JP2008001686A - 粉末化粧料 - Google Patents
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【解決手段】(a)焼成粘土鉱物5〜70質量%と、(b)下記の測定条件で示す吸湿性を有する保湿剤成分3〜20質量%とを配合する。
吸湿性の測定条件:
20mlのスクリュー管に、(b)の保湿剤成分を5g精秤し、37℃相対湿度98%に一昼夜静置した際の重量変化率が0.2%以上30%以下である。
【選択図】図1
Description
しかしながら、かかる特許文献に記載された発明においてはいずれも十分な保湿効果を発揮しつつ加湿環境下に長時間保存された際に、上記したような問題点を解決できるものではなかった。
また、特許文献4は本発明で用いられる焼成粘土鉱物に関する技術であるが、これは油分と粘土鉱物との共存による欠点を解決することを主眼としており、保湿剤を高配合したものではない。
吸湿性の測定条件:保湿剤成分を5g精秤して20mlのスクリュー管に入れ、37℃相対湿度98%に一昼夜静置した際の質量変化率が0.2%以上,30%以下である。
本発明の粉末化粧料は、(a)焼成粘土鉱物5〜70質量%と、(b)下記の測定条件で示す吸湿性を有する保湿剤成分3〜20質量%とが配合されているものである。
上記吸湿性測定条件とは、20mlのスクリュー管に、(b)の保湿剤成分を5g精秤し、37℃相対湿度98%に一昼夜静置したときの重量変化率が0.2%以上,好ましくは0.5%以上で,30%以下であるものとする。
焼成粘土鉱物としては、焼成セリサイト、焼成マイカまたは焼成タルクを適用でき、これらを疎水化して用いてもよく、また単独であっても組み合わせて用いてもよい。中でも焼成セリサイト、焼成マイカが効果の点で優れており好ましく、また油分との共存で色ぐすみが少ない点で特に焼成セリサイトが好ましい。
すなわち、焼成粘土鉱物を含有させたことにより、従来の粉末化粧料に比較して高い品質安定性が得られる。
また焼成粘土鉱物は、化粧料中の粉末成分に対し10質量%以上、80質量%以下の範囲で配合されることが硬度変化や使用性の点から好ましい。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、キシリトール、トレハロース、エリスリトール、ヒアルロン酸および尿素から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。このうちポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチルエーテルとしては、ポリオキシエチレン−9−ポリオキシプロピレン−2−ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン−14−ポリオキシプロピレン−7−ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン−36−ポリオキシプロピレン−41−ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン−55−ポリオキシプロピレン−28−ジメチルエーテル等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
保湿剤成分の配合量が3質量%未満であると十分な保湿効果が発揮できず、また落下強度が弱くなる。保湿剤成分の配合量が20質量%を超えると、成型品を擦ったときの取れ具合が悪く、長時間保存後の硬度変化も大きくなる。従来、グリセリン等の保湿剤を5質量%以上パウダリーファンデーション等の粉末化粧料に配合することは、ケーキング、水滴発生のため不可能であったが、本発明では5質量%以上の配合が可能である。
測定条件とは、20mlのスクリュー管に保湿剤成分を5g精秤し、37℃,相対湿度98%に一昼夜静置したとき、質量変化率が0.2%以上,30%以下であることとする。
質量変化率が0.2%未満の保湿剤成分では粉っぽくなり、質量変化率が30%を超える保湿剤成分では、べたついて化粧崩れ等の原因となる。
表1においては、各材料を上記方法により2回づつ測定した際に、吸湿により増加した質量(g)と、質量増加率(%)と、質量増加率の平均値(%)を示している。
一方、スクワラン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、メチルフェニルポリシロキサンは、上記条件を満たさず、本発明の粉末化粧料の保湿剤としては不適切である。よって、炭化水素油、エステル油、シリコーン油は上記条件を満たさず、不適切であるといえる。
原料成分、すなわち所定の焼成粘土鉱物、無機粉末、顔料、活性剤、及び保湿剤成分等を水、低級アルコールから選ばれる一種または二種以上を溶媒として混合しスラリー状とする。次に、内部が乾燥状態で、下部より熱風が送入され、かつプロペラの回転により攪拌状態となっているチャンバー内に上記スラリーを注入する。原料スラリーはミスト状となり、攪拌により乾燥し、微細粉末となる。続いてサイクロン装置により微細粉末を回収し、容器に充填することにより本発明の粉末化粧料が得られる。ここで、低級アルコールとしてはエタノールが好ましい。
かかるウエット・アンド・ドライ法を適用することにより、従来の乾式成型法に比べて硬度軟化のなさ、水滴発生のなさなどの効果をより発揮する粉末化粧料が得られる。
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、 POEソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等の POEソルビタン脂肪酸エステル類、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等の POEソルビット脂肪酸エステル類、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等の POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE モノオレエート、POE ジステアレート、POE モノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE 脂肪酸エステル類、POE ラウリルエーテル、POE オレイルエーテル、POE ステアリルエーテル、POE ベヘニルエーテル、POE2- オクチルドデシルエーテル、POE コレスタノールエーテル等のPOE アルキルエーテル類、POE オクチルフェニルエーテル、POE ノニルフェニルエーテル、POE ジノニルフェニルエーテル等のPOE アルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、 POE・POPセチルエーテル、 POE・POP2 -デシルテトラデシルエーテル、 POE・POP モノブチルエーテル、 POE・POP 水添ラノリン、 POE・POPグリセリンエーテル等の POE・POP アルキルエーテル類、テトロニック等のテトラ POE・テトラ POPエチレンジアミン縮合物類、 POEヒマシ油、 POE硬化ヒマシ油、 POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、 POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、 POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE 硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOE ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POE ソルビットミツロウ等のPOE ミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POE プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE アルキルアミン、POE 脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE ノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
粘土鉱物として、焼成あるいは未焼成のセリサイトを使用し、下記表2に示す処方の粉末化粧料を常法により調製した。
続いて、これらの粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表2に併せて示す。評価項目は、硬度変化、硬度変化、使用性であり、評価方法を下記に示す。
37℃、相対湿度90%の環境下で静置した後、Ueshina社オルゼン硬度計を用いて硬度値を測定し、初期値との差(硬度変化量)を算出した。5以内であれば、実用上良好な値であり、20以上は実用的に許容できない値である。
A:硬度変化量0〜10
B:硬度変化量11〜15
C:硬度変化量15〜20
D:硬度変化量20以上
粉末化粧料を成型し、その後、製品表面を下向きにして30cmの高さから繰り返し落下した際の強度を評価した。
A:十分な強度を有する
B:やや十分な強度を有する
C:やや強度が不十分
D:強度が不十分
パネルテスト10名による官能評価を行った。
A:しっとりする、あるいはのびがよい、あるいは仕上りが均一と答えた人が7名以上。
B:しっとりする、あるいはのびがよい、あるいは仕上りが均一と答えた人が3〜6名。
C:しっとりする、あるいはのびがよい、あるいは仕上りが均一と答えた人が2名以下。
表2に示すように、本発明に係る粉末化粧料である実施例1〜7においては、硬度変化、落下強度、及び使用性のいずれの評価も良好であった。
他方、焼成セリサイトの配合量が極めて少量で、未焼成セリサイトを多く配合させた比較例1〜3においては、硬度変化量が大きく、また実用上十分な強度も得られず、低品質であった。また、焼成セリサイトを多量に含有させた比較例4においては、使用性が悪化した。
粘土鉱物として、焼成あるいは未焼成マイカを使用し、下記表3に示す処方で粉末化粧料を調製した。続いて、これらの粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表3に併せて示す。
評価項目は、硬度変化、落下強度、使用性であり、評価方法及び評価基準は、上述と同様とした。
表3に示すように、本発明に係る粉末化粧料である実施例8〜14においては、硬度変化、落下強度、及び使用性のいずれの評価も良好であった。
他方、焼成マイカの配合量が極めて少量で、未焼成マイカを多く配合させた比較例5〜7においては、硬度変化量が大きく、また実用上十分な強度も無く、製品として低品質であった。また、焼成マイカを多量に含有させた比較例8においては、使用性が悪化した。
粘土鉱物として焼成セリサイトを使用し、保湿剤の配合量を調節し、その他の成分は、下記表4に示す処方で粉末化粧料を調製した。続いて、これらの粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表4に併せて示す。
評価項目は、硬度変化、落下強度、使用性、及び取れ量である。前三者の評価方法及び評価基準は、上述と同様とした。取れ量の評価方法を下記に示す。
成型後、パフにて製品表面を100回こすったときの取れ具合を以下の基準で評価した。
A:よく取れる
B:取れる
C:取れにくい
表4に示すように、本発明に係る粉末化粧料である実施例15〜18、3、4、6においては、硬度変化、落下強度、使用性、及び取れ量のいずれの評価とも実用上良好であった。
他方、保湿剤配合量が極めて少量である比較例9においては、落下強度について実用上十分な評価が得られず、使用性も悪化した。また、保湿剤配合量が多大である比較例10、11においては、取れ量について実用上良好な評価が得られなかった。
粘土鉱物として焼成マイカを使用し、保湿剤の配合量を調節し、その他の成分は、下記表5に示す処方で粉末化粧料を調製した。続いて、これらの粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表5に併せて示す。
評価項目は、硬度変化、落下強度、使用性、及び取れ量とし、上記と同様の手法で評価した。
表5に示すように、本発明に係る粉末化粧料である実施例19〜22、10、11、13においては、硬度変化、落下強度、使用性、及び取れ量のいずれの評価とも実用上良好であった。
他方、保湿剤配合量が極めて少量である比較例12においては、落下強度について実用上十分な評価が得られず、使用性も悪化した。また、保湿剤配合量が多大である比較例13、14においては、取れ量について実用上良好な評価が得られなかった。
シリコーン処理タルク、シリコーン処理セリサイト、シリコーン処理マイカの少なくともいずれかを使用し、さらに粘土鉱物として、焼成セリサイトあるいは未焼成セリサイトを使用し、その他の成分は下記表6に示す処方で粉末化粧料を調製した。続いて、これらの粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表6に併せて示す。
評価項目は、硬度変化、落下強度、使用性、取れ量、及び外観安定性とする。外観安定性の評価方法を下記に示す。その他の評価は、上記と同様とする。
37℃、相対湿度98%に静置した際の外観を目視で評価する。
○:問題なし
×:「水滴の発生」や「もり上がり」、「ヒビの発生」などの問題が発生した。
表6に示すように、本発明に係る粉末化粧料である実施例23,24においては、硬度変化、落下強度、使用性、取れ量、及び外観安定性のいずれも実用上良好な評価が得られた。
他方、粘土鉱物として焼成セリサイトを用いず、未焼成セリサイトを用いた比較例15,16においては、硬度変化、落下強度、取れ量、及び外観安定性について実用上十分な評価が得られなかった。なお、比較例15,16は従来技術で述べた特許文献1に相当する粉末化粧料である。
粘土鉱物として焼成または未焼成タルクを使用し、その他の成分は下記表7に示す処方で粉末化粧料を調製した。続いて、これらの粉末化粧料の特性評価を行った。その結果を表7に併せて示す。
評価項目は、硬度変化、落下強度、使用性であり、評価方法及び評価基準は、上述と同様とした。
表7に示すように、本発明に係る粉末化粧料である実施例25においては、硬度変化、落下強度、及び使用性のいずれの評価も実用上良好であった。
他方、焼成タルクの配合量が極めて少量で、未焼成タルクを多く配合させた比較例17においては、硬度変化量が大きく、また実用上十分な落下強度も無く、製品として低品質であった。
実施例26〜46 パウダリーファンデーション
次の表8、9に示すような処方でパウダリーファンデーションを調製した。得られたパウダリーファンデーションはいずれも硬度軟化がなく、使用性も良好であった。
次の表10に示すような処方でおしろいを調製した。得られたおしろいはいずれも硬度軟化がなく、使用性も良好であった。
次の表11に示すような処方でアイシャドウを調製した。得られたアイシャドウはいずれも硬度軟化がなく、使用性も良好であった。
次の表12に示すような処方でアイシャドウを調製した。得られたアイシャドウはいずれも硬度軟化がなく、使用性も良好であった。
29名の女性パネルに事前に1週間洗顔だけでスキンケアせずに過ごしてもらい、保湿効果のない下地と本願の粉末化粧料(表9実施例36の処方のパウダリーファンデーション)を1日2回、4週間の間、通常の使用方法で続けて使用してもらった。なお通常の使用方法とは、朝に保湿効果のない石鹸で洗顔し、保湿効果のない化粧水を塗布したあと、試験品を塗布し、昼食後に試験品を再度塗布することを指す。
連用前、1週間後、2週間後、4週間後の角層中の水分量(電気容量(a.u.))を皮膚水分量測定機(コルネオメータ:Corneometer CM 825)〔Courage+Khazaka社〕で測定した。その結果を表13および図1に示す(統計方法:Anova)。ベースライン(Baseline)は連用前の角層水分量(電気容量(a.u.))を示す。
このように、本発明による粉末化粧料は、粉末を多量配合した化粧料において皮膚に十分なうるおいを与えることができる高配合量の保湿剤を安定に配合することができる。また、マットな仕上がりのメーキャップをしながら、連用することにより皮膚に十分なうるおいを与えることができるものである。
Claims (5)
- (a)焼成粘土鉱物5〜70質量%と、(b)下記の測定条件で示す吸湿性を有する保湿剤成分3〜20質量%とを配合してなることを特徴とする粉末化粧料。
吸湿性の測定条件:保湿剤成分を5g精秤して20mlのスクリュー管に入れ、37℃相対湿度98%に一昼夜静置した際の質量変化率が0.2%以上,30%以下である。 - 前記焼成粘土鉱物を含む粉末成分を化粧料全体に対して60〜95質量%配合してなることを特徴とする請求項1に記載の粉末化粧料。
- 前記焼成粘土鉱物が、焼成セリサイト、焼成マイカおよび焼成タルクから選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粉末化粧料。
- 前記(b)の保湿剤成分が、グリセリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、キシリトール、トレハロース、エリスリトール、ヒアルロン酸および尿素から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粉末化粧料。
- 焼成粘土鉱物および保湿剤を含む化粧料成分に、水、低級アルコールから選ばれる一種または二種以上を混合してスラリー状とし、内部が加熱・乾燥状態となっているチャンバー内に前記スラリーを注入してミスト状とし、次いで該ミストを回収・成型してなることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
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