JP2008001117A - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 運転者による操舵ハンドル操作に対する転舵輪の転舵状態を適切に制御して、車両の運転を易しくした車両の操舵装置を提供すること。
【解決手段】 保舵状態判定部41は、運転者による操舵ハンドル11の回動操作状態が通常操作状態か保舵操作状態かを判定する。通常操作状態であれば、変位−トルク変換部42、トルク−横加速度変換部43および転舵角変換部44の各処理により、操舵角θに対して指数関数的に変化する目標転舵角δdが計算される。一方、保舵操作状態であれば、変換部42,43,44の各処理により、保舵操舵角θhを仮想的な原点とし、操舵角θに対して指数関数的に変化する目標転舵角δdhが計算される。これにより、保舵操作状態においては、伝達比を小さくすることができ、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に応じて、左右前輪FW1,FW2を適切に転舵させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、操舵ハンドルの操作に応じて転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置に関する。
近年、この種のステアリングバイワイヤ方式の操舵装置の開発は、積極的に行なわれるようになった。そして、本願出願人は、例えば、下記特許文献1に開示された車両の操舵装置を提案している。この車両の操舵装置は、人間の知覚特性に関するウェーバー・ヘフナー(Weber-Fechner)の法則に基づき、運転者による操舵ハンドルの操作に対して運転者の知覚特性に合わせて車両を旋回させることができるものである。すなわち、ウェーバー・ヘフナーの法則によれば、人間の感覚量は与えられた刺激の物理量の対数に比例すると言われており、人間の操作量に対して人間に与えられる刺激の物理量を操作量が変位の場合には指数関数的に、操作量がトルクの場合にはべき乗関数的に変化させれば、操作量と物理量との関係を人間の知覚特性に合わせることができる。
したがって、本願出願人が下記特許文献1によって開示する車両の操舵装置においては、運転者による操舵ハンドルの操作に対して、運転者が知覚し得る車両の運動状態量(横加速度、ヨーレート、旋回曲率など)を指数関数的またはべき乗関数的に変化させるようにしている。そして、指数関数的またはべき乗関数的に変化する車両の運動状態量を実現するために、転舵輪を非線形的に転舵制御するようにしている。これにより、運転者は、知覚特性に合わせて操舵ハンドルを操作して車両を運転することができるため、操舵ハンドルと転舵輪との機械的な連結を外した場合であっても、極めて容易に車両を旋回させることができる。
ここで、運転者による操舵ハンドルの操作に対して、転舵輪が非線形的に転舵制御される場合には、操舵ハンドルの操作量の増大に伴って、同操作量に対する転舵輪の転舵量の比を表す伝達比が大きくなる。この状態においては、運転者による操舵ハンドルの微小な操作量変化に対して転舵輪が大きく転舵されるため、例えば、車両旋回中に運転者が操舵ハンドルを操作して転舵輪の転舵状態を微調整するような場合には、操舵ハンドルを慎重に操作することが必要となる。一方、操舵ハンドルが中立位置近傍で操作される場合には、伝達比が小さくなる。この状態においては、運転者による操舵ハンドルの操作に対する転舵輪の転舵角の変化が小さい、言い換えれば、転舵応答性が十分に確保できないため、運転者はより多く操舵ハンドルを操作する必要がある。
これに対して、例えば、下記特許文献2,3に開示された操舵装置が知られている。そして、これら従来の操舵装置は、運転者による操舵ハンドルの操作状態に応じて、転舵輪を転舵するための出力ゲインを変更するようになっている。
特開2005−193783号公報 特許第3494212号公報 特開2000−203440号公報
ところで、上記特許文献2,3に示された従来の操舵装置においては、運転者による操舵ハンドルの操作状態に応じて出力ゲインは変更されるものの、操舵角に対する転舵角の比を表す転舵ギア比は車速によって直接的に決定される。このため、前記従来の操舵装置においては、運転者による操舵ハンドルの操作状態(例えば、操作速度)に関わらず、入力された操舵ハンドルの操作量(操舵角)に対して転舵輪は一定の伝達比で変化する。このため、前記従来の操舵装置においては、伝達比が大きくなる操舵範囲に操舵ハンドルを操作した場合には、運転者が意図した態様で車両を旋回させることが難しくなる可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転者による操舵ハンドル操作に対する転舵輪の転舵状態を適切に制御して、車両の運転を易しくした車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動して前記転舵輪を非線形的に転舵制御する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、前記検出された操作入力値の変化量に基づいて、同変化量の大きな前記操舵ハンドルの操作状態を表す通常操作状態と、前記変化量の小さな前記操舵ハンドルの操作状態を表す保舵操作状態とを判定する操作状態判定手段と、前記操舵ハンドルの操作状態が前記保舵操作状態であると判定されたとき、前記操作入力値の変化量に対する前記転舵輪の転舵量の比を表す伝達比が前記通常操作状態のときよりも小さくなる目標転舵角を前記検出された操作入力値を用いて計算する転舵角計算手段と、前記計算された目標転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された目標転舵角に転舵する転舵制御手段とで構成したことにある。
この場合、前記操作状態判定手段は、前記検出された操作入力値の時間微分値が予め設定された所定値以上であれば前記操舵ハンドルの操作状態が通常操作状態であると判定し、前記時間微分値が前記所定値未満であれば前記操舵ハンドルの操作状態が保舵操作状態であると判定するとよい。また、前記転舵制御装置は、さらに、車両の車速を検出する車速検出手段を備えており、前記操作状態判定手段は、前記検出された車速が所定の車速以上であり、かつ、前記時間微分値が前記所定値未満であれば前記操舵ハンドルの操作状態が保舵操作状態であると判定するとよい。また、前記操作状態判定手段は、前記操舵ハンドルの通常操作状態における前記伝達比が所定の伝達比よりも大きくなるときに、前記操舵ハンドルの操作状態を判定するとよい。
また、この場合、前記転舵角計算手段は、前記操作状態判定手段によって前記操舵ハンドルが通常操作状態であると判定されると、前記操作入力値を検出するための検出基準点を原点として前記検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある通常操作状態の目標転舵角を計算し、前記操作状態判定手段によって前記操舵ハンドルが保舵操作状態であると判定されると、同保舵操作状態が判定された時の操作入力値を仮想的な原点として前記検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある保舵操作状態の目標転舵角を計算し、前記転舵制御手段は、前記計算された目標転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された目標転舵角に転舵するとよい。
これらによれば、操作状態判定手段によって運転者による操舵ハンドルの操作状態が通常操作状態にあると判定されたときには、伝達比が大きな目標転舵角が計算され、この目標転舵角に転舵輪が転舵される。これにより、通常操作状態においては、運転者は、小さな操舵ハンドルの操作によって転舵輪を大きく転舵させることができて、容易に車両を旋回させることができる。一方、操舵ハンドルの操作状態が通常操作状態にあるときに、例えば、運転者が伝達比の大きな操舵範囲で操舵ハンドルを操作しており、操作状態判定手段によって操舵ハンドルの操作状態が保舵操作状態になったと判定されたときには、伝達比が通常操作状態のときよりも小さくなる目標転舵角が計算され、この目標転舵角に転舵輪が転舵される。これにより、保舵操作状態においては、運転者による緩やかな操舵ハンドルの操作に応じて、転舵輪が緩やかに転舵させることができる。したがって、例えば、操舵ハンドルの操作量が増大した場合であっても、運転者は、容易に転舵輪を転舵させることができて、簡単に車両を運転することができる。
ここで、転舵輪を転舵するにあたり、通常操作状態においては操作入力値の検出基準点を原点として、一方、保舵操作状態においては、保舵開始時点の操作入力値を仮想的な原点として、操作入力値に対して非線形的に変化する目標転舵角を計算することができる。この場合、特に、仮想的な原点を中心として非線形的に変化する目標転舵角が計算されることによって、仮想的な原点近傍における伝達比を小さくすることができる。これにより、保舵操作状態においては、運転者による緩やかな操舵ハンドルの操作に応じて、転舵輪が緩やかに転舵させることができる。したがって、例えば、操舵ハンドルの操作量が増大した場合であっても、運転者は、容易に転舵輪を転舵させることができて、簡単に車両を運転することができる。
また、操作状態判定手段は、操舵ハンドルの操作状態が保舵操作状態であるか否かを複数回判定することもできる。このように、複数回判定することにより、既に保舵操作状態にあって、操舵ハンドルの操作量の増大に伴って非線形的に伝達比が増大した場合であっても、複数の仮想的は中立点を設定することができる。このため、運転者は、より良好に車両を旋回させることができて、簡単に車両を運転することができる。
また、本発明の他の特徴は、車両の操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動して前記転舵輪を非線形的に転舵制御する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、前記検出された操作入力値の変化量に対する前記転舵輪の転舵量の比を表す伝達比を前記検出された操作入力値の時間微分値に基づいて変更する伝達比変更手段と、前記検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある目標転舵角を、前記検出された操作入力値および前記変更された伝達比を用いて計算する転舵角計算手段と、前記計算された目標転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を前記計算された目標転舵角に転舵する転舵制御手段とで構成したことにもある。
この場合、前記伝達比変更手段は、前記検出された操作入力値の時間微分値が所定値よりも小さいときに、前記伝達比を前記検出された操作入力値の変化量に基づいて変更するとよい。また、前記伝達比変更手段は、前記検出された操作入力値の時間微分値が所定値よりも小さい状態で、前記操舵ハンドルの操作が継続しているときは、前記検出された操作入力値の変化量に応じて前記伝達比を大きな値に変更するとよい。
これらによれば、運転者による操舵ハンドルの操作状態すなわち操作入力値の時間微分値や操作入力値の変化量に応じて、伝達比を変更し、この変更した伝達比を用いて転舵輪の目標転舵角を計算することができる。これにより、操作入力値の時間微分値が小さくなるに伴って、伝達比を小さな値に変更することができる。一方、操作入力値の時間微分値が大きくなるに伴って、伝達比を大きな値に変更することができる。
このように、操作入力値の時間微分値に応じて転舵輪の転舵動作を適切に制御することができるため、例えば、スラローム走行など操舵ハンドルが中立位置近傍で素早く操作されている場合には、伝達比を大きくして左右前輪FW1,FW2を応答性よく転舵させることができる。一方、伝達比の大きい操作範囲内における緩やかな操舵ハンドルの操作に対しては、伝達比を小さくして左右前輪FW1,FW2を緩やかに転舵させることができる。
また、緩やかな操舵ハンドルの操作に対しては、操作入力値の変化量に基づいて伝達比を変更することもできる。これによれば、例えば、操作入力値検出手段のサンプリングレートに依存することなく的確に転舵ギア比を変更することができる。さらに、運転者による緩やかな操舵ハンドルの操作が継続している状況においては、操舵ハンドルの操作量に応じて伝達比を大きな値に変更することができる。これにより、転舵角の変化量を大きくすることができるため、運転者による操舵ハンドルの操作量を低減することができ、運転者の負担を軽減することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記所定の非線形の関係を、前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値と予め定めた指数関係としたことにもある。この場合、前記転舵角計算手段は、車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態量を表していて前記検出された操作入力値と予め定めた指数関係にある車両の見込み運動状態量を前記検出された操作入力値を用いて計算するとともに、同計算した見込み運動状態量を用いて前記目標転舵角を計算するとよい。また、前記見込み運動状態量は、例えば、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるとよい。さらに、この場合、前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量検出手段と、前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する操作力変換手段とで構成するとよい。
これらによれば、操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値(例えば、操舵角)を、車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態を表していて操舵ハンドルに対する操作入力値と予め定めた指数関係またはべき乗関係にある車両の見込み運動状態量(横加速度、ヨーレート、旋回曲率など)に変換することができる。そして、この変換された見込み運動状態量に基づいて、同見込み運動状態量で車両が運動するために必要な転舵輪の目標転舵角を操舵ハンドルの操作入力値に対して指数関数的に変化するように計算することができる。
したがって、転舵輪が目標転舵角に転舵されて車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」として前記見込み運動状態量が与えられる。そして、この見込み運動状態量は操舵ハンドルへの操作入力値に対して指数関数的またはべき乗関数的に変化するものであるので、運転者は、人間の知覚特性に合った運動状態量を知覚しながら、操舵ハンドルを操作できる。なお、横加速度およびヨーレートについては、運転者が車両内の各部位との接触により触覚的に感じ取ることができる。また、旋回曲率については、運転者が車両の視野内の状況の変化により視覚的に感じ取ることができる。その結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドルを操作できるので、車両の運転が簡単になる。
さらに、本発明の他の特徴は、前記操舵ハンドルの操作に対して反力を付与する反力装置を設けたことにもある。これによれば、運転者による操舵ハンドルの操作に対して適切な反力を付与することができる。この場合、例えば、操作状態判定手段によって操舵ハンドルが通常操作状態であると判定された場合、操作入力値を検出するための検出基準点を原点として検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある通常操作状態の目標反力を計算するようにすることができる。また、操作状態判定手段によって操舵ハンドルが保舵操作状態であると判定された場合、保舵操作状態が判定された時の操作入力値を仮想的な原点として検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある保舵操作状態の目標反力を計算するようにすることができる。これにより、運転者による操舵ハンドルの操作に対してより適切な反力を付与することができる。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態の車両の操舵装置を概略的に示している。
この操舵装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を転舵するために、運転者によって回動操作される操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は操舵入力軸12の上端に固定され、操舵入力軸12の下端は電動モータおよび減速機構からなる反力アクチュエータ13に接続されている。反力アクチュエータ13は、運転者の操舵ハンドル11の回動操作に対して反力を付与する。
また、この操舵装置は、電動モータおよび減速機構からなる転舵アクチュエータ21を備えている。この転舵アクチュエータ21による転舵力は、転舵出力軸22、ピニオンギア23およびラックバー24を介して左右前輪FW1,FW2に伝達される。この構成により、転舵アクチュエータ21からの回転力は転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23の回転によりラックバー24が軸線方向に変位して、このラックバー24の軸線方向の変位により、左右前輪FW1,FW2は左右に転舵される。
次に、これらの反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21の回転を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、操舵角センサ31、転舵角センサ32、車速センサ33および横加速度センサ34を備えている。
操舵角センサ31は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵ハンドル11の検出基準点としての中立位置からの回転角を検出して操舵角θとして出力する。転舵角センサ32は、転舵出力軸22に組み付けられて、転舵出力軸22の中立位置からの回転角を検出して実転舵角δ(左右前輪FW1,FW2の転舵角に対応)として出力する。ここで、本明細書において、中立位置とは、車両が直進状態を維持するための操舵ハンドル11、操舵入力軸12、転舵出力軸22および左右前輪FW1,FW2の位置をいう。そして、操舵角θおよび実転舵角δは、中立位置を「0」とし、左方向の回転角を正の値で表すとともに、右方向の回転角を負の値でそれぞれ表す。車速センサ33は、車速Vを検出して出力する。横加速度センサ34は、車両の実横加速度Gを検出して出力する。なお、実横加速度Gも、左方向の加速度を正の値で表し、右方向の加速度を負の値で表す。
これらのセンサ31〜34は、電子制御ユニット35に接続されている。電子制御ユニット35は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、プログラムの実行により反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21の作動をそれぞれ制御する。電子制御ユニット35の出力側には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21を駆動するための駆動回路36,37がそれぞれ接続されている。駆動回路36,37内には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21内の電動モータに流れる駆動電流を検出するための電流検出器36a,37aが設けられている。電流検出器36a,37aによって検出された駆動電流は、両電動モータの駆動を制御するために、電子制御ユニット35にフィードバックされている。
次に、上記のように構成した第1実施形態の動作について、電子制御ユニット35内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図2の機能ブロック図を用いて説明する。電子制御ユニット35は、操舵ハンドル11の回動操作に基づいて運転者の感覚特性に対応した左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを決定するための感覚適合制御部40と、目標転舵角δdに基づいて左右前輪FW1,FW2を転舵制御するための転舵制御部50と、操舵ハンドル11への反力付与を制御するための反力制御部60とからなる。
運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、操舵角センサ31は操舵ハンドル11の回転角である操舵角θを検出し、同検出した操舵角θを感覚適合制御部40および反力制御部60にそれぞれ出力する。感覚適合制御部40においては、保舵状態判定部41が、入力した検出操舵角θと車速センサ33から入力した検出車速Vとに基づいて、運転者によって操舵ハンドル11の回動操作が停止あるいは緩やかに回動操作されている状態(以下、この状態を保舵操作状態という)であるか否かを判定する。
具体的に説明すると、保舵状態判定部41は、検出操舵角θおよび検出車速Vを用いた保舵操作状態判定条件に基づいて、操舵ハンドル11の保舵操作状態を判定する。ここで、保舵操作状態判定条件とは、検出操舵角θの絶対値が所定の操舵角θg以上であるときに、検出車速Vが所定の車速Vc以上であり、かつ、検出操舵角θの時間微分値dθ/dt(以下、この微分値を操舵角速度dθ/dtという)の絶対値を検出車速Vで除した値すなわち|dθ/dt|/Vが予め設定された所定値dθv未満である状態が所定時間thだけ継続しているかを判定する条件である。なお、所定の操舵角θgについては、後に説明する。
したがって、保舵状態判定部41は、上述した保舵操作状態判定条件が成立していれば、操舵ハンドル11が保舵操作状態であると判定する。一方、保舵状態判定部41は、保舵操作状態判定条件が成立していない、例えば、運転者によって操舵ハンドル11がある程度の速さで回動操作されている状態(以下、この状態を通常操作状態という)であれば、操舵ハンドル11が保舵操作状態ではないと判定する。なお、以下、この第1実施形態を説明するにあたり、理解を容易とするために、通常操作状態の場合から説明する。
保舵状態判定部41は、操舵ハンドル11が通常操作状態であると判定すると、変位−トルク変換部42に対して、操舵角センサ31から入力した検出操舵角θを供給する。変位−トルク変換部42は、下記式1に従って操舵角θの一次関数である操舵トルクTd11を計算するとともに下記式2に従って操舵角θの指数関数である操舵トルクTd12を計算する。ここで、式1の一次関数と式2の指数関数とは、所定の操舵角θzで連続的に接続されるものであり、例えば、式2の指数関数における操舵角θzでの原点「0」を通る接線を式1の一次関数として採用するとよい。なお、式1に関しては、一次関数に限定されるものではなく、操舵角θが「0」のときに操舵トルクTd11が「0」となり、かつ、式2の指数関数と連続的に接続される関数であれば、種々の関数を採用することができる。
Td11=(Tmax/θmax1)・θ …式1
Td12=To・exp(K1・θ) …式2
ただし、前記式1中のTmaxは、システム上変化し得るトルクの最大値の絶対値を表す。また、前記式1中のθmax1は、通常操作状態における操舵ハンドル11の最大操舵角の絶対値を表す。したがって、通常操作状態においては、前記式1中の(Tmax/θmax1)は、一次関数の傾きを表す定数として設定される。また、前記式2中のTo,K1は定数であり、特に定数Toは運転者が知覚し得る最小操舵トルクである。なお、定数K1に関しては、後の詳細に説明する。さらに、前記式1および式2中の操舵角θは、前記検出操舵角θの絶対値を表しているものとし、検出操舵角θが正であれば(Tmax/θmax1)および定数Toを正の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば(Tmax/θmax1)および定数Toを前記正の(Tmax/θmax1)および前記正の定数Toと同じ絶対値を有する負の値とする。
そして、変位−トルク変換部42は、前記式1と前記式2とを合算する下記式3に従って、通常操作状態における操舵トルクTd1を計算する。
Td1=KRs0・Td11+(1−KRs0)・Td12 …式3
ただし、前記式3中のKRs0は、検出操舵角θの変化特性を補正する係数であり、図3に示すような特性を有する。具体的に説明すると、補正係数KRs0は、図3に示すように、運転者により入力された操舵角θが所定の操舵角θz未満ではその値が「1」とされ、所定の操舵角θz以上ではその値が所定値まで変化する補正係数である。なお、この所定値は、その値が「0」〜「1」の間の数値として設定されるとよい。ここで、所定の操舵角θz未満において補正係数KRs0を「1」とするのは、所定の操舵角θz未満では、前記式1に従い、操舵トルクTd1を一次関数的に変化させるためである。なお、前記式3(前記式1,2)の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTd1を記憶した図4に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTd1を計算するようにしてもよい。
この計算された操舵トルクTd1は、トルク−横加速度変換部43に供給される。トルク−横加速度変換部43は、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み横加速度Gdを、操舵トルクTd1の絶対値が正の所定値Tg未満であれば下記式4に従って計算し、操舵トルクTd1の絶対値が正の所定値Tg以上であれば下記式5に従って計算する。ここで、式4は操舵トルクTd1の一次関数式であって操舵トルクTd1が「0」のときに見込み横加速度Gdが「0」となる関数である。また、式5は操舵トルクTd1のべき乗関数であり、式4と所定値Tgにて連続的に接続するものである。
Gd=a・Td1 (|Td1|<Tg) …式4
Gd=C・Td1K2 (Tg≦|Td1|) …式5
ただし、前記式4中のaは一次関数の傾きを表す定数であり、前記式5中のC,K2は定数である。また、前記式4,5中の操舵トルクTd1は前記式3(前記式1,2)を用いて計算した操舵トルクTd1の絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTd1が正であれば定数aおよび定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTd1が負であれば定数aおよび定数Cを前記正の定数aおよび定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式4,5の演算に代えて、操舵トルクTd1に対する見込み横加速度Gdを記憶した図5に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み横加速度Gdを計算するようにしてもよい。
ここで、前記式5の指数関数特性について説明しておく。前記式2を用いて操舵トルクTdを消去すると、下記式6に示すようになる。
Gd=C・(To・exp(K1・θ))K2=C・ToK2・exp(K1・K2・θ)=Go・exp(K1・K2・θ) …式6
前記式6において、Goは定数C・ToK2であり、式6は運転者による操舵ハンドル11の操舵角θに対して見込み横加速度Gdが指数関数的に変化していることを示す。そして、この見込み横加速度Gdは、車内の所定部位への運転者の体の一部の接触によって運転者が知覚し得る物理量であり、前述したウェーバー・ヘフナーの法則に従ったものである。したがって、操舵トルクTdが所定値Tg以上のときに、運転者が、この見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、操舵ハンドル11の回動操作と車両の操舵との関係を人間の知覚特性に対応させることができる。
このように、前記式5(すなわち前記式6)に示された見込み横加速度Gdは操舵ハンドル11の操作量である操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、人間の知覚特性に合ったものである。さらに、運転者による操舵ハンドル11の回動操作にとって最も簡単な方法は操舵ハンドル11を一定速度ω(θ=ω・t)で回動することであり、この回動操作によれば、見込み横加速度Gdは下記式7に示すように時間tに対して指数関数的に変化する。したがって、このことからも、前記見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、運転者の操舵ハンドル11の回動操作が簡単になることがわかる。
Gd=Go・exp(K0・ω・t) …式7
ただし、K0は、K0=K1・K2の関係にある定数である。
また、前記式4に示されるように、操舵トルクTd1が所定値Tg未満である場合、見込み横加速度Gdは一次関数的に変化する。これは、操舵トルクTd1が所定値Tg未満のとき、すなわち操舵角θが「0」近傍(操舵ハンドル11の中立位置近傍)に保たれる場合において、例えば、前記式5に従って見込み横加速度Gdを計算した場合には、見込み横加速度Gdが「0」に収束せず、これは現実的でない。しかしながら、前述のように、操舵ハンドル11が中立位置近傍、すなわち、操舵トルクTd1が所定値Tg未満であれば、見込み横加速度Gdを前記式4に従って計算することにより、通常操作状態において操舵ハンドル11が中立位置方向へ回動された場合には、見込み横加速度Gdが「0」に収束するため、この問題は解決される。
次に、前記式1〜7で用いたパラメータK1,K2,C(所定値K1,K2,C)の決め方について説明しておく。なお、このパラメータK1,K2,Cの決め方についての説明では、前記式1〜6の操舵トルクTd1および見込み横加速度Gdについては、単に操舵トルクTおよび横加速度Gとして扱う。前述したウェーバー・ヘフナーの法則によれば、「人間の知覚できる最小の物理量変化ΔSとその時点での物理量Sとの比ΔS/Sは、物理量Sの値によらず一定となり、その比ΔS/Sをウェーバー比という」ことになっている。本発明者等は、操舵トルクおよび横加速度に関し、前記ウェーバー・ヘフナーの法則が成立することを確認するとともに、ウェーバー比を決定するために、次のような実験を、男女、年齢、車両の運転歴などの異なる種々の人間に対して行った。
操舵トルクに関しては、車両の操舵ハンドルにトルクセンサを組付け、操舵ハンドルに検査用のトルクを外部から付与するとともに同検査用トルクを種々の態様で変化させながら、この検査用トルクに抗して人間が操舵ハンドルに操作力を加えて同操舵ハンドルを回転させないように調整する人間の操舵トルク調整能力を計測した。すなわち、前記状況下で、ある時点での検出操舵トルクをTとし、同検出操舵トルクTからの変化を知覚し得る最小の操舵トルク変化量をΔTとしたときの比の値ΔT/Tすなわちウェーバー比を種々の人間に対して計測した。この実験の結果によれば、操舵ハンドルの操作方向、操舵ハンドルを把持する手の状態、検査用トルクの大きさおよび方向によらず、種々の人間に対してウェーバー比ΔT/Tはほぼ一定の値となった。
横加速度に関しては、運転席の側方に壁部材を設けて同壁部材に人間の肩の押圧力を検出する力センサを組付け、人間に操舵ハンドルを把持させるとともに壁部材の力センサに肩を接触させ、壁部材に検査用の力を人間に対して横方向に外部から付与するとともに同検査用の力を種々の態様で変化させながら、この検査用の力に抗して人間が壁部材を押して壁部材が移動しないように調整する、すなわち姿勢を維持する人間の横力調整能力を計測した。すなわち、前記状況下で、ある時点での外部からの横力に耐えて姿勢を維持する検出力をFとし、同検出力Fからの変化を知覚し得る最小の力変化量をΔFしたときの比の値ΔF/Fすなわちウェーバー比を種々の人間に対して計測した。この実験の結果によれば、壁部材に付与される基準力の大きさおよび方向によらず、種々の人間に対してウェーバー比ΔF/Fはほぼ一定の値となった。
一方、前記式2を微分するとともに、同微分した式において式2を考慮すると、下記式8が成立する。
ΔT=To・exp(K1・θ)・K1・Δθ=T・K1・Δθ …式8
この式7を変形するとともに、前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとすると、下記式9が成立する。
K1=ΔT/(T・Δθ)=Kt/Δθ …式9
また、操舵トルクTの設定最大値をTmaxとすれば、前記式1,2より下記式10が成立する。
Tmax=To・exp(K1・θmax1) …式10
この式10を変形すれば、下記式11が成立する。
K1=log(Tmax/To)/θmax1 …式11
そして、前記式9および式11から下記式12が導かれる。
Δθ=Kt/K1=Kt・θmax1/log(Tmax/To) …式12
この式11において、Ktは操舵トルクTのウェーバー比であり、Toは人間が知覚し得る最小操舵トルクに対応するものであり、これらの値Kt,Tmax,To,θmax1はいずれも予め設定できる定数であるので、前記微分値Δθは前記式11を用いて計算できる。そして、この微分値Δθとウェーバー比Ktを用いて、前記式9に基づいて所定値(係数)K1も計算できる。
また、前記式5を微分するとともに、同微分した式において式5を考慮すると、下記式13が成立する。
ΔG=C・K2・TK2-1・ΔT=G・K2・ΔT/T …式13
この式12を変形し、かつ前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとするとともに、横加速度に関するウェーバー比ΔF/FをKaとすると下記式14,15が成立する。
ΔG/G=K2・ΔT/T …式14
K2=Ka/Kt …式15
この式15において、Ktは操舵トルクに関するウェーバー比であるとともに、Kaは横加速度に関するウェーバー比であって、共に定数として与えられるものであるので、これらのウェーバー比Kt,Kaを用いて、前記式15に基づいて係数K2も計算できる。
また、横加速度の設定最大値をGmaxとし、操舵トルクの設定最大値をTmaxとすれば、前記式5から下記式16が導かれる。
C=Gmax/TmaxK2 …式16
そして、この式16においては、GmaxおよびTmaxは予め設定できる定数であり、かつK2は前記式15によって計算されるものであるので、定数(係数)Cも計算できる。
以上のように、最大操舵角θmax1、操舵トルクTの最大値Tmax、横加速度Gの最大値Gmax、最小操舵トルクTo、最小感知横加速度Go、操舵トルクTに関するウェーバー比Kt、および横加速度Gに関するウェーバー比Kaを設定すれば、前記式1〜6における係数K1,K2,Cを計算することができる。したがって、変位−トルク変換部42およびトルク−横加速度変換部43においては、前記式1〜6を用いて、運転者の知覚特性に合った操舵トルクTdおよび見込み横加速度Gdを計算できる。
ふたたび、図2の説明に戻ると、トルク−横加速度変換部43にて計算された見込み横加速度Gdは、転舵角変換部44に供給される。転舵角変換部44は、見込み横加速度Gdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図6に示すように車速Vに応じて変化して見込み横加速度Gdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと横加速度Gとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部44は、このテーブルを参照して、前記入力した見込み横加速度Gdと車速センサ33から入力した検出車速Vとに応じた目標転舵角δdを計算する。ここで、前記テーブルに記憶されている横加速度G(見込み横加速度Gd)と目標転舵角δdはいずれも正であるが、トルク−横加速度変換部43から供給される見込み横加速度Gdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
ここで、目標転舵角δdは下記式17に示すように車速Vと横加速度Gの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式17の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・Gd/V2 …式17
ただし、前記式17中のLはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは車両の運動性能を示す予め決められた所定値である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部50の転舵角補正部51に供給される。転舵角補正部51は、トルク−横加速度変換部43から見込み横加速度Gdを入力するとともに、横加速度センサ34によって検出された実横加速度Gをも入力しており、下記式18の演算を実行して入力した目標転舵角δdを補正し、補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K3・(Gd−G) …式18
ただし、係数K3は予め決められた正の定数であり、実横加速度Gが見込み横加速度Gdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実横加速度Gが見込み横加速度Gdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み横加速度Gdの発生に必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角が精度よく確保される。
この計算された補正目標転舵角δdaは、駆動制御部52に供給される。駆動制御部52は、転舵角センサ32によって検出された実転舵角δを入力し、左右前輪FW1,FW2が補正目標転舵角δdaに転舵されるように転舵アクチュエータ21内の電動モータの回転をフィードバック制御する。また、駆動制御部52は、駆動回路37から同電動モータに流れる駆動電流も入力し、転舵トルクに対応した大きさの駆動電流が同電動モータに適切に流れるように駆動回路37をフィードバック制御する。この転舵アクチュエータ21内の電動モータの駆動制御により、同電動モータの回転は、転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23によりラックバー24を軸線方向に変位させる。そして、このラックバー24の軸線方向の変位により、左右前輪FW1,FW2は補正目標転舵角δdaに転舵される。
次に、運転者による操舵ハンドル11の操作状態が保舵操作状態である場合を説明する。上述したように、保舵状態判定部41は、操舵ハンドル11が回動操作された結果、所定の操舵角θg以上に回動操作されているときに、保舵操作状態判定条件が成立していれば操舵ハンドル11が保舵操作状態であると判定する。ここで、通常操作状態で、操舵ハンドル11が運転者によって所定の操舵角θg以上に操舵されたときにおける左右前輪FW1,FW2の転舵状態について説明する。
前記式17に対して、前記式6を代入して整理すると、下記式19が成立する。
δd=(L・(1+A・V2)/V2)・Go・exp(K1・K2・θ) …式19
ただし、前記式19中の係数K1,K2については、前記式9および前記式15に従って計算されるものである。前記式19によれば、目標転舵角δdは、図7に示すように、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであり、特に、所定の操舵角θg以上に操舵角θの絶対値が増加するに伴って、この操舵角θの変化量に対する目標転舵角δdの絶対値の変化量の比(以下、この変化量の比を伝達比という)は大きくなる。このように、伝達比が大きくなる操舵範囲内で操舵ハンドル11を回動操作した場合には、操舵ハンドル11の回動操作に対して目標転舵角δdが大きく変化するため、例えば、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整することが難しくなる。
このため、保舵状態判定部41は、上述した保舵操作状態判定条件が成立した場合には、同条件の成立時点で操舵角θを保舵操舵角θhとして設定し、この保舵操舵角θhおよび検出操舵角θを変位−トルク変換部42に供給する。変位−トルク変換部42においては、設定された保舵操舵角θhを仮想的な原点とし、前記式1〜3と同様な下記式20〜22に従って操舵トルクTd2を計算する。
Td21=(Tmax/θmax2)・(θ−θh) …式20
Td22=To・exp(K1・(θ−θh)) …式21
Td2=KRs0・Td21+(1−KRs0)・Td22+Tk …式22
ここで、前記式20中のθmax2は、保舵操作状態における操舵ハンドル11の最大操舵角の絶対値を表す。また、前記式22中のTkは、通常操作状態における保舵操舵角θhの操舵トルクを表すものであり、前記式3(前記式1,2)に従って計算されるものである。また、前記式22中のKRs0も、前記式3と同様な検出操舵角θの変化特性を補正する係数である。なお、この場合、所定値θz以上に操舵ハンドル11が回動操作されているため、KRs0は「1」未満となる。
そして、変位−トルク変換部42は、下記式23に従い、保舵操作状態における操舵トルクTdhを計算する。
Tdh=(1−F)・Td1+F・Td2 …式23
ただし、前記式23中のFは、操舵トルクTd1と操舵トルクTd2との比率を決定するための変数であり、図8に示すように、保舵操作状態判定条件を構成する操舵角速度dθ/dtの絶対値と(1/V)の変化に応じて変化する特性を有する。すなわち、変数Fは、操舵角速度dθ/dtの絶対値の増大に伴って、「1」から「0」に変化するとともに、検出車速Vの減少に伴って、「1」から「0」に変化する。これにより、前記式23に従って計算される操舵トルクTdhは、保舵操作状態判定条件が成立している場合においては、操舵トルクTd2の比率が大きくなる。一方、操舵トルクTdhは、前記条件が成立しない、すなわち、操舵角速度dθ/dtの絶対値が大きい、または、検出車速Vが減少した場合には、操舵トルクTd1の比率が連続的に大きくなる。なお、この場合も、前記式23の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTdhを記憶した図9にて実線で示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdhを計算するようにしてもよい。
この計算された操舵トルクTdhは、トルク−横加速度変換部43に供給される。トルク−横加速度変換部43は、運転者が保舵操作状態で左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整するときに見込んでいる見込み横加速度Gdhを、下記式24に従って計算する。
Gdh=C・TdhK2 …式24
ただし、前記式24中の操舵トルクTdhは前記式23を用いて計算した操舵トルクTdhの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdhが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdhが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式24の演算に代えて、操舵トルクTdhに対する見込み横加速度Gdhを記憶した図10にて実線で示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み横加速度Gdhを計算するようにしてもよい。ここで、図10中におけるGkは、操舵トルクTkすなわち保舵操舵角θhにおける見込み横加速度を表す。
そして、トルク−横加速度変換部43は、計算した見込み横加速度Gdhを転舵角変換部44に供給する。転舵角変換部44は、供給された見込み横加速度Gdhを用いた下記式25に従って、目標転舵角δdhを計算する。
δdh=δk+L・(1+A・V2)・Gdh/V2 …式25
ただし、前記式25中のδkは、前記式17に従って計算される見込み横加速度Gkのときの目標転舵角、言い換えれば、前記式19に従って計算される保舵操舵角θhのときの目標転舵角を表す。
ここで、伝達比の大きい操舵範囲内で操舵ハンドル11が保舵された場合においては、前記式17と同様に前記式25を変形することによって、下記式26が導かれる。
δdh=δk+(L・(1+A・V2)/V2)・Go・exp(K1・K2・(θ−θh) …式26
前記式26によれば、目標転舵角δdhは、図11にて実線で示すように、保舵操舵角θhを仮想的な原点として、操舵角θに対して指数関数的に変化する。これにより、保舵操舵角θh近傍で緩やかに操舵ハンドル11が操作された場合には、目標転舵角δdhの変化量が小さい、言い換えれば、伝達比が小さくなる。したがって、運転者は、通常操作状態から保舵操作状態に切り替わった後、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を極めて良好に微調整することができる。
一方、保舵操舵状態から通常操舵状態に切り替わる場合、言い換えれば、保舵操作状態判定条件が成立しなくなった場合には、上述したように、前記式23における変数Fの値が連続的に「0」に変化する。これにより、変位−トルク変換部42によって計算される操舵トルクTdhは、通常操作状態における操舵トルクTd1に大きく依存するようになる。その結果、転舵角変換部44によって計算される保舵操作状態における目標転舵角δdhは、通常操作状態における目標転舵角δdに変更される。
ここで、変位−トルク変換部42は、操舵トルクTdhに対する操舵トルクTd1の比率と操舵トルクTd2の比率とを連続的に変更する、すなわち、変数Fの値を「1」から「0」に連続的に変更するにあたり、下記式27によって示される制限を設定する。
|Td1−Tdh|<ε …式27
ただし、前記式27中のεは、予め設定される定数である。そして、変位−トルク変換部42は、変数Fの値が「1」から「0」に連続的に変更することによって前記式27で示される関係が成立すると、目標転舵角δdhから目標転舵角δdに変更する。このように、目標転舵角δdhから目標転舵角δdへの急激な変化を制限することにより、保舵操作状態から通常操作状態に切り替わる場合、言い換えれば、目標転舵角δdhから目標転舵角δdに切り替わる場合であっても、左右前輪FW1,FW2の急激な変化を効果的に防止することができ、運転者が違和感を覚えることを防止することができる。
このように計算された目標転舵角δdhは、上述した通常操作状態の場合と同様に、転舵制御部50の転舵角補正部51に供給され、前記式18と同様な下記式28に従って補正目標転舵角δdhaに補正される。
δdha=δdh+K4・(Gdh−G) …式28
ただし、係数K4は予め決められた正の定数である。また、実横加速度Gは横加速度センサ34によって検出されたものであり、見込み横加速度Gdhはトルク−横加速度変換部43によって計算されたものである。そして、このように計算された補正目標転舵角δdhaは、駆動制御部52に供給され、左右前輪FW1,FW2が補正目標転舵角δdhaに転舵される。
次に、反力制御部60を説明する。操舵角センサ31によって検出された操舵角θは、保舵状態判定部61に供給される。保舵状態判定部61は、感覚適合制御部40の保舵状態判定部41と同様に、上述した保舵操作状態判定条件に基づき、通常操作状態であれば検出操舵角θを変位−トルク変換部62に供給し、保舵操作状態であれば設定した保舵操舵角θhおよび検出操舵角θを変位−トルク変換部62に供給する。
変位−トルク変換部62は、検出操舵角θが供給されていれば、前記式1〜3と同様な下記式29〜31に従って反力トルクTz1を計算する。この反力トルクTz1の計算においても、式29に関しては、一次関数に限定されるものではなく、操舵角θが「0」のときに反力トルクTz11が「0」となり、かつ、式30の指数関数と連続的に接続される関数であれば、種々の関数を採用することができる。
Tz11=(Tmax/θmax1)・θ …式29
Tz12=To・exp(K1・θ) …式30
Tz1=KRs0・Td11+(1−KRs0)・Td12 …式31
この場合も、前記式29中のTmax,θmax1は、前記式1と同様な設定値である。また、前記式30中のTo,K1は前記式2と同様な定数である。また、前記式31中のKRs0は、前記式3と同様に、検出操舵角θの変化特性を補正する係数であり、図3に示すような特性を有する。さらに、前記式29および式30中の操舵角θは、前記検出操舵角θの絶対値を表しているものであるが、検出操舵角θが正であれば(Tmax/θmax1)および定数Toを負の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば(Tmax/θmax1)および定数Toを前記正の(Tmax/θmax1)および前記正の定数Toと同じ絶対値を有する正の値とする。なお、この場合も、前記式29〜31の演算に代えて、操舵角θに対する反力トルクTzを記憶した図4に示すような特性の変換テーブルを用いて、反力トルクTz1を計算するようにしてもよい。
一方、変位−トルク変換部62は、保舵状態判定部61から設定された保舵操舵角θhおよび検出操舵角θが供給されていれば、前記式20〜22と同様な下記式32〜34に従って反力トルクTz2を計算する。
Tz21=(Tmax/θmax2)・(θ−θh) …式32
Tz22=To・exp(K1・(θ−θh)) …式33
Tz2=KRs0・Tz21+(1−KRs0)・Tz22+Tk …式34
ここで、前記式32中のθmax2は、前記式20と同様な保舵操作状態における操舵ハンドル11の最大操舵角の絶対値を表す。また、前記式34中のTkは、通常操作状態における保舵操舵角θhの操舵トルクを表すものであり、前記式31(前記式29,30)に従って計算されるものである。また、前記式34中のKRs0も、前記式31と同様な検出操舵角θの変化特性を補正する係数である。なお、この場合、所定の操舵角θg以上に操舵ハンドル11が回動操作されているため、KRs0は「1」未満となる。
そして、変位−トルク変換部42は、前記式23と同様な下記式35に従い、保舵操作状態における操舵トルクTzhを計算する。
Tzh=(1−F)・Tz1+F・Tz2 …式35
ただし、前記式35中のFも、前記式23と同様に、操舵トルクTd1と操舵トルクTd2との比率を決定するための変数であり、図8に示すように、保舵操作状態判定条件を構成する操舵角速度dθ/dtの絶対値と(1/V)の変化に応じて変化する特性を有する。これにより、変数Fは、操舵角速度dθ/dtの絶対値の増大に伴って、「1」から「0」に変化するとともに、検出車速Vの減少に伴って、「1」から「0」に変化する。
したがって、前記式35に従って計算される操舵トルクTzhも、保舵操作状態判定条件が成立している場合においては、操舵トルクTz2の比率が大きくなる。一方、操舵トルクTzhは、前記条件が成立しない、すなわち、操舵角速度dθ/dtの絶対値が大きい、または、検出車速Vが減少した場合では、操舵トルクTz1の比率が連続的に大きくなる。なお、この場合も、前記式35の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTzhを記憶した図9に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTzhを計算するようにしてもよい。
このように計算された反力トルクTz1または反力トルクTzhは、駆動制御部63に供給される。駆動制御部63は、駆動回路36から反力アクチュエータ13内の電動モータに流れる駆動電流を入力し、同電動モータに反力トルクTz1または反力トルクTzhに対応した駆動電流が流れるように駆動回路36をフィードバック制御する。この反力アクチュエータ13内の電動モータの駆動制御により、同電動モータは、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTz1または反力トルクTzhを付与する。
したがって、運転者は、通常操作状態においては、操舵トルクTd1と等しい反力トルクTz1を操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。また、運転者は、保舵操作状態においては、操舵トルクTdhと等しい反力トルクTzhを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。これにより、運転者は、操舵角θとの関係が上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従う反力トルクTz1または反力トルクTzhを知覚しながら、すなわち、人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
以上の説明からも理解できるように、この第1実施形態によれば、保舵状態判定部41によって、操舵ハンドル11が通常操作状態にあると判定されると、操舵ハンドル11に対する操舵角θは、変位−トルク変換部42およびトルク−横加速度変換部43によって見込み横加速度Gdに変換される。そして、この変換された見込み横加速度Gdに基づいて、転舵角変換部44は、見込み横加速度Gdで車両が運動するための目標転舵角δdを操舵ハンドル11の操舵角θに対して指数関数的(非線形的に)に変化するように計算することができる。
したがって、左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δdに転舵されて車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」として見込み横加速度Gdが与えられる。そして、この見込み横加速度Gdは操舵ハンドル11の操舵角θに対してべき乗関数的(または指数関数的)に変化するものであるので、運転者は、人間の知覚特性に合った横加速度を知覚しながら、操舵ハンドル11を操作できる。その結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
一方で、通常操作状態にあるときに、伝達比の大きい操舵範囲で操舵ハンドル11を回動操作する場合には、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整することが難しくなる。このことに対して、保舵状態判定部41は、保舵操作状態判定条件の成立に基づき、すなわち、運転者によって操舵ハンドル11が緩やかに回動操作されていれば、保舵操舵角θhを仮想的な原点に設定することができる。そして、この保舵操舵角θhを基準として、トルク−横加速度変換部43は見込み横加速度Gdhを計算し、転舵角変換部44は見込み横加速度Gdhに基づく目標転舵角δdhを計算することができ、その結果、伝達比を小さくすることができる。したがって、運転者は、操舵ハンドル11の操舵角θの大きい操舵範囲内であっても、極めて容易に、かつ、知覚特性に合わせて車両を旋回させることができ、車両の運転が簡単になる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、保舵状態判定部41,61によって、運転者による操舵ハンドル11の操作状態が保舵操作状態であると判定されると、保舵操舵角θhを仮想的な原点として一回設定し、この保舵操舵角θhの近傍における伝達比を小さくするように実施した。これに対して、保舵操作状態中に複数回の保舵操作状態が判定された場合には、それぞれの判定ごとに保舵操舵角を仮想的な原点として再度設定するように実施することも可能である。以下、この第2実施形態を説明するが、上記第1実施形態と同一部分に同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
この第2実施形態におけるコンピュータプログラムは、保舵操作状態において保舵操舵角を複数回設定する点で、上記第1実施形態のコンピュータプログラムと異なる。したがって、以下の説明においては、上記第1実施形態と全く同様な通常操作状態の説明を省略し、保舵操作状態を詳細に説明する。
この第2実施形態においては、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図12の機能ブロック図により示されている。そして、感覚適合制御部40の保舵状態判定部41は、通常操作状態において、保舵操作状態判定条件が成立すれば、上記第1実施形態と同様に、第1回目の保舵操舵角θh1を設定し、この保舵操舵角θh1および検出操舵角θを変位−トルク変換部42に供給する。これにより、変位−トルク変換部42は、保舵操舵角θh1を仮想的な原点として、前記式20〜23に従って操舵トルクTdh1を計算し、同計算した操舵トルクTdh1をトルク−横加速度変換部43に供給する。
トルク−横加速度変換部43においては、供給された操舵トルクTdh1を用いて、前記式24に従って見込み横加速度Gdh1を計算し、転舵角変換部44は計算された見込み横加速度Gdh1を用いて、前記式25に従って目標転舵角δdh1を計算する。したがって、通常操作状態から保舵操作状態へ移行した場合、すなわち、第1回目の保舵操舵角θh1が設定された場合には、上記第1実施形態と同様に、保舵操舵角θh1近傍における伝達比が小さくなる。したがって、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整しやすくなる。
ところで、保舵操作状態においても、目標転舵角δdh1は、操舵角θに対して指数関数的に変化するため、例えば、運転者が緩やかに操舵ハンドル11を回動操作し続けた場合には、伝達比が増大して左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整しにくくなる場合がある。このため、保舵状態判定部41は、既に、保舵操作状態であると判定した場合において、伝達比が大きくなる操舵範囲まで操舵ハンドル11が緩やかに回動操作されて保舵操作状態判定条件が成立するときには、同条件が成立するごとに複数の保舵操舵角を設定する。以下、第n回目の保舵操舵角θhnが設定された場合について、具体的に説明する。
保舵状態判定部41は、第n回目に保舵操作状態判定条件が成立すれば、同成立時点における検出操舵角θを保舵操舵角θhnに設定し、この保舵操舵角θhnおよび検出操舵角θを変位−トルク変換部42に供給する。変位−トルク変換部42においては、供給された保舵操舵角θhnを仮想的な原点として、前記式20〜23と同様な下記式36〜39に従って操舵トルクTdhnを計算する。
Tdn1=(Tmax/θmaxn)・(θ−θhn) …式36
Tdn2=To・exp(K1・(θ−θhn)) …式37
Tdn=KRs0・Tdn1+(1−KRs0)・Tdn2+Tk …式38
Tdhn=(1−F)・Td(n-1)+F・Tdn …式39
ただし、前記式36中のθmaxnは、第n回目の保舵操作状態における操舵ハンドル11の最大操舵角を表す。前記式39中のTd(n-1)は、第n−1回目の保舵操舵角θh(n-1)の設定に伴って、前記式36〜38に従って計算された操舵トルクを表す。なお、この場合、前記式39の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTdhnを記憶した図13にて実線で示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdhnを計算するようにしてもよい。
この計算された操舵トルクTdhnは、トルク−横加速度変換部43に供給される。トルク−横加速度変換部43は、運転者が第n回目の保舵操作状態で左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整するときに見込んでいる見込み横加速度Gdhnを、下記式40に従って計算する。
Gdhn=C・Tdhn K2 …式40
ただし、前記式40中の操舵トルクTdhnは前記式39を用いて計算した操舵トルクTdhnの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdhnが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdhnが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式40の演算に代えて、操舵トルクTdhnに対する見込み横加速度Gdhnを記憶した図14にて実線で示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み横加速度Gdhnを計算するようにしてもよい。ここで、図14中におけるGknは、操舵トルクTknすなわち保舵操舵角θhnにおける見込み横加速度を表す。
そして、トルク−横加速度変換部43は、計算した見込み横加速度Gdhnを転舵角変換部44に供給する。転舵角変換部44は、供給された見込み横加速度Gdhnを用いた下記式41に従って、目標転舵角δdhnを計算する。
δdhn=δk(n-1)+L・(1+A・V2)・Gdhn/V2 …式41
ただし、前記式41中のδk(n-1)は、第n−1回目に保舵操舵角θh(n-1)を設定したときに、前記式41に従って計算される保舵操舵角θhnに対応した目標転舵角を表す。
このように、保舵操舵角がn回設定される場合であっても、目標転舵角δdhnは、図15に示すように、保舵操舵角θhnを仮想的な原点として、操舵角θに対して指数関数的に変化する。そして、保舵操舵角θhn近傍で緩やかに操舵ハンドル11を操作した場合には、目標転舵角δdhnの変化量が小さい、言い換えれば、伝達比が小さくなる。したがって、運転者は、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を極めて良好に微調整することができる。
一方、第n回目の保舵操舵状態から通常操舵状態に切り替わる場合には、上述した第1実施形態と同様に、前記式39における変数Fの値が連続的に「0」に変化する。これにより、変位−トルク変換部42によって計算される操舵トルクTdhnは、第n−1回目の保舵操作状態における操舵トルクTd(n-1)に大きく依存するようになる。その結果、転舵角変換部44によって計算される保舵操作状態における目標転舵角δdhnは、第n−1回目の保舵操作状態における目標転舵角δdh(n-1)に連続的に変更される。そして、このような変更が繰り返されることにより、目標転舵角δdhnから通常操作状態における目標転舵角δdまで連続的に変更される。
ここで、変位−トルク変換部42は、上記第1実施形態と同様に、操舵トルクTdhnに対する操舵トルクTd(n-1)の比率と操舵トルクTdnの比率とを連続的に変更するすなわち変数Fの値を「1」から「0」に連続的に変更するにあたり、前記式27によって示される制限を設定するとよい。これにより、操舵トルクTd(n-1)の比率と操舵トルクTdnの比率の急激な変化を制限することにより、保舵操作状態から通常操作状態に切り替わる場合、言い換えれば、目標転舵角δdhnから目標転舵角δdに切り替わる場合であっても、左右前輪FW1,FW2の急激な変化を効果的に防止することができ、運転者が違和感を覚えることを防止することができる。
このように計算された目標転舵角δdhnは、上述した通常操作状態の場合と同様に、転舵制御部50の転舵角補正部51に供給され、前記式28に従って補正目標転舵角δdhnaに補正される。そして、このように計算された補正目標転舵角δdhnaは、駆動制御部52に供給され、左右前輪FW1,FW2が補正目標転舵角δdhnaに転舵される。
また、反力制御部60においても、保舵状態判定部61によって保舵操舵角θhnが設定されると、変位−トルク変換部62は、この保舵操舵角θhnに対応して、前記式35〜38と同様な下記式42〜45に従って反力トルクTzhnを計算する。
Tzn1=(Tmax/θmaxn)・(θ−θhn) …式42
Tzn2=To・exp(K1・(θ−θhn)) …式43
Tzn=KRs0・Tzn1+(1−KRs0)・Tzn2+Tk …式44
Tzhn=(1−F)・Tz(n-1)+F・Tzn …式45
そして、駆動制御部63は、計算された反力トルクTzhnに対応した駆動電流が流れるように、駆動回路36をフィードバック制御し、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTzhnを付与する。したがって、運転者は、操舵トルクTdhnと等しい反力トルクTzhnを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。これにより、運転者は、操舵角θとの関係が上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従う反力トルクTzhnを知覚しながら、すなわち、人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態によっても、通常操作状態においては、左右前輪FW1,FW2の伝達比を大きくすることができ、運転者は、車両を極めて簡単に旋回させることができる。一方、通常操作状態から保舵操作状態へ移行した場合には、伝達比を小さくすることができ、運転者は、極めて容易に車両を旋回させることができる。そして、既に保舵操作状態であっても、保舵操作状態判定条件を満たす場合には、複数の保舵操舵角を設定することができるため、運転者は、より良好に車両を旋回させることができて、簡単に車両を運転することができる。
c.第3実施形態
上記第1実施形態および第2実施形態においては、伝達比が大きくなる操舵範囲内で操舵ハンドル11が回動操作されている状況で、保舵状態判定部41によって保舵操作状態判定条件が成立していると判定されたとき、保舵操舵角θhを仮想的な原点に設定するようにした。これにより、保舵操作状態においては、伝達比を小さくすることができて、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を極めて容易に微調整できるようにした。
これに対して、伝達比が大きくなる操舵範囲内で操舵ハンドル11が回動操作される場合において、検出操舵角θに対する実転舵角δの比すなわち転舵ギア比を変更するようにしてもよい。すなわち、伝達比は、一般的に、転舵ギア比の逆数として表すことができる。このため、転舵ギア比を適宜変更することによって、伝達比を変更することができる。以下、この第3実施形態を説明する。
この第3実施形態における車両の操舵装置の構成は、上記第1実施形態と同じであるが、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1実施形態および第2実施形態の場合と若干異なる。
この第3実施形態においては、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図16の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部40においては、上記第1実施形態および第2実施形態における保舵状態判定部41が省略されて構成されている。すなわち、この第3実施形態においては、変位−トルク変換部42が操舵角センサ31から検出操舵角θを直接入力するように構成されている。これにより、変位−トルク変換部42、トルク−横加速度変換部43および転舵角変換部44における各処理は、上記第1実施形態および第2実施形態における通常操作状態の場合と同様となる。
具体的には、変位−トルク変換部42が前記式1〜3に従って操舵トルクTd1を計算し、トルク−横加速度変換部43に供給する。トルク−横加速度変換部43は、供給された操舵トルクTd1を用いて、前記式4,5に従い見込み横加速度Gdを計算する。そして、この計算された見込み横加速度Gdは転舵角変換部44に供給され、転舵角変換部44は、図6に示したテーブルを参照することによって、または、前記式17を計算することによって、見込み横加速度Gdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算する。
このように計算された目標転舵角δdは、転舵制御部50の転舵角補正部53に供給される。転舵角補正部53は、操舵角センサ31から検出操舵角θを入力するようになっていて、同入力した検出操舵角θの時間微分値すなわち操舵角速度dθ/dtに応じて、目標転舵角δdまで転舵する左右前輪FW1,FW2の転舵動作を制御するための制御用目標転舵角δsnを計算する。すなわち、転舵角補正部51は、下記式46に従って、制御用目標転舵角δsnを計算する。
δsn=(dθ/dt)/Gra0+δs(n-1) …式46
ただし、前記式46中のGra0は、転舵ギア比を表し、図17に示すような特性を有する。具体的に説明すると、転舵ギア比Gra0は、図17に示すように、運転者による操舵ハンドル11の操舵角速度dθ/dtの絶対値が大きくなるに従って、小さな値となる変化特性を有するものである。また、前記式46中のδs(n-1)は、前回計算した制御用目標転舵角を表す。
そして、このように計算される制御用目標転舵角δsnは、駆動制御部52に供給される。駆動制御部52は、転舵角センサ32によって検出された実転舵角δを入力するとともに、転舵角変換部44から目標転舵角δdをも入力し、左右前輪FW1,FW2が順次供給される制御用目標転舵角δsnに転舵されるように転舵アクチュエータ21内の電動モータの回転をフィードバック制御する。そして、このフィードバック制御は、左右前輪FW1,FW2の実転舵角δが目標転舵角δdとなるまで繰り返し実行されることによって、左右前輪FW1,FW2は目標転舵角δdに転舵される。
このように、左右前輪FW1,FW2の転舵動作が制御される場合においては、運転者による操舵ハンドル11の操舵角速度dθ/dtを反映して左右前輪FW1,FW2が転舵するようになる。すなわち、前記式46によれば、操舵角速度dθ/dtの絶対値が大きい場合には転舵ギア比Gra0が小さくなる、言い換えれば、伝達比が大きくなるため、計算される制御用目標転舵角δsnは、操舵角速度dθ/dtの絶対値に応じて大きく計算される。これにより、左右前輪FW1,FW2の転舵動作速度が大きくなり、左右前輪FW1,FW2は目標転舵角δdまで素早く転舵するようになる。一方、操舵角速度dθ/dtの絶対値が小さい場合には転舵ギア比Gra0が大きくなる、言い換えれば、伝達比が小さくなるため、計算される制御用目標転舵角δsnは、操舵角速度dθ/dtの絶対値に応じて小さく計算される。これにより、左右前輪FW1,FW2の転舵動作速度が小さくなり、左右前輪FW1,FW2の転舵状態を微調整しやすくなる。
また、この第3実施形態における反力制御部60においては、上記第1実施形態および第2実施形態における保舵状態判定部61が省略されるため、反力制御部60においても、上記第1実施形態および第2実施形態における通常操作状態の場合と同様に、反力トルクTz1が計算される。その他、電子制御ユニット35にて実行されるプログラム処理については、上記第1実施形態および第2実施形態の場合と同じである。そして、図16の機能ブロック図において、上記第1実施形態および第2実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
以上の説明からも理解できるように、この第3実施形態においては、操舵角速度dθ/dtに応じて左右前輪FW1,FW2の転舵動作を適切に制御することができるため、例えば、通常操作状態におけるスラローム走行など操舵ハンドル11が中立位置近傍で素早く操作された場合には、左右前輪FW1,FW2を応答性よく転舵させることができる。一方、伝達比の大きな操舵範囲内においては、操舵角速度dθ/dtの絶対値の小さい操舵ハンドル11の回動操作に対応して、左右前輪FW1,FW2を緩やかに転舵させることができる。
上記第3実施形態においては、常に、運転者による操舵ハンドル11の操舵角速度dθ/dtを反映して、左右前輪FW1,FW2の転舵動作を制御するように実施した。しかし、操舵角センサ31として、例えば、パルス出力タイプのセンサが採用された場合において、運転者が緩やかに操舵ハンドル11を回動操作したときには、転舵角補正部53による演算周期内に適切にパルスが出力されない可能性がある。この場合、正確に操舵角速度dθ/dtを計算することができず、適切に左右前輪FW1,FW2を転舵させることができない可能性がある。以下、この点を考慮した第3実施形態の第1変形例を説明する。
この第1変形例においては、操舵角速度dθ/dtに応じた左右前輪FW1,FW2の転舵制御に加えて、特に、操舵角速度dθ/dtの絶対値が小さい場合には、検出操舵角θに応じた左右前輪FW1,FW2の転舵制御を行う。具体的に説明すると、この第1変形例においては、転舵角補正部53は、パルス出力タイプの操舵角センサ31から入力したパルスの数に基づいて現在の操舵角θnを計算する。そして、転舵角補正部53は、同計算した操舵角θnを用いて、運転者による操舵ハンドル11の操舵角速度dθn/dtを計算する。この計算した操舵角速度dθn/dtの絶対値が予め設定された所定の操舵角速度S以上であれば、転舵角補正部53は、計算した操舵角速度dθn/dtを用いた前記式46に従って、制御用目標転舵角δsnを計算する。すなわち、この場合には、運転者によってある程度速く操舵ハンドル11が回動操作されているため、操舵角速度dθn/dtに応じて左右前輪FW1,FW2を転舵制御する。
一方、計算した操舵角速度dθn/dtの絶対値が予め設定された所定の操舵角速度S未満であれば、転舵角補正部53は、下記式47に従って、制御用目標転舵角δsnを計算する。
δsn=(θn−θc)/Gra1+δsc …式47
ただし、前記式47中のθcは、操舵角速度dθn/dtの絶対値が所定の操舵角速度S未満となったときの操舵角を表し、δscは、操舵角速度dθn/dtの絶対値が所定の操舵角速度S未満となったときの制御用目標転舵角を表す。また、前記式47中のGra1は、転舵ギア比を表す定数である。これによれば、運転者によって緩やかに操舵ハンドル11が回動操作されている状態では、検出操舵角θnの変化に依存して制御用目標転舵角δsnが計算される。したがって、運転者が操舵ハンドル11の回動操作を緩やかに続ける限り、適正に制御用目標転舵角δsnを計算することができるため、パルス出力タイプの操舵角センサ31を採用した場合であっても、左右前輪FW1,FW2を適切に転舵制御することができる。
ところで、上記第1変形例においては、操舵角速度dθn/dtの絶対値が所定の操舵角速度S未満のときには、転舵ギア比Gra1が一定として実施した。この場合には、左右前輪FW1,FW2を目標転舵角δdまで転舵させるために、運転者はより多く操舵ハンドル11を回動操作する必要がある。したがって、転舵ギア比Gra1を回動操作量に応じて変化させるように実施することも可能である。以下、第3実施形態の第2変形例を説明する。
この第2変形例においては、前記式46中の転舵ギア比Gra1が図18に示すような特性を有する。具体的に説明すると、転舵ギア比Gra1は、図18に示すように、(θn−θc)の絶対値の増大に伴って、小さな値となる変化特性を有する。このように、転舵ギア比Gra1を小さな値に変化させることによって伝達比を大きな値に変更することができ、運転者による操舵ハンドル11の回動操作量を低減することができる。したがって、この第2変形例においては、上記第3実施形態および第1変形例の効果に加えて、運転者による操舵ハンドル11の操作に対する負担を軽減することができる。
d.第4実施形態
次に、上記第1〜第3実施形態における運動状態量としての横加速度に代えて、ヨーレートを用いた本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態においては、図1に破線で示すように、上記第1実施形態における横加速度センサ34に代えて、運転者が知覚し得る運動状態量である実ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ38を備えている。他の構成については上記第1実施形態と同じであるが、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1実施形態の場合と若干異なる。
この第4実施形態においては、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図19の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部70において、保舵状態判定部71は、上記第1実施形態と同様に、検出操舵角θおよび検出車速Vを用いて、操舵ハンドル11が保舵操作状態であるか否かを判定するが、保舵操作状態判定条件は上記第1実施形態の条件と異なる。すなわち、この第4実施形態における保舵操作状態判定条件は、検出操舵角θの絶対値が所定の操舵角θg以上であるときに、検出車速Vが所定の車速Vc以上であり、かつ、操舵角速度dθ/dtの絶対値が予め設定された所定値dθv未満である状態が所定時間thだけ継続している条件である。
そして、保舵状態判定部71は、上記第1実施形態の変位−トルク変換部42と同様に機能する変位−トルク変換部72に対して、通常操作状態であれば検出操舵角θを供給し、保舵操作状態であれば設定した保舵操舵角θhおよび検出操舵角θを供給する。これにより、変位−トルク変換部72は、検出操舵角θが供給されれば前記式1〜3に従って操舵トルクTd1を計算し、保舵操舵角θhおよび検出操舵角θが供給されれば前記式20〜23に従って操舵トルクTdhを計算する。
また、この第4実施形態においては、上記第1実施形態のトルク−横加速度変換部43に代えて、トルク−ヨーレート変換部73が設けられている。このトルク−ヨーレート変換部73は、通常操作状態において変位−トルク変換部72により計算された操舵トルクTd1を用いて、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込みヨーレートγdを、操舵トルクTd1の絶対値が正の所定値Tg未満であれば下記式48に従ってし、操舵トルクTd1の絶対値が正の所定値Tg以上であれば下記式49に従って計算する。ここで、式47は上記第1実施形態と同じく操舵トルクTd1の一次関数式であって操舵トルクTd1が「0」のときに見込みヨーレートγdが「0」となる関数である。また、式48は上記第1実施形態と同じく操舵トルクTd1のべき乗関数であり、式47と所定値Tgにて連続的に接続するものである。
γd=a・Td1 (|Td|<Tg) …式47
γd=C・Td1K2 (Tg≦|Td|) …式48
また、トルク−ヨーレート変換部73は、保舵操作状態において変位−トルク変換部72により計算された操舵トルクTdhを用いて、保舵操作状態で運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込みヨーレートγdhを下記式49に従って計算する。
γdh=C・TdhK2 …式49
ただし、式47中のaは一次関数の傾きを表す定数であり、式48,49中のC,K2は,上記第1実施形態と同じく定数である。また、前記式47,48中の操舵トルクTd1は前記式3(前記式1,2)を用いて計算された操舵トルクTd1の絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTd1が正であれば定数aおよび定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTd1が負であれば定数aおよび定数Cを前記正の定数aおよび定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。
また、前記式49中の操舵トルクTdhは前記式23を用いて計算した操舵トルクTdhの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdhが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdhが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式47〜49の演算に代えて、操舵トルクTd1,Tdhに対する見込みヨーレートγdを記憶した図20に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込みヨーレートγd,γdhを計算するようにしてもよい。
また、転舵角変換部74は、見込みヨーレートγd,γdhを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δd,δdhを計算するものであり、図21に示すように車速Vに応じて変化して見込みヨーレートγd,γdhに対する目標転舵角δd,δdhの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δとヨーレートγとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部74は、このテーブルを参照して、前記入力した見込みヨーレートγd,γdhと車速センサ33から入力した検出車速Vに対応した目標転舵角δd,δdhを計算する。また、前記テーブルに記憶されているヨーレートγ(見込みヨーレートγd,γdh)と目標転舵角δd,δdhはいずれも正であるが、トルク−ヨーレート変換部73から供給される見込みヨーレートγd,γdhが負であれば、出力される目標転舵角δd,δdhも負となる。
ここで、目標転舵角δd,δdhは下記式50,51に示すように車速Vとヨーレートγの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式50,51の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・γd/V …式50
δdh=δk+L・(1+A・V2)・γdh/V …式51
ただし、前記式50,51中のLはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは車両の運動性能を示す予め決められた所定値である。また、前記式51中のδkは、前記式50に従って計算される保舵操舵角θhのときの目標転舵角を表す。
そして、この計算された目標転舵角δd,δdhは、転舵制御部50の転舵角補正部54に供給される。転舵角補正部54は、トルク−ヨーレート変換部73から見込みヨーレートγd,γdhを入力するとともに、ヨーレートセンサ38によって検出された実ヨーレートγをも入力しており、下記式52,53の演算を実行して、入力した目標転舵角δd,δdhを補正して補正目標転舵角δda,δdhaを計算する。
δda=δd+K5・(γd−γ) …式52
δdha=δdh+K5・(γdh−γ) …式53
ただし、係数K5は予め決められた正の定数であり、実ヨーレートγが見込みヨーレートγd,γdhに満たない場合には、補正目標転舵角δda,δdhaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実ヨーレートγが見込みヨーレートγd,γdhを超える場合には、補正目標転舵角δda,δdhaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込みヨーレートγd,γdhに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角δがより精度よく確保される。
また、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記第1実施形態の場合と同じである。そして、図19の機能ブロック図において、上記第1実施形態の図2と同じ符号を付してその説明を省略する。
そして、上記説明した第4実施形態においても、保舵状態判定部71によって、操舵ハンドル11が通常操作状態にあると判定されると、操舵ハンドル11に対する操舵角θは、変位−トルク変換部72およびトルク−ヨーレート変換部73によって見込みヨーレートγdに変換される。そして、この変換された見込みヨーレートγdに基づいて、転舵角変換部74は、見込み横加速度Gdで車両が運動するための目標転舵角δdを操舵ハンドル11の操舵角θに対して指数関数的(非線形的に)に変化するように計算することができる。
したがって、左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δdに転舵されて車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」として見込みヨーレートγdが与えられる。そして、この見込みヨーレートγdは操舵ハンドル11の操舵角θに対してべき乗関数的(または指数関数的)に変化するものであるので、運転者は、人間の知覚特性に合った横加速度を知覚しながら、操舵ハンドル11を操作できる。その結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、保舵状態判定部71は、保舵操作状態判定条件の成立に基づき、すなわち、運転者によって操舵ハンドル11が緩やかに回動操作されていれば、保舵操舵角θhを仮想的な原点に設定することができる。そして、この保舵操舵角θhを基準として、トルク−ヨーレート変換部73見込みヨーレートγdhを計算し、転舵角変換部74は見込みヨーレートγdhに基づく目標転舵角δdhを計算することができ、その結果、伝達比を小さくすることができる。したがって、運転者は、操舵ハンドル11の操舵角θの大きい操舵範囲内であっても、極めて容易に、かつ、知覚特性に合わせて車両を旋回させることができ、車両の運転が簡単になる。
e.第5実施形態
次に、上記第1〜第3実施形態における運動状態量としての横加速度に代えて、旋回曲率を用いた本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態においても、上記第1実施形態と同様に図1に示すように構成されている。ただし、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが上記第1実施形態の場合とは若干異なる。
この第5実施形態においては、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図22の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部80において、保舵状態判定部81は、上記第1実施形態と同様に、検出操舵角θおよび検出車速Vを用いて、操舵ハンドル11が保舵操作状態にあるか否かを判定するが、保舵操作状態判定条件は上記第1実施形態の条件と異なる。すなわち、この第5実施形態における保舵操作状態判定条件は、検出操舵角θの絶対値が所定の操舵角θg以上であるときに、検出車速Vが所定の車速Vc以上であり、かつ、操舵角速度(dθ/dt)・Vの絶対値が予め設定された所定値dθv未満である状態が所定時間thだけ継続している条件である。
そして、保舵状態判定部81は、上記第1実施形態の変位−トルク変換部42と同様に機能する変位−トルク変換部82に対して、通常操作状態であれば検出操舵角θを供給し、保舵操作状態であれば設定した保舵操舵角θhおよび検出操舵角θを供給する。これにより、変位−トルク変換部82は、検出操舵角θが供給されれば前記式1〜3に従って操舵トルクTd1を計算し、保舵操舵角θhおよび検出操舵角θが供給されれば前記式20〜23に従って操舵トルクTdhを計算する。
また、この第5実施形態においては、上記第1実施形態のトルク−横加速度変換部43に代えて、トルク−旋回曲率変換部83が設けられている。このトルク−旋回曲率変換部83は、通常操作状態において変位−トルク変換部82により計算された操舵トルクTd1を用いて、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み旋回曲率ρdを、操舵トルクTd1の絶対値が正の所定値Tg未満であれば下記式54に従ってし、操舵トルクTd1の絶対値が正の所定値Tg以上であれば下記式55に従って計算する。ここで、式54は上記第1実施形態と同じく操舵トルクTd1の一次関数式であって操舵トルクTd1が「0」のときに見込みヨーレートγdが「0」となる関数である。また、式55は上記第1実施形態と同じく操舵トルクTd1のべき乗関数であり、式54と所定値Tgにて連続的に接続するものである。
ρd=a・Td1 (|Td|<Tg) …式54
ρd=C・Td1K2 (Tg≦|Td|) …式55
また、トルク−旋回曲率変換部83は、保舵操作状態において変位−トルク変換部82により計算された操舵トルクTdhを用いて、保舵操作状態で運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み旋回曲率ρdhを下記式56に従って計算する。
ρdh=C・TdhK2 …式56
ただし、式54中のaは一次関数の傾きを表す定数であり、式55,56中のC,K2は,上記第1実施形態と同じく定数である。また、前記式54,55中の操舵トルクTd1は前記式3(前記式1,2)を用いて計算された操舵トルクTd1の絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTd1が正であれば定数aおよび定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTd1が負であれば定数aおよび定数Cを前記正の定数aおよび定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。
また、前記式56中の操舵トルクTdhは前記式23を用いて計算した操舵トルクTdhの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdhが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdhが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式54〜56の演算に代えて、操舵トルクTd1,Tdhに対する見込み旋回曲率ρd,ρdhを記憶した図23に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み旋回曲率ρd,ρdhを計算するようにしてもよい。
また、転舵角変換部84は、見込み旋回曲率ρd,ρdhを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δd,δdhを計算するものであり、図24に示すように車速Vに応じて変化して見込み旋回曲率ρd,ρdhに対する目標転舵角δd,δdhの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと旋回曲率ρとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部84は、このテーブルを参照して、前記入力した見込み旋回曲率ρd,ρdhと車速センサ33から入力した検出車速Vに対応した目標転舵角δd,δdhを計算する。また、前記テーブルに記憶されている旋回曲率ρ(見込み旋回曲率ρd,ρdh)と目標転舵角δd,δdhはいずれも正であるが、トルク−旋回曲率変換部83から供給される見込み旋回曲率ρd,ρdhが負であれば、出力される目標転舵角δd,δdhも負となる。
ここで、目標転舵角δd,δdhは下記式57,58に示すように車速Vと旋回曲率ρの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式57,58の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・ρd …式57
δdh=δk+L・(1+A・V2)・ρdh …式58
ただし、前記式57,58中のLはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは車両の運動性能を示す予め決められた所定値である。また、前記式58中のδkは、前記式57に従って計算される保舵操舵角θhのときの目標転舵角を表す。
そして、この計算された目標転舵角δd,δdhは、転舵制御部50の転舵角補正部55に供給される。転舵角補正部55は、トルク−旋回曲率変換部83から見込み旋回曲率ρd,ρdhを入力するとともに、旋回曲率計算部56から実旋回曲率ρも入力する。旋回曲率計算部56は、横加速度センサ34によって検出された横加速度Gと、または、ヨーレートセンサ38によって検出されたヨーレートγと、車速センサ33によって検出された車速Vとを用いて、下記式59の演算の実行により実旋回曲率ρを計算して転舵角補正部55に出力する。
ρ=G/V2またはρ=γ/V …式59
そして、転舵角補正部55は、下記式60,61の演算を実行して、入力した目標転舵角δd,δdhを補正して補正目標転舵角δda,δdhaを計算する。
δda=δd+K6・(γd−γ) …式60
δdha=δdh+K6・(γdh−γ) …式61
ただし、係数K6は予め決められた正の定数であり、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρd,ρdhに満たない場合には、補正目標転舵角δda,δdhaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実旋回局率ρが見込み旋回曲率ρd,ρdhを超える場合には、補正目標転舵角δda,δdhaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み旋回曲率ρd,ρdhに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
また、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記第1実施形態の場合と同じである。そして、図22の機能ブロック図において、上記第1実施形態の図2と同一の符号を付してその説明を省略する。
そして、上記説明した第5実施形態においても、保舵状態判定部81によって、操舵ハンドル11が通常操作状態にあると判定されると、操舵ハンドル11に対する操舵角θは、変位−トルク変換部82およびトルク−ヨーレート変換部83によって見込み旋回曲率ρdに変換される。そして、この変換された見込み旋回曲率ρdに基づいて、転舵角変換部84は、見込み旋回曲率ρdで車両が運動するための目標転舵角δdを操舵ハンドル11の操舵角θに対して指数関数的(非線形的に)に変化するように計算することができる。
したがって、左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δdに転舵されて車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」として見込み旋回曲率ρdが与えられる。そして、この見込み旋回曲率ρdは操舵ハンドル11の操舵角θに対してべき乗関数的(または指数関数的)に変化するものであるので、運転者は、人間の知覚特性に合った旋回曲率を知覚しながら、操舵ハンドル11を操作できる。その結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、保舵状態判定部81は、保舵操作状態判定条件の成立に基づき、すなわち、運転者によって操舵ハンドル11が緩やかに回動操作されていれば、保舵操舵角θhを仮想的な原点に設定することができる。そして、この保舵操舵角θhを基準として、トルク−旋回曲率変換部83は見込み旋回曲率ρdhを計算し、転舵角変換部84は見込み旋回曲率ρdhに基づく目標転舵角δdhを計算することができ、その結果、伝達比を小さくすることができる。したがって、運転者は、操舵ハンドル11の操舵角θの大きい操舵範囲内であっても、極めて容易に、かつ、知覚特性に合わせて車両を旋回させることができ、車両の運転が簡単になる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1ないし第5実施形態および各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記第1ないし第5実施形態および各変形例においては、車両を操舵するために回動操作される操舵ハンドル11を用いるようにした。しかし、これに代えて、例えば、直線的に変位するジョイスティックタイプの操舵ハンドルを用いてもよいし、その他、運転者によって操作されるとともに車両に対する操舵を指示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
また、上記第1ないし第5実施形態および各変形例においては、転舵アクチュエータ21を用いて転舵出力軸22を回転させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにした。しかし、これに代えて、転舵アクチュエータ13を用いてラックバー24をリニアに変位させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにしてもよい。
さらに、上記第1ないし第5実施形態においては、人間が知覚し得る車両の運動状態量として、横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率をそれぞれ単独で用いるようにした。しかし、これらの車両の運動状態量を、運転者による選択操作により切り換え、または車両の走行状態に応じて自動的に切り換えて、車両の操舵制御を行なうようにしてもよい。車両の走行状態に応じて自動的に切り換える場合、例えば、車両の低速走行時には前記運動状態量として旋回曲率を用い、車両の中速走行時には前記運動状態量としてヨーレートを用い、かつ車両の高速走行時には前記運動状態量として横加速度を用いるようにする。これによれば、車両の走行状態に応じて適切な車両の操舵制御がなされ、車両の運転がより易しくなる。
本発明の第1ないし第5実施形態に共通の車両の操舵装置の概略図である。 本発明の第1実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 補正係数KRs0の操舵角に対する変化を示すグラフである。 通常操作状態における操舵角と操舵トルクの関係を示すグラフである。 通常操作状態における操舵トルクと見込み横加速度の関係を示すグラフである。 見込み横加速度と目標転舵角の関係を示すグラフである。 通常操作状態における操舵角と目標転舵角との関係を表すグラフである。 保舵操作状態における操舵トルクを決定するための変数Fの変化特性を示すグラフである。 保舵操作状態における操舵角と操舵トルクの関係を示すグラフである。 保舵操作状態における操舵トルクと見込み横加速度の関係を示すグラフである。 保舵操作状態における操舵角と目標転舵角との関係を表すグラフである。 本発明の第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 第2実施形態に係り、保舵操作状態における操舵角と操舵トルクの関係を示すグラフである。 第2実施形態に係り、保舵操作状態における操舵トルクと見込み横加速度の関係を示すグラフである。 第2実施形態に係り、保舵操作状態における操舵角と目標転舵角との関係を表すグラフである。 本発明の第3実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵角速度と転舵ギア比の関係を示すグラフである。 操舵角変化と転舵ギア比の関係を示すグラフである。 本発明の第4実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵トルクと見込みヨーレートの関係を示すグラフである。 見込みヨーレートと目標転舵角の関係を示すグラフである。 本発明の第5実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵トルクと見込み旋回曲率の関係を示すグラフである。 見込み旋回曲率と目標転舵角の関係を示すグラフである。
符号の説明
FW1,FW2…前輪、11…操舵ハンドル、12…操舵入力軸、13…反力アクチュエータ、21…転舵アクチュエータ、22…転舵出力軸、31…操舵角センサ、32…転舵角センサ、33…車速センサ、34…横加速度センサ、35…電子制御ユニット、38…操舵トルクセンサ、39…ヨーレートセンサ、40…感覚適合制御部、41,71,81…保舵状態判定部、42,72,82…変位−トルク変換部、43…トルク−横加速度変換部、44,74,84…転舵角変換部、73…トルク−ヨーレート変換部、83…トルク−旋回曲率変換部、50…転舵制御部、51,53,54,55…転舵角補正部、60…反力制御部、61…保舵状態判定部、62…変位−トルク変換部

Claims (13)

  1. 車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動して前記転舵輪を非線形的に転舵制御する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を、
    前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、
    前記検出された操作入力値の変化量に基づいて、同変化量の大きな前記操舵ハンドルの操作状態を表す通常操作状態と、前記変化量の小さな前記操舵ハンドルの操作状態を表す保舵操作状態とを判定する操作状態判定手段と、
    前記操舵ハンドルの操作状態が前記保舵操作状態であると判定されたとき、前記操作入力値の変化量に対する前記転舵輪の転舵量の比を表す伝達比が前記通常操作状態のときよりも小さくなる目標転舵角を前記検出された操作入力値を用いて計算する転舵角計算手段と、
    前記計算された目標転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された目標転舵角に転舵する転舵制御手段とで構成したことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記操作状態判定手段は、
    前記検出された操作入力値の時間微分値が予め設定された所定値以上であれば前記操舵ハンドルの操作状態が通常操作状態であると判定し、前記時間微分値が前記所定値未満であれば前記操舵ハンドルの操作状態が保舵操作状態であると判定することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  3. 請求項2に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記転舵制御装置は、さらに、
    車両の車速を検出する車速検出手段を備えており、
    前記操作状態判定手段は、
    前記検出された車速が所定の車速以上であり、かつ、前記時間微分値が前記所定値未満であれば前記操舵ハンドルの操作状態が保舵操作状態であると判定することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  4. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記操作状態判定手段は、
    前記操舵ハンドルの通常操作状態における前記伝達比が所定の伝達比よりも大きくなるときに、前記操舵ハンドルの操作状態を判定することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  5. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記転舵角計算手段は、
    前記操作状態判定手段によって前記操舵ハンドルが通常操作状態であると判定されると、前記操作入力値を検出するための検出基準点を原点として前記検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある通常操作状態の目標転舵角を計算し、前記操作状態判定手段によって前記操舵ハンドルが保舵操作状態であると判定されると、同保舵操作状態が判定された時の操作入力値を仮想的な原点として前記検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある保舵操作状態の目標転舵角を計算し、
    前記転舵制御手段は、
    前記計算された目標転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された目標転舵角に転舵することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  6. 車両の操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動して前記転舵輪を非線形的に転舵制御する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を、
    前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、
    前記検出された操作入力値の変化量に対する前記転舵輪の転舵量の比を表す伝達比を前記検出された操作入力値の時間微分値に基づいて変更する伝達比変更手段と、
    前記検出された操作入力値と所定の非線形の関係にある目標転舵角を、前記検出された操作入力値および前記変更された伝達比を用いて計算する転舵角計算手段と、
    前記計算された目標転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を前記計算された目標転舵角に転舵する転舵制御手段とで構成したことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  7. 前記伝達比変更手段は、
    前記検出された操作入力値の時間微分値が所定値よりも小さいときに、前記伝達比を前記検出された操作入力値の変化量に基づいて変更する請求項6に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  8. 前記伝達比変更手段は、
    前記検出された操作入力値の時間微分値が所定値よりも小さい状態で、前記操舵ハンドルの操作が継続しているときは、前記検出された操作入力値の変化量に応じて前記伝達比を大きな値に変更する請求項9に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  9. 前記所定の非線形の関係は、前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値と予め定めた指数関係である請求項5または請求項6に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  10. 請求項9に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記転舵角計算手段は、
    車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態量を表していて前記検出された操作入力値と予め定めた指数関係にある車両の見込み運動状態量を前記検出された操作入力値を用いて計算するとともに、同計算した見込み運動状態量を用いて前記目標転舵角を計算することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  11. 請求項10に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  12. 請求項9に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記操作入力値検出手段を、
    前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量検出手段と、
    前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する操作力変換手段とで構成したことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  13. 請求項1ないし請求項12のうちのいずれか一つに記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、さらに、
    前記操舵ハンドルの操作に対して反力を付与する反力装置を設けたことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
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