JP2008007004A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気ガスの浄化性能を確保しながら車両の加速性能を向上させる。
【解決手段】ハイブリッド車両にはエンジンとモータジェネレータとが設けられ、エンジンの排気系には酸化雰囲気中でNOxを吸蔵するNOx吸蔵触媒が設けられる。アイドリングストップ制御に伴うエンジン停止時には、燃料噴射が停止されることからNOx吸蔵触媒の吸蔵能力が低下した状態となる。そこで、アクセルが踏み込まれるエンジン再始動時には、吸入空気量を制限して(ステップS6)空燃比をリッチ側に制御することにより、NOx吸蔵触媒の吸蔵能力を回復させて排気ガスの浄化性能を確保するようにしている。また、吸蔵能力の回復を図るために吸入空気量を制限したときには、モータジェネレータをアシスト駆動することにより(ステップS7)、エンジン始動直後にアクセルが踏み込まれたとしても、運転手に違和感を与えることなく車両を加速させることが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンとこれに連結される電動モータとを備えるハイブリッド車両の制御装置に関する。
動力源としてエンジンおよび電動モータを搭載するようにしたハイブリッド車両が開発されている。このようなハイブリッド車両は、燃料消費量を削減するため、車両停止時にはエンジンを自動的に停止させるアイドリングストップ機能を備えることが多い。しかしながら、これまでの車両にあっては、排気ガスを浄化する触媒の活性状態を考慮せずにアイドリングストップ機能を実行してしまうことも多く、再始動時における排気ガスの浄化が十分になされていないという問題がある。そこで、再始動時における排気ガスの浄化性能を向上させるため、エンジンを停止させる直前に空燃比をリッチ状態に制御し、エンジンを再始動させた直後には空燃比をリーン状態に制御するようにした排気浄化装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この排気浄化装置によれば、三元触媒の酸素ストレージ量を素早く中立状態に復帰させることができるため、触媒雰囲気を良好に保って三元触媒の活性状態を保つことが可能となる。
特開2003−148201号公報
ところで、燃料消費量を抑制するためのエンジンとして、希薄空燃比領域での燃焼を可能としたリーンバーンエンジンが開発されている。このリーンバーンエンジンは希薄空燃比領域で運転されることから、希薄空燃比領域において窒素酸化物(NOx)を吸蔵するNOx吸蔵触媒を採用することが多い。このNOx吸蔵触媒を用いることにより、空燃比をリーン状態に制御したときにはNOxを硝酸塩として吸蔵することができる一方、空燃比をリッチ状態に制御したときには硝酸塩を還元することができるため、NOxを十分に処理しながら幅広い運転領域でリーンバーンを達成することが可能となる。
このようなNOx吸蔵触媒を搭載した車両においても、再始動時における排気ガスの浄化性能を十分に考慮する必要があるが、エンジン停止前には燃料カットに伴って空燃比がリーン状態となるため、エンジン停止時にはNOx吸蔵触媒に対して多くのNOxが吸蔵された状態となる。つまり、エンジン再始動時に新たなNOxを吸蔵させることが困難であるため、再始動時にはスロットルバルブを閉じ側に制御して空燃比をリッチ状態に切り換えることにより、NOx吸蔵触媒に吸蔵された硝酸塩を還元して吸蔵能力を回復させることが重要となっている。しかしながら、スロットルバルブを閉じて吸入空気量を削減することは、エンジントルクの低下を招くことになるため、エンジン始動直後にアクセルペダルが踏み込まれた場合には、アクセル開度に応じた駆動トルクを供給することが困難となり、運転手に対して違和感を与えてしまうおそれがある。
本発明の目的は、排気ガスの浄化性能を確保しながら、車両の加速性能を向上させることにある。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、エンジンとこれに連結される電動モータとを備えるハイブリッド車両の制御装置であって、前記エンジンの排気系に設けられ、空燃比がリーン状態のときに排気ガスの有害成分を吸蔵する吸蔵触媒と、前記エンジンの吸入空気量を制限して空燃比をリッチ状態に制御し、前記吸蔵触媒の吸蔵能力を回復させる吸気量制御手段と、前記エンジンの吸入空気量を制限する際に、前記電動モータをアシスト駆動するモータ制御手段とを有することを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、運転手の加速要求を判定する加速要求判定手段を有し、前記モータ制御手段は加速要求に基づき前記電動モータをアシスト駆動することを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記吸蔵触媒の温度が所定値を下回るときに、前記エンジンの点火時期を遅角させる点火制御手段を有することを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記吸蔵触媒の下流側に設けられ、排気ガスの成分から空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記空燃比検出手段によって検出された空燃比が所定のリッチ状態であるときに、前記吸気量制御手段および前記モータ制御手段を通常制御に復帰させる復帰制御手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、エンジンの吸入空気量を制限して吸蔵触媒の吸蔵能力を回復させる際に電動モータをアシスト駆動するようにしたので、吸蔵触媒の吸蔵能力を回復させながら、エンジントルクの低下をモータトルクによって補うことが可能となる。これにより、排気ガスの浄化性能を確保しながら、車両の加速性能を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はハイブリッド車両に搭載されるパワーユニット10を示すスケルトン図である。図1に示すように、パワーユニット10には、駆動源としてエンジン11とモータジェネレータ(電動モータ)12とが設けられており、モータジェネレータ12の後方側にはトランスミッション13が設けられている。エンジン11やモータジェネレータ12から出力される動力は、ミッションケース14内に組み込まれる変速機構15を介して変速された後に、複数のデファレンシャル機構16,17を経て各駆動輪に分配される。
図示するパワーユニット10はパラレル方式のパワーユニットであり、走行用の主要な駆動源としてエンジン11が駆動される一方、発進時や加速時には補助的な駆動源としてモータジェネレータ12が駆動される。また、減速時や定常走行時にはモータジェネレータ12を発電駆動させることにより、減速エネルギや余剰動力を電気エネルギに変換して回収することが可能となる。さらに、モータジェネレータ12をスタータモータとして作動させることにより、モータジェネレータ12によってエンジン11を始動回転させることが可能となる。
エンジン11の後方側に設けられるモータジェネレータ12は、モータケース20に固定されるステータ21と、エンジン11のクランク軸22に連結されるロータ23とを備えており、ロータ23はドライブプレート24を介してトルクコンバータ25に連結されている。トルクコンバータ25は、コンバータケース26に固定されるポンプインペラ27と、このポンプインペラ27に対向するタービンランナ28とを備えており、トルクコンバータ25内の作動油を介してポンプインペラ27からタービンランナ28に動力が伝達される。
また、トルクコンバータ25には、遊星歯車列、クラッチ、ブレーキ等を備える変速機構15が変速入力軸30を介して接続されている。この変速機構15内のクラッチやブレーキを選択的に締結することにより、変速機構15内の動力伝達経路を切り換えて変速することが可能となる。さらに、変速出力軸31と後輪出力軸32との間には、前後輪に駆動トルクを分配する複合遊星歯車式のセンタデファレンシャル機構16が装着されており、このセンタデファレンシャル機構16を介して前輪出力軸33と後輪出力軸32とに動力が分配される。
このようなハイブリッド車両には、モータジェネレータ12に電力を供給する高電圧バッテリ(たとえばリチウムイオンバッテリ)40が搭載されている。この高電圧バッテリ40にはバッテリ制御ユニット41が接続されており、バッテリ制御ユニット41によって高電圧バッテリ40の充放電量が制御されるとともに、電圧、電流、セル温度などに基づいて残存容量SOCが算出される。また、ハイブリッド車両にはエンジン11の運転状態を制御するエンジン制御ユニット42が設けられており、このエンジン制御ユニット42から、後述するスロットルバルブ54、インジェクタ55、イグナイタ68等に対して制御信号が出力されている。さらに、ハイブリッド車両にはハイブリッド制御ユニット43が設けられており、このハイブリッド制御ユニット43からモータジェネレータ12に対して駆動信号が出力されている。これらの制御ユニット41〜43は、制御信号等を演算するCPUを備えるとともに、制御プログラム、演算式、マップデータ等を格納するROMや、一時的にデータを格納するRAMを備えている。なお、制御ユニット41〜43は通信ネットワークを介して相互に接続されており、制御ユニット41〜43間において各種情報が共有されるようになっている。
また、ハイブリッド制御ユニット43には、セレクトレバーの操作レンジを検出するインヒビタスイッチ44、アクセルペダルの踏み込み状況を検出するアクセルペダルセンサ45、ブレーキペダルの踏み込み状況を検出するブレーキペダルセンサ46、車速を検出する図示しない車速センサ等が接続されている。さらに、ハイブリッド制御ユニット43にはインバータ47が接続されており、インバータ47を介して交流電流の電流値や周波数を制御することにより、交流同期型モータであるモータジェネレータ12のモータトルクやモータ回転数を制御することが可能となる。そして、ハイブリッド制御ユニット43は、制御ユニット41,42や各種センサ44〜46から入力される各種情報に基づき車両状態を判定するとともに、インバータ47、エンジン制御ユニット42、バッテリ制御ユニット41に対して制御信号を出力し、モータジェネレータ12、エンジン11、高電圧バッテリ40等を互いに協調させながら制御することになる。
続いて、エンジン11の吸気系50および排気系51について説明する。図2はエンジン11の吸気系50および排気系51を示す概略図であり、図1に示す部材と同一の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。図2に示すように、エンジン11の吸気ポート52には吸気管53が接続されており、この吸気管53には吸入空気量を制御するスロットルバルブ54が設けられるとともに、吸入空気に対して燃料を噴射するインジェクタ55が設けられている。また、エンジン11の排気ポート56には排気管57が接続されており、この排気管57には排気ガスを浄化するNOx吸蔵触媒(吸蔵触媒)58が設けられている。このNOx吸蔵触媒58は、白金やロジウム等の触媒成分に対するナトリウム、カリウム、バリウム等の含有量を増加させたものであり、空燃比をリーン状態(酸素過剰状態)に制御した酸化雰囲気中では、有害成分である窒素酸化物(NOx)を硝酸塩として吸蔵する一方、空燃比をリッチ状態(酸素低下状態)に制御した還元雰囲気中では、吸蔵した硝酸塩を一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)で還元することが可能となる。また、三元触媒と同様に、空燃比を理論空燃比前後の所定領域に保つことにより、CO、HC、NOxを浄化することも可能となっている。このNOx吸蔵触媒58を排気系51に設けることにより、希薄空燃比領域でエンジン11を運転したとしても、NOxを放出することなく吸蔵することができるため、幅広い運転領域で排気ガスを浄化することが可能となっている。
このようなNOx吸蔵触媒58の活性状態を制御するため、NOx吸蔵触媒58の上流側にはフロント空燃比センサ60が設けられ、NOx吸蔵触媒58の下流側には空燃比検出手段としてのリヤ空燃比センサ61が設けられており、NOx吸蔵触媒58には触媒温度を検出する触媒温度センサ62が設けられている。また、エンジン11の吸気系50には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ63、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ64、スロットルバルブ54の開度を検出するスロットル開度センサ65が設けられている。さらに、エンジン11には、エンジン11のクランク角からエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ66や、エンジン11の冷却水温を検出する水温センサ67が設けられている。
エンジン制御ユニット42は、前述した各種センサ60〜67からの出力信号に基づいて、NOx吸蔵触媒58の触媒雰囲気やエンジン11の運転状態を判定する。そして、エンジン制御ユニット42は、NOx吸蔵触媒58の触媒雰囲気を制御して排気ガスを効果的に浄化するため、スロットルバルブ54やインジェクタ55に制御信号を出力して空燃比を制御することになる。すなわち、NOx吸蔵触媒58は、空燃比がリーン状態に制御されたときにはNOxを硝酸塩として吸蔵し、空燃比がリッチ状態に制御されたときには吸蔵した硝酸塩を還元するが、NOx吸蔵触媒58におけるNOxの吸蔵量には限度があるため、リーン状態でエンジン11を運転した後には空燃比をリッチ状態に切り換えてNOxの吸蔵能力を回復させる必要がある。また、リーン状態でエンジン11を運転する必要の無い場合には、高い浄化率でCO、HC、NOxを浄化するため、空燃比を理論空燃比近傍に制御することが必要となっている。このように、NOx吸蔵触媒58を有効に機能させるためには、走行状況に応じて空燃比を制御することにより、触媒雰囲気を制御することが重要となっている。
なお、フロント空燃比センサ60やリヤ空燃比センサ61は、排気ガス中の酸素濃度に応じて生じる起電力から空燃比を検出しているが、これらの空燃比センサ60,61としては、空燃比の値に応じて起電力が緩やかに変化するA/Fセンサであっても良く、空燃比がリッチ状態であるかリーン状態であるかによって起電力が大きく変化するOセンサであっても良い。また、NOx吸蔵触媒58の前後に設けられる空燃比センサ60,61からの出力信号を比較判定することにより、触媒機能の劣化状態を判定することが可能となっている。
続いて、アイドリングストップ制御に伴って実行される始動時空燃比制御について説明する。ハイブリッド制御ユニット43は、アクセル開度、エンジン回転数、車速などの各種情報に基づいて、車両状態がアイドリングストップ条件を満たすか否かを判定する。そして、車両状態がアイドリングストップ条件を満たしている場合には、インジェクタ55からの燃料噴射を停止させて自動的にエンジン11を停止させることになる。また、エンジン停止中にアクセルペダルが所定量を超えて踏み込まれた場合には、インジェクタ55からの燃料噴射を再開させてエンジン11を再始動するようにしている。ここで、エンジン停止前には燃料噴射が停止されて空燃比がリーン状態となることから、エンジン停止時にはNOx吸蔵触媒58に対して多くのNOxが吸蔵された状態となる。つまり、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力が低下した状態となっているため、エンジン再始動時にはNOx吸蔵触媒58の吸蔵能力を考慮しながら制御することが重要となる。そこで、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、以下の手順に沿ってアイドリングストップ制御における始動時空燃比制御を実行するようにしている。
ここで、図3は始動時空燃比制御の実行手順を示すフローチャートである。図3に示すように、まずステップS1では、アイドリングストップ条件が成立しているか否かが判定される。ステップS1において、アクセルペダルが踏み込まれていない状態のもとで、エンジン回転数が所定回転数(たとえば、1500rpm)を下回り、かつ車速が所定速度(たとえば、5km/h)を下回る場合にはアイドリングストップ条件が成立したと判定され、ステップS2に進み、エンジン11を停止するアイドリングストップ制御が実行される。一方、ステップS1において、アクセルペダルが踏み込まれている場合、エンジン回転数が所定回転数を上回る場合、若しくは車速が所定車速を上回る場合には、アイドリングストップ条件が成立していないと判定され、アイドリングストップ制御が実行されることなくルーチンを抜けることになる。
ステップS2において、燃料噴射が停止されてエンジン11が停止されると、ステップS3に進み、タイマTのリセット処理が実行される。続いて、ステップS4に進み、運転手からのエンジン再始動要求があるか否かが判定される。ステップS4において、アクセルペダルが所定量を超えて踏み込まれた場合には、加速要求判定手段として機能するハイブリッド制御ユニット43により、運転手からのエンジン再始動要求があると判定され、モータジェネレータ12によってエンジン11の始動回転が開始される。次いで、ステップS5では、エンジン制御ユニット42からの制御信号に基づきインジェクタ55の燃料噴射が開始され、続くステップS6では、吸気量制御手段であるエンジン制御ユニット42からの制御信号に基づき、吸入空気量を減少させるようにスロットルバルブ54が閉じ側に制御されるようになっている。
このように燃料噴射量を増加させて吸入空気量を減少させることにより、空燃比をリッチ状態に向けて制御することができるため、触媒雰囲気を還元雰囲気に制御することが可能となる。これにより、NOx吸蔵触媒58に吸蔵されていた硝酸塩を還元することができ、再びエンジン11を希薄空燃比領域で運転する場合に備えて、NOxの吸蔵能力を回復させることが可能となる。なお、ステップS6において、スロットルバルブ54を閉じることにより、吸気管53内の負圧を高めて燃料の気化を促すことができるため、確実に空燃比をリッチ状態に制御することが可能となっている。
ところで、ステップS6において、スロットルバルブ54を閉じ側に制御して吸入空気量を制限すると、エンジントルクの低下に伴って運転手に違和感を与えるおそれがある。そこで、運転手に違和感を与えることがないように、続くステップS7では、モータ制御手段として機能するハイブリッド制御ユニット43からの制御信号に基づき、モータジェネレータ12をアシスト駆動させることにより、不足するエンジントルクをモータトルクによって補うようにしている。続いて、ステップS8に進み、タイマTのカウント処理が実行され、続くステップS9では、タイマTが所定時間T1(たとえば、1500ms)を上回るか否かが判定される。ステップS9において、タイマTが所定時間T1を上回る場合には、空燃比が所定のリッチ状態に制御されたと判断し、エンジン11およびモータジェネレータ12を通常制御に切り換えてルーチンを抜ける一方、タイマTが所定時間T1を下回る場合には、再びステップS5から、空燃比をリッチ状態に向けて制御することになる。
これまで説明したように、エンジン11を再始動する際には、吸入空気量を制限して空燃比をリッチ状態に制御することにより、NOx吸蔵触媒58におけるNOxの吸蔵能力を回復させるようにしたので、エンジン始動時における排気ガスの浄化性能を向上させることが可能となる。さらに、吸入空気量の制限に伴って低下するエンジントルクを補うように、モータジェネレータ12をアシスト駆動するようにしたので、エンジン始動直後にアクセルペダルが踏み込まれた場合であっても、発進時のトルク不足を解消することができるため、運転手に違和感を与えることなく車両を走行させることが可能となる。
また、図3のフローチャートにあっては、エンジン再始動時に空燃比のみを制御するようにしているが、NOx吸蔵触媒58の活性状態を適切に制御するため、点火制御手段であるエンジン制御ユニット42からの制御信号に基づいて、エンジン11の点火時期を調整しても良い。ここで、図4は始動時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートであり、図5はエンジン11およびモータジェネレータ12の運転状態を示すタイムチャートである。なお、図4のフローチャートにおいて、図3に示すステップと同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、ステップS5およびS6において空燃比がリッチ状態に向けて制御され、ステップS7においてモータジェネレータ12がアシスト駆動されると、続くステップS20に進み、NOx吸蔵触媒58の触媒温度が所定の設定温度(たとえば、240℃)を上回るか否かが判定される。ステップS20において、触媒温度が設定温度を下回る場合には、NOx吸蔵触媒58の活性状態が低下しているため、ステップS21に進み、エンジン制御ユニット42からイグナイタ68に制御信号が出力され、エンジン11の点火時期が遅角される。このように、エンジン11の点火時期を遅角させることにより、混合気の燃焼タイミングを遅らせることができるため、高い温度で排気ガスをNOx吸蔵触媒58に到達させることが可能となる。これにより、触媒温度を早期に上昇させることができ、NOx吸蔵触媒58を早期に活性化させることが可能となる。一方、ステップS20において、触媒温度が設定温度を下回る場合には、既にNOx吸蔵触媒58が活性化している状態であるため、点火時期はエンジン11の運転状態に従って制御されることになる。
続いて、図5のタイムチャートに沿って始動時空燃比制御を説明する。図5に示すように、アイドリングストップ制御によってエンジン11が停止された状態のもとで、運転手によってアクセルペダルが踏み込まれると、エンジン再始動要求があると判定され、インジェクタ55からの燃料噴射が開始されるとともに、スロットルバルブ54が閉じ側に制御される。また、吸入空気量の減少に伴うエンジントルクの低下を補うためにモータジェネレータ12がアシスト駆動され、運転手に違和感を与えることなく車両を発進させることが可能となる。さらに、触媒温度が低下していると判断された場合には、点火時期を遅らせて触媒温度を上昇させることにより、NOx吸蔵触媒58を早期に活性化させるようにしている。なお、空燃比がリッチ状態に制御された後には、エンジン11およびモータジェネレータ12は車両状態に応じて通常制御され、設定温度まで触媒温度が上昇した後には、エンジン11の運転状態に合わせて点火時期が通常制御されることになる。
また、前述したように、図3および図4に示すフローチャートにあっては、所定時間T1が経過するまで空燃比をリッチ状態に向けて制御するようにしているが、これに限られることはなく、リヤ空燃比センサ61からの出力信号に応じて空燃比制御を終了させるか否かを判定するようにしても良い。ここで、図6および図7は始動時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。図6は図3のフローチャートに空燃比判定ステップを組み込んだフローチャートであり、図7は図4のフローチャートに空燃比判定ステップを組み込んだフローチャートである。なお、図3および図4に示すステップと同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
図6および図7に示すように、ステップS5およびS6において空燃比がリッチ状態に向けて制御され、ステップS7においてモータジェネレータ12がアシスト駆動されると、ステップS30に進み、NOx吸蔵触媒58の触媒雰囲気が還元雰囲気であるか否かが判定される。ステップS30において、リヤ空燃比センサ61の出力電圧が所定値(たとえば、0.45V:理論空燃比)を下回ることにより、触媒雰囲気が酸化雰囲気であると判定された場合には、空燃比がリッチ状態に制御されていない状態であり、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力が十分に回復していない状態であるため、再びステップS5からリッチ状態に向けて空燃比制御が実行されることになる。
一方、ステップS30において、リヤ空燃比センサ61の出力電圧が所定値を上回ることにより、触媒雰囲気が還元雰囲気であると判定された場合には、空燃比が所定のリッチ状態に制御されてNOx吸蔵触媒58の吸蔵能力が回復した状態であるため、続くステップS10に進み、復帰制御手段として機能するハイブリッド制御ユニット43からの制御信号に基づき、エンジン11およびモータジェネレータ12の通常制御が実行されることになる。このように、触媒雰囲気が還元雰囲気であるか否かを直接的に判定した上で、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力を回復させるための空燃比制御を終了させることができるため、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力を確実に回復させることができるだけでなく、吸蔵能力が回復した後の不要な空燃比制御を回避することが可能となる。なお、エンジン11およびモータジェネレータ12を通常制御に復帰させることにより、エンジン11およびモータジェネレータ12は運転手の操作状況や車両の走行状況に基づいて制御されることになる。
これまで説明したように、前述した各フローチャートは、アイドリングストップ制御に伴う始動時空燃比制御の実行手順を示すものであるが、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力が低下するとともにパワーユニットからの出力トルクが要求される状況としては、エンジン再始動時に限られることはなく、減速走行状態から加速走行状態に切り換える際にも同様の問題が生じることになる。続いて、減速走行状態から加速走行状態に切り換える際に実行される再加速時空燃比制御について説明する。図8は再加速時空燃比制御の実行手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、まずステップS41では、ハイブリッド制御ユニット43によって燃料カット条件が成立しているか否かが判定される。ステップS41において、アクセルペダルが踏み込まれていない状態のもとで、エンジン回転数が所定回転数(たとえば、1500rpm)を上回り、かつ車速が所定速度(たとえば、15km/h)を上回る場合には、燃料カット条件が成立したと判定され、ステップS42に進み、インジェクタ55からの燃料噴射を遮断する燃料カット制御が実行される。一方、ステップS41において、アクセルペダルが踏み込まれている場合、エンジン回転数が所定回転数を下回る場合、若しくは車速が所定車速を下回る場合には、燃料カット条件が成立していないと判定され、燃料カット制御が実行されることなくルーチンを抜けることになる。
ステップS42において燃料噴射が停止されると、ステップS43に進み、タイマTのリセット処理が実行される。続いて、ステップS44に進み、運転手からの再加速要求があるか否かが判定される。ステップS44において、アクセルペダルが所定量を超えて踏み込まれた場合には、ハイブリッド制御ユニット43によって再加速要求があると判定されるため、ステップS45では、エンジン制御ユニット42からの制御信号に基づきインジェクタ55の燃料噴射が開始され、続くステップS46では、エンジン制御ユニット42からの制御信号に基づき、吸入空気量を減少させるようにスロットルバルブ54が閉じ側に制御される。
このように燃料噴射量を増加させて吸入空気量を減少させることにより、空燃比をリッチ状態に向けて制御することができるため、触媒雰囲気を還元雰囲気に制御することが可能となる。これにより、NOx吸蔵触媒58に吸蔵されていた硝酸塩を還元することができ、再びエンジン11が希薄空燃比領域で運転される場合に備えて、NOxの吸蔵能力を回復させることが可能となる。なお、ステップS46において、スロットルバルブ54を閉じることにより、吸気管53内の負圧を高めて燃料の気化を促すことができるため、確実に空燃比をリッチ状態に制御することが可能となっている。
ところで、ステップS46において、スロットルバルブ54を閉じ側に制御して吸入空気量を制限すると、エンジントルクの低下に伴って運転手に違和感を与えるおそれがある。そこで、運転手に違和感を与えることがないように、続くステップS47では、ハイブリッド制御ユニット43によってモータジェネレータ12をアシスト駆動させることにより、不足するエンジントルクをモータトルクによって補うようにしている。続いて、ステップS48ではタイマTのカウント処理が実行され、ステップS49ではタイマTが所定時間T1(たとえば、1500ms)を上回るか否かが判定される。ステップS49において、タイマTが所定時間T1を上回る場合には、空燃比がリッチ状態に制御されたと判断し、エンジン11およびモータジェネレータ12を通常制御に切り換えてルーチンを抜ける一方、タイマTが所定時間T1を下回る場合には、再びステップS45から、空燃比をリッチ状態に向けて制御することになる。
これまで説明したように、アクセルペダルの踏み込みを解除した状態から、再びアクセルペダルを踏み込む場合には、吸入空気量を制限して空燃比をリッチ状態に制御することにより、NOx吸蔵触媒58におけるNOxの吸蔵能力を回復させるようにしたので、再加速時における排気ガスの浄化性能を向上させることが可能となる。さらに、吸入空気量の制限に伴って低下するエンジントルクを補うように、モータジェネレータ12をアシスト駆動するようにしたので、再加速時のトルク不足を解消することができるため、運転手に違和感を与えることなく車両を走行させることが可能となる。
また、図8のフローチャートにあっては、再加速時に空燃比のみを制御するようにしているが、NOx吸蔵触媒58の活性状態を適切に制御するため、エンジン制御ユニット42によってエンジン11の点火時期を調整しても良い。ここで、図9は再加速時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートであり、図8のフローチャートに示すステップと同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、ステップS45およびS46において空燃比がリッチ状態に向けて制御され、ステップS47においてモータジェネレータ12がアシスト駆動されると、続くステップS60に進み、NOx吸蔵触媒58の触媒温度が所定の設定温度(たとえば、240℃)を上回るか否かが判定される。ステップS60において、触媒温度が設定温度を下回る場合には、NOx吸蔵触媒58の活性状態が低下しているため、ステップS61に進み、エンジン制御ユニット42からイグナイタ68に制御信号が出力され、エンジン11の点火時期が遅角される。このように、エンジン11の点火時期を遅角させることにより、混合気の燃焼タイミングを遅らせることができるため、高い温度で排気ガスをNOx吸蔵触媒58に到達させることが可能となる。これにより、触媒温度を早期に上昇させることができ、NOx吸蔵触媒58を早期に活性化させることが可能となる。一方、ステップS60において、触媒温度が設定温度を下回る場合には、既にNOx吸蔵触媒58が活性化している状態であるため、点火時期はエンジン11の運転状態に従って制御されることになる。
また、前述したように、図8および図9に示すフローチャートにあっては、所定時間T1が経過するまで空燃比をリッチ状態に向けて制御するようにしているが、これに限られることはなく、リヤ空燃比センサ61からの出力信号に応じて空燃比制御を終了させるか否かを判定するようにしても良い。ここで、図10および図11は再加速時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。図10は図8のフローチャートに空燃比判定ステップを組み込んだフローチャートであり、図11は図9のフローチャートに空燃比判定ステップを組み込んだフローチャートである。なお、図3および図4に示すステップと同一のステップについては同一の符号を付してその説明を省略する。
図10および図11に示すように、ステップS45およびS46において空燃比がリッチ状態に向けて制御され、ステップS47においてモータジェネレータ12がアシスト駆動されると、ステップS70に進み、NOx吸蔵触媒58の触媒雰囲気が還元雰囲気であるか否かが判定される。ステップS70において、リヤ空燃比センサ61の出力電圧が所定値(たとえば、0.45V:理論空燃比)を下回ることにより、触媒雰囲気が酸化雰囲気であると判定された場合には、空燃比がリッチ状態に制御されていない状態であり、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力が十分に回復していない状態であるため、再びステップS45からリッチ状態に向けて空燃比制御が実行されることになる。
一方、ステップS70において、リヤ空燃比センサ61の出力電圧が所定値を上回ることにより、触媒雰囲気が還元雰囲気であると判定された場合には、空燃比がリッチ状態に制御されてNOx吸蔵触媒58の吸蔵能力が回復した状態であるため、続くステップS50に進み、ハイブリッド制御ユニット43からの制御信号に基づき、エンジン11およびモータジェネレータ12の通常制御が実行されることになる。このように、触媒雰囲気が還元雰囲気であるか否かを直接的に判定した上で、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力を回復させるための空燃比制御を終了させることができるため、NOx吸蔵触媒58の吸蔵能力を確実に回復させることができるだけでなく、吸蔵能力が回復した後の不要な空燃比制御を回避することが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示するハイブリッド車両はパラレル方式のハイブリッド車両であるが、これに限られることはなく、シリーズ・パラレル方式のハイブリッド車両に対して本発明の制御装置を適用しても良い。また、アイドリングストップ制御によってエンジン11を再始動する場合だけでなく、運転手のイグニッションキー操作によってエンジン11を始動する際に、本発明の制御装置による始動時空燃比制御を実行するようにしても良い。さらに、図示する場合には、モータジェネレータ12によってエンジン11を始動回転させているが、始動専用のスタータモータを組み込むようにしても良い。なお、モータジェネレータ12に設けられるレゾルバ等の回転数センサを用いることにより、エンジン回転数を検出しても良いことはいうまでもない。
ハイブリッド車両に搭載されるパワーユニットを示すスケルトン図である。 エンジンの吸気系および排気系を示す概略図である。 始動時空燃比制御の実行手順を示すフローチャートである。 始動時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。 エンジンおよびモータジェネレータの運転状態を示すタイムチャートである。 始動時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。 始動時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。 再加速時空燃比制御の実行手順を示すフローチャートである。 再加速時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。 再加速時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。 再加速時空燃比制御の他の実行手順を示すフローチャートである。
符号の説明
11 エンジン
12 モータジェネレータ(電動モータ)
42 エンジン制御ユニット(点火制御手段,空燃比検出手段,復帰制御手段)
43 ハイブリッド制御ユニット(加速要求判定手段,モータ制御手段)
58 NOx吸蔵触媒(吸蔵触媒)
61 リヤ空燃比センサ(空燃比検出手段)

Claims (4)

  1. エンジンとこれに連結される電動モータとを備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記エンジンの排気系に設けられ、空燃比がリーン状態のときに排気ガスの有害成分を吸蔵する吸蔵触媒と、
    前記エンジンの吸入空気量を制限して空燃比をリッチ状態に制御し、前記吸蔵触媒の吸蔵能力を回復させる吸気量制御手段と、
    前記エンジンの吸入空気量を制限する際に、前記電動モータをアシスト駆動するモータ制御手段とを有することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    運転手の加速要求を判定する加速要求判定手段を有し、前記モータ制御手段は加速要求に基づき前記電動モータをアシスト駆動することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1または2記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記吸蔵触媒の温度が所定値を下回るときに、前記エンジンの点火時期を遅角させる点火制御手段を有することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記吸蔵触媒の下流側に設けられ、排気ガスの成分から空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    前記空燃比検出手段によって検出された空燃比が所定のリッチ状態であるときに、前記吸気量制御手段および前記モータ制御手段を通常制御に復帰させる復帰制御手段とを有することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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