JP2007332292A - セルロース体、セルロース体フィルム、光学補償シート、偏光板、液晶表示装置 - Google Patents

セルロース体、セルロース体フィルム、光学補償シート、偏光板、液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レターデーション発現性に優れ、環境湿度によるレターデーション変化の小さいセルロース体フィルム、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】分極率異方性の値が異なる2つ以上の置換基を有するセルロース体であって、分極率異方性の値が最小の置換基をA、分極率異方性の値が最大の置換基をBとしたとき、置換基A及び置換基Bの置換度が下記関係式(1)を満たすセルロース体。
Figure 2007332292

(ここで、DSA2、DSA3、DSA6、DSB2、DSB3及びDSB6は各々、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位又は6位における前記置換基A又はBの置換度を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、レターデーション発現性が高いセルロース体およびセルロース体組成物、レターデーション発現性が高く、薄いフィルム厚みで所望のレターデーションを得られるセルロースアシレートフィルム、これを用いた光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
セルロースアシレートフィルムは適度な透水性を有し、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)ことから、液晶表示装置向けの偏光板保護フィルムとして広く利用されてきた。
近年、セルロースアシレートフィルムに位相差を付与し、偏光板保護フィルムとしての機能に加えて、光学補償機能も併せ持たせる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、平面性の高いトリアジン型化合物をセルロースアシレートに添加し、レターデーションを発現させる方法が開示されている。
また、特許文献2及び3には、2種類以上の異なる置換基を有するセルロース混合エステルを延伸処理することにより、レターデーションを発現させる方法が開示されている。
しかし、近年液晶テレビ用途を中心に、高品位の表示性能と液晶パネルの薄型化の双方が強く求められるようになってきている。この要求に答えるためには、より高いレターデーションをより薄いフィルム厚みで実現させた光学補償フィルムが必要であるが、上記方法ではレターデーション発現性が不十分であり、さらにレターデーション発現性の高い材料及び製造方法が求められていた。
特開2003−170492号公報 特開2002−71957号公報 特開2005−8803号公報
本発明は、レターデーション発現性に優れたセルロース体フィルムを形成できるレターデーション発現性が高いセルロース体およびセルロース体組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、レターデーション発現性に優れ、環境湿度によるレターデーション変化の小さいセルロース体フィルム、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、セルロース体において、置換基の置換位置がレターデーション発現性及び環境湿度によるレターデーション変動に大きく影響すること、特に分極率異方性の値が大きい置換基の場合、置換位置により前記レターデーション発現性が劇的に変化することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の課題は下記手段により解決できる。
[1]下記数式(A)により算出される分極率異方性の値Δαが異なる2つ以上の置換基を有するセルロース体であって、分極率異方性の値Δαが最小の置換基をA、分極率異方性の値Δαが最大の置換基をBとしたとき、置換基A及び置換基Bの置換度が下記関係式(1)を満たすことを特徴とするセルロース体。
Figure 2007332292
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
Figure 2007332292
(ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
[2]前記置換基A及び前記置換基Bの合計置換度が下記関係式(2)及び(3)を満たすことを特徴とする[1]項に記載のセルロース体。
Figure 2007332292
(ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
[3]前記置換基Bの置換度が下記関係式(4)を満たすことを特徴とする[1]又は[2]項に記載のセルロース体。
Figure 2007332292
(ここで、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
[4]前記置換基Bの分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のセルロース体。
[5]前記置換基Bが芳香族アシル基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のセルロース体。
[6]前記置換基Aがアセチル基であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のセルロース体。
[7]前記置換基Bの置換度が下記関係式(5)を満たすことを特徴とする[4]又は[5]項に記載のセルロース体。
Figure 2007332292
(ここで、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載のセルロース体を含むことを特徴とするセルロース体組成物。
[9][1]〜[7]のいずれか1項に記載のセルロース体を含むことを特徴とするセルロース体フィルム。
[10]フィルムの搬送方向、及び/又はこれと垂直な方向に1%以上100%以下延伸されたことを特徴とする[9]項に記載のセルロース体フィルム。
[11]少なくとも2つの芳香環を含むレターデーション発現剤を含有することを特徴とする[9]又は[10]項に記載のセルロース体フィルム。
[12]フィルムの厚みが30μm以上100μm以下であることを特徴とする[9]〜[11]のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
[13][9]〜[12]のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
[14][9]〜[12]のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム上に光学異方性層を有することを特徴とする光学補償シート。
[15]偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が、[13]又は[14]項に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
[16]液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が[15]項に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
[17]表示モードがVAモードであることを特徴とする[16]項に記載の液晶表示装置。
[18]表示モードがOCBモードであることを特徴とする[16]項に記載の液晶表示装置。
本発明のセルロース体およびセルロース体組成物はレターデーション発現性が高く、これを用いた本発明のセルロース化合物フィルムは、液晶表示装置用光学フィルムとして、特に光学補償シートとして好適に用いることができる。
本発明は、透明性に優れ、液晶セルを光学的に補償するために充分な光学的異方性を有するセルロースアシレートフィルム、および光学補償シートを提供することができる。偏光板の保護膜は、一般にセルロースアセテートフィルムからなるが、本発明のフィルムを偏光板の一方の保護膜として用いると、偏光板の構成要素の数を増加することなく、偏光板に光学補償機能を追加することができる。
本発明の光学補償シートおよび本発明の光学補償シートを保護膜として用いた偏光板は、液晶表示装置、特にVAモードおよびOCBモードの液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明によれば、コントラストが高く、視角による色味変化の小さい液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は分極率異方性の値が異なる2種類以上の置換基を有し、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、6位における前記置換基の置換度が特定の関係を有するセルロース体を光学補償フィルムとして用いるものである。
[セルロース体フィルム]
以下に本発明のセルロース体フィルムについて、セルロース体、添加剤、製膜方法の順に説明する。
〔セルロース体〕
本発明のセルロース体とは、セルロース化合物、およびセルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物である。
本発明のセルロース体フィルムに使用するセルロース体は、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環上の3つの水酸基の内の少なくとも1つに結合する置換基として、分極率異方性の値が異なる2種類以上の置換基を有し、該分極率異方性の値Δαは下記数式(A)により算出される。
Figure 2007332292
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
置換基はそれぞれ固有の分極率異方性の値Δαを有しており、このΔαについてはGaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア、商品名)を用いて計算できる。具体的には、B3LYP/6−31G*レベルで最適化された構造を用いて、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環上の水酸基に連結する置換基を水酸基の酸素原子を含む部分構造として(すなわち、セルロース側鎖置換基部を置換基−OH(例:AcOH)の形でモデル化し、構造最適化して)、B3LYP/6−311+G**レベルでDFT計算することで分極率テンソルを計算し、得られた分極率テンソルを対角化した後、座標変換(C=OをX軸としY軸に連結する原子を配置)を行ってαx、αy及びαzを計算し、当該αx、αy及びαz成分を上記数式(A)に代入することにより分極率異方性の値Δαを算出することができる。
上記の方法によって計算した場合における各置換基の分極率異方性の値Δαを以下に例示する:アセチル基=0.91、プロピオニル基=1.44、ブチリル基=2.20、ベンゾイル基=5.08、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基=7.12。
上記の計算により算出した分極率異方性の値Δαが最小の置換基をA、分極率異方性の値Δαが最大の置換基をBとしたとき、本発明のセルロース体の置換基A及び置換基Bの置換度は下記関係式(1)を満たす。また、本発明のセルロース体の置換基A及び置換基Bの合計置換度は下記関係式(2)及び(3)を満たすことが好ましい。
Figure 2007332292
(ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
前記式(1)は、本発明のセルロース体において、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の6位につき、分極率異方性の高い置換基Bが分極率異方性の低い置換基Aよりも多く置換していることを示す。
式(1)は、好ましくは、
Figure 2007332292
であり、より好ましくは、
Figure 2007332292
である。
前記式(2)は、本発明のセルロース体において、分極率異方性の低い置換基Aの合計置換度が分極率異方性の高い置換基Bの合計置換度よりも高いことが好ましいことを示す。
式(2)はさらに好ましくは、
Figure 2007332292
であり、最も好ましくは、
Figure 2007332292
である。
前記式(3)は、本発明のセルロース体において、前記置換基A及び前記置換基Bの置換度の合計が1.5以上3.0以下であることが好ましいことを示す。
式(3)はさらに好ましくは、
Figure 2007332292
であり、最も好ましくは、
Figure 2007332292
である。
本発明のセルロース体の前記置換基A及び前記置換基Bの置換度が上記関係を満たすことにより、レターデーション発現性が高く、環境湿度によるレターデーション変化の小さいセルロース体が得られる。
本発明のセルロース体としては、セルロースエステル、セルロースエーテル等様々なセルロース体を用いることが可能であるが、フィルムの透明性、柔軟性の点からセルロースアシレートが特に好ましい。
以下に本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートについて説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムに用いられるセルロースアシレートの原料綿は、公知の原料を用いることができる(例えば、発明協会公開技法2001−1745)。また、セルロースアシレートの合成も公知の方法で行なうことができる(例えば、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年))。セルロースアシレートの粘度平均重合度は300〜700が好ましく、350〜500が更に好ましく、400〜500が最も好ましい。
重合度を大きくすることにより、セルロースアシレートフィルム製膜時の結晶化を抑制することができる。
本発明のセルロースアシレートは、2種類以上の分極率異方性の値が異なる置換基を有するセルロース体のうち少なくとも1種のアシル基が置換したものである。
本発明のセルロースアシレートが2種類の分極率異方性の値が異なるアシル基が置換したものである場合、分極率異方性の値が小さい置換基Aとしてはアセチル基が好ましい。
また、分極率異方性の値が大きい置換基としては、炭素数3以上のアシル基であれば様々な置換基を用いることが可能であるが、脂肪族アシル基としてはプロピオニル基およびブチリル基が特に好ましい。
置換基Bがプロピオニル基あるいはブチリル基の場合、置換基Bの置換度は下記式(4)を満たすことが好ましい。
Figure 2007332292
前記式(4)は、本発明のセルロースアシレートにおいて、プロピオニル基又はブチリル基(置換基B)の置換度につき、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位の全体に対する6位の置換の割合が0.33以上であることが好ましいことを示す。
式(4)はさらに好ましくは、
Figure 2007332292
であり、最も好ましくは
Figure 2007332292
である。
置換度が上記範囲を満たすことにより、環境湿度によるレターデーション変化がより小さいセルロースフィルムを得ることができる。
本発明のセルロースアシレートの置換基Bとしては、前記分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上である置換基が好ましい。前記の置換基Bにおける分極率異方性の値は、さらに好ましくは4.0×10-24cm3以上300×10-24cm3以下であり、6.0×10-24cm3以上300×10-24cm3以下が最も好ましい。分極率異方性の値が大きい置換基としては、疎水化効果が大きくかつフィルムの自由体積が広がりにくいため、芳香族アシル基が特に好ましい。
分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上である置換基Bの置換度は下記関係式(5)を満たすことが好ましい。
Figure 2007332292
前記式(5)は、本発明のセルロースアシレートにおいて、前記の分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上である置換基Bの置換度につき、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位の全体に対する6位の置換の割合が0.60以上であることが好ましいことを示す。
式(5)はさらに好ましくは、
Figure 2007332292
であり、最も好ましくは、
Figure 2007332292
である。
本発明において、セルロース体の置換度は、セルロース体を重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解してC13−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。
本発明のセルロースアシレートとしては、置換基Aがアセチル基であり、置換基Bが下記一般式(A)で表される芳香族アシル基である化合物が特に好ましい。
Figure 2007332292
(式中、Xは置換基を表し、nは0〜5の整数を表す。)
まず、前記一般式(A)について説明する。一般式(A)中、Xは置換基を表す。前記置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールスルホニルオキシ基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R、−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2、−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2および−O−Si(−R)3が含まれる。Xは更に他の置換基によって置換されていてもよい。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。
前記で表される置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は直鎖に限定されず、環状構造または分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基および2−エチルヘキシル基が含まれる。
上記アルコキシ基は直鎖に限定されず、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基およびオクチルオキシ基が含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニル基およびナフチル基が含まれる。
上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基およびナフトキシ基が含まれる。
上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル基、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド基およびベンズアミド基が含まれる。
上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基およびp−トルエンスルホンアミド基が含まれる。
上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基が含まれる。
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニル基が含まれる。
上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル基およびN−メチルカルバモイル基が含まれる。
上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル基およびN−メチルスルファモイル基が含まれる。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基およびイソプロペニル基が含まれる。
上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基が含まれる。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニル基の例には、p-トルエンスルホニル基が含まれる。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例には、メチル硫酸基が含まれる。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシスルホニル基の例には、フェニル硫酸基が含まれる。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例には、メタンスルホニルオキシ基が含まれる。
上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例には、p-トルエンスルホニルオキシ基が含まれる。
また、一般式(A)中、nは置換基の数であり、0〜5の整数を表す。芳香族環に置換する置換基Xの数(n)は、1〜5個であることが好ましく、1〜4個であることがより好ましく、1〜3個であることがさらに好ましく、特に好ましいのは1または2個である。
芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、該置換基は互いに同じでも異なっていてもよいし、互いに連結して縮合多環化合物(例えば、ナフタレン基、インデン基、インダン基、フェナントレン基、キノリン基、イソキノリン基、クロメン基、クロマン基、フタラジン基、アクリジン基、インドール基、インドリン基など)を形成してもよい。
一般式(A)で表される芳香族アシル基の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007332292
Figure 2007332292
Figure 2007332292
Figure 2007332292
2種類のアシル基が置換したセルロース混合アシレートを得る方法としては、アシル化剤として2種のカルボン酸無水物を混合または逐次添加により反応させる方法、2種のカルボン酸の混合酸無水物(例えば、酢酸・プロピオン酸混合酸無水物)を用いる方法、カルボン酸と別のカルボン酸の酸無水物(例えば、酢酸とプロピオン酸無水物)を原料として反応系内で混合酸無水物(例えば、酢酸・プロピオン酸混合酸無水物)を合成してセルロースと反応させる方法、置換度が3に満たないセルロースアシレートを一旦合成し、酸無水物や酸ハライドを用いて、残存する水酸基を更にアシル化する方法などを用いることができる。
また、本発明の芳香族アシル基を有するセルロース体は、アルドリッチ社製セルロースアセテート、もしくはダイセル社製セルロースアセテート(商品名:L−70およびLM−80)を出発原料として、対応する酸クロリドとの反応により得ることができる。
本発明のセルロースアシレートは、100〜700の質量平均重合度を有することが好ましく、180〜550の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明のセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
また、本発明に使用するセルロース体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましく、1.5〜3.5であることがさらに好ましく、2.0〜3.0であることが最も好ましい。
〔添加剤〕
(レターデーション発現剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤を含有することが好ましい。レターデーション発現剤としては、少なくとも2つ以上の芳香環を有する化合物が好ましい。
下記一般式(I)で表される化合物はレターデーション発現剤として特に好ましい。以下に一般式(I)で表される化合物について詳しく説明する。
Figure 2007332292
(式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。ただし、R1〜R6のうち少なくとも2つ以上はアリール基を表す。)
式(I)において、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表すが、アリール基または複素環基がより好ましい。R1、R2、及びR3がそれぞれ表すアリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。
1、R2、及びR3がアリール基又は複素環基である場合、これらの基はさらに置換基により置換されていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が挙げられる。
1、R2、及びR3が複素環基を表す場合、複素環は芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環とは、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記に挙げた置換基の例と同様である。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていても良い。
式(I)中、X1は単結合、−NR4−、−O−または−S−を表し、X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−を表し、X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−を表す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
4、R5およびR6がそれぞれ表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
4、R5およびR6がそれぞれ表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基がより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
4、R5およびR6がそれぞれ表す芳香族環基(アリール基)および複素環基は、R1、R2及びR3がそれぞれ表す芳香族環基および複素環基と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR1、R2及びR3の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
以下に本発明に用いることができる一般式(I)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007332292
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上記一般式(I)で表されるレターデーション発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%が最も好ましい。
本発明に用いることができるレターデーション発現剤は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
前記一般式(I)で表されるレターデーション発現剤は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明においては、前記一般式(I)で表されるレターデーション発現剤の併用も好ましい。
(可塑剤)
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、紫外線吸収剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」{何れも商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製}を好ましく使用できる。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロース体に対して0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがさらに好ましい。
(劣化防止剤)
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤添加による効果が発現し、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)を抑制する観点から、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
(マット剤微粒子)
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。これらの微粒子の中ではケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子サイズが1nm〜20nmであり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径は1nm〜20nmであることが好ましく、5nm〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができて、より好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.05〜2.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.05〜2.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子サイズは0.05μm〜1.0μmが好ましく、0.1μm〜0.7μmがさらに好ましく、0.1μm〜0.4μmが最も好ましい。1次、2次粒子サイズはフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとする。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製、商品名)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976およびR811(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明で用いるマット剤は以下の方法により調製することが好ましい。すなわち、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意したセルロースアシレート濃度が5質量%未満で分子量200〜2000の第1の添加剤溶液に加えて攪拌溶解した後、さらに第2の添加剤溶液を加えて攪拌溶解した後、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法が好ましい。
マット剤の表面は疎水化処理されているため、疎水的な添加剤が添加されると、マット剤の表面に添加剤が吸着され、これを核として、添加剤の凝集物が発生しやすい。相対的に親水的な添加剤を予めマット剤分散液と混合したのち、疎水的な添加剤を混合することにより、マット剤表面での添加剤の凝集を抑制することができ、ヘイズが低く、液晶表示装置に組み込んだ際の黒表示における光漏れが少なく好ましい。
マット剤分散剤と添加剤溶液の混合、およびセルロースアシレート液との混合にはインラインミキサーを使用することが好ましい。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が同量の添加量に対する濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は0.001〜1.0質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.1質量%が最も好ましい。
〔セルロースアシレートフィルムの製造〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上記した好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
本発明において有機溶媒はメチレンクロリドとアルコールを混合して用いることが好ましく、メチレンクロリドに対するアルコールの比率は1質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下が好ましく、12質量%以上30質量%以下が最も好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−ブタノールが好ましく、2種類以上のアルコールを混合して使用してもよい。
0℃以上の温度(常温又は高温)で処理することからなる一般的な方法で、セルロースアシレート溶液を調製することができる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
セルロースアシレート溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、又は取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが好ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが好ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)での測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープにはレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。
ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2336310号、同第2367603号、同第2492078号、同第2492977号、同第2492978号、同第2607704号、同第2739069号及び同第2739070号の各明細書、英国特許第640731号及び同第736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号の各公報に記載がある。バンド又はドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行うことができる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて二層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
二層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することもできる。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取った後、そのフィルムの支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明に用いられるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには、高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
(延伸処理)
本発明の延伸セルロースアシレートフィルムはフィルム搬送方向(長手方向)、及び/あるいはこれと垂直な方向(幅方向)に延伸処理を行う。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
Re発現性とRth発現性をともに向上させるためには、搬送方向及び幅方向の双方に延伸することが特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、一定以下の残留溶媒含量で一定の延伸速度で延伸することが好ましい。延伸開始時の残留溶媒含量は1質量%以上80質量%以下であり、1質量%以上70質量%以下が好ましく、1質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
また延伸温度は、(フィルムのガラス転移温度−20℃)以上(フィルムのガラス転移温度+20℃)以下が好ましい。
フィルムの延伸倍率は、1%〜100%が好ましく、5%〜90%がさらに好ましい。なお本発明においてフィルムの延伸倍率とは、下記数式(6)で求められる数値を指すものとする。
Figure 2007332292
(幅方向の延伸倍率/長手方向の延伸倍率)の比は1以上10以下が好ましく2以上8以下がさらに好ましい。
〔セルロースアシレートフィルムの特性〕
(フィルムの厚み)
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚みは30μm以上100μm以下が好ましい。さらに好ましくは40μm以上90μm以下であり、最も好ましくは40μm以上70μm以下である。
(フィルムのレターデーション)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(いずれも商品名、王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長590nmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRにおいて算出される。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRにおいて算出される。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(13)及び式(14)によりRthを算出することもできる。
Figure 2007332292
式(13)中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Figure 2007332292
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRにおいて算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、「ポリマーハンドブック」(JOHN WILEY&SONS,INC)や、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRにおいてnx、ny、nzが算出される。この算出されたnx、ny、nzによりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本発明のセルロースアシレートフィルムのRe(590)は20nm以上200nm以下が好ましく、30nm以上150nm以下がさらに好ましい。
また、Rth(590)は50nm以上400nm以下が好ましく、100nm以上300nm以下がさら好ましい。
(ヘイズ)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、例えば、ヘイズ計(1001DP型、商品名、日本電色工業(株)製)を用いて測定した値が0.1以上0.8以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.1以上0.7以下であり、最も好ましくは0.1以上0.60以下である。前記範囲にヘイズを制御することにより、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に高コントラストの画像が得られる。
(フィルムの平衡含水率)
セルロースアシレートフィルムの吸水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は一定温湿度に24時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの25℃80%RHにおける平衡含水率が3.5質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは3.0質量%以下であり、最も好ましくは2.5質量%以下である。
フィルムの平衡含水率を上記範囲にすることにより、フィルムのレターデーション変化小さくすることができる。
(環境湿度によるレターデーション変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムは環境湿度による変化レターデーション変化が小さいことが好ましく、Re及びRthは下記式(7)及び(8)の関係を満たすことが好ましい。
Figure 2007332292
式(7)はさらに好ましくは、
Figure 2007332292
であり、最も好ましくは、
Figure 2007332292
である。
また、式(8)はさらに好ましくは、
Figure 2007332292
であり、最も好ましくは、
Figure 2007332292
である。
環境湿度によるレターデーション変化を上記範囲に制御することにより、これ液晶表示装置に組み込んだ際、環境湿度による色味変化の小さい液晶表示装置が得られる。
(面状故障)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、例えば、セルロースエステルフィルムをサンプリングし、得られたフィルムの両端部30cm幅、長さ1m上に存在する30μm以上の異物あるいは凝集物の数を数えて求めた値が0〜50であることが好ましい。さらに好ましくは0〜40、特に好ましくは0〜30である。
(セルロースアシレートフィルムの表面処理)
セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーを55〜75mN/mとするには、表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例として、ケン化処理、プラズマ処理、火炎処理、および紫外線照射処理が挙げられる。ケン化処理には、酸ケン化処理およびアルカリケン化処理が含まれる。プラズマ処理にはコロナ放電処理およびグロー放電処理が含まれる。フィルムの平面性を保つために、これらの表面処理においては、セルロースアシレートフィルムの温度をガラス転移温度(Tg)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。これらの表面処理後のセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーは55〜75mN/mであることが好ましい。
グロー放電処理は、10-3〜20Torr(0.133Pa〜2.67kPa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体は、上記のような条件においてプラズマ励起される気体であり、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法または鹸化液をセルロースアシレートフィルム塗布する方法で実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
これらの方法で得られた固体の表面エネルギーは「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社、1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種類の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
セルロースアシレートフィルムに上記の表面処理を実施することにより、フィルムの表面エネルギーが55〜75mN/mであるセルロースアシレートフィルムを得ることができる。このセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護膜とすることにより、偏光膜とセルロースアシレートフィルムの接着性を向上させることができる。また、本発明のセルロースアシレートフィルムをOCBモードの液晶表示装置に用いる場合、本発明の光学補償シートは、セルロースアシレートフィルム上に配向膜を形成し、その上に円盤状化合物もしくは棒状液晶化合物を含む光学異方性層を設けても良い。光学異方性層は、配向膜上に円盤状化合物(もしくは棒状液晶化合物)を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。このようにセルロースアシレートフィルム上に光学異方性層を設ける場合、従来ではセルロースアシレートフィルムと配向膜との接着性を確保するために、両者の間にゼラチン下塗り層を設ける必要があったが、本発明の、表面エネルギーが55〜75mN/mであるセルロースアシレートフィルムを用いることにより、ゼラチン下塗り層を不要とすることができる。
[セルロースアシレートフィルムを用いた光学材料]
〔光学補償シート〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学補償シートとして用いることが好ましい。
〔偏光板〕
偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。一方の保護膜として、上記のセルロースアシレートフィルムからなる光学補償シートを用いることができる。他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
セルロースアシレートフィルムからなる光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される透明保護膜には反射防止層を設けることが好ましい。特に本発明では、(1)透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層、または、(2)透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。以下にそれらの好ましい例を順に記載する。
(1)透明保護膜上に光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層
本発明における光散乱層には、マット粒子が分散しており、光散乱層のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層の屈折率は1.35〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明において光散乱層は防眩性とハードコート性を兼ね備えており、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
反射防止層は、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.40μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計することで、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成され、好ましい。また、C光源下での反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99であることで、反射光の色味がニュートラルとなり、好ましい。またC光源下での透過光のb*値が0〜3とすることで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。また、面光源上と本発明における反射防止フィルムの間に120μm×40μmの格子を挿入してフィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が20以下であると、高精細パネルに本発明のフィルムを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
本発明における反射防止層は、その光学特性として、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上、60度光沢度70%以下とすることで、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。特に鏡面反射率は1%以下がより好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。ヘイズ20%〜50%、内部ヘイズ/全ヘイズ値0.3〜1、光散乱層までのヘイズ値から低屈折率層を形成後のヘイズ値の低下が15%以内、くし幅0.5mmにおける透過像鮮明度20%〜50%、垂直透過光/垂直から2度傾斜方向の透過率比が1.5〜5.0とすることで、高精細LCDパネル上でのギラツキ防止、文字等のボケの低減が達成され、好ましい。
<低屈折率層>
反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であり、好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式(9)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
Figure 2007332292
(式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。)
本発明における低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
本発明における低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含む。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90〜120°、純水の滑落角が70°以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難く、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製、商品名)やM−2020(ダイキン製、商品名)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
<光散乱層>
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。
光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する目的で、1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が不足となる。
散乱層のバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、および窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むものを選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、上記のエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
光散乱層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒子サイズが1〜10μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有される。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子サイズの異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子サイズのマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子サイズのマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。
さらに、上記マット粒子の粒子サイズ分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子サイズは、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子サイズよりも20%以上粒子サイズが大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子サイズ分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布のマット剤を得ることができる。
上記マット粒子は、形成された光散乱層のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2となるように光散乱層に含有される。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
光散乱層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子サイズが0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒子サイズは前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理またはチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒子サイズが光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
光散乱層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダーおよび無機フィラーの種類および量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
光散乱層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有する。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の反射防止フィルムの塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
(2)透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層からなってもよい。
例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。又、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
<高屈折率層および中屈折率層>
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤併用(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858号明細書、特開2002−2776069号公報等)等が挙げられる。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性および/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物およびその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、一般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。また、厚さは5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
<低屈折率層>
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報段落[0018]〜[0026]、同11−38202号公報段落[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報段落[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(商品名、チッソ(株)製)等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋または重合性基を有する含フッ素および/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(3)反射防止層の他の層
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
<ハードコート層>
ハードコート層は、反射防止層を設けた透明保護膜に物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等に記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒子サイズ0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
<帯電防止層>
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10-8(Ωcm-3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8(Ωcm-3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を導電性層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn、Ti、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、WまたはVをあげることができ、これらを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2およびSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加物、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10-8(Ωcm-3)以下の導電性を確保するためには、該導電層が概ね10-10(Ω/□)以下の表面抵抗値を有していればよく更に好ましくは10-8(Ω/□)である。導電層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが必要であり、本明細書に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
[液晶表示装置]
本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、液晶表示装置に有利に用いられる。本発明の偏光板は、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、OCBモードまたはVAモードに好ましく用いることができる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。OCBモードの液晶セルは、米国特許第4,583,825号、同5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードおよびVAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に二枚の偏光板を配置してもよいし、VAモードの場合、偏光板をセルのバックライト側に配置してもよい。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1(セルロースアセテートベンゾエート:セルロース体01)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた1Lの三ツ口フラスコにダイセル社製セルロースアセテート(商品名:L−70)40g、ピリジン46.0ml、アセトン300mlを量り取り、室温で攪拌した。ここにベンゾイルクロリド62.4mLをゆっくりと滴下し、添加後さらに50℃にて3時間攪拌した。反応後、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体をアセトン300mlへ再溶解し、再びメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入した後、析出した白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色個体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース体01を白色粉体として得た(40.1g、収率88%)。
作製したセルロース体01の置換基の分極率異方性の値Δαを、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社製ソフトウェア、商品名)により計算した。具体的には、B3LYP/6−31G*レベルで最適化された構造を用いて、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環上の水酸基に連結する置換基を水酸基の酸素原子を含む部分構造としてB3LYP/6−311+G**レベルで分極率テンソルを計算し、得られた分極率テンソルを対角化した後、対角成分を前記数式(A)に代入することにより算出した。その結果、アセチル基の分極率異方性の値Δαは0.91×10-24cm3であり、ベンゾイル基の分極率異方性の値Δαは5.1×10-24cm3であった。
また、セルロース体01の2位、3位及び6位におけるアセチル基及びベンゾイル基の置換度について、それぞれ13C−NMRにより測定した。測定結果をもとにそれぞれの合計置換度および6位における置換の割合について計算した。これらの結果を表1に示す。
また、セルロース体01の分子量を測定したところ、数平均分子量で76000であった。
実施例2(セルロースアセテート2,4,5−トリメトキシベンゾエート:セルロース体02)
(2,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリドの調製)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた1Lの三ツ口フラスコにアサロン酸(2,4,5−トリメトキシ安息香酸)106.1g、トルエン400mlを量り取り、80℃で攪拌した。ここに40.1mLの塩化チオニルをゆっくりと滴下し、添加後さらに80℃にて2時間攪拌した。反応後、アスピレーターを用いて反応溶媒を溜去すると白色固体が得られた。得られた白色固体にヘキサン300mlを加えて激しく攪拌・分散し、吸引ろ過により白色固体をろ別し、さらに大量のヘキサンで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で4時間真空乾燥することにより目的の2,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリドを白色粉体として得た(115.3g、収率99%)。
(セルロース体02の調製)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた1Lの三ツ口フラスコにダイセル社製セルロースアセテート(商品名:LM−80)40g、ピリジン46.0ml、アセトン300mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに2,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリド84.0gを数回に分割して粉体添加し、添加後さらに50℃にて3時間攪拌した。反応後、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白桃色固体が析出した。白桃色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白桃色固体を塩化メチレン300mlへ再溶解し、再びメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入した後、析出した白桃色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白桃色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース体02を白色粉体として得た(45.0g、収率92%)。
作製したセルロース体02の置換基の分極率異方性の値Δαを実施例1と同様にして算出したところ、アセチル基の分極率異方性の値Δαは0.91×10-24cm3であり、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基の分極率異方性の値Δαは7.1×10-24cm3であった。
また、セルロース体02の2位、3位及び6位におけるアセチル基及び2,4,5−トリメトキシベンゾイル基の置換度、並びにそれぞれの合計置換度および6位における置換の割合について、実施例1と同様にして測定・計算した。これらの結果を表1に示す。
また、セルロース体02の分子量を測定したところ、数平均分子量で69000であった。
実施例3(セルロースアセテートベンゾエート:セルロース体03)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた1Lの三ツ口フラスコにアルドリッチ社製セルロースアセテート40g、ピリジン46.0ml、塩化メチレン300mlを量り取り、室温で攪拌した。ここにベンゾイルクロリド62.4mLをゆっくりと滴下し、添加後さらに50℃にて1.5時間攪拌した。反応後、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を塩化メチレン300mlへ再溶解し、再びメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入した後、析出した白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色個体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース体03を白色粉体として得た(40.0g、収率88%)。
作製したセルロース体03の置換基の分極率異方性の値Δαを実施例1と同様にして算出したところ、アセチル基の分極率異方性の値Δαは0.91×10-24cm3であり、ベンゾイル基の分極率異方性の値Δαは5.1×10-24cm3であった。
また、セルロース体03の2位、3位及び6位におけるアセチル基及びベンゾイル基の置換度、並びにそれぞれの合計置換度および6位における置換の割合について、実施例1と同様にして測定・計算した。これらの結果を表1に示す。
また、セルロース体03の分子量を測定したところ、数平均分子量で70000であった。
実施例4(セルロースアセテート2,4,5−トリメトキシベンゾエート:セルロース体04)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた1Lの三ツ口フラスコにアルドリッチ社製セルロースアセテート40g、ピリジン46.0ml、塩化メチレン300mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに2,4,5−トリメトキシベンゾイルクロリド84.0gを数回に分割して粉体添加し、添加後さらに50℃にて1.5時間攪拌した。反応後、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白桃色固体が析出した。白桃色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白桃色固体を塩化メチレン300mlへ再溶解し、再びメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入した後、析出した白桃色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白桃色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース体04を白色粉体として得た(41.5g、収率85%)。
作製したセルロース体04の置換基の分極率異方性の値Δαを実施例1と同様にして算出したところ、アセチル基の分極率異方性の値Δαは0.91×10-24cm3であり、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基の分極率異方性の値Δαは7.1×10-24cm3であった。
また、セルロース体04の2位、3位及び6位におけるアセチル基及び2,4,5−トリメトキシベンゾイル基の置換度、並びにそれぞれの合計置換度および6位における置換の割合について、実施例1と同様にして測定・計算した。これらの結果を表1に示す。
また、セルロース体04の分子量を測定したところ、数平均分子量で68000であった。
実施例5 セルロースアシレートフィルム101の作製
<セルロースアセテート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液01を調製した。
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セルロースアシレート溶液01の組成
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セルロース体01 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 5.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 457.6質量部
メタノール(第2溶媒) 68.4質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液11の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液11を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液11の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、商品名、日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.9質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアシレート溶液01 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<レターデーション発現剤溶液21の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液21を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液21の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤(例示化合物I−(2)) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 67.2質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
セルロースアシレート溶液01 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液1.3質量部とレターデーション発現剤溶液3.7質量部とをそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、さらにセルロースアシレート溶液01を95.0質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合し、バンド流延機を用いて流延し、50℃で残留溶剤含量29%まで乾燥し、フィルムを剥ぎ取った。130℃の雰囲気温度でフィルムを幅方向に25%の倍率で延伸したのち、130℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は19%であった。その後、クリップを外して130℃で30分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム101を製造した。作製されたセルロースアシレートフィルム101の残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は83μmであった。
実施例6〜9 セルロースアシレートフィルム102〜105の作製
実施例5のセルロースアシレートフィルム101の作製において、セルロースアシレートの種類、可塑剤の種類/量、及びレターデーション発現剤の種類/量を表1記載の通りに変更したこと以外は実施例5と同様にして、セルロースアシレートフィルム102〜105を作製した。
Figure 2007332292
なお、表1中の分極異方性の単位は、いずれも10-24cm3である。
[レターデーションの測定]
作製した各セルロースアセテートフィルムについて、KOBRA 21ADH(商品名、王子計測機器(株)製)を用いて、25℃60%RHの条件で波長590nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2007332292
表2の結果から明らかなように、本発明のセルロースアシレートフィルムはRe及びRthの両方ともレターデーション発現性が高く、好ましいことがわかった。
また、25℃10%RH及び25℃80%RHにおけるRe及びRthをそれぞれ測定したところ、本発明のセルロースアシレートフィルムは環境湿度によるレターデーション変化が小さいことがわかった。
実施例10 偏光板101の作製
(セルロースアシレートフィルムの鹸化処理)
実施例5で作製されたセルロースアシレートフィルム101を、1.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬し、次いで室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した後、再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルム101の表面を鹸化し、以下の偏光板試料作製に供した。
また、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、商品名、富士写真フイルム(株)製)を同条件で鹸化し、以下の偏光板試料作製に供した。
(偏光板101の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記で鹸化処理したセルロースアシレートフィルム101を偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の透過軸とセルロースアシレートフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに上記で鹸化処理したセルローストリアセテートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付けた。このようにして偏光板101を作製した。
実施例11〜14 偏光板102〜105の作製
実施例10におけるセルロースアシレートフィルム101をセルロースアシレートフィルム102〜105に変更したこと以外は実施例10と同様にして、偏光板102〜105を作製した。
実施例15 VA液晶表示装置の作製と評価1
(液晶セルの作製)
ポリビニルアルコール3質量%水溶液100質量部に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(カップリング剤)を1質量部添加した。これを、ITO電極付のガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるようにした。セルギャップ(d)が5μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.08)を注入し、垂直配向液晶セルを作製した。Δnとdとの積は410nmであった。
上記で作製した垂直配向液晶セルの両面に、偏光板104を粘着シートを用いて貼り付けて、液晶表示装置101を作製した。
本発明の液晶表示装置101は、視角によるコントラストの変化が小さく、長時間点灯しても輝度ムラが発生せず好ましいことがわかった。
実施例16及び17 VA液晶表示装置の作製と評価2
図1の液晶表示装置を作製した。すなわち、観察方向(上)から上側偏光板、VAモード液晶セル(上基板、液晶層、下基板)、下側偏光板を積層し、さらにバックライト光源を配置した。以下の例では、上側偏光板に市販品の偏光板(HLC2−5618、商品名、(株)サンリッツ製)を用いて、下側偏光板に上で製造した偏光板を使用した。
(液晶セルの作製)
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(MLC6608、商品名、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(すなわち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図2)の上側偏光板30に、市販品のスーパーハイコントラスト品(HLC2−5618、商品名、(株)サンリッツ製)を、下側偏光板32に実施例11で作製した偏光板102を、本発明のセルロースアシレートフィルム102が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、VAモードセル31の観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
本発明の偏光板105についても同様にして液晶表示装置を作製した。
本発明のセルロースアシレートフィルム102を含む偏光板102を使用した液晶表示装置及び本発明のセルロースアシレートフィルム105を含む偏光板105を使用した液晶表示装置は、コントラストが高く好ましいことがわかった。とりわけ、本発明のセルロースアシレートフィルム105を含む偏光板105を使用した液晶表示装置は長時間点灯しても輝度ムラが発生せず特に好ましかった。
実施例18 光学補償機能を有する偏光板の作製
(1) 光学補償シートの作製
(セルロースアシレートフィルムの鹸化処理)
実施例7で作製したセルロースアシレートフィルム103上に、下記組成の液を5.2mL/m2塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フィルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルム表面を乾燥させた。
(鹸化液の組成)
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
プロピレングリコール 187質量部
日本エマルジョン(株)製“EMALEX”(商品名) 10質量部
水酸化カリウム 67質量部
(配向膜の形成)
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム103の上に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアシレートフィルム103の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
(配向膜塗布液の組成)
下記構造の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
Figure 2007332292
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記構造のディスコティック化合物91質量部、エチレンオキシド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、商品名、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、商品名、イーストマン・ケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、商品名、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、商品名、日本化薬(株)製)1質量部を、メチルエチルケトン214.2質量部に溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーコーターで5.2mL/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm2高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、光学補償シート103を得た。
Figure 2007332292
(光学補償シートの鹸化処理)
実施例10と同様にして光学補償シート103の鹸化処理を行った。
(2) 偏光板の作製
(偏光子の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。次に、作製した光学補償シート103のセルロースアシレートフィルム103側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光子の片側に貼り付けた。セルロースアシレートフィルム106の遅相軸および偏光子の透過軸が平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、商品名、富士写真フイルム(株)製)を実施例10と同様に鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。このようにして、偏光板105−2を作製した。
実施例19 液晶表示装置の作製
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた2枚のガラス基板を、ラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5.7μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、商品名、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
(液晶表示装置の作製)
作製したベンド配向セルを挟むように、楕円偏光板105−2を2枚貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
本発明の偏光板を用いた液晶表示装置は、コントラストが高く好ましい画像を有していることがわかった。
本発明の液晶表示装置の一例を示す模式図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
符号の説明
30 上側偏光板
31 VAモード液晶セル
32 下側偏光板
33 セルロースアシレートフィルム
34 偏光子

Claims (18)

  1. 下記数式(A)により算出される分極率異方性の値Δαが異なる2つ以上の置換基を有するセルロース体であって、分極率異方性の値Δαが最小の置換基をA、分極率異方性の値Δαが最大の置換基をBとしたとき、置換基A及び置換基Bの置換度が下記関係式(1)を満たすことを特徴とするセルロース体。
    Figure 2007332292
    (式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
    Figure 2007332292
    (ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
  2. 前記置換基A及び前記置換基Bの合計置換度が下記関係式(2)及び(3)を満たすことを特徴とする請求項1記載のセルロース体。
    Figure 2007332292
    (ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
  3. 前記置換基Bの置換度が下記関係式(4)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース体。
    Figure 2007332292
    (ここで、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
  4. 前記置換基Bの分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース体。
  5. 前記置換基Bが芳香族アシル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース体。
  6. 前記置換基Aがアセチル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロース体。
  7. 前記置換基Bの置換度が下記関係式(5)を満たすことを特徴とする請求項4又は5に記載のセルロース体。
    Figure 2007332292
    (ここで、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体を含むことを特徴とするセルロース体組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体を含むことを特徴とするセルロース体フィルム。
  10. フィルムの搬送方向、及び/又はこれと垂直な方向に1%以上100%以下延伸されたことを特徴とする請求項9記載のセルロース体フィルム。
  11. 少なくとも2つの芳香環を含むレターデーション発現剤を含有することを特徴とする請求項9又は10に記載のセルロース体フィルム。
  12. フィルムの厚みが30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
  13. 請求項9〜12のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
  14. 請求項9〜12のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム上に光学異方性層を有することを特徴とする光学補償シート。
  15. 偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が、請求項13又は14に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
  16. 液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が請求項15記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  17. 表示モードがVAモードであることを特徴とする請求項16記載の液晶表示装置。
  18. 表示モードがOCBモードであることを特徴とする請求項16記載の液晶表示装置。
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