JP2007332001A - 廃スラッジからのシリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)廃スラッジから磁力により磁性体を分離し、(b)磁性体を分離した廃スラッジを遠心分離して、シリコン粒子が分散したシリコン分散液と、沈降物質を含む沈降層とに分離し、(c)シリコン分散液に酸を添加して、シリコン分散液に含まれる金属不純物を溶解させ、(d)金属不純物を溶解させたシリコン分散液からシリコン粒子を分離し、(e)分離したシリコン粒子を洗浄して、シリコン粒子に付着した酸を含む付着液を除去し、(f)洗浄したシリコン粒子を熱処理して有機物質を除去し、(g)熱処理されたシリコン粒子を加熱溶融させ、(h)得られるシリコンインゴットを一方向凝固処理して高純度のシリコンを得る。
【選択図】図1
Description
シリコン粒子と、シリコン粒子以外の粉末状無機物質と、磁性体不純物と、有機系不純物とを含有する廃スラッジから高純度のシリコンを製造する方法であって、
(a)廃スラッジから磁力により磁性体を分離する第1の磁性体分離工程と、
(b)前記第1の磁性体分離工程で磁性体を分離した廃スラッジを遠心分離することにより、シリコン粒子が分散したシリコン分散液と、沈降物質を含む沈降層とに分離する第1の遠心分離工程と、
(c)前記第1の遠心分離工程で分離したシリコン分散液に酸を添加して、シリコン分散液に含まれる金属不純物を溶解させる金属不純物溶解工程と、
(d)前記金属不純物溶解工程で金属不純物を溶解させたシリコン分散液からシリコン粒子を分離するシリコン粒子分離工程と、
(e)前記シリコン粒子分離工程で分離したシリコン粒子を洗浄して、シリコン粒子に付着した酸を含む付着液を除去する洗浄工程と、
(f)前記洗浄工程で洗浄したシリコン粒子を熱処理して、シリコン粒子に含まれる有機物質を除去する熱処理工程と、
(g)前記熱処理工程で熱処理された前記シリコン粒子を加熱溶融させる加熱溶融工程と、
(h)前記加熱溶融工程で溶融させたシリコンを凝固させることにより得られるシリコンインゴットを一方向凝固処理して、高純度のシリコンを得る一方向凝固精製工程と
を具備することを特徴としている。
(i)直前の遠心分離工程で分離した前記シリコン分散液から、磁力により、磁性体を分離する第2の磁性体分離工程と、
(j)前記(i)の第2の磁性体分離工程を実施した後、シリコン分散液を遠心分離し、固形不純物を沈降層として分離する第2の遠心分離工程と
を1つのサイクルとする精製サイクルを、前記(b)の第1の遠心分離工程の後に、1度以上行うことを特徴としている。
前記(e)の洗浄工程におけるシリコン粒子の洗浄が、水を用いて行われるとともに、
前記(e)の洗浄工程と、前記(f)の熱処理工程の間に、シリコン粒子を乾燥させて水分を除去する乾燥工程が設けられていること
を特徴としている。
また、上記(h)の、一方向凝固処理して高純度のシリコンを得る一方向凝固精製工程は、公知の方法を適用して、実施することが可能であり、その具体的な方法や条件に特別の制約はない。
また、本願発明は、半導体向け封止剤用のシリコンを得る方法としても利用することができる。
さらに、本願発明は上記の用途に向けられるシリコンに限らず、その他の用途に向けられるシリコンの製造方法としても利用することが可能である。
(a)シリコン粒子および酸化シリコン(SiO2) :40〜60重量%、
(b)砥粒(炭化ケイ素) :40〜60重量%、
(c)金属粉 :3〜6重量%
なお、図1は、本願発明の一実施例にかかる、廃スラッジからのシリコンの製造方法の手順を示すフローチャートである。
この工程でワイヤの磨耗片である金属粉(鉄粉)や、その酸化物である酸化鉄などの磁性体の主要部が分離される。
なお、この第1の磁性体分離工程は、磁石を廃スラッジと接触させることにより実施されるが、その具体的な方法に特別の制約はない。
なお、この第1の遠心分離工程においては、遠心分級機を用いて、シリコン粒子が分散したシリコン分散液と、SiCを主成分とする沈降層とに分離する。
なお、このとき、分離されるシリコン分散液と沈降層の体積比は約8:1程度になる。
この工程で分離される沈降層は、上記(1)の第1の磁性体分離工程で分離されなかった非磁性体固形物、すなわち、砥粒であるSiC粉や、非磁性体である固形物などから形成され、また、分離されるシリコン分散液中には、通常、廃スラッジ中のシリコン粒子のほぼ80重量%以上が含まれる。
この工程では、上記(1)の第1の磁性体分離工程で分離されず、かつ、上記(2)の第1の遠心分離工程で、沈降層側に移行しなかった磁性体の分離を行う。磁性体は最終的に製造されるシリコンの不純物となるのでこの段階で可能な限り除去しておくことが望ましい。
そして、上記(3)および、それに続く上記(4)の工程を1つの精製サイクルとして、この精製サイクルを磁性体による磁気反応がなくなるまで行う。
この金属不純物溶解工程においては、シリコン分散液に含まれる非磁性体金属が酸に溶解して液相に移行する。
なお、この金属不純物溶解工程においては、シリコン分散液の固形分濃度が約 8重量%の状態で、濃度:35重量%の塩酸水溶液を、シリコン分散液1kgに対して、約15g添加して、撹拌することにより金属不純物を溶解させた。
なお、上記(5)の金属不純物溶解工程でシリコン分散液に酸を添加することにより、コロイド状態が破壊されるため、上記(2)の第1の遠心分離工程で用いた湿式遠心分級機と同様の遠心分級機などを用いることにより、効率よくシリコン粒子を分離することができる。
なお、この洗浄工程におけるシリコン粒子の洗浄は、水を用いて行う。ただし、水を用いて洗浄を行うと、シリコン粒子の一部が水と反応してシリコンの水和物や酸化物(SiO2)などが生成し、シリコンの回収率が低下するため、可能な範囲で、水との接触を少なくすることが望ましい。
なお、乾燥はできるだけ速やかに行い、シリコンが水との接触により、シリコン水和物や酸化物などが生成することを抑制することが望ましい。
なお、上記(8)の乾燥工程で乾燥させた状態のシリコン粒子は、通常、砥粒を分散させるために用いられる分散媒や、切削工程で用いられるクーラントなどに由来する有機物質などの種々の有機物質を含有しているが、この熱処理工程に供することにより、効率よく、有機物質を、蒸発、分解、燃焼させて、除去することができる。
これにより、高純度のシリコン結晶が得られる。
また、この実施例の方法によれば、廃スラッジ中のシリコン粒子100gから、約70〜80gの高純度シリコンを得ることができた。
したがって、本願発明は、シリコンを含む廃スラッジから太陽電池用の原料となる高純度のシリコンを製造する場合などに広く適用することができる。
Claims (7)
- シリコン粒子と、シリコン粒子以外の粉末状無機物質と、磁性体不純物と、有機系不純物とを含有する廃スラッジから高純度のシリコンを製造する方法であって、
(a)廃スラッジから磁力により磁性体を分離する第1の磁性体分離工程と、
(b)前記第1の磁性体分離工程で磁性体を分離した廃スラッジを遠心分離することにより、シリコン粒子が分散したシリコン分散液と、沈降物質を含む沈降層とに分離する第1の遠心分離工程と、
(c)前記第1の遠心分離工程で分離したシリコン分散液に酸を添加して、シリコン分散液に含まれる金属不純物を溶解させる金属不純物溶解工程と、
(d)前記金属不純物溶解工程で金属不純物を溶解させたシリコン分散液からシリコン粒子を分離するシリコン粒子分離工程と、
(e)前記シリコン粒子分離工程で分離したシリコン粒子を洗浄して、シリコン粒子に付着した酸を含む付着液を除去する洗浄工程と、
(f)前記洗浄工程で洗浄したシリコン粒子を熱処理して、シリコン粒子に含まれる有機物質を除去する熱処理工程と、
(g)前記熱処理工程で熱処理された前記シリコン粒子を加熱溶融させる加熱溶融工程と、
(h)前記加熱溶融工程で溶融させたシリコンを凝固させることにより得られるシリコンインゴットを一方向凝固処理して、高純度のシリコンを得る一方向凝固精製工程と
を具備することを特徴とする、廃スラッジからのシリコンの製造方法。 - (i)直前の遠心分離工程で分離した前記シリコン分散液から、磁力により、磁性体を分離する第2の磁性体分離工程と、
(j)前記(i)の第2の磁性体分離工程を実施した後、シリコン分散液を遠心分離し、固形不純物を沈降層として分離する第2の遠心分離工程と
を1つのサイクルとする精製サイクルを、前記(b)の第1の遠心分離工程の後に、1度以上行うことを特徴とする請求項1記載の廃スラッジからのシリコンの製造方法。 - 前記精製サイクルを、磁性体による磁気反応がなくなるまで行った後、前記(c)の金属不純物溶解工程に移行し、その後、前記(d)〜(h)の工程を実施することを特徴とする請求項1または2記載の廃スラッジからのシリコンの製造方法。
- 前記(e)の洗浄工程におけるシリコン粒子の洗浄が、水を用いて行われるとともに、
前記(e)の洗浄工程と、前記(f)の熱処理工程の間に、シリコン粒子を乾燥させて水分を除去する乾燥工程が設けられていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃スラッジからのシリコンの製造方法。 - 前記(f)の熱処理工程を、450〜600℃で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃スラッジからのシリコンの製造方法。
- 前記廃スラッジが、シリコン結晶を切削加工する際に発生する、切削加工廃スラッジであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の廃スラッジからのシリコンの製造方法。
- 太陽電池用の高純度のシリコンを得るために用いられるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の廃スラッジからのシリコンの製造方法。
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