JP2007522152A - メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートのラセミ化合物の分割 - Google Patents

メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートのラセミ化合物の分割 Download PDF

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Abstract

【課題】 メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートおよびその塩の(R)および(S)−鏡像異性体のそれぞれの分割のための方法を提供する。
【解決手段】 この方法は、単一の光学活性分割剤と、少なくとも1種の溶媒とを使用するジアステレオマー結晶化により行うことを特徴とする。この分離された(R)−鏡像異性体は更にラセミ化し、同様の様式で分割を行い、(S)−鏡像異性体の回収を可及的に増大させることができる。これらの分割された鏡像異性体は有機溶媒中にて再結晶させ、鏡像異性純度を99.5%以上にすることができる。

Description

本発明は、メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの混合物の分割のための新規な方法およびその(S)−鏡像異性体の新規な塩形態に関する。
メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの右旋性又は(S)−鏡像異性体は、一般にクロピドグレル(Clopidogrel)として知られている。このクロピドグレルはADP誘起血小板凝集の阻害薬として知られ、抗血栓活性を有している。この化合物の左旋性又は(R)−鏡像異性体は米国特許No.5,225,420(文献1)に記載されており、腫瘍起因性血管形成阻害薬として有用であるとされている。
メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの一方の鏡像異性体を、エネンチオ選択性合成により製造し得ることが知られている(例えば、米国特許No.6,495,691(文献2)およびそこに引用されている参考文献参照)。
米国特許No.4,847,265(文献3)に記載されているメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(S)−および(R)−鏡像異性体他の方法は、左旋性((R)−鏡像異性体)又は右旋性((S)−鏡像異性体)10−ショウノウスルホン酸をそれぞれ用いて形成したジアステレオマー塩の結晶化によりこれらの鏡像異性体のそれぞれを分割することからなる。
メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(S)−鏡像異性体、すなわちクロピドグレルの分割については文献3に開示されており、これによればメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートのラセミ混合物を溶媒(理想的にはアセトン)中で(R)−10−ショウノウスルホン酸と反応させジアステレオマー塩、つまり(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(R)−10−ショウノウスルホン酸塩を形成させ、この塩をアセトンのような溶媒から繰返し再結晶させ、これを析出されたジアステレオマー塩について一定の旋光性が得られるまで続ける。ついで所望の(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート鏡像異性体がジアステレオマー塩から、水性媒体中で炭酸水素ナトリウム又はカリウムのような塩基の作用により遊離塩基として遊離させる。
上記文献3には更に、アセトンからの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(R)−10−ショウノウスルホン酸塩の再結晶化を含む実施例で得られたメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(S)−鏡像異性体の鏡像異性純度が96%の低さであることを教示している。
(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(R)−鏡像異性体の分離(分割)については文献3に開示されており、その方法は次の通りである。まず、(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの鏡像異性体過剰を含む混合物を溶媒中で(S)−10−ショウノウスルホン酸と反応させジアステレオマー塩、つまり(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を形成させ、この塩をアセトンから繰返し再結晶させ、これを析出されたジアステレオマー塩について一定の旋光性が得られるまで続ける。ついで所望の(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート鏡像異性体をジアステレオマー塩から、水性媒体中で炭酸水素ナトリウム又はカリウムのような塩基の作用により遊離塩基として遊離させる。
この文献3に記載されている分割方法は、(R)−10−ショウノウスルホン酸を、より好ましい(S)−鏡像異性体、すなわちクロピドグレルを分割、分離するために、光学活性分割剤として使用する必要があるという点で問題がある。(R)−10−ショウノウスルホン酸は(S)−10−ショウノウスルホン酸よりも高価である。更に文献3に記載されている分割方法は、メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(S)−および(R)−鏡像異性体を分割、分離するために10−ショウノウスルホン酸の(R)−および(S)−鏡像異性体の双方を使用する必要がある。しかも、この従来の分割方法で得られる(S)−鏡像異性体、すなわちクロピドグレルについての鏡像異性純度は96%であり望ましいものとは言えない。なぜならば、(R)−鏡像異性体はクロピドグレルを含有する薬剤においては不純物として取り扱われるからである。従って、より高い鏡像異性純度が望まれている。
文献3に記載されている分割方法の他の欠点は、(R)−鏡像異性体の製造において、(S)−鏡像異性体と比較して(R)−鏡像異性体の鏡像異性体過剰を含む富化材料を使用することである。
更に注目すべき点は、高鏡像異性純度レベルを達成するために、メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート塩の(R)−および(S)−鏡像異性体の双方の再結晶化を繰返しおこなう必要があるということである。
この文献3は、米国特許No.4,529,596(文献4)および米国特許No.5,204,469(文献5)と共に、文献“Drugs of the Future”,(1993),18(2),p.107−112“Clopidogrel Hydrogensulfate” (文献6)の再検討記事となっている。この文献は左旋性ショウノウスルホン酸を使用したデキストロ・クロピドグレルの形成プロセスの再検討を提供している(なお、この文献に記載されているテキストおよびフロー図では、ラセミクロピドグレルの分割においてデキストロ・ショウノウスルホン酸を使用すると、誤って記述している)。
米国特許No.5,225,420 米国特許No.6,495,691 米国特許No.4,847,265 米国特許No.4,529,596 米国特許No.5,204,469 "Drugs of the Future",(1993),18(2),p.107−112"Clopidogrel Hydrogensulfate"
従って、本発明の1つの目的は、新規な分割法を提供することであり、この場合、光学活性分割剤のより経済的な鏡像異性体を使用することにより、より望ましい(S)−鏡像異性体、すなわちクロピドグレルを分割、分離するものである。
本発明の他の目的は、光学活性分割剤の同じ鏡像異性体を用いて、他方の鏡像異性体、すなわち、(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートを分割、分離する方法を提供することであり、それにより全く光学活性分割剤のより高価な鏡像異性体を使用する必要性が解消される。
本発明の更に他の目的は、高いレベルの鏡像異性純度(98%)を有する(S)−鏡像異性体、すなわちクロピドグレルを製造する方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、純粋な(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割後に得られた混合物を再循環させる方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、望ましくない化学的に純粋な(R)−鏡像異性体を(R)−および(S)−鏡像異性体のラセミ混合物に変換し、そこからより望ましい(S)−鏡像異性体を分割する方法を提供することである。
本発明の方法の利点、例えばコスト効率、単純さなどは分割剤の新規な選択および商業的に実行可能な溶媒システムの利用に基づくものであり、それにより鏡像異性純度に優れたメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(R)−および(S)−鏡像異性体の分割が可能となる。この分割は、付加的手法を要することなく、反応混合物から直接、達成することができる。単一溶媒システムの場合、溶媒は回収し、再循環することができ、従って、この方法のコスト効率を向上させることができる。
本発明の更なる利点は本発明の要旨を検討することにより容易に理解できるであろう。
本発明の他の目的は以下の発明の要旨およびその実施例の詳細な説明から当業者にとって明らかであろう。
意外にも、光学活性分割剤として(S)−10−ショウノウスルホン酸を使用することにより、光学的に純粋な形のメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(R)−および(S)−鏡像異性体の双方を得ることができることが本発明者等により見出された。
本発明に記載した方法は、光学活性分割剤として、より経済的な鏡像異性体を使用することにより高鏡像異性純度(98%)のメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの(S)−鏡像異性体を効率的に提供することができるため、従来の方法よりも有利である。
(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸および(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の双方を再結晶させることにより、鏡像異性純度が99.8%の高いものを得ることができる。
更に、(S)−10−ショウノウスルホン酸を用いて形成した双方のジアステレオマー塩は結晶性、非吸湿性のものであり、ろ過および乾燥特性の点で有利となる。
本発明により分割法は、メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの鏡像異性体混合物を、(S)−10−ショウノウスルホン酸塩と反応させる工程と;それにより最初に形成された(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を濾別する工程と;(S)−10−ショウノウスルホン酸を更に添加する工程と;それにより形成された(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を濾別する工程と;必要に応じて、このジアステレオマー塩を再結晶させる工程と;水性媒体中で炭酸水素ナトリウム又はカリウムのような塩基の作用によるなどの標準的方法により、このジアステレオマー塩をその遊離塩基、すなわち精製された単一の鏡像異性体に変換させる工程とを具備してなることを特徴とする。
望ましくない鏡像異性体に富んだ混合物の場合、最初のラセミ化工程を、以下のパラグラフで説明するように有機溶媒中で塩基を使用して行うことが好ましい。
追加の工程として、最初に分割した(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を遊離塩基に変換し、有機溶媒中にて塩基の存在下でラセミ化し、ついで(S)−鏡像異性体−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割後に得られたろ液と共にこの方法を通して再循環させる。
本発明によるこの分割法および再結晶化のための適当な溶媒としては、C2ないしC6ケトン、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン;トルエンおよびその混合物を挙げることができる。トルエンはこの分割法および再結晶化のための溶媒として特に好ましい。従来技術では、極性溶媒の使用を教示している事実からてらして、トルエンの使用は特に意外なものといえる。このように、本発明の他の形態は、トルエンのような非極性溶媒を(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸および(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の双方の分割および再結晶化のための溶媒として使用できるという発見に特徴づけられる。
(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩は遊離塩基であってもよく、これはついで、クロピドグレル・ビスルフェート(重硫酸塩)に変換される。
本発明の1つの形態によれば、メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートおよびその塩の鏡像異性体のそれぞれの分割のための方法が提供される。これはジアステレオマー結晶化により行われ、単一の光学活性分割剤と、少なくとも1種の溶媒とを使用して行われ、この場合、この光学活性分割剤として、好ましくは(S)−10−ショウノウスルホン酸が用いられる。
前記溶媒の好ましい例としては、極性有機溶媒から選択することができる。この極性有機溶媒の好ましいものはC2ないしC6ケトンである。
より好ましい極性有機溶媒の例は、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択されるものである。
本発明の他の実施例として、この方法に用いられる溶媒は好ましくは非極性溶媒であり、その好ましい例はトルエンである。
本発明の他の形態として、この方法は更に、有機溶媒に溶解させることによる再結晶化が含まれ、約99.5%又はそれ以上の鏡像異性純度のものを得ることであり、この再結晶において、好ましくは、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンおよびその混合物からなる群から選択される有機溶媒が用いられる。
本発明の1つの形態によれば、メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの鏡像異性体混合物のジアステレオマー結晶化による(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の製造方法が提供される。この場合、(S)−10−ショウノウスルホン酸が、少なくとも1種の溶媒の存在下で光学活性分割剤として使用して行われ、この場合の好ましい溶媒は、極性有機溶媒であり、好ましい極性有機溶媒はC2ないしC6ケトンである。
より好ましい極性有機溶媒の例は、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択されるものである。
本発明の他の実施例として、溶媒として非極性溶媒が用いられ、その好ましい例はトルエンである。
本発明の他の形態によれば、ジアステレオマー結晶化による(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の製造方法が提供される。この方法では光学活性分割剤として(S)−10−ショウノウスルホン酸が使用される。
本発明の更に他の形態によれば、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩と、(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸とを含むジアステレオマー混合物を分割するための方法が提供される。その方法は、このジアステレオマー混合物を溶媒又は溶媒混合物に溶解し、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を結晶化することからなる。この場合の溶媒は極性有機溶媒から選択され、好ましくはその溶媒はC2ないしC6ケトンであり、更に好ましくはメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択される。
他の例として、この溶媒として非極性溶媒が用いられ、その好ましい例はトルエンである。
本発明の更に他の形態によれば、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩からなる化合物が提供され、この化合物は(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を実質的に含まない。
本発明の更に他の形態によれば、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩からなる化合物が提供され、その鏡像異性純度は98%以上である。
本発明の更に他の形態によれば、鏡像異性純度が約98%以上の(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート硫酸水素塩からなる化合物が提供され、これは(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を遊離塩基化し、更に、これを硫酸水素塩に変換することから得られる。
本発明の更に他の形態によれば、これらの全ての方法は更に製品の種結晶(seed)の添加を含むものでもよい。
以下の実施例は、本発明を実施する要領を説明する具体例であり、これらは本発明を制限するものとして解されるべきではない。
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(200g)にトルエン1200mLを添加し、57.75gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。その溶液を室温で15分間攪拌した。更に、(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(2.0g)を添加し、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、100mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、110.21gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:32%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:90.88%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
実施例1a)において(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液の半分を467mLまで蒸発させ、ついで、43.31gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。この反応混合物を還流温度まで加熱し、ついで32−35℃まで冷却させた。そののち、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(1.1g)を添加した。更に、室温で2時間攪拌を継続した。得られた反応混合物を濾過し、100mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、48.88gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:41.8%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:98.69%)。このろ液からのサンプルを蒸発、乾固させ、ついでメタノール中に溶解させたのち、キラルHPLCにより分析した(鏡像異性体比:58.15%S/41.85%R)。
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(100.1g)にトルエン600mLおよびメチルイソブチルケトン11mLを添加し、28.9gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。その溶液を室温で15分間攪拌した。更に、(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(1.0g)を添加し、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、25mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、52.11gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:30.2%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:92.01%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
実施例2a)において(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液の半分を120mLまで蒸発させ、ついで、メチルエチルケトン180mLを添加し、更に、21.6gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。この反応混合物を還流温度まで加熱し透明な溶液を得た。ついで32−35℃まで冷却させたのち、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(1.2g)を添加した。更に、室温で2時間攪拌を継続した。得られた反応混合物を濾過し、60mLのメチルエチルケトンで洗浄した。これを乾燥した結果、14.6gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:24.2%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:99.76%)
H NMR(DMSO−d6,ppm)7.68−7.62(2H,m);7.52−7.50(2H,m);7.41(d、H−H=4.9Hz);6.86(d、H−H=4.9Hz);5.48(1H,bs);4.3−3.8(2H,bs);3.74(3H,bs);3.6−3.2(2H,bs);3.1−2.9(2H,bs);2.85(1H,d,J=14.7Hz);2.7−2.6(1H,m);2.37(1H,J=14.7Hz);2.28−2.19(1H,m);1.95−1.76(3H,m);1.32−1.22(2H,m);1.04(3H,s);0.74(3H,s)。
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(100g)にメチルイソブチルケトン400mLを添加し、28.87gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。その溶液を室温で攪拌し、ついで(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(1.0g)を添加し、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、100mLのメチルイソブチルケトンで洗浄した。これを乾燥した結果、50.87gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:29.6%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:95.64%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
実施例3a)において(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液の一部(1/10)を24mLまで蒸発させ、ついで、トルエン24mLを添加し、更に、5.15gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。室温で攪拌したのち、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(0.12g)を添加し、室温での攪拌を18時間継続した。この反応混合物を還流温度まで加熱し透明な溶液を得た。ついで冷却させたのち、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、60mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、3.62gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:29.9%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:98.77%)
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(100g)にメチルイソブチルケトン400mLを添加し、28.87gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。その溶液を室温で15分間攪拌し、ついで(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(1.0g)を添加し、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、100mLのメチルイソブチルケトンで洗浄した。これを乾燥した結果、50.87gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:29.6%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:95.64%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
実施例4a)において(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液の一部(1/10)を5.15gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。室温で15分間攪拌したのち、反応混合物を42mLのメチルイソブチルケトンと混合し、更に、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(0.12g)を添加し、室温での攪拌を18時間継続した。得られた懸濁液を濾過し、6mLのメチルイソブチルケトンで洗浄した。これを乾燥した結果、4.27gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:35.3%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:98.88%)
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(27.16g)にトルエン163mLを添加し、9.8gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。この混合物を室温で15分間攪拌し、溶液を得た。ついで(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(0.27g)を添加し、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、13mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、13.97gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:29.9%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:97.07%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
実施例5a)において(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液を131mLまで蒸発させ、ついで、9.8gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。室温で5分間攪拌したのち、反応混合物を還流温度まで加熱し溶液を得た。ついで32−35℃まで冷却させたのち、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(0.32g)を添加した。更に、室温で2時間攪拌を継続した。得られた反応混合物を濾過し、33mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、10.69gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:40.3%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:98.82%)
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(25g)にトルエン175mLを添加し、10.83gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。この溶液を室温で攪拌し、ついで(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(0.25g)を添加し、室温で5時間攪拌した。得られた反応混合物を濾過し、13mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、15.86gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:36.8%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:96.71%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
実施例6a)において(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液を108mLまで蒸発させ、ついで、7.2gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。室温で攪拌したのち、反応混合物を還流温度まで加熱し溶液を得た。ついで32−35℃まで冷却させたのち、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸(0.27g)を添加した。更に、室温で2時間攪拌を継続した。得られた反応混合物を濾過し、27mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、10.95gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:40.3%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:98.82%)
(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の再結晶:
実施例1−6b)で製造した(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(3g)にメチルエチルケトン9mLを添加し、還流温度まで加熱し溶液を得た。ついで、冷却させ、室温で2時間攪拌したのち、この反応混合物を濾過し、2mLのメチルエチルケトンで洗浄した。これを乾燥した結果、2.16gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:72%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:99.75%)
(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の再結晶:
実施例1−6b)で製造した(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(3g)にトルエン6mLを添加し懸濁液とし、これを還流温度まで加熱し溶液を得た。ついで、冷却させ、室温で4時間攪拌したのち、この反応混合物を濾過し、6mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、2.45gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:82%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:99.5%)
(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の再結晶:
実施例1−6a)で製造した(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(69.09g)をアセトン898mLおよびメタノール27.84mLに懸濁させ、これを還流温度まで加熱し溶液を得た。ついで、室温まで徐冷し、得られた懸濁液を更に0−5℃まで冷却し、3時間攪拌した。この反応混合物を濾過し、70mLの低温のアセトンで洗浄した。これを乾燥した結果、50.28gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:73%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:99.8%)
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(10g)にトルエン80mLを添加し、2.89gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。得られた反応混合物を室温で5時間攪拌し、ついで濾過し、10mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、5.79gの(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:34%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:91.2%)
b) (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩:
この(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の分割ののち、母液(67.2g:予想される10gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を含む)を20mLまで蒸発させ、ついで、40mLのメチルエチルケトンを添加した。セライト(商標)濾過を行ったのち、3.8gの(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸で処理した。
次に、この反応混合物を還流温度まで加熱し、セライトで濾過し、更に室温まで冷却させた。室温で3時間攪拌したのち、得られた懸濁液を濾過し、10mLのトルエンで洗浄した。これを乾燥した結果、4.0gの(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩が得られた。(収率:40%;キラルHPLCによる鏡像異性純度:98.5%)
ラセミ体メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸:
a) (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩(32.4g)に260mLのトルエンを添加し、これを、150mLの水に6.2gの重炭酸ナトリウム6.2gを溶かした溶液と共に攪拌した。通常のワークアップ(work−up)および水の共沸による除去ののち、有機層を80℃まで加熱し、ナトリウム・メトキシド(1.08g)を添加した。室温まで冷却させたのち、この反応混合物をキラルHPLCによる鏡像異性体比について分析した(キラルHPLCによる鏡像異性体比:50%S/50%R)。
b) 実施例1−6b)で記載したようにしてメチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート塩の(S)−鏡像異性体を分割して得られたろ液は前述のようにして遊離塩基に変換することができ、これを更に、工程a)で得た溶液と一緒に、このプロセスを通して再循環することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、これらの説明は本発明の原理を説明するためだけのものであり、限定を意図したものではない。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの具体例に対し多くの変更が可能であり、そこに記載された物質は全て本発明の説明のためのものであり、制限を意図したものでないことを理解されたい。

Claims (32)

  1. メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートおよびその塩の鏡像異性体のそれぞれの分割のための方法であって、単一の光学活性分割剤と、少なくとも1種の溶媒とを使用するジアステレオマー結晶化により行うことを特徴とする。
  2. 前記光学活性分割剤が(S)−10−ショウノウスルホン酸である請求項1記載の方法。
  3. 前記溶媒が極性有機溶媒から選択されるものである請求項1記載の方法。
  4. 前記極性有機溶媒がC2ないしC6ケトンである請求項3記載の方法。
  5. 前記極性有機溶媒がメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択されるものである請求項4記載の方法。
  6. 前記溶媒が非極性有機溶媒である請求項1記載の方法。
  7. 前記非極性有機溶媒がトルエンである請求項6記載の方法。
  8. 有機溶媒中に溶解させ、再結晶させることにより、約99.5%以上の鏡像異性純度のものを得るための再結晶化工程を更に含む請求項1記載の方法。
  9. 前記有機溶媒がトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンおよびその混合物からなる群から選択されるものである請求項8記載の方法。
  10. メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートの鏡像異性体混合物のジアステレオマー結晶化による(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の製造方法であって、少なくとも1種の溶媒の存在下で(S)−10−ショウノウスルホン酸を光学活性分割剤として使用することを特徴とする。
  11. 前記溶媒が極性有機溶媒から選択されるものである請求項10記載の方法。
  12. 前記極性有機溶媒がC2ないしC6ケトンである請求項11記載の方法。
  13. 前記極性有機溶媒がメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択されるものである請求項12記載の方法。
  14. 前記溶媒が非極性有機溶媒である請求項10記載の方法。
  15. 前記非極性有機溶媒がトルエンである請求項14記載の方法。
  16. メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテートのラセミ混合物のジアステレオマー結晶化による(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩の製造方法であって、(S)−10−ショウノウスルホン酸を光学活性分割剤として使用することを特徴とする。
  17. (S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩と、(R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸とを含むジアステレオマー混合物を分割するための方法であって、このジアステレオマー混合物を溶媒又は溶媒混合物に溶解し、(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を結晶化することを特徴とする。
  18. 前記溶媒が極性有機溶媒から選択されるものである請求項17記載の方法。
  19. 前記極性有機溶媒がC2ないしC6ケトンである請求項18記載の方法。
  20. 前記極性有機溶媒がメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択されるものである請求項19記載の方法。
  21. 前記溶媒が非極性有機溶媒である請求項17記載の方法。
  22. 前記非極性有機溶媒がトルエンである請求項21記載の方法。
  23. (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩を実質的に含まないことを特徴とする(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩からなることを特徴とする化合物。
  24. 鏡像異性純度が約98%以上である(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩からなることを特徴とする化合物。
  25. 請求項24記載の化合物の遊離塩基化と、更なる硫酸水素塩への変換により製造された鏡像異性純度が約98%以上である(S)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート硫酸水素塩。
  26. 製品の種結晶を添加する工程を更に含む請求項1ないし22のいずれかに記載の方法。
  27. 請求項1ないし15又は請求項17ないし22のいずれかに記載の方法で製造された請求項24記載の化合物。
  28. 請求項1ないし15又は請求項17ないし22のいずれかに記載の方法で製造された請求項25記載の化合物。
  29. (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩で富化された混合物をラセミ化してクロピドグレル遊離塩基のラセミ混合物とする請求項1ないし28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記ラセミ化を塩基の存在下で行う請求項29記載のラセミ化法。
  31. 前記ラセミ化を更に、有機溶媒中で行う請求項30記載のラセミ化法。
  32. (R)−メチル−α−5−[4,5,6,7−テトラヒドロ[3,2−C]チエノピリジル]−(2−クロロフェニル)アセテート(S)−10−ショウノウスルホン酸塩をラセミ混合物にラセミ化することを特徴とする方法。
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