JP3982025B2 - 回折素子の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、CD−ROM、ビデオディスクなどに用いられる光ディスクや光磁気ディスクなどの光記録媒体に対して光学的情報を書き込んだり、光学的情報を読み取るための光ヘッド装置に使われる回折素子の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクおよび光磁気ディスクなどの光記録媒体に光学的情報を書き込んだり、光記録媒体から光学的情報を読み取ったりするのに光ヘッド装置が用いられる。光ヘッド装置は、ディスク状の光記録媒体の記録面から反射された信号光を光検出部へ導光(ビームスプリット)するための光学部品(回折素子)を備えているが、この光学部品としては、従来、回折格子またはホログラム素子を用いたものと、プリズム式ビームスプリッタを用いたものとが知られていた。
【0003】
光ヘッド装置用の従来の回折格子またはホログラム素子は、ガラスやプラスチックの基板上に、矩形の断面を有するレリーフ状の格子ストライプをドライエッチング法または射出成形法によって形成したものであり、格子ストライプで光を回折しビームスプリット機能を付与するようにしていた。
【0004】
これらの回折格子またはホログラム素子のうち、ドライエッチング法を用いるものの例を図4に示す。ここで、図4は、ドライエッチング法を用いた回折格子またはホログラム素子の作製過程を示す側方断面図である。
【0005】
図4(a)に示すような、下面側に低反射コート1を施されたガラス基板2そのものの上面、または、ガラス基板2上に蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを用いて成膜されたSiOなどの無機薄膜3の上面に、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィにより、フォトレジストからなる格子形状の有機選択マスク4を作製し、この状態で図4(c)に示すように、ドライエッチングを行って無機薄膜3の部分に無機薄膜3の格子である無機格子5を形成し、さらに、無機格子5の上に残存している有機選択マスク4を除去してから、4(d)に示すように、低反射コート6を施すことにより回折素子を作成し、偏光無依存型の回折素子として使用する。
【0006】
こうした回折素子における光の利用効率を、光利用効率が10%程度の等方性回折素子よりも上げようとする場合には、偏光を利用することが考えられる。
偏光を利用した光利用効率の高いホログラム(回折素子)を備えた光ヘッド装置が特開平9−180236に提案されている。この提案の偏光性回折素子は図5のようにして作製される。ここで、図5は、上記偏光性回折素子の作製過程を示す側方断面図である。
【0007】
まず、図5(a)に示すように、下面側に低反射コート1を施されたガラス基板2上に、後述する液晶7などの複屈折性材料の常光屈折率または異常光屈折率とほぼ等しい屈折率を有する等方性無機薄膜8を成膜し、つぎに、図5(b)に示すように、フォトリソグラフィにより、等方性無機薄膜8の上に、フォトレジストからなる格子形状の有機選択マスク4を作製し、この状態で、図5(c)に示すように、ドライエッチングを行って無機格子9を形成し、さらに、無機格子9の上に残存した有機選択マスク4を除去してから、図5(d)に示すように、配向膜10を塗布焼成して配向処理を施した後、同様の配向処理を実施した配向膜11を有する対向基板12を向かい合わせるとともに、シール材13を介在させて熱圧着し、内部に液晶7などの複屈折性材料を充填し封止することにより回折素子を作成する。
【0008】
図5の回折素子の場合、回折効率を最適化するためには、前述した図4の偏光無依存型の回折素子の無機格子5よりも無機格子9の格子が深くなるように作製する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記図4、図5のいずれの場合にも、エッチング深さのばらつきを制御し生産性を上げるために、基板2上に有機選択マスク4や無機薄膜3、8などの加工層(被エッチング層)を成膜して、加工層と基板2とのエッチング速度の差を利用する方式が多く用いられているが、加工層としての無機薄膜3、8は成膜に時間がかかりかつ無機薄膜3、8は硬いことから、特に無機格子9を深くするために無機薄膜8などの加工層を厚くするという場合には、無機薄膜8などの加工層を形成するための真空プロセスが長くなり、また、無機格子9の凹部を深くするためのエッチングにも時間がかかって、生産性に問題があった。
【0010】
また、上記いずれの方式においても、通常の反応性イオンエッチング装置を用いた場合は、フォトレジストからなる有機選択マスク4と加工層である無機薄膜3、8とのエッチング速度に大きな差が付けにくいことから、加工層の目標加工深さと同じかまたは2倍程度の膜厚の厚いフォトレジストからなる有機選択マスク4が必要となり、フォトレジストからなる有機選択マスク4の膜厚を厚くした場合には、特にアスペクト比の高い格子形状(狭ピッチで深い格子形状)を加工することに問題がある。
【0011】
したがって、たとえば、1.5μm程度の深い格子を有する回折素子を作製する場合に、生産性をさらに向上させようとすると、加工層の成膜およびドライエッチングのために真空装置で長時間要していたプロセスを、いかに短縮、簡略化させるかが重要となる。
【0012】
また、上記図5の偏光性回折素子の場合に、通常の液晶7は、格子ストライプにおける凹凸部の延長方向、すなわち、格子ストライプ方向に沿って配向するため、格子ストライプ方向と直交する偏光に対しては液晶7の常光屈折率が対応し、格子ストライプ方向と平行な偏光に対しては液晶7の異常光屈折率が対応することになる。したがって、上記光ヘッド装置では、入射光の偏光方向に対して格子ストライプ方向は平行または垂直のいずれかで、かつ、回折素子内でほぼ一様な方向しかとれないという制約があった。また、格子ストライプが部分的に曲率を持つ場合には、曲率の大小によって回折効率が異なるという問題もあった。
【0013】
本発明は、上述の各問題を解決し、生産性を向上しうるようにした回折素子の作製方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基板上に形成された有機薄膜の表面に、感光性有機材料または無機材料からなる選択マスクを作製し、基板の加工速度に対して有機薄膜の加工速度が大きい反応ガスを利用して選択的にエッチングすることにより、エッチング部分の有機薄膜を完全に除去し、有機格子を形成することを特徴とする回折素子の作製方法を提供する。また、有機薄膜の選択マスクとして無機系薄膜を使用し、該無機系薄膜に対して4倍以上のエッチング速度で有機薄膜を加工できる反応ガスをエッチングに用いる上記に記載の回折素子の作製方法を提供する。また、有機薄膜のエッチング速度が基板のエッチング速度の30倍以上の反応ガスをエッチングに用いる、上記に記載の回折素子の作製方法を提供する。
【0015】
また、有機系材料からなる基板の表面に、無機材料からなる選択マスクを作製し、前記無機材料からなる選択マスクの加工速度に対して前記有機系材料からなる基板の加工速度が大きい反応ガスを利用して選択的にエッチングすることにより有機格子を形成することを特徴とする回折素子の作製方法を提供する。また、前記反応ガスとしてを含む混合ガスによりエッチングする上記に記載の回折素子の作製方法を提供する。また、有機格子が複屈折材料である上記に記載の回折素子の作製方法を提供する。さらに、有機格子の凹部を、有機格子の常光屈折率または異常光屈折率と等しい屈折率を有する等方性媒体で充填する上記に記載の回折素子の作製方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、透明基板上に均一な有機薄膜を形成するか、または、有機系材料からなる基板を用いる。
この際、有機薄膜が等方性の有機系材料である場合には、透明基板に等方性の有機系材料を直接塗布することによって形成できる。有機薄膜が複屈折性有機薄膜である場合には、複屈折の方向を揃えるために配向能力のある膜(配向膜)を成膜するなどの前処理を施すことが望ましい。複屈折性有機薄膜は光硬化性を有する高分子液晶などで構成する。
【0017】
これらの有機薄膜は、真空を用いるプロセスを使用することなく容易に形成でき、特に厚さ数μmの厚い膜を形成する場合に、成膜時間を大幅に短縮できる。また、有機薄膜は、加工も容易であるため、加工時間を短縮できる。したがって、深い格子を形成する場合の生産性を上げうる。
【0018】
この有機薄膜に対して、感光性有機材料であるフォトレジストからなる有機選択マスクを形成する。
この場合に、フォトリソグラフィによって、有機薄膜の上にフォトレジストからなる格子形状の有機選択マスクを直接形成できる。しかし、被エッチング材料である有機薄膜とフォトレジストからなる有機選択マスクとはいずれも有機系材料であるため、反応性イオンエッチングを行ったときの両者のエッチング速度に大きな差を持たせることが困難であることから、低アスペクト比の格子形状(広ピッチで浅い格子形状)を得る場合にこの方法を使うようにするのがよい。
【0019】
これに対し、高アスペクト比の格子形状を得る必要がある場合には、反応性イオンエッチングを行ったときのエッチング速度に大きな差を持たせうる無機材料からなる無機選択マスクを使用する方法が適している。
【0020】
具体的には、成膜した有機薄膜の上に、さらに、SiOなどの無機材料を50nm程度成膜する。成膜方法は低温で緻密なものが形成できるような方法が適しており、室温下でのスパッタ法などを利用するのが好ましい。そして、成膜したSiO上に通常のフォトリソグラフィにより格子形状のフォトレジストからなる有機選択マスクを形成する。この際、加工層が薄いSiOの無機薄膜であるため、フォトレジストからなる有機選択マスクを1μm以下の薄いものとすることができ、フォトレジストからなる有機選択マスクが薄くなることによって狭ピッチの格子形状を形成することが容易となる。
【0021】
このフォトレジストをマスクとし、CF、C、C、CHFなどのフッ化炭素系のガスを反応ガスとして、SiOなどの無機薄膜のエッチングを行い、有機薄膜加工用のSiOからなる無機選択マスクを作製する。
そして、SiOからなる無機選択マスクと有機薄膜に対しては、特にO系のガスを用いてアッシング処理(灰化処理)を行ったときに、加工速度に大きな差が得られる。
【0022】
このため、フッ化炭素系の反応ガスを用いてSiOの無機選択マスクを形成した後に、継続して反応ガスを、フッ化炭素系の反応ガスとは別の、O単体またはOを含む混合ガス(Oの混合量を50%以上とするのが好ましい)に変更し、有機薄膜の加工へ移行する。このプロセスでは、SiOなどの無機系薄膜を加工する4倍以上の速度で有機薄膜に格子を加工できるため、プロセス時間を短縮して加工性を上げうる。
【0023】
また、フォトレジスト/無機薄膜のエッチング速度と比較して、SiOの無機選択マスク/有機薄膜のエッチング速度の比が大きいため、選択マスクのサイドエッチングを抑制し、急峻な格子形状を得ることができる。さらに、有機薄膜のエッチング速度が基板のエッチング速度の30倍以上となるような有機薄膜を選定し、オーバーエッチングを掛けることにより、有機薄膜のエッチング速度と基板のエッチング速度の差を利用して、エッチングの深さのばらつきを制御できる。また、SiO無機選択マスクの作製に用いたフォトレジストは、有機薄膜の加工時にそのほとんどが同時に除去されるため、フォトレジストを剥離する工程を省略することもできる。
【0024】
また、有機系複屈折性膜を用いた偏光性の回折素子を作製する場合には、本発明の作製方法によって、光硬化性を有する高分子液晶膜で有機格子を形成し、高分子液晶による有機格子に等方性媒体を充填すればよい。この場合、入射光の偏光方向はこの高分子液晶の配向方向にのみ依存するが、格子ストライプの方向は高分子液晶膜に対して任意の方向を選べるという利点があり、また、素子内に複数の方向を有する格子ストライプを形成することもできる。
【0025】
上記の方法で作製した有機格子を有する回折素子は、従来の無機格子を有する回折素子に比べて低コストで簡便に作製でき、特に、複屈折性有機薄膜を用いて偏光性の回折素子を作製する場合には、格子ストライプパターンのデザインに対する自由度も高いというメリットがある。
【0026】
本発明の回折素子の作製方法は、反対側の面に別の加工を施してもよく、たとえば、反対側の面に別の回折素子を形成した場合には、3ビーム法によるトラッキングエラーの検出ができる好ましいものとなる。また、位相差板や波長選択フィルタなどの回折素子以外の機能を有する薄膜を反対側の面に加工して複層一体化することにより、小型軽量の回折素子を作製できる。
【0027】
本発明により作製される素子が搭載される光ヘッド装置が用いられる光記録媒体は、光により情報を記録したり読み取ったりすることができる媒体である。その例としてはCD、CD−ROM、DVDなどの光ディスク、および光磁気ディスク、相変化型光ディスクなどが挙げられる。
【0028】
【実施例】
[実施例1]
実施例1を図1を参照しつつ説明する。ここで、図1は、等方性の有機格子を有する回折素子の作製過程を示す側方断面図である。図1(a)に示すように、光記録媒体側の面(図中下側の面)に低反射コート14を施された直径3インチ、厚さ0.5mmのガラス基板15を用意し、ガラス基板15の光源側の面(図中上側の面)に、光重合開始剤としてベンゾインイソプロピルエーテルを1重量%混合したフェノキシエチルアクリレートをスピンコート法により塗布し、フェノキシエチルアクリレートに光量3000mJの紫外光を照射して厚さ0.25μmのアクリルポリマー系の有機薄膜16を形成し、さらに、140℃にて30分間のアニール(焼鈍処理)を実施した。
【0029】
その後、図1(b)に示すように、フォトリソグラフィにより、ピッチが20μmの格子を有する感光性有機材料のフォトレジストからなる有機選択マスク17を形成した。
そして、図1(c)に示すように、流量80SCCMのOガスと、流量20SCCMのArガスとの混合ガス(反応ガス)を用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で10分間のエッチング(アッシング)を行い、アクリルポリマーの深さが0.25μm、ピッチが20μmのアクリル系有機格子18を作製した。
【0030】
つぎに、図1(d)に示すように、残存したフォトレジストからなる有機選択マスク17を除去した後、スパッタ法によりSiOの保護膜19を約20nm成膜し、その上に低反射コート20を施した。最後に、切断して、外径4mm×4mm、厚さ約0.5mmの回折素子を作製した。
【0031】
以上によって作製された回折素子の特性を調べたところ、光源としての半導体レーザからの波長650nmの光に対して66%の透過率が得られることが確認された。また、位相差板を用いた場合に、+1次回折光の回折効率は12%、−1次回折光の回折効率は11%、合計23%であることが確認された。
そして、透過光の波面収差は、回折素子の光の入出射面の中心部(直径2mmの円形の範囲)で、0.025λrms(自乗平均)以下であった。
【0032】
[実施例2]
実施例2を図2を参照しつつ説明する。ここで、図2は、複屈折性の有機格子を有する回折素子の作製過程を示す側方断面図である。図2(a)に示すように、光記録媒体側の面(図中下側の面)に低反射コート14を施された直径3インチ、厚さ0.4mmのガラス基板15を用意し、ガラス基板15の光源側の面(図中上側の面)に、ポリイミド配向膜21を形成し、ポリイミド配向膜21にラビングによる水平配向処理を実施した。
【0033】
つぎに、ポリイミド配向膜21の上に、光硬化性を有する液状の液晶材料(液晶性モノマー)を滴下し、離型化処理を施された図示しない水平配向対向ガラス基板を用いて、液状の液晶材料をほぼ水平配向状態にした後に、液状の液晶材料に光量600mJの紫外光を照射して重合を行い、その後、上記の図示しない水平配向対向ガラス基板を離型除去して、厚さ3.5μmの水平配向した高分子液晶の有機薄膜22を形成した。
【0034】
なお、光硬化性を有する液状の液晶材料としては、4’−{ω−(アクリロイルオキシ)アルキルオキシ}シアノビフェニルと、p−[4−{ω−(アクリロイルオキシ)アルキルオキシ}]安息香酸p’−n−アルキルオキシフェニルエステルとを主成分とするものを使用した。さらに、高分子液晶の有機薄膜22に光量3000mJの紫外光を照射し、追加重合を行った後、140℃にて30分間のアニールを実施して高分子液晶の有機薄膜22を完全に固化した。
【0035】
この、高分子液晶の有機薄膜22上に、スパッタ法によりSiOの無機薄膜23を約50nm成膜した。
つぎに、図2(b)に示すように、フォトリソグラフィにより、格子のストライプ方向がポリイミド配向膜21のラビング方向に対して+45゜の角度をなすピッチ6μmの格子を有するフォトレジストからなる有機選択マスク17を形成した。
【0036】
そして、まず、フォトレジストからなる有機選択マスク17を利用し、流量100SCCMのCF ガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件で5分間の反応性イオンエッチングを実施し、SiOの無機薄膜23にレジストマスクパターンを転写し、SiO の無機選択マスク24を作成した。
【0037】
つぎに、図2(c)に示すように、作製したSiOの無機選択マスク24を利用し、流量100SCCMのOガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下でエッチングを行った。
【0038】
このときのエッチングの時間は、面内の平均エッチング速度が毎分200nmであることから、高分子液晶の有機薄膜22の厚さ3.5μmに対し15%のオーバーエッチングが掛かるように、20分間程実施した。これによって、ガラス基板15のエッチング速度と、高分子液晶の有機薄膜22やSiOの無機選択マスク24のエッチング速度との差により、第一のエッチング(反応性イオンエッチング)で残存したフォトレジストからなる有機選択マスク17が除去されると同時に、ピッチが6μmで、深さが3.5μmと揃った高分子液晶の有機格子25が作製された。
【0039】
その後、図2(d)に示すように、今回、高分子液晶の有機薄膜22に用いた高分子液晶(常光屈折率n =1.5、異常光屈折率n =1.6)の、常光屈折率nと等しい屈折率(n=1.5)を有する紫外線硬化型の接着剤を等方性充填材26として、図の上面側に低反射コート20を施された厚さ0.3mmのカバーガラス27に塗布した後、気泡の混入を避けるため、真空中で張り合わせ、光量5000mJの紫外光照射により等方性充填材26を硬化重合させた。最後に切断して、外径4mm×4mm、厚さ約0.5mmの回折素子を作製した。
【0040】
以上によって作製された回折素子の特性を調べたところ、高分子液晶の配向方向と垂直な方向の偏光に対しては、光源としての半導体レーザからの波長650nmの光に対して91%の透過率が得られることが確認された。
【0041】
また、位相差板を用いた場合に、光記録媒体としての光ディスクからの反射光に相当する高分子液晶の配向方向と平行な方向の偏光に対しては、+1次回折光の回折効率が37%、−1次回折光の回折効率が35%で、合計72%であることが確認された。したがって、往復効率は、0.91×0.72=66%となり、実用上充分に高い透過率が得られた。
そして、透過光の波面収差は、回折素子の光の入出射面の中心部(直径2mmの円形の範囲)で、0.025λrms(自乗平均)以下であった。
【0042】
[実施例3]
実施例3を図3を参照しつつ説明する。ここで、図3は、有機系材料からなる基板を用いた回折素子の作製過程を示す側方断面図である。図3(a)に示すように、延伸により複屈折性を持たせた外形50mm角、厚さ0.2mmのポリカーボネートの基板28の光記録媒体側の面(図中下側の面)に低反射コート14を施し、ポリカーボネートの基板28の光源側の面(図中上側の面)にスパッタ法によりSiOの無機薄膜29を約50nm成膜した。
【0043】
つぎに、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィにより格子のストライプ方向がポリカーボネートの基板28における屈折率楕円体の長軸方向に対して45゜の角度をなすピッチ6μmの格子を有するフォトレジストからなる有機選択マスク30を形成した。
そして、まず、図3(c)に示すように、フォトレジストからなる有機選択マスク30を利用し、流量100SCCMのCFガスなどのフッ化炭素系の反応ガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で5分間の反応性イオンエッチングを実施し、SiOの無機薄膜29にレジストマスクパターンを転写し、SiOの無機選択マスク31を作成した。
【0044】
つぎに、図3(d)に示すように、作製したSiOの無機選択マスク31を利用し、流量100SCCMのOガスを用いて、圧力0.2Torr、出力300Wの条件下で40分間エッチングを行い、第一のエッチング(反応性イオンエッチング)で残存したフォトレジストからなる有機選択マスク30を除去すると同時に、ポリカーボネートの基板28に深さ7.0μm、ピッチ6μmの複屈折性有機格子32を作製した。
【0045】
その後、図3(e)に示すように、今回、基板28のために用いたポリカーボネート樹脂(常光屈折率n=1.52、異常光屈折率n=1.57)に対して、常光屈折率n と等しい屈折率(n=1.52)を有する紫外線硬化型の接着剤を等方性充填材33として、図の上面側に低反射コート20を施された厚さ0.3mmのカバーガラス27に塗布した後、光量5000mJの紫外光照射により硬化重合させた。最後に切断して、外径4mm×4mm、厚さ約0.5mmの回折素子を作製した。
【0046】
以上によって作製された回折素子の特性を調べたところ、ポリカーボネートの屈折率楕円体長軸方向と垂直な方向の偏光に対しては、半導体レーザからの波長650nmの光に対して90%の透過率が得られることが確認された。
【0047】
また、位相差板を用いた場合の光記録媒体としての光ディスクからの反射光に相当する屈折率楕円体長軸方向と平行な方向の偏光に対しては、+1次回折光の回折効率が35%、−1次回折光の回折効率が33%で、合計で68%であることが確認された。したがって、往復効率は、0.90×0.68=61%となり、実用上充分に高い効率が得られた。
そして、透過光の波面収差は、回折素子の光の入出射面の中心部(直径2mmの円形の範囲)で、0.025λrms(自乗平均)以下であった。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、生産性が高く、高い光利用効率を有し、格子ストライプと入射偏光方向との角度に制約のない回折素子を提供できるという優れた効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】等方性の有機格子を有する回折素子の作製過程を示す側方断面図。
【図2】複屈折性の有機格子を有する回折素子の作製過程を示す側方断面図。
【図3】有機系材料からなる基板を用いた回折素子の作製過程を示す側方断面図。
【図4】ドライエッチング法を用いた回折格子またはホログラム素子の作製過程を示す側方断面図。
【図5】偏光性回折素子の作製過程を示す側方断面図。
【符号の説明】
15:ガラス基板(透明基板)
16、22:有機薄膜
17、30:有機選択マスク
18:アクリル系有機格子
23、29:無機薄膜
24、31:無機選択マスク
25:有機格子
26、33:等方性充填材
28:基板
32:複屈折性有機格子

Claims (7)

  1. 透明基板上に形成された有機薄膜の表面に、感光性有機材料または無機材料からなる選択マスクを作製し、基板の加工速度に対して有機薄膜の加工速度が大きい反応ガスを利用して選択的にエッチングすることにより、エッチング部分の有機薄膜を完全に除去し、有機格子を形成することを特徴とする回折素子の作製方法。
  2. 有機薄膜の選択マスクとして無機系薄膜を使用し、該無機系薄膜に対して4倍以上のエッチング速度で有機薄膜を加工できる反応ガスをエッチングに用いる請求項1に記載の回折素子の作製方法。
  3. 有機薄膜のエッチング速度が基板のエッチング速度の30倍以上の反応ガスをエッチングに用いる、請求項1に記載の回折素子の作製方法。
  4. 有機系材料からなる基板の表面に、無機材料からなる選択マスクを作製し、前記無機材料からなる選択マスクの加工速度に対して前記有機系材料からなる基板の加工速度が大きい反応ガスを利用して選択的にエッチングすることにより有機格子を形成することを特徴とする回折素子の作製方法。
  5. 前記反応ガスとしてを含む混合ガスによりエッチングする請求項1〜4に記載の回折素子の作製方法。
  6. 有機格子が複屈折材料である請求項1〜5に記載の回折素子の作製方法。
  7. 有機格子の凹部を、有機格子の常光屈折率または異常光屈折率と等しい屈折率を有する等方性媒体で充填する請求項6に記載の回折素子の作製方法。
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