JP2007506046A - 風力発電装置用アジマスブレーキ - Google Patents

Abstract

【課題】より単純な構造を有するアジマスブレーキを提供すること。
【解決手段】１つの共通のブレーキディスク（１０）に対して配置され、アクチュエータ（２４，３０）を有する少なくとも２対のブレーキシュー（１２Ａ，１２Ｂ； １４Ａ，１４Ｂ； １６Ａ，１６Ｂ）を有し、前記アクチュエータ（２４，３０）が、前記ブレーキディスク（１０）の面に向かって垂直に伸びる軸に対して回動可能なてこ棒（３０）と、前記てこ棒（３０）の回動運動を、前記ブレーキシュー（１２Ａ，１２Ｂ； １４Ａ，１４Ｂ； １６Ａ，１６Ｂ）における、前記ブレーキディスク（１０）に対する軸方向係合運動へ変換するためのトランスミッション（２４）と、を有し、少なくとも２つの前記アクチュエータ（２４，３０）の前記てこ棒（３０）が、１つの共通駆動機構（３２）によって連結されていることを特徴とするアジマスブレーキ。
【選択図】図１

Description

本発明は、共通のブレーキディスク上に配置された少なくとも２対のブレーキシューと、ブレーキシューの各対に連結するアクチュエータとを有する、風力発電装置用のアジマスブレーキ（ａｚｉｍｕｔｈ ｂｒａｋｅ）に関する。

風力発電装置は、回転翼を風向きに合わせるために、回転翼を支え、かつ、垂直軸に対して回転可能なポッドを有する。アジマスブレーキは、このポッドを各方位に対して固定したり、ポッドの回転運動を制動することを目的とする。このアジマスブレーキは、水平で環状のブレーキディスクを有する。ブレーキディスク上には、ブレーキディスクに対して充分に強いブレーキ力を作用させるために、ブレーキシューの対が複数（例えば、４〜２４対）配置されている。このような従来のアジマスブレーキにおいては、ブレーキシューは液圧式によって駆動される。

特許文献１（ＤＥ２０２ ０３ ７４９ Ｕ）においては、風力発電装置の回転翼のために、電気機械的に作動させることができるブレーキが提案されている。このブレーキにおけるアクチュエータは、ブレーキディスクの面に向かって垂直に伸びる軸に対して回動可能なてこ棒と、このてこ棒の回動運動を、ブレーキシューにおける、ブレーキディスクに対する軸方向係合運動へ変換するためのトランスミッションと、を有する。このブレーキを作動させるために、駆動機構がてこ棒に作用する。この駆動機構は、スピンドル駆動機能を備えたモーター等の電気機械的駆動機構であることが好ましい。てこ棒の動作と、トランスミッションによる力の変換によって、ブレーキシューの強い係合力が得られる。
ＤＥ２０２ ０３ ７４９ Ｕ

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、より単純な構造を有するアジマスブレーキを提供することである。

本願発明に係るアジマスブレーキにおいては、
各アクチュエータが、ブレーキディスクの面に向かって垂直な軸に対して回動可能なてこ棒と、
てこ棒の回動運動を、ブレーキシューにおける、ブレーキディスクに対する、軸方向係合運動へ変換するためのトランスミッションと、を有し、
少なくとも２つのアクチュエータのてこ棒が、１つの共通駆動機構によって連結される。
これらの特徴によって本願発明の目的が達成される。

この解決法は、２対のブレーキシューのためのアクチュエータに対して、ただ１つの駆動機構しか必要としないことに利点を有する。２つのアクチュエータのてこ棒は、共通駆動機構によって連結され、この共通駆動機構によって同時に回動させられる。このようにして、構造をかなり単純化することができる。

特許文献２０２ ０３ ７９４Ｕに示すように、てこ棒の動作とトランスミッションによって、高いパワーゲインが供給される。そのため、スピンドル駆動部を備えたモーター、リニアモーター、あるいはそれに類するような比較的弱い電子機械的駆動機構を、駆動機構として用いることができる。

有用な発明の詳細は、従属する請求項において示されている。

２つのてこ棒が互いに逆向きに回動するような仕方で、駆動機構を２つのてこ棒と連結させることもできる。すると、各てこ棒は、他方のアクチュエータのてこ棒を調整するために、駆動機構に対して、同時にカウンターベアリングとして振る舞う。

これを変更させた具体例として、この２つのてこ棒は同じ方向に回動しても良い。

てこ棒は、駆動機構である１つの共通歯車に噛み合うように、のこぎり状のセグメントとして配置されてもよい。この歯車が中央に配置される場合、２対のブレーキシュー、あるいはブレーキシューの全対を、１つの共通駆動機構によって作動させることもできる。

好ましくは、各対における２つのブレーキシューは、角張ったブレーキディスクの周囲に固く取り付けられた１つのサドルに支持され、各ブレーキシューにはトランスミッションが接合される。さらに、好ましくは、サドルが、ブレーキディスクの内周側に取り付けられる。好ましくは、１つの共通駆動機構に連結された２つのアクチュエータの各てこ棒が、各サドルから同じ方向に突き出ている。例えば、各てこ棒は、ブレーキディスクの中心に向かって突き出ている。各てこ棒の自由端を共に引いたり、押し離したりする共通駆動機構によって、両てこ棒は互いに反対方向に回動させられる。これに対応して、２つのトランスミッションは鏡像対称的に配置される。その結果、各てこ棒の回動運動は、どちらの回動方向においても、ブレーキシューの係合運動に変換される。

これに代わる構造としては、２つのてこ棒が、サドルに対して反対方向に突き出る構造が考えられる。例えば、２つのてこ棒のうち一つは、ブレーキディスクの内側に突き出て、もう一つは外側に突き出る。その結果、各てこ棒の自由端が、共通の作動機構によって共に引かれたり、押し離されたりすると、各てこ棒は同じ方向に回動する。この場合、２つのトランスミッションは、スピンドル駆動、あるいは右巻のスピンドルをはめ込んだボールスピンドル駆動と同様の配置をとってもよい。

これを変更させた具体例として、各アクチュエータが、ブレーキシューをブレーキディスクに片寄らせるためのバネ装置を有してもよい。この場合、各てこ棒とトランスミッションは、バネ装置の力に抗してブレーキシューをブレーキディスクから離すことができるように、配置される。この構造によって、ブレーキのフェールセーフネス（ｆａｉｌ−ｓａｆｅｎｅｓｓ）が改善される。

以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図１は、本発明の一実施形態に係るアジマスブレーキの概略平面図、
図２は、本発明の一実施形態に係るアジマスブレーキの一部分を、図１に示す矢印ＩＩ−ＩＩの方向から見た側面図である。

図１に示すように、アジマスブレーキは、環状のブレーキディスク１０を有する。このブレーキディスク１０は、風力発電装置における回転可能なポッドに堅く接続されている（図中省略）。また、図１に例示するように、ブレーキディスクは、６対のブレーキシュー１２Ａ，１２Ｂ，１４Ａ，１４Ｂ，１６Ａ，１６Ｂと組み合わされている。それぞれのブレーキシューの対は、サドル１８を有する。サドル１８は、ブレーキディスク１０の回転方向に対して位置が固定するように、ブラケット２０によって、風力発電装置の塔に連結する部分に強固に保持されている。勿論、ブレーキディスクが塔に固定され、ブラケットがポッドと共に回転可能であるような逆の配置であってもよい。

各サドル１８は、トランスミッションの軸受け２２を有する。軸受け２２は、回動運動を直線運動に変換するためのトランスミッション２４（図２）を収容している。トランスミッション２４としては、例えば、スピンドル駆動、ボールスピンドル駆動、あるいは遊星連動装置のローラーを有するスピンドルねじ駆動等が挙げられる。ブレーキディスクに対してブレーキ力を作用させるために、トランスミッション２４によって、１対のブレーキシューに対応する２つのブレーキシュー２６が、反対方向からブレーキディスク１０に押し当てられる。トランスミッション２４は、中央の入力シャフト２８を有する。入力シャフト２８は、トランスミッションの軸受け２２から外へ突き出ている。てこ棒３０は、入力シャフト２８から、ブレーキディスクの中心に向かって突き出ている。従って、てこ棒３０を回動させることによって、１対のブレーキシューが、ブレーキの働く位置と、働かない位置との間をシフトすることができる。すなわち、てこ棒３０と、トランスミッション２４とが、それに対応する１対のブレーキシューにとってのアクチュエータを構成する。

２対のブレーキシュー（例えば、ブレーキシュー１２Ａ，１２Ｂ）に対応する各てこ棒３０は、１つの共通の電子機械的駆動機構３２によって互いに連結される。図１に例示するように、駆動機構３２は、スピンドル駆動部３４と、電気モーター３６との組み合わせによって構成される。２本の押し棒３８が、スピンドル駆動部３４から伸びている。各押し棒３８は、それぞれ１つのてこ棒３０の自由端に、回動可能な状態で連結されている。スピンドル駆動部３４が電気モーター３６によって駆動されると、各押し棒３８は逆方向に引っ張られる。その結果、各押し棒３８に連結した各てこ棒３０が反対の回動方向に回動する。各てこ棒３０に連動する２つのトランスミッション２４は、互いに鏡像対称的な位置関係に配置されている。その結果、てこ棒３０の回動によって、どちらの回動方向においても、ブレーキシュー２６が、ブレーキディスク１０に対して軸方向の力を作用させる。このようにして、２対のブレーキシュー１２Ａと１２Ｂ、１４Ａと１４Ｂ、１６Ａと１６Ｂは、それぞれ単一の駆動機構３２によって同時に作動する。

図１に例示するように、各サドル１８には、１つの共通駆動機構３２によって連結された２対のブレーキシューが設置されている。このサドル１８の１対が、１つの共通ブラケット２０の上にボルトによって固定されている。

図１に例示するように、各てこ棒３０は、ブレーキディスク１０の内側に向かって突き出ているため、アジマスブレーキのための完全な駆動システムを、ブレーキディスク１０の設置領域の内側に収容することができる。

図１に例示するように、サドル１８は、浮動サドルとして配置される。しかし、ブレーキディスク１０の両側面に配置されたブレーキシュー２６のうち１つを各々作動させるアクチュエータを用いた固定サドル構造であってもよい。この場合もまた、アクチュエータの各てこ棒は、１つの共通駆動機構によって連結される。

以上、本発明の一実施形態として、アジマスブレーキについて説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。本発明の原理は、少なくとも２対のブレーキシューが、１つの共通するブレーキディスクに対して配置されているような他のブレーキにおいても、適用することができる。

図１は、本発明の一実施形態に係るアジマスブレーキの概略平面図である。 図２は、本発明の一実施形態に係るアジマスブレーキの一部分を、図１に示す矢印ＩＩ−ＩＩの方向から見た側面図である。

符号の説明

１０… ブレーキディスク
１２Ａ，１２Ｂ，１４Ａ，１４Ｂ，１６Ａ，１６Ｂ…１対のブレーキシュー
１８… サドル
２０… 共通ブラケット
２４… トランスミッション
２６… ブレーキシュー
３０… てこ棒
３２… 共通駆動機構
３４… スピンドル駆動部
３６… 電気モーター
３８… 押し棒

Claims (10)

1. １つの共通のブレーキディスク（１０）に対して配置され、アクチュエータ（２４，３０）を有する少なくとも２対のブレーキシュー（１２Ａ，１２Ｂ； １４Ａ，１４Ｂ； １６Ａ，１６Ｂ）を有し、
   前記アクチュエータ（２４，３０）が、
   前記ブレーキディスク（１０）の面に向かって垂直に伸びる軸に対して回動可能なてこ棒（３０）と、
   前記てこ棒（３０）の回動運動を、各ブレーキシュー（２６）における、前記ブレーキディスク（１０）に対する軸方向係合運動へ変換するためのトランスミッション（２４）と、を有し、
   少なくとも２つの前記アクチュエータ（２４，３０）の前記てこ棒（３０）が、１つの共通駆動機構（３２）によって連結されていることを特徴とするアジマスブレーキ。
2. 前記ブレーキシューの各対（１２Ａ，１２Ｂ； １４Ａ，１４Ｂ； １６Ａ，１６Ｂ）が、サドル（１８）を有し、
   前記サドル（１８）には、前記トランスミッション（２４）が接合されていることを特徴とする請求項１に記載のアジマスブレーキ。
3. １つの共通アクチュエータ（３２）と連結された２対の前記ブレーキシュー（１２Ａ，１２Ｂ； １４Ａ，１４Ｂ； １６Ａ，１６Ｂ）の有する前記サドル（１８）が、１つの共通ブラケット（２０）の上に保持されていることを特徴とする請求項２に記載のアジマスブレーキ。
4. 前記共通駆動機構（３２）が、２つの前記てこ棒（３０）と連結し、
   各てこ棒（３０）は、他方のてこ棒（３０）を調整するために、前記共通駆動機構（３２）に対して、同時にカウンターベアリングとして振る舞うことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載のアジマスブレーキ。
5. 前記駆動機構（３２）が２つの押し棒（３８）を有し、
   前記押し棒（３８）は、相互に逆方向の突出および後退移動自在であり、それぞれ１つの前記てこ棒（３０）の自由端に、回動可能な状態で接続されていることを特徴とする請求項４に記載のアジマスブレーキ。
6. 前記押し棒（３８）を後退移動させることによって、前記ブレーキシュー（２６）を前記ブレーキディスク（１０）に対して調節することを特徴とする請求項５に記載のアジマスブレーキ。
7. ２つの前記アクチュエータ（２４，３０）の前記てこ棒（３０）が、前記ブレーキディスク（１０）の中心に対して同じ方向に突き出ており、
   前記てこ棒（３０）と連結した前記トランスミッション（２４）が、逆方向に作動することを特徴とする請求項４〜６のいずれかに記載のアジマスブレーキ。
8. 前記てこ棒（３０）が、前記ブレーキディスク（１０）の中心に向かって突き出ていることを特徴とする請求項７に記載のアジマスブレーキ。
9. 前記共通駆動機構（３２）がスピンドル駆動部（３４）を有することを特徴とする請求項１〜８のいずれかに記載のアジマスブレーキ。
10. 前記共通駆動機構（３２）が電気モーター（３６）を有することを特徴とする請求項１〜９のいずれかに記載のアジマスブレーキ。

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