JP2008003187A - 高分子液晶膜の加工方法、光学素子および光ヘッド装置 - Google Patents

高分子液晶膜の加工方法、光学素子および光ヘッド装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子液晶膜に対して、突起部の形成を回避しつつ階段形状に加工することのできる方法を提供する。また、光学特性に優れた光学素子および光ヘッド装置を提供する。
【解決手段】透明基板1の上に、配向膜2および高分子液晶膜3を形成する。次いで、第1の保護膜4および第1のレジスト5を形成した後、第1のレジスト5をマスクとして、第1の保護膜4と高分子液晶膜3をエッチングする。これを繰り返すことにより、高分子液晶膜3を階段形状に加工する。第1の保護膜4は、ポリイミド膜または有機シロキサン膜とすることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、高分子液晶膜の加工方法、光学素子および光ヘッド装置に関する。
CD(compact disk)およびDVD(digital versatile disk)などの光ディスクの表面には、ビットと呼ばれる凹凸が設けられている。光ヘッド装置では、光ディスクにレーザ光を照射し、その反射光を検出することによって、ビットに記録された情報を読み取ることができる。
光ヘッド装置としては、従来より、ビームスプリッタによって光ディスクからの反射光を検出部へ導く方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の光ヘッド装置では、半導体レーザから出射された光は、ビームスプリッタ、液晶レンズ素子および対物レンズなどを透過した後、光ディスクに集光される。そして、光ディスクで反射された光は、再び対物レンズや液晶レンズ素子などを透過して、ビームスプリッタで反射された後、検出器に入射する。ここで、光学素子としての液晶レンズ素子は、光ディスクに設けられたカバー層の厚みに起因して発生する球面収差を補正する手段として用いられる。また、液晶レンズ素子は、フレネルレンズ部を有し、このフレネルレンズ部は、鋸歯状の断面形状または鋸歯を階段形状で近似した断面形状を備えている。
また、光ヘッド装置としては、上記の他に、光ディスクからの反射光を回折格子により分岐した後、光検出器で受光する光学系を備えたものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2には、光学異方性ポリマーにより形成された光学異方性を有する回折格子を用いた光ヘッド装置が開示されている。この光ヘッド装置では、半導体レーザから出射された光は、回折格子および対物レンズを透過した後、光ディスクに照射される。そして、光ディスクで反射された光は、再び対物レンズを透過し、回折格子で分岐した後に検出部に入射する。ここで、光学異方性ポリマーは、液晶モノマーを光または熱により重合して製造される。特許文献2では、光学素子としての回折格子の表面に階段状の凹凸部が設けられており、この凹凸部に光学異方性ポリマーが充填される。
このように、表面に階段形状を有する光学素子の例は多い。しかし、特許文献1では、フレネルレンズ部の形状は、フォトリソグラフィ法や反応性イオンエッチング法によって形成できる旨が記載されているものの、その具体的な製造方法については開示されていない。一方、特許文献2には、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、ガラス基板の表面に、回折格子のパターンに対応した凹凸部を形成することが記載されている。そして、上記のガラス基板に、表面に配向処理が施されたポリイミド膜を有するガラス基板を重ね合わせて接着し、この中に液晶モノマーを注入した後、露光により液晶モノマーを重合させることによって、回折格子が作製される。
特許文献2では、基板に形成した凹凸部に液晶モノマーを充填し、凹部での配向力によって液晶を配向させている。しかしながら、この方法では、液晶がうまく配向しないおそれがあった。また、液晶は、凹凸部の延長方向、すなわち格子ストライプの方向に沿って配向するので、この方向に直交する偏光に対しては液晶の常光屈折率が対応する一方、平行な偏光に対しては、液晶の異常光屈折率が対応することになる。このため、格子ストライプの方向は、入射光の偏光方向に対して平行または垂直のいずれかであって、且つ、略一様な方向にしかとれないという制約もあった。
これに対して、高分子液晶からなる膜(以下、高分子液晶膜と称する。)を基板上に形成した後、この表面を凹凸に加工する方法も開示されている(特許文献3参照)。
特許文献3に記載の方法では、まず、ガラス基板の上に配向膜を形成し、この配向膜にラビング処理を施した後、さらに、高分子液晶膜、SiO膜およびレジストを順に形成する。次いで、フォトリソグラフィ法によって、レジストを回折格子のパターンに加工した後、これをマスクとして、高分子液晶膜およびSiO膜をエッチングする。次に、等方性充填材を介して、上記のガラス基板を他の基板と貼り合わせる。その後、紫外線を照射して等方性充填材を硬化させることにより、異方性回折格子が作製される。
特許文献3によれば、配向処理が施された2枚の平坦な基板の間に液晶モノマーを挟み込み、この状態でモノマーを重合させることによって高分子液晶膜を形成する。その後で、高分子液晶膜の表面を凹凸に加工するので、液晶の配向状態が良好で、且つ、表面に階段形状を有する回折格子を作製することができる。また、入射光の偏光方向は、液晶の配向方向に依存するが、格子ストライプの方向は、高分子液晶膜に対して任意の方向を選ぶことができる。さらに、素子内に、複数の方向を有する格子ストライプを形成することもできる。
特開平2006−85801号公報 特開平9−50642号公報 特開平11−125710号公報
しかしながら、特許文献3に記載の回折格子は、表面が平坦なバイナリ型の回折格子であり、階段形状の表面を有する回折格子については記載されていない。一方、特許文献3に記載の方法を用いて、階段形状を有する光学素子を製造しようとすると、次に述べるような問題があった。
図11〜図18は、高分子液晶膜を階段形状に加工する工程の説明図である。
まず、図11に示すように、ガラス基板101の上に、配向膜102、高分子液晶膜103および第1のSiO膜104を順に形成する。ここで、配向膜102には、配向処理が施されているものとする。次いで、第1のSiO膜104の上に第1のレジスト105を設け、フォトリソグラフィ法によって、第1のレジスト105を所定の形状にパターニングする。これにより、図12に示す構造が得られる。
次に、第1のレジスト105をマスクとして反応性イオンエッチングを行い、第1のSiO膜104を加工する。これにより、図13に示す構造が得られる。
その後、第1のレジスト105および第1のSiO膜104をマスクとして、高分子液晶膜103に対して反応性イオンエッチングを行う。この工程で、第1のレジスト105の殆どは除去されてしまい、図14に示す構造が得られる。
次に、図15に示すように、高分子液晶膜103および第1のSiO膜104を被覆するようにして、第2のSiO膜106を形成する。尚、図15において、第1のSiO膜104は、第2のSiO膜106と区別されなくなるので、これらを併せて第2のSiO膜106としている。
さらに、第2のSiO膜106の上に第2のレジスト107を設けた後、フォトリソグラフィ法によって、第2のレジスト107を所定の形状にパターニングする。これにより、図16に示す構造が得られる。
次に、第2のレジスト107をマスクとして、第2のSiO膜106に対して反応性イオンエッチングを行い、図17に示すように、高分子液晶膜103を露出させる。
その後、第2のレジスト107および第2のSiO膜106をマスクとして、高分子液晶膜103に対して反応性イオンエッチングを行う。これにより、図18に示すような4段の階段形状が形成される。
高分子液晶膜103のエッチング工程において、第2のレジスト107は殆ど除去される。一方、第2のSiO膜106のエッチング速度は、高分子液晶膜103のエッチング速度に比べて遅いので、第2のSiO膜106は、高分子液晶膜103のエッチングを終えた後も残存する。残存した第2のSiO膜106は、液晶光学素子の光学特性を低下させる原因となる。ここで、エッチング工程でエッチングされない高分子液晶膜103の上面や側壁部を被覆する第2のSiO膜106については、光学特性の低下に及ぼす影響が小さいために残存しても問題は少ない。
これに対して、エッチングにより消失する高分子液晶膜103の側壁部に設けられた第2のSiO膜106は、エッチングを終えた後で、各階段の端部に突起部108となって残る。突起部108は、第2のSiO膜106と高分子液晶膜103とによって構成される。第2のSiO膜106によって被覆された部分の高分子液晶膜103はエッチングされないからである。このような突起部108があると、液晶光学素子の光学特性は大きく低下する。例えば、液晶光学素子が回折格子である場合には、回折格子に入射した光から、所定の回折角以外の回折光が発生するために、回折効率が低下してしまう。
突起部108をなくすには、エッチングの途中で、異方性のエッチングから等方性のエッチングに切り替えることが考えられる。しかし、高分子液晶膜103のエッチング速度は、第2のSiO膜106のエッチング速度より速いので、高分子液晶膜103のサイドエッチングが進行してしまい、突起部108のみを消失させるには至らない。
また、SiO膜を設けずに、高分子液晶膜の上に直接レジストを形成することによって、突起部の形成を回避することも考えられる。しかしながら、一般に、レジストおよび高分子液晶膜は光硬化性の材料からなるので、レジストと高分子液晶膜とが反応してしまい、レジストの現像工程や剥離工程において、高分子液晶膜の膜厚が減少してしまうという問題があった。
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、高分子液晶膜に対して、突起部の形成を回避しつつ階段形状に加工することのできる方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、光学特性に優れた光学素子および光ヘッド装置を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、配向処理された透明基板の上に高分子液晶膜を形成する第1の工程と、
前記高分子液晶膜の上に、有機材料を主成分とする保護膜を形成する第2の工程と、
前記保護膜の上に所定の形状のレジストを形成する第3の工程と、
前記レジストをマスクとして、前記保護膜と前記高分子液晶膜をエッチングする第4の工程とを有し、
前記第2の工程から前記第4の工程までを繰り返して、前記高分子液晶膜を階段形状に加工する高分子液晶膜の加工方法に関する。
本発明の第1の態様は、前記第4の工程の後に、前記レジストおよび前記保護膜を除去する第5の工程をさらに有し、
前記第2の工程から前記第5の工程までを繰り返して、前記高分子液晶膜を階段形状に加工するものとすることができる。
本発明の第1の態様において、前記透明基板の上には、配向処理された配向膜が形成されていて、
前記高分子液晶膜は、前記配向膜の上に形成されるものとすることができる。
本発明の第1の態様において、前記保護膜は、ポリイミド膜または有機シロキサン膜とすることができる。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による方法を用いて加工された高分子液晶膜を有する光学素子に関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様による光学素子を有する光ヘッド装置に関する。
本発明の第1の態様によれば、高分子液晶膜の上に、有機材料を主成分とする保護膜を形成し、レジストをマスクとして、保護膜と高分子液晶膜をエッチングするので、突起部の形成を回避しつつ高分子液晶膜を階段形状に加工することができる。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様による方法を用いて加工された高分子液晶膜を有するので、光学特性に優れた光学素子を提供することができる。
本発明の第3の態様によれば、第2の態様による光学素子を有するので、光学特性に優れた光ヘッド装置を提供することができる。
実施の形態1.
図1〜図8を用いて、本発明による高分子液晶膜の加工方法について説明する。高分子液晶膜は、光学異方性を有する膜であり、より詳しくは、屈折率に関して異方性を有する膜である。
最初に、配向処理された透明基板の上に高分子液晶膜を形成する。具体的には、次のようにすることができる。
まず、透明基板1の上に配向膜2を形成する。透明基板1としては、例えば、ガラス基板、石英基板またはポリカーボネート基板などが挙げられる。また、配向膜2は、液晶を配向させる機能を有するものであればよく、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルシンナメートおよびポリスチレンなどの有機材料、または、SiOおよびAlなどの無機材料を用いて形成することができる。尚、場合に応じて、透明基板1の上に電極層を設けてから配向膜2を形成することもできる。
次に、配向膜2に対して水平配向処理を施した後、配向膜2の上に、高分子液晶膜3を形成する。尚、配向処理は水平配向処理に限られるものではなく、液晶分子の配向方向が基板に略垂直となる垂直配向処理などとすることもできる。
配向処理は、具体的には、ラビング法などを用いて行うことができる。例えば、ナイロンやレーヨンなどのラビング布で、配向膜2の表面を一方向に擦ることによって、その方向に液晶分子が配向するようにする。また、ラビング法以外にも、SiOの斜め蒸着や、光配向膜などによって、液晶分子の配向を揃えることもできる。
高分子液晶膜3の形成は、例えば、次のようにして行うことができる。
まず、表面に配向膜が形成された基板(図示せず)を準備する。次いで、配向膜に対して水平配向処理を行った後、配向膜が形成された側の基板の表面に離型処理を行う。離型剤としては、例えば、フルオロシラン系または含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体などを使用することができる。
次に、この基板に透明基板1を重ね合わせて接着する。このとき、離型処理された面と、配向膜2が形成された面とが互いに内側を向くようにする。また、外部から液晶モノマーを充填可能な開口部を設けておく。次いで、この開口部を通じて、基板間に光硬化性の液晶モノマーを注入する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。
液晶モノマーを注入した後は、所定の波長の光を照射して液晶モノマーを重合させる。必要に応じて、光照射の後でさらに加熱処理を行ってもよい。
その後、離型処理された基板を取り除くことによって、図1に示すように、透明基板1の上に、配向膜2と高分子液晶膜3が形成された構造を得ることができる。この例では、液晶モノマーは、透明基板1の表面と略平行な方向に配向し、高分子液晶膜3は、この配向が固定された状態で得られる。
また、高分子液晶膜3の形成は、例えば、次のようにして行うこともできる。
まず、透明基板1に形成された配向膜2の上に、光硬化性の液晶モノマーを滴下する。また、上記と同様に、水平配向処理が施された配向膜が形成された基板(図示せず)を準備し、さらに、配向膜が形成されている側の基板表面に対して離型処理を行う。
次いで、この基板を透明基板1に対向させて、液状の液晶モノマーを略水平配向状態にした後、所定の波長の光を照射して液晶モノマーを重合させる。その後、離型処理が施された基板を除去すると、上記と同様に、透明基板1の上に、配向膜2と高分子液晶膜3が形成された構造を得ることができる。
尚、上記の例における液晶モノマーは、重合性の官能基を有するモノマーであって、重合性モノマーとしての性質と液晶としての性質とを併有する。このため、液晶モノマーを配向させた後に重合反応を行うと、液晶の配向が固定された光学異方性ポリマーが得られる。光学異方性ポリマーは、一般に、メソゲン骨格に由来した光学異方性を示すので、この性質を利用して光学素子に応用することができる。光学異方性ポリマーの屈折率異方性を大きくするには、芳香環基を有する材料を用いることが好ましい。尚、液晶モノマーは、ネマチック、スメクチックおよびコレステリックのいずれの液晶性を示してもよいが、ネマチック液晶性を示すものが好ましく用いられる。
次に、図1に示すように、高分子液晶膜3の上に第1の保護膜4を形成する。第1の保護膜4は、有機材料を主成分とする膜であり、高分子液晶膜3の保護膜として機能する。具体的には、レジストが高分子液晶膜3と反応するのを防いだり、レジストを現像する際に用いられるアルカリによって高分子液晶膜が侵されるのを防いだりする。尚、高分子液晶膜3と第1の保護膜4との密着性を向上させるために、高分子液晶膜3の表面をエッチングするなどして改質処理を行った後に、第1の保護膜4を形成することもできる。
このように、本実施の形態においては、従来法におけるSiO膜に代えて、高分子液晶膜の上に、有機材料を主成分とする保護膜を形成することを特徴としている。有機材料を主成分とすることにより、エッチングの際の速度を高分子液晶膜と同程度にすることができる。したがって、高分子液晶膜のエッチングを終えた後に残存した膜によって、階段形状に突起部が形成されてしまうのを回避することができる。
保護膜に対しては、
(1)200℃以下、より好ましくは、150℃以下の温度で成膜できること、
(2)レジストを現像する際に用いられるアルカリに対して耐性があること、
(3)高分子液晶膜に大きなダメージを与えずに除去できること
が求められる。
上記において、(1)の要件は、熱処理によって高分子液晶膜が変性してしまうのを防ぐためである。また、(2)の要件は、アルカリによって膜減りなどを起こすと、高分子液晶膜の保護膜としての機能が失われてしまうからである。さらに、(3)の要件は、高分子液晶膜を加工した後で、高分子液晶膜に対して選択的に保護膜を除去する必要があるからである。
本実施の形態に適用可能な保護膜としては、例えば、ポリイミドからなる膜が挙げられる。特に、低温で成膜が可能なプレポリマー型のポリイミドが好ましく用いられる。さらに、取り扱いの容易性から、溶媒に可溶なポリイミドであることが好ましい。例えば、溶剤に溶かしたポリイミドのプレポリマーを高分子液晶膜3の上に塗布し、低温での熱処理によって溶剤を除去した後、さらに、高温での熱処理によって重合を進行させる。これにより、ポリイミドからなる第1の保護膜4を形成することができる。
ポリイミドとしては、具体的には、芳香族の酸無水物とジアミンの重縮合で得られる全芳香族ポリイミドまたは熱硬化型のビスマレイミド系ポリイミドなどが挙げられる。上述したように、本実施の形態においては、ポリイミドのプレポリマー、すなわち、中間重合体から閉環反応によって得られるものが好ましく用いられる。ここで、プレポリマーとしては、例えば、ジアミンと酸二無水物の縮重合反応で得られる、ポリアミド酸などが挙げられる。
プレポリマーの原科モノマーとしては、公知のポリイミド原料としての酸無水物およびジアミンを用いることができる。具体的には、酸無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物またはベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。一方、ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
本実施の形態においては、プレポリマーを重合することによってホモポリマーを合成してもよい。また、数種のモノマーからなる共重合体を合成してもよい。さらに、ジカルボン酸、ジオールおよびそれらの誘導体などを共重合して、ポリアミドイミド、ポリエステルアミドイミドまたはポリエステルイミドのプレポリマーとして使用することも可能である。
また、本実施の形態においては、プラズマCVD法などによって、高分子液晶膜3の上に、有機シロキサンからなる第1の保護膜4を形成してもよい。例えば、シロキサン結合(Si−O−Si)を有する有機シリコン化合物のモノマーを、200℃以下の温度でプラズマ重合し、得られた有機無機ハイブリッド膜を保護膜として用いることができる。ここで、有機無機ハイブリッド膜は、有機ポリマーの母相にシロキサン部位が埋め込まれた構造の膜とすることができる。
有機シロキサンとしては、分子骨格にSi−O結合を含んでおり、シリコンアルコキシド、鎖状シロキサンまたは環状シロキサンなどの構造を有する材料を用いることができる。ここで、シリコンアルコキシドは、SiR(Rは、個々に異なっていてもよいアルキル基またはアルコキシ基。但し、少なくとも1つはアルコキシ基。)である。鎖状シロキサンは、R(RSiO)mSiR(Rは、個々に異なっていてもよいアルキル基またはアルコキシ基。但し、少なくとも1つはアルコキシ基。mは、1以上の整数。)である。環状シロキサンは、(RSiO)n(Rは、個々に異なっていてもよいアルキル基またはアルコキシ基。但し、少なくとも1つはアルコキシ基。nは、3以上の整数。)である。
第1の保護膜4を形成した後は、この上に第1のレジスト5を設ける。そして、フォトリソグラフィ法によって、第1のレジスト5を所定の形状にパターニングする。これにより、図2に示す構造が得られる。
第1のレジスト5は、所望とする高分子液晶膜3のパターンに対応させて加工する。例えば、本実施の形態による高分子液晶膜の加工方法を用いて、バイナリブレーズ型の回折格子を作製する場合、高分子液晶膜3は、ブレーズ型の1周期の表面形状が、階段状に形成されたバイナリ型の表面形状で近似されるように加工される。そして、第1のレジスト5は、この階段形状の最上段8Aとその2段下の段8Cのパターンに対応させてパターニングされる。すなわち、第1のレジスト5は、高分子液晶膜3の最上段8Aと、その2段下の段8Cとを被覆するパターンとなるように加工される。
第1のレジスト5をパターニングした後は、第1のレジスト5をマスクとして、第1の保護膜4および高分子液晶膜3に対し反応性イオンエッチングを行う。これにより、図3に示す構造が得られる。エッチング工程では、第1のレジスト5に対するエッチング速度が遅く、第1の保護膜4と高分子液晶膜3に対するエッチング速度が速いガスが用いられる。尚、第1の保護膜4と高分子液晶膜3との間のエッチング選択比は、特に問題にされない。したがって、例えば、これらの間の選択比は1:1であってもよい。
次に、適当な薬剤を用いて、第1のレジスト5と第1の保護膜4を除去する。これらは、単一の薬剤によって除去してもよいし、それぞれ異なる薬剤を用いて除去してもよい。これにより、表面に凹凸を有する高分子液晶膜3が得られる(図4)。図4において、高分子液晶膜3は、2段の階段形状となっている。
次に、高分子液晶膜3の上に、凹凸を被覆するようにして、第2の保護膜6を形成する。第2の保護膜6は、第1の保護膜4と同様のものを用いることができる。これにより、図5に示す構造が得られる。
次いで、第2の保護膜6の上に第2のレジスト7を設けた後、フォトリソグラフィ法によって、第2のレジスト7を所定の形状にパターニングする。これにより、図6に示す構造が得られる。尚、第2のレジスト7は、第1のレジスト5と同じ材料からなるものを用いてもよいが、第1のレジスト5とは異なる材料からなるものを用いることもできる。
第2のレジスト7のパターンも、所望とする高分子液晶膜3のパターンに対応させて形成する。例えば、本実施の形態による高分子液晶膜の加工方法を用いて、バイナリブレーズ型の回折格子を作製する場合、高分子液晶膜3は、上述したように、ブレーズ型の1周期の表面形状が、階段状に形成されたバイナリ型の表面形状で近似されるように加工される。この場合、第1のレジスト5は、高分子液晶膜3に、階段形状の最上段8Aとその1段下の段8Bを形成し、さらにその下の2段8C,8Dを予備形成するのに使用される。そして、第2のレジスト7は、高分子液晶膜3に、段8C,8Dを設けるのに使用される。このため、第2のレジスト7は、高分子液晶膜3の最上段8Aと、その1段下の段8Bとを被覆するパターンとなるようにパターニングされる。
本実施の形態においては、図1に示す高分子液晶膜3によって、ブレーズ型の2周期分の表面形状が形成される。すなわち、図1の左側半分の高分子液晶膜3は、4段の階段形状に加工される。同様に、右側半分の高分子液晶膜3も、4段の階段形状に加工される。図4までの工程で、最上段8Aと、その1段下の段8Bとが形成されているので、第2のレジスト7を用いて、さらに下の2段8C,8Dが形成されることになる。具体的には、高分子液晶膜3において、図4の左から2つ目の凸部とこれに隣接する右側の凹部、さらに、左から4つ目の凸部とこれに隣接する右側の凹部が加工されて、段8C,8Dが形成されることになる。したがって、第2のレジスト7は、最上段8Aと、その1段下の段8B、すなわち、図4の一番左端の凸部とこれに隣接する右側の凹部、さらに、左から3つ目の凸部とこれに隣接する右側の凹部を被覆するパターンとなるように加工される。
次に、第2のレジスト7をマスクとして、第2の保護膜6と高分子液晶膜3に対して反応性イオンエッチングを行う。これにより、図7の構造が得られる。尚、この場合も、第2のレジスト7に対するエッチング速度が遅く、第2の保護膜6と高分子液晶膜3に対するエッチング速度が速いガスが用いられる。また、第2の保護膜6と高分子液晶膜3との間のエッチング選択比も特に問題にされないので、例えば、これらの間の選択比が1:1であっても構わない。
その後、適当な薬剤を用いて、第2のレジスト7と第2の保護膜6を除去する。第1の保護膜4の場合と同様に、これらは、単一の薬剤によって除去してもよいし、それぞれ異なる薬剤を用いて除去してもよい。これにより、図8に示す構造が得られる。
以上の工程によって、高分子液晶膜3を4段の階段形状に加工することができる。尚、本発明において、ブレーズ型の1周期を構成する階段の数は任意とすることができ、必ずしも4段に限られるものではない。上記の工程をさらに繰り返すことによって、より多くの段数を有する階段形状とすることができる。
このように、本実施の形態においては、従来のSiO膜に代えて、有機材料を主成分とする保護膜を高分子液晶膜の上に形成する。この構成によれば、保護膜のエッチング速度と高分子液晶膜のエッチング速度との間に大きな差がないので、レジストをマスクとして、これらを同じようにエッチングすることができる。これにより、次のような効果が得られる。
高分子液晶膜の上にSiO膜を設けた場合には、両者のエッチング速度が異なるために、例えば、フッ化炭素系のガスを用いてSiO膜をエッチングした後に、酸素ガスまたは酸素を含むガスに変えて、高分子液晶膜をエッチングすることが必要となる。一方、本実施の形態によれば、保護膜と高分子液晶膜とを、同じガスを用いて、連続した1工程でエッチングすることができる。すなわち、保護膜と高分子液晶膜に対して、それぞれ別々にエッチングを行う必要がない。したがって、SiO膜を用いる場合に比較して、プロセスを簡略化することができる。
また、SiO膜を用いた場合には、高分子液晶膜のエッチング速度に比べてSiO膜のエッチング速度の方が遅いために、高分子液晶膜のエッチングを終えた後も部分的にSiO膜が残存する。この内、高分子液晶膜の側壁部に設けられたSiO膜は、高分子液晶膜がエッチングで消失した後も残存することによって、突起部を形成することとなる。これに対して、本実施の形態によれば、高分子液晶膜のエッチングとともに保護膜もエッチングされるので、上記のような突起部の形成を回避して、高分子液晶膜を階段形状に加工することが可能となる。
本発明において、高分子液晶膜の形成に用いられる重合性化合物としては、例えば、主鎖に重合性液晶化合物が用いられているものや、側鎖に重合性液晶化合物が用いられているものなどが挙げられる。すなわち、光学的異方性を有する高分子膜、または、電圧印加により光学的特性が変化する高分子膜となるものである。
代表的な重合性化合物としては、2つの末端基AおよびAと、中央部分に複数の環を有する基Xとからなる鎖状の化合物(A−X−A)が挙げられる。
末端基AおよびAの少なくとも一方は、重合可能な構造であるとする。具体的には、CH2=CR1−COO−L−などが挙げられる。ここで、R1は、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基である。また、Lは、単結合、アルキレン基(−(CH−)またはアルキレンオキシ基(−(CH−O−)である。但し、pは1〜8の整数を意味する。
Xは、フェニレン、シクロヘキシレン、ナフタレンおよびアントラセンなどの環構造を複数有していて、環の端または環と環との間が、単結合、−COO−、−OCO−、または、アルキレン基若しくはアルキレンオキシ基を有する構造である。環の炭素原子の一部が、酸素原子、窒素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。また、一部の水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基またはメチル基で置換されていてもよい。環の数は、通常は2個〜4個である。
Xの環の具体例としては、以下のような構造が挙げられる。但し、Phは、1,4−フェニレン基であり、Cyは、トランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、Nhは、ナフタレン−1,4−ジイル基またはナフタレン−1,5−ジイル基であり、Anは、アントラセン−1,4−ジイル基、アントラセン−1,5−ジイル基、アントラセン−1,10−ジイル基、アントラセン−4,9−ジイル基、アントラセン−5,9−ジイル基またはアントラセン−9,10−ジイル基である。
−Ph−Ph−
−Ph−(CH−Ph−
−Ph−OCO−Ph−
−Ph−Cy−
−Ph−OCO−Cy−
−Ph−Ph−Ph−
−Ph−Ph−Cy−
−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−
−Ph−COO−Ph−OCO−Cy−
−Nh−Ph−
−Nh−OCO−Ph−
−Nh−OCO−Cy−
−An−Ph−
−An−OCO−Ph−
−An−OCO−Cy−
−Ph−Ph−Ph−Cy−
−Ph−Ph−Cy−Cy−
−Ph−Cy−Ph−Ph−
末端基AおよびAのいずれか一方は、重合可能な構造でなくてもよい。その場合、炭素数が1〜8のアルキル基、アルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子とされる。
高分子液晶膜の形成に用いられる重合性化合物の具体例としては、以下のような化合物がある。
CH=CH−COO−Ph−Ph−CN
CH=CH−COO−Ph−Ph−n-C37
CH=CH−COO−Cy−Cy−CN
CH=CH−COO−Cy−Cy−n-C37
CH=CCH−COO−Ph−Ph−CN
CH=CH−COO−(CH−Ph−Ph−CN
CH=CH−COO−(CH−O−Ph−Ph−CN
CH=CH−COO−Ph−OCO−Ph−n-C37
CH=CCH−COO−Ph−OCO−Ph−n-C37
CH=CH−COO−Ph−OCO−Cy−n-C37
CH=CH−COO−(CH−O−Cy−Cy−n-C37
CH=CH−COO−Ph−OCO−Ph−n-C511
CH=CH−COO−Nh−OCO−Cy−n-C
CH=CH−COO−Ph−Cy−Ph−n-C37
CH=CH−COO−Ph−Ph−Cy−n-C37
CH=CH−COO−Nh−OCO−Cy−Cy−n-C
CH=CH−COO−Cy−OCO−Cy−Ph−Cy−n-C37
CH=CH−COO−(CH−O−Ph−Cy−Ph(CH)−Ph−n-C37
(但し、−Ph(CH)−は、1位または4位以外の位置の水素原子がメチル基で置換されている。)
CH=CH−COO−(CH−O−Ph−Cy−Ph−Ph−F
CH=CH−COO−(CH−O−Ph−Cy−Ph−PhF−F
(但し、−PhF−Fは、末端がフッ素原子であって、1位または4位以外の位置の水素原子がフッ素原子で置換されている。)
CH=CH−COO−Ph−Ph−OCO−CH=CH
CH=CH−COO−(CH−O−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−O−(CH−OCO−CH=CH
このような重合性化合物は、1種類で、または、複数種類を混合して、重合性液晶組成物として使用される。この重合性液晶組成物は、特定の温度で液晶性を示せばよい。尚、重合性液晶組成物中には、重合性非液晶化合物が含まれていてもよいが、その使用量は、重合性液晶組成物に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
重合性液晶組成物は、重合反応を円滑に進行させるために、重合開始剤を含有していることが好ましい。重合開始剤としては、例えば、過酸化物およびアゾ化合物などの熱重合開始剤並びにアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類およびチオキサントン類などの光重合開始剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、重合開始剤の量は、重合性液晶組成物に対して0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.3質量%〜2質量%がより好ましい。
また、重合性液晶組成物は、安定剤や紫外線吸収剤などを含有していてもよい。安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類または第三ブチルカテコール類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、安定剤や紫外線吸収剤等の含有量は、それぞれ重合性液晶組成物に対して1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
実施の形態2.
実施の形態1で述べた高分子液晶膜の加工方法を用いて、光学素子を作製することができる。光学素子としては、階段状のバイナリブレーズ型の回折格子や液晶レンズ素子などが挙げられる。
図9は、本実施の形態による回折格子の断面模式図である。
図9に示すように、回折格子11は、第1の透明基板12と、これに対向する第2の透明基板13とを有する。
第1の透明基板12の裏面には、第1の低反射膜14が形成されている。一方、第2の透明基板13の表面には、配向処理が施された第1の配向膜15と、高分子液晶膜16とが形成されている。そして、高分子液晶膜16は、実施の形態1で述べた方法を用いて、階段形状に加工されている。
一方、第2の透明基板13の裏面には、第2の低反射膜17が形成されている。そして、第1の透明基板12の表面と第2の透明基板13の表面とは、等方性充填材18を介して貼り合わされている。
等方性充填材18は、高分子液晶膜16を構成する高分子液晶の常光屈折率または異常光屈折率に等しい屈折率を有する材料からなる。等方性充填材18の屈折率が常光屈折率に等しい場合、回折格子11は、常光屈折率方向の偏光を回折せずに、この光を高い透過率で透過させる。一方、異常光屈折率方向の偏光に対しては、高い回折効率で回折する。等方性充填材18を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などが用いられる。
本実施の形態の回折格子によれば、高分子液晶膜16の表面に大きな突起部が見られないので、高い回折効率を得ることができる。
図10は、図9の回折格子を用いた光ヘッド装置の構成図の一例である。
図10に示す光ヘッド装置21では、光源である半導体レーザ22から出射された光は、回折格子11を透過し、対物レンズ23によって光ディスク24に集光される。次いで、光ディスク24で反射した光は、再び対物レンズ23を透過した後に、回折格子11によって回折されて、受光素子25に到達する。
図10では、回折格子11は、ホログラムビームスプリッタとして機能する。そして、回折格子11と光ディスク24との間に、1/4波長板26を挿入することにより、半導体レーザ22から出射された直線偏光の偏光方向を、往路と復路とで90度回転させることができる。これにより、往路の偏光方向の光に対しては透過率を高めることができ、復路の偏光方向の光に対しては回折効率を高めることができるので、光ヘッド装置21の全体としての光の利用効率をさらに向上させることができる。
尚、本発明による高分子液晶膜の加工方法は、他の光学素子や光ヘッド装置にも適用することが可能である。例えば、本出願人による特願2004−304249号には、鋸歯状のフレネルレンズ部を有する液晶レンズ素子を備えた光ヘッド装置が記載されている。この鋸歯を階段形状で近似する際にも、本発明による高分子液晶膜の加工方法が好ましく用いられる。
さらに、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
例えば、高分子液晶膜以外の光学異方性膜であっても、この膜と同等の速度でエッチングすることのできる保護膜をレジストとの間に設けることにより、本発明の効果を得ることができる。但し、保護膜に対しては、(1)光学異方性膜にダメージを与えるおそれのある温度より低い温度で成膜できること、(2)レジストを現像する際に用いられるアルカリに対して耐性があること、(3)光学異方性膜に大きなダメージを与えずに除去できることが求められる。
以下、本発明の実施例および比較例について述べる。
実施例.
まず、直径が5インチで、厚さが0.525mmである石英基板を2枚準備した。次いで、これらの石英基板の上に、それぞれポリイミド配向膜を形成した。そして、配向膜に対して、それぞれラビング法による水平配向処理を行った。さらに、これらの石英基板の一方に対して離型処理を行った。
次に、上記の石英基板を互いに重ね合わせて接着し、空セルを組み立てた。この際、離型処理された面と、配向膜が形成された面とが、互いに内側を向くようにして重ね合わせた。また、石英基板間の距離は3μmとなるようにした。
次に、真空注入法を用いて、上記の空セルに、光硬化性の重合性液晶組成物を注入した。そして、石英基板を介して紫外線を照射することによって、重合性液晶組成物を重合させた後、さらに、160℃で20分間の加熱処理を行った。これにより、重合性液晶組成物は完全に固化した。次いで、離型処理を行った基板を除去すると、配向膜が形成された石英基板上に、さらに、厚さ3μmの高分子液晶膜が形成された構造を得ることができた。
重合性化合物として、本出願人による特願2005−301138号に記載の下記化合物(1)と(2)を用いた。これらをそれぞれ50モル%ずつ混合した後、重合開始剤として、チバスペシャリティーケミカルズ社製の「イルガキュア754」を添加して重合性液晶組成物とした。尚、重合開始剤の添加量は、重合性液晶組成物に対して0.5質量%とした。
Figure 2008003187
Figure 2008003187
次に、酸素ガスを用いて、高分子液晶膜に対して反応性イオンエッチングを行い、高分子液晶膜を0.1μm程度エッチングした。その後、この高分子液晶膜の上に、γ―ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテルおよびN−メチル−2−ピロリドンを溶媒とする可溶性ポリイミドをスピンコータを用いて塗布した。次いで、80℃で1分間のプリベークを行った後、さらに、120℃で2時間の焼成を行った。これにより、厚さが約500Åであるポリイミドの保護膜が形成された。
次に、保護膜の上に、乳酸エチルと酢酸ブチルを溶媒とするノボラック樹脂系のレジストをスピンコータを用いて塗布した。次いで、フォトリソグラフィ法により、このレジストを、7μm〜50μmの範囲で異なる線幅を有する同心円状のパターンに加工した。この際、レジストの現像液としては、東京応化工業株式会社製の現像液(商品名:NMD−W)を用いた。
次に、上記のレジストをマスクとし、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチングによって、保護膜および高分子液晶膜を0.35μm程度エッチングした。その後、東京応化工業株式会社製の剥離液(商品名:104)を用いて、残存しているレジストと、保護膜とを一緒に除去した。これにより、高分子液晶膜を、レジストのパターンに対応した7μm〜50μmの線幅を有し、深さが0.35μmである同心円状のパターンに加工できた。
続いて、高分子液晶膜のパターンの上に、上記と同じ保護膜を形成した。次いで、この保護膜の上に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを溶媒とするノボラック樹脂系のレジストをスピンコータを用いて塗布した。次いで、フォトリソグラフィ法により、このレジストを、14μm〜100μmの範囲で異なる線幅を有する同心円状のパターンに加工した。このとき、レジストパターンの線幅方向の一方の端部が、先のレジストパターンで同じ方向の一方の端部と重なるようにマスクの位置合わせを行った。また、レジストの現像液としては、東京応化工業株式会社製の現像液(商品名:NMD−W)を用いた。
次に、上記のレジストをマスクとし、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチングによって、保護膜および高分子液晶膜を0.7μm程度エッチングした。その後、東京応化工業株式会社製の剥離液(商品名:104)を用いて、残存しているレジストと、保護膜とを一緒に除去した。これにより、高分子液晶膜を、レジストのパターンに対応した7μm〜50μmの線幅を有し、深さが0.7μmである同心円状のパターンに加工できた。
さらに、高分子液晶膜のパターンの上に、上記と同じ保護膜を形成した。次いで、この保護膜の上に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを溶媒とするノボラック樹脂系のレジストをスピンコータを用いて塗布した。次いで、フォトリソグラフィ法により、このレジストを、28μm〜200μmの範囲で異なる線幅を有する同心円状のパターンに加工した。このとき、レジストパターンの線幅方向の一方の端部が、先の2つのレジストパターンで同じ方向の一方の端部と重なるようにマスクの位置合わせを行った。また、レジストの現像液としては、東京応化工業株式会社製の現像液(商品名:NMD−W)を用いた。
次に、上記のレジストをマスクとし、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチングによって、保護膜および高分子液晶膜を1.4μm程度エッチングした。その後、東京応化工業株式会社製の剥離液(商品名:104)を用いて、残存しているレジストと、保護膜とを一緒に除去した。これにより、高分子液晶膜を、レジストのパターンに対応した28μm〜200μmの線幅を有し、深さが1.4μmである同心円状のパターンに加工できた。
以上の工程によって、高分子液晶膜を、階段状の表面形状(バイナリブレーズ型の表面形状)を有するフレネルレンズ形状に加工できた。そして、得られた高分子液晶膜の表面には、従来法で見られた突起部は観察されなかった。
比較例.
実施例と同様にして、石英基板の上に、配向処理が施された配向膜と、高分子液晶膜とを順に形成した。高分子液晶膜の厚さは、実施例と同様に3μmであった。
次いで、高分子液晶膜の上に、乳酸エチルと酢酸ブチルを溶媒とするノボラック樹脂系のレジストをスピンコータを用いて塗布した。次いで、フォトリソグラフィ法により、このレジストをパターニングしようとしたところ、高分子液晶膜とレジストとの反応によってレジストの感光性が著しく低下し、実施例の4倍程度の長さの露光時間を要した。また、東京応化工業株式会社製の現像液(商品名:NMD−W)を用いてレジストの現像を行うと、高分子液晶膜の膜厚が0.1μm程度減少した。
次に、上記のレジストをマスクとし、酸素ガスを用いた反応性イオンエッチングによって、高分子液晶膜を0.35μm程度エッチングした。その後、東京応化工業株式会社製の剥離液(商品名:104)を用いて、残存しているレジストを除去したところ、高分子液晶膜の膜厚が0.15μm程度減少した。
このように、レジストの現像および剥離工程で、高分子液晶膜の膜厚が大きく減少するため、所望とするフレネルレンズ形状に高分子液晶膜を加工することができなかった。
実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態1における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 実施の形態2における発光素子の断面模式図である。 実施の形態2における光ヘッド装置の構成図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。 従来法における高分子液晶膜の加工方法を説明する図である。
符号の説明
1,101 透明基板
2,102 配向膜
3,103 高分子液晶膜
4 第1の保護膜
5,105 第1のレジスト
6 第2の保護膜
7,107 第2のレジスト
104 第1のSiO
106 第2のSiO
108 突起部
11 回折格子
12 第1の透明基板
13 第2の透明基板
14 第1の低反射膜
15 第1の配向膜
16 高分子液晶膜
17 第2の低反射膜
18 等方性充填材
21 光ヘッド装置
22 半導体レーザ
23 対物レンズ
24 光ディスク
25 受光素子

Claims (6)

  1. 配向処理された透明基板の上に高分子液晶膜を形成する第1の工程と、
    前記高分子液晶膜の上に、有機材料を主成分とする保護膜を形成する第2の工程と、
    前記保護膜の上に所定の形状のレジストを形成する第3の工程と、
    前記レジストをマスクとして、前記保護膜と前記高分子液晶膜をエッチングする第4の工程とを有し、
    前記第2の工程から前記第4の工程までを繰り返して、前記高分子液晶膜を階段形状に加工する高分子液晶膜の加工方法。
  2. 前記第4の工程の後に、前記レジストおよび前記保護膜を除去する第5の工程をさらに有し、
    前記第2の工程から前記第5の工程までを繰り返して、前記高分子液晶膜を階段形状に加工する請求項1に記載の高分子液晶膜の加工方法。
  3. 前記透明基板の上には、配向処理された配向膜が形成されていて、
    前記高分子液晶膜は、前記配向膜の上に形成される請求項1または2に記載の高分子液晶膜の加工方法。
  4. 前記保護膜はポリイミド膜または有機シロキサン膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子液晶膜の加工方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を用いて加工された高分子液晶膜を有する光学素子。
  6. 請求項5に記載の光学素子を有する光ヘッド装置。
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