反応は、必ずしも限定されないが、好ましくは30分間〜12時間、より好ましくは1時間〜5時間かけて行われ得る。
上記反応後、生成物を有機層に抽出し、洗浄および乾燥を経て粗生成物を得、必要に応じてシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの手段を用いて精製が行われる。なお、本発明において製造するビカルタミドまたはそのアナログについて、上記式(IV)のビカルタミドまたはそのアナログのR基を−SO−にすることが所望される場合は、上記式(V)の化合物のうち、Rが硫黄原子である化合物(例えば、4−フルオロベンゼンチオール)を使用し、上記反応により得られた化合物を当該分野において周知方法を用いて酸化条件に付すことにより、目的の化合物を得ることができる。
反応後、得られたビカルタミドまたはそのアナログは、必要に応じ、当業者に周知の方法および手段を用いて、有機層への抽出、洗浄、および/または精製が行われてもよい。
なお、本発明では、式(I)の化合物としてラセミ体がそのまま使用された場合、得られた当該ビカルタミドまたはそのアナログは、ラセミ体を構成する。その後、当該分野において周知の光学分割方法を用いることにより、(R)−ビカルタミドのような光学活性な化合物のみを取り出すことができる。
あるいは、本発明において式(I)の化合物として光学活性体が使用された場合、得られる当該ビカルタミドまたはそのアナログは、その絶対配置が反応を通じて引き継がれ、同様の絶対配置を有する光学活性なビカルタミドまたはそのアナログとして得ることができる。このことにより、後に得られた生成物に対して光学分割などの操作が不要となり、結果として、所望の絶対配置を有するビカルタミドまたはそのアナログを効率良く製造することができる。
式(I)の化合物を製造する方法において、式(II)の化合物は、例えば以下の式(VI):
Figure 2008007492
(ここで、Rは保護基であり、そしてRは、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基である)で表される化合物を、縮合剤および溶媒の存在下、以下の式(VII):
Figure 2008007492
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である)で表される化合物と反応させ、かつアセチル化することによって製造され得る。
上記に使用される縮合剤は、縮合反応一般に用いられる縮合剤であれば特に限定されないが、例えば、塩化チオニル、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ヒドロクロリド(EDCl)およびそれらの組合せが挙げられる。反応性に優れ、式(II)の化合物をさらに効率良く製造することができる点から塩化チオニルを用いることが好ましい。当該縮合剤の量は、当業者によって適宜設定され得る。
上記縮合剤とともに使用される溶媒には、有機溶媒として任意の溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミドなど)が使用され得る。しかし、式(II)の化合物をさらに効率よく製造することを考慮すれば、テトラヒドロフランを使用することが好ましい。
また、上記式(VII)で表される化合物は、好ましくは以下の式(VII’):
Figure 2008007492
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して上記に定義した基と同様である)で表される化合物であり、具体的な例としては、4−シアノ−3−トリフルオロメチル−アニリンが挙げられる。
式(VII)の化合物の使用量は、特に限定されないが、例えば、式(VI)の化合物と当モルまたはそれ以上の量が使用され得る。
これらに対し、式(VI)の化合物は、将来的に製造が所望されるビカルタミドまたはそのアナログが光学活性体であるかあるいはラセミ体であるかに応じて、任意の絶対配置を有する化合物(光学活性体またはラセミ体)が選択される。以下、光学活性な式(VI)の化合物を得るための方法について、例として2つの方法を示し、説明する。
第一の方法として、当該光学活性な式(VI)の化合物を得るにあたっては、まず、例えば、以下の式(VIII):
Figure 2008007492
(ここで、Rは保護基(例えば、ベンジル、4−メトキシフェニルメチル、4−メトキシフェニル、メチルメトキシメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、アセチル、ベンゾイル、および9−フルオレニルメトキシカルボニルが包含される)であり;そしてRは、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基である)で表されるキラルなエポキシドのラセミ体(これは当該分野において当業者に周知の方法を用いて製造することができ、あるいは市販されている)をエポキシド加水分解活性を有する微生物または該微生物に由来する酵素を作用させて、該ラセミ体の一方の鏡像体を加水分解すること、ならびに当該加水分解後に得られた反応液を酸で処理することによって入手可能である。
ここで、上記微生物または上記酵素を産生する微生物の例としては、バチルス・サブチリスJCM10629株、バチルス・サブチリスIAM1186株、クロモバクテリウム・ビオラセウムJCM1249株、バチルス・リケニホルミスATCC39307株、ノカルディア・フスカNBRC14340株、ステノトロホモナス・マルトフィリアJCM1975株、バチルス・プミリスNBRC14358株、ミクロバクテリウム・ラクチカムJCM1379株、シュードモナス・クロロラフィスJCM2778株、ノカルディア・アステロイデスNBRC3384株、ゴルドナ・テラエJCM3206株、バチルス・アネウリノリティカスIAM1077株、クレブシエラ・オキシトカSNSM−87(微工研菌寄第12953号)株、キャンディダ・コリカロサJCM2199株、キャンディダ・エルノビJCM9948株、キャンディダ・ルゴサJCM1619株、ガラクトマイセス・ゲオトリカムJCM6359株、キャンディダ・インタメディアNBRC0761株、サッカロマイセス・セレビシエJCM2223株、スポリジオボラス・サルモニカラNBRC1035株、キャンディダ・クルセイNBRC0011株、ロドスポリジウム・ジオボバタムNBRC0688株、ピチア・ブルトニJCM3708株、キャンディダ・アンタラクチカJCM3941株、ロドトルラ・ルブラJCM8117株、キャンディダ・グイリエルモンジNBRC0566株、キャンディダ・ケフィアNBRC10287株、ロドトルラ・ミヌタNBRC0879株、およびキャンディダ・パラプシロシスJCM1785株からなる群より選択される少なくとも1種の菌株が挙げられる。特に、バチルス・サブチリスIAM1186株、クロモバクテリウム・ビオラセウムJCM1249株、キャンディダ・コリカロサJCM2199株、キャンディダ・エルノビJCM9948株、キャンディダ・ルゴサJCM1619株、ガラクトマイセス・ゲオトリカムJCM6359株、およびキャンディダ・インタメディアNBRC0761株からなる群より選択される少なくとも1種の菌株が好ましい。
上記微生物に由来する酵素とは、上記のエポキシド加水分解活性を有する微生物から得られたエポキシド加水分解活性を有する酵素をいう。例えば、上記の菌体を超音波などで破砕した後、不溶物を除去して得られる破砕上清液を、粗酵素液として用いることができる。あるいは、この粗酵素液から、さらに当業者が通常用いる精製方法、例えば、カラムクロマトグラフィーなどの手段によって精製または単離されたエポキシドハイドロラーゼ(EH)であってもよい。あるいは、エポキシド加水分解活性を発揮し得るならば、上記の天然のEHの改変体または誘導体であってもよい。ここで、「改変体」とは、天然のEHと、少なくとも70、または少なくとも80、あるいは少なくとも90パーセントのアミノ酸配列相同性を有し、かつEH活性を有するタンパク質をいう。例えば、天然のEHにおいて、1以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を有するタンパク質が挙げられる。「誘導体」とは、天然のEHと他のペプチドとの融合タンパク質をいう。融合される他のペプチドは、EHの基本的な折りたたみおよびコンホメーション構造を妨害しない。
上記微生物は、上記微生物に由来するエポキシド加水分解活性を有するならば、野生型または形質転換体のいずれであってもよい。例えば、形質転換体は、上記の酵素(例えば、EH)をコードする遺伝子が組み込まれている他の宿主微生物(例えば、大腸菌、枯草菌など)であってもよい、さらに、例えば、EHの発現を促進するように、適切なプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどの発現調節因子が導入されている形質転換体であってもよい。
これらの微生物は、デンプン含有培地で培養することにより、より高いエポキシド加水分解活性を示す。ここで、デンプン含有培地とは、当業者が微生物の培養に通常用いる培地よりも、デンプンを豊富に含有する培養培地をいう。含有されるデンプンは、どのような由来のものであってもよい。デンプンの液化は、当業者に公知の方法(例えば、α−アミラーゼで処理する方法)によって行われ得る。培地中のデンプンの濃度は、特に制限はなく、4w/v%〜20w/v%であり得、あるいは8w/v%〜12w/v%であり得る。
あるいは、上記においてエポキシド加水分解活性を有する微生物は、バチルス属、クロモバクテリウム属、ノカルディア属、ステノトロホモナス属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス属、ゴルドナ属、クレブシエラ属、キャンディダ属、ガラクトマイセス属、サッカロマイセス属、スポリジオボラス属、ロドスポリジウム属、ピチア属、またはロドドルラ属に属し、かつ上記のデンプン含有培地で培養された微生物であり得る。
これらの微生物は、どのような形態で使用してもよい。例えば、培地などに懸濁した菌液、乾燥菌体、固定化菌体、または固定化乾燥菌体の形態で使用され得る。これらはいずれも、当業者が通常行う手段によって調製され得る。例えば、乾燥菌体は、凍結乾燥、風乾、アセトン乾燥などによって調製され得る。乾燥菌体を調製する場合、安定性を向上させる目的で、20w/v%グリセロールとともに乾燥させてもよい。固定化菌体は、アクリルアミド、カラギーナン、アルギン酸カルシウムなどを用いて調製し得る。さらに、固定化菌体は、ポリエチレンイミンとグルタルアルデヒドとの組合せまたはヘキサメチレンジアミンとグルタルアルデヒドとの組合せを用いて架橋することによって、さらに安定化させることもできる。固定化乾燥菌体は、当業者が通常用いる手段を用いて、固定化菌体を乾燥させることによって調製され得る。固定化乾燥菌体は、反復使用することが可能である。例えば、少なくとも10回繰り返して使用しても、固定化乾燥菌体の活性の低下は認められない。
上記の微生物または該微生物由来の酵素によって、上記式(VIII)で表されるエポキシドのラセミ体の一方の鏡像体のみが加水分解を受ける。そのため、加水分解によって光学活性なジオールが生じ、そして加水分解されなかった(微生物または酵素の作用を受けなかった)もう一方の鏡像体であるエポキシドが残存する。
この工程は、具体的には、適切な緩衝液または培地に微生物または酵素を添加し、さらに上記式(VIII)で表されるエポキシドのラセミ体を添加して、攪拌または振盪することによって行われる。この工程における反応液中の基質(エポキシド)濃度と、菌体量または酵素量とは、適宜決定され得る。使用する微生物または酵素は、単独で用いてもよく、あるいは数種の微生物または異なる起源の酵素を混合して用いてもよい。また、通常、反応液の至適pHは約6.5〜8.0であり、そして反応温度は約30℃〜35℃である。反応時間は特に限定されず、通常は少なくとも5分であり、30分間〜96時間であってもよく、3時間〜72時間であってもよく、6時間〜48時間であってもよい。
次いで、上記の酵素反応液から目的の式(VIII)で表される光学活性なエポキシドが回収される。上記の酵素を作用させる工程においては、上記の微生物または該微生物由来の酵素によってエポキシドのラセミ体の一方の鏡像体のみが立体選択的に加水分解される。そのため、酵素反応液中には加水分解によって生じた光学活性なジオールと加水分解されなかった光学活性なエポキシドとが存在し得るので、ここでは、目的の光学活性なエポキシドを当業者が通常用いる適切な手段によって回収する。具体的には、酵素反応液に適切な有機溶媒を加えてエポキシドおよびジオールを有機層に抽出し、抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどに供することによって、これらを分離して回収することができる。なお後述のように、エポキシドとジオールとの分離は必ずしも必要ではなく、混合物のまま酸で処理することによって、酵素反応で生じたジオールと同じ立体配置を有する光学活性ジオールに変換することもできる。
その後、加水分解されなかった光学活性なエポキシドについて、所定濃度(例えば、約0.1M)に調製された無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸など)を用いて処理すれば、酵素の作用によって生じたジオールと同じ立体配置をもつジオールを生成する。同様の反応は、酵素反応で得られた光学活性なエポキシドと光学活性なジオールの混合物に対しても実施することができる。この場合、当該混合物が、酵素反応で生じたジオールと同じ立体配置を有する光学活性ジオールに変換される。これを当該酸処理反応液にアルカリ性溶液を添加して中和した後、適切な有機溶媒で抽出し、例えば、TEMPO(2,2,6,6,−テトラメチルピペラジニル−1−オキシ)の存在下、亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムで処理することによって光学活性な式(VI)の化合物を得ることができる。上記酵素反応で生じたジオールについても同様の方法を行うことによって光学活性な式(VI)の化合物を得ることができる。
あるいは、より光学純度の高い式(VI)の化合物を得るための方法としては、例えば、以下の反応スキーム(工程A〜E)に基づく第二の方法(いわゆる、二重光学分割方法)が挙げられる。
Figure 2008007492
当該第二の方法としては、まず工程Aとして、式(VIII)で表されるキラルなエポキシドのラセミ体(例えば(±)−2)を、上記第一の方法と同様にして、所定の微生物または該微生物由来の酵素と作用させ光学活性なジオール(例えば、(R)−3)が生成する。
次いで、上記工程Aで光学活性なジオールが生成した結果、当該工程Aで生成した光学活性なエポキシド(例えば、(R)−2)を希硫酸などの酸と作用させることにより、構造内に立体反転を生じさせ、光学活性なジオール(例えば、(R)−3)が生成する。
その後、上記工程AおよびBでそれぞれ生成した光学活性なジオールは、好ましくは合わせて一緒にされ、その後、ピリジンなどの有機溶媒中でトシル化されることにより、光学活性なトシル体(例えば、(R)−8)が生成される(工程C)。このトシル体を、さらにメタノールなどの溶媒中、塩基で処理することによって、一方の鏡像体に偏った基質であるエポキシド(例えば、(S)体を過剰に含む2)が生成する。
最終的に、工程Eとして、この一方の鏡像体に偏った基質を、上記第一の方法と同様にして、所定の微生物または該微生物由来の酵素と作用させることによって、光学活性なジオール(例えば、(R)−3)が生成される。
このような工程A〜Eを経て生成される光学活性なジオールでは、上記第一の方法により生成するジオールまたは上記工程Aのみを経て生成されるジオールと比較して、光学純度を著しく高めることができる。
次いで、光学純度が著しく高められたジオールは、上記第一の方法と同様にして、例えば、TEMPO(2,2,6,6,−テトラメチルピペラジニル−1−オキシ)の存在下、亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムで処理することによって、光学純度が著しく高められた、光学活性な式(VI)の化合物を得ることができる。
このように、上記第一の方法または第二の方法を用いて得られた式(VI)の化合物を用い、かつ上述の操作を行うことで、光学活性な式(II)の化合物を得ることができ、その結果上記操作を通じて本発明に用いられる式(I)の化合物を光学活性体として得ることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に記述する。しかし、これらによって本発明は制限されるものではない。
<参考例1:(R)−3−ベンジルオキシ‐2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)の合成>
Figure 2008007492
5mlのLB培地にバチルス・サプチリスJCM10629株を採取し、30℃で終夜前培養を行った。前培養液(1mL)を、デンプン培地に添加し、30℃にて160rpmで92時間培養した。培養後、菌体を遠心分離(3000rpm、20分間)によって濃縮し、半量の標準緩衝液(50mM、pH8、トリス緩衝液)に再懸濁し、2倍濃縮菌体を調製した。反応容器に2倍濃縮菌体13mL、終濃度約20%(v/v)になるようにグリセロール、および2−ベンジルオキシメチル−2−メチルオキシラン(2)(3.0g,16.8mmol,ラセミ体)を添加し、室温で7日間反応させた。食塩で飽和させた後、酢酸エチルを添加し充分攪拌し、桐山漏斗を用いてセライト濾過をおこなった。次いで、濾液を酢酸エチルによって抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、(R)−2−ベンジルオキシメチル−2−メチルオキシラン((R)−2)および(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)を含んだ粗生成物(3.30g)を得た。この粗生成物に水(544.0mL)を添加し、氷浴中で攪拌しながら濃硫酸(43.4ml)を添加し、氷浴中で10分間攪拌後、室温にて30分間攪拌した。反応液に、冷却した飽和炭酸ナトリウム水溶液(340mL)を添加後、酢酸エチルによって抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して粗生成物(3.25g)を得た。得られた組成生物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1,2:1,1:1(容量比)の順;ゲル体積240mL)で精製し、(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)を得た。さらに、得られた(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)を室温でジエチルエーテル(58mL)に溶かし、再結晶する(溶液を2−プロパノールとドライアイスにより−40℃付近まで徐々に冷却する)ことにより、光学的に純粋な(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)(1.98g,10.1mmol,100%ee)を収率68%で得た。
<参考例2:(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)の合成>
参考例1と同様の方法で調製した2倍濃縮菌体19.5mL、終濃度約20%(v/v)になるようにグリセロール、および2−ベンジルオキシメチル−2−メチルオキシラン(2)(4.5g,25.2mmol、ラセミ体)を反応容器に添加し、30℃で7日間反応させた。食塩で飽和させた後、酢酸エチルを添加し充分攪拌し、桐山漏斗を用いてセライト濾過をおこなった。次いで、濾液を酢酸エチルによって抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、(R)−2−ベンジルオキシメチル−2−メチルオキシラン((R)−2)および(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)を含んだ粗生成物(4.74g)を得た。この粗生成物に水(86.4mL)を添加し、氷浴中で攪拌しながら濃硫酸(6.7mL)を添加し、氷浴中で10分間攪拌後、室温にて30分間攪拌した。反応液に、冷却した飽和炭酸ナトリウム水溶液(54mL)を添加後、酢酸エチルによって抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、粗生成物(3.25g)を得た。得られた組成生物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1,2:1,1:1(容量比)の順;ゲル体積240mL)で精製し、(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)(4.10g,20.9mmol,82.3%ee)を収率83%で得た。
<参考例3:(S)−3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸((S)−10)の合成>
Figure 2008007492
参考例1で得られた(R)−3−ベンジルオキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール((R)−3)(0.510g,2.60mmol;光学活性体)をアセトニトリル(13mL)、リン酸緩衝溶液(pH6.7,0.67M,9.7mL)に溶解し、TEMPO(2,2,6,6,−テトラメチルピペラジニル−1−オキシ(28.4mg,0.182mmol)を添加して、室温にて撹拌した。この混合物を、35℃まで加熱し、亜塩素酸ナトリウム水溶液(80%NaClO588mgを2.6mLの水に溶解したもの,5.20mmolを含む)、および次亜塩素酸ナトリウム水溶液(39.2μL,10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1.4mLに希釈したもの、2.0mol%)を、互いに混合することなく、それぞれ全体量の1/5を別々に添加した後、残り(すなわち、それぞれ全体量の4/5づつ)を1時間かけて同時に滴下した。24時間撹拌した後、TEMPO(28.4mg,0.182mmol)、上記の、亜塩素酸ナトリウム水溶液(2.6mL)、および次亜塩素酸ナトリウム水溶液(1.4mL)を同様に添加し、35℃にて24時間撹拌した。次いで、再び同様の試薬を同量追加し、さらに35℃にて24時間撹拌した。温度を35℃から室温まで低下させ、25mLの水を添加し、2N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH8に調整した。氷冷した亜硫酸ナトリウム水溶液(2.1g,16.7mmolを40mLの水に溶解したもの)を氷浴下にて添加した後(水層を20℃以下、pH8.5〜9.0の範囲に保持した)、室温で30分間撹拌した。3mLのMTBE(メチルt−ブチルエーテル)を加え抽出し、有機層を分離した。この有機層に2N塩酸を加え、pHを2まで低下させ、さらにMTBEで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧濃縮し、標題の(S)−3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸((S)−10)(0.531g,2.52mmol;光学活性体)を収率97%で得た。
本参考例で得られた化合物の分析結果を表1に示す。
Figure 2008007492
<参考例4:(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ベンジルオキシ−2−アセトキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−11)の合成>
Figure 2008007492
参考例3で得られた(S)−3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸((S)−10)(32.6mg,0.155mmol;光学活性体)を0.160mLのTHFで希釈し、塩化チオニル(0.113mL,1.56mmol)を0℃で滴下した。この混合物を0℃で2時間撹拌し、0.180mLのTHFに溶解した4−シアノ−3−トリフルオロメチルアニリン(34.6mg,0.186mmol)を滴下した。さらに2時間後、4−ジメチルアミノピリジン(56.8mg,0.465mmol)を添加し、4日間撹拌した。
次いで、この混合物を、ダイヤフラムポンプで減圧し、系内の塩化チオニルとTHFを除去した後、0.8mLの無水酢酸と0.8mLのピリジンとを添加し、反応系内をそのままアセチル化した。24時間後、氷を添加し、反応を終了した。混合物を酢酸エチルによって抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、120.3mgの粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1,2:1,1:2(容量比)の順;シリカゲル体積25mL)により精製して、標題の(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ベンジルオキシ−2−アセトキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−11)(54.1mg,0.129mmol;光学活性体)を収率83%で得た。
本参考例で得られた化合物の分析結果を表2に示す。
Figure 2008007492
<実施例1:(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−アセトキシ−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−12)の合成>
Figure 2008007492
参考例4で得られた(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ベンジルオキシ−2−アセトキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−11)(37.5mg,0.0892mmol;光学活性体)を、脱水アセトニトリル(11mL)に溶解した。この溶液に、24.4mgの2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)を添加し、紫外線(352nm,15W,東芝製ブラックライトEFD15BLB)を照射しながら、室温で24時間撹拌した(この際、反応装置およびブラックライト(UVランプ)は、周囲をアルミ箔で覆い、反射効率を高めた)。次いでこの溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、その後溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、さらに硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、粗生成物(35.2mg)を得た。次いで、得られた粗生成物を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、標題の(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−アセトキシ−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−12)(20.1mg,0.0609mmol;光学活性体)を収率85%で得た。
本実施例で得られた化合物の分析結果を表3に示す。
Figure 2008007492
<実施例2:(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]2,3,−ジヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−13)の合成>
Figure 2008007492
溶媒としての0.2mLのメタノールに、実施例1で得られた(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−アセトキシ−3−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−12)(9.0mg,0.0273mmol;光学活性体)および炭酸カリウム(7mg,0.0506mmol)を添加し、3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した後、反応を終了し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、4.3mgの粗生成物を得た。この粗生成物をプレパラティブTLC(ヘキサン:酢酸エチル=1:2(容量比))により精製して、標題の(S)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]2,3,−ジヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド((S)−13)(6.7mg,0.0232mmol;光学活性体)を収率85%で得た。また、これと合わせて、原料である化合物((S)−12))(0.7mg、回収率8%)を回収した。
本実施例で得られた化合物の分析結果を表4に示す。
Figure 2008007492
<実施例3:(R)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4− フルオロフェニル)スルホニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(1)(ビカルタミド((R)−1))の合成>
Figure 2008007492
実施例2で得た(S)−13の1級アルコールを、特許文献3に記載の方法に基づいて、トシラートに変換する。
次いで、55%NaH(0.218g,4.99mmol/10mLのヘキサンで3回洗浄)を6.2mLのTHFに懸濁し、10分間撹拌する。この懸濁液に4−フルオロベンゼンチオール(0.49ml,4.59mmol)を、溶媒希釈することなくそのまま滴下し、室温で90分間撹拌する。ここに、再結晶で精製した化合物(4.16mmol)のTHF溶液(2mL)を添加して、24時間室温で撹拌する。溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和した後、酢酸エチルで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に減圧濃縮し、粗生成物を得る。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1(容量比);ゲル体積50mL)により精製する。
次いで、この精製した化合物に、30%過酸化水素水を添加し、所定量の酢酸を氷浴下にて滴下する。この混合物を60℃にまで昇温し、24時間撹拌する。次いで、1N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルによって抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後減圧濃縮し、粗生成物を得る。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1(容量比))により精製して、標題の(R)−N−[4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4− フルオロフェニル)スルホニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド((R)−1)を得る。
得られる化合物((R)−1)について、1H−NMRによりビカルタミド((R)−1)であることを確認する。
上記のように、本発明の方法を用いて、前立腺肥大治療薬(抗男性ホルモン剤)として有用な(R)−ビカルタミドを、特に光学分割等の手法を用いることなく、直接合成し得たことを確認する。
本発明を用いて得られたビカルタミドまたはそのアナログは、例えば、前立腺肥大治療薬(抗男性ホルモン剤)またはその他の医薬品中間体として有用である。

Claims (6)

  1. 以下の式(I):
    Figure 2008007492
    で表される化合物の製造方法であって、
    以下の式(II):
    Figure 2008007492
    で表される化合物を、溶媒中、紫外線照射下にて、酸化剤と反応させる工程;
    を包含し、
    ここで、
    は保護基であり、
    は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基であり;そして
    およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基;である、方法。
  2. 前記酸化剤が、以下の式(III):
    Figure 2008007492
    (ここで、R、R8’、R、およびR9’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、またはシアノ基である)で表される化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化剤が、前記式(II)で表される化合物1モルに対し、0.8当量から10当量の範囲で使用される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記式(II)で表される化合物が光学活性な化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記式(II)で表される化合物が、以下の式(II−I):
    Figure 2008007492
    で表される化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  6. 以下の式(IV):
    Figure 2008007492
    で表されるビカルタミドまたはそのアナログの製造方法であって、
    請求項1から5のいずれかに記載の方法により得られた、以下の式(I):
    Figure 2008007492
    で表される化合物を、脱アセチル化する工程;および
    該脱アセチル化して得られた生成物を、溶媒中、以下の式(V):
    Figure 2008007492
    で表される化合物と反応させる工程;
    を包含し、
    ここで、
    は、ハロゲン原子、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、−S−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−CO−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、−NH、−NHC(O)−R10(ここで、R10は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、
    Figure 2008007492
    (ここで、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい、直鎖状または分岐鎖状のC〜Cのアルキル基である)、または−NCSであり;
    は、硫黄原子、酸素原子、または−NH−であり;
    は、ハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cアルキル基であり;
    は、硫黄原子、酸素原子、−NH−、または−SO−であり;そして
    およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、シアノ基、またはニトロ基である、方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015505149A (ja) * 2012-01-13 2015-02-16 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 均一な照明外観を有するledベースの直視照明装置

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