JP2007521310A - パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩、ならびにパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体を含む組成物 - Google Patents

パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩、ならびにパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体を含む組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩、ならびにパロキセチンと、コール酸又はその誘導体を含む組成物に関する。また本発明は、上記パロキセチンの塩又は組成物を含有する薬学的組成物に関する。上記薬学的組成物は、パロキセチンの経口崩解型錠剤であって、水無しで嚥下するための経口用製剤に製剤化することができる。

Description

技術分野
本発明は、パロキセチンコレート(cholate)又はコール酸誘導体塩に関する。また本発明はパロキセチンと、コール酸又はその誘導体を含む組成物に関する。
背景技術
パロキセチンは、(-)-(3S,4R)-4-(p-フルオロフェニル)-3-[(3,4-メチレンジオキシ)フェノキシ]-メチル]ピペリジンの式を有する物質であって、典型的な選択的セロトニン(5-HT)再吸収抑制剤(SSRI)メカニズムを利用したうつ病治療剤、パニック障害治療剤、月経前気分不快障害治療剤及び社会不安障害治療剤である。
パロキセチンのようなうつ病治療剤は殆ど患者の服薬順応度が低いため、水無しで嚥下するための経口製剤を適用していることにより、薬を飲んだという感じがあまりないことから患者の服薬順応度を高めることができると報告されている。世界初の水無しで嚥下するための経口製剤として開発されたうつ病治療剤であるレメロンソルタブ(Remeron SolTab、ヤンセン社のミルタザピンの商品名)の臨床結果によると、うつ病において患者の薬物服用を早期に中断せず、持続的に治療することは症状改善に非常に重要な要素であると指摘されている。レメロンソルタブ投与患者を対象にした研究で、患者が既存の丸薬よりソルタブ製剤を好み、今後の治療に水がなくても服用できるソルタブを服用するつもりだという答えが、既存の丸薬を選ぶという答えよりも6倍高いと報告されている。この結果から、水無しで嚥下するためのうつ病治療剤の使用は患者の治療順応度を高めうつ病の治療及び再発防止により良い結果が期待できることが分かる。
しかし、パロキセチンは薬物自体の特性上、低濃度では苦味が強く、高濃度ではこれに加えて刺激的な痛みまでも誘発するため、水無しで嚥下するための固相の経口剤形への開発には限界がある。即ち、固形製剤における通常の方法として、高分子やシクロデキストリン類のような物質で原料をコーティングしたり包接できるが、その味が完全に遮蔽されず、特に錠剤に打錠する場合はコーティングや包接された顆粒の性状が部分的に破壊され薬物が露出することにより、やはり非常に不快な味がするようになる。また、パロキセチンの苦味や刺激的な味を部分的に減少させるためにも、非常に多量の賦形剤を使用しなければならないことから、実質的な経口崩解型錠剤の開発が不可能であった。
また、液状製剤(内服液剤)の場合は、苦味を遮蔽するために水に溶けないイオン交換樹脂を分散させて薬物と共に製剤化した例が国際公開公報第95/020964号に開示されている。しかし、イオン交換樹脂自体は溶解される物質ではないため、水相に均一に分布されないという問題点が発生し得、またその苦味が完全に遮蔽されることもなかった。
パロキセチン固有の味を他の味で遮蔽するための努力は、グリシルリジン酸又はグリシルリジン酸塩(glycyrrhyzinate salt)を開示した国際公開公報第03/013470号と国際公開公報第03/013529号に見られる。ここでは、甘草の主成分であるグリシルリジン酸塩自体が強い甘味の甘草香を有するため、パロキセチンの苦味を抑える助けになると言及しているが、実際にはグリシルリジン酸塩を配合した状態でも甘草の香りが強すぎるため、再度の調香(味を調節する過程)にて甘草の味を調節できると要約文に記述している。
この他に、パロキセチンの塩に対して研究が進められており、パロキセチン塩酸塩については米国特許第4,721,723号、国際公開公報第99/32484号、マレイン酸塩については国際公開公報第99/52901号、カンフルスルホナート(camphorsulfonate)については国際公開公報第99/55699号、アスコルビン酸塩については国際公開公報第99/55698号、メタンスルホネートについては国際公開公報第00/01694号、グリシルリジン酸又はグリシルリジン酸塩については国際公開公報第03/013470号、国際公開公報第03/013529号に記載されており、また特定塩に対する具体的技術については論じていなく、広範囲に硫酸、酒石酸、蓚酸、フマル酸、プロピオン酸、ホルム酸、グルタミン酸、コハク酸、ベンゾ酸、クエン酸、硝酸、リン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ホスフィン酸(hypophosphorous acid)、乳酸及びマンデル酸で形成されるパロキセチン塩については国際公開公報第99/40084号に記述しており、また酸群(acid group)で形成されるパロキセチン塩については国際公開公報第00/01692号に開示されているが、パロキセチンの塩を利用した味の改善効果について言及されたものはない。
パロキセチンの塩以外にパロキセチンアンバーライト錯体を利用した経口用液剤を請求している国際公開公報第95/20964号があるが、ここで使用されたアンバーライト樹脂は単分子物質ではなく、分子一つに非常に多い電荷を有する高分子物質であり、特に水又は溶媒に溶解されない高分子樹脂である。また、高分子自体の特性上、平均分子量のみが測定可能なため、単分子塩類とは異なり薬物との正確な結合モル比を得ることができないことから、パロキセチンアンバーライト錯体は塩とは言えない。そして上記高分子樹脂酸による味の遮蔽効果は、難溶性樹脂が薬物と結合して水に溶けずに分散されることによって得られる効果であり、パロキセチン塩とは区分されるものである。
よって、今までパロキセチンの塩による味の無味化、無痛化と卓越した安定性改善効果について報告や提案、又は実験により立証されたことがなく、更にパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩について報告されたことがない。
発明の開示
これに対して本発明者等は、パロキセチンの味という特性を変化させるために水に完全に溶解された後でもその苦味をなくすことができる薬物分子単位の特性変化を起こすパロキセチンの塩、及び塩に相応する組成物を提供することをその目的とする。またこれにより水無しで嚥下するためのパロキセチン経口調製物、即ち経口崩解型錠剤を提供することを目的とする。
本発明は、パロキセチンコレート又はコール酸誘導体塩に関する。より好ましくは、パロキセチンコレートに関する。また別の態様として、本発明はパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体の組成物に関する。
コール酸及びコール酸誘導体は、下記の式1又は式2で表される。
Figure 2007521310
上記式1でR1、R2、R3は、水素又はヒドロキシ基を意味し、Xは-OH、-ONa、-NH-(CH2)n-SO3H、-NH-(CH2)n-SO3Na、-NH-(CH2)n-SO3K、-NH-(CH2)n-CO2H、-NH-(CH2)n-CO2Na又は-NH-(CH2)n-CO2Kを意味する。但し、nは1〜3である。
Figure 2007521310
上記でXは、上記式1で定義された通りである。
本発明のコール酸(cholic acid)は、牛胆汁抽出物(ox bile extract)、胆汁酸(cholalic acid)、コラリン(cholalin)又はコラン酸(cholanic acid)とも呼ばれる3α,7α,12α-トリヒドロキシコラン-24-オイックアシッド(oic acid)を意味する。
本発明のコール酸誘導体として、3α,12α-ジヒドロキシコラン-24-オイックアシッドであるデオキシコール酸(deoxycholic acid)、3,7,12-トリオキソコラン-24-オイックアシッドであるデヒドロコール酸(dehydrocholic acid)、3α,7α-ジヒドロキシコラン-24-オイックアシッドであるケノデオキシコール酸(chenodeoxycholic acid)、3α,7β-ジヒドロキシコラン-24-オイックアシッドであるウルソデオキシコール酸(ursodesoxycholic acid)、3α-ヒドロキシコラン-24-オイックアシッドであるリトコール酸(lithocholic acid)、2-[(3α,7α,12α-トリヒドロキシ-24-オキソコラン-24-イル)アミノ]エタンスルホン酸であるタウロコール酸(taurocholic acid)、2-(3α,7α,12α-トリヒドロキシ-24-オキソコラン-24-イル)グリシンであるグリココール酸(glycocholic acid)等がある。しかし本発明の範囲がここに限定されるのではなく、これらから作られ得るアルカリ金属塩又はその他の誘導体もまた、本発明のカテゴリーに属する。これらコール酸誘導体は、全てステロイド構造を母核とし、カルボキシル基を有するステロイド酸のカテゴリーであって、ヒト又は動物の胆汁から抽出可能な全てのステロイド構造の母核を有する酸性物質と、これらがアルカリ金属イオンと結合した塩の形態も本発明のカテゴリーに属する。
生体内で生成されるコール酸及びコール酸誘導体は、腸管に一日500mLが分泌され、再吸収される胆汁の主要成分としてよく知られている物質である。小腸上部に分泌される一日500mLの胆汁には、コール酸及びコール酸誘導体が乾燥質量として約20〜30g含有されており、腸管再吸収過程で便として一日約0.5gが消失され、一日に400mg程度が新しく生体内で作られ補充される。よって、本発明のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩が抗うつ剤としてヒトに投与された際に、常用量基準として一日に最高40mg未満のコール酸又はコール酸誘導体が経口で投与され、これは生体内腸管循環量の約0.13〜0.2%に該当する量であるため、その他の毒性や副作用が発生することはない。よって、コール酸又はコール酸誘導体は薬物の塩としても非常に適合する物質であり、特にコール酸又は牛胆汁抽出物は現在日本で食品にエマルジョン化(emulsifier)によって通用されており、米国のFDAでもGRAS(generally recognized as safe)に掲載されている。
本発明のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩は、結晶形、非結晶形、又は多結晶形であり、好ましくは結晶形又は非結晶形である。本発明のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩の形成において、パロキセチン遊離塩基1モルに対してコール酸又はコール酸誘導体を0.25〜5モルで使用し、好ましくは0.5〜2モルで使用する。
本発明のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩は、下記の方法で製造することができる。
パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩は、パロキセチン遊離塩基とコール酸又はコール酸誘導体が一定モル比で単純に接触されることにより製造でき、好ましくは溶液相になった遊離塩基を使用し、より好ましくは遊離塩基とコール酸又はコール酸誘導体が全て溶液相になった状態で接触されることにより製造することができる。具体的には、パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩は、製造過程において、パロキセチン遊離塩基を先に溶媒に溶かし、コール酸又はコール酸誘導体を同一溶媒に溶かすか、或いはコリン酸又はコリン酸誘導体を先に他の溶媒に可溶化させた後、得られた溶液をパロキセチン遊離塩基溶液に混合して製造することができる。
上記塩の製造に使用されるパロキセチンは、パロキセチン遊離塩基又はその他のパロキセチン塩から結合されている塩部分を除去した油状のパロキセチン遊離塩基を使用したり、その他のパロキセチン塩を直接使用することもできる。直接的にパロキセチン塩を使用する場合は、その塩部分が揮発性を有したり溶媒に対する溶解度が高いことが分離錠剤に有利である。
上記塩の製造に用いられる溶媒として、通常的に遊離塩基を容易に溶かすことができる溶媒が使用可能であり、コール酸又はコール酸誘導体の溶解にも同一溶媒を使用することができる。使用される溶媒としては、水、又はメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、ジクロロメタン、ジクロロエタン又はエチルエーテル等の有機溶媒を、単一溶媒又は混合溶媒にして使用する。使用された溶媒を除去する方法としては、減圧又は真空乾燥、揮発、噴射乾燥、凍結乾燥又は冷却ろ過等の通常の方法が使用可能で、又はこれらを併用して実施することにより固体状の結晶形、非結晶形又は多結晶形パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩を製造することができる。好ましくは、減圧真空、揮発、冷却ろ過により結晶形パロキセチン塩を形成することができ、噴射乾燥、凍結乾燥により非結晶形パロキセチン塩を形成することができる。
そして溶媒がある状態で固体塩を収得するには、パロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体を上記の単一溶媒又は混合溶媒に溶解させた後、0℃以下で冷却放置するか他の溶媒を混合してパロキセチン塩を析出させることもできる。そしてこれをろ過して冷たい溶媒で洗浄した後、乾燥してパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩を得る。ここで、冷たい溶媒は上記の単一溶媒又は混合溶媒と混合が可能で、パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩がよく溶けない溶媒を使用する。
また、このとき製造されるパロキセチン塩は、無水物又は水和物の形態を有することができ、ソルベート(solvate)が形成された場合は、乾燥オーブンで分子間溶媒を揮散させたり溶媒の変更によりソルベートを除去することができる。
上記の製造過程において、パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩の収得率向上を目的として溶液中の遊離塩基、及びコール酸又はコール酸誘導体の濃度を高めるために加温することができ、遊離塩基とコール酸又はコール酸誘導体を溶解した後、溶媒の一部を真空又は揮発させて除去することができる。またパロキセチン塩の析出を促進するために結晶核を人為的に投入することができる。
また別の態様として、本発明はパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体の組成物に関する。本発明の特性上、一定のモル比でパロキセチン遊離塩基又は他のパロキセチンの塩類に水又は有機溶媒を使用したり、又は使用せずコール酸又はコール酸誘導体と接触させたとしても、完全又は部分的に物性の変化が現れてパロキセチンの味又は痛みを減少させる場合は、本発明のカテゴリーから外れない。
本発明のパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体の組成物の調製において、パロキセチン遊離塩基1モルに対してコール酸又はコール酸誘導体を0.25〜5モルで使用し、より好ましくは0.5〜2モルで使用する。本発明のパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体の組成物は、水又は有機溶媒と共に均一に配合し、乾燥して製造できる。本発明の上記組成物の製造において使用された溶媒は、上記のパロキセチン塩の製造に使用された溶媒と同一である。
本発明は、パロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含有する薬学的組成物に関する。
本発明はまた、パロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体及び薬学的に許容可能な賦形剤を含有する薬学的組成物に関する。本発明の薬学的組成物は、水無しで嚥下するための経口調製物に製剤化できる。そしてパロキセチンの塩及びパロキセチンと、パロキセチンの組成物(コール酸又はコール酸誘導体を含む)を含有する薬学的組成物もやはり、本発明のカテゴリーに属するものである。
上記の薬学的に許容可能な賦形剤としては、希釈剤、結合剤、崩解剤、色素、甘味剤、香料、保存剤、滑沢剤等から1種以上を選んで使用することができ、上記の機能を複合的に有する賦形剤を使用することもできる。特に好ましくは、商品名ファルマバースト(Pharmaburst)又はファルマガム(Pharmagum)のように希釈剤と崩解剤の性質を全て有し、内崩解の特性を有する賦形剤から選ばれた1種以上を使用することができる。そして希釈剤にはラクトース、デキストロース、微結晶セルロース、デンプン等から選ばれた1種以上を使用することができ、結合剤にはポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、リン酸二カルシウム、アルギン酸ナトリウム等から選ばれた1種以上を、崩解剤にはクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、架橋化ポリビニルピロリドン、糊化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等から選ばれた1種以上を、色素には水溶性及びタール色素等から選ばれる1種以上、甘味剤にはデキストロース、ソルビトール、マンニトール、アスパルテーム、アセスルファム、クエン酸等から選ばれた1種以上、香料にはオレンジ香の粉末、ブドウ香の粉末、イチゴ香の粉末、ブルーベリー香の粉末等から選ばれた1種以上、保存剤には安息香酸、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等から選ばれた1種以上、滑沢剤にはステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル等から選ばれた1種以上を使用できるが、これに限定されることはない。
本発明の上記薬学的組成物は、薬学的に認められる通常の方法として、混合、練合、篩い分け、充填及び圧縮によって製剤化できる。
本発明の上記薬学的組成物の投与形態として、錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末剤のような経口用固形製剤とシロップ剤のような経口用液状製剤、その他座剤及びバイアル注射剤としても使用できる。好ましくは、経口投与を目的とする錠剤、カプセル剤、シロップ剤を選ぶことができる。
本発明の上記薬学的組成物の投与経路として、経口、舌下、口腔、直腸、経皮、輸液、静脈注、筋注投与が可能である。好ましくは口の中で水が無くても溶かして嚥下できる経口、舌下、口腔投与が本発明の目的により符合する。
製造された上記の薬学的組成物は、パロキセチンの含有量として、うつ性疾患に1日20mgから最大50mgまで投与し、強迫性障害には1日20mgから始めて通常40mgを投与し最大60mgまで、パニック障害には1日10mgから始めて通常40mgを投与し最大50mgまで、社会不安障害及び外傷後ストレス障害には1日20mgを投与して必要に応じて10mgずつ増量し最大50mgまで、全般性不安障害には1日20mgを投与できる。
発明を実施するための最良の形態
以下、実施例によって本発明の構成及び作用を具体的に説明するが、これに本発明が限定されることはない。
実施例 1
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをメタノール20mLに加えて40℃に加熱し、2時間振とう攪拌して完全に溶解させた。そして減圧下で溶媒を除去した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート2.2gを白色の粉末形態で得た。
実施例 2
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをメタノール10mLとアセトン40mLに加えて40℃に加熱し、30分間振とう攪拌して完全に溶解させた。室温で24時間放置して塩を生成させた後、ろ過し、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート2.0gを白色の結晶形態で得た。
実施例 3
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをメタノール10mLに加えて40℃に加熱し、1時間振とう攪拌して完全に溶解させた。これをエチルエーテル100mLに徐々に滴加して固体を析出させた後、0℃で3時間攪拌してろ過した。ろ過された残留物をエチルエーテル30mLで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.89gを灰白色の粉末形態で得た。
実施例 4
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをエタノール20mLとイソプロピルアセテート30mLに加えて50℃に加熱し、2時間振とう攪拌して完全に溶解させた。そして-20℃で48時間放置した後、ろ過し、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.9gを灰白色の粉末形態で得た。
実施例 5
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをイソプロパノール50mLに懸濁させた後、3時間還流攪拌した。そして25℃で2時間徐々に攪拌した後、ろ過し、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート2.15gを白色の結晶形態で得た。
実施例 6
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gを精製水5mLとメタノール30mLに加え2時間攪拌して完全に溶解させた。そして0℃で48時間放置した後、ろ過し、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.8gを白色の粉末形態で得た。
実施例 7
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをエタノール30mLとジクロロメタン50mLに加えて50℃に加熱し、3時間振とう攪拌して完全に溶解させた。減圧蒸留してジクロロメタンを除去し、25℃で8時間放置した後、ろ過し、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.94gを白色の結晶形態で得た。
実施例 8
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに加えて10分間攪拌して完全に溶解させた。これをイソプロピルアセテート100mLに徐々に滴加して固体を析出させた後、0℃で3時間攪拌してろ過した。ろ過された残留物をエチルエーテル30mLで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.84gを灰白色の粉末形態で得た。
実施例 9
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをN,N-ジメチルアセトアミド10mLに加えて40℃に加熱し、20分間振とう攪拌して完全に溶解させた。これをエチルエーテル100mLに徐々に滴加して固体を析出させた後、0℃で3時間攪拌してろ過した。ろ過された残留物をエチルエーテル30mLで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.75gを灰白色の粉末形態で得た。
実施例 10
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとコール酸1.24gをジメチルスルホキシド10mLに加え、5分間攪拌して完全に溶解させた。これを精製水100mLに徐々に滴加して固体を析出させた後、0℃で3時間攪拌してろ過した。ろ過された残留物をエチルエーテル30mLで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンコレート1.7gを白色の粉末形態で得た。
実施例 11
油状のパロキセチン遊離塩基1.0gとデオキシコール酸1.19gをメチルエチルケトン10mLに加えて40℃に加熱し、1時間振とう攪拌して完全に溶解させた。そして-20℃〜0℃で24時間放置して結晶を析出させた後、ろ過した。ろ過された残留物を0℃以下の冷たいメタノールで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンデオキシコレート2.1gを白色の粉末形態で得た。
実施例 12
油状のパロキセチン遊離塩基0.8gとグリココール酸1.13gをエタノール20mLに加えて40℃に加熱し、3時間振とう攪拌して完全に溶解させた。そして減圧下で溶媒が5mL程度残るように抽出除去し、-20℃〜0℃で24時間放置して結晶を析出させた後、ろ過した。ろ過された残留物を0℃以下の冷たいメタノールで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチングリココレート1.6gを灰白色の粉末形態で得た。
実施例 13
油状のパロキセチン遊離塩基0.8gとタウロコール酸1.31gを精製水5mLエタノール20mLに加えて40℃に加熱し、1時間振とう攪拌して完全に溶解させた。そして減圧下に溶媒を5mL程度が残るように抽出除去し、-20℃〜0℃で24時間放置して結晶を析出させた後、ろ過した。ろ過された残留物を0℃以下の冷たいメタノールで洗浄した後、真空乾燥してその収得物として固体状のパロキセチンタウロコレート1.8gを灰白色の粉末形態で得た。
実施例 14〜17
下記表1の実施例14〜15の組成物中、パロキセチンコレート、リン酸二カルシウム、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、ここにステアリン酸マグネシウムの該当量を加えて再度混合し、通常の方法で錠剤を圧縮成形した。 下記表1の実施例16〜17の組成物中、パロキセチンコレート、リン酸二カルシウム、アスパルテーム及びオレンジ香パウダーの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、ここにファルマガムエス(Pharmagum S)とステアリン酸マグネシウムの該当量を加え、再度混合して通常の方法で錠剤を圧縮成形した。これにより水無しで摂取または嚥下でき、口腔内で非常に速く崩解しても苦味を有さない経口剤を製造した。
(表1)実施例14〜17の薬学的組成物
Figure 2007521310
* ファルマガムエス:エスピーアイファルマ(SPI Pharma)社の速崩解性賦形剤の商品名
実施例 18〜21
下記表2の実施例18〜19の組成物中、パロキセチングリココレート、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びL-ヒドロキシプロピルセルロースの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、これをポビドンK-30の該当量を水に溶解した結合液で練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、18メッシュの標準網を通過させて18メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。ここにステアリン酸マグネシウム該当量を加えて混合し、通常の方法で錠剤を圧縮成形した。 下記表2の実施例20〜21の組成物中、パロキセチングリココレートと微結晶セルロースの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、これをポビドンK-30の該当量を水に溶解した結合液で練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、24メッシュの標準網を通過させて24メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。ここにファルマバーストエックス(Pharmaburst X)及びブドウ香パウダー、30メッシュで篩ったクエン酸パウダー、ステアリン酸マグネシウムの該当量を加えて混合し、通常の方法で錠剤を圧縮成形した。これにより水無しで摂取または嚥下でき、口腔内で非常に速く崩解しても苦味を有さない経口剤を製造した。
(表2)実施例18〜21の薬学的組成物
Figure 2007521310
*ファルマバーストエックス:エスピーアイファルマ社の速崩解性賦形剤の商品名
実施例22〜25
下記表3の実施例22〜23の組成物中、パロキセチンタウロコレート、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びL-ヒドロキシプロピルセルロースの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、これをポビドンK-30の該当量を水に溶解した結合液で練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、18メッシュの標準網を通過させて18メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。ここにステアリン酸マグネシウム該当量を加えて混合し、通常の方法で錠剤を圧縮成形した。下記表3の実施例24〜25の組成物中、パロキセチンタウロコレートと微結晶セルロースの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、これをポビドンK-30の該当量を水に溶解した結合液で練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、24メッシュの標準膜を通過させて24メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。ここにファルマバーストエックス(Pharmaburst X)及びブドウ香パウダー、30メッシュで篩ったクエン酸パウダー、ステアリン酸マグネシウムの該当量を加えて混合し、通常の方法で錠剤を圧縮成形した。これにより水無しで摂取または嚥下でき、口腔内で非常に速く崩解しても苦味を有さない経口剤を製造した。
(表3)実施例22〜25の薬学的組成物
Figure 2007521310
*ファルマバーストエックス:エスピーアイファルマ社の速崩解性賦形剤の商品名
実施例26〜27
上記表1の実施例14〜15の組成物中のパロキセチンコレート、リン酸二カルシウム、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、ここにステアリン酸マグネシウムの該当量を加えて再度混合し、通常の方法で2号カプセルに充填した。
実施例28〜29
上記表2の実施例18〜19の組成物中のパロキセチングリココレート、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びL-ヒドロキシプロピルセルロースの該当量を混合して30メッシュの標準網で篩い、これをポビドンK-30の該当量を水に溶解した結合液で練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、18メッシュの標準網を通過させて18メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。ここにステアリン酸マグネシウムの該当量を加えて混合し、通常の方法で2号カプセルに充填した。
実施例30〜31
パロキセチン塩酸塩1.51g〜3.02gとコール酸1.65gをそれぞれ均一に混合した後、30w/v%のポビドンK-30を含有するエタノール0.7g〜1gを加えて練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、30メッシュの標準網を通過させて30メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。これをコール酸を含有するパロキセチン組成物として使用した。
実施例32〜33
実施例30〜31で製造されたパロキセチン組成物からパロキセチン遊離塩基として20mgの該当量を取り、上記表1の実施例14と同量のリン酸二カルシウム、微結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを混合して30メッシュの標準網で篩った。ここに実施例14と同量のステアリン酸マグネシウムを加え、再度混合して通常の方法で錠剤を圧縮成形した。
実施例34
パロキセチン遊離塩基1.33gにエタノール0.5gを加えてスラリーを形成させ、ここにコール酸3.3gを加えて練合した。この練合物を40℃の乾燥オーブンでLOD(loss of drying)が2%以下になるように乾燥した後、30メッシュの標準網を通過させて30メッシュ以下の大きさの顆粒粒子を得た。これをコール酸を含有するパロキセチン組成物として使用した。
実施例35
実施例34で製造されたパロキセチン組成物からパロキセチン遊離塩基として20mgの該当量を取り、上記表1の実施例16と同量のリン酸二カルシウム、アスパルテーム、オレンジ香パウダーを混合して30メッシュの標準網で篩った。ここに実施例16と同量のファルマガムエスとステアリン酸マグネシウムを加え、再度混合して通常の方法で錠剤を圧縮成形した。これにより水無しで摂取および嚥下でき、口腔内で非常に速く崩解しても苦味を有さない経口剤を製造した。
比較例1:味の比較
予め製造した次の表4の薬物を何ら賦形剤や水、又はその他の溶媒を使用せずに直接固体状態の原料で5mgずつ取り、各3名ずつの被験者に10分間味評価を行わせた。パロキセチンは本来その物質自体の特性により、味わったときに非常に少量の原料だけでも初めは強い苦味を感じ、時間が経つほど耐え難い程度の苦味と共に刺激的な痛みを感じるようになる。
実験の結果、次の表4のようにパロキセチンコレートとパロキセチングリココレートを除いた他の種類の塩は、全て初めの苦味と共に後の痛みが全く無くならず残り、特に市販又は許可されているパロキセチン塩酸塩とパロキセチンメタンスルホネートもまた、パロキセチン特有の味が変わらなくそのままで、これにより被験者が強い拒否感を表わした。しかし本発明のパロキセチンコレートとパロキセチングリココレートは、パロキセチンに基因する特有の苦味と痛みを驚くほどに無味化及び無痛化させ、被験者が味に対する何ら拒否感を表わさなかった。またパロキセチンとコール酸を配合したものだけでもパロキセチン特有の味と痛みを減少させることができることを確認した。よって、本発明のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩、及びパロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体の組成物は抗うつ剤のための経口崩解型錠剤に適する。
(表4)パロセキチン塩類の味
Figure 2007521310
比較例2:安定性の比較
予め製造された次の表5の薬物を、それぞれ0.3%の過酸化水素水溶液1mg/mLで完全に溶解させた後、80℃の苛酷な条件で保管しながら含量の変化を測定した。0.3%の過酸化水素水溶液は、人為的に酸化反応を促進するために添加される苛酷な条件で通常的に薬物の安定性を迅速に判断するために使用する。そして含量分析はUSPのパロキセチン含量分析法に従ってHPLCで分析した。
その結果、パロキセチンコレート及びパロキセチングリココレートは他の如何なるパロキセチン塩類からも観察されない高い安定性を表わした。特に市販又は許可されているパロキセチン塩酸塩とパロキセチンメタンスルホネートは、48時間目に54%以下まで含量が急減し、120時間以内に約15%以下の含量が観察され、120時間以内に薬物の殆ど全量が消失するという結果を示した。これに反して本発明の塩は、48時間目に89%以上の含量を維持し、120時間目にも約54%以上の含量を示し驚くほどに卓越した安定性が立証された。また、このような安定性の向上は、パロキセチンとコール酸を配合することだけでも同等の効力があることが確認された。
(表5)パロキセチン塩類の苛酷安定性(80℃チェンバー、0.3%過酸化水素)
Figure 2007521310
産業上の利用可能性
本発明の新規塩は、既存のイオン交換樹脂によるパロキセチン錯体やシクロデキストリンによる包接体、高分子によるコーティング物、香料や甘味成分のように強い味や香りによる味覚変化等の方法のように、香料や甘味剤のように異なる物質から基因する強い味や香りによって薬物の苦味を抑える方法ではなく、むしろ弱い苦味を有するコール酸又はコール酸誘導体を利用してパロキセチンと塩を形成することにより、薬物の苦味を他の味に変化させることなく薬物から基因する味自体が完全になくなるようにする効果を有し、驚くほどに無味な(味が感じられない)状態としてパロキセチンの味の無味化及び無痛化を可能にした。これは国際公開公報第03/013470号と国際公開公報第03/013529号で開示されたグリシルリジン酸又はグリシルリジン酸塩で甘草の強い香りや味によってパロキセチンの味覚変化を誘導するものとは異なり、本発明はむしろ弱い苦味を有するコール酸及びその誘導体を利用して味を変化させることなく味自体を無味化させたものであり、上記のグリシルリジン酸塩とは区別される。また本発明の結果物であるパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩は一般的に薬物の安定性評価時に含量減少の主要原因と考えられる酸化反応に対する安定性が異なるパロキセチン塩とは比較にもならない程度に安定することが観察された。
よって本発明のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩は、水無しで嚥下するための経口投与用薬剤、特に固形剤抗うつ剤に適するだけでなく、優れた安定性により液状製剤にも適用可能だと言える。
また、このような無味化及び安定性に対する特異な効果は、塩形成だけでなく、パロキセチンと、コール酸又はコール酸誘導体を配合することによっても得られることを確認した。
例示のために本発明の好ましい態様を開示したが、当業者は、添付の特許請求の範囲に開示された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変、追加、および置換が可能であることを認識するであろう。

Claims (19)

  1. コール酸及びその誘導体が、下記式1
    Figure 2007521310
    (式中、R1、R2、R3は水素又はヒドロキシ基を意味し、Xは-OH、-ONa、-NH-(CH2)n-SO3H、-NH-(CH2)n-SO3Na、-NH-(CH2)n-SO3K、-NH-(CH2)n-CO2H、-NH-(CH2)n-CO2Na又は-NH-(CH2)n-CO2Kを意味し、nは1〜3である) ;又は
    式2
    Figure 2007521310
    (式中、Xは、上記式1で定義した通りである)
    で表わされる、パロキセチンコレート(cholate)又はコール酸誘導体塩。
  2. パロキセチンコレートである、請求項1記載の塩。
  3. パロキセチン塩が結晶形である、請求項1又は2記載の塩。
  4. パロキセチン塩が非結晶形である、請求項1又は2記載の塩。
  5. 請求項1又は2記載のパロキセチン塩と共に薬学的に許容可能な賦形剤を含有する薬学的組成物。
  6. 水無しで嚥下するための経口調製物に製剤化される、請求項5記載の薬学的組成物。
  7. コール酸及びその誘導体が、下記式1
    Figure 2007521310
    (式中、R1、R2、R3は水素又はヒドロキシ基を意味し、Xは-OH、-ONa、-NH-(CH2)n-SO3H、-NH-(CH2)n-SO3Na、-NH-(CH2)n-SO3K、-NH-(CH2)n-CO2H、-NH-(CH2)n-CO2Na又は-NH-(CH2)n-CO2Kを意味し、nは1〜3である) ;又は
    式2
    Figure 2007521310
    (式中、Xは、上記式1で定義した通りである)
    で表わされる、パロキセチンと、コール酸又はその誘導体を含む組成物。
  8. パロキセチンと、コール酸又はその誘導体のモル比が1:0.5〜1:2で配合された、請求項7記載の組成物。
  9. パロキセチンと、コール酸又はその誘導体が水又は有機溶媒中で均一に配合され乾燥されることにより製造された、請求項7又は8記載の組成物。
  10. 請求項7又は8記載の組成物と共に薬学的に許容可能な賦形剤を含有する、薬学的組成物。
  11. 薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含有する、請求項9記載の薬学的組成物。
  12. 水無しで嚥下するための経口調製物に製剤化される、請求項10記載の薬学的組成物。
  13. 水無しで嚥下するための経口調製物に製剤化される、請求項11記載の薬学的組成物。
  14. 請求項1記載のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩を、治療上効果的な量で、治療を必要とするヒトに投与する工程を含む、うつ性疾患の治療方法。
  15. 請求項7記載の組成物を、治療上効果的な量で、治療を必要とするヒトに投与する工程を含む、うつ性疾患の治療方法。
  16. 請求項1記載のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩の、うつ性疾患治療のための使用。
  17. 請求項7記載の組成物の、うつ性疾患治療のための使用。
  18. うつ性疾患治療用薬剤の製造における、請求項1記載のパロキセチンコレート又はパロキセチンコール酸誘導体塩の使用。
  19. うつ性疾患の治療用薬剤の製造における、請求項7記載の組成物の使用。
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