JP2007511605A - オランザピン含有経皮薬物送達組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、オランザピンを経皮投与するための組成物を特徴とする。本組成物は、オランザピン又はその薬学的に許容される塩、感圧接着剤、および、透過促進剤および/又はオランザピンの可溶化剤などの賦形剤を含む。本組成物は、ある一定の精神障害、例えば、統合失調症および双極性躁病などの治療に有用である。
Description
本発明は、オランザピン含有経皮薬物送達組成物に関する。
薬物の経皮投与は、初回通過代謝の回避、胃腸障害の回避、徐放性、および治療養生法に関する患者のコンプライアンスの改善など、多くの潜在的利点を有することが知られている。統合失調症および双極性障害などの神経系疾患を含む多くの疾患の治療では、薬物のノンコンプライアンスが深刻な問題となる可能性があり、薬物療法の指示を順守しないか、又は部分的にしか指示を順守しない患者が三分の二もいる可能性があることを示す報告もある。
オランザピンは、中枢神経系の障害の治療に有用であることが知られている。それは、統合失調症および双極性躁病の治療用にジプレキサ(ZYPREXA)(登録商標)の商標名で錠剤の形態で市販されている。オランザピンの化学名は、2−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−4H−チエノ−[2,3−b][1,5]ベンゾヂアゼピンである。超吸収性フィルムおよび1,2−ブタンジオールを有するデバイスがオランザピンの経皮投与に使用されてきたが、オランザピンを経皮的に投与するための更に有効なシステムが、まだ必要とされている。
本発明は、オランザピンの経皮送達に好適な組成物を提供する。一態様では、本発明は、感圧接着剤、賦形剤、および、オランザピン又はその薬学的に許容される塩を含む経皮薬物送達組成物を特徴とする。感圧接着剤は、共重合されたモノマーから構成される共重合体を含み、ここで、少なくとも1つのモノマーは、イソオクチルアクリレート、エチルへキシルアクリレート、およびn−ブチルアクリレートからなる群から選択され、少なくとも1つのモノマーは、アクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、およびアクリル酸からなる群から選択される。賦形剤は、アミンオキシド、不飽和脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、ラウログリコール、α−テルピネオール、ポリエチレングリコール、ソルビタンエステル、乳酸、およびジメチルスルホキシドからなる群から選択される。
一実施形態では、本発明の組成物は、未溶解のオランザピンを実質的に含まないか、又は含まない。
別の実施形態では、本発明の組成物を支持体の一つの面に付着させて、経皮薬物送達デバイスを作り出す。
本発明の経皮組成物およびデバイスは、統合失調症および双極性躁病などの精神障害を含む、中枢神経系のある一定の障害の治療に有用である。組成物および/又はデバイスは、このような障害に罹患している患者の皮膚に、所望の治療結果が得られるのに十分な期間、典型的には約1日〜約7日、適用することができる。本組成物およびデバイスは、他の多くの薬物送達形態に関連する患者のコンプライアンスについて懸念することなく、オランザピンの徐放送達を提供することができる。
前記概要は、本発明の全ての実施形態又は実施を説明することを意図するものではない。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な本発明の説明および特許請求の範囲から明らかになる。
本発明は、感圧接着剤、賦形剤、および、オランザピン又はその薬学的に許容される塩を含む経皮薬物送達組成物を特徴とする。感圧接着剤は、共重合されたモノマーから構成される共重合体を含み、ここで、モノマーの少なくとも1つは、イソオクチルアクリレート、エチルへキシルアクリレート、又はn−ブチルアクリレートであり、モノマーの少なくとも1つは、アクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、又はアクリル酸である。賦形剤は、アミンオキシド、不飽和脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、ラウログリコール、α−テルピネオール、ポリエチレングリコール、ソルビタンエステル、乳酸、およびジメチルスルホキシドからなる群から選択される。
本発明の組成物は、オランザピン又はその薬学的に許容される塩を更に含む。オランザピンの化学名は、2−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−4H−チエノ−[2,3−b][1,5]ベンゾヂアゼピンであり、米国特許第5,229,382号明細書(チャクラバーティ(Chakrabarti)ら)に更に記載されており、該特許は参照によりその内容全体が本明細書に援用される。オランザピンは、薬学的に許容される塩の形態、又は遊離塩基の形態で投与されてもよい。本発明の組成物には、遊離塩基の形態が特に好適である。
オランザピンは、組成物中に溶解されても又は分散されてもよく、一実施形態では、組成物は未溶解のオランザピンを実質的に含まないか、又は全く含まない。未溶解のオランザピンの存在は、低拡大率光学顕微鏡(例えば、10倍〜20倍の倍率)を用いた検査で検出され得る。結晶又は未溶解の粒子がところどころしか存在しない場合、又は未溶解のオランザピンが総量の約1%未満である場合、組成物は未溶解のオランザピンを実質的に含まないと見なされることを理解されたい。
組成物は、典型的には、薬学的に有効な量のオランザピンを含有する。この量は、使用される薬物の形態、治療される特定の症状、組成物を被験者の皮膚と接触させておくことができる時間、および、当業者に既知の他の要因によって変わる。一般に、経皮薬物送達組成物中に存在する薬物の量は、組成物の総重量を基準にして、約0.1〜約40重量%、典型的には約5.0〜約25重量%、更に典型的には約10.0〜約20.0重量%である。
本発明の感圧接着剤は、例えば、米国再発行特許第RE24,906号明細書(ウルリッヒ(Ulrich))に記載されている周知のラジカル重合法に従って調製され、該特許は、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。組成物中のイソオクチルアクリレート、エチルへキシルアクリレート、および/又はn−ブチルアクリレートモノマーの量は、典型的には、共重合体組成物の約40重量%〜約98重量%、更に典型的には約60重量%〜約95重量%、最も好ましくは約70重量%〜約90重量%である。イソオクチルアクリレートおよびエチルへキシルアクリレートが好ましいモノマーである。イソオクチルアクリレートは、特に好ましいモノマーである。組成物中のアクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、および/又はアクリル酸モノマーの量は、典型的には、共重合体組成物の約2重量%〜約60重量%、更に典型的には約5重量%〜約40重量%、最も好ましくは約10重量%〜約30重量%である。感圧接着剤を構成する共重合体は、任意に、当該技術分野で周知の他のラジカル重合性モノマーを更に含んでもよい。感圧接着剤を構成する共重合体は、任意に、他のモノマーと共重合可能な実質的に直鎖状のマクロモノマーを更に含んでもよい。好適なマクロモノマーには、ポリメチルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ポリエーテル、および、ポリスチレンマクロモノマーが挙げられる。
本発明で使用するのに好適な賦形剤には、以下に限定されないが、アミンオキシド、不飽和脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、ラウログリコール、α−テルピネオール、ポリエチレングリコール、ソルビタンエステル、乳酸、およびジメチルスルホキシドが挙げられる。一実施形態では、賦形剤は皮膚透過促進剤である。皮膚は、典型的には、大抵の薬物分子の通過に対する有効なバリアであるため、透過促進剤は経皮薬物送達に使用するのに望ましい賦形剤である。アミンオキシド、不飽和脂肪酸、α−テルピネオール、ポリエチレングリコール、および、モノオレイン酸ソルビタンは、好ましい透過促進剤である。アミンオキシドおよび不飽和脂肪酸は、特に有効な透過促進剤である。アミンオキシドには、例えば、ラウラミンオキシド、および2−へキサデシルジメチルアミンオキシドが挙げられる。ラウラミンオキシドは、特に好ましいアミンオキシドである。不飽和脂肪酸には、例えば、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が挙げられる。オレイン酸は、好ましい不飽和脂肪酸である。ソルビタンエステルには、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、およびステアリン酸ソルビタンが挙げられる。モノオレイン酸ソルビタンは、好ましいソルビタンエステルである。ミリスチン酸イソプロピルおよびラウログリコールも透過促進剤として使用するのに好適である。所望の治療効果を有するように、透過促進剤は、皮膚に十分な量のオランザピンが透過できるようにするのに充分な量で存在すべきである。透過促進剤の量は、典型的には、全組成物の約40重量%未満、さらに典型的には約30重量%未満である。透過促進剤は、組成物中に分散され、典型的には実質的に均一に分散され、更に典型的には溶解される。
本発明の別の実施形態では、賦形剤はオランザピンの可溶化剤、即ち、オランザピン又はその薬学的に許容される塩を溶解させることができる添加剤である。可溶化剤は、組成物中に溶解する薬物の総量を増大させるため、および/又は、皮膚の1つ以上の層における薬物の溶解度を増大させるために使用されてもよい。オランザピンの可溶化剤に対する溶解度は、典型的には、オランザピンの感圧接着剤に対する溶解度より大きい。本発明の一実施形態では、可溶化剤は、乳酸、およびジメチルスルホキシドからなる群から選択される。使用される可溶化剤の量は、所望の投与レベルおよび持続期間に依存して変わるが、可溶化剤の量は、典型的には全組成物の約35重量%未満、更に典型的には約25重量%未満である。組成物中の透過促進剤および可溶化剤を合わせた総量は、典型的には全組成物の約40重量%未満、更に典型的には約30重量%未満である。可溶化剤は、組成物中に分散され、好ましくは実質的に均一に分散され、更に好ましくは溶解される。
本発明の組成物は任意に、可塑剤、酸化防止剤、架橋剤、および着色剤など、他の添加剤又は賦形剤を含有してもよい。任意選択的な添加剤は、組成物中に分散され、好ましくは実質的に均一に分散され、更に好ましくは溶解される。
本発明の組成物を含む経皮薬物送達デバイスは、テープ、パッチ、シート、ドレッシングなどの物品の形態、又は当業者に既知の他の任意の形態で製造することができる。一般に、デバイスは、選択された量の薬物を皮膚を通して送達するのに好適なサイズのパッチの形態である。
ある一定の実施では、デバイスの表面積は、1cm2より大きく、典型的には5cm2より大きく、且つ、100cm2未満、典型的には40cm2未満である。
本発明のデバイスは、患者が使用する前、皮膚に接触する面を被覆および保護する剥離ライナーを備えることができる。好適な剥離ライナーには、以下に限定されないが、ポリエステルウェブ、ポリエチレンウェブ、ポリプロピレンウェブ、又は、好適なフルオロポリマー若しくはシリコーンベースのコーティングで塗工されたポリエチレン塗工紙などの既知のシート材料を有する慣用的な剥離ライナーが挙げられる。本発明のデバイスは、保存するため、箔でライニングされたパウチに個々に包装することができ、或いは、分配装置と一緒に使用するのに好適な、巻かれた又は積み重ねられた形態で提供されてもよい。
本発明に有用な可能性がある慣用的なテープ支持体として使用される可撓性支持体材料の例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、および高密度ポリエチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート);エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリウレタン;酢酸セルロース;およびエチルセルロースなどのポリマーフィルムから製造されるものが挙げられる。ポリエチレンテレフタレート−アルミニウム−ポリエチレン複合材料などの積層されている支持体も好適である。布帛および不織布も同様に好適である。一実施では、支持体は、シャワーや入浴などの活動によって外部の水分が貯蔵層に進入することを防止する連続ポリマーフィルムである。このような連続フィルムの例には、以下に限定されないが、ポリウレタン、ポリエチレン、およびポリエステルが挙げられる。
支持体の厚みは、典型的には10μmより大きく、更に典型的には20μmより大きく、最も好ましくは40μmより大きい。支持体の厚みは、典型的には150μm未満、更に典型的には125μm未満、最も好ましくは100μm未満である。
本発明の皮膚接触層組成物は、感圧接着剤共重合体、薬物、透過促進剤、および任意選択的添加剤(可溶化剤など)を有機溶媒(例えば、酢酸エチル、イソプロパノール、メタノール、アセトン、2−ブタノン、エタノール、トルエン、アルカン、およびこれらの混合物)と合わせてコーティング組成物を提供することにより調製できる。均質なコーティング組成物が得られるまで混合物を振盪又は攪拌する。次いで、その結果得られる組成物を慣用的な塗工方法(例えば、ナイフコーティング又は押出ダイコーティング)を使用して剥離ライナーに塗布し、所定の均一な厚みのコーティング組成物を提供する。ストライプ塗工、スクリーン印刷、およびインクジェット印刷などの方法を使用して、非連続的又は不連続なコーティングを調製してもよい。
別の実施形態では、本発明は、オランザピン又はその薬学的に許容される塩を、透過促進剤としてのラウラミンオキシド又はオレイン酸と組み合わせて含む、経皮薬物送達組成物を特徴とする。前述のものなどの感圧接着剤は、これらの組成物に好適なビヒクルであるが、それらは、或いは、経皮薬物送達に通常使用される他の感圧接着剤(ポリイソブチレン又はシリコーンなど)から、又はリザーバタイプのデバイス(ハイドロアルコールゲル(hydroalcoholic gels)を含有するものなど)から送達されてもよい。これらの組成物は、前述のように調製され、経皮デバイスに使用されてもよい。
本発明のデバイスおよび組成物は、統合失調症および双極性障害などの精神障害の治療に使用することができる。これらの治療は、一般に、前述の経皮薬物送達組成物を提供すること、および、所望の治療結果が達成されるのに十分な期間、前記組成物をヒトの身体の外部に適用することを必要とする。このような治療の期間は、約6時間〜約14日、典型的には約1日〜約7日、更に典型的には約1日〜約4日とすることができる。
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を更に詳細に説明するために記載され、決して本発明の限定を意図するものではない。
生体外皮膚透過試験方法
以下の試験手順を使用して、後記実施例に記載する皮膚透過データを得た。試験試料は全面積2.0cm2を有する各々の経皮デバイスであった。剥離ライナーを除去し、パッチをヒト死体皮膚に貼付し、皮膚と均一に接触するように押し付けた。その結果得られたパッチ/皮膚ラミネートを、パッチ側を上にして垂直拡散セルの下部のオリフィスを横切るように置いた。拡散セルを組み立て、レセプタ液が皮膚と接触するように、下部に温かい(32℃)レセプタ液(30%w/wのm−ピロール水溶液(m−pyrol in water))10mLを充填した。使用する時以外、試料採取口に蓋をした。場合によっては、試験試料は、賦形剤中に溶解したオランザピンの溶液であったが、この場合、垂直拡散セルの下部のオリフィスを横切るように取り付けられた2.0cm2の皮膚片に、全溶液約2gを付けた。
以下の試験手順を使用して、後記実施例に記載する皮膚透過データを得た。試験試料は全面積2.0cm2を有する各々の経皮デバイスであった。剥離ライナーを除去し、パッチをヒト死体皮膚に貼付し、皮膚と均一に接触するように押し付けた。その結果得られたパッチ/皮膚ラミネートを、パッチ側を上にして垂直拡散セルの下部のオリフィスを横切るように置いた。拡散セルを組み立て、レセプタ液が皮膚と接触するように、下部に温かい(32℃)レセプタ液(30%w/wのm−ピロール水溶液(m−pyrol in water))10mLを充填した。使用する時以外、試料採取口に蓋をした。場合によっては、試験試料は、賦形剤中に溶解したオランザピンの溶液であったが、この場合、垂直拡散セルの下部のオリフィスを横切るように取り付けられた2.0cm2の皮膚片に、全溶液約2gを付けた。
セルを実験中ずっと32±2℃に維持した。試料が均一になり、且つ皮膚の真皮側の拡散バリアが減少することを確実にするため、実験中ずっとレセプタ液をマグネチックスターラーで攪拌した。レセプタ液の全容量を指定された時間間隔で抜き取り、直ぐに新しい液と交換した。抜き取った液を0.45μmのフィルタを通してろ過した。次いで、慣用的な高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、最後の1〜2mLのオランザピンを分析した。皮膚に浸透するオランザピンの累積量を計算し、μg/cm2で報告した。別途記載しない限り、結果を5つの複製の平均として報告する。
材料
共重合体の調製
以下の実施例で使用する共重合体を概ね後述の方法に従って調製した。下記に報告する固有粘度値は、27℃に制御された水浴中でキャノン−フェンスケ(Cannon−Fenske)#50粘度計を使用する慣用的な手段で測定され、ポリマー溶液(酢酸エチル1デシリットル当たりポリマー0.15g)10ミリリットルの流動時間を測定した。試験手順および装置は、「ポリマーサイエンスの教科書」F.W.ビルマイヤー、ウィリー・インターサイエンス、第2版(1971年)(Textbook of Polymer Science, F.W.Billmeyer, Wiley Interscience, Second Edition(1971))、84頁および85頁に詳細に記載されている。
共重合体の調製
以下の実施例で使用する共重合体を概ね後述の方法に従って調製した。下記に報告する固有粘度値は、27℃に制御された水浴中でキャノン−フェンスケ(Cannon−Fenske)#50粘度計を使用する慣用的な手段で測定され、ポリマー溶液(酢酸エチル1デシリットル当たりポリマー0.15g)10ミリリットルの流動時間を測定した。試験手順および装置は、「ポリマーサイエンスの教科書」F.W.ビルマイヤー、ウィリー・インターサイエンス、第2版(1971年)(Textbook of Polymer Science, F.W.Billmeyer, Wiley Interscience, Second Edition(1971))、84頁および85頁に詳細に記載されている。
「乾燥」共重合体の調製
共重合体の溶液を剥離ライナー上にナイフコーティングすることによって乾燥共重合体を調製した。コーティングされた剥離ライナーをオーブン乾燥させて溶媒を除去し、残留モノマーの濃度を低減させた。次いで、乾燥共重合体を剥離ライナーから剥がし、使用するまで容器中で保存した。
共重合体の溶液を剥離ライナー上にナイフコーティングすることによって乾燥共重合体を調製した。コーティングされた剥離ライナーをオーブン乾燥させて溶媒を除去し、残留モノマーの濃度を低減させた。次いで、乾燥共重合体を剥離ライナーから剥がし、使用するまで容器中で保存した。
共重合体A。イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)共重合体の調製。
以下の手順に従ってイソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)共重合体を調製した。イソオクチルアクリレート(621.0g)、アクリルアミド(41.4g)、酢酸ビニル(165.6g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(1.656g)、酢酸エチル(884.5g)およびメタノール(87.48g)を合わせることにより、マスターバッチを調製した。その結果得られた溶液の一部(400g)を1クォート(0.95L)の褐色ガラス瓶に入れた。この瓶を毎分1Lの流量の窒素で2分間、パージした。瓶を密封し、45℃の回転水浴中に24時間置いた。その結果得られた共重合体を酢酸エチル(183.6g)とメタノール(20.4g)で希釈した。得られた共重合体の固体分は、30.5%であった。固有粘度は、1.39dL/gであった。
以下の手順に従ってイソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)共重合体を調製した。イソオクチルアクリレート(621.0g)、アクリルアミド(41.4g)、酢酸ビニル(165.6g)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(1.656g)、酢酸エチル(884.5g)およびメタノール(87.48g)を合わせることにより、マスターバッチを調製した。その結果得られた溶液の一部(400g)を1クォート(0.95L)の褐色ガラス瓶に入れた。この瓶を毎分1Lの流量の窒素で2分間、パージした。瓶を密封し、45℃の回転水浴中に24時間置いた。その結果得られた共重合体を酢酸エチル(183.6g)とメタノール(20.4g)で希釈した。得られた共重合体の固体分は、30.5%であった。固有粘度は、1.39dL/gであった。
共重合体B。イソオクチルアクリレート/アクリル酸(90/10)共重合体の調製。
以下の手順に従ってイソオクチルアクリレート/アクリル酸(90/10)共重合体を調製した。攪拌機、冷却器、窒素送入管および滴下漏斗を装備したフラスコに、イソオクチルアクリレート(72.0g)、アクリル酸(8.0g)および酢酸エチル(78.1g)を投入した。混合物を中速度で攪拌しながら60℃に加熱し、窒素でパージして酸素を除去した。酢酸エチル(3.0g)中に予め混合されたルシドール(LUCIDOL)(登録商標)75(0.07g、アトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals)から入手可能)を添加し、反応を開始させた。反応温度は60℃に維持した。イソオクチルアクリレートのポリマーへの転換が最低限95%に達するまで、典型的には20〜30時間、酢酸エチル(1.5g)をポリマー溶液に30分毎に添加した。酢酸エチル(3.0g)と予め混合されたルシドール(Lucidol)75(0.07g)の追加投入を5時間および9時間の反応時間後に添加した。95%の最低限の反応転換に達したとき、得られたポリマー溶液をヘプタンで固体分20〜23%に希釈し、冷却して排液した。酢酸エチル中(0.15g/dl)の固有粘度は、1.7〜2.0dl/gと測定された。
以下の手順に従ってイソオクチルアクリレート/アクリル酸(90/10)共重合体を調製した。攪拌機、冷却器、窒素送入管および滴下漏斗を装備したフラスコに、イソオクチルアクリレート(72.0g)、アクリル酸(8.0g)および酢酸エチル(78.1g)を投入した。混合物を中速度で攪拌しながら60℃に加熱し、窒素でパージして酸素を除去した。酢酸エチル(3.0g)中に予め混合されたルシドール(LUCIDOL)(登録商標)75(0.07g、アトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals)から入手可能)を添加し、反応を開始させた。反応温度は60℃に維持した。イソオクチルアクリレートのポリマーへの転換が最低限95%に達するまで、典型的には20〜30時間、酢酸エチル(1.5g)をポリマー溶液に30分毎に添加した。酢酸エチル(3.0g)と予め混合されたルシドール(Lucidol)75(0.07g)の追加投入を5時間および9時間の反応時間後に添加した。95%の最低限の反応転換に達したとき、得られたポリマー溶液をヘプタンで固体分20〜23%に希釈し、冷却して排液した。酢酸エチル中(0.15g/dl)の固有粘度は、1.7〜2.0dl/gと測定された。
共重合体C。イソオクチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/酢酸ビニル/エルバサイト(Elvacite)(登録商標)1010(56/20/18/6)共重合体溶液の調製。
1クォート(0.95L)の褐色ガラス瓶中で、酢酸ビニル(38.07g)、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー(ICIアクリリクス(ICI Acrylics)から入手可能なエルバサイト(ELVACITE)(登録商標)1010を12.69g)、酢酸エチル(407.95g)およびメタノール(21.47g)を合わせ、溶解するまで混合することにより溶液を調製した。次いで、この溶液にイソオクチルアクリレート(118.45g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(42.3g)、および、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(0.3173g)を添加した。この瓶を毎分1Lの流量の窒素で2分間、パージした。瓶を密封し、57℃の回転水浴中に24時間置いた。24時間で瓶を回転水浴から取り出し、開封した。固有粘度は、1.00dL/gであった。
1クォート(0.95L)の褐色ガラス瓶中で、酢酸ビニル(38.07g)、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー(ICIアクリリクス(ICI Acrylics)から入手可能なエルバサイト(ELVACITE)(登録商標)1010を12.69g)、酢酸エチル(407.95g)およびメタノール(21.47g)を合わせ、溶解するまで混合することにより溶液を調製した。次いで、この溶液にイソオクチルアクリレート(118.45g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(42.3g)、および、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(0.3173g)を添加した。この瓶を毎分1Lの流量の窒素で2分間、パージした。瓶を密封し、57℃の回転水浴中に24時間置いた。24時間で瓶を回転水浴から取り出し、開封した。固有粘度は、1.00dL/gであった。
実施例1
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(190.2g)、メタノール(47.5g)およびトリフルオロ酢酸(2.4g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。混合溶媒原液(140.0g)をオランザピン(5.4100g)と混合することにより、溶媒和オランザピン原液を調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(13.3161g)、ミリスチン酸イソプロピル(6.6597g)、およびオランザピン(3.2998g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(190.2g)、メタノール(47.5g)およびトリフルオロ酢酸(2.4g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。混合溶媒原液(140.0g)をオランザピン(5.4100g)と混合することにより、溶媒和オランザピン原液を調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(13.3161g)、ミリスチン酸イソプロピル(6.6597g)、およびオランザピン(3.2998g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
4ドラム(18mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Aの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)を2.728g)、溶媒和オランザピン原液(7.2703g)、および賦形剤原液(1.2857g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、10.6%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を下記の表1に示す。
実施例2
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(6.6579g)、ミリスチン酸イソプロピル(13.3533g)、およびオランザピン(1.6946g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(6.6579g)、ミリスチン酸イソプロピル(13.3533g)、およびオランザピン(1.6946g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
4ドラム(18mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Aの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)を2.740g)、実施例1の溶媒和オランザピン原液(7.2657g)、および賦形剤原液(1.2871g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、8.6%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を下記の表1に示す。
実施例3
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(13.340g)、ミリスチン酸イソプロピル(3.363g)、ポリエチレングリコール400(3.337g)およびオランザピン(3.4218g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(13.340g)、ミリスチン酸イソプロピル(3.363g)、ポリエチレングリコール400(3.337g)およびオランザピン(3.4218g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
4ドラム(18mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Aの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)を2.7270g)、実施例1の溶媒和オランザピン原液(7.2756g)、および賦形剤原液(1.2872g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、10.7%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を下記の表1に示す。
実施例4
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(11.399g)、およびラウラミンオキシド(0.6040g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(11.399g)、およびラウラミンオキシド(0.6040g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
4ドラム(18mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Aの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)を2.732g)、実施例1の溶媒和オランザピン原液(7.2730g)、および賦形剤原液(1.3118g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、13.7%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を下記の表1に示す。
実施例5
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(292.7g)、メタノール(73.5g)およびトリフルオロ酢酸(3.7g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。混合溶媒原液(69.943g)をオランザピン(2.6970g)と混合することにより、溶媒和オランザピン原液を調製した。オレイン酸(22.9709g)およびオランザピン(7.0182g)を混合することにより、賦形剤原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(292.7g)、メタノール(73.5g)およびトリフルオロ酢酸(3.7g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。混合溶媒原液(69.943g)をオランザピン(2.6970g)と混合することにより、溶媒和オランザピン原液を調製した。オレイン酸(22.9709g)およびオランザピン(7.0182g)を混合することにより、賦形剤原液を調製した。
6ドラム(27mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Aの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)を3.815g)、溶媒和オランザピン原液(10.1650g)、および賦形剤原液(2.7166g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、14.4%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を下記の表1に示す。
実施例6
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(292.7g)、メタノール(73.5g)およびトリフルオロ酢酸(3.7g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(2.6785g)、ミリスチン酸イソプロピル(2.6849g)、ジメチルスルホキシド(2.6844g)およびオランザピン(1.6291g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(292.7g)、メタノール(73.5g)およびトリフルオロ酢酸(3.7g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶にオレイン酸(2.6785g)、ミリスチン酸イソプロピル(2.6849g)、ジメチルスルホキシド(2.6844g)およびオランザピン(1.6291g)を添加して一緒に混合し、混合賦形剤原液を調製した。
4ドラム(18mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Aの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリルアミド/酢酸ビニル(75/5/20)を2.284g)、混合溶媒原液(5.4007g)、賦形剤原液(0.8078g)、オランザピン(0.2261g)およびジメチルスルホキシド(0.4627g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で10分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、10.6%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を下記の表1に示す。
実施例7
乳酸に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、乳酸に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約31.2重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、0.4μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、0.02μg/cm2/hrであった。
乳酸に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、乳酸に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約31.2重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、0.4μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、0.02μg/cm2/hrであった。
実施例8
オレイン酸に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、オレイン酸に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約24.4重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、770.0μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、15.8μg/cm2/hrであった。
オレイン酸に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、オレイン酸に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約24.4重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、770.0μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、15.8μg/cm2/hrであった。
実施例9
ジメチルスルホキシドに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ジメチルスルホキシドに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約23.9重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、265.9μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、2.7μg/cm2/hrであった。
ジメチルスルホキシドに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ジメチルスルホキシドに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約23.9重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、265.9μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、2.7μg/cm2/hrであった。
実施例10
ポリエチレングリコール400に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ポリエチレングリコール400に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約4.5重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、342.9μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、9.6μg/cm2/hrであった。
ポリエチレングリコール400に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ポリエチレングリコール400に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約4.5重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、342.9μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、9.6μg/cm2/hrであった。
実施例11
スパン(Span)80(登録商標)に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、スパン(Span)80に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約3.4重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、323.6μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、6.8μg/cm2/hrであった。
スパン(Span)80(登録商標)に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、スパン(Span)80に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約3.4重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、323.6μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、6.8μg/cm2/hrであった。
実施例12
α−テルピネオールに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、α−テルピネオールに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約1.8重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、514.6μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、11.5μg/cm2/hrであった。
α−テルピネオールに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、α−テルピネオールに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約1.8重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、514.6μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、11.5μg/cm2/hrであった。
実施例13
ミリスチン酸イソプロピルに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ミリスチン酸イソプロピルに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約0.6重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、663.6μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、11.8μg/cm2/hrであった。
ミリスチン酸イソプロピルに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ミリスチン酸イソプロピルに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約0.6重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、663.6μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、11.8μg/cm2/hrであった。
実施例14
ラウログリコールに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ラウログリコールに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約2.5重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、760.0μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、13.1μg/cm2/hrであった。
ラウログリコールに過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ラウログリコールに溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約2.5重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、760.0μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、13.1μg/cm2/hrであった。
実施例15
30%のラウラミンオキシド水溶液に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ラウラミンオキシドおよび水に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約0.7重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、1474.7μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、22.3μg/cm2/hrであった。
30%のラウラミンオキシド水溶液に過剰量のオランザピンを添加し、溶液を少なくとも24時間混合し、0.45μmのフィルタで溶液をろ過して未溶解のオランザピンを除去することにより、ラウラミンオキシドおよび水に溶解したオランザピンの飽和溶液を調製した。その結果得られた溶液中のオランザピン濃度は、慣用的なHPLCを使用して分析され、全溶液の約0.7重量%であった。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。72時間後のオランザピンの累積皮膚透過量は、1474.7μg/cm2であった。48〜72時間の平均流出速度は、22.3μg/cm2/hrであった。
実施例16
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。6ドラム(27mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Bの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリル酸(90/10)を2.562g)、アセトン(9.9506g)、メタノール(2.6912g)、オランザピン(0.4508g)、および、テトラヒドロフラン(7.6501g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、20ミル(508μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、15.0%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を前記の表1に示す。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。6ドラム(27mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記共重合体Bの乾燥イソオクチルアクリレート/アクリル酸(90/10)を2.562g)、アセトン(9.9506g)、メタノール(2.6912g)、オランザピン(0.4508g)、および、テトラヒドロフラン(7.6501g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、20ミル(508μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、15.0%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を前記の表1に示す。
実施例17
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(158.443g)、メタノール(39.610g)およびトリフルオロ酢酸(2.065g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。
経皮薬物送達デバイスを以下のように調製した。アセトン(158.443g)、メタノール(39.610g)およびトリフルオロ酢酸(2.065g)を混合することにより、混合溶媒原液を調製した。
9.5ドラム(40mL)のガラスバイアル瓶に、共重合体(前記の共重合体Cの乾燥イソオクチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/酢酸ビニル/エルバサイト(Elvacite)(登録商標)1010(56/20/18/6)を2.255g)、混合溶媒原液(16.9549g)、およびオランザピン(0.7486g)を添加し、均一なコーティング配合物が得られるまで一緒に混合した。このコーティング配合物を剥離ライナー(ダウバート(Daubert)164Pシリコーン塗工剥離ライナー)上に、14ミル(356μm)の湿潤厚みでナイフコーティングした。コーティングされたライナーを110℃(43℃)で20分間オーブン乾燥した。その結果得られたコーティングは、24.9%のオランザピンを含有した。コーティングされたライナーを支持体(ダウバート(Daubert)164Pライナーの剥離剤を塗工されていない側)上に積層した。前述の試験方法を使用して、ヒト死体皮膚への透過を決定した。その結果を前記の表1に示す。
本発明の幾つかの実施形態を参照して本発明を説明してきた。前述の特定の実施形態および実施例の説明は、本発明を例証するために記載されたものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に多くの変更を加え得ることが当業者には明らかである。
前述の全ての特許、出願、および出版物は参照により本明細書に援用される。
Claims (20)
- 経皮薬物送達組成物であって、以下の:
(a)共重合されたモノマーを含む共重合体を含む感圧接着剤であって、前記モノマーが、イソオクチルアクリレート、エチルへキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択される第1のモノマーと、アクリルアミド、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、およびこれらの組み合わせから選択される第2のモノマーとを含む前記感圧接着剤、
(b)アミンオキシド、不飽和脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、ラウログリコール、α−テルピネオール、ポリエチレングリコール、ソルビタンエステル、乳酸、ジメチルスルホキシド、およびこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種類の賦形剤、並びに、
(c)オランザピン又はその薬学的に許容される塩、
を含む、前記経皮薬物送達組成物。 - 前記組成物が、未溶解のオランザピンを実質的に含まない、請求項1に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記第2のモノマーが、酢酸ビニルである、請求項1に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記オランザピンが、遊離塩基の形態を含む、請求項1に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記賦形剤が、皮膚透過促進剤である、請求項1に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記透過促進剤が、アミンオキシド、不飽和脂肪酸、α−テルピネオール、ポリエチレングリコール、ソルビタンエステル、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項5に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記透過促進剤が、アミンオキシド又は不飽和脂肪酸である、請求項5に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記アミンオキシドが、ラウラミンオキシドである、請求項7に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記透過促進剤が、不飽和脂肪酸である、請求項5に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記不飽和脂肪酸が、オレイン酸である、請求項5に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記賦形剤が、オランザピンの可溶化剤である、請求項1に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記可溶化剤が、乳酸である、請求項11に記載の経皮薬物送達組成物。
- 前記可溶化剤が、ジメチルスルホキシドである、請求項11に記載の経皮薬物送達組成物。
- 支持体および請求項1に記載の組成物を含むオランザピンの経皮送達用デバイスであって、前記組成物が前記支持体の一つの面に付着されているデバイス。
- オランザピン又はその薬学的に許容される塩、並びに、ラウラミンオキシド、オレイン酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される透過促進剤を含む、経皮薬物送達組成物。
- 感圧接着剤を更に含む、請求項15に記載の経皮薬物送達組成物。
- (a)請求項1に記載の経皮薬物送達組成物を提供する工程、および
(b)所望の治療結果を達成するのに十分な期間、ヒトの身体の外部に前記組成物を適用する工程、
を含む、統合失調症又は双極性躁病の治療方法。 - 前記期間が約1日〜約7日である、請求項17に記載の方法。
- (a)請求項16に記載の経皮薬物送達組成物を提供する工程、および
(b)所望の治療結果を達成するのに十分な期間、ヒトの身体の外部に前記組成物を適用する工程、
を含む、統合失調症又は双極性躁病の治療方法。 - 前記期間が約1日〜約7日である、請求項19に記載の方法。
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