添付の複数の図面に亘って対応する参照記号は、対応するコンポーネントを示している。図面に示す要素は、本発明を簡潔且つ明瞭に説明するために示されており、必ずしも同じ縮尺で描かれていないことは当業者には明らかである。例えば、本発明の様々な実施形態の理解を容易にするために、図内の幾つかの要素の寸法は、他の要素より大きく示している。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要である一般的によく知られた要素については、本発明の様々な実施形態の特徴を不明瞭にしないため、敢えて省略している。
これらの様々な実施形態は、無線通信において、電力消費量を削減するためのシステム、装置及び方法を提供する。これらの実施形態では、帯域外(out-of-band)制御チャンネルを用いて、1つ以上の無線機器に対し、1又は複数の機器への1つ以上の帯域内無線通信が準備されたことを通知する。この帯域外シグナリングは、1つ以上の無線機器をトリガし、例えば、802.11の規格に従う通信情報等の帯域内無線通信情報を受信する回路をアクティブ化する。無線通信機器に簡易な帯域外受信機を組み込むことにより、帯域外制御チャンネルを用いて、無線通信機器は、帯域外通知を受け取り、帯域内通信システムの電力投入及び/又はアクティブ化をトリガすることができる。簡易型の帯域外受信機は、最小限の電力消費量で動作する。更に、帯域外受信機は、帯域内無線通信システムを検出し、通知するので、無線通信機器は、大幅に低減された電力レベルで動作でき、好ましくは、完全に電源がオフにされる。
例えば、802.11規格をインプリメントする無線ネットワーク(例えば、802.11ベースの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN))及び他の同様の無線ネットワーク等の無線ネットワークにおいて、ネットワークの1つの機器は、ネットワークの他の機器と無線で通信を行う。無線ネットワークの動作においては、ネットワーク機器が無線通信を受信せず及び/又は無線通信を送信しない期間があり、この期間は、長いことも多い。この結果、無線通信は、その時点で使用されていない1つ以上の機器に対して行われることも多い。
従来の802.11通信機器では、受信機器は、受信機器に宛てられるパケットを待機し、通信チャンネルを監視するために、無線回路、これに関連する無線チップ、ホストプロセッサ、及びこれに関連するコンポーネントの電源をオンにしている。幾つかの機器は、受信装置の802.11のメディアアクセスコントローラ(medium access controller:MAC)アーキテクチャの幾つかの無線通信コンポーネントの電源をオフにする(例えば、これらのコンポーネントは、1秒毎に500〜600ミリ秒電源をオフにしてもよい。)スリープモード又は低電力モードに移行するように構成することができる。但し、無線コンポーネント及び帯域内無線通信情報を受信するシステムの残りの部分(マイクロプロセッサ等)は、少なくとも部分的に、電源をオンにしておく必要がある。更に、通常、機器のホスト又はメインプロセッサは、完全に電源をオンにしておく必要がある。例えば、無線通信を行うように構成されたラップトップコンピュータは、中央プロセッサ(例えば、ペンティアム(登録商標)(Pentium(登録商標)プロセッサ)の電源を完全にオンにした状態で維持しなくてはならない。受信装置の電源を完全にオンにした状態で維持し、及び/又は受信装置の無線通信コンポーネントの電源をオンにした状態で維持することにより、かなりの電力が消費される。これは、例えば、移動無線機器等のように、バッテリ及び/又はセルで駆動する機器にとって重大な問題である。バッテリの消耗により、電池式機器の稼働時間が著しく制約される。
従来の802.11チップセットを用いた幾つかの機器では、無線通信機器は、機器の電源を完全にオンにした場合、又は通信データを受信し及び/又は機器に宛てられる通信データを待機するための高電力モードの場合、例えば、約1.5Wの電力を消費する。低電力モードで動作できる幾つかの無線機器は、通信を待機する低電力モードにおいて、消費電力を約100ミリワットに低減することができる。低電力モードを有するこれらの無線機器は、通常、無線機器に宛てられたパケットの有無をチェックするために、周期的に高電力モードに移行し、ここで更なる電力を消費する。機器は、頻繁に通信データを受信するわけではないので、この更なる電力消費により、多くの場合、無駄な電力が消費される。更に、低電力モードを有する無線機器は、多くの場合、ホストシステム(例えば、ホストマイクロプロセッサ及び他の関連要素)の電源を完全なオン状態に維持し、無線機器の他のコンポーネントを低電力モードに維持する。
本発明は、例えば、無線LANネットワーク又は他の同様の無線ネットワークを介して通信する無線機器の電力消費量を低減する方法、システム及び装置を提供する。図1は、一実施形態に基づくネットワーク100の簡略化されたブロック図を示している。ネットワーク100は、1つ以上のアクセスポイント(AP)102〜104を備える。各アクセスポイントは、1つ以上の無線局、すなわち無線機器(STA)106〜111と無線通信を行う。無線局は、移動局であっても、固定局であってもよい。幾つかの実施形態では、アクセスポイント(例えば、アクセスポイント102)は、他の1つ以上のアクセスポイント(例えば、アクセスポイント103)と無線通信を行う。幾つかの実施形態では、無線局は、1つ以上の無線局と直接通信することができる。
アクセスポイントは、インターネット、イントラネット、公衆交換電話網(PSTN)、サービス統合ディジタル網(ISDN)、及び/又は他の同様のネットワーク等の更に1つ以上の有線ネットワーク120に接続される。アクセスポイントは、有線ネットワーク120を介して、例えば、インターネットを介してアクセスされるサーバ122、他のサブネットワークのアクセスポイント104、他の有線又は無線ネットワーク(イントラネット、PSTN、ISDN、セルラネットワーク、他の同様のネットワーク等)126内の他の機器124、125を始めとする外部機器と通信することができる。
通常、アクセスポイント102〜104は、無線サブネットワーク130における無線通信を制御する。アクセスポイント102は、サブネットワークへ/からの通信を制御する。これにより、無線サブネットワーク130の外部の機器と、無線局106〜108との間で通信することができる。更に、アクセスポイント102は、サブネットワーク内の無線局間の無線通信リンクを提供する。無線サブネットワーク130は、実質的に如何なる無線ネットワークであってもよく、例えば、家庭内無線ネットワーク、キャンパス内無線ネットワーク、移動体通信ネットワーク(例えば、携帯電話ネットワーク)又は他の同様の無線ネットワークであってもよい。アクセスポイント102は、無線サブネットワーク130を制御する中央アクセスポイントであってもクライアント装置アクセスポイントであってもよい。無線局106〜108は、アクセスポイントと及びアクセスポイントを介して無線通信を行うように構成された、例えば、コンピュータ、無線電話、セットトップボックス、ビデオゲームコンソール(例えば、ソニー・プレイステーション(商標)等)、他の類似する装置等、アクセスポイントと通信するように構成された無線機器であってもよい。例えば、無線局106は、アクセスポイント102を介してインターネット等の有線ネットワーク120に無線でアクセスするポータブルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)であってもよい。また、無線局は、他の無線局と直接通信を行ってもよい。
図2は、図1のネットワークにおいて実施できる幾つかの実施形態に基づく無線局140の簡略化されたブロック図を示している。この無線局140は、帯域内通信装置142及び帯域外通信装置144を備える。帯域内通信装置142及び帯域外通信装置144は、それぞれ、無線局140と無線通信情報を送受する。更に、無線システム100のアクセスポイント102〜104は、図2に示すものと同様の帯域内通信装置142及び帯域外通信装置144を備えていてもよい。帯域内通信装置142及び帯域外通信装置144は、電力消費量を低減するために、実質的に、如何なる無線通信機器に組み込んでもよいことは当業者にとって明らかである。
帯域内通信装置142は、無線LAN(WLAN)又は無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)チップセット150を備えていてもよい。WLAN/WPANチップセット150は、帯域内無線通信情報を無線で送信及び/又は受信する1つ又は複数の送信機、受信機及び/又は帯域内送受信機156に接続される。WLAN/WPANチップセット150は、無線ネットワーク及び/又はサブネットワーク(例えば、それぞれネットワーク100及び/又は無線サブネットワーク130)で用いられている規格に基づき、無線通信データに対して、フォーマット、復号、符号化、及び他の処理を施す。帯域内通信装置142は、予め定義されたパラメータに基づき、帯域内送受信機156を介して、無線通信を提供する。これらのパラメータは、通常、例えば、IEEE802.11等、通信を提供するための規格によって定義される。無線局140が802.11規格に基づいて無線通信を行う場合、WLAN/WPANチップセット150は、通常の802.11通信帯域内チャンネルを介して、及び802.11規格によって定義される所定の帯域内(例えば、2.40GHz〜2.50GHz)でデータを送信及び受信する。
帯域内コントローラ152は、WLAN/WPANチップセット150に接続され、WLAN/WPANチップセット150に対する、及び帯域内通信装置142に対する更なる制御を提供する。帯域内コントローラ152は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピュータ又は他の同様のコントローラによって実現してもよい。幾つかの実施形態では、帯域内コントローラ152は、ホストデバイスコントローラ及び/又はマイクロプロセッサである。これに代えて、幾つかの実施形態では、帯域内コントローラ152は、ホストコントローラ/プロセッサから独立し、これと連携する。帯域内コントローラ152は、WLAN/WPANチップセット150に対し、電源をオンにし、電源をオフにし、及びこれに類する制御を行うことができる。
更に、帯域内通信装置142は、例えば、帯域内コントローラ152及び/又はWLAN/WPANチップセット150がアクセス可能な1つ以上のRAM、FLASH、ROM又は他の同様のメモリ又はこれらのメモリの組合せである帯域内メモリ154を備える。帯域内メモリ154は、命令、データ、動作、プログラム、プロトコル、制御パラメータ及び他の同様のデータ、WLAN/WPANチップセット150及び帯域内コントローラ152がアクセスし、利用することができる情報及び命令を保存する。帯域内メモリ154は、帯域内通信装置142に対して固有のメモリであってもよく、ホスト機器メモリの一部であってもよく、又はこれらの組合せであってもよい。
更に、帯域外通信装置144は、無線局140と無線通信情報を送受する。なお、帯域外通信装置144は、帯域内通信装置142及び/又は帯域外変調によって用いられている周波数帯域外の周波数で、無線通信情報を少なくとも受信する。例えば、帯域内通信装置142が1つ以上の802.11ベースのチャンネル(例えば、2.40GHz〜2.50GHzの間で定義される)を介して通信している場合、帯域外通信装置144は、例えば916MHzの周波数帯域を介して又は帯域内通信装置142が使用している帯域とは異なる帯域を介して通信することができる。幾つかの実施形態では、帯域外通信情報は、帯域内通信情報よりもかなり低い周波数、データレート及び/又は信頼性で通信される。これにより、電力消費量が小さい、簡易な実行が可能になる。
これに代えて及び/又はこれに加えて、幾つかの実施形態では、他の帯域内通信情報と同じ周波数チャンネルで、但し、帯域外通信情報を変調する際に異なる変調方式を用いて帯域外通信情報を提供する。これらの実施形態では、電力オン信号は、実際には同じ周波数帯域にあるが、変調「帯域」が異なるので、「仮想的に」、帯域外信号とみなすことができる。この結果、帯域内信号は、帯域外変調スキームによって変調された帯域外信号から容易に区別できる。帯域内受信回路又はシステムは、帯域外信号を復調できず、同様に、帯域外受信装置は、帯域内信号を復調できない。帯域内受信装置は、帯域外通信情報を雑音とみなし、帯域外受信装置は、帯域内通信情報を雑音とみなす。幾つかの実施形態では、帯域外信号は、帯域外周波数で、且つ、異なる変調「帯域」で生成してもよい。
帯域外通信装置144は、多くの場合、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピュータ又は他の同様のコントローラによって実現される帯域外コントローラ160を備える。好適な実施形態では、帯域外コントローラ160は、低電力コントローラであり、幾つかの実施形態では、帯域外コントローラ160は、演算パワーが低く及び消費電力要求が低いマイクロコントローラである。好ましくは、帯域外通信装置144は、独立した帯域外コントローラ160を備える。この独立した帯域外コントローラ160により、帯域外通信装置144は、帯域内通信装置142から独立して、ホスト機器のコントローラ(ホストコントローラ)を動作させることができ、これにより、ホスト機器は、ホストコントローラ及び/又はプロセッサの電源をオンの状態に維持する必要がない。帯域内通信装置142の電源がスリープモードにおいてオフにされている状態で、ホストコントローラが帯域内コントローラとは異なる場合、このホストコントローラと、他のホストコンポーネントの電源もオフにすることができる。なお、帯域外コントローラ160及び帯域内コントローラ152は、単一のコントローラによって実現してもよい。
更に、帯域外通信装置144は、帯域外受信機又は送受信機162を備える。この帯域外受信機/送受信機162は、好ましくは、例えば、単純なISM帯(industrial, science and medial band:産業・科学・医療用帯域)送受信機のように、例えば、916MHzの帯域等、帯域内通信装置142における通信のために定義される帯域以外の帯域で動作する簡易な低出力受信機/送受信機として実現される。幾つかの実施形態では、無線局(例えば、無線局106)は、帯域外通信情報のみを受信できればよい。また、幾つかの実施形態では、無線局は、帯域外チャンネルを介して、アクセスポイント(又は、他の機器)と通信を行う。
更に、帯域外通信装置144は、帯域外コントローラ160及び/又は帯域外受信機/送受信機162によってアクセス可能なRAM、フラッシュメモリ、ROM又は他の同様のメモリの1つ以上によって実現される帯域外メモリ164を備える。幾つかの実施形態では、帯域外メモリ164は、帯域外コントローラ160内に組み込まれる。帯域外メモリ164は、命令、データ、動作、プログラム、プロトコル、制御パラメータ及び他の同様のデータ、帯域外コントローラ160又は帯域外受信機/送受信機162がアクセスし、利用することができる情報及び命令を保存する。幾つかの実施形態では、帯域外メモリ164及び帯域内メモリ154は、帯域内通信装置142及び帯域外通信装置144の両方によって共有される単一のメモリであってもよい。
更に、図2に示すように、無線局140は、電源146を備える。電源146は、帯域内通信装置142及び帯域外通信装置144のそれぞれに電力を供給する。これに代えて、無線局140は、帯域内通信装置142用の電源と、帯域外通信装置144用の電源の2つの別々の電源を備えていてもよい。電源146は、バッテリ、電力セル、外部の電源(例えば、屋内のコンセント、自動車のソケット)を始めとする実質的に如何なる電源又はこれらの組合せであってもよい。
実際の動作では、無線局140が帯域内通信情報を受信及び/又は送信していない場合、この無線局140は、帯域内通信装置142をアクティブモードからスリープモードに遷移させる。上述のように、多くの無線機器において、無線機器が無線通信情報をアクティブに送受信している期間は短く、殆どの期間は、無線機器は、通信情報の受信又は送信を待機している。受信及び/又は送信の待機の間、無線機器をアクティブ状態に維持することにより、多くの電力が無駄に消費される。このように、これらの実施形態では、無線局140が無線帯域内通信情報の送受信を待機している間、帯域内通信装置142をスリープ状態に維持する。
帯域内通信装置142は、スリープモードに維持されている間は、帯域内通信装置142のコンポーネントの電源をオフにし、これにより、電力消費が抑制される。幾つかの実施形態では、帯域内無線通信に関連するコンポーネントの電源が完全にオフにされ、これにより、電力が全く消費されなくなる。なお、幾つかの実施形態では、帯域内通信装置142のコンポーネントの幾つかの電源をオンにし、又は部分的にオンにすることが有益な場合もある。更に、帯域内通信装置142がスリープモードの間、帯域外通信装置144は、アクティブモードであり、ネットワーク100の他の機器が、帯域内通信情報を無線局140に送信しようとしていることを示す通知によって、帯域外制御チャンネルを介する無線通信情報の受信を少なくとも待機する。帯域外通知は、帯域内通信情報の典型的なデータレートよりかなり低いデータレートで帯域外通信装置144に通信できる。
帯域外受信機/送受信機162は、帯域外通知を受信すると、帯域外コントローラ160にこの通知を送る。帯域外コントローラ160は、所定の指示(例えば、帯域外メモリ164から読み出した指示)に従って通知を処理する。幾つかの実施形態では、帯域外コントローラ160は、この帯域外通知が無線局140宛の通知であることを確認する。この確認は、帯域外通信情報のアドレス、又は他の同様の識別情報及び/又は確認手続によって行うことができる。
無線局140宛の通知が確認されると、帯域外コントローラは、帯域内通信装置142にシグナリングする。幾つかの実施形態では、帯域外コントローラ160は、帯域内コントローラ152と通信を行う。帯域内コントローラ152は、電源をオンにし、帯域内通信装置142をスリープモードからアクティブモードに遷移させる。帯域内通信装置142は、アクティブモードにされた後、当分野で周知の手法により、帯域内チャンネルを介して、無線サブネットワーク130及び/又はネットワーク100のリモート機器と通信を行う。
幾つかの実施形態では、帯域内通信装置142がアクティブモードである場合、帯域外通信装置144は、スリープモードに遷移し、帯域外通信装置144のコンポーネントの電源をオフにする。このようにしても、ネットワーク100のリモート機器は、帯域内通信装置142と直接通信することができるので、無線局の動作に悪影響はない。これにより、電力を更に節約することができる。
図3は、帯域内通信装置及び帯域外通信装置が組み込まれ、電力消費量を低減する無線機器の動作の処理310の簡略化されたフローチャートである。ステップ312においては、帯域外通知信号が受信されたか否かを判定する。帯域外通知が受信されていなければ、処理310は、通知が受信されるまで、ステップ312を繰り返す。帯域外通知が受信されると、処理310は、ステップ314に進み、帯域外通知信号のターゲットを判定及び/又は確認する。この判定及び/又は確認は、多くの異なる手法で行うことができ、これらのうちの幾つかについては、後に説明する。なお、帯域外通知が受信装置に宛てられたものではないと判定された場合は、処理310は、ステップ312に戻る。
帯域外通知が確認された場合、処理310は、ステップ316に進み、帯域外通信装置144は、帯域内通信装置142にシグナリングし、帯域内通信装置142を、電力オフ又はスリープモードから、アクティブモードに遷移させる。そして、ステップ320において、帯域内通信装置142の電源がオンにされる。ステップ322において、帯域内通信装置142は、リモート機器(例えば、アクセスポイント)に、帯域内認証信号を送り、リモート機器が未だ帯域内通信情報を送信していない場合、帯域内通信情報の送信を開始する。ステップ324において、帯域内通信装置142は、1つ以上の帯域内通信情報を受信する。
ステップ326においては、更なる通信情報が受信されるか否かを判定する。更なる帯域内通信情報が受信される場合、処理310は、ステップ324に戻る。一方、更なる通信情報が受信されないと判定された場合、処理310は、ステップ330に進み、機器から更なる帯域内通信情報を送信する予定があるか否かを判定する。更なる通信情報を送信する予定がない場合、処理310は、ステップ340に進む。一方、更なる帯域内通信情報の送信の予定がある場合、処理310は、ステップ332に進み、機器は、1つ以上の通信情報を送信する。処理310は、ステップ332を実行した後、ステップ326に戻る。
ステップ340においては、帯域内通信情報を最後に受信してから及び/又は帯域内通信情報を最後に送信してから、所定の期間が経過したか否かを判定する。所定の期間が経過していない場合、処理310は、ステップ326に戻る。
所定の期間が経過した場合、処理310は、ステップ342に進み、ここで、帯域内通信装置は、アクティブモードからスリープモードに遷移し、少なくとも帯域内通信装置142のコンポーネントの電源をオフにし、好ましくは、無線機器の他のコンポーネントの電源をオフにする。そして、処理310は、ステップ312に戻り、引き続き、更なる帯域外通知信号の受信を待機する。
幾つかの実施形態では、ステップ320において、帯域内通信装置142の電源をオンにした後、帯域内通信装置142がアクティブモードである間、帯域外通信装置144をスリープモードに遷移させる。これらの実施形態では、ステップ342は、帯域内通信装置142をアクティブモードからスリープモードに遷移させる前に、帯域外通信装置144をスリープモードからアクティブモードに遷移させる処理を含む。
幾つかの実施形態では、帯域外通信装置144は、受信した帯域外通信情報が、帯域外通信装置144を収容する無線機器に宛てられたものであることを確認する。この確認は、如何なる幾つの手法で実現してもよい。幾つかの実施形態では、帯域外通信情報は、一意的な宛先デバイス識別情報を含む。例えば、この識別情報は、帯域内通信装置142の802.11WLAN/WPANチップセット150のMACアドレスであってもよく、予め定義された識別子であってもよく、又は他の同様の識別情報であってもよい。変形例として、複数の帯域外チャンネルを使用し、各帯域外チャンネルを、無線サブネットワーク130内の1つの無線局又は単一の無線機器に専用のチャンネルとしてもよい。これにより、予め定義された専用のチャンネルを介して帯域外通信情報を際、この帯域外通信情報が無線機器に宛てられたものであることを確認することができる。
幾つかの実施形態では、帯域外通信情報は、基本的な「電源オン」フレームを含むようにフォーマットしてもよい。基本的な電源オンフレームは、単純な信号であってもよく、送信される毎に実質的に同じであってもよい。ネットワーク100又は無線サブネットワーク130の帯域外通信装置の1つがこの電源オンフレームを検出すると、この帯域外通信装置は、リモート送信機器への呼び掛け(interrogation)を行う。この呼び掛けは、帯域外通信装置が、帯域外チャンネルを介して、リモート送信機器(例えば、アクセスポイント102)に更なる通信情報を送信し、どのターゲット機器がアドレス指定されているかを判定する処理を含む。リモート送信機器は、どの機器がターゲット機器であるかを示す帯域外応答を送信する。これにより、ターゲット機器として指定されている1又は複数の機器だけが、特定/通知される。そして、アドレス指定された1又は複数の特定されたターゲット機器は、それぞれの帯域内通信装置をアクティブモードに遷移させる。この基本的な電源オンフレームを用いることにより、電源オンフレームは、非常に簡単な信号及び/又は例えば、帯域外通信装置が帯域外周波数帯域(又は、異なる変調方式)の受信電力を単に検出することによって実現できる。この簡単な実現例により、更に電力消費量を低減することができる。
図4は、受信された帯域外通知が受信装置に宛てたものであることを確認するための確認処理350の簡略化されたフローチャートである。この確認処理350は、図3の処理310のステップ314における具体的な処理手順の一例である。
まず、帯域外通信情報を受信し(図3のステップ312)、ここで、この帯域外通信情報は、基本的な電源オンフレームである。ステップ354において、帯域外通信装置は、基本的な電源オンフレームを検出し、1つ以上の帯域外チャンネルを介して、識別のための要求を送信する。ステップ356において、帯域外通信装置が帯域外チャンネルを介して識別情報を受信したか否かを判定する。帯域外通信装置が識別情報を受信していない場合、処理350は、ステップ358に進み、所定の期間が経過したか否かを判定する。所定の期間が経過していない場合、処理350は、ステップ356に戻る。所定の期間が経過した場合、処理は、単にステップ312(図3参照)に戻り、更なる帯域外通信情報を待機する。
ステップ456において、識別情報が受信されたと判定された場合、処理350は、ステップ360に進み、識別情報が、帯域内通信装置及び/又は現在の無線機器の識別情報に一致するか否かを判定する。識別情報が帯域内通信装置及び/又は機器に一致しない場合、処理は、図3のステップ312に戻る。一方、識別情報が帯域内通信装置及び/又は機器に一致する場合、帯域外通信情報を確認し、処理は、図3のステップ316に進み、帯域内通信装置をアクティブ化する。
包括的な又は汎用の帯域外電力オン信号(例えば、殆ど常に同じ信号)がネットワーク上で通信される幾つかの実施形態では、電力オン信号を受信する帯域外通信装置を有するサブネットワーク又はネットワークの各機器は、関連する帯域内通信装置をスリープモードからアクティブモードに遷移させることができる。一旦、帯域内通信装置がアクティブ化されると、各機器は、帯域内チャンネルを用いて、送信側の機器と通信を行い、1つ以上のどの機器が実際のターゲット機器であるかを判定することができる。ターゲット機器は、帯域内通信装置をアクティブモードに維持し、一方、遷移のターゲットではない機器は、帯域内通信装置をスリープモードに戻し、更なる帯域外通信情報を検出するように帯域外通信装置を維持(アクティブ化)する。
幾つかの実施形態では、帯域外通信装置144をスリープモードとアクティブモードとの間で遷移させることにより、電力消費を更に抑制することができる。例えば、帯域外通信装置144は、スリープモードからアクティブモードに定期的に遷移し、この帯域外通信装置144を含む機器に宛てられた帯域外通信情報の有無をチェックする。この構成では、送信側の機器は、帯域外電力オン信号又はパケットを継続的に、典型的には、所定の周期で送信してもよい。これにより、帯域外チャンネルにおいて、送信側の機器とターゲット機器とを同期する必要がなくなる。帯域外通信情報は、帯域内チャンネル(例えば、802.11に基づくチャンネル)とは異なる1つ以上の周波数スペクトル(又は、変調方式)で通信されるので、帯域外電力オン信号を継続的に送信しても、帯域内チャンネルの通信の妨げにはならない。
幾つかの実施形態では、帯域外通信装置144は、帯域外通知の受信(及び確認)に応じて帯域内通信装置142をアクティブ化しなくてもよい。これに代えて、帯域外通信装置144は、帯域内通信情報が利用可能であることをユーザに通知する、ユーザが検出可能な信号又は指示をアクティブ化してもよい。これによりユーザは、帯域内通信情報を受信するために帯域内通信装置142の電源をオンにするか否かを任意に選択できる。
帯域外チャンネルの通信の範囲又は距離は、通常、無線機器の帯域内チャンネルの範囲に対応している。ターゲット機器が帯域内通信範囲の外にある場合、帯域内通信装置142をアクティブモードに遷移させることは望ましくない。更に、帯域外チャンネルの範囲が帯域内チャンネルの範囲より大きければ、帯域外通信装置144によって消費される電力は、必要以上に大きくなる。但し、幾つかの実施形態では、帯域外チャンネルの範囲が帯域内チャンネルの範囲より大きくなるように特別に設計してもよい。これにより、帯域外通知が検出され、送信が試みられている帯域内通信情報があることをユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、帯域内通信情報を受信するのではなく、任意に、機器を送信機の近くに移動させることができる。
帯域外通信装置144は、好ましくは、ラップトップコンピュータ、無線電話機等の無線機器に組み込まれ、無線機器の一部を構成する。なお、帯域外通信装置144は、後付けされる付属品(after market device)であってもよい。この場合、帯域外通信装置144は、例えば、外部ポートを介して無線機器に接続され、これにより、無線機器は、外部の帯域外通信装置144によってアクティブ化されるまで、電源をオフにすることができる。
図5は、図2を参照して上述したものと同様の帯域内通信装置及び帯域外通信装置を備える無線機器を採用した家庭内又はオフィス内無線ネットワーク420の簡略化されたブロック図である。無線ネットワーク420は、インターネット、PSTN及び/又は他の同様の外部ネットワーク等の1つ以上の外部ネットワーク424に接続された中央アクセスポイント422を備える。また、無線ネットワーク420は、家庭又はオフィス426内の各所に分散して配置された複数の無線局430〜438を備える。例えば、中央アクセスポイント422は、居間等の第1の部屋440に配置される。第1の無線局430は、中央アクセスポイント422と同じ部屋の中に配置され、中央アクセスポイント422に無線で接続される。例えば、第1の無線局430は、少なくとも部分的にセットトップボックスとして動作する中央アクセスポイント422から、適切に符号化されたテレビジョン信号を無線で受信するハンドヘルド型のオーディオ−ビデオディスプレイ機器であってもよい。同様に、第2の部屋442の第2の無線局431及び第3の部屋444の第3の無線局432は、それぞれ中央アクセスポイント422を介してテレビジョン信号を無線で受信する更なるテレビジョン受像機であってもよい。
第2の部屋442の第4の無線局433及び第3の部屋444の第5の無線局434は、中央アクセスポイント422を介してPSTN等の外部ネットワーク424にアクセスする無線電話機であってもよい。第6の無線局435は、第1の部屋440内に配置され、中央アクセスポイント422を介して、インターネット等の外部ネットワーク424に無線でアクセスするラップトップコンピュータであってもよい。同様に、第7の無線局436も、中央アクセスポイント422を介してインターネットに無線でアクセスするコンピュータであってもよい。更に、第6及び第7の無線局435、436は、いずれも、プリンタである第8の無線局437によって印刷すべき文書を中央アクセスポイント422を介して、第8の無線局437に無線で送信する。第9の無線局438は、インターネットからダウンロードされた音楽コンテンツストリームを、中央アクセスポイント422を介して、無線で受信する音楽システムであってもよい。無線局は、アクセスポイントを介してデータ又は情報を無線で受信及び/又は送信することができる実質的に如何なる機器であってもよい。更に、各無線局430〜438は、上述したものと同様の帯域内通信装置及び帯域外通信装置を備えていてもよい。
実際の動作では、例えば、第6の無線局435(例えば、ラップトップコンピュータ)は、中央アクセスポイント422を介してインターネット等の外部ネットワーク424にアクセスすることができる。第6の無線局435がコンテンツを受信せず及び/又はインターネットにコンテンツを要求していない間は、帯域内通信装置450は、スリープモードになり、少なくとも帯域内通信装置450の電源をオフにする。帯域外通信装置452は、アクティブなままで維持され、又は以前にアクティブでない場合は、アクティブ化され、アクセスポイントを介するインターネットからの通信を待機する。
インターネット上のサーバ454がラップトップコンピュータである第6の無線局435にコンテンツを送信しようとする場合、サーバ454は、(例えば、インターネットアドレスを用いて)第6の無線局435宛てのパケット/データを送信する。中央アクセスポイント422は、パケットを受信し、そして、幾つかの実施形態では、どの無線局がパケットを受信するべきであるかを判定する。そして、中央アクセスポイント422は、第6の無線局435宛の帯域外通知を生成する。第6の無線局435の帯域外通信装置452は、帯域外制御チャンネルを介して、帯域外通知を無線で受信する。帯域外通信装置452は、帯域内通信装置450をアクティブ化する。帯域内通信装置450は、電源をオンにし、帯域内チャンネルを介して、アクセスポイントと無線で通信し、パケット/データを要求する。次に、アクセスポイントは、帯域内チャンネルを介して、第6の無線局435にパケット/データを無線で送信する。
他の無線局430、434及び436〜438も、同様に帯域内通信装置450及び帯域外通信装置452を備え、無線局が中央アクセスポイント422を介して通信情報を受信及び/又は送信していない間の電力消費量を低減させる。帯域外通信装置452は、最小の電力消費量で動作するよう構成されており、帯域内通信装置450は、スリープモードにおいて、電源をオフにされ、又は非常に小さな電力で動作するので、無線局は、電力消費量を著しく低減でき、バッテリ/セルの寿命を長くすることができる。
以上、特定の実施形態及びその適用例を用いて本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態を様々に修正及び変更できることは、当業者にとって明らかである。