JP2008004302A - リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロカプセルの形態を、活物質合剤層の内部への有機電解液の含浸手段として活用可能に工夫することにより、合金単結晶の各間の隙間に有機電解液を短時間で効果的に含浸させるように図ったリチウム二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】乾燥工程で溶融しない耐熱性を有する耐有機性樹脂を圧延工程で破壊しない強度を有する膜厚に形成した外殻4に有機電解液3を内封したマイクロカプセル2を、活物質および溶剤と混練して合剤ペースト8を製作し、合剤ペースト8を基材9の表面に塗布して、乾燥工程および圧延工程を経て極板1を製作し、この極板1を正極板11または/および負極板12として、これら間にセパレータ13を介在させて外殻4を破壊しながら渦巻状に巻回して極板群を製作し、極板群を電池ケース内に挿入したのちに、不足分の有機電解液3を電池ケース内に補給する。
【選択図】図2
Description
本発明は、極板群の正極板または/および負極板への有機電解液の含浸を効果的、且つ高効率に行えるように図ったリチウム二次電池の製造方法に関するものである。
近年、AV機器あるいはパソコンや携帯型通信機器などの電子機器のポータブル化やコードレス化が急速に促進されており、これら電子機器やその他の電力機器の駆動用電源として、高エネルギ密度で負荷特性に優れた密閉型電池が要望されている。特に、リチウム二次電池は、エネルギ密度および出力電圧が高く、且つ貯蔵寿命が長く、しかも軽量化に優れるなどの種々の特長を有していることから、脚光を浴びている。
上記リチウム二次電池は、例えば円筒形の場合、一般に以下のような工程を経て製造されている。先ず、正,負の極板は、連続的に繰り出されるフープ状の金属箔基材の表面に、溶液に溶解された結着剤、バインダおよび正極活物質粉末または負極活物質粉末を分散させて混練した合剤ペーストが塗工ノズルから所定厚みに塗布される。そののち、乾燥工程において、合剤ペーストが塗布された基材が乾燥炉内を通過されるときに、合剤ペーストは、溶液などが加熱されて蒸発することにより、基材に対し脱落しない程度に確実に固着され、これにより、基材の表面に活物質合剤層が形成される。このようにして、基材の両面に活物質合剤層が形成された基材は、次の圧延工程において、一対のプレスロール間を通過されることにより、各活物質合剤層が所定の厚みに押し潰されて、帯状の極板が形成される。この極板は、所定の寸法に切断されることにより、個々の電池用極板に分割される。
そして、上述のような工程を経て製作された正極板と負極板とをこれらの間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回することにより極板群を構成し、この極板群を有底円筒状の電池ケースの内部に収容し、その電池ケース内に所定量の有機電解液を注液したのち、電池ケースの開口部に封口板を挿入して支持させた状態で、電池ケースの開口縁部が内方にかしめ加工されることにより、上記リチウム二次電池が出来上がる。このように電池としての組立が完了したリチウム二次電池に対しては、電池ケース内に組み込まれた正,負極板の初期活性化と活物質表面への保護膜形成による電圧安定化とを目的とした高温エージング処理および充放電検査などが行われ、良品として認定された電池に対して、印字およびビニール製のチューブで被覆するチュービング処理を行って出荷される。
ところで、近年では、電池の製造工程においてマイクロカプセルが種々の目的で用いられている。例えば、アルカリ蓄電池のニッケル焼結基板における活物質を担持させるための空孔の量の増大、つまり焼結基板の多孔度を大きくすることを目的として、低沸点炭化水素を内封した熱膨張性のマイクロカプセルとニッケル粉末とを分散媒中に分散させて、その分散媒をマイクロカプセルが膨張する温度まで加熱したのちに、増粘剤を添加し混合してペーストを調製し、そのペーストを金属芯材に塗着して加熱乾燥し、還元性雰囲気中で焼結している(特許文献1参照)。この焼結基板は、カプセルの容積部分が空孔となるので、多孔度が向上する。
また、過放電や過充電等での電池内部の急激な温度上昇などの異常発生に伴う事故を回避する目的で、電極合剤層の内部または電極合剤層と集電体との界面に沿って熱膨張性マイクロカプセルを含ませたリチウムイオン二次電池が提案されている(特許文献2参照)。このリチウムイオン二次電池では、過放電や過充電により急激な内部温度上昇を起こして所定温度に達すると、マイクロカプセルにおける熱可塑性樹脂からなる外殻が軟化し、内包されている揮発性膨張剤の膨張により外殻が急速に膨張して、電極合剤層の膨張または電極合剤層の集電体からの急激な剥離が発生することにより、電極活物質と集電体との間の抵抗が急激に増大して電流遮断が効果的に行われる。
さらに、電池活物質を主材とする粒状の混合体を金型で加圧成形して得られるアルカリ電池用のコア形状を有する電池活物質成形体を製造するに際し、成形体の割れや欠けの発生防止および成形体を金型から円滑に取り出しできることを目的として混合体に添加される滑剤を、被覆材で内封してマイクロカプセル化し、このマイクロカプセル化した滑剤を混合体に添加して加圧成形するとともに、その加圧成形時にマイクロカプセルを破壊させるようにする技術も提案されている(特許文献3参照)。
特開平11−329450号公報
特開2001−332245号公報
特開2002−270178号公報
上述した極板の製造過程における乾燥工程において、合剤ペーストが塗布された基材が乾燥炉内を通過されるときに、合剤ペーストが加熱されて溶剤が蒸発することにより、活物質の粒子である合金単結晶の各間に隙間が生じる。そのため、正,負の極板をこれらの間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回することにより得られた極板群を電池ケース内に収容したのちに、電池ケース内に有機電解液を注液する注液工程では、合金単結晶の各間に生じている隙間に有機電解液を十分に含浸させる必要がある。すなわち、隙間への有機電解液の含浸が不十分な場合には、合金単結晶の周辺の一部に有機電解液が接触状態に存在しないことから、電池としての放電効率が低下して所要の電池容量が得られないからである。
そこで、従来では、上記隙間への有機電解液の含浸を促進するための種々の注液手段が採用されている。例えば、極板群を収容した電池ケースの内部を減圧手段で減圧して大気に開放することで、有機電解液の極板群への浸透を促進し、そののち、電池ケース内の有機電解液を不活性ガスなどで加圧して大気に開放することにより、有機電解液の極板群への浸透をさらに促進するように図った注液方法が存在する。また、常圧下で電池ケース内に有機電解液を注液したのちに減圧下で有機電解液を含浸させる処理を、複数回繰り返して所要量の有機電解液を注入する注入手段も知られている。さらに、遠心力を利用した注液方法や真空を利用する注液方法も一般的に利用されている。
しかしながら、上述の何れの注液方法を用いた場合にも、正,負極板をセパレータを介在させて高密度に積層状態で渦巻状に巻回されてなる極板群の小さな隙間自体に有機電解液が浸透し難いことから、合金単結晶の各間の隙間に有機電解液を十分に含浸させるためには、数十分の比較的長い注液時間を要し、これがリチウム二次電池の生産性の向上を阻害する要因の一つになっている。
しかも、比較的長い注液時間をかけて注液を行った場合であっても、合金単結晶の各間の隙間が、乾燥工程を経たのち圧延工程で所定厚みに潰されて高密度になっている極板の活物質合剤層の内部に存在しているので、その隙間に有機電解液を十分に含浸させるのが困難である。そのため、合金単結晶の周辺には所要量の有機電解液量が接触して存在しない状態となることから、活物質の放電効率が低下して所定の電池容量が得られないので、電池としての高率放電も得られない。また、電池ケース内の有機電解液の総注入量を多くできないので、電池としての寿命を延ばすことができない。
さらに、極板群の内部に浸透した有機電解液は、その多くが活物質合剤層の表面に接しているだけで、活物質合剤層の内部の隙間への含浸量が少ない。そのため、電池としての組立完了後に高温エージング処理と共に実施される初期充放電検査では、一挙に電流を流すことができないことから、電圧安定化を目的とした活物質合剤層の表面への保護膜形成に時間がかかるので、エージング処理および初期充放電検査の処理時間が長くなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上述したように従来から電池の種々の製造工程に採用されているマイクロカプセルに着目して、このマイクロカプセルの形態を、活物質合剤層の内部への有機電解液の含浸手段として活用可能に工夫することにより、合金単結晶の各間の隙間に有機電解液を短時間で効果的に含浸させるように図ったリチウム二次電池の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のリチウム二次電池の製造方法は、乾燥工程で溶融しない耐熱性を有する耐有機性樹脂を圧延工程で破壊しない強度を有する膜厚に形成した外殻に有機電解液を内封してマイクロカプセルを構成したのち、このマイクロカプセルを活物質および溶剤と混練して合剤ペーストを製作する工程と、前記合剤ペーストを基材の表面に塗布したのち、乾燥工程および圧延工程を経て基材の表面に活物質合剤層が形成された極板を製作する工程と、前記極板を正極板または/および負極板として、この正極板および負極板をこれらの間にセパレータを介在させて前記外殻を破壊しながら渦巻状に巻回することにより極板群を製作する工程と、前記極板群を電池ケース内に挿入したのちに、前記マイクロカプセルが保持する前記有機電解液に対する不足分の有機電解液を前記電池ケース内に補給する工程とを有していることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項2の発明のリチウム二次電池の製造方法における極板群の巻回工程において、正極板または/および負極板を、セパレータの間に巻き込む直前位置で、マイクロカプセルの外殻に対する吸収効率が非常に高い周波数に設定された高周波加熱装置で前記外殻のみを加熱して、前記外殻を溶融して破壊するようにしたものである。
請求項1の発明では、極板群の極板における活物質合剤層の合金単結晶の各間の隙間には予め有機電解液を効果的に含有させることができるので、電池ケース内に直接注入した有機電解液の補給分が極板群に含浸するまでの待ち時間が従来工程に比較して格段に短縮されるから、リチウム二次電池を高能率の高い生産性で製造することが可能となる。
また、極板群は、極板の活物質合剤層中に有機電解液を予め保持させた構造になっているので、従来の極板群のように圧延工程で所定厚みに潰されて高密度になっている極板の活物質合剤層の内部に存在する合金単結晶の各間の隙間に電池ケースに注入した有機電解液を含浸させる場合とは異なり、合金単結晶の周辺に所要量の有機電解液を確実な接触状態で存在させることができるから、活物質の放電効率が向上して大きな電池容量を得ることができ、電池としての一層の高率放電が可能となる。さらに、極板群を電池ケース内に挿入したのちの有機電解液の補給量を従来工程の注液工程での注液量と同量に設定することが可能であり、その液量を補充した場合には、電池ケース内の有機電解液の保有量が従来に比較して格段に増量されるから、電池の長寿命化を図ることができる。
さらにまた、従来工程では、極板群の内部に浸透した有機電解液の多くが活物質合剤層の表面に接しているだけで、活物質合剤層の内部の隙間への含浸量が少ないのに対し、本発明のリチウム二次電池は、活物質合剤層の内部の隙間に予め有機電解液を保有しているので、電池としての組立完了後にエージング処理と共に実施される初期充放電検査において、一挙に電流を流すことが可能となって活物質合剤層の表面に保護膜を短時間で形成することができ、高温エージング処理および初期充放電検査の処理時間を短縮できる。
請求項2の発明では、高周波加熱装置により活物質合剤層中の外殻4のみがこれの溶融温度である、例えば200℃の高温に加熱されるから、外殻のみが溶融されて破壊するので、正極板または/および負極板は、セパレータの間に巻き込まれる直前に外殻が破壊されて、外殻の内部から有機電解液が最適のタイミングで活物質合剤層中に染み出る状態で連続的に巻回されていく。これにより、極板群は、活物質合剤層の合金単結晶の周囲に有機電解液が接触状態で存在する好適なものとなる。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1(a)〜(d)は、正および/または負の極板の初段製造過程である合剤ペーストの製造工程を模式的に示した説明図である。先ず、同図(a)に示すように、例えば二酸化マンガンなどの正極活物質または金属リチウムなどの負極活物質と、カーボンのような導電剤とを混合したのち、これを粉砕し、つぎに、同図(b)に示すように、導電剤と、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液のような増粒剤とを加えて混合し、さらに、同図(c)に示すように、例えば4フッ化エチレン樹脂デスパージョンのような結着剤と水とマイクロカプセルとを加えて練合すると、同図(d)に示すように、所要の合剤ペーストが出来上がる。この合剤ペーストの製造工程が従来の製造工程と相違するのは、同図(c)に示すようにマイクロカプセルを加えることだけである。
上記マイクロカプセルについて、後述の工程を経て製作された極板1の断面図である図3を参照しながら説明すると、有機電解液3に対し優れた耐性を有する耐有機性樹脂、例えばPPまたはPEによって形成された外殻4中に有機電解液3を内包して、有機電解液3を外殻4の内部に完全に封入したものである。このマイクロカプセル2は0.5〜2μmの小さな粒径(直径)を有するほぼ球状に形成されている。また、外殻4は、130℃以下の温度で溶融しない耐熱性を有し、且つ極板の圧延工程で破壊しない強度を有する範囲内で可及的に薄い膜厚、例えば0.1〜0.2μmの膜厚に設定されている。なお、マイクロカプセル2の製作技術そのものは従来から確立されており、その製作技術を応用して容易に製作することができる。
但し、上述した従来の電池の製造工程において用いられているマイクロカプセルは、合剤ペーストの塗着後に焼失させて空孔を形成したり、内包した揮発性膨張剤を異常発熱に伴い揮発させて外殻を膨張させたり、あるいは外殻を加圧により破壊して外殻に内包している滑剤を混合体に添加する目的で用いるものであり、このままでは本発明の有機電解液の保持に活用できない。そこで、上記実施形態では、マイクロカプセル2を、有機電解液を支障なく内封して、乾燥工程および圧延工程において有機電解液3の内封状態を保持し続け、極板11,12を渦巻状に巻回する直前で内包した有機電解液3を活物質合剤層10に染み出させるように工夫したものである。
このように形成されたマイクロカプセル2は、図1(c)で説明したように、結着剤および水と共に、活物質、導電剤および増粒剤の混練物に混入して混練されることにより、図2に示すように、活物質が粉砕されて粉体化された合金単結晶7の各間にマイクロカプセル2が入り込んだ断面形状を有する合剤ペースト8が形成される。したがって、この合剤ペースト8の内部には、有機電解液3がマイクロカプセル2中に内包された状態で混在されている。
図3に示すように、上記合剤ペースト8は、厚さが8〜16μmのアルミニウム箔または銅箔などの金属箔基材9の表面に、従来と同様の塗工方式で塗布されることにより、活物質合剤層10が形成される。なお、図3では金属箔基材9の片面にのみ活物質合剤層10が形成された状態を図示しているが、同様の塗工工程を2回繰り返して金属箔基材9の両面に同様の活物質合剤層10が形成される。この活物質合剤層10は、乾燥工程および圧延工程を経て極板1とされたときに、80〜85μmの厚みになるように設定されている。
上記工程を経て製作された極板1は、図2で説明したように、活物質の粉砕により得られる合金単結晶7の粒子間の隙間にマイクロカプセル2が入り込んだ構造の合剤ペースト8を金属箔基材9の表面に塗布するので、乾燥工程および圧延工程を経て製作される極板1には、従来の乾燥工程における合剤ペーストの加熱時の溶剤の蒸発に伴い活物質の合金単結晶7の粒子間に発生していた隙間が、マイクロカプセル2の存在により生じない。そのため、極板1の活物質合剤層10は、金属箔基材9に塗布直後の合剤ペースト8の塗布密度および塗布厚と比較して殆ど変化がなく、有機電解液3がマイクロカプセル2の外殻4に内封された状態で活物質合剤層10の内部にほぼ均一な分布で混在されている。この活物質合剤層10の内部に混在されている全てのマイクロカプセル2がそれぞれ保持する有機電解液3の総液量は、電池に必要な所定量の50%に設定されている。
上記乾燥工程では、金属箔基材9に塗布された合剤ペースト8が100℃〜120℃の温度に加熱されて合剤ペースト8中の溶剤が蒸発される。このとき、マイクロカプセル2は、これの外殻4が130℃以下の温度で溶融しない耐熱性を有しているので、破壊されることなく内部の有機電解液3を確実に保持する。さらに、圧延工程においても、マイクロカプセル2は、これの外殻4が圧延工程で破壊しない強度を有する範囲内で可及的に薄い膜厚に設定されているので、やはり破壊されることなく内部の有機電解液3を確実に保持する。したがって、マイクロカプセル2は乾燥工程および圧延工程において外殻4が破壊されないので、マイクロカプセル2に内包された有機電解液3が活物質合剤層10から染み出すことがない。そのため、出来上がった極板1は、所要量の有機電解液3がマイロカプセル2の外殻4に内包された状態を保持したまま、活物質合剤層10の内部にほぼ均一に分布したものとなる。
図4に示すように、上記製造工程を経て製作された正極板11または/および負極板12はこれらの間にセパレータ13を介在させて渦巻状に巻回される。この実施形態では、正極板11および負極板12が上記工程を経て活物質合剤層10の内部に有機電解液3がほぼ均一に分布された構造を有している場合を例示して説明する。セパレータ13は巻芯14のスリット17に挿通され、その巻芯14が矢印方向に回転を開始すると、正極板11および負極板12が互いに所定の相対位置に位置決めされた配置で、正極板11の先端が巻芯14とセパレータ13との間に巻き込まれとともに、負極板12の先端が第1の押圧ローラ18によりセパレータ13に押し付けられながら移送されて、セパレータ13の両側から供給される部分の間に第2の押圧ローラ19で巻き込まれる。このようにして正極板11と負極板12とがこれらの間にセパレータ13を介在させて渦巻状に巻き取られると、極板群が出来上がる。
この極板群の製造過程において、正極板11と負極板12とは、巻芯14に巻き込まれる直前位置で高周波加熱装置20により高周波加熱される。この高周波加熱装置20としては、例えば赤外線ヒータまたはIHヒータが用いられるが、何れを用いる場合にも、外殻4を形成する樹脂膜に対する吸収効率が非常に高い周波数に設定されている。これにより、高周波加熱装置20により活物質合剤層10中の外殻4のみがこれの溶融温度である150℃の高温に加熱されるので、外殻4が溶融されて破壊する。したがって、正極板11および負極板12は、セパレータ13の間に巻き込まれる直前のタイミングで外殻4が破壊されて、外殻4の内部から有機電解液3が活物質合剤層10中に染み出る状態で連続的に巻回されていく。
このようにして製作された極板群が電池ケース内に収容されると、この極板群に担持された状態で電池ケース内に挿入された有機電解液3の総液量は、所要量の50%であるから、所要量に対し不足分である50%の有機電解液3が電池ケース内に注入して補給される。極板群の極板11,12における活物質合剤層10の合金単結晶7の各間の隙間には予め有機電解液3が効果的に含有されているので、電池ケース内に直接注入した有機電解液3の補給分が極板群に含浸するまでの待ち時間は、従来工程のように正,負極板をセパレータを介在させて高密度に積層状態で渦巻状に巻回されてなる極板群の小さな隙間に有機電解液を浸透させる場合に比較して格段に短縮される。これにより、上記工程を採用すれば、リチウム二次電池を高能率の高い生産性で製造することが可能となる。
また、極板群は、極板11,12の活物質合剤層10中に有機電解液3を予め保持させた構造とするので、従来の極板群のように圧延工程で所定厚みに潰されて高密度になっている極板の活物質合剤層の内部に存在する合金単結晶の各間の隙間に電池ケースに注入した有機電解液を含浸させる場合とは異なり、合金単結晶7の周辺に所要量の有機電解液3を確実な接触状態で存在させることができるから、活物質の放電効率が向上して大きな電池容量を得ることができ、電池としての一層の高率放電が可能となる。一方、活物質合剤層10中に有機電解液3を予め分布させるので、極板群を電池ケース内に挿入したのちの有機電解液3の補給量を従来工程の注液工程での注液量と同量に設定することが可能であり、その液量を補充した場合には、電池ケース内の有機電解液3の保有量が従来に較べて1.5倍に増量されるから、電池の長寿命化を図ることができる。
さらに、従来工程では、極板群の内部に浸透した有機電解液の多くが活物質合剤層の表面に接しているだけで、活物質合剤層の内部の隙間への含浸量が少ないのに対し、上記工程を経て組み立てられた電池は、活物質合剤層10の内部の隙間に予め有機電解液3を保有しているので、電池としての組立完了後にエージング処理と共に実施される初期充放電検査において、一挙に電流を流すことが可能となって活物質合剤層10の表面に保護膜を短時間で形成することができ、高温エージング処理および初期充放電検査の処理時間を短縮できる。
この発明に係るリチウム二次電池の製造方法によれば、乾燥工程で溶融しない耐熱性を有する耐有機性樹脂を圧延工程で破壊しない強度を有する膜厚に形成した外殻に有機電解液を内封してマイクロカプセルを構成し、このマイクロカプセルを活物質および溶剤と混練して合剤ペーストを製作し、マイクロカプセルを極板の乾燥工程および圧延工程で破壊されないように設定して、極板をセパレータの間に巻き込むタイミングでマイクロカプセルの外殻のみを破壊させるようにしたので、この製造方法によりリチウム二次電池を製造すれば、有機電解液の含浸時間が大幅に短縮されてリチウム二次電池を高い生産性で製造でき、有機電解液と活物質合金層の合金単結晶との接触状態が格段に向上して高い放電効率を得ることができ、高温エージング処理および初期充放電検査の処理時間も大幅に短縮でき、電池ケース内の有機電解液の保有量が増大して電池寿命が向上する顕著な効果を得ることができる。
1 極板
2 マイクロカプセル
3 有機電解液
4 外殻
8 合剤ペースト
9 金属箔基材
11 正極板
12 負極板
13 セパレータ
20 高周波加熱装置
2 マイクロカプセル
3 有機電解液
4 外殻
8 合剤ペースト
9 金属箔基材
11 正極板
12 負極板
13 セパレータ
20 高周波加熱装置
Claims (2)
- 乾燥工程で溶融しない耐熱性を有する耐有機性樹脂を圧延工程で破壊しない強度を有する膜厚で形成した外殻に有機電解液を内封してなるマイクロカプセルを構成したのち、このマイクロカプセルを活物質および溶剤と混練して合剤ペーストを製作する工程と、
前記合剤ペーストを基材の表面に塗布したのち、乾燥工程および圧延工程を経て基材の表面に活物質合剤層が形成された極板を製作する工程と、
前記極板を正極板または/および負極板として、この正極板および負極板をこれらの間にセパレータを介在させて前記外殻を破壊しながら渦巻状に巻回することにより極板群を製作する工程と、
前記極板群を電池ケース内に挿入したのちに、前記マイクロカプセルが保持する前記有機電解液に対する不足分の有機電解液を前記電池ケース内に補給する工程とを有していることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。 - 極板群の巻回工程において、正極板または/および負極板を、セパレータの間に巻き込む直前位置で、マイクロカプセルの外殻に対する吸収効率が非常に高い周波数に設定された高周波加熱装置で前記外枠のみを加熱して、前記外枠を溶融して破壊するようにした請求項1に記載のリチウム二次電池。
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2006
- 2006-06-20 JP JP2006170438A patent/JP2008004302A/ja active Pending
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