JP4414364B2 - シリコン含有材料の回収方法 - Google Patents
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Description
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、有機物が除去されたシリコン含有材料を効率的に回収する方法を提供するものである。
本発明の第1実施形態のシリコン含有材料の回収方法は、砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリを、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収し、1次遠心分離により得られる液分を2次遠心分離することにより、分散媒が主成分の液分の一部を回収し、2次遠心分離により得られる液分の残りとスラッジの少なくとも一方からなる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とする。
砥粒は、例えば、SiC、ダイヤモンド、CBN、アルミナなどからなる。分散媒は、油性のものであっても、水溶性(水性)のものであってもよい。但し、分散媒は、沸点が450度以下の成分のみからなることが好ましい。この場合、後述する加熱処理工程で分散媒を除去しやすいからである。油性の分散媒は、例えば、灯油や軽油などから抽出される鉱物油系の溶媒からなる。世間一般での代表例はエンジンオイルの様なものである。水溶性(水性)の分散媒は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどの水溶性の溶媒(水溶性の有機溶媒)からなる。また、水溶性の分散媒は、5%〜15%程度の水を含んでいてもよい。この場合、この分散媒が消防法上の危険物となるのを避けることができる。さらに、分散媒には、通常、砥粒やSi切り屑を分散させるための分散剤(ベントナイト)など(数%程度)が添加されている。シリコン粒とは、例えば、シリコンインゴットをスライスしてシリコンウエハを作成するときに発生するシリコン切屑、又はシリコンウエハをラッピングするときに発生する研磨屑である。使用済みスラリとは、例えば、シリコンインゴットをスライスしてシリコンウエハを作成するときに使用されてシリコン切屑などのシリコン粒が混入した状態のスラリである。使用済みスラリ中のシリコン濃度は、例えば10%以上である。
2次遠心分離は、好ましくは、2000〜5000Gで行う。このような高速の遠心分離を行うと、1次遠心分離では、沈降しなかった固形分も沈降する。従って、2次遠心分離により、第1液分が、分散媒が主成分の液分(第2液分)と、固形分であるスラッジとに分離される。スラッジには、シリコン粒と、1次遠心分離で沈降しなかった砥粒が含まれている。第2液分には、砥粒及びシリコン粒も含まれている。第2液分は、通常、スラリの再生に利用されるが、その全量をそのままスラリの再生に用いると、再生したスラリのシリコン質量比が大きくなりすぎて、好ましくない。そこで、本実施形態では、第2液分の一部のみを回収する。この回収された液分は、スラリの再生に用いることができる。
この工程では、第2液分の残りとスラッジの少なくとも一方からなる試料をロータリーキルン(好ましくは、外熱式のロータリーキルン)を用いて加熱処理する。第2液分の残りとスラッジの何れにもシリコン及び有機物が含まれているので、加熱処理によって有機物が除去されたシリコン含有材料を得ることができる。加熱処理は、450〜500度の温度で行うことが好ましい。450度より高い温度であれば、有機物を効率的に除去することができ、500度より低い温度であれば、シリコンの酸化を抑制することができるからである。また、加熱処理は、不活性ガス(窒素、ヘリウム等)雰囲気下で行うことが好ましい。この場合、シリコンの酸化を抑制することができるからである。また、ロータリーキルンを用いて加熱処理を行うので、連続的かつ高速に試料を加熱処理することができる。
本発明の第2実施形態のシリコン含有材料の回収方法は、砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリを、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収し、1次遠心分離により得られる液分を2次遠心分離することにより、分散媒が主成分の液分の一部を回収し、2次遠心分離により得られる液分の残りを蒸留することにより得られる固形分と、2次遠心分離により得られるスラッジの少なくとも一方からなる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とする。
本実施形態は、第1実施形態に類似しているが、第2液分の残りをそのまま加熱処理するのではなく、一旦、これを蒸留し、蒸留によって得られる固形分を加熱処理する点が異なっている。蒸留によって得られる液分は、好ましくは、回収され、スラリの再生に用いられる。蒸留によって得られる液分は、通常、実質的に分散媒のみからなる(すなわち、シリコンが含まれていない)ので、この液分をスラリの再生に用いることにより、再生されるスラリのシリコン質量比を小さくすることができる。また、第2液分の残りにスラッジを加えて得られる混合液を蒸留し、蒸留によって得られる固形分からなる試料を加熱処理してもよい。
蒸留は、真空(20Torr以下程度)中で行うことが好ましい。なぜなら、常圧下での蒸留では、蒸留中に発火する危険性があるからである。また、真空中での沸点は常圧中に比べて低いので、エネルギーの節約の意味でも真空中で行うことが好ましい。
本発明の第3実施形態のシリコン含有材料の回収方法は、砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリを、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収し、1次遠心分離により得られる液分を蒸留することにより得られる固形分からなる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とする。
本実施形態は、第2実施形態に類似しているが、第2液分の残りの代わりに、第1液分を蒸留する点が異なっている。蒸留によって得られる液分は、好ましくは、回収され、スラリの再生に用いられる。回収される液分の全部が蒸留によって得られるものであるので、本実施形態によれば、再生されるスラリに含まれるシリコン質量比を小さくすることができる。
本発明の第4実施形態のシリコン含有材料の回収方法は、砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリから得られる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とする。
「使用済みスラリから得られる試料」には、例えば、以下のものが含まれる。(1)使用済みスラリ自体、(2)使用済みスラリを1次又は複数次遠心分離して得られる液分又は固形分、(3)使用済みスラリを蒸留して得られる固形分、(4)使用済みスラリをろ過して得られる液分又は固形分、(5)前記(1)〜(4)で得られる液分又は固形分を混合したもの。また、その他の固液分離をして得られる液分又は固形分や、使用済みスラリに対して中和等の化学的処理をしたものなども含まれる。
何れの試料を用いた場合でも、ロータリーキルンを用いて加熱処理することによって有機物を効率的に除去することができる。
今回は、290L(比重:1.72、重量:500kg)を処理して、再生スラリを290L(比重:1.62)入手した。
スラッジ5bと残存分散媒7の性状は、表1のようになった(Si濃度は、SiO2として存在するも含めた濃度である。)。
まず、混合した加熱処理済材料10gを100gの5%フッ酸(HF)水溶液に溶かした(反応式;SiO2+4HF→SiF4+2H2O)。SiF4は、水に溶解する。
その後、遠心分離(10000G)で固液分離を実施し、上澄み液を廃棄して、固形分を真空乾燥した(到達真空度100Pa以下、温度300℃)。シリコンの酸化量を示す重量変化は、表3に示すように、20mgであった。
これらの加熱処理済材料を混合して、加熱処理済材料に含まれるシリコンの酸化量を測定した。上記と同様のフッ酸を使用した方法を用いた。シリコンの酸化量を示す重量変化は、表5に示すように、4.32gであった。
500kgの使用済みスラリを上記システムにより処理すると、スラッジ5bおよび1次軽液11の発生量はそれぞれ30kg、150kgであった。また、スラッジ5bと1次軽液11の性状は、表6に示す通りであった。
次に、実施例1と同様の方法で、加熱処理済材料に含まれるシリコンの酸化量を測定した。シリコンの酸化量を示す重量変化は、表9に示すように、32mgであった。
残存分散媒7を真空蒸留(温度:160℃、最終到達真空度10Torr)し、その液分を13aを蒸留分散媒15として回収した。蒸留分散媒15は、スラリの再生に用いた。真空蒸留装置から排出される固形分(蒸留固形分)13bは、表10のような性状であった。
1次軽液11を真空蒸留(温度:160℃、最終到達真空度10Torr)し、その液分を13aを蒸留分散媒15として回収した。蒸留分散媒15は、スラリの再生に用いた。真空蒸留装置から排出される固形分(蒸留固形分)13bは、表13のような性状であった。
1次軽液11とスラッジ5bとの混合物を真空蒸留(温度:160℃、最終到達真空度10Torr)し、その液分を13aを蒸留分散媒15として回収した。蒸留分散媒15は、スラリの再生に用いた。真空蒸留装置から排出される固形分(蒸留固形分)13bは、表16のような性状であった。
Claims (10)
- 砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリを、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収し、
1次遠心分離により得られる液分を2次遠心分離することにより、分散媒が主成分の液分の一部を回収し、
2次遠心分離により得られる液分の残りとスラッジの少なくとも一方からなる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とするシリコン含有材料の回収方法。 - 砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリを、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収し、
1次遠心分離により得られる液分を2次遠心分離することにより、分散媒が主成分の液分の一部を回収し、
2次遠心分離により得られる液分の残りを蒸留することにより得られる固形分と、2次遠心分離により得られるスラッジの少なくとも一方からなる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とするシリコン含有材料の回収方法。 - 砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリを、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収し、
1次遠心分離により得られる液分を蒸留することにより得られる固形分からなる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とするシリコン含有材料の回収方法。 - 砥粒とそれを分散する分散媒とからなるスラリにシリコン粒が混入した使用済みスラリから得られる試料をロータリーキルンを用いて加熱処理することによって、前記試料中に含まれる有機物を除去し、有機物を除去した試料を回収することを特徴とするシリコン含有材料の回収方法。
- 蒸留によって得られる液分を回収する請求項2又は3に記載の方法。
- 回収された固形分又は液分を用いてスラリの再生を行う請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
- 加熱処理は、不活性ガス雰囲気下で行う請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
- 加熱処理は、450〜500度の温度で行う請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
- 分散媒は、沸点が450度以下の成分のみからなる請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
- 分散媒は、水溶性分散媒である請求項1〜4の何れか1つに記載の方法。
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