JP2007534631A - ラミニン−5γ2結合性ペプチド、その関連組成物およびその使用 - Google Patents

ラミニン−5γ2結合性ペプチド、その関連組成物およびその使用 Download PDF

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Abstract

ラミニン-5のγ2鎖および他のγ2関連タンパク質に特異的に結合する新規ペプチド;関連組成物(例えば、斯かるペプチドの誘導体および変異体;斯かるペプチドをコードする配列を含んでなる核酸;斯かる分子の何れかを含有してなる医薬組成物);診断、予防、および治療目的でこれらを使用する方法;および追加の新規且つ有用な関連組成物および方法が提供される。
【選択図】 なし

Description

関連特許出願の相互参照
この出願は、2004年5月13日に提出された米国仮特許出願第60/571656号;2003年11月20日に提出された米国仮特許出願第60/523895号;2003年10月28日に提出された米国特許出願第10/695,559号;および2003年10月29日に出願された国際特許出願第WO 2003EP12012号の優先権を主張するものであり、これら各出願の全体を、本願明細書の一部として本願に援用する。
発明の分野
本発明は、ラミニン-5のγ2鎖の一部に特異的および/または選択的に結合できるペプチド、その関連組成物、並びにこのようなペプチドおよび組成物の種々の使用に関する。
発明の背景
ラミニンは、α、βおよびγサブユニット(「鎖」)のヘテロ三量体鎖組成を有する基底膜糖タンパク質のファミリーである。ラミニンタンパク質ファミリーの一つの構成員であるラミニン-5(「Ln-5」)は、上皮基底膜の成分であり、α3β3γ2の鎖組成を有している(Kallunki, et al., J. Cell Biol. 119:679-93, 1992;また、Matsui et al., J Biol Chem. 270(40):23496-503 (1995)も参照のこと)。Ln-5γ2(または単に「γ2」)は、21アミノ酸(AA)の潜在的シグナル配列をもった約1193アミノ酸の長さ、および約130 kDの質量であり、この質量は、Ln-5において屡々約100 kDにプロセッシングされる。Ln-5γ2は、下記の領域にほぼ対応する五つのドメインで構成されると思われる:ドメインV;アミノ酸残基22-196;ドメインIV;アミノ酸残基197-381;ドメインIII;アミノ酸残基382-602;およびドメインI & 2;アミノ酸残基603-1193。ドメインI & IIは、コイル状に巻かれたコイルドメイン構造を含むように思える。ドメインI & IIのコイル状に巻かれたコイル領域とドメインIIIの間は、可撓性のヒンジ領域である。
γ2鎖は、インサイチューハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学的染色によって測定されたときに、幾つかのヒト癌種の浸潤前面に位置する悪性細胞中に強く発現されることが示されている。もっと最近では、ラミニン-5のドメインI-IIではなく、ドメインIIIに向けられた抗体が、上皮由来細胞(上皮由来の癌細胞を含む)のマイグレーションを減少できることが示されている(Salo et al., Matrix Biol. 18(2):197-210 (1999)および米国特許20020052307を参照のこと)。
発明の簡単な概要
本発明は、Ln-5のヒトγ2鎖(ここでは単純に「γ2」とも称する)の一部、殆どの側面では特にγ2のドメインIII(「γ2DIII」または単に「DIII」)およびその断片に結合する新規なペプチド、関連組成物(例えば、抗γ2DIII抗体[「抗L5G2D3抗体」または単純に抗L5G2D3 Absとも称する]の産生を含む免疫応答を誘導するペプチドのようなLn-5-結合性タンパク質、このようなLn-5結合性ペプチドまたは免疫原性ペプチド等の発現をコードする核酸等に構造的および/または機能的に関連する組成物)、並びに以前はγ2結合性ペプチドとして知られていた斯かる新規なペプチド、およびその何れかの関連組成物を製造、販売、および使用する新規かつ有用な方法を提供する。
特別の例示的側面において、本発明は、新規かつ有用なLn-5γ2ドメインIII(DIII)結合性ペプチド(「L5G2D3BPs」)、斯かるL5G2D3BPsを含有する組成物、および斯かるペプチドおよび/または組成物を使用する方法を提供する。本発明が提供するL5G2D3BPsは、なかでも、癌に冒された、または癌関連悪性疾患の実質的な発症リスクがあると診断されたヒトのような、脊椎動物(例えば哺乳類)における癌の進行の阻害(例えば上皮細胞由来の新生物および/または新生物発生前の細胞移動の減少)に関連した生理学的および/または細胞性応答の検出可能な誘導、促進、増強および/または他の調節、および/またはその診断において有用であり得る。もう一つの意味において、本発明は、ヒト患者における癌または前癌状態を治療するための医薬の製造におけるLGG2D3BP、例えばここに記載する1以上の特定の抗γ2DIII抗体の使用に関する。
発明の詳細な説明
上記に示した通り、ここで説明する本発明は、とりわけ、Ln-5γ2に結合できる新規かつ有用なペプチド、例えばLn-5γ2に対する抗体および関連のγ2結合性ペプチド(抗体断片;抗体様ペリペプチド、例えば二重特異性抗体、ダイアボディー、および一本鎖抗体;並びにそれらの何れかの誘導体等、それらの例について以下で更に詳細に説明する)を提供する。本発明はまた、斯かるペプチドの産生をコードする配列を含んでなる核酸;斯かる核酸を含んでなるベクター;斯かる核酸および/またはベクターを含んでなる細胞(例えば、斯かる核酸を含んでなるバクテリア細胞ベクター)を提供する。本発明は更に、斯かるペプチド、抗体、核酸、ベクターおよび細胞を含んでなる組成物を提供する。加えて、本発明は、斯かるペプチド、関連分子および組成物を使用する種々の新規かつ有用な方法(例えば、γ2相互作用の干渉に関連した1以上の生理学的応答を誘導、促進および/または増強する;ある分子をγ2関連組織に送達する等)を提供する。本発明は更に、γ2相互作用の干渉が有益である疾患の治療(例えばγ2関連の癌または前癌の治療)のための医薬の製造における、斯かるペプチドおよび/または関連分子(例えば、斯かるペプチドをコードする配列を備えた核酸)の使用に関する。抗原性ペプチドおよびペプチドをコードする核酸等の関連組成物、およびLn-5γ2ペプチドを調節する他の組成物(例えば、Ln-5γ2ペプチドを標的とするアンチセンスもしくはsiRNA分子)もまた、本発明によって提供される。本発明のこれら側面および特徴、並びに種々の追加の側面および特徴について、以下で更に詳細に説明する。
一つの側面において、本発明は、ラミニン-5タンパク質のγ2ドメインに結合する(典型的には特異的または選択的に結合する)、新規且つ有用なペプチドを提供する。
ここで用いるラミニン-5、Ln-5、Ln5等の用語は、特に断らない限り、或いはここで述べる内容と明らかに抵触しない限り、ヒト・ラミニン-5タンパク質を意味する(Ln-5は、集合的にγ2を含む如何なるアイソフォーム、例えばLn-5AおよびLn-5Bをも意味する(例えばKariya et al., JBC e-published manuscript M400670200 (March 23、2004)、即ち、JBC Papers in Press doi:10.1074/jbc.M400670200)を参照のこと))。Ln-5サブユニット(例えば、γ2)およびそのドメイン(例えば、γ2ドメイン III)もまた、特に断らない限り、或いはここで述べる内容と明らかに抵触しない限り、ヒト・Ln-5関して読まれるべきものである。
本発明の内容において、γ2に結合するペプチド(「Ln-5γ2結合性ペプチド」、L5G2BP、「γ2結合性ペプチド」等とも称する)とは、選択的および/または特異的にγ2と結合し、且つ(a)典型的な生理学的条件下で有意な時間だけ結合した状態で検出可能なまま残り、(b)酵素結合免疫吸着検定法(ELISAもしくはEIA)、ウエスタンブロット、または当該技術において既知のおよび/または本明細書のどこかに記載した他の適切な診断試験において、γ2に結合するものとして検出でき、および/または(c)細胞内および/または生理学的環境において、γ2に関連した生理学的活性を検出可能に誘導、促進、増強および/または調節するのに充分な時間だけ結合状態のまま残るペプチドを意味する。L5G2BPsは、典型的には、DIIIまたはDIII近傍のγ2の一部(例えばヒンジ領域)に結合する。一般に、L5G2BPがDIII近傍のγ2の領域に結合する場合、該領域は、この結合時に、DIIIへのアクセスがL5G2BPの結合によって少なくとも部分的にブロックされ、および/またはDIIIに関連した1以上の生物学的活性/機能が低下または調節されるように、充分に近接している。典型的には、L5G2BPは、それが生じ得る何れか適切な状況において、その標的に結合することができる。例えば、L5G2BPは、Ln-5の種々のヘテロ三量体形態(典型的には可溶性形態を含む);ヘテロ二量体γ2/β3;γ2の遊離形態;ラミニン-6、ラミニン-7、または他のマトリックスタンパク質に共有結合したγ2の形態(例えば、Champliaud MF et al.、J. Cell Biol. (1996) vol. 132 (6) 1189-1198参照);および/またはγ2の断片、例えばインビボプロセッシング起源のγ2断片(例えば、Schenk and Quarantas, TRENDS cell biol. (2003) vol. 13 (7) p. 366-375)等(L5G2BPsの追加の標的が本明細書のどこかに記載されており、および/または当該技術において知られている)に決合意する可能異性がある。L5G2BPもまた、典型的にはγ2関連標的に結合することができ、ここでは斯かる標的は巨大タンパク質の状態である(例えば融合タンパク質)。L5G2BPは
更に、或いはその代わりに、遊離形態、断片形態、および/または他のタンパク質、構造体等に結合した1以上の形態にあるその標的に結合することができる。上記のことから、特に断らない限り、または文脈的に明らかに齟齬しない限り、γ2結合性ペプチド(例えばγ2DIII結合性ペプチド)は、何れか適切な状態(例えば、γ2/β3ヘテロ二量体の状態、γ2の遊離断片の状態、ヘテロ三量体Ln-5分子の状態、相互作用性生体分子と結合したこれら何れかの状態)にあるγ2の一部(例えばγ2DIII)に結合できることが理解されるべきである。
典型的な生理学的条件には、約37℃の温度、例えば約20〜40℃の温度(例えば室温)および約7〜8(例えば約7.5)のpH、または温度、pHおよび他の条件の適切な他の組合せが含まれる。
標的のL5G2BP結合に関して有意な期間とは、典型的には少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、または約1〜12時間、約1〜24時間、約1〜36時間、約1〜48時間、約1〜72時間等のようなより長い時間を言う。
本発明の一つの側面は、当該抗体に接触しない実質的に同様の細胞と比較したときに、上皮細胞の運動性が検出可能に低下するような条件下で、遊離のγ2および/またはγ2を含んでなる関連分子、および/またはヘテロ三量体Ln-5(任意にヘテロ三量体Ln-5の断片であるか、またはこれを含む)に結合するγ2結合性ペプチドにおいて具体化される。
斯かる「ペプチド」、「タンパク質」および「ポリペプチド」の用語は、ここでは特に断らない限り、または文脈的に齟齬しない限り相互のためのサポートを提供し、また一般的に互換的使用に適するものとして理解されるべきである;但し、読者は、各タイプのそれぞれのアミノ酸ポリマー含有分子が有意な差で関連することができ、それによって本発明の個々の側面を形成することを理解するであろう(例えば、複数のポリペプチド鎖で構成される抗体、または同様のポリペプチド/タンパク質は、例えばデリバリー、アビディティー、および/または安定性に関して、例えば単鎖抗体、ペプチド免疫粘着、単鎖免疫原ペプチド、または他の小さい「ペプチド」(約100アミノ酸残基未満からなる単さアミノ酸ポリマー分子)とは顕著に異なるかもしれない)。更に、ここで用いる「ペプチド」および「タンパク質」等の用語は、一般に、何れか適切なサイズおよび組成(例えば、アミノ酸の数、タンパク質分子中の関連鎖の数、全体のサイズ等)の何等かの適切なペプチドを指称するものとして理解されるべきである。更に、特に断らない限り、または文脈的に齟齬しない限り、ここに記載する本発明の方法および組成物の関連におけるペプチドには、天然に存在しない、および/または非L型のアミノ酸残基も含まれることができる。
また、特に断らない限り、または文脈的に明らかに齟齬しない限り、ペプチド(および個々の側面として述べるときには、ポリペプチドおよび/またはタンパク質)の用語も、一般には誘導体化されたペプチド分子(「誘導体」)を包含するものである。「誘導体」は、特に断らない限り、または文脈的に齟齬しない限り、当該ペプチドの一以上のアミノ酸残基が化学的に修飾されているか(例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成)、または一以上の非アミノ酸有機および/または無機原子もしくは分子置換基[例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基、親油性置換基(βアラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸等のようなスペーサ残基もしくは基によって該ペプチドのアミノ酸配列に連結されてよい)、蛍光団、ビオチン、放射性核等]と結合され、或いは、非必須アミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、および/または非Lアミノ酸の残基を含むことができる(しかし、このような誘導体はそれ自身が本発明の独立の特徴であり、またペプチドの意味の中にこのような分子を含めることは、裸のペプチドと斯かる誘導体との間の何等かの均等性を意味するというよりも、本発明を説明する上での便宜性のために行われるものである)。当該誘導体の中に包含され得る普通でないアミノ酸の例には、例えば、2-アミノアジピン酸;3-アミノアジピン酸;β-アラニン;β-アミノプロピオン酸;2-アミノ酪酸;4-アミノ酪酸;6-アミノカプロン酸;2-アミノヘプタン酸;2-アミノイソ酪酸;3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸;2,4-ジアミノ酪酸;デスモシン;2,2' -ジアミノピメリン酸;2,3-ジアミノプロピオン酸;N-エチルグリシン;N-エチルアスパラギン;ヒドロキシリジン;アロ-ヒドロキシリジン;3-ヒドロキシプロリン;4-ヒドロキシプロリン;イソデスモシン;アロ-イソロイシン;N-メチルグリシン;N-メチルイソロイシン;6-N-メチルリジン;N-メチルバリン;ノルバリン;ノルロイシン;オルニチン等が含まれることができる。本発明によって提供されるL5G2BPsの誘導体については、本明細書の他の部分で更に詳細に説明する。
L5G2BPsには、抗体、抗体断片、および抗体様分子が含まれる。一つの側面において、本発明はL5G2BPsを提供するが、これは一以上の抗γ2、典型的には一以上の抗γ2DIII、抗体CDRまたはその生物学的機能変異体を含んでなるペプチドとして特徴付けできるものである。斯かるCDR-含有ペプチドは、典型的には、H鎖およびL鎖CDRの少なくとも一つの領域を含んでいる。複数のCDRが、直接または適切なペプチドリンカーを介して結合されることができる。
本発明はまた、非抗体L5G2BPs、例えば抗γ2DIII抗体断片、および本発明のL5G2BPsの一部を含む他のペプチドを提供する。
本発明をより良く例示するために、ここで、L5G2BPsのより多くの例示的タイプ(その特定の例を含む)を詳細に説明する。
特に有用なタイプのL5G2BPsは、γ2に結合する抗体である。典型的には、L5G2BP抗体はγ2DIIIまたはDIIIの近傍に位置するγ2の一部(例えばヒンジ領域)に結合する。γ2に対する抗体(または「抗γ2抗体」もしくは「γ2抗体」)とは、ここでは、典型的には細胞条件および/または生理学的条件下において、γ2の一以上の部分、典型的にはγ2DIIIの一部に特異的に結合する抗体を意味する。多くの場合、抗γ2抗体は、Ln-5γ2、γ2またはγ2関連分子構造に付随した生理学的効果を誘導、促進、増強、および/または調節するのに充分な時間だけ、γ2に結合する。もう一つの側面において、この抗γ2抗体は更に、またはその代りに、γ2に結合してこれに結合したまま残留し、ELISA、ウエスタンブロット、または他の同様の適切なタンパク質結合技術により、組成物中の結合したγ2部分/分子または会合した分子/構造体の検出を可能にする抗体として、および/または、さもなくば関連時間(例えば、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、約1〜24時間、約1〜36時間、約1〜48時間、約1〜72時間、約1週間、またはそれ以上)の後に、検出可能にそれに結合する抗体として特徴付けされる。γ2抗体は、単独のγ2またはγ2断片/部分(Ln-5のα3および/またはβ3を含まない)、および/またはヘテロ二量体もしくは多量体のLn-5タンパク質に特異的に結合する抗体であることができ、何れの場合にも、Ln-5結合性タンパク質、細胞の基底ラミナ等の他の構造体およびまたは生体分子を含まない形態、またはこれらと結合した形態であってよい。
本発明における抗γ2抗体は、Ln-5の他の部分、更には他の非Ln-5分子に結合する抗体を含むものである。例えば、抗γ2抗体はまた、ヘテロ三量体Ln-5タンパク質(天然に存在するLn-5またはその多重鎖断片)または四量体分子によって提示されるエピトープ、例えば高次構造エピトープ(即ち、構造的、非連続的、または非線型的なエピトープ)におけるLn-5のβ3鎖またはLn-5のα3鎖に結合することができる。他の抗γ2抗体は、γ2に加えて、非類似/非相同性の標的に結合することができる。例えば、本発明によって提供される多重特異性抗体(本明細書の他の場所で更に説明する)は、γ2の一部に加えて、何れか適切な追加の標的(例えば癌胎児性抗原(CEA)、Ep-CAM(即ちKSA/GA733-2)、67 kDaラミニン受容体(エラスチン受容体)、gp100、ムチン(MUC-1)、A33抗原など)に結合することができる。
抗体の用語は、一般的に、免疫グロブリン分子、少なくとも部分的に四量体抗体様構造を維持し、且つ野生型抗体と実質的に同様の長さの少なくとも一つの重鎖-軽鎖対を含んでなる免疫グロブリン分子の「断片」(抗体の実際の断片化、または組換え/合成製造の何れによって製造されたものでも)、またはその何れかの誘導体を意味し、これらは生理的条件下において有意な時間、例えば、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7 日以上等、または他の何れかの関連の機能的に定義された時間(例えば、Ln-5γ2、またはその両方に結合する抗体に関連した生理学的応答を誘導、促進、増強および/または調節するのに充分な時間)だけ、一以上の抗原に特異的に結合する能力を有する。
免疫グロブリンの用語は、2対のポリペプチド鎖、即ち、一対の低分子量の軽鎖(L鎖)および一対の重鎖(H鎖)からなり、これら四つの鎖の全てがジスルフィド結合により相互に結合された、構造的に関連した分類のタンパク質を意味する。免疫グロブリンの構造は充分に特徴付けされている。例えば、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY (Paul、W.、ed.、2nd ed. Raven Press、N.Y. (1989))を参照されたい。簡単に言えば、各重鎖は、典型的には重鎖可変領域(ここではHCVRまたはVHと略称する)、および重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、典型的には三つのドメイン、即ち、CH1、CH2、およびCH3で構成される。各軽鎖は、典型的には軽鎖可変領域(ここではLCVRまたはVLと略称する)および軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は、典型的には一つのドメインCLで構成される。VH領域およびVL領域は、更に、フレームワーク領域(FR)とも呼ばれるより保存された領域と共に分散された、相補性決定領域(CDRs)とも称される超可変性領域(または配列および/または構造的に定義されたループの形態において超可変であることができる超可変領域)に副分類することができる。完全長の天然に産生される抗体では、各VHおよびVLが、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序で配列された三つのCDRsおよび四つのFRs:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で構成される(これらはまた、FR L1、CDR L1等、または超可変ループ領域の場合は軽鎖可変ドメイン中のループL1、L2、L3、および重鎖可変ドメイン中のH1、H2、およびH3と称されてよい(例えば、Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)参照))。典型的には、この領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)に記載された方法によって行われる(ここで、「Kabatにおける可変ドメイン残基ナンバリング」および「Kabatに従う」の語句は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのためのナンバリングシステムを意味する)。このナンバリングシステムを使用すると、ペプチドの実際の線型アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮形またはその中への挿入に対応した、より少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含むことがある。例えば、重鎖可変ドメインはCDR H2の残基52の後に一つのアミノ酸の挿入(Kabatに従えば残基52a)および重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従う残基82a、82bおよび82c等)を含んでよい。前記のKabatナンバリング は、与えられた抗体について、「標準の」Kabatナンバーリングされた配列と該抗体との配列相同性領域での整列によって決定されてよい。
各抗体鎖のカルボキシ末端部分は、典型的には、エフェクタ機能を主に担当する定常領域を定義する。ヒト軽鎖は、典型的にはκ鎖およびλ鎖として分類される。重鎖は、典型的には、μ、δ、γ、α、またはεとして分類され、また典型的には、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のアイソタイプを決定する。
本発明を説明する上では、抗γ2抗体の抗原結合領域を参照するのが有益であるかもしれない。抗原結合性領域とは、抗原と相互作用して、抗体にその特異性および当該抗原に対する親和性を与えるアミノ酸残基を含んだ、抗体[または抗体断片もしくは抗体様分子(例えば、抗体もしくは抗体様配列/ドメインを含むL5G2D3BP融合タンパク質)の対応する領域]の一部を言う。抗体結合領域には、典型的には、抗原結合性残基(またはこのような配列の適切な変異体)の適正なコンホメーションを維持するのに必要なFR領域が含まれる。
なお、抗体の用語はまた、一般には、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体(mAbs);およびキメラ抗体およびヒト化抗体のような抗体構造(少なくとも部分的に四両体重鎖-軽鎖、重鎖-軽鎖構造)を有する抗体様たんぱく質(抗体様分子)が含まれることが理解されるべきである。
他に断らない限り、または文脈的に明らかに齟齬しない限り、抗体は、一般に何等かのアイソタイプを有することができ、また抗体はその後に当該分野で周知の慣用技術を使用してスイッチすることができる。斯かる技術には、直接組換え技術(例えば、米国特許第4,816,397号参照)、細胞/細胞融合技術(例えば、米国特許第5,916,771号参照)、および当該技術で知られた他の適切な技術が含まれる。この原理はまた、本発明によって提供される抗体「断片」および他の抗体様分子にも適用され、その例については、本明細書の別のところで更に説明する。
抗体は、特定の分子(例えばγ2DIII)上の抗原決定領域(ADR)、より特定的にはエピトープに対して、特異的および/または選択的に結合するその能力に関して特長付けすることができる。エピトープは、特異的結合性のペプチド(例えば抗体)が結合する、抗原上のエリアまたは領域である。γ2のエピトープは、抗体の結合に直接関与するアミノ酸残基(エピトープの免疫優勢成分)、および該結合に直接関与しない他のアミノ酸残基、例えば特異的な抗原結合性ペプチドによって効果的にブロックされるアミノ酸残基(即ち、該アミノ酸残基は特異的抗原結合性ペプチドの「フットプリント」内にある)を含んでよい。抗原決定基、「抗原決定基領域」、抗原決定領域等の用語は、1以上のエピトープを含む一本鎖内または複数の鎖に亘るペプチドの何れかの部分を意味する。
本発明の内容における抗原決定基は、一般に、免疫グロブリンが結合できる何れかのペプチドまたはペプチド誘導性決定基を含む。抗原決定領域およびエピトープは、適切な位置(Ln-5の線型配列に関して)、向き(折り畳まれたLn-5γ2DIIIまたはそれらの断片に関して)、およびアミノ酸組成(従って、少なくとも部分的には電荷)において、何れか適切な数のアミノ酸を含むことができる。従って、例えば、エピトープは、Ln-5の一次配列に関して1以上の連続的もしくは非連続的な場所において、約3〜10、典型的には3〜8のアミノ酸で構成されてよい(例えば、エピトープは実質的に、γ2DIIIにおける1、2、3、4、または5の非連続的な場所に分布した2、3、4、5、6、7、もしくは8アミノ酸残基からなることができる)。或いは、例えば、抗原決定領域は、γ2DIIIにおける約5〜40(単独で、または隣接するLn-5ドメインの一部との組み合わせで)の連続的アミノ酸残基(例えば、約7〜30アミノ酸残基、約5〜20アミノ酸残基、または約3〜15アミノ酸残基)の領域によって定義されると看做すことができる。幾つかのエピトープにおいては、CDR、複数のCDRまたはパラトープによる認識のために、一つだけ、または僅か数アミノ酸残基のみが重要な場合がある(それによりL5G2D3BP:γ2DIII抗原アフィニティーおよびアビディティーに最も重要である)。このように、エピトープは斯かる重要な1以上の残基に基づいて特徴付けすることができるが、他の残基もまた、該エピトープの機能に幾らか少ない寄与をすると理解される。アミノ酸の領域によって定義されるエピトープの場合、当該領域における1以上のアミノ酸が、抗体結合に対して副次的寄与または無視できる寄与しかせず、当該残基を、少なくとも幾つかのL5G2D3BPsに対する特異的なエピトープの「喪失」を生じることなく、適切な異なる残基で置換できることがあり得る。
特定のエピトープまたは抗原決定基に特異的な抗体が、Ln-5鎖、より典型的にはLn-5との生物学的関連において存在し得る他の生体分子(例えば、Ln-5および/またはγ2分泌細胞の近傍の)上のエピトープ、または抗原決定基と交差反応する可能性がある。更に典型的には、Ln-5γ2結合性ペプチドは、他の種に由来するLn-5相同体と交差反応するであろう。何れかまたは両者において、典型的には、このような交差反応性抗体は、関連の構造的および/または環境的な因子に関して(例えば透明板、癌細胞ポピュレーションもしくは腫瘍細胞塊の浸潤面などに関して)、ヒトγ2(ヘテロ三量体ヒトLn-5、遊離ヒトγ2、γ2断片、またはその何れかの組合せ)に選択的である。
ここでの「選択的な」「選択的に」および「選択性」等の用語は、1以上の他の生物学的分子、構造、細胞、組織等と比較したときに、特定の領域、標的もしくはペプチド;典型的にはγ2における領域もしくはエピトープ(共通にDIIIの)に対する、抗γ2抗体のようなγ2結合性ペプチドの優先的結合を意味する。一つの側面において、本発明により提供される抗γ2抗体は更に、または代替的に、ヒト上皮細胞に関して、および/またはγ2、Ln-5およびまたは他のγ2関連ペプチドが細胞から分泌される生理学的環境に関して、γ2、Ln-5γ2の一部、またはγ2の一部を含むペプチドに対して選択的であるものとして特徴付けすることができる(例えば、抗γ2抗体は、それがターゲッティングするγ2の一部またはγ2の当該部分を含むペプチドに対して、上皮細胞の他の成分に対してよりも選択的に結合し;該抗γ2抗体は、γ2のターゲッティングされた部分または該部分を含むペプチドに対して、腫瘍の浸潤面に存在する他の分子に対してよりも選択的に結合するであろう)。もう一つの側面において、本発明によって提供される抗γ2抗体は更に、または代替的に、人類のような哺乳動物の基底層に関して、γ2の一部に対して選択的であることにより特徴付けすることができる(ヒト個体、またはヒト集団の何れにおいても;例えば乳癌、大腸癌、肺癌、皮膚癌、卵巣癌、子宮頚癌、膵臓癌、膣癌、頭部癌、または頚部癌を有し、且つ現在の米国FDAガイドライン、規則および関連の運用基準についての薬学的臨床開発のための標準原理に従って選択される他の特徴を有するヒト患者の集団)。もう一つの側面において、本発明の抗γ2抗体は、癌細胞集団の浸潤面もしくは腫瘍成長、または他のγ2感受性癌関連組織または新生物発生前組織に関して、γ2IIIの一部を含むペプチド(例えばγ2/β3ヘテロ二量体または細胞移動に関するγ2断片)に選択的なものとして特徴付けすることができる。本発明のL5G2D3BP組成物、組合せ組成物、および関連組成物(本明細書の別の箇所で更に説明する)は、典型的には、これらタイプの癌の何れか一つまたは何れかの組合せの治療を促進し、および/またはこのような前癌組織における新生物発生前細胞の活動を調節するために使用することができる。
更にもう一つの側面において、本発明は、Ln-5γ2結合性ペプチド、例えば抗γ2抗体を提供し、これは更に、または代替的に、γ2の他の領域に比較たときにγ2の特定の領域に対して選択的である。従って、例えば、本発明は、(タンパク質分解酵素による開裂に関して)完全かつプロセッシングされていないγ2ドメインIII、またはその更に大きいかまたは異なる断片(例えば、約残基390-570、例としてLn-5の残基392〜597、または約残基395〜490等)を含むペプチドに比較ししたときに、Ln-5γ2DIIIの残基約494から残基約515(例えばγ2鎖の残基494〜516)の領域内に位置する1以上のアミノ酸により定義され、および/または残基約540〜残基約550内に位置する1以上のアミノ酸残基により定義されるγ2DIIIの領域内に対して選択的な、抗γ2抗体を提供する。この状況における選択性は、何れか適切な技術によって決定することができる。例えば、選択性は、ここに提供される実施例に記載した競合ELISAアッセイによって決定することができる。
他に断らない限り、Ln-5およびその部分に関するアミノ酸残基番号/ナンバリングに対する全ての参照は、完全長ヒトLn-5γ2(例えば配列番号1)を基準にして行われる。
本発明のLn-5γ2結合性ペプチドは、典型的には、少なくとも実質的に単離された形態において使用され、且つ提供される。実質的に単離された分子とは、それが属する分子クラスに関して、それが存在する組成物中において優勢な種である分子をいう(即ち、それは当該組成物中における当該タイプの分子の少なくとも約50%、典型的には当該組成物中の分子種、例えばペプチドの少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%以上を構成する)。通常、本発明に従って提供される抗γ2抗体または他のL5G2BPは、Ln-5γ2結合性のペプチドまたは組成物中の全ての存在するペプチドに関する抗体について、または少なくとも提案された使用に関して実質的に活性なペプチド種に関して、少なくとも約98%、98%、または99%の相同性を示すであろう(本発明により提供される組合せ組成物に関して、このような百分率は、該組合せを構成する種の当該組成物中における百分率を意味する)。例えば、アルブミンのようなペプチド安定剤/バッファーは、L5G2BPsの活性を妨げることなく、最終的な医薬処方の中に意図的に含められてよい。
単離された分子は、典型的には、有意な量(例えば約1%超、約2%超、約3%超、または約5%超)の外来の望ましくない生物学的分子、例えば、Ln-5γ2結合性ペプチドを産生する細胞、細胞培養体、化学媒質、または動物内に含まれる非-Ln-5γ2結合性の生体分子(またはLn-5γ2結合性ペプチドの結合および/または活性を妨害し得るγ2 結合性分子)を伴わない分子を意味する。単離された分子は、これに加えて、またはその代わりに、有意な時間(例えば、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも1時間、またはそれ以上)の、自然でない(人間の)介入(自動的、手動的、またはその両方)による精製段階を通過した分子を意味することができる。
本発明によって与えられる種々の組成物の多くにおいて、例えば1以上の薬学的に許容可能なキャリアを含有する組成物の多くにおいて、Ln-5γ2結合性ペプチドは、当該組成物中の全分子種の数に関して比較的少量で存在することができる(例えば、多量の薬学的に許容可能なキャリア、安定化剤、および/または保存剤を含有する組成物の場合)。幾つかの場合、BSAのような追加のペプチドを、先に精製されたLn-5γ2結合性ペプチドと共にこのような組成物中に含めることができる。しかし、組成物の斯かる追加の成分がLn-5γ2結合性ペプチドの所期の用途に許容可能であるとすれば、特に断らない限り、または文脈的に明らかに齟齬しない限り、このような組成物もやはり「単離された」Ln-5γ2結合性ペプチドを含有するものとして説明され得るものである。
一つの側面において、本発明は、異なる抗原特異性を有するγ2結合性抗体のような他のLn-5γ2結合性ペプチドを実質的に含まないものとして特徴づけできる、Ln-5γ2結合性ペプチドを提供する(例えば、特に透明板、基底膜緻密層、上皮由来の癌細胞ポピュレーション、不充分に定義された半接着斑および/または前遊走性γ2DIII関連ペプチド等を伴う癌性もしくは前癌性組織におけるこのようなγ2結合性ペプチドの使用に関して、ヒトγ2DIIIに特異的に結合する単離された抗体は、Ln-5以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、もう一つの側面において、本発明は、異なる特異性および特徴をもったL5G2D3BPsのメンバーを含有する組成物を提供する(例えば、本発明は、一つの側面において、異なる特異性および/または選択性の特徴をもった抗γ2DIII抗体の「カクテル」を提供する)。
本発明により提供される抗γ2DIII抗体には、Ln-5γ2/β3ヘテロ二量体、および/またはDIIIを含む遊離のγ2ペプチド(およびその適切な断片)に対するポリクローナル抗体が含まれる。Ln-5γ2に対するポリクローナル抗体を製造する方法は、例えば米国特許出願第10/695,559号、および米国特許出願公開第20020062307号に記載されている。一般に、ここに記載するDIIIの特に同定された領域の何れかを含むペプチドは、動物を免疫感作して抗ガンマ2 DIIIポリクローナル抗体のプールを製造するために使用することができる。
典型的には、本発明における抗γ2DIII「抗体」はモノクローナル抗体を意味する。本発明において、「モノクローナル抗体」とは、均一な構造および特異性を有する均一な抗体ポピュレーションを含んでなる組成物をいう。典型的には、モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体のポピュレーションから得られる抗体である;即ち、当該ポピュレーションを構成する個々の抗体は、少量存在し得る自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、共通に高特異性であり、典型的には単一の抗原部位に対して指向される。更に、典型的には異なる抗原決定基に向けられた異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の抗原決定基に対して向けられる。「モノクローナル」の修飾語は、実質的に均質な抗体ポピュレーションから得られるものとしての抗体の特徴を示し、且つ特に断らない限り、何れか特定の方法による抗体の製造を必要とするものと解釈されるべきでなない。例えば、本発明の種々の側面に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されてよく、または組換えDNA法によって作製されてもよい(例えば、米国特許第4,816,567号参照)。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991) および Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記載の技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
ここでのモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含む。「キメラ抗体」の用語は、一つの抗体に由来する一以上の領域と、一以上の他の抗体(典型的には異なる種の抗体)に由来する一以上の領域を含む抗体を意味する。キメラ抗体には、一価、二価、および多価の抗体が含まれる。一価のキメラ抗体は、典型的には、ジスルフィド架橋を介してキメラL鎖と結合したキメラH鎖により形成される二量体(HL)である。二価のキメラ抗体は、典型的には、少なくとも一つのジスルフィド架橋を介して結合された二つのHL二量体によって形成される四量体(H2L2)である。また、例えば凝集するCH領域(例えばIgMのH鎖またはμ鎖に由来する)を用いることによって、多価キメラ抗体を製造することもできる。典型的には、キメラ抗体とは、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体の対応する配列と同一またはこれと相同性であるか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する一方、これら鎖の残部が、もう一つの種に由来する抗体の対応する配列と同一またはこれと相同性であるか、またはこれに属する抗体を意味し、並びに望ましい生物学的活性を示す限りにおいて、斯かる抗体の断片を意味する(例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984)参照)。
キメラ抗体は、当該技術において周知の組換え方法によって製造されてよい(例えば、Cabilly et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3273-3277 (1984);Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984);Boulianne et al., Nature 312:643-646 (1984);ヨーロッパ特許出願第125023号;Neuberger et al., Nature 314:268-270 (1985);ヨーロッパ特許出願第171496号;ヨーロッパ特許出願第173494号;WO 86/01533号;ヨーロッパ特許出願第184187号;Sahagan et al., J. Immunol. 137:1066-1074 (1986);Robinson et al., 国際特許出願#PCT/US86/02269 (1987年5月7日公開); Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443 (1987);Sun et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218 (1987);Better et al., Science 240:1041-1043 (1988);およびHarlow and LaneのANTIBODIES;本明細書の何処かで引用するA LABORATORY MANUALを参照されたい)。L5G2BPsの製造については、本明細書の何処かで、一般的に更に詳細に述べる。
また、ヒト化モノクローナル抗γ2抗体(例えば、抗γDIII抗体)も、本発明によって提供される。「ヒト化」抗体は、非ヒト種に由来する抗体であって、重鎖および軽鎖のフレームワークおよび定常ドメインにおける一定のアミノ酸が、ヒトにおける免疫応答を回避または抑制するように変異されていている抗体である。従って、非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形態は、少なくとも最小限(通常はそれだけ、またはそれよりも少しだけ多い)の非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を含むキメラ抗体である。殆どの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域が、望ましい特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基で置換された、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。幾つかの場合においては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含む可能性がある。これらの修飾は、典型的には、機能的および/または物理化学的性質を更に洗練するために行われる。ヒト化抗体は一般に、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含んでおり、ここでは超可変ループの全部もしくは実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、且つFR領域の全部もしくは実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列のものであろう。また、ヒト化抗体は任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含むであろう。典型的なヒト化抗体の特徴および製造に関する更なる詳細については、例えば、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。
或いは、ヒト化抗体は、ヒト抗体由来の定常ドメインを非ヒト種の可変ドメインに融合させることによって製造してもよい。ヒト化抗体を作製するために使用できる方法の例は、米国特許第6,054,297号、同第5,886,152号、および同5,877,293号に見られる。上記で述べたように、ヒト化抗体は、動物由来のモノクローナル抗体よりも、ヒト免疫グロブリンに対するより大きな相同性を有するように設計される。典型的には、「導入体」(非ヒト脊椎動物、典型的には哺乳類)可変ドメインに由来する非ヒトアミノ酸残基が、ヒト「骨格」の中にトランスフェクトされる。ヒト化は、本質的には、齧歯類の相補性決定領域(「CDRs」)またはCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することにより、Winterおよび共同研究者の方法に従って行うことができる(例えば、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al ., Nature 332:323-327 (1988);Verhoeyen, et al., Science, 239:1534-1536 (1988)参照)。従って、斯かるヒト化抗体では、ヒト可変ドメインのCDR部分が、非ヒト種由来の対応する配列によって置換される。従って、ヒト化抗体は、典型的には幾つかのCDR残基および可能な幾つかのフレームワーク残基が、齧歯類抗体の類似の部位に由来する残基で置換されたヒト抗体である。ヒト化抗体の作製に使用すべきヒト可変ドメイン(閉鎖および重鎖の両方)の選択は、抗原性を低減するために重要である。所謂「ベストフィット」法に従えば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次いで、齧歯類の配列に最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として許容される(斯かる方法および関連の原理については、例えば、Sims et al., J. Immunol., 151:2296 (1993) 、およびChothia et al., J. Mol. Biol., 196:901 (1987)を参照されたい)。もう一つの方法は、軽鎖または重鎖の特定サブグループの全ヒト化抗体コンセンサス配列から誘導された、特定のフレームワークを使用する。
この同じフレームワークを、幾つかの異なるヒト化抗体のために使用してもよい(例えば、Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992) and Presta et al., J. Immunol., 151:2623 (1993)参照)。
また、典型的には、ヒト化抗体が当該抗原についての高い親和性および/または高いアビディティー、並びに他の好ましい生物学的性質を保持することも重要である。この目的を達成するために、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを使用した親配列および種々の概念的ヒト化生成物の解析法によって、ヒト化抗体を調製することができる。三次元免疫グロブリンモデルは、普通に入手可能であり、かつ当業者によく知られている。一般に、斯かるモデルの構築には、タンパク質データバンク(http://www.rcsb.org/)から入手可能なもの等の、抗体結晶構造を参照することによりフレームワークを組立てること、最小二乗構造フィッティング(例えばwith ProFit-http://www.bioinf.org.uk/software/profit)を適用すること:および任意に、分子グラフィックソフトウエアまたはCONGEN(http://www.congen.com/)を使用して側鎖置換を解析することが含まれる。モデリングにも有用なCDRsの正規コンホメーションは、CDRのための既知の標準(例えばKabat、Abm等)を使用して同定することができる。コンピュータプログラムもまた利用可能であり、これは選択された免疫グロブリン配列候補の有望な、三次元コンホメーション構造を図示および表示するものである。これら表示を検査することにより、免疫グロブリン候補配列の機能における一定の残基の可能な役割の解析、即ち、候補免疫グロブリン配列がその抗原に結合する能力に影響する残基の解析が可能になる。この方法において、FR残基は、標的抗原に対する増大した親和性等の望ましい抗体特性が最大化されるように、レシピエントおよび導入配列から選択および組み合わせることができるが、抗原結合性に直接的かつ最も実質的に影響するのはCDR残基である。
マウス抗体または他の種由来の抗体は、適切な技術を使用してヒト化または霊長類化することができ、多くの適切な技術が既に当該技術分野において周知である(例えば、Winter and Harris Immunol Today 14:43-46 (1993) ;およびWright et al. Crit. Reviews in Immunol. 12125-168 (1992)参照)。問題の抗体は、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを、対応するヒト配列で置換するように組換えDNA技術によって加工すればよい(例えば、WO 92/02190 、米国特許第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,792、同第5,714,350、および同第5,777,085号参照)。また、当該技術において、キメラ免疫グロブリン遺伝子のIg cDNAの使用が知られている(例えば、Liu et al. P.N.A.S. 84:3439 (1987) ;J.Immunol. 139:3521 (1987)参照)。mRNAをハイブリドーマまたは他の抗体産生細胞から単離し、これをcDNAを製造するために使用することができる。問題のcDNAは、特異的プライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅すればよい(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号)。或いは、ライブラリーを作製およびスクリーニングして、問題の配列を単離することができる。次いで、抗体の可変領域をコードする核酸配列を、ヒト定常領域配列に融合させることができる。ヒト定常領域(並びに可変領域)の配列は、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, N.I.H. publication no. 91-3242 に見ることができ、更に最近の関連データは、http://www.biochem.ucl.ac.uk/~martin/abs/GeneralInfo.htmlにおいてアクセスすることができる。設計された抗体についてのアイソタイプの選択は、典型的には、補体の固定または抗体依存的細胞障害性における活性のような、望ましいエフェクタ機能によってガイドされることができる。アイソタイプの例は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4.である。ヒト軽鎖定常領域、カッパまたはラムダの何れを使用してもよい。次いで、このような核酸によってコードされるヒト化抗体は、従来の方法によって発現させることができる。
本発明のもう一つの重要な特徴は、「完全にヒトの」抗γ2DIII抗体である。「ヒト抗体」および「ヒトLn-5γ2抗体」の用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の、可変領域および定常領域の両方を有する抗体を意味する。斯かる「ヒト」抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロのランダムもしくは部位特異的突然変異、またはインビボの体細胞突然変異によって導入された変異)を、例えばCDR3のようなCDRに含んでよい。しかし、ここで用いる「ヒト抗体」の用語は、マウス等のもう一つの哺乳類種の生殖系統に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体、例えばヒト化抗体またはヒト/マウスキメラ抗体をも含むことを意図するものではない。
ヒト抗γ2DIII抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含み、且つ生来の免疫グロブリン遺伝子が欠損したヒト化されたトランスジェニック動物(例えばマウス、ラット、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ等)、例えば、XenoMouseTM(Abgenix−Fremont, CA, USA)(例えば、Green et al. Nature Genetics 7:13-21 (1994);Mendez et al. Nature Genetics 15:146-156 (1997);Green and Jakobovits J. Exp. Med. 188:483-495 (1998);ヨーロッパ特許EP 0 463 151 B1;国際特許出願WO 94/02602、WO 96/34096;WO 98/24893、WO 99/45031、WO 99/53049、およびWO 00/037504;および米国特許第5,916,771号、同第5,939,598号、同第5,985,615号、同第5,998,209号、同第5,994,619号、同第6,075,181号、同第6,091,001号、同第6,114,598号および同第6,130,364号)、またはヒトIgをコードする遺伝子のミニ遺伝子座を含んでなるトランスジェニック脊椎動物において生じさせることができる。これらトランスジェニックマウス、または他の脊椎動物由来の脾臓細胞は、周知の技術に従って、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを製造するために使用することができる。このようなトランスジェニック脊椎動物、即ち、L5G2D3BPの発現をコードする動作可能な核酸配列を含む脊椎動物、1以上のL5G2D3BPをコードする核酸配列を安定にトランスフェクトされた脊椎動物等は、本発明の追加の特徴である。典型的には、このような脊椎動物は非ヒト哺乳動物である。
本発明によって提供される抗体および抗体分子の非限定的な例には、(a)(i)ヒトB細胞表面抗原特異性を持った可変領域およびヒト定常領域を含む二つの同一のキメラ重鎖、並びに(ii)二つの同一の全ヒト(即ち非キメラ)軽鎖を含んでなる完全な機能的免疫グロブリン分子;(b)(i)指摘した可変領域およびヒト定常領域を含む二つの同一のキメラ重鎖、並びに(ii)二つの同一の全ヒト(即ち非キメラ)軽鎖を含んでなる完全な機能的免疫グロブリン分子;および(c)一価抗体、即ち、(i)指摘した可変領域およびヒト定常領域を含む二つの同一のキメラ重鎖、並びに(ii)二つの異なる軽鎖(その一方のみが重鎖の可変領域と同じ特異性を有する)を含んでなる完全な機能的免疫グロブリン分子が含まれる。
このような抗体様分子および完全サイズの抗体に加えて、本発明はまた、ここで特に記載した抗γ2抗体に関する「断片」を提供する。γ2関連ペプチドに特異的に結合する能力を保持/呈示する抗体「断片」は、典型的には、本発明の種々の方法において適切に使用することができ、および/または本発明の種々の組成物に組込むことができる(時にはそれが有利である)。
特に断らない限り、または文脈的に明らかに齟齬しない限り、何れの適切な抗体断片も、ここに記載する本発明の組成物、方法および使用において抗体の代替品として使用することができ、その逆も同様である(L5G2BPのサイズが関連する状況において、完全サイズの抗体が適さない場合には断片が適切である可能性がある)。従って、一つの例示的側面において、本発明は、本発明により提供される何れかの抗体の機能的断片を提供するものであり、これは一般的に、酵素開裂,ペプチド合成および組換えタンパク質製造技術(これらに限定されない)のような何れか既知の技術によって得られる。このような抗体「断片」は、適切な範囲で、抗γ2抗体に関連するものとしてここに記載する特徴の何れか一つまたは組合せを保有することによって特徴付けされることができる(例えば、多くの断片はFcドメインを欠失しており、従って抗体関連の補体機能を誘導または促進しない)。
抗体断片はまた、或いは、完全長の抗体の一部を含むペプチドとしても特徴付けすることができる。一つの側面において、抗体断片とは、抗体分子の一部だけから実質的になり、または抗体分子の一部のみからなるペプチドを意味する。従って、例えば一つの側面において、本発明は、ここに記載したVH CDRsの何れかを含む重鎖可変ドメインの少なくとも一部を含み、且つ任意にここに記載した軽鎖CDRsの何れかを含む軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体を提供する。ここでの重鎖可変ドメインおよび任意に軽鎖可変ドメインは、任意に、免疫グロブリン定常ドメインのような追加の部分に融合される。定常ドメイン配列は、部分長の重鎖および/または軽鎖を備えた種を形成するために、重鎖および/または軽鎖配列に加えることができる。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE 定常領域を含む何れかの抗体アイソタイプの定常領域またはその一部を、この目的のために使用することができる。
抗体断片の例には、(i) Fab断片、即ち、VL、VH、CLおよびCH Iドメインから本質的になる一価の断片;(ii) F(ab)2およびF(ab')2断片、即ち、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合された二つのFab断片を含んでなる二価の断片;(iii) VHおよびCH1ドメインから本質的になるFd 断片; (iv) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから本質的になるFv 断片;(v) VHドメインから本質低になるdAb 断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);および (vi) 一以上の単離されたCDRsまたは機能的パラトープが含まれる。追加の抗体断片には、Fab' 断片、dsFv 分子、ダイアボディー(diabodies)等が含まれる。一つの例示的側面において、本発明は、ここに記載した重鎖CDRsの何れかを含む第一のポリペプチド鎖およびここに記載した軽鎖CDRsの何れかを含む第二のポリペプチド鎖を含んでなり、この二つのポリペプチド鎖が一以上の鎖間ジスルフィド結合によって共有結合された抗体断片を提供する。更に特別の側面において、本発明は斯かる特徴をもった二本鎖抗体断片を提供し、ここでの抗体断片はFab、Fab'、Fab'−SH、Fv、および/またはF(ab')2 断片から選択される。他の抗体「断片」には、「カッパ体」(例えば、Ill et al., Protein Eng 10;949-57 (1997)参照)および「ジャヌシン(janusins)」(本明細書のどこかで更に説明する)が含まれる。
抗体は、従来の技術を使用して断片化することができ、また該断片は完全抗体について上述したのと同じ方法で、有用性についてスクリーニングすることができる。例えば、F(ab')2断片は、ペプシンで抗体を処理することによって生じさせることができる。その結果として得られるF(ab')2断片は、ジスルフィド架橋を還元してFab'断片を生じるように処理することができる。Fab断片は、IgG抗体をパパインで処理することによって得ることができる;F(ab')断片は、IgG抗体のペプシン消化を用いて得ることができる。F(ab')断片また、以下で述べるFab'をチオエーテル結合またはジスルフィド結合を介して結合することによって製造することもできる。Fab'断片は、F(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することによって得られる抗体断片である。Fab'断片は、ジチオトレイトールのような還元剤でF(ab')2断片を処理することによって得ることができる。抗体断片ペプチドはまた、このようなペプチドをコードする核酸の、組換え細胞中における発現によっても生じさせることができる(例えば、Evans et al., J. Immunol. Meth. 184;123-38 (1995)参照)。例えば、F(ab')2断片の一部をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列の後に、斯かる短縮型の抗体断片分子を生じるための停止コドンを含むことができる。
如何なる適切な抗体断片も、それが対応する完全な抗体の抗原結合特性の少なくとも実質的部分を保持/呈示することを条件として、ここに記載される本発明の方法おいて使用することができ、または本発明の組成物中に組込むことができる(例えば抗γ2DIII抗体に加えて、またはその代わりに)。典型的には、抗体断片は、「全長の」または「完全な」抗体よりも低い抗原結合親和性を有するが、斯かる親和性の喪失を相殺し得る他の利点を提供することができる(例えばデリバリーの容易さ、製造の容易さ、改善された安定性、患者における望ましくない副作用の低減等)。
全長抗体と同様の結合特性を有するが、ここに記載する種々のタイプの抗体断片は、総体的および各々独立に本発明の独特の特徴であり、抗体とは異なる生物学的および/または物理化学的特性を示す。
抗体断片は、例えば何れか適切なアイソタイプを有する何れか適切なタイプの抗体から誘導することができる。例えば、IgMから誘導された二重特異性のF(ab')2mu断片は、本発明の方法において使用することができ、また本発明の組成物中に組込むことができる(このような抗体断片の説明については、例えば、Morimoto et al., J Immunol Methods. 1999 Apr 22;224(1-2):43-50参照)。
本発明の特徴をより良く示すために、ここで、多くのタイプの抗体断片について更に詳細に述べる。
一つの例示的側面において,本発明は、scFv分子抗体断片を提供する。Fv断片の二つのドメイン、即ち、VLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、例えば組換え法を使用して、合成の典型的には可撓性のリンカーによって連結することができ、該リンカーは、それらをVLおよびVH領域(典型的には抗体のFv領域における重鎖および軽鎖)の対を、一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖にすることを可能にする(単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)分子として知られる…例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;and Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883参照)。通常、該可撓性リンカーは約10、12、15、またはそれ以上のアミノ酸残基の長さである。このような抗体を製造する方法は、例えば米国特許第4,946,778号; THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODY, vol. 113, Rosenburg and Moore eds. Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994), Bird et al. (1988) Science 242:423-426;Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883;および McCafferty et al., Nature (1990) 348:552-554に記載されている。単鎖抗体は、該抗体を形成するために一つのVHおよびVLのみを使用するときは一価であり、二つのVHおよびVLを使用するときは二価であり、三つ以上のVHおよびVLを使用するときは多価である可能性がある。
特に断らない限り、または文脈的に明らかに齟齬しない限り、ダイアボディーのような単鎖抗体分子の他の形態もまた、「抗体断片」および「抗体様ペプチド」(または「抗体様分子」)の用語に包含される。ダイアボディーは二価の二重特異性抗体であり、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現されるが、典型的には、これら二つのドメインを同じ鎖上で対形成させるにはあまりに短いリンカーを使用するため、これらドメインをもう一つの鎖の相補的なドメインと共に対にして、二つの抗原結合部位を形成する(例えば、Holliger、P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448;Poljak, R. J., et al. (1994) Structure 2:1121-1123参照)。ダイアボディーは抗体断片とみなすことができ、そこでは同一または異なる抗原結合特異性を有するscFvsが二量体を形成しており、従って、同じ抗原または二つの異なる抗原に対する二価の抗原結合活性を有する分子である。ダイアボディーは、例えばEP 404,097およびWO 93/11161に更に完全に記載されている。
もう一つの側面において、本発明は、L5G2D3BP dsFV分子を提供する。dsFV 分子は、VHおよびVLのそれぞれの一つのアミノ酸残基がシステイン残基で置換されたポリペプチドを、システイン残基の間のジスルフィド結合を介して結合させることによって得ることができる。システイン残基で置換されるアミノ酸残基は、例えば、Reiter et al.(Protein Engineering, 7, 697 (1994))により記載された方法に従い、該抗体の三次元構造評価に基づいて選択することができる。更なる側面において、本発明はL5G2D3BP線形抗体を提供し、これは一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFd切片を含んでいる(このような抗体は、二重特異性または単一特異性であることができる)。線形抗体は、例えば、Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995)の中で更に完全に説明されている。
抗体産生細胞によりγ2抗体に対して作製された抗体に加えて、斯かる細胞によって産生された抗体配列の適切な変異を含む非野生型抗体は、本発明の種々の方法において使用されてよく、本発明の追加の小側面を表している。
抗体配列の変異体は適切な方法によって製造することができ、その幾つかは、当業者によって普通に用いられている。例えば、γ2に対する抗体の品質および/または多様性を改善するために、天然の免疫応答の際の抗体の親和性成熟の原因であるインビボ体細胞成熟プロセスに類似したプロセスにおいて、典型的には少なくともVHおよび/またはVLのCDR3領域内において、VL/VH対(またはその一部)のVLおよびVH切片をランダムに突然変異させることができる。斯かるインビトロ親和性成熟は、例えば、VH CDR3またはVL CDR3をコードする配列に対してそれぞれ相補的なPCRプライマーを使用して、VHおよびVLを増幅することにより達成することができ、これらプライマーは、典型的には一定の位置において四つのヌクレオチド塩基のランダム混合物で「スパイク」されており、得られたPCR生成物は、ランダム突然変異を導入されたVHおよびVL切片をコードすることにより、(少なくとも幾つかの場合には)VHおよび/またはVL CDR3領域における配列変異の導入をもたらすようになっている。このようなランダムに突然変異されたVHおよびVL切片は、その後、ファージディスプレーまたは他の適切な技術によって、γ2DIII含有ペプチドに対する結合性について再スクリーニングし、有利な変異体を分析し、新規なL5G2BPsを調製するために使用することができる。スクリーニングに続いて、選択された抗体または他のL5G2BPをコードする核酸は、適切な場合には、ディスプレーパッケージ(例えばファージゲノム)から回収して、標準の組換え技術により適切なベクターの中にサブクローニングすることができる。所望であれば、斯かる抗体をコードする核酸は、他の抗体形態またはL5G2BPsを作製するために更に操作することができる。コンビナトリアルライブラリーのスクリーニングによって単離された組換えヒト抗体を発現するために、典型的には、該抗体をコードする配列を含む核酸は、組換え発現ベクターの中にクローニングされ、核酸の発現および抗体の産生に適した条件下で適切な宿主細胞(哺乳類細胞,酵母細胞など)の中に導入される。
また、ヒト単鎖Fv(ScFv)およびFab抗体断片のような高親和性抗体ペプチドは、例えば、問題の抗原をマイクロタイタープレートまたはビーズのような固体表面に固相化するパンニング技術を使用して、このようなディスプレーライブラリーから単離することもできる(例えば、Barbas and Burton、Trends. Biotechnol. 1996、14:230-234 and Aujame et al、Hum. Antibodies 1997、8:155-68参照)。未処理の大きなライブラリーのファージディスプレーは、例えば、免疫感作を伴わずに直接、ヒト抗体を単離することを可能にする(例えば、DeHaard et al., J. Biol. Chem. 1999, 18218-18230参照)。
新規な抗γ2DIII抗体および他のL5G2BPsを調製するのに適した他の潜在的技術には、CDRウオーキング突然変異、抗体鎖シャッフリング、「倹約突然変異(parsimonious)」(Balint and Larrick Gene 137:109-118 (1993))、および他の親和性成熟技術(例えば、Wu et al. PNAS (USA) 95;6037-6-42 (1998)参照)が含まれる。レパートリークローニング法もまた、変異抗体の製造に有用であることができる(例えば、国際特許出願WO 96/33279参照)。
所望であれば、抗体産生細胞によって得られた抗γ2DIIIのクラスは、既知の方法により「スイッチ」されてよい。例えば、最初はIgM分子として産生された抗γ2DIII抗体は、IgG抗γ2DIII抗体にクラススイッチされてよい。クラススイッチ技術はまた、一つのIgGサブクラスをもう一つのサブクラスに変換するために、例えばIgG1からIgG2へと変換するために使用されてよい。こうして、本発明の抗体のエフェクタ機能は、種々の治療的使用のために、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM抗体へと変化されてよい。
上記で述べた技術、ここに提供される他の技術、および当該技術において既知の関連方法によって、本発明は、1以上のγ2DIIIペプチド配列を含む抗原での免疫感作に応答して哺乳類または他の脊椎動物によって産生された1以上の「親」抗γ2DIII抗体に類似した、有用な抗体および抗体様ペプチド変異体(例えば、mAb 5D5および/またはmAb 6C12)を生じさせるための多くの方法を提供する。「変異体」の抗γ2DIII抗体は、少なくとも、CDRsまたは他のVHおよび/またはVL配列における1以上の適切なアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または末端配列付加によって、親抗体とは異なる抗体である(但し、このような変化によって、該親抗体のエピトープ結合特性が改善されなくても、その少なくとも実質的な部分が維持されることを条件とする)。従って、例えば、変異型抗体または抗体様ペプチド変異体においては、親抗体の1以上の超可変領域内またはこれに隣接して、例えば1以上のCDRs中に、1以上のアミノ酸残基を導入または挿入することができる。例えば、抗γ2DIII変異型抗体は、約1〜30の挿入されたアミノ酸残基を含むことができるが、より典型的には約2〜10の挿入アミノ酸残基が適切である。
変異型抗体の断片もまた、本発明の特徴であることが理解されるべきである。従って、ここでの議論は主に抗体に焦点が当てられるが、斯かる変異型抗体の側面および特徴は、適切なときには抗体断片、抗体様ペプチド(例えばイムノアドヘシン、ダイアボディー等)、および他のL5G2BPsにも等しく適用できることが理解されるべきである。しかし、このような非抗体の変異体は、同様の変異型抗体とは顕著に異なった生物学的性質を備えた、本発明の個別の側面であることが理解されるべきである。このような相違の例には、限定するものではないが、改善された処方のための顕著に小さいサイズ、多価性、補体関連機能の誘導回避、可能な競合分子からの立体障害の欠如、および/またはより容易な製造が含まれる。
抗体のアミノ酸配列変異体は、例えば、抗体をコードする核酸に適切な核酸変化を導入すること(例えば部位特異的突然変異誘発)によって、化学的ペプチド合成または他の適切な技術によって得ることができる。このような変異体には、例えば、既知の抗γ2DIII抗体(例えば、mAb 4G1、mAb 5D5、および/またはmAb 6C12)のアミノ酸配列内の残基に対する欠失、および/または挿入、および/または置換により相違する変異体が含まれる。当該変異体が本発明の方法の実施のための適切な特性を有しているとすれば(例えば、1以上のγ2DIIIエピトープまたは抗原決定領域に関する親抗体の親和性、特異性、および/または選択性の少なくとも実質的部分の保持)、所望の変異体に到達するために、欠失、挿入および置換の何れかの組合せを行うことができる。親抗体に対するアミノ酸配列の変化はまた、例えばグリコシル化部位の数または位置を変化させることによって、親抗体に対する変異型抗体の翻訳後プロセスをも変化させる可能性がある。抗体の超可変領域の典型的な長さが知られており、斯かる情報は、超可変領域の挿入を含む変異型抗体を製造するために使用することができる。例えば、軽鎖可変ドメインの第一の超可変領域については、親抗体のCDR 11の中に挿入を導入することができる一方、実質的に同様の適切なサイズを維持することができ、これはKabat et al., supraによれば、例えば典型的には全体で約9〜20(例えば約10〜17)残基である。同様に、CDR L2は典型的には約5〜10残基の全体の長さを有し;CDR L3は典型的には約7〜20の長さを有し; CDR H1は典型的には約10〜15残基の長さを有し;CDR H2は典型的には約15〜20残基の長さを有し;またCDR H3は典型的には約6〜30残基(例えば3〜25残基)の長さを有する。VH領域における挿入は、典型的にはCDR H3において、典型的には、Katatに記載された整列およびナンバリングを使用して、親CDR H3の残基約97〜102のような該ドメインのC末端付近(例えば親CDR H3配列の残基数100に隣接し、好ましくはC末端に対して連続して)で行われる。特に、標的抗原に対する親抗体の初期の結合親和性が、ランダムに製造された変異型抗体が容易にスクリーニングされ得るようなものである場合に、その超可変領域にアミノ酸残基が挿入された変異型抗体はランダムに調製されてよい。例えば、ファージディスプレーは、このようなランダムな変異体をスクリーニングする便利な方法を提供する。
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100残基以上を含むポリペプチドまでの長さに亘るアミノ末端および/またはカルボキシ末端融合、並びに単一もしくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニン残基を備えた抗体、またはエピトープタグに融合された抗体が含まれる。他の挿入変異型抗体には、抗体のN末端またはC末端への、酵素、ポリペプチド、または抗体の血清半減期を増大させるPEGの融合が含まれる。このような抗γ2抗体融合タンパク質およびL5G2BP配列を含む同様の融合タンパク質は、本発明のもう一つの有利な特徴である。
抗体の場合、置換型変異体について最大の興味ある部位は、超可変領域(または特定のCDRs)であるが、これに加えて、或いは別途に、1以上のフレームワーク(FR)変化によって特徴付けられる変異体もまた、本発明によって提供される変異型抗体の範囲内にあり、有利な特性を有する可能性がある。例えば、フレームワーク領域または定常ドメインにおける置換または他の修飾(挿入、欠失、またはそれらの何れかの組合せ)は、親抗体に対する変異抗体の半減期の増大と関連付けることができる。また、該変異抗体の免疫原性を親抗体に対して変化させるために、フレームワーク領域または定常ドメインにおける変異も行ってよく、これは一つの分子に共有結合または非共有結合するための部位を与えるように、または補体固定としての斯かる特性を変化させるように行われる。変異型抗体における変化は、一つの変異型抗体におけるフレームワーク領域、定常領域および/または可変領域(またはその何れか1以上のCDRs)のそれぞれにおいて行えばよい。或いは、抗体におけるフレームワーク領域、可変領域(またはその一つのCDR)、または定常ドメインのうちの一つだけで行ってもよい。VL、VH、または特定のCDR配列を含むL5G2D3BPsを発生させる際の置換または欠失のための適切な残基を同定するために、Cunningham and Wells (1989)、Science 244:1081-1085に記載されたようなアラニン走査突然変異誘発技術を使用できるが、他の適切な突然変異誘発技術もまた適用することができる。複数のアミノ酸置換もまた、Reidhaar-Olson and Sauer, Science 241:53-57 (1988):またはBowie and Sauer Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:2152-2156 (1989) に開示されたような既知の突然変異誘発およびスクリーニングの方法を使用して、実行および試験することができる。変異抗体を発生させるために使用できる追加の技術には、例えば、US 20040009498; Marks et al., Methods Mol Biol. 2004;248:327-43 (2004); Azriel-Rosenfeld et al., J Mol Biol. 2004 Jan 2;335(1):177-92; Park et al., Biochem Biophys Res Commun. 2000 Aug 28;275(2):553-7; Kang et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1991 Dec 15;88(24):11120-3; Zahnd et al., J Biol Chem. 2004 Apr 30;279(18):18870-7; Xu et al., Chem Biol. 2002 Aug;9(8):933-42; Border et al., Proc Natl Acad Sci USA, 2000 Sep 26;97(20):10701-5; Crameri et al., Nat Med. 1996 Jan;2(1):100-2に記載され、また、例えばInternational Patent Application WO 03/048185に更に一般的に記載された、部位特異的変異発生および他の変異体発生技術が含まれる。従って一つの側面において、本発明は、ここに記載したγ2DIII抗体または適切な場合には該抗体をコードする核酸に対して斯かる技術を適用することにより、変異体抗γ2DIII抗体を調製する方法を提供する。
CDR変異体の設計、構築および/または評価において、CDR領域は、エピトープへのよりよい結合を可能にするように変化させ得るという事実に注目することができる。抗体CDRsは、典型的には、エピトープが嵌合する「ポケット」または他のパラトープ構造を形作ることによって動作する。エピトープが緊密に適合しなければ、当該抗体は最良の親和性を提供しないかもしれない。しかし、エピトープと同様に、パラトープ構造の中に、この結合の殆どを説明する幾つかの重要な残基が存在することが多い。従って、同じペプチドに対する抗体間で、CDR配列は、その長さおよび組成において顕著に変化することができる(例えば、mAb 5D5のCDR-H3配列は、mAb 4G1およびmAb 6C12のCDR-H3配列よりも顕著に長い可能性がある)。当業者は、このようなエピトープ結合に対する顕著な寄与因子であることが多いチロシン残基のような一定の残基(例えば、CDR-H3配列に関して)が、CDR変異体において典型的には望ましく維持されることを認識するであろう。
置換変異体を発生させるための便利な方法は、当該技術において既知の方法を用いた、ファージを使用する親和性突然変異である。修飾のための超可変領域部位候補を特定するために、アラニン走査突然変異誘発もまた、抗原結合に顕著に寄与する超可変領域残基を同定するために実施することができる。或いは、またはこれに加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原との間の接触点を同定することが有益であるかもしれない。このような接触残基および隣接残基は、おそらく、置換のための適切な候補である。
CDR配列変異体の合理的設計のための有用な方法が、例えば、国際特許出願WO 91/09967およびWO 93/16184に記載されている。ペプチド変異体の製造/選別における追加の考慮要件(例えば、アミノ酸残基の機能的特性の保存、ハイドロパシー特性に基づくアミノ酸残基の保存、および/または重量/サイズに基づくアミノ酸残基の保存)は、本明細書の他の箇所で説明される。典型的には、保存的置換変異体のようなアミノ酸配列変異体は、望ましくは、親配列の構造的特長を実質的に変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親配列の機能を特徴付ける二次構造を破壊する傾向をもつべきではない)。当該技術において認識されているポリペプチドの二次構造および三次構造の例は、例えば、Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton、Ed., W. H. Freeman and Company、New York (1984)); INTRODUCTION TO PROTEIN STRUCTURE (C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York、N.Y. (1991));およびThornton et at. Nature 354:105 (1991)に記載されている。ペプチド変異体の設計および構築に関する追加の原理が、例えば、Collinet et al., J Biol Chem 2000 Jun 9;275(23):17428-33において議論されている。
典型的には、有利な配列変化は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)変異体配列の結合親和性を変化させ(典型的には、親和性を望ましく増大させる)、(4)関連の変異体/類似体ペプチドに対して他の物理化学的もしくは機能的性質を付与し、または修飾するものである。CDR変異体に関して、特に変異型抗γ2DIII抗体に関して、典型的には、CDR構造のループ構造を支持および/または配向させるために必要とされる残基が保持されること;CDR構造のループ構造の約10オングストローム以内にある残基(しかし任意には、水溶媒がアクセス可能な約5平方オングストローム以上の表面を有する当該領域の残基のみ)は修飾されないか、または保存的アミノ酸残基の置換によってのみ修飾されること;および/またはCDR構造のループ様構造が変異体において保持されるように、当該配列は制限された数の挿入および/または欠失(もしあれば)を受けることが望ましい(関連した技術および関連の原理は、例えば、Schiweck et al., J Mol Biol. 1997 May 23;268(5):934-51; Morea, Biophys Chem. 1997 Oct;68(1-3):9-16; Shirai et al., FEBS Lett. 1996 Dec 9;399(1-2):1-8; Shirai et al., FEBS Lett. 1999 Jul 16;455(1-2):188-97; Reckzo et al., Protein Eng. 1995 Apr;8(4):389-95; およびEigenbrot et al., J Mol Biol. 1993 Feb 20;229(4):969-95に与えられている)。
アミノ酸配列の変異は、変異型抗体において、親抗体に比較して変化されたグリコシル化パターンを生じる。「変化する」とは、親抗体に存在する1以上の糖鎖部分を欠失すること、および/または親抗体に存在しない1以上のグリコシル化部位を加えることを意味する。抗体のグリコシル化は、典型的には、N-結合またはO-結合されるものである。N-結合されるとは、アスパラギン残基の側鎖への糖鎖部分の結合を意味する。トリペプチドであるアスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニン(ここでのXは、プロリン以外の何れかのアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための共通の認識配列である。従って、ポリペプチドにおけるこれらトリペプチド配列の何れかの存在は、典型的に、強力なグリコシル化部位を形成することができる。O-結合されたグリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も普通にはセリンまたはスレオニンへの、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのような糖の結合を意味するが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンもまた使用されてよい。抗体へのグリコシル化部位の追加は、そのアミノ酸配列が1以上の上記トリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のため)を含むように、該アミノ酸配列を変化させることによって都合よく達成することができる。この変化は、元の抗体の配列に対する1以上のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはこれら残基による置換によって行ってもよい(O-結合グリコシル化部位について)。
「潜在的アミノ酸相互作用」の語句は、抗原に存在する1以上のアミノ酸残基と、親抗体には存在しないがその中に導入できる1以上のアミノ酸残基との間の接触、またはエネルギー的に有利な相互作用を言うために使用することができ、前記アミノ酸残基の導入は、抗原とこれら導入されたアミノ酸残基を含む変異型抗体との間のアミノ酸接触を増大させるようになっている。望ましくは、変異型抗体は、γ2の一部、典型的にはγ2DIIIとの増大した潜在的アミノ酸相互作用に関連している。問題のアミノ酸相互作用は、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、および/またはイオン性相互作用から選択することができる。
ここに与えられる種々のCDR配列、VH配列およびVL配列および変異体は、新規な抗体および抗体様分子を製造するために、何れか適切な方法で組み合わせることができる。斯かる変異型抗体の一つの例として、本発明は、mAb 4G1およびmAb 6C12由来のCDR-L2配列の融合であるCDR-L2を含んでなるL5G2D3BPを提供する。もう一つの関連において、本発明は、mAb 4G1またはmAb 6C12から誘導された変異型抗γ2DIII 抗体を提供し、ここでは当該mAbのCDR-L2配列が、他のmAb由来のCDR-L2配列で置換される。もう一つの側面において、本発明は、mAb 4G1および/またはmAb 5D5から誘導された抗体および抗体様分子であって、該誘導された抗体または抗体様分子のCDR-L1が、他の分子に由来するCDR-L1で置換されたものを提供する。更なる側面において、本発明は、mAb 4G1および/またはmAb5D5由来のCDR-L1配列の融合に対応したCDR-L1変異体を含んでなるL5G2D3BPを提供する。もう一つの側面において、本発明は、mAb 5D5またはmAb 4G1から誘導された変異型抗体を提供し、ここでは当該抗体の軽鎖が、他の抗体の配列に対応する1以上の置換、挿入または欠失を含んでいる(例えば、本発明は、mAb 5D5の軽鎖の対応する位置に存在する残基に基づいて、当該誘導体の軽鎖に1以上の残基変化が導入される変異型mAb 4G1を提供する)。もう一つの側面において、本発明は、mAb 5D5またはmAb 6C12から誘導された抗体を提供し、ここでは該誘導された変異型抗体の軽鎖が、他の抗体重鎖の構造に対応する1以上の変化によって親抗体から変化している抗体を提供する(例えば、本発明は、mAb 6C12の1以上の重鎖残基がmAb 5D5重鎖残基に見られる対応の残基で置換された、mAb 6C12から誘導された抗γ2DIII変異型抗体を提供する)。また、本発明によって提供される抗γ2DIII変異型抗体のVH、VL、およびCDRs(例えばCDR-L1領域および/またはCDR-L2領域)に対する他の変化も、変異型抗体および抗体様分子の中に適切に導入することができる。
本発明のL5G2BPsは、一般に、多量化に関して如何なる適切な形態であってもよい。抗γ2DIII抗体および抗体断片は、典型的には、IgM抗体に関連したような更に高次の多量体形態でないにしても、少なくともヘテロ三量体形態にある。他の側面において、L5G2BPは二量体または単量体として提示されてもよい。本発明のモノマーL5G2BPsは、例えば、多量体ペプチド組成物を形成するように適切な技術によって修飾されてもよい。
一つの特定の例示的側面において、本発明は、抗γ2DIII変異型抗体であって、親の抗γ2DIII抗体に対して、10未満、例えば5未満、例えば3以下のアミノ酸変異が、該変異型抗体のVHまたはVL領域の何れかに存在する抗γ2DIII変異型抗体を提供する。もう一つの例示的側面において、本発明は、抗γ2DIII親抗体に対して、15未満、例えば10未満、例えば5未満のアミノ酸変異が、該変異型抗体の定常領域に存在する抗γ2DIII変異型抗体を提供する。
もう一つの非制限的な例示的側面において、本発明は、抗γ2DIII親抗体の構造的変異体を提供する。L5G2D3BPsに関する構造決定は、核磁気共鳴(NMR)分光学的構造決定技術のような、何れか適切な技術によって行うことができ、斯かる技術は当該技術分野において周知であり(例えば、Wuthrich、NMR of Proteins and Nucleic Acids, Wiley, New York, 1986; Wuthrich、K. Science 243:45-50 (1989); Clore et al., Crit. Rev. Bioch. Molec. Biol. 24:479-564 (1989); Cooke et al. Bioassays 8:52-56 (1988)参照)、典型的には、構造的アナログの空間的および配向要件を得るためにコンピュータモデリング法(例えば、MACROMODELTM、INSIGHTTM、およびDISCOVERTMのようなプログラムの使用による)と組合せられる。これら技術および他の適切な既知の技術によって得られた情報を使用することにより、合理性に基づくアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を通して、L5G2D3BPsの構造的アナログを設計および製造することができる。このような構造的変異体は、本発明の方法を実施する上で有用であり得る。また、斯かる構造的情報は、親抗体の配列情報と共に、有用な変異型抗体を設計するために使用されることが可能であり、且つ望ましいことが多い。
作製された変異型抗体は、何れか適切なスクリーニング技術にかけることができ、1以上の関連アッセイにおいて適切かつ望ましい優れた特性をもった抗体を、更なる開発のために選択すればよい。
mAbs 4G1、5D5、and 6C12から得られたCDRsにおける適切なアミノ酸変化の例が、本明細書の何処かに記載されている。
本発明のもう一つの特徴は、多重特異性および/または多価のL5G2BPs、例えば、多量体および多価の抗γ2抗体(典型的には多重特異性の抗γ2DIII抗体として特徴付けられる)、並びに抗体様分子(例えば、多重特異性の抗体断片、抗体誘導体、または抗体断片誘導体)を提供する。
一般に、抗γ2抗体は、何れか適切な価数および特異性を有することができる。本明細書の何処かで述べるように、例えば、抗γ2DIII抗体は一価抗体であることができる。2以上の価数の抗体もまた、既知の技術を使用して調製することができ、ここに記載した本発明の方法において使用することができ、また本発明の組成物中に組込むことができる。例えば、γ2DIIIに対して部分的に特異性の三重特異性の抗体は、当該技術において既知のよ方法によって調製することができる(例えば、Tutt et al. J. Immunol. 147;60 (1991)参照)。
一つの例示的側面において、本発明は、少なくとも部分的にγ2DIIIに含まれるエピトープに対して特異的な少なくとも一対のVH配列鎖およびVL配列鎖、並びに第二の(即ち異なる)エピトープに対して特異的な第二の少なくとも一対のVH配列鎖およびVL配列鎖を含んでなる、二重特異性抗体を提供する。斯かる二重特異性抗体におけるVH配列およびVL配列は、抗γ2DIII抗体のVHおよびVL領域の配列に対応した完全なVH配列およびVL配列、変異体VHおよび/またはVL配列、および/または興味あるエピトープへの結合を与えるのに充分なCDR配列および他の配列(例えばフレームワーク配列/残基)の組合せのような、VH領域および/またはVL領域の適切な部分を含むことができる。
二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab' 断片の結合を含む種々の既知の方法によって製造することができる(例えば、Songsivilai & Lachmann Clin. Exp. Immunol. 79;315-321 (1990) and Kostelny et al. J. Immunol. 148:1547-1553 (1992)参照)。従来、二重特異性抗体の組換え製造は、二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づいており、ここでの二つの重鎖は異なる特異性を有している(例えば、Milstein and Cuello, Nature, 305;537 (1983)参照)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の典型的なランダムな組み合わせのために、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は、そのうちの一つだけが典型的に望ましい二重特異性構造を有する10種類の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生する。通常はアフィニティークロマトグラフィーで行われる正しい分子の精製は、適切ではあるが煩雑なことがあり、生成物の収率が比較的低い可能性がある。同様の方法が、WO 93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10;3655 (1991)に記載されている。
異なるアプローチに従えば、望ましい結合特異性を備えた抗体の可変ドメイン(抗体/抗原結合部位)が、組換え法または合成法によって、免疫グロブリンの定常ドメイン配列に融合される。この可変ドメイン配列は、典型的には、ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリンの重鎖定常ドメインに融合される。軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)もまた、典型的には、融合ペプチドの少なくとも一つに存在する。このタイプのアプローチの幾つかの特殊な例においては、一方のアームに第一の結合特異性を備えたハイブリッド免疫グロブリン重鎖を含み、他方のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖/軽鎖対(第二の結合特異性を与える)を含んでなる二重特異性抗体が製造される。このような非対称構造は、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの、望ましい二重特異性化合物の分離を促進することができる(このようなアプローチは、WO 94/04690に記載されている)。二重特異性抗体を作製するための関連法の更なる説明はについては、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
更にもう一つのアプローチでは、組換え細胞培養体から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化して、二重特異性抗体分子のポピュレーションを形成するために、一対の抗体分子間のインターフェースを加工することができる。典型的には、このようなインターフェースは、抗体定常領域のCH3ドメインの少なくとも一部を含んでいる。このような方法においては通常、第一の抗体分子のインターフェースに由来するより小さい側鎖をもった1以上のアミノ酸残基が、より大きな側鎖をもったアミノ酸残基(例えばチロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きなアミノ酸側鎖残基をより小さい残基(例えばアラニンまたはスレオニン)に置換することによって、同一もしくは類似のサイズからより大きな側鎖アミノ酸残基への補償「キャビティー」が、第二の抗体分子のインターフェース上に形成される。この技術は、ホモ二量体のような他の望ましくない最終生成物に対するヘテロ二量体の収率を増大させるための機構を提供する。
架橋されたまたは「ヘテロ複合体」抗体は、本発明によって提供されるもう一つのタイプの二重特異性抗体である。斯かる抗体の誘導体もまた、一定の用途のために有利であることができる。例えば、ヘテロ複合体における一方の抗体はアビジンに結合することができ、他方はビオチンに結合することができる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞にターゲッティングするために提案されている(例えば、米国特許第4,676,980号参照)。ヘテロ複合体抗体は、何れか便利な架橋方法を使用して製造することができる。適切なペプチド架橋剤および技術は当該技術において周知であり、このような架橋剤および技術の例は、例えば米国特許第4,676,980号に開示されている。
二重特異性の抗体および抗体様分子(例えば二つの抗体断片から作製された二重特異性分子)は、一般に、化学的結合技術を使用して調製することができる。例えば、Brennan et al., Science, 229;81 (1985)は、完全な抗体がタンパク質分解的に開裂してF(ab')2断片を生じる方法を記載している。次いで、これらの断片は、ビシナルジチオールを安定化して分子内ジスルフィド形成を防止するために、ジチオール錯化剤の亜砒酸ナトリウムの存在下で還元されてよい。この発生したFab’断片は、チオニトロ安息香酸エステル(TNB)誘導体に変換することができる。次いで、Fab'-TNB誘導体の一つは、メルカプトエチルアミンを用いた還元によってFab'-チオールに再変換し、等モル量の他のFab'-TNB誘導体と混合して二重特異性抗体を形成することができる。
E. coliから回収されたFab'-SH断片もまた、二重特異性抗体を形成するために化学的に結合することができる。例えば、Shalaby et al., J. Exp. Med., 175;217-225 (1992)は、関連技術に従って、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')2 分子の製造を記載している。
組換え細胞培養体から二重特異性抗体断片分子を作製および単離するための種々の技術もまた、既に記載されている。例えば、ロイシンジッパーを使用して、二重特異性抗体が製造されている(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148(5);1547-1553 (1992)参照)。Fosタンパク質およびJun タンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって二つの異なる抗体のFab'部分に結合し、得られた抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元してモノマーを形成することができ、また該モノマーを再酸化して抗体へテロ二量体を形成することができる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,, 90: 6444-6448 (1993)によって記載された「ダイアボディー」技術もまた、二重特異性抗体断片分子を作製するための代替機構として提供されている(同様のダイアボディー関連技術の説明のために、Alt et al., FEBS Letters, 454 (1990) 90-94も参照されたい)。また、単鎖Fv(sFv)二量体を使用することによって、二重特異性抗体断片分子を作製するためのもう一つの戦略も報告されている。例えば、Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。加えて、二重特異性抗体は、「Janusins」として形成されてもよい(Traunecker et al., EMBO J 10:3655-3659 (1991)、およびTraunecker et al., Int J Cancer Suppl 7:51-52 (1992)参照)。多重特異性抗体分子の製造に関する追加の方法が、例えばFanger et al., Immunol. Methods 4:72-81 (1994)に開示されている。
二重特異性の抗体および抗体様分子の例には、(i)一方がγ2DIIIに対する特異性を有し、もう一つは第二の標的に対する特異性を有する一緒に結合される二つの抗体;(ii)γ2DIIIに特異的な一つの鎖および第二の分子に特異的な第二の鎖を有する単一の抗体;および(iii)γ2DIIIおよび第二の分子に対する特異性を有する単鎖抗体が含まれる。典型的には、前記第二の標的/第二の分子は、Ln-5以外の分子である。一つの側面において、第二の分子は癌抗原/腫瘍関連抗原、例えば癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原(PSA)、RAGE(腎抗原)、α-フェトプロテイン、CAMEL(メラノーマ上のCTL-認識性抗原)、CT抗原(例えばMAGE-B5、-B6、-C2、-C3、およびD;Mage-12; CT10;NY-ESO-1、SSX-2、GAGE、BAGE、MAGE、およびSAGE)、ムチン抗原(例えばMUC1、ムチン-CA125等)、肝癌連ガングリオシド抗原、チロシナーゼ、gp75、C-myc、Mart1、MelanA、MUM-1、MUM-2、MUM-3、HLA-B7、またはEp-CAMである。多重特異性L5G2BPsによってターゲッティングされ得る追加の癌抗原/腫瘍抗原は、本明細書の何処かで記述される。
もう一つの側面において、本発明は、γ2の一部(典型的にはDIIIの一部)およびα5β3インテグリンのような癌関連インテグリンである第二の分子の少なくとも一部に特異的に結合する多重特異性抗体を提供する。
もう一つの側面において、本発明は、γ2の一部、および血管新生因子または他の癌関連成長因子[例えば血管内皮成長因子(VEGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)上皮成長因子(EGR)、アンジオゲニン、およびそれらの受容体、特に癌進行関連受容体(例えばHER1-HER4受容体の一つ)]である少なくとも一つ第二の分子に特異的に結合する多重特異性抗体を提供する。
更なる側面において、本発明は、γ2の一部および下記のような細胞移動のLn-5関連モジュレーションである少なくとも一つの第二の分子に特異的に結合する多重特異性抗体を提供する:即ち、インテグリンα3β1;1以上の他のLn-5関連インテグリン(例えばアルファ6ベータ1(α6β1)およびアルファ6ベータ4(α6β4)インテグリン);VII型コラーゲン;フィブリン-2;IL-7、熱ショックタンパク質27;BP180;シンデカン-4;ジストログリカン;ニドゲン-1;Ln-5/癌関連マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-12、MMP-13、MMP-20、およびMMP-14(MT1-MMPとしても知られる)(例えば、Ln-5のMMPプロセッシングに関して、Pirila et al., Biochem Biophys Res Commun. 2003 Apr 18;303(4):1012-7参照));EWI(例えば、Stipp et al., J Cell Biol. 2003 Dec 8;163(5):1167-77参照);メタロプロテイナーゼ-1の組織阻害剤(TIMP-1)およびTIMP-2;BB94(例えば、Giles et al., J Cell Sci. 2001 Aug;114(Pt 16):2967-76参照);テトラスパニン(tetraspanin)D6.1A(例えば、Herlevsen et al., J Cell Sci. 2003 Nov 1;116(Pt 21):4373-90参照);および骨形成タンパク質-1(BMP-1;例えば、BMP-1および関連分子を含む方法に関しては米国特許出願US 20020076736参照)。
ここで述べる他の癌進行関連タンパク質もまた、上記に加えて、または上記の代わりに、本発明の多重特異性の抗体および抗体断片によってターゲッティングされる適切な第二の分子であることができる(例えば、本明細書の何処かに提供される併用療法の考察を参照されたい)。
他の側面において、本発明は、γ2の一部(例えばDIIIの一部)に特異的で、且つヘテロ三量体Ln-5(例えばLn-5のプロセッシングされた形態;例えば、Hintermann et al., Matrix Biol. 2004 May;23(2):75-85 and Ogawa et al., J Cell Biochem. 2004 Jul 1;92(4):701-14参照)、1以上のLn-5モノマー(例えばβ3またはγ2)、γ2/β3ヘテロ二量体、またはγ2のもう一つの領域(例えばDIIIの異なる領域)に存在する第二の標的に特異的な、多重特異性の抗体または抗体断片を提供する。
上記で述べたように、本発明は多重特異性抗体断片、並びに多重特異性の完全サイズの抗体分子を提供する(この点に関して、適用可能な場合には、一般的にこれら用語の各々が相互の裏付けを提供するものとして考慮されるべきである)。多重特異性抗体断片の具体的な例には、60-65 kDaの両親媒性へリックスに基づくscFv二量体(例えば、関連の考察について、Pack et al. (1993) Bio/Technology 11; 1271-1277; Pack (1992) Biochemistry 31;1579-1584 for related discussion参照)、および80 kDaの(scFv-CH3)2 LDミニボディーおよびフレックスミニボディー(例えば、関連の考察について、Hu et al. (1996) Cancer Res. 56;3055-3061 for related discussion参照)。これらタンパク質の各々は二つの抗原分子に結合することができるが、それらは配向性、可撓性、およびそれら結合部位間距離において異なっている。これら抗体断片および同様の分子のうちの少なくとも幾つかは、本明細書のどこかで更に詳述されるであろう。
ミニボディーは、抗原結合領域、二価分子へのアセンブリーを可能にするCH3ドメイン、およびジスルフィド結合による二量体化に適応するための抗体ヒンジを保持する単鎖抗体断片である。典型的なミニボディーは、免疫グロブリン分子のヒンジ領域およびCH3ドメインに融合された可変重鎖ドメインおよび可変軽鎖ドメインを含んでなるものである(CH3ドメインが適切なアセンブリーのために充分なので、典型的にはCH2ドメインは欠失される)。重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインは、典型的には、短いリンカーによって連結される。ミニボディーのサイズおよび親和性は、インビボ投与のために特に適している。ミニボディーは一本鎖なので、バクテリア細胞または哺乳類細胞における発現が単純化される。ミニボディーを調製する古典的な方法は、例えば、米国特許第5,837,821号に与えられている。
更なる側面において、本発明は、AMRに特異的な第一の単鎖抗体構築物およびSTMに特異的な第二の単鎖抗体構築物のような、1以上の多重化ドメインを含めることによって形成された多重特異性抗体を提供する。この多重化は、特に、ヘテロ二量体化を介して得ることができる。例えば、定常免疫グロブリンドメインのヘテロ二量体化領域が用いられてよい。ロイシンジッパー、T細胞受容体のα鎖およびβ鎖、またはMHCクラスII分子に基づくもののような、他の多量体化ドメインおよび/またはヘテロ二量体化ドメインが当該技術において知られている。更に、jun-およびfos-に基づくドメインが、多重化ドメインとして用いられてよい(例えば、de Kuif (1996) J. Biol. Chem. 271:7630-7634; Kostelny (1992), J. Immunol. 148、1547-1553参照)。多重化ドメインの追加の例は、例えば、Sakamoto (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA,, 91, 8974-8978; Lee (1994) Nat. Struct. Biol. 1, 877-890; Jeffrey (1995) Science 267, 1498-5102、またはNooren (1999) Nat. Struct. Biol. 6, 755-759に記載された、p53-ドメインおよびMNT-ドメインである。多量化ドメインの使用は、単鎖抗体構築物からL5G2BPsを形成することに限定されない。例えば、多量化ドメインは、非抗体L5G2BPsの多量体、多重鎖抗体などのを形成するために使用することができる。
もう一つの側面において、本発明は、γ2に結合する少なくとも一つの部分、および少なくとも一つの二次的(非γ2)標的(例えば上記で述べた標的の一つ)に結合する第二の部分を含んでなる、ヘテロミニボディー構築物を提供する。ヘテロミニボディーは当該技術において知られており、それらの製造が特にWO 00/06605に記載されている。簡単に言えば、ヘテロミニボディーは二つの鎖のヘテロ二量体であり、その第一の鎖はCH1-ドメイン(その中の定常抗体ドメインのみとして)を含んでなり、またその第二の鎖は抗体軽鎖のCLドメインを含んでなるものであり、ここでは相互に対する固有の親和性を欠く少なくとも二つのペプチド、即ち、その少なくとも一方のペプチドは少なくとも一つのAMRに対する特異性を有し、その第二のペプチドは少なくとも一つの第二の標的に対する特異性を有する二つのペプチドが、定常領域ドメインに融合される。典型的には、これらのドメインはscFv-断片のフォーマットである。同様の単鎖抗体の製造に関する方法および原理についての追加のガイダンスが、例えば、Dreier et al., Int. J. Cancer;100, 690-697 (2002); Dreier et al., J Immunol, 2003, 170(8);4397-402; およびLoffler et al., Leukemia, 2003, 17, 900-907、並びに米国特許第6,723,538号に与えられている追加の二重特異性抗体断片の例が、例えば、Peipp and Valerus, Biochemical Society Transactions, 30(4):507-511 (2002)に記載されている。
本発明はまた、ドメイン欠失された抗γ2抗体、例えばCH2 ドメインが欠失された二重特異性抗体を提供する(しかし、斯かる抗体はモノ特異性であってもよい)。一定の内容における斯かるドメインの欠失は、標的抗原結合性を損なわないことが分かっている。
上記で述べたように、本発明によって与えられる幾つかの多重ドメイン抗体断片分子は、同一または異なる抗体から誘導された種々のドメインの間の1以上の連結構造または連結配列を含んでいる。このような連結は、組換え発現技術によって与えることができ、或いは、例えばWO 94/04686に記載された化学的架橋結合によって実施することができる。典型的には、アミノ酸配列リンカー(典型的にはフレキシブルリンカーである)が、このようなドメインを連結するために使用される。斯かるリンカーは、典型的には多くのフレキシブル残基(例えば5〜15残基のような約3〜20残基)を含んでなり、より典型的には、Glyおよび/またはSer残基を主に含むであろう。scFv二量体の形成のためには、機能的Fvドメインの形成を可能にしない約3〜12残基のリンカーのような短いリンカーが使用され、また上記で引用した参照文献に記載されているように(例えば、Kortt et al., Biomol Eng. 2001 Oct 15;18(3):95-108参照)、更に短いリンカーが、トリアボディーおよびテトラボディーの形成のために使用される。
更にもう一つの側面において、本発明は、合理的設計、突然変異誘発、または他の適切な技術により、抗体配列における潜在的なB細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープが低減または排除された、変異体L5G2BP抗体および抗体断片を提供する。従って、例えば一つの側面において、本発明は、親抗体(例えば、マウス抗γ2DIII抗体様 mAb 5D5)における潜在的T細胞エピトープが排除された、「二量体化」された抗γ2DIII抗体を提供する。脱免疫化された(deimmunized)L5G2D3BPsの設計および構築は、何れか適切な既知の技術によって達成することができる(例えば、脱免疫化された抗体を調製するための例示的方法に関して、国際特許出願PCT/GB98/01473参照)。関連の(非修飾)「親」抗体分子に比較して、このようなL5G2BPsが投与されるか、またはヒトに送達されるときには、免疫原性は排除または実質的に低減されると予測される。このような技術は独立に、またはヒト化に対する補助として使用することができる(従って、例えば、mAb 4G1、mAb 5D5、またはmAb 6C12由来の1以上の対のCDRsを含むヒト化抗体は、本発明に従って調製することができ、これはまた、該ヒト化抗体の免疫原性を低下させるように、マウス配列および/またはマウス配列とヒト配列の接合部における1以上のアミノ酸の置換、除去および/または挿入によって修飾される)。
抗γ2抗体へのスーパー抗体の組込みおよび/または結合により1以上のスパー抗体機能を示す抗γ2抗体が、本発明のもう一つの特徴である。
「スーパー抗体」の用語は、高い能力をもった抗体を意味するために最近作成された造語であり、また高い能力を示す自己結合性または自己親和性の抗体の発見に基づいている。このような抗体は、溶液中ではなく、それらの抗原標的に結合した後にのみ、相同性複合体を形成する。ホスホリルコリンに向けられた斯かる一つの自己親和性抗体は、バクテリア感染に対して免疫不全マウスを保護する際に、従来の治療的抗体よりも数倍も強力であることが示されている。この点において、スーパー抗体の機能は、抗体成熟プロセスの一部としてではなく、抗原特異的方法で生来の免疫の一部として働くものとして特徴付けることができる。従って、天然のスーパー抗体は、生来の免疫系および後天的な免疫系の間の相乗作用を示す。
また、短い合成ペプチド(例えば約15〜25残基のもの)は、抗体(抗体断片を含む)に結合して、特異性の喪失を伴うことなく、このような自己親和性および改善された能力を提供できることも示されている。これらの人工的スーパー抗体は、標的抗原に結合したときに自己複合体を形成するが、溶液中で可溶性のまま残る。例えば、Kohler et al., Appl Biochem Biotechnol. 2000 Jan-Mar;83(1-3):1-9; discussion 10-2、145-53参照。スーパー抗体の用語はまた、他の抗体融合タンパク質/結合体と結合されるようになっており、ここでの融合相手または含められたドメインは、当該抗体に対して従来と異なる結合機能を付与するが、これは抗体抗原結合部位と直接には関連しない。人工的に作製された「スーパー抗体」に付随する追加の特徴は、架橋を容易にするドメインを介しての抗体の相互作用による受容体もしくは抗原の架橋を含んでおり、これは改善された信号伝達等;他のタンパク質結合;スーパー抗体によって免疫原性ペプチドのような融合相手ペイロードを標的細胞に送達するために、抗原結合の際に結合されたペプチド部分を開裂する能力;および細胞内標的にアクセスするために細胞膜を貫通する能力が含まれる。細胞を貫通するスーパー抗体は、例えば、Zhao et al., J. Immunological Methods 254:137-145に記載されている。簡単に言えば、斯かる抗体は、細胞膜輸送を容易にする膜輸送配列(MTS)を含むように加工される。この技術はまた、融合タンパク質のような他のタンパク質にも適用することができる(非抗体タンパク質の適用に関して、例えば、Rojas et al., Nature Biotech., 16:370-375 (1998)参照)。このようなスーパー抗体は、細胞を癌化させる細胞内タンパク質をターゲッティングするために使用することができる。スーパー抗体技術は更に、例えば、Kohler、Immunol Today. 1998 May;19(5):221-7; Zhao et al., J Immunother. 2002 Jan-Feb;25(1):57-62; および国際特許出願WO 02/097041に記載されている。
上記で述べたように、スーパー抗体ドメイン、特にMTSは、抗体に内部移行機能を付与するために使用することができる。もう一つの側面において、本発明は、非スーパー抗体/非MTS含有の抗γ2抗体を内部移行させることを提供する。
多くの全長抗体は、細胞によって内部移行される(例えば、Liu et al., Cancer Research 57、3629-3634 (1997)参照)。特に、多重特異性抗体に関して、本発明の一定の抗体および抗体断片は、内部移行されてよい。抗体が内部移行を媒介する効率は、抗体の種類(例えば、完全な抗体、断片、単鎖、モノマー、二量体等)、および認識されるエピトープに依存する(Yarden (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87;2569-2573; Hurwitz et al (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92;3353-3357)。通常は内部移行されない脊椎動物抗体から組換え抗体が生成される場合、内部移行される抗体に由来する配列を含んだ組換え抗体は、内部移行機能を付与する既知の技術を使用して作製することができる。このような方法の例は、例えば、米国特許出願20010008759に記載されている。内部移行を促進する性質を示すように、サイズまたは他の特徴に関して選択および/または修飾された抗体は、ファージディスプレーライブラリーのスクリーニングを通して同定することができる。例えば、Becerill et al., Biochem Biophys Res Commun. 1999 Feb 16;255(2):386-93; Poul et al., J Mol Biol. 2000 Sep 1;301(5):1149-61; Gao et al., J Immunol Methods. 2003 Mar 1;274(1-2):185-97; Nielsen et al., Pharm. Sci. Technol. Today. 2000 Aug;3(8):282-291; Gao et al., J Immunol Methods. 2003 Mar 1;274(1-2):185-97; and Marks et al., Methods Mol Biol. 2004;248:201-8参照。
もう一つの側面において、本発明は、1以上の酵素反応を触媒できる抗γ2抗体を提供する。このような触媒性の抗体は、典型的にはアブザイムと称される。
抗体または抗体断片のアブザイム「変異体」は、γ2結合部分と、既存の抗γ2抗体または抗体断片の修飾(例えば化学的突然変異/派生)によって作製された1以上のアブザイム部分との何れか適切な組合せによって、或いは、更に典型的には、アブザイムから得られた適切な触媒促進配列を、抗γ2抗体、抗体断面または他のL5G2BPの中に含めることを通して製造することができる(例えば、完全な抗体または抗体断片部分を含んでなる融合タンパク質に関して、或いは、抗体の一部、抗体断片または他のタンパク質の挿入もしくは置換のように、斯かる配列を導入することに関して)。
アブザイムは多くの既知の技術によって発生させることができるが、これら技術については、ここでは簡単に述べるに止める。従来、アブザイムは適切な脊椎動物をインビボで、または脊椎動物細胞(例えば非哺乳動物の脾臓細胞)をインビトロで、酵素触媒反応の遷移状態に似たヘプタン(即ち、遷移状態アナログ)で免疫感作することによって生成された。インビトロ法は多くの利点を与えるが、これには、アブザイムの産生において少ないヘプタンアナログを使用する能力が含まれる。例えばファージディスプレーまたは他の適切なディスプレー技術によって同定することができる得られた抗体は、遷移状態構造に対して特異的(該構造に相補的)であるはずである。斯かる抗体は、酵素の作用と同様に、適切な基質に結合することにより遷移状態の形成を促進し、それによって遷移状態の形成に対するエネルギー障壁を低下させることができる(即ち、遷移状態の自由エネルギーの減少)。抗体特異性を増大させるためには、ヘプタンに結合した約8アミノ酸以下の免疫原が、インビボ法またはインビトロ法によりアブザイムを生成させるために典型的に使用される。
第一のアブザイムから誘導され、且つ第二の遷移状態アナログ(TSA)に対して選択されたファージディスプレーライブラリーの使用を含む進化力学的方法は、改善された反応速度(kcat)のアブザイムを提供するように、基底状態に対する遷移状態の示差親和性を最大化することにおいて有用であることができる。
静電気的相補性を使用して、負に帯電した残基が結合部位に正確に配置された触媒的抗体を作製することができる。「ベイト・アンド・スイッチ(bait-and-switch)」ハプテン設計は、触媒的抗体の産生のための成功技術であり、遷移状態の安定化と共に、増強された活性の触媒を生じる能力を与えることが証明されている。ベイト・アンド・スイッチのアプローチにおいては、ハプテンと抗体の間の電荷相補性を活用して、適切に配置された酸、塩基、およびヌクレオファイルを誘導する。或いは、ハプテンとしてメカニズムに基づく阻害剤が用いられるときには、不可逆的化学修飾によって、触媒性残基を直接選択することができる。後者の戦略、即ち、ダビングされた反応性免疫化は、共有結合性触媒の合理的加工を可能にする長所を有している。
典型的な組換え技術および/または化学修飾技術(誘導体化および/または突然変異)による変異体生成は、アブザイムを作製するため、または他の方法により製造されたアブザイムの機能性を修飾するために使用することができる。体細胞変異体生成については、例えばX線結晶学により抗体構造を解明することができ、またドッキングモデリングによって触媒プロセスでの重要な残基を決定することができる。
これら潜在的な標的部位での突然変異は、標的反応を触媒するために重要な残基を同定することができる。一旦同定されれば、置換および分析を行って、触媒に関して有利な変異を同定することができる。もう一つの側面において、疑われる触媒性残基を抗体の結合部位に付加することによって、アブザイムを生成させることができる。アブザイムはまた、化学的誘導体化を介して修飾された活性を与える補助因子によって、選択的に変化させることができ、また、修飾されたアミノ酸残基のような部分を結合部位に導入する化学的突然変異技術によって、アブザイムを生成させることができる。もう一つのアブザイム生成のアプローチは、抗イデオタイプのAbsの性質を使用して、酵素活性部位の内部像を発生させるものである。
アブザイムは、多くの広範な種類の反応を触媒することができ、これには、例えばペリ環状プロセス;基転移反応;種々の付加および脱離;酸化および還元;あるドール反応、開裂および縮合反応;補助因子依存性転移反応、例えばアシル転移反応;ディールスアルダー縮合;クライゼン転移;マイケル反応;ホスホジエステル加水分解;アリールエステル加水分解;アルドール縮合;アルドール付加;交差アルドール反応;自己アルドール反応;逆アルドール反応;ロビンソン環化;速度論的分割;逆アルドール-逆マイケル反応;種々の脱炭酸反応(例えば、βケトの酸脱炭酸)が含まれる。
KMおよびVmaxのような速度論的パラメータによって測定されるアブザイム触媒反応の速度は、現在のところ、対応する非触媒反応よりも百万倍大きいが、同様の酵素で示されるよりも低いことが多い。それでも、このような分子は診断用とおよび医薬用途のために非常に有用であることができる。例えば、ドキソルビシンおよびカンプトセシンのような抗癌性化学療法剤は、抗γ2アブザイムを予め投与した後に、抗γ2アブザイムのアブザイム部分がそれに対して特異的であるハプテンを含む基との組合せによりマスクされた形態(例えばプロドラッグ)で、患者に与えることができる。このような方法において、該アブザイムは標的細胞に結合し、その後に投与されたマスクされた化学療法剤は標的細胞に結合したアブザイムに結合することができ、プロドラッグの活性薬物への反応の触媒、および標的癌細胞部位での化学療法剤の形成がもたらされる。患者においては、標的でない細胞および組織等における望ましくない有毒な副作用が回避され、それによって患者の健康が改善され、生存の可能性が改善される。アブザイムで触媒される反応は、望ましくは、ヒト酵素によっては容易に触媒されない反応である。例えば、斯かるマスクされた薬剤に関して、生来のヒト酵素によっては容易に触媒されない逆アルドールおよび逆マイケル型のタンデム反応を触媒するアブザイムを生成させることができ、それによって、MNKAMRBPアブザイムが結合した標的細胞の外での、望ましくない化学療法剤の形成を回避することができる。アブザイムはまた、標的細胞において、細胞障害性タンパク質、アポトーシス促進タンパク質、免疫原性ペプチド等のようなタンパク質の開裂を促進するためにも使用することができる。治療剤に加えて、構成分子または支持体組成物から診断レポータを放出するアブザイムを使用することができ、この場合は、前記レポータを検出するために前記支持体または構成分子からの放出が必要とされる。このような方法は、例えば、効果的な実際の有効な方法(例えば、バイオプシーおよび/またはターゲッティングされた放射線療法の適用)を指向させるべき癌細胞の部位を特定するために使用することができる。
アブザイムの製造に関連した追加の詳細な方法および原理は、例えば以下の文献に与えられている: Hilvert, Annual Review of Biochemistry, 2000 69:751-793; Partridge, Biochem Soc Trans. 1993 Nov;21(4):1096-8; Wentworth et al., Cell Biochem Biophys. 2001 35(1):63-87; Tramontano et al., Science、1986 234(4783):1566-70; Pollack et al., Science, 1986 234(4783):1570-3; Nishi, Curr Pharm Des. 2003;9(26):2113-30; Wentworth, Science, Vol 296, Issue 5576, 2247-2249, 2002; Janda et al., J. Am. Chem. Soc. 112, 1274 (1990); Lerner et al., Science,1991, 252(5006):659-67; Fletcher et al., Nat. Biotech. 16(11):1065-1067 (1998); Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 96, 6925-6930, 1999; Shabat et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,, 1999, 96, 6925-6930; Wentworth et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1996 Jan 23;93(2):799-803; Frbioulet et al., Appl Biochem Biotechnol. 1994 May-Jun;47(2-3):229-39; Luo et al., Biochem Biophys Res Commun. 1994 Feb 15;198(3):1240-7; Takahashi, et al. Nat. Biotech., 19(6):563-567 (2001); 国際特許出願PCT/AU97/00194; 米国特許出願 20030148484;米国特許第5,258,289; 同第4,792,446;同第4,888,281;同第5,229,272;同第5,156,965;同第5,126,258;同第6,387,674; および同第6,590,080; 並びにKeinan and Ehud (Eds.) CATALYTIC 抗体 (1st Ed. 2004) Wiley-VCH、Weinheim。
もう一つの側面において、本発明は、抗γ2変異型抗体/融合タンパク質であって、前記抗γ2抗体が投与される患者の血清に固有の抗体に結合できる追加の部分を含んでなり、前記抗γ2抗体は、該抗γ2変異型抗体/融合タンパク質によって結合される前記固有の抗体がそのエフェクタ機能を媒介できるような条件下で投与される、抗γ2変異型抗体/融合タンパク質を提供する。関連の組成物および技術は、例えば、米国特許第6,589,527号に記載されている。
別の側面において、本発明はVドメインのみを含む抗γ2抗体を提供する。ラクダ科の動物(ラクダ、ラマ、およびアルパカ)およびサメはFvモジュールではなく一本鎖の高親和性VHドメインのみの抗体を呈し、それゆえちょうど3つのCDRループを用いて標的抗原へ結合する抗体を産生する。これらのVHドメインは典型的にはVHHと呼ばれる。比較的拡大された超可変領域により、規則正しい抗体可変領域に付随する組み合わせの多様性を欠くにもかかわらず、そのような分子は幅広い抗原結合レパートリーを呈することができる。ヒトV様ドメインタンパク質(「ラクダ型化した」ヒトVH抗体)は標的抗原における間隙を貫通できる大きなCDRループを用いて呈示と選択のための足場としてうまく適応されてきた。そのようなヒト化したV様ドメインは標的タンパク質における「間隙」および/または「谷間」を標的とするための適切なフレームワークでありうる。二重特異性VHH抗体は典型的な抗体の構造上の上部蝶番で2つの単一ドメイン抗体を拘束することによって生成され、他のVHH抗体は癌関連標的へと首尾よく標的誘導されてきた。そのようなVHH、ラクダ型化した、およびVHH会合性二重特異性抗体は、例えば、「Muyldermans, J Biotechnol. 2001 Jun;74(4):277-302; Riechmann and Muyldermans, J Immunol Methods. 1999 Dec 10;231(1-2):25-38; Conrath et al., J Biol Chem. 2001 Mar 9;276(10):7346-50; and Cortez-Retamozo et al., Int J Cancer. 2002 Mar 20;98(3):456-62」に記載されている。
本発明によって提供され、および/または本発明において使用するのに適したLn−5γ2結合ペプチドには、抗γ2抗体の一つ以上のCDRがある分子と共有結合または非共有結合された分子であるイムノアドヘシン(しかしながら、イムノアドヘシンはより複雑な構造の抗体および抗体断片を欠いている)も含まれる。イムノアドヘシンは(融合タンパク質としての)より大きなポリペプチド鎖の一部としてCDRを組み込んでもよく、別のポリペプチド鎖へCDRを共有結合してもよく、またはCDRを非共有結合して組み込んでもよい。含まれるCDR(典型的には、およびFRのような支持する配列/残基)により、イムノアドへシンは対象抗原の特定の部分へ(エピトープ、またはより一般には抗原性決定領域によって定義されるように)特異的に結合できる。多くの同様の抗体ドメイン/断片分子が記載されおよび/または提案されており、これらも本発明の方法、使用、および組成物に適切に適合され得る(例えば、米国特許出願20040033561参照)。
上で示唆されるように、本発明はまた、有用な新規L5G2BP誘導体も提供する。本明細書の他の箇所で記載されているように、誘導体とは、ペプチドのアミノ酸残基の一つ以上が(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、アミド形成、または他の同様のタイプの修飾によって)化学的に修飾されているか、又は一つ以上の異種性置換体(例えば、親油性置換体、PEG部分、適切な有機部分リンカーによって連結されたペプチド側鎖、等)と共有結合された任意のペプチドである。第二のタイプの誘導体は抱合体として別に記載されていることができる。
一般に、本明細書に記載されているL5G2BPは、任意の適切な数のこのような修飾されたアミノ酸の包含および/またはこのような抱合された置換体との会合により修飾できる。この一般的な脈絡における適切性は、非誘導体化親L5G2D3BPと関連したγ2DIII選択性および/または特異性を少なくとも実質的に保持する能力により決定される(従って、適切なレベルの親和性および/または結合活性の保持も示唆する)。一つ以上の修飾されたアミノ酸の包含は、例えば(a)ポリペプチド血清半減期の増加、(b)ポリペプチド抗原性の低下、または(c)ポリペプチド保存安定性の増加において有利であり得る。アミノ酸は、例えば、組み換え産生時に同時翻訳的に若しくは翻訳後に修飾され(例、哺乳類細胞において発現中のN−X−S/TモチーフでN架橋されたグリコシル化)、または合成手段によって修飾される。
誘導体の一部を為し得る修飾されたアミノ酸の非限定例には、グリコシル化されたアミノ酸、硫酸化されたアミノ酸、プレニル化(例えば、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化)されたアミノ酸、アセチル化されたアミノ酸、アシル化されたアミノ酸、ペグ化されたアミノ酸、ビオチン化されたアミノ酸、カルボキシル化されたアミノ酸、リン酸化されたアミノ酸などがある。アミノ酸の修飾における当業者を手引きするのに適した参考文献は本明細書を通じて十分記載されている。典型的なプロトコールは、例えば、「Walker (1998) PROTEIN PROTOCOLS ON CD-ROM Humana Press, Towata, NJ」にみられる。典型的には、誘導体中の修飾されたアミノ酸残基は、グリコシル化されたアミノ酸、ペグ化されたアミノ酸、ファルネシル化されたアミノ酸、アセチル化されたアミノ酸、ビオチン化されたアミノ酸、脂質部分により抱合されたアミノ酸残基、または有機誘導体化剤により抱合された残基である。
さらに、抗体および抗体断片は、ポリマーへの共有結合により化学的に修飾でき、例えばそれらの循環半減期を増加させる。このようなポリマーをペプチドへ結合する典型的なポリマーおよび方法は、例えば米国特許4766106、4179337、4495285、および4609546において示されている。さらなる例示的ポリマーには、ポリオキシエチレン化されたポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)部分が含まれる(L5G2D3BPは分子量が約2000〜約20000、例えば約3000〜12000のような、約1000〜約40000の間のpEGへ抱合できる。
別の典型的な側面において、本発明は、放射性核種、酵素、酵素基質、補因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、磁気粒子、毒素、または他の薬物から選択される第二の分子に抱合されるL5G2BPを提供する。本発明の別の典型的な特長は、一つ以上の抗原断片、核酸(オリゴヌクレオチド)、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節剤、キレート剤、ホウ素化合物、光活性剤、色素などへ抱合されているL5G2BPである。これらおよび他の適切な薬剤は、本発明のL5G2BPに直接または間接的に連結できる。第二の薬剤を間接的に連結する一例は、スペーサー部分による連結である。これらのスペーサーは、順に、不溶性または可溶性のいずれかでありえ(例えば、Diener, et al., Science, 231:148, 1986参照)、標的部位でおよび/または特定の条件下でL5G2D3BPからの薬物放出を可能にするよう選択できる。L5G2BPへ連結できる治療剤のさらなる例には、レクチンおよび蛍光ペプチドが含まれる。
別の側面において、本発明は交差架橋されたL5G2BP誘導体を提供する。例えば、L5G2BP誘導体は二つ以上の抗体を架橋することによって産生でき、そのうちの少なくとも一つは(例えば、二重特異性抗体を作るために、同じタイプまたは異なるタイプの)γ2DIIIに対して特異的/選択的である。適切な連結剤には、適切なスペーサー(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)によって分離される二つの異なる反応性のある基を有するヘテロ二機能性またはホモ二機能性(例、ジスクシニミジルスベレート)である架橋剤が含まれる。このようなリンカーは、Pierce Chemical IIIから入手可能である。
L5G2D3BPも、ポリエチレングリコール(PEG)、メチル基若しくはエチル基、または炭水化物基などの任意の適切なタイプの化学基で抱合することができる。これらおよび他の適切な抱合された基は、例えば血清半減期、溶解度および/または組織結合性を増加させるためにL5G2D3BPの生物学的特徴を改善するために使用され得る。
L5G2D3BP誘導体は放射性同位体、タンパク質、または他の薬剤/部分/化合物を、例えば(a)L5G2D3BPまたはそのサブユニット(例えば、抗γ2DIII抗体重鎖、軽鎖、またはその抗γ2DIII特異的/選択的断片)のN末側鎖若しくはC末側鎖、(b)適切な置換基若しくは側鎖、または(c)L5G2D3BPと会合した糖鎖(例、地人書館により刊行されたANTIBODY ENGINEERING HANDBOOK, edited by Osamu Kanemitsu へ化学的に抱合されることによって調製できる。誘導体はまた、適切で入手可能な内部残基または糖での抱合によって産生することができる。
ある側面において、誘導体化剤は低分子化合物である。例には、アルキル化剤(例、ナイトロジェンマスタード、シクロホスファミド)、代謝拮抗剤(例、5−フルオロウラシル、メトトレキセート)、植物アルカロイド(例、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン)、ホルモン剤(例、タモキシフェン、デキサメタゾン)などの抗癌剤が含まれる(例えば、癌と化学療法社により刊行された臨床腫瘍学(日本臨床腫瘍学会編、1996)参照)。
本明細書の誘導体の記述は主に抗体(および程度は落ちるが、抗体断片)に焦点を当てているが、これらの原理はまた本発明の他のL5G2BP(例えば、L5G2D3BP抗体模倣物、タンパク質、および非抗体性L5G2D3BP由来のγ2DIII結合配列を含む融合タンパク質等)へ適用されてもよいことが認識されるであろう。従って、これらのタイプのL5G2BPの誘導体も本発明の特長である。
本発明のこれらの側面をよりよく示すため、誘導体のタイプの具体例が本明細書でさらに詳細に論議される。
ある側面において、一つ以上の放射性標識されたアミノ酸を含むL5G2BP誘導体が提供される。放射性標識されたL5G2D3BPは、例えば診断上および治療上の両者の目的のために使用されてもよい(別の放射性標識された分子への抱合は別の可能な特長である)。ペプチドへの抱合および/またはアミノ酸残基における組み込みのための標識の非限定例には、H、14C、15N、35S、90Y、99Tcおよび125I、131I、および186Reが含まれるが、それらには制限されない。放射性標識されたアミノ酸および関連ペプチド誘導体を調製するための方法は本分野において公知である(例えば、Junghans et al. in CANCER CHEMOTHERAPY AND BIOTHERAPY 655-686 (2d edition, Chafner and Longo, eds., Lippincott Raven (1996);米国特許4681581、4735210、5101827、5102990(米国再特許35500)、5648471、および5697902参照)。例えば、放射性同位体はクロラミンT法により抱合できる。
診断において有利な放射性核種には、典型的にはインジウム同位体が含まれ、治療適用において有利な放射性核種には、典型的に、通常細胞毒性のあるイットリウム同位体が含まれる。光子を放出する放射性同位体には、一般的には、診断方法(例、放射性免疫シンチグラフィー(RIS))において有利である。オージェ電子は長さの非常に短い経路(約5〜10nm)を有し、通常、細胞毒性であるためには内在化される必要がある(例えば、Adelstein, et al., Nucl. Med. Biol. 14:165-169(1987)参照)。従って、そのような同位体へ抱合されるペプチドは診断方法において有用でありうるが、一般に、内在化されるペプチドのみが、治療的場面でオージェ電子を放射する放射性同位体のために考慮されるべきである。α粒子は治療剤として効果があるよう細胞に対して近く(細胞直径の3〜4倍内)に存在する必要がある(Vriesendorp, et al., “Radioimmunoglobulin therapy,” in HIGH DOSE CANCER THERAPY, Armitage, et al. (eds). (Williams & Wilkins, Baltimore, Md. 1992)。オージェ電子およびα放射体の両者は高い選択性を有すると考えられうる。なぜならそれらの短い範囲の放射は、典型的には隣接する正常細胞を照射しないと思われるからである。従って、ある側面において、本発明は標的にされた細胞および/または組織(ヒト患者における癌細胞集団の侵襲性前線など)に対して高度に選択的な一つ以上の放射性核種分子へ抱合されおよび/またはそれを含むL5G2D3BPを提供する。
放射性金属である111Inおよび90Yはそれぞれ、純粋なγ放射体および純粋なβ放射体である。オージェ電子の最も普遍的に用いられる放射体であるヨウ素−125は半減期が約60日間であり、しばしば(脱ハロゲン化によって)インビボで免疫抱合体により放出される。臨床使用のために最も普遍的に考慮されるα放射体であるアスタチン−211およびビスマス−212は比較的短い半減期(それぞれ7.2時間および1.0時間)を有し、最初のα放射の後、免疫抱合体によって保持されなくてもよい放射性同位体へと崩壊する(例えば、Wilbur, Antibiot. Immunoconjug. Radiopharm. 4:85-97 (1991)参照)。診断適用のため、インジウム−111またはテクネチウム−99mで標識されたL5G2D3BPは有利に使用できる。これらの同位体はいずれも画像化のための適切なエネルギー範囲内で、つまり約100〜250keVでγ線を放射する。この範囲を下回るエネルギーは、典型的には、外部画像化デバイスへ達するのに十分には貫通していない。より高いエネルギーレベルは視準するのに難しく、乏しい解像度の診断画像を提供する。短い半減期の99Tcは、典型的には、その使用を、迅速な腫瘍の取り込みを伴う免疫抱合体へ制限する。
本発明の別の側面において、第一及び第二の放射性同位体で抱合された第一及び第二L5G2BPが提供される。別の面において、二つの放射性同位体で抱合された単一のL5G2BPが提供される。二つの別々の放射性同位体、例えば一つが画像化用で一つが治療用を用いる利点は外来患者の治療を容易にできることである。そのような方法では、診断に用いられる少量の放射能は、典型的には放射線ハザードを呈さないが、純粋なβ放射体のような治療用同位体により放射される放射線は、典型的には、標的される細胞の近くで殆ど吸収されるだろう。
放射性同位体はL5G2BPへ直接または間接的に結合できる。放射性同位体125I、131I、99Tc、186Reおよび188Reは、例えばアミノ酸機能基を通じて(抗体を含む)タンパク質に共有結合できる。放射性ヨウ素については、チロシン上で見られるフェノール基を通じて通常結合される。これを達成するには数多くの方法が存在し、例えばクロラミン−T(例えば、Greenwood, et al. Biochem J. 89: 114-123 (1963) and Iodogen (Salacinski, et al. Anal. Biochem. 117: 136-146 (1981)参照)およびヨードゲン(Salacinski, et al. Anal. Biochem. 117: 136-146 (1981))を含む方法がある。Tc同位体およびRe同位体はシステイン残基のスルフヒドリル基を通じて共有結合できる(例えば、Griffiths, et al. Cancer Res. 51: 4594-4602 (1991))。しかしながら、そのような組成物は診断目的に比較的よく適合しているかもしれない。身体はこれらの共有結合を破壊でき、その放射性同位体を循環器系へ放出できるからである。
細胞毒素へ連結されているL5G2BPは、本発明の別の有用な特長である。抗γ2DIII抗体のような、L5G2BPへ抱合でき、インビボ療法のために使用できる細胞毒性剤には、ダウノルビシン、メルカプトプリン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メトトレキセート、およびマイトマイシンCが含まれるが、それらには制限されない。細胞毒性剤はDNA、RNA、およびタンパク質合成を含む重大な細胞内プロセスを妨害できる。本分野において周知であるこれらのクラスの薬物の記述およびそれらの作用機序については、「Goodman, et al., GOODMAN AND GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, 8th Ed., Macmillan Publishing Co., 1990」を参照してほしい。抗体免疫毒素の調製に関連するさらなる技術は、例えば、Vitetta, Immunol. Today 14:252 (1993);米国特許5194594に提供される。シュードモナス菌体外毒素のような細胞毒性タンパク質もL5G2BPへ抱合または連結できる(そのようなタンパク質のいくつもの例はL5G2BP融合タンパク質に関して本明細書のほかの箇所に述べられている)。
L5G2BPへ抱合できる毒性分子のさらなる例には、ジフテリア毒素(例えば、ジフテリアA鎖およびその活性断片)および関連分子(例えば、ハイブリッド分子)(例えば、米国特許4675382)、リシン毒素(例、脱グリコシル化したリシンA鎖毒素)(例えば、Vitetta et al., Science 238, 1098 (1987);米国特許4643895参照)、コレラ毒素、シガ様毒素(SLT−I、SLT−II、SLIIV)、LT毒素、C3毒素、シガ毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆ボーマン−バークプロテアーゼ抑制剤、シュードモナス菌体外毒素、アロリン、サポリン、モデッシン、ゲラニン、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAII、およびPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシンクルシン、クロチン、サボンゾウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシンおよびエノマイシン毒素が含まれる。モノクローナル抗体およびこのような毒性部分の抱合体はさまざまな二機能性タンパク質連結剤を用いて調製できる。このような試薬の例には、SPDP、IT、ジメチルアジピイミデート塩酸のようなイミドエステルの二機能性誘導体、ジスクシニミジルスベレートのような活性エステル、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンのようなビスアジド化合物、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンのようなビスジアゾニウム誘導体、トリレン2,6−ジイソシアネートのようなジイソシアネート、および1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンのようなビス活性フッ素化合物がある。毒素の溶解部分は、典型的には、抗体または抗体断片のFab断片/部分へ容易に接合されてもよい。他の適切な抱合された分子には、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNaseI、ブドウ球菌性エンテロトキシン−A、ヨウシュヤマゴボウ抗ウィルス性タンパク質、ジフテリン毒素、およびシュードモナス菌体外毒素が含まれる。例えば、「Pastan et al., Cell 47:641 (1986), and Goldenberg, Calif.--A Cancer Journal for Clinicians 44:43 (1994)」を参照してほしい。本発明における使用に適したさらなる毒素は公知である(例えば、米国特許6077499参照)。
ある側面において、本発明は混合された毒素へ抱合されるL5G2BPを提供する。混合された毒素分子は二つの異なる(典型的にはポリペプチド)毒素に由来する分子である。一般に、ペプチド毒素は、一般化された真核細胞結合の原因となる一つ以上のドメイン、少なくとも一つの酵素上活性のあるドメイン、少なくとも一つの転位性ドメインを含む。結合ドメインおよび転位性ドメインは細胞認識および毒素侵入にそれぞれ必要とされる。転位性ドメインを有することが知られている天然に存在するタンパク質には、ジフテリア毒素、シュードモナス菌体外毒素A、および場合により他のペプチド毒素がある。ジフテリア毒素およびシュードモナス菌体外毒素Aの転位性ドメインは十分特徴づけられており(例えば、Hoch et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:1692, 1985; Colombatti et al., J. Biol. Chem. 261:3030, 1986; and Deleers et al., FEBS Lett. 160:82, 1983参照)、他の分子におけるそのようなドメインの存在と位置は、「Hwang et al. (Cell 48:129, 1987); and Gray et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:2645, 1984)」によって利用されているような方法によって決定されてもよい。これらの技術の点で、有用な混合された毒素ハイブリッド分子が、例えば大腸菌シガ様毒素の酵素上活性のあるAサブユニット(Calderwood et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4364, 1987)をジフテリア毒素の転位性ドメイン(アミノ酸残基202〜460番目)へ、および米国特許5906820に記載されているような特定の細胞タイプを標的にする分子へ融合することによって形成できる。3部分ハイブリッドの標的誘導部分は、標的にされた細胞へ分子を特異的に結合させることができ、ジフテリア毒素転位部分はシガ様毒素の酵素上活性のあるAサブユニットを、標的にされた細胞へと挿入するよう作用できる。ジフテリア毒素のようなシガ様毒素の酵素上活性のある部分は細胞のタンパク質合成装置に作用して、タンパク質合成を妨げ、従って標的にされた細胞を殺す。
さらに有用な抱合体置換基には、抗癌性レチノイド、タキサン抱合体(例えば、Jaime et al., Anticancer Res. 2001 Mar-Apr;21(2A):1119-28)参照)、シスプラチン抱合体、タプシガルジン抱合体、リノール酸抱合体、カリケアマイシン抱合体(例えば、Damle et al., Curr Opin Pharmacol. 2003 Aug;3(4):386-90参照)、ドキソルビシン抱合体、ゲルダナマイシン抱合体などが含まれ、癌の治療を促進する上でも有用であるかもしれない(一般には、Trail et al., Cancer Immunol Immunother. 2003 May;52(5):328-37参照)。
別の側面において、L5G2BPは腫瘍標的誘導ドメインペプチドまたは分子へ抱合される。ある例において、L5G2BPは腫瘍標的誘導因子VII配列へ抱合される。
別の側面において、本発明は一つ以上の検出促進剤(つまり検出剤、タグ又は標識部分)へ抱合されるか、さもなくば安定して会合されるL5G2BPを提供する。L5G2BPが誘導体化されてもよい有用な検出剤には、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−塩化ナフタレンスルホニル、ランタニドリン光体などの蛍光化合物が含まれる。適切な蛍光標識のさらなる例には、125Eu標識、イソチオシアネート標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、o−フタルデヒド標識、フルオレサミン標識、等が含まれる。化学発光標識の例にはルミナル標識、イソルミナル標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、エクオリン標識等が含まれる。
L5G2BPは、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼなど、検出に有用な酵素または酵素基質でも標識できる。L5G2BPはまたビオチンで標識され、従ってアビジンまたはストレプトアビジンの結合の間接的な測定を通じて検出される。L5G2BPはまた、二次リポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ等)によって認識される所定のポリペプチドエピトープで標識されてもよい。酵素抱合体の候補のさらなる例には、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌性ヌクレアーゼ、δ−V−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α−グリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース6リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
さらなる典型的な標識部分には一般に、診断価値のあるスピン標識された分子および他の標識部分(例えば、MRI診断における造影剤として作用する分子)があるが、それらには限定されない。
別の側面において、本発明は、免疫調節するサイトカイン、幹細胞成長因子、リンフォトキシン(例えば、TNFαのようなTNF)または造血因子のような免疫調節剤へ抱合されるl5G2BPを提供する。抱合体として有用であり得るこのような分子の例には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、およびIL−21、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えば、IFNα、IFNβ、およびIFNγ)、「S1因子」と表記される幹細胞成長因子、エリスロポエチン、およびトロンボポエチン、その活性断片、その誘導体、その変異形、またはそのいずれか組み合わせがある。免疫調節剤の例(例えば、さまざまなサイトカイン、T細胞活性調節剤、NK細胞活性調節剤、等)は、本明細書の他の箇所に述べられている。
別の側面において、L5G2BP誘導体は抱合された核酸または核酸会合分子を含む。典型的には、そのような誘導体は抗体、抗体断片、抗体模倣物、またはγ2会合細胞(例えば、γ2またはγ2会合ペプチドを活発に分泌する)により内部移行できる他のタイプのL5G2BPと会合している。本発明のあるそのような面において、抱合された核酸は細胞毒性リボヌクレアーゼである。別の面において、抱合された核酸はアンチセンス核酸である(例、本発明の組み合わせ組成物または組み合わせ投与方法における独立した要素でもありうるS100A10により標的にされたアンチセンス分子―例えば、Zhangほか、J. Biol. Chem. 2004, 1月16日号 279(3) 2053-2062参照)。別の面において、抱合された核酸は抑制性RNA分子(例、siRNA分子)である。別の面において、抱合された核酸は免疫刺激性核酸(例、免疫刺激性CpGモチーフ含有DNA分子)である。別の側面において、抱合された核酸は、腫瘍抑制因子遺伝子、抗癌性ワクチン、抗癌性サイトカイン、またはアポトーシス剤の発現についてコード化する発現カセットである。そのような誘導体はまた、一つ以上の細胞毒性タンパク質の発現をコード化する核酸の抱合を含んでもよい。
従って、ある典型的な側面において、L5G2D3BPまたは関連化合物/分子(例、L5G2D3BPコード化核酸、L5G2D3BP関連抗原性ペプチド、等)は機能的核酸分子と抱合されるか、又はさもなくば会合される。機能的核酸分子には、アンチセンス分子、干渉性核酸分子(例、siRNA分子)、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成性分子、および外部誘導配列がある。機能的核酸分子は、標的分子の有する特異的活性の作動体、阻害剤、修飾剤、および刺激剤として作用できるかまたは、機能的核酸分子は任意の他の分子とは独立した新規の(de novo)活性を有することができる。
あるそのような側面において、L5G2D3BPまたは関連分子はアンチセンス核酸へ抱合され、その例にはLn−5γ2、Ln−5相互作用インテグリン、β−カテニン、または他の関連する標的に対して標的誘導されるアンチセンス核酸がある。アンチセンス分子のデザインおよび使用の助けとなる方法および技術の代表的なサンプルは、以下の米国特許の非限定リストにおいて見出されうる。即ち、5135917、5294533、5627158、5641754、5691317、5780607、5786138、5849903、5856103、5919772、5955590、5990088、5994320、5998602、6005095、6007995、6013522、6017898、6018042、6025198、6033910、6040296、6046004、6046319、および6057437である。
別のそのような側面において、L5G2D3BPまたは関連分子はアプタマーへ抱合される。アプタマーは標的分子と好ましくは特異的な方法で相互作用する分子である。典型的にアプタマーは長さ15〜50塩基の範囲の小さな核酸であり、ステムループまたはGカルテットのような形状が規定された二次構造および三次構造へと折りたたむ。アプタマーはATP(米国特許5631146)およびテオフィリン(米国特許5580737)のような小分子を、逆転写酵素(米国特許5786462)およびトロンビン(米国特許5543293)のような大きな分子と同様に結合できる。さまざまな異なる標的分子を結合するアプタマーをどのように作って使用するかに関する代表的な例は、米国特許の以下の非限定リストにおいて見出されうる。即ち、5,476,766、5,503,978、5,631,146、5,731,424、5,780,228、5,792,613、5,795,721、5,846,713、5,858,660、5,861,254、5,864,026、5,869,641、5,958,691、6,001,988、6,011,020、6,013,443、6,020,130、6,028,186、6,030,776、及び6,051,698である。従って、L5G2D3BPはLn−5、Ln−5会合分子、前新生物性および新生物性細胞(例、侵襲性癌腫細胞)と会合した基底膜の構成要素 または他の適切な標的へ結合するアプタマーへ抱合できる。
さらなる側面において、本発明はリボザイムへ抱合されるL5G2D3BPまたは関連分子(例、L5G2D3BPをコード化する核酸、L5G2D3BPに関連する抗原性ペプチド、またはそのような抗原性ペプチドをコード化する核酸)を提供する。リボザイムは分子内または分子間のいずれかで化学反応を触媒できる核酸分子である。リボザイムは従って触媒性核酸である。自然系に見られるリボザイムに基づいたヌクレアーゼまたは核酸ポリメラーゼ型の反応を触媒するリボザイムは多くの異なるタイプがある。例えば(a)ハンマーヘッド型リボザイム(例えば米国特許5,334,711、5,436,330、5,616,466、5,633,133、5,646,020、5,652,094、5,712,384、5,770,715、5,856,463、5,861,288、5,891,683、5,891,684、5,985,621、5,989,908、5,998,193及び5,998,203;国際特許出願WO9858058、WO9858057、およびWO9718312に述べられている)、(b)ヘアピン型リボザイム(例えば米国特許5631115、5646031、5683902、5712384、5856188、5866701、5869339、および6022962に述べられている)、および(c)テトラヒメナ型リボザイム(例えば米国特許5595873および5652107に述べられている)である。自然系には見られないが新規に(de novo)特異的反応を触媒するよう改変された多くのリボザイムがある(その例は例えば米国特許5580967、5688670、5807718、および5910408に述べられている)。リボザイムは典型的にRNA基質またはDNA基質を開裂し、より普遍的にはRNA基質を開裂する。リボザイムは、標的基質をその後の開裂により認識及び結合することを通じて、核酸基質を典型的には開裂する。この認識はしばしば、主に基準の(canonical)または非基準の塩基対相互作用に基づいている。この特性により、リボザイムは核酸の標的特異的開裂のための特によい候補となる。なぜなら、標的基質の認識が標的基質配列に基づいているからである。さまざまな異なる反応を触媒するためにリボザイムを作製し、使用する方法の代表的な例は米国特許の以下の非限定リストにおいて見出される。即ち、5,646,042、5,693,535、5,731,295、5,811,300、5,837,855、5,869,253、5,877,021、5,877,022、5,972,699、5,972,704、5,989,906及び6,017,756である。L5G2BPは任意の適切な基質を標的にするリボザイムへ抱合できる。
さらなる面において、本発明は三重鎖形成性機能核酸へ抱合されるL5G2BPまたは関連分子を提供する。そのような核酸分子は二本鎖核酸または一本鎖核酸のいずれかと相互作用できる。三重鎖分子が標的領域と相互作用するとき、三重鎖と呼ばれる構造が形成され、その中でDNAの三本鎖はワトソン−クリックおよびフーグスティーン(Hoogsteen)塩基対の両者に基づいて複合体を形成する。三重鎖分子は高い親和性および特異性を有する標的領域を結合できる。さまざまな異なる標的分子を結合するために三重鎖形成分子を作製及び使用する方法に関する代表的な例は、米国特許の以下の非限定リストに見出されうる。即ち、5176996、5645985、5650316、5683874、5693773、5834185、5869246、5874566、および5962426である。
別の側面において、L5G2D3BPまたは関連分子は外部誘導配列へ抱合される。外部誘導配列(EGS)はRNasePにより認識される複合体を形成する標的核酸分子を結合する分子であり、RNasePは標的分子を開裂する。EGSは一般に好まれるRNA分子を特異的に標的にするようデザインできる。RNasePは細胞内で転移RNA(tRNA)をプロセッシングするのを助ける。バクテリアRNAsePは標的RNA:EGS複合体を天然のtRNA基質へ模倣させるEGSを用いることによって、任意のRNAを実質的に開裂するのに動員できる(論議については例えばWO92/03566;Forster and Altman, Science, 238, 407-409(1990)参照)。さまざまな異なる標的分子の開裂を促進するためにEGS分子を作製及び使用する方法に関する代表的な例は、米国特許の以下の非限定リストにおいて提供される。即ち、米国特許第5,168,053号、第5,624,824号、第5,683,873号、第5,728,521、第5,869,248号、および第5,877,162号である。
本発明の別の特長はsiRNAまたは他のRNAi分子(例、約20〜25個のヌクレオチドの阻害的二本鎖(ds)RNA分子)のような干渉性核酸分子へ抱合されるL5G2D3BPであり、前記干渉性核酸分子はLn−5と関連した癌の進行に含まれる遺伝子発現産物のような標的遺伝子発現産物の作用を妨害するように標的誘導される。干渉性核酸分子の産生および使用のための方法は、例えば、「Nishikura, Cell. 2001 Nov 16;107(4):415-8; Fjose et al., Biotechnol Annu Rev. 2001;7:31-57; Hanon, Nature. 2002 Jul 11;418(6894):244-51; Brantl, Biochim Biophys Acta. 2002 May 3;1575(1-3):15-25; Tuschl, Chembiochem. 2001 Apr 2;2(4):239-45; Caplen, Expert Opin Biol Ther. 2003 Jul;3(4):575-86; Lu et al., Curr Opin Mol Ther. 2003 Jun;5(3):225-34; Shuey et al., Drug Discov Today. 2002 Oct 15;7(20):1040-6; Shi, Trends Genet. 2003 Jan;19(1):9-12; Kovar et al., Semin Cancer Biol. 2003 Aug;13(4):275-81; Lavrey et al., Curr Opin Drug Discov Devel. 2003 Jul;6(4):561-9; Clewey, Commun Dis Public Health. 2003 Jun;6(2):162-3; Duxbury et al., J Surg Res. 2004 Apr;117(2):339-44; Caplen et al., Ann N Y Acad Sci. 2003 Dec;1002:56-62;国際特許出願WO01/75164;米国特許第6,506,559号;米国特許出願第20040086884号、第20040077574号、第20040063654号、第20040033
602号、第20030167490号、第20030157030号、第20030114409号、第20030108923号、第20040014113号、および第20020132788に提供される。
機能的核酸の場合、典型的には、L5G2BPはその核酸を標的細胞の内部へ、既知の標準的な技術によって送達するように改変されてもよく、L5G2BPは細胞取り込みのために選択されてもよいか、または細胞により正常に取り込まれる関連分子が機能的核酸を、その活性が望まれる細胞内部へ送達するために使用できる。
L5G2BPまたは関連分子を上述のような抱合される分子(置換体または誘導体化剤)へ抱合するための本分野において公知の任意の方法が採用されてもよく、それには「Hunter, et al., Nature 144:945 (1962); David, et al., Biochemistry 13:1014 (1974); Pain, et al., J. Immunol. Meth. 40:219 (1981); and Nygren, J. Histochem. and Cytochem. 30:407 (1982)」によって記載されている方法を含む。結合/抱合は任意の適切な方法で達成できる。例えば、共有結合はジスルフィド結合の形をとってもよい(もし必要かつ適切なら、L5G2D3BPは余分のシステインコドンを含むよう遺伝子工学的に作り変えられるであろう。システインコドンは当該分子のγ2DIII結合活性を望ましくは妨げない)。修飾されたL5G2BPまたは修飾されていないL5G2BPのシステインと反応するスルフヒドリル基で誘導体化する毒素分子はそのようなL5G2BPペプチドと免疫抱合体を形成できる。あるいは、スルフヒドリル基は固相ポリペプチド技術を用いてL5G2BPへ直接導入できる。例えば、スルフヒドリル基のペプチドへの導入はHiskey(Peptides 3:137, 1981)によって記載されている。スルフヒドリル基のタンパク質への導入は、例えば、「Maasen et al. Eur. J. Biochem. 134:32, (1983)」に記載されている。一度正しいスルフヒドリル基が存在すると、細胞毒素およびL5G2D3BPは精製でき、両者の硫黄基が還元され、細胞毒素とリガンドが(例えば、約1:5〜1:20の比で)混合され、適切な温度(例、室温)でジスルフィド結合形成が進行して完了する(一般には、約20〜30分)。混合物は次にリン酸緩衝生理的食塩水に対して透析できるか、またはSephadexのような樹脂においてクロマトグラフィー精製して、反応していないリガンドおよび毒素分子を除去する。
さまざまなタイプの細胞毒性化合物および他の誘導体化剤が、細胞毒性化合物上の反応基の使用を通じて、または架橋剤の使用を通じて、タンパク質へ結合できる。インビボでアミンと安定した共有結合を形成するであろう共通の反応基はイソチオシアネートである(Means, et al. Chemical Modifications of Proteins (Holden-Day, San Francisco 1971) pp. 105-110)。この基はリジンのε−アミン基と優先的に反応する。マレイミドはシステイン上のスルフヒドリル基と生体内で安定した共有結合を形成する普遍的に用いられる反応基である(Ji, Methods Enzymol 91: 580-609 (1983))。モノクローナル抗体は、典型的には、放射性金属イオンと共有結合を形成できないが、もし必要なら、抗体へ共有結合されるキレート剤の使用を通じて間接的に抗体へ結合できる。キレート剤は(アミノ酸残基のおよび炭水化物基も通じて)アミン(Meares, et al., Anal. Biochem. 142:68-78 (1984))およびスルフヒドリル基(Koyama Chem. Abstr. 120:217262t (1994))を通じて結合できる(Rodwell, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 83:2632-2636 (1986); Quadri, et al., Nucl. Med. Biol. 20:559-570 (1993))。これらのキレート剤は2つのタイプの官能基を含んでおり、一つは金属イオンを結合し、もう一つはキレート剤を抗体へ結合するため、それらは二官能性キレート剤と一般に呼ばれる(Sundberg, et al., Nature 250:587-588 (1974))。
二つの反応性官能基を有する架橋剤はホモ二機能性またはヘテロ二官能性と分類される。ホモ二官能性架橋剤の例には、ビスマレイミドヘキサン(BMH)があり、それはスルフヒドリル基(Chenほか, J. Biol. Chem.266、 18237-18243(1991))および、アミノ基と反応するエチレングリコールビス[スクシニミジルスクシエート](EGS)(Browning et al., J. Immunol. 143, 1859-1867(1989))と反応する。ヘテロ二官能性架橋剤の例は、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシニミドエステル(MBS)である(Myers et al., J. Immunol. Meth. 121, 129-142(1989))。
治療剤または診断剤も、さらに又は代替的に、ジスルフィド結合形成を介して還元された抗体成分の蝶番領域で結合できる。代替例として、そのようなペプチドはN−スクシニル3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)のようなヘテロ二官能性架橋剤を用いて抗体成分へ結合できる(Yu et al., Int. J. Cancer, 56, 244(1994))。そのような抱合のための一般的な技術は本分野において周知である。例えばWong、Chemistry Of Protein Conjugation And Cross-Linking(CRC Press、1991);Upeslacisほか、「Modification of Antibodies by Chemical Methods」、Birchほか編、Principles And Applications(Wiley-Liss社、1995)(その全体が組み込まれている本文); Price、「Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」、Ritterほか編、Monoclonal Antibodies:Production,Engineering And Clinical Application(Cambridge University Press、1995)(その全体に組み込まれている本文)を参照してほしい。
いくつかの側面において、標識または他の抱合された置換体はL5G2D3BPアミノ酸配列へ、さまざまな長さのスペーサーアームによって結合され、潜在的な立体障害を減らす。
抗γ2DIIImAbへ結合する抗体のヒト免疫グロブリン定常領域に特異的な抗体など、標識されていないL5G2BPはL5G2BPと反応する他の標識された抗体(二次抗体)と組み合わせて使用できる。あるいは、L5G2BPは誘導体との抱合により直接標識できる。誘導体に関する前述の論議によって示されるように、幅広い種類の標識がL5G2BPの直接的または間接的な標識に採用されてもよく、その例には放射性核種、蛍光、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、リガンド(特にハプテン)等がある。
抱合されたL5G2BPおよび、本明細書に記載されている本発明の方法におけるそのような分子の使用は、「むき出しの」分子およびその使用とは識別できる本発明の側面を呈する。従って、例えば、例示的な一側面において、本発明は癌の進行を低下させる必要のあるヒト患者において、効果的な量の抱合されたL5G2BPをその患者へ送達することを含む方法によって、癌の進行を低下させる方法を提供する。対照的に、本発明の別の特長は、患者における癌の進行に関する「むき出しの」L5G2BPの低下に関し、患者における癌の進行が低下するように、有効量の抱合されていないL5G2BPを患者に送達することが含まれる。
L5G2BPには、明示的に上記されている抗体、抗体断片、および抗体様分子に加えて多くのタイプの分子がある。ある側面において、本発明は新たな非抗体性L5G2BPを提供する。別の側面において、既知のγ2DIII結合タンパク質を含む非抗体性L5G2BPは本明細書に提供されるさまざまな本発明の方法において使用できる。ある典型的な側面において、本発明は本明細書に記載されているγ2ADRの一つ以上を特異的に結合する高親和性のペプチド結合足場に基づいたペプチドのような抗体模倣物を提供する。別の側面において、本発明は本明細書に記載されているさまざまな本発明の方法の実施における、および/またはγ2と関連する病状(例、癌性または前癌性の病状)を治療するための医薬の調製のためのそのような分子の使用における、そのような模倣物または他の非抗体性L5G2BPの使用に関する。本発明のこの面をさらに示すため、さまざまなタイプの非抗体性L5G2BPが本明細書に記載されている。
ある側面において、本発明はDIIIまたはDIII近くのγ2の一部(例、蝶番領域)を特異的に結合するアフィボディー(affibody、affybody)を提供する。アフィボディーは小さく非常に特異的で強い親和性のあるタンパク質のクラスであり、所望の標的タンパク質を結合するようデザインされる(例、米国特許第5,831,012参照)。アフィボディーは典型的に、Aタンパク質のIgG結合ドメインの一つの足場に基づいた3つの螺旋の束から構成される単純なタンパク質として特徴付けられる。Aタンパク質は黄色ブドウ球菌由来の周知の表面タンパク質である。この足場は親和性リガンドとしての優れた特長を有し、任意の標的タンパク質へも高い親和性で結合するようデザインできる。ドメインは58個のアミノ酸からなる。そのうちの13個は多数のリガンド変異形を有するアフィボディーライブラリを生じるよう無作為化される。そのようなライブラリは同一の主鎖および可変表面結合特性を有する多数のタンパク質リガンドからなることができる。現在のライブラリ(例えば、Affibody(R)(Teknikringen 30、floor6、Box700 04、Stockholm SE-10044、Sweden)を通じて入手可能である)、は何十億もの変異形を含有する。
アフィボディーは、例えば抗体と比べて、pHおよび温度の上昇を含む広い範囲の物理的条件に典型的に耐えることのできる点で「頑強である」ことを特徴とする。典型的には、約150kDaである分子量の抗体と比べ、アフィボディーは、典型的には、分子量約6kDaを有する。
機能においてアフィボディー分子は抗体を模倣する。これらの分子のサイズは小さいにもかかわらず、アフィボディー分子の結合部位は抗体の結合部位と非常に類似していることが示されている。アフィボディーはバクテリアの中で、および化学合成(例、コンビナトリアルタンパク質工学)によって有利に産生できる。それらはまた多量体構築物を形成するよう効果的に連結できる。アフィボディーはさらに、他の分子へ抱合して誘導体を形成でき、融合して融合タンパク質を形成できる。
アフィボディーの特性は、例えば、タンパク質ベースの薬剤の調製のためのタンパク質の産業的分離、および薬剤標的の候補の同定/確認など、多くの生物工学的および治療上の適用に適している。
アフィボディーは「遺伝子工学的に作り変えられ」望ましい特性(例、高い特異性および親和性―典型的にはナノモル濃度レベルの親和性)を有することができる。特異的なアフィボディーは、従って、典型的には、幅広い分子のうち、その標的のみに結合する。小さなサイズ(僅か約60個のアミノ酸)、高い可溶性、多機能性コンストラクトへのさらなる改変の簡便さ、優れた折りたたみ、システインの欠如、および安定した足場は、低コストのバクテリア発現系を用いて多量に産生でき、アフィボディーを強力な捕捉分子にする。
アフィボディーは診断剤および受容体/リガンド遮断剤として有用でありうる。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)ベースの検出のために標識されたアフィボディーに基づいたシステムは、例えばタンパク質「チップ」フォーマットにおける適用のために、標識されていない標的分子の定量的な測定を可能にするよう開発されてきた。いわゆる抗イディオタイプのアフィボディーも開発され、分子微小構造の構築を可能にする人工タンパク質の自己重合型ネットワーク(SNAP; Self-assembled networks of Artificial Proteins)を作るために採用されている。アフィボディーライブラリに対する選択システムもグラム陽性菌、ミクロビーズのFACS選別及びタンパク質接触アッセイの両者に基づいて開発されてきた。典型的には、アフィボディーは興味の対象の標的タンパク質(例、DIIIまたはそれを含むペプチドの一部)のセグメントを発現するファージディスプレイライブラリから選択される。
ある側面において、本発明は本明細書に記載されているγ2ADRの任意の一つにそれぞれ特異的なアフィボディーを提供する。別の側面において、本発明は本明細書に記載されているγ2ADRのうちの一つへ結合するアフィボディーを調製する方法を提供する。さらなる側面において、本発明は患者における癌性または前癌性の病状を治療するための医薬の調製における、本明細書に記載されているγ2ADRに特異的なアフィボディーの使用に関する。
アフィボディー(そのような分子に対する典型的なさらなる修飾を含む)のデザイン(例えば、創生)、調製及び使用に関する方法および原理は、例えば、Graeslund et al., J. Biotechnol. 99, 41; Nygren et al., Curr Opin Struct Biol 7, 463-469 (1997); Nord et al., Nature Biotechnol 15, 772-777 (1997); Nord et al., Protein Eng 8, 601-608 (1995); Hogbom et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 3191-3196; Wahlberg et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 3185-3190; Roennmark et al., J. Immunol. Meth. 261, 199-211; Ronnmark et al., J. Immunol. Meth. 281, 149-160; Karlstrom, et al., J. Anal. Biochem. 295, 22-30; Nord et al., J. Biotechnol. 80, 45-54; Eklund et al., Proteins 48, 454-462 (2002); Gunneriusson et al., Protein Eng 12, 873-878 (1999); Wikman et al., Protein Engineering, Design & Selection (advance access published June 18, 2004); Sandstrom et al., Protein Engineering vol. 16 no. 9 pp. 691-697, 2003; Hoegbom et al., Curr. Opin. Biotechnol., 15(4):364-373 (2004); および米国特許第6,740,734号において見いだされる。
さらなる側面において、本発明はフィブロネクチンの足場に基づいたγ2結合トリネクチン、モノボディー(monobody)または他の結合タンパク質を提供する。
ある側面において、本発明は本明細書に記載されているγ2ADRの一つ以上へ特異的に結合するトリネクチンを提供する。別の側面において、本明細書に記載されている本発明の方法(例、γ2の関連する生理学的活性の調節、γ2の関連する癌の進行の低下、等)はそのようなトリネクチンの有効量を対象(例えば、ヒト宿主)へ(おそらく、とりわけ)送達することで実行される。さらなる側面において、本発明は、癌性または前癌性の病状の治療のための医薬の調製における有効量のそのようなトリネクチンの使用に関する。
トリネクチンはフィブロネクチンのドメイン(10番目のフィブロネクチンIII型ドメイン)に基づいたタンパク質結合の足場を含む。これらのタンパク質は、天然に存在するヒトの循環タンパク質に由来するので、これらのタンパク質がなければ治療上の有用性を妨害すると思われる免疫反応は最小化されると予測される。さらに、(抗体と比べ)低分子量でコンパクトな分子の構造は、標的抗原結合を高め得る非常に安定な構造を生じる。トリネクチンは、例えば、Xu et al., Chem. Biol. 9:933, 2002;国際特許出願WO02/32925において述べられている。そのような分子はCompound Therapeutics社(米国マサチューセッツ州ウォールサム市)によって現在所有されているPhylos社(米国)から商業上入手可能である。
さらなる側面において、本発明は本明細書に具体的に記載されているγ2ADRの一つ以上へ特異的に結合するフィブロネクチンIII型ドメイン(Fn3)モノボディーを提供する。関連した面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、このようなモノボディーを用いて(おそらく、とりわけ)実施される。本発明の別の関連した特長は、癌性または前癌性の病状のようなγ2関連の病気を治療する医薬の製造のためのそのようなFn3モノボディーの使用において提供される。Fn3モノボディーの例は、各Fn3β鎖ドメイン配列の間で連結されるループ領域配列を有する少なくとも2つのFn3β鎖ドメイン配列を含むポリペプチドにおいて具現化される。特定の側面において、Fn3モノボディーループ領域は関連した野生型Fn3構造から一つ以上の方法で変化する。そのようなモノボディーおよび関連した原理、組成物、および方法の例は、例えば米国特許6,673,901号、第6,703,199号、および第6,462,189号;Koide et al., (1998), J. Mol. Biol. 284, 1141-1151; Batori et al., Protein Eng. 2002 Dec;15(12):1015-20; Karatan et al., Chem Biol. 2004 Jun;11(6):835-44; and Koide et al., (2001) Biochemistry 40, 10326-10333に述べられている。
別の側面において本発明は、本明細書に記載されているγ2ADRの一つ以上へ結合するアンティカリンを提供する。本明細書に記載されているさまざまな本発明の方法(例、γ2に関連する生理学的活性の調節)もこのようなアンティカリン分子を用いて実施できる。別の面において、本発明はγ2関連疾病を治療する医薬の調製のためのこのようなアンティカリンの使用に関する。本発明はまた、このようなアンティカリン分子の作製、およびこのような処理によって産生されるアンティカリンにも関する。
アンティカリンはトリネクチンのように、特異的標的を結合するように改変できる(抗体と比べて)比較的小さなタンパク質である。アンティカリンはリポカリンタンパク質の足場に基づいている。アンティカリンは、典型的には、リポカリンファミリーのタンパク質をそれらの天然のリガンド結合ポケットにおけるアミノ酸置換によって、例えば遺伝子工学方法を用いて修飾することによって得られる。アンティカリンは、典型的には、僅か150〜190個のアミノ酸からなる小さな単量体タンパク質である。アンティカリンは小さな分子の非常に特異的な結合を示すことができ、充実体腫瘍のような組織をより効率的に貫通できる。アンティカリンは完全に試験管内処理によって作られるので、毒性または非免疫原性のいずれかである標的にアクセスできる。アンティカリンの薬理動態学的特性は化学的修飾によって簡単に調節できる。市場にあるモノクローナル抗体治療薬と比べ、アンティカリンは増強された局所的送達、肺への送達、または鼻への送達のような、さらに優れた送達オプションを提供し得る。アンティカリンは結合部位に衝撃を与えずに修飾できる二つの融合末端の候補を有し、このため、多重特異的アンティカリンおよび/または他の抱合体または、例えば免疫毒素のような融合タンパク質は簡単に調製できる。
アンティカリンタンパク質の構造の中央部分は8本の逆平行鎖のβバレル構造であり、これはその開放末端で4つのループを支える。これらのループはリポカリンの天然の結合部位を形成し、インビトロでアミノ酸置換およびその他の修飾によって再形成できるので、新規の結合特異性を作り出す。細菌ファージミドディスプレイおよびコロニースクリーニング技術を用いて、アンティカリンは無作為に生成された分子(典型的には、親和性が低ナノモル濃度域のKD値である分子)のライブラリから選択できる。アンティカリンは、それらの指定されたリガンドに対して高い親和性(例えば、低いナノモル濃度または約100ピコモル濃度域の場合さえある。)及び特異性並びに迅速な結合速度を有するため、それらの機能的特性は抗体のそれと同様である。しかしながら、アンティカリンは、遺伝子レベルで簡単に操作できる4つの高頻度可変性ループの単純な一セットを含む。アンティカリン、関連する原理、方法等は、例えば、Skerra, A. (2000) Biochim. Biophys. Acta 1482, 337-350; Beste et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 1898-1903; Schlehuber et al. (2000) J. Mol. Biol. 297, 1105-1120; Schlehuber et al. (2001) Biol. Chem. 382, 1335-1342; Skerra, A. (2001) Rev. Mol. Biotechnol. 74, 257-275; Skerra, J Biotechnol. 2001 Jun;74(4):257-75; Weiss et al., Chem Biol. 2000 Aug;7(8):R177-84; WO 99016873;及びEP1017814に、さらに記載されている。
さらなる適切な抗体模倣物は、一般に、本明細書に記載されている抗体および抗体断片についての代用剤として使用できる。このような抗体模倣物には、有利な特性が付随している場合がある(例えば、有利な特性は、水溶性、タンパク質分解に対する耐性及び非免疫原性であり得る。)。例えば、モノクローナル抗体の第二相補性決定領域(CDR)を模倣する合成したβループ構造を含むペプチドが、すでに提唱され、作製されている。例えば、「Saragovi et al., Science. 1991 Aug 16;253(5021): 792-5」を参照されたい。ペプチド抗体模倣物は、「活性のある」抗原認識残基を決定するためのペプチドマッピング、分子モデリング及び分子動態軌道分析を使用することによっても作製されており、それにより複数のCDRから抗原接触残基を含有するペプチド模倣物をデザインしてきた。例えば、「Cassett et al., Biochem Biophys Res Commun. 2003 Jul 18;307(1):198-205」を参照されたい。本発明において適用可能でありうる関連原理、方法等に関するさらなる論議は、例えば「Fassina, Immunomethods. 1994 Oct;5(2):121-9」に提供されている。
一般に、γ2またはγ2関連ペプチドと適切に結合し、会合した状態を保って、γ2活性を修飾しおよび/または他の分子によるγ2へのアクセスを遮断する任意のタンパク質も、本発明の方法に使用し得る。このような分子由来のアミノ酸配列も、本明細書に提供される他の様々なペプチド産生方法に従った新規のL5G2BPの作製において使用できる(例えば、このようなペプチドのγ2結合ドメインはL5G2BP融合タンパク質の形成において使用できる。)。公知のγ2−結合/相互作用タンパク質の例には、具体的には、α6β1インテグリン、α3β1インテグリン、α2β1インテグリン、α6β1インテグリン、ラミニン−6、ラミニン−7、EGF−R、VII型コラーゲン、フィブリン−1、フィブリン−2、RhoGTPase、BP180、シンデカン−4、ナイドジェン−1、リン酸化されたHSP−27、P300、サイトケラチン、およびその他のマトリクスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP−1、MMP−2、MMP−9及び膜型マトリクスメタロプロテアーゼ1(MT1)としても知られるMMP−14)、マトリクスメタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP−1)およびTIMP−2、E−カドヘリン、骨形成タンパク質−1(BMP−1)、並びに67kDaラミニン受容体が含まれる。
L5G2BP融合タンパク質は、本発明の別の典型的な特徴を現す。特に典型的な側面において、本発明は、γ2と関連した症状の治療のための医薬の調製における、このような融合タンパク質の使用に関する。別の側面において、このような融合タンパク質は、本明細書に記載されている本発明の様々な方法において使用できる。
L5G2BP融合タンパク質は、典型的には、(a)γ2に対して特異的および/または選択的な任意の適切な配列または配列の組み合わせ(例えば、抗γ2DIII抗体VHドメイン、VLドメイン、またはその特定のCDR、または非抗体性γ2結合ペプチド配列)、並びに(b)γ2特異的/選択的配列に対し単独では関与できない融合タンパク質に対して、検出可能な生物学的機能および/または物理化学的特性(例えば、非γ2結合標的の結合、生体内半減期の上昇、蛍光性、特定のタイプの細胞に対する標的化の上昇など)を与える、少なくとも一つの非相同性で、典型的には実質的に同様でないアミノ酸配列を含む。このような少なくとも一つの実質的に同様でない配列は、「二次配列」または「融合パートナー」と称することができる。実質的に同様でない配列は、典型的には、γ2DIII特異的/選択的配列に対する約35%未満、約30%未満、約25%未満又は約20%未満の同一性のように、γ2結合配列に対して約40%未満のアミノ酸配列同一性を有する。
融合タンパク質の機能的配列は、柔軟性のある一つまたは複数のリンカーとして典型的に特徴付けられ得る一以上のリンカーによって分離することができる。
二次配列は細胞毒性ペプチドまたはアポトーシス性ペプチドから誘導することができる(このような配列が誘導できるペプチドの例は、本明細書の他の箇所に記載されている。)。この点において、(すでに論じられている)本発明による様々な細胞毒性誘導体分子の提供と同様、本発明は、細胞毒性、アポトーシス性、またはその他の毒性の搭載をγ2−関連組織および細胞に対して標的化するための手段を提供する。
二次配列は、蛍光又は酵素検出などの診断特性も与えることができる。このような配列の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの簡単に可視化される酵素に由来するものが含まれる。本明細書の他の箇所で記載されている様々な酵素誘導体化剤も、L5G2BP融合タンパク質における適切な融合パートナーであり得る。
L5G2BP融合タンパク質は、さらに又はこれらに代えて、エピトープタグを含むことによって特徴付けられることができる。エピトープタグは、そのエピトープに対して抗体がL5G2BPに関して作られることのできるエピトープを提供するのに十分な残基を有するが、(エピトープタグのない「親」L5G2BPと比べ)L5G2BPの活性(選択性、特異性、親和性、および/または生物活性)を実質的に妨げないよう十分短い残基を有するアミノ酸配列である。エピトープタグは、望ましくは、抗エピトープタグ抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないように十分にユニークである。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも約6個のアミノ酸残基を有し、通常約8ないし50個のアミノ酸残基(例えば、約9ないし30残基)を有する。エピトープタグの例には、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Field et al. (1988), Mol. Cell. Biol. 8:2159-2165)、c−mycタグ並びにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体(Evan et al. (1985), Mol. Cell. Biol. 5(12):3610-3616)、並びに単純ヘルペスウィルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al. (1990), Protein Engineering 3(6):547-553 (1990))が含まれる。ある種の実施形態において、エピトープタグは「サルベージ受容体結合エピトープ」である。本明細書において使用される「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子の生体内血清半減期を増大させる原因であるIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgGまたはIgG)のFc領域のエピトープを指す。
別の側面において、生体内において免疫細胞活性(特に抗癌性免疫細胞活性)を誘導、促進、および/または亢進するサイトカインまたはサイトカイン断片などのサイトカインまたは生物学的に活性なその断片(またはそのバリアント若しくは誘導体のいずれか)に対応し、又は実質的にそれらからなる「融合パートナー」配列をL5G2BP融合タンパク質が提供される。このようなサイトカインの例には、インターロイキン2(IL−2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロンγ(IFNγ)、マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン12など(本発明の他の側面に関して本明細書の他の箇所に記載されている、さらなる免疫調節サイトカインを、これに加えて又はこれに代えて、融合タンパク質に組み込むことができる。)が含まれる。多くのサイトカインバリアントおよびサイトカイン誘導体は本分野ですでに記載されている。連結されたサイトカインまたは活性なサイトカイン断片ペプチドを含む、接合された誘導体L5G2BPは、本発明の別の特徴である。
別の典型的な側面において、本発明は、L5G2BP配列からなり、又はL5G2BP配列から実質的になるタンパク質と比べて、L5G2BP融合タンパク質の親和性および/または生成効率を高めることのできる適切なロイシンジッパー配列融合パートナーを含むL5G2PBを提供する。適切なロイシンジッパーは配列の候補には、「Kostelney et al. (1992), J. Immunol., 148: 1547-1553」によって教示されているjunロイシンジッパーおよびfosロイシンジッパー、並びにGCN4ロイシンジッパーが含まれる。サイトカイン融合タンパク質は、例えば、「Helguera et al., Clin Immunol. 2002 Dec; 105(3): 233-46 and Penichet et al., J Immunol Methods. 2001 Feb 1; 248(1-2): 91-101」に、さらに記載されている。
癌を阻害し、このような細胞を殺すことによって新生物発生前細胞の数を減少させるために、リシン、ジフテリア毒素、炭疽菌毒素(例えば、Frankel et al., Curr Protein Pept Sci. 2002 Aug;3(4):399-407参照)、好酸球由来神経毒素、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα)、セイヨウヤドリギ毒素(例えば、セイヨウヤドリギレクチンIA鎖)、アブリン、サポリン、シュードモナス菌外毒素など、またはそれらの細胞毒性断片、またはそれらのいずれかの組み合わせなどの毒素が、L5G2BP融合タンパク質に融合パートナーとして組み込まれることができる(一般には、例えば、Frankel et al., Clinical Cancer Research Vol. 6, 326-334 (2000); Frankel, Clinical Cancer Research Vol. 8, 942-944 (2002); Brinkman et al., Expert Opin Biol Ther. 2001 Jul;1(4):693-702; and Fitzgerald et al., Diagn. Ther. 7:447-62 (1992)を参照。)。アポトーシス作動剤は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL/APO−2L)、PML、アポプチンなどの適切な融合パートナーでもあり得る(例えば、Wajant, Apoptosis. 2002 Oct;7(5):449-59を参照;一般的な記載として、例えば、Thorbun et al., Apoptosis. 2004 Jan;9(1): 19-25も参照)。別の側面では、細胞毒性RNaseペプチド融合パートナーを使用することができる(例えば、腫瘍分解酵素またはリボヌクレアーゼAに基づいた融合パートナー)。融合パートナー配列は、細胞毒性ペプチドまたはアポトーシス性ペプチドから誘導することもでき(例えば、このような配列またはこのような配列の細胞毒性バリアントの細胞毒性断片等でありえる。)、このような配列が誘導できるペプチドの例は、(例えば、抗体接合体に関して)本明細書の他の箇所に記載されている。一般に、本明細書の他の箇所に記載されている任意のペプチド接合体を、抗体融合タンパク質または他のL5G2BP融合タンパク質における融合パートナーとして使用できる(その逆も同様である。)。
前述のことから、抗体融合タンパク質に有利に含まれることのできる多くの融合パートナー配列が存在することが明白である。融合パートナー配列は、例えば、蛍光検出または酵素検出を容易にすることなどを通じて、診断特性を与えることができる。このような配列の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの容易に可視化される酵素、および緑色蛍光色素タンパク質(GFP)配列などの蛍光性配列に由来するものが含まれる。L5G2BP蛍光体は、例えば本発明の別の側面である。蛍光体は、CDRの機能的セット(従って、フレームワークとして典型的に会合される残基/配列)を、強い蛍光信号を放射するGFP配列または他のパートナー上に移植することによって作られる分子である。
別の典型的な側面において、本発明は、環状腫瘍帰巣ペプチド、例えば環状CNGRCペプチドまたは二環式ACDCRGDCFCペプチド(例えば、Ellersby et al., Nature Med., 5(9):1032-1038 (1999)を参照)などの環式または多環式(例えば、二環式)パートナーを含むL5G2BP融合タンパク質または接合体(抗体および非抗体)を提供する。同様の環状帰巣ペプチドが公知である(例えば、Laakkonen, Nat Med. 2002 Jul;8(7):751-5を参照)。L5G2BP融合タンパク質(抗体および非抗体の両者)は、インテグリン結合RGDドメインなど、他の帰巣/標的化ドメインを含むこともできる。
さらなる側面において、本発明は、L5G2BPアドザイムを提供する。アドザイムは、治療標的に対して共同で作用する、結合ドメインと別個の酵素活性部位とを含むタンパク質である。タンパク質結合ドメインは疾病原因標的に付着し、酵素ドメインが標的の生物学的機能を破壊できるようにする。
融合タンパク質は、約5〜20個のアミノ酸残基の主にGlyおよび/またはSerの柔軟性のあるリンカーなど、任意の適切な数の任意の適切なタイプの(ドメイン間の)リンカーも含むことができ、これに加えて又はこれに代えて、エンテロキナーゼなどのプロテアーゼのための切断可能なリンカーまたは切断部位を含んでもよい。リンカー配列の挿入に関連した組み換え方法は周知である(例えば、Sambrook et al., loc. cit., Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)を参照。)。さらなる適切なリンカーは、オリゴマー化ドメインを含むことができる。
オリゴマー化/多量体化ドメインは、2個又は数個のアミノ酸配列の組み合わせを容易にすることができる。オリゴマー化ドメインの非限定的な例は、ロイシンジッパー(jun-fos、GCN4、E/EBPなど;Kostelny, J. Immunol. 148 (1992), 1547-1553; Zeng, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94 (1997), 3673-3678, Williams, Genes Dev. 5 (1991), 1553-1563; Suter, PHAGE DISPLAY OF PEPTIDES AND PROTEINS, Chapter 11, (1996), Academic Press)(その全体が本明細書に組み込まれる。)、定常ドメインCH1およびCL(Mueller, FEBS Letters 422 (1998), 259-264)などの抗体由来のオリゴマー化ドメイン、および/またはGCN4−L1(Zerangue, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97 (2000), 3591-3595)などの四量体化ドメインを含む。このような多量体化ドメインは、抗γ2抗体の構築にも使用できる。
抗体融合タンパク質/接合体の特殊化されたタイプであるスーパー抗体、および同様の特殊化された抗体融合タンパク質および抗体接合体は、本明細書の他の箇所で別に記載されている。
融合タンパク質は、任意の適切な方法(例えば、固相上または溶液中での直接的な化学合成)によって作製できる。例えば、抗γ2DIII抗体とあるタンパク質との融合は、抗体または抗体断片をコード化するcDNAを、前記タンパク質をコード化する他のcDNAに連結し、融合抗体をコード化するDNAを構築し、発現されて融合タンパク質を産生する原核細胞または真核細胞発現用の発現ベクター中に、該DNAを挿入することによって作られることができる。このような毒素がペプチドのアミノ酸配列に連結されている接合された誘導体L5G2BPも本発明の特徴である。本発明によって提供される抗体融合タンパク質および他の融合タンパク質の産生へ適用できる融合タンパク質の作製方法は周知である。このような方法と関連原理は、例えば、米国特許第5,457,035号; 第5,563,046号; 第5,668,225号; 第5,698,679号; 第5,763,733号; 第5,908,626号; 第5,969,109号; 第6,008,319号; 第6,117,656号; 第6,121,424号; 第6,132,992号; 第6,207,804号; 第6,224,870号;Borrebaeck et al., ANTIBODY ENGINEERING (2nd Ed., Oxford University Press 1995);WO93/10151; MOLECULAR CLONING (Cold Spring Harbor Press)(本明細書中の他の箇所で引用); Ashkenazi et al. (1991) PNAS 88, 10535; Byrn et al. (1990) Nature 344, 677; 及びHollenbaugh et al. (1992) “Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins,” in Current Protocols in Immunology, Suppl. 4, pp. 10.19.1 to 10.19.11.」に記載されている。
上述したように、本発明は、γ2結合に特異的な少なくとも一つの配列と少なくとも一つの二次標的に特異的な少なくとも一つの配列とを含み、さらなる生物学的および/または物理化学的特性を融合タンパク質へ与える一つ以上のさらなる非類似的配列を必要に応じて含む融合タンパク質である非抗体多重特異的L5G2BPも提供する。他のL5G2BPと同様、このような融合タンパク質は、同時にまたは異なる時点で、その二つの異なる標的を認識し、結合できる。好ましくは、この融合タンパク質は、他の多重特異的L5G2BPと同様に、同時に適切な条件下でその標的のいずれにも結合する。このようなL5G2BPの一例は、(a)一本鎖γ2結合HLA/MHCクラスI部分、(b)末端切断された癌関連受容体部分(例えば、機能的VEGF受容体として作用する配列)などの二次標的結合部分を含み、(c)融合タンパク質の精製を容易にする配列(例えば、エピトープタグまたはヘキサヒスチジン配列)、融合タンパク質の安定性を高める配列、または融合タンパク質の検出を容易にする配列(例えば、GFP配列)を必要に応じて含む融合タンパク質である。
L5G2BPは任意の適切な方法によって作製することが可能であり、それらを作製する方法については、一般に限定されない(例外は、特定のタイプの足場に基づいているトリネクチンなど、特定の技術に従って典型的に生成される分子であり得る。)。このため、例えば、別段の記載がなければ、又は反対を明記する記述がなければ、
本発明によって提供される抗体および抗体様分子は任意の適切な技術またはその組み合わせを用いても調製できる。様々な抗体の産生及び精製技術が公知であり、例えば、Harlow and Lane: ANTIBODIES; A LABORATORY MANUAL, infra; Harlow and Lane: USING ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL (Cold Spring Harbor Laboratory Press (1999));米国特許第4,376,110号;Ausubel et al, eds., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y., (1987, 1992))において記載されているものが含まれる。
例えば、モノクローナル抗体(mAbs)は任意の適切なソースからも得られる。従って、例えば、モノクローナル抗体はγ2DIII含有ペプチドまたはγ2DIIIペプチドコード化核酸で免疫化されたマウスから得られるマウス脾臓B細胞から調製されるハイブリドーマから得ることができる。モノクローナル抗体は、ラット、イヌ、霊長類等の他の免疫化された非ヒト哺乳類の抗体発現細胞から誘導されるハイブリドーマからも得ることができる。より具体的には、モノクローナル抗体は、「Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)」によって最初に記述されたハイブリドーマ法によって、またはその後に開発された周知の他の方法(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp.59-103 (Academic Press, 1986)を参照。)によって作られることができる。本発明の抗γDIII抗体のいずれかの調製に有用なハイブリドーマは、本発明の別の独立した特徴である。このようなハイブリドーマは、任意の適切なタイプのミエローマ、ヘテロミエローマ、フォブラストイド細胞、プラズマ細胞腫、またはこれらの他の均等物および任意の適切なタイプの抗体発現細胞を用いて、化学的融合、電気的融合、またはその他の任意の適切な技術によって形成されることができる。
形質変換された不死化B細胞も本発明の抗体を作製するのに使用することが可能であり、同じく本発明の独立した特長である。このような細胞はエプスタインバーウィルスに又は形質変換遺伝子による形質転換(例えば、”Continuously Proliferating Human Cell Lines Synthesizing Antibody of Predetermined Specificity,” Zurawaki, V. R. et al, in MONOCLONAL ANTIBODIES, ed. by Kennett R. H. et al, Plenum Press, N.Y. 1980, pp 19-33 −全文が本明細書に組み込まれる。)などの標準的な技術によって作られることができる。従って、安定で、連続したおよび/または不死化した抗γ2DIII発現細胞および細胞株は本発明の別の特長である。L5G2D3BPをコードし、またはL5G2D3BP断片をコードする核酸を含む真核細胞および原核細胞(例えば、酵母細胞、連続したおよび/または不死化した哺乳類細胞系(例えば、リンパ系抗体産生細胞由来の細胞株)、植物細胞、昆虫細胞、大腸菌細胞などのバクテリア細胞等)は、本発明の特長である。
本発明のヒト抗γ2DIII抗体を発現するヒト以外の霊長類、げっ歯類(例えば、ハムスター、モルモット及びラット、重症複合免疫不全(SCID)マウスおよび他の免疫低下動物系などの、げっ歯類の修飾系を含む)、イヌ等のトランスジェニック細胞及び生物も本発明によって提供される。本発明の抗体は、例えば、対象の免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列についてトランスジェニックである哺乳類または植物の作製、及びそこから回収可能な形態の抗体の産生を通じて遺伝子導入によって作られることができる。哺乳類での遺伝子導入的な産生と関連して、抗体はヤギ、ウシ、または他の哺乳類の乳の中に産生され、そこから回収することができる。例えば、米国特許第5,827,690号、第5756,687号、第5,750,172号、第5,741,957号を参照されたい。
さらに、ヒト抗体又は他の種由来の抗体は、本分野で周知の方法を用いて、ディスプレイ型技術(ファージディスプレイ、レトロウィルスディスプレイ、リボソームディスプレイ、および他の関連技術が含まれるが、これらに限定されない。)を通じて作製することができ、得られた分子はアフィニティー成熟などのさらなる成熟方法へ供されることができ、この技術自体も周知である(例えば、(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol. 227: 381 (1991) (phage display); Vaughan, et al., Nature Biotech 14:309 (1996) (ファージディスプレイ); Hanes and Plucthau PNAS USA 94:4937-4942 (1997) (リボソームディスプレイ), Parmley and Smith Gene 73:305-318 (1988) (ファージディスプレイ); Scott TIBS 17:241-245 (1992), Cwirla et al. PNAS USA 87:6378-6382 (1990), Russel et al. Nucl. Acids Research 21:1081-1085 (1993), Hoganboom et al. Immunol. Reviews 130:43-68 (1992), Chiswell and McCafferty TIBTECH 10:80-84 (1992);米国特許第5,733,743号参照)。ヒトではない抗体を産生するために、ディスプレイ技術が利用されている場合には、このような抗体は、例えば、本明細書の他の箇所に記載されているように、ヒト化することができる。
抗γ2抗体および抗体も、ヒトリンパ球由来のmRNAから調製されるヒトVLcDNAおよびVHcDNAを用いて作ることができるscFvファージディスプレイライブラリなどの組み換えコンビナトリアル抗体ライブラリから回収できる。このようなライブラリを調製し、スクリーニングするための方法は、本分野において公知である。ファージディスプレイライブラリを生じるための市販のキットはたくさん存在する。抗体ディスプレイライブラリを作製し、スクリーニングするのに使用できる他の方法および試薬も存在する(例えば、米国特許第5,223,409号;PCTWO92/18619、WO92/18619、WO91/17271、WO92/20791、WO92/15679、WO93/01288、WO92/01047、WO92/09690;Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372; Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281; McCafferty et al., Nature (1990) 348:552-554; Griffiths et al. (1993) EMBO J 12:725-734; Hawkins et al. (1992) J. Mol. Biol. 226:889-896; Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628; Gram et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580; Garrad et al. (1991) Bio/Technology 9:1373-1377; Hoogenboom et al. (1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137; and Barbas et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982)を参照)。適切なVLおよびVHの核酸配列は任意の適切な方法を用いて選択できる。例えば、VLおよびVH核酸は国際特許出願WO93/06213に記載されているエピトープ刷り込み方法を利用することによって選択できる、scFvライブラリなどの抗体ライブラリは、例えば国際特許出願WO92/01047、Nature (1990) 348:552-554; and Griffiths et al., (1993) EMBO J 12:725-734に記載されているものなど、(ヒトγ2DIII含有ペプチドを抗原として用いる。)公知の適切な方法を用いて調製し、スクリーニングすることができる。
このような抗体ライブラリおよびL5G2BPの他の組み合わせ(ライブラリ、プール等)は、本発明の特長であり、より包括的な免疫反応を提供するために治療上使用でき、免疫原性ペプチド、小分子、他の抗γ2抗体(例えば、競合アッセイによる)等についてのスクリーニング方法における道具として使用でき、および/または診断方法および組成物(例えば、他の抗体と必要に応じて会合したこのような抗体のパネルを含むイムノアッセイチップは標準的な技術によって調製することができる。)において使用できる。このような方法では、最初のヒトVLおよびVHセグメントが一度選択されると、望ましいVL/VH対の組み合わせを選択するために、最初に選択されたVLおよびVHセグメントの異なる対がγ2またはγ2関連ペプチド/構造結合についてスクリーニングされる「混合および符合(mix and match)」実験を実行できる。例えば、ペプチドの反応性はELISAまたは他の適切なエピトープ分析方法によって決定できる(このような技術と原理に関する論議については、例えば、Scott, J. K. and Smith, G. P. Science 249:386-390 (1990); Cwirla et al. PNAS USA 87:6378-6382 (1990); Felici et al. J. Mol. Biol. 222:301-310 (1991); and Kuwabara et al. Nature Biotechnology 15:74-78 (1997)を参照)。抗体は、その後、抗原に対するそれらの親和性によって、および/または抗原からの解離(解離速度(off-rate))の速度論によって選択できる(例えば、Hawkins et al. J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)参照)。
L5G2BPをコード化する外因性核酸を含む組み換え細胞は、任意の適切な技術(例えば、リン酸カルシウム沈殿により容易になるトランスフェクション、受容体仲介性標的化およびトランスフェクション、遺伝子銃送達、電気穿孔法、テキストラン仲介性トランスフェクション、リポソーム仲介性形質転換、プロトプラスト融合、直接的マイクロインジェクション等によって細胞中に送達される、抗γ2DIII抗体をコードする配列を含む裸のDNAプラスミドベクター、ウィルスベクター、侵襲性バクテリア細胞ベクター、または他の全細胞ベクター等によるトランスフェクション/形質変換)によって調製できる。細胞を形質変換/トランスフェクションする方法は、本分野において周知である(例えば、Sambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Lab. Press (2d Ed., 1989 and 3rd Ed., 2001)および上述のAusubelを参照)。このような細胞は、本発明の別の特長である。
組み換えタンパク質発現のための宿主として利用可能な細胞株は、本分野において周知であり、米国菌培養収集所(ATCC)からから入手できる多くの不死化細胞株が含まれる。これらには、とりわけ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞性癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、ならびに多くの他の細胞株が含まれる。使用され得る他の細胞系はSf9細胞などの昆虫細胞系である。抗体遺伝子をコード化する核酸(または核酸含有ベクター)が哺乳類宿主細胞中に導入されると、抗体は宿主細胞中で抗体の発現が可能になるか、またはより好ましくは、宿主細胞が成育する培地中へ抗体を分泌することができるのに十分な時間、宿主細胞を培養することによって作製されることができる。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を用いて培地から回収できる。抗体および他のL5G2BPは、分泌シグナルなしで直接発現される場合には、宿主細胞溶解液から回収し得る。
細胞培養物、細胞溶解液、および動物由来(例えば、抗γ2DIII抗体を産生するトランスジェニック動物の腹水由来)の抗体および他のL5G2BP形態の精製は、例えば免疫親和性カラム精製、硫酸沈殿法、等電点電気泳動法、調製用SDS−PAGEなど、本分野において公知の多くの適切な技術の適用によって達成できる。
抗γ2抗体、抗体断片、および他のL5G2BPは、一般に、バクテリア細胞および、酵母などの真核単細胞性微生物中で作製されることができる。抗体などの、バクテリア細胞により作られるペプチドは、正常なグリコシル化を欠き、従って、ADCC機能並びに哺乳類細胞および/または動物中で産生される抗γ2抗体と関連した免疫反応の他の側面(例えば、NK細胞の動員)などの生物学的機能を欠失していてもよい。例えば、酵母細胞により産生される抗体は、通常、哺乳類細胞で産生される抗体とは異なるタイプのグリコシル化パターンを呈する。しかしながら、酵母において効果的なグリコシル化により抗体を作るための方法は、現在、Glycofi社(Lebanon,NH,USA)などの企業によって開発されているところである(例えば、Hamilton et al., Science. 2003 Aug 29;301(5637):1244-6; Choi et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Apr 29;100(9):5022-7; and Gerngross et al., “Production of Complex Human Glycoproteins in Yeast” presented at “Antibody Engineering and Optimization,”(2004年4月28日に発表、ケンブリッジ健康研究所会報を通じて入手可能)を参照)。タンパク質のグリコシル化は、米国特許出願20030124645、20030180835、20040063911および米国特許第6,379,933号に記載されているような技術を用いて修飾することもできる。これらの方法のいずれかによって作製される任意の抗体および抗体断片が、本発明のさらなる特長である。
任意のタイプの抗γ2抗体も他のL5G2BPと同様、別段の記載がなければ、又は反対を明示する記載がなければ、一般に、任意の適切なタイプの細胞または生物中での組み換え発現によって調製できる。本発明によって提供される抗体は、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトされる組み換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組み換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離される抗体、トランスジェニック動物から単離される抗体、ヒト免疫グロブリンをコードする核酸およびヒト免疫グロブリンをコードする遺伝子に対して外因性の他の核酸配列への、ヒト免疫グロブリンをコードする核酸配列のスプライシングを含む他の任意の手段によって調製、発現、作製または単離される抗体などの、組み換え手段により調製、発現、作製、および/または単離されるヒト抗体を含む。組み換えヒト抗体は、典型的には、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列から誘導される可変領域と定常領域を有する。しかしながら、特定の実施態様において、このような組み換えヒト抗体はインビトロ突然変異誘発(またはヒト免疫グロブリン(Ig)配列について遺伝子導入を受けた動物が使用される場合には、生体内体細胞性突然変異誘発)に供され、従って組み換え抗体のVH領域とVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列およびVL配列から誘導され、それらに関連しているが、生体内でヒト抗体生殖系列レパートリー内にもともと存在しないことがあり得る配列とすることができる。両方のタイプのヒト抗体が、本発明の別の側面として提供される。従って、ある側面において、本発明は、VH、VL、および/または野生型(天然に存在する)ヒト抗体と同一である他の抗体領域を含む組み換えヒト抗体を提供する。
Ln−5γ2mAbを特異的に作製するための典型的な方法は、例えば、米国特許出願10/695559に記載されている
特定のタイプのL5G2BP分子と会合した全体的な構造上及び物理化学的特徴に加えて、本発明によって提供されおよび/または本発明において用いられるL5G2BPは、典型的には、一つ以上の生物機能を呈することに基づいて特徴付けられることができる。
本明細書に記載されている本発明の方法と組成物におけて、抗γ2抗体などのγ2結合ペプチドはLn−5γ2の一部に特異的に結合し、典型的には、γ2DIIIの特定の部分に結合するであろう。
本発明において、γ2へのγ2結合ペプチドの結合は、(a)Ln−5γ2DIIIの機能、(b)(遊離型の、またはマルチマーペプチドと接続して)γ2DIIIまたは(単独または他のLn−5サブユニットまたは非Ln−5生体分子と会合した)γ2DIII断片と相互作用する他のタンパク質の機能、および/または(c)Ln−5(またはLn−5および/またはその断片の少なくとも一形態)と関連した細胞の活性を、望ましくは少なくとも部分的にかつ検出可能に阻害する。このような阻害活性の例には、(a)Ln−5と関連した、γ2と関連した、γ2複合体と関連した、および/またはγ2断片と関連した細胞運動の妨害、(b)抗γ2DIII体液性免疫反応と関連した一つ以上の生理学的効果(例えば、Ln−5またはγ2/β3ヘテロ二量体などのγ2DIIIペプチドおよび/またはLn−5関連構造および/または細胞のオプソニン作用)の促進、(c)Ln−5ペプチドおよび/またはLn−5関連細胞の凝集の促進(例えば、Ln−5および/またはγ2架橋の促進)、(d)補体の活性化の促進、(e)γ2ぺプチド(例えば、Ln−5およびLn−5断片などのγ2鎖またはγ2関連ペプチド)または関連構造若しくは細胞の食作用の促進、(f)単球、NK細胞、樹状細胞および/またはマクロファージなどの細胞毒性免疫細胞の、Ln−5関連構造および/または細胞への動員の促進(または抗体依存性細胞仲介性細胞毒性(ADCC)および/または補体依存性細胞毒性(CDC)のいずれかの他の側面の促進)、並びに(g)それらのいずれかまたはすべての組み合わせの促進が含まれる。従って、典型的には一つ以上のこのような特長を示す、抗体、抗体断片、およびそれらのいずれかの誘導体は、本発明の多くの側面において有利なγ2結合ペプチドである。
上述のように、L5G2BPは、典型的には、γ2の少なくとも一部(例えば、γ2DIIの一部)を選択的または特異的に結合する。本明細書における「特異的」または「特異性」などの語は、抗γ2抗体などのLn−5γ2結合ペプチドの標的(例えば、γ2内に少なくとも部分的に存在するエピトープ)の特定の部分を結合するが、Ln−5の他の部分(他の抗Ln−5抗体により結合される他のエピトープを含む)との検出可能な反応性をほとんどまたはまったく検出できないことを表す。
特異性は、本明細書で記載されているような競合アッセイにより相対的に決定できる(例えば、米国特許第5,660,827号も参照。)。競合はまたフローサイトメトリー検査によっても査定できる。例えば、γ2またはγ2関連ペプチドは、まず基準のL5G2BP(例えば、mAb 5D5またはmAb 6C12)とともに、次いで蛍光色素またはビオチンで標識された検査抗体とともにインキュベートできる。検査抗体は、典型的には、もし基準ペプチドの飽和量とのプレインキュベーションで得られる結合が、基準抗体とのプレインキュベーションなしで検査抗体により得られる(蛍光色素により測定される)結合と比べて約50%以下、約40%以下など、約80%以下であれば、基準ペプチドといわば競合する。あるいは、標識された基準ペプチド(例えば、蛍光色素またはビオチンにより標識された基準ペプチド)で得られるγ2またはγ2関連ペプチドとの飽和量の検査抗体による結合が、検査ペプチドとのプレインキュベーションなしで得られる基準ペプチドの結合と比べて約50%以下、例えば約40%以下など、約80%以下であれば、抗体は基準ペプチドと競合すると言われる。このような分析のさらなる例は、Saunal and Regenmortel, (1995) J. Immunol. Methods 183: 33-41に記載されている。競合的阻害によるmAbの特異性を決定するためのさらなる方法は本分野において公知であり、このような技術の有用な例が、例えば、「Harlow, et al., ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1988), Colligan et al., eds., Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y., (1992, 1993), and Muller, Meth. Enzymol. 92:589-601 (1983)」に見出すことができる。特異性は、本明細書に記載されているエピトープ同定/特徴づけ技術または本分野において公知のそれらの均等物のいずれかによって決定し、予測し、および/または確認することもできる。
L5G2BPは、典型的には、上皮細胞または上皮由来細胞集団およびそれらの環境に関して、典型的には基底層(基底膜)に関して、Ln−5分子に関して、(γ2/β3ヘテロ二量体などの)別のγ2関連分子の脈絡に関して、および/またはγ2鎖またはその断片に関して、γ2DIIIに対して選択的または特異的である。
ある面において、本発明は、γ2の他の部分にも結合し得るγ2ドメインIIIに結合する抗体および他のペプチドを提供する。例えば、本発明は、ある側面において、本明細書に提供される方法において適切に使用され得る抗体、又は本明細書に提供される組成物中に含まれ得る抗体は、例えば、二重特異性抗体は鎖間らせん状コイル構造形成を妨害するように、γ2の一部およびLn−5由来の隣接する配列の一部を含む直鎖エピトープに結合できるか、又は本発明によって提供される二重特異性抗体がγ2およびLn−5ドメインIおよび/またはドメインIIに位置する配列を結合できる。別の典型的な側面において、本発明は、γ2ドメインIII内にのみ見出される領域に対して特異的な抗体を提供する。別の側面において、本発明は、Ln−5のα3鎖に検出可能に結合しないγ2DIIIに対して選択的または特異的な抗体及び他のペプチドを提供する。さらに別の側面において、γ2DIIIに対して選択的または特異的である抗体または他のペプチドも、さらに、又はこれらに代えて、Ln−5のβ3鎖へ検出可能に結合しないと特徴付けられることができる。
L5G2BPは、本明細書に記載されている疾患、疾病又は症状の一つ以上と関連し、および/またはこのような疾患、疾病及び症状に関与する細胞(例えば、侵襲性癌細胞などの新生物発生前のまたは新生物の上皮由来細胞)と関連するγ2および/またはヘテロ三量体Ln−5の遊離形などの、γ2DIIIおよびγ2DIII関連ペプチドに対して十分に特異的かつ選択的であり得、このようなL5G2BPはヒトにおいて非疾患、非疾病関連細胞の活性を検出可能に調節しない(例えば、本発明は、非癌関連上皮細胞の移動を妨げないL5G2BPを提供する。)。従って、例えば本発明は、L5G2BPがこのような単量体(例えば、γ2鎖ペプチドとβ3鎖ペプチドを同時に発現する癌細胞、例えば、Akimoto et al., Pathol Int. 2004 Sep;54(9):688-92を参照)および/またはヘテロ二量体を分泌する「標的」細胞、又は例えば侵襲的上皮由来癌細胞においてはしばしば認められるが、健常な上皮基底膜関連細胞または関連組織/空間には認められない関連組織/空間に、L5G2BP2が配向されるように、ヘテロ三量体Ln−5に関してγ2単量体および/またはγ2/β3ヘテロ二量体に対して特異的な、またはこのようなペプチドに対して少なくとも選択的なL5G2BPを提供する。本発明は、また、さらに又はこれに代えて、γ2DII含有の「処理された」γ2およびγ2関連ペプチドに対して特異的および/または選択的でもL5G2BPも提供し、それは多くの侵襲的癌細胞と関連しているが、健常な上皮基底膜随伴細胞とは典型的に関連していない。このようなγ2の「プロセッシング」は、例えば、「Marinkovich, et al., JBC 267, 17900-17906; Amano et al., JBC 275, 22728-22735; and Pirila et al., Biochem Biophys Res Commun. 2003 Apr 18;303(4):1012-7)」において論議されている。
L5G2BPはγ2DIII中に少なくとも部分的に含有される一つ以上のエピトープまたは抗原性決定因子に対する親和性および/または結合活性の任意の適切なレベルも示すことができる。親和性はエピトープまたは抗原性決定因子に対するL5G2BPの結合の強さを指す。典型的には、親和性は解離定数Kdに関して測定され、[Ab]×[Ag]/[Ab−Ag]と定義され、式中[Ab−Ag]は抗体抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は結合していない抗体のモル濃度であり、[Ag]は結合していない抗原のモル濃度である。親和性定数Kaは1/Kdによって定義される。競合阻害、平衡透析等によって、結合しているペプチド特異性および親和性を決定するための適切な方法は、例えば、「Harlow, et al., ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1988); Colligan et al., eds., CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y., (1992, 1993), and Muller, Meth. Enzymol. 92:589-601 (1983)」に見出されることができる。
典型的には、本発明によって提供されるL5G2D3BPなどのL5G2BP、特に抗γDIII抗体は、約10〜1010−1の範囲(例えば、約10〜10−1)でγ2DIII中に少なくとも部分的に含まれる少なくとも一つのエピトープに対する親和性を有する。本明細書で使用される免疫反応という用語は、典型的には、解離定数(Kd)が約10−4M以下であるγ2ペプチドに対するL5G2BPの結合を指す。
望ましくは、L5G2BPはγ2、特にその特定の部分(例えば、γ2DIIIのある特定部分)に対して、および/または特定のγ2関連ペプチドに対してmAbGB3、mABD4B5および/またはmAbB4−6と少なくとも同等の大きさの親和性を有し、ある側面では、mAb 4G1、mAb 5D5および/またはmAb6 C12の親和性と少なくともほぼ同じ親和性をこのようなペプチドに対して有することも望ましい。親和性は、本明細の他の箇所に記載されている何れかの方法または本分野で公知のそれらの等価な方法によって決定できる。親和性を決定するのに使用できる一つの方法の例は、「Scatchard analysis of Munson & Pollard, Anal. Biochem. 107:220 (1980)」に提供されている。結合親和性は、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)またはラジオイムノアッセイ(RIA)または動態分析(例えば、ビアコアTM分析))によって決定されてもよい。
典型的には、本発明の抗γ2DIII抗体についての解離定数は約100nM未満、約50nM未満、約10nM未満、約5nM以下、約1nM以下、約0.5nM以下、約0.1nM以下、約0.01nM以下、または約0.001nM以下でさえある。
本発明によって提供されるL5G2DBP、特に本発明によって提供される抗γ2DIII抗体は、さらに又は別に、γ2DIII、またはγ2DIIIの一部、またはmAb GB3、mAb D4B5、および/またはmAb B4−6よりもγ2DIIIの少なくとも一部を含むペプチドについて少なくとも同じくらい大きな(それより大きくはないとしても)結合活性を望ましく呈する。L5G2D3BPは、これらのmAbの一つ以上に比べて、このようなγ2 DIII関連ペプチドに対して、望ましくは有意に高い結合活性(例えば、これらの抗体の一つ以上と比べて少なくとも約10%超、少なくとも約20%超、少なくとも約30%超、少なくとも約55〜99%超の結合活性など、少なくとも約50%超、または標的γ2DIIIペプチドに対するこれらの抗体の一つ以上によって呈される結合活性の2倍超(例えば、少なくとも約150%超の結合活性、少なくとも約200%超の結合活性等)の結合活性を呈することができる。別の側面において、本発明は、mAb 4G1、mAb 5D5および/またはmAb 6C12と比べ、γ2DIII関連ペプチドに対するより大きな結合活性をさらに又は別に呈するL5G2D3BPを提供する。一つ以上の抗原性決定因子に対して低い親和性を有するL5G2D3BPはγ2DIII関連ペプチドに対する十分に高い結合活性を有しているため、本発明の方法および組成物の有用な構成要素である。同様に、γ2DIII関連ペプチドに対して低い結合活性を有するL5G2D3BPは特定の抗原決定因子に対する十分に高い親和性を有することができるため、結合しているペプチドは本発明の方法および組成物において有用であることができる。
結合活性とは、結合しているタンパク質と抗原の間の総相互作用の全体的な強度を指す(例えば、抗γ2DIII抗体ポリマーとγ2DIII関連ペプチドの間の相互作用の全体的な強度)。親和性は抗体または他の結合ペプチド上の単一の抗原結合部位と単一のエピトープまたは抗原性決定因子の間の総体的な非共有結合性相互作用の強度である。結合活性は、典型的には、三つの主要因子によって左右される。即ち、タンパク質が結合しているエピトープまたは抗原性決定因子に対する、結合しているタンパク質の固有親和性、抗体または結合しているタンパク質と抗原の価数(特に抗原中に反復されるエピトープが存在する場合には、例えば、多価抗体ポリマーは二価抗体よりも抗原に対して、より高いレベルの結合活性を典型的に呈し、二価抗体は単価抗体よりも抗原に対して、より高い結合活性を有することができる。)、および/または相互作用する構成要素の幾何学的配置である。
本発明によって提供される抗γ2DIIIバリアント抗体および他のL5G2D3BPは、望ましくは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体媒介性細胞毒性(CDC)アッセイによって決定され得るように(例えば、米国特許5,500,362号参照)、親γ2DII抗体と同様の機能的特徴を呈し得る。
本発明のL5G2D3BPおよび特に抗γ2DIII抗体は、補体固定および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を提供するかまたは提供しないそれらの能力に基づいて選択できる。補体固定およびCDCを可能にする抗体のアイソタイプは多くあり、以下などのものを含むがそれらには限定されない。即ち、マウスIgM、マウスIgG2a、マウスIgG2b、マウスIgG3、ヒトIgM、ヒトIgG1、ヒトIgG3である。補体固定/CDCができないアイソタイプにはヒトIgG2およびヒトIgG4が含まれるがそれらには制限されない。アイソタイプの決定と、補体固定と抗体のCDC機能特性を修飾するための他の方法は本分野において公知である。
ある側面において、本発明は、一つ以上の(例えば(スウェーデンのストックホルムにあるDAKI CYTOMATION社から入手可能な)γ2DIII mAb 4G1または(ドイツのハノーバーにあるDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に、それぞれ寄託番号DSM ACC2652およびDSM ACC2653のもとで寄託されている)γ2DIII mAb 5D5および/またはγ2DIII mAb 6C12などの抗γ2抗体と競合(抗原性決定因子領域の結合を競合的に阻害する。)または交差競合(つまり、抗原性決定因子領域の結合を相対的に部分阻害する)する能力を有する点で特徴付けられ得るL5G2D3BPを提供する。
本発明のあるこのような側面において、mAb 5D5、mAb 6C12と競合するか、または結合しているγ2DIIIと関連して5D5と6C12の両方と交差競合するL5G2D3BPが提供される。γ2への結合においてmAb 5D5および/またはmAb 6C12と競合する抗体(又は、他のLn−5 γ2結合ペプチド)は(遊離のγ2鎖、その断片、γ2を含むヘテロ二量体との会合、ヘテロ三量体のLn−5タンパク質との会合又はそれらの任意の組み合わせであれ)、本発明の方法によって提供される様々な治療及び診断法において、特に、5D5および/または6C12が有意な生理的応答を呈する場合(例えば、上皮由来の癌細胞の浸潤性の軽減)において有用であると思われる。
別の側面において、本発明は、γ2DIIIの一つ以上の部分に結合することに対するmAb 4G1、mAb5D5、および/またはmAb 6C12と競合するL5G2D3BPの一部であるか、それに対応するか、あるいはそれを含むL5G2D3BPを提供する。このようなL5G2D3BPは、このような抗体が立体障害によって、γ2DIIIまたはその一部に結合することに対してmAb 4G1、5D5、および/または6C12と競合するように、例えば、mAb4G1、5D5、および/または6C12によって結合されるエピトープと少なくとも部分的に重なっているエピトープに結合するか、又はこのようなエピトープに十分近い抗体から派生するFab断片であり得る。mAb分子と比べて比較的小さなサイズであるため、このようなFab断片は、γ2DIIIへの結合を有意に競合し得ないが、γ2DIII由来の抗体は競合する。それにもかかわらず、このようなL5G2D3BPはγ2 DIIIの同様に標的化する近くの領域において有用でありうる(例えば、免疫接合体L5G2D3BPに関して細胞毒、放射性核種などを誘導する場合)。それゆえ、このようなL5G2D3BPは本発明の方法において有用でありえ、従って、本発明の有用な特徴と考えるべきである。
二つ以上のLn−5 γ2結合ペプチドによるLn−5 γ2DIII(ヘテロ三量体Ln−5、他のγ2関連ペプチドまたは遊離γ2若しくはγ2断片に関して)またはLn−5の一部(例えば、γ2DIIIの一部、γ2DIIIの一部を含むLn−5の断片、またはγ2DIIIの一部に対応するLn−5の領域及びLn−5蝶番領域などの近接するドメイン)への結合についての競合は任意の適切な技術によって決定できる。ある側面において、競合は例えば本明細書の例のセクションで記載されているようなELISAアッセイによって決定される。特定のLn−5γ2結合ペプチドに関するγ2DIIIの特定の領域などのLn−5の特定の部分の間の競合は同様の技術によって決定できる。ある側面において、競合は変性されるかまたは構造的に修飾されるγ2DIIIペプチド、例えば煮沸されたγ2DIIIペプチドに関して評価され、このようなペプチドはいわゆる直鎖エピトープの存在を特に示すことができる。たいていの側面において、競合の評価はできるだけ元の形に近い遊離の(例えば、実質的に精製された)γ2DIIIペプチド(例えば、未変性ペプチド)を用いて、または細胞、ペプチド若しくは他の生体分子と関連したγ2DIIIペプチドについてなされる。
本発明において競合とは、結合対を結合する別の分子の存在下で、ある分子が当該結合対を結合する傾向の検出可能な任意の有意な低下を指す。典型的には、競合はLn−5γ2結合ペプチドと(a)Ln−5の一形態(例えば、切断されていないLn−5(「プロセッシングを受けていない」、「プロセッシングされていない」、または「未成熟の」Ln−5))、(b)遊離γ2の一形態(例えば、γ2転位前断片(premigratory fragment)および/または他の生体での他のプロセッシングにより生じるγ2断片)、(c)γ2/β3ヘテロ二量体ペプチドなどのγ2と会合した別のペプチド、(d)DIIIまたはDIIIの一部およびLn−5 γ2の近接するN末端領域またはC末領域γ2を含む領域など、γ2の一部、又は(d)例えば二つ以上の競合しているL5G2D3BPおよびγ2分子(例えば、γ2DIII断片またはγ2DIII断片含有ペプチド)またはγ2関連分子を十分な量用いるELISA分析によって決定される別のLn−5γ2結合ペプチドの存在によって生じるDIIIの一部の間の結合における少なくとも約15%または少なくとも約20%の低下(例えば、約25%以上、約30%以上、約15〜35%等の結合低下)などの少なくとも約10%の低下を意味する。例えば、検査される様々な断片中に位置する良好に提示される直鎖エピトープ又はDIII、γ2、Ln−5及び十分に大きなDIII断片中に提示される高次構造上のエピトープにある十分に表される直鎖エピトープであり得るように、Ln−5の特定の領域の結合特性がその断片中に保持される場合には、競合が二つ以上のLn−5、γ2、DIII、および/またはDIIIの一部に関してL5G2D3BPの間に存在しうる場合もあり得る。他の側面において、L5G2D3BPはLn−5構造の特定のレベルのみと競合し得る(例えば、高次構造的要因によって、又はα3鎖および/またはβ3鎖の一部による抗原性決定因子領域への寄与によって、Ln−5レベルで、γ2DIIIの一領域に対して二つのL5G2D3BP間で競合が存在し得るが、Ln−5レベルでは存在し得ない。)。
競合を査定することは、典型的には、第一の量の第一の分子、第二の量の第二の分子及び第三の量の第三の分子(または実際の同時発生するデータに代えて、第一及び第二の分子に関する新たな結合データと合理的に比較できる結合研究によって決定される標準物質)を用いて相対的な阻害的結合を評価することを含んでおり、前記第一、第二及び第三の量はすべて他の存在している分子に関して、その分子の選択性および/または特異性についての情報を与える比較をするのに十分である。前記第一、第二及び第三の量はLn−5γ2結合ペプチドの性質に応じて変動し、従って、問題となっている標的の候補に応じて変動できる。通常、ELISA査定については、例において述べたものと同様、競合が存在するかどうかを査定するために、Ln−5結合ペプチドおよび/またはLn−5標的の約5〜50μg(例えば、約10〜50μg、約20〜50μg、約5〜20μg、約10〜20μg等)が用いられる。条件も結合に対して適切なものとすべきである。典型的には、生理学的条件または生理学的条件に近い条件(例えば、約20〜40℃の温度、pH約7〜8等)がLn−5γ2結合ペプチドとγ2DIIIの結合に適している。
しばしば、競合はELISA分析により決定される、約10%よりも有意に大きな相対的阻害によって特徴付けられる。特定の文脈において、何が競合の適切なレベルであるかという基準/決定因子として、より高い閾値の相対的阻害を設定することが望ましい場合がある((例えば、Ln−5のLn−5結合インテグリン、マトリクスメタロプロテアーゼ、ヘパリン、または天然に存在する抗Ln−5抗体との相互作用を遮断するために)例えば、競合分析を用いて、別のペプチドまたは分子のLn−5に対する結合を遮断する企図された機能を有するようにデザインされた新たな抗体について選択またはスクリーニングする)。従って、例えば、競合性についての基準を設定することができ、この場合、少なくとも約20%の相対的阻害が検出され、少なくとも約25%の相対的阻害が検出され、または少なくとも約35%の相対的阻害が検出された後、抗体が十分に競合的であると考慮される。競合する抗体に属するエピトープが抗原に中に密に存在する場合、競合はγ2DIIIの約40%超の相対阻害(例えば、約40〜95%阻害などの少なくとも約45%の阻害)、少なくとも約50%の阻害、少なくとも約55%の阻害、少なくとも約60%の阻害、少なくとも約75%の阻害、またはより高いレベルの相対阻害によって特徴づけられることができる。
競合は一つの分子と二つの結合対候補との間の交差反応の逆と考慮できる。従って、本発明のある側面において、本発明のLn−5γ2結合ペプチドはγ2における一つ以上の残基または領域と特異的に結合するペプチドとして特徴付けられることができるが、また有利なことに、他のペプチド、ペプチド領域、または分子と交差反応しない。例えば、本発明は、Ln−5α3と実質的に交差反応しない抗γ2DIII抗体、Ln−5β3と交差反応しない抗γ2DIII抗体、非新生物性上皮細胞に関してLn−5および/またはLn−5の断片と交差反応しない抗γ2DIII抗体、予め処理されたγ2および/またはγ2関連ペプチドと交差反応しない抗γ2DIII抗体を提供する。典型的には、交差反応性の欠如は適切なアッセイ条件下で十分量の分子を用いるELISAにより査定されるときに、分子間の約10%未満の相対的な競合阻害を意味する。
ある例示的な側面において、本発明は、Ln−5 γ2 DIIIまたはその一部に結合するためのmAb 5D5と競合するLn−5γ2結合ペプチドを提供する。別の例示的な側面において、本発明は、γ2 DIIIへの結合についてmAb 5D5と競合するLn−5γ2結合ペプチドの断片または一部を含むかまたはそれに対応するペプチドを提供する。
γ2 DIIIまたはその一部への結合についてmAb 5D5とmAb 6C12の両方と交差競合するLn−5γ2結合ペプチドは本発明の別の特長である。本明細書の他の箇所で論議されているように、別段の記載がなければ、又は反対する明示の記載がなければ、本明細書のLn−5γ2結合ペプチドのLn−5、γ2またはDIIIへの結合という表記は、例えば、DIIIの元の構造が存在する高次構造において、直鎖エピトープにおいて、遊離γ2鎖分子において、または天然に存在するヘテロ三量体Ln−5のにおいてなど、任意の適切な文脈におけるこれらの分子の結合を表すものとする。もちろん、結合特性が異なるこれらの抗体が本発明の特異な側面と考えることができるように、このような文脈の限られたサブセットにおける結合は、本発明によって提供される任意のLn−5γ2結合ペプチドに関する重要な機能的特徴であり得る。交差競合は任意の適切な方法と基準によって決定できるが、(同様のレベルまたは異なるレベルでの)ELISAまたは他の適切なアッセイにおける第三の分子に結合するための二つの分子間競合の検出を典型的に意味する。(mAb 5D5およびmAb6C12に関する)交差競合の検出の例は例に示されている。
γ2 DIIIまたはその一部への結合に関してmAb 6C12と競合するが、γ2DIIIに関してmAb 5D5と実質的に交差競合しないLn−5 γ2結合ペプチドは本発明の別の重要な典型的な特長である(例えば、例に記載されている方法が典型である、ELISAにより査定されるようなγ2DIIIへの5D5の結合の約40%超の阻害を生じないL5G2BP)。より具体的な側面において、本発明は、Ln−5 γ2の約495〜555番目の残基(例えば、Ln−5γ2の494〜552番目の残基、Ln−5γ2の500〜548番目の残基、Ln−5γ2の508〜543番目の残基、Ln−5γ2の516〜533番目の残基等)にわたるLn−5のある領域への結合に関してmAb 6C12と競合するLn−5γ2結合ペプチドを提供する。
さらなる側面において、本発明は、518〜537番目の残基またはその付近(例えば、Pro516などの約515番目または約520番目の残基にある位置からArg533などの約540番目の残基まで)によって規定されるLn−5γ2のある領域を結合することに関して、mAb5D5と競合するLn−5γ2結合ペプチドを提供する。異なる側面において、本発明は、494〜516番目の残基、539〜552番目の残基、またはその両方から実質的になるLn−5γ2のある領域への結合に関して6C12と競合するが、518〜537番目の残基から実質的になるLn−5γ2の領域については競合しないLn−5γ2結合ペプチドを提供する。
γ2ドメインIIIに特異的なモノクローナル抗体は、上皮細胞および上皮由来細胞移動における低下など、興味の対象の生理学的事象を調節するのに有用であるように開発され、特徴付けられ、実証されてきた。同様の特徴を有するこれらの抗体の使用は、本発明の重要な特徴である。これらの抗体と同様の特徴を有する抗体は、このような生理学的事象を調節するのにもしばしば有用であると予測される。
ある面において、本発明は、抗原性であり、抗原性である可能性があり、さもなくば免疫原性であり、および/またはLn−5および/またはγ2と関連した生物活性(例えば、γ2ペプチドと関連した上皮細胞の移動)を調節するための標的であるLn−5の特定の領域を結合できるL5G2BPを提供する。
ヒトラミニン−5γ2DIIIは、(1)γ2ペプチド鎖内に含まれているペプチド抗原性決定因子、(2)γ2鎖上に存在する一つ以上の不連続なアミノ酸および/または、折りたたまれたγ2関連タンパク質において互いに近くに置かれたγ2鎖の空間的に連続しているが、別個のLn−5ペプチド鎖またはγ2鎖の不連続部分上に存在するアミノ酸からなる高次構造上の抗原性決定因子、及び(3)ヒトラミニン−5γ2または炭化水素基などの関連ペプチドへ共有結合される分子構造の全体又は一部のいずれかからなる翻訳後抗原性決定因子が含まれ得る(それらには限定されない。)、多くの異なる抗原性決定因子(エピトープ)を含む。
ある側面において、本発明は、単離された抗体およびヒトラミニン−5のγ2鎖のドメインIII内(Ln−5の382〜608番目の残基)に少なくとも部分的に存在する一つ以上のエピトープに特異的に結合する他のL5G2D3BPを提供する。このような抗体と他のL5G2D3BPは本明細書で記載されている様々な本発明の方法において用いられることができる。一般に、このようなエピトープに結合するL5G2D3BPの同定は、定型的な実験にすぎない実験を適用し、当業者によって本分野で公知の技術と組み合わせて、本明細書に提供されている原理を適用して達成できる。
mAb4G1、mAb5D5及びmAb6C12についての抗原性決定領域および推定されるエピトープは、例えば、標準的なマッピング技術および特徴づけ技術を介して同定されており、それらのさらなる改良が任意の適切な技術の適用によって達成でき、それらの数多くの例が当業者にとって利用可能である(本明細書における「エピトープマッピング」技術、「エピトープ同定」技術等という表記は、抗原性決定領域及びエピトープの同定および/または改良に適用可能な技術を述べていると理解されるべきである)。これらの技術はまた、一般に他のL5G2D3BPに対するエピトープを同定しおよび/または特徴付けるのにも使用できる。このようなマッピング/特徴づけの方法の一例として、抗γ2DIII抗体に対するエピトープがLn−5γ2DIIIタンパク質において露出されたアミン/カルボキシルの化学修飾を用いるエピトープ「フットプリント法」によって決定され得る。このようなフットプリント技術の一つの具体例は、HXMS(質量分析によって検出される水素−重水素交換)の使用である。簡潔にいえば、HXMSにおいて、受容体とリガンドタンパク質アミドの水素イオンの水素/重水素交換が行われた後、ペプチド−抗原結合が起こり、受容体とリガンドタンパク質アミドの水素イオンの逆交換が行われる。タンパク質の結合に参加している骨格アミド基は逆交換から保護され、それゆえ重水素化されたままである。関連する領域はペプチドタンパク質分解、迅速なマイクロボア高性能液体クロマトグラフィー分離、および/またはエレクトロスプレーイオン化質量分析によってこの地点で同定できる。例えば、「Ehring H, Analytical Biochemistry, Vol. 267 (2) pp. 252-259 (1999)、および/またはEngen, J.R. and Smith, D.L. (2001) Anal. Chem. 73, 256A-265A」を参照されたい。
適切なエピトープ同定技術の別の例は、典型的には、遊離抗原及び抗原結合ペプチドと複合体形成した抗原の二次元NMRスペクトルにおける信号の位置が比較される、核磁気共鳴(NMR)エピトープマッピングである。抗原は、典型的には、抗原に対応する信号のみがNMRスペクトルで見られ、抗原結合ペプチドからのシグナルが見られないように、15Nで選択的に同位体標識される。抗原結合ペプチドとの相互作用に関与するアミノ酸から生じる抗原信号は、典型的には、遊離抗原のスペクトルと比べ、複合体のスペクトルにおける位置をシフトさせ、結合に関与するアミノ酸が従って同定できる。例えば、「Ernst, Schering Res Found Workshop. 2004;(44):149-67; Huang et al, Journal of Molecular Biology, Vol. 281 (1) pp. 61-67 (1998);及びSaito and Patterson, Methods. 1996 Jun;9(3):516-24」を参照されたい。
エピトープマッピング/特徴づけは、他の質量分析方法を用いても実行できる。例えば「Downward, J Mass Spectrom. 2000 Apr;35(4):493-503 and Kiselar and Downard, Anal Chem. 1999 May 1;71(9):1792-801」を参照されたい。
プロテアーゼ消化技術も抗原決定領域の「エピトープマッピング」および同定において有用であり得る。抗原決定関連領域/配列はプロテアーゼ消化、例えばトリプシンをγ2ドメインIIIに対して約1:50の比で、約37℃及びpH約7〜8で一晩消化するのに用いた後、標準的な技術を用いるペプチド同定のための質量(MS)分析によって決定できる。抗γ2ドメインIII結合剤によるトリプシン切断から保護されたペプチドはその後、トリプシン消化へ直接供される試料と、まず抗体とともにインキュベートされ、次に、例えばトリプシンによる消化(これによって、結合剤に対するフットプリントを評価できる。)に供される試料を比較することによって同定できる。キモトリプシン、ペプシン等などの他の酵素も、さらに又は代替的に、同様のエピトープ特徴づけ方法で用いられることができる。酵素による消化は、抗原性決定配列の候補がγ2鎖又は表面露出されていないLn−5ポリペプチドに関してγ2鎖の一領域内にあるかどうかを分析するための迅速な方法を提供でき、従って免疫原性/抗原性の点で最も不適切であろう。例えば、これらの測定においてmAb4G1と有意に同じ結果を与える抗体はmAb4G1と本質的に同じ抗原性決定領域(ADR)に結合する抗体であると見なすことができる。例えば、同様の技術の論議については、「Manca, Ann Ist Super Sanita. 1991;27(1):15-9」を参照されたい。
一つがビオチン化されるか、又は同様に標識される二つの抗体でγ2ドメインIIIへ競合結合することによるエピトープマッピングは、関連する抗原性決定領域を同定するための別の方法である。この技術の例は本明細書の例のセクションに記載されている。
様々なファージディスプレイ技術もエピトープを同定するのに使用できる。例えば「Wang and Yu, Curr Drug Targets. 2004 Jan;5(1):1-15; Burton, Immunotechnology. 1995 Aug;1(2):87-94; Cortese et al., Immunotechnology. 1995 Aug;1(2):87-94; and Irving et al., Curr Opin Chem Biol. 2001 Jun;5(3):314-24」を参照されたい。コンセンサスエピトープも改変されたファージディスプレイ関連技術を通じて同定できる(Mumey et al., J. Comput. Biol. 10:555-567 and Mumey, Proceedings of the Sixth Annual International Conference on Computational Molecular Biology (RECOMB-02), pp. 233-240 (ACM Press, New York)を参照)。論議については「Bailey et al., Protein Science (2003), 12:2453-2475; Dromey et al., J Immunol. 2004 Apr 1;172(7):4084-90; Parker et al., Mol Biotechnol. 2002 Jan;20(1):49-62; and Czompoly et al., Biochem Biophys Res Commun. 2003 Aug 8;307(4):791-6」を参照されたい。
エピトープをマッピングするのに役立ち得る他の方法には、結晶学技術、(1970年代〜1980年代にPoljakおよびその他の研究者によって開発されたX線回折/配列研究技術などの)X線回折技術及びマルチピンペプチド合成技術の適用が含まれる。配列分析および三次元構造分析及びドッキングなどのコンピュータベースの方法も抗原性決定因子を同定するのに使用できる。例えば、エピトープは、個々のmAbのFab断片の構造をドッキングしながら、γ2ドメインIIIの構造を用いて分子モデリングを行うことによって決定できる。これらの方法および他のマッピング方法は、Epitope Mapping A Practical Approach (Westwood and Hay Eds.) 2001 Oxford University Press (Cason, J Virol Methods. 1994 Sep;49(2):209-19も参照。)に論述されている。
mAb5D5およびmAb6C12による抗体認識と関連される可能性があるγ2中のアミノ酸残基は、例えば、Chemical Computing Group(カナダ国、ケベック州、モントリオール市−www.chemcomp.com)から商業上入手可能なプログラムMoe2003.02(分子操作環境)を用いてPDB(Protein Data Bank−www.rcsb.org/pdb)からのテンプレート構造1NPEを用いる相同性モデルを構築することによって同定された。標準的な技術によるこのモデルの開発および分析は、本明細書の他の箇所で記載されているように、ヒトおよびマウスのγ2ドメインIII配列の配列比較に加えて、ヒトγ2DIIIに対する選択性および/または特異性を与えると信じられている多くのアミノ酸を同定する(図1〜3も参照)。
もし有意な競合がγ2DIIIの一部またはγ2の断片を含むペプチドなどのペプチドについて、既知のL5G2D3BPとの競合アッセイで観察されれば、そのペプチドは典型的にγ2の連続した(直鎖の)エピトープなどのあるエピトープの少なくとも一部を含むとして操作上同定される。抗体と接触させられる抗原からのさらなる残基が存在する可能性はあるが、結合エネルギーにはほとんどまたはまったく関与しないので、この方法で同定されるエピトープは不完全であり得る。しばしば、競合方法は、元の抗原溶液の変性抗原による非常に低レベルの夾雑に依存する。さらに、γ2DIIIに対するL5G2D3BPの親和性とL5G2D3BPおよびγ2の濃度は競合査定に影響を与えうる。また、このような技術を通じて同定されるペプチドは、三次元構造の十分な保持のためにL5G2D3BPにより十分認識される、高次構造上のエピトープを含む場合もあり得る。
ある側面において、本発明は、一つ以上のL5G2D3BP候補又は公知のL5G2D3BPおよびLn−5γ2DIIIまたは関連ペプチドの組み合わせを用いてこれらの方法の一つ以上を実行することが含む、L5G2D3BPを同定する方法を提供する。特別な側面において、本発明は、Ln−5γ2DIIIまたはγ2DIIIまたはその関連部分とこのようなL5G2D3BPの一つ以上を含むペプチドを用いるこのような方法を実行することによって、γ2、典型的にはγ2DIIIに結合するペプチド(mAb4G1、mAb5D5、mAb6C12など)と競合するペプチドを同定する方法を提供する。
特に典型的な側面において、本発明は、Ln−5γ2エピトープまたはモノクローナル抗体4G1によっても特異的に結合される抗原決定因子に特異的に結合する抗γ2抗体などのL5G2BPを提供する。例えば、4G1CDR配列を含むキメラ抗体またはヒト化抗体は、Ln−5γ2DIIIの一領域に関してmAb4G1と同じ特異性を示すものと思われる。イムノアドへシンなどの、4G1 CDR配列を含む他の抗体様タンパク質も4G1と同じエピトープに対して特異性を示すことができる。しかしながら、4G1のCDRとは異なる一つ以上のCDRを有するL5G2D3BPが4G1と同じエピトープに対してもさらに特異的でありうる可能性もある。いくつかのこのような場合、4G1エピトープ特異的L5G2D3BPは、4G1よりも4G1エピトープの特別な構造または領域をよりよく認識するか、又はより特異的/選択的であり得る(または4G1エピトープのフットプリント内にある他の残基を認識する)。
別の特定の典型的側面において、本発明は、モノクローナル抗体5D5とおなじエピトープまたは抗原性決定領域に結合する(上述のように、mAb5D5はDSMZに寄託されている。)Ln−5γ2結合ペプチド、例えば抗γ2DIII抗体を提供する。5D5が特異的であるγ2DIII中の領域はすでに同定されている(本明細書の例のセクションを参照)。mAb5D5が結合するエピトープまたは抗原性決定因子は、上述のエピトープマッピング/同定方法のいずれか一つ以上を用いてさらに精緻化されてもよい。特異性および/または選択性などの同様の抗原結合特性を持つ抗体は、任意の適切な技術を用いて作製でき、数多くの例は本明細書の他の箇所で提供される。
さらなる側面において、本発明は、モノクローナル抗体6C12と同じエピトープに結合する、γ2DIIIに対する抗体などのLn−5γ2DIII結合ペプチドを提供する。上述のように、mAb6C12はDSMZに寄託されている。6C12が特異的に結合するγ2DIIIの領域は実験方法によって決定されている(本明細書に提供されている例のセクション参照)。6C12が結合するエピトープまたは抗原性決定因子および同じエピトープに結合する抗体は、mAb4G1のエピトープに関して上述の方法のいずれか一つを用いてさらに精緻化できる。
本発明のさらなる面は、mAb4G1、mAb5D5、mAb6C12から選択される一つ以上のmAb(例えば、mAb5D5およびmAb6C12からなるそのサブセット)の実質的に同じ特異的結合特性を有するLn−5γ2DIII結合ペプチドである。
本発明の有利なL5G2D3BPには、抗γ2DIII抗体を「中和する」ことが含まれる。「抗体を中和する」という用語は、γ2DIII関連ペプチド(例えば、γ2の転位前断片、転位前γ2/β3ホモ二量体分子、またはMMP処理されたLn−5分子)の生物活性を実質的に阻害または排除できる抗体を指す。典型的には、抗γ2DIII中和抗体はほぼ等しい量のmAb4G1、mAb5D5、および/またはmAb6C12の投与によって生じる上皮細胞の阻害とほぼ等しいかそれを超える程度で上皮細胞の移動を阻害するであろう。
いくつかの側面において、本発明のL5G2BPのグループ、特に本発明によって提供される抗γ2DIIIモノクローナル抗体はmAbD4B5(Koshikawa et al., Cancer Res. 1999 Nov 1;59(21):5596-601 and Mizushima et al., Horm Res. 1998;50 Suppl 2:7-14), mAb GB3 (Matsui et al. J Invest Dermatol. 1995 Nov;105(5):648-52), and mAb B4-6 (Nguyen et al. (2000) JBC,275(41) p.31896-907)とは異なるように(つまり除外するように)特徴付けられることができる。従って、いくつかの側面において、本発明は、L5G2D3BP並びにγ2DIIIを選択的および/または特異的に結合する能力などのある特定のセットの特徴を有するL5G2D3BPの使用を提供する(但し、L5G2D3BPはmAbD4B5、mAbGB3、またはmAbB4〜mAbB6ではない。)。他の側面において、本発明のL5G2D3BP、特に本発明の抗γ2DIII抗体は、さらに又は代替的に、mAb4G1、mAb5D5および/またはmAb6C12とは(例えば、mAb4G1とは)区別される。それゆえ、いくつかの側面において、本発明は、γ2DIIIを選択的および/または特異的に結合する(および上皮由来細胞の移動を必要に応じてさらに阻害する)能力などのある特徴を有するL5G2D3BPを提供する(但し、L5G2D3BPは、mAbD4D5、mAbGB3、mAbB4〜mAbB6、mAb4G1、mAb5D5、および/またはmAb6C12ではない。)。さらなる側面において、本発明は、γ2DIIIの少なくとも一つの領域の結合に関して、mAbGB3、mAbD4B5、および/またはmAbB4〜mAbB6と実質的に(あるいはいくつかの場合では検出可能に)交差競合できないことを特徴とするL5G2D3BPを提供する。
本発明をさらに示し、その特定の側面を記載するため、様々な実験方法によって同定/推定される多くのADRが本明細書に記載されている。このようなADRに結合し、典型的にはADRに選択的または特異的であるL5G2D3BPは本発明の特長である。このようなADRまたはこのようなADRを含むγ2DIIIの一部に対する抗γ2DIII抗体および抗体断片などのL5G2D3BPの産生は本発明のさらなる面を表す。
明らかな配列決定エラーおよび/または他の理由で、文献(例えば、Kallunki p. et al. J. Cell Biol. (1992) vol. 119 (3) 679-693を参照)で報告されている配列番号1とは異なるLn−5についての配列をもたらしたことは当業者によって十分理解されるであろう。本明細書中に列挙されている配列番号1の任意の部分によって定義される一つ以上のADRに結合する何れのL5G2D3BPについても、配列番号1の一部によって定義されるが、配列番号1の配列をLn−5について報告されている他の配列に準拠させる変化によって修飾されたADRに結合する関連したL5G2D3BPを本発明が提供することを理解すべきである。従って、例えばLn−5の473番目の残基および/または521番目の残基を含む本明細書に記載されているADRに結合するL5G2D3BPは、473位のIle残基、および/または521位置のSer残基がそれぞれMetおよび/またはAsnと置換される修飾が施された、本質的に同一のADRに結合するL5G2D3BPについての支持を提供すると見なされるべきである。例えば、ある側面において、本発明は、Asp Glu Asn Pro Asp Ile Glu Cys Ala Asp Cys Pro Ile Gly Phe Tyr Asn Asp Pro His Asp Pro Arg Ser Cys Lys Pro Cys Pro Cys His Asn Gly Phe Ser Cys Ser Val Ile Pro Glu Thr Glu Glu Val Val Cys Asn Asn Cys Pro Pro Gly Val Thr Gly Ala Arg Cys Glu Leu Cys Ala Asp Gly Tyr Phe Gly Asp Pro Phe Gly Glu His Gly Pro Val Arg Pro Cys Gln Pro Cys Gln Cys Asn Ser Asn Val Asp Pro Ser Ala Ser Gly Asn Cys Asp Arg Leu Thr Gly Arg Cys Leu Lys Cys Ile His Asn Thr Ala Gly Ile Tyr Cys Asp Gln Cys Lys Ala Gly Tyr Phe Gly Asp Pro Leu Ala Pro Asn Pro Ala Asp Lys Cys Arg Ala Cys Asn Cys Asn Pro Met Gly Ser Glu Pro Val Gly Cys Arg Ser Asp Gly Thr Cys Val Cys Lys Pro Gly Phe Gly Gly Pro Asn Cys Glu His Gly Ala Phe Ser(配列番号2)を有する、Ln−5の435〜608番目の残基から実質的になるADRを選択的および/または特異的に結合するL5G2D3BPを記載することができ、このことは本発明が配列Asp Glu Asn Pro Asp Ile Glu Cys Ala Asp Cys Pro Ile Gly Phe Tyr Asn Asp Pro His Asp Pro Arg Ser Cys Lys Pro Cys Pro Cys His Asn Gly Phe Ser Cys Ser Val Met Pro Glu Thr Glu Glu Val Val Cys Asn Asn Cys Pro Pro Gly Val Thr Gly Ala Arg Cys Glu Leu Cys Ala Asp Gly Tyr Phe Gly Asp Pro Phe Gly Glu His Gly Pro Val Arg Pro Cys Gln Pro Cys Gln Cys Asn Asn Asn Val Asp Pro Ser Ala Ser Gly Asn Cys Asp Arg Leu Thr Gly Arg Cys Leu Lys Cys Ile His Asn Thr Ala Gly Ile Tyr Cys Asp Gln Cys Lys Ala Gly Tyr Phe Gly Asp Pro Leu Ala Pro Asn Pro Ala Asp Lys Cys Arg Ala Cys Asn Cys Asn Pro Met Gly Ser Glu Pro Val Gly Cys Arg Ser Asp Gly Thr Cys Val Cys Lys Pro Gly Phe Gly Gly Pro Asn Cys Glu His Gly Ala Phe Ser(配列番号83)を有する、Ln−5タンパク質の一部から実質的になるADRに選択的および/または特異的に結合するL5G2D3BPも提供することを(前述の点において)意味する。Ln−5の報告された配列および配列番号1における他の変異形には、1110番目の位置にあるGly残基のAsp残基による置換、および1111番目の位置にあるMet残基のGln残基による置換が含まれる。このような残基がADRの一部または配列番号1に関して本明細書で記載されている標的である場合、本発明は、このような置換を除いて同一であるこのようなADRまたは標的によって定義される本質的に同一のL5G2D3BPまたは関連した組成物も提供することが理解されるであろう。
より特異的なγ2中の抗原性決定領域の候補を同定するため、様々な予想分析方法が適用されおよび/または適用することができ、それらの例は本明細書に記載されている。
第一の分析アプローチにおいて、γ2DIIIは(1)(Kyte−Doolittle法を用いる)高度に疎水性親水性(hydropathic)指標の領域、(2)Protrusion係数方法によって測定される抗原性、(3)Parker法によって決定される抗原性、(4)Hopp/Woods法によって決定される抗原性、および(5)Goldman、Engleman、Steitzの方法によって測定される親水性について分析された。長さ10〜40個のアミノ酸にわたる配列を、これらの特性の一つ以上を示すことに基づいて選択した。この分析によって抗原性決定因子の候補として同定されたLn−5の領域は表1に提供されている。このアプローチの理論的根拠は多くの同じB細胞エピトープが親水性であり、表面に向いており、長さ約8〜10個のアミノ酸からなる柔軟な配列であるという一般的な一致である。
Figure 2007534631
この配列の特徴に関する情報は、γ2DIIIのすでに予測されたドメイン構造(例えば、LMG2_HUMANについてのUNIPRO記録を参照)および抗γ2DIIIモノクローナル抗体(mAb)で得られる実験証拠に関してさらに分析された。簡潔に述べると、Ln−5γ2DIIIはγ2III領域全体を実質的に包含する五つのEGF様ドメイン(一つの部分的なドメイン、三つの完全なドメイン、一つの部分的なドメインがN末端からC末へと配置されている)を繰り返して含む。これらのドメインのおおよその位置はそれぞれ、382〜415番目、416〜461番目、462〜516番目、517〜572番目、573〜602番目の残基である。さらに、この分析に先立って入手可能な実験的証拠によって、少なくともいくつかのγ2DIII特異的mAbsがLn−5の約430番目の位置から約460番目の位置までおよび別個に約460番目の位置から約540番目の位置によって規定される領域に結合することが実証された。従って、上述の配列分析が最も可能性の高い抗原性領域(つまりLn−5のおよそ380〜400番目、420〜460番目、520〜550番目及び560〜590番目によって規定される領域)として正しいと評価する配列以外に、Ln−5の約420〜460番目、約520〜550番目、約560〜590番目によって規定される領域は特に、有用な抗原性決定因子を定義し、または含む可能性が高い。EGF様ドメインの二つが近接していれば、517〜572番目の残基または573〜602番目の残基に特異的なLn−5γ2DIII結合ペプチドも本発明の方法において有用であると期待され、さらなる本発明の特長を提供する。これらの予想される抗原性決定領域のいずれかに特異的に結合し、特に、Ln−5の約520〜約550番目の残基および約560〜約590番目の残基によって規定される領域を特異的に結合するLn−5γ2DIII結合ペプチドは本発明の典型的な特長である。
これらの因子の点についてのLn−5γ2DIII配列のさらなる分析は、一そろいの典型的に抗原性決定領域の候補を提供し、その領域に対する特異性は本発明のLn−5γ2DIII結合ペプチドを特徴付けることができる。これらのより典型的な抗原性決定因子の候補に対応するLn−5の領域は表2に提供されている。
Figure 2007534631
上述の同定された領域の抗原特性を確認し、および/またはさらなる抗原性決定因子の候補を同定する点で、抗原性決定因子の同定に関してγ2DIIIをさらに特徴付けるため、γ2DIIIの配列をEmbossウェブサイト(http://emboss.ch.embnet.org/Pise/antigenic.html(Kolaskar et al., (1990) FEBS Letters 276: 172-174 and Parker et al., (1986) Biochemistry 25: 5425-5432を参照)から現在公共的にアクセスできるANTIGENICプログラム、およびKolaskar and Tongaonkar, FEBS Lett. 1990 Dec 10;276(1-2):172-4を使用し、http://mif.dfci.harvard.edu/Tools/antigenic.plでMolecular Immunology Foundationを通じて現在公共的に入手可能なPrediction of Antigenic Determinants ProgramなどのB細胞エピトープ予測ソフトウェアによる分析に供した。このさらなる分析を通じて、DIIIの以下の領域が推定抗原性決定因子として同定された。
Figure 2007534631
Ln−5のこれらの領域に特異的なLn−5γ2DIII結合ペプチドは、本発明の別の特長を表す。さらに、これらの配列の末端はさらなる特異的な抗原性決定領域の候補を提供するために本明細書に記載されている他の分析を通じて位置づけられる推定抗原性決定領域と比較され得る(例えば、コンピュータエピトープ推定方法による385〜399番目の残基、および多岐配列特長分析による385〜400番目の残基の同定は、385〜400番目の残基によって規定される領域、380〜399番目の残基によって規定される領域、またはその両者がLn−5γ2DIII内の適切な抗原性決定領域を規定し得ることをさらに示唆する。他の同様の比較は、さらなるADRの候補を提供するよう迅速になされることができ、これは本発明の別の特長であると考えられる。
コンピュータにより推定される抗原性配列分析によって同定された抗原性決定因子と上述の多因子配列特徴分析により同定される抗原性決定因子候補との類似性の分析は、Ln−5の約385〜400番目の残基、約440〜465番目の残基、約535〜560番目の残基、および約560〜580番目の残基に対応するLn−5γ2DIIIの領域も、Ln−5のこのような領域に特異的に結合するLn−5γ2結合ペプチドが本発明の別の特長であるように、抗原性決定因子を含有するか、又は抗原性決定因子である可能性があることを示唆する。
相対的なγ2ペプチド結合阻害研究(競合研究)は、別の抗原性領域を同定し、および/または上述の推定分析を精密化/補完できる。この点において、本発明は、例えば、γ2の392〜494番目の残基を含むγ2DIIIの一部に結合する抗γ2DIII抗体を提供する。別の側面において、本発明は、γ2の494〜555番目の残基を含むγ2DIIIの一部に結合する抗γ2DIIIを提供する。別の側面において、本発明は、γ2の461〜494番目の残基を含むDIIIの一部に結合する抗γ2DIII抗体を提供する。これらおよび他のADRは、抗γ2DIIImAbを包含する競合研究を通じて同定されてきた。
γ2抗原性決定因子の同定/特徴づけをさらに絞り込むため、Ln−5γ2の三次元モデルはラミニンγ1鎖の公知の結晶構造と、Ln−5γ2(図2参照)の構造ドメインとラミニンγ1鎖の構造ドメインとの比較に基づいて開発された。γ1とγ2中に存在するシステイン架橋は本質的に同一のパターンを有するので(図2参照)、γ2についての高い確率の成功モデルは、このようにして迅速に開発できる。この情報を用いて、マウスを免疫化するのにうまく用いられてきた392〜567番目のLn−5残基からなるγ2DIII断片のC末部分の三次元モデルは、コンピュータモデリングにより開発された(図1参照)。ヒトγ2ドメインIIIは、その後、マウスLn−5γ2ドメインIIIと配列され、エピトープの候補が同定された。これらの研究から、ペプチドの最もC末端の部分(Ln−5の460〜567番目の残基)は、エピトープの候補又はエピトープの要素として多くのアミノ酸を有することが同定された(図3参照)。特に、Tyr500(つまりTyr500)、His508、Pro516、Ser526、Arg533、His543およびIle548は、ヒトLn−5γ2DIIIに対する選択性を与える抗原性決定因子の部分を明らかにする可能性が非常に高いDIIIのこの部分内の残基として同定された。言い換えれば、モデリングと組み合わせたマウス対ヒトの配列比較によって、これらの残基の一つ以上を含むエピトープに特異的なL5G2D3BPがマウスLn−5γ2DIIIを上回るヒトLn−5γ2DIIIに対する選択性を示す可能性が極めて高いという知見をもたらした。さらに、これらの残基の位置と性質は、一般にそれらがγ2DIII抗原性決定因子に関連する要素である可能性があることを示唆している。従って、これらの残基の一つ以上を含むL5G2D3BPは本発明の重要な特長である。別の面において、本発明は、これらの残基の一つ以上およびそこから約15Å以内(例えば、そこから約10〜20Å)に位置する一つ以上の(例えば、二つ、三つ、または四つの)残基を含む抗原性決定因子に特異的および/または選択的に結合するL5G2D3BPを提供する。別の面において、本発明は、これらの残基のうちの一つおよび典型的なエピトープ領域内に位置する一つ以上の残基に結合するL5G2D3BPを提供する(例えば、関連する議論については、Graille M. et al, Structure (2001) vol. 9 (8) p. 679-87を参照)。上述のように、いずれのL5G2D3BPに対する「エピトープ領域」も、実際の接触領域及び結合されたL5G2D3BPによって他の結合分子が立体障害へ供される領域の双方を含む。
実験的な証拠(例えば、一つ以上の抗原性決定因子の候補がLn−5の391〜461番目、391〜434番目、または434〜461番目の残基によって規定される領域中に位置し、一つ以上の他の抗原性決定因子の候補がLn−5の494〜555番目または494〜567番目の残基によって規定される領域に位置したことを示す証拠)、配列分析、エピトープ推定、および三次元モデリングとペプチドホモログの比較研究からの情報を総合すると、L5G2BPに対する標的と思われるγ2の多くの領域が浮かび上がる。
これらの領域内では、特定のアミノ酸残基は、他のアミノ酸残基よりも、L5G2D3BP結合に寄与する可能性が高い。典型的には、荷電したアミノ酸残基(例えば、LysおよびGlu)と疎水性アミノ酸(Ala、Leu、Tyr、Phe、およびVal)は抗体または他のL5G2D3BP結合に重要である可能性はさらに高い。これに対して、Cys残基は、典型的には、エピトープの決定的な要素ではない。エピトープは抗原の表面上に広がることはできるが、数個の残基または単一の残基がエピトープのパラトープ/CDR結合にとって極めて重要でありうるのに対し、他の残基はL5G2D3BPとエピトープの相互作用の親和性および/または結合活性にあまり本質的な役割を果たしていないかもしれないことに留意することが重要である。
上述のことを留意しながら、ある側面において、本発明は、Ln−5の約500番目の位置から550番目の位置に対応するLn−5の領域に特異的に結合するLn−5γ2DIII結合ペプチドを提供する。このような領域を特異的に結合するLn−5γ2DIIIペプチドは、γ2DIII(例えば、mAb4G1)またはγ2(例えば、mAbGB3および/またはmAbD4B5)の別の領域に特異的なLn−5γ2DIII結合ペプチドよりも、上皮由来癌細胞(上皮癌細胞)などの上皮細胞由来の細胞の移動を低下させる能力が優れていることがある。このような側面に係るLn−5γ2DIII結合ペプチドも、Ln−5のこの領域に対してmAb4G1によってもたらされるレベルより有意に高い相対的阻害レベルでmAb5D5および/またはmAb6C12と競合すると特徴付けられ得る。より具体的な抗原性決定因子を含有し、又はより具体的な抗原性決定因子に対応する可能性が高いγ2DIIIのこの領域の典型的な副領域は表4に記述されている。
Figure 2007534631
さらなる側面において、本発明は、Tyr500、His508、Pro516、Ser526、Arg533、His543、Ile548、またはこれらの二つ以上を含む任意の連続したアミノ酸残基配列の組み合わせを含むこれらの領域のいずれかに従って、Ln−5の一部に特異的に結合する抗体を提供する。これら五つの特異的に同定された残基の近くに位置する抗原性残基の候補は、このようなエピトープまたは抗原性決定領域中に含まれてもよく、L5G2D3BP結合に寄与し得る。これらの残基にはPhe501(Tyr500に関して)、Glu507(His508に関して)、Ala527(Ser526に関して)、Leu532(Arg533に関して)、およびTyr549(Ile548に関して)が含まれる。図1および図2に提供されるγ2DIIIの構造を考慮すると、他の近くの残基の同様の分析は、これらの配列を有するエピトープに寄与し得る近くのさらなる残基(その約15Å以内)を同定するのに使用され得る。
特別な側面において、本発明は、Tyr500およびPro516を含む構造上のエピトープなどのエピトープに特異的に結合するL5G2D3BPを提供する。このような側面において、エピトープはまた、例えばPhe501も含み得る。
別の特定の側面において、本発明は、His508を含む構造上のエピトープなどのエピトープに特異的および/または選択的に結合するL5G2D3BPを提供する。このようなL5G2D3BPは、Arg533も含むエピトープを特異的に結合し得る。このようなL5G2D3BPは、Glu507および/またはLeu532を含むエピトープを結合し得る。
さらに特別な側面において、本発明は、Ser526を含むDIIIの領域を特異的に結合するL5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、Ser526含有エピトープがさらにAla527を含み得るL5G2D3BPを提供する。
前段落において同定される領域は抗γ2DIII抗体/L5G2D3BP結合に特異的な一つ以上のエピトープを含むことができる。推定データおよび/または実験証拠は、抗L5G2D3Abおよび他のL5G2D3BPに対するエピトープから実質的になり、それを含むか、またはそれに対応するようなものとして、Ln−5のこれらおよび他の領域を選択することを指摘している。
460〜567番目の残基によって定義されるLn−5の領域に関して上述されているような配列比較分析および配列間分析(マウス対ヒト―例えば、図2参照)も、γ2DIIIのよりN末端部分に関して実行され、抗原性決定因子の一部を形成する可能性が高い多くのさらなるアミノ酸残基の同定をもたらし、また、マウスDIIIを上回るヒトLn−5γ2DIIIに対する選択性(例えば、本明細書の他の箇所で記載されているようなものなどの競合分析または直接親和性測定比較などの他の適切な方法によって決定されてもよい)を与え得る。具体的には、この分析の結果によって、Ln−5γ2DIIIエピトープの構成体である可能性が極めて高い成分として、及びDIIIのこの領域中のヒトγ2DIIIについての選択性決定因子として、(個々にまたは総合して)Asp395、Thr412、Ile414、Cys442が挙げられる。重ねて、実験データとの比較、上述の多い項目に特徴付けられた分析に基づいた配列データ、配列分析によって同定される推定されたエピトープ、Ln−5γ2DIIIの構造要素によって、Ln−5のこの領域における抗原性決定配列および/または構造を含む可能性がある多くの領域が同定される。これらの残基の近くに存在するさらなる抗原性に関与する残基または抗原性を与える残基の候補には、Phe410(Thr412の近くにある)、Glu441およびAla443(両者ともCys442の近くにある)がある。このような残基のいずれか一つまたはそれらの組み合わせを含むLn−5の領域またはこのような残基を含む配列に特異的なL5G2D3BPは本発明の別の側面である。この分析から生じる典型的な側面には、このグループの他の因子を持たずに(例えば、Cys442を持たない)、Asp395およびThr412、Asp395およびIle414;Thr412およびIle414;Asp395、Thr412、およびIle414;またはAsp395、Thr412、Ile414のいずれか一つを含む構造的エピトープなどのエピトープに対して特異的なL5G2D3BPが含まれる。
同様の戦略はLn−5γ2DIIIの多くの領域を同定するために利用され、これは抗原性決定因子の前述の開示と重複してもよく、又は重複しなくてもよい。様々な特長および側面の記述を通じて本発明をさらに解明する目的のため、Ln−5γ2DIIIの特に可能性が高いおよび/または確認された抗原性決定領域に対する特異性および/または選択性によって特徴付けられる多くの典型的なL5G2D3BPは次の段落において記載されている。
あるこのような典型的な側面において、本発明は、γ2の約395〜445番目の残基によって少なくとも部分的に規定されるLn−5の領域に特異的に結合するLn−5γ2DIII結合ペプチドを提供する。この領域内に含まれるLn−5抗原性決定因子の候補には、Ln−5γ2の395〜442番目、385〜399番目、385〜400番目、385〜442番目、390〜460番目、391〜461番目、391〜460番目、386〜400番目、382〜407番目、385〜395番目、400〜440番目、400〜420番目、425〜440番目の残基によって規定される領域が含まれるが、これらには限定されない。
特に典型的な側面において、本発明は、約395番目から約414番目までの残基(例えば、394〜414番目の残基)によって少なくとも部分的に規定されるLn−5γ2のある領域に特異的に結合するL5G2D3BPを提供する。本発明者らは、このような領域が、γ2DIIIを結合することが実証されているmAb4G1に対する抗原性決定因子と関連していることを決定した。従って、本発明は、Ln−5γ2のこの領域を特異的および/または選択的に結合する抗γ2DIIIキメラ、ヒト化、または完全にヒトのモノクローナル抗体などのL5G2D3BPを提供する。
本発明の他の典型的な見解には、Ln−5γ2の412番目から442番目までの領域によって少なくとも部分的に規定されるLn−5γ2中の領域に結合するL5G2D3BPが含まれる。このような一つの側面において、本発明は、Ln−5の415〜440番目、411〜420番目、409〜418番目、420〜460番目または435〜460番目の残基によって規定されるLn−5γ2の領域に特異的に結合するL5G2D3BPを提供する。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2の412番目の残基と414番目の残基を含むLn−5エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
さらに別の側面において、本発明は、Cys442を含むエピトープを含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、Cys442または、結合したときにCys442へのアクセスを封鎖する構造上のエピトープを包含する直鎖状エピトープを含むL5G2D3BPを提供する(このようなエピトープは、Glu441および/またはAla443を含んでもよい)。このような一つの側面において、本発明は、Ln−5γ2の約439〜447番目、441〜449番目、442〜460番目、420〜442番目、または450〜460番目の位置によって規定される領域に特異的に結合するL5G2D3BPを提供する。このような側面に係るL5G2D3BPは、Cys442を包含する他のペプチド、小分子、細胞、構造または材料へのLn−5の結合を遊離に低下させ得る。
別の面において、本発明は、Ln−5γ2の蝶番領域中に一つ以上の残基を含むアミノ酸配列に特異的な抗γ2DIII結合ペプチドを提供する。この側面にしたがった典型的なL5G2D3BPは、Ln−5γ2の約600番目の位置から約620番目の位置まで(例えば、602〜620番目、608〜620番目、602〜612番目、602〜611番目、608〜620番目、608〜612番目、608〜613番目、607〜612番目、607〜613番目等)によって規定される領域を特異的に結合する。
別の側面において、本発明は、γ2DIIIタンパク質分解切断部位と重なるLn−5γ2の領域に特異的なLn−5γ2DIII結合ペプチドを提供する。例示的な側面において、例えばLn−5γ2の412〜442番目の残基、414〜442番目の残基、420〜442番目の残基、420〜435番目の残基、414〜435番目の残基、412〜435番目の残基、433〜442番目の残基、430〜442番目の残基、432〜443番目の残基によって規定される領域など、その約410番目から約445番目までによって規定されるLn−5γ2の領域に特異的なL5G2D3BPが含まれる。
しかしながら、Ln−5の434番目の残基に存在するプロセッシング部位の下流にあるドメインIIIの494〜534番目の残基によって規定される領域に特異的な抗体が、前記プロセッシング部位(例えば、391〜461番目の残基)を貫くエピトープをターゲットにする抗体と比べて、細胞移動の阻害に対してより大きな効果を有しうることを実験証拠は示す。このデータは、約434番目の残基にある切断部位に対して下流にあり、細胞移動の低下と関連して、タンパク質分解プロセッシングが生じた後のラミニン5分子の一部として残っている(他の側面では、プロセッシング部位にわたる領域を標的化することはより有利であり得る)。ドメインIIIの特異的領域内に含まれる配列の優先的な標的化を支持する。本明細書で記載されている抗体の場合と同様に、このような抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体でありうるが、典型的にはモノクローナル抗体である。このような抗体はヒト化された抗体、完全なヒト抗体またはマウス型の抗体でありうる。このような領域に対して特異的な非抗体L5G2D3BPも本発明の方法で用いられることができ、および/または本発明の組成物中に組み込まれることができる。本明細書の他の箇所で記載されているように、本発明の具体的に記載されている任意のL5G2D3BPの組み合わせも、例えば、プロセッシング部位の下流の領域に特異的な抗体、およびこのような方法または組成物におけるプロセッシング部位の近くの領域またはプロセッシング部位を包含する領域に対して特異的な抗体を含むことが可能でありうるように、本明細書に記載されている組成物および方法に有用に含まれることができる。
本発明の別の特長は、約495番目の位置から約590番目の位置(例えば、494〜590番目の残基)によって定義されるγ2の一部に特異的に結合する抗体である。別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約495番目の位置から約570番目の位置まで(例えば、494〜572番目の残基、494〜567番目の残基等)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。このような結合特異性を有する非抗体L5G2D3BPも提供される。
さらに別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約495番目の位置から約550番目の位置によって規定される領域(例えば、γ2の494〜549番目の残基によって規定される領域などの494〜550番目の残基によって規定される領域、γ2の533〜555番目の残基または535〜557番目の残基によって規定される領域などの約530番目の位置から約550番目の位置によって規定される領域)におけるγ2ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。例えば、本発明は、Ln−5γ2の約495番目の位置から約545番目の位置によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。さらに特定の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約495番目の位置から約530番目の位置まで(例えば、Ln−5γ2の494〜534番目の残基によって規定される領域)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。別の典型的な側面において、本発明は、γ2の約500番目の位置から約550番目の位置まで(例えば、500〜545番目の残基、500〜548番目の残基、または500〜549番目の残基によって規定される部分)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。このような結合特異性を有する非抗体L5G2D3BPも本発明によって提供される。
本発明は、ある典型的な側面において、Ln−5γ2の約510番目の位置から約545番目の位置によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体も提供する。例えば、本発明は、Ln−5γ2の約510番目の位置から約535番目の位置によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。より具体的な側面において、本発明は、Ln−5γ2の約510番目から約520番目までによって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。さらに別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約525番目の位置から約545番目の位置によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。Ln−5γ2の約525番目の位置から約535番目の位置によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体は、本発明の別の典型的な特長である。さらに別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約535番目の位置から約545番目の位置によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。このような結合特異性を有する適切な非抗体L5G2D3BPは代替物としての役割を果たすことができ、それにより本発明のさらなる特長を形成する。
さらに別の側面において、本発明は、γ2の約560番目から約600番目の位置までの少なくとも一部(例えば、568〜575番目の位置、570〜577番目の位置、560〜579番目の位置などの約570〜約590番目の位置、587〜595番目の位置、589〜597番目の位置などの約590〜約600番目の位置等)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。このような特異性を有する非抗体L5G2D3BPは本発明のさらなる特長である。
Ln−5γ2の約460番目の位置から約610番目の位置までの少なくとも一部(例えば、約460番目の位置から約495番目の位置によって規定される領域、462〜608番目の残基によって少なくとも部分的に規定される領域、462〜602番目の残基によって規定される領域等)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体およびL5G2D3BPも本明細書に記載されている本発明の方法の実行に有用であり得る。従って、このような抗体(または他のL5G2D3BP)およびこのような抗体(または他のL5G2D3BP)を含む組成物は本発明のさらなる特長である。より特定の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約460番目の位置から約600番目の位置によって、少なくとも部分的に、規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。さらなる典型的な側面において、本発明は、Ln−5の約460番目の位置から約590番目の位置まで(例えば、462〜590番目の残基)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。Ln−5の約460番目の位置から約570番目の位置(例えば、462〜572番目の残基又は462〜567番目の残基)によって、少なくとも部分的に、規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体は、本発明の別の特長である。例えば、本発明は、Ln−5の約460番目の位置(例えば、450番目、455番目、458番目、461番目、462番目、465番目等の位置)から約550番目の位置(例えば、545番目、547番目、548番目等の位置)によって、少なくとも部分的に、規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。本発明の別の典型的な側面は、Ln−5γ2DIIIの約460〜530番目の残基(例えば、462〜534番目の残基)によって、少なくとも部分的に、規定される領域におけるLn−5γ2DIIIの一部を特異的に結合する抗γ2抗体であり、さらに別の見解は、γ2の約465〜500番目の残基(例えば、476〜498番目の残基または478〜500番目の残基などの462〜502番目の残基または約480〜500番目の残基)によって規定される領域を特異的に結合する抗体である。別の側面において、本発明は、約455〜465番目の残基(例えば、Ln−5γ2の457〜467番目の残基、Ln−5γ2の445〜460番目の残基等)によって、少なくとも部分的に、規定される領域を特異的に結合する抗体を提供する。本明細書では、適切な他のL5G2D3BPを、このような特長を有する抗体に代えて使用されることができる。
特定の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約460番目の位置から約525番目の位置(Ln−5γ2の約460番目の位置から約515番目の位置など(例えば、Ln−5γ2の507〜521番目の残基または509〜523番目の残基などのLn−5の約490〜510番目の残基または510〜525番目の残基によって規定される領域))によって少なくとも部分的に規定される領域中のLn−5の一部に特異的に結合する抗体または他のL5G2D3BPを提供する。特定の側面において、本発明は、この領域中のLn−5の一部に結合する抗体または他のL5G2D3BPであって、前記領域がLn−5γ2のTyr500、Ln−5γ2のPro516、またはその両者を含む抗体または他のL5G2D3BPを提供する。例えば、本発明は、Ln−5γ2の462〜516番目の残基によって、少なくとも部分的に規定されるLn−5の一部に結合する抗体または他のL5G2D3BPを提供する。
γ2の約520番目の位置から約550番目の位置によって、少なくとも部分的に、規定されるLn−5の一部に結合する抗体などの、γ2の約520番目の位置から約570番目の位置まで(例えば、517〜572番目の位置によって定義されるLn−5γ2の一部)によって、少なくとも部分的に規定される領域中のLn−5γ2DIIIの一部に特異的に結合する抗体および他のL5G2D3BPも、本明細書に記載されている本発明の方法および組成物における有用な構成要素でありうる。このような抗体、他のL5G2D3BP、およびこのような抗体および/またはL5G2D3BPを含む組成物は、本発明のさらなる特長である。より特定の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約525番目の位置から約545番目の位置によって、少なくとも部分的に、規定される領域におけるLn−5γ2の一部に結合する抗体またはL5G2D3BPを提供する。さらなる典型的な側面において、本発明は、Ln−5γ2の約525〜535番目の、または約535〜545番目の残基によって、少なくとも部分的に、規定される領域中のLn−5の一部に特異的に結合する抗体またはL5G2D3BPを提供する。別の特定の側面において、本発明は、Ser526、Arg533、His543またはそのいずれかの組み合わせ(例えば、Ser526およびArg533、Arg533およびHis543)を含むLn−5γ2の領域に結合する抗体を提供する。
Ln−5γ2の約380〜約570番目の位置によって規定される領域(例えば、Ln−5γ2の382〜567番目の位置によって規定される領域)、またはLn−5γ2の約380〜460番目の残基(例えば、約382〜407番目、約385〜395番目の残基、約390〜570番目の残基(例えば、391〜567番目の残基)によって規定される領域)、約395〜445番目の残基(例えば、395〜442番目の残基)、約385〜445番目の残基(385〜442番目の残基、395〜442番目の残基、等)、約385〜400番目(386〜400番目の残基、385〜399番目の残基、386〜399番目の残基、等)、約395〜445番目の残基(例えば、395〜442番目の残基、395〜414番目の残基、395〜412番目の残基)、またはγ2の約400〜420番目の残基(例えば、409〜418番目の残基、411〜420番目の残基等)によって規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗体および他のL5G2D3BPも、さらに又は代替的に、本発明の方法を実行する上で有用であり得る。このような抗体およびこのような抗体を含む組成物は本発明の特長である。
別の典型的な側面において、本発明は、Ln−5γ2の約380〜約570番目の位置によって、少なくとも部分的に、規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約390〜570番目の位置によって少なくとも部分的に規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。さらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2の約395〜約450の位置によって、少なくとも部分的に、規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。それに代わる側面において、本発明は、Ln−5γ2に対するこのような特異性を呈する非抗体L5G2D3BPを提供する。
別の典型的な側面において、本発明は、γ2の約395〜445番目の位置によって、少なくとも部分的に、規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部を特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。さらなる側面において、本発明は、γ2の約395〜415番目の位置(例えば、395〜414番目の残基、395〜412番目の残基等によって規定される領域)によって少なくとも一部規定される領域に結合する抗γ2抗体を提供する。別の側面において、本発明は、γ2の約410〜445番目の位置によって規定される領域(例えば、412〜442番目、414〜442番目等の残基によって規定される領域)におけるLn−5の一部に結合する抗γ2抗体を提供する。ある側面において、本発明は、Ln−5γ2のAsp395を含む、Ln−5のこのような領域に結合する抗体を提供する。別の側面において、本発明は、さらにまたは代替的に、Thr412、Ile414、またはその両者を含む領域に結合するこのような抗体を提供する。さらなる側面において、本発明は、前記領域が、さらに又は代替的にLn−5γ2のCys442を含むこのような抗体を提供する。別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の412〜414番目の残基を含むエピトープに結合する抗体を提供する。このような結合特異性を有する非抗体L5G2D3BP、および本明細書で記載されている本発明の方法におけるこのようなL5G2D3BPの使用は本発明のさらなる特長である。
Ln−5γ2の約420〜460番目の位置によって規定される領域中でLn−5γ2の一部に特異的に結合する抗体も本明細書に記載されている本発明の方法の実施において有用であり得る。このような抗体およびこのような抗体を含む組成物は、本発明のさらなる特長である。より特定の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約420〜460番目の位置によって少なくとも部分的に規定され、Ln−5γ2のCys442を含むLn−5γ2領域に特異的に結合する抗体を提供する。別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約430〜約460番目の位置によって少なくとも部分的に規定されるLn−5γ2の一部に特異的に結合する抗体を提供する。より特定の側面において、本発明は、前記部分がLn−5γ2のCys442を含む、このような抗体を提供する。このような結合特異性を有する非抗体L5G2D3BPは本発明のさらなる特長である。
Ln−5γ2の約435〜約608番目の位置(例えば、435〜602番目の残基、443〜602番目の残基、442〜602番目の残基、444〜602番目の残基、等)によって規定される領域中でLn−5γ2の一部に特異的に結合する抗体も本発明の組成物において、および本明細書に記載されている本発明の方法を実施する上で有用な構成要素でありうる。このような抗体およびこのような抗体を含む組成物は本発明のさらなる特長である。典型的な側面において、本発明は、Ln−5γ2の約435〜約590番目の位置によって、少なくとも部分的に規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。別の典型的な側面において、本発明は、Ln−5の約435〜約550番目の位置によって、少なくとも部分的に規定される領域中で、γ2、ドメインIIIの一部に特異的に結合する抗γ2抗体を提供する。Ln−5の約435〜約535番目の位置(例えば、435〜534番目、442〜533番目、442〜526番目、442〜516番目、442〜508番目、442〜500番目等の位置)によって、少なくとも部分的に規定される領域中でLn−5の一部を特異的に結合する抗体。より特定の側面において、本発明は、前記部分がLn−5のCys442を含む、この段落で記載されている部分のいずれかに特異的に結合する抗体を提供する。さらなる側面において、本発明は、本明細書で記載されている結合特異性のいずれかを有する非抗体L5G2D3BPを提供する。
約435〜約455番目の位置(例えば、435〜450番目、435〜442番目等)によって、少なくとも部分的に、規定される領域中でLn−5γ2の一部に特異的に結合する抗体は、本明細書に記載されている本発明の方法において有用であり得る。このような抗体およびこのような抗体を含む組成物は本発明のさらに別の特長である。ある側面において、本発明は、Ln−5γ2のCys442を含むLn−5γ2の一部に特異的に結合する、このような抗体を提供する。Ln−5γ2の約435〜455番目の位置によって規定される領域中でLn−5の一部に特異的に結合する抗体は本発明の別の特長である。ある側面において、このような抗体はLn−5γ2のCys442を含むLn−5の一部を特異的に結合する。
異なる側面において、本発明は、Ln−5γ2の約380〜約420番目の位置によって少なくとも部分的に規定される領域(例えば、382〜415番目の位置によって規定される領域、394〜414番目の位置によって規定される領域、395〜412番目の位置によって規定される領域、等)中でLn−5の一部を特異的に結合する抗体を提供する。別の側面において、本発明は、γ2の約380〜400番目の位置によって少なくとも部分的に規定される領域(例えば、Ln−5γ2の382〜395番目の位置によって規定される領域)中でLn−5の一部を特異的に結合する抗体を提供する。このような結合特異性を有する非抗体L5G2D3BPも本発明の特長である。
別の側面において、本発明は、Ln−5γ2の約395〜420番目の位置によって少なくとも部分的に規定される領域(例えば、Ln−5γ2の395〜415番目の位置、395〜416番目の位置、または395〜414番目の位置によって規定される領域)中でLn−5の一部に特異的に結合する抗体または他のL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、約560〜約570番目の位置によって規定される領域など、Ln−5γ2の約560〜約590番目の位置によって規定される領域又はLn−5γ2の約550〜約570番目の位置によって規定される領域(例えば、548〜570番目、548〜567番目、等の位置によって規定される領域)などの、Ln−5γ2の約550〜590番目の位置によって規定される領域中でLn−5γ2の一部に特異的に結合する抗体または他のL5G2D3BPを提供する。ある側面において、本発明は、前記領域のN末端がLn−5γ2のIle548であり、またはその近くにある(例えば、Ln−5γ2の2〜3個のアミノ酸残基内)、このような領域の何れかに結合する抗体または他の結合タンパク質を提供する。
まださらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2の約415〜約460番目の位置によって、少なくとも部分的に、規定される領域(例えば、Ln−5γ2の412〜462番目、414〜462番目、416〜461番目、412〜440番目、414〜440番目、415〜440番目、420〜460番目、420〜440番目、425〜440番目、420〜462番目、435〜462番目、435〜460番目、412〜444番目、414〜444番目、411〜444番目、411〜443番目、411〜442番目、410〜444番目、410〜443番目、410〜442番目、420〜445番目、435〜444番目、435〜443番目、435〜442番目、または約440〜450番目、等の位置(例えば、439〜447番目および441〜449番目の位置)によって規定される領域)中でLn−5γ2の一部に結合する抗体または他の結合タンパク質を提供する。別の特定の典型的な側面において、このような抗体または結合タンパク質はLn−5γ2の約415〜約445番目の位置(例えば、Ln−5γ2の約415〜440番目の位置)によって、少なくとも部分的に規定される領域に特異的に結合する。 より特定の側面において、本発明は、前記部分がLn−5γ2のCys442を含む、このようなLn−5γ2の一部に結合する抗体または他の結合タンパク質を提供する。
別のさらなる側面において、本発明は、γ2の約575〜約600番目の位置によって少なくとも一部規定される領域(例えば、γ2の573〜602番目の残基によって規定される領域)中でLn−5の一部に結合する抗体または他のLn−5結合タンパク質を提供する。
まださらなる側面において、本発明は、任意の適切な形態で(例えば、環化ペプチド、直鎖ペプチド断片、融合タンパク質の一部、またはγ2単独若しくは他のLn−5鎖と会合したγ2の一部として)提示されることができる、配列番号2〜21および82のうちの一つから実質的になる配列に特異的におよび/または選択的に結合するL5G2D3BPを提供する(このような各配列に特異的および/または選択的に結合する能力は本発明の個々の側面を表す。)。このようなL5G2D3BPは、例えば、免疫複合体または他の抗体誘導体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体、または抗体断片でありうる。
γ2の特定の領域に基づいた本発明の抗体および他の結合タンパク質の特徴づけは、例えば、遊離γ2、DIIIのみ若しくはDIIIおよびN末端および/またはC末端の近接する配列、のいずれかを含むγ2の断片、γ2ヘテロ二量体若しくはヘテロ二量体断片、若しくはヘテロ三量体Ln−5またはその断片に関して、任意の適切な場面でγ2へ適用できることが自明であろう。また、このような領域は、非相同性タンパク質との組み合わせた二つ以上のLn−5鎖および/またはγ2によって提示される高次構造上のエピトープに関してなど、抗原性決定因子の一部だけを規定し得ることも自明であろう(従ってこのような抗原性決定領域は特異的結合標的を少なくとも部分的に規定するということができる。)。しかしながら、典型的には、このような領域は、本明細書で特異的に記載されている非重複抗原性決定領域から得られる独立の抗原性決定領域を、それらが直鎖エピトープ、高次構造エピトープ、またはその両者を含むと、含まないとにかかわらず規定するであろう。従って、ある側面において、本発明は、本明細書に記載されているγ2の特異的に規定された抗原性決定領域のいずれかに特異的なL5G2D3BPを特に提供する(つまり、他の非連続領域または他の鎖および/または非相同性タンパク質のアミノ酸を含まない。)。
別の側面において、本発明は、Ln−5γ2DIII中に少なくとも部分的に(典型的には完全に)含まれ、一以上の非連続なエピトープに特異的に結合する抗体、抗体断片、抗体関連ペプチド(例えば、二重特異性抗体)及びそれらの誘導体、などのペプチドに関する。非連続なエピトープとは、典型的には、ペプチドの一次配列(つまりペプチドの折りたたまれる前)中の、二つ以上又はときには数個を超えるアミノ酸残基によって、互いに分離されている二つ以上のアミノ酸残基によって規定されるエピトープである。非連続なエピトープはまた、しばしば不連続な、非連続の、非直鎖の、非連続的な、重合された、構造上の、高次構造上の、または高次構造依存性のエピトープとも呼ばれる。例えば、高次構造上のエピトープ、高次構造特異的エピトープ及び非連続なエピトープという用語は、本明細書において同意語として用いられる。
本発明の一つの特長は、一つ以上の相補性決定領域(CDR)、CDRの組み合わせ、またはLn−5γ2のTyr500およびPro516を含むヒトラミニン−5γ2非連続的エピトープを特異的に結合する能力を与えるパラトープを含む、抗γ2DIII抗体などのLn−5γ2DIII結合ペプチドである。ある側面では、前記エピトープがLn−5γ2のArg533も含む、このようなペプチドが提供される。別の側面では、前記エピトープは、さらにまたは代替的に、Ln−5γ2のSer526も含む。
本発明の別の面はLn−5γ2のTyr500およびHis508を含むヒトラミニン−5γ2構造エピトープを特異的に結合するLn−5γ2DIII結合タンパク質である。より具体的な側面において、前記エピトープはLn−5のArg533、Ln−5γ2のSer526、またはその両者も含む。別の側面において、本発明は、Tyr500、Pro516、Arg533、Ser526及びHis508の一つ以上を含むLn−5γ2上で少なくとも部分的に形成される高次構造的エピトープに対して特異的であるL5G2D3BPを提供する。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2のTyr500およびTyr500の約15Å内(例えば、このアミノ酸残基のいずれかの側で、Tyr500から約10〜20Åまたは約5〜10Å)に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
さらに、本発明は、Ln−5γ2のHis508およびその約15Å内にある一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
本発明は、またLn−5γ2のArg533およびその約15Å内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPも提供する。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5のHis508およびその約15Å内に位置する二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるアミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2のHis543およびその約15Å内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2のIle548およびその約15Å内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
(I)Ln−5γ2のAsp395および(II)(a)Ln−5γ2のThr412、(b)Ln−5γ2のIle414、または(c)Ln−5γ2のThr412およびIle414を含むヒトラミニン5γ2の非連続的エピトープを特異的に結合するL5G2D3BPも本発明によって提供される。さらなる側面において、このようなL5G2D3BPはCys442を含む高次構造的エピトープを特異的に結合することによって特徴づけられる。別の側面において、このようなL5G2D3BPは、Cys442へのアクセスがL5G2D3BPによって効果的に遮断されるように(言い換えれば、Cys442がL5G2D3BPのフットプリント内にある)、Cys442またはCys442に近接した残基(例えば、Glu441、Ala443、またはその両者)に結合することによって特徴づけられる。後者の場合において、エピトープはCys442を含むが、Cys442は、Cys442がエピトープの免疫優性成分ではないと考えることができるように、エピトープに対するL5G2D3BPの結合活性に有意には関与しない。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2のAsp395およびその約15Å内にある一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたは七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
本発明は、さらに、Ln−5γ2のIle414およびその約15Å内にある一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、Ln−5γ2のThr412およびその約15Å内にある一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
まださらなる側面において、本発明は、Ln−5γ2のCys442およびその約15Å内にある一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つのさらなるLn−5アミノ酸を含む高次構造特異的エピトープに結合するL5G2D3BPを提供する。
本発明のさらなる特長は、Ln−5γ2のIleおよび/またはThr412を含む高次構造的エピトープに特異的に結合するL5G2D3BPである。より特定の側面において、本発明は、前記エピトープがIle414および/またはThr412の約15Å内にある一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれより多いLn−5アミノ酸残基を含む、このようなL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、Cys442および、Ile414、Thr412、またはIle414とThr412の両者を含む構造上のエピトープを含むL5G2D3BPを提供する。
本発明の別の特長は、Ln−5γ2の約415〜約516番目の位置(例えば、494〜516番目の残基)により規定される領域内にある一つ以上のアミノ酸残基、およびLn−5γ2の約539〜555番目の位置(例えば、539〜552番目の残基)により規定される領域内に位置する一つ以上のアミノ酸残基によって規定される構造上のエピトープに特異的に結合するL5G2D3BPである。ある側面において、本発明は、517〜540番目の残基よりも有意に高い親和性および/または結合活性を持つ494〜516番目の残基および539〜552番目の残基に特異的に結合するL5G2D3BPを提供する。
本明細書にさらに記載されているように、本明細書で記載されている抗原性決定因子/エピトープのいずれかに結合する抗体の産生は本発明の別の特長である。従って、例えば、ある側面において、本発明は、γ2DIIIにおける抗原性決定因子に結合し且つγ2DIIIへの結合に関してmAb5D5および/またはmAb6C12と競合し、前記抗原性決定因子が上述の選択性を与える残基のうちの一つ(例えば、Tyr500、Pro516、Arg533、Ser526、および/またはHis508)を含み、mAb5D5および/またはmAb6C12よりも前記抗原性決定因子に対してさらに特異的であり、および/またはmAb5D5および/またはmAb6C12よりも高い親和性でADRに結合する、ヒト化された抗体または完全なヒト抗体(または関連する抗体断片またはそれらのいずれかの誘導体)を産生するための方法を提供する。
本発明の別の側面において、一つ以上のCDRを含み、及びγ2DIII結合と関連したさらなる関連配列を必要に応じて含むL5G2D3BPが提供される。この側面において、これらの抗体に対するCDRに(正確に又はほぼ正確に)対応するマウス抗DIIImAb4G1、5D5及び6C12の領域は、さらなるCDR配列の候補を同定するために同し、比較されてきた(例えば、図11〜15および実施例6参照)。このようなCDRおよびCDRバリアントを含むペプチドは本発明の有利な特長である。望ましくは、このようなペプチドは(例えば、典型的には、CDRまたは(CDR変異体の場合には)関連CDRと正常に会合したフレームワーク配列/残基の変異形である十分なフレームワーク配列/残基を保持することによって)十分なCDR配列および適切な構造を有し、少なくとも有意な比のLn−5γ2DIIIに対する親和性、特異性および/または選択性を適宜mAb4G1、5D5、および6C12として保持する。これらの「親」CDR配列に関連した十分な量の機能的CDR変異形を含むL5G2D3BPは、適宜、mAb4G1、5D5、または6C12によって認識されるエピトープに対して、より大きな特異性、選択性、および/または親和性を実際に呈することは可能であり得る。このようなL5G2D3BPは元のままで修飾されていない親CDR配列を含むこれらのマウス抗体またはキメラ抗体より、ヒトの患者における免疫反応を誘導する度合いが低い場合もありうる。さらに、これらの様々なCDRおよび/またはCDR変異形は本明細書で記載されている二重特異性抗体および他の抗体様ペプチドにおいて組み合わされることができ、独特で有用な特長を有するさらなるL5G2D3BPを提供する。
従って特に典型的な側面において、本発明は、配列番号24、配列番号25または配列番号26から実質的になるVL CDR−1配列、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号65、配列番号66または配列番号67から実質的になるVL CDR−2配列、配列番号32、配列番号33または配列番号34から実質的になるVL CDR−3配列、配列番号36、配列番号37または配列番号38から実質的になるVH CDR−1配列、配列番号40、配列番号41または配列番号42から実質的になるVH CDR−2および/または配列番号44、配列番号45および/または配列番号46から実質的になるVH CDR−3配列を含むL5G2D3BPを提供する。
別の典型的な側面において、本発明は、(VH CDRを含み、およびフレームワーク残基などの会合された配列を必要に応じて含む)VH配列、(同様にVL CDRを含み、会合された配列を同様に必要に応じて含む)VL配列、または一つ以上のmAb4G1、mAb5D5及びmAb6C12のVH配列および/またはVL配列に実質的に対応する(即ち、それらのVH配列および/またはVL配列と同じ配列から実質的になる)その両者を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、このようなVL配列および/またはVH配列の変異形を、さらに又は代替的に含むL5G2D3BPを提供する。このような配列を含む典型的なL5G2D3BPは本明細書の他の箇所で記載されている。
ある側面において、本発明は、配列番号24、28及び32からそれぞれ実質的になる完全なセットのVL CDR(VL CDR1、CDR2およびCDR3)を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、それぞれ、配列番号36、40(または65)および44から実質的になる完全なセットのVH CDR(VH CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むL5G2D3BPを提供する。本発明のより具体的なの特長は、(a)独立に、LDBGP中で互いに近接する(例えば、野生型抗γ2DIII抗体中のVL CDRの間隔に近い)配列番号24、28、32から実質的になる三つのVL CDRおよび(b)互いに近接して配列番号36、40(または65)、44から実質的になる三つのVH CDRを含むLDBGPである。このような側面に関する一つのバリエーションにおいて、本発明は、L5G2D3BPのVL領域とVH領域(または含まれるVL CDRとVH CDR)の間に位置する柔軟なリンカーを含むL5G2D3BPを提供する。別のバリエーションにおいて、本発明は、前記VL領域およびVH領域が免疫グロブリン折りたたみタンパク質に関して分離した鎖の上に提示され、並びにγ2DIII上の抗原性決定因子を選択的および/または特異的に結合することに協調的に関与するようにVL CDR1、CDR2、CDR3およびVH CDR1、CDR2、CDR3が配向された、L5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、L5G2D3BPが二つの同一の抗原性決定因子結合部位を含むように、2セットの可変ドメイン(会合された個別の鎖上の会合されたVLドメインおよびVHドメインのセット)を含むL5G2D3BPを提供する。この段落に記載されているこのようなL5G2D3BPは何れも、同様のエピトープ特異性、選択性を少なくとも部分的に有し、および/または他の生物学的/物理化学的特徴をmAb4G1と共有すると期待され、従って、このような細胞の侵襲性を下げる場合など、上皮由来癌細胞の移動を低下させる上で有用でありうる。
本発明のこの側面および他の側面におけるこのようなVLドメイン配列およびVHドメイン配列または成分CDRの基礎的特性および新規の特性は、望ましい生理学的効果(例えば、上皮細胞移動の低下、抱合された毒性分子を送達するのに十分な時間にわたる結合、癌の進行のいずれかの側面の低下、等)を誘導するのに十分な時間にわたって、γ2DIIIペプチドを結合する能力である。本明細書においてVLドメイン配列およびVHドメイン配列として同定される配列中への欠失、挿入、付加及び置換はしばしばこのような新規の特性および基本的な特性に悪影響を与えない場合があり得る。
問題になっているVL配列および/またはVH配列が誘導され、又はその他類似している親配列であって(例えば、問題になっているVL配列および/またはVH配列の結合は、親によって結合されるγ2DIII抗原性決定因子への結合に対して少なくとも約50%の競合を伴う。)、γ2DIII抗原性決定基に対する親和性が親配列と少なくともほぼ同じ程度であることを特徴とする「親」配列を含むペプチドの結合のそれと比較的類似しているγ2DIIIへの結合であることが典型的には有利である。変異体配列が親と同じ特異性および/または選択性を実質的に有し、および/またはγ2DIIIの同様の領域に対してより大きな親和性を実質的に有する場合には、さらに有利である場合が多い。
別の特定の側面において、本発明は、それぞれ、配列番号25、29、33から実質的になるVL CDRを含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、配列番号37、41(または66)および45から実質的になるVH CDRを含むL5G2D3BPを提供する。本発明のより具体的な特長は、(a)独立に、それぞれLDBGP中で互いに近接して配列番号25、29及び33からそれぞれ実質的になる三つのVL CDR、および(b)それぞれ互いに近接して配列番号37、41(または66)及び45から実質的になる三つのVH CDRを含むLDBGPである。このような側面に関する一つのバリエーションにおいて、本発明は、L5G2D3BPのVL領域とVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むL5G2D3BPを提供する。別のバリエーションにおいて、本発明は、VL CDR1、CDR2、CDR3並びにVH CDR1、CDR2及びCDR3が協調的に会合して、γ2DIII上の抗原性決定基に選択的および/または特異的に結合するのに寄与するように、VL及びVH領域が、免疫グロブリン折りたたみタンパク質に関して別個の鎖上に提示され、配向されている、L5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、L5G2D3BPが二つの同一の抗原性決定因子結合部位を含むように、二セットの可変ドメイン(会合した別個の鎖上の会合したVLドメインおよびVHドメインのセット)を含むL5G2D3BPを提供する。この段落で記載されているこのようなL5G2D3BPは何れも、少なくとも部分的にmAb5D5と同様のエピトープ特異性、選択性、および他の特徴を有することが期待され、従ってこのような癌細胞の移動を低下させる上で、例えば上皮由来癌細胞の侵襲性を低下させる上で有用でありうる。
ある側面において、本発明は、それぞれ配列番号26、30、34から実質的になるVL CDRを含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、配列番号38、42(または67)、46からそれぞれ実質的になるVH CDRを含むL5G2D3BPを提供する。本発明のより具体的な特徴は、(a)独立にLDBGP中で互いに近接する配列番号26、30及び34から実質的になる三つのVL CDRおよび(b)(例えば、野生型抗体中でCDRについて提示されるものと実質的に同様な関係で)互いに近接した(機能的に関連した)配列番号38、42(または67)及び46から実質的になる三つのVH CDRを含むLDBGPである。CDRのいずれかの近接が適切でありそうなCDR間の典型的な距離の記述については図11および図12を参照されたい。このような見解に関するあるバリエーションにおいて、本発明は、L5G2D3BPのVL領域とVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むL5G2D3BPを提供する。別のバリエーションにおいて、前記VL領域およびVH領域が免疫グロブリン折りたたみタンパク質において別個の鎖上に提示され、VL CDR1、CDR2及びCDR3並びにVH CDR1、CDR2及びCDR3がγ2DIII上の抗原性決定因子を選択的および/または特異的に結合することにおいて関与するために協調して会合するように配向されたL5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、L5G2D3BPが二つの同一の抗原性決定因子結合部位を含むように、二セットの可変ドメイン(会合した別個の鎖上の会合したVLドメインおよびVHドメインのセット)を含むL5G2D3BPを提供する。この段落で記載されているこのようなL5G2D3BPは何れも、少なくとも部分的にmAb 6C12と同様のエピトープ特異性、選択性および他の特徴を有することが期待され、従ってこのような癌細胞の移動を低下させる上で、例えば上皮由来癌細胞の侵襲性を低下させる上で有用でありうる。このようなL5G2D3BPのいくつかの特長はVL CDR1のN末端(CDR−L1)にあるTyr残基の存在である。
(本明細書でさらに記載されているように)このような特長を有するCDR配列またはその変異形を含むL5G2D3BPはこのようなVL CDRおよびVH CDRの任意の適切な数と組み合わせを含むことができる。いくつかの場合において、完全なセットのVL CDRおよび/またはVH CDRより少ないものがL5G2D3BPにおいて存在しうる。しかしながら、典型的には、六つのCDRのすべてがエピトープ特異的結合のための表面の構築に寄与するので、VL CDRおよびVH CDRの全てが有利に存在するであろう。
本発明は、また、mAb4G1、mAb5D5およびmAb6C12のVL領域、VH領域、または一つ以上のCDRの機能的変異形を含むL5G2D3BPも提供する。L5G2D3BPに関して用いられるVL、VH、またはCDRの機能的変異形によって、L5G2D3BPは最も近くに関連付けられる親mAbの親和性/結合活性及び特異性/選択性の少なくとも相当な比(少なくとも約50%、60%、70%、80%、またはそれ以上)を保持でき、いくつかの場合、(全体的なおよび/または局所的なアミノ酸配列の同一性によって決定されるように)このようなL5G2D3BPが最も近く関連付けられる親mAbよりも高い親和性、選択性、および/または特異性を伴い得る。
CDR変異形を生じる既知の技術は数多く存在し、任意の適切な技術またはそれらの組み合わせを本発明において使用できる。このような技術の例には、例えば(Studnicka et al., Protein Engineering, Vol 7, 805-814 (1994) (Soderlind et al., Immunotechnology. 1999 Mar;4(3-4):279-85も参照)に記載されているような非必須残基の除去、CDRウォーキング突然変異誘発および他の人工的な親和性成熟技術(例えば、Journal of Molecular Biology, December 1995;254(3):392-403)、CDRシャッフリング技術が含まれる。CDRシャフリング技術では、典型的には、合成オリゴヌクレオチドを必要に応じて含む異なるセットの遺伝子テンプレートからCDRを増幅し、VL、VH、および/またはCDRの定常領域を増幅し、様々な断片がPCRによって混合及び集合され(一本鎖又は二本鎖フォーマットで)て、マスターフレームワーク中に導入されたシャッフルしたCDRを運ぶ抗体断片をコード化する遺伝子産物を一セット生じ、これは、完全長の産物の産生を確保するために、挿入された制限部位を越えた部位にアニーリングする外部プライマーを用いて増幅され、前記産物は選択されたベクター中に挿入され、変異形CDR含有タンパク質を発現するのに用いられる。適切な構造は変異形構造/模倣体構造と親構造の変異形構造/模倣体構造との重ね合わせによって、例えば、NMR溶液構造の比較によって決定できる。このような方法のさらなる例は本明細書の他の箇所に提供される。
CDR、VH、VLの配列変異形は、それぞれ、mAb4G1、mAb5D5および/またはmAb6C12のCDR配列、VH配列、VL配列などの、一つ以上の「親」CDR、VH配列及びVL配列に対して任意の適切なレベルの同一性を呈することができる。典型的には、実質的に親と同一の抗原性決定領域に結合する変異形配列は、親配列に対する約50%以上、約60%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または少なくとも約95%の同一性など、親配列に対する少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性を有するであろう(例えば、約45〜99%、約55〜99%、または約65〜99%)。しかしながら、いくつかの場合では、とりわけ、実質的に同一のエピトープへ向けられたCDR配列に関して、同一性がより低いレベルの変異形が適切な場合さえあり得る。
異なる抗原性決定領域または異なる抗原性決定領域の異なるセット(またはプロファイル)に結合するCDR、VH及びVL配列変異形も本明細書の他の箇所へ記述された技術(理論的デザイン、突然変異誘発、定方向進化、等)のいずれによっても生成されうる。このような場合には、親配列と有意により低いレベルのアミノ酸配列の同一性が予想され得る。例えば、親配列とは異なるエピトープ結合プロファイルを有するCDR−L1、CDR−H1、CDR−H2またはCDR−H3変異形に関しては、親CDR配列に対する僅か約20〜30%のアミノ配列同一性が、γ2DIIIのL5G2D3BP結合に関与する変異形において示されてもよい。
典型的には、ペプチド変異形は主に保存的置換を通じて「親」配列とは異なる。例えば、変異形における置換の少なくとも約35%、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上(例えば、約65〜99%)が保存されたアミノ酸残基置換である。本発明において、保存的置換は以下の三つの表のうちの一つ以上に反映されるアミノ酸のクラス内での置換によって定義できる。
Figure 2007534631
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より保存的な置換のグループには、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンがある。アミノ酸のさらなるグループは、例えば「Creighton (1984) Proteins: Structure and Molecular Properties (2d Ed. 1993), W.H. Freeman and Company」中に記載されている原理を用いて明確に説明できる。いくつかの場合、このような特長の二つ以上に基づいて置換をさらに特徴づけることは有用でありうる(例えば、Thr残基などの「小さな極性」残基による置換は、適切な場面では、高度な保存的置換を呈することができる)。
機能における実質的な変化は、上述の定義されたグループにおいて示されるものと比べあまり保存されていない置換を選択することによって為され得る。例えば、様々な変化、例えばαらせんまたはβシート構造、標的部位での分子の荷電若しくは疎水性、または側鎖の嵩をペプチドの構造に対してより有意に影響を及ぼす非保存的置換を施すことができる。ペプチドの特性における最大の変化を生じると一般に期待される置換は、(1)親水性残基、例えばセリルまたはトレオニルが疎水性残基に(または疎水性残基によって)、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、またはアラニルに置換されるもの、(2)システインまたはプロリンがいずれかほかの残基に(またはそれによって)置換されるもの、(3)正の電荷の側鎖を有する残基、例えばリジル、アルギニルまたはヒスチジルが負の電荷の残基、例えばグルタミルまたはアスパルチルに(またはそれによって)置換されるもの、または(4)嵩が大きな側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンが側鎖を持たない残基、例えばグリシンに(またはそれによって)置換されるものである。従って、機能/構造における有意な変化が望まれる場合に、これらのおよび他の非保存低置換をペプチド変異形へと導入することができ、構造/機能の保存が望まれる場合には回避される。
当業者は、ペプチド変異形のデザインと選択に有用なさらなる原理に気づくであろう。例えば、ペプチドの表面に位置する残基は、典型的には、親水性アミノ酸に対して強い選好性を有する。アミノ酸の立体的な特性はタンパク質が採用するかまたは好む局所的な構造に大きく影響を及ぼすことができる。例えば、プロリンは、ねじれの自由度が減少するため、ペプチド骨格の高次構造がターン状態に固定され、水素結合が喪失されるため、タンパク質の表面ループ上に出現する残基をもたらすことが多い。Proとは対照的に、Glyは主要なペプチド鎖について完全なねじれの自由を有するので、きっちりとしたターンおよびタンパク質の内部に埋め込まれた領域(例えば、疎水性ポケット)をしばしば伴う。このような残基の特長はしばしば、二次構造におけるそれらの関与を制限する。しかしながら、二次構造の形成に典型的に関与する残基は公知である。例えば、Ala、Leu、Gluなどの残基(それほど嵩が大きくおよび/または極性の高い残基をもたないアミノ酸)は典型的にαらせん形成と関係しているのに対し、Val、Ile、Ser、Asp、Asnなどの残基はαらせん形成を壊すことができる。βシート構造形成/包含に対する性向をもつ残基にはValおよびIleがあり、ターン構造と関係する残基にはPro、Asp、およびGlyがある。適切な変異形が定型的な実験のみによって調製できるように、当業者は、適切なペプチド変異形のデザインと選択において、これらおよび同様の公知のアミノ酸特性を考慮できる。
望ましくは、疎水性/親水性特性の保存も、変異形ペプチドでは、親ペプチドと比べて実質的に保持される(例えば、配列の重量クラス、疎水性親水性指標スコア、またはその両者は少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれより多く保持される(例えば、約65〜99%))。残基/配列の疎水性親水性指標の特徴の保存を査定するための方法は、本分野において公知であり、SDSC Biology Workbenchを通じて入手できるGREASEプログラムなどの入手可能なソフトウェアパッケージに組み込まれる(例えば、GREASEおよび同様のプログラムに組み込まれる原理の論議については、Kyte and Doolittle et al., J. Mol. Biol. 157:105-132(1982); Pearson and Lipman, PNAS (1988) 85:2444-2448, and Pearson (1990) Methods in Enzymology 183:63-98も参照)。
変異形ペプチドの構造が実質的に親ペプチドの構造と同様であることも有利である。保存的置換、疎水性親水性指標特性、重量保存、および類似の検討事項について、ペプチドの類似性を査定するための方法は、例えばWO03/048185、WO03/070747、およびWO03/027246に記載されている。
類似の残基の保持は、さらに又は代替的に、BLASTプログラム(例えば、NCBIを通じて入手可能なBLAST2.2.8)の使用によって決定されるような類似性スコアによって測定できる。適切な変異形は、典型的には、親ペプチドに対する少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれを超える(例えば、約70〜99%)ような、少なくとも約45%の類似性を呈する。
本明細書の他の箇所で論議されるように、このような変化が、親ペプチドと比較したときに、γ2DIIIを結合する変異形の能力を実質的に損なわなければ、変異形と親の間の変形/相違の他の点は許容され得る(例えば、天然には存在しないアミノ酸、誘導体化したアミノ酸、挿入、欠失、伸長の前記配列への導入等)。
本発明によって提供されるL5G2D3BPは、特に、本明細書の他の箇所で説明された典型的なCDR、VH、およびVLの変異形の一つ以上の式によって定義される一つ以上の配列を含むことを基礎として特徴付けることができる。
この点において、例えば、本発明は、式Cys Xaa Xaa Ser Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Tyr Xaa16 Xaa17 Trp Tyr Xaa20(配列番号64)に記載の配列((a)XaaはArgまたはSerであり、(b)XaaはSerまたはAlaであり、XaaはLys、Glnであり、または喪失しており(つまり不存在であるか、又は除去されている。)、(c)XaaはSerまたはGlyであり、(d)XaaはLeuまたは喪失しており、(e)XaaはLeu、Valであり、または喪失しており、(f)XaaはHisまたはSerであり、(g)Xaa10はAsn、Serであり、または喪失しており、Xaa11はIle、Asnであり、または喪失しており、(h)Xaa12はGlyまたは喪失しており、(i)Xaa13はIle、Asn、またはValであり、(j)Xaa14はThrまたはSerであり、(k)Xaa16はLeuまたはIleであり、(l)Xaa17はPheまたはHisであり、(m)Xaa20はLeuまたはGlnである(式I)。)を含む(および典型的には、それらから実質的になる)VL CDR1配列(CDR−L1配列とも称される。)変異形を含むL5G2D3BPを提供する。別段の記載がなされている場合を除き、記号Xaaは任意の適切なアミノ酸残基を指す。別の側面において、本発明は、N末端のCysおよび/またはC末端残基の一つ、二つ、または三つ(つまりTrp Tyr Xaa20)が式から喪失されている、末端切断様式の式Iに係る配列から実質的になるVL CDR1変異形を含むL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20(式中、XaaはArgまたはSerであり、XaaはSerまたはAlaであり、XaaはLys、Glnであり、又は喪失しており、XaaはSerまたはGlyであり、XaaはLeuであり、又は喪失しており、XaaはLeu、Valであり、または喪失しており、XaaはHisまたはSerであり、Xaa10はAsn、Serであり、または喪失しており、Xaa11はIle、Asnであり、または喪失しており、Xaa12はGlyであり、または喪失しており、Xaa13はIle、Asn、またはValであり、Xaa14はThrまたはSerであり、Xaa16はLeuまたはIleであり、Xaa17はPheまたはHisである。)に係る配列を含む(および典型的には、それらから実質的になる)CDR−L1を含み、前記配列が、(a)以下のXaaのうちの一つ以上がCys以外の任意の適切な残基であり、又は喪失しており;Xaa18がTrp以外の任意の適切な残基であり、又は喪失しており;Xaa19がTyr以外の任意の適切な残基であり、又は喪失しており;Xaa20がLeu、Glnであり、または喪失しており、および/または(b)XaaがSer以外の任意の適切な残基であり、及びXaa15はTyrであり、Xaa15がTyr以外の任意の適切な残基であり、及びXaaがSerであり;XaaはSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa15がTyr以外の任意の適切な残基であることを必要に応じて特徴とする(式II)、L5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、(i)Xaaおよび/または(ii)Xaa18、Xaa19、および/またはXaa20が存在しない、端切断された式IIの配列(または末端切断されたそのバージョン)に対応する式から実質的になるCDR−L1を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、L5G2D3BPは式IIと同様の配列から実質的になるCDR−L1を含むことができるが、(I)XaaはArgまたはSer以外の任意の適切な残基であり、XaaはSerまたはAla以外の任意の適切な残基であり、XaaはSerまたはGly以外の任意の適切な残基であり、XaaはHisまたはSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa14はThrまたはSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa16はLeuまたはIle以外の任意の適切な残基であり、および/またはXaa17はPheまたはHis以外の任意の適切な残基であり、および/または(II)XaaはLeuまたはVal以外の任意の適切な残基であり、Xaa10はAsnまたはSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa11はIleまたはAsn以外の任意の適切な残基であり、および/またはXaa12はGly以外の任意の適切な残基である。
本発明の別の面は、式Cys Xaa Xaa Ser Xaa Xaa Leu Xaa Xaa Xaa Xaa Gly12 Xaa Xaa10 Tyr Xaa11 Xaa12 Trp Tyr Xaa13(配列番号48)に係る配列(式中、(I)XaaはLys、Glnであり、または喪失しており、XaaはLeu、Valであり、または喪失しており、XaaはAsn、Serであり、または喪失しており、XaaはIle、Asnであり、または喪失しており、XaaはIle、Asn、またはValであり;Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、(II)Xaa10〜Xaa13は、(a)XaaがArgまたはSer以外の任意の適切な残基である;(b)XaaがSerまたはAla以外の任意の適切な残基である;(c)XaaがSerまたはGly以外の任意の適切な残基(適切な小残基など)である;(d)XaaがHisまたはSer以外の任意の適切な残基(適切な極性残基など)である;(e)Xaa10がThrまたはSer以外の任意の適切な残基(適切な極性残基など)である;(f)Xaa11がLeuまたはIle以外の任意の適切な残基(適切な脂肪族の荷電されていない残基など)である;(g)Xaa12がPheまたはHis以外の任意の適切な残基(適切な異なるシクロアルケニル残基など)である;(h)Xaa13がLeuまたはGln以外の任意の適切な残基である、(III)必要に応じてLeuまたはGly12が喪失しているか、別の適切なアミノ酸残基によって置換されることを一以上除き、配列番号24から26の任意の一つ中の対応する位置から得られる残基によって規定される。)(式III)を含む(および典型的には、それから実質的になる)CDR−L1変異形配列を含む様々なL5G2D3BPにおいて具現化される。
さらに別の側面において、本発明は、式Cys Arg Ser Ser Xaa Ser Leu Leu His Xaa10 Xaa11 Gly Ile Thr Tyr Leu His Trp Tyr Leu(配列番号27)に係る配列(式中、(I)(a)XaaはLys、Glnであり、若しくは喪失しているか、(b)Xaa10はAsn、Serであり、若しくは喪失しているか、または(c)Xaa11はIle、Asnであり、若しくは喪失しているか、または(II)Xaa、Xaa10、およびXaa11のうちの一つ以上は(a)、(b)、および/または(c)においてそれぞれ定義される残基以外の適切な残基を表し、Xaa、Xaa10、およびXaa11のその他のメンバーは(a)〜(c)に従って定義される。)(式IV)を含む(および典型的には、それから実質的になる)CDR−L1配列を含むL5G2D3BPを提供する。この側面に関するバリエーションにおいて、本発明は、さらに、そのN末端のCys残基とC末端の残基の一つ、二つ、または三つが存在しない、末端切断された式IVの配列から実質的になるCDR−L1を含むL5G2D3BPを提供する。
別の特定の側面において、本発明は、式Cys Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Trp Tyr Xaa20に係る配列((a)Xaa13はIle、Asn、またはValであり、Xaa14はThrまたはSerであり、Xaa16はLeuまたはIleであり、Xaa17はPheまたはHisであり、XaaはLys、Glnであり、または喪失しており、XaaはLeu、Valであり、または喪失しており、Xaa10はAsn、Serであり、または喪失しており、Xaa11はIle、Asnであり、または喪失しており、XaaはArgまたはSerであり、XaaはSerまたはAlaであり、XaaはSerまたはGlyであり、XaaはHisまたはSerであり、XaaはLeu以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、Xaa12はGly以外の任意の適切な残基であり、又は喪失しており、Xaa20はLeu、Glnであり、または喪失しており、及び(b)以下のいずれか一つまたは両者であり、即ち、(I)XaaはSer以外の任意の適切な残基であり、(II)Xaa15はTyr以外の任意の適切な残基である。)(式V)を含む(および典型的には、それから実質的になる)CDR−L1を含むL5G2D3BPを提供する。この側面のバリエーションにおいて、本発明は、式Vと同様の配列から実質的になるCDR−L1を含むが、式のN末端のCys残基および/またはC末端残基の一つ、二つ、または三つを欠如している(つまり式Vの「末端切断」バージョン)L5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、以下の一つ以上、即ち、XaaはLysまたはGln以外の任意の適切な残基であり、XaaはLeuまたはVal以外の任意の適切な残基であり、Xaa10はAsnまたはSer以外の任意の適切な残基であり、及びXaa11はIleまたはAsn以外の任意の適切な残基であることを除き、式Vまたは式Vの末端切断バージョンによって定義される配列から実質的になるCDR−L1を含むL5G2D3BPを提供する。式Vの配列および式V様の配列は、さらに又は代替的に、以下のうちの一つ、即ち、XaaがLeu以外の任意の適切な残基であり、Xaa12がGly以外の任意の適切な残基であり、Xaa20はLeuまたはGln以外の任意の適切な残基であることよって特徴づけられることができる。別の側面において、前述の式Vの配列および式V様の配列のいずれかにおけるXaa17はPheまたはHis以外の任意の適切な残基を表す。
さらなる側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa Xaa18 Xaa19 Xaaに係る配列(式中、(a)Xaaは任意の適切なアミノ酸残基を表し、(b)XaaはSer、Ala、またはThrであり、XaaはLys、Glnであり、または喪失し/不存在であり、XaaはLeu、Valであり、または喪失しており、Xaa10はAsn、Serであり、または喪失しており、Xaa11はIle、Asnであり、または喪失しており、Xaa12はGlyまたは喪失しており、Xaa13はIle、Asn、またはValであり、Xaa14は親水性の荷電されていない残基であり、Xaa16は脂肪族の荷電されていない残基であり、並びに(c)Xaa、Xaa、Xaa15、およびXaa18、Xaa19は配列番号64における対応する残基によって定義されが、但し、以下のうちの一つ以上、即ち、XaaがCys以外の任意の適切な残基であり、XaaはSer以外の適切なアミノ酸残基であり、Xaa15はTyr以外の任意の適切な残基であり、Xaa18はTrp以外の任意の適切な残基であり、Xaa19はTyr以外の任意の適切な残基である点で、変異形VL CDR1配列は配列番号64と異なる。)を含む変異形VL CDR1配列(および典型的には、それから実質的になる)を含むL5G2D3BPを提供する。
望ましくは、上述の式内に含まれる変異形VL CDR1は配列番号27で記される配列および/またはmAb4G1、mAb5D5、および/またはmAb6C12のVL CDR1配列に対して、少なくとも約40%(例えば、(約55〜99%などの)約50%以上、約65%以上、約75%以上、または約90%以上)のアミノ酸配列相同性を呈するであろう。
CDR変異形に関して適切なアミノ酸残基の置換は、CDRを、それに対して親CDRが選択的/特異的であるγ2DIIIエピトープと相互作用させることができ、及び前記エピトープに対して同様に特異的/選択的な他の親CDRおよび/または変異形CDRと協調的に会合できるようにすることができる任意のアミノ酸残基である。同様の原理は、CDRと会合した配列、VH配列、およびVL配列の変異形に関して適切な置換、付加、挿入、欠失にも当てはまる。適切なアミノ酸配列の置換の選択に影響を及ぼす因子には、CDRの高次構造に及ぼすその残基の衝撃(例えば、CDRループ構造および柔軟性の保持)、および親CDRにおける置換された残基に渡って同様なまたは有利な方法で、エピトープおよび/または他の同様なCDRと非共有結合的に相互作用(例えば、ファンデルワールス相互作用、水素結合相互作用、イオン相互作用、および/またはエピトープ可変領域結合を特徴づける他の相互作用)に関与する能力を含むことができる。本明細書に記載されているCDR式における修飾に対して選択される比較的少ない残基、および多くの配列の迅速なスクリーニングに利用可能な技術(例えば、ファージディスプレイ技術)の数を考えると、一つ以上の適切なアミノ酸残基の置換は、本明細書で記載されているCDR変異形におけるどの可変残基についても、定型的な実験のみを用いて同定可能であるべきである。同様の原理の適用によって、挿入、欠失、または付加によって、さらにまたは代替的に、定義される変異形が同様に同定できる。
別の側面において、本発明は、式Ile Tyr Xaa Xaa Ser Xaa Xaa Xaa Ser(配列番号68)に係る配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)CDR−L2(VL CDR2)配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはGln、Arg、またはAspであり、XaaはMet、Val、またはThrであり、XaaはLysまたはAsnであり、XaaはLeuまたはArgであり、XaaはAlaまたはPheである(式VII)。より特定の側面において本発明は、式VIIの配列から実質的になるCDR−L2を含むL5G2D3BPを提供し、式中、C末端のSerの後は、配列Gly Val Pro、その一部(つまりGly Valまたは単純にGly)、またはこれらの残基の少なくとも一つが保持されるている変異形(例えば、Gly Xaa Pro、Xaa Val Pro、またはXaa Val Xaa等)である。別段の記載がなければ、Xaaは、本明細書において、任意の適切なアミノ酸残基(典型的には、天然に存在するL−アミノ酸残基)を指す。
別の側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaaに係る配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)変異形CDR−L2配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中Xaa〜Xaaは、配列番号68中の対応する位置に見られる残基に従って定義されるが、但し、変異形CDR−L2配列は配列番号68と、以下のうちの一つ以上の点で異なる、即ち、XaaはIle以外の任意の適切な残基であり、XaaはTyr以外の任意の適切な残基であり、XaaはGln、Arg、またはAspであり、 XaaはMet、Val、またはThrであり、XaaはSer以外の任意の適切な残基であり、XaaはLysおよびAsn以外の適切なアミノ酸残基であり、XaaはLeuおよびArg以外の任意の適切な残基であり、XaaはAlaおよびPhe以外の任意の適切な残基であり、XaaはSer以外の任意の適切な残基である(式VIII)。別の側面において、L5G2D3BPは式VIIIと同様の式に係る配列から実質的になるCDR−L2を含むことができるが、式中、XaaはLysまたはAsnであり、XaaはLeuまたはArgであり、および/またはXaaはAlaまたはPheである。別の側面において、L5G2D3BPは式VIIIの配列または式VIII様の配列から実質的になるCDR−L2を含むことができ、その中でそのXaaおよび/またはXaaは(a)それぞれIleおよび/またはTyr、(b)いずれかまたは両方が存在しない、または(c)(a)と(b)の組み合わせによって特徴づけられる(例えば、Xaaは存在せず、XaaはTyrである)。異なるが、関連する側面において、本発明は、式VIIIまたは式VIII様の配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中Xaaおよび/またはXaaは配列番号65〜67のいずれか一つ中の対応する残基とは異なる。
さらなる側面において、本発明は、式Tyr Xaa Met Xaa Lys Leu Ala Xaa Gly Val Pro(配列番号49)に係る配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)CDR−L2(VL CDR2)を含むL5G2D3BPを提供し、式中(a)XaaおよびXaaはいずれか独立にまたは両者ともSer以外の任意の適切な残基であり、および(b)XaaはGln、Arg、またはAspである(式IX)。この側面のバリエーションにおいて、本発明は、配列のC末端残基の一つ、二つ、または三つ(例えば、Gly Val10 Pro11)は喪失しているか、および/またはN末端残基の一つまたは二つ(つまり、Ileおよび/またはTyr)が紛失している、末端切断された式IXの配列から実質的になる配列を含むL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、式Ile−Tyr−Xaa−Met−Ser−Lys−Leu−Ala−Ser−Gly−Val−Pro(配列番号31)に係る配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)CDR−L2を含むL5G2D3BPを提供し、式中、Xaa1はGln、Arg、またはAsp(式X)である。この側面に関するバリエーションにおいて、本発明は、そのN末端残基の一つまたは二つおよび/またはC末端残基の一つ、二つ、または三つが紛失しており、又は他の適切なアミノ酸残基と置換されている、式Xの末端切断されたバージョンに係る配列から実質的になる配列を含むL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、式Cys Xaa Gln Xaa Xaa Xaa Xaa Pro Xaa Thr Phe Gly Xaa13 Xaa14(配列番号77)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3(VL CDR3)変異形配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはAla、Ser、またはGlnであり、XaaはAsn、Ser、またはTrpであり、XaaはLeu、Thr、またはSerであり、XaaはGlu、His、またはSerであり、XaaはLeu、Val、またはSerであり、XaaはProまたはTrpであり、Xaa13はSerまたはGlyであり、Xaa14はGlyまたはSerである(式XI)。さらなる側面において、L5G2D3BPは、そのN末端のCysおよび/またはPhe11−Xaa14またはGly12−Xaa14が紛失している、末端切断された式XIの配列から実質的になるCDR−L3を含むことができる。Ln−5γ2DIII結合ペプチドは、式XIまたは末端切断された式XIの配列と同様の配列から実質的になるCDR−L3を含んでいることによってさらに特徴づけられることができ、その中でXaaはProまたはTrp以外の任意の適切なアミノ酸残基を表す。別の側面において、L5G2D3BPは、さらにまたは代替的に、Xaa13がSerおよびGly以外の任意の適切な残基であり、Xaa14はGlyまたはSer以外の任意の適切な残基であり、またはXaa13およびXaa14はSerおよびGly以外の任意の適切な残基である、式XI様配列または末端切断された式XI様配列から実質的になるCDR−L3を含むことができる。
別の側面において、本発明は、式Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa13、Xaa14に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはAla、Ser、またはGlnであり、XaaはAsn、Ser、またはTrpであり、XaaはLeu、Thr、またはSerであり、XaaはGlu、His、またはSerであり、XaaはLeu、Val、またはSerであり、XaaはProまたはTrpであり、配列は以下の一つ以上によってさらに特徴づけられる。即ち、XaaはGln以外の任意の適切な残基であり、Xaa13はSer、Glyであり、または喪失しており、Xaa14はGly、Serであり、または喪失しており、XaaはCys以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、Xaa11はPhe以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、Xaa12はGly以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、XaaはPro以外の任意の適切な残基であり、Xaa10はThr以外の任意の適切な残基である(式XII)。
さらに別の側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはAla、Ser、またはGlnであり、XaaはAsn、Ser、またはTrpであり、XaaはLeu、Thr、またはSerであり、XaaはGlu、His、またはSerであり、XaaはLeu、Val、またはSerであり、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa10、Xaa13、Xaa14、Xaa、Xaa11、およびXaa12は配列番号32〜34のいずれか一つにおける対応する残基によって定義され、但し、以下の一つ以上の点で異なる。即ち、XaaはProまたはTrp以外の任意の適切な残基であり、XaaはGln以外の任意の適切な残基であり、XaaはPro以外の任意の適切な残基であり、Xaa10はThr以外の任意の適切な残基であり、Xaa13はSerまたはGly以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、Xaa14はGlyまたはSer以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、XaaはCys以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、Xaa11はPhe以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、Xaa12はGly以外の任意の適切な残基であり、または欠失している(式XIII)。
本発明の別の特長は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3変異形配列含むL5G2D3BPであり、式中、XaaはAla、Ser、またはGlnであり、XaaはAsn、Ser、またはTrpであり、XaaはLeu、Thr、またはSerであり、XaaはGlu、His、またはSerであり、XaaはLeu、Val、またはSerであり、Xaa、Xaa、およびXaa〜Xaa14は以下のうちの一つ以上の点即ち、XaaはCys以外の任意の適切な残基であり、XaaはGln以外の任意の適切な残基であり、XaaはPro以外の任意の適切な残基であり、XaaはProまたはTrp以外の任意の適切な残基であり、Xaa10はThr以外の任意の適切な残基であり、Xaa11はPhe以外の任意の適切な残基であり、Xaa12はGly以外の任意の適切な残基であり、Xaa13はSerおよびGly以外の適切な残基であり、Xaa14はSerまたはGly以外の適切な残基であることを除き、配列番号35における対応する残基によって定義される。(式XIV)。
別の側面において、本発明は、その配列のN末端がCys残基であり、および/またはその配列のC末端が式Phe Gly Xaa Xaaによって定義され、XaaおよびXaaが典型的には何れも(独立して)Ser残基またはGly残基を表す、式XII〜XIVのいずれか一つと同様の配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3を含むL5G2D3BPを提供する。同様の側面において、本発明は、式XIに類似する配列のC末端がPhe−Glyであり、前記配列が必要に応じてその配列のC末端に隣接して位置するSer残基およびGly残基のいずれかの組み合わせと会合され得る、前記式XIと同様の配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3を含むL5G2D3BPを提供する。
本発明は、また、式Cys Ala Gln Xaa Ser Xaa Leu Xaa Pro Xaa Phe Gly Gly Gly(配列番号82)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3(VL CDR3)を含むL5G2D3BPも提供し、式中、(I)XaaはAsn、Ser、またはTrpであり、XaaはGlu、His、またはSerであり、(II)前記式は以下の一つ以上、即ち、(a)XaaはPro以外の任意の適切な残基であり、XaaはThrであるか、(b)XaaはThr以外の任意の適切な残基であり、XaaはProであり、または(c)XaaはPro以外の任意の適切な残基であり、XaaはThr以外の任意の適切な残基である(式XV)。
別の側面において、本発明は、式Cys Ala Gln Xaa Ser Xaa Leu Pro Pro Thr Phe Gly Gly Gly(配列番号35)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−L3を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはAsn、Ser、またはTrpであり、XaaはGlu、His、またはSerである(式XVI)。さらなるバリエーションにおいて、本発明は、XaaおよびXaaのうちの一方又は両方が配列番号32〜34のいずれか一つの対応する位置とは異なることを除き、式XVIまたは末端切断された式XVIの配列と同一の式に係る配列から実質的になるCDR−L3を含むL5G2D3BPを提供する。
別の面において、本発明は、式Cys Xaa Xaa Xaa Gly Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Trp Xaa17に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR H1配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはVal、Ser、またはThrであり、XaaはAlaまたはValであり、XaaはSerまたはThrであり、XaaはPhe、Asp、またはTyrであり、XaaはThrまたはSerであり、XaaはPheまたはIleであり、XaaはSerまたはThrであり、Xaa10はAsnまたはSerであり、Xaa11はPhe、Gly、またはAspであり、Xaa12はTrpまたはTyrであり、Xaa13はMet、Arg、またはAlaであり、Xaa14はAsnまたはTrpであり、Xaa15はAsnであり、または不存在であり、及びXaa17はValまたはIleである(式XVII)。
異なる側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR H1変異形配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはVal、Ser、またはThrであり、XaaはPhe、Asp、またはTyrであり、Xaa11はPhe、Gly、またはAspであり、Xaa13はMet、Arg、またはAlaであり、Xaa、Xaa〜Xaa、Xaa〜Xaa12、およびXaa14〜Xaa17は、以下のうちの一以上、即ち、XaaがCys以外の任意の適切な残基であり、XがAlaまたはVal以外の任意の適切な残基(典型的には小さな残基および/または疎水性残基)であり、XaaがSerまたはThr以外の任意の適切な残基(典型的には小さな残基および/または極性残基)であり、XaaがGly以外の任意の適切な残基であり、XaaがSerまたはThr以外の任意の適切な残基(典型的には小さな残基および/または極性残基)であり、XaaがPheまたはIle以外の任意の適切な残基であり、XaaがSerまたはThr以外の任意の適切な残基(典型的には小さな残基および/または極性残基)であり、Xaa10がAsnまたはSer以外の適切な残基(典型的には小さな残基および/またはターンの形成に関与する残基)であり、Xaa12がTrpまたはTyr以外の任意の適切な残基(典型的にはシクロアルケニルにより会合される残基および/または疎水性残基)であり、Xaa14がAsnまたはTrp以外の任意の適切な残基であり、Xaa15がAsn以外の適切な残基であり、または存在しないか喪失しており、Xaa16がTrp以外の任意の適切な残基であり、Xaa17がValまたはIle以外の任意の適切な残基(典型的には脂肪族残基および/または疎水性残基)である、これらの残基がこれらの配列とは異なる(式XVIII)。別の側面において、本発明は、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa10、Xaa12、Xaa14、Xaa15、およびXaa17が配列番号73〜75の一つ以上における対応する位置に見られる残基を表すことを除き、式XVIIIと同一の配列から実質的になるCDR H1配列を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、Xaa15がAsn以外の適切なアミノ酸残基を表す、式XVIIIの配列またはこのような式XVIII様の配列から実質的になるCDR H1配列を含むL5G2D3BPを提供する。
本発明の別の側面は、XaaがSer、Val、またはThrであり、XaaがPhe、Asp、またはTyrの残基であり、XaaがPhe、Gly、またはAspであり、XaaがMet、Arg、またはAlaであり、Xaaが必要に応じてGly以外の任意の適切な残基であり、XaaがAsn、別の適切な残基であり、または喪失している、式Cys Xaa Val Thr Xaa Xaa Ser Ile Thr Ser Xaa Tyr Xaa Asn Xaa Trp Ile(配列番号51)に係る配列(式XIX)を含む(および典型的にそれから実質的になる)VH CDR1(CDR−H1)を含むL5G2D3BPである。別の面において、本発明は、式Cys Ser Val Thr Gly Phe Ser Ile Thr Ser Xaa Tyr Xaa Asn Xaa Trp Ile(配列番号39)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)L5G2D3BPを提供する(式XIXa)。特定の側面において、本発明は、このようなL5G2D3BPを提供し、その中でXaaはPhe、Gly、またはAspであり、XaaはMet、Arg、またはAlaであり、および/またはXaaはAsn、別の適切な残基であり、または喪失している(式XIXb)。別の側面において、本発明は、式XIX配列のN末端残基の1番目、2番目、3番目、または4番目および/またはC末端残基の1番目、2番目、または3番目が存在しない(同様の末端切断は、上述のCDR H1配列すべてに関して想定される。)、末端切断された式XIX配列または同様の配列(例えば、式XIXa配列)から実質的になるCDR H1配列を含むL5G2D3BPを提供する。
上述のCDR H1変異形配列のいずれかは、配列番号73〜75の一部に対して(約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、又は少なくとも約90%以上のアミノ酸配列同一性(例えば、約65〜99%の相同性)などの)少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性を典型的に呈する。
別の側面において、本発明は、式Cys Ser Val Thr Gly Phe Ser Ile Thr Ser Xaa Tyr Xaa Asn Xaa Trp Ile(配列番号76)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR H1変異形を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはPhe、Gly、またはAspであり、XaaはMet、Arg、またはAlaであり、XaaはAsnであり、または不存在である(式XX)。別の側面において、本発明は、その配列におけるN末端残基の1番目、2番目、3番目、または4番目および/またはC末端残基の1番目または2番目が存在しない、末端切断された式XX配列を含むCDR H1を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、以下のうちの一つ以上、即ち、Glyが任意の適切なアミノ酸残基と置換され(残基に関する下付き文字は対象となる配列、ここでは式XIIIの配列において示される残基の位置を指す)、PheがAspかTyrのいずれかと置換され、SerがThrと置換され、IleがPheと置換され、ThrがSerと置換され、Ser10がAsnと置換され、Tyr12がTrpと置換され、および/またはAsn14がTrpと置換されることを除き、式XXまたは(先行する文において記載されているような)末端切断されたバージョンと同一の配列から実質的になるCDR H1配列を含むL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、(a)XaaがAsnであり、または喪失しており、(b)XaaがAsnであり、または喪失しており、(c)XaaがTyrであるかまたは欠失している(式XXI)、式Leu Glu Trp Met Gly Tyr Ile Ser Tyr Lys Gly Xaa Xaa Xaa Ala Thr His Tyr Asn Pro Ser Leu Lys Ser Arg Ile Ser(配列番号43)に係る配列から実質的になるCDR−H2を含むL5G2D3BPを提供する。望ましくは、このようなCDR−H2変異形および上述の他のCDR−H2変異形は配列番号40〜42の一つ以上に対して、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上(例えば、約65〜99%)のアミノ酸配列同一性などの、の少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性を保持する。
別の側面において、本発明は、適切なアミノ酸残基での置換によって配列Asn−Asn−Tyrとは異なる一つ以上のアミノ酸をXaa〜Xaaが表すことを除き、式XXIと同一の式によって定義される配列から実質的になるCDR−H2を含む結合タンパク質を提供する。別の側面において、本発明は、式XXIまたは前述の式XXI様の式と同様の式に係る配列から実質的になるVH CDR2配列を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、式XXIのN末端残基の1番目、2番目、3番目、4番目、または5番目、および/またはC末端残基の1番目、2番目、または3番目は存在しない。この側面に関するバリエーションにおいて、本発明は、Xaa、Xaa16、Xaa18、Xaa21、Xaa22、Xaa23、およびXaa25の一つ以上が配列番号43における対応する位置に見られる残基を保持することを除き、式XXIまたは前述の(上述の)式XXI様配列(またはそれらのいずれかの末端切断されたバージョン)と実質的に同一の式にしたがったVH CDR2を含むL5G2D3BPを提供する。
本発明の別の特長は、XaaがTrpまたはTyrであり、XaaがValまたはMetであり、XaaがAlaまたはGlyであり、XaaがGluまたはTyrであり、XaaがArg、Ser、またはThrであり、XaaがLeuまたはTyrであり、Xaa10がLys、Arg、またはSerであり、Xaa11がSerまたはGlyであり、Xaa12がAsnであり、または喪失しており、Xaa13がAsnであり、または喪失しており、Xaa14がTyrであり、または喪失しており、Xaa15がAla、Thr、またはGlyであり、Xaa17がHis、Tyr、またはAsnであり、Xaa19がAlaまたはAsnであり、Xaa20がGluまたはProであり、Xaa24がGlyまたはSerであり、Xaa26がPheまたはIleであり、Xaa27がThrまたはSerである、式Leu Glu Xaa Xaa Xaa Xaa Ile Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Thr Xaa17 Tyr Xaa19 Xaa20 Ser Leu Lys Xaa24 Arg Xaa26 Xaa27(配列番号78)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−H2配列を含むL5G2D3BPである(式XII)。このような変異形および他のCDR−H2変異形は配列番号40〜42の一つ以上に対して、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、または約90%以上(例えば、約65〜99%)の同一性などの、少なくとも40%の同一性を典型的に呈する。
さらなる側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−H2を含むL5G2D3BPを提供し、式中、(I)XaaはArg、Ser、またはThrであり、Xaa10は Lys、Arg、またはSerであり、Xaa15はAla、Thr、またはGlyであり、Xaa17はHis、Tyr、またはAsnであり、Xaa12はAsnであり、または喪失しており、Xaa13はAsnであり、または喪失しており、Xaa14はTyrであり、または喪失しており、XaaはTrp、Tyrであり、または喪失しており、XaaはVal、Metであり、または喪失しており、XaaはAlaまたはGlyであり、XaaはGluまたはTyrであり、XaaはLeuまたはTyrであり、Xaa11はSerまたはGlyであり、Xaa19はAlaまたはAsnであり、Xaa20はGluまたはProであり、Xaa24はGlyまたはSerであり、Xaa26はPheまたはIleであり、Xaa27はThrまたはSerであり、(II)Xaa、Xaa、Xaa、Xaa16、Xaa18、Xaa21、Xaa22、Xaa23及びXaa25は配列番号40〜42の配列における対応する位置にある残基によってそれぞれ定義されるが、但し、これらの位置の一つ以上が以下のうちの一つ以上によって配列番号40〜42と異なることができる。即ち、XaaはLeu以外の任意の適切な残基であり、または喪失しており、XaaはGlu以外の任意の適切な残基であるかまたは喪失しており、XaaはIle以外の任意の適切な残基であり、Xaa16はThr以外の任意の適切な残基であり、Xaa18はTyr以外の任意の適切な残基であり、Xaa21はSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa22はLeu以外の任意の適切な残基であり、Xaa23はLys以外の任意の適切な残基であり、Xaa25はArg以外の任意の適切な残基であり、または喪失している(式XXIII)。ある側面において、本発明は、その中でN末端残基の1番目、2番目、3番目、4番目、または5番目および/またはC末端残基の1番目、2番目、または3番目は喪失しているか、配列番号40〜42のいずれか一つにおける対応する位置で見られない残基を表す、式XXIIIの配列を含むL5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、Xaa12、Xaa13、および/またはXaa14が任意の適切なアミノ酸残基を表し、配列番号40〜42のいずれか一つにおける対応する位置にある残基とは異なることを除き、式XXIIIと同一の式によって定義される配列から実質的になるCDR−H2を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、XaaおよびXaaがそれぞれLeuおよびGluであることを除き、前述の式XXIII様の式または式XXIIIと同一の配列から実質的になるCDR−H2を含むL5G2D3BPを提供する。
さらなる側面において、本発明は、(I)(a)XaaがTrpまたはTyrであり、(b)XaaがValまたはMetであり、(c)XaaがAlaまたはGlyであり、(d)XaaがGluまたはTyrであり、(e)XaaがArg、Ser、またはThrであり、(f)XaaがLeuまたはTyrであり、(g)Xaa10がLys、Arg、またはSerであり、(h)Xaa11がSerまたはGly、(i)Xaa12がAsnであり、または喪失しており、(j)Xaa13がAsnであり、または喪失しており、(k)Xaa14がTyrであり、または喪失しており、(l)Xaa15がAla、Thr、またはGlyであり、(m)Xaa17がHis、Tyr、またはAsnであり、(n)Xaa19はAlaまたはAsnであり、(o)Xaa20がGluまたはProであり、(p)Xaa24がGlyまたはSerであり、(q)Xaa26がPheまたはIleであり、および(r)Xaa27がThrまたはSerであり、(II)(a)XaaがIle以外の適切な残基であるか、(b)Xaa16がThr以外の適切な残基であるか、(c)Xaa18がTyr以外の適切な残基であるか、(d)Xaa21がSer以外の任意の適切な残基であるか、(e)Xaa22がLeu以外の任意の適切な残基であり、(f)Xaa23がLys以外の適切な残基であり、(g)Xaa25がArg以外の適切な残基であり、または(h)Xaa、Xaa16、Xaa18、Xaa21、Xaa22、Xaa23およびXaa25のグループにおける置換されていない残基が配列番号43中の対応する位置と符合する(等価である)(II)(a)〜(g)のいずれかの組み合わせである(式XXIV)、Leu Glu Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−H2を含むL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、式Cys Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Phe Xaa13 Tyr Trp Gly Gln Gly(配列番号79)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−H3を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはThrまたはAlaであり、XaaはArg、Gly、またはAsnであり、XaaはProであり、または喪失しており、XaaはTyrであり、または喪失しており、XaaはAspまたはAsnであり、XaaはTyrまたはPheであり、XaaはTyrまたはAspであり、XaaはGlyまたはGluであり、Xaa10はSer、Arg、またはAsnであり、Xaa11はSer、Thr、またはPheであり、Xaa13はAlaまたはAspである(式XXV)。本発明は、また、Phe12が異なる適切なアミノ酸残基で置換されており、および/またはTyr14が異なる適切なアミノ酸残基で(それぞれかつ独立して)置換されていることを除き、式XXVと実質的に同一である式に係る配列を含む類似のγ2結合タンパク質も提供する。別の側面において、以下の一以上であることを除き、即ち、XaaがThrまたはAla以外の任意の適切な残基であり、XaaaはPro以外の任意の適切な残基であり、XaaはTyr以外の任意の適切な残基であり、XaaはAspまたはAsn以外の任意の適切な残基であり、XaaはTyrまたはPhe以外の任意の適切な残基であり、XaaはTyrまたはAsp以外の任意の適切な残基であり、XaaはGlyまたはGlu以外の任意の適切な残基であり、Xaa13はAlaまたはAsp以外の任意の適切な残基であることを除き、先の式XXV様式又は式XXVと類似の式によって定義される配列を含む(又は、前記配列から実質的になる)CDR−H3を含むL5G2BP。
さらなる側面において、本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18に係る配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)VH CDR3(CDR−H3)を含むL5G2D3BPを提供し、式中、(a)XaaはArg、Gly、またはAsnであり、Xaa10はSer、Arg、またはAsnであり、Xaa11はSer、Thr、またはPheであり、XaaはProであり、または喪失しており、XaaはTyrまたは喪失しており、XaaはThrまたはAlaであり、XaaはAspまたはAsnであり、XaaはTyrまたはPheであり、XaaはTyrまたはAspであり、XaaはGlyまたはGluであり、Xaa13はAlaまたはAspであり、XaaはCys以外の任意の適切な残基であるかまたは喪失しており、Xaa15はTrp以外の任意の適切な残基であるかまたは喪失しており、Xaa16はGly以外の任意の適切な残基であるかまたは喪失しており、Xaa17はGln以外の任意の適切な残基であるかまたは喪失しており、Xaa18はGly以外の任意の適切な残基であるかまたは喪失しており、(b)(i)Xaa12はPhe以外の任意の適切な残基であり、Xaa14はTyrであるか、(ii)Xaa14はTyr以外の任意の適切な残基でありXaa12はPheであるか、または(iii)Xaa12およびXaa14がそれぞれTyrおよびPhe以外の任意の適切な残基である(式XXVI)。別の側面において、本発明は、Xaa12がPheでありXaa14がTyrである点を除き、式XXVIと同一の式に係る配列から実質的になるCDR−H3を含むL5G2D3BPを提供する。別の側面において、本発明は、Xaa、Xaa、またはXaaとXaaの両者がそれぞれ、Pro、Tyr、またはProおよびTyr以外の任意の適切な残基を表すことを除き、式XXVIと本質的に同一の式に係る配列から実質的になるCDR−H3を含むL5G2D3BPを提供する。Xaa、Xaa10、およびXaa11の一つ以上が配列番号44〜46のうちのいずれかにおける対応する位置にある残基とは異なる適切な残基を表すことを除き、先述した式XXVI様の式または式XXVIと同一である式に係る配列から実質的にになるCDR−H3を含むことができる。
本発明の別の面は、式Cys Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa11 Xaa12 Xaa13 Xaa14 Trp Gly Gln Gly(配列番号52)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)VH CDR3(CDR−H3)を含むL5G2D3BPを提供し、式中、(I)(a)XaaはThrまたはAla、(b)XaaはArg、Gly、またはAsn、(c)XaaはProまたは喪失しており(存在しておらず)、(d)XaaはTyrか喪失しており、(e)XaaはAspまたはAsn、(f)XaaはTyrまたはPhe、(g)XaaはTyrまたはAsp、(h)XaaはGlyまたはGlu、(i)Xaa10はSer、Arg、またはAsn、(j)Xaa11はSer、Thr、またはPhe、(k)Xaa13はAlaまたはAspであり、(II)(a)Xaa12はPhe以外の任意の適切な残基であり、Xaa14はTyrであるか、(b)Xaa14はTyr以外の任意の適切な残基であり、Xaa12はPheであるか、(c)Xaa12はPhe以外の任意の適切な残基であり、Xaa14はTyr以外の任意の適切な残基である(式XXVII)。別の側面において、本発明は、Xaa12がPheでありXaa14がTyrであることを除く、XXVIIと同一の式に係る配列から実質的になるVH CDR3を含むL5G2D3BPを提供する。さらに別の側面において、本発明は、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa13およびXaa14の一つ以上が配列番号44〜46のすべてにおける対応する位置にある残基とは異なる適切なアミノ酸残基を表すことを除き、式XXVIIと同一の式から実質的になるVH CDR3を含むL5G2D3BPを提供する。同様の側面において、本発明は、式XXVIIの末端切断されたバージョンによって定義される配列から実質的になるCDR−H3を含むL5G2D3BPを提供し、式XXVIIのN末端残基の1番目、2番目、または3番目および/またはC末端残基の1番目、2番目、3番目、または4番目が存在しない。さらなる側面において、同様のCDR−H3は、式XXIXまたは以下の一つ以上、即ち、XaaはPro以外の任意の適切な残基であり、XaaはTyr以外の任意の適切な残基であり、XaaはThrまたはAla以外の任意の適切な残基であり、XaaはAspまたはAsn以外の任意の適切な残基であり、XaaはTyrまたはPhe以外の任意の適切な残基であり、XaaはGlyまたはGlu以外の任意の適切な残基であることを除き、このような末端切断された式XXVIIと同一の式によって定義される配列から実質的になることができる。
別の側面において、本発明は、式Cys Ala Xaa Xaa Xaa Asp Tyr Tyr Gly Xaa Ser Phe Ala Tyr Trp Gly Gln Gly(配列番号47)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)CDR−H3を含むL5G2D3BPを提供し、その中で、XaaはArg、Gly、またはAsnであり、XaaはProまたは喪失しており、XaaはTyrまたは喪失しており、XaaはSer、Arg、またはAsnである(式XXVIII)。さらなる側面において、本発明は、式XXVIIIの配列のN末端残基の1番目、2番目、または3番目および/またはC末端残基の1番目、2番目、3番目、または4番目が存在しない、式XXVIIIを含むL5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、以下のうちの一つ以上、即ち、XaaがPro以外の任意の適切な残基であり、XaaがTyr以外の任意の適切な残基であり、Xaaおよび/またはXaaが配列番号44〜46のうちのいずれか一つの対応する位置における残基とは異なることを除き、式XXVIIIと同一の式によって定義される配列から実質的になるCDR−H3を含むL5G2D3BPを提供する。
一般に、上述の式におけるXaa残基は何れも、任意の適切なアミノ酸残基と置換されるか、適切な欠失によって欠失されてもよい。
さらに別の側面において、本発明は、配列番号24〜26の一つ以上に対して、約50%のアミノ酸配列同一性、典型的には少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性(例えば、少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性)などの、少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異形VL CDR1を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、(a)配列番号24〜26の2番目の位置に対応する変異形VL CDR1の残基はこれらの配列が整列されるとき、Arg以外の任意の適切な残基であり、(b)配列番号24〜26の4番目の位置に対応する変異形VL CDR1の残基はSer以外の任意の適切な残基であり、(c)配列番号24〜26の12番目の位置に対応する変異形VL CDR1の残基はGly以外の任意の適切な残基であるか、または(d)変異形VL CDR1は配列番号24〜26の2番目、4番目、および/または12番目の位置のうちの二つか三つに対応する残基において、(a)〜(c)に記載の置換による配列番号27とは異なる。
本発明のアミノ酸配列に関して相同性は、−12のイニシャルギャップペナルティおよび−2の伸長ペナルティを有するBLOSUM50スコアリングマトリクスを用いるALIGN2.0による分析などによって、Needleman−Wunsch配列分析(NeedlemanとWunsch, J. Mol. Biol. (1970) 48, 443-453参照)によって決定できる(ALIGNプログラムに組み込まれた包括的整列技術の論議については、Myers and Miller, CABIOS (1989) 4:11-17を参照)。ALIGN2.0プログラムのコピーはサンディエゴスーパーコンピューター(SDSC)生物学ワークベンチを通じて入手できる。Needleman−Wunsch整列は二つの配列間の全体的または包括的な同一性の測定を提供するので、より大きなペプチド配列の一部またはサブシーケンスであり得る標的配列が完全な配列に類似している方法で用いられてもよく、あるいは局所的な整列値が例えばSmith−Waterman整列(J. Mol. Biol. (1981) 147:195-197)によって決定されるようなサブシーケンス間の関係を査定するのに使用できる。Smith−Waterman整列は入手可能なプログラムを通じて得られうる(同一性を分析するのに適し得る他の局所的整列方法には、FastAプログラムおよびBLASTプログラムなどの発見的な(huristic)局所整列アルゴリズムを適用するプログラムが含まれる)。配列間の同一性を査定するためのさらに関連した方法は、例えばWO03/048185に記載されている。
さらなる側面において、本発明は、配列番号28〜30の一つ以上と少なくとも約50%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性、典型的には少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性(例えば、約60〜99%のアミノ酸配列同一性などの約85%のアミノ酸配列同一性)などの約40%以上のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異形VL CDR2を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、(a)配列番号31の5番目の位置に対応する変異形VL CDR2における残基はSer以外の任意の適切な残基であるか、(b)配列番号31の9番目の位置に対応する変異形VL CDR2における残基はSer以外の任意の適切な残基であるか、または(c)配列番号31の5番目と9番目の位置に対応する変異形VL CDR2における残基は両者ともSer以外の任意の適切な残基である。
さらなる側面において、本発明は、配列番号32〜34の一つ以上に対して少なくとも約50%の同一性、少なくとも約65%の配列同一性、典型的には少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性(例えば、約75〜99%の同一性)などの約40%以上のアミノ酸配列同一性(例えば、配列番号32〜34の一つ以上に対する約80%の同一性)を有する配列から実質的になるVL CDR3を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、(a)配列番号35の3番目の位置に対応する変異形VL CDR3における残基はGln以外の任意の適切な残基であるか、(b)配列番号35の8番目の位置に対応する変異形VL CDR3における残基はPro以外の任意の適切な残基であるか、(c)配列番号35の10番目の位置に対応する変異形VL CDR3における残基はThr以外の任意の適切な残基であるか、または(d)配列番号35の3番目、8番目、および10番目の位置に対応する変異形VL CDR3における残基の二つ以上は、(a)および(b)、(a)および(c)、(b)および(c)、または(a)、(b)および(c)の組み合わせに係る配列とは異なる。
別の側面において、本発明は、配列番号44〜46の一つ以上に対して少なくとも約65%の同一性(例えば、約65〜95%の同一性)、約70%以上、約80%以上(例えば、約90%)の同一性などの約40%以上の同一性を有する配列から実質的になる変異形VH CDR3を含むL5G2D3BPを提供し、ここで(a)配列番号47の12番目の位置に対応する変異形VH CDR3におけるアミノ酸残基はPhe以外の任意の適切な残基であるか、(b) 配列番号47の14番目の位置に対応する変異形VH CDR3におけるアミノ酸残基はTyr以外の任意の適切な残基であるか、または(c)配列番号47の12番目および14番目の位置に対応する変異形VH CDR3におけるアミノ酸残基はそれぞれPheおよびTyr以外の任意の適切な残基である。
さらなる側面において、本発明は、図15(配列番号53)に記載のmAb4G1のVL Fab領域を含むL5G2D3BPを提供する。別の面において、本発明は、配列番号53に対して約40%を超えるアミノ酸配列同一性を有する変異形VL Fab領域を含むL5G2D3BPを提供し、例えば少なくとも約55%のアミノ酸配列同一性(例えば、約60〜99%の同一性)、より典型的には少なくとも約70%(例えば、(約80〜99%などの)約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上)のアミノ酸配列同一性を有する。別の面において、本発明は、mAb4G1のVH Fab領域(配列番号56−図15参照)を、さらに又は代替的に含むL5G2D3BPを提供する。このような側面のバリエーションにおいて、本発明は、配列番号56に対して約40%を超えるアミノ酸配列同一性(例えば、約50〜99%の同一性)、および典型的には少なくとも約70%(例えば、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上(例えば、約80〜99%))のアミノ酸配列同一性を有する変異形VH Fabを含むL5G2D3BPを提供し、必要に応じてmAb4G1VL領域またはその適切な変異形と組み合わされる。
本発明の別の特長は、配列番号54に対して少なくとも約50%(例えば、約60〜95%)、少なくとも約70%(例えば、(約80〜99%などの)約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上)のアミノ酸配列同一性などの、約40%を超えるアミノ酸配列同一性を有するmAb5D5のVL領域(配列番号54−図15参照)またはその変異形VL領域を含むL5G2D3BPである。本発明は、さらに、配列番号57に対して、少なくとも約55%(例えば、約60〜99%)、少なくとも約70%(例えば、(約80〜99%などの)約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上)約40%を超えるアミノ酸配列同一性を有するmAb5D5のVH領域(配列番号57−図15参照)を、さらに又は代替的に含むL5G2D3BPを提供する。
別の面において、本発明は、配列番号55に対して少なくとも約50%(例えば、60〜95%)、および典型的には少なくとも約70%(例えば、(約80〜99%などの)約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上)のアミノ酸配列同一性など、約40%以上のアミノ酸配列同一性を有するmAb6C12のVL領域(配列番号55−図15参照)または変異形VL領域を含むL5G2D3BPを提供する。さらに、本発明は、配列番号58に対して少なくとも約50%(例えば、約55〜99%)、より典型的には少なくとも約70%(例えば、(約80〜99%などの)約75%、約80%、約85%、約90%、約95%以上)などの、約40%以上のアミノ酸配列同一性を有するmAb6C12のVH領域(配列番号58−図15)または変異形VH領域を、さらに又は代替的に含むL5G2D3BPを提供する。
上述のVL配列、VH配列、およびCDR配列は何れもmAb4G1、mAb5D5、またはmAb6C12と同様の特異性および/または選択的特徴を有するが、ヒト患者における異なる免疫原性、抗原性決定因子またはエピトープに対する親和性、生体内半減期の上昇、等などの他の特徴においては異なっている新たなL5G2D3BPを提供するために、任意の適切な様式で組み合わされることができる。mAb4G1、5D5、または6C21の標的となるものと同様のエピトープ/抗原性決定因子を標的にする新たなL5G2D3BPの調製において、もし存在すれば、このペプチドCDR−H3領域が、典型的には、抗体におけるエピトープ結合に対する最強の関与因子であるため、この領域に特別な注意を典型的には払われてもよい。同様にこの理由のため、一つ以上のCDR領域を欠くL5G2D3BPは通常、上述のCDR−H3配列またはその機能的変異形のうちの一つを、機能的及び構造的に関連するCDR−L3配列と典型的には少なくとも組み合わせて保持するであろう。
本発明の前述のCDR配列により定義される側面と他の側面に関して具体的に記載されている「CDR」ドメイン配列はまた、それらの記述内で実際のCDRのN末端および/またはC末端にある一つ以上の典型的にはCDRに会合された残基を含んでもよい(言い換えれば、特定のフレームワークの残基はこのような側面において記載されている「CDR」配列に含まれてもよい)。従って例えばある側面において、本発明は、配列番号24〜27および48のいずれか一つに係る配列から実質的になるVL CDR1を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、N末端残基(例えば、配列番号24〜26に関してN末端Cys)および/またはC末端アミノ酸残基の一つ、二つ、または三つが喪失されている。別の同様の典型的な側面において、本発明は、配列番号28〜31および49のいずれか一つに係る配列から実質的になるVL CDR2を含むL5G2D3BPを提供し、ここでN末端残基の一つか二つおよび/またはC末端残基の一つ、二つ、または三つが喪失している。さらなる典型的な側面において、本発明は、配列番号32〜35および50のいずれか一つに係る配列から実質的になるVL CDR2を含むL5G2D3BPを提供し、ここでN末端残基(例えば、配列番号32〜34に関してN末端Cys)および/またはC末端残基の一つ、二つ、三つ、または四つが喪失している。さらなる側面において、本発明は、配列番号32〜35のいずれか一つに係る配列または式XIまたは式XVに係る配列から実質的になるVL CDR3を含むL5G2D3BPを提供し、ここでN末端Cysおよび/またはC末端残基の一つ、二つ、三つ、または四つ(例えば、式Phe−Gly−Xaa−GlyにしたがったC末端配列の任意の部分)が除去され、さもなく存在しない(L5G2D3BPは、このような残基が除去され、本発明の別の特長である同様の式を含っむ。)。別の面において、本発明は、配列番号36〜39および51のいずれか一つ、式XVII、または式XXIに係る配列から実質的になるVH CDR1を含むL5G2D3BPを提供し、ここでN末端残基の一つ、二つ、三つ、または四つ(例えば、配列番号36〜38における式Cys−Xaa−Gln−Xaaに係るN末端配列のいずれかの部分)および/または配列番号36〜38における一つか二つのC末端残基が喪失している(つまり前記配列から除去されており、又は存在しない。)。さらに別の側面において、本発明は、配列番号40〜43のいずれか一つまたは式XXIIに係る配列から実質的になるVH CDR2を含むL5G2D3BPを提供し、ここでそのN末端アミノ酸の一つ、二つ、三つ、四つ、または五つおよび/またはそのC末端アミノ酸の一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、または六つが喪失している。さらなる側面において、本発明は、配列番号44〜47および52のいずれか一つまたは式XXVIから実質的になるVH CDR3を含むL5G2D3BPを提供し、ここでN末端の一つ、二つ、または三つのアミノ酸残基および/またはC末端の一つ、二つ、三つ、または四つのアミノ酸残基が喪失している。これらの組み合わせによって包含される各個々の配列を含むL5G2D3BPはこの段落によって提供される。本発明は、また、これらの「末端切断された」CDR関連(または期待される「真の」CDR)が互いにおよび/または本明細書に記載されている他のCDR配列と組み合わされる、L5G2D3BPも提供する。
本発明は、さらに(a)式I〜IIIおよびV〜VIのうちの一つに係る配列から実質的になるVL CDR1(もしすでにそのように定義されていなければ、配列のN末端アミノ酸残基はCysであり、配列のC末端部分はTrp−Tyr−Leuである)、(b)式VIII〜Xのいずれか一つに係る配列から実質的になるVL CDR2(もしすでにそのように定義されていなければ、配列のN末端部分はIle−Tyrである)、(c)式XI〜XVIのいずれか一つに係る配列から実質的になるVL CDR2(配列のN末端残基はCysであり、配列のC末端部分は式Phe−Gly−Xaa−Xaa内に収まり、もしすでにそのように定義されていなければ、Xaaおよび/またはXaaは典型的にGlyおよびSerから独立して選ばれるが、さもなくば任意の適切な残基である)、(d)式XVII〜XXIのいずれか一つに係る配列から実質的になるVH CDR1(配列のN末端残基はCysであり、C末端部分はTrp−Xaaであり、もしすでにそのように定義されていなければ、Xaaは典型的にValまたはIleを表すが、さもなくば任意の適切な残基である)、(e)式XXII〜XXVのいずれか一つに係る配列から実質的になるVH CDR2(もしすでにそのように定義されていなければ、配列のN末端部分は式Leu−Glu−Xaa−Xaaによって定義され、Xaaは典型的にTrpまたはTyrであり、Xaaは典型的にValまたはMetである)、および/または(f)式XXVI〜XXXのいずれか一つに係る配列から実質的になるVH CDR3(もしすでにそのように定義されていなければ、配列のN末端アミノ酸はCysであり、配列のC末端部分は式Trp−Gly−Xaa−Glyに記載されているとおりであり、本明細書および全体を通じて「Xaa」はさもなくば指定されていない限り任意の適切なアミノ酸残基を表す)を含むL5G2D3BPを提供する。
別の側面において、本発明は、図11および図12に開示されるCDRの一つ以上の変異形を含むL5G2D3BPを提供し、ここでCDRのN末端およびC末端を定義するそれらの残基を含む、CDRおよび/またはCDR関連配列の一つ、二つ、三つ、四つ、またはそれを超えるアミノ酸配列残基は、保存的アミノ酸残基置換で置換され、または前記配列は一つ、二つ、三つ、または四つの欠失、挿入、および/または付加によって変わる。このような修飾は、望ましくは、構造および疎水性の点で、変異形配列に親配列から実質的な差異を生じない。
別の側面において、本発明は、配列番号60〜62から選択される配列から実質的になる軽鎖Fab領域を含むL5G2D3BPを提供する。代替的な側面において、本発明は、式Met Lys Phe Xaa Val Gln Leu Leu Xaa Leu Leu Leu Ile Trp Ile Pro Ala Ser Ser Ser Xaa21 Xaa22 Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Xaa31 Ser Leu Ser Val Ser Leu Gly Asp Xaa40 Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Xaa49 Ser Leu Leu His Xaa54 Xaa55 Gly Ile Thr Tyr Leu His Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile Tyr Xaa77 Met Ser Lys Leu Ala Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Leu Gly Ile Tyr Tyr Cys Ala Gln Xaa118 Ser Xaa119 Leu Pro Pro Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg(配列番号63)に係る軽鎖Fab領域変異形配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中、XaaはSer、Pro、またはGlnであり、XaaはGly、Ser、または喪失しており、Xaa21はArgまたは喪失しており、Xaa22はGlyまたは喪失しており、Xaa31はPhe、Leu、またはAlaであり、Xaa40はSer、Gln、またはLysであり、Xaa49はLys、Gln、または喪失しており、Xaa54はAsn、Ser、または喪失しており、Xaa55はIle、Val、またはAsnであり、Xaa77はArg、Ser、またはGlnであり、Xaa118はAsn、Ser、またはTrpであり、Xaa119はGlu、His、またはSerである(式XXIX)。
本発明の別の特長は、式XaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaa10Xaa11Xaa12Xaa13Xaa14Xaa15Xaa16Xaa17Xaa18Xaa19Xaa20Xaa21Xaa22Xaa23Xaa24Xaa25Xaa26Xaa27Xaa28Xaa29Xaa30Xaa31Xaa32Xaa33Xaa34Xaa35Xaa36Xaa37Xaa38Xaa39Xaa40Xaa41Xaa42Xaa43Xaa44Xaa45Xaa46Xaa47Xaa48Xaa49Xaa50Xaa51Xaa52Xaa53Xaa54Xaa55Xaa56Xaa57Xaa58Xaa59Xaa60Xaa61Xaa62Xaa63Xaa64Xaa65Xaa66Xaa67Xaa68Xaa69Xaa70Xaa71Xaa72Xaa73Xaa74Xaa75Xaa76Xaa77Xaa78Xaa79Xaa80Xaa81Xaa82Xaa83Xaa84Xaa85Xaa86Xaa87Xaa88Xaa89Xaa90Xaa91Xaa92Xaa93Xaa94Xaa95Xaa96Xaa97Xaa98Xaa99Xaa100Xaa101Xaa102Xaa103Xaa104Xaa105Xaa106Xaa107Xaa108Xaa109Xaa110Xaa111Xaa112Xaa113Xaa114Xaa115Xaa116Xaa117Xaa118Xaa119Xaa120Xaa121Xaa122Xaa123Xaa124Xaa125Xaa126Xaa127Xaa128Xaa129Xaa130Xaa131Xaa132Xaa133に係るアミノ酸配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)可変軽鎖Fab領域配列を含むL5G2D3BPであり、式中、XaaはArg、Lys、またはAspであり、XaaはPheまたはTrpであり、XaaはSer、Pro、またはGlnであり、XaaはValまたはAlaであり、XaaはGlnまたはArgであり、XaaはLeuまたはIleであり、XaaはLeuまたはPheであり、XaaはSer、Gly、または喪失しており、Xaa10はLeu、Val、またはPheであり、Xaa12はVal、Met、またはLeuであり、Xaa13はIle、Leu、またはPheであり、Xaa14はTrpまたはSerであり、Xaa15はAlaまたはIleであり、Xaa16はProまたはSerであり、Xaa17はGly、Ala、またはValであり、Xaa18はSerまたはIleであり、Xaa18はSerまたはIleであり、Xaa19はThr、Ser、またはIleであり、Xaa20はThr、Ser、またはIleであり、Xaa21はAlaまたはSerであり、Xaa22は喪失しているかArgであり、Xaa23は喪失しているかまたはGlyであり、Xaa24はAspまたはGlnであり、Xaa25はIleまたはValであり、Xaa27はMetまたはLeuであり、Xaa30はAla、Thr、またはSerであり、Xaa31はAlaまたはProであり、Xaa32はPhe、Leu、またはAlaであり、Xaa33はSerまたはIleであり、Xaa34はAsn、Leu、またはMetであり、Xaa35はProまたはSerであり、Xaa36はValまたはAlaであり、Xaa37はThrまたはSerであり、Xaa38はLeuまたはProであり、Xaa40はThr、Asp、またはGluであり、Xaa41はSer、Gln、またはLysであり、Xaa42はAlaまたはValであり、Xaa43はSerまたはThrであり、Xaa44はIleまたはMetであり、Xaa45はSerまたはThrであり、Xaa47はArgまたはSerであり、Xaa48はSerまたはAlaであり、Xaa50はLys、Gln、または喪失しており、Xaa51はSerまたはGlyであり、Xaa52はLeuまたはSerであり、Xaa53はLeu、Val、または喪失しており、Xaa54はHisまたは喪失しており、Xaa55はAsn、Ser、または喪失しており、Xaa56はIle、Asn、またはValであり、Xaa57はGlyまたはSerであり、Xaa58はIle、Asn、またはTyrであり、Xaa59はThrまたはIleであり、Xaa60はTyrまたはHisであり、Xaa61はLeuまたはTrpであり、Xaa62はPhe、His、またはTyrであり、Xaa63はTrpまたはGlnであり、Xaa64はTyrまたはGlnであり、Xaa65はLeuまたはLysであり、Xaa66はGlnまたはSerであり、Xaa67はGlyまたはSerであり、Xaa68はGlnまたはProであり、Xaa69はSerまたはLysであり、Xaa70はProまたはArgであり、Xaa71はGln、Lys、またはTrpであり、Xaa72はLeuまたはIleであり、Xaa73はLeuまたはTyrであり、Xaa74はIleまたはAspであり、Xaa75はTyrまたはThrであり、Xaa76はGln、Arg、またはSerであり、Xaa77はMet、Val、またはLysであり、Xaa78はSerまたはLeuであり、Xaa79はLys、Asn、またはAlaであり、Xaa80はLeu、Arg、またはSerであり、Xaa81はAla、Phe。またはGlyであり、Xaa82はSerまたはValであり、Xaa83はGlyまたはProであり、Xaa84はValまたはAlaであり、Xaa85はProまたはArgであり、Xaa86はAspまたはPheであり、Xaa87はArgまたはSerであり、Xaa88はPheまたはGlyであり、Xaa93はSerまたはThrであり、Xaa94はGlyまたはSerであり、Xaa95はThrまたはTyrであり、Xaa96はAspまたはSerであり、Xaa97はPheまたはLeuであり、Xaa98はThrまたは喪失しており、Xaa99はLeuまたは喪失しており、Xaa100はArg、Lys、またはThrであり、Xaa103はArgまたはSerであり、Xaa104はValまたはMetであり、Xaa105はGluまたはGlnであり、Xaa109はVal、Leu、またはAlaであり、Xaa110はGlyまたはAlaであり、Xaa111はIle、Val、またはThrであり、Xaa113はTyrまたはPheであり、Xaa115はAla、Ser、またはGlnであり、Xaa117はAsn、Ser、またはTrpであり、Xaa118はLeu、Thr、またはSerであり、Xaa119はGlu、His、またはSerであり、Xaa120はLeu、Val、またはSerであり、Xaa122はLeu、Val、またはSerであり、Xaa126はSerまたはGlyであり、Xaa127はGlyまたはSerであり、さらに、式中Xaa、Xaa11、Xaa26、Xaa28、Xaa29、Xaa39、Xaa46、Xaa48、Xaa89〜Xaa92、Xaa101〜Xaa102、Xaa106〜Xaa108、Xaa112、Xaa114、Xaa116、Xaa121、Xaa123〜Xaa125、およびXaa128〜Xaa135は配列番号63におけるこれらの位置にある対応する残基によって定義されるが、可変軽鎖Fab配列が以下の一つ以上によって配列番号63と異なることである。即ち、XaaはMet以外の任意の適切な残基であり、Xaa11はLeu以外の任意の適切な残基であり、Xaa26はVal以外の任意の適切な残基であり、Xaa28はThr以外の任意の適切な残基であり、Xaa29はGln以外の任意の適切な残基であり、Xaa39はGly以外の任意の適切な残基であり、Xaa46はCys以外の任意の適切な残基であり、Xaa49はSer以外の任意の適切な残基であり。Xaa89はSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa90はGly以外の任意の適切な残基であり、Xaa91はSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa92はGly以外の任意の適切な残基であり(必要に応じて、Xaa89〜Xaa91はSer−Glyの柔軟なリンカー配列と同様の柔軟な配列を形成することを必要とする。)、Xaa101はIle以外の任意の適切な残基であり、Xaa102はSer以外の任意の適切な残基であり、Xaa106はAla以外の任意の適切な残基であり、Xaa107はGlu以外の任意
の適切な残基であり、Xaa108はAsp以外の任意の適切な残基であり、Xaa112はTyr以外の任意の適切な残基であり、Xaa114はCys以外の任意の適切な残基であり、Xaa116はGln以外の任意の適切な残基であり、Xaa121はPro以外の任意の適切な残基であり、Xaa123はThr以外の任意の適切な残基であり、Xaa124はPhe以外の任意の適切な残基であり、Xaa125はGly以外の任意の適切な残基であり、Xaa128はThr以外の任意の適切な残基であり、Xaa129はLys以外の任意の適切な残基であり、Xaa130はLeu以外の任意の適切な残基であり、Xaa131はLeu以外の任意の適切な残基であり、Xaa132はGlu以外の任意の適切な残基であり、Xaa133はIle以外の任意の適切な残基であり、Xaa134はLys以外の任意の適切な残基であり、Xaa135はArg以外の任意の適切な残基である(式XXX)。望ましくは、このような配列は配列番号60〜62の一つ以上に対して、約60%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上などの(例えば、約70〜99%)、少なくとも約45%の同一性を呈する。
本発明は、式Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa10 Xaa Xaa12 Xaa13 Xaa Xaa Xaa Xaa17 Xaa Xaa19 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa29 Xaa Xaa31 Xaa Xaa33 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa39 Xaa40 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa49 Xaa Xaa Xaa52 Xaa Xaa54 Xaa55 Xaa Xaa57 Xaa Xaa Xaa Xaa61 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa72 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa77 Xaa78 Xaa Xaa80 Xaa81 Xaa82 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa101 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa112 Xaa Xaa Xaa Xaa116 Xaa Xaa118 Xaa119 Xaa120 Xaa121 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaaに係る配列を含む(および典型的には、それから実質的になる)可変軽鎖Fab配列を含むL5G2D3BPを提供し、式中、Xaaは任意の適切なアミノ酸残基であり、XaaはArg、Lys、またはAspであり、XaaはSer、Pro、またはGlnであり、XaaはGly、Ser、または喪失しており、Xaa10はLeu、Val、またはPheであり、Xaa12はVal、Met、またはLeuであり、Xaa13はLeu、Phe、またはIleであり、Xaa17はGly、Ala、またはValであり、Xaa19はThr、Ser、またはIleであり、Xaa29はAla、Thr、またはSerであり、Xaa31はPhe、Leu、またはAlaであり、Xaa33はAsn、Leu、またはMetであり、Xaa39はThr、Asp、またはGluであり、Xaa40はSer、Gln、またはLysであり、Xaa49はLys、Gln、または喪失し/存在せず、Xaa52はLeu、Val、または喪失しており、Xaa54はAsn、Ser、または喪失しており、Xaa55はIle、Asn、またはValであり、Xaa57はIle、Asn、またはTyrであり、Xaa61はPhe、His、またはTyrであり、Xaa72はGln、Lys、またはTrpであり、Xaa77はGln、Arg、またはSerであり、Xaa80はLys、Asn、またはAlaであり、Xaa81はLeu、Arg、またはSerであり、Xaa82はAla、Phe、またはGlyであり、Xaa101はArg、Lys、またはThrであり、Xaa112はIle、Val、またはThrであり、Xaa116はAla、Ser、またはGlnであり、Xaa118はAsn、Ser、またはTrpであり、Xaa119はLeu、Thr、またはSerであり、Xaa120はGlu、His、またはSerであり、Xaa121はLeu、Val、またはSerである(式XXXI)。望ましくは、このような配列は配列番号60〜62の一つ以上に対して、約60%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または約95%以上(例えば、約70〜99%以上)などの、少なくとも約45%の同一性を呈する。
別の側面において、本発明は、式XXIX〜XXXIのいずれか一つに係る配列の一部に対応する配列(つまり、このような配列から得られる連続したアミノ酸の一続きを含む)、または非常に類似した配列(例えば式XXIX、XXX、またはXXXI(または配列番号60〜62のいずれか一つ)のこのような一部に対して約70〜99%などの、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれを超える同一性を有する配列)を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、前記L5G2D3BPによるγ2DIIIの結合を仲介するかまたはそれに寄与する。典型的には、このような配列は、約15個以上、約20個以上、約30個以上、約40個以上、約50個以上、少なくとも約60またはそれを超えるような(例えば、約25〜65個)、少なくとも長さ約10個のアミノ酸である。
別の側面において、本発明は、配列番号60〜62の一つの一部に係る軽鎖Fab配列を含むL5G2D3BPを提供し、ここで、配列番号60〜62の軽鎖配列におけるN末端のアミノ酸残基の約1〜20個は軽鎖Fab配列から不存在である。別の側面において、本発明は、式XXIX〜XXXIのN末端部分から約1〜20個のアミノ酸残基を欠く、式XXIX〜XXXIのいずれか一つの断片に係る軽鎖変異形Fab配列を提供する。
本明細書に記載されている様々な軽鎖Fabおよび重鎖Fabの配列からのN末端配列の欠失は、典型的には、このような配列を含む軽鎖または重鎖のペプチドのシグナル配列部分を除去するかまたは不能にするよう機能する。従って、例えばこれらの配列を外因性シグナル配列と置換することが望まれる場合には、これらの配列は除去できる。これらの配列の除去はまた、これらのペプチドが化学合成(例えば、固相ペプチド合成)によって産生される場合に望ましくありうる。さらに、このような配列がより大きなペプチド配列中に組み込まれる場合(例えば、このような配列を含む融合タンパク質の場合など)には、除去が望ましい場合がある。適切な折りたたみ、(抗体および抗体様分子の場合における)H2L2単量体および他の複数鎖構造の集合ならびに鎖間ジスルフィド結合の形成、細胞からの分泌(例えば、ゴルジ装置からのベシクル輸送および開口分泌による)グリコシル化に向けた小胞体の標的化の検討は、組み換え技術によるこのような配列を含むL5G2D3BPを産生する場合にこのようなシグナル配列を欠く変異形VH配列およびVL配列に対して修飾をするうえで考慮される因子でありうる。当業者は、定型的な実験を用い既知の技術を活用して、野生型抗体のそれと同様の様式で、このようなプロセッシング、または非脊索動物細胞における組み換えL5G2D3BPを発現する場合などの様々な処理に対して提供する適切な外因性シグナル配列を選択できる。
本発明の別の特長は、式Xaa Val Xaa Leu Xaa Glu Ser Gly Xaa Xaa10 Leu Val Xaa13 Pro Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Leu Xaa21 Cys Xaa23 Xaa24 Xaa25 Gly Xaa27 Xaa28 Xaa29 Xaa30 Xaa31 Xaa32 Xaa33 Xaa34 Xaa35 Asn Trp Xaa38 Arg Xaa40 Xaa41 Pro Xaa43 Xaa44 Xaa45 Leu Glu Xaa48 Xaa49 Xaa50 Xaa51 Ile Xaa53 Xaa54 Xaa55 Xaa56 Xaa57 Xaa58 Xaa59 Xaa60 Thr Xaa62 Tyr Xaa64 Xaa65 Ser Leu Lys Xaa69 Arg Xaa71 Xaa72 Xaa73 Xaa74 Arg Asp Xaa77 Ser Lys Xaa80 Xaa81 Xaa82 Xaa83 Leu Gln Xaa86 Asn Xaa88 Xaa89 Xaa90 Xaa91 Glu Asp Thr Xaa95 Xaa96 Tyr Tyr Cys Xaa100 Xaa101 Xaa102 Xaa103 Xaa104 Xaa105 Xaa106 Xaa107 Xaa108 Xaa109 Phe Xaa111 Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Xaa118 Xaa119 Tyr Val Ser Xaa120(配列番号72)に係る配列を含む(および典型的にそれから実質的になる)重鎖Fab変異形配列を含むL5G2D3BPであり、式中、配列の可変残基は以下の表に従って定義できる。
Figure 2007534631
望ましくは、このような変異形重鎖Fab配列は、配列番号69〜71の一つ以上に対して有意な同一性(例えば、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上(例えば、約65〜99%)などの、少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性(例えば、約50〜99%の同一性))を呈する。
先行する段落に記載された側面に関するバリエーションにおいて、本発明は、Val、Leu、Glu、Ser、Gly、Leu11、Val12、Pro14、Leu20、Cys22、Gly26、Asn36、Trp37、Arg39、Pro42、Leu46、Glu47、Ile52、Thr61、Ser66、Leu67、Lys68、Arg70、Arg75、Asp76、Ser78、Lys79、Leu84、Gln85、Asn87、Ser88、Glu92、Asp93、Thr94、Tyr97、Tyr98、Cys99、Phe110、Tyr112、Trp113、Gly114、Gln115、Gly116、及びThr117の一つ以上が置換されていることを除き式XXXIIと同一の式に係る配列から実質的になる重鎖Fab配列を含むL5G2D3BPを提供する。典型的には、このような置換のほとんどまたはすべてが他の天然に存在するアミノ酸との置換であり、通常このような置換のほとんどまたはすべてが保存的置換である(例えば、このような置換の約2/3、約3/4、またはそれより多くが保存的である。)。望ましくは、このような置換は表記の置換を欠く式XXXIIを含むL5G2D3BPに比べて、L5G2D3BPの親和性を増加する。
上述のように、先行する段落において記載されている式XXXIIまたは式XXXIIに対するバリエーションによって定義される配列(及び配列番号69から71の任意の一つ)などの、本明細書に記載されている重鎖配列は、N末端における約1〜20個のアミノ酸残基によって末端切断できる。このような末端切断された重鎖配列(上述のように提供された式にしたがった重鎖配列変異形を含む)を含むL5G2D3BPは本発明のさらなる特長である。
本発明は、さらに、L5G2D3BPまたは非常に類似した配列(例えば、このような式XXXIV配列または配列番号69〜71から選択される配列に対して、約75〜99%などの、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%以上などの、約60%を超えて同一の配列)によるγ2結合を仲介するかまたはそれに関与する式XXXIIまたは上述の式XXXII変異形(またはそこから得られる、連続したアミノ酸残基のスパン)に係る配列の一部に対応する配列を含むL5G2D3BPを提供する。このようなアミノ酸配列のサイズは、典型的には、少なくとも約15、20、30、40、50個以上のアミノ酸残基(例えば、約12〜60個のアミノ酸)などの、少なくとも約10個のアミノ酸残基である。
別の側面において、本発明は、配列番号69、70および/または71から実質的になる重鎖配列を含むL5G2D3BPを提供する。さらなる側面において、本発明は、γ2DIII結合を仲介するかそれに関与する配列番号69〜71のいずれか一つの断片に対応する配列を含むL5G2D3BPを提供する。典型的には、このような断片は長さ約15個、約20個、約30個、約40個、約50個、約60個以上のアミノ酸などの、少なくとも約10個のアミノ酸である。さらなる面において、本発明は、配列番号84、85または86から実質的になる重鎖配列を含むL5G2D3BPを提供する。このような部分は、特定の発現システムにおいて、ペプチドプロセッシングでタンパク質分解的に切断されてもよいので(つまり、このような残基はシグナル配列を表し得る)、これに加えてまたはこれに代えて、これらの重鎖Fab変異形配列は何れも、L5G2D3BPにおける配列のN末端残基の約1〜20個の末端切断によって修飾することができる。
別の側面において、本発明は、L5G2D3BPの産生についてコード化する配列を含む核酸を提供する。L5G2D3BPをコード化する核酸は、任意の適切な特徴を有することができ、任意の適切な特長またはその組み合わせを含むことができる。従って、例えばL5G2D3BPをコード化する核酸はDNA、RNA、またはそのハイブリッドの形であってもよく、非自然的に生じる塩基、修飾された骨格(例えば、核酸の安定性を促進するホスホチオエート骨格)、あるいはその両者を含んでもよい。核酸は標的宿主細胞における望ましい発現、複製、および/または選択を促進する特長を有利に含む。このような特長の例は、複製基点の要素、選択遺伝子成分、プロモーター成分、エンハンサー要素成分、ポリアデニル化配列成分、終結成分などを含み、その数多くの適切な例は公知である。
さらなる側面において、本発明は、L5G2D3BPコード化核酸(例えば、L5G2D3BPコード化配列を含む核酸)を含むベクターを提供する。ベクターは、L5G2BPコード化核酸の発現、L5G2BPペプチドの産生、標的細胞の形質移入/形質転換、L5G2BPコード化核酸の複製を促進し、核酸の安定性を促進し、核酸および/または形質転換/形質移入された細胞の検出を促進し、あるいはさもなくば有利な生物学的および/または物理化学的機能をL5G2BPコード化核酸へ与える送達ビヒクルを指す。別段の記載が為されている場合を除き、本発明におけるベクターは、染色体性、非染色体性、および合成核酸ベクター(適切なセットの発現調節要素を含む核酸)など、任意の適切なベクターとすることができる。このようなベクターの例には、SV40の誘導体、バクテリアプラスミド、ファージDNA、バキュロウィルス、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNAの組み合わせから誘導されるベクター、ウィルス核酸(RNAまたはDNA)ベクターが含まれる。ある典型的な側面において、L5G2D3BPをコード化する核酸はむき出しのDNAまたはRNAベクター中に含まれ、これには、例えば(例えばSykes and Johnston (1997) Nat Biotech 17: 355-59に記載されているような)直鎖発現要素、(例えば米国特許6077835および/または国際特許出願WO00/70087において記載されているような)コンパクトになった核酸ベクター、pBR322、pUC118/19又はpUC118/119などのプラスミドベクター、(例えば、Schakowski et al. (2001) Mol Ther 3: 793-800に記載されているような)「小昆虫(midge)」の最小の大きさの核酸ベクターが含まれ、または(例えば、国際特許出願WO00/465147、Benvenisty and Reshef (1986) Proc Natl Acad Sci USA 83: 9551-55, Wigler et al. (1978), Cell 14:725, and Coraro and Pearson (1981) Somatic Cell Genetics 7:603において記載されているような)CaPO4によって沈殿さ
れるコンストラクトなどの沈殿された核酸ベクターコンストラクトが含まれる。このような核酸ベクターとそれらの使用は本分野において周知である(例えば、米国特許5589466および5973972参照)。
ある側面において、前記ベクターはバクテリア細胞におけるL5G2D3BPの発現に適している。このようなベクターの例には、例えばすでに精製された融合タンパク質の高レベルの発現を誘導するベクター(例えば、多機能性大腸菌クローニングと、ブルースクリプト(Stratagene)などの発現ベクター、pINベクター(Van HeekeとSchuster、J.Biol.Chem.264、5503-5509(1989)、pETベクター(Novagen、ウィスコンシン州マディソン市)など)がある。
発現ベクターは、これに加えて又はこれに代えて、例えば酵母系において発現するのに適したベクターでありうる。酵母系における発現に適した任意のベクターは利用できる。例えばS. cerevisiaeにおける使用に適したベクターには、例えばα因子などの構成的または誘導性プロモーター、アルコールオキシダーゼ、およびPGHを含むベクターが含まれる(例えば、上述のAusubel, supra, and Grant et al., Methods in Enzymol 153: 516-544 (1987)に総説が記載されている)。
核酸および/またはベクターは、新生ポリペプチド鎖などのポリペプチドを、所望の細胞内区画、膜、または細胞内小器官へと標的誘導することができるか、あるいは細胞膜周辺腔または細胞培地へのポリペプチド分泌を誘導する分泌/局在化配列をコード化する核酸配列も含むことができる。このような配列は本分野で既知であり、分泌リーダーまたはシグナルペプチド、細胞内小器官ターゲティング配列(例えば、核局在化配列、ER保持シグナル、ミトコンドリア輸送配列、葉緑体輸送配列)、膜局在化/アンカー配列(例えば、停止輸送配列、GPIアンカー配列)などを含む。
L5G2BPをコード化する核酸ベクターは、任意の適切なプロモーター、エンハンサー、および発現を容易にする他の要素を含むことができ、又はそれらと会合できる。このような要素の例には、強発現プロモーター(例えば、ヒトCMV IEプロモーター/エンハンサー、RSVプロモーター、SV40プロモーター、SL3−3プロモーター、MMTVプロモーター、またはHIV LTRプロモーター)、効果的なポリ(A)終結配列、大腸菌におけるプラスミド産生のための複製起点、選択可能なマーカーとしての抗生物質耐性遺伝子、および/または簡便なクローニング部位(例えば、ポリリンカー)がある。核酸も、CMV IEなどの構成的プロモーターではなく、誘導性プロモーターを含むことができる(当業者は、このような用語が、一定の条件下での遺伝子発現の相対的な程度を実際に現す用語であることを認めるであろう)。ある側面において、本発明は、L5G2BPまたは関連分子をコード化する配列を含む核酸を提供し、その配列はLn−5感受性癌細胞関連組織などのLn−5関連組織における配列の発現を促進する組織特異的なプロモーターへ動作可能なように連結される。このような癌関連組織特異的プロモーター系の例は、例えば「Fukazawa et al., Cancer Res. 2004;64(1):363-9; Latham et al., Cancer Res. 2000 60(2):334-41; and Shirakawa et al., Mol Urol. 2000;4(2):73-82」に記載されている。
別の側面において、核酸はウィルスベクターを介して宿主細胞または宿主動物の中に配置され、および/または送達される。任意の適切なウィルスベクターはこの点において使用でき、いくつかが本分野において公知である。ウィルスベクターは任意の数のウィルス核酸配列および/または分子を単独でまたは一つ以上のウィルスタンパク質との組み合わせで含むことができ、前記ウィルスタンパク質は所望の宿主細胞における本発明の送達、複製、および/または発現を容易にする。ウィルスベクターはウィルスゲノム、ウィルスタンパク質/核酸抱合体、ウィルス様粒子(VLP)、米国特許5849586および国際特許出願WO97/04748において記載されているものと同様のベクター、またはウィルス性核酸および本発明の核酸を含む無処置のウィルス性粒子の全部または一部を含むポリヌクレオチドでありうる。ウィルス性粒子ウィルスベクターは野生型ウィルス粒子または修飾されたウィルス粒子を含むことができる。ウィルスベクターはアデノウィルスベクターアンプリコンなどの、複製および/または発現のための別のベクターまたは野生型ウィルスの存在を必要とするベクターでありうる(つまり、ウィルスベクターはヘルパー依存性ウィルスでありうる)。典型的には、導入遺伝子の能力を増加させ、又は核酸の形質移入および/または発現を補助する(このようなベクターの例にはヘルペスウィルス/AAVアンプリコンがある)ために、このようなウィルスベクターは野生型ウィルス粒子、またはそのタンパク質および/または核酸含有物において修飾されるウィルス粒子から本質的になる。典型的には、ウィルスベクターは、ヒトに通常感染するウィルスと同様であるかおよび/またはヒトに通常感染するウィルスから誘導される。この点における適切なウィルスベクター粒子には例えば(アデノウィルス科のウィルスのいずれかのウィルスまたはそれから誘導されるウィルスを含む)アデノウィルスベクター粒子、アデノ随伴ウィルスベクター粒子(AAVベクター粒子)、または他のパルボウィルスおよびパルボウィルスベクター粒子、 パピローマウィルスベクター粒子、フラビウィルスベクター、αウィルスベクター、ヘルペスウィルスベクター、ポックスウィルスベクター、レンチウィルスベクターを含むレトロウィルスベクターがある。このようなウィルスおよびウィルスベクターの例は、例えば、Fields et al., eds., VIROLOGY, Raven Press, Ltd., New York (3rd ed., 1996 and 4th ed., 2001); ENCYCLOPEDIA OF VIROLOGY, R. G. Webster et al., eds., Academic Press (2nd ed., 1999); FUNDAMENTAL VIROLOGY, Fields et al., eds., Lippincott- Raven (3rd ed., 1995), Levine, “Viruses,” Scientific American Library No. 37 (1992), MEDICAL VIROLOGY, D. O. White et al., eds., Acad. Press (2nd ed. 1994), and INTRODUCTION TO MODERN VIROLOGY, Dimock, N. J. et al., eds., Blackwell Scientific Publications, Ltd. (1994)にある。
本発明のポリヌクレオチド及びおよび本明細書に記載されている方法とともに利用できるウィルスベクター従って、例えば、「Carter (1992) Curr Opinion Biotech 3: 533-539 (1992) and Muzcyzka (1992) Curr Top Microbiol Immunol 158: 97-129 (1992)」にあるように、例えばアデノウィルスおよびアデノ随伴ベクターが含まれる。AAVベクターのさらなるタイプと側面は、「Buschacher et al., Blood, 5 (8), 2499-504, Carter, Contrib. Microbiol. 4: 85- 86 (2000), Smith-Arica, Curr. Cardiol. Rep. 3 (1) : 41-49 (2001), Taj, J. Biomed. Sci. 7 (4): 279- 91 (2000), Vigna et al., J. Gene Med. 2 (5):308-16 (2000), Klimatcheva et al., Front. Biosci. 4: D481-96 (1999), Lever et al., Biochem. Soc. Trans. 27 (6):841-47 (1999), Snyder, J Gene Med. 1 (3):166-75 (1999), Gerich et al., Knee Surg. Sports Traumatol. Arthrosc. 5 (2): 118-23 (1998), and During, Adv. Drug Deliv. Review 27 (1) :83-94 (1997)、及び米国特許第4,797,368号; 第5,139,941号; 第5,173,414号; 第5,614,404号; 第5,658,785号; 第5,858,775号;及び第5,994,136号、並びに本明細書の他の箇所で論じられている他の参考文献に記載されている。アデノ随伴ウィルスベクターは、例えば米国特許第4,797,368号およびLaughlin et al., Gene 23:65-73 (1983)に記載されている方法を用いて構築および/または精製できる。
本発明のポリヌクレオチドおよび他の核酸を送達するために利用できる別のタイプのウィルスベクターはパピローマウィルスベクターである。適切なパピローマウィルスベクターは本分野において公知であり、例えばHewson(1999)Mol.Med.Today, 5(1)8; Stephens (1987) Biochem. J. 248(1) 1-1;米国特許5719054に記載されている。有用なパピローマウィルスベクターは例えば国際特許出願WO99/21979において提供される。αウィルスベクターも有用な遺伝子送達ベクターでありうる。αウィルスベクターは本分野において公知であり、例えば、Carter (1992) Curr Opinion Biotech 3:533-539, Muzcyzka (1992) Curr Top Microbiol Immunol. 158:97-129, Schlesinger Expert Opin Biol Ther. 2001 Mar; 1 (2):177-91, Polo et al. Dev Biol (Basel). 2000; 104:181-5, Wahlfors et al. Gene Ther. 2000 Mar; 7 (6):472-80, Colombage et al. Virology. 1998 Oct 10; 250 (1):151-633;国際特許出願WO01/81609、WO00/39318、WO01/81553、WO95/07994、およびWO92/10578に記載されている。
ウィルスベクターの別の有利なグループはヘルペスウィルスベクターである。ヘルペスウィルスベクターの例は、例えば、Lachmann et al. , Curr Opin Mol Ther 1999 Oct; 1 (5):622-32, Fraefel et al., Adv Virus Res. 2000; 55:425-51, Huard et al., Neuromuscul 1997 Jul ; 7 (5):299-313, Glorioso et al., Annu Rev Microbiol. 1995; 49:675-710, Latchman, Mol Biotechnol. 1994 Oct; 2 (2):179-95, and Frenkel et al., Gene Ther. 1994; 1 Suppl 1:S40-6;米国特許6261552および5599691に記載されている。
レンチウィルスベクターを含むレトロウィルスベクターも、特定の場面において有利な遺伝子送達ビヒクルでありうる。本分野において公知の膨大なレトロウィルスベクターが存在する。レトロウィルスベクターの例は、例えば、Miller, Curr Top Microbiol Immunol (1992) 158: 1-24; Salmons and Gunzburg (1993) Human Gene Therapy 4: 129-141; Miller et al. (1994) Methods in Enzvmolosv 217: 581-599, Weber et al., Curr Opin Mol Ther. 2001 Oct; 3 (5): 439-53, Hu et al., Pharmacol Rev. 2000 Dec; 52 (4): 493-511, Kim et al. , Adv Virus Res. 2000 ; 55: 545-63, Palu et al., Rev Med Virol. 2000 May-Jun; 10 (3): 185-202, and Takeuchi et al., Adv Exp Med Biol. 2000; 465: 23-35;米国特許第6,326,195号、第5,888,502号、第5,580,766号、および第5,672,510号に記載されている。
アデノウィルスベクターも遺伝子移入のための適切なウィルスベクターでありうる。アデノウィルスベクターは本分野において周知であり、例えば、Graham et al (1995) Mol Biotechnol 33 (3): 207-220, Stephenson (1998) Clin Diagn Virol 10 (2-3): 187-94, Jacobs (1993) Clin Sci (Lond). 85 (2): 117-22;米国特許第5,922,576号、第5,965,358号、および第6,168,941号;国際特許出願WO98/22588、WO98/56937、WO99/15686、WO99/54441、およびWO00/32754に記載されている。
他の適切なウィルスベクターにはポックスウィルスベクターがある。このようなベクターの例は、例えば、「Berencsi et al. , J Infect Dis (2001) 183 (8): 1171-9 ; Rosenwirth et al., Vaccine 2001 Feb 8; 19 (13-14):1661-70; Kittlesen et al., J Immunol (2000) 164 (8):4204-11; Brown et al. Gene Ther 2000 7 (19):1680-9; Kanesa-thasan et al., Vaccine (2000) 19 (4- 5):483-91; Sten (2000) Drua 60 (2): 249-71」において論議されている。ワクシニアウィルスベクターは好ましいポックスウィルスベクターである。このようなベクターおよびその使用の例は、例えば、Venugopal et al. (1994) Res Vet Sci 57 (2): 188-193, Moss (1994) Dev Biol Stand 82: 55-63 (1994), Weisz et al. (1994) Mol Cell Biol 43: 137-159, Mahr and Payne (1992) Immunobioloev 184 (2-3) : 126- 146, Hruby (1990) Clin Microbiol Rev 3 (2): 153-170;国際特許出願WO92/07944、WO98/13500、およびWP89/08716に提供される。
本発明の他の特長には、このような核酸、ベクター、またはその一方または両方の組み合わせを含む酵母細胞、バクテリア細胞および哺乳類細胞(例えば、不死化した哺乳類細胞)などの組み換え細胞が含まれる。例えば、ある典型的な側面において。本発明は、本発明のL5G2BP(例えば、L5G2D3BP)の発現をコードする配列を含む細胞ゲノム中に安定的に組み込まれる核酸を含む細胞を提供する。別の側面において、本発明は、L5G2BPの発現についてコード化する配列を含むプラスミド、コスミド、ファージミド、または直鎖発現要素など、組み込まれていない核酸を含む細胞を提供する。
(このようなADRの二つ以上を含む)Ln−5γ2の上述の抗原性決定領域のいずれかを含む免疫原性ペプチドは本発明の別の特長である。このような免疫原は能動的な免疫療法を含む方法において直接的な免疫反応を誘導するのに使用できる。
本発明は、さらに(γ2ADR免疫原性部分又は実質的に同一の配列を一以上含む)γ2ADR免疫原性部分を含む融合タンパク質と、例えば融合タンパク質の半減期を改善すること(例えば、免疫グロブリンドメイン配列の導入)、(例えば、蛍光ペプチド配列、リポーター酵素配列、エピトープタグ、ヘキサヒスチジン配列などを含むことによって)融合タンパク質の検出および/または精製を容易にすること、(例えば、標的細胞上の受容体に特異的なリガンドまたはリガンドの一部を含むことによって)融合タンパク質のターゲティングを促進すること、異なる免疫反応の誘導を促進すること(例えば、癌抗原またはその免疫原性断片に対応する)、細胞傷害剤として作用すること、またはそのいずれかの組み合わせを達成すること(例えば、熱ショック融合タンパク質パートナーは、融合タンパク質のインビボでの半減期を増加させながら、融合タンパク質の非類似異種抗原部分に対して生じる免疫反応を増大できる。)によって、免疫原性ペプチドの機能的および/または物理化学的特性を調節する融合パートナー配列と、を提供する。融合タンパク質は、一つ以上の切断部位を、特にドメイン間に含むこともできる。このような融合タンパク質中に適切に組み込むことができる融合タンパク質のさらなる特長と特徴は、本発明によって提供される他の融合タンパク質に関して論議される。
このような免疫原性ペプチドの変異形、並びにこのような免疫原性ペプチドおよび免疫原性ペプチド変異形の誘導体は本発明のさらなる特長である(例えば、このようなγ2免疫原性ペプチド誘導体は、このような抗体、毒素、放射性同位元素、細胞傷害剤、または細胞分裂阻害剤などの他の分子実体に対する化学的連結、遺伝子融合、非共有会合などによって修飾できる)。
Ln−5エピトープ配列を含むペプチドミモトープも、例えば「癌ワクチン」候補として有用でありうる。このようなペプチドも、抗γ2mAbのように、L5G2BPの精製において有用でありうる。本明細書に記載されているB細胞エピトープ配列に加えて、このようなペプチドは抗γ2T細胞エピトープのように、一つのまたはさらなる抗Ln−5T細胞エピトープを、さらにまたは代替的に含むよう遺伝子操作し、または選択できる。このようなエピトープは本分野において公知の任意の適切な技術によって(例えば、T細胞エピトープ推定ソフトウェアの適用によって)同定できる。別の側面において、抗原性γ2DIIIB細胞エピトープおよび抗癌関連T細胞エピトープを含む異種配列を含む融合タンパク質が提供される。別の側面において、γ2DIII結合配列はLn−5関連T細胞エピトープを持つペプチドに含まれる。
別の側面において、本発明は、このような免疫原性ペプチドをコード化する配列を含む核酸を提供する。このような核酸は複製欠損及び/又標的誘導されたベクター(例えば、標的誘導された核酸ベクターまたは複製欠損および標的誘導されたアデノウィルスベクター)または本明細書に記載されており、若しくは本分野において公知の任意の他の適切なベクターなどの、適切なベクターの中に入れて宿主へ送達できる。本発明は、またこのような免疫原性ペプチドおよび/または免疫原性ペプチドをコード化する核酸の一つ以上を(一つ以上の医薬的に許容できる担体、賦形剤等とともに)含む組成物も提供する。
別の側面において、本発明は、L5G2BPと関連した二次抗体および抗イディオタイプ抗体を提供する。
二次抗体とは、抗γ2DIII抗体のように、別の抗体に対して特異的であり、典型的には別の抗体に対して惹起された抗体を指す(但し、他のL5G2BPに対する抗体は、適用可能な場合には、同様に用いられるかまたは組み込まれることができる)。抗イディオタイプ(抗Id)抗体とは、抗体の抗原結合部位と一般に会合された固有の決定因子(例えば、本発明によって提供される抗γ2抗体における決定因子)を認識する抗体である。抗イディオタイプ抗体は抗γ2DIIImAbのソースと同じ種及び遺伝子型の動物(例えば、マウス系)を、抗Idが調製されているmAbで免疫化することによって調製できる(このような抗体を調製するのに、他の方法が適する場合もあり得る。)。典型的には、免疫化された動物は、これらのイディオタイプの決定因子に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって、免疫化している抗体のイディオタイプ決定因子を認識し、免疫化している抗体のイディオタイプ決定因子に応答することができる。このような抗体の例は例えば米国特許4699880に記載されている。このような抗体は本発明のさらなる特長である。
抗Id抗体もさらに別の動物に免疫反応を誘導する免疫原として使用でき、いわゆる抗抗Id抗体または抗Id抗体反応を生じる。抗抗Id抗体は抗Idを誘導した元のmAbとエピトープが同一(または実質的に同一)であり得る。従って、mAbのイディオタイプの決定因子に対して抗体を用いることによって、同一のまたはほぼ同一の特異性の抗体を発現するクローンを同定することは可能である。抗Id抗体は、本明細書の他の箇所に抗γ2抗体および他のL5G2BPに関して記載されている任意の適切な技術によって変化させ(それにより抗Id抗体変異形を産生できる)および/または誘導体化することができる。例えば、抗IdmAbは、スカシガイヘモシアニン(KLH)などの担体へ連結でき、BALB/cマウスを免疫化するのに使用できる。これらのマウス由来の血清は、
元の/親のγ2DIII抗体と同一でなければ同様の結合特性を有する抗抗Id抗体を典型的に含む。
抗Id抗体および抗抗Id抗体、L5G2BPコード化配列を含む核酸、このような核酸分子を含む細胞およびベクター、特定のγ2ADRに対応する免疫原性ペプチドなどは「関連化合物」として挙げることができる(つまり、L5G2BPと「関連した」化合物)。
二つ以上のL5G2BPは組み合わされることができ、一つ以上のL5G2BPは他の因子と組み合わされて新しく有利な組成物を提供することができる。同様に、L5G2BPの組み合わせ、および一つ以上のL5G2BPの組み合わせ、および一つ以上の他の組成物は、癌腫などγ2ペプチド関連疾患を治療するのに有利に適用できる。同様に、一つ以上のL5G2BPは一つ以上の治療上または予防上の技術の適用(例えば、放射線療法の適用、外科技術の適用、特殊化された食事の適用、等)と組み合わせて患者に送達できる。
ある典型的な側面において、本発明は、二つ以上のL5G2BP、L5G2BPコード化配列を含む二つ以上の核酸(例えば、このような核酸を含む二つ以上のベクター)、または少なくとも一つのL5G2BP、および少なくとも一つのL5G2BPコード化核酸を含む組成物を提供する。さらなる側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPおよび/またはL5G2BPコード化配列を含む核酸が、一つ以上の二次活性因子(典型的には、細胞、その構成要素、および/またはその生成物(またはそれらとの反応)に対する前記因子作用によって、典型的には、細胞受容体に対する作用によって、生理学的反応を誘導、促進、および/または亢進する因子である。)と組み合わされ、必要に応じて一つ以上の薬学的に許容される賦形剤とさらに組み合わされる、組成物を提供する。別の側面において、L5G2BPまたは関連組成物(L5G2BPコード化核酸、関連ベクター、細胞、L5G2BP抗Id抗体等)は、癌および前癌性疾患などのγ2関連疾患と関連する症状の治療に向けられた一つ以上の他の療法の投与と合わせて患者に送達される。
上述で論議されるように、本発明のある典型的な特長は、抗γ2DIII抗体の「カクテル」などの、複数のL5G2BPを含む組成物である。このようなある側面において、本発明は、γ2結合に関して異なる特異性および/または選択性プロファイルを各々有するL5G2BPのカクテルを提供する。別の側面において、本発明は、二つ以上のL5G2BPからなるカクテルを提供し、そのうちのいくつかまたはすべてがγ2の一部の結合に関して競合し、ここで、これらの抗体に対する抗原性決定領域が重なっており、このような組成物の例はmAb5D5、mAb6C12、それらの誘導体、それらの断片、および/またはそれらの変異形を含む組成物である。
別の典型的な面において、本発明は、抗新生物性免疫原性ペプチド、抗体、または小分子薬剤など(この具体的な例は、さらに本明細書で提供されている)、少なくとも一つのL5G2BPと少なくとも一つのさらなる(または「二次的な」または「第二の」)抗新生物治療剤の効果的な組み合わせを含む組成物を提供する。従って、例えばある側面において、本発明は、別の抗新生物治療剤および/または予防剤と組み合わせた抗γ2DIIImAbを含む組成物を、それを要する患者に、必要に応じて医薬的に許容できる担体とともに投与することを含む、γ2ラミニン−5を分泌する腫瘍を有する患者の治療のための治療法を提供する。
さらなる側面において、二つ以上のL5G2BPまたは一つ以上のL5G2BPおよび一つ以上の二次薬剤が対象へ個別に同時送達される(例えば、同時投与)が、患者で少なくとも相加的な効果に達するような協調された様式で、別個に行われる。
本明細書において「同時投与」および「同時投与する」などの用語は、別段の記載がなければ、同時(又は同時発生)及び連続の関連する投与を表す。薬剤の同時投与は任意の適切な様式で、任意の適切な時間で達成できる。言い換えれば、同時投与とは、抗新生物性剤のみ、L5G2D3BPのみ、またはその両者の投与の間、(つまり、いずれかが独立して投与される間)抗癌反応における亢進をもたらす任意の時点において、二次抗新生物性剤の投与前、投与と同時または投与後にL5G2D3BPを投与することを指すことができる。別段の記載がなければ、又はこれに反する明示の記載がなければ、投与以外の他の経路による送達も包含されることを除き(例えば、投与される核酸からのタンパク質の発現、投与されるプロドラッグからの活性な抗癌剤の標的誘導された内部産生、など)「同時送達する」および「同時送達された」などの語は同様に解釈されるべきである。
L5G2BPは様々な種類の癌を含む多くの症状の治療において使用できる。従ってL5G2BPは多くの抗癌治療剤および/または予防剤および療法と組み合わされることができる。このような薬剤の非限定的な例には、カペシタビンなどのフルオロピリミジナーカルバミン酸(fluoropyrimidiner carbamate)、非ポリグルタミン酸化可能なチミジル酸合成酵素阻害剤(non-polyglutamatable thymidylate synthase inhibitor)、トクラデシンなどのヌクレオシド類縁体、ペメトレキセド二ナトリウムなどの葉酸代謝拮抗剤、タキサンおよびタキサン類縁体、トポイソメラーゼ阻害剤、ポリアミン類縁体、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシンエステル)、アルキル化剤(例えば、オキサリプラチン)、レクチン阻害剤、(セオカルシトールなどの)ビタミンD類縁体、炭水化物処理阻害剤(carbohydrate processing inhibitor)、代謝拮抗葉酸アンタゴニスト、チミジル酸合成酵素阻害剤(thumidylate synthase inhibitor)、他の代謝拮抗剤(例えば、ラルティトレキセド)、リボヌクレアーゼ還元酵素阻害剤、ジオキソレートヌクレオシド類縁体、チミレート合成酵素阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモン(GRNH)ペプチド、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、化学的に修飾されたテトラサイクリン(例えば、CMT−3、COL−3)、シトシンデアミナーゼ、チモペンチン、DTIC、カルムスチン、カルボプラチン、ビンブラスチン、テモゾロミド、ビンデシン、チモシン−α、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、フェニルブチレート)、DNA修復剤(例えば、DNA修復酵素および、ジメリシンTM(T4エンドヌクレアーゼV含有リポソーム)などの関連組成物)、ガストリンペプチド(およびガストリミュンTMなどの関連組成物)、GMKおよび関連化合物または組成物(例えば、Knutson, Curr Opin Investig Drugs. 2002 Jan;3(1):159-64 and Chapman et al., Clin Cancer Res. 2000 Dec;6(12):4658-62参照)、β−カテニン遮断剤/阻害剤および/または前新生物性または新生物性細胞核に
おけるβ−カテニン産生量を下げる薬剤(例えば、米国特許6677116参照)、E−カドヘリン発現(またはE−カドヘリン)を上方制御する薬剤、遅純な(slug)(β−カテニンと関連した)遺伝子発現を低下させる薬剤、PAI−1を遮断、抑制、または拮抗するか、さもなくばウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)のuPA受容体との相互作用を調節する薬剤、サバイビン、DNA脱メチル化剤、白金関連抗癌剤(シスプラチン、カルボプラチン、等)などの「架橋」剤、MAPKおよびRasシグナル伝達経路またはそれらの構成要素を阻害する薬剤(例えば、サイクリンDの産生および/または機能を妨げる薬剤)などの抗アポトーシス性シグナル伝達経路を遮断する薬剤、セペシタビン/キセロダ(Xeloda)、シタラビン(cytarabine)/Ara−C、クラドリビン/ロースタチン(Leustatin)、フルダレイン(Fludaraine)/フルダラ(Fludara)、フルオロウラシル/5−FU、ジェムシタビン/ゲムザール(Gemzar)、メルカプトプリン/6−MP、メソトレキセート/MTX、チオグアニン/6−TG、アロプリノール/ザイロプリン(Zyloprim)、等などの代謝拮抗剤などの成長阻害剤、ブスルファン、シクロホスファミド、メクロエタマイン(mechlorethamaine)、メルファラン、チオテパ、セムスチン、カルボプラチン、シスプラチン、プロカルバジン、ダカルバジン、アルスレタミン、ロムスチン、カルムスチン、クロランブシル、等などのアシル化剤、トポテカン、イリノテカンとしてのカンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、エトポシド/VP16、テニポシド/VP26等としてのポドフィロトキシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、またはパクリタキセル、ドセタキセル、コンブレスタチン、エポチロンB等などのタキサンなどの微小管および/または紡錘体形成の阻害剤、RRRαトコフェリルコハク酸塩、ダウノルビシン/セルビジンおよびドキソルビシンとしてのアンスラサイクリン、イダルビシン、マイトマイシン、プリカマイシン、オールトランスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸等などのレチノイン酸類縁体、受容体チロシンキナーゼの阻害剤、イレッサ、エルビタックス等などのErbB−1/EGFRの阻害剤、ヘルセプチン等などのErbB−2/Her2の阻害剤、グリベック(Gleevec)などのc−kitの阻害剤、ZD6474、SU6668等などのVEGF受容体の阻害剤、ErbB3、ErbB4、IGF−IR、インシュリン受容体、PDGFRa、PDGFRβ、Flk2、Flt4、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、TRKA、TRKC、c−met、Ron、Sea、Tie、Tie2、Eph、Ret、Ros、Alk、LTK、PTK7等の阻害剤、マリマスタット、ネオバスタット等などのメタロプロテアーゼ阻害剤などの癌関連酵素阻害剤、カテプシンB、カテプシンD脱水素酵素活性の調節剤、グルタシルシステイン合成酵素および乳酸脱水素酵素などのグルタチオン−S−トランスフェラーゼおよび関連化合物、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、チロシンキナーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、HSP90阻害剤(例えば、17−アリルアミノゲルダナマイシン)および他の熱ショックタンパク質阻害剤、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アスパラギナーゼ、カルシニューリン阻害剤、TOR阻害剤、マルチカイン分子、エンケファリン(例えば、米国特許6737397参照)、SU11248(ファイザー)、BAY43−9006(ベイヤーおよびオニックス)、FTY720などの「リンパ球ホーミング」機構の阻害剤、タルセバ、イレッサ、グリベック、サリドマイド、および接着分子阻害剤(例えば、抗LFA等)がある。本発明の組み合わせ組成物及び組み合わせ投与法において使用できる、さらなる抗新生物剤には、米国特許第6,660,309号、第6,664,377号、第6,677,328号、第6,680,342号、第6,683,059及び第6,680,306号、並びに国際特許出願WO 2003070921に記載されているものが含まれる。
適切な場合には、このような薬剤の一つ以上を、さらに又は代替的に、L5G2BPへ抱合できる。このような抱合体は本発明の別の特長である。
ある側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPに加えて、一つ以上の生物学的反応修飾因子(BRM)を含む組み合わせ組成物および組み合わせ送達/投与プロトコールを提供する。BRMは、一般にサイトカインまたは抗体などの疾病因子(例えば、癌細胞)に対して作用する免疫系の能力を刺激または回復する、細胞によって産生される生成物である。
さらに別の側面において、L5B2BPおよび/または関連化合物はLn−5の相互作用するインテグリンまたはそのγ2ペプチド結合断片などの、遊離γ2および/またはγ2断片ペプチドに結合する分子と会合して送達される(このような薬剤の他の例は本明細書に記載されており、および/または本分野において公知である)。
組み合わせ組成物および組み合わせ送達方法は、さらに又は代替的に、抗アレルギー剤(例えば、小分子化合物、タンパク質、糖タンパク質、または腫瘍および癌抗原に対する耐性を破壊する抗体)を含むことができる。
一つ以上のL5G2BPまたは関連組成物の送達とともに使用/適用され得る組成物および両方のさらなる典型的且つ具体的な種類は、以下に記載されている。薬剤および方法のこれらの分類は非限定的であり、便宜上用いられているに過ぎないことを認識されるであろう。上述の薬剤のうちのいくつかは以下に記載されているカテゴリーの一つ以上に収まり得る。抗癌剤にも、簡単に分類できないものがある。これには例えば、比較的新しいチロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブメシレート(Gleevec(R)またはGlivec(R))が含まれる。新規の抗癌剤の別の例は、はしか糖タンパク質などの腫瘍細胞の融合を誘導する薬剤および関連した核酸である(例えば、米国特許6750206参照)。
本発明のある特長は少なくとも一つのL5G2BP(例えば、抗γ2DIIImAbまたは他のL5G2D3BP)および適切な二次抗体(例えば、適切な二次抗癌mAb)を含む組成物において具体化される。一般に、このような組成物は、L5G2BPの特異性、選択性、および/または親和性を有意には妨げない任意の二次抗体または二次抗体の組み合わせを含むことができる。典型的には、L5G2BP組み合わせ組成物の二次抗体成分は、組成物のL5G2BPとのγ2結合について、約5%以下、約10%以下など、一般には約20%以下の競合を呈する。
特定の側面において、本発明は、少なくとも一つのL5G2BPおよび少なくとも一つの二次抗癌性モノクローナル抗体を含む組み合わせ組成物を提供する。多くの適切な抗癌性mAbは本分野において公知であり、同様の適切な抗体が癌関連標的に対して開発できる。適切な第二の抗癌性mAbの特定の例には、(リツキシバブ(Rituximab)およびHumMax−CD20などの)抗CD20mAb、抗Her2mAb(例えば、トラスツズマブ)、抗CD52mAb(例えば、アレムツズマブ(Alemtuzumab)およびキャパス(R)1H)、抗EGFRmAb(例えば、セツキシマブ、ヒューマックス−EGFr、およびABX−EGF)、ザミル、ペルツズマブ、抗A33抗体(米国特許第6,652,853号参照)、抗癌胎児性(anti-oncofetal)タンパク質mAb(米国特許第5,688,505号参照)、抗PSMAmAb(例えば、米国特許第6,649,163号、およびMilowsky et al., J Clin Oncol. 2004 Jul 1;22(13):2522-31. Epub 2004 Jun 01参照)、抗TAG−72抗体(米国特許第6,207,815号参照)、抗アミノリン脂質抗体(米国特許第6,406,693号参照)、抗ニューロトロフィン抗体(米国特許第6,548,062号)、抗C3b(i)抗体(米国特許第6,572,856号参照)、抗サイトケラチン(CK)mAb、抗MN抗体(例えば、米国特許第6,051,226号参照)、抗mts1 mAb(例えば、米国特許第6,638,504号参照)、抗PSA抗体(例えば、Donn et al., Andrologia. 1990;22 Suppl 1:44-55; Sinha et al., Anat Rec. 1996 Aug;245(4):652-61; and Katzenwadel et al., Anticancer Res. 2000 May-Jun;20(3A):1551-5参照)、抗CA125抗体、抗インテグリン様インテグリンβ1抗体、VCAMの抗体/阻害剤、抗αv/β3インテグリンmAb、抗キニノスタチンmAb、抗アスパルチル(アスパラギニル)β−ヒドロキシラーゼ(HAAH)細胞内抗体(intrabody)(例えば、米国特許第6,783,758号参照)、抗CD3 mAb(例えば、米国特許第6,706,265号および第6,750,325号参照)、抗CD3二重特異性抗体(例えば、抗CD3/Ep−CAM抗体、抗CD3/her2抗体、および抗CD3/EGP−2抗体;例えばKroesen et al., Cancer Immunol Immunother. 1997 Nov-Dec;45(3-4):203-6を参照されたい)、および抗VEGFmAb(例えば、ベバシズマブ)がある。他のおそらく適切な第二のmAb分子には、アレムツズマブ、エドレコロマブ、トシツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、およびゲムツズマブオゾガミシンがある。ある側面において、本発明は、VEGF、bFGF、およびアンギオポエチン−1などの血管新生因子および/またはその受容体をターゲットにした一つ以上の抗体、典型的にはモノクローナル抗体、および他の関連ターゲット(一般には、Reisfeld et al., Int Arch Allergy Immunol. 2004 Mar;133(3):295-304; Mousa et al., Curr Pharm Des. 2004;10(1):1-9; Shibuya, Nippon Yakurigaku Zasshi. 2003 Dec;122(6):498-503; Zhang et al., Mol Biotechnol. 2003 Oct;25(2):185-200; Kiselev et al., Biochemistry (Mosc). 2003 May;68(5):497-513; Shepherd, Lung Cancer. 2003 Aug;41 Suppl 1:S63-72; O’Reilly, Methods Mol Biol. 2003;223:599-634; Zhu et al., Curr Cancer Drug Targets. 2002 Jun;2(2):135-56;国際特許出願WO2004/035537も参照)に対するモノクローナル抗体を含む組み合わせ組成物および組み合わせ療法を提供する。
適切な場合には、このような抗体はサイトトキシン、放射性核種、または別の抗癌剤へ抱合できる。同じく適切な場合には、このような抗体の免疫原性ペプチドターゲットは本発明の組み合わせ組成物または組み合わせ投与方法において免疫反応を誘導するのに使用できる。
適切な場合には、これらの二次抗体に対するターゲットは本発明の多重特異性L5G2BPによってターゲットにされることもできる。従って例えば、このようなmAb由来のVH配列、VL配列、および/またはCDR配列も、L5G2D3BPなどの、本明細書の他の箇所で記載されている二重特異性および多重特異性L5G2BPに関して使用できる。同様に、二重特異性mAbに関して上述に論議されるターゲット、癌抗原、他の見解に関して論じられる他の分子に特異的なmAbも本発明の方法で使用でき、本発明の組成物に組み込まれることができる。
リンパ腫、白血病細胞、微小転移巣、および充実性腫瘍に対して開発される他の抗体も本発明の組み合わせ方法および/または組み合わせ組成物において有用であり得る。腫瘍細胞の生存、成長、侵襲性、および/または移動にきわめて重要な機能を阻害する抗体、腫瘍細胞/癌細胞に対してADCCまたはCDCを誘導する抗体、鍵となる癌進行関連シグナル伝達事象を遮断する抗体、および/または前新生物性および/または新生物性細胞へ毒性ペイロードを送達する抗体はこのような方法および組成物において特に有用でありうる。腫瘍細胞の死も、免疫系を「予防接種」し、腫瘍/癌細胞を標的にする二次反応を生じるように刺激する腫瘍抗原の放出をもたらし得る。従って、ある側面において、本発明は、癌細胞または腫瘍の特定の集団をターゲットにした後、二次反応について患者を監視し、このような二次反応が満足まのもでないと思われる場合には、さらなる抗癌療法を提供する方法を提供する。過剰発現された癌遺伝子および腫瘍特異的抗原はこのような抗原に対する有利なターゲットでありうる。この文脈において、または免疫原性ペプチド(「ワクチン」)としてそれ自体で有用でありうる腫瘍抗原は、例えば「Stauss et al.: Tumor antigens recognized by T cells and antibodies. Taylor and Frances (2003) and Durrant et al., Expert Opin. Emerging Drugs 8(2):489-500 (2003)」に記載されている。
さらなる側面において、本発明は、このような抗γ2mAbまたは他のL5G2BPと一つ以上の抗癌性二次mAbとの組み合わせを含む組み合わせ治療法を提供する。このような二次mAbの変異形、このような二次mAbまたは二次mAb変異形の誘導体、およびそれらのいずれかの機能的断片も、さらに又は代替的に、本発明の方法で使用でき、本発明の組成物へと組み込める。
別の側面において、本発明は、抗癌性L5G2BPに加えて「化学療法剤」を含む組み合わせ組成物および組み合わせ治療法を提供する。本発明における化学療法剤は、典型的には、癌および前癌性細胞に対して選択的に毒性があり、および/または癌および前癌性細胞を含む可能性がある少なくともいくつかの細胞タイプの細胞周期に一つ以上に対して影響を及ぼす小分子化合物を指す。
癌治療において一般的に用いられる化学療法剤の組み合わせも、組成物においてまたは同時送達によって一つ以上のL5G2BPと組み合わされることもできる。例えば、ある側面において、本発明は、(相加的な効果を超えないとしても)少なくとも相加的な抗癌性効果が得られるように、CHOP化学療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾンの組み合わせを含む化学療法)の効果的な適用と合わせて、一つ以上のL5G2BPの有効量を患者に送達することを含む癌を治療する方法を提供する、
別の面において、L5G2BPおよび/または関連組成物はDNAレベルの癌進行に対して作用を及ぼす化学療法剤と合わせて送達される(DNAレベルでの慣用化学療法剤の限定的な例には(6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、およびヒドロキシ尿素などの)代謝拮抗剤、シタラビン、アルキル化剤、プロカルバジン、トポイソメラーゼ阻害剤、白金誘導体、アントラサイクリン、および抗生物質がある)。
別の特定の側面において、L5G2D3BPまたは関連組成物は対象へ送達されるか、「RNAレベル」の化学療法剤を有する組成物(またはそれらの組み合わせ)中に含まれ、その非限定的な例にはL−アスパラギナーゼ、ビンカアルカロイド、タキサン、(ドセタキセル+プレドニゾンなどの)抗癌性タキサン組み合わせ組成物、およびトポイソメラーゼ阻害剤がある。
別の特定の側面において、L5G2BPおよび/または関連組成物は、ダカルバジン(DTIC)の有効量と合わせて送達される。
別の特定の面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPおよび5−フルオロウラシル、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、アムサクリン、三酸化二砒素、アスパラギナーゼ、アザドシタジン(5−アザシチジン、5AZ)、ブスルファン(ミレラン)、カペシタビン、カルボプラチン(パラプラチン)、カルムスチン(BiCNU)、クロランブシル(ロイケラチン)、シスプラチン(プラチノール)、シクロホスファミド(シロキサン)、シタラビン(Ara−C)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン(セルビジン)、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシン(アドリアマイシンドキシル)、エピルビシン(エレンス)、エトポシド(VP−16、ベスピド)、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシダビン、グリベック(イマチニブメシレート、STI 571)、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド(Ifex)、イリノテカン、リポソームドキソルビシン、ロムスチン、メクロレカミン(ムスタルゲン)、メルファラン、メルカプトプリン(6MP)、メトトレキセート、メチルCCNU、マイトマイシン(ムタマイシン)、ミトキサントロン、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、オキサリプラチン、パクリタキセル(タキソール)、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テルサイタ(単独またはドキシルとの組み合わせで)、テニポシド(ブモン)、チオテパ、トレチノイン、ビンブラスチン(ベルバン)、ビンクリスチン(オンコビン)、およびビノレルビン(ナベルビン)から選択される一つ以上の化学療法剤の有効量を含む組み合わせ組成物および組み合わせ療法を提供する。
本発明をよりよく解明するため、L5G2BP組み合わせ組成物および療法において有用な化学療法剤の非限定的グループは、本明細書に記載されている。
ある側面において、本発明は、一つ以上のアルキル化剤を含むことを特徴とする組み合わせ組成物および組み合わせ療法を提供する。アルキル化剤は、細胞中に存在する条件下でアルキル基を多くの電気陰性基へ付加することができるので、そのように名づけられている。これらの薬剤はDNA二重らせん鎖中のグアニン塩基を交差架橋することによって、つまりDNAを直接攻撃することによって腫瘍の成長を停止させる。これにより、らせんは、コイルをほどいたり、分離したりすることができなくなる。このことはDNA複製において必要であるため、このような薬剤によって影響を受けた細胞はもはや分割できない。アルキル化剤の例には、ブスルファン(ミレラン)、ブスルファン注射(ブスルフェックス注射)、カルボプラチン(パラプラチン)、カルムスチン注射(BiCNU注射)、クロランブシル(ロイケラン)、シクロホスファミド注射(サイトキサン注射、ネオサール)、ダカルバジン(DTIC、DTIC−Dome)、イホスファミド(Ifex)、ロムスチン(CCNU、CeeNU)、メクロレタミン(ムスターゲン、ナイトロジェンマスタード)、メルファラン(アルケラン、L−PAM)、メルファラン注射(アルケラン注射)、ストレプトゾシン(ザノサール) 、およびチオテパ(チオプレックス)がある。
別の面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPおよび一つ以上の代謝拮抗剤を含む組み合わせ組成物および療法を提供する。代謝拮抗剤は、癌細胞が、癌細胞における正常な活性に必要な栄養素および他の物質をプロセッシングするのを妨げる。より具体的には、代謝拮抗剤は、DNAの構築ブロックとなるプリンまたはピリミジンのように作用する。代謝拮抗剤はDNAへ組み込まれることになるこれらの物質を細胞周期のS期において妨げ、それにより細胞分裂を抑制する。代謝拮抗剤の対する様々な細胞ターゲットが幾つか存在する。代謝拮抗剤のいくつかの一般的なクラスは、葉酸拮抗剤、プリン拮抗剤、およびピリミジン拮抗剤である。
葉酸代謝拮抗剤としても知られる葉酸拮抗剤は、ヌクレオチドの形成に関与する酵素であるジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害する。この酵素が遮断されると、ヌクレオチドは形成されず、DNA複製および細胞分裂を阻害する。メトトレキセートは化学療法剤として用いられる主な葉酸拮抗剤である。
プリン拮抗剤はDNA合成を二つの異なる様式で阻害することによって機能する。プリン拮抗剤はプリン含有ヌクレオチドであるアデニンおよびグアニンの産生を阻害することができる。もし細胞が十分な量のプリンを持たなければ、DNA合成は中止され、細胞は分割できない。mた、プリン拮抗剤は、DNA合成の間に、DNA分子中に組み込まれ得る。この阻害剤の存在はさらなる細胞分裂を妨げると考えられている。プリン拮抗剤の例には6−メルカプトプリン、ダカルバジン、フルダラビンがある。
ピリミジンアンタゴニストも一つ以上のL5G2BPと組み合わせ、または同時送達することができる。ピリミジン拮抗剤はピリミジン含有ヌクレオチドの合成を遮断するよう作用する。これらの薬物は、典型的には、それらが置き換える天然化合物と類似した構造を有する。「おとり」として作用することによって、これらの薬物は最終的なヌクレオチドの産生を防ぐことができる。それらはその経路における異なる段階でその効果を発揮することができ、鍵を握る酵素を直接阻害し得る。ピリミジン拮抗剤は、成長するDNA鎖中に組み込まれてその過程を終結させ得る。ピリミジン拮抗剤の例には5−フルオロウラシル、アラビノシルシトシン、カペシタビン、およびゲムシタビンがある。
典型的な側面において、本発明は、フロクスウリジン(Floxuridine)(FUDR、フルオロデオキシウリジン)、リン酸フルダラビン(フルダラ)、ゲムシタビン塩酸塩(ジェムザール(Gemzar))、ヒドロキシ尿素(ドロキシア(Droxia)、ハイドレア(Hydrea))、メルカプトプリン(6−MP、ピュリネソール(Purinethol))、メトトレキセート(リウマトレックス(Rheumatrex)、トレキソール(Trexall))、メトトレキセート注射(アメトプテリン、MTX注射)、チオグアニン(6−TG、TG)、およびこれらのいずれかの組み合わせから選択される一つ以上の代謝産物を含むことを特徴とする組み合わせ組成物および療法を提供する。
本発明は、また一つ以上の抗新生物性ホルモンを含む組み合わせ組成物および療法にも関する。抗新生物性ホルモンは成長刺激タンパク質のための受容体を細胞レベルで妨げる。この受容体を遮断することによって、成長因子の産生または放出は低下する。このような薬剤の例には、ジエチルスチルベストロール注射(スチルホストロール注射)、メゲストロール(メゲース(Megace))、およびミトタン(リソドレン)が含まれる。
さらなる面において、本発明は、一つ以上の有糸分裂阻害剤を含むことを特徴とする組み合わせ組成物および組み合わせ送達方法を提供する。有糸分裂阻害剤は一般に、チューブリンと呼ばれるタンパク質を妨げることによって細胞分裂を抑制する。チューブリンは、各細胞が確実に増殖するために必要な線維の基礎的構築ブロックである。このような薬剤の例には、ドセタキセル(タキソテール)、エトポシド注射(トポザール、ベプシド注射)、エトポシド経口剤(Etoposide Oral)(VP−16、ベプシド経口剤(Vepesid Oral))、パクリタキセル(オンキソール(Onxol)、タキソール(Taxol))、ビンブラスチン(ベルバン(Velban))、およびビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)、ビンカサール(Vincasar))が含まれる。
古典的な化学療法剤の別のいくぶん関連するクラスは植物アルカロイドである。これらのアルカロイドは植物に由来し、微小管が合成されるのを妨げることによって細胞分裂を遮断する。これらは細胞分裂にとって不可欠であり、これらがないと細胞分裂は生じえない。主な例はビンクリスチンなどのビンカアルカロイドである。
古典的な化学療法剤の別の同じく若干関連するクラスは「遺伝毒性剤(genotoxic drug)」である。遺伝毒性剤は、核酸に影響を及ぼし、それらの機能を変化させる化学療法剤である。これらの薬物は、DNAに直接結合することができ、又はDNA複製およびおそらくはアポトーシスに関与する酵素に影響を及ぼすことによってDNA損傷を間接的にもたらすことができる。このような遺伝毒性化学療法処置には、アルキル化剤、インターカレート剤(DNA二重らせん中のヌクレオチド間の空間中に「楔を打ち込み」、それにより転写および複製を妨げ、しばしば突然変異を誘導する薬剤)、および酵素阻害剤(例えば、DNA損傷を誘導するDNA複製に関与するトポイソメラーゼなどの鍵となる酵素を阻害する薬剤)がある。従って、遺伝毒性クラスの化学療法剤は、本明細書の他の箇所に記載されている他のクラスと重複する。これらの薬剤のいずれかによる治療の最終目標(即ち、このような薬剤に伴われる共通の作用機序)は、癌細胞におけるDNA損傷の誘導である。DNA損傷は、もし十分に程度が大きければ、細胞をアポトーシスへ誘導するであろう。遺伝毒性化学療法剤は、典型的には、正常細胞と癌細胞の両方へ影響を及ぼす。薬物作用の選択性は癌細胞などの迅速に分裂する細胞のDNAを損傷する治療に対する感度に基づいている。遺伝毒性剤として分類できる薬剤の例にはブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、オキサリプラチン、テモゾールアミド、およびトポテカンが含まれる。
本発明の別の特長は抗癌剤(またはその送達)として作用する一つ以上のL5G2BP(またはその送達)および一つ以上の核酸を含む組み合わせ方法および組み合わせ組成物において具現化される。
特定の側面において、本発明は、L5G2BPが腫瘍抑制因子をコード化する配列を含む核酸と組み合わされまたはそれと関連して送達される、組み合わせ組成物および方法を提供する。ある典型的な面において、一つ以上のL5G2BPはp53腫瘍抑制遺伝子の送達と関連して送達される(例えば、Roth et al., Oncology (Huntingt). 1999 Oct;13(10 Suppl 5):148-54) and Nielsen et al., Cancer Gene Ther. 1998 Jan-Feb;5(1):52-63を参照)。さらなる腫瘍抑制因子ターゲットには、例えばBRCA1、RB1、BRCA2、DPC4(Smad4)、p21、E2F−1、FUS1化合物(例えば、INGN401)、MSH2、MLH1、およびDCCが含まれる。このような核酸は適切なベクター、宿主細胞等の形で送達できる。例えば、一つ以上のL5G2BPはヒト組換え野生型p53/SCH58500をコード化する複製欠損アデノウィルスと組み合わされることができるかまたはこれに関連して送達できる。
本発明のさらなる特長は、一つ以上のL5G2BP及び特定の癌関連遺伝子の発現の一つ以上の面を低減できるおよび一つ以上の核酸を含む組み合わせ方法および組み合わせ組成物の提供である。このような薬剤には、アンチセンス核酸および阻害的RNA(iRNA)分子が含まれる。
ある典型的な側面において、本発明は、癌遺伝子、突然変異を受けた、または制御を外れた遺伝子をターゲットにした一つ以上のアンチセンス核酸を含む組み合わせ組成物および方法を提供する。別の典型的な側面において、本発明は、突然変異を受けたまたは制御を外れた遺伝子をターゲットにした少なくとも一つのsiRNA分子を含む組み合わせ組成物および方法を提供する。本発明の別の特長は癌遺伝子または他の癌進行関連遺伝子の発現を低下させる一つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはsiRNA(例えば、Ln−5をターゲットにし、またはインテグリンをターゲットにしたアンチセンス分子(これらは例えば米国特許出願第2003224993号およびO’Toole et al., Exp Cell Res. 1997 Jun 15;233(2):330-9に記載されている)、および/またはMT1−MMPアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのLn−5調節物質に対するアンチセンス分子(例えば、Giles et al., J Cell Sci. 2001 Aug;114(Pt 16):2967-76参照))、Ln−5の産生または活性に関する他の阻害剤(例えば、300ページ−例えば、Miller et al., J Biol Chem. 2000 Mar 17;275(11):8176-82参照)、突然変異を受けた遺伝子、および/または制御を外れた(deregulated)遺伝子を含む組み合わせ組成物および方法である。
例えば、L5G2D3BPなどのL5G2BPは抗癌性アンチセンス核酸(例えば、GenasenseTM(オーグメロセン/G3139))、LY900003(ISIS 3521)、ISIS 2503、OGX−011(ISIS 112989)、LE−AON/LEfag−AON(リポソーム封入されたc−rafアンチセンスオリゴヌクレオチド/ISIS−5132)、MG98、およびPKCα、クラステリン、IGFBP、タンパク質キナーゼA、サイクリンD1、またはBcl−2をターゲットにする他のアンチセンス核酸と組み合わされることができるか、またはそれらと関連して投与できる(Benimetskaya et al., Clin Prostate Cancer. 2002 Jun;1(1):20-30; Tortora et al., Ann N Y Acad Sci. 2003 Dec;1002:236-43; Gleave et al., Ann N Y Acad Sci. 2003 Dec;1002:95-104.; Lahn et al., Ann N Y Acad Sci. 2003 Dec;1002:263-70; Kim et al., Int J Oncol. 2004 Jan;24(1):5-17; Stahel et al., Lung Cancer. 2003 Aug;41 Suppl 1:S81-8; Stephens et al., Curr Opin Mol Ther. 2003 Apr;5(2):118-22; Cho-Chung, Arch Pharm Res. 2003 Mar;26(3):183-91; and Chen, Methods Mol Med. 2003;75:621-36参照)。別の典型的な側面において、L5G2BPは、抗癌阻害的RNA分子を含む組成物と関連して送達され、又は該組成物中に組み合わされて送達される(このようなiRNA分子、関連原理及び関連する方法に関する議論については、Lin et al., Curr Cancer Drug Targets. 2001 Nov;1(3):241-7, Erratum in: Curr Cancer Drug Targets. 2003 Jun;3(3):237; Lima et al., Cancer Gene Ther. 2004 May;11(5):309-16; Grzmil et al., Int J Oncol. 2004 Jan;24(1):97-105; Collis et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2003 Oct 1;57(2 Suppl):S144; Yang et al., Oncogene. 2003 Aug 28;22(36):5694-701; and Zhang et al., Biochem Biophys Res Commun. 2003 Apr 18;303(4):1169-78を参照)。
別の側面において、本発明は、L5G3D3BPがリボザイムなどの抗癌性ヌクレオザイムと組み合わされる、組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法を提供し、その例にはアンジオザイム(Ribozyme Pharmaceuticals、例えば、Pennati et al., Oncogene. 2004 Jan 15;23(2):386-94; Tong et al., Clin Lung Cancer. 2001 Feb;2(3):220-6; Kijima et al., Int J Oncol. 2004 Mar;24(3):559-64; Tong et al., Chin Med J (Engl). 2003 Oct;116(10):1515-8; and Orlandi et al., Prostate. 2003 Feb 1;54(2):133-43参照)およびハーザイム(herzyme)(関連した意味で、米国特許第6,617,438号参照)がある。さらなる抗癌性リボザイムは、例えば米国特許出願第20030195164号、第20030050236号、および第20030105043号、および米国特許第6,482,803号および6,489,163に記載されている。また、RNAベースの薬物の総説については、「Poliseno et al., Current Pharmaceutical Biotechnology August 2004, vol. 5, no. 4, pp. 361-368(8)」も参照されたい。
さらに別の側面において、L5G2BPは免疫賦活性核酸と組み合わされ、または同時送達される(別の側面において、L5G2BPをコード化する配列および少なくとも一つの免疫賦活性配列を含む核酸が提供される)。適切な免疫賦活性核酸の数多くの例が本分野において述べられてきた(例えば、Krieg, Trends in Microbiol 7: 64-65 (1999); Wooldridge et al., Curr Opin Oncol. 2003 Nov;15(6):440-5; Jahrsdorfer et al., Semin Oncol. 2003 Aug;30(4):476-82; Jahrsdorfer et al., Curr Opin Investig Drugs. 2003 Jun;4(6):686-90; Carpentier et al., Front Biosci. 2003 Jan 1; 8:e115-27;米国特許6,406,705;米国特許6,218,371;米国特許出願20040181045;米国特許出願20040087538参照)。
別の側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPを送達することおよび/または一つ以上のL5G2BP(または関連組成物)を、(正常な細胞基底膜付着/会合を伴う形態で)少なくとも一つのLn−5をコード化する核酸、(例えば、いわゆる遺伝子の活性化によって)内因性Ln−5産生を上方制御する少なくとも一つの核酸、および/または正常な基底膜と関連した上皮細胞におけるのと少なくとも同じ程度のレベルでLn−5を発現する一つ以上の細胞と組み合わせることを含む、γ2関連症状を治療するための方法を提供する。他の機能的遺伝子置換方法も本発明の方法において使用でき、本発明の組成物において反映できる(例えば、p53などの腫瘍阻害剤の非癌関連バージョンをコード化する核酸を提供すること)。遺伝子療法の別の使用は、癌細胞が特定の化学療法剤に対して感受性を有するようにするこれらの細胞中への酵素の導入である(例えば、アシクロビルに対して感受性をもたせるように、癌細胞中にチミジンキナーゼを導入すること)。
さらなる側面において、本発明は、L5G2BPが、ジンセノサイド(ginsenoside)−Rb2、抗MMP−1抗体、抗インテグリン抗体、抗MMP2抗体および阻害剤、抗MT1−MMP抗体および阻害剤、抗EGF−, R抗体、抗BMP−1阻害剤および抗体、ウロキナーゼ型のプラスミノーゲン活性化因子(uPA)および/またはプラスミンへのプラスミノーゲンの活性化の阻害剤(アプロチニン、アミロライド、EACA、トラネキサム酸、抗uAP抗体)などの、抗癌性分子を調節する、基底膜に対して標的誘導されおよび/または基底膜に付随する因子(例えば、癌の進行において基底膜の分解を阻害する分子)と、組み合わされ、または同時投与される、組み合わせ組成物および投与方法を提供する。別の側面において、本発明は、前記組成物または方法がチモシンβ4の阻害剤を含む、このような組成物および方法を提供する。
さらなる面において、本発明は、L5G2BPが癌に対して活性剤として作用するウィルスまたは関連分子(例えば、ウィルス様粒子、ウィルス核酸、等)と組み合わされ、または同時送達される、組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法を提供する。ある側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BP(または関連組成物)および少なくともひとつの腫瘍退縮性ウィルスを含む組み合わせ組成物および方法を提供する。このようなウィルスの例には、腫瘍退縮性アデノウィルスおよびヘルペスウィルスが含まれ、それらは修飾されたウィルスとすることができ、又は修飾されたウィルスとしないことができる(例えば、Teshigahara et al., J Surg Oncol. 2004 Jan;85(1):42-7; Stiles et al., Surgery. 2003 Aug;134(2):357-64; Zwiebel et al., Semin Oncol. 2001 Aug;28(4):336-43; Varghese et al., Cancer Gene Ther. 2002 Dec;9(12):967-78; and Wildner et al., Cancer Res. 1999 Jan 15;59(2):410-3参照)。
様々なウィルス、ウィルスタンパク質などが、組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法において使用できる。一般にインビボで複製を1回または僅か数回しか行えず、及び腫瘍細胞に誘導される複製欠損ウィルスは、例えばこのような組成物および方法の有用な構成要素でありうる。このようなウィルス性因子は、GM−CSFおよび/またはIL−2などの免疫賦活因子をコード化する核酸を含むことができる、またはそれと関連付けられることができる。生来的に腫瘍退縮性のウィルス及びこのような組換え腫瘍対縮性ウィルス(例えば、HSV−1ウィルス、レオウィルス、複製欠損性および複製感受性アデノウィルス、等)も、このような方法および組成物の有用な構成要素でありうる(例えば、Varghese et al., Cancer Gene Ther. 2002 Dec;9(12):967-78; Zwiebel et al., Semin Oncol. 2001 Aug;28(4):336-43; Sunarmura et al., Pancreas. 2004 Apr;28(3):326-9; Shah et al., J Neurooncol. 2003 Dec;65(3):203-26; and Yamanaka, Int J Oncol. 2004 Apr;24(4):919-23)参照)。
本発明のさらなる特長には、L5G2BPが癌抗原/腫瘍関連抗原などの抗癌性免疫原と組み合わされ、または癌抗原/腫瘍関連抗原などの抗癌性免疫原とともに送達される(例えば、上皮細胞接着分子(Ep−CAM/TACSTD1)、ムチン1(MUC1)、癌胎児性抗原(CEA)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG−72)、gp100、メラン(Melan)−A、MART−1、KDR、RCAS1、MDA7、CEA、サイクリン依存性キナーゼ4、β−カテニン、カプサーゼ−B、チロシナーゼ、癌関連ウィルス性ワクチン(例えば、ヒトパピローマウィルス性ワクチン)、腫瘍由来熱ショックタンパク質など;それらのさらなる例は本明細書の他の箇所に記載されている)(例えば、Acres et al., Curr Opin Mol Ther 2004 Feb, 6:40-7; Taylor-Papadimitriou et al., Biochim Biophys Acta. 1999 Oct 8;1455(2-3):301-13; Emens et al., Cancer Biol Ther. 2003 Jul-Aug;2(4 Suppl 1):S161-8; and Ohshima et al., Int J Cancer. 2001 Jul 1;93(1):91-6も参照)、組み合わせ投与方法および組み合わせ組成物が含まれる。本明細書に記載されている多くの他の適切な癌抗原/腫瘍関連抗原(例えば、gp75)および本分野で公知の同様の分子は、さらに又は代替的に、このような組み合わせ投与方法において使用することができ、またはこのような組み合わせ組成物中に組み込むことができる。
抗癌性免疫原性ペプチドはまた、BEC2抗イディオタイプのmAb(ミツモマブ(Mitsumomab―例えば、Chapman, Curr Opin Investig Drugs. 2003 Jun;4(6):710-5 and McCaffery et al., Clin Cancer Res. 1996 Apr;2(4):679-86参照)、シーバック(R)および関連した抗イディオタイプのmAb(例えば、Foon et al., J Clin Oncol. 1999 Sep;17(9):2889-5参照)、MG7mAbに対する抗イディオタイプのmAb(例えば、Fengtian et al., Chin Med Sci J. 2002 Dec;17(4):215-9参照)、および他の抗癌性抗イディオタイプのAb(例えば、Birebent et al., Vaccine. 2003 Apr 2;21(15):1601-12, Li et al., Chin Med J (Engl). 2001 Sep;114(9):962-6, Schmitt et al., Hybridoma. 1994 Oct;13(5):389-96, Maloney et al., Hybridoma. 1985 Fall;4(3):191-209, Raychardhuri et al., J Immunol. 1986 Sep 1;137(5):1743-9, Pohl et al., Int J Cancer. 1992 Apr 1;50(6):958-67, Bohlen et al., Cytokines Mol Ther. 1996 Dec;2(4):231-8, 及びMaruyama, J Immunol Methods. 2002 Jun 1;264(1-2):121-33参照)などの抗イディオタイプの「ワクチン」も含む。このような抗イディオタイプのAbは、担体に有利に必要に応じて抱合でき、前記担体は合成(典型的には、不活性の)分子担体、タンパク質(例えば、スカシガイヘモシアニン(KLH))(例えば、Ochi et al., Eur J Immunol. 1987 Nov;17(11):1645-8参照)、または細胞(例えば、赤血球細胞−例えば、Wi et al., J Immunol Methods. 1989 Sep 1;122(2):227-34参照)であり得る。
本発明の組成物および組み合わせ投与方法は、このような癌抗原/腫瘍関連抗原をコード化するむき出しのDNAワクチンなどの核酸ワクチンの包含または同時投与も含む(例えば、米国特許第5,589,466号、第5,593,972号、第5,703,057号、第5,879,687号、第6,235,523号及び第6,387,888号参照)。
別の側面において、組み合わせ投与方法および/または組み合わせ組成物は自家性ワクチン組成物を含む。さらなる側面において、組み合わせ組成物および/または組み合わせ投与方法は全細胞ワクチンまたはサイトカイン発現細胞(例えば、組み換えIL−2発現線維芽細胞、組み換えサイトカイン発現樹状細胞など)を含む(例えば、Kowalczyk et al., Acta Biochim Pol. 2003;50(3):613-24; Reilly et al., Methods Mol Med. 2002;69:233-57; and Tirapu et al., Curr Gene Ther. 2002 Feb;2(1):79-89参照)。本発明の組み合わせ方法において有用でありうる治療用自家性細胞方法の別の例は、MyVax(R)オーダーメード免疫療法(以前の名称は、GTOP−99)(Genitope社、米国カリフォルニア州レッドウッド市を通じて入手可能である)である(米国特許第5,972,334号および第5,776,746号参照)。
さらなる側面において、本発明の組み合わせ組成物および/または組み合わせ投与方法は、免疫調節性化合物またはその修飾因子(例えば、抗阻害的免疫調節性抗体)の投与を含む。このような化合物の例には、B7分子(B7−1、B7−2、その変異形、およびその断片)(例えば、Adv Exp Med Biol. 2000;465:381-90および米国特許出願20030208058参照)、ICOS(誘導性補助刺激因子)分子、およびOX40分子(Coyle et al., Springer Semin Immunopathol. 2004 Feb;25(3-4):349-59および6312700参照)などのT細胞活性化及び増殖促進分子が含まれる。このような分子の別の例は、CTLA4に対する抗体、MDX−010(Phan et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100: 8372)などのネガティブなT細胞制御因子の阻害剤である。TNF受容体(TFNR)ファミリーの幾つかのメンバーに対する抗体はT細胞増殖反応を増強することが示されている。CD27に対する抗体もT細胞の増殖を亢進することが示されている。インテグリンファミリーのメンバーLFA−1(リンパ球機能関連抗原1またはCD18/CD11a)の、そのリガンドである細胞間接着分子(ICAM)−1、−2、および−3との相互作用は、T細胞の活性化における重要な関係因子であることが周知である。SLAM(シグナル伝達リンパ球活性化分子(signaling lymphocyte activation molecule)またはCDw150)は別のT細胞制御因子である。熱安定性抗原(HSAまたはCD24)は、T細胞の増殖を亢進する大規模にグリコシル化された38〜70kDaの形態で造血細胞およびニューロン細胞の表面に見られる27個のアミノ酸からなる糖ホスファチジルイノシトール(GPI)関連タンパク質である。4−1BBはT細胞に対する同時刺激性受容体である。TNFR関連因子(TRAF)もT細胞シグナル伝達分子である。CD40Lも免疫調節剤として作用できる。CD2−LFA3経路もT細胞の制御(従って、組み合わせ方法および組成物に含まれることのできる作用剤)に重要である。刺激性KIR分子などの、NK細胞活性化剤およ
び増殖剤も、このような組み合わせ方法および組成物に含まれることができる。このような組み合わせ組成物および方法中に、さらに又は代替的に含まれることができる他の免疫調節剤はTGFβ阻害剤である。
免疫調節剤の重要なサブセットを呈するサイトカインおよびケモカインは以下の論議で詳細に論議される。
本発明は、少なくとも一つのL5G2BPおよび少なくとも一つの抗癌性サイトカイン、ケモカイン、またはその組み合わせを含む組み合わせ組成物および組み合わせ送達方法を提供する。
一般に、本発明の方法および組成物では、任意の適切な抗癌性サイトカインおよび/またはケモカインをL5G2BPとともに使用し、および/またはL5G2BPと組み合わせることができる。適切なケモカインおよびサイトカインは、癌細胞または関連組織(例えば、腫瘍)に対して、検出可能なより大きなおよび/またはより包括的な免疫反応をインビボでもたらし、組成物/方法においてL5G2D3BPの結合を実質的に妨害しない。
適切なサイトカインおよび成長因子の例には、インターフェロン(例えば、IFNβ、IFNα(例えば、INFα2b)、およびIFNγ(例えば、IFNγ1b))およびインターロイキン(例えば、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、1L−18、IL−23、IL−24、IL−27、IL−28a、IL−28b、IL−29、等)が含まれる。このような組成物および方法に含まれることのできるさらなるサイトカインには、KGF、IFNβ、GM−CSF、CD40L、Flt3リガンド、幹細胞因子、アンセスチム、およびTNFα(例えば、Dranoff, Nat Rev Cancer. 2004 Jan;4(1):11-22 and Szlosarek, Novartis Found Symp. 2004;256:227-37; discussion 237-40, 259-69参照)が含まれる。
適切なケモカインには、ヒトCXCおよびC−Cケモカインファミリー由来のIP−10、MCP−3、MIG、およびSDF−1αなどのGlu−Leu−Arg(ELR)ネガティブケモカインを含むことができる。適切なサイトカインにはサイトカイン誘導体、サイトカイン変異形、サイトカイン断片、およびサイトカイン融合タンパク質が含まれる(例えば、Eliason, BioDrugs, 2001;15(11):705-11(PEG化されたサイトカインに関して);Shibuya et al., Laryngoscope. 2003 Nov;113(11):1870-84(他のサイトカイン誘導体);WO01/79258(アルブミン−サイトカイン融合タンパク質)参照)。
本明細書の天然に存在するペプチドをコード化する核酸を含むこれらおよび他の方法は、米国特許第5,968,502号、第6,063,630号、および第6,187,305号、および欧州特許0 505 500において記載されているような、「遺伝子活性化」および相同的組み換え遺伝子上方制御技術によって、それに加えて又はそれに代えて実行できる。このような組み合わせ療法および組成物についてのさらに有用なサイトカインは本明細書の他の箇所に記載されている。
別の側面において、本発明は、抗癌性免疫原性ペプチド(または代用核酸/核酸をコード化する分子)と典型的にさらに組み合わせたL5G2BPおよびアジュバントを含む組み合わせ組成物または組み合わせ投与方法を提供する。適切なアジュバントの非限定的な例はQS21、GM−CSF、SRL−172、ヒスタミン二塩酸塩、サイモカルチン、Tio−TEPA、モノホスフォリル脂質A/ミコバクテリア組成物、ミョウバン、不完全なフロイントのアジュバント、Montanide ISA、リビアジュバントシステム(Ribi Adjuvant System)、タイターマックスアジュバント(TiterMax adjuvant)、シンテックスアジュバント処方(syntex adjuvant formulation)、免疫刺激性複合体(ISCOM)、 ゲルブRアジュバント、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、リポ多糖類、およびポリイノシンン酸:ポリシチジル酸である。
組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法は、「全細胞」および「養子性(adoptive)」免疫療法および「体内ワクチン接種」技術も含むことができる。例えば、このような方法は免疫系細胞(例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞(例えば、腫瘍特異的抗原および/または遺伝子増強で拡大されるT細胞)などの腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、抗体発現性B細胞または他の抗体産生/呈示細胞、樹状細胞(例えば、抗サイトカインを発現する組換え樹状細胞、GM−CSFおよび/またはFlt3−LなどのDC拡張剤とともに培養された樹状細胞、および/または腫瘍関連抗原搭載樹状細胞)、抗腫瘍性NK細胞、いわゆるハイブリッド細胞、またはそれらの組み合わせ)の注入または再注入を含むことができる(例えば、Fishman et al., Expert Rev Anticancer Ther. 2003 Dec;3(6):837-49; Whiteside et al., Cancer Immunol Immunother. 2004 Mar;53(3):240-8; Conrad et al., Curr Opin Mol Ther. 2003 Aug;5(4):405-12; Trefzer et al., Mol Biotechnol. 2003 Sep;25(1):63-9; Reinhard et al., Br J Cancer. 2002 May 20;86(10):1529-33; Korbelik et al., Int J Cancer. 2001 Jul 15;93(2):269-74; Costa et al., J Immunol. 2001 Aug 15;167(4):2379-87; Hanson et al., Immunity. 2000 Aug;13(2):265-76; Matsui et al., Int Immunol. 2003 Jul;15(7):797-805; and Ho et al., Cancer Cell. 2003 May;3(5):431-7参照)。細胞溶解液もこのような方法および組成物において有用であり得る。このような側面において有用であり得る臨床治験中の細胞内「ワクチン」には、カンバクシン(Canvaxin)TM、APC−8015(デンドレオン)、HSPPC−96(アンチゲニックス(Antigenics))、およびMelacine(R)細胞溶解液が含まれる。癌細胞から流出される抗原およびそれらの混合物(例えば、Bystryn et al., Clinical Cancer Research Vol. 7, 1882-1887, July 2001参照)は、ミョウバンなどのアジュバントと必要に応じて混合され、このような方法における有利な構成要素および方法でもありうる。米国特許6699483は、全細胞抗癌療法の別の例を提供する。L5G2BP関連組成物および方法において実用的に組み合わせることができるこのような全細胞免疫療法のさらなる例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
別の側面において、一つ以上のL5G2BPは、抗原をパルス化された樹状細胞または他の抗癌性免疫細胞(例えば、NK細胞)の有効量の送達を伴って、患者に送達される。
さらに別の側面において、L5G2BPは、体内ワクチン接種方法の適用と組み合わせて患者に送達できる。体内ワクチン接種は、腫瘍細胞の薬物誘導性または放射線誘導性の細胞死などの、患者における腫瘍細胞または癌細胞の死を誘導することを表し、それは、典型的には、(i)腫瘍細胞全体または(ii)腫瘍細胞の一部に向けられた免疫反応を誘発させ、(a)分泌されるタンパク質、糖タンパク質、または他の産物、(b)膜結合タンパク質または糖タンパク質または、膜と会合し、若しくは膜に挿入された他の成分、および/または(c)細胞内タンパク質又は他の細胞内成分が含まれる。体内ワクチン接種により誘発される免疫反応は、液性であり得(つまり抗体―補体―により仲介される)、または細胞により仲介され得る(例えば、体内で殺される腫瘍細胞またはその一部を認識する内因性細胞毒性Tリンパ球の発達および/または増加)。放射線療法に加えて、腫瘍細胞死の誘導および体内ワクチン接種方法を誘導するのに使用できる薬物および非限定的な例には、慣用の化学療法剤、細胞周期阻害剤、抗血管新生剤、モノクローナル抗体、アポトーシス誘導剤、およびシグナル伝達阻害剤が含まれる。
別の側面において、本発明は、少なくとも一つのL5G2BPおよび一つ以上の細胞周期調節/アポトーシス制御因子(または細胞周期/アポトーシス「制御因子」)を含む組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法を提供する。
L5G2BPと組み合わせることのできる細胞周期調節/アポトーシス制御因子には、例えば(i)(非限定的な例としてNSC663284を挙げられる。)cdc−25(例えば、Pu et al., (2003)J.Biol.Chem.278、46877参照)、(ii)細胞周期を過剰刺激するサイクリン依存性キナーゼ(その非限定的な例はフラボピリドール(L868275、HMR1275、Aventis)、7−ヒドロキシスタウロスポリン(UCN−01、KW−2401、協和発酵工業)、およびロスコビチン(R−ロスコビチン、CYC202、シクラセル)―Fischer&Gianella-Borradori(2003) Exp. Op. Invest. Drugs, 12, 955-970により概説されている)、および(iii)(BIBR1532(Damm et al (2001) EMBO J 20, 6958-6968)およびSOT−095(Tauchi et al., (2003) Oncogene, 22, 5338-5347)などの)テロメラーゼ調節物質、などの細胞周期調節/アポトーシス調節因子を標的とし、これを調節する一つ以上の分子を含むことができる。ミコバクテリアDNAは癌細胞におけるアポトーシスを誘導できると報告されている(例えば、米国特許6794368参照)。
アポトーシス経路を妨げる分子の非限定的な例には、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)/アポトーシス−2リガンド(Apo−2L)、TRAIL受容体を活性化する抗体、IFN、およびアンチセンスBcl−2がある(Igney and Krammer (2002) Nature Rev. Cancer 2, 277-288; Makin; Dive (2003) Trends Mol Med 9, 2519; Smyth et al (2003) Immunity 18, 1-6; and Panaretakis et al. (2003) Oncogene 22, 4543-4556参照)。
別の側面において、本発明は、少なくとも一つのL5G2BPまたは関連分子の他に、テロメラーゼ阻害剤、テロメラーゼワクチン、またはそれらの組み合わせを含む組み合わせ組成物および組み合わせ送達方法を提供する。このような組成物および関連技術の例は米国特許6440735および6713055に記載されている。
さらに別の側面において、本発明は、一つ以上の成長因子阻害剤を含む組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法を提供する。
成長因子および成長因子受容体に対する多くの抗体(例えば、mAb)は癌の治療を促進する上で有用でありうることがわかっている。例えば、上皮腫瘍において異常に活性化される上皮成長因子受容体(EGF−R)タンパク質の細胞外リガンド結合ドメインに対する抗体は、悪性の上皮細胞に由来する腫瘍の治療において有用でありうる。このような受容体のチロシンキナーゼドメインを阻害する低分子量分子および小分子に対する抗体も、組み合わせ組成物または組み合わせ投与方法において有用でありうる。このような分子の非限定的な例には、ヘルセプチン(Herceptin)(モノクローナル抗体)、セツキシマブ(Cetuximab)(モノクローナル抗体)、タルセバ(Tarceva)(小分子低分子量阻害剤)、およびイレッサ(小分子低分子量阻害剤)が含まれる。このような組み合わせ組成物および投与方法において含まれるのに適した、さらなる関連し、及び有用な抗体は、本発明の他の箇所に記載されている。
さらなる側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BP(または関連する分子代用剤)および血管新生、新血管新生、および/または他の血管新生化の一つ以上の阻害剤を含む組み合わせ組成物および方法を提供する(このような薬剤は、本明細書において、抗血管新生剤、抗血管新生薬等などの用語で表されている。)。このような薬剤の非限定的な例には(個々にまたは組み合わせて)、エンドスタチンおよびアンギオスタチン(Marx(2003) Science, 301, 452-454に概説されている)およびその誘導体/類縁体;抗血管新生ヘパリン誘導体及び関連分子(例えば、ヘパリナーゼIII)、VEGF−Rキナーゼ阻害剤および他の抗血管新生性チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、SU011248― Rosen et al., Clinical Oncology; May 31-June 3, 2003, Chicago, IL, USA (abstract 765)、テモゾロミド、ネオバスタットTM(Gingras et al., Invest New Drugs. 2004 Jan;22(1):17-26)、アンギオザイムTM(Weng et al., Curr Oncol Rep. 2001 Mar; 3(2): 141-6);NK4(Matsumoto et al., Cancer Sci. 2003 Apr;94(4):321-7)、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、レスベラトロール(例えば、Sala et al., Drugs Exp Clin Res. 2003;29(5-6):263-9参照)、PTK787/ZK222584(例えば、Klem, Clin Colorectal Cancer. 2003 Nov; 3(3): 147-9 and Zips et al., Anticancer Res. 2003 Sep-Oct;23(5A):3 869-76参照)、抗血管新生性大豆イソフラボン(例えば、ゲニステイン―例えば、Sarkar and Li, Cancer Invest. 2003;21(5):744-57参照)、オルチプラッツ、サリドマイドおよびサリドマイド類縁体(例えば、CC−5013―例えば、Tohnya et al., Clin Prostate Cancer. 2004 Mar;2(4):241-3参照)、他の上皮細胞阻害剤(例えば、スクアラミンおよび2−メトキシエストラジオール)、フマジリンおよびその類縁体、ソマトスタチン類縁体、ペントサンポリスルフェート、テコガランナトリウム、(スラミンおよびその類縁体(例えば、Marchetti et al., Int J Cancer. 2003 Mar 20;104(2):167-74, Meyers et al., J Surg Res. 2000 Jun 15;91(2):130-4, Kruger and Figg, Clin Cancer Res. 2001 Jul;7(7):1867-72, and Gradishar et al., Oncology. 2000 May;58(4):324-33参照)などの)マトリクス分解を遮断する分子、ダルテパリン(Scheinowitz et al., Cardiovasc Drugs Ther. 2002 Jul;16(4):303-9)、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤(BMS-275291など-Rundhaug, Clin Cancer Res. 2003 Feb;9(2):551-4参照;一般には、Coussens et al. Science 2002;295:2387-2392参照)、アンジオコール、抗PDGFmAbおよび他のPDGF(血小板由来成長因子)阻害剤、およびPEDF(色素上皮由来成長因子)がある。
別の側面において、本発明は、少なくとも一つのL5G2BPが抗アンドロゲンおよび/または抗エストロゲン治療剤または治療法などのホルモン性制御因子(例えば、Trachtenberg, Can J Urol. 1997 Jun;4(2 Supp 1):61-64; Ho, J Cell Biochem. 2004 Feb 15;91(3):491-503参照)、タモキシフェン、プロゲスチン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(またはその類縁体または他のLHRHアゴニスト)、またはアロマターゼ阻害剤と組み合わされ、又は付随して送達される(例えば、Dreicer et al., Cancer Invest. 1992;10(1):27-41参照)、組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法を提供する。ステロイド(多くの場合、デキサメタゾン)は、腫瘍の成長または付随する浮腫(脳腫瘍)を阻害することができ、またL5G2BP(またはその関連化合物代用剤)と組み合わせるのに適することができる。一つ以上のL5G2BPは、Flutaminde/Eulexinなどの抗アンドロゲン、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル、メドロキシプロゲステロン/プロベラ(Provera)、メゲストロールアセペート/メゲース(Megace)等のプロゲスチン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等の副腎皮質ステロイド、ブセレリン、ゴセレリン、等などの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類縁体、および/またはオクトレチド/サンドスタチン等などのホルモン阻害剤を同様に提供し、またはこれらと組み合わされることができる。特定の側面において、L5G2BPは、タモキシフェン、イドキシフェン、フルベストラント、ドロロキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール/エスチニル等、またはそのいずれかの組み合わせなどのエストロゲン受容体調節物質(ERM)である抗癌剤を提供され、又はこれらと組み合わされる。組み合わせ組成物および組み合わせ投与方法は、さらに又は代替的に、タモキシフェンを含むことができる。癌の免疫療法に関連するさらなる教示は、例えば、「Berczi et al., “Combination Immunotherapy of Cancer” in NEUROIMMUNE BI
OLOGY, Volume 1: New foundation of Biology, Berczi I, Gorczynski R, Editors, Elsevier, 2001;pp.417-432」に記載されている。
特定の側面では、一つ以上のL5G2BP(またはこれに代わる適切な関連分子−別段の記載がなければ、又は明確に反対する記載がなければ、L5G2BPの代用剤によるこのような置換が全体を通じて想定される。)は、アナストラゾール/Arimidex、アミノグルテチミド/Cytraden、Exemestane、等などの一つ以上のアロマターゼ阻害剤と組み合わされ、またはこれらを付随して送達される。抗アロマターゼ剤は、NADPHからの電子伝達を妨げることによってアロマターゼ酵素複合体のチトクロムP−450構成要素を阻害する 。このような薬剤の例には、アナストロゾール(アリミデックス)およびレトロゾール(フェマラ)が含まれる。これらの薬剤はまた第一世代(例えば、アミノグルテチミド)、第二世代(例えば、ホルメスタンおよびファドラゾール)、および第三世代(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、およびエキセメスタン)の化合物へと分類できる。抗アロマターゼ剤は、I型およびII型の阻害剤に分類されることもできる。I型阻害剤はアンドロゲンと同様のステロイド構造を有し、基質結合部位を遮断することによって非可逆的に酵素を不活性化し、それゆえアロマターゼ不活性化剤として知られる。このような薬物の例には、フォルメスタンおよびエキセメスタン(アロマシン)が含まれる。II型阻害剤は非ステロイド性であり、その作用は可逆的である。例にはアナストロゾールおよびレトロゾールが含まれる。ある側面において、一つ以上のL5G2BPは、フォルメスタン、エキセメスタン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、およびレトロゾールから選択されるこのような分子の一つ以上を提供し、またはこれらと組み合わされる。
前立腺癌は、しばしば、テストステロンの5−ヒドロキシテストステロンへの末梢変換を遮断する薬剤であるフィナステリドに対して感受性がある。L5G2BPはこの薬剤を提供し、若しくはこの薬剤と組み合わされることができ、または様々な形のアンドロゲン欠乏療法(ADT)と関連して提供される。
ある側面において、一つ以上のL5G2BPは一つ以上の細胞内シグナル伝達阻害剤と組み合わされ、または同時送達される。このような化合物の例には、チロシンキナーゼ阻害剤(Gleevec(R)、イマチニブ、メシレート)、rasシグナル伝達経路の修飾剤、およびタンパク質輸送の制御因子が含まれる。他の例にはセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、タンパク質−チロシンホスファターゼ阻害剤、二重特異性ホスファターゼ阻害剤、及びセリン/トレオニンホスファターゼ阻害剤が含まれる。
別の側面において、本発明は、一つ以上の免疫系阻害剤および一つ以上のL5G2BPを含む組み合わせ組成物および組み合わせ送達方法を提供する。数多くの免疫抑制性/免疫調節剤が公知であり、その例には、Tリンパ球ホーミング調節物質(例えば、FTY−720―例えば、Yangawa et al., J Immunol. 1998 Jun 1;160(11):5493-9参照)、カルシニューリン阻害剤(バルスポダール、PSC833、および他のMDR−1またはp−糖タンパク質阻害剤など)、およびTOR阻害剤(例えば、シロリムス、エベロリムス、およびラパマイシン)が含まれる。
本発明の他の特長は、一つ以上のL5G2BPおよび一つ以上の抗新生物性抗生物質を含む組み合わせ組成物および組み合わせ送達方法である。このような抗生物質性化学療法剤は細胞の複製を妨げるかまたは遅延させる。多くの異なる抗腫瘍性抗生物質が存在するが、一般にそれらは、(1)DNAに結合して、DNAを分離できなくさせるする、(2)リボ核酸(RNA)を阻害し、酵素の合成を妨げる、という二つの方法によって細胞分裂を妨げる。このような薬剤の例にはブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメゲン)、ダウノルビシン(セルビジン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン、ルベックス)、イダルビシン(イダマイシン)、マイトマイシン(マイトマイシン−C、ムタマイシン)、ミトキサントロン(ノバントロン)、ペントスタチン(ニペント)、プリカマイシン(ミスラシン、ミスラマイシン)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
他の側面において、L5G2BP(例えば、抗γ2DIIImAb)または関連組成物は低分子量ヘパリン、標準ヘパリン、五糖、トロンビン阻害剤(メルガトラン、キシメルガトラン、等)、および/またはVII因子、VIII因子のような凝集因子など、血栓修飾剤と関連して宿主へ送達される。
化学療法剤は、これらの細胞は死滅している場合があり、または血液供給が不十分である場合があるので、十分に浸潤する腫瘍を死滅させる能力を欠いている場合がある。ノーヴィ菌(Clostridium novyi)などの嫌気性バクテリアは酸素の乏しい腫瘍の内部を消費できる。このようなバクテリアは、腫瘍の酸素化された側と接触すると死滅し、それらが身体の残部に対して無害な可能性があることを意味する。このようなバクテリアおよび一つ以上のL5G2BPの適用は、本発明の別の特長である。典型的には、このような方法は化学療法剤とさらに組み合わせて実施される。
上述のように、癌の治療に効果的な様々な方法は、一つ以上のL5G2BPの有効量の、患者への送達と組み合わされることができる。このような技術の具体例は、本明細書でさらに詳細に記載されている。
ある側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPと組み合わせて、放射線を患者に適用し、または放射線製剤の患者に付随投与することを含む組み合わせ方法を提供する。関連した面において、本発明は、一つ以上のL5G2BPおよび一つ以上の放射線製剤の効果的な組み合わせを含む組成物を提供する。
このような方法における放射線源は、治療される患者に対して体外又は体内でありうる(例えば、放射線治療は体外ビーム放射線療法(EBRT)または近接照射療法(BT)の形でありうる)。このような方法を実行する上で使用でき、このような組成物に含まれることのできる放射線活性要素には、例えばラジウム、セシウム−137、イリジウム−192、アメリシウム−241、金−198、コバルト−57、銅−67、テクネチウム−99、ヨウ化物−123、ヨウ化物−131、およびインジウム−111が含まれる。放射線製剤に組み込め、このような方法において使用できるさらに有用な放射線核種は本明細書の他の箇所で論議されている(例えば、L5G2BP抱合体において)。特定の側面において、このような方法および組成物は、さらに、必要に応じて一つ以上の放射線保護剤をさらに含む。これらの薬剤は、正常細胞を放射線から保護するようにデザインされる。一つの例は、静脈内薬物アミフォスチン(エチオール)である。別の特定の側面において、強度調節された放射線療法(IMRT;intensity-modulated radiation therapy)は、一つ以上のL5G2BPの送達と組み合わせて適用される。IMRTは腫瘍形状に標的誘導され、健常組織に対する損傷を最小化する放射線療法を送達する。特に、IMRTによって、放射線ビームが分割され、腫瘍の形状に合致した異なる強度と方向で送達できるようになる。別の同様の技術である三次元高次構造照射療法は、」いくつかの状況において効果的であることが示されており、L5G2BP治療法および予防法と組み合わされることができる。放射線のパルス化送達(ゲーティング)は、さらに又は代替的に、このような方法において使用でき、自然な呼吸パターンを補償することによって放射線の場を低下させる。
さらなる面において、L5G2BPは放射線療法の適用と関連して提供される。このような療法の一例は、プロドラッグの放射線刺激/活性化または放射線誘導性プロモーターと結合した遺伝子による細胞毒性剤の局所産生である(このような遺伝子は、細胞毒性タンパク質、酵同時送達されるプロドラッグを活性化する酵素などをコード化することができる)。別の例は、標的誘導されたオージェ放射性の放射性標識された分子である。これらの療法は特異的な受容体を抱える細胞を標的として誘導される照射を送達することによって癌を調節できる。オージェ電子は放射性同位体(ヨウ素−125またはインジウム−111)により放射される。電子は非常に短い範囲を有するので、標的細胞の特定のセットへ送達される電位を有し、健常細胞に危害を加えない。別の典型的な方法において、細胞毒性剤によってターゲットにできるタンパク質をコード化する、放射線により誘導される遺伝子配列を含む核酸は一つ以上のL5G2BPに付随して送達される。放射線は、標的誘導療法を提供するために、送達されるタンパク質と細胞毒性剤を産生するように適用される。
さらなる側面において、L5G2BPは光力学療法の適用と一緒に送達される。一般に、このような療法では、細胞の光感受性を増大させ、それにより、レーザー光が癌性領域に誘導されると、癌細胞を破壊する光増感剤を送達する。従って、本発明の様々な予防法および治療法は、さらにまたは代替的に、抗癌のために誘導される光力学療法(例えば、抗癌性レーザー療法−必要に応じて増感剤の使用とともに実施できる。例えば、Zhang et al., J Control Release. 2003 Dec 5;93(2):141-50)参照)と組み合わされることができる。例えばロジウム化合物は、白金の古典的化学療法剤と同様の方法で生細胞中のDNAを破壊することができるが、光で照射されるまで良性の状態を保つ。
レーザーは、(例えば、標識されたL5G2BPが癌性組織および/または前癌増殖を同定する場合には)正確な抗癌手術の実施においても使用できる。他の形態の手術は、さらに又は代替的に、一つ以上のL5G2BPの送達と一緒に適用できる。抗癌手術技法(例えば、結腸切除術、直腸結腸切除術、ポリーブ切除術、前立腺切除術、区域切除術、肺葉切除術、肺全摘術、腫瘍摘出手術、乳腺切除術、等)は本分野において周知であり、従ってここでは詳細に論議されない(例えば、CANCER SURGERY, Harvey and Beatie (W.B. Saunders Company 1996); ADVANCED ONCOLOGIC SURGERY, Roh et al. Eds. (Mosby-Year Books, 1st Ed. 1994); CANCER SURGERY, McKenna et al. Eds. (Lippincott Williams & Wilkins 1994); The M.D. ANDERSON SURGICAL ONCOLOGY HANDBOOK, Feig et al. (Lippincott Williams & Wilkins; 3rd Ed. 2002); and SURGICAL ONCOLOGY: CONTEMPORARY PRINCIPLES AND PRACTICE, Bland et al. (McGraw-Hill Professional; 1st Ed. 2001参照)。特定の側面において、L5G2BP療法および/または標識されたL5G2BP診断技術は、抗癌性冷凍外科療法と組み合わされる。別の側面において、ホルモンを作る(卵巣や精巣などの)器官は、L5G2BP抗癌療法に関して、除去されてもよい。
さらなる側面において、L5G2BP療法は骨髄移植および/または抗癌性幹細胞療法の適用と組み合わされる。幹細胞移植(SCT)は、例えば癌の治療に有利に使用され得る。SCTは自家移植(早期に保存されたその人自身の細胞)、同種異系移植(別の人によって提供された細胞)、または同系移植(同一の双子によって提供される細胞)であり得る。SCT法および関連した原理は本分野において公知である(例えば、Georges et al., Int J Hematol. 2003 Jan;77(1):3-14; Tabbara et al., Anticancer Res. 2003 Nov-Dec;23(6D):5055-67; Bhatia et al., Expert Opin Biol Ther. 2001 Jan;1(1):3-15; Huugen et al., Neth J Med. 2002 May;60(4):162-9; Margolin et al., J Urol. 2003 Apr;169(4):1229-33;米国特許6143292参照)。骨髄移植は特定の癌の治療において用いられる、さらに周知の方法である(例えば、Thomas, Ann N Y Acad Sci. 1995 Dec 29;770:34-41; Kolb and Holler, Stem Cells. 1997;15 Suppl 1:151-8; Thomas, Semin Hematol. 1999 Oct;36(4 Suppl 7):95-103参照)。
L5G2BPは、抗癌性音波及び衝撃波療法(例えば、Kambe et al., Hum Cell. 1997 Mar;10(1):87-94参照)、抗癌性熱療法(例えば、米国特許6690976参照)、および/または抗癌性栄養補助食品療法(例えば、Roudebush et al., Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2004 Jan;34(1):249-69, viii and Rafi, Nutrition. 2004 Jan;20(1):78-82参照)などの他の治療方法の適用と関連して送達できる。他の方法には、食事療法(例えば、(抗肥満剤または抗食欲剤による補助を受けてもよい)断食療法)または、脂肪も油を含まず、新鮮な生の果物や野菜を抱負に含む高カリウム低ナトリウム(無塩)食の摂取が含まれる(例えば、 A Cancer Therapy: Results of Fifty Cases, Max Gerson, Gerson Inst; 6th edition参照)。L5G2BP抗癌療法と組み合わせることが別の技術はインシュリン増強療法であり、この療法では、少量のインシュリンが少量の化学療法およびL5G2BP抗癌療法剤とともに与えられる。
L5G2BP抗癌性方法は、鬱のための治療、疼痛のための治療(例えば、モルヒネまたはモルヒネ誘導体の送達による)、失禁のための治療、勃起不全のための治療など、癌関連症状および癌治療関連症状を低減するように企図された様々な付加療法と組み合わせて適用することも可能である。
本明細書に記載されている本発明の方法は、さらに又は代替的に、L5G2BP、関連化合物、またはその組み合わせの、腫瘍内部へのアクセスを促進する一つ以上の薬剤の送達と一緒に実施できる。従って、例えば、このような方法は腫瘍を弛緩できるリラクシンの送達と関連付けて実行できる(例えば、米国特許6719977参照)。このような技術の別の例として、L5G2D3BPまたは関連化合物(例えば、抗イディオタイプの抗γ2DIIImAbまたは免疫原性γ2ペプチド)が細胞貫通ペプチド(CPP)に結合できる。細胞貫通ペプチドおよび関連ペプチド(遺伝子操作された細胞貫通抗体など)は、例えば、「Zhao et al., J Immunol Methods. 2001 Aug 1;254(1-2):137-45; Hong et al., Cancer Res. 2000 Dec 1;60(23):6551-6; Lindgren et al., Biochem J. 2004 Jan 1;377(Pt 1):69-76; Buerger et al., J Cancer Res Clin Oncol. 2003 Dec;129(12):669-75; Pooga et al., FASEB J. 1998 Jan;12(1):67-77; and Tseng et al., Mol Pharmacol. 2002 Oct;62(4):864-72」に記載されている。L5G2D3BPまたはL5G2D3BPをコード化するかまたは関連する分子をコード化する核酸配列を含むベクターの腫瘍内投与は、さらに又は代替的に、本発明の治療法の側面を容易にするのに使用できる。
さらなる標的Ln−5結合分子およびLn−5によって影響を受ける癌の進行の側面と関連し、従って、組み合わせ組成物および/または組み合わせ送達方法(または、本明細書の他の箇所に記載されているような二重特異性抗γ2DIII抗体における標的の一つであるとして)に関して、二次分子のための有利な標的である分子には、α6β1インテグリン、α3β1インテグリン、α2β1インテグリン、α6β1インテグリン、ラミニン−6、ラミニン−7、EGF−R、VII型コラーゲン、フィブリン−1、フィブリン−2、RhoGTPase、BP180、シンデカン−4、ナイドジェン−1、リン酸化された熱ショックタンパク質27、p300、サイトケラチン、および他のマトリクスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP−1、MMP−2、MMP−9、および(膜型マトリクスメタロプロテアーゼ1(MT1)としても知られる)MMP−14)、マトリクスメタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP−1)およびTIMP−2、E−カドヘリン、骨形成タンパク質−1(BMP−1)、および67kDaラミニン受容体が含まれる。従って、ある側面において、本発明は、癌の進行の側面を低減させる必要のあるヒト患者において、癌の進行の側面(例えば、癌細胞の移動)を低減する方法であて、L5G2BPと一つ以上のこれらの非類似性分子に特異的な抗体とを、癌の進行が前記患者において検出可能に低下される量及び条件で送達することを含む、方法を提供する。このような分子のさらなるタイプは本明細書の他の箇所で論議されており、および/または本分野において公知である。
本発明は、さらに、一つ以上の医薬的に許容できる賦形剤と、一つ以上のL5G2BPおよび/または関連組成物(例えば、本明細書に記載されているγ2DIII抗原決定領域の一つを含む(例えば環状化によって修飾されてもよい)γ2DIII免疫原性ペプチド、このような免疫原性ペプチドおよび/またはLG2B3をコード化する核酸、このような核酸を含むベクターと、このような核酸またはベクターを含む細胞、または抗抗γ2DIII抗体)とを含む組成物及びキットを提供する。
一般に、L5G2BPおよび関連組成物は任意の適切な医薬的に許容できる賦形剤またはその組み合わせ(即ち、任意の適切な賦形剤成分)と組み合わせて投与できる。医薬的に許容できる賦形剤は、医薬的に許容され、且つ活性な組成物を形成するために活性成分と組み合わされる任意の不活性成分を指す。賦形剤には、不活性な医薬的に許容できる担体及び希釈剤が含まれる。賦形剤には、医薬組成物の物理化学的特性を調節する(および典型的には改善する)組成物も含まれる。このような賦形剤の例には、安定化剤、防腐剤、可溶化剤、溶媒及び溶質が含まれる。賦形剤には、香料、着色剤等も含まれる。L5G2BPおよび関連化合物および本明細書に記載されている組み合わせは、ヒト患者などの対象への投与に適した任意の様式で調剤できる。
一つのこのような側面において、L5G2BPは望ましい投与経路に適した一つ以上の担体と組み合わせることができる。L5G2BPは、例えば乳糖、ショ糖、粉末(例えば、でんぷん粉末)、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、滑石、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジン、および/またはポリビニルアルコールと混合してもよく、必要に応じて、便利な服用のために、さらに錠剤化し、またはカプセル封入される。あるいは、抗体または他のL5G2BPは生理的食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、エタノール、コーン油、ピーナツ油、綿実油、ごま油、トラガカントゴム および/または様々な緩衝剤中に溶解され得る。他の担体、アジュバント、および投与様式は医薬の分野において公知である。担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を単独で、またはワックスとともに、または本分野で周知の他の材料とともに含み得る。
医薬的に許容できる担体には、一般に、本発明によって提供されるL5G2BPまたは関連組成物若しくは組み合わせと生理的に適合性のある、適切な溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などが含まれる。医薬的に許容できる担体のさらなる例には、滅菌水、塩類溶液、リン酸緩衝性塩類溶液(PBS)、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、及びこれらのうち任意のものの組み合わせが含まれる。
多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール(例えば、マンニトール)、ソルビトール、または塩化ナトリウムを、薬学的組成物中に含むことは望ましい場合がある。湿潤剤、乳化剤、防腐剤、および緩衝液などの医薬的に許容できる物質はL5G2BPおよび/または関連する組成物の活性成分の有効期間または有効性を、望ましくは、高めることができる。
医薬組成物の担体および他の成分の適切さは、典型的には、L5G2BP、関連する組成物または組み合わせの望ましい生物学的特性に及ぼす有意な負の衝撃がない(例えば、約10%以下の相対的阻害、約5%以下の相対的阻害等、組成物のL5G2BP成分によるγ2結合に実質的な影響を与えない)ことに基づいて決定される。医薬化学者に周知である典型的に適切な賦形剤に関連するさらなる情報については、例えば、Powell et al. “Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)、およびその引用文献も参照されたい。
L5G2BP組成物には、L5G2BPペプチドおよび関連する塩の任意の適切な組み合わせを含む組成物も含まれる。任意の適切な形態(例えば、緩衝塩)のアルカリ土類金属塩などの任意の適切な塩は、L5G2BPの安定化において使用できる(好ましくは、塩の量は、L5G2BPの酸化および/または沈殿が避けられるような量である)。典型的には、適切な塩には、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、および塩化カルシウムが含まれる。ある側面において、アルミニウム塩は本発明の組成物中のL5G2BPを安定化するのに用いられ、そのアルミニウム塩はこのような組成物が患者に投与されるときにアジュバントとしても機能し得る。塩基およびL5G2BPを含む組成物も提供される。他の側面において、本発明は、任意の塩の等張量を実質的に欠くL5G2BP組成物を提供する。
医薬的使用のための組成物は、また様々な希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、界面活性剤(例えば、Tween−80などの非イオン性界面活性剤)、安定化剤、安定化剤(例えば、糖、またはタンパク質を含まないアミノ酸)、防腐剤、組織固定剤、可溶化剤、および/または医薬組成物に含まれるのに適した他の材料も含むことができる。適切な成分の例は、例えばBerge et al., J. Pharm. Sci., 6661), 1-19 (1977); Wang and Hanson, J. Parenteral. Sci. Tech: 42, S4-S6 (1988), US Patents 6,165,779;米国特許6165779および6225289;これらに引用されている他の文献にも記載されている。このような医薬組成物はまた、防腐剤、抗酸化剤、または当業者に公知の他の添加物も含むことができる。医薬的に許可されるさらなる担体が本分野において既知であり、例えばUrquhart et al., Lancet, 16, 367 (1980), Lieberman et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS -DISPERSE SYSTEMS (2nd ed., vol. 3,1998); Ansel et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS & DRUG DELIVERY SYSTEMS (7th ed. 2000); Martindale, THE EXTRA PHARMACOPEIA (31st edition), Remington’s Pharmaceutical Sciences (16th-20th editions); THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, Goodman and Gilman, Eds. (9th ed.-1996); Wilson and Gisvolds’ TEXTBOOK OF ORGANIC MEDICINAL AND PHARMACEUTICAL CHEMISTRY, Delgado and Remers, Eds. (10th ed. -1998);米国特許5708025および5994106に記載されている。医薬的に許容できる組成物を調剤する原理も、例えばPlatt, Clin. Lab Med., 7:289-99 (1987);Aulton, PHARMACEUTICS: THE SCIENCE OF DOSAGE FORM DESIGN, Churchill Livingstone (New York) (1988):EXTEMPORANEOUS ORAL LIQUID DOSAGE PREPARATIONS, CSHP (1998);および“Drug Dosage,” J. Kans. Med. Soc., 70 (I), 30-32 (1969)に記載されている。ベクターの投与に特に適した医薬的に許容できるさらなる担体は、例えば国際特許出願WO98/32859に記載されている。
本発明に係るL5G2BP組成物、関連組成物、および組み合わせは様々な適切な形態で存在し得る。このような形態には、例えば、液体溶液(例えば、注射可能で注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、乳化剤、マイクロエマルジョン、錠剤、ピル、粉末、リポソーム、デンドリマー、および他のナノ粒子(例えば、Baek et al., Methods Enzymol. 2003;362:240-9; Nigavekar et al., Pharm Res. 2004 Mar;21(3):476-83参照)、ミクロ粒子、および坐薬などの液体、半固体および固体の剤形が含まれる。ある典型的な側面において、本発明は、癌関連細胞へ送達するために調剤されたリポソームに含有される有効量の一つ以上の抗γDIII抗体を提供する。
L5G2BP組成物の製剤も、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(陽イオン性または陰イオン性)含有小胞、DNA抱合体、無水吸収ペースト、水中油および油中水乳化剤、乳化剤、カーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含有する半固体混合物を含むことができる。γ2に対するL5G2BPの結合が有意に阻害されず、および/または関連分子の生物活性が製剤によって有意に抑制され、前記製剤が計画された投与経路と生理学的に適合性があり、耐容され得るのであれば、前述の混合物はいずれも、本発明に係る治療および療法において適切であり得る。あるL5G2BP関連組成物についての最適な形態は、企図された投与様式、組成物または組み合わせの性質、および治療上の適用若しくは他の企図された使用に依存する。
典型的には、他の抗体によるヒトの受動免疫化に用いられるものと同様の組成物などの、注射可能なまたは注入可能な溶液の形態である組成物は、本発明のL5G2BPの送達に用いられる。L5G2BP組成物の送達のための典型的な様式は。非経口投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、および/または筋内投与)によるものである。ある側面において、抗γ2DIII抗体は、ヒト患者に静脈内注入または注射によって投与される。別の側面において、抗γ2DIII抗体は筋内注射または皮下注射によって投与される。すでに示されているように、腫瘍内投与もある種の治療法において有用であり得る。
抗γ2DIII抗体、抗体断片、およびそれらの誘導体などのL5G2BPは、例えば、固体製剤(例えば、顆粒、粉末、噴出性粒子、または坐薬を含む。)、半固体剤形(ゲル、クリーム、等)、または液状剤形(例えば、溶液、懸濁液、または乳化剤)で調剤されてもよい。
抗体および他のL5G2BPも様々な溶液において適用され得る。本発明にしたがった使用のための適切な溶液は、典型的には、製造及び保存のための条件下で安定であり、提唱された適用に関して対象に有害ではない、滅菌された可溶性の十分な量の抗体および組成物の他の成分(例えば、GM−CSF、IL−2、および/またはKGFなどの免疫調節サイトカイン)である。
L5G2BPは滅菌化などの既存の医薬操作へ供されてもよく、および/または防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液などの慣用の補助剤を含有してもよい。組成物はまた、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、粉末、マクロエマルジョン、リポソーム、または高濃度の薬物に適した他の秩序構造(ordered structure)として調剤できる。溶液の望ましい流動特性は、例えばレシチンなどのコーティングを使用することによって、分散の場合における必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持できる。注射可能な組成物の長時間の吸収は吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含むことによって生じることができる。本発明の医薬的に許容できる組成物のこれらおよび他の成分は、移動、送達、耐容性などの改善など、有利な特性を与えることができる。
ある典型的な側面において、活性化合物または組み合わせは、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセルに封入された送達システムを含む徐放性剤形などの、迅速な放出に対して化合物を保護する担体とともに調製される。酢酸エチレンビニル、多価無水物(polyanhydride)、多価グリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生体分解性、生体適合性ポリマーが使用できる。このような製剤を調製するための多くの方法が特許となっており、又は当業者に一般的に知られている。例えば、「SUSTAINED AND CONTROLLED RELEASE DRUG DELIVERY SYSTEMS, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978」を参照されたい。このようなシステムに関する他の教示は本分野において公知である。例えば、「Heller, Biodegradable Polymers in Controlled Drug Delivery, in: CRC Critical Reviews in Therapeutic Drua Carrier Systems, Vol. 1, CRC Press, Boca Raton, Fla., 1987, pp 39-90」は、徐放性薬物送達のためのカプセル封入を記載しており、「Di Colo (1992) Biomaterials 13:850-856」は、疎水性ポリマーからの徐放性薬物放出について記載している。
別の側面において、本発明の組成物は、例えば不活性希釈剤または同化できる可食性担体とともに経口投与される。化合物(及び、所望であれば、他の成分)はまた、硬いまたは軟らかい殻のカプセル中に封入され、錠剤へ圧縮され、又は対象者の食事中に直接組み込まれてもよい。治療的な経口投与の場合、前記化合物は賦形剤とともに組み込まれ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハースなどの形態で用いられてもよい。本発明の化合物を非経口投与以外によって投与するために、その不活性化を妨げる材料で化合物をコーティングし、またはこのような材料とともに化合物を同時投与することが必要かもしれない。
L5G2BP、関連化合物(例えば、L5G2BPコード化核酸)、および関連組成物は、一般に、任意の適切な剤形で送達できる。最適な効果のための正確な剤形の決定は多くの因子(治療される症状、患者の年齢、患者の健康状態、用いられるL5G2BPまたは代用剤のタイプ、さらなる活性因子の存在、および/または関連療法の適用など)によって変動し、それにより特定の効果を誘導、促進、および/または亢進するのに十分なまたは最適な量に関して剤形を記述するのがしばしばより有用である。この点において、本発明の組成物は「治療的有効量」、「予防的有効量」、または「生理学的有効量」のL5G2BPまたは関連組成物(またはL5G2BPおよび第二要素を含む組み合わせ組成物の場合における「第一」と「第二」の量;含まれる三つの薬剤の場合には、第一量、第二量、第三量)を含むことができる。
「治療的有効量」は、適切な剤形で適切な時間送達されたときに、宿主における望ましい治療結果に達する効果のある量を指す(例えば、癌の進行に関する一つ以上の側面を低下させ、ある期間(例えば、最初の癌治療から18〜60ヶ月後)にわたる生存の見込みの増大、癌細胞関連成長の広がりの低下、および/または腫瘍成長の再発の見込みの低下と関連した生理学的反応の誘導、促進、および/または亢進)。治療的有効量のL5G2D3BPは、個体の疾病状態、年齢、性別及び体重、並び個体に望ましい反応を誘導するL5G2BPの能力などの因子に従って変動し得る。治療的有効量はまた、抗体または抗体部分の任意の毒性効果または有害な効果を治療上の有益な効果が上回る量である。
「予防的有効量」は、望ましい予防結果(例えば、疾患の発達の見込みの低下、疾患の強度または広がりの低下、差し迫った疾患の間に生存する見込みの増大、疾病状態の開始の遅延、予防療法を受けていない同様の患者と比べたときの差し迫った疾患の広がりの低下など)を達成するために必要な剤形及び時間において有効な量を表す。典型的には、予防投薬は疾病の前または初期の段階の対象者に用いられるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。
「有効量」という用語が、「治療的に」または「予防的に」などの修飾語なしで用いられる場合、本用語は最小の予防的有効量または治療的有効量と少なくとも同じであり、表記の使用に適した量を意味するものとする。ある典型的な側面において、本発明は、一つ以上のL5G2BP、L5G2BP組み合わせ組成物、関連組成物等の有効量を患者に送達することを含む、患者における癌の治療方法に関する。このような量は、典型的には、癌症状に罹患していない(が、このような症状を発症するリスクがあり得る)患者に効果的な予防効果を誘導するのに必要とされる最小量から一つ以上の治療法に十分な量(例えば、腫瘍の負担を有意に軽減する)にわたる。言い換えれば、別段の記載がなければ、又はこれと反する明示の記載がなければ、「有効量」というフレーズは「予防的に有効な」量と「治療的に有効な量」の両方の量を包含する。
別の側面において、本発明は、患者における一つ以上の生理学的事象/活性(例えば、癌の進行の低下)を誘導、促進、および/または亢進する方法に関する。「生理学的有効」量は、望ましい生理学的効果を誘導、促進、および/または亢進するのに十分な量を指す。
本発明の組成物は、任意の適切な服用療法において投与できる。服用療法に関する適切性は、望ましい生理学的効果をもたらす、組成物の任意の投薬回数、適宜の時間(典型的には一日)における任意の回数を指す。服用療法は最適な望ましい反応(例えば、治療上または予防上の反応)を提供するよう調整されてもよい。例えば、単一のボーラスが投与されてもよく、いくつも分割された服用が長時間投与されてもよく、または服用は治療状況の要件によって示されるように、比例して減少し、又は増加し得る。投与の容易さと服用の均一性のため、単位投薬形態で非経口投与組成物を調剤することは特に有利でありうる。本明細書で用いられる単位投薬形態は、治療されるべき哺乳類対象のための一体化した剤形として適している物理的に離散したユニットを指し、各ユニットは必要とされる医薬担体と関連した望ましい治療効果を生じるよう計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位投薬形態のための規格は、(a)L5G2BP、関連組成物、または組み合わせの独特の特徴、および(b)達成される特定の治療効果または予防効果によって決定付けられ、直接それらに依存する。治療経過の総時間も任意の適切な時間でありえ、また、当業者にとって定型的な実験で決定できる多くの類似した因子とともに変動する可能性がある。
L5G2BPなどの抗癌剤の服用量は、典型的には、体容積を数学的に近似する体重と身長の複合的指標である、患者の身体表面積(BSA)に対して調整される。従って、ある側面において、本発明は、BSAにより調整された量のL5G2BPまたはL5G2BPを含む組成物の送達に関する。BSAは通常、直接的な測定結果によるよりもむしろ、計算式または計算図表で算出される。このような方法は本分野において公知である。
本発明の抗体または抗体部分の治療的有効量又は予防的有効量についての典型的で非限定的な範囲は約0.1〜50mg/kgなどの約0.1〜100mg/kgであり、例えば、約0.1〜20mg/kgであり、特に約1〜10mg/kgである(例えば、(0.3mg/kgなどの)約0.5mg/kg、約1mg/kg、または約3mg/kg)。一般にこのような量は一日当たり一回またはそれより少なく投与される(例えば、一週間に2〜3回、一週間に1回、または二週ごとに1回)。
組み合わせ組成物の場合、L5G2BPまたは関連化合物は、本明細書の他の箇所に記載されている、一つ以上のさらなる治療剤(例えば、抗原性ペプチドまたは免疫刺激性サイトカイン)と同時製剤されるかおよび/または同時投与される。このような組み合わせ療法は、より少ない服用量のL5G2BPおよび/または同時投与される薬剤を必要することがあり、従って様々な単一療法に付随する可能性のある毒性または合併症が回避される。
本発明の別の側面は、L5G2BP、関連組成物、またはその組み合わせ、医薬的賦形剤成分、及び必要に応じて使用される他の医薬組成物成分(例えば、一つ以上の二次活性剤)を含むキットを提供する。キットには、一つ以上のL5G2BPに加えて、様々な診断薬または治療薬を含んでもよい。キットはまた、診断方法または治療方法において使用するための説明書を含んでもよい。このような説明書は、例えばキットに含まれる装置上に提供されることができる。有利なことに、このようなキットには、本明細書の他の箇所で記載されている様々な診断方法の一以上において使用できるL5G2BPおよび診断剤が含まれる。別の好ましい実施態様において、キットには、非常に安定した組成物と混合することができる医薬的に許容できる担体と組み合わされた、L5G2D3BP、関連化合物、または組み合わせ組成物が(凍結乾燥された形などの)非常に安定した形態で含まれ、極めて近い将来に投与するための注射可能な組成物を形成する。
L5G2BP、関連化合物、上記医薬的に許容できる組成物などの、上述のおよび本明細書の他の箇所で述べられた組み合わせ組成物は、様々な治療法および予防法、並びに診断及び予後適用に有用である。
ある側面において、本発明は、癌およびその様相の検出、診断、予後、監視、治療処置の方法を提供する(例えば、本発明は、癌細胞への、または、癌細胞集団の侵襲前線の近くなどこのような細胞の近傍へのL5G2BPの送達を通じて、侵襲性表現型の癌細胞の移動を抑制する方法を提供する)。
このような方法の特定の側面は、順次、以下に論議されるであろう。
ある典型的な側面において、本発明は、L5G2BP、関連組成物(例えば、L5G2BPをコード化する核酸、抗抗イディオタイプのγ2DIII抗体、等)、または本発明の組み合わせ組成物を、宿主において癌の進行を検出可能に低下させるのに十分な量で投与することを含む、ヒト患者などの検出可能なレベルの癌細胞を有する哺乳類宿主において癌の進行を低下する方法を提供する。
本発明における癌細胞は、(例えば、(例えば”Hayflick limit” of normal cell growth (as described in, e.g., Hayflick, Exp. Cell Res., 37,614 (1965)に記載されているような)正常な細胞増殖の「ヘイフリック限界」を超えることによって)成長が調節されていない異常に分裂し、再生する任意の細胞である。「癌」は一般に、宿主において部分的に独立した成長(例えば、良性腫瘍)または宿主において完全に独立した成長(悪性癌)が可能である細胞の単一のまたは数個のクローンからなる。癌細胞は、新生物性形質変換(「発癌」)を介して宿主細胞から生じる。
本明細書における、細胞および/または組織の記述に関する「前新生物性」、「前悪性」及び「前癌性」などの用語は、癌性になる有意な潜在能力を意味する遺伝子型特性および/または表現型特性を有する細胞または組織を指す。通常、このような細胞は、癌の進行の開始または癌の進行が開始する有意なリスクを知らせる最も近くの非新生物性対応物との一つ以上の差異によって特徴づけられることができる。このような前癌性変化は、もし検出できれば、優れた結果とともに通常、治療できる。従って、予防療法の一部としてのこのような細胞および組織へのL5G2BPの送達は、本発明の重要な側面である。前癌性前駆体が十分に確定されている癌もあるが、確定されていない癌もある。一般に、前癌性状態は新生物または前新生物病変の発生と関連付けられるであろう。既知の前癌性で組織及び前癌性組織になり得る組織の例には、乳癌における腺管癌粘膜内成長(DCIS;ductal carcinoma in situ)、子宮頸癌における頸部上皮内異常増殖(CIN;cervical intra-epithelial neoplasia)、結腸直腸癌における結腸の腺腫性ポリープ、肺癌における異常な腺腫性肥大、および皮膚癌における光線性角化症(AK)がある。様々な癌についての前新生物性表現型および遺伝子型、並びに細胞において前新生物性状態の存在を査定するための方法が特徴づけされてきた。例えば、「Medina, J Mammary Gland Biol Neoplasia. 2000 Oct;5(4):393-407; Krishnamurthy et al., Adv Anat Pathol. 2002 May;9(3):185-97; Ponten, Eur J Cancer. 2001 Oct;37 Suppl 8:S97-113; Niklinski et al., Eur J Cancer Prev. 2001 Jun;10(3):213-26; Walch et al., Pathobiology. 2000 Jan-Feb;68(1):9-17; and Busch, Cancer Surv. 1998;32:149-79」を参照されたい。遺伝子発現プロファイルは、正常細胞、前癌性細胞、癌細胞を識別するために、ますます多く使用できる。例えば、家族性腺腫性ポリープ症遺伝子は結腸癌のための綿密な調査を引き起こし、突然変異を受けたp53腫瘍抑制因子遺伝子は活動的な癌へと発達する可能性がある細胞を停止させ、オステオポンチン発現レベルは前悪性細胞中で上昇し、テロメラーゼ活性の上昇も(例えば、膀胱および肺の癌において)前癌性症状の指標となりうる
「癌の進行」は、正常な非新生物性細胞の癌性の新生物性細胞への移行、このような新生物性細胞の移動、そこからの腫瘍の形成および増殖(後者は腫瘍の進行と呼ぶことができる)を促進しまたは、それらの指標となる任意の事象または事象の組み合わせを指す。このような事象の例には、正常な非新生物性細胞の認識された前新生物性表現型への形質変換と関連した表現型の細胞内変化、および前新生物性細胞の新生物性細胞への形質変換を示す細胞表現型変化がある。
癌の進行(または本明細書において「癌の進行段階」とも呼ばれる)の見解には、細胞の危機(cell crisis)、不死化および/または正常なアポトーシスの失敗、不死化したおよび/または前新生物性細胞の増殖、形質変換(つまり、不死化した細胞が足場非依存性、血清非依存性、および/または成長因子非依存性、若しくは接触抑制非依存性の成長を呈することを可能にする変化、又は癌を示す形状変化や異数性や焦点形成と関連付けられる変化)、形質変換した細胞の増殖、転移能、移動及び転移の発達(例えば、細胞のある位置からの解離および別の場所への転移)、新たなコロニー形成、腫瘍形成、腫瘍成長、新腫瘍形成(識別可能な位置にあり、形質変換した細胞のソースと接触しない新しい腫瘍の形成)、およびそれらのいずれかの組み合わせが含まれる。
発癌は、典型的には、宿主細胞の制御調節を迂回すること(例えば、宿主細胞の正常に活動的なアポトーシス性シグナル伝達経路を迂回するか克服すること)と腫瘍抑制因子遺伝子の発現の低下を介して、細胞の成長を制御する遺伝子の活性化が伴う。典型的には、十分に悪性の腫瘍の発達に伴って、複数の遺伝子が調節解除される。
癌の進行も、しばしば、さらに又は代替的に、開始、促進及び進行の一般的な段階によって記載されている。腫瘍を形成する癌において、例えば、癌の進行は、しばしば、腫瘍の開始、腫瘍の促進、悪性変換、および腫瘍の進行に関して記載される(例えば、Cancer Medicine, 5th Edition (2000) B.C. Decker Inc., Hamilton, Ontario, Canada (Blast et al. eds.)参照)。腫瘍の開始は、細胞レベルまたは組織レベルで形態学的、遺伝学的、および/または行動的変化の存在を反映し(例えば、有糸分裂の誘導、代償性細胞増殖、前新形成および肥大、前悪性細胞または悪性細胞の生存(不死化、免疫抑制)、および転移能に及ぼす癌関連効果の発生等)、発癌物質により誘発される突然変異などの不可逆的遺伝子損傷から典型的に起こる。初期段階は、典型的には、DNA損傷剤に応じて正常細胞が初期化された細胞に変換することによって特徴づけられる。腫瘍の促進は初期化された細胞の選択的クローン増殖を含む。腫瘍の進行は、悪性表現型の発現および、すでに悪性である細胞が時間とともにさらに悪化する特徴を獲得する傾向を含む。促進段階は、典型的には、遺伝子発現と細胞増殖における変化に起因して、初期化された細胞の前新生物性細胞の集団への形質変換によって特徴づけられる。進行段階は、典型的には、さらなる遺伝子上の変化の結果として、前新生物性細胞から新生物性細胞集団への形質変換によって特徴づけられる。
新生物性形質変換または新生物性変換などの用語は、癌の進行の段階を述べることができる。新生物性変換は、前新生物性細胞が新生物性表現型を発現する細胞へと形質変換することである。一度新生物性変換が完了すると、遺伝子構造が変化した細胞は癌と関連した遺伝子構造を発現するために増殖する必要がある。細胞複製は発現率および関連した癌の危険性を決定する。一般に後成的な事象、特にDNAメチル化は正常な段階から前新生物性段階を経て新生物性状態へと進む変化を修飾することと関連している。新生物性形質変換はまた、成長因子受容体(例えば、IGF−1受容体、Erb受容体二量体、およびそれらの構成要素(例えば、Erb−B受容体二量体)、wnt受容体、fims、neu)、シグナル伝達に関与する分子(src、abl、ras)、細胞の発癌遺伝子または「(c)発癌遺伝子」としばしば呼ばれる転写因子(jun、fos、myc)などの、成長調節遺伝子の活性化と関連している。新生物性形質変換に含まれるさらなる因子には、成長を阻害する遺伝子(例えば、p53およびRb)、およびbcl−2などのアポトーシスを制御する遺伝子が含まれる。新生物性形質変換はまた細胞の成長を調節する遺伝子の不適切な活性化も含む。
癌の進行の別の段階において、免疫原性腫瘍は、典型的には、宿主の免疫サーベイランスを免れ、それらの成長を可能にする。癌の進行のさらなる関連した側面には、癌細胞によるアポトーシスの回避、無制限な複製能に達すること、成長因子の発現において自己充足状態に達すること、抗成長シグナルに対する異常な非感受性に達すること、持続した血管新生に達すること、および転移が含まれる。
転移は、患者の組織中など、媒体におけるある部位から別の部位への癌細胞の広がりを指す。転移はまた多くの異なる生理学的事象とも典型的に関わっており、前記生理学的事象には、リンパチャネルまたはプロテアーゼ活性を介しての原発部位からの癌細胞の逃避、循環における癌細胞の生存、二次部位での拘束、周囲組織への血管外遊走、成長の開始および維持、並びに転移性腫瘍の血管新生が含まれる。転移は、原発腫瘍の近くの位置を越えて侵入することを可能とするプロテアーゼを分泌する腫瘍細胞の能力も含む場合がある。悪性表現型の顕著な特徴は、ゲノムの不安定性と調節されていない成長に対する傾向である。
転移性癌細胞は、典型的には、標的臓器(異所的部位)へ転移するために血管の細胞外マトリクス(ECM)および基底膜を貫通する。EMCは炭水化物複合体(硫酸ヘパランペプチドグリカン)中に包埋されるタンパク質からなり、腫瘍を取り囲むプロテアーゼはこの中で活性があり、宿主の組織を破壊する。従って、ECMおよび基底膜の浸潤並びに関連する宿主組織の破壊も癌進行の関連する側面である。実際、細胞の付着、脱離、並びに、細胞外マトリックスタンパク質の分解、及び浸潤性腫瘍細胞が遠くの位置に移動するために必要とされる移動という、一般に連続したプロセスが複雑に交じり合って存在することが多い。これらの活性はすべて、本発明における癌の進行の重要な側面である。従って、例えばL5G2BP、関連化合物、または組み合わせ組成物の送達は患者における癌の治療と関連したこれらの生理学的活動のいずれか一つを低下させる手段として使用できる。
癌および癌の進行を検出するための方法には、(a)臨床検査(症状は膨潤、触診可能なしこり、大きくなったリンパ節、出血、目に見える皮膚の損傷、および体重減少)、(b)画像化(X線技術、マンモグラフィ、大腸内視鏡検査、コンピュータ断層撮影(CTおよび/またはCAT)走査、磁気共鳴画像法(MRI)等)、(c)免疫診断分析(例えば、CEA、AFP、CA125、等の検出)、(d)抗体により仲介される放射性画像化、および(e)細胞内/組織の免疫組織化学の分析が含まれる。
L5G2BPを対象へ(直接的な投与か、ポックスウィルス遺伝子転送ベクターなどから、その中の核酸から発現することのいずれかにより)送達すること、および本発明の他の方法を実施することは、癌の進行の任意の適切な側面を低下させ、治療し、予防し、またさもなくば寛解するのに使用できる。本発明の方法は、本明細書にさらに記載されているような腫瘍の成長、癌の移動、および癌細胞の侵襲性の低下および/または寛解において特に有用である。癌の進行のこのような側面を低下、予防、またはさもなくば寛解させる方法は、独立におよび総合的に、本発明の有利な特長である。本発明のさらなる有利な側面には、転移の低下、腫瘍の広がりの低下、腫瘍の成長の低下、およびそのいずれかの組み合わせが含まれる。別の好ましい見解は、微小転移によって特徴づけられる癌の治療におけるこのような方法の有効性である。別の面において、本発明は、癌治療のための医薬の調製における、本明細書に記載されているようなL5G2BP、関連化合物、および/または関連組成物の使用に関する。
L5G2BP、関連化合物、および組み合わせ組成物を含む異なる治療法は、癌の進行の異なる側面に関して適用できる。従って、例えば、ある側面において、L5G2BPは患者に抗初期化戦略(anti-initiation strategy)の一部として送達される。抗初期化治療計画に関する投与、送達、または適用のために有利な二次抗新生物製剤及び技術には、例えば、DNA修復酵素、活性酸素種および求電子剤を除去する分子、発癌物質の解毒を高める組成物が含まれる。別の側面において、L5G2BP、関連組成物、または組み合わせ組成物は、抗促進および/または抗増殖治療法に関して送達、投与、または適用される。このような治療法に関して有利な二次薬および技術には、例えば、癌細胞の死を誘導する薬剤および技術、癌細胞の増殖を抑制する薬剤および技術(例えば、化学治療剤)、並びに癌細胞関連遺伝子発現を変化させる薬剤(例えば、癌促進遺伝子の発現を低下させる薬剤、再導入する機能的腫瘍抑制因子を含む方法、等)が含まれる。
癌の進行の検出は任意の適切な技術によって達成でき、そのいくつかの例は本分野において公知である。適切な技術の例には、(例えば、癌細胞関連遺伝子または「マーカー」の)PCRおよびRT−PCR、生検、電子顕微鏡、陽電子放射型断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法、免疫シンチグラフィおよび他のシンチグラフィ技術、磁気画像共鳴法(MRI)、核型分析および他の染色体分析、イムノアッセイ/免疫細胞化学的検出技術(例えば、異なる抗体認識)、(例えば、細胞膜の変化の)組織学的および/または組織病理学的分析、細胞動態研究および細胞周期分析、超音波または他の音波検査検出技術、放射線学的検出技術、フローサイトメトリ、内視鏡可視化技術、および身体検査技術が含まれる。これらのおよび他の適切な技術の例は、例えば、Rieber et al., Cancer Res., 36 (10), 3568-73 (1976), Brinkley et al., Tex. Rep. Biol. Med., 37,26-44 (1978), Baky et al., Anal. Quant. Cytol., 2 (3), 175-85 (1980), Laurence et al., Cancer Metastasis Rev., 2 (4), 351-74 (1983), Cooke et al., Gut, 25 (7), 748-55 (1984), Kim et al, Yonsei Med. J., 26 (2), 167-74 (1985), Glaves, Prog. Clin. Biol. Res., 212,151-67 (1986), McCoy et al., Itnmunol. Ser., 53,171-87 (1990), Jacobsson et al., Med. Oncol. Tumor. Pharmacother., 8 (4), 253-60 (1991), Swierenga et al., IARC Sci. Publ., 165-93 (1992), Hirnle, Lymphology, 27 (3), 111-3 (1994), Laferte et al., J. Cell Biochem., 57 (1), 101-19 (1995), Machiels et al., Eur. J. Cell Biochem., 66 (3), 282-92 (1995), Chaiwun et al., Pathology (Phila), 4 (1), 155-68 (1996), Jacobson et al, Ann. Oncol., 6 (Suppl. 3), S3-8 (1996), Meijer et al., Eur. J. Cancer, 31A (7-8), 1210-11 (1995), Greenman et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 81 (4), 1628-33 (1996), Ogunbiyi et al., Ann. Surg. Oncol., 4 (8), 613-20 (1997), Merritt et al., Arch. Otolaryngol. Head Neck Surg., 123 (2), 149-52 (1997), Bobardieri et al., Q. J. Nucl. Med., 42 (1), 54-65 (1998), Giordano et al., J. Cell Biochem, 70 (1), 1-7 (1998), Siziopikou et al., Breast J., 5 (4), 221-29 (1999), Rasper, Surgery, 126 (5), 827-8 (1999), von Knebel et al., Cancer Metastasis Rev., 18 (1), 43-64 (1999), Britton et al., Recent Results Cancer Res., 157,3-11 (2000), Caraway et al., Cancer, 90 (2), 126-32 (2000), Castillo et al., Am. J. Neuroadiol., 21 (5), 948-53 (2000), Chin et al., Mayo Clin. Proc., 75 (8), 796-801 (2000), Kau et al., J. Ortohinolaryngol. Relat. Spe., 62 (4), 199-203 (2000), Krag, Cancer J. Sci. Am., 6 (Suppl. 2), S121-24 (2000), Pantel et al., Curr. Opin. Oncol., 12 (1), 95-101 (2000), Cook et al., Q. J. Nucl. Med., 45 (1), 47-52 (2001), Gambhir et al., Clin. Nucl. Med., 26 (10), 883-4 (2001), MacManus et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys., 50 (2), 287-93 (2001), Olilla et al., Cancer Control., 8 (5), 407-14 (2001), Taback et al., Recent Results Cancer Res.,158,78-92 (2001);これらの文献に引用されている参考文献に記載されている。関連する技術は、米国特許6,294,343、6,245,501、6,242,186、6,235,486、6,232,086、6,228,596、6,200,765、6,187,536、6,080,584、6,066,449、6,027,905、5,989,815、5,939,258、5,882,627、5,829,437、5,677,125、and 5,455,159並びにWO 01/69199、WO 01/64110、WO 01/60237、WO 01/53835、WO 01/48477、WO 01/04353、WO 98/12564、WO 97/32009、WO 97/09925、及びWO 96/15456に記載されている。
癌の進行の低下は、以下の事項のいずれかの検出可能な低下を含むことができる。(1)新生物性細胞(またはその任意の段階)へ形質変換している正常細胞の割合、(2)前新生物性または新生物性細胞の増殖の速度、(3)前新生物性および/または新生物性表現型を呈する細胞の数、(4)前新生物性および/または新生物性細胞を含む細胞培地(例えば、細胞培養、組織、または器官(例えば、哺乳類宿主における器官))の物理的面積、(5)正常細胞および/または前新生物性細胞が新生物性細胞へ形質変換する確率、(6)癌細胞が癌の進行の次の段階(例えば、転移能の低下)へ進む確率、または(7)そのいずれかの組み合わせ。このような変化は上述の技術または本分野で知られるその適切な対応物のうちのいずれかを用いて検出でき、このような技術は、その有効性を査定する典型的には治療法の投与前の適切な時間で適用される。癌の能力の低下が生じたかどうかをアッセイするための時間および条件は、癌のタイプ、宿主へ送達されるL5G2BP、関連組成物、または組み合わせ組成物のタイプおよび量を含むいくつかの因子に依存するであろう。当業者は、定型的な実験操作を用いて、このような本分野において公知の技術および原理を適用しながら、このようなアッセイを行うための時間および条件の適切な決定を行うことができるであろう。
癌の進行を診断するのに有用な他の方法には、腫瘍の類別方法および段階分け方法があり、例えば「American Joint Commission on Cancer grading system、the National Program of Cancer Registries “General Staging”、(Summary Staging, California Staging, and SEER Staging(要約段階分け、カリフォルニア段階分け、およびSEER段階分け)としても知られる。)、および/または一般に用いられる特殊化された段階分けシステム(例えば、高いグリーソン腫瘍階級スコアは前立腺癌において進行性の癌の指標となる。TNM(腫瘍、リンパ節、転移)段階分けシステムは、しばしば直腸結腸癌の査定において有用である。そしてスカーフ−ブルーム−リチャードソンシステムはしばしば乳癌の査定のにおいて用いられる)がある(例えば、Fawcett and Drew, Prof Nurse. 2002 Apr;17(8):470-2; Toloza et al., Chest. 2003 Jan;123(1 Suppl):157S-166S; Fischer et al., Lancet Oncol. 2001 Nov;2(11):659-66; and Perrotti et al., Urology. 1999 Aug;54(2):208-14; Zinkin, Dis Colon Rectum. 1983 Jan;26(1):37-43; see also generally Neal, Clinical Oncology (Oxford University Press −3rd Ed. 2003), Price, TREATMENT OF CANCER (Oxford University Press − 4th Ed. 2002), Franks, INTRODUCTION TO THE CELLULAR AND MOLECULAR BIOLOGY OF CANCER (Oxford University Press − 3rd Ed. 1997); Bast et al., Cancer Medicine, 5th Edition (BC Decker Inc. − 2000); Adami, TEXTBOOK OF CANCER EPIDEMIOLOGY (Oxford University Press 2002)参照)。癌を同定しおよび/または癌の進行を診断するためのさらなる方法には、癌遺伝子関連DNAメチル化(例えば、Carmen et al., J. Natl. Cancer Inst., 93(22) (2001)参照)、DNAサイトメトリ、(頻度、正常性、またはその両者についての)有糸分裂アッセイ)、多形性評価、自己分泌刺激性ループ活性の存在、細管形成測定結果、角質化アッセイ、細胞間架橋形成アッセイ、上皮真珠検出、異常なホルモン受容体発現または形状産生アッセイ(例えば、Her2過剰発現分析)、および他の癌関連遺伝子発現アッセイ(例えば、PRL−3タンパク質チロシンホスファターゼ遺伝子発現分析)が含まれる。さらに有用な診断方法は米国特許6682901およびPCT出願WO03/033667に記載されている。本発明の治療法(とりわけ、癌の進行の一つ以上の段階において、癌の進行を低下させるためのL5G2BPまたは関連化合物の送達を要する患者へのそれらの送達を含む)は、本明細書に記載されているこれらまたは他の診断アッセイまたはそれらの均等物の任意の一つによって決定されるような、患者における癌および/または癌の進行の指標を見出すことと関連付けて実施できる。このような方法は本発明のさらなる特長である。
特定の側面において、本発明は、T0よりも大きな等級が付与される癌(例えば、T1、T2、またはT3)を治療する方法を提供する。別の側面において、本発明は、T2またはT3からT4までの患者の腫瘍の進行を防ぐ方法を提供する。別の側面において、本発明は、T4状態を有すると分類される患者における癌の治療に関する。別の側面において、本発明は、さらに又は代替的に、M1の癌を有すると分類される患者の治療に関する。さらなる面において、本発明は、段階Iの癌よりも進行している段階にある癌(例えば、段階IIおよび/または段階IIIの癌)の治療に関する。さらなる側面において、本発明は、このような段階IIおよび/または段階IIIの癌の段階IVの癌へ進行を低下又は中止させる方法を提供する。別の面において、本発明は、段階IVの癌として分類される癌を治療する方法を提供する。
癌細胞の移動と侵襲性の低下は本発明の特に有利な側面である。従って、これらの生理学的反応の一方または両方における癌の進行の低下の検出は特に有用である。これらの形態の癌の進行を査定するのに適した方法には、BoydenとTranswellのチャンバーアッセイ(例えば、米国20020052307;Hujanen and Terranova (1985) Cancer Res. 45: 3517-3521; and Pelletier, A.J., Kunicki, T. and Quaranta, V. (1996), J. Biol. Chem. 271:364)参照)、マトリゲル移動アッセイ(例えば、Zhang et al., Oncogene. 2004 Apr 15;23(17):3080-8 and Knutson et al., Molecular Biology of the Cell, 7: 383-396, 1996参照)、インテグリンβ1アッセイ(例えば、Berry et al., Breast Cancer. 2003;10(3):214-9参照)、β−カテニンおよび関連した分子アッセイ(例えば、E−カドヘリンおよび/または「遅純な」遺伝子発現分析)、(バリウムX線撮影侵襲性アッセイなどの)X線撮影圧制、陽電子放射型断層撮影査定、磁気共鳴画像(MRI)技術(例えば、腫瘍の直径および/または容積の測定)、DNAサイトメトリ、マンモグラフィ測定、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)分析方法(例えば、HER−2/neuプローブなどの癌遺伝子発現のための関連した核酸プローブを用いる)、生検、血管新生の評価、および関連する侵襲性関連生物指標(内因性Ln−5、Ln−5の特定の形、Ln−5遺伝子発現レベルまたはパターン、及びLn−5核酸メチル化、癌の進行と関連したLn−5断片/部分(γ2の一部、γ2/β3ヘテロ二量体、およびβ3断片など)、血清sCEAおよびTIMP1の同時測定、等)がある。侵襲性細胞の特徴づけは本分野で周知である。侵襲性細胞の特徴の論議と関連する原理は、例えば、「King RJB (1996) Cancer Biology (Addison Wesley Longman Ltd., Harlow Essex) and Liotta and Stetler-Stevenson (1991) − Cancer Res 51:5054s-5059s」に見出される。
細胞移動のトランスウェルアッセイについての詳細な典型的なプロトコールは、診断ツールを例示するために、本段落に提供され、前記診断ツールは、本明細書に記載されている他のアッセイのように、L5G2BP、関連化合物、および組み合わせ組成物/投与方法の適切性を評価する場合に使用でき、一方で本発明の別の有用な特長も提供する。孔のサイズが12μmのトランスウェルプレートはCostart社(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市)から得られることができる。膜の下側は、約2.5μgのEHSのIV型コラーゲンで、室温(RT)で一晩(o/n)コーティングできる。適切な細胞、例えばHSC−3細胞は細胞培養から回収され、検査用抗γ2DIIImAb(典型的には約25、50、または100μg/mlの検査用抗γ2DIIImAb、正常マウスIgG、非特異的mAb、および/または何もない(コントロール)が、このようなアッセイで用いられる)などの検査分子を加え又は加えずに、適切な時間(例えば、約30分)、適切な温度(典型的には、約37℃)でインキュベートされる。細胞は、次に抗体が存在するチャンバーの上方部分に移されることができ、FCSを添加して又は添加せずに、必要に応じて低濃度(例えば、0.1%)のBSAの存在下で十分な時間(典型的には、約6時間)移動できる。十分な量のFNはチャンバーの下方部分に存在する化学誘引物質として用いられる(例えば、2.5μg/ml)。膜の上側からの細胞は除去することができ、膜を通じて移動した細胞は染色することができ、細胞数が顕微鏡下でフィールドにより計測される(典型的には視野は10フィールドの直径の環状領域へ分割される)。このようなアッセイは、例えばHSC−3細胞を用いて、γ2ペプチドの移動を誘導する効果を示すため用いられてきた。
本発明の方法は多くの癌のタイプの癌の進行を低下させるのに使用でき、本発明の治療プロトコールは、一般には、いずれかの特定のタイプの癌に限定されない。有利なことに、本発明の方法は、例えば前立腺癌細胞、黒色腫細胞(例えば、皮膚の黒色腫細胞、眼の黒色腫細胞、および/またはリンパ節関連黒色腫細胞)、乳癌細胞、大腸癌細胞および肺癌細胞における癌の進行を低下させるのに使用できる。本発明の方法はまた、腫瘍化および非腫瘍化癌(例えば、非腫瘍形成造血癌)の両者における癌の進行を低下させるのにも使用できる。本発明の方法は上皮の癌(例えば、癌腫)の治療において特に有用である。本発明は、さらに又は代替的に、直腸結腸癌、乳癌、肺癌、膣癌、子宮頸部癌、および/または(例えば、頭部および頸部の)扁平上皮癌の治療において有利である。L5G2BP、関連化合物、および関連組成物の治療上の使用のためのさらなる標的の候補として、肉腫およびリンパ腫が挙げられる。有利な標的には、また充実性腫瘍および/または播種性腫瘍(例えば、急性または慢性でありうる骨髄系リンパ系腫瘍)が含まれる。
本発明の方法のさらなる特長には、Ln−5と関連した管状ネットワークの形成の大きさおよび/または数の低下および/またはその予防が含まれる。本発明の別の特長は、ほとんど攻撃性のない新生物性細胞を、血管性表現型を発達させることから防ぐ方法である。このような側面は、このような方法によって癌の侵襲能力(攻撃性)および/または転移能力を低下させる一般的な特長と組み合わされることができる。本発明の組成物の投与による新生物性および/または前新生物性の細胞の移動の低下、細胞分裂の低下、および/または細胞移動の低下は、本明細書に記載されている本発明の方法の適用によって達成できるさらなる生理学的終末点である。
別の典型的な側面において、本発明は、哺乳類宿主(例えば、ヒト患者)における侵襲性新生物性細胞に対する静止状態の割合を増す方法であって、本発明の治療的有効量のL5G2BP(例えば、サイトトキシン抱合型または放射線核種抱合型mAbなどの抗γ2DIIImAb)、関連分子、または関連組成物(例えば、組み合わせ組成物)を投与して、宿主における侵襲性細胞に対する静止状態の割合を増加させることを含む、方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は、哺乳類宿主(例えば、ヒト患者)において癌関連管状ネットワークの形成を予防する方法であって、生理学的有効量のL5G2BP(例えば、治療的有効量の抗γ2DIIImAb)、関連化合物、またはその組み合わせを投与して、癌関連管状ネットワークを発達させる危険性を検出可能に減少させ、癌関連管状ネットワークの開始を延長させ、および/または宿主において形成される、推定される癌関連管状ネットワークの数を減少させることを含む、方法を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、哺乳類宿主(例えば、ヒト患者)における癌細胞の集団の侵襲能力を低下させる方法であって、生理学的有効量のL5G2BP(例えば、治療的有効量の抗γ2DIIImAb、その変異形、そのいずれかの断片、またはそのいずれかの誘導体)、関連化合物、または組み合わせ組成物を投与して、癌細胞の侵襲能力を検出可能に低下させることを含む。
さらに別の側面において、本発明は、哺乳類宿主(例えば、以下のことを要するヒトの患者)において細胞の移動を低下させ、腫瘍の成長を低下させ、新生物性細胞および/または前新生物性細胞の分裂を低下させ、あるいはそれらの任意の組み合わせを低下させる方法であって、本発明の治療的有効量のL5G2BP(例えば、L5G2D3BP)、関連化合物、または組み合わせ組成物を宿主へ投与して、望ましい結果に達することを含む、方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は、ヒト患者などの哺乳類宿主における癌の寛解を促進する方法であって、抗γ2DIIImAbなどの、mAb5D5および/またはmAb6C12と競合する(例えば、約15%以上、約20%以上、約25%以上など、結合を阻害するような、ELISAによって測定した場合に少なくとも約10%のレベルで相対的に阻害する)L5G2BPを含む組成物を宿主へ投与して、前記宿主における癌の寛解を促進することを含む、方法を提供する。特定の側面において、本発明は、ヒト患者における癌の局所的再発を治療するための方法を提供する。別の側面において、本発明は、ヒト患者における癌の遠隔再発(distant recurrence)を治療する方法を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、ヒト癌患者などの哺乳類宿主の新生物性または前新生物性細胞においてMAPキナーゼ活性を修飾するための方法であって、前記細胞をL5G2BP(例えば、治療的有効量の抗γ2DIII抗体)、関連化合物、または組み合わせ組成物を含む生理学的有効量の組成物と接触させて、細胞中のMAPキナーゼ活性を検出可能に調節することを含む(本方法は、インビボ、インビトロ、エキソビボ、等で実施されてもよい)。
さらなる側面において、本発明は、哺乳類宿主(例えば、ヒト患者)中に発癌状態を発達させる危険性を低下させ、発癌状態の発症までの時間を低下させ、初期段階において診断される癌の重度を低下させ、および/またはその発達に関する癌の影響を受ける領域を減少させるための方法であって、予防的有効量の本発明のL5G2BP、関連化合物、または組み合わせ組成物を宿主に投与して、望ましい生理学的効果を達成することを含む、方法を提供する。
別の面において、本発明は、γ2会合ペプチド活性と関連した疾患の治療を要するかまたは疾病、疾患、または病状の実質的な危険にある患者において、γ2会合ペプチドと関連した疾患を治療する方法を提供し、その中でこのような治療は有益である。L5G2BP、関連化合物、および関連組成物の典型的な予防上の適用には、差し迫った癌の重度を低下させること、差し迫った癌の広がりを減らすこと、癌が発達する見込みを下げること、差し迫った癌の効果を低下させること、またはそのいずれかの組み合わせ、等が含まれる。
別段の記載がない限り、又は反対の旨の明示の記載がない限り、「治療」という用語は、何らかの症状若しくは病状が発症するのを防ぎ、又は既に発症したこのような症状または病状を軽減し、緩和し、または根絶(治癒)する目的で、本発明の治療活性のある化合物の有効量を送達することを指す。「治療」という用語は従って予防的処置を含むことを意味する。「治療」と類似した用語(例えば、「治療する」)は、別段の記載がない限り、又は反対の旨の明示の記載がない限り、同様に解釈されるべきである。しかしながら、本発明によって提供される「治療法」および「予防法」は、本発明の個別かつ独立した側面と考えることができる(例えば、このような療法は服用量、服用療法、等の点で異なってもよい)。
別の側面において、本発明は、腫瘍の成長および/または転移を阻害する必要のある個体において、腫瘍の成長および/または転移を抑制するための方法であって、腫瘍をある量の本発明のL5G2BP、関連化合物、または関連組成物(例えば、組み合わせ組成物)と接触させて、腫瘍の成長および/または転移を抑制することを含む、方法を提供する。本発明は、同様に、腫瘍の成長および転移を阻害するための医薬の調製におけるL5G2BPまたはその関連化合物または関連組成物の使用に関する。
ある側面において、本発明は、非新生物性上皮細胞と比べて異常に高レベルのLn−5(例えば、癌に関連するLn−5型)、β3/γ2ヘテロ三量体ペプチド、γ2単量体ペプチド、またはその組み合わせなどの、検出可能な量のLn−5またはLn−5サブユニットを分泌する腫瘍の成長を抑えるために適用される。「ラミニン−5を分泌する腫瘍」というフレーズは、別段の記載がない限り、検出可能な量のLn−5またはその断片を発現する腫瘍を指す(例えば、腫瘍は異常に高い量のLn−5ペプチドまたはサブユニットを生じる)。これらおよび他の側面において、L5G2BP、関連化合物、または関連組成物の送達により治療される対象は、典型的には哺乳類であり、一般的にはヒトである。Ln−5を分泌する腫瘍には癌腫があるがそれには制限されない。Ln−5を分泌する癌腫には、扁平上皮癌(皮膚、下咽頭、子宮頸部及び外陰部の扁平上皮細胞癌を含むがそれには限定されない)、胃癌、結腸腺癌、直腸結腸癌、子宮頸部癌があるがそれには制限されない。本明細書に記載されている本発明の方法によって治療できる他の癌腫には乳管癌が含まれる。本発明は、これらのタイプの癌を治療する方法を提供し、このような症状を治療する医薬の調製のためのL5G2BP、関連化合物、および関連組成物の使用に関する。本明細書に記載されている本発明の方法により治療できる他の一般的な癌には悪性黒色腫が含まれる。
腫瘍の成長を抑制することは、一般的には、検出可能な腫瘍増殖の治療の不存在下および/または実質的に完全な休止の不存在下において生じるであろう腫瘍の増殖の量を低減することを意味し、それには腫瘍の大きさの減少および/または腫瘍の成長速度における低下が含まれる。転移を阻害することは、治療の欠如において生じるであろう腫瘍の転移の量を低下させることを意味し、それには転移の数および/または大きさにおける相対的な低下が含まれる。
別の側面において、本発明は、ヒト患者において、一つ以上のラミニン−5分泌腫瘍、癌細胞/癌細胞集団、前新生物性細胞/細胞集団、または他の上皮細胞の集団の移動を阻害するための方法であって、Ln−5分泌腫瘍または細胞の移動が検出可能に阻害される量及び条件下で、本発明の抗γ2DIIIなどのL5G2BP、関連化合物(例えば、本明細書に記載されているエピトープのうちの一つに対応するγ2免疫原性ペプチドをコード化するDNAワクチン)、または本発明の関連組成物を腫瘍、細胞集団等へまたは腫瘍、細胞集団等に十分に近い領域へ送達することを含む方法を提供する(患者における腫瘍の移動の休止によってまたはL5G2BPの投与後の腫瘍の移動とL5G2BP、関連化合物、または関連組成物で治療されない同様の患者の適切なサイズの集団における癌進行の同様の段階にある腫瘍移動の比較によって決定され、例えば、このような組成物の投与を含む臨床治験を通じて決定され得る。)。
ある側面において、細胞の「移動」は、持続的移動を意味する(つまり、このような側面において、本発明は、癌細胞における持続的な移動を低下する方法を提供する)。別の側面において、本発明は、ヒトなどの哺乳類宿主において新生物性および/または前新生物性細胞の極性形成を、本発明のL5G2D3BP、関連化合物、または関連組成物の送達によって低下させる方法を提供する。
別の側面において、このような方法は腫瘍細胞の侵襲能力移動能力を低下させるのに使用できる。さらに異なる側面において、本発明の方法は腫瘍の最前部の取り囲んでいる組織への成長、広がり若しくは成長および広がり、または腫瘍の予測される成長、広がり、若しくは成長及び広がりを遅延させることによって、抗腫瘍効果を誘発、促進、および/または亢進するための手段を提供できる。腫瘍細胞の成長の阻害は、例えば本明細書に記載されている他の方法および/またはWO89/06692に記載されているような阻害アッセイを用いる任意の適切な基準および技術によって測定できる。
さらなる側面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、」ラミニン−5陽性癌細胞の侵襲能力移動能力を(例えば、本発明の抗γ2DIIImAb単独または一つ以上のさらなる抗癌剤と組み合わせて投与することによって)検出可能に遅らせるためのメカニズムを提供する。本発明の方法は、さらにラミニン−5陽性癌細胞をラミニン−5のγ2鎖に特異的なモノクローナル抗体へ曝露することによって、ラミニン−5陽性癌細胞の侵襲能力および/または移動能力を検出可能に遅延させるためのメカニズムを提供する。本明細書に提供される本発明の方法はさらに、悪性細胞へ侵入するような癌細胞と、癌細胞のすぐ周囲にみられるタイプの仮マトリクスなどの関連マトリクスの間の接触および/または会合を検出可能に崩壊するために適用できる。
本発明は、さらに、ヒト患者、動物モデル、または培養における腫瘍細胞の集団などの哺乳類細胞集団における腫瘍細胞の散乱を低下させるための方法であって、本発明のL5G2BP、関連化合物、または関連組成物(例えば、組み合わせ組成物)を、腫瘍細胞の散乱が検出可能に低下するような条件と量で細胞へ送達することを含む、方法を提供する。さらに、本発明のこの側面および他の側面において、送達という用語は、例えば遺伝子転送ベクターからの発現、直接投与(例えば、溶液中の注射または遺伝子銃による送達)、またはその他の適切な方法を含む任意の適切な技術による送達を意味する。
本発明の別の特長は、萌芽している腫瘍細胞の形成を阻害しおよび/または腫瘍における腫瘍細胞の萌芽を減少させるための方法であって、本発明のL5G2BP、関連化合物、または本発明の関連組成物を、萌芽している腫瘍細胞の形成を検出可能に阻害し、および/または腫瘍を萌芽している腫瘍細胞を一般に減少させるのに適した量と条件下で送達することを含む方法である。例えば、直腸結腸癌における腫瘍細胞の萌芽は、細胞内ラミニン−5の存在と関係付けられてきた(例えば、Sordat, et al., J.Pathol.185、44-52、1998参照)。阻害または低下へ向けられた本発明の他の見解と同様に、このような測定結果は、個体、適切であれば、および/または患者集団に関して(例えば、個体において腫瘍細胞の萌芽の進行が休止したという検出は、本方法の成功した適用の一つの指標となるであろう。)、および/または患者集団のにおいて、個体に関してなされ、本方法の成功した適用は患者(例えば、腫瘍細胞の萌芽と関連した癌腫に罹患する患者)の実質的に同様なプールのコントロール群においてみられる典型的な生物学的現象に対して測定される。
本発明の方法は、また攻撃的な癌細胞によって胚性血管形成の模倣を低下するのにも使用できる。血管形成の模倣は、例えば、「Seftor et al., Cancer Res. 2001 Sep 1;61(17):6322-7」に記載されている。本明細書に提供される本発明の方法は、さらに又は代替的に、新生物性管の形成および/または新生物性管からの細胞の解離を低下するのに使用できる。
本発明のさらなる側面」は、腫瘍の成長および/または広がりを阻害または遅延する必要のある患者へ、抗γ2DIIImAbまたは他の効果的なL5G2BP、関連化合物、または組み合わせ組成物を送達することによって、取り囲んでいる組織への腫瘍細胞の成長および/または広がりを阻害または遅延するための方法を提供することである。
本発明のある側面において、治療的有効量のL5G2BP、関連化合物、および/または関連組成物は、上皮由来腫瘍細胞の移動などの、上皮細胞の移動と関連したγ2ペプチドおよび/またはβ3ペプチドの分解、断片化、および/または切断と関連した細胞または組織へ(例えば、遺伝子発現、遺伝子活性化、またはその組み合わせによって)投与されまたはさもなくば送達される(このようなペプチドは、向遊走性γ2断片、β3断片および/またはγ2/β3ヘテロ二量体ペプチドと称され得る−このような向遊走性(promigratory)のγ2ペプチド断片およびβ3ペプチド断片の記述については、Udayakumar et al., Cancer Res. 2003 May 1;63(9):2292-9; Seftor et al., Mol Cancer Ther. 2002 Nov;1(13):1173-9; Katayama et al., J Mol Histol. 2004 Mar;35(3):277-86; and Giles et al., J Cell Sci. 2001 Aug;114(Pt 16):2967-76を、向遊走性γ2/β3ヘテロ二量体に関しては、Sordat et al., J Pathol. 1998 May;185(1):44-52を参照されたい)。別の側面において、治療的有効量のL5G2BP、関連化合物、および/または組み合わせ組成物は、異常なLn−5産生および/または不完全にプロセッシングされたLn−5ペプチドの検出可能なレベルを付随する細胞または組織へ送達される(例えば、Tunggal et al., Am J Pathol. 2002 Feb;160(2):459-68, and Sordat et al., J Pathol. 1998上記参照)。さらなる側面において、L5G2D3BP、関連化合物、または組み合わせ組成物は、不完全な基底膜構造および/またはヘミデスモソーム構造と関連した組織中の細胞移動を低下させるかおよび/または妨げるのに効果のある量で送達される。さらに別の側面において、本発明は、α3インテグリン鎖産生、α6鎖産生、および/またはβ−4鎖産生の減少を伴う組織へ、有効量のL5G2BP、関連化合物、または組み合わせ組成物を送達することを通じて、細胞移動を低下させるかまたは妨げる方法を提供する。さらなる側面において、本発明は、患者における上皮細胞移動(例えば、上皮由来腫瘍細胞移動)を低下させる方法であって、有効量のL5G2BP、関連化合物、および/または組み合わせ組成物を、Ln−5遺伝子のサイレンシングと関連した組織または細胞へ、例えば突然変異および/または異常なLn−5プロモーターメチル化を通じて送達することを含む、方法を提供する(例えば、このような生理学的事象の記述については、Sathyanarayana et al., Clin Cancer Res. 2003 Jul;9(7):2665-72 and Sathyanarayana et al., Clin Cancer Res. 2003 Dec 15;9(17):6389-94参照)。
別の側面において、本発明は、腫瘍細胞と基底膜の相互作用および/または接着を調節する(例えば、阻害などの妨害)ための方法であって、本発明のL5G2BP、関連化合物、または組み合わせ組成物を、腫瘍細胞−基底膜相互作用および/または接着を低下させるのに有効な量で投与するかさもなくば送達することを含む、方法を提供する。従って、ある側面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、腫瘍細胞/基底膜の接着を低下させるために適用できる。このような接着は、もし決定的でないとしても、上皮癌細胞による非悪性組織の侵襲に重要である。
本明細書に記載されている本発明の方法の別の特長は、異常なγ2鎖ペプチドまたはその断片及び周囲組織または細胞の間の相互作用を妨害するために、このような方法を適用する能力である。
本明細書に提供される本発明の方法のさらに別の特長は、上皮細胞形から紡錘形への癌細胞の表現型の変換を阻害する能力である(例えば、ヒト患者および/または実質的に同様の患者の集団に関してこのような変換の速度を低下させ、変換された細胞総数を減少させる等)。従って、典型的な側面において、本発明は、このような表現型の変化の変換を低下させるための方法であって、有効量のL5G2BPを前癌性上皮細胞へ送達して、このような変換を低下させることを含む、方法を提供する。
本明細書において提供される本発明の方法はまた、癌の治療と関連した生理学的反応を誘導、促進、および/または亢進し、および/またはあまり分化していないと分類される癌細胞における癌の進行の少なくとも一つの様相を低下させる場合にも特に有利でありうる(例えば、このようなあまり分化していない癌細胞を論議する研究の例については、Sordat et al., J. Pathol., 185:44-52 (1998)参照)。
本明細書に提供される本発明の方法はまた、微小転移の(部分的または全体的な)除去に関して、および/またはすでに癌と診断されてはいるが、現在寛解状態にある患者における癌の再発の予防のために特に有利でありうる。再発および/または再発の危険を査定するための方法は、本分野において公知であり(例えば、米国特許6656684参照)、本明細書に記載されている他の癌の診断方法の適用を含むことができる。再発と寛解に関するさらなる側面は、本明細書の他の箇所で論議される。
本発明のL5G2BP、関連化合物、および/または関連組成物の、ヒト患者などの哺乳類宿主への送達も、非癌性上皮細胞を含む上皮細胞の移動を一般に低下させるための方法を提供する(上皮細胞の移動におけるLn−5の役割は、例えば、「Verrando, et al., Lab Invest. 71: 567-74, 1994; Kikkawa, et al., J. Biochem. (Tokyo). 116: 862-9, 1994; Zhang, et al., Exp. Cell. Res. 227: 30922, 1996; O’Toole, et al., Exp. Cell. Res. 233: 330-9, 1997; Tani, et al., Am. J. Pathol. 151: 1289-302, 1997; and Salo, et al., Matrix Biology, in press, 1999)において論議されている。」。Ln−5は、例えば、癌と同様、傷の治癒における上皮細胞の移動と関係している。この理由および他の理由について、この側面の方法は、悪性細胞と非悪性細胞の両者において上皮細胞移動を阻害するようにいずれかを適用できる。従って例えば、ある側面において、本発明は、傷の治癒を調節するための医薬の調製における、または例えば哺乳類宿主における傷の治癒に関して上皮細胞の移動(例えば、ケラチノサイトの移動)を調節する(例えば、低下させる)ことによる傷の治癒活性を(例えば、それを要する患者において)調節する方法のためのL5G2BP、関連化合物、および/または関連組成物の使用に関する。
別の側面において、本明細書に提供される本発明の方法は、細胞分化および/または細胞増殖を調節するための技術として使用できる。上述のように、本発明の方法はまた細胞移動を低下させるのにも使用できる。細胞移動アッセイは、米国特許出願10/695559において記載されている。従って、例えば、本発明は、上皮細胞の移動を遮断するための方法であって、このような細胞へ、γ2DIIIに対する一つ以上の抗体を含む、阻害量の組成物を送達することを含む、方法を提供する。
本発明のさらなる側面は、γ2DIIIに対するモノクローナル抗体などのL5G2BPを、腫瘍に対する検出可能な免疫反応を誘導するのに十分な量と条件で、それを要する患者へ投与することによって、腫瘍に対する免疫反応を促進するための方法を提供することである。免疫反応の誘導は抗体により仲介されるオプソニン作用、補体により仲介される反応、等の誘導、促進、および/または亢進などの任意の適切な結果によって測定できる。
特定の側面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、γ2DIIIと他のLn−5結合分子、またはCys442を含むLn−5鎖の間の相互作用の形成を阻害するためのメカニズムであって、Cys442を含むか、または、Cys442へのアクセスがL5G2D3BPの結合によって効果的に遮断されるように、Cys442がペプチドのγ2DIIIのCys442への結合を妨げ、立体障害を起こすのに十分近いγ2DIIIの一部に特異的な抗γ2DIIImAbなどのL5G2D3BPを投与することを含む、方法を提供する。
さらなる側面において、本発明は、Ln−5へテロ三量体形成を阻害または遮断するための方法であって、ヘテロ三量体形成に欠かせないγ2の領域に特異的および/または選択的であるL5G2BPを投与することを含む、方法を提供する。別の側面において、本発明は、γ2と関連した分子間相互作用のための方法であって、γ2により会合された分子間相互作用が低下するかまたは阻害されるように、γ2の少なくとも一部またはLn−5のγ2により会合された部分(例えば、DIII、またはLn−5の蝶番部分)に結合するL5G2BPを投与することを含む方法を提供する。
別の側面において、本発明は、哺乳類宿主(例えば、ヒト患者)などの脊索動物におけるγ鎖のプロセッシングを低下させるために、切断部位を重複する少なくとも幾つかのLn−5領域を含む領域に対して選択的および/または特異的である抗γ2DIII抗体又はL5G2BPの有効量を投与し、又はその他送達することを含むγ2鎖のプロセッシングを低下するためのメカニズムを提供する。このような治療戦略はまた、γ2ペプチドと関連した癌または前癌の成長と関連した症状を有するヒト患者における癌の進行の一つ以上の相を低下させるのにも使用できる。
別の典型的な側面において、本発明は、癌細胞と基底膜などのマトリクス構造の間の接着を低下させるための方法を提供する。Ln−5の会合した細胞についての細胞接着アッセイは、例えば米国特許出願10/695559に記載されている。さらに、ラミニン−5の接着特性はいくつもの細胞接着研究において示されてきた(例えば、Carter et al., (1991) Cell 65: 599-610; Rousselle et al., (1991) J. Cell Biol. 114: 567:576; Sonnenberg et al., (1991) J. Cell Biol. 113: 907-917; Niessen, et al., (1994) Exp. Cell. Res. 211: 360-367; and Rousselle et al. (1994) J. Cell Biol. 125:205214参照)。従って、典型的な側面において、本発明は、癌細胞とマトリクスの接着を低下させる方法であって、有効量のL5G2BPを哺乳類宿主へ投与またはさもなくば送達してこのような接着を検出可能に低下させることを含む方法を提供する。
ラミニン−5の接着機能は、例えばα3β1インテグリンおよびα6β4インテグリンを通じて仲介されることが示されてきた(例えば、Carter et al. (1991) Cell 65: 599-610; Sonnenberg (1991) J. Cell Biol. 113: 907-917; and Rousselle (1994) J. Cell Biol. 125: 205214)参照)。従って、先行する段落の側面のある一つのバリエーションにおいて、抗γ2DIII抗体などのL5G2BPはこれらのインテグリンに特異的な抗体などの、α3β1インテグリン、α6β4インテグリン、α6β1インテグリン、またはそのいずれかの組み合わせを標的及び結合し、それにより細胞およびECMまたは透明板などの周囲マトリクスのLn−5により仲介される会合を遮断する分子とともに投与できる。
別の同様の側面において、本発明は、ヒト患者などの哺乳類において腫瘍細胞の侵襲性を低下させる方法であって、L5G2BPを哺乳類へ送達し、抗マトリクスメタロプロテアーゼ−2(MMP2)などのMMP2を、腫瘍細胞の侵襲性が低下するようなそれぞれの条件と量で結合する(および望ましくは阻害する)タンパク質を送達することを含む(代用核酸もこのような方法において使用できる)。本発明は、また、有効量のこのような分子の包含によって特徴づけられる組み合わせ組成物も提供する。腫瘍細胞の萌芽と侵襲性におけるLn−5およびMMP−2の役割は、例えば、「Masaki et al., Anticancer Res. 2003 Sep-Oct;23(5b):4113-9」において検討されている。本発明のこの側面および他の適切な組み合わせの側面において、γ2DIIIに特異的な一セットのVH配列およびVL配列、およびMMP−2などの第二分子に特異的な別のセットのVL配列およびVL配列を含む二重特異性抗体は二つの個別の分子の送達に代替例として使用できる(多重特異的抗体のための同様に適切な基礎となり得る同様の組み合わせを含む二重特異性抗体および組み合わせ組成物は本明細書の他の箇所で論議される)。この側面および他の組み合わせ投与方法の側面において、本発明の組み合わせ化合物の単回投与は、個別の送達戦略に代えて採用できる(ここで、例えば抗γ2DIII抗体および抗MMP−2抗体を含む組成物は、宿主へ投与されるべき両抗体を必要とするよりもむしろ、細胞の侵襲性をそのように抑制するよう使用できる)。
別の意味において、本発明は、癌と診断されるヒト患者の関連する期間にわたる生存の見込みを増加させる方法を提供する。例えば、本発明のL5G2BPまたはL5G2BP組成物で治療した後、L5G2BPまたは関連組成物による治療を受けていない患者と比べ、約6ヶ月、約9ヶ月、約1年、約3年、約5年、約7年、約10年、またはそれより長く生存する見込みを増加させる方法を提供する(生存率は、臨床治験においてなど、類似の患者の集団に対する研究によって決定できる。)。
別の側面において、本発明は、癌患者の生活の質を改善するための方法であって、その患者の生活の質を改善するのに効果的な量で本発明の組成物を患者に投与することを含む、方法を提供する。癌治療における患者の生活の質を査定するための方法は本分野において周知である(例えば、Movass and Scott, Hematol Oncol Clin North Am. 2004 Feb;18(1):161-86; Dunn et al., Aust N Z J Public Health. 2003;27(1):41-53; Morton and Izzard, World J Surg. 2003 Jul;27(7):884-9; Okamato et al., Breast Cancer. 2003;10(3):204-13; Conroy et al., Expert Rev Anticancer Ther. 2003 Aug;3(4):493-504; List et al., Cancer Treat Res. 2003;114:331-51; and Shimozuma et al., Breast Cancer. 2002;9(3):196-202参照)。
さらなる側面において、本発明の分子、組成物、および方法は、その有効量を投与した際に、疱疹形成または他のタイプの望ましくない自己免疫反応(例えば、自己免疫疾患症状)を実質的に誘発しないことによって、好ましくは検出可能に誘発しないことによって特徴づけられることができる。
より特定の側面において、侵襲性癌細胞の低下などの本明細書に記載されている方法のいずれか一つは、健常な(非悪性の)基底膜関連組織と比べて成熟したヘミデスモソームを欠いていることによって特徴づけられる組織へL5G2BPを送達することを含む方法によって実施される。この側面および他の側面において、ヒト癌患者などの哺乳類宿主における基底膜のアーキテクチャーを調節するためのメカニズムを提供するために、L5G2BPの送達を考慮することができる(例えば、患者において成熟なヘミデスモソーム含有組織の量を増やす耐ため)。しかしながら、別の側面において、L5G2BPの投与は、ヘミデスモソーム重合体を阻害するためのメカニズムを提供できる。
さらなる側面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、さらに又は代替的に、上皮細胞および上皮由来細胞の分岐する形態形成を妨害するための方法を提供する。さらに別の側面において、このような方法は上皮細胞の極性化を調節するのに使用できる。
本発明の方法は、また、Ln−5と相互作用するインテグリンなどの、(その例は本明細書の他の箇所で論議されている)相互作用分子とのLn−5の相互作用を妨害するための手段としても使用できる(例えば、L5G2BPの投与はLn−5とα6β1インテグリンの相互作用を妨害するために使用できる)。
さらなる側面において、本発明の方法は、ヒト癌患者などの宿主において、ePTFE関連新血管形成/血管新生などの、血管新生および/または新血管形成の速度を低下させるために使用できる。さらに別の側面において、本発明の方法は癌の進行および/または血管新生/新血管形成の経過における正常な基底膜遮蔽構造の喪失を遅延、低下、および/または予防するのに使用できる。
さらなる側面において、本発明は、癌細胞におけるアポトーシスを制御する場合などに、Ln−5関連シグナル伝達経路を調節する方法であって、γ2DIIIがLn−5関連シグナル伝達経路の修飾をもたらす様式でL5G2BPによって結合されるような量と条件下で、L5G2BPを細胞集団へ送達することを含む、方法を提供する。例えば、このような方法は、例えばRACにより仲介される腫瘍細胞の生存率の維持を妨げるために、RACおよび/またはNFκB活性化を修飾するのに使用できる。
さらなる側面において、本明細書で教示される本発明の方法は、ヒト患者において血行性転移および/または腫瘍細胞の抑止(例えば、肺性転移において)を低下するのに使用できる。
さらに別の面において、本発明の様々な方法が、Ln−5関連タンパク質キナーゼC(PKC)、フォスフォイノシチド3−OHキナーゼ(PI3−K)、Akt、および/またはMAPキナーゼ活性/経路を修飾する方法として使用できる。別の面において、本発明は、一つ以上のこれらの経路の阻害剤を含む組み合わせ組成物および方法を提供する。特定の例において、本発明は、少なくとも一つのL5G2BPおよびLY294002および/またはワートマニン(これらの化合物およびそれらの使用は本分野において公知である−例えば、Fukuchi et al., Biochim Biophys Acta. 2000 Apr 17;1496(2-3):207-20; Yu et al., Mol Carcinog. 2004 Oct;41(2):85参照)を含む組み合わせ組成物および方法を提供する。
本発明のL5G2BP、関連分子、および/または関連組成物(例えば、組み合わせ組成物)は、上述の生理学的反応の任意の組み合わせを達成し、上述の治療法および/または治療法のいずれかを促進するために投与できる。従って、例えば、ある側面において、本発明は、とりわけ、上皮由来癌細胞の移動および侵襲を低下させる必要があるヒト患者において、上皮由来癌細胞の移動および侵襲をを低下させる方法であって、上皮由来癌細胞の移動および侵襲は検出可能に低下されるように、ある量のL5G2BP、組み合わせ組成物(このような組成物は何れも、例えばL5G2D3BPおよび他の抗癌性ペプチドをコード化する複数の核酸配列の発現によって送達されてもよい)、L5G2BP関連化合物、またはその組み合わせを送達することを含む方法を提供する。
別の側面において、本発明は、癌の進行の開始の危険性を低下させ、初期化を経た細胞集団におけるさらなる癌の進行の危険性を低下させ、および/またはヒト患者における癌の進行を低下させるための治療法を提供する方法であって、ある量のL5G2BP、関連化合物、または組み合わせ組成物(または組み合わせ投与方法を適用する)を、前新生物性および/または新生物性細胞様レベルおよび/または遺伝子発現のタイプを呈する細胞(erbB2(Her/neu)遺伝子発現の癌関連パターン、p53遺伝子発現、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子発現、PTEN遺伝子発現、rasファミリー遺伝子発現(k−ras、h−ras、m−ras、RAB2、RAP2A、等)、c−MYC遺伝子発現、または以下のうちの一つ以上の発現または癌様発現など、即ち、Exol、ASPP2、C/EBPD、p16(INK4a)CDKN2A、R24P、P81L、V126D、BNIP3、MYH、PTCH、B−ras、A−ras、PPAR(α、γ、及びΔ)、MC1R、TP16p14/ARF、SMAD3、SMAD4、CDK4、p73、p15、AXIN1、raf、CHEK2、SHIP、HFE、p21(CIP1/WAF1)、FAS、TSG101、MEN1、GSTPI、P2X7、BRAF、HPV16型E7、P27サイクリンE、サイクリンD、Rb、P300、Mdm2、Fos、Jun、N−Ras、Ki−Ras、Raf−1、Abl、Bcl−2、Bcl−6、Bax、APC(受託番号M74088)、βカテニン、E−カドヘリン、PI3−キナーゼ、TGFα、TGFβ、TGFβ受容体、Src、Met、Akt、Alk、Grb2、Shc、およびE2F1〜5。)を有すると診断された患者に投与することを含む方法を提供する。特定の典型的な側面において、本発明は、RasおよびMycの癌様上方制御/発現、規則正しいp53遺伝子活性の損失を伴うRasの発現、規則正しいRb活性の損失を伴うRasの発現、規則正しいNFKβ活性の損失に伴うRasの発現、規則正しいAPC活性の損失を伴うRAsの発現、規則正しいArf活性の損失を伴うRasの発現、E7とのRasの発現、等を呈するヒトにおける癌の進行(そのいずれかの相の検出の前か後のいずれかに)を阻害する方法を提供する。
本発明の方法のさらなる利点には、前侵襲性病変または増殖における癌の進行の低下または予防、腫瘍退行を誘導、促進、および/または亢進し、癌腫瘍に対する患者の免疫系の付着を亢進すること、抗癌剤の有効性の亢進、Ln−5の異常な発現および/または前遊走性γ2関連ペプチドの産生により特徴づけられる前新生物性または新生物性疾病の治療、著しい核の非定型性を呈する細胞における癌の進行を低下させること、望ましくない上皮細胞および/または上皮由来細胞の増殖と関連した症状についてヒトを治療することが含まれる。
ある側面において、L5G2BP(または関連化合物代用剤)は、効果的な量で上皮内新生組織形成/病変またはその近傍に投与されるかさもなくば送達されて、例えば扁平上皮内病変において、その中の癌の進行を低下させる。別の側面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、前悪性位相または前侵襲性位相の細胞において癌を治療する方法を提供する。
さらなる側面において、本明細書に記載されている本発明の方法は、例えば、腫瘍の総数および/またはサイズが低下するように、脊椎動物の宿主において癌細胞の数を有意に減少させるために適用できる。このような方法は化学耐性腫瘍、充実性腫瘍、および/または転移した腫瘍を含む、任意の適切なタイプの腫瘍を治療するのに適用できる。関連した意味において、本発明は、ヒト癌患者などの脊椎動物において前新生物性および/または新生物性細胞を死滅させるための方法を提供する。
本発明において提供される本発明の方法は、ヒト癌患者などの脊索動物における転移の数、広がり、および/または発達を低下させるのに使用できる。特定の側面において、本発明は、哺乳類などの脊索動物の宿主、例えばヒト患者の組織において転移の数を減らす方法であって、実質的に同様の宿主において治療していないものと比べ、約1週間以上(例えば、約2、3、4、6、8、10、または12週間、約4、5、6、9、または12ヶ月以上)などの約3日以上にわたり、約40%以上、約50%以上、約60%以上、または約70%以上などの少なくとも約30%以上(例えば、約35〜75%)減少させる。
本発明の別の有利な側面は、有意な数のほとんど分化していないおよび/または未分化の癌細胞(非常に未分化の細胞)の存在によって段階分けされる癌を有する患者における癌の進行の低下である。抱合されたL5G2D3BPなどのL5G2BPは他の方法が効果的ではなかったこのような患者における癌の進行を低下するのに有用であり得る。
別の側面において、本発明は、L5G2BPが、移動している侵襲性癌細胞などの移動している細胞、またはγ2により会合されたタンパク質と関連した他の分子、細胞、および/または組織へ、他の分子を誘導するために使用される、方法を提供する。
あるこのような側面において、L5G2BPは本明細書の他の箇所で記載されているような抱合されたペプチドであり、例えば、前記抱合体は放射線同位体、毒素、アポトーシス性ドメイン/ペプチド、または他の細胞毒性剤および/または抗癌剤を含む。このような方法は、ヒト癌腫の最前部の侵襲をターゲットにする上で特に有用である。
いくつもの免疫抱合体、特に内部移行する抗体および腫瘍選択性リンカーを組み込む免疫抱合体は、臨床前モデルにおける癌細胞に対する印象的な活性を呈し得る。ドキソルビシン、マイタンシン、およびカリケアマイシンはこのような分子の例である。CD33をターゲットにするカリケアマイシン抱合体であるゲムツズマブオゾガミシンは、米国食品医薬品局(FDA)によって最近認可された、急性骨髄性白血病(AML)の治療のための免疫抱合体分子である。このような免疫抱合体は、例えば、「Trail et al., Cancer Immunol Immunother. 2003 May;52(5):328-37 and Payne, Cancer Cell. 2003 Mar;3(3): 207-12」に記載されている。多くの他の抱合体分子は、本明細書の他の箇所において、抱合パートナーおよび/または融合パートナーの分子がγ2またはLn−5の関連部分を適切に結合できる程度まで、L5G2BPに関して抱合パートナーおよび/または融合パートナーも作製できる組み合わせパートナーとして記載されている。
ある側面において、本発明は、緑色蛍光タンパク質(GFP)ドメインまたは放射線核種などのリポーターまたは標識として使用できる分子に抱合され、腫瘍の位置を同定するのに使用されるL5G2BPを組み合わせる。ある典型的な側面において、本発明は、ヒト患者において同定された転移または他の同定された癌細胞集団と関連した腫瘍を同定するための方法であって、このような組成物を投与することと、L5G2BPが集まった位置を同定することと、侵襲性癌腫細胞などの移動する上皮細胞または上皮由来細胞の存在および/またはγ2会合ペプチドの存在を示すことと(例えば、癌細胞または前癌細胞から分泌されるγ2会合ペプチド)を含む、方法を提供する。このような情報を用いて、放射線療法、化学療法、または外科的技術(例えば、生検などの既存の技術、好ましくはレーザー補助手術などの最小に侵襲する技術の標的誘導された適用、または冷凍外科療法などの代替的な外科技術)の適用は、Ln−5またはその断片と会合された癌腫の成長を効率的に低下させ、単離し、または破壊するのに使用できる。このような場面における手術には、一つ以上の腫瘍を除去するための一次手術、二次的な細胞減少手術、および対症二次手術が含まれうる。
別の側面において、L5G2BPは予めターゲットにするプロトコールにおいて使用できる。このようなプロトコールにおいて、一次分子(ここでは一つ以上のL5G2BP)は標的(例えば、γ2会合ペプチド)及び抗L5G2BP抗体抱合体に結合された後、標的の近くにペイロードを送達するのに用いられる。
別の側面において、本発明は、標的誘導療法のために標的細胞にプロドラッグを送達する方法を提供する。多くの治療剤はプロドラッグとして投与される。プロドラッグは、典型的には、その薬理動態学的特性、薬理学的特性、または中毒学的特性のいずれかを改善するよう企図された治療剤の化学的に修飾された形である。プロドラッグは遮蔽された状態で典型的に投与される。典型的には酵素的に促進される化学反応は通常、プロドラッグの活性化に必要とされる。
本発明のある側面において、L5G2BPは、後にまたは同時に患者に投与される外因性酵素によって活性化できる抱合されたプロドラッグを送達するのに用いられる。別の側面において、L5G2BPはその後にまたは同時に送達されるプロドラッグを活性化するために使用できる抱合された酵素を送達するのに用いられる。先行する文において記載されているような、抗体により向けられる酵素プロドラッグ療法(ADEPT)は本分野において公知である(例えば、Bagshawe et al., Br. J. Cancer 58, 700-703, 1988; Senter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 4842-4846, 1988; Niculescu-Duvaz, et al., Adv. Drug Delivery Rev. 26, 151-172, 1997; and International Patent Application WO 93/02703参照)。
抗癌性プロドラッグシステムなどの臨床的に有用なプロドラッグ活性化システムは外因性活性化酵素と組み合わせて遮蔽されたL5G2BP−プロドラッグ抱合体として送達でき、前記遮蔽され抱合されたプロドラッグは前記酵素によって遮蔽が除去され、それにより細胞毒性効果などの薬理学的効果を標的細胞に及ぼすことができる。プロドラッグは、典型的には、外因性酵素によって活性化されるべきではなく、そのように構成される。従って、例えばADEPT療法では、バクテリア酵素を使用し得る。このような酵素の免疫原性に照らせば、「ヒト」または「ヒト化された」触媒性L5G2BP抗体を含むADAPT療法は、治療的用途においてより効果的であり得、および/または負の副作用と関連性がより少ない場合があり得る。
別の側面において、触媒性L5G2BP抗体は、遮蔽されたプロドラッグと関連して投与される。このような触媒性抗体は、典型的には、内因性酵素によって触媒されない反応を触媒するよう選択される。標的細胞(ここではNK細胞および/または、NK標的細胞などの別のSTM関連細胞)に特異的な触媒性抗体(アブザイム)によるプロドラッグの活性化は一般に、抗体により向けられたアブザイムプロドラッグ療法(ADAPT;antibody-directed abzyme prodrug therapy)と呼ばれ、ADAPT方法は触媒性L5G2BP抗体により実行でき、このような抗体は本発明の別の特長である。ある側面において、本発明は、γ2と酵素基質部位の両者に特異的な触媒性抗体L5G2BPを提供する。
遮蔽されたプロドラッグはドキソルビシンおよびカンプトテシン(例えば、Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 96, 6925-6930, 1999参照)、およびフェノール性N−マスタードなどの抗癌剤のプロドラッグバージョンを含むことができる。このようなプロドラッグ関連療法と関連したさらなる方法および原理は例えば米国特許5807688および6268488;Campbell, et al., J. Am. Chem. Soc. 116: 2165-2166 (1994); Wentworth, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 799-803 (1996); and Kakinuma et al., J Immunol Methods. 2002 Nov 1;269(1-2):269-81において提供される。
本明細書にすでに示されたように、L5G2BPは一つ以上の活性剤または治療方法と関連してまたは組み合わせて送達できる。この点において、一般に本明細書に記載されている組み合わせ組成物はいずれも、様々な二次化合物を含む同時送達方法に対する支援を提供するものと理解される。
ある側面において、本発明は、抗癌性化学療法および/または放射線療法の適用と関連して一つ以上のL5G2BPを送達する方法を提供する。このような組み合わせ方法の一つの利点は、腫瘍の成長および/または転移を阻害するのに必要な化学療法および/または放射線照射における低下をL5G2BPの使用が可能にし得ることである。本明細書で用いられるように、「放射線療法」は、腫瘍細胞をターゲットとする放射性標識された化合物の使用を含むがそれには限定されない。化学療法または放射線照射量が低下することは、標準的な化学療法および/または放射線療法による治療に比べ、副作用が少なくなり、減少する結果、患者に有利であり得る(従って、生活の質は高くなり、その場合、このような化合物の服用量は癌治療において減少される)。この側面において、L5G2BP(例えば、抗γ2DIII抗体)は化学療法および/または放射線療法による治療の一回のラウンドの前、同時、または直後に投与されるかまたはさもなくば送達されてもよい。典型的には、抗γ2DIII抗体はこのような方法を実施する上で一巡の化学療法および/または放射線療法の前にまたは同時に投与され、すべてのラウンドであり、又はすべてよりも少ないラウンドであり得る。抗体投与の正確なタイミングは、典型的には、多くの因子に基づいて担当医により決定されるであろう。ある典型的な側面において、抗γ2mAbは化学療法および/または放射線療法の所定のラウンドの約24時間前に、および化学療法および/または放射線療法の所定のラウンドと同時に投与できるかさもなくば送達できる。
本発明の方法は、一つ以上の抗癌性細胞毒性剤/化学治療剤を用いて化学療法と同時に適用のために適切でありえ、このような抗癌性細胞毒性剤または化学治療剤には、シクロホスファミド、タキソール(および、ドセタキセル、パクリタキセルなどの他のタキサン)、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、シスプラチン、メトトレキセート、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、ロイコボリン、カルムスチン、ストレプトゾシン、シトシンアラビノシド、マイトマイシンC、プレドニゾン、ビンデシン、カルバプラチナム、およびビンクリスチンが含まれるが、それらには制限されない。さらなる化学療法剤および細胞毒性剤は本明細書の他の箇所に述べられており、さらなる適切な化学療法剤および細胞毒性剤は本分野において公知である。化学療法において用いられる細胞毒性剤の一般的な論議については、例えば、「Sathe, M. et al., CANCER CHEMOTHERAPEUTIC AGENTS: HANDBOOK OF CLINICAL DATA (1978) and the second edition thereof (Preston−1982), and CANCER CHEMOTHERAPEUTIC AGENTS (Acs Professional Reference Book) (William Foye, Ed. 1995」を参照されたい。
本発明の治療方法の適用も、現行治療法のもとで繰り返されるかまたは多量の化学療法および/または放射線療法を要する患者に特に適しうる。L5G2BPの送達は、単独でまたはこのような薬剤と組み合わせて、実質的に低下した量の化学療法および/または放射線療法を行っている癌患者において少なくとも治療効果のある結果に達するためのメカニズムを提供できる。
一般に、本発明の組み合わせ投与方法は、様々な活性剤の(成分が混合され、又は分離されている、個別の組成物または単一の組成物としての)同時投与または段階投与など、任意の適切な投与スキームを含むことができる。
別の側面において、L5G2BPは、阻害剤、結合する分子、またはLn−5Aを上回ってLn−5Bを特異的に標的とするかまたはその逆であるLn−6および/または抗体(またはその断片)に対する抗体と関連して送達される。Ln−5Bおよび関連タンパク質断片は、例えば「Kariya et al., J Biol Chem. 2004 Jun 4;279(23):24774-84. Epub 2004 Mar 23」に記載されている。本発明は、さらに、細胞移動、侵襲性等を低下させるために、Ln−5のβ3鎖に対する抗体を宿主へ送達することを、さらにまたは代替的に含む方法を提供する。さらなる側面において、本明細書に記載されている本発明の方法はさらに、マトリライシンに対する抗体、CD44に対する抗体、またはその両者の送達を含むことができる。
L5G2BPとの様々な他の組み合わせは、本明細書の他の箇所に(典型的には、組み合わせ組成物に関して)述べられており、本発明の組み合わせ療法において同様に使用でき、逆もまた真である。
L5G2BPを送達する際に採用されるL5G2BPの量または投与量の範囲は、典型的には、腫瘍細胞の成長、腫瘍細胞の侵襲性、および/または転移を効果的に阻害する投薬量の範囲である。このような方法において採用できる抗体の阻害量は例えば、一般に体重1kgあたり約0.05μg〜約10mg、より具体的には約1μg〜約10mg、さらに特には約10μg〜約5mgなどの、体重1kgあたり約0.01μg〜15mgの範囲でありうる。
一般的には、活性成分の一日投与量は、体重1kgあたり約0.01〜100mgでありうる。通常、一日に約1〜6回の分割された投与でまたは徐放性剤形で与えられる一日あたり体重1kgあたり約1〜約5mgまたは約1〜約10mgが望ましい結果を得るのに効果的であり得る。
非限定的な例として、ヒトまたは動物におけるLn−5関連病理の治療はモノクローナル抗体、キメラ抗体、および/またはマウス抗体などの、L5G2BPの一日投与量として、約0.1〜100mg/kg、例えば一日に体重1kgあたり0.5mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、40mg、45mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、または100mgの量で、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、または40日のうちの少なくとも一つに、あるいは、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、18週、19週、または20週のうちの少なくとも一つに、またはそのいずれかの組み合わせで投与し、24時間、12時間、8時間、6時間、4時間、または2時間ごとの単回投与または分割投与を用いるか、またはそれらの任意の組み合わせで提供できる。
投与量に関する他の原理は本明細書の他の箇所で記載されている。
一般に、L5G2BP、関連化合物、および関連組成物は、口腔、粘膜、頬側、鼻内、吸入可能、静脈内、皮下、筋内、非経口、腫瘍間、腫瘍内、または局所の経路など任意の適切な経路を介して投与できる。このようなペプチド、関連化合物、および組成物はまた、ミニポンプまたは他の適切なデバイスを介して連続的に投与されてもよい。抗γ2抗体または他のL5G2BPは既存の医薬的に許容できる担体、アジュバントなど(例えば、本明細書の他の箇所に示されているような安定化剤、崩壊剤、抗酸化剤等)を含有する服用単位剤形において非経口的に投与されてもよい。本明細書で用いられる「非経口」という用語には、皮下、静脈内、動脈内、筋内、胸骨内、腱内、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、注入技術および腹腔内送達が含まれる。最も普遍的には、γ2DIII抗体は本発明の治療法を実施する上で静脈内投与または皮下投与されるであろう。注射の経路には、また筋肉内への注射(筋内IM)、皮下での注射(皮下(s.c.))、静脈への注射(静脈内(IV))、腹腔内への注射(腹腔内(IP))、および皮膚へのまたは皮膚を通じての他の送達(微粒子銃注射を含んでもよい通常複数の注射による皮内送達)が含まれる。
抗γ2抗体または他のL5G2BPは、一般に、抗体によって症状が悪化を停止するか改善するのであれば、疾病状態が存在する期間にわたって投与されるであろう。抗γ2抗体または他のL5G2BPは、典型的には、本明細書の他の箇所で記載されているような医薬的に許容できる組成物の一部として投与される。
抗γ2抗体または他のL5G2BP(または関連代用剤/組成物)も、癌を発症させる危険性を低下し、癌の進行における事象の発生の開始を遅延し、および/または癌が寛解状態にあるときの再発の危険性を低下させるために、予防的に投与されるか、さもなくば送達され得る。このタイプの方法は、他の生物学的要因のために、存在することが明らかとなっている腫瘍の位置を特定することが困難である場合に、患者に特に有用であり得る。
ある側面において、L5G2BP(例えば、細胞毒性L5G2BP抱合体)または関連組成物(例えば、組み合わせ組成物)は、局所還流療法によって投与される(薬剤または組成物は癌によって冒されており、又は冒される危険にある標的器官または領域へ直接送達される)。
療法のため、L5G2BPは、例えば特定の部位での注射によって、例えば皮下的に、腹腔内で、静脈内で、点鼻で、経皮的になど、局所的または非経口的に投与されてもよい。注射のための製剤は任意の適切な賦形剤を含むことができ、典型的には、水、生理的食塩水、PBS、水溶性エタノール、水溶性エチレングリコールなどの生理学的に許容可能な媒体を含むであろう(または実質的にそれから構成されるであろう)。このような製剤中に採用されてもよい水溶性防腐剤には、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、ホウ酸フェニル水銀、パラベン、ベンジルアルコール、およびフェニルエタノールが含まれる。これらの薬剤は約0.001〜約5重量%、好ましくは約0.01〜約2重量%の個々の量で存在し得る。本明細書に記載されているこれらおよび他の剤形において採用されてもよい適切な水溶性緩衝剤には、アルカリまたはアルカリ土類炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸塩などが含まれ、例えばリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および炭酸ナトリウムが含まれる。カルボキシメチルセルロースなどの添加物は約0.01〜約5重量%の量で担体として使用されてもよい。製剤は、その目的、受容体活性を修飾するのに採用される具体的な様式、企図される治療などによって変動できる。前記製剤は、パッチ、カプセル、リポソーム、時間遅延されたコーティング、ピルを含んでもよく、または連続的な投与のためにポンプ中に処方されてもよい。具体的な投与量は、公知の方法に従って経験的に決定されることができる。例えば、「Harrison’s, PRINCIPLES OF INTERNAL MEDICINE, 11th ed. Braunwald et al. ed, McGraw Hill Book Co., New York, 1987」を参照されたい。
別の側面において、二つ以上のL5G2BPがヒト患者などの宿主へ送達され、癌の進行の低下などの有益な生理学的反応を誘導、促進、および/または亢進する。本明細書の他の箇所に記載されているように、ある側面において、本発明は、複数の(例えば、「カクテル」)L5G2BPを含む組成物を提供する。このおよび他の組み合わせ組成物は、本明細書に記載されている様々な本発明の方法において使用でき、本明細書に記載されている疾病、疾患、症状の治療のための医薬を調製するために使用できる。
ある側面において、本明細書に提供される本発明の方法は、ある時間にわたって二つの異なるL5G2BPを投与するかさもなくば送達することを含むことができ、このような異なるL5G2BPの送達は重複し、又は重複しない。例えば、本発明は、一ヶ月間にわたって二つ以上のL5G2BPを送達する方法であって、第一のL5G2BPの連続した使用が患者にとって有害になるかまたは無効になるように、療法の開始が第一のL5G2BPの第一送達から約1〜3週間後(例えば、約10日間)に、または第一のL5G2BPに対する有意な免疫反応が宿主において発症している任意の時点で、第二L5G2BPを開始することを含む方法を提供する。このような方法は本明細書に記載されている本発明の治療法でヒト化抗体を用いるときに特に有利でありうる。
本発明は、また、侵襲性細胞および組織、およびL5G2BPによってターゲットにされる他の細胞の同定および診断のための方法、並びに治療的処置の進行、治療後の状態、癌を発症する危険性、癌の進行などをモニタリングするための方法も提供する。
このような診断分析のある例において、本発明は、組織中の侵襲性細胞のレベルを診断する方法であって、L5G2BPおよびLn−5を含有している可能性がある組織またはその構成要素の間に免疫複合体を形成することと、組織中の侵襲性細胞の存在と相関する免疫複合体の形成を検出することとを含む方法を提供する。このような「接触」は、標識され単離された抗体および標準的な画像化技術を用いてインビボで実行でき、またはインビトロにおいて組織試料に対して実行できる。
L5G2BPは、任意の適切な生物試料(例えば、ヒト患者、細胞培養等から得られる組織試料)または任意の適切な技術による他の組成物においてγ2含有ペプチドおよびペプチド断片を検出するのに使用できる。本発明によって提供される既存の免疫アッセイの例には、L5G2BPを用いるELISA、RIA、FACSアッセイ、プラズモン共鳴アッセイ、クロマトグラフィーアッセイ、組織の免疫組織化学、ウェスタンブロットおよび/または免疫沈降が含まれるが、それらには限定されない。従って、ある側面において、本発明は、組成物中のγ2含有ペプチドを検出/分析する方法であって、前記組成物へ一つ以上のL5G2BPを加え、その後、標識されたまたは検出可能な二次抗体(例えば、抗ヒト抗体抗体または抗γ2Ab抗体)を組成物へ加えて組成物中のいずれかのタンパク質または構造が二次抗体によって結合されているか否かを検出することを含む方法を提供する。別の側面において、検出を容易にする薬剤(蛍光(fluor)、酵素、放射性核種等)と抱合されたL5G2BPは、このような診断アッセイに用いられてもよい。本発明の抗γ2抗体は、ヒトから得られる生物試料またはヒト組織においてインビボでγ2ペプチドおよびγ2含有ペプチドを検出するために使用することができる。このような技術で用いられる抗体および/または二次抗体のための適切な標識は上記に開示されており、様々な酵素、補欠分子群、蛍光材料、発光材料及び放射性材料が含まれる。適切な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ、適切な補欠分子群複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ、適切な蛍光材料の例にはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリンが含まれ、発光材料の例にはルミノールが含まれ、適切な放射性材料の例には、125I、131I、35S、およびHが含まれる。
Ln−5γ2ペプチドも例えば検出可能な物質で標識されたγ2ペプチド標準および標識されていない抗γ2DIII抗体を利用する競合イムノアッセイによって生物試料中でアッセイすることができる。このようなアッセイにおいて、生物試料、標識されたγ2ペプチド標準および抗γ2DIII抗体が組み合わされ、非標識抗体に結合した標識γ2標準の量が決定される。生物試料中のγ2ペプチドの量は、典型的には、抗γ2DIII抗体に結合した標識γ2標準の量に反比例する。
本明細書の他の箇所で簡潔に記載されているように、L5G2BPは腫瘍のインビボ画像化において特に有用である。γ2と関連した腫瘍のインビボ画像化は任意の適切な技術によって実行できる。例えば、99Tcまたは別のγ線を放射する同位体が腫瘍におけるγ2DIII抗体または二次標識された(例えば、FITC標識された)抗体:腫瘍と結合したγ2DIII複合体を標識するために使用でき、典型的には、低エネルギー高解像度のコリメーターまたは低エネルギー全目的型コリメーターを用いて、標識された抗体はγシンチレーションカメラ(例えば、Elscint Apex409ECTデバイス)で画像化される。染色された組織は次に、腫瘍におけるLn−5γ2結合したペプチドの量の指標としての放射活性測定を査定できる。このような技術の使用によって得られた画像は、例えば、上皮細胞の分化または侵襲性癌細胞の存在に対する生体マーカー(例えば、悪性成長に向けての癌の進行に関して)としてのγ2ペプチドまたはγ2含有ペプチドを用いる場合に、患者、哺乳類、または組織におけるγ2結合ペプチドの生物分布を査定するために使用できる。このような技術に関するバリエーションはこのようなγシンチレーションカメラ技術を超える画像化を改善するために磁気共鳴画像法(MRI)を使用することを含むことができる。このような技術を実行する上で有用な同様の免疫シンチグラフィ方法および原理は、例えば、「Srivastava (ed.), RADIOLABELED MONOCLONAL ANTIBODIES FOR IMAGING AND THERAPY (Plenum Press 1988), Chase, “Medical Applications of Radioisotopes,” in REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18th Edition, Gennaro et al. (eds.), pp. 624-652 (Mack Publishing Co., 1990), and Brown, “Clinical Use of Monoclonal Antibodies,” in BIOTECHNOLOGY AND PHARMACY 227-49, Pezzuto et al. (eds.) (Chapman & Hall 1993)」に記載されている(その全体に組み込まれている。)。このような画像も他の抗癌剤の標的誘導された送達に使用でき、その例は本明細書に記載されている(例えば、アポトーシス剤、毒素、またはCHOP化学療法組成物)。さらに、このような画像は、さらに又は代替的に、腫瘍を除去する外科的技術を標的誘導するための基礎として機能する。さらには、このようなインビボ画像化技術によって、患者が腫瘍を有していると同定できるが腫瘍が伝統的な分析技術によって同定できない状況において、腫瘍を同定及び局在化できてもよい。これらの方法はすべて本発明の重要な特長である。
本発明によって提供されるインビボ画像化および他の診断方法はヒト患者(例えば、以前に癌と診断されていない患者、または癌からの回復/寛解期にある患者)における微小転移の検出に特に有用でありうる。すべての癌細胞の約90%を占める場合があり得る癌腫癌細胞は、例えば、抗γ2DIII抗体抱合体組成物で極めて良好に染色されることが示されている。本明細書に記載されている抗γ2DIIImAbおよび他のL5G2BPによる検出は、攻撃性/侵襲性である癌腫の存在の指標となることができ、これに加えて又はこれに代えて、このような微小転移に対する関連する抗γ2mAb、他のL5G2BP、または関連する組成物治療を用いることの実現可能性の指標を提供する。さらに、癌細胞と関連した抗γ2mAbは、このような癌関連組織および細胞を、Ln−5の他の形と関連した正常細胞と識別することが有利に可能となる。
別の側面において、本発明は、インビボ画像化方法であって、抗γ2抗体が検出を促進する放射線不透過剤(radio-opaque agent)に抱合されており、該抱合された抗体は、血流への注射などによって宿主に投与され、該宿主における標識された前記抗体の存在と位置がアッセイされる、方法を提供する。この画像化技術は、とりわけ、Ln−5関連新生物の段階分けと治療において有用でありうる。本明細書で提供されるこの技術および任意の他の診断方法を通じて、本発明は、ヒト患者またはヒト患者から採取した生物試料において疾病関連細胞の存在をスクリーニングする方法を提供する。
診断用画像化のため、放射性同位体はL5G2BPへ直接または間接的に中間官能基を用いることによって結合されてもよい。有用な中間官能基にはエチレンジアミン四酢酸およびジエチレントリアミン五酢酸などのキレート剤が含まれる(例えば、米国特許5057313参照)。放射性同位体が抱合されたL5G2BPを含むこのような診断アッセイでは、患者に送達される抱合したペプチドの投薬量は、典型的には、最小半減期、人体における最小の保持、検出と正確な測定を可能にする同位体の最少量の最善な組み合わせのために同位体を選択することを通じて可能な限り低レベルで維持される。
放射性同位体と放射線不透過剤に加えて、診断方法は磁気共鳴画像法(MRI)のための(ビオチン−ストレプトアビジン複合体によるような)色素、造影剤、蛍光化合物、または分子および増感剤(例えば、常磁性イオン)に抱合されたL5G2BPを用いて実行できる(例えば、MRI技術およびMRI増感剤へ抱合された抗体の調製を記載している米国特許6331175参照)。典型的には、このような診断剤/検出剤は磁気共鳴画像法において使用するための薬剤および蛍光化合物から選択される。抗体成分へ放射性金属または常磁性イオンを負荷するためには、イオンを結合するための複数のキレート基を付着される長い尾部を有する試薬と反応させることは必要かもしれない。このような尾部は、ポリリジン、多糖類、またはポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビスチオセミカルバゾン、ポリオキシム、およびこの目的に有用であることが知られた同様の基などのキレート基を結合できるペンダント基を有する他の誘導体化または誘導体化可能な鎖などのポリマーであり得る。キレートは標準的な化学手法を用いてL5G2BPへ連結できる。通常、キレートは、免疫反応性の喪失が最少であり、凝集および/または内部架橋が最少である分子への結合の形成を可能とする基によって、抗γ2DIIImAbなどのL5G2BPに正常に連結される。キレートを抗体へ抱合するためのより一般的でないその他の方法および試薬は、例えば米国特許4824659に開示されている。有用な可能性がある金属−キレートの組み合わせの例には、2−ベンジル−DTPAとそのモノメチル類縁体およびシクロヘキシル類縁体が含まれ、放射性画像化のために125I、123I、124I、62Cu、64Cu、18F、111In、67Ga、99Tc、94Tc、11C、13N、15Oおよび76BRなどの約60〜約4000keVの一般的なエネルギー範囲で診断用同位体とともに用いられる。これらのおよび同様のキレートは、マンガン、鉄及びガドリニウムなどの非放射性金属と錯体化されると、L5G2BPと組み合わせたMRI診断方法に有用でありうる。NOTA、DOTA、およびTETAなどの大環状キレートは様々な金属および放射性金属、特にそれぞれガリウム、イットリウム、および銅の放射性核種との使用において有用である。このような金属−キレート複合体は、環のサイズを対象金属に適合させることによって非常に安定にすることができる。RAITのための223Raなどの、核種を安定に結合することに関して興味深い大環状ポリエーテルなどの他の環型キレートも診断方法において適切に使用できる。
従って、本発明は、診断用L5G2BP抱合体であって、L5G2BPが造影剤(磁気共鳴画像法用、コンピュータ断層撮影法用、または超音波造影増感剤など)、または、例えばγ放射同位体、β放射同位体、α放射同位体、オージェ電子放射同位体、若しくは陽電子放出同位体でありうる放射性核種へ抱合されている、抱合体を提供する。さらなる有用な抱合されたL5G2BPは、本明細書の他の箇所に述べられており、本発明によって提供される診断方法および組成物(例えば、診断用キット)においても有用でありうる。これらおよび他の診断技術は、本発明の予防法または治療法の適用と組み合わされることができる。例えば、ある側面において、本発明は、癌の進行と関連したγ2会合ぺプチド(例えば、向遊走性γ2断片)を含むと同定された組織を有するヒト患者において癌の進行を低下させる方法を提供する。
本発明の診断方法は、局在化された腫瘍または癌細胞の集団を検出するために、腫瘍細胞の移動および/または侵襲性を阻害するためのL5G2BPの使用と有利に組み合わされることができる。従って、例えば、標識された抗γ2DIIImAbは、このような局在化された細胞を可視化するための手段を提供しながら、癌細胞の移動と侵襲性を阻害するために、患者に投与することができる。その後、抗癌治療剤の焦点を絞った局所送達および/または抗癌性外科技術の適用は、検出された癌細胞を効果的に除去するために、これらの領域に適用できる。このような目的の単位投薬形態で提供される標識された抗γ2抗体のキットは本発明の別の典型的な特長である。
別の側面において、本発明は、癌の進行の診断のためのキットであって、抗γ2DIIImAbなどのL5G2BPと、γ2会合ペプチドへのL5G2BPの結合を検出するための一つ以上の試薬を含む容器を備えたキットを提供する。試薬には、例えば蛍光タグ、酵素タグ、または他の検出可能なタグが含まれ得る。試薬は、二次抗体若しくは三次抗体または酵素反応のための試薬を含むことができ、前記酵素反応は可視化できる生成物を生じる。典型的な側面における本発明は、標識の性質に応じて、適切な容器の中で標識されたまたは標識されていない形態の一つ以上の抗γ2抗体、間接アッセイのためのインキュベーションのための試薬、このようなアッセイで検出するための基質または誘導体化剤を含む診断用キットを提供する。(例えば、本明細書に記載された方法のいずれかにしたがった)使用のための対照試薬および/または説明書も含まれてもよい。
診断用キットは、細胞活性(例えば、上皮細胞の移動、癌腫の侵襲性、等)の検出のため、または組織試料若しくは宿主におけるγ2ペプチドの存在を検出するため、抱合された/標識された抗γ2mAbなどのL5G2BPとの使用のために供給できる。このような診断用キット及び本明細書の他の箇所で記載されている治療上の使用のためのキットでは、L5G2BPは、典型的には、単独で、または標的細胞若しくはペプチドに特異的なさらなる抗体とともに、容器中で、凍結乾燥された形で提供される。典型的には、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、または炭酸緩衝液、安定化剤、防腐剤、殺菌剤、殺菌剤、不活性タンパク質(例えば、血清アルブミンなど)などの医薬的に許容できる担体(例えば、不活性希釈剤)および/またはその構成要素も含まれ(典型的には、混合用の別個の容器中に)、及びさらなる試薬(同じく、典型的には、別個の容器中)も含まれる。あるキットにおいて、典型的には別個の容器中に存在する抗γ2DIII抗体または他のL5G2BPに結合できる二次抗体も含まれる。二次抗体は、典型的には、抗γ2DIII抗体または他のL5G2BPと同様の方法で標識へ抱合され、調剤される。
別の側面において、本発明の診断法の任意の一つは、癌患者の生存の予後の指標として使用できる。癌患者における高レベルのγ2発現は、例えば、腫瘍除去または他の抗癌性手術から18〜60ヶ月の生存率が約50%低下(例えば、約30〜60%上昇)を反映することが見出される。
上述の方法および本明細書の他の箇所に記載されている方法を用いて、L5G2BPは癌細胞/腫瘍細胞のサブセットを定義し、このような細胞および関連組織/増殖を特徴づけるのに使用できる。
別の例では、抗γ2DIII抗体などのL5G2BPはニトロセルロースまたは細胞、細胞粒子若しくは可溶性タンパク質を固定できる他の固相支持体に添加することができる。次に支持体を適切な緩衝液で洗浄した後、検出可能に標識されたγ2ペプチドまたは抗体で処理できる。次いで、結合していないペプチドまたは抗体を除去するために、固相支持体は、緩衝液で二度目の洗浄をすることができる。固相支持体上の結合された標識の量は、公知の方法の工程によって検出できる。
曝露された基質と反応する連結された酵素は、例えば分光光度計、蛍光光度計によって、または可視化手段によって、L5G2BP抱合体および/または融合タンパク質に関して、検出可能な化学的部分を生成するために使用できる。γ2DIII抗体を検出可能に標識するために使用できる酵素にはリンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α−グリセロ燐酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが含まれるが、これらには限定されない。L5G2BPを蛍光化合物で標識することも可能である。蛍光標識された抗体が適切な波長の光に曝露されると、次いで、その存在は蛍光によって検出できる。最も普遍的に用いられる蛍光標識化合物には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド、およびフルオレスカミンが含まれる。
抗γ2抗体も152Eu又は他のランタニド系列などの蛍光放射金属を用いて検出可能に標識できる。これらの金属は、例えばジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレート基を用いて抗γ2DIII抗体に付着できる。
抗γ2DIII抗体などのL5G2BPも化学発光化合物へ連結することによって検出可能に標識できる。次いで、化学発光標識された抗体の存在は、化学反応の経過の間に生じる発光の存在を検出することによって決定される。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、テロマーアクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルである。
同様に、生物発光化合物はL5G2BPを標識するために使用できる。生物発光は触媒性タンパク質が化学発光反応の効率性を増加する生物系でみられる化学発光のタイプである。生物発光性タンパク質の存在は発光を検出することによって決定される。標識の目的のための生物発光化合物には、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンが含まれる。
標識されたペプチドまたは抗体、抗体断片、抗体誘導体、または他の適切なペプチドの検出は、例えば検出可能な標識が放射性γ線照射剤であればシンチレーションカウンタによって、又は、例えば標識が蛍光材料であれば蛍光光度計によって達成できる。酵素標識の場合、検出は酵素のための基質を採用する比色法によって達成できる。検出は、同様に調製される標準物質との比較において、基質の酵素反応の程度を視覚的に比較することによっても達成できる。
これらおよび他の診断用技術はγ2ペプチドまたはγ2含有ペプチドに対する任意の適切な材料をスクリーニングするために使用できる。スクリーニングされ得る材料の例には、例えば、血液、血清、リンパ液、尿、炎症性滲出液、脳脊髄液、羊水、組織抽出液またはホモジネートなどが含まれる。しかしながら、本発明は、これらの試料のみを用いたアッセイに限定されず、当業者が、他の試料の使用を可能にする適切な条件を決定することは可能である。
インシチュでの検出は患者からの組織学的標本を回収し、このような標本へ標識された抗体の組み合わせを提供することによって達成できる。抗体(または抗体断片若しくは他の適切なペプチド)は標識された抗体(または断片)を生物試料へ適用し、または重ね合わせることによって好ましくは提供される。このような操作の使用を通じて、γ2またはγ2含有ペプチド(例えば、γ2/β3ヘテロ二量体)の存在だけでなく、検査される組織中のこのようなペプチドの分布も決定することが可能である(例えば、癌細胞の広がりの評価に関して)。本開示を与えられれば、当業者にとって、幅広い種類の組織学的方法(例えば、染色操作)のいずれかがこのようなインシチュでの検出を達成するために改変できることは自明であろう。
本発明の抗体、断片、または誘導体は、「二箇所(two site)」アッセイまたは「サンドイッチ」アッセイとしても知られる免疫光度アッセイ(immunometric assay)における利用に適応できる。典型的な免疫光度アッセイにおいて、ある量の標識されていない抗体(または抗体の断片)が、検査される流体に不溶性の固相支持体に結合し、ある量の検出可能に標識される可溶性抗体が固相抗体、抗原及び標識された抗体の間に形成される三成分の複合体の検出および/または定量化を可能にするために加えられる。
典型的な免疫光度アッセイには、まず、固相に結合された抗体を検査される試料と接触して、二成分の固相抗体−γ2ペプチド複合体の形成によって試料からγ2抗原を抽出する、「前向き」アッセイが含まれる。適切なインキュベート時間の後、固相支持体を洗浄して、もし存在すれば、反応していないγ2ペプチドを含む流体試料の残渣を除去した後、既知の量の標識された抗体(「リポーター分子」として機能する)を含有する溶液と接触させる。標識された抗体が、標識されていない抗体を通じて固相に結合されたγ2ペプチドと複合体を形成することができる第二のインキュベート期間の後、固相支持体に二度目の洗浄を行い、反応していない標識抗体を除去する。このタイプの前向きのサンドイッチアッセイは、γ2が存在するかどうかを決定するための単純な「イエス/ノー」あっアッセイとすることができ、または標識された抗体の測定結果を既知の量のγペプチドを含有する標準試料について得られる測定結果と比較することによって定量分析できる。このような「二箇所」または「サンドイッチ」アッセイは、Wide(RADIOIMMUNE ASSAY METHOD, Kirkham, ed., Livingstone, Edinburgh, 1970, pp. 199-206)によって記載されている。
他のタイプの「サンドイッチ」アッセイは、γ2ペプチドとともに有用であることができ、いわゆる「同時」かつ「逆の」アッセイである。同時アッセイは、固相支持体に結合された抗体および標識された抗体が両者とも同時に、検査される試料へ加えられる、単一のインキュベート工程を含む。インキュベートが完了した後、固相支持体を洗浄して流体試料の残渣と複合体形成していない標識済みの抗体を除去する。次に、固相支持体と会合した標識済みの抗体の存在が、慣用の「前向き」サンドイッチアッセイの場合と同様に決定される。
「逆」アッセイでは、まず、流体試料へ標識抗体の溶液の段階的に添加し、続いて、適切なインキュベート期間の後に固相支持体に結合された非標識抗体を添加することが利用される。第二のインキュベートの後、固相は、検査される試料の残渣および反応していない標識抗体の溶液を除去するために慣用の様式で洗い流される。次に、固相支持体と会合した標識抗体の測定は、「同時」及び「前向き」アッセイの場合と同様に決定される。ある実施態様において、個別のエピトープに対して特異的な本発明の抗体の組み合わせが感受性の高い三箇所免疫放射線光度アッセイを構築するために使用できる。
対照的に、「二箇所ELISA」または「サンドイッチアッセイ」としても知られる「二重決定因子(double-determinant)」ELISAは少量の抗原を必要とし、このような分析は抗原のかなりの精製を必要としない。このため、二重決定因子ELISAは臨床試料中の抗原を検出するための直接的な競合的ELISAに好ましいかもしれない。例えば、このような技術と関連原理の論議については、「Field et al., Oncogene 4: 1463 (1989) and Spandidos et al., AntiCancer Res. 9: 821(1989)」を参照されたい。
二重決定因子ELISAにおいて、ある量の非標識mAb、抗体断片、または(「捕捉抗体」と称することもできる。)同様のペプチドが固相支持体に結合され、検査試料が捕捉抗体と接触し、ある量の検出可能に標識された可溶性抗体(または抗体断片)を加えて、捕捉抗体、抗原及び標識済み抗体の間に形成される三成分複合体の検出および/または定量を可能にする。二重決定因子ELISAを実行する方法は周知であり、例えば上述のFieldらを参照されたい。また一般に、「IMMUNOLOGICAL METHODS, Vols. I and II, Lefkovits and Pernis, eds., Academic Press, New York, N.Y. (1979 and 1981)」も参照されたい。
本発明の抗体および他のL5G2BPも、Ln−5、γ2またはγ2DIIIを含有するペプチドまたはその断片をクロマトグラフィー、ウェスタンブロッティングなどの適切な技術によって、少なくとも実質的に(例えば、完全に)単離および/または精製するために使用できる。抗体はまた抗原の結合が望まれる他の適切な適用においても使用できる(例えば、FACS分析)。
別の側面において、本発明は、γ2、Ln−5、またはこのようなLn−5会合分子、構造、または細胞を溶液から除去するのに適している、γ2および/またはLn−5、またはLn−5により会合された構造(例えば、タンパク質複合体、タンパク質−小分子(例えば、ヘパリン−Ln−5)複合体)、またはLn−5により会合された細胞を単離するための方法を提供する。アフィニティクロマトグラフィー技術などの様々な方法がこのような精製方法に使用できる。
別の側面において、本発明は、細胞が少なくとも実質的に単離されるような条件下で適切なL5G2BPを含む培地とこのような細胞を含む組織を接触させることによって、γ2DIIIが会合された侵襲性癌細胞などのγ2ペプチド会合細胞の、宿主または宿主組織試料からの単離を亢進するためのメカニズムを提供する。このような方法は、例えば自己ワクチンの開発、癌の進行に関するこのような細胞の特性の診断において有用であり、インビトロ実験のために細胞集団を濃縮するのに有用であり、又はヒト癌患者におけるさらなる腫瘍を確立する前に転移性細胞を除去するための技術として有用でありうる。
抗γ2抗体、抗体断片、関連ペプチド(例えば、抗γ2DIII抗体のVH配列および/またはVL配列または抗γ2DIII抗体から誘導されるVH配列および/またはVL配列を含む融合タンパク質)、およびその関連誘導体および/または変異形は、本明細書に記載されている組成物および方法におけるL5G2BPの好ましい形であるが、別段の記載がなければ、γ2会合ペプチドに結合する他の適切なペプチドもこのような方法および組成物に含まれることができ、このようなγ2結合ペプチド由来の配列およびこのような配列の変異形はL5G2BPの一部を形成できることを理解すべきである。このような本明細書に記載されている本発明の方法および組成物における異種性LG2BPおよびこのような異種性配列を含むペプチドの使用および封入は本発明のさらなる側面を表す。このようなγ2結合ペプチドの例は本分野において公知であり、本明細書の他の箇所に記載されている。このようなペプチドおよびこのようなペプチド由来の配列を含む融合タンパク質の変異形および誘導体、またはこのような配列に機能的及び化学的に類似したものは、本明細書の他の箇所に記載されている技術によって調製できる。
本発明は、さらなる有用な組成物および方法を提供し、その様々な側面は本明細書にすでに提供されているものを超える他の形態の記述に影響を受けやすい場合がある。例えばある側面において、本発明は、ヒト患者において癌または前癌性症状を治療する方法であって、有効量のL5G2BPをヒト患者に送達して、癌または前癌性状態を治療するための工程を含む方法に関する。別の側面において、本発明は、L5G2BPを含む組成物、およびその送達のための手段を提供する。様々な他のさらなる方法が以下に記載されている。
本発明は、さらに、先行する側面のいずれかに記載のまたはその他に本明細書に記載されている化合物の販売および/または使用を促進する方法であって、潜在的な興味の対象となる任意の人または団体(例えば、製薬チェーン店、処方管理会社、保険会社、HMO、病院および病院チェーン、他のヘルスケア会社、薬剤給付管理会社、潜在的な患者、癌患者、以前の癌患者、寛解期にある患者、かかりつけの医師、看護師、薬学博士、および/または鍵となるオピニオンリーダー)へ、先行する側面に記載されまたは本明細書の他の箇所に記載されている任意の症状または症状の組み合わせの予防または治療において化合物の使用に関連した情報を分配する(例えば、手渡しで配布される、郵送される、等の印刷物によって、表記(signage)を広告することによって、テレビ番組および広告によって、ラジオ番組および広告によって、インターネットサイトポスティングによって、電子メールによって、電話による勧誘販売によって、訪問販売市場または対面販売市場によって、会議、パネル、フォーラム等に出資するかおよび/または主催することによって、販売員および/または医療/科学連絡係のサービスを採用しおよび/または契約を締結することによって、このような使用に関する科学研究および刊行物に出資および/または主催することによって)ことを含む方法を提供する。
開示されている前記組成物の構造を同定するために、又は開示される組成物と望ましい方法で相互作用する候補分子若しくは実際の分子(小分子など)を同定するために、本明細書に開示されている本発明の側面によって提供されるLn−5ADRおよびL5G2DBPは分子モデリング技術のためのターゲットとして使用できる。本明細書に開示されている核酸、ペプチド、および関連分子は、一般に、いずれかの分子モデリングプログラムまたはアプローチにおける標的として使用できる。モデリング技術において前記開示された組成物を用いるとき、高分子などの分子は、典型的には、阻害若しくは刺激などの特定の所望の特性または標的分子の機能を有することを同定される。選択した分子を結合する分子を単離する一つの方法は、合理的なデザインを通じてである。このことは構造情報およびコンピュータモデリングを通じて達成される。コンピュータモデリング技術によって、選択された分子の三次元原子構造の可視化およびその分子と相互作用する新たな化合物の合理的デザインが可能になる。三次元構造物は、典型的には、選択された分子のX線結晶分析またはNMR画像化からのデータに依存する。分子の動力学は力場のデータを要する。コンピュータグラフィックスシステムによって、新たな化合物が標的分子へどのように連結するかという推測が可能となり、結合特異性を完全なものとするために前記化合物および標的分子の構造の実験的操作を可能とする。一方または両方にわずかな変化が起こるときの分子−化合物の相互作用がどのようなものであるかを推定するには、分子デザインプログラムとユーザーの間にユーザーフレンドリーなメニュー方式インターフェイスと連結されている分子メカニクスソフトウェアと計算上集約されたコンピュータを必要とする。分子モデリングシステムの例はCHARMm及びQUANTAプログラム(Polygen社、マサチューセッツ州ウォルサム市)である。様々な他のモデリング方法は本明細書の他の箇所に記載されている。関連した方法および原理は、例えば、「Rotivinen, et al., 1988 Acta Pharmaceutica Fennica 97, 159-166; Ripka, New Scientist 54-57 (Jun. 16, 1988); McKinaly and Rossmann, 1989 Annu. Rev. Pharmacol. Toxiciol. 29, 111-122; Perry and Davies, QSAR: QUANTITATIVE STRUCTURE-ACTIVITY RELATIONSHIPS IN DRUG DESIGN pp. 189-193 (Alan R. Liss, Inc. 1989); Lewis and Dean, 1989 Proc. R. Soc. Lond. 236, 125-140 and 141-162」に記載されており、核酸成分についてのモデル酵素に関しては、;「Askew, et al., 1989 J. Am. Chem. Soc. 111, 1082-1090」に記載されている。結合を変化させるであろう化合物のデザインと生成に関して上述されているが、天然生成物または合成化学物質を含む公知の化合物、および基質結合または酵素活性を変化させる化合物(タンパク質を含む。)に対する生物学的に活性な材料のライブラリもスクリーニングできる。
別の側面において本発明は、本明細書に具体的に記載されている少なくとも一つの配列(例えば、ADR配列、CDRの配列、VH領域配列等)、本明細書に提供されている式により含まれる特異的配列、または本明細書に提供されている式のうちの一つと対応する少なくとも一つの文字列を含む配列記録を含むデータベースを含むコンピュータまたはコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。本発明は、また、少なくとも一つのこのような配列記録を含むデータベースを含むコンピュータまたはコンピュータ読み取り可能な媒体を含む統合システムも含み、該統合システムは、典型的には、ユーザーが少なくとも一つの配列記録を選択的に見ることのできるユーザー入力インターフェイスをさらに含む。
また提供されるのは、データベースに保存される複数の配列記録の少なくとも一つに関係する情報を呈示するためにコンピュータシステムを用いる方法であって、その配列記録はこのような配列、式、このような式に含まれる配列から選ばれ、(a)このような配列またはその副配列に対応する少なくとも一つの文字列のリストを決定すること、(b)前記リストの前記少なくとも一つの文字列がユーザーによって選択されることを決定すること、および(c)選択された各文字列を表示すること、または選択された各文字列をさらなる文字列と整列させることを含む方法である。
さらなる側面において、本発明は、γ2におけるADRまたはADR構成要素を同定する方法であって、抗原性アミノ酸残基の候補を同定するために、γ1またはその一部の構造をコンピュータモデリング(例えば、シミュレートされたドッキング調査)に供することと、γ1およびγ2の配列の比較に基づいてγ2中に対応する残基を見つけることを含む方法を提供する。
別の面において、本発明は、本明細書に記載されているADRの一つ以上に結合し、それと関連した機能(例えば、上皮細胞および上皮由来前癌性細胞および/または癌細胞のγ2ペプチド関連移動の阻害)を必要に応じて調節する小分子化合物(分子量が約1000以下であり、典型的には有機化合物として分類できる非ペプチド性化合物)を同定する方法を提供する。このような標的が与えられた小分子化合物を同定するための多くの適切なアッセイが本分野において公知である。競合アッセイは、例えばADRまたはγ2、Ln−5等の他の部分に結合する小分子を同定するために実行できる。このような方法は抗体または他のL5G2BPが特定の機能を有すると同定されたLn−5ADRに結合するときに有利に適用されることができ、ADRの性質、その機能、および/または他の因子はこの領域にまたはこの領域の近くに結合できる小分子がLn−5標的機能を調節でき得ることを示唆する。
小分子結合剤の候補は、典型的には、約100〜2500Daの分子量(例えば、約300〜1500Daなどの約200〜200Da、例えば約500Da)を有する有機分子である。このような結合アッセイのための候補小分子化合物は、典型的には、タンパク質との構造上の相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含み、一般的には、少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含み、しばしばこのような官能性化学基の少なくとも二つを含むであろう。候補小分子はしばしば、一つ以上の上記官能基と置換される環状炭素構造またはヘテロ環式構造および/または芳香族構造または多環芳香族構造を含む。候補小分子化合物は生体分子の中にも見出され、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、これらのうち何れかの誘導体、構造的類縁体、および/またはそれらのうちいずれかの組み合わせが含まれる。候補小分子は、合成化合物または天然化合物(このようなスクリーニングのために商業的に入手可能なものなど)のライブラリなど、幅広い種類のソースから得られることができる。例えば、バクテリア、真菌、植物、および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリは入手可能であるか、又は容易に作製される。さらに、天然のライブラリ及び化合物または合成的に作製される化合物は、慣用の化学的、物理的及び生化学的手段を通じて容易に修飾されてもよい。公知の薬理学的製剤も、構造的類縁体を作製するためのアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)など、誘導されたまたは無作為の化学修飾へ供されることができる。本発明は、Ln−5に結合し、典型的には、Ln−5関連生理学的反応を調節する分子を同定するために、適切な方法(例えば、競合アッセイ、機能的アッセイ(例えば、γ2ペプチド関連細胞移動の阻害)、またはその両者)におけるこれらの特徴のいずれか一つ以上によって特徴づけられる化合物のスクリーニングのための方法を提供する。
開示されている組成物(L5G2BP、γ2ADR、等)は、mAb5D5および/またはmAb6C12によって望ましい様式で結合されたγ2DIIIのADRなど、開示された組成物と相互作用する分子または高分子を同定するコンビナトリアル技術のための標的として使用できる。コンビナトリアル化学とは、一般に、小分子有機ライブラリ又は他のタイプの分子ライブラリに基づいていると否とに関わらず、所望の活性のための分子のセットをスクリーニングすることを指す。コンビナトリアルライブラリを作製し、コンビナトリアルライブラリをスクリーニングして、所望の標的を結合する分子を単離するための技術は当業者に周知である。代表的な技術および方法は、米国特許第5,084,824号、第5,288,514号、第5,449,754号、第5,506,337号、第5,539,083号、第5,545,568号、第5,556,762号、第5,565,324号、第5,565,332号、第5,573,905号、第5,618,825号、第5,619,680号、第5,627,210号、第5,646,285号、第5,663,046号、第5,670,326号、第5,677,195号、第5,683,899号、第5,688,696号、第5,688,997号、第5,698,685号、第5,712,146号、第5,721,099号、第5,723,598号、第5,741,713号、第5,792,431号、第5,807,683号、第5,807,754号、第5,821,130号、第5,831,014号、第5,834,195号、第5,834,318号、第5,834,588号、第5,840,500号、第5,847,150号、第5,856,107号、第5,856,496号、第5,859,190号、第5,864,010号、第5,874,443号、第5,877,214号、第5,880,972号、第5,886,126号、第5,886,127号、第5,891,737号、第5,916,899号、第5,919,955号、第5,925,527号、第5,939,268号、第5,942,387号、第5,945,070号、第5,948,696号、第5,958,702号、第5,958,792号、第5,962,337号、第5,965,719号、第5,972,719号、第5,976,894号、第5,980,704号、第5,985,356号、第5,999,086号、第6,001,579号、第6,004,617号、第6,008,321号、第6,017,768号、第6,025,371号、第6,030,917号、第6,040,193号、第6,045,671号、第6,045,755号、第6,060,596号、および第6,061,636に見出されることができるが、これらには限定されない。コンビナトリアルライブラリは、多くの異なる合成技術を用いて分子の広いアレイから作られることができる。例えば、融合された2,4−ピリミジンジオン(米国特許第6,025,371号)、ジヒドロベンゾピラン(米国特許第6,017,768号および第5,821,130号)、アミドアルコール(米国特許第5,976,894号)、ヒドロキシアミノ酸アミド(米国特許第5,972,719号)、炭水化物(米国特許第5,965,719号)、1,4−ベンゾジアゼピン−2,5−ジオン(米国特許第5,962,337号)、環状化合物(米国特許第5,958,792号)、ビアリールアミノ酸アミド(米国特許第5,948,696号)、チオフェン(米国特許第5,942,387号)、三環式テトラヒドロキノリン(米国特許第5,925,527号)、ベンゾフラン(米国特許第5,919,955号)、イソキノリン(米国特許第5,916,899号)、ヒダントインおよびチオヒダントイン(米国特許第5,859,190号)、インドール(米国特許第5,856,496号)、イミダゾール−ピリド−インドールおよびイミダゾール−ピリド−ベンゾチオフェン(米国特許第5,856,107号)、置換された2−メチレン−2,3−ジヒドロチアゾール(米国特許第5,847,150号)、キノリン(米国特許第5,840,500号)、PNA(米国特許第5,831,014号)、含有タグ(米国特許第5,721,099号)、ポリケチド(米国特許第5,712,146号)、モルフォリノサブユニット(米国特許第5,698,685および第5,506,337号)、スルファミド(米国特許第5,618,825号)、およびベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、またはそれらの組み合わせを含有するライブラリーを作製し、このようなスクリーニング方法に使用できる。
以下の文書:Pyke et al., Am J Pathol. 1994 Oct;145(4):782-91; US Provisional Patent Application 60/523,895; US Patent Application 2004/0014665; Abbas et al., 2000 Cellular and Molecular immunology, W.B. Saunders Co.); Lenander et al., Mol Pathol. 2003 Dec;56(6):342-6; Giannelli et al., Clin Cancer Res. 2003 Sep 1;9(10 Pt 1):3684-91; Lundgren et al., Med Oncol. 2003;20(2):147-56; Masaki, et al., Dig Dis Sci. 2003 Feb;48(2):272-8; Kohlberger et al., Anticancer Res. 2002 Nov-Dec;22(6B):3541-4; Aoki, Dis Colon Rectum. 2002 Nov;45(11):1520-7; Nordstrom et al., Int J Gynecol Cancer. 2002 Jan-Feb;12(1):105-9.; Lenander et al., Anal Cell Pathol. 2001;22(4):201-9; Haas et al., J Histochem Cytochem. 2001 Oct;49(10):1261-8; Yamamoto et al., Clin Cancer Res. 2001 Apr;7(4):896-900; Skyldberg et al., J Natl Cancer Inst. 1999 Nov 3;91(21):1882-7; Henning et al., Histopathology. 1999 Apr;34(4):305-9; Nguyen et al., J. Biol. Chem. 275(41):31896-31907 (2000); US Patents 5,660,982, 6,120,991, and 6,693,169; 米国特許出願20020052334及び20040019004; 欧州特許文書0 278 781;国際特許出願WO 00/26342 及びWO 03/016907; Amano et al., J Immunol Methods. 1999 Apr 22;224(1-2):161-9; and Sordat et al., J Pathol. 1998 May;185(1):44-52は、本明細書に記載されている本発明の方法を実行する上で、および/または本発明の組成物を調製することに関して有用でありうるさらなる組成物、方法、手引きを提供する。
本発明の様々な側面に関する以下の実験例は、本発明をさらに説明するために記載されているものであるが、もちろん、本発明の範囲をいかなる意味においても限定するものと解釈してはならない。
この実施例は、抗γ2 DIIIモノクローナル抗体間の競合アッセイを示す。
以下の組成物は、この実験および本明細書に記載されている他の実験において用いられた。
ABTS−ペルオキシダーゼ基質濃縮物(10倍濃度=1mg/ml)(ABTS=2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)を0.1Mクエン酸ナトリウム(pH5)で希釈し、競合アッセイにおいて使用するために、使用直前に、1〜10mlにクエン酸ナトリウム緩衝液でさらに希釈し、そのさらに希釈した溶液を2μlの30%水素パーオキシダーゼと混合した。
クエン酸緩衝液:0.1Mクエン酸ナトリウム、pH5.0
ELISAプレート:Nunc−Immuno Plate MaxiSorpTM
GST−γ2III融合タンパク質(抗原、ヒトラミニンγ2アミノ酸(「AA」または「a.a.」残基392〜567番目))
PBS:10mM リン酸カリウム、150mM NaCl、pH7.5
PBST:10mM リン酸カリウム、150mMNaCl、pH7.5、0.05%トゥイーン20
AB複合体:ビオチン/アデニンシステム、Elite Standard Kit(カタログ番号PK−1600、Vector Laboratories社、米国カリフォルニア州バーリンゲーム)
ELISAプレートを得て、グルタチオンS転移酵素とγ2DIII断片の融合タンパク質であるGST−γ2III(配列番号22)により、0.25μg/ウェルの濃度でコーティングし、一晩+4℃でインキュベートさせた。その後、ELISAプレートをPBST(3×200μl/ウェル)で洗浄した。ブロッキングはウェルを、1%BSA入りのPBS溶液(200μl/ウェル)と室温で2時間接触させることによって行った。(a)潜在的に競合性のある抗体と(b)ビオチン化した基準/標準抗体の混合物を各ウェルに加えた(ビオチン化された基準/検査mAbの5μgの競合性mAb/ウェル(50μg/ml、100μl/ウェル)および0.05μg/ウェル(0.5μg/ml、100μl/ウェル))(相対的な阻害測定結果について100%の指標を設定するのに使用した対照ウェルの場合を除く。)。プレートを抗体混合物とともに室温で30分間インキュベートした後、200μl/ウェルの濃度のPBSTで3回洗浄した。抗体を室温で30分間複合体形成させ、その後、プレートを再びPBST(3×200μl/ウェル)で洗浄した。その後、ウェルをABTS基質と室温で30分間接触させた後、405nmでの吸光度を測定し、測定結果を用いて相対的な競合阻害を算出した。これらの実験の結果は図4に説明されている。
図4に示されるように、mAb5D5およびmAb6C12は、mAb4G1と有意には競合しない。しかしながら、mAb6C12は5D5と有意に競合でき、これらの抗体がγ2DIII中の、近接して存在する抗原決定配列に特異的であり得ることを示唆した。
この実験は、競合アッセイが抗γ2DIII抗体をADRに関して識別するための簡便で実現可能な方法を提供することを実証する。
この実施例は、γ2DIIIペプチドの結合に関する抗γ2DIII抗体の競合分析のさらなる実例を提供する。
これらのアッセイにおいて例1に記載されているのと同じ緩衝液、試薬、プレートおよび抗γ2DIII抗原が用いられた。
ビオチン化されたmAb4G1に対して、別個にmAb4G1、mAb5D5、およびmAb6C12を用いる競合アッセイ(対照に対する検査抗体はなし)が例1において上述のように述べられたように行われた(競合性mAbは5μg/ウェル、ビオチン化基準mAb4G1は0.05μg/ウェル)。これらの実験の結果は、抗体のないコントロール(100%と設定される)に対する相対的な阻害(%結合)の点において、図5に説明されている。図5に示されるように、mAb4G1は明らかに、mAb5D5およびmAb6C12とは異なるエピトープを認識する。このデータもmAb5D5およびmAb6C12が異なるエピトープを結合し得るという知見を支持する。
この例は、競合アッセイがγ2DIIIの異なる領域に対して特異的なmAb間での相対的阻害を決定するために、どのように使用され得るのかについてさらに示している。
この実施例は、組み換えGST−γ2III鎖断片に対する個々の抗γ2DIII抗体の結合能力を測定するために、一連のこのような断片を用いることによって、直接的なELISAによるγ2DIIIにおける抗原性決定領域のマッピングを示す。
以下の組み換えGST−γ2III鎖断片が直接的なELIAにおいて検査された。
GST−γ2III:免疫化のために用いられるもとの抗原、アミノ酸残基392〜567番目
GST−γ2III−2:アミノ酸残基392〜555番目
GST−γ2III−4:アミノ酸残基392〜494番目
GST−γ2III−7:アミノ酸残基461〜653番目
GST−γ2III−20:アミノ酸残基461〜534番目(実験の第二セットでのみ用いられる)
(すべての「アミノ酸残基」の基準は、Ln−5γ2中の位置に関している。)
以下に説明される段階ごとのプロトコールがELISAに対して用いられ、これはビオチン化されたmAb4G1、mAb5D5、およびmAb6C12(第一実験でコントロールとして用いられるGST、BSA、およびプラスチック、第二実験ではGSTおよびBSAのみ)を用い、およびγ2DIII抗原を個々に用いて実行された(GST−γIII−20は第二実験で検査されるのみであり、非特異的ビオチン化Igは両実験における抗体のためのコントロールとして用いられた。)。以下の段階1を除き、すべてのインキュベートは室温で行われた。別段の記載がない限り、ウェルあたり100μlの試薬をインキュベートのために用い、200μlのPBSTを洗浄のために用いた。さらに、プレートを振とうさせることが、インキュベートに役に立ちうる。
ELISAプレートを、0.1M炭酸/重炭酸緩衝液(pH9)に溶かした1μg/mlの濃度の100μl GST−γ2III鎖断片を用いて、+4℃で一晩コーティングした(100ng/ウェル)。コーティングしたプレートをPBSTで3回洗浄した。非特異的結合をBSA−PBSインキュベートで90分間ブロッキングした(200μl/ウェル)。基準物質、ネガティブコントロール(質のコントロール)及び試料の希釈は、BSA−PBSで希釈し、その後、室温で1時間インキュベートした。プレートを再びPBSTで3回洗浄した。HRPにより抱合された抗マウスIgG二次抗体をウェルへ加え(PBSで1:5000に希釈した)、30分間インキュベートさせた。プレートを再びPBSTで3回洗浄した。ABTS−ペルオキシダーゼ基質を加えた。基質を使用直前に調製した。ABTSストック(10×)をクエン酸緩衝液(例1参照)で希釈し、2μlの30%水素過酸化酵素を各ウェルへ加え、混合した。基質をウェルへ加え、暗所で30分間インキュベートした。吸光度をマイクロタイタープレートリーダーにより405nmで30分後と60分後に読み取った。
第一および第二の実験についての結果は、それぞれ図6および図7に示されている。これらの実験の結果はγ2DIIIを結合することに関して、mAb5D5および6C12と比べmAb4G1が有意に異なる特性を有することをさらに確立するよう機能する。
具体的には、Ln−5の392〜494番目の残基を含むGST−γ2III融合タンパク質の結合をmAb5D5はほとんど示さず、mAb6C12はさらに少ない結合を示したが、Ln−5の392〜555番目および392〜567番目を含む融合タンパク質に対しては結合を呈し、494〜555番目の残基の間の領域がこれらのmAbに対するエピトープまたはエピトープの一部を含むことを示唆した。対照的に、モノクローナル抗体4G1は392〜494番目を含む融合タンパク質に対する有意な結合を示したが、mAb5D5およびmAb6C12の両者により十分結合される461〜653番目および461〜534番目に対する結合を欠いていた。mAb5D5およびmAb6C12の両者は、461〜534番目の融合タンパク質及び、392〜494番目に対してC末端の残基を含む断片を結合した。このことは、これらのmAbが結合するγ2の461〜494番目の残基の領域中に一つ以上のエピトープが存在することを反映している可能性がある。対照的に、mAb4G1は、392〜567番目の残基の領域内に含有されたγ2DIII配列を含む融合タンパク質のすべてに良好に結合した。
抗体をさらに比較するために、もとのγ2DIII融合タンパク質に対する各抗体の結合を100%と設定し、392〜555番目、392〜494番目、461〜653番目、および461〜534番目の配列を含む融合タンパク質に関する各抗体の相対的な結合(%結合)を調べた。この分析の結果は図8に説明されている。これらのデータはmAb5D5およびmAb6C12とは対照的に、mAb4G1の独特の特性をさらに確認する。全てのデータを総合すると、mAb5D5およびmAb6C12が同様の、おそらくは重なっているが、いくぶん異なるエピトープを共有している可能性があることを示唆する。
この実験は、一般に、抗原断片マッピングが抗体に対する抗原性決定領域を同定するために、いかに使用できるかを実証する。同様の技術は本発明にしたがったγ2DIII抗体およびL5G2D3BPを特徴づけ、デザインするために使用できる。
mAb4G1に対するエピトープをより具体的に特徴づけるために、Ln−5の394〜552番目の残基の領域中の予測される抗原性配列に対応する5つの環状ペプチドを構築した(参照番号X252〜X256)。ELISAアッセイへ供される前に、全てのペプチドには、Cys−Cysジスルフィド結合を形成させた。X253を除くすべての場合において、水中での可溶性を確保するために余分のアミノ酸残基が添加され、ペプチドをELISAによって容易にアッセイできた。
これらの配列およびそれらの顕著な特性のいくつかは表9に表されている。
Figure 2007534631
これらのペプチドの同定は質量分析によって確認された。精製されていない状態にある、5つのペプチドを含有する溶液を、個別に、標準的な技術を用いる直接的ELISA分析に供した。簡潔には、NUNC−IMMUNOプレートを、炭酸緩衝液中の50μg/mlペプチドを1ウェルあたり100μlでコーティングし、+4℃で一晩寝かせた。コントロールウェルには、5μg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)、5μg/ml GST−LN5(ヒトラミニン−γ2鎖アミノ酸残基391〜567番目を含有し、米国特許出願20020062307に具体的に記載されているGST−ラミニン−γ2−III融合タンパク質)、またはタンパク質の含まれていない炭酸緩衝液を負荷した。プレートをPBSで5回洗って、結合していないペプチドを除去し、洗浄/ブロッキング緩衝液(0.05%トゥイーン入りのPBS(PBST))に曝露することによって室温で1時間ブロッキングに供した後、それを取り除いた。3つのmAb(4G1、5D5、および6C12)の各々に対する100ngの抗体(1mlあたり1μg抗体の濃度の抗体溶液を含有する100μlの溶液)を検査ウェルに添加した。希釈緩衝液をコントロールウェルへ加えた。プレートを室温で1時間インキュベートした後、PBST中で4回洗浄した。
希釈緩衝液中に1:2000の比で希釈した100μlのHRP抗マウス二次Abを各ウェルへ加え、プレートを室温で1時間インキュベートした後、PBSTで4回洗浄した。プレートを次に100μlのTMB基質で、暗所にて15〜30分間発色させた(その間、プレートは発色についてモニターされた)。適当な時間で、各ウェルに4MのHPOを添加して反応を停止した。吸光度の測定は450nmおおび620nmで行い、吸光度の比を決定し、データを評価した。これらの実験は3回重複して行った。
これらの実験の最初の結果はX252のみがmAb4G1により結合されることを示した(データは非表示)。
mAb4G1、mAb5D5、およびmAb6C12の各々、およびコントロールのウェルについての450nm/620nmの吸光度測定結果の比を取得し、評価した。本実験のこの側面に関する結果は図9に示されている。具体的には、図9は各4G1ウェルおよび各コントロールウェルについての3回の独立した吸光度の比の測定の平均値±SDのグラフを示す。
これらの結果は、アミノ酸残基394〜414番目(「エピトープX252」)に対する4G1抗体の結合を示し、γ2エピトープがこの配列中に若しくはこの配列によって表されること、またはエピトープの有意な寄与部分がこの配列内に含まれていることを示唆する。上述のように、γ2に特異的な2つの他のmAbである6C12および5D5はこのエピトープを認識しない。従って、このデータはmAb5D5およびmAb6C12に関する独特な免疫学的特性をmAb4G1が有していることをさらに示す。
本実験は、Ln−5γ2における抗原決定因子を同定するのに使用できる技術を、抗Ln−5抗体を特徴づけるための手段として一般的に示す。
本実施例は、ペプチド断片がGST−γIIIへのmAb4G1、5D5、および6C12の結合を阻害できるかどうかを測定する競合性ELISAにおける、γ2DIIIの多くの領域を表すペプチド断片の使用を示す。
GSTγIII(100μl/ウェル)をPBSで希釈して5μg/mlの濃度にして、NUNC−IMMUNOプレート上で+4℃で一晩固定した。PBSで5回洗浄することによって、結合していないタンパク質を除去した。プレートを0.05%トゥイーン20入りのPBS(PBST)で、室温で1時間ブロックした。50ngの各抗Ln−5抗体(50μl、1μg/ml)を同時に個々のウェルに添加し、50μlの検査用γ2ペプチドと混合した。ペプチドの量は漸増的であり(0〜1〜3〜5〜7〜10〜20〜30〜50μg)、総量は100μlであった。プレートをその後室温で1時間インキュベートした。結合していないタンパク質をPBSTで洗い流した(5回繰り返した)。
標準希釈緩衝液中のHRP抱合抗マウス抗体(1:2000)を各ウェルに添加し、1時間インキュベートした。プレートをPBSTで4回洗浄した。検出は色素生産性TMB基質を用いて暗所において15〜30分間行った(発色はこの間監視された)。適当な終点で各ウェルに4MのHPOを添加することによって反応を停止した。吸光度の読み取りは450nmおよび620nmで行い、吸光度の比を算出し、評価した。
これらの実験によって得られた吸光度測定結果は、完全長のGST−γ2III(100%)に対する抗体の結合と比べたときの相対パーセントとして図10に説明されている(γ2ペプチドの濃度が0〜50μgの範囲で上昇することが三角形で示されている)。図10に示されるように、これらの実験によって得られたデータは5D5および6C12の両者が複合体構造のエピトープを認識することを示す。3つのペプチドはすべてGST−LN5γIIIに対する抗体の結合をある程度まで阻害できる。しかしながら、エピトープは5D5抗体および6C12抗体について若干異なり、γ2の518〜537番目の残基に対応するペプチドが5D5の結合を妨げないのに対して、このペプチドが6C12の結合を阻害する。
これらの実験の結果はγ2DIIIに存在する高次構造上のエピトープが、mAb5D5および/またはmAb6C12と同様の抗原決定因子結合特性を有するLn−5γ2結合タンパク質によって結合できることを示す。さらに、このデータはまた、これら3つのmAbによって同定されるエピトープの異なる性質を確認するのに役立つ。さらに、このデータは抗γ2抗体が関連する範囲の量(約5〜50μg)にわたる用量依存的反応を呈することを示す。最後に、これらの実験はLn−5γ2結合ペプチドに対して抗原決定領域を突き止めるために、競合分析をどのように使用できるかについて実証する役割を果たす。
本実施例は、抗γ2DIIImAbの可変軽鎖領域および重鎖領域をコード化するcDNAのクローニングおよび、配列分析による、その中のCDRの決定を示す。
既知の可変配列を有さずに可変領域をクローニングするため、5’−RACE(cDNA端の迅速な増幅)(BD Clontech)をγ2IgcDNAに適用した後、標準的なポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅を行った。予めデザインされたオリゴヌクレオチド(SMARTII)によって伸長された5’cDNA尾部を、ATGまたは翻訳シグナルの開始を越えた5’端の逆転写に供し、これは、この伸長された5’端にアニーリングされるであろうPCRプライマーのためのテンプレートとして機能した。免疫グロブリンの定常領域内にある領域にアニーリングするよう、3’プライマーをデザインした。従って、5’プライマーと3’プライマーを用いるPCRは可変領域を包含し、定常領域の一部と見なされるいくつかの配列を含むcDNAの増幅をもたらすはずである。この方法は抗ラミニン5γ2抗体の軽鎖および重鎖の可変領域をコード化するcDNAをクローニングするのに用いられた。
RNAの単離
ハイブリドーマ細胞系5D5、4G1、6C12を約4×10個の細胞を含んでいる細胞ペレットとして得た。細胞をPBS中に再懸濁し、RNeasyキットを製造者(Qiagen)の説明書に従って用いて総RNAを精製した。
逆転写
ファーストストランドcDNA合成を、各試料のRNA1μgおよびBD SMART Race cDNA増幅キット(BC Clontech)を用いて達成し、5’RACE−ready cDNAを得た。PCRを用いるIgGの軽鎖(VL)および重鎖(VH)の可変領域をコード化するcDNAを増幅するため、各細胞クローン由来の2.5μlの5’RACE−ready cDNAを、汎用プライマーの混合物UPMおよび軽鎖cDNA特異的プライマーか、汎用プライマーの混合物UPMおよび重鎖cDNA特異的プライマーのいずれかと、キットのプロトコール(BD Clontech)に従って混合した。使用される軽鎖特異的プライマーはKK47(配列は後述)であり、重鎖特異的プライマーは4つの異なるプライマーKK43、KK44、KK45およびKK46(配列は後述)の混合物からなった。PCR実行条件は以下のとおりであった。即ち、95℃での2分間の変性(開始サイクル)、その後94℃での5秒間の変性および72℃での3分間のアニーリング伸長を5サイクル、その後94℃での5秒間の変性、70℃での10秒間のアニーリング、および72℃での3分間の伸長を5サイクル、最後に94℃での5秒間の変性、68℃での10秒間のアニーリング、および72℃での1分間の伸長を28サイクル行った。試料(5μl)を次に1×TAE緩衝液中の0.8%のアガロースゲル上で泳動し、断片の増幅を観察した。増幅された断片の期待されるサイズは軽鎖については800〜900塩基対内、重鎖については500〜600塩基対である。一度DNA増幅が検出されると、QIAquick PCR増幅キット(Qiagen)を用いて断片を精製した。
プライマー
KK43:5’ACTAGTTTTGGCTGAGGAGACGGTGACCGTGG3’(配列番号53)
KK44:5’ACTAGTTTTGGCTGAGGAGACTGTGAGAGTGG3’(配列番号54)
KK45:5’ACTAGTTTTGGCTGCAGAGACAGTGACCAGAG3’(配列番号55)
KK46:5’ACTAGTTTTGGCTGAGGAGACGGTGACTGAGG3’(配列番号56)
KK47:5’TCATCAACACTCATTCCTGTTGAAGCTCTTGA3’(配列番号57)
ライゲーション及びコンピテント細胞への形質変換
QIAquick精製カラムから溶出した材料を、TOPO TA クローニングキット(Invitrogen)を用いて、ライゲーション反応中で、バクテリア発現ベクターpCR2.1−TOPOとともに直接使用した。2μlのTOPOクローニング反応を用いて、製造者(Invitrogen)の説明書に従って、化学的にコンピテントなTOP10大腸菌細胞を形質変換した。細胞を、100μg/mlアンピシリン(セレクション用)および80μlのX−Gal(ストック溶液20mg/ml)を含有するLBプレート上に播種する。クローニングされた断片を含有するpCR2.1−TOPOプラスミドで形質変換された細胞は白色コロニーとして現れると予想されるのに対して、クローニングされた断片を持たない細胞は青色コロニーとして現れるであろう。断片がうまくクローニングされていることを確認するため、コロニーPCRプロトコールを行った。
コロニーPCR
候補のプラスミドを含有する白色バクテリアコロニーをプレートから滅菌接種ループを用いて一つずつ回収し、アンピシリンを含む新しいバックアップLBプレート上に接種し、総反応容積25μlで、2μlの10μMプライマーM13正反応方向(後述参照)、2μlの10μMプライマーM13逆反応方向(後述参照)、1μlの5mMdNTPミックス、2.5μlの10×Thermo Pol緩衝液、および0.5μlのTaqポリメラーゼ(New England Biolabs)を含有する0.2mlPCRチューブに入れた。PCR実行条件は以下のとおりであった。即ち、94℃、2分間の開始変性段階、その後の94℃での30秒間の変性、55℃での30秒間のアニーリング、および72℃での1分間の伸長を25周期行い、最後に72℃での3分間の伸長段階を経た。試料(5μl)を1×TAE緩衝液中での0.8%アガロースゲル上で泳動し、断片が増幅されているかどうかを観察した。一度候補断片が期待されるおおよそのサイズ、つまりVL(可変軽鎖)鎖について約1000塩基対、VH(可変重鎖)鎖について約800塩基対を示したら、次いで、プラスミドミニプレップのために、バックアッププレートからのバクテリアの試料を使用した。
プライマー
M13正方向:5’GTAAAACGACGGCCAG3’(配列番号58)
M13逆方向:5‘CAGGAAACAGCTATGAC3’(配列番号59)
プラスミドミニプレップ
選択されたバクテリアを、100μg/mlカルベンシリンを含有する5mlのTY2培地を含有する培養チューブ中に接種し、37℃で一晩培養した。プラスミド単離操作は、Qiaprep Spin Miniprepキット(Qiagen)を用いて行った。かなり精製されたプラスミド調製物が得られ、濃度を決定した。
配列決定およびコンピュータアッセイ
DNA配列決定は商用サービス供給業者(Agowa)により行われ、得られた配列はInformaxからのベクターNTIスイート9ソフトウェア(Invitrogen)を用いて分析された。免疫グロブリンの軽鎖または重鎖のいずれかの推定アミノ酸配列をコード化する開いた読み枠が選択され、IgG1免疫グロブリンの軽鎖および重鎖由来のすでに公知の定常領域とともに重合された。図15を参照。5D5、4G1、および6C12の抗体の一次構造は、次に、抗体−抗原インターフェイスを分析し、全抗体−抗原複合体の構造を予測するために、タンパク質モデリング研究に使用された。
抗体のクローニングは個々の抗体の特異性を決定するCDR領域を明らかにする。CDR領域は、例えばアラインメントのためのKabatスキーム(例えば、http:://sapc34.rdg.ac.uk/abeng/およびhttp:://www.biochem.ucl.ac.uk/~martin/abs/Generalinfo.htm参照)などに従い、様々な方法で整列できる。この分析を通じて同定されたCDR配列は、図11および図12に提供される。(AbM標準などの)CDRアラインメントのためのこれに代わる規則は、http://www.bioinf.org.uk/abs/に提供されている。このセットの規則を用いて、異なる代替的なセットのCDR−H1配列が同定された。これらの配列は図18に表されている。CDR配列と関連した特性のいくつかのみに合致し、これらの規則に反映されるCDR配列が同定され得ることは注目されるべきである(実際、本明細書中で具体的に同定されるmAbのCDR配列のいくつかはこれらの規則によって提供される古典的な定義の枠外に存在するが、このような規則に反映される多くの特徴の存在によって同定された)。
本実施例は、抗γ2DIII抗体中のCDR配列を同定するために適用できる技術を示す。これらの技術の変形は例えば、他の抗γ2DIII抗体についての同様の情報を決定するために適用できる。
商業上入手可能なヒトラミニンγ2抗体(GB3についてはNovus Biologicals社から、D4B5についてはChemiconから入手)も、上述のようにGST−γ2IIIに結合する4G1、5D5、または6C12用いた競合ELISAアッセイで検査された。このようなアッセイを通じて、上述の完全長GST−γ2DIII融合タンパク質へのmAb4G1、5D5、または6C12の結合に、mAbGB3もmAbD4B5も効果をもたないことが決定された(例1参照)。しかしながら、GB3およびD4B5は、たとえそうだとしても、ELISAプレートをコーティングするのに用いられたGST−γ2−III融合タンパク質に適切に結合しないように見える。これらの抗体はELISAにおいて十分作用しない(製造者はELISAについての情報も説明も与えていなかった)か、またはそれらは本発明の融合タンパク質を単に結合しないという場合であるのかもしれない。それゆえ、これらのmAbの特異性および/または選択性について決定を下すことは困難である。しかしながら、これらのmAbがγ2DIIIのこの部分を結合することに関して、mAb4G1、mAb5D5、および/またはmAb6C12と競合しないということは言える。
以下の実験は腫瘍細胞株の試料におけるγ2の発現を評価するために行われた。
サブコンフルエントのB16F10黒色腫細胞、W4T1乳癌細胞、およびルイス肺癌細胞を回収、洗浄し、PBS中に再懸濁した。腫瘍細胞系を96穴マイクロタイタープレートに3回重複して播き、37℃でキャップをはずして乾燥インキュベーターの中に置いた。 24時間後、インキュベートの結果、細胞溶解と、プレートのウェルに対する細胞内タンパク質の吸着が生じた。プレートをPBSで洗い、(非特異的結合をブロックするために)1%BSA入りのPBS溶液でブロックした。ブロッキングの後、ウェルを再び洗浄した。
モノクローナル抗体5D5(1%BSA入りのPBS溶液中に1.0μgml)を総容積100μlのウェルへ加えた。適当な時間の後、プレートを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識された二次抗体とともにインキュベートした。対照実験において、mAb5D5はBSAコーティングされたウェルに結合させた。光学密度測定結果を正常の乾燥したELISA手法に従って490nmで行った。ELISAデータは二次抗体の非特異的結合について補正された。
乾燥ELISAの結果は図16に説明されており、mAb5D5がこれらの癌細胞において発現されるタンパク質と反応することを示唆する。従って、これらの結果はまた、これらの腫瘍細胞が本発明によって提供される抗体により結合されるγ2ペプチドを生じることも示唆する。
この実験はニワトリ胚転移アッセイにおける抗γ2DIIImAbの抗転移性効果を査定するために行われた。
12日齢のニワトリ胚を得、胚1個あたり100μgの抗体の濃度でmAb5D5、mAb6C12、または非特異的コントロール抗体の存在下または非存在下で、約350000個のB16F10系黒色腫細胞を各々注射した。本実験は1つの条件に付き5〜10個の胚を用いて行われた。胚を合計7日間インキュベートした後、屠殺してアッセイのために肺を摘出した。
これらの実験の結果は図17に表されている。B16F10系黒色腫細胞はニワトリ胚の肺に簡単に転移した。mAb5D5およびmAb6C12の両者は、コントロールと比べて約70%までB16F10系細胞の転移の有力な阻害を示した。
本実験の結果はmAb5D5およびmAb6C12の両者がインビボにおいて脊索動物細胞における転移を阻害できることを示唆する。
本実施例は、γ2DIIIペプチドに対する抗γ2DIIImAbの高い親和性、およびこのような親和性を他の抗体において決定するための方法を示す。
GST−γ2DIII融合タンパク質(上述参照)を標準的な技術に従ってRAMFc BIAcoreチップへ固定し、表面プラズモン共鳴親和性アッセイにおいてmAb4G1、mAb5D5、およびmAb6C12を含有する組成物と個別に相互作用させ(濃度はそれぞれHBS−EP緩衝液(1分間あたりの流速20μl)において3.4mg/ml、2.0mg/ml、および2.0mg/ml)、抗原に対する親和性を決定した。(2000nM、500nM、200nM、50nm、および20nMでの)これらのアッセイから得られる結果として生じる反射/屈折率データは図19A〜19Cにそれぞれ表される。標準的な技術によるこれらの測定結果から算出される抗体親和性データは表10に表される。
Figure 2007534631
この実験の結果はmAb4G1、mAb5D5、およびmAb6C12がγ2DIIIペプチドに対する有意なレベルの親和性を有することを示す。同様の特性を有する抗体および他のL5G2D3BPはγ2DIIIに対する同様のレベルの親和性を呈すると期待される。
本発明によって提供されるヒト化抗体、完全なヒト抗体、変異形抗体、並びにその断片、そのいずれかの誘導体、および他のL5G2D3BPは、必ずしもγ2に対して類似の親和性でなければ(例えば、+/−約10%、15%、20%、25%など)、又はγ2に対してずっと大きな親和性(例えば、約10−9または約10−10、等)でなければ、γ2DIIIの類似部分に対して実質的に類似の親和性(このような親和性の約60〜99%などの、このような親和性の少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%等)を呈すると期待される。このような親和性は、本発明によって提供される抗γ2DIII抗体および他のL5G2D3BPのいくつかの別の特質である。
本明細書に引用される出版物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個別的且つ具体的に参照により組み込まれる旨の表記が為されており、その内容全体が記載されている場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
「一つの(a)」および「一つの(an)」および「前記(the)」という用語の使用および本発明を記述する際の同様の指示語は、本明細書に別段の記載がなければ、又は文脈に明示に反対の記述がなければ、単複両者を含むものと解釈しなければならない。
要素に関する「を含む」、「を有する」、「を含む」、または「を含有する」などの用語を用いる本発明の任意の側面または実施態様に関する本明細書の記述は、本明細書に別段の記載がなければ、又は文脈に明示に反対の記述がなければ、特定の要素「からなる」、「から実質的になる」、または「を実質的に含む」という、本発明の類似の側面または実施態様についての支持を提供するものとする(例えば、特定の要素を含むとして本明細書に記載されている組成物は、本明細書に別段の記載がなければ、又は文脈に明示に反対の記述がなければ、その要素からなる組成物についても記載しているものと理解されるべきである。)。
<本発明の例示的側面および特徴>
本発明をより良く例示するために、本発明の例示的側面および特徴の非制限的リストをここに提示する。
1.ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合について、mAb 5D5と競合するペプチド。
2.側面1に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基約518〜残基約537に亘るLn-5の領域への結合について、mAb 5D5と競合するペプチド。
3.ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
4.側面3に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基約495〜約555に亘るLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
5.側面4に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基約500〜約548に亘るLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
6.側面5に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基約508〜約543に亘るLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
7.側面6に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基約516〜約533に亘るLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
8.側面3に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、実質的に配列番号1の残基494〜516からなるLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
9.側面3に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、実質的に配列番号1の残基539〜552からなるLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
10.側面3に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、実質的に配列番号1の残基494〜516からなるLn-5の領域への結合、および実質的に配列番号1の残基539〜552からなるLn-5の領域への結合について、mAb 6C12と競合するペプチド。
11.側面8〜10の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、実質的に配列番号1の残基518〜537からなるLn-5の領域について、mAb 6C12と競合しないペプチド。
12.ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合について、mAb 6C12およびmAb 5D5の両方と交差競合するペプチド。
13.ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合について、mAb 4G1と競合するペプチド。
14.側面1〜13の何れかに記載のペプチドであって、前記競合が、実施例の節に記載したELISAを使用することにより決定されるペプチド。
15.Ln-5γ2エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、mAb 6C12によっても特異的に結合されるペプチド。
16.Ln-5γ2エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、mAb 5D5によっても特異的に結合されるペプチド。
17.Ln-5γ2エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、mAb 4G1によっても特異的に結合されるペプチド。
18.4G1、5D5、および6C12から選択される1以上のmAbsの、実質的に同じ特異的結合特性を有するペプチド、
19.配列番号1の残基約380〜残基約400の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
20.側面19に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基385〜残基400の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的であるペプチド。
21.側面19に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、配列番号1の残基380〜残基399の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的であるペプチド。
22.配列番号1の残基約440〜残基約465の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
23.配列番号1の残基約420〜残基約460の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
24.配列番号1の残基約494〜残基約515の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
25.配列番号1の残基約517〜残基約572の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
26.配列番号1の残基約520〜残基約550の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
27.配列番号1の残基約535〜残基約560の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
28.配列番号1の残基約539〜残基約552の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
29.配列番号1の残基約540〜残基約550の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
30.配列番号1の残基約560〜残基約580の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
31.配列番号1の残基約560〜残基約590の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
32.配列番号1の残基約573〜残基約602の領域内に位置するγ2の領域に対して選択的なペプチド。
33.配列番号1の残基約494〜残基約534に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
34.配列番号1の残基約495〜残基約530に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
35.配列番号1の残基約495〜残基約545に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
36.配列番号1の残基約495〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
37.配列番号1の残基約495〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
38.配列番号1の残基約495〜残基約590に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
39.配列番号1の残基約500〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
40.配列番号1の残基約510〜残基約520に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
41.配列番号1の残基約510〜残基約535に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
42.配列番号1の残基約510〜残基約545に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
43.配列番号1の残基約525〜残基約535に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
44.配列番号1の残基約525〜残基約545に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
45.配列番号1の残基約535〜残基約545に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
46.配列番号1の残基約500〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
47.配列番号1の残基約520〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
48.配列番号1のTyr500を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して、特異的に結合するペプチド。
49.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープが、Ln-5γ2のTyr500、およびTyr500の約15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
50.配列番号1のHis508を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して、特異的に結合するペプチド。
51.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープが、Ln-5γ2のHis508、およびその約15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
52.側面50または側面51に記載のペプチドであって、前記コンホメーション依存性エピトープが配列番号1のGlu 507を含んでなるペプチド。
53.側面50〜52の何れか1項に記載のペプチドであって、前記コンホメーション依存性エピトープが配列番号1のLeu 534を含んでなるペプチド。
54.配列番号1のPro516を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して、特異的に結合するペプチド。
55.配列番号1のSer526を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して、特異的に結合するペプチド。
56.側面55に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のAla 527を含んでなるペプチド。
57.配列番号1のArg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して、特異的に結合するペプチド。
58.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のArg533、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
59.配列番号1のTyr500およびHis508を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して、特異的に結合するペプチド。
60.側面59に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
61.側面59または側面60のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
62.側面59〜側面61の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のPro516を含んでなるペプチド。
63.配列番号1のTyr500およびPro516を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
64.側面63に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
65.側面63または側面64のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
66.側面63〜側面65の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis508を含んでなるペプチド。
67.配列番号1のTyr500およびSer526を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
68.側面67に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
69.側面67または側面68のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis508を含んでなるペプチド。
70.側面67〜側面69の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のPro516を含んでなるペプチド。
71.配列番号1のTyr500およびArg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
72.側面71に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis508を含んでなるペプチド。
73.側面71または側面72のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
74.側面71〜側面73の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のPro516を含んでなるペプチド。
75.配列番号1のHis508およびPro516を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
76.側面75に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のTyr500を含んでなるペプチド。
77.側面75または側面76のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
78.側面75〜側面77の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
79.配列番号1のHis508およびSer526を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
80.側面79に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のTyr500を含んでなるペプチド。
81.側面79または側面80のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のPro516を含んでなるペプチド。
82.側面79〜側面81の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
83.配列番号1のHis508およびArg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
84.側面83に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のTyr500を含んでなるペプチド。
85.側面83または側面84のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のPro516を含んでなるペプチド。
86.側面83〜側面85の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
87.側面83〜側面86の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のGlu 507を含んでなるペプチド。
88.側面83〜側面87の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のLeu 534を含んでなるペプチド。
89.配列番号1のPro516およびSer526を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
90.側面89に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のTyr500を含んでなるペプチド。
91.側面89または側面90のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis508を含んでなるペプチド。
92.側面89〜側面91の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
93.配列番号1のPro516およびArg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
94.側面93に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のTyr500を含んでなるペプチド。
95.側面93または側面94のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis508を含んでなるペプチド。
96.側面93〜側面95の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
97.配列番号1のSer526およびArg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
98.側面97に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のTyr500を含んでなるペプチド。
99.側面97または側面98のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis508を含んでなるペプチド。
100.側面97〜側面99の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のPro516を含んでなるペプチド。
101.側面33〜側面100の何れか1項に記載のペプチドであって、前記ペプチドが、配列番号2〜21の少なくとも一つから実質的になるLn-5γ2ペプチドに結合するペプチド。
102.側面33〜側面101の何れか1項に記載のペプチドであって、前記ペプチドが、配列番号2〜21の少なくとも一つから実質的になるペプチドに結合する相補性決定領域(CDR)を含んでなるペプチド。
103.配列番号1のHis 543を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
104.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のHis 543、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
105.配列番号1のIle548を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
106.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のIle548、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
107.配列番号1のHis543およびIle548を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
108.側面107に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
109.側面107または側面108に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
110.配列番号1のHis543およびSer526を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
111.側面110に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
112.側面110に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のIle548を含んでなるペプチド。
113.配列番号1のHis543およびArg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
114.側面113に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
115.側面113または側面114に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のIle548を含んでなるペプチド。
116.配列番号1のIle548およびSer526を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
117.側面116に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のArg533を含んでなるペプチド。
118.側面116または側面117に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis543を含んでなるペプチド。
119.配列番号1のIle548 and Arg533を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
120.側面119に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のSer526を含んでなるペプチド。
121.側面119または側面120に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のHis543を含んでなるペプチド。
122.配列番号1の残基約380〜残基約400に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
123.配列番号1の残基約380〜残基約420に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
124.配列番号1の残基約382〜残基約407に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
125.配列番号1の残基約385〜残基約395に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
126.配列番号1の残基約385〜残基約399に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
127.配列番号1の残基約385〜残基約400に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
128.配列番号1の残基約385〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
129.配列番号1の残基約386〜残基約400に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
130.配列番号1の残基約390〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
131.配列番号1の残基約391〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
132.配列番号1の残基約391〜残基約461に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
133.配列番号1の残基約395〜残基約441に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
134.配列番号1の残基約395〜残基約420に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
135.配列番号1の残基約395〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
136.配列番号1の残基約395〜残基約445に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
137.配列番号1の残基約400〜残基約440に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
138.配列番号1の残基約400〜残基約420に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
139.配列番号1の残基約409〜残基約418に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
140.配列番号1の残基約411〜残基約420に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
141.配列番号1の残基約412〜残基約441に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
142.配列番号1の残基約412〜残基約435に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
143.配列番号1の残基約412〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
144.配列番号1の残基約414〜残基約435に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
145.配列番号1の残基約414〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
146.配列番号1の残基約415〜残基約440に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
147.配列番号1の残基約415〜残基約445に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
148.配列番号1の残基約415〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
149.配列番号1の残基約420〜残基約435に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
150.配列番号1の残基約420〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
151.配列番号1の残基約420〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
152.配列番号1の残基約425〜残基約440に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
153.配列番号1の残基約430〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
154.配列番号1の残基約430〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
155.配列番号1の残基約432〜残基約443に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
156.配列番号1の残基約433〜残基約442に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
157.配列番号1の残基約435〜残基約455に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
158.配列番号1の残基約435〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
159.配列番号1の残基約439〜残基約447に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
160.配列番号1の残基約441〜残基約449に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
161.配列番号1の残基約442〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
162.配列番号1の残基約450〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
163.配列番号1のAsp395を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
164.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のAsp395、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
165.配列番号1のThr412を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
166.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のThr412、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
167.配列番号1のIle414を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
168.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のIle414、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
169.配列番号1のCys442を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
170.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに対して特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2のCys442、およびその15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの追加のLn-5γ2アミノ酸を含んでなるペプチド。
171.配列番号1のAsp395およびThr412を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
172.側面171に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のIle414を含んでなるペプチド。
173.側面171または側面172に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のCys442を含んでなるペプチド。
174.配列番号1のAsp395およびIle414を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
175.側面174に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のThr412を含んでなるペプチド。
176.側面174または側面175に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のCys442を含んでなるペプチド。
177.配列番号1のAsp395およびCys442を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
178.側面177に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のThr412を含んでなるペプチド。
179.側面177または側面178に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のIle414を含んでなるペプチド。
180.配列番号1のThr412およびIle414を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
181.ヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープが、Tyr500およびIle414、並びにIle414および/またはThr412の約15Å以内に位置する一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、またはそれ以上のLn-5アミノ酸を含んでなるペプチド。
182.側面180または側面181に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のAsp395を含んでなるペプチド。
183.側面180〜側面182の何れか1項に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のCys442を含んでなるペプチド。
184.配列番号1のThr412およびCys442を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
185.側面184に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のAsp395を含んでなるペプチド。
186.側面184または側面185に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のIle414を含んでなるペプチド。
187.配列番号1のIle414およびCys442を含んでなるヒト・ラミニン-5 γ2コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチド。
188.側面187に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のAsp395を含んでなるペプチド。
189.側面187または側面188に記載のペプチドであって、前記構造的エピトープが配列番号1のThr412を含んでなるペプチド。
190.配列番号1の残基約380〜残基約460に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
191.配列番号1の残基約380〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
192.配列番号1の残基約382〜残基約407に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
193.配列番号1の残基約385〜残基約395に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
194.配列番号1の残基約385〜残基約440に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
195.配列番号1の残基約385〜残基約445に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
196.配列番号1の残基約390〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
197.配列番号1の残基約395〜残基約415に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
197.配列番号1の残基約395〜残基約415に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
198.配列番号1の残基約395〜残基約445に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
199.配列番号1の残基約395〜残基約450に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
200.配列番号1の残基約400〜残基約420に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
201.配列番号1の残基約410〜残基約445に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
202.配列番号1の残基約435〜残基約535に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
203.配列番号1の残基約435〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
204.配列番号1の残基約435〜残基約590に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
205.配列番号1の残基約435〜残基約608に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
206.配列番号1の残基約455〜残基約465に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
207.配列番号1の残基約460〜残基約500に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
208.配列番号1の残基約460〜残基約515に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
209.配列番号1の残基約460〜残基約525に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
210.配列番号1の残基約460〜残基約530に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
211.配列番号1の残基約460〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
212.配列番号1の残基約460〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
213.配列番号1の残基約460〜残基約590に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
214.配列番号1の残基約460〜残基約600に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
215.配列番号1の残基約460〜残基約610に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
216.配列番号1の残基約462〜残基約516に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
217.配列番号1の残基約520〜残基約550に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
218.配列番号1の残基約520〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
219.配列番号1の残基約525〜残基約535に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
220.配列番号1の残基約525〜残基約545に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
221.配列番号1の残基約535〜残基約545に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
222.配列番号1の残基約550〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
223.配列番号1の残基約550〜残基約590に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
224.配列番号1の残基約560〜残基約570に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
225.配列番号1の残基約560〜残基約590に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
226.配列番号1の残基約560〜残基約600に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
227.側面222〜226の何れか1項に記載のペプチドであって、前記領域のN末端がIle548であるペプチド。
228.側面222〜226の何れか1項に記載のペプチドであって、前記領域のN末端がIle548の3アミノ酸以内にあるペプチド。
229.側面228に記載のペプチドであって、前記領域のN末端がIle548の2アミノ酸以内にあるペプチド。
230.配列番号1の残基約575〜残基約600に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
231.配列番号1の残基約600〜残基約620に対応するLn-5の領域に対して特異的に結合するペプチド。
232.コンホメーション依存性エピトープに特異的に結合するペプチドであって、前記エピトープは、Ln-5γ2の約415位〜約516位により定義される領域内に位置する1以上のアミノ酸残基、およびLn-5γ2の約539位〜約555位により定義される領域内に位置する1以上のアミノ酸残基を含んでなるペプチド。
233.側面232に記載のペプチドであって、該ペプチドは、Ln-5γ2の残基517〜540に結合するよりも顕著に高い親和性および/またはアビディティーで、Ln-5γ2の残基494〜516およびLn-5γ2の残基539〜552に対して結合するペプチド。
234.配列番号24、25、26、28、29、30、32、33、または34から実質的になるVL CDRを含んでなるペプチド。
235.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号24から実質的になるVL CDR1を含んでなるペプチド。
236.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号25から実質的になるVL CDR1を含んでなるペプチド。
237.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号26から実質的になるVL CDR1を含んでなるペプチド。
238.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号28から実質的になるVL CDR2を含んでなるペプチド。
239.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号29から実質的になるVL CDR2を含んでなるペプチド。
240.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号30から実質的になるVL CDR2を含んでなるペプチド。
241.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号32から実質的になるVL CDR3を含んでなるペプチド。
242.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号33から実質的になるVL CDR3を含んでなるペプチド。
243.側面234に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号34から実質的になるVL CDR3を含んでなるペプチド。
244.配列番号6、37、38、40、41、42、44、45、または46から実質的になるVH CDRを含んでなるペプチド。
245.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号36から実質的になるVH CDR1を含んでなるペプチド。
246.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号37から実質的になるVH CDR1を含んでなるペプチド。
247.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号38から実質的になるVH CDR1を含んでなるペプチド。
248.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号40から実質的になるVH CDR2を含んでなるペプチド。
249.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号41から実質的になるVH CDR2を含んでなるペプチド。
250.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号42から実質的になるVH CDR2を含んでなるペプチド。
251.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号44から実質的になるVH CDR3を含んでなるペプチド。
252.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号45から実質的になるVH CDR2を含んでなるペプチド。
253.側面244に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号46から実質的になるVH CDR2を含んでなるペプチド。
254.(a)相互に独立に、配列番号24、28、および32から実質的になる三つのVL CDRを含んでなる第一のVL領域と、(b)相互に独立に、配列番号36,40、および44から実質的になる三つのVH CDRを含んでなる第一のVH領域とを含んでなるペプチド。
255.(a)相互に独立に、配列番号25、29、および33から実質的になる三つのVL CDRを含んでなる第一のVL領域と、(b)相互に独立に、配列番号37,41、および45から実質的になる三つのVH CDRを含んでなる第一のVH領域とを含んでなるペプチド。
256.(a)相互に独立に、配列番号26、30、および34から実質的になる三つのVL CDRを含んでなる第一のVL領域と、(b)相互に独立に、配列番号38,42、および46から実質的になる三つのVH CDRを含んでなる第一のVH領域とを含んでなるペプチド。
257.側面254〜256の何れか1項に記載のペプチドであって、前記VL領域および前記VH領域が前記ペプチドの同じ鎖上に存在するペプチド。
258.側面257に記載のペプチドであって、前記VL領域および前記VH領域が可撓性リンカーによって分離されるペプチド。
259.側面254〜256の何れか1項に記載のペプチドであって、前記VL領域および前記VH領域が前記ペプチドの別々の鎖上に存在するペプチド。
260.側面259に記載のペプチドであって、前記VL領域および前記VH領域が、免疫グロブリン折り畳みタンパク質における前記ペプチドの別々の鎖上に存在するペプチド。
261.側面254〜260の何れか1項に記載のペプチドであって、前記第一のVL領域および第一のVH領域は、VL領域における三つのCDRおよびVH領域における三つのCDRが協同的に関連して、γ2DIII上の抗原決定基に選択的および/または特異的に結合することに寄与するように配向されているペプチド。
262.側面261に記載のペプチドであって、該ペプチドは前記第一のVL領域と同一の第二のVL領域、および前記第一のVH領域と同一の第二のVH領域を具備し、前記第二のVL領域および第二のVH領域が共同的に関連して、γ2DIII上の抗原決定基に選択的および/または特異的に結合することに寄与するペプチド
263.mAb 4G1のCDR領域から実質的になる相補性決定領域(CDR)を含んでなるペプチド。
264.mAb 4G1のCDR領域の機能的変異体である相補性決定領域(CDR)を含んでなるペプチド。
265.側面264に記載のペプチドであって、mAb 4G1の少なくとも約50%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
266.側面265に記載のペプチドであって、mAb 4G1の少なくとも約60%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
267.側面266に記載のペプチドであって、mAb 4G1の少なくとも約70%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
268.側面267に記載のペプチドであって、mAb 4G1の少なくとも約80%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
269.側面268に記載のペプチドであって、mAb 4G1の少なくとも約90%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
270.mAb 5D5のCDR領域から実質的になるCDRを含んでなるペプチド。
271.mAb 5D5のCDR領域の機能的変異体であるCDRを含んでなるペプチド。
272.側面271に記載のペプチドであって、mAb 5D5の少なくとも約50%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
273.側面272に記載のペプチドであって、mAb 5D5の少なくとも約60%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
274.側面273に記載のペプチドであって、mAb 5D5の少なくとも約70%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
275.側面274に記載のペプチドであって、mAb 5D5の少なくとも約80%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
276.側面275に記載のペプチドであって、mAb 5D5の少なくとも約90%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
277.mAb 6C12のCDR領域から実質的になるCDRを含んでなるペプチド。
278.mAb 6C12のCDR領域の機能的変異体であるCDRを含んでなるペプチド。
279.側面278に記載のペプチドであって、mAb 6C12の少なくとも約50%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
280.側面279に記載のペプチドであって、mAb 6C12の少なくとも約60%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
281.側面280に記載のペプチドであって、mAb 6C12の少なくとも約70%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
282.側面281に記載のペプチドであって、mAb 6C12の少なくとも約80%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
283.側面282に記載のペプチドであって、mAb 6C12の少なくとも約90%の親和性、アビディティーまたは特異性を有するペプチド。
284.式IIIに記載の配列から実質的になるVL CDR1配列を含んでなるペプチド。
285.側面284に記載のペプチドであって、Xaa1がArgであるペプチド。
286.側面284に記載のペプチドであって、Xaa1がArg以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
287.側面284〜286の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がSerであるペプチド。
288.側面284〜286の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
289.側面284〜288の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がLysまたはGlnであるペプチド。
290.側面284〜288の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がLysまたはGln以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
291.側面284〜290の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がSerであるペプチド。
292.側面284〜290の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
293.側面284〜292の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がLeuまたはValであるペプチド。
294.側面284〜292の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がLeuまたはVal以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
295.側面284〜294の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa6がHisまたはSerであるペプチド。
296.側面284〜294の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa6がHisまたはSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
297.側面284〜296の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa7がAsnまたはSerであるペプチド。
298.側面284〜296の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa7がAsnまたはSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
299.側面284〜298の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa8がIleまたはAsnであるペプチド。
300.側面284〜298の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa8がIleまたはAsn以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
301.式IVに記載の配列から実質的になるVL CDR1配列を含んでなる、側面284に記載のペプチド。
302.式IXに記載の配列から実質的になるCDR-L2配列を含んでなるペプチド。
304.側面302に記載のペプチドであって、Xaa1がGln、Arg、またはAsp以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
305.側面302〜304の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がSerであるペプチド。
306.側面302〜304の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
307.側面302〜306の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がSerであるペプチド。
308.側面302〜306の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
309.式Xに記載の配列から実質的になるCDR-L2配列を含んでなる、側面302に記載のペプチド。
310.式XVに記載の配列から実質的になるCDR-L3配列を含んでなるペプチド。
311.側面312に記載のペプチドであって、Xaa1がGlnであるペプチド。
312.側面310に記載のペプチドであって、Xaa1がGln以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
313.側面310〜312の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がAsn、Ser、またはTrpであるペプチド。
314.側面310〜312の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がAsn、Ser、またはTrp以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
315.側面310〜314の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がGlu、His、またはSerであるペプチド。
316.側面310〜314の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がGlu、His、またはSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
317.側面310〜316の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がProであるペプチド。
318.側面310〜316の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がPro以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
319.側面310〜318の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がThrであるペプチド。
320.側面310〜318の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がThr以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
321.式XVIに記載の配列から実質的になるCDR-L3配列を含んでなる、側面310に記載のペプチド。
322.式XIXに記載の配列から実質的になるCDR-H1配列を含んでなるペプチド。
323.側面322に記載のペプチドであって、Xaa1がSerであるペプチド。
324.側面322に記載のペプチドであって、Xaa1がSer以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
325.側面322に記載のペプチドであって、Xaa1がThrであるペプチド。
326.側面322に記載のペプチドであって、Xaa1がThr以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
327.側面322〜326の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がGlyであるペプチド。
328.側面322〜326の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa2がGly以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
329.側面322〜328の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がAspまたはTyrであるペプチド。
330.側面322〜328の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がAspまたはTyr以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
331.側面322〜328の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がPheであるペプチド。
332.側面322〜328の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がPhe以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
333.側面322〜328の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がGly、またはAspであるペプチド。
334.側面322〜332の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がGly、またはAsp以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
335.側面322〜332の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がPheであるペプチド。
336.側面322〜332の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がPhe以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
337.側面322〜336の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がArg、またはAlaであるペプチド。
338.側面322〜336の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がArg、またはAla以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
339.側面322〜336の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がMetであるペプチド。
340.側面322〜336の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がMet以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
341.側面322〜340の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa6がAsnであるペプチド。
342.側面322〜340の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa6がAsn以外の適切なアミノ酸残基であるペプチド。
343.式XXに記載の配列から実質的になるCDR-H1配列を含んでなる、側面322に記載のペプチド。
344.側面343に記載のペプチドであって、Xaa1がPhe、Gly、またはAspであるペプチド。
345.側面343または344に記載のペプチドであって、Xaa2がMet、Arg、またはAlaであるペプチド。
346.側面343または345に記載のペプチドであって、Xaa3がAsnまたは共有結合であるペプチド。
347.式XXVに記載の配列から実質的になるCDR-H2配列を含んでなるペプチド。
348.側面347に記載のペプチドであって、Xaa1がAsnまたは共有結合であるペプチド。
349.側面347または348に記載のペプチドであって、Xaa2がAsnまたは共有結合であるペプチド。
350.側面347〜349の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がTyrまたは共有結合であるペプチド。
351.式XXVIIIに記載の配列から実質的になるCDR-H3配列を含んでなるペプチド。
352.側面351に記載のペプチドであって、Xaa2がThrまたはAlaであるペプチド。
353.側面351または352に記載のペプチドであって、Xaa3がArg、Gly、またはAsnであるペプチド。
354.側面351〜353の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がProであるか、または欠失しているペプチド。
355.側面351〜354の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa5がTyrまたは共有結合であるペプチド。
356.側面351〜355の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa6がAspまたはAsnであるペプチド。
357.側面351〜356の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa7がTyrまたはPheであるペプチド。
358.側面351〜357の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa8がTyrまたはAspであるペプチド。
359.側面351〜358の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa9がGlyまたはGluであるペプチド。
360.側面351〜359の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa10がSer、Arg、またはAsnであるペプチド。
361.側面351〜360の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa11がSer、Thr、またはPheであるペプチド。
362.側面351〜361の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa13がAlaまたはAspであるペプチド。
363.側面351〜362の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa12がPhe以外の何れか適切なアミノ酸残基であり、Xaa14がTyrであるペプチド。
364.側面351〜362の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa14がTyr以外の何れか適切なアミノ酸残基であり、Xaa12がPheであるペプチド。
365.側面351〜362の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa12がPhe以外の何れか適切な残基であり、Xaa14がTyr以外の何れか適切な残基であるペプチド。
366.式XXXに記載の配列から実質的になるCDR-H3配列を含んでなる、側面351に記載のペプチド。
367.側面366に記載のペプチドであって、Xaa1がArg、Gly、またはAsnであるペプチド。
368.側面366または367に記載のペプチドであって、Xaa2が欠失しているか、またはProであるペプチド。
369.側面366〜368の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa3がTyrであるか、または欠失しているペプチド。
370.側面366〜369の何れか1項に記載のペプチドであって、Xaa4がSer、Arg、またはAsnであるペプチド。
371.配列番号24〜26の1以上に対して少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VL CDR1配列を含んでなるペプチドであって、
(a)配列番号24〜26の配列を整列させたときに、これら配列の2位に対応する変異体VL CDR1配列のアミノ酸残基が、Arg以外の何れか適切なアミノ酸残基であるか;
(b)配列番号24〜26の4位に対応する変異体VL CDR1配列のアミノ酸残基が、Ser以外の何れか適切な残基であるか;
(c)配列番号24〜26の12位に対応する変異体VL CDR1配列のアミノ酸残基が、Gly以外の何れか適切なアミノ酸残基であるか;または
(d)前記変異体VL CDR1配列が、配列番号24〜26の2位、4位および/または12位の三つの位置の二つまたは三つに対応するアミノ酸残基において、(a)〜(c)に従う置換によって配列番号27とは異なるペプチド。
372.側面371に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号24〜26の1以上に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VL CDR1配列を含んでなるペプチド。
373.配列番号24〜26の1以上に対して少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VL CDR2配列を含んでなるペプチドであって、
(a)配列番号31の5位に対応する変異体VL CDR2における残基が、Ser以外の何れか適切な残基であるか;
(b)配列番号31の9位に対応する変異体VL CDR2における残基が、Ser以外の何れか適切な残基であるか;
(c)配列番号31の5位および9位に対応する変異体VL CDR2における残基が、両方ともSer以外の何れか適切な残基である
ペプチド。
374.側面373に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号28〜30の1以上に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VL CDR2配列を含んでなるペプチド。
375.配列番号32〜34の1以上に対して少なくとも約65%の配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VL CDR3配列を含んでなるペプチドであって、
(a)配列番号35の3位に対応する変異体VL CDR3における残基が、Gln以外の何れか適切な残基であるか;
(b)配列番号35の8位に対応する変異体VL CDR3における残基が、Pro以外の何れか適切な残基であるか;
(c)配列番号35の10位に対応する変異体VL CDR3における残基が、Thr以外の何れか適切な残基であるか;または
(d)配列番号35の3位、8位および10位に対応する変異体VL CDR3における2以上の残基が、(a)および(b);(a)および(c);(b)および(c);または(a)、(b)および(c)の組合せによる配列とは異なる
ペプチド。
376.側面375に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号32〜34の1以上に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VL CDR3配列を含んでなるペプチド。
377.配列番号44〜46の1以上に対して少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VH CDR3配列を含んでなるペプチドであって、
(a)配列番号47の12位に対応する変異体VH CDR3におけるアミノ酸残基が、Phe以外の何れか適切な残基であるか;
(b)配列番号47の14位に対応する変異体VH CDR3におけるアミノ酸残基が、Tyr以外の何れか適切な残基であるか;
(c)配列番号47の12位および14位に対応する変異体VH CDR3におけるアミノ酸残基が、それぞれPheおよびTyr以外の何れか適切な残基である
ペプチド。
378.側面376に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号44〜46の1以上に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VH CDR3配列を含んでなるペプチド。
379.側面378に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号44〜46の1以上に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VH CDR3配列を含んでなるペプチド。
380.側面379に記載のペプチドであって、該ペプチドは、配列番号44〜46の1以上に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から実質的になる変異体VH CDR3配列を含んでなるペプチド。
381.配列番号60の配列を含んでなるペプチド。
382.配列番号60に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
383.側面382に記載のペプチドであって、配列番号60に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
384.側面383に記載のペプチドであって、配列番号60に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
385.側面384に記載のペプチドであって、配列番号60に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
386.側面385に記載のペプチドであって、配列番号60に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
387.側面386に記載のペプチドであって、配列番号60に対して少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
388.配列番号69の配列を含んでなるペプチド。
389.配列番号69に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
390.側面389に記載のペプチドであって、配列番号69に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
391.側面390に記載のペプチドであって、配列番号69に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
392.側面391に記載のペプチドであって、配列番号69に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
393.側面392に記載のペプチドであって、配列番号69に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
394.側面393に記載のペプチドであって、配列番号69に対して少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
395.配列番号61の配列を含んでなるペプチド。
396.配列番号61に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
397.側面396に記載のペプチドであって、配列番号61に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
398.側面397に記載のペプチドであって、配列番号61に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
399.側面398に記載のペプチドであって、配列番号61に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
400.側面399に記載のペプチドであって、配列番号61に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
401.側面400に記載のペプチドであって、配列番号61に対して少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
402.配列番号70の配列を含んでなるペプチド。
403.配列番号70に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
404.側面403に記載のペプチドであって、配列番号70に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
405.側面404に記載のペプチドであって、配列番号70に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
406.側面405に記載のペプチドであって、配列番号70に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
407.側面406に記載のペプチドであって、配列番号70に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
408.側面407に記載のペプチドであって、配列番号70に対して少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
409.配列番号62の配列を含んでなるペプチド。
410.配列番号62に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
411.側面410に記載のペプチドであって、配列番号62に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
412.側面411に記載のペプチドであって、配列番号62に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
413.側面412に記載のペプチドであって、配列番号62に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
414.側面413に記載のペプチドであって、配列番号62に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
414.側面414に記載のペプチドであって、配列番号62に対して少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VL領域を含んでなるペプチド。
415.配列番号71の配列を含んでなるペプチド。
416.配列番号71に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
417.側面416に記載のペプチドであって、配列番号71に対して少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
418.側面417に記載のペプチドであって、配列番号71に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
419.側面418に記載のペプチドであって、配列番号71に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
420.側面419に記載のペプチドであって、配列番号71に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
421.側面420に記載のペプチドであって、配列番号71に対して少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する変異体VH領域を含んでなるペプチド。
422.側面234〜421の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドがLn-5γ2に特異的に結合するペプチド。
423.側面422に記載のペプチドであって、該ペプチドがLn-5γ2ドメインIIIに特異的に結合するペプチド。
424.側面15〜423の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドが、ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合についてmAb 5D5と競合するペプチド。
425.側面15〜423の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドが、ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合についてmAb 6C12と競合するペプチド。
429.側面428に記載のペプチドであって、該ペプチドが、モノクローナル抗体ミニン-5 γ2ドメインIIIへの結合についてmAb 5D5およびmAb 6C12と競合するペプチド。
427.側面424〜426の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドが、モノクローナル抗体mAb 5D5およびmAb 6C12よりも大きな親和性でヒト・ラミニン-5γ2ドメインIIIに結合するペプチド。
428.側面15〜423の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドが、ラミニン-5γ2ドメインIIIへの結合についてmAb 4G1と競合するペプチド。
429.側面428に記載のペプチドであって、該ペプチドが、モノクローナル抗体4G12よりも大きな親和性でヒト・ラミニン-5γ2ドメインIIIに結合するペプチド。
430.側面429に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、Ln-5のα3鎖に対して検出可能に結合しないペプチド。
431.側面1〜430の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、Ln-5のβ3鎖に対して検出可能に結合しないペプチド。
432.側面1〜431の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、ヒト上皮細胞に関してγ2の一部に選択的であるペプチド。
433.側面1〜431の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、ヒトの基底層に関してγ2の一部に選択的であるペプチド。
434.側面1〜433の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、ラミニン-5γ2ドメインIII内にのみに見られる領域に選択的であるペプチド。
435.側面1〜434の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが抗体であるペプチド。
436.側面435のに記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドがモノクローナル抗体であるペプチド。
437.側面1〜435の何れか1項に記載のペプチドであって、前記抗体がGB3、D4B5、4G1、5D5、および/または6C12でないことを条件とするペプチド
438.側面435〜437の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドがヒト抗体であるペプチド。
439.側面435〜437の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドがヒト化抗体であるペプチド。
440.側面435〜437の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドがキメラ抗体であるペプチド。
441.側面1〜440の何れか1項に記載のペプチドの断片であって、該断片が、浸潤性癌細胞においてラミニン-5のγ2鎖に結合するペプチドの断片。
442.側面1〜441の何れか1項に記載のペプチドであって、前記Ln-5γ2ドメインIII結合性ペプチドが、他のLn-5γ2ドメインIII結合性ペプチドを実質的に含んでいないペプチド。
443.側面1〜442の何れか1項に記載のLn-5γ2ドメインIII結合性ペプチドを含有してなる医薬処方剤。
444.側面443に記載の医薬処方剤であって、2以上のLn-5γ2ドメインIII結合性ペプチドを含有してなる医薬処方剤。
445.浸潤性癌細胞の移動を低下させるために有効な量の側面1〜442の何れか1項に記載のペプチドと、薬学的に許容可能なキャリアとを含有してなる組成物。
446.哺乳類における癌進行の1以上の側面を低下させる方法であって、側面1〜442の何れか1項に記載のペプチドを、哺乳類における癌進行の1以上の側面が検出可能に低下される量および条件下で、ヒトに対して送達することを含んでなる方法。
447.側面446に記載の方法であって、前記方法を実行することが、哺乳類における浸潤性癌細胞の移動を低下させる方法。
448.側面446または側面447に記載の方法であって、前記ペプチドの哺乳類への送達が、前記哺乳類において前記ペプチドの産生をコードする核酸配列を含んだベクターを投与することを含んでなる方法。
449.側面446〜448の何れか1項に記載の方法であって,前記ペプチドの送達は、前記哺乳類への第二の治療剤の送達と組合せて行われる方法。
450.側面449に記載の方法であって、前記ペプチドおよび第二の治療剤が、(a)主に癌進行の異なる側面を低下させるか、(b)前記ペプチドおよび第二の癌治療剤の予測される相加効果よりも多くイレベルで、癌進行の少なくとも一つの側面を低下させるか、または(c)上記(a)および(b)の両方を達成する方法。
451.側面449または側面450に記載の方法であって、前記第二の治療剤がラミニン-5モジュレータである方法。
452.側面451に記載の方法であって、前記ラミニン-5モジュレータが、ラミニン-5のα3鎖またはβ3鎖に特異的な抗体である方法。
図1は、エピトープを確証するためのγ2DIIIの一部(残基460〜567)のモデルの設計を示している。C末端におけるLMG2ヒトおよびLMG2マウスの間の相違が強調されている。
図2は、ラミニンγ2DIII配列およびγ1DIII配列の整列を示している。頂部には、ヒトラミニン・ガンマ2ドメインIII鎖(382〜602)由来のアミノ酸配列が、ガンマ1鎖ドメインIIIに対して整列されている。システインの位置が強調されている。システインブリッジのパターンは、ガンマ1鎖の結晶構造から既知であり、ガンマ2ドメインIIIのこの整列で、ガンマ2のドメインIIIにおけるEGFのパターンが保存されるのを見ることができる。更に、システインブリッジの組織化が、それらを結ぶバーを用いて対として描かれている。加えて、BMP-1についての報告された開裂部位が強調されている。また、抗体を生じさせるために使用された配列もまた強調されている。
図3は、γ2DIII(残基460〜567)の一部のモデルを示しており、予測されたLn-5特異性を決定するアミノ酸残基を示している。
図4は、抗γ2DIII mAbs 5D5、6C12、および4G1を含む競合アッセイにおいて得られたデータを示している。
図5は、抗γ2DIII mAbs 5D5、6C12、および4G1についての、追加の結合競合データを示している。
図6は、γ2DIII mAbsおよびγ2DIIIの特定の部分を含んでなるペプチドを含めたエピトープマッピング実験の結果を示している。
図7は、抗γ2DIII mAbs 5D5、6C12、および4G1を含めたエピトープマッピング実験の追加の結果を示している。
図8は、抗γ2DIII mAbs 5D5、6C12、および4G1を含めたエピトープマッピング実験の更なる結果を示している。
図9は、実験手順の項に記載したようにして実施された直接ELISAによる、mAb 4G1(Ln-5 394-414)についてのADRのマッピングを図示している。この結果は、アミノ酸残基394-414に位置するエピトープへの4G1抗体の結合を示している。二つの他の抗体、即ち、6C12および5D5はこの同じエピトープを認識しない。抗体の非特異的結合のためのネガティブコントロールとして、BSAまたはブロッキング緩衝液を使用した。組換えGST-LN5γIIIタンパク質をポジティブコントロールとして使用した。三つの独立した測定の平均値±SDが示されている。
図10は、実験手順の項に記載したようにして実施した、競合ELISAの結果を示している。このデータは、三つの全てのペプチドが抗体のGST-LN5γIIIへの結合をある程度阻害できるので、mAb 5D5およびmAb 6C12の両方共が、複雑な構造エピトープを認識することを示している。しかし、ペプチド518〜538は6C12結合を阻害するが、5D5の結合を妨げないので、5D5および6C12についてのエピトープは幾分異なっている。0〜50μgの範囲で増大するペプチドの濃度が、三角形で示されている。
図11は、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12の、軽鎖可変領域のCDRを含む配列の配列整列を示している。
図12は、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12の、重鎖可変領域のCDRを含む配列の配列整列を示している。
図13は、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12の、Fab軽鎖配列の配列整列比較を示している。
図14は、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12の、Fab重鎖配列の配列整列比較を示している。
図15は、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12の、軽鎖および重鎖Fab配列の整列図を提供する。
図16は、mAb 5D5を用いて行った、選択された腫瘍細胞のドライダウンELISAの結果を反映している。
図17は、mAb 5D5およびmAb 6C12を用いて行ったインビボ転移試験の結果のグラフを与えており、これら抗体がインビボで転移を阻害する能力を示している。
図18は、AbMおよびKabat則で定義された、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12のCDR-H1配列の配列整列を与えている。
図19Aは、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12、並びにγ2関連ペプチドの表面プラズモン共鳴により得られた、反射/屈折率データを示している。
図19Bは、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12、並びにγ2関連ペプチドの表面プラズモン共鳴により得られた、反射/屈折率データを示している。
図19Cは、mAb 4G1、mAb 5D5およびmAb 6C12、並びにγ2関連ペプチドの表面プラズモン共鳴により得られた、反射/屈折率データを示している。

Claims (20)

  1. ヒト・ラミニン-5(Ln-5γ2DIII)のγ2鎖のドメインIIIの少なくとも一部に対する特異的結合において、mAb 5D5、mAb 6C12と競合し、またはmAb 5D5およびmAb 6C12の両方と交差競合するペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチドであって、該ペプチドは、mAb 6C12とよりも、mAb 5D5と競合するペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドであって、該ペプチドは、mAb 5D5とよりもmAb 6C12と競合するペプチド。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドがモノクローナル抗体であるペプチド。
  5. 請求項4に記載のペプチドであって、前記モノクローナル抗体がヒト化抗体であるペプチド。
  6. 請求項4に記載のペプチドであって、前記モノクローナル抗体が完全なヒト抗体であるペプチド。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドは、ヒト癌細胞から分泌されるLn-5γ2DIIIの少なくとも一部を含んでなるタンパク質に結合するペプチド。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドは、癌細胞を死滅させる化合物に結合されるペプチド。
  9. 請求項1〜7の何れか1項に記載のペプチドであって、該ペプチドは検出剤に結合されるペプチド。
  10. 治療的に有効な量の請求項1〜8の何れか1項に記載の単離されたペプチドと、薬学的に許容可能なキャリアとを含有してなる組成物。
  11. 請求項10に記載の組成物であって、該組成物は更に、治療的に有効な量の少なくとも一つの二次的抗癌剤を含有してなる組成物。
  12. 請求項1〜8の何れか1項に記載のペプチド、請求項1〜7の何れか1項に記載のペプチドをコードする配列を含んでなる核酸、またはその両方の使用であって、癌を治療するための医薬の製造における使用。
  13. 癌を治療するための医薬の製造における、請求項10または請求項11に記載の組成物の使用。
  14. 組成物のγ2関連ペプチド含量を評価するためのアッセイであって、請求項1〜7の何れか1項に記載のペプチドを前記組成物に加えることと、該ペプチドが前記組成物中の何れかのγ2関連ペプチドに結合するかどうかを決定することとを含んでなるアッセイ。
  15. 前記組成物がヒト患者の組織である、請求項14に記載のアッセイ。
  16. 前記アッセイがインビボで行われる、請求項15に記載のアッセイ。
  17. 請求項16に記載の方法であって、前記アッセイは、(a)抗癌性の外科的方法、(b)抗癌剤の投与、(c)抗癌性放射線療法の適用、または(d)それらの何れかの組合せを指示する際の補助のために使用される方法。
  18. 患者における癌の進行を低下させる方法であって、前記患者に対して、その癌の進行を低下させるように、生理学的に有効な量の請求項1〜8の何れか1項に記載のペプチドを投与することを含んでなる方法。
  19. 癌治療を必要としている患者において癌を治療する方法であって、該患者に対して、治療的に有効な量の請求項10または請求項11に記載の組成物を投与することを含んでなる方法。
  20. 患者において癌を治療する方法であって、該患者に対して、有効量の請求項1〜8の何れか1項に記載のペプチドと、任意に、有効量の少なくとも一つの二次的抗癌剤を送達することを含んでなる方法。
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