JP2008000893A - リング状に固化した紙製綴じ具及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 従来の金属製又はプラスチック製のリング状綴じ具と略同等形態，機能を具備した100％紙製といえるリング状綴じ具に更に改良を加えた紙製リング状綴じ具を提供すること。
【解決手段】 四角形をなす硬質の用紙１の一端側に略帯状の余地を残し他端側にカットによる略櫛歯状部を形成し用紙全体を略筒状に成形し、前記櫛歯状部をその先端側から綴じ穴を設けた複数の枚葉紙に通してから当該用紙１の前記帯状余地部と櫛歯状部の先端側とを接着結合するようにしたこと。
【選択図】図５

Description

本発明は紙製のリング状綴じ具に関する。

従来よりノートやカレンダー或は書籍など複数の枚葉紙の綴じ方として、開放されたリング状の綴じ具を使用した綴じ形態が公知である。このリング状綴じ具は、金属又はプラスチックによって形成されており、表紙を含む複数の枚葉紙の綴じ代部位に設けられた複数の綴じ穴に、リング部をその開放部分から前記枚葉紙の穴に通すことによりその枚葉紙を綴じるように用いられているが、問題もある。

即ち、近年の環境保全問題に端を発して、使用済み製品や物品などの廃棄処理においては、使用済み製品や不用製品のリサイクル性を良好にしようとする機運が高まり、この観点からノートやカレンダーなどの紙製品には、金属やプラスチックなどの異質の材料はできるだけ混用しないという点である。

ノートやカレンダーの綴じ具から金属製やプラスチック製のものの使用を排除しようとすると、従来の金属製又はプラスチック製のリング状綴じ具は使用できなくなるため、これに代わる綴じ具や綴じ形態を開発する必要が生じる。

このような観点から、例えばカレンダー用の金属製綴じ具を全く使用しないカレンダーの綴じ技術が特許第３２４３１５２号などとして提案されているが、金属製又はプラスチック製のリング状綴じ具についての代替品は未だない。この点に鑑み、本発明者は、特願２００３−３４９４４５号として紙製のリング状綴じ具を提案している。
特許第３２４３１５２号公報

本発明は、先に提案している従来の金属製又はプラスチック製のリング状綴じ具と略同等形態，機能を具備した100％紙製といえるリング状綴じ具に更に改良を加えた紙製リング状綴じ具を提供することを、その課題とするものである。

上記課題を解決することを目的としてなされた本発明綴じ具の構成は、四角形をなす硬質の用紙の一端側に略帯状の余地を残し他端側にカットによる略櫛歯状部を形成し用紙全体を略筒状に成形し、前記櫛歯状部をその先端側から綴じ穴を設けた複数の枚葉紙に通してから当該用紙の前記帯状余地部と櫛歯状部の先端側とを接着結合するようにしたことを特徴とするものである。本発明では、四角形の硬質の用紙は、対向面に接着剤を付けて二重に折曲げた接着用紙により形成したり、少なくとも二枚の用紙を接着剤で積層した接着用紙により形成することができる。また、この用紙には生分解性プラスチック材による用紙を用いてもよい。前記接着用紙は、前記接着剤が固化する前に折曲げ側に余地を残してほぼ櫛歯状をなすようにカットし筒状に丸める成形を行い、両端部又は一端部を円筒の曲率とは反対に向いた平坦面に成形する構成によりリング状綴じ具にすることもある。

折曲げて二重に接着した用紙を用いた本発明綴じ具では、一枚の用紙を２つ折りするとき、その折り目の内側に芯となる紙紐などを挟持させた構成を採ることができる。この綴じ具では、前記芯に代え、或は、その芯と併用して折り目に沿って補強部となる凹状又は凸状の筋を入れてもよい。

上記の本発明綴じ具では、用紙の外面又は接着剤の塗布面に粗い織目の帛布或は不織布や薄い和紙などを積層した構造とすることがある。また、本発明では、リング状綴じ具の外面に、化粧乃至補強の趣旨で、薄い帛布，不織布、或は、天然素材によるフィルムや薄い和紙などを貼着積層してもよい。この場合の帛布、不織布などは天然素材により製されたものが好ましい。加えて、本発明綴じ具では、前記用紙や帛布などの外面、或は、２つ折りした用紙の外面に、適宜の印刷（色彩，模様，文字など）を施すこともできる。更には、用紙に防水処理又は防湿処理したものを使用するが、完成した本発明綴じ具に防水又は防湿処理を施すこともある。

本発明では、用紙に塗布する接着剤に、植物系の糊、動物系の膠を用いれば、本発明綴じ具本体と使用した材料は、接着剤まですべて天然材質であるから、リサイクル性あるいは環境保全の面からも望ましいが、これらの接着剤に合成接着剤を混合したものを用いることができる。

本発明では、ノートやカレンダーなどに製本される枚葉紙の綴じ具を、紙のみ、又は紙と天然材質系の接着剤により形成すると、用済後のノートやカレンダーなどを、それらの構成部材を分別することなく、元の姿のままで一括して処理に回すことができる。

次に、本発明綴じ具について、その実施の形態例について説明する。図１は本発明リング状綴じ具を形成する比較的厚目の紙を用いた四角形の用紙の一例の斜視図、図２は図１の用紙を２つ折りして接着した状態の斜視図、図３は図２の２つ折りの用紙を略櫛歯状にカットした状態の斜視図、図４は図３の略櫛歯状の紙を筒状に丸める成形をすると共に、成形した筒状の外側の両端部（帯状余地部と櫛歯状部の先端側）を接着できるようにした接着前の本発明綴じ具に形成した例の斜視図、図５は図４のＡ−Ａ矢視拡大断面図、図６は本発明綴じ具の別例の拡大側断面図、図７は図４，図５の本発明綴じ具に枚葉紙を綴じた状態の側断面図、図８は接合部を綴じた枚葉紙の間に隠した状態の側断面図である。

図１〜図５に例示した本発明綴じ具の一例は、幅が４〜６cm、長さが８〜12cm程度の長方形の比較的厚手（例えば0.2〜0.5mm程度）の四角形の用紙１（以下、単に「紙」というが、材質は、普通紙，ファイバー紙，硫酸紙，グラシン紙，生分解性合成紙などである。）によって形成されている。即ち、図１の紙１を、その長さ方向において２つ折りするため、２つ折りして対向面となる面1a，1bの少なくとも一方に、図１では面1aに、望ましくは膠やデンプン系の糊などによる接着剤２を塗布する。なお、本発明の接着剤は糊や膠に限られるものではない。

接着剤２を塗布した紙１は、接着剤２の塗布面を内側（内面）にして中間部の折り目３において２つ折りし、図２の状態にする。本発明では図２の２つ折り状態で接着剤２が固化してしまう前に、プレス刃などによって２つ折り紙１の折り目３の側を帯状の余地とし、折り目３の無い側に開放された溝４を等ピッチで形成（カット）することにより、帯状の余地と櫛歯状の歯部５を残して全体を略櫛歯状に形成する（図３参照）。本発明において、溝４の数（歯部５の数）は、用紙１のサイズとカットする溝４の幅（残す歯部５）の大きさとの兼合いで、任意に設定できる。

櫛歯状に形成された図３の２つ折り紙１は、図３の接着剤２が未固化の状態でこの紙１の上面側1fを外側にして円筒状をなすように丸める成形を施す。丸める成形法は、一例として丸い断面の芯棒（図示せず）に図３の紙１が巻付くようにプレスなどを施すことにより行い、この状態で接着剤２をドライヤー（図示せず）などによって強制的に乾燥させる。なお、紙１を筒状にの丸める成形法は、上記の芯棒使用の形態に限られるものではない。また、円筒状の外径も任意であるが、大略5，6mmから15mm程度が好ましい。

本発明では、紙１の円筒に丸める成形に引き続き、丸めた筒体における少なくとも一方の外側端部（帯状余地部側又は櫛歯状部の先端側）を、ターン部6cにおいて筒体の外側とは逆向きに折曲げて平坦にするか（図５参照）、又は、折曲げないで平坦にした（図６参照）平端部6aと、丸め成形のままの非平端部6b（図５，図６参照）により接合固着部６に形成する。この固着部６は、後述するが枚葉紙を櫛歯状部の各歯部５に綴じ込んだ後、接着固定される。

ここで、図３の紙１を筒状に丸める成形をするとき、２つ折りされた紙１は未だ接着剤２が未固化状態であり、また接着剤２が紙１にしみ込んでいるので、丸め成形後に接着剤２が強制乾燥によって固化されると、図４，図５に例示するように、丸め成形して接着剤２が乾燥してしまった紙１は元に戻ることなく筒状に丸められた状態で固化されてしまう。

上記の２つ折りして積層した紙１の丸め形成部と接合固着部６は、その成形と接着剤２の固化作用により、図５の形態に成形されその筒状の形が固定されるので、本発明綴じ具における各歯部５は、あたかもプラスチック製や金属製のリングと同様の十分なバネ性（弾性）を発現する開閉自在のリング体として、リング状綴じ具として利用できることとなる。

上記の実施形態例において、本発明綴り具に成形する紙１は、１枚の用紙を２つ折りしてその対向面を接着剤２により接着したものを用いたが、本発明では、個々に独立した枚葉紙を接着剤２によって積層した紙１を用いることもできる。紙１には、ファイバー紙や硫酸紙を用いることができ、そのうち薄手のもの用いるときは、上記例のように接着剤２によって積層したものでもよいが、厚手の一枚紙を用いる場合には、その紙に帯状余地を残して溝４と歯部５を形成し、この紙を例えばスチーム雰囲気下で丸めた筒状に成形し、成形後に強制乾燥させるようにして本発明リング状綴じ具に形成することもある。

また、筒状に丸め成形した紙における平坦部6aと非平端部6bの構成は、図６に例示する形態としてもよい。図６の例の平坦部6aは、図５の例のように筒体の外面の弯曲面とはターン部6cで逆向きに折曲げてその前方を平坦部6aを形成するのではなく、筒体の外面からストレートに連続した平坦部6aを形成している。

更に、本発明リング状綴じ具では、図示しないが、平坦部6aを、各歯部５の先端側に形成し、筒体の曲率のままの非平坦部6bを各歯５の根元に当る折曲げ部３の側（帯状余地の側）に形成してもよい。

以上のような構成を備えた本発明綴じ具は、平坦部6aとこれに対面した非平坦部6bを接着剤により接合固着する前に、図７に示すように、各歯部５の先端（図５，図６の例では非平坦部6b）から、各歯部５のピッチに合った穴ｈを列設したノート用紙，カレンダー用紙などの枚葉紙ｐを、その各穴ｈを各歯部５に通して製本綴りを行い、しかる後、前記非平坦部6bの先端を平坦部6aに当接させて、当該当接部分を接着剤７により接合して接合固着部６を固定し、製本が完了する。製本完了状態の一例は図７に例示する通りである。

本発明綴じ具では、図７に例示したように、枚葉紙ｐを綴じ込み、平坦部6aと非平坦部6bを接着剤により接合しこの接合固着部６の接着剤７が固化したら、平坦部6aを接着剤７による固着部６に干渉しない余剰部分をカットした形態（図示せず）にすることもできる。カットしない場合には、平坦部6aのフラット面の中心や両サイドに係止用の穴Ｈを設けてもよい（図７参照）。

また、本発明綴じ具では、平坦部6aがフラットであることにより、図７のように綴じた枚葉紙ｐの間に、フラットな平坦部6aを挟んで位置付けると、リングの接ぎ目が製本されたもの（ノートやカレンダーなど）の外部に露出しないので、見映えに優れたリング状綴じ具を用いた製本状態を実現できる。

本発明では、上記例のほかに以下に述べる実施の形態を採用することができる。
まず、本発明では、使用する用紙１の厚さや大きさを選択することにより、歯部５の長さ（リングの径）や歯部５（リング）の本数を任意に設定した紙製のリング状綴じ具を形成することが出来る。本発明ではまた、以下に述べる実施の形態を採用することができる。

例えば、紙１の接着面に、図示しないが目の粗い天然素材の帛布や不織布を積層することにより、使用する紙１が薄いものであっても十分な強度やスプリング性を発現させ、更にはそれらの性能を高めることができる。厚目の紙を使用したものではそれらの性能が一段と強化される。

また、２つ折りする図１の紙１における折り目３に沿って、当該折り目３の内部に例えば紙紐を芯として入れると、これが本発明綴じ具の長さ方向での支骨となって、強度を高めることができる。この趣旨で、本発明では２つ折りした紙１の折り目３に沿って断面が凹状又は凸状をなす筋を入れると、これがまた補強筋として作用するので、前記筋を紙紐芯と併用して、或は、単独で適用することができる。なお、本発明では丸めた各歯部５が接着剤で固まり開きにくくなる場合に対応するため、リングの開きを助けるため各歯部５の横断方向に凹型（図示せず）を付けることもある。

本発明では、綴じ具の強度を上げる、或は、外観上の体裁を良好にするため、２つ折りした紙１の外面少なくとも（例えば図３の上面1f）に、帛布などを積層して強度を高めるとともに、綴じ具の質感を所望の材質に見せたり、着色，模様，文字などの印刷により装飾を施すことができる。また、完成した本発明綴じ具を防水処理又は防湿処理することもある。

本発明は以上の通りであって、紙と接着剤によってプラスチック製や金属製のリング状綴じ具とほぼ同等の機能，性能を持つ紙製リング状綴じ具を提供できるので、この綴じ具をノートやカレンダーなどのように多数の枚葉紙を綴じて製本する手段に用いると、用済み後にノード本体やカレンダー本体などと分別することなくそのまま処分できるという利点が得られる。

特に、本発明綴じ具では、用紙を筒状に丸めてリング状に形成したとき、その両端部にフラットな平坦部と、この平坦部に接着により接合一体化される筒状の曲率のままの非平坦部を形成し、枚葉紙の穴をリング状の各歯に通して綴じてから、前記平坦部と非平坦部とを接着剤により接合固化してリングが開かないようにしたので、非平坦部を接合した平坦部をこの綴じ具に綴じ込まれるカレンダーやノートなどの各枚葉紙の間に挟むことができ、リング体の接合部分が綴じ込まれているカレンダーやノートなどの外部に全く露出しないので、カレンダーやノートしての体裁も良好になる。

本発明リング状綴じ具を形成する比較的厚手の四角形の用紙の一例の斜視図。 図１の用紙を２つ折りして接着した状態の斜視図。 図２の２つ折りの用紙を略櫛歯状にカットした状態の斜視図。 図３の略櫛歯状の紙を筒状に丸める成形をすると共に、成形した筒状の外側の両端部に平坦部と非平坦部を形成して本発明綴じ具の一例に形成した例の斜視図。 図４のＡ−Ａ矢視拡大断面図。 本発明リング状綴じ具の別例の側断面図。 図４の本発明綴じ具に枚葉紙を綴じた一例の側断面図。 図４の本発明綴じ具に枚葉紙を綴じた別例の側断面図。

符号の説明

１ 塗布した紙
２ 接着剤
３ 折り目
４ 溝
５ 歯部
6a 平坦部
6b 非平坦部
６ 接合固着部
７ 平坦部と非平坦部を接合した接着剤
ｐ 枚葉紙
ｈ 枚葉紙の穴

Claims (12)

1. 四角形をなす硬質の用紙の一端側に略帯状の余地を残し他端側にカットによる略櫛歯状部を形成し用紙全体を略筒状に成形し、前記櫛歯状部をその先端側から綴じ穴を設けた複数の枚葉紙に通してから当該用紙の前記帯状余地部と櫛歯状部の先端側とを接着結合するようにしたことを特徴とするリング状紙製綴じ具。
2. 帯状余地部と櫛歯状部は、少なくとも一方を平坦に形成した請求項１のリング状紙製綴じ具。
3. 帯状余地部と櫛歯状部は、筒状の弯曲面とは反対側に折り曲げて平坦に形成し、両平坦部を合掌した形で接着結合するようにした請求項１又は２のリング状紙製綴じ具。
4. 平坦に形成した部分は、相手側と接着結合した部位の近傍でカットする請求項１〜３のいずれかのリング状紙製綴じ具。
5. 櫛歯状部の先端側を帯状余地部がある筒状部分の下に当該櫛歯状部の戻りバネ性により圧接させた請求項１のリング状紙製綴じ具。
6. 帯状余地部又は接着結合した前記余地部と櫛歯状部は、綴じ込んだ複数の枚葉紙の間に位置付けた請求項１〜５のいずれかのリング状紙製綴じ具。
7. 四角形の硬質の用紙は、対向面に接着剤を付けて少なくとも二重に折曲げた用紙により形成するか、又は、少なくとも２枚の用紙の対向面に接着剤を付けて各用紙を積層接着した積層用紙により形成した請求項１〜５のいずれかのリング状紙製綴じ具。
8. 硬質の用紙に生分解性プラスチック材を用いた請求項１〜７のいずれかのリング状紙製綴じ具。
9. 紙製綴じ具の外面には、適宜内容の印刷を施した請求項１〜８のいずれかのリング状紙製綴じ具。
10. 四角形の硬質の用紙を、その一端側に帯状の余地を残して全体が櫛歯状をなすようにカットして筒状に丸める成形をすると共に、その丸め成形した用紙の前記帯状余地の部分と櫛歯状部分の、少なくとも一方の端部側を平坦に形成することにより、前記櫛歯状部分が用紙の弾性により帯状余地の部分に対し開閉自在のリング状をなすように成形することを特徴とするリング状紙製綴じ具の製造方法。
11. 紙製綴じ具は防水処理又は防湿処理を施す請求項10のリング状紙製綴じ具の製造方法。
12. 接着剤には植物性の糊又は動物性の膠を用いる請求項10又は11のリング状紙製綴じ具の製造方法。
    

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