JP2007514002A - 腫瘍転移の抑制方法 - Google Patents

腫瘍転移の抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007514002A
JP2007514002A JP2006545621A JP2006545621A JP2007514002A JP 2007514002 A JP2007514002 A JP 2007514002A JP 2006545621 A JP2006545621 A JP 2006545621A JP 2006545621 A JP2006545621 A JP 2006545621A JP 2007514002 A JP2007514002 A JP 2007514002A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
leukotriene
atom
cells
pranlukast
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006545621A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3983272B2 (ja
Inventor
昌子 野崎
Original Assignee
有限会社 炎症研究所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社 炎症研究所 filed Critical 有限会社 炎症研究所
Publication of JP2007514002A publication Critical patent/JP2007514002A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3983272B2 publication Critical patent/JP3983272B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/41Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with two or more ring hetero atoms, at least one of which being nitrogen, e.g. tetrazole
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/40Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil
    • A61K31/403Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil condensed with carbocyclic rings, e.g. carbazole
    • A61K31/404Indoles, e.g. pindolol
    • A61K31/405Indole-alkanecarboxylic acids; Derivatives thereof, e.g. tryptophan, indomethacin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/47Quinolines; Isoquinolines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/04Antineoplastic agents specific for metastasis

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

ロイコトリエンC4及びD4拮抗剤を用いて、腫瘍細胞の内皮細胞への接着を抑制するように作用させ及び/又は毛細血管の透過性を抑制させ、それにより、腫瘍細胞の血管外遊出を防止することによって腫瘍転移を抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は、腫瘍転移を抑制する方法、並びに内皮細胞への腫瘍細胞の接着及び/又は腫瘍細胞の血管外脱出の過程での毛細血管の透過性を抑制する方法に関する。
アラキドン酸(AA)は、機械的要因、温度的要因、化学的要因、細菌等、数多くの侵害要因に応答して細胞膜のリン脂質から細胞質中に放出され、その産物(エイコサノイド合成物のプロスタグランジン及びロイコトリエン)は、生物学的に多方面において重要であることが解明されている。ほとんどのエイコサノイド化合物には、炎症、疼痛及び熱応答を悪化させる傾向がみられ、抗炎症剤及び鎮痛剤に関する広範な研究の標的となってきた。例えば、コルチゾン等の抗炎症ステロイドは、膜リン脂質からアラキドン酸を生成するホスホリパーゼ酵素類を抑制することにより作用する。アスピリンやイブプロフェン等の鎮痛剤は、アラキドン酸がエイコサノイド、プロスタグランジン、プロスタサイクリン及びトロンボキサンに転換制御するサイクロオキシゲナーゼ酵素類をある程度まで阻止することにより作用する。
さらに、プロスタグランジン及びロイコトリエンは、末梢及び中枢神経系(CNS)の両方において炎症発生に関与していることが知られている。過去30年以上にわたる研究の成果もむなしく、プロスタグランジンがどのようにして炎症に関与しているかについては未だ正確に解明されていない。他方、ロイコトリエン受容体拮抗剤を用いた近年の研究により、ロイコトリエンが、上記の過程において大きな役割を果たしている可能性を示唆している。
ロイコトリエンは潜在的脂質伝達物質であり、システイン基の有無に基づき、2分類される。ロイコトリエンBにはシステイン基がないが、ロイコトリエンC、D、E及びFは、システイン基ロイコトリエンである。これらの化合物は、1980年代の初頭より炎症剤として認められてきた(von Sprecherら、1993及びPiper、1984)。
1990年代に入ると、体内でロイコトリエン活性を抑制及び阻害することができ、「ロイコトリエン拮抗剤」として知られる種々の薬剤が同定されるようになった。ここでは「ロイコトリエン拮抗剤」なる用語は、天然のロイコトリエンの1又はそれ以上の亜種が有する濃度、活性又は影響を抑制するかブロックし、或いは低減するか対抗する薬剤について言及するにあたり、従来かかる用語がもつ医学上の意味で用いられている。しかしながら、こうしたロイコトリエン拮抗剤は、一方が5−リポキシゲナーゼを抑制し、他方がロイコトリエンの受容体に競合的に拮抗するという異なる作用メカニズムに基づいて、2つのグループに分類することができる。プランルカストはロイコトリエン拮抗剤の1つであり、特異的にロイコトリエンC4およびD4受容体レベルに作用する。
ロイコトリエン受容体拮抗剤の幾つかは、脳の炎症治療に使用されることが開示されているが(例えば、J63258−879−A、JO2−169583−A、WO9959964−A1、EP−287−471−A)、開示されているロイコトリエン受容体拮抗剤は全て、血液脳関門(BBB)を通過すると推定されており、それは、脳の炎症を低減させ抑制するか又は脳の炎症に由来する脳疾患を治療するために、分子が血液脳関門を通過できなければならないというのが一般通念だからである(Wilkinsonら、2001)。知られている限りでは、ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤は血液脳関門を通過しないので、ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤は、ラット(Zhangら、2002)及びマウス(Zengら、2001)においてロイコトリエン受容体拮抗剤であるプランルカスト(ONO−1078)の局所性脳虚血に対する神経保護効果のために使用する以外に、脳の炎症を治療又は予防するためにこれまで使用されたことはない。しかしながら、ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤は、一般には 喘息治療に使用されている。ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤のプランルカストは、抗喘息薬として臨床用に用いられており、ほとんど副作用がないことが知られている。プランルカストは、ザフィルルカストやモンテルカスト等の他の拮抗剤と同様に、血液脳関門を通過しないか又は通過してもその量は極めて微量である。かかる化合物の上記以外の承認適応症外の使用としては、アレルギー性疾患の治療(Shih、米国特許第6,221,880号)、並びに偏頭痛及び群発頭痛の治療(Sheftellら、米国特許第6,194,432号)への適用が示唆されている。Demopulosらの米国特許第6,492,332号もまた、腫瘍細胞接着、疼痛及び炎症を抑制するための方法及び組成物において、抗炎症薬としてロイコトリエン受容体拮抗剤を用いることを報告しており、ここでは、腫瘍を除去する外科手術を受ける患者に、腫瘍細胞の接着/付着、及び/又は浸潤、及び/又は局所性転移を抑制する別の薬剤を含む組合せ薬剤が投与される。
急性又は慢性の炎症部位への白血球の遊走は、かかる細胞と内皮との間の接着の相互作用をともなう。この特異的接着は、炎症性傷害によって始まるカスケードの最初の事象であり、従って、生体の統制された防御にとって最重要である。炎症反応中の白血球と内皮との相互反応に関する細胞接着因子には現在のところつぎの四種類がある。(1)セレクチン類;(2)セレクチンに対するリガンドの(糖質及び糖タンパク);(3)インテグリン (4)インテグリンのリガンド類で免疫グロブリンスーパーファミィーに属する。
セレクチンは、白血球と血管内皮表面との間の細胞接着を仲介する細胞表面糖類結合タンパクである。例えば、e−セレクチンが循環している好中球の表面に発現したセレクチンのリガンドに結合することが、炎症や損傷部位にこれらの細胞を動員する初期段階であるローリングを開始させる。
癌は、先進国における主要な死因である。転移、すなわち、原発性新生物から離れた部位への細胞の拡散とそこでのそれらの増殖とは、癌の最も恐ろしい局面である。この脅威は十分に根拠のあることである。早期診断、外科的技術、患者の一般的ケア、並びに局所的及び全身的なアジュバント療法の顕著な進歩にもかかわらず、癌による死亡のほとんどは、従来の療法では治らない転移によるものである。多くの証拠は、糖類が仲介する癌/腫瘍細胞の血管内皮上のセレクチンに対する接着が、胃癌、大腸・直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、子宮癌、頭部及び頸癌、並びに乳腺癌等を含む多種多様な上皮癌の転移に関与していることを示唆している。
図1に転移プロセスが示されており、ここでは、
1)初期形質転換の事象後に、新生細胞の単細胞か又は多細胞のいずれかの増殖が進行することになる。
2)腫瘍塊が直径2mmを越えた場合に、広範囲な血管新生が生じることになる。
3)血管形成因子の幾つかの合成及び分泌は、周囲の宿主組織から新しい毛細血管網を樹立する際に重要な役割をする。
4)幾つかの腫瘍細胞による宿主ストローマの局所的浸潤は、相互的に排除しない幾つかの機序によって起こりうる。薄壁静脈様リンパ管は、腫瘍細胞による浸透にはほとんど抵抗せずに、循環系への腫瘍細胞の侵入のための最も一般的経路を提供する。
5)小さい腫瘍細胞の凝集塊の剥離及び塞栓が生じる。
6)循環系を生き延びた腫瘍細胞は器官の毛細血管床中に静止する。e−及びp−セレクチンは、活性化した内皮細胞上に現れ、シアリル−Lewis及びシアリル−Lewis抗原を介して腫瘍細胞と相互に作用する。
7)血管外脱出が生じる。
8)器官実質内の増殖が転移プロセスを完了させる。
血管内皮表面への悪性細胞の接着は、組織部位への炎症細胞の動員に関与するものと同じ接着受容体ファミリに関与する。セレクチン類は、内皮細胞(EC)の活性化に続く一連の分子段階のカスケードに関与している。
セレクチン類は、構造的にも機能的にも統一された細胞接着分子である。構造的には、セレクチン類は、カルシウム依存性レクチン(C−レクチン)と相同なドメインと、内皮増殖因子(egf)様ドメインと、幾つかの補体結合様ドメインを含む特徴がある。(Bevilacquaら、1989;Johnstonら、1989;Laskyら、1989;Siegalmanら、1989;及びStoolman、1989)。機能的には、セレクチン類は、それらのレクチンのドメインと細胞表面糖類リガンドとの間の相互作用を介して細胞結合を仲介する共通能力とを合わせ持つ。(Brandleyら、1990;Springer及びLasky、1991;Bevilacqua及びNelson、1993並びにTedderら、1989)。
これまでに細胞接着分子のセレクチン・ファミリーに同定されているのは、3種類、すなわち、L−セレクチン(末梢リンパ節ホーミング受容体(pnHR)とも呼ばれる、LEC−CAM−1、LAM−1、gp90MEL、gp100MEL、gp110MEL、MEL−14抗原、Leu−8抗原、TQ−1抗原、DREG抗原)と、e−セレクチン(LEC−CAM−2、LECAM−2、ELAM−1)と、p−セレクチン(LEC−CAM−3、LECAM−3、GMP−140、PADGEM)とである。
糖類決定因子であるシアリルLewis(SLe)及びシアリルLewis(SLe)は、頻繁にヒト癌細胞上に発現し、血管内皮細胞上に発現するe−セレクチンに対するリガンドとして働く。これらの糖類決定因子は、癌細胞の血管内皮に対する接着に関与しており、そのため癌転移の一因となる。セレクチン類は、白血球の動員に関与する誘導可能な内皮発現接着分子である。これらの分子によって仲介される最初の接着は、幾つかのサイトカインの作用によってインテグリン分子の活性化を始動させる。癌細胞の表面における糖類リガンドの発現度合は、転移頻度と強く相関する。SLe及びSLeに向けられたモノクローナル抗体は腫瘍細胞(白血病、結腸癌、及び細網肉腫細胞)のEC及び血小板への接着を阻止する。また、セレクチンの発現は、しばしば乳腺癌内皮上で上方制御される。
GMP−140又はPADGEMとしても知られているp−セレクチンは、休止状態の(刺激されていない)血小板及び内皮の分泌性顆粒中にある膜糖タンパクである。伝達物質がこれらの細胞を活性化するときに、p−セレクチンは形質膜へ速やかに再配分される。セレクチンは、構造的及び機能的に関連する分子ファミリを構成する。
これ等の分子群に共通の構造モチーフには、N−末端レクチン様ドメインや、EGF様部位、繰り返す補体結合タンパク質様ドメイン、短い細胞質ドメインが含まれる。
p−セレクチンは、活性化された血小板及び内皮上に、それが発現したときの好中球及び単球のための受容体である。この特性は、組織損傷領域における白血球の内皮への速やかな接着と同時に炎症及び出血部位における血小板−白血球の相互作用も促進する。研究によれば、p−セレクチンは、多様な組織部位において腫瘍細胞と結合すること、及び、それが腫瘍由来の多くの細胞株の細胞表面に結合することもまた解明されている。他の接着分子と協同して作用することで、p−セレクチンは腫瘍転移に関与し、そのため接着受容体機能をブロックする薬剤の標的となる。
転移におけるセレクチン類の役割を支持する研究は、インビトロのフローモデルを用いたヒト結腸癌細胞株のセレクチン類への接着に基づくものである。
p−セレクチンの組換体及びp−セレクチンを発現しているチャイニーズ・ハムスターの卵巣細胞は、KM12−L4結腸癌細胞のアッタチメント及びローリングを支持したものであり、この効果は、KM12−L4細胞をノイラミニダーゼで前処理することによって消失した。KM12−L4細胞は、PSGL−1非依存性接着経路を介してp−セレクチンと相互作用する。e−セレクチン−IgGキメラもまた、流体フロー下で結腸癌細胞のシアリル化部分依存性の接着を支持することが見出された。このように、シアリル化部分は、フロー条件下でヒト腫瘍細胞のIL−1擬似性内皮へのセレクチン仲介接着に関与する。さらに、ヒト結腸癌細胞のヒト及びマウスECへのe-セレクチン仲介結合の効率は、癌細胞転移の可能性と相関することが見出された。
最近の研究によって、2つのヒト結腸癌細胞株HT−29及びCOLO201のヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)へのインビトロ接着を仲介する際のe−セレクチン−シアリルLewis(Sle)/シアリルLewis(Sle)の相互作用の役割が、評価された。結腸癌細胞株は、強力発現の糖類エピトープを有しており、HT−29及びCOLO201細胞のIL−1刺激HUVECへの接着は、e−セレクチン対するモノクローナル抗体によって阻害されることが確認された。Sleに対して標的とした2つの異なる抗体及び関連するLewisエピトープであるLeとLeに対して標的とした抗体と細胞との事前インキュベーションは、接着に有意な影響が一切なかった。Sleに対して標的とした3つの抗体は、HT−29及びCOLO201細胞の接着を阻害する能力において、異なっていた。従って、Sleエピトープは、主にe−セレクチンによって仲介される結腸癌細胞の接着にとって重要である。
さらなる研究は、腫瘍壊死因子α(TNF−アルファ)によるHUVECの前処理が、COLO205癌細胞株の結合を増強することを実証した。増大した接着は、4時間で最大の腫瘍細胞の付着をともなう濃度及び時間の両方の依存性が観察された。この結果は、内皮上の接着分子e−セレクチンの発現の増加に一致した。COLO205の添加に先立ってTNF−刺激HUVECを抗e−セレクチンmAbであるBB11と一緒になされたインキュベーションは、腫瘍細胞の接着を完全に阻害する結果となった。かかる研究は、e−セレクチンに対して標的とした特異的抗体が、内皮細胞標的への腫瘍細胞の付着を抑制するのに有用であることを確認するものである。他の研究によって、抗p−セレクチン又は抗−L−セレクチンのモノクローナル抗体のいずれか(例えば、MAb PB1.3及びMAb DREG−200)、或いはシアリルLewis含有オリゴ糖(Sle−OS)との前処理は、細胞接着を抑制する上で有効であることが見出された。
インビトロ及びインビボにおける同様の研究によって、ヒト膵臓癌由来のSW1990細胞を用いて、転移プロセスにおけるセレクチンの役割が確認された。SW1990細胞もまた、Sle及びSLeの抗原であるCD44H、並びにβ1インテグリンを強力に発現する。これらの細胞は、IL−1活性化HUVECS及びヒト腹膜中皮細胞への結合活性を示す。癌細胞の内皮細胞への着床を導く接着は、Sle及びβ1インテグリンに対する抗体による処置によって抑制された。動物実験において、Sle及びβ1インテグリンに対する抗体による処置は、各々、ヌードマウスのSW1990細胞による肝臓への転移の発生を抑制し、それらの生存を延ばした。
ここに引用される文献は、これらの文献が先行技術に関係があること、又は本出願のいずれの請求項の特許性に対して考慮すべき材料であることを容認するためのものではない。文献のいずれの内容又は日付に関する記述も、出願時において出願人が入手可能な情報に基づくものであり、こうした記述の正確性に関する容認を構成するものでもない。
WO99/59964 米国特許第6,221,880号 米国特許第6,194,432号 米国特許第6,492,332号 J. Lipid Mediat. 6:265-273(1993) Physiol. Rev., 64(2):744-61 (1984) Basis of Therapeutics. 10th ed. (2001) Acta Pharmacol Sin, 23(10):871-877 (2002) Acta. Pharamaceutics Sinica, 36(2):148-150 (2001) Science 243: 1160-1165 (1989) Cell 56: 1033-1044 (1989) Cell 56: 1045-1055 (1989) Science 243: 1165-1172 (1989) Cell 56: 907-910 (1989) Cell 63, 861-863 (1990) Nature 349, 19-197 (1991) J. Clin. Invest. 91 379-387 (1993) J. Exp. Med. 170: 123-133 (1989)
本発明は、外科手術が進行中ではないすなわち同時には行わない状態で、それを必要とする被検体か或いは抗腫瘍細胞接着特性、抗浸潤特性又は抗転移特性を有する他の化合物のいずれも併用することなく、それを必要とする被検体のいずれかに有効量のロイコトリエン拮抗剤を投与することによって、腫瘍転移を抑制する方法を提供する。
本発明はまた、腫瘍細胞の内皮細胞への接着を抑制する方法及び/又は腫瘍細胞の血管外脱出の過程での毛細血管の透過性を抑制する方法を提供する。
本発明はさらに、腫瘍細胞の毛細血管の透過性の抑制剤をスクリーニングする方法を提供する。
本発明は、腫瘍転移を抑制する方法を提供するものであり、それは、有効量のロイコトリエンC4及びD4の受容体拮抗剤、好ましくはプランルカスト、又はその薬学的に許容される塩を、腫瘍除去のための外科手術などの外科手術を同時には受けていない状態で、それを必要とする被検体か、或いは米国特許第6,492,332号に開示されている化合物などの抗腫瘍細胞接着特性、抗浸潤特性又は抗転移特性を有する他の化合物のいずれも不存在状態で、それを必要とする被検体のいずれかに、投与することに関する。
用語「ロイコトリエン拮抗剤」は、天然のロイコトリエンの1又はそれ以上の亜種が有する濃度、活性、又は影響を抑制するかブロックし、或いは低減するか対抗する薬剤について言及するにあたり、従来かかる用語がもつ医学上の意味で用いられている。ロイコトリエン拮抗剤は、典型的には受容体レベルにおけるロイコトリエンの作用に拮抗し、ここでは「ロイコトリエンC4およびD4受容体拮抗剤」というのが、より好ましい。
ここで用いられるときには、用語「腫瘍」は、少なくとも一部において、脈管形成の血管系を含むことによって特徴付けられる形質転換細胞の塊を意味する。用語「腫瘍」は、腫瘍実質細胞塊に浸潤した脈管形成の血管を含む腫瘍実質細胞であるとともに支持ストローマを包含するというように、広範囲に用いられる。腫瘍は一般に悪性腫瘍、すなわち転移能力を有する癌であるが、新しい血管新生が腫瘍に伴うのであれば、腫瘍は非悪性であるということにもなる。ここで意図される腫瘍細胞は、転移性腫瘍由来のものである。ここで用いられるときには、用語「転移」は、原発性腫瘍から離れて成長し、剥離して移動した細胞から生じた2次腫瘍をいう。
本発明者は、初期段階でロイコトリエンC4及びD4の受容体拮抗剤、特に、プランルカストを用いて炎症機構を研究した。一般に、炎症応答が発生するときには、様々なサイトカイン及び他の炎症伝達物質が局所血管に作用し、内皮CAMの発現を増大する。かかる炎症誘発性サイトカイン及び炎症伝達物質は、p−セレクチン及びe−セレクチンを毛細血管の内皮細胞上で活性化し、次に逐次的に(1)ローリング段階、(2)トリガリング段階、(3)静止/接着段階、(4)経内皮遊走段階へと続く白血球の血管外遊走プロセスを開始させると考えられている。
炎症プロセスは以下のように理解される、すなわち、
1)侵害刺激によって活性化されたマクロファージは、組織においてTNF−αとインターロイキン−1βとインターロイキン−6とを分泌する。
2)血管内皮細胞は、毛細血管中に、TNF−αとインターロイキン−1βとによってe−セレクチン発現を増加させ、ヒスタミンとトロンビンとによってp−セレクチン発現を増加させる。
3)循環中の白血球は、PSGL−1又は四糖類のシアリルLewisとシアリルLewisとシアリルLewisのようなe−及びp−セレクチンに結合するムチンを発現する。この結合は、白血球の血管内皮へのアタッチメント又はテザリングを仲介して、細胞を血流方向に回転させるようにする(ローリング)。p−セレクチン及びシアリルLewis依存性の変質がラットの空腸中間にあるロイコトリエンC/Dによって誘導されるが、ロイコトリエン受容体拮抗剤は有効でなかった。その後、強力なセレクチン抑制剤が開発されてきた。
4)白血球がローリングするのにともない、ケモカイン(インターロイキン8、MIP−1α/β、及びMCP−1)及びPAF、補体分解物(C5a、C3a及びC5b67)並びに様々なN−ホルミルペプチドが、産生される。白血球細胞膜上の受容体へのかかる化学誘引物質の結合は、受容体に関連するG−タンパクによって仲介される活性化シグナルを始動させる。このシグナルが内皮上の免疫グロブリン・スーパーファミリー接着分子に関する親和性を高めて、白血球細胞膜にあるインテグリン分子に構造的変化を生ずる(トリガリング)。
(5)引き続いて、インテグリンと免疫グロブリン・スーパーファミリのCAMとの間の相互作用は、白血球の内皮細胞への接着を安定化させて内皮細胞に細胞を強固に接着するようにする(静止/接着)。
白血球は、次に、血管壁を通り組織中に遊走する。血管外遊走における段階及びそれがどの方向に向うかは、ほとんど未知である。それらを、白血球表面と毛細血管内皮細胞上のCD31との間を結合する分子によるか、又は白血球上のLFA−1と毛細血管内皮細胞上のJAMとの結合によって、仲介されるのかもしれない(血管外遊走)。
このように、白血球の血管外遊走は、毛細血管内皮細胞と、毛細血管内皮細胞上の分子と、ケモカインと、接着分子(セレクチンファミリー、インテグリンファミリー、及び免疫グロブリンスーパーファミリー)との間の相互作用によって引き起こされる進行的反応である。しかしながら、ロイコトリエンC及びDが中枢毛細血管において白血球の血管外遊走に当たっていかなる役割をするか、以前には全く知られていなかった。
本発明者は、ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤であるプランルカストが、ロイコトリエンC及びD受容体に競合的に拮抗して脳炎症(中枢炎症)及び敗血症(全身性炎症)を効果的に抑制することを見出した。
本発明者は、デキストラン誘発性ラットの足浮腫がプランルカストによって投与量依存法で抑制されることを、従前に発見した。約490mg/kgの投与量で腹腔内投与すると、プランルカストは、デキストラン誘発性足浮腫を完全に抑制した。これは、ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤が毛細血管内の内皮細胞において作用し、デキストランによって誘導された毛細血管の透過性の亢進を抑制することを示唆した。
ロイコトリエンC及びD受容体拮抗剤であるプランルカストの作用部位は、(毛細血管内皮細胞を含む)毛細血管内腔の内側である。プランルカストが血液脳関門を通過しないか又は極僅かしか通過しないため、プランルカストの抗炎症効果は、(亢進した)毛細血管透過性の抑制と、白血球の毛細血管内皮細胞への接着及び白血球の血管外遊走に関与する毛細血管内腔における白血球の血管外遊走の抑制とに起因する。このように、プランルカストは、血液脳関門を通過することなく脳の炎症を抑制する。血液脳関門の透過性を亢進させる脳炎症の場合には、血漿中のプランルカストは、透過性を亢進した血液脳関門を通過することができ、炎症領域に送達されることになる。
末梢の毛細血管において、プランルカストの作用部位は、基本的に中枢毛細血管の場合と同様であり、すなわち、プランルカストは、白血球の毛細血管内皮細胞への接着及び白血球の血管外遊走を含む毛細血管内腔における白血球の血管外遊走の抑制を通じて、抗炎症効果を有する。しかしながら、それは、末梢組織において、中枢毛細血管の構造と比較すると、一般の毛細血管構造が細胞内裂溝、ピノサイトーシス、及び窓のような開口部をより多く有しているため、より広範に分布されることになる。
プランルカストの作用機序は、以下に提示するデータに示されるように、末梢及び中枢の両方で後毛細血管細静脈における内皮細胞を安定化させ、炎症プロセスの第1段階における透過性を抑制する。炎症反応は3つの区別された相においておこり、各々が明らかに異なる機序によって仲介される、すなわち、
1.急性で一過性の第1相−血管拡張及び毛細血管透過性の亢進。
2.遅発性の亜急性の第2相−白血球及び食細胞の浸潤(白血球の血管外遊出)。
3.慢性増殖性第3相−組織変性及び線維化。
遅発性の亜急性第2相においては、4つの進行的な重複段階がある、すなわち、
1)活性化した内皮細胞上に出現したe-及びp-セレクチンがシアリルーLewisx およびシアリルーLewisa 抗原を介して白血球と相互に作用するローリングと、
(2)活性化と、(3)アレスト/接着 及び(4)血管外遊走とである。e−及びp−セレクチンはまた、上述の「背景技術」で論じたように、転移プロセスにおいて腫瘍細胞と相互作用することができる。本発明者は、炎症における白血球の血管外遊走と腫瘍(癌)細胞の転移における血管外脱出との間に共通機序があると予測しているので、白血球の血管外遊走を抑制するロイコトリエン拮抗剤、好ましくはロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤は、転移プロセスにおける腫瘍細胞の血管外脱出を抑制する為にも、使用する事ができる。
ロイコトリエン拮抗剤、好ましくはロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤、最も好ましくはプランルカストを本発明の方法に用いて、腫瘍を有するか又は将来外科的に切除する腫瘍を有することになる患者で、それを必要とする患者の腫瘍転移を抑制することができる。本発明はまた、内皮細胞、好ましくは毛細血管内皮細胞への腫瘍細胞の接着を抑制し、及び/又は腫瘍細胞の血管外脱出の過程において毛細血管の透過性を抑制するものであり、これは、ロイコトリエン拮抗剤を内皮細胞に接触させ、それによりロイコトリエン拮抗剤と接する内皮細胞への腫瘍細胞の接着をブロックし、及び/又は腫瘍細胞の血管外脱出の過程において毛細血管の透過性を抑制することによって、なされる。
本発明の方法において用いられる好ましいロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤は、プランルカスト(ONO−1078;小野薬品工業、大阪、日本)、ザフィルルカスト、及びモンテルカストか又はそれらの薬学的に許容される塩及び/又は含水化合物を含む。プランルカスト、モンテルカスト、及びザフィルルカストの化学構造を下記に示す。
薬学的に許容される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属と、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属とを含む。他の適切なロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤の限定されない例は、化合物である、8−[2−(E)−[4−(4−フルオロフェニル)ブチルオキシ]フェニル]ビニル]−4−オキソ−2−[5−1H−テトラゾリル)−4H−1−ベンゾピランナトリウム塩(MEN−91507;Menarini)と、CR−3465(Rottapharm)と、KP−496(科研製薬)と、4−[6−アセチル−3−[3−[(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェニル)チオ]プロポキシ]−2−プロピルフェノキシ]酪酸(MN−002;杏林製薬;米国特許第4,985,585号)と、(R)−3−メトキシ−4−[1−メチル−5−[N−(2−メチル−4,4,4−トリフルオロブチル)カルバモイル]インドール−3−イルメチル]−N−(2−メチルフェニルスルホニル)ベンズアミド(MCC−847;アストラゼネカ;EP531078)とを含む。
ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であるプランルカストが、本発明の方法における使用のための最も好ましいロイコトリエン拮抗剤である一方、プランルカストと構造が類似し、かつ内皮細胞への腫瘍細胞の接着を抑制する特性及び/又は毛細血管の透過性を抑制して腫瘍細胞の経内皮遊走を防止する特性を有するロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤化合物のさらに好ましい族もまた、本発明における使用のために含まれる。この好ましい族の化合物は、一般式(I)を有する化合物である。
ここでは、
、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ又はジ低級アルキル置換アミノ基、アラルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、Qは、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はテトラゾリル基を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−NR−(式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、Zは、水素原子又は低級アルキル基を示し、mは、1〜6の整数を示す。
式(I)の化合物において、R、R、R、R及びRが水素原子、Qがテトラゾリル基、X及びYが酸素原子、Zが水素かつm=4である化合物は、下記に示すようにプランルカストである。
式(I)の化合物の置換基を以下のようにさらに定義すると、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を示す。低級アルキル基及び低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ又はジ低級アルキル置換アミノ基におけるアルキル部分は、直鎖、分岐もしくは環状のC1〜C6アルキル基を示し、具体的例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、2−メチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることが出来る。
低級アルカノイル基及び低級アルカノイルオキシ基の低級アルカノイル部分は、直鎖、分岐もしくは環状のC1〜C7アルカノイル基を示し、具体的例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、2−メチルシクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等を挙げることができる。
アラルキル基は、C7〜C20のアラルキル基を示し、具体的例としては、ベンジル、フェネチル、α−メチルベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル等を挙げることが出来る。
アリール基は、C6〜C14のアリール基を示し、具体的例としては、フェニル、ナフチル等を挙げることが出来る。
ヘテロアリ−ル基は、C3〜C8のヘテロアリ−ル基であって、同一または異なってN、O、S各原子の1〜4個を含む単環、多環または縮合環であり、具体的例として、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノニル、3−キノニル、4−キノニル、5−キノニル、6−キノニル、7−キノニル、8−キノニル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリジル、3−ピロリジル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル等を挙げることが出来る。
好ましいロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤以外のロイコトリエン拮抗剤/抑制剤の限定されない例は、ロイコトリエンD4及びH1拮抗剤としてのテトラゾール誘導体(EP0905133A1)と、チアゾリルベンゾフラン誘導体(EP0528337A1)と、ロイコトリエンD4拮抗剤としてのキノリン誘導体と、ロイコトリエンD4拮抗剤としてのリポキシンA4及び誘導体(米国特許第5,079,261号)と、ロイコトリエン拮抗剤としてのエキナセア(WO99/21007)と、16ヒドロキシエイコサテトラエン酸のアナログ(WO99/59964)と、5−リポキシゲナーゼを抑制する拮抗剤とを含む。
ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤のプランルカストは、安全であることが見出された(ラットとマウスの両方におけるLD50>2000mg/kg(経口)及び(皮下))。プランルカストの単回投与(30mg/kg、100mg/kg、300mg/kg、1000mg/kg;経口)、及び、3ヶ月及び6ヶ月間のプランルカストの反復投与(30mg/kg/日、100mg/kg/日、300mg/kg/日、1000mg/kg/日;経口)の後に、対照群ラットと比較すると、ラットは正常な挙動と体重変化と食物摂取を示した。尿検査及び組織病理学的検査の結果もまた、プランルカストの単回投与及び反復投与で正常である。プランルカストの最大血中濃度(20mg/kgで投与)は、(経口)投与後1時間以内で得られ、少なくとも5時間維持された。しかしながら、こうした低投与量のプランルカスト投与後の24時間には、プランルカストは全く観察されなかった(小野薬品工業株式会社からのデータ)。
上記したように、プランルカストの抗炎症効果は、p−セレクチン及び/又はe−セレクチンの発現を抑制し、内皮細胞上の白血球特異的細胞接着分子(CAM)を抑制するか又は毛細血管内腔における白血球の血管外遊走中に重要な役割をするロイコトリエンC4及びD4受容体に拮抗する。
本発明の方法によると、腫瘍転移を抑制するロイコトリエン拮抗剤の有効投与量の大きさは、処置される状態の重篤度及び投与経路によって変化させることができ、その投与経路は経口であることが好ましい。従って、投与は全身投与であることが最も好ましい。投与量、おそらくは投薬頻度もまた、年齢、体重、及び個別患者の応答に応じて変化させることになる。一般に、ロイコトリエン拮抗剤の適切な一日当たりの経口投与量範囲は、当業者であれば容易に判断することができる。例えば、浮腫の処置のための公知のロイコトリエン抑制剤用に現在用いられている適切な投薬については、Medical Economics Company Inc.(2000)のPhysician’s Desk Reference、54版を参照されたい。ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤については、一日当たりの経口投与量範囲を適宜選択することができる。特にプランルカストについて、受容できる投与量は、好ましくは100mg/日〜2000mg/日、より好ましくは200mg/日〜1000mg/日、最も好ましくは400mg/日〜800mg/日である。モンテルカストについて、投与量範囲は、好ましくは5mg/日〜100mg/日、より好ましくは5mg/日〜50mg/日、最も好ましくは10mg/日〜20mg/日である。ザフィルルカストについて、投与量範囲は、好ましくは10mg/日〜300mg/日、より好ましくは20mg/日〜150mg/日、最も好ましくは40mg/日〜80mg/日である。
子供、65歳以上の患者、及び腎臓又は肝臓機能を損傷している患者は、始めに低投与量を受けて、次に個別応答か又は血中の投与量レベルに基づいて滴定がアップされることが、さらに推奨される。当業者であれば明らかであるように、いくつかの事例において、かかる範囲外の投与量を用いることが必要な場合がある。さらには、臨床医又は治療する内科医は、個別患者の応答に合わせて、どのような方法でいかなる時に治療を調節し、中断し、又は終了させるかについて精通していることが認識されるべきであろう。
現在のところ入手可能な多くのロイコトリエン拮抗剤についての現状で最も普通の剤形は、胃酸で溶解する必要性から経口処方である。剤形は、錠剤、トローチ、カプセル、ゲルキャップ、ロゼンジ及びそれに類するものを含む。それらの投与が容易であるため、錠剤及びカプセルが最も利便性のある経口投与量単位の剤形を表しており、ここでは固形薬剤担体が採用される。患者の意識がない場合には、カニューレで胃に投与することが好ましい。必要に応じて、錠剤を標準的な湿式又は乾式技術によって被覆することができる。現在のところ入手可能なロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤の少なくとも1つ、すなわち、Singulair(モンテルカスト)は、静脈内投与をすることができる。1日1回の投与を実行することができる。
本発明はさらに、腫瘍細胞が毛細血管から脳脊髄液に脱出する事を抑制する毛細血管透過性抑制剤のスクリーニング方法を提供する。このスクリーニング方法は、最初に被検物質をラット、マウス、スナネズミ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル等の非ヒト哺乳類に投与し、その直後に腫瘍細胞を非ヒト哺乳類に静脈内投与し、その後で毛細血管の透過性における亢進を引き起こす炎症誘発剤を脳の硬膜を貫通して挿入されるカニューレを介して非ヒト哺乳類のクモ膜下腔に投与することを含む。炎症誘発剤の投与後に、脳脊髄液を採取し、毛細血管からクモ膜下腔から採取した脳脊髄液中に血管外遊出した腫瘍細胞の数を、被検物質を全く投与しない対照と比較して、被検物質が腫瘍細胞の毛細血管の透過性の抑制剤であるかどうか判断する。この方法は、採取した脳脊髄液の容量が多いほど毛細血管の透過性が高いことを表す、採取した脳脊髄液の量(容量)を測定することを任意に含む。好ましい非ヒト哺乳類はラットである。
炎症誘発剤の例は、アラキドン酸、プロスタグランジン、トロンボキサン、ヒスタミン、酵母、LPS、デキストラン、ブラジキニン、カラギーナン、ロイコトリエン、TNF−α、インターロイキン−1β又はインターロイキン−6を含む。これらの中では、アラキドン酸などの低分子量化合物が好ましい。
被検物質を非ヒト動物に投与する方法は、特に限定されておらず、例えば被検物質の(脂質可溶性などの)化学的特性を考慮して、経口投与、皮下投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、経鼻(点鼻薬)投与、吸入、舌下投与、坐剤投与等のような公知の投与方法から、それを適宜選択することができる。被検物質が毛細血管内腔の内部を被覆する内皮細胞に作用させて、亢進した毛細血管の透過性及び毛細血管から組織への腫瘍細胞の浸潤を抑制することができるかどうかの判定は、腫瘍細胞の数及び/又は採取した脳脊髄液の量を測定することによって、行われることになる。しかしながら、脳脊髄液中の腫瘍細胞数は、脳脊髄液の量と併せて測定することが好ましい。さらに、脳脊髄液を、例えば30分毎または1時間毎に経時的に採取し、対照(被検物質の無投与)との相対値を判定することが好ましい。被検物質の投与が脳脊髄液の浸出を抑制し、対照において観察されるような脳脊髄液中の白血球の存在を抑制する場合に、さらにまた被検物質を毛細血管の透過性の亢進(特に腫瘍細胞の血管外脱出の形成に当たっては)の抑制剤とみなすことができるものであり、抑制剤化合物が炎症誘発剤の導入に先立って投与されたときには、それは毛細血管の透過性の亢進を抑制する防止剤として有用である。
ここまで本発明を一般的に説明してきたが、同じことが、例示のために提供され本発明を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによって、容易に理解されることになる。実施例1−4は、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤の抗炎症効果の作用形態が、毛細血管の透過性の亢進と毛細血管内皮細胞を含む毛細血管内腔における白血球の血管外遊走とを抑制するその能力によるものであることを示すために、提示される。
実施例1:末梢での研究
本発明者は、デキストラン誘発性のラット足浮腫が投与量依存法でプランルカストによって抑制されることを発見した。約490mg/kgの投与量で経口投与されたプランルカストは、デキストラン誘発性足浮腫を完全に抑制した(図2)。
このことは、LT拮抗剤が末梢毛細血管の内皮細胞で作用し、デキストランによって誘導された毛細血管の透過性の亢進を抑制するということを示唆した。毛細血管の内皮細胞中にある裂溝、窓、及びピノサイトーシス小胞のような多くの開口部にもかかわらず、プランルカストは、毛細血管の透過性を抑制した。タイトジャンクションの存在により脳の毛細血管の内皮細胞が他の毛細血管に比べて開口部が少ないため、プランルカストは、末梢の毛細血管の透過性に比べて脳の毛細血管の透過性を制御する上で有効とすることができる。それゆえ、こうした機序はCNSレベルにも作用する可能性が期待される。
実施例2:炎症プロセスにおける変化測定
炎症治療におけるロイコトリエン拮抗剤の役割を調べるために、中枢神経系についての炎症を測定するための感度のよい定量的な方法が、開発された。血液脳関門(BBB)の透過性と、アラキドン酸によって引き起こされる白血球(WBC)の脳脊髄液(CSF)への浸潤との両方が、同じ実験動物から経時的に測定することができるので、炎症プロセスの重要な変化をモニターすることができる。特に、ロイコトリエンC及びD拮抗剤であるプランルカストの効果が、この方法を用いて研究された。侵害受容性刺激としてアラキドン酸を投与することによって引き起こされるBBBの透過性と白血球(WBC)の浸潤との両方の炎症プロセスの変化が、観察された。
材料及び方法
約350−400gの雄ラットを、腹腔内(i.p.)に投与量50mg/kgのペントバルビタールナトリウムで麻酔した。動物は次に、定位固定ユニットに配置された。頭頂部から頸部の毛を剃毛した。実験部位を70%エタノール、次いで10%ポビドンヨード溶液で消毒した。頸髄上の皮膚及び筋肉を頸椎が露出するまで切開した。23G3/4ニードルを用いて、クモ膜下槽を経由して硬膜を貫通する穴を開けた。2−3mmのPE10カニューレ(内径0.001”、厚み0.007”、外径0.024”、長さ6.5cm)の一端が、神経組織の損傷を避けるようにして、頸髄のクモ膜下腔に挿入された(図3)。カニューレをシアノアクリル系接着剤によって末梢組織に固定した。PE10の他端が、アラキドン酸(AA;3.25μg/2μl)などの侵害刺激の投与のため、及び、引き続き脳脊髄液(CSF)をその後11時間の実験期間中に30分毎に採取するために、用いられた。カニューレ挿入後、直ちにカニューレがCSFで満たされた。
空気を注入してクモ膜下腔にAAを注入する。筋肉及び皮膚が外科ステープラで閉じられた。ラットが次に、定位固定ユニットから取り出されヒートパッド上に配置されて、連続的にモニターされた。
相互作用の研究において、ロイコトリエンC4及びD4拮抗剤であるプランルカスト(490mg/kg、腹腔内)が、アラキドン酸(AA)の投与の30分前に投与された。麻酔の効果が徐々に減じた場合には、追加の0.05−0.1mlのペンタバルビタール(50mg/ml、腹腔内)の投与量を投与した。実験中にはいつでも、動物が疼痛及び苦痛状態にあるように見えた場合には、研究を即時に停止して動物を安楽死させた。
実験後に、動物を化学換気フード中の密閉瓶の高濃度ハロタンガスに曝露することによって安楽死させた。
結果
CSFの容量は、クモ膜下腔へのアラキドン酸(3.25μg/2μl)の投与直後に増加した。CSF容量は、3.5時間内にピークに達した(図4A及び4B)。それは、AAの投与後の4−5時間で徐々に減少したが、この投与量レベルにおける11時間の観察期間中に、連続的レベルでCSFの流出が観察された。
WBCの浸潤は、脳炎症の急性で一過性の相に関連させることができる最初の30分以内では観察されなかったが、それから緩やかに増大し始めた(図4A及び4B)。全WBC数及びCSF容量の変化は、その後、平行しながら上昇及び下降した。これは、白血球と食細胞との浸潤によって最も特徴付けられる遅発性の亜急性の相を示唆している。対照動物においては、増加したCSFもWBC数も観察されなかった。中枢神経系の圧力が非常に低く(6−10mmHg)、通常、CSF中にWBCが全く存在しないため、これが正常状態である。
ロイコトリエンC4及びD4拮抗剤であるプランルカスト(490mg/kg、腹腔内)を用いたAA(3.25μg/2μl)の投与の30分前の前処理は、CSF容量の増大を完全に抑制した(n=4)(図5)。これは、プランルカストが脳の毛細血管における内皮細胞の透過性の亢進と同時に白血球の浸潤をブロックしたことを示すものである。
実施例3:ロイコトリエン受容体拮抗剤であるプランルカストの効果についての研究
炎症中の脳毛細血管における内皮細胞の透過性の亢進とWBCのCSFへの浸潤とについての評価
上記の方法を用いて、同じ動物で経時的に透過性の変化を測定することが可能である。同じ動物を用いて炎症を経時的に測定することができる他の方法はなく、結果として、(統計的有意性を得るために)特定の時点で少なくとも4匹の動物を屠殺する必要があった。例えば、30分毎(30分毎にn=4)に10時間にわたり炎症プロセスを調査する必要がある場合に、80匹のラットを屠殺する必要がある。本方法が脳の毛細血管の透過性における変化に関する情報だけでなく、WBCのCNSへの浸潤における変化に関する情報をも提供するということに注目すべき重要な事ある。
本方法を用いてCNS中へのWBCの浸潤についてのデータを得るためには、異なる時点で個体差を避けることが出来るので、4匹のラットのみが必要とされるだけである。本方法のみが、脳の毛細血管の透過性とCNS中へのWBSの浸潤との両方を定量的に測定することができ、かつ炎症プロセスのより完全な状況を提供することができる。
本研究において、脳脊髄液(CSF)の容量(μl)とCSF中の白血球(WBC)の数とが、同じラットで30分毎に11時間にわたり測定された。カニューレ(PE10)の一端は、神経の損傷を避けながら、ペントバルビタール麻酔の下でクモ膜下腔内に挿入された(図3)。脳組織が損傷されている場合には、アラキドン酸の投与がなくても、CSF容量及びWBCが直ちに増大する。正常ラットにおいては、全くCSF中にWBCが存在しないので、カニューレ挿入直後にCSF中にWBCが認められないラットのみが、用いられた。カニューレの他端は、解放した状態であり、侵害受容性刺激(アラキドン酸、LPS、デキストラン等)の投与のため、及び、引き続き実験中の30分毎にCSFを採取するために、用いられた。マイクロピペットを用いてCSF容量を測定し、血球計によってCSF中のWBC数を計算した。
アラキドン酸(3.2μg/2μl)は投与直後にCSF容量を増大させ、3.5時間以内に最大容量100−120μlに達した。その後に容量は減少したが、投与後4.0−5.0時間にわたり30分毎に60−80μlのCSF容量を持続した。WBCは、アラキドン酸の投与後の最初の30分間に検出されなかったが、次いで徐々に増加が観察された。WBCの増減は、経時的にCSF容量の変化に順じた。
プランルカスト(490mg/kg)は、クモ膜下腔へのアラキドン酸の適用の30分前に腹腔内に投与された。プランルカストは、中枢の毛細血管の透過性亢進によるCSF容量の増加とWBCの血管外遊走を完全に抑制した。
本方法は上記したように第1及び第2の炎症相を特徴付けており、急性で一過性の相は、局所の血管拡張と毛細血管の透過性の亢進が特徴であり(第1相)、遅発性の亜急性相は、白血球と食細胞との浸潤によって最も顕著な特徴がみられた(第2相)。
脳の毛細血管は、裂溝、窓及び顕著なピノサイトーシス小胞を有する末梢の毛細血管とは異なり、ピノサイトーシス小胞が比較的少なく、ミトコンドリアの数が極めて多く、かつ毛細血管におけるタイトジャンクションが存在する。ロイコトリエン受容体拮抗剤は、BBBを仮に通過したとしても極僅かにしか通過しないことが知られている。かかる研究における知見は、ロイコトリエン受容体拮抗剤が脳の毛細血管における内皮細胞の透過性を末梢的に抑制することを示唆している。内皮細胞は、相互に密接して並べられており、タイトジャンクションを形成する。脳の毛細血管「内部」のかかる内皮細胞は、裂溝通路、窓及び顕著なピノサイトーシス小胞を有している末梢の毛細血管上の内皮細胞と比較すると、漏出することはほとんどないようである。
ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤による脳炎症の治療は、毛細血管内腔とBBBとの間の内皮細胞の透過性を末梢的に抑制することにある。それため、中枢の毛細血管の透過性を減少させ、WBCの中枢神経系への浸潤を抑制するためのこの能力は、BBBを通過可能な薬物又はBBBを開放して脳炎症に薬物を到達させることができるようにする薬物に比べて、治療上重要となる。BBBが、一旦開放されると、脳の毛細血管の圧力が頭蓋内の圧力に比べて高いため、BBBの透過性が亢進し、脳浮腫の形成に寄与することになる。さらに、血液成分の中枢神経系への浸潤は脳の炎症を一相悪化する。
これらの方法は、以下のような新しい知見を提供する、すなわち、
(1)炎症プロセス(相1及び相2)を、かかる方法によって定量的に経時的測定ができ、かつ
(2)プランルカストが、同様に2次的な脳損傷も抑制する。
実施例4:ラットにおける外傷性脳損傷のモデルに対するプランルカスト及び他の抗炎症薬についての効果
プランルカストによる前処理は、両方の頸動脈の可逆的な30分の閉塞とその後の再灌流を用いたラット虚血モデルにおいて、延命という結果をもたらすことが見出された。4−5匹のラットの内の1匹が、プランルカスト(450mg/kg、腹腔内)が閉塞の30分前に投与されたときに1週間生存した。
さらに、インターロイキン−6によって引き起こされるWBCのCSF中への浸潤の増大は、無傷イヌにおいて(3種の異なる投与量で投与された)プランルカストの前処理によって、抑制された。
ロイコトリエンC4及びD4拮抗剤であるプランルカスト(450mg/kg、腹腔内)がアラキドン酸(3.25μg/2μl)によって引き起こされた炎症を完全に抑制することが、本発明者によって発見された。この炎症は、BBBの透過性の亢進とCSF中へのWBCの浸潤とに基づくものである。従って、ロイコトリエンC4及びD4拮抗剤(プランルカスト)は、炎症治療に有用である。
実施例5:ラットにおける転移抑制に対するインビボの研究
この研究に用いられた実験モデルにおいて、カニューレを介してクモ膜下腔から流出するCSFの容量と白血球と癌細胞とが、測定された。本実験モデルは、転移の新実験モデルとして役立つものである。
転移抑制を検査するためには、癌細胞の静脈注射前にプランルカストが(実施例2において行ったような腹腔内投与に代えて)経口投与される。アラキドン酸(AA)が次に、プランルカストの投与の2時間後に、クモ膜下腔に投与される。CSFの容量とCSF中の白血球数と癌細胞数とが、30分毎に測定される。この転移の新実験モデルを用いて、CSF中の癌細胞が無いなら、プランルカストが転移を抑制するということを実証することになる。
材料及び方法
細胞及び培養条件
培養ヒト癌細胞株、Colo201(結腸癌)及びMKN74(肺癌)、培養ラット癌細胞株RCN9は、ヒューマンサイエンス研究資源バンク(Health Science Research Resources Bank)(590−0535、日本国大阪府泉南市りんくう南浜2−11)から購入された。ヒト肺癌細胞株QG56は、日本国福岡県、九州癌センター、医学研究部門(Department of Laboratory Medicine)の一瀬幸夫博士から寄贈された。細胞は、5%ウシ胎児血清と、2mMのL−グルタミン(Gibco)と、100単位のペニシリンと、100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco Invitrogen Corp.Grand Island、N.Y.USA)とを補充したRPMI−1640(SIGMA、MO、USA)において、37℃及び5%COで培養された。
動物
Fisher344雄ラット(体重400±50g)由来のRCN−9の結腸癌細胞株、及びFischer344雄ラットを、Sankyou Lab−Service Co.から購入した。
化学物質
Abbott Laboratries(Abbott Park、IL、USA)の製品であるペントバルビタールナトリウム(ネンブタール注射)、及びZynaxis Cell Science Inc.の製品であるPKH67グリーン蛍光細胞リンカーキットを、大日本製薬(大阪、日本国)から購入した。ブタ肝臓由来のアラキドン酸(ナトリウム塩)をCalbiochem(San Diego、CA,USA)から購入した。112.5mg/カプセルのプランルカストを含むONONを、小野薬品工業株式会社(大阪、日本)から購入した。
その他
ポリエチレンチューブ(SP10、内径0.28mm、外径0.61mm)はNatsume Seisakusho Co.から供給され、ヘパリンナトリウム(5000単位/5ml)はShimizu Pharmaceutical Co.から購入された。
形態学的研究
癌細胞をPKHリンカーキットで染色した。インビトロでの研究において、蛍光顕微鏡(Axiovert S;Zeiss)を用いた癌細胞の形態学的外観を、光学顕微鏡(オリンパスCX21−22S−D)のものと比較した。倍率は63×0.5×215/11であった。
ラットをペントバルビタール(50mg/kg、腹腔内投与)で麻酔した。動物が麻酔から覚めたら(動物が如何なる種類の自発運動を示した場合は)、追加のペントバルビタールナトリウムを少しずつ投与して、実験期間中は深い麻酔を維持した。
太腿静脈を露出させ、生理食塩水中に0.002%ヘパリンで満たしたポリエチレンチューブを挿入した。ポリエチレンチューブの他端は、癌細胞の静脈内注射のために三方コックに接続された。動物を次に、定位固定ユニット(Narishige Scientific Instrument Lab.で製造されたType SRS−6)に配置した。頭頂部から頸部の毛を剃毛した。実験する領域を70%エタノールで消毒した。脊椎の上の皮膚及び筋肉を露出させた。18Gx1 1/2注射針を用いてクモ膜下槽を経由して硬膜を貫通する穴を開けた。もう一方のSP10チューブ(5−6cm長さ)の端(2−3mm)がクモ膜下腔に挿入された。カニューレをシアノアクリル系接着剤によって末梢組織に固定した。他方のSP10チューブ端は、アラキドン酸(8.16ng/2μlの生理食塩水)の投与のためと、その後のインビボでの形態学的研究の1−2時間及び、8時間にわたる相互作用の研究では30分毎に、引き続き脳脊髄液(CSF)を採取するために用いられた。
相互作用の研究
以下の本研究は、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であるプランルカストが毛細血管からの腫瘍細胞の細胞外遊出を抑制するかどうかを明らかにすることを目的としたものである。
調製
Ononのカプセルには112.5mgのプランルカストが含有されているので、2つのカプセルからの粉末を経口投与の直前に2.295mlの脱イオン水中で電動ミキサーによって撹拌した。プランルカストの投与容量は5ml/kg(投与量=490mg/kg)であった。
癌細胞の数は、PBSを用いて各ラットにおいて好中球の数の1/100に調製された。体重(400±50g)のため、癌細胞の数は1.88×10と2.43×10の間にあり、癌細胞の投与容量は各ラットにつき1mlに調節された。
アラキドン酸を生理食塩水に溶解し、816.25ng/2μlが各ラットに投与された。
3つの異なる処置が以下のように投与された、すなわち、
第1処置は、プランルカスト(490mg/kg、腹腔内投与)又は脱イオン水(腹腔内投与)であった。
第2処置は、癌細胞又はPBSによるものであった。
第3処置は、アラキドン酸又は生理食塩水によるものであった。
第1処置は、アラキドン酸の2時間前に投与された。第2処置(癌細胞、静脈内投与)は、アラキドン酸の2−3分前に投与された。大腿静脈及びクモ膜下腔への各動物の2本のカニューレは、第1処置と第2処置との間に挿入された。
実験スケジュールを以下の表1に示す。表の右側の数字は、結果についての図に対応する。各グループで4匹のラットが使用された。
測定
CSFの容量(μl)とWBC数及び腫瘍細胞数とが、第3処置後に8時間にわたり測定された。
統計
経時変化曲線下の面積をアラキドン酸後の8時間にわたり動物毎に計算し、ノンパラメトリック検定法すなわちMann−Whiteney U検定法を用いて、腫瘍細胞数と白血球数とCSFに対するプランルカスト(490mg/kg)の抑制効果を分析したが、それは、プランルカスト(490mg/kg)が完全に抑制するためである(面積はゼロであった)。異物としてヒト腫瘍細胞がラットの免疫系に影響を与えるのかどうかを分析するため、経時変化曲線下の面積と分散分析(Dunnet)を用いて、ラット癌細胞(RCN9)の各パラメータすなわち白血球数と腫瘍細胞数とCSF容量とが、COLO201とMKN74とQG56との対応するパラメータと、それぞれ比較がなされた。確率値p<0.05を有意とした。
結果
形態学的研究
脳の中枢毛細血管の表面には、血液脳関門として働く多くの溝がある(図6)。白血球は、腫瘍細胞も同様に血液脳関門のこれらの開口部から脱出することができた。
インビトロでの実験においては、全ての腫瘍細胞すなわち、COLO 201、MKN74、QG56、及びRCN9における細胞膜を通して、染色体を観察することができる。しかしながら、インビボでの実験においては、アラキドン酸の投与後に、かかる細胞は、毛細血管から組織(この場合はCSF)への遊走後のいかなる染色体も示さなかった。血管外遊出中の腫瘍細胞形状は、球形から平らな四角形に変化した(図7A−7C)。腫瘍細胞はアラキドン酸投与の直後に遊走し、次に白血球の遊走が続く。白血球もまた、それらの毛細血管中への接着時に四角形を有するが、血管外遊走後はそうではない(図7A−7C)。図7Cに示したように、腫瘍細胞は、それらの血管外遊走の開始前に内皮細胞上のCAMに接着しているように見える。この現象は、CAM又は内皮細胞に接着している四角形の好中球によって観察されるように(図7Aおよび7B)、腫瘍細胞と白血球(好中球)とで同じようである。外観が四角形になるような4つの接着点が存在する。
相互作用の研究
蒸留水もPBSも生理食塩水(蒸留水−PBS−生理食塩水)も、何の効果も与えなかった(図8)。腫瘍細胞が血管中に存在したとしても、腫瘍細胞がPBSの代わりに投与されても、アラキドン酸を投与しなければ、毛細血管の透過性の亢進あるいは白血球又は腫瘍細胞の血管外脱出は、全く生じることはなかった。腫瘍細胞がPBSに代わって投与された場合、即ち、COLO201(蒸留水−COLO201−生理食塩水)と、MKN74(蒸留水−MKN74−生理食塩水と、QG56(蒸留水−QG56−生理食塩水)と、RCN9(蒸留水−RCN9−生理食塩水)でも8図で示すように、(影響が無い)PBSと同じ反応を示した。
毛細血管の透過性の亢進はアラキドン酸の直後から、白血球の血管外遊走はアラキドン酸投与後の30分から始まる(蒸留水−PBS−アラキドン酸;図9)。かかる現象は、8時間の観察期間中に観察され、経時曲線下の面積は対照(蒸留水−PBS−生理食塩水)と比較すると、統計的に有意であった。
蒸留水−Colo201−アラキドン酸と、蒸留水−MKN74−アラキドン酸と、蒸留類−QG56−アラキドン酸と、蒸留水−RCN9−アラキドン酸との投与は、腫瘍細胞の血管外脱出(図10A)と、毛細血管の透過性の亢進(図10B)及び、白血球(図10C)の遊走の増加を誘導した。
プランルカストはまた、腫瘍細胞が血中に存在してもアラキドン酸がなければ何の影響も与えなかった。すなわち、プランルカスト−COLO201−生理食塩水、プランルカスト−MKN74−生理食塩水、プランルカスト−QG56−生理食塩水、及びプランルカスト−RCN9−生理食塩水(図8のグラフと同じ応答)。
しかしながら、プランルカストの投与は、アラキドン酸の投与によって引き起こされる毛細血管の透過性の亢進及び白血球の血管外遊走を抑制した(図11)。さらに、腫瘍細胞が血中にある時、すなわちCOLO201(プランルカスト−COLO201−アラキドン酸)、MKN74(プランルカスト−MKN74−アラキドン酸)、QG56(プランルカスト−QG56−アラキドン酸)、及びRCN9(プランルカスト−RCN9−アラキドン酸)、プランルカストはアラキドン酸による毛細血管の透過性亢進ばかりでなく、アラキドン酸による腫瘍細胞の血管外脱出を抑制した。
3種類の人の腫瘍細胞が、異物としてラットの免疫系に与える影響を統計分析した。ラット腫瘍細胞(蒸留水−RCN9−アラキドン酸)の血管外脱出(図12A)、CSF容量(図12B),WBC数(図12C)の結果が、人の腫瘍細胞COLO201(蒸留水−COLO201−アラキドン酸)、MKN74(蒸留水−MKN74−アラキドン酸)、及びQG56(蒸留水−QG56−アラキドン酸)の結果と比較した。COLO201の血管外脱出はRCN9に比較して有意に増加したが、他の2種類の腫瘍細胞は有意の差はなかった(図12A)。しかしながら、RCN9(蒸留水−RCN9−アラキドン酸)で得られた血管透過性の亢進及び、白血球の血管外遊走は人の腫瘍細胞COLO201(蒸留水−Colo201−アラキドン酸)、MKN74(蒸留水−MKN74−アラキドン酸)、及びQG56(蒸留水−QG56−アラキドン酸;図9)から得られた結果の間には有意の差はなかった(図12B及び図12C)。 MKN74(蒸留水−MKN74−アラキドン酸)の場合、白血球の遊走が血管内に腫瘍細胞がない場合(蒸留水−PBS−アラキドン酸)より、より早い時期(アラキドン酸投与後30分以内;図10C)に見られた。
考察
ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であるプランルカストは、血液脳関門を通過せず、毛細血管の透過性及び白血球の血管外遊出を抑制する。このことは、プランルカストの作用機序が末梢的なものであり、内皮細胞及び毛細血管内腔を含む血管の内側からのものであることを示唆している。
形態学的研究は、腫瘍細胞と白血球の両方共が、末梢毛細血管の内皮細胞間にある開口部を通ると同時に中枢毛細血管の血液脳関門の開口部を通り遊走することを示唆している。
平たい四角形になるようにそれらの形状を変化させる腫瘍細胞の能力は、毛細血管から組織へのそれらの遊走に有益である。薄形形状の腫瘍細胞は、開口部が実際に狭くても、平たい四角形の角が狭いな開口部を通り血管外脱出を開始するのに有利であるために、容易に開口部を通過することができる。
プランルカストによる腫瘍細胞遊走の抑制原理は、開口部を閉塞状態に維持する結果とすることができる。事実、図7A及び7Bにおける観察は、腫瘍細胞が未だ内皮細胞に接着している白血球よりも早くに遊走を開始することを示唆している。白血球の血管外遊出の始まる開始時間は、本研究におけるMKN74のような腫瘍細胞の幾つかの存在によって影響を受けることになる(図10C)。
本研究においては、3種類の異なるヒト腫瘍細胞及び1種のラット腫瘍細胞が用いられた。4種類全ての異なる腫瘍細胞の毛細血管からの血管外遊出が観察されており、ここでは、他の2種類のヒト腫瘍細胞(すなわちMKN74及びQG56)の数がRCN9と有意差がなかったのに、ヒト腫瘍細胞COLO201の数(=面積)は、8時間で有意に増大した。
ラット腫瘍細胞(RCN9)によって得られた毛細血管の透過性の亢進及び白血球数は、他の3種類のヒト腫瘍細胞によって得られた毛細血管の透過性及び白血球数と比較したときに、有意差がなかった。このことは、異物としてのヒト癌細胞がラット免疫系に対してほんの僅かの効果を与えたにすぎない可能性があることを示唆している。
MKN74が血中に存在する場合(蒸留水−MKN74−アラキドン酸;図10C)の白血球の遊走の開始時間の短縮については、MKN74が血中に存在しない場合(蒸留水−PBS−アラキドン酸)の図9のアラキドン酸投与直後からの血管透過性の亢進と30分後から白血球の血管外遊走の開始とを比較する時、ラットの免疫系に何らかの影響があることを示唆している。
この短縮された時間間隔は、白血球の遊走を開始するのに十分な大きさの血液脳関門の開口部になっているMKN74の血管外遊出の結果に影響されている可能性がある。しかしながら、8時間にわたる経時変化曲線下の面積によって測定されたような全体効果が分析されたが、統計的有意差は見出されなかった(図12C)。
血管内に腫瘍細胞を投与するために静脈に、又は中枢毛細血管から遊走した腫瘍細胞などの検体を得るためにクモ膜下腔にカニューレを挿入することは、肝臓癌細胞転移の研究のための手段を提供するものである。知る限りにおいて、毛細血管から遊走した白血球又は腫瘍細胞を計数できるクモ膜下腔のような部位は他にない。
腫瘍細胞及び白血球細胞の両方の表面は、種の間を区別し、且つ、内皮細胞上のp−セレクチン及びe−セレクチンに関するリガンドの糖タンパクであるシアリルLewisによって、被覆されていることが知られている。ヒト腫瘍細胞のシアリルLewisが内皮細胞上のかかるセレクチンを認識できないため、ヒト腫瘍細胞は内皮細胞に接着できず、そのために腫瘍細胞が毛細血管を通り遊走することは困難であると考えられている。
本研究において、ラットにおいて、3種類の全てのヒト腫瘍細胞が血管外遊走がアラキドン酸投与後に観察され、プランルカストによる前処理によって抑制された。
結論としては、本発明者は、以下のことを見出した、すなわち、
1)プランルカストは、毛細血管の透過性を抑制することにより腫瘍細胞及び白血球の細胞外遊出を抑制する。
2)プランルカストを、その安全性と長時間作用のために抗腫瘍転移剤/薬として使用することができる。
3)毛細血管の透過性の亢進を抑制することは、抗癌転移にとって必須である。
4)ヒト癌細胞がラットの毛細血管から組織に遊走することができるため、本動物モデルを、薬剤の抗癌転移特性のためのアッセイに用いることができる。
ここまで本発明を詳細に記載してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することも、過度の実験によることもなく、当業者であれば、広範囲の均等なパラメータ、濃度、及び条件内で本発明を同様に実行することができるということを理解するであろう。
本発明をその特定の実施態様に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であることが理解されるであろう。本出願は、一般に、本発明の原理に従い本発明のいかなる変形物、使用、又は適応をも包含することを意図しており、本発明が属する当該分野における公知又は通例の実施の範囲内、及び、特許請求の範囲に記載された上記の本質的特徴に適用することができるような本発明の開示からの逸脱をも含むことを意図するものである。
雑誌論文又はアブストラクト、刊行された又は対応する米国又は外国の特許出願、発行された米国又は外国の特許、或いは他のあらゆる引用文献を含み、ここに引用される引用文献の全ては、引用文献に引用された全てのデータ、表、図面、及びテキストを含めて、ここに引用により完全に組み入れられる。さらに、ここに引用文献内に引用された引用文献の内容の全てもまた、引用により完全に組み入れられる。
公知方法のステップ、従来方法のステップ、公知方法又は従来方法への言及は、本発明のあらゆる局面、説明又は実施態様が、関連技術において開示、教示又は示唆されていることを、いかなる意味でも認めるものではない。
特定の実施態様についての前記説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにしており、それは、他者が(ここに引用された引用文献の内容を含む)当該技術分野における知識を適用することによって、過度の実験を行わずに、本発明の一般概念から逸脱することなく、こうした特定の実施態様を様々な用途に容易に改変及び/又は適合させることができるということである。従って、ここに提示された教示及び指導に基づいて、こうした適合及び改変は、開示された実施態様の均等の意味及び範囲内にあることを意図するものである。ここの語法又は用語は、説明の目的のためであって限定のためではなく、そのことにより、本明細書の用語又は語法は、当業者であれば、ここに提示される教示及び指導に照らし、かつ当業者の知識と組み合わせて、解釈されるべきであることが理解されるであろう。
このように、上記の明細書に及び/又は以下の特許請求の範囲の記載に見出されるような「・・・をするための手段」及び「・・・のための手段」という表現又は他の方法ステップの言葉に機能的記載が続くものは、如何なる構造的、物理的、化学的又は電気的要素又は構造、或いは如何なる方法ステップをも定義し包含することが意図されており、それは、現在または将来に存在し、列挙した機能を実行し、上記明細書中に開示された1つ又は複数の実施態様の正に均等物であってもなくてもよく、すなわち同じ機能を実行するための他の手段又はステップを用いることができる。こうした表現は、それら最も広い解釈を与えられるように意図される。
参考文献
Bevilacqua, M. P. and Nelson, R. M., J. Clin. Invest. 91 379-387 (1993)
Bevilacqua, M. P. et al., Science 243: 1160-1165 (1989)
Brandley, B, et al., Cell 63, 861-863 (1990)
Johnston et al., Cell 56: 1033-1044 (1989)
Lasky et al, Cell 56: 1045-1055 (1989)
Piper, Formation and actions of leukotrienes, Physiol. Rev., 64(2):744-61 (1984)
Sialy Lewis, Dependent Alterations in Leukocyte Kinetics In Vivo, Circulation Research, 77(5):879-887 (1995)
Siegalman, M. et al., Science 243: 1165-1172 (1989)
Springer, T. and Lasky, L. A., Nature349, 19-197 (1991)
Stoolman, L. M., Cell 56: 907-910 (1989)
Takeda et al., Contribution of Carbohydrate Antigens Sialyl Lewis A and
Sialyl Lewis X to Adhesion of Human Cancer Cells to Vascular Endotherlium,
Cancer Research, 53:354-361 (Jan. 15, 1993)
Tedder et al., J. Exp. Med. 170: 123-133 (1989)
von Sprecher et al., Strategies in the design of peptidoleukotriene
antagonists, J. Lipid Mediat. 6:265-273(1993)
Wilkinson, G. R. Pharmacokinetics. In, Goodman and Gilman’s The
pharmacological Basis of Therapeutics. 10th ed. (2001)
Zeng et al., Protective Effect of ONO-1078, A Leukotriene Antagonis on Foca
Cerebral Ischemia in Mice, Acta. Pharamaceutics Sinica, 36(2):148-150
(2001)
Zhang, W., et al., Neuroprotective Effect of ONO-1078, A Leukotriene
Receptor Antagonist, on Focal Cerebral Ischemia in Rats, Acta Pharmacol
Sin, 23(10):871-877 (2002)
転移プロセスの模式図である。 デキストラン誘発性浮腫に対するONO−1078(プランルカスト)の作用を表すグラフである。 敗血症の実験中のラットのCSFにおける変化を測定するときのカニューレ位置の模式図である。 アラキドン酸(3.25μg/2μl)の投与が2つの異なる個体の中枢神経系に炎症を引き起こすことを示すグラフである。図4Aがラット#1であり、図4Bがラット#2である。 ラット中枢神経系(CNS)におけるアラキドン酸(3.25μg/2μm)によって引き起こされる炎症に対するプランルカスト(490mg/kg、腹腔内投与)の抑制効果を示すグラフである。4匹のラットからデータを取得した。 これは中枢毛細血管の外側表面を示し、血液脳関門の一部である星状細胞間の多数の溝(白矢印で示す)を伴う。これらの溝は、血管透過性が高まると開口し、且つ、腫瘍細胞及び白血球の両方の血管外遊走時に重要な役割を果たす。 血管外遊出中の癌細胞の形状変化を示す。図7A及び7Bは、図7Bにおいて蛍光マーカPKH67で染色された癌細胞の幾つかを、白線で輪郭を描いた(例えば、癌細胞1、2、3)こと以外は、同じである。図7Bで輪郭を描かれた癌細胞1及び癌細胞2は、中枢毛細血管からCSF中に脱出しようとしている細胞の一部分が観察される。癌細胞3は、ちょうど血液脳関門を通り抜けCSFへの途上にあり、形状はまだ四角形には見えない。可視の黒い小さな矩形は好中球であり、内皮細胞上のp−セレクチン、インテグリン、及び/又はIg−スーパーファミリCAM(細胞接着分子)に接着している。癌細胞の血管脱出は、クモ膜下腔中へのアラキドン酸の投与直後に始まった。白血球の血管外遊走は、アラキドン酸投与に遅れて起こり、癌細胞に比較すると遅れている。図7Cは、癌細胞が血液脳関門のごく狭いの開口部でも通過できるように平らになってゆく一連の様子を模式的に示す。 表1に示す実験スケジュールを用いて、動物への蒸留水−PBS−生理食塩水の投与後のCSF容量(μl)中の腫瘍細胞又は白血球(WBC)の数の経時的変化を示すグラフである。 クモ膜下腔中へのアラキドン酸(816ng/2μl)の投与後のWBC数及びCSF容量(μl)の経時的な変化を示す曲線グラフである。 蒸留水−腫瘍細胞(静脈内)−アラキドン酸(816ng/2μl)の投与後のクモ膜下腔で測定された腫瘍細胞数(図10A)、CSF容量(図10B)、及びWBC数(図10C)の経時的変化を示す曲線のグラフである。 プランルカスト(490mg/kg)−PBS−アラキドン酸(816ng/2μl)の投与後の腫瘍細胞数の経時的な変化を示すグラフである。 腫瘍細胞の血管外脱出について(図12A)、アラキドン酸によって引き起こされるCSF容量(μl)に対する癌細胞の影響について(図12B)、及び、アラキドン酸によって引き越される白血球数に対する癌細胞の影響について(図12C)の経時的変化を示す曲線下の面積グラフである。星印は、確率値p<0.05を有意とするANOVAによって分析された統計的有意性を表す。

Claims (24)

  1. 有効量のロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩を、抗腫瘍細胞接着特性、抗浸潤特性又は抗転移特性を有する他の化合物のいずれも不存在状態で、それを必要とする被検体に投与することを含む腫瘍転移を抑制する方法。
  2. 前記ロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩が、経口投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ロイコトリエン拮抗剤が、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体が、式(I)の化合物であり、
    ここでは、
    、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ又はジ低級アルキル置換アミノ基、アラルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、Qは、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はテトラゾリル基を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−NR−(式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、Zは、水素原子又は低級アルキル基であり、mは、1〜6の整数である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が、プランルカストであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 有効量のロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩を、同時には外科手術を受けていない状態で、それを必要とする被検体に投与することを含む腫瘍転移を抑制する方法。
  7. 前記ロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩が、経口投与されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記ロイコトリエン拮抗剤が、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体が、式(I)の化合物であり、
    ここでは、
    、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ又はジ低級アルキル置換アミノ基、アラルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、Qは、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はテトラゾリル基を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−NR−(式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、Zは、水素原子又は低級アルキル基を示し、mは、1〜6の整数である、
    ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が、プランルカストであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 腫瘍細胞の内皮細胞への接着を抑制し、及び/又は、腫瘍細胞の血管外遊走の過程で毛細血管の透過性を抑制するための方法であって、有効量のロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩を内皮細胞に接触させようにして、毛細血管の透過性を抑制し、及び/又は、前記ロイコトリエン受容体拮抗剤に接触した内皮細胞への腫瘍細胞の接着を抑制することを含む方法。
  12. 前記ロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩が、経口投与されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  13. 前記ロイコトリエン拮抗剤が、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体が式(I)の化合物であり、
    ここでは、
    、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ又はジ低級アルキル置換アミノ基、アラルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、Qは、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はテトラゾリル基を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−NR−(式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、Zは、水素原子又は低級アルキル基を示し、mは、1〜6の整数である、
    ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が、プランルカストであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 腫瘍細胞に対する毛細血管の透過性の抑制剤をスクリーニングする方法であって、
    被検物質を非ヒト哺乳類に投与し; 前記被検物質の投与の直後に、腫瘍細胞を前記非ヒト哺乳類に静脈投与し、脳の硬膜を貫通して、そこに挿入されたカニューレを介して前記非ヒト哺乳類のクモ膜下腔内に、毛細血管の透過性の亢進を引き起こす薬剤である炎症誘発剤を投与し; 脳脊髄液を採取し; 毛細血管から血管外遊出した腫瘍細胞の数を、前記被検物質を投与しない対照と比較して、前記被検物質が腫瘍細胞に対する毛細血管の透過性の抑制剤であるかどうかを前記採取された脳脊髄液から判断する、ことを含む方法。
  17. 前記炎症誘発剤が、アラキドン酸、プロスタグランジン、トロンボキサン、ヒスタミン、LPS、デキストラン、ブラジキニン、カラギーナン、ロイコトリエン、TNFα、IL−1β、及びIL−6からなる群から選択されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記炎症誘発剤が、アラキドン酸であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  19. 前記採取した脳脊髄液の量を測定することをさらに含む請求項16に記載の方法。
  20. 前記非ヒト哺乳類がラットであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  21. 抗腫瘍細胞接着特性、抗浸潤特性又は抗転移特性を有する他の化合物のいずれも不存在状態で、腫瘍転移を抑制するための薬物の調製又は製造のためのロイコトリエン拮抗剤又はその薬学的に許容される塩の使用法。
  22. 前記ロイコトリエン拮抗剤が、ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤であることを特徴とする請求項21に記載の使用法。
  23. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体が式(I)の化合物であり、
    ここでは、
    、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルコキシカルボニル基、モノ又はジ低級アルキル置換アミノ基、アラルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示し、Qは、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又はテトラゾリル基を示し、Xは、酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは、酸素原子、硫黄原子又は−NR−(式中、Rは、水素原子又は低級アルキル基を示す)を示し、Zは、水素原子又は低級アルキル基を示し、mは、1〜6の整数である、
    ことを特徴とする請求項18に記載の使用法。
  24. 前記ロイコトリエンC4及びD4受容体拮抗剤が、プランルカストであることを特徴とする請求項23に記載の使用法。
JP2006545621A 2004-07-14 2005-07-14 腫瘍転移の抑制方法 Expired - Fee Related JP3983272B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US58750704P 2004-07-14 2004-07-14
PCT/US2005/024937 WO2006019874A1 (en) 2004-07-14 2005-07-14 Method for inhibiting tumor metastasis

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007514002A true JP2007514002A (ja) 2007-05-31
JP3983272B2 JP3983272B2 (ja) 2007-09-26

Family

ID=35907711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006545621A Expired - Fee Related JP3983272B2 (ja) 2004-07-14 2005-07-14 腫瘍転移の抑制方法

Country Status (10)

Country Link
US (3) US20080206203A1 (ja)
EP (2) EP1997491B1 (ja)
JP (1) JP3983272B2 (ja)
KR (1) KR101213926B1 (ja)
CN (2) CN101022796B (ja)
AT (1) ATE481968T1 (ja)
BR (1) BRPI0513351A (ja)
DE (1) DE602005023797D1 (ja)
HK (2) HK1174533A1 (ja)
WO (1) WO2006019874A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014175253A1 (ja) * 2013-04-22 2014-10-30 株式会社栃木臨床病理研究所 抗腫瘍剤

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI626046B (zh) * 2015-10-06 2018-06-11 高雄醫學大學 用於預防或治療肺癌的醫藥組合物

Family Cites Families (36)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4528060A (en) 1982-07-08 1985-07-09 Hercules Incorporated Apparatus for winding of filamentary composites
US4720505A (en) * 1983-06-27 1988-01-19 Merck Frosst Canada, Inc. Leukotriene antagonists
CA1261835A (en) * 1984-08-20 1989-09-26 Masaaki Toda (fused) benz(thio)amides
JPS63258879A (ja) 1987-04-16 1988-10-26 Mitsubishi Kasei Corp ビニルチアゾ−ル誘導体およびそれを有効成分とするロイコトリエン拮抗剤
JPS63258854A (ja) 1987-04-16 1988-10-26 Mitsubishi Kasei Corp カルボキシスチレン誘導体およびそれを有効成分とする薬剤
US4985585A (en) 1988-03-07 1991-01-15 Kyorin Pharmaceutical Co., Ltd. Phenoxyalkylcarboxylic acid derivatives and process for their preparations
JPH02169583A (ja) 1988-12-22 1990-06-29 Mitsubishi Kasei Corp ビニルチアゾール誘導体およびそれを有効成分とする薬剤
US5079261A (en) 1989-04-28 1992-01-07 Brigham And Women's Hospital Use of lipoxin a4 and its derivatives as antagonists for slow-reacting substances of anaphylaxis
JP2600644B2 (ja) 1991-08-16 1997-04-16 藤沢薬品工業株式会社 チアゾリルベンゾフラン誘導体
GB9119001D0 (en) 1991-09-05 1991-10-23 Ici Plc Pharmaceutical agents
US5428060A (en) * 1992-08-27 1995-06-27 Merck Frosst Canada, Inc. Heteroarylnaphthalene lactones as inhibitors of leukotriene biosynthesis
JPH06116163A (ja) * 1992-10-05 1994-04-26 Toagosei Chem Ind Co Ltd 腫瘍抑制剤
DE4424714A1 (de) * 1994-07-13 1996-01-18 Boehringer Ingelheim Kg Neue chemische Verbindung, ihre Herstellung und ihre Verwendung als Arnzneistoff
US5527827A (en) * 1994-10-27 1996-06-18 Merck Frosst Canada, Inc. Bisarylcarbinol cinnamic acids as inhibitors of leukotriene biosynthesis
US5552437A (en) * 1994-10-27 1996-09-03 Merck Frosst Canada, Inc. Bisarylcarbinol derivatives as inhibitors of leukotriene biosynthesis
US6492332B1 (en) * 1995-12-12 2002-12-10 Omeros Corporation Irrigation solution and methods for inhibition of tumor cell adhesion, pain and inflammation
DE69625813T2 (de) 1995-06-12 2003-09-04 Ono Pharmaceutical Co Pranlukast enthaltende granula, verfahren zur herstellung der granula und verfahren zur verminderung des zusammenbackens von pranlukast
GB9525261D0 (en) * 1995-12-11 1996-02-07 Bayer Ag Carbamic acid derivatives
US6207654B1 (en) * 1996-05-03 2001-03-27 Bashir Zikria Capillary membrane stabilization and reduction of inflammation during the course of chemotherapy or antiviral treatment through the use of biodegradable macromolecules and interleukin-2
US5911776A (en) 1996-12-18 1999-06-15 Unisys Corporation Automatic format conversion system and publishing methodology for multi-user network
US5919776A (en) * 1996-12-20 1999-07-06 Merck & Co., Inc. Substituted aminoquinolines as modulators of chemokine receptor activity
AU746130B2 (en) * 1997-02-05 2002-04-18 University Of Wales College Of Medicine Measurement of plasma volume
ES2176877T3 (es) 1997-09-26 2002-12-01 Kowa Co Derivados de tetrazol como antagonistas de ltd4 y h1.
CA2307614A1 (en) 1997-10-23 1999-04-29 Elliot P. Friedman Pharmaceutical grade echinacea
US6359158B1 (en) 1998-05-15 2002-03-19 University Of Vermont And State Agricultural College Methods and products related to 16-HETE analogs
DE19834713A1 (de) * 1998-07-31 2000-02-03 Boehringer Ingelheim Pharma Neue Phenylethylaminderivate, Verfahren zu ihrer Herstellung und ihre Verwendung als Arzneimittel
US6221880B1 (en) 1998-10-09 2001-04-24 Schering Corporation Composition and method for treating allergic diseases
PE20001095A1 (es) * 1998-10-09 2000-10-31 Schering Corp Composicion y metodo para tratar enfermedades alergicas
US6194432B1 (en) 1998-10-13 2001-02-27 Fred D. Sheftell Prevention and treatment of migraine, cluster and other recurrent headaches using leukotriene antagonist drugs
AUPP910699A0 (en) * 1999-03-10 1999-04-01 Pharmalink International Limited Inhibitor of lipoxygenase pathways
ES2308985T3 (es) * 1999-07-21 2008-12-16 Omeros Corporation Disoluciones y procedimientos para la inhibicion del dolor, inflamacion y degradacion del cartilago.
KR100381834B1 (ko) * 2000-05-20 2003-04-26 이상득 용출성이 개선된 프란루카스트 고체분산체 조성물 및 그제조 방법
DE10052658A1 (de) * 2000-10-24 2002-05-02 Boehringer Ingelheim Pharma Neue Pyranosidderivate
DE10052333A1 (de) * 2000-10-24 2002-05-02 Boehringer Ingelheim Pharma Neue Sulfooxybenzamide
US7148248B2 (en) * 2002-11-29 2006-12-12 Masako Nozaki Method of treating or inhibiting the development of brain inflammation and sepsis
EP1424101A3 (en) * 2002-11-29 2004-08-18 NOZAKI, Masako Use of a leukotriene C4 and D4 receptor antagonist for the preparation of a medicament for treating or preventing brain inflammation and sepsis

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014175253A1 (ja) * 2013-04-22 2014-10-30 株式会社栃木臨床病理研究所 抗腫瘍剤
JP5858391B2 (ja) * 2013-04-22 2016-02-10 株式会社栃木臨床病理研究所 抗腫瘍剤
JP2016094403A (ja) * 2013-04-22 2016-05-26 株式会社栃木臨床病理研究所 抗腫瘍剤
US9775836B2 (en) 2013-04-22 2017-10-03 Tochigi Institute Of Clinical Pathology Antitumor agent
US10149846B2 (en) 2013-04-22 2018-12-11 Tochigi Institute Of Clinical Pathology Antitumor agent
US10729683B2 (en) 2013-04-22 2020-08-04 Tochigi Institute Of Clinical Pathology Antitumor agent

Also Published As

Publication number Publication date
ATE481968T1 (de) 2010-10-15
CN102847155A (zh) 2013-01-02
US20190060278A1 (en) 2019-02-28
BRPI0513351A (pt) 2008-05-06
EP1997491A1 (en) 2008-12-03
US20170014384A1 (en) 2017-01-19
HK1174533A1 (en) 2013-06-14
EP1765333A1 (en) 2007-03-28
CN102847155B (zh) 2014-04-16
KR20070051855A (ko) 2007-05-18
DE602005023797D1 (de) 2010-11-04
HK1108118A1 (en) 2008-05-02
JP3983272B2 (ja) 2007-09-26
EP1997491B1 (en) 2010-09-22
EP1765333A4 (en) 2008-06-18
CN101022796B (zh) 2013-02-27
CN101022796A (zh) 2007-08-22
US20080206203A1 (en) 2008-08-28
KR101213926B1 (ko) 2012-12-18
WO2006019874A1 (en) 2006-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6570597B2 (ja) 新規方法
WO2019141275A1 (zh) 用于靶向活化cd44分子的硅质体纳米载体递送系统、其制备方法和用途
Li et al. Artesunate, an anti-malaria agent, attenuates experimental osteoarthritis by inhibiting bone resorption and CD31hiEmcnhi vessel formation in subchondral bone
JP6516341B2 (ja) Nash関連肝臓癌を治療するためのep4受容体拮抗薬の使用
Wu et al. Delivery of arsenic trioxide by multifunction nanoparticles to improve the treatment of hepatocellular carcinoma
BR112014012409B1 (pt) Composições de buprenorfina e antagonistas do receptor -opioide
JP2016535787A (ja) 新規方法
US20190060278A1 (en) Method for inhibiting tumor metastasis
US9463198B2 (en) Compositions and methods for reducing or preventing metastasis
US20180140580A1 (en) Method of treating or inhibiting the development of brain inflammation and sepsis
US20220047643A1 (en) Fibroblasts and microvesicles thereof for reduction of toxicity associated with cancer immunotherapy
JP2019517506A (ja) 血管破壊剤を含む肝臓癌治療用の組成物
JP4551649B2 (ja) 血管透過性亢進抑制剤
EP1424101A2 (en) Use of a leukotriene C4 and D4 receptor antagonist for the preparation of a medicament for treating or preventing brain inflammation and sepsis
EA044366B1 (ru) Соединения для лечения болезни фон гиппеля-линдау
Lewis The role of substance P in the progression and complications of secondary brain tumours.
MXPA99001774A (en) Method for inhibiting the expression of fas
ITFI20090097A1 (it) Composizioni farmaceutiche per il trattamento di tumori epatici.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070628

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070703

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3983272

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130713

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees