JP2008007395A - 多結晶シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工程(A)、(B)及び(C)を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
(A)温度T1で下式(1)
原料である、SiHnCl4-n (1)
(式中、nは0〜3の整数。)
で示されるクロロシランを金属で還元して、シリコン化合物を得る工程、
(B)該シリコン化合物を温度T2(T1>T2の関係にある。)の部分に移送する工程、
(C)該温度T2の部分に多結晶シリコンを析出させる工程、ここで
温度T1が、金属の融点(絶対温度)の1.29倍以上であり、
温度T2が、金属の塩化物の昇華点又は沸点より高い。
【選択図】図7
Description
特許文献1は、式SiHnX4-n(式中、Xはハロゲンであり、nは0〜3の値である。)で表される気体のシリコン化合物とアルミニウムを反応させるシリコンの製造方法であって、純アルミニウムまたはAl−Si合金の細かく分散された溶融表面を気体のシリコン化合物と接触させる方法を開示している。
特許文献2は、高濃度のシリコン合金、シリコン銅合金に高温で四塩化ケイ素ガスを通じて発生するガスを必要な冷却によりシリコンを部分量だけ分解析出させることにより、不純物をその析出部分に吸収させ、続いてこのガスを冷却させることにより純シリコンを得る精製方法を開示している。
また、特許文献3は、アルミニウムを高温で蒸発させて四塩化ケイ素を還元する方法を開示している。
〔1〕工程(A)、(B)及び(C)を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法を提供する。
(A)温度T1で下式(1)
原料である、SiHnCl4-n (1)
(式中、nは0〜3の整数。)
で示されるクロロシランを金属で還元して、シリコン化合物を得る工程、
(B)該シリコン化合物を温度T2(T1>T2の関係にある。)の部分に移送する工程、
(C)該温度T2の部分に多結晶シリコンを析出させる工程、ここで
温度T1が、金属の融点(絶対温度)の1.29倍以上であり、
温度T2が、金属の塩化物の昇華点又は沸点より高い。
(D)工程(C)で得られた多結晶シリコンを精製する工程。
〔4〕原料が、クロロシラン濃度10体積%以上である〔3〕記載の方法、
〔5〕クロロシランが、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、ジクロロシランおよびモノクロロシランから選ばれる少なくとも1つである〔1〕または〔2〕記載の方法、
〔6〕金属が、カリウム、セシウム、ルビジウム、ストロンチウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛およびマンガンから選ばれる少なくとも1つである〔1〕または〔2〕記載の方法、
〔7〕金属が、アルミニウムである〔6〕記載の方法、
〔8〕アルミニウムが下式で示される純度99.9重量%以上である〔7〕記載の方法、
純度(重量%)=100-(Fe+Cu+Ga+Ti+Ni+Na+Mg+Zn)
〔式中、Fe、Cu、Ga、Ti、Ni、Na、Mg、Znは、それぞれ、鉄、銅、ガリウム、チタン、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛の含有量(重量%)を表す。〕
〔9〕温度T2の部分におけるガス流速が、0.62m/分以上1000m/分未満である〔1〕または〔2〕記載の方法、
〔10〕〔1〕または〔2〕記載の方法により得られた多結晶シリコンを有する太陽電池を提供する。
また本発明は、(1)〜(7)を有する装置を提供する。
(1)クロロシランを金属で還元する反応容器、
(2)容器内のガスを加熱するための加熱器
(3)容器に原料としてクロロシランを導入する供給器、
(4)多結晶シリコンを析出させる析出容器、
(5)容器内で発生するガスを析出部へ導入する移送器、
(6)析出部へ移送されるガスの流速を調整しガスを冷却する冷却器、及び
(7)容器内のガスの温度T1を金属の融点(絶対温度)の1.29倍以上とし、移送中のガスを保温し、かつ析出部のガスの温度T2を金属の塩化物の昇華点又は沸点より高くするための温度調節器。
本発明の多結晶シリコンの製造方法は、前記工程(A)を有する。
工程(A)に用いる原料は、前記式(1)で示されるクロロシランであり、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシランである。これらは単独、または組合わせて用いればよい。これらのうち、水素を含有するもの(トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン)は、還元反応によって塩化水素を発生するために反応炉材や配管の腐食を誘発させることがある。腐食を防止する観点では、クロロシランは四塩化ケイ素であることが好ましい。クロロシランの純度は、還元して得られるシリコン中に不純物が蓄積する確率が高いため、B、Pが1ppm未満であり、99.99%以上であることが好ましい。原料は、前記のクロロシラン単独であってもよく、またクロロシランと不活性ガスの混合物であってもよい。不活性ガスは、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、好ましくはアルゴンである。原料がクロロシランと不活性ガスの混合ガスである場合、混合ガス中のクロロシラン濃度は、反応効率が高く、短時間でシリコンの収率を高める観点から、10体積%以上が好ましい。
式中、Fe、Cu、Ga、Ti、Ni、Na、Mg、Znは、それぞれ、鉄、銅、ガリウム、チタン、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛の含有量(重量%)を表す。また、アルミニウムはホウ素含有量が5ppm以下、リン含有量が0.5ppm以下であることが好ましい。
T1は金属の融点の1.29倍以上であり、好ましくは1.33倍以上、さらに好ましくは1.41倍以上であり、好ましくは2.33倍未満、さらに好ましくは2.11倍未満、特に好ましくは1.90倍未満である。T1が融点の1.29倍未満の場合、反応に時間を要する。2.33倍以上の場合、高温に耐える装置がなく、連続して還元反応を行うことが困難である。金属がアルミニウムの場合、T1は1204K以上2173K未満が好ましく、さらに好ましくは1241K以上1973K未満、特に好ましくは1316K以上1773K未満である。本明細書では温度T1は容器中の金属の絶対温度を表す。
還元は、装置構成が簡単であり低コストでシリコンを得ることができることから、溶融した金属中に気化したクロロシランを吹き込む方法で行うことが好ましい。
還元を高温で行うほど、シリコンのサブハライド化が優先的に起きるので、高純度シリコンを得る観点から、還元を高温で行うことが好ましい。得られたサブハライドは、後述する析出部のような低温部で、シリコンとSiCl4になる。得られたSiCl4は原料として再利用可能である。
本発明の多結晶シリコンの製造方法は、前記工程(B)を有する。
工程(B)では、工程(A)で得られる反応ガスを移送する。
移送は、工程(A)の還元を行う容器と、後述の工程(C)の析出部に圧力差を発生させることにより行えばよく、例えば、容器に原料であるクロロシランを連続的に供給して、反応ガスを容器から析出部へ送ってもよい。
また、移送は、容器と析出部の間にガス移相を行うための装置を設置して行ってもよい。
さらに、本発明の多結晶シリコンの製造方法は、前記工程(C)を有する。
工程(C)では、移送される反応ガスからシリコンを析出させる。
析出は、次の温度T2、ガス流速の条件で行えばよい。
T2は、T1より低く、また金属の塩化物の昇華点又は沸点より高いことが好ましく、さらに好ましくは絶対温度で表した金属塩化物の昇華点又は沸点の1.5倍以上、特に好ましくは2倍以上である。T2が金属の塩化物の昇華点又は沸点より高ければ、塩化物とシリコンが同時に析出することが少ないので、これらを分離する工程が必ずしも必要ではなくなる。例えば、金属がアルミニウムの場合、T2はT1より低く、また453Kより高いことが好ましく、さらに好ましくは680K以上、特に好ましくは906K以上である。
本発明の多結晶シリコンの製造方法は、さらに、工程(D)を有していてもよい。
(D)前記工程(C)で得られた多結晶シリコンを精製する工程。
精製は、例えば、酸やアルカリによる処理、方向凝固等の偏析、高真空化での溶解、好ましくは、方向凝固により行えばよい。これらは単独また組み合わせて行っても良い。このような精製により、多結晶シリコンに含まれる不純物元素はさらに低減される。
多結晶シリコンからキャスト法または電磁鋳造法によってインゴットが得られる。インゴットは、通常、内周刃切断等によりスライシングされ、遊離砥粒を用いて両面がラッピングされる。得られた円板は、ダメージ層を除去するためにエッチング液(例えば、弗酸)に浸漬され、多結晶基板が得られる。また、多結晶基板は、表面の光反射損出を低減するため、ダイシングマシンを用いて機械的にV溝を形成したり、反応性イオンエッチングや、酸を用いた等方性エチングによりテクスチャー構造を形成してもよい。基板の導電型は一般的にp型であるので、例えば、ホウ素の添加や、アルミニウムを残存させることによってp型ドーパントを導入すればよい。受光面にn型ドーパント(例えば、リン、砒素)の拡散層を形成することにより、p−n接合部を得る。基板の表面に酸化膜層(例えば、TiO2)を形成し、各面に電極を形成すればよい。さらに、反射による光エネルギーの損失を減らすための反射防止膜(例えば、MgF2)を形成して太陽電池セルを作製すればよい。
本発明の装置は、反応容器1、加熱器2、供給器3、析出容器4、移送器5、冷却器6、及び温度調節器7を有する。
反応容器1は、前記式(1)で示されるクロロシランを、カリウム、セシウム、ルビジウム、ストロンチウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、マンガンのような金属で還元する反応を行えるものであればよい。反応容器1は、温度T1において金属と実質的に反応しない材質からなり、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、マグネシア、酸化スズのような酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウムのような窒化物;炭化ケイ素のような炭化物からなる。これらは、構成元素の一部が他元素で部分置換されていてもよく、例えば、シリコンとアルミニウムと酸素と窒素からなるサイアロンや黒鉛で表面を300μm以下の厚さの炭化ケイ素や窒化珪素でコートした材料であってもよい。
供給器3は、反応容器1に原料としてクロロシランを導入するものであればよく、例えば、配管である。供給器3は反応容器1の側面に設けられていてもよく、反応容器1内の原料である金属上にクロロシランを供給するものであってもよい。供給器3は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、マグネシア、酸化スズのような酸化物; 窒化珪素、窒化アルミニウムのような窒化物; 炭化ケイ素のような炭化物からなる。これらは、構成元素の一部が他元素で部分置換されていてもよく、例えば、シリコンとアルミニウムと酸素と窒素からなるサイアロンや黒鉛で表面を300μm以下の厚さの炭化ケイ素や窒化珪素でコートした材料であってもよい。
この装置によれば、例えば、前述の多結晶シリコンの製造方法の工程(A)、(B)及び(C)を簡便に行うことができる。
図1に示す装置では、反応容器1と析出容器4は移送器5を介して接続されている。反応容器1には供給器3が接続され、容器1、4と移送器5の外部に加熱器2が設けられている。析出容器4の内部に冷却器6が設けられている。加熱器2は、各部ごとに温度調節器により制御される。図1では、反応容器1から析出容器4へ反応ガスを移送する移送器5のうち、反応容器1の内空間と析出容器4の内空間の圧力差を発生させる装置(例えば、ブロワー)は省略されている。
実施例1
図7に示す装置を用いて行った。
アルミニウム(純度:99.999重量%、Fe 0.73ppm、Cu 1.9ppm、Ga 0.57ppm、Ti 0.03ppm、Ni 0.02ppm、Na 0.02ppm、Mg 0.45ppm、Zn 0.05ppm未満、B 0.05ppm、P 0.27ppm)10gを入れたアルミナ保護管14(ニッカトー製SSA−S、No.8 内径13mm)をアルミナ容器13中に保持し、縦型環状炉11中に保持した。1573K(アルミニウムの融点の1.68倍)で、四塩化ケイ素ガス(純度:99.9999重量%(6N)、Fe 5.2ppb、Al 0.8ppb、Cu 0.9ppb、Mg 0.8ppb、Na 2.4ppb、Ca 5.5ppb、P 1ppm未満、B 1ppm未満、トリケミカル研究所製)を溶融アルミニウム中に、4時間導入して反応させた。ガスバブリングを行うため、ガス導入管12(ニッカトー製、SSA−S、外径6mm、内径4mm)の先端とアルミナ保護管14底部の距離は10mmとした。
アルミナ保護管14の内壁に析出したシリコンの重量は3.5gであった。
アルミニウム11gを入れたアルミナ保護管14をアルミナ容器13中に保持し、縦型環状炉1中に保持して、1573Kで四塩化ケイ素ガスを溶融アルミニウム中に126分間導入して大気圧下で反応させた。
1473K(アルミニウムの融点の1.58倍)で四塩化ケイ素ガスを溶融アルミニウム中に126分間導入して反応させた。析出部でのガス流速は3.36m/min.であった。それ以外は実施例2と同じ操作を行った。アルミナ保護管壁に析出したシリコンの重量は1.2gであった。
アルミナ保護管14(ニッカトー製、SSA−S、No.9、内径16mm)の閉じた方から100mmにカットした部材14Aと同径のチューブで長さ30mmにカットした部材14Bを7個、アルミナ容器13A(ニッカトー製、SSA−S、チューブ、内径22mm)中に入れて、製造装置を作製した。還元試験後、析出部の温度を予め測定しておき、チューブの重量変化からシリコンの析出量を調査した。部材14Aに11gのアルミニウムを投入して、1573K(アルミニウムの融点の1.68倍)で四塩化ケイ素ガスを溶融アルミニウム中に、33分間導入して大気圧下で反応させた。ガスバブリングを行うため、ガス導入管12の先端とアルミナ保護管14A底部の距離は5mmとした。
四塩化ケイ素ガス容器中に、キャリアガスとして179SCCMのアルゴンガスを33分間流して、キャリアガスと共に反応炉へ導入した。1分間当りの四塩化ケイ素の供給量は1.55gであった。析出部でのガス流速は12.78m/min.であった。それ以外は実施例4と同じ操作を行った。
アルミナ保護管壁およびガス導入管に析出したシリコンの重量は2.2gであった。
縦型環状炉11中の温度を1173K(アルミニウムの融点の1.26倍)に保持し、1173Kで四塩化ケイ素ガスを溶融アルミニウム中に導入した以外は実施例1と同じ操作を行った。
アルミナ保護管14の内壁にシリコンは析出しなかった。
実施例で得られたシリコンを一方向凝固することによりシリコン中に含まれる不純物元素をさらに低減することができる。このシリコンは太陽電池用の原料として好適と考えられる。
2 加熱器
3 供給器
4 析出容器
Claims (11)
- 工程(A)、(B)及び(C)を有することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
(A)温度T1で下式(1)
原料である、SiHnCl4-n (1)
(式中、nは0〜3の整数。)
で示されるクロロシランを金属で還元して、シリコン化合物を得る工程、
(B)該シリコン化合物を温度T2(T1>T2の関係にある。)の部分に移送する工程、
(C)該温度T2の部分に多結晶シリコンを析出させる工程、ここで、温度T1が、金属の融点(絶対温度)の1.29倍以上であり、温度T2が、金属の塩化物の昇華点又は沸点より高い。 - さらに、工程(D)を有する請求項1記載の多結晶シリコンの製造方法。
(D)工程(C)で得られた多結晶シリコンを精製する工程。 - 原料が、クロロシラン単独、またはクロロシランと不活性ガスとの混合ガスである請求項1または2記載の方法
- 原料が、クロロシラン濃度10体積%以上である請求項3記載の多結晶シリコンの製造方法。
- クロロシランが、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、ジクロロシランおよびモノクロロシランから選ばれる少なくとも1つである請求項1または2記載の方法。
- 金属が、カリウム、セシウム、ルビジウム、ストロンチウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛およびマンガンから選ばれる少なくとも1つである請求項1または2記載の方法。
- 金属が、アルミニウムである請求項6記載の方法。
- アルミニウムが下式で示される純度99.9重量%以上である請求項7記載の方法。
純度(重量%)=100-(Fe+Cu+Ga+Ti+Ni+Na+Mg+Zn)
〔式中、Fe、Cu、Ga、Ti、Ni、Na、Mg、Znは、それぞれ、鉄、銅、ガリウム、チタン、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛の含有量(重量%)を表す。〕 - 温度T2の部分におけるガス流速が、0.62m/分以上1000m/分未満である請求項1または2記載の方法。
- 請求項1または2記載の方法により得られた多結晶シリコンを有する太陽電池。
- (1)〜(7)を有する装置。
(1)クロロシランを金属で還元する反応容器、
(2)容器内のガスを加熱するための加熱器
(3)容器に原料としてクロロシランを導入する供給器、
(4)多結晶シリコンを析出させる析出容器、
(5)容器内で発生するガスを析出部へ導入する移送器、
(6)析出部へ移送されるガスの流速を調整しガスを冷却する冷却器、及び
(7)容器内のガスの温度T1を金属の融点(絶対温度)の1.29倍以上とし、移送中のガスを保温し、かつ析出部のガスの温度T2を金属の塩化物の昇華点又は沸点より高くするための温度調節器。
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