JP2007331490A - 騒音制御装置および騒音制御方法 - Google Patents

騒音制御装置および騒音制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007331490A
JP2007331490A JP2006163820A JP2006163820A JP2007331490A JP 2007331490 A JP2007331490 A JP 2007331490A JP 2006163820 A JP2006163820 A JP 2006163820A JP 2006163820 A JP2006163820 A JP 2006163820A JP 2007331490 A JP2007331490 A JP 2007331490A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noise
vibration
sensor
detected
vehicle interior
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006163820A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4857928B2 (ja
Inventor
Mensler Michel
ミシエル メンスレ
Yoshiro Takamatsu
吉郎 高松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006163820A priority Critical patent/JP4857928B2/ja
Publication of JP2007331490A publication Critical patent/JP2007331490A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4857928B2 publication Critical patent/JP4857928B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】正常なセンサで検出した振動に基づき騒音の推定値を算出し、該推定値に基づき騒音制御を行う騒音制御装置において、センサが故障した場合に、センサが故障する前後における騒音の推定値を算出し、センサが故障する前後における騒音の推定値の相関値に基づいて騒音制御の実施または停止を判定する。
【解決手段】正常な加速度センサ10により検出した車体の振動と所定のフィルタ処理により騒音推定部34が車室内の騒音の推定値を算出し、該推定値に基づき制御部30がフロアパネル110に設置したピエゾアクチュエータ20を駆動して車室内騒音の低減を測る騒音制御を行う。振動の時間的変化に基づき加速度センサ故障検出部90が加速度センサ10の故障を検出した場合は、その加速度センサ10からの振動を除くフィルタ処理により騒音の推定値を算出し、故障検出前の推定値との相関値が閾値以上の場合に騒音制御を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、騒音制御装置および騒音制御方法に関する。
一般に、例えば車室内等において車両の走行に伴い発生する騒音を計測し、その騒音を打ち消すような音波や振動等の波動を発生して騒音を低減する騒音制御装置や騒音制御方法が提案されている。
このような騒音制御装置において、騒音を計測するためのマイクロフォンを用いず、加速度センサ等のセンサを所定の箇所に貼り付けて、センサが検出する振動から振動を発生源とする騒音を推定する騒音制御装置が提案されている。例えば、車両走行時の車室内騒音と相関が高いフロアパネル上の点に加速度センサを貼り付け、その加速度センサの検出する信号から車室内騒音を推定し、騒音制御を行う騒音制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開平8-292771号公報
このような騒音制御装置では、センサで検出した振動に基づいて車室内騒音を推定し、推定した車室内騒音に基づいて騒音制御を行い車室内騒音を低減するものであるため、何らかの理由によりセンサが故障してしまうと、車室内騒音を精度高く推定することが困難になり、騒音低減効果が低下してしまうという問題点があった。
そこで、センサが故障した場合に、もともと故障したセンサがないものとして車室内騒音を推定して騒音制御を行えば、この問題に対処することができる。しかしながら、故障したセンサの数が増えてくると、車室内騒音を精度高く推定することが難しくなる。このため、騒音制御を行っても騒音低減効果が十分に得られなくなるばかりか、場合によっては騒音を増加させてしまう可能性があり、騒音低減効果を損ねてしまう、という問題点がある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は車両の車体に配置され、車体の振動を検出する複数のセンサと、車体に制御された波動を加える波動印加部と、前記複数のセンサが出力する各出力信号に基づいて前記センサの故障を検出するセンサ故障検出部および該センサ故障検出部により故障が検出された前記センサを除く正常な前記センサの前記出力信号に基づき前記車両の車室内の所定の空間で聞こえる車室内騒音の推定値を算出する騒音推定部を有し、前記センサ故障検出部により前記センサの故障が検出された際に、前記センサの故障が検出される前の前記車室内騒音の推定値と前記センサの故障が検出された後の前記車室内騒音の推定値との相関値を算出し、該相関値が所定値以上の場合に前記車室内騒音の推定値に基づいて前記波動印加部に波動を出力して前記車室内騒音を低減させる騒音制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。
本発明によれば、正常なセンサで検出した振動に基づいて騒音の推定値を算出し、該推定値に基づいて騒音制御を行う騒音制御装置において、センサが故障した場合に、センサが故障する前後における騒音の推定値を算出し、センサが故障する前後における騒音の推定値の相関値に基づいて騒音制御の実施または停止を判定することで、騒音低減効果を損なうことのない騒音制御を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
車外から侵入する車室内騒音の原因は、代表的なものとして、エンジンの振動に起因するエンジン騒音、走行時に路面の凹凸の影響がタイヤから進入することに起因する騒音(以下、ロードノイズと呼ぶ)、走行時に空気の気流によって発生する風切音などがある。本実施形態では、主にロードノイズの低減を扱う。
図1に、路面の凹凸の影響による車体の振動およびロードノイズの主な伝播経路を示す。
タイヤ200から車体に進入したロードノイズの主成分となる振動は、まず車軸120およびサスペンション130の取り付け部(図示省略)からメンバ140と呼ばれる剛性の高い梁状の部材に進入する。その後、メンバ140によって囲まれたフロアパネル110と呼ばれる比較的剛性の低い板状の部材に振動が伝播し、このフロアパネル110が振動する。さらに、フロアパネル110の振動により車室内の空気振動が引き起こされ、車室内に共振現象を起こすために、車室内の所定空間100(以下、制御空間100と呼ぶ)においてロードノイズが聞こえる。フロアパネル110の他にルーフパネルや窓ガラス(いずれも図示省略)が振動することによっても騒音が発生するが、主にサスペンション130の取り付け部から進入するロードノイズの大部分は、フロアパネル110の振動に起因することがわかっている。このため、フロアパネル110の振動に起因するロードノイズを打ち消すように騒音制御を行えば、ロードノイズを低減することができる。
本発明では、フロアパネル110にセンサ(後述)を配置して、そのセンサの出力信号を元に車室内騒音の推定を行い、制御部により制御指令値を生成し、この制御指令値に基づいてフロアパネル110に設けたアクチュエータ(波動印加部)により発生した制御音を車室内に入力するという手法をとる。
ここで、本発明ではセンサとしてマイクロフォンを使用せず、加速度センサ10の信号から制御空間100の騒音を推定するという方法を用いている。フロアパネル110に設置した加速度センサ10を用いるため、制御対象としてフロアパネル110に起因するロードノイズを扱う。ここで、加速度センサ10の設置場所としてフロアパネル110を選択したのは、車室内騒音との間のコヒーレンス(定義は後述)が高いからである。
なお、フロアパネル110を発生源とする騒音が制御対象としてすべて含まれるため、エンジン騒音の一部や車体底部を流れる空気が発生する風切音についても同様に扱うことができる。
また、本発明の効果の範囲はフロアパネル110の振動による騒音低減の範疇にはとどまらず、例えばダッシュパネルやフロントグラス、さらにルーフパネル(いずれも図示省略)といった同じメカニズムで発生する車室内の騒音発生源に対しても、本発明を当該部位に対して用いるようにすれば、同様の効果を得ることが可能である。
本実施形態による騒音制御装置の略図を図2に示す。
本実施形態による騒音制御装置は、フロアパネル110の振動を測定するセンサである加速度センサ10(10a、10b、10c、10d)と、フロアパネル110に振動を与える波動印加部であるアクチュエータ20(20a、20b)と、加速度センサ10で得られた信号に基づいて車室内騒音を低減する制御指令値を算出し、アクチュエータ20の制御を行う制御部30とからなる。
ここで、本実施形態におけるアクチュエータ20は、いわゆるピエゾアクチュエータ(Piezo-electric actuator)であるものとする。
制御部30の入力信号は加速度センサ10の出力であり、制御部30の出力信号はアクチュエータ20への制御指令値である。
制御部30は、信号増幅用の増幅部31(31a〜31f)と、車室内騒音を低減する制御指令値を算出して出力する制御部本体32とを備えている。
増幅部31は、加速度センサ10がいわゆる電荷チャージタイプである場合には、電荷と電圧との間の変換の機能も担う。
図3に制御部本体32内部の構造を示すブロック図を示す。
A/D変換部33(33a〜33e)は、加速度センサ10からの加速度信号α、α、α、αおよび制御部本体32からの制御指令値u、uをディジタル信号に変換する。
D/A変換部36は、算出部35で算出された制御指令値u、uをアナログ信号に変換して出力する。
制御部本体32では、加速度センサ10が出力する加速度信号α〜αと、アクチュエータ20への入力信号(制御指令値u、u)とを用いて制御空間100における騒音が小さくなるように制御指令値を算出する。
アクチュエータ20は、制御空間100での騒音を低減するのに十分な数が車体のフロアパネル110の適切な位置に貼り付けられている。
ここで、加速度センサ10の数は一般に振動源の数より多いことが必要とされる。具体的な加速度センサ10の数および設置位置は、各加速度センサ10と制御空間100における騒音の音圧との間のコヒーレンシーCxy(ω)
Figure 2007331490
が十分高くなるように(例えば0.9以上)決定される。本実施形態では、加速度センサ10とアクチュエータ20の数は、それぞれ4個、2個とした。
ここで、Pxy(ω)は加速度と音圧との間のクロスパワースペクトラム、Pxx(ω)とPyy(ω)はそれぞれ加速度と音圧のオートパワースペクトラムを表している。また、PHはPのエルミート転置行列を表す。
騒音推定部34では、加速度センサ10が出力した加速度α〜αと、1ステップ前の処理サイクルにおける制御指令値u、uを用いて、制御空間100における騒音の推定値SPL_estを算出する。
算出部35では、騒音の推定値SPL_estを用いて、制御空間100での騒音を低減するようにアクチュエータ20への制御指令値u、uを算出する。
本実施形態では、この制御部本体32をいわゆるCPU上に実装する。
制御部30における処理のフローチャートを図4に示す。
ステップS101では、A/D変換部33によりA/D変換された加速度センサ10からの加速度信号α〜αが騒音推定部34に入力される。この後に、フローはステップS102へ移行する。
ステップS102では、A/D変換部33によりA/D変換された1ステップ前の制御指令値u、uが騒音推定部34に入力される。この後に、フローはステップS103へ移行する。
ステップS103では、騒音推定部34により騒音推定処理を実行し、S101およびS102で得た信号から制御空間100での騒音の推定値SPL_estを算出する。この後に、フローはステップS104へ移行する。
ステップS104では、算出部35により、S103で算出された騒音の推定値SPL_estを用いて、制御空間100での騒音を低減する制御指令値u、uを算出する。この後に、フローはステップS105へ移行する。
ステップS105では、S104で得た制御指令値u、uをD/A変換部36に出力し、アクチュエータ20への出力信号が出力される。
図3の算出部35は、いかなるフィードバック制御を用いて設計してもよいが、例えばH∞制御として設計する場合は以下の手順に従えばよい。
システムのモデルは、ピエゾアクチュエータ20の入力電圧から騒音までの伝達関数Gp(s)とする。ここで、sはラプラス変換の変数である。
この伝達関数Gp(s)に対して、文献「D. McFarlane and K. Glover. “A Loop Shaping Design Procedure Using H∞ Synthesis”、 IEEE Transactions on Automatic Control. vol.37、 no.6、 June 1992、 pp.759-769」に記載の設計手法を用いることで、騒音を低減する制御部を設計することができる。
この手法では、評価式
Figure 2007331490
を満足するようなコントローラC(s)を設計する。ここで、Gs(s)は重み関数W1(s)とW2(s)により重み付けされた伝達関数
Figure 2007331490
によって求められる。最終的に(数式2)の評価式を満足するコントローラC(s)を用いて、コントローラC(s)は
Figure 2007331490
として算出される。
また、定数εはコントローラの安定余裕を決定するパラメータであり、通常0.2〜0.3が推奨される。CPUに実装する場合には、例えばコントローラC(s)に双一次変換を施すことでC(s)を離散化し、IIRフィルタとして実装すればよい。
図5に、騒音推定部34の構造を示す。以下、1)加速度センサ10の故障が発生した場合に実施する騒音制御について、2)加速度センサ10の故障が発生した場合に、騒音制御を実施するか否かの判定について、に分けて説明を行う。
1)加速度センサの故障が発生した場合に実施する騒音制御について
本実施形態では、加速度センサ10の故障が発生した場合に、加速度信号に乗算するフィルタ50を新たに設定して騒音の推定値を算出し、騒音制御を行う。
まず、基本動作を説明するために、図5に示すブロック図から基本動作に関係のある部分のみを抽出した図6を用いて、動作の説明を行う。
騒音推定部34に入力されたディジタル信号としての加速度信号α〜αと制御指令値u、uは、それぞれフィルタ50(50a〜50d)と伝達関数60(60a、60b)に入力される。
ここで、フィルタ50a〜50dは車外から制御空間100に侵入する騒音をある信号の和として表現するために加速度信号α〜αを整形するブロックである。このフィルタ50は、処理後の信号の和が車外から侵入する騒音の推定値になるように設計されている。
また、伝達関数60aと60bは、それぞれピエゾアクチュエータ20aと20bへの入力電圧から制御空間100での音圧までの伝達関数を示す。伝達関数60aと60bはそれぞれピエゾアクチュエータ20にホワイトノイズもしくはインパルス信号を入力し、そのとき得られた制御空間100での音圧信号と入力信号を用いてシステム同定を行うことにより得ることができる。その方法は、例えば、制御系設計ツールMATLABのツールボックスである「Structural Dynamical Toolbox」や、文献「足立、「制御のためのシステム同定」、東京電機大学出版局、1996」に記載の部分空間同定法を用いればよい。
ピエゾアクチュエータ20a、20bの入力電圧に、それぞれ伝達関数60a、60bを乗算し、それらを足し合わせることにより、ピエゾアクチュエータ20が発生した振動(音)が制御空間100に作る騒音の推定値が算出される。
フィルタ50で整形された各加速度信号α〜αと伝達関数60により演算が行われた制御指令値u、uを加算部70にて加算する。この処理により、車外から侵入する振動とピエゾアクチュエータ20が生成する振動とが作る制御空間100での騒音の推定値SPL_estが算出される。
図7に騒音推定部34で行う処理のフローチャートを示す。
ステップS201では、加速度センサ10a〜10dの加速度信号α〜αがA/D変換部33a〜33dによりA/D変換され、騒音推定部34に入力される。この後に、フローはステップS202へ移行する。
ステップS202では、1ステップ前の制御指令値u、uがA/D変換部33e、33fによりA/D変換され、騒音推定部34に入力される。この後に、フローはステップS203へ移行する。
ステップS203では、S201で入力された加速度信号αに予め記憶しておいたフィルタ50であるW1が乗算される。同様に、加速度信号αにフィルタ50であるW2が、加速度信号αにフィルタ50であるW3が、加速度信号αにフィルタ50であるW4が乗算される。この後に、フローはステップS204へ移行する。
ステップS204では、S202で入力された制御指令値uに、予め記憶しておいたアクチュエータ20aへの入力電圧から制御空間100での音圧までの伝達関数を示すフィルタ60aであるGp1が乗算される。同様に、制御指令値uに、アクチュエータ20bへの入力電圧から制御空間100での音圧までの伝達関数を示すフィルタ60bであるGp2が乗算される。
ここで、Gp1とGp2は、ピエゾアクチュエータ20の入力電圧から騒音までの伝達関数を離散時間システムとして同定した上で、逆Z変換をすることでIIRフィルタとして予め設定しておく。この後に、フローはステップS205へ移行する。
ステップS205ではS203とS204で得た信号全ての和をとり、得られた信号を出力する。
次に、フィルタ50の設定方法について述べる。
図8は車体への入力振動(振動源)と加速度、車室内騒音との関係を示している。車体への入力振動fは、伝達関数H(s)を通して各加速度センサ10a、10b、10c、10dに伝わる。一方で、入力振動fは車室内の空気を伝播して制御空間100での騒音となる。このときの空気伝播の伝達関数をR(s)とおく。また、加速度センサ10a、10b、10c、10dで検出される加速度をそれぞれα、α、α、αとおく。さらに、制御空間100で測定されるロードノイズをSPLとおく。このとき、入力振動fのラプラス変換をfL(s)、信号SPLのラプラス変換をSPLL(s)、加速度信号α1、α2、α3、α4のラプラス変換をそれぞれαL1(s)、αL2(s)、αL3(s)、αL4(s)と表すと、各信号間の関係は以下の式で表される。
Figure 2007331490
ここで、Hは各要素が伝達関数である4行1列の行列である。この関係式を用いて、加速度センサ10の信号から騒音の推定値を推定するためには、(数式7)を逆にfについて解き、(数式6)に代入すればよい。したがって、
Figure 2007331490
で表される。ここで、H+は伝達関数行列H(s)の逆関数を表す。ここで、Hは正方行列ではなく、長方行列であるので、逆行列を計算することはできない。そこで、擬似逆行列
Figure 2007331490
を用いて演算を行う。ただし、mHをHの行の数、nHをHの列の数としたときに、
Figure 2007331490
であることが、H+を計算できるための必要条件である。
RH+は1行4列行列であるので、その要素を、
Figure 2007331490
とおくと、(数式8)は
Figure 2007331490
と変形することができる。ここで現れるW1からW4を図5に記載のフィルタ50a〜50dとして設定する。したがって、各加速度α1からα4に対するフィルタ50(W)は
Figure 2007331490
の列ベクトルにより決定される。
図9に上記フィルタの設定のフローチャートを示す。
ステップS301では、伝達関数Hと伝達関数Rとが算出される。これらはあらかじめ算出しデータとして記憶しておいても良い。この後に、フローはステップS302に移行する。
ステップS302では、伝達関数Hに基づいて、関数H+=(HT・H)-1・HTが算出される。この後に、フローはステップS303に移行する。
ステップS303では、フィルタ50がW=RH+として算出される。
以上の方法で得られたフィルタ50の周波数応答例を図10に示す。図10の10A〜10Dのグラフはそれぞれ加速度センサ10a〜10dについてのグラフ示している。各グラフの点線は各加速度センサ10の加速度信号から制御空間100での騒音までの伝達関数を示し、実線はその伝達関数に(数式13)で計算されたフィルタ50を乗算した関数の特性を示している。ここで、ある周波数帯域で点線と実線が近い特性の時は、その加速度センサが検出したその周波数帯域の加速度信号に対しフィルタ50が大きな重み付けを行ったことを表している。また、例えば図10の10A〜10Dにおいて300Hz付近に注目すると、グラフ10Cでは実線と点線が近い値を示し、他のグラフ10A、10B、10Dでは実線と点線が離れている。この場合、300Hz付近では加速度センサ10cが検出した加速度信号に大きな重みが付けられ、他の加速度センサ10の加速度信号には小さな重みが付けられていることを示している。
図11に、騒音の実測値と、上記のフィルタ50を用いて算出された騒音の推定値SPL_estを示す。点線が騒音の実測値で、実線が騒音推定部34で算出された騒音の推定値SPL_estを示す。図11より、本実施形態を用いることにより、騒音の推定値SPL_estが精度良く算出されていることがわかる。このように、本実施形態では、車室内の騒音を精度高く推定し、車室内騒音を効果的に低減することができる。
以上に示した処理によって車室内における騒音を精度高く推定することができる。
しかしながら、加速度センサ10が故障した場合には、車室内の騒音を推定するために利用できる加速度信号の数が異なるため、騒音の推定精度が低下する。このため、十分な騒音低減効果が得られない可能性がある。
このような実例として、4個の加速度センサ10a〜10dを用いて騒音の推定を行うものとして設計されたフィルタ50を用いて騒音を推定している際に、加速度センサ10cと加速度センサ10dが故障して加速度センサ10aと加速度センサ10bのみで騒音を推定した場合の推定結果を図12に示す。図12で点線は騒音の実測値、実線は騒音の推定値SPL_estを示す。この場合では、加速度センサ10cと10dで推定される成分が無くなってしまうため、騒音の推定値SPL_estは小さくなっている。このように、加速度センサ10の個数があるべき個数から減ってしまった場合は、騒音の推定精度が明らかに低下してしまう。したがって、加速度センサ10が故障した場合でも騒音の推定精度を維持するためには、騒音推定部34が何らかの対策を取る必要がある。
本実施形態では、加速度センサ10の故障時の対策として、加速度センサ10の故障を検出した場合に、故障した加速度センサ10を除く加速度センサ10の全ての組合せに対応したフィルタ50をあらかじめ記憶部(後述)に記憶しておき、故障した加速度センサ10に応じてフィルタ50を変更して騒音を推定する方法を用いる。
例えば、騒音推定のための加速度センサ10を8個用いている場合には、加速度センサ10が故障する組合せは
Figure 2007331490
通りであるため、各組み合わせに対応したフィルタ50を記憶部に記憶しておき、故障した加速度センサ10が検知された場合には、故障した加速度センサ10を除く加速度センサ10の組合せに対応したフィルタ50に変更して騒音の推定値を算出すればよい。なお、全ての加速度センサ10が故障した場合には騒音の推定ができなくなるため、その場合のフィルタ50は記憶しておく必要はない。
以下、図5に示すブロック図から加速度センサ10に故障が発生した際のフィルタの変更に関係のある部分のみを抽出した図13を用いて、動作の説明を行う。
騒音推定部34において、入力された加速度センサ10の加速度信号α1〜α4は、まずセンサ故障検出部である加速度センサ故障検出部90に入力される。各加速度センサ10a〜10dからの加速度信号α1〜α4は、それぞれ加速度センサ故障検出部90の加速度センサ故障検出部90a〜90dに入力される。この加速度センサ故障検出部90では、例えば加速度センサ10からの加速度信号が所定の時間にわたって所定の閾値よりも小さい値であるときにその加速度信号を出力する加速度センサ10が故障していると判断することにより、加速度センサ10の故障を検知する。加速度センサ故障検出部90は、加速度センサ10の故障を検出すると、フィルタ設定部95に故障検出信号を出力する。
フィルタ設定部95は、加速度センサ故障検出部90からの故障検出信号により、フィルタ50a〜50dのうち、故障が検出された加速度センサ10以外の加速度センサ10の加速度信号が入力されるフィルタ50を新たに設定する(変更する)。すなわち、フィルタ設定部95が備える記憶部96には、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したフィルタ50があらかじめ記憶されており、故障した加速度センサ10以外の加速度センサ10の組合せに対応したフィルタ50を記憶部96から選択してフィルタ50を新たに設定する。このようにして設定したフィルタ50に加速度信号を乗算した値と、制御指令値u、uに伝達関数60を乗算した信号とを、図5で示した騒音推定部34と同様に加算部70で加算することで、制御空間100における騒音の推定値SPL_estが算出される。
図14に、図13で示した本実施形態における騒音推定部34でのフローチャートを示す。
ステップS401では、騒音推定部34に加速度信号が入力される。この後に、フローはステップS402へ移行する。
ステップS402では、加速度センサ故障検出部90により、S401で得た加速度信号の時間変動に基づいて、加速度センサ10が故障しているか否かが判定される。加速度センサ10が故障している場合は、故障検出信号をフィルタ設定部95に出力し、フローはステップS403に進む。一方、加速度センサ10が故障していない場合は、フローはステップS404に進む。
ステップS403では、フィルタ設定部95が新しいフィルタ50の選択を行い、フィルタ50を新たに設定する。フィルタ設定部95が備える記憶部96には、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したフィルタ50があらかじめ記憶されており、故障検出信号に応じて故障が検出された加速度センサ10を除くフィルタ50が記憶部96から選択され、新たなフィルタ50として設定される。この後に、フローはステップS404へ移行する。
ステップS404では、騒音推定部34に1ステップ前の制御指令値が入力される。この後に、フローはステップS405へ移行する。
ステップS405では、新しく設定されたフィルタ50を用いて、故障が検出された加速度センサ10を除く加速度センサ10からの加速度信号にフィルタ50が乗算される。なお、加速度センサ10に故障が検出されていない場合は、前回のフィルタ50と加速度信号が乗算される。この後に、フローはステップS406へ移行する。
ステップS406では、制御指令値に予め記憶してある伝達関数60が乗算される。この後に、フローはステップS407へ移行する。
ステップS407では、S405とS406で得た信号全てが加算部70で加算され、得られた信号が出力される。
図15に、本実施形態における騒音推定部34を用いた場合の騒音の推定結果例を示す。
図15は、加速度センサ10cと10dが故障した場合に、残りの加速度センサ10aと10bを用いるとして新たに設定されたフィルタ50の周波数特性を示す。図15のグラフ15aが加速度センサ10aのグラフ、図15のグラフ15bが加速度センサ10bのグラフを示している。図10と同様に点線は各加速度センサ10の出力信号から制御空間100における騒音までの伝達関数を示し、実線はその伝達関数にフィルタ50を乗算した関数の特性を示している。グラフにおいて点線と実線が近い周波数帯域では、その加速度センサ10が検出したその周波数帯域の加速度信号が騒音の推定値SPL_estに対して大きな重みを持ち、フィルタ50が大きな重み付けを行ったことを表している。
図16に、正常な加速度センサ10が4個から2個になった場合において、フィルタ50が新たに設定された場合の騒音の推定値SPL_estを示す。点線が騒音の実測値で、実線が騒音の推定値SPL_estである。フィルタ50の新たな設定が行われない場合は、図12のように騒音の推定精度が低下するが、フィルタ50の新たな設定が行われることにより、図16のように高い精度で騒音の推定が可能になり、騒音低減効果の高い騒音制御を行うことができる。
2)加速度センサ10の故障が発生した場合に、騒音制御を実施するか否かの判定について
図5を用いて、本動作の説明を行う。
本実施形態では、加速度センサ10に故障が生じた場合、前述したように、故障した加速度センサ10を除く加速度センサ10を用いて精度高く騒音を推定するために、加速度信号に掛け合わされるフィルタ50の値が新たに設定される。例えば、4個の加速度センサ10のうち1個が故障し、正常な加速度センサ10が3個になった場合、加速度センサ10が4個のときのフィルタ50をそのまま用いていたのでは騒音の推定を正しく行うことができないため、故障した加速度センサ10を除いた残りの3個の加速度センサ10で騒音の推定が精度高く行えるように、あらかじめその3個の加速度センサ10を用いた場合のフィルタ50を算出して記憶部96に記憶しておき、故障した加速度センサ10に対応した故障検出信号をトリガとしてフィルタ50を新たに設定(変更)し、騒音の推定を行う。
この動作により、騒音の推定精度を極力低下させずに騒音制御を行うことが可能となるが、故障した加速度センサ10の数が増えてくると、このようなフィルタ50の新たな設定を行っても、騒音の推定精度が低下してしまう場合がある。
図17に、正常な加速度センサ10の個数と、騒音の実測値と推定値との相関値Rの関係を示す。N個の加速度センサ10の故障がない場合は、騒音の推定値が実測値に近く、相関値が1に近い値をとっている。一方、加速度センサ10がk個故障し、正常な加速度センサ10の個数が(N−k)個となった場合は、故障した加速度センサ10の設置位置(正常な加速度センサの組み合わせ)に応じて、騒音の推定精度が異なってくるため、騒音の実測値と推定値との相関値Rにもばらつきが生じてくる。故障した加速度センサ10がさらに増えて、正常な加速度センサ10がn個になった場合は、このばらつきがさらに増加する。このように、故障した加速度センサ10の数が増えてくると、前述したフィルタ50の新たな設定を行っても、騒音の推定精度が低下してしまう場合がある。
図18は、車体のフロアパネル110の略中央部の左右2箇所に振動を印加し、運転席および助手席において実測した騒音の実測値に対し、正常な加速度センサ10の数が減少した場合の騒音の推定精度の変化を示す図である。ここで、図18の右図は、正常な加速度センサ10の個数と、運転席における騒音の実測値と推定値との相関値Rとの関係を示し、左図は、正常な加速度センサ10の個数と、助手席における騒音の実測値と推定値との相関値Rとの関係を示している。この図で明らかなように、この実験条件においては正常な加速度センサ10の数が3個の場合は運転席、助手席とも良好に騒音を推定できている一方、正常な加速度センサ10の数が2個になってしまうと、正常な加速度センサ10の組合せによって騒音の推定精度が大きくばらつき、また運転席と助手席とでもその結果が異なっていることがわかる。例えば、組合せ1では、運転席と助手席ともに相関値Rが0.2弱程度となっており、騒音の推定精度が低い。これに対し、組合せ3、4では、運転席での相関値Rが0.65付近で騒音の推定精度が比較的低いのに比べ、助手席では0.9に近い値となっており、騒音の推定精度は高い。
本実施形態では、騒音の実測値を直接計測する手段を有していないため、騒音の実測値として加速度センサ10すべてが正常の場合の騒音の推定値SPLNを代用し、故障した加速度センサ10に応じた騒音の推定値SPLRとこの騒音の推定値SPLNとの相関値Rを算出し、相関値Rが閾値RT以上となる、すなわち騒音の推定精度が十分な場合のみフィルタ50の新たな設定を行って騒音制御を行い、相関値Rが閾値RT未満となる、すなわち騒音の推定精度が十分でない場合には騒音制御を停止する動作により、騒音抑制効果を損なうことのない騒音制御を行うものである。
本実施形態では、図5に示すように、加速度センサ故障検出部90とフィルタ50との間に出力信号記憶部である加速度信号記憶部80を備えている。また、加算部70の後に、騒音制御実施判定部81を備えている。
ここで、加速度センサ10がすべて正常な際の加速度信号を任意の時間において加速度信号記憶部80に記憶しておき、加速度センサ10が故障した際に、加速度信号記憶部80に記憶した加速度信号を用いて加速度センサ10の故障前後におけるそれぞれの騒音の推定値SPLN、SPLRを算出し、その相関値に基づいて騒音制御の実施または停止の判定を行うものである。
以下、図19のフローチャートを用いて、本実施例の動作を説明する。
ステップS501では、すべての加速度センサ10が正常な状態において、加速度センサ10が出力する加速度信号を加速度信号記憶部80に記憶する。記憶する加速度信号は、所定時間分とする。ここで、記憶を開始する時刻は、すべての加速度センサ10が正常な状態であればいつでも良い。この後に、フローはステップS502に移行する。
ステップS502では、加速度センサ故障検出部90により、加速度センサ10の故障の有無が判定される。加速度センサ10に故障が検出されれば、フローはステップS503へ移行する。一方、加速度センサ10に故障が検出されなければ、フローはステップS509へ移行する。
ステップS503では、加速度信号記憶部80に記憶された加速度信号を読出す。この後に、フローはステップS504に移行する。
ステップS504では、加速度信号記憶部80から読み出した加速度信号と、すべての加速度センサ10が正常であった場合のフィルタ50とを用いて、すべての加速度センサ10が正常であった場合の騒音の推定値SPLNを算出する。この後に、フローはステップS505に移行する。
ステップS505では、加速度センサ10の故障に応じ、正常な加速度センサ10の組合せに応じたフィルタ50が新たに設定される。フィルタ50の設定については、図9のフローチャートで説明した内容と同等である。この後に、フローはステップS506に移行する。
ステップS506では、加速度信号記憶部80に記憶された加速度信号のうち故障した加速度センサ10の加速度信号を除いた加速度信号と、新たに設定したフィルタ50とを用いて、加速度センサ10に故障が検出された後の騒音の推定値SPLRを算出する。この後に、フローはステップS507に移行する。
ステップS507では、算出した騒音の推定値SPLNとSPLRとの相関値Rが算出される。この後に、フローはステップS508に移行する。
ステップS508では、算出した相関値Rと閾値RTとの比較が行われる。相関値R≧閾値RTの場合、フローはステップS509へ移行する。一方、相関値R<閾値RTの場合、フローはステップS510へ移行する。
ステップS509では、騒音の推定値SPLRが精度高く算出された場合にあたり、騒音制御が行われる。騒音制御については、前述した内容と同等である。
ステップS510では、騒音の推定値SPLRが精度高く算出されなかった場合にあたり、騒音制御が停止される。
なお、騒音の推定値SPLNと騒音の推定値SPLRとの相関値Rの算出と、騒音制御の実施、停止の判定は、騒音制御実施判定部81により行われる。
以上の動作により、故障した加速度センサ10の数が増えて騒音の推定精度が十分でない場合は、騒音制御を停止することができる。これにより、精度の低い騒音の推定値により騒音制御を行うことで、かえって騒音を増やしてしまうという可能性を排除することができ、騒音低減効果を損ねることがなくなる。
なお、上記実施形態において、複数の制御空間100における加速度センサの故障前後の相関値Rが閾値RT以上となる場合に、騒音制御を行うようにしても良い。これにより、複数の制御空間すべてにおいて騒音低減効果が得られない場合は、騒音制御を行わないことになり、複数の制御空間すべてにおいて騒音低減効果が確実に得られる騒音制御を行うことができる。
本実施例は、前述した実施形態とは、加速度信号記憶部80の動作が異なる。本実施例では、加速度信号記憶部80は、加速度センサ10からの加速度信号を所定時間分絶えず更新して記憶し続け、加速度センサ10が故障した際に、加速度信号記憶部80に記憶した加速度信号のうち故障が発生する前の加速度信号を用いて、加速度センサ10の故障前後におけるそれぞれの騒音の推定値を算出し、加速度センサ10の故障前後における騒音の推定値の相関値に基づいて騒音制御の実施または停止の判定を行うものである。
この動作を行うため、本実施例においては、加速度信号記憶部80はいわゆるFIFO(First In First Out)方式のリングバッファ動作を行う。
以下、図20のフローチャートを用いて、本実施例の動作を説明する。
ステップS601では、加速度センサ10が出力する最新の加速度信号を加速度信号記憶部80が時間tmax分記憶する。この後に、フローはステップS602へ移行する。
ステップS602では、加速度センサ故障検出部90により、加速度センサ10の故障の有無が判定される。加速度センサ10に故障が検出されれば、フローはステップS603へ移行する。一方、加速度センサ10に故障が検出されなければ、フローはステップS611へ移行する。
ステップS603では、加速度信号記憶部80の記憶の更新を停止する。この後に、フローはステップS604に移行する。
ステップS604では、加速度信号記憶部80に記憶された加速度信号のうち、加速度センサ10の故障を検出した後に記憶された全加速度信号を削除する。図21に、加速度信号記憶部80に記憶された加速度信号の例を示す。図21の時刻tfにおいて加速度センサ10aの故障が検出されたとする。この場合、加速度センサ故障検出部90が加速度センサ10aの故障を検出してから、加速度信号記憶部80の記憶の更新が停止する時刻をtendとすると、故障した加速度センサ10aが出力する加速度信号が時間(tend−tf)の間加速度信号記憶部80に記憶されてしまう。このため、加速度信号記憶部80に記憶された全加速度信号から、時間(tend−tf)における加速度信号を削除する。この後に、フローはステップS605に移行する。
ステップS605〜ステップS612は、実施形態におけるステップS503〜ステップS510と同様の内容のため、説明は省略する。
以上の動作により、故障した加速度センサ10の数が増えて騒音の推定精度が十分でない場合は、騒音制御を停止することができる。これにより、精度の低い騒音の推定値により騒音制御を行うことで、かえって騒音を増やしてしまうという可能性を排除することができ、騒音低減効果を損ねることがなくなる。
本実施例のブロック図を図22に示す。
本実施例では、加速度センサ10すべてが正常の場合の騒音の推定値SPLNと、故障した加速度センサ10に応じた騒音の推定値SPLRとの相関値Rをあらかじめ算出しておき、相関値Rが閾値RT以上となる、すなわち騒音の推定精度が十分な場合にフィルタ50の新たな設定を行って騒音制御を行い、相関値Rが閾値RT未満となる、すなわち騒音の推定精度が十分でない場合には騒音制御を停止する動作により、騒音抑制効果を損なうことのない騒音制御を行うものである。
加速度センサ故障検出部90の故障検出信号は、騒音制御実施判定部82に入力される。
騒音制御実施判定部82は、CDT記憶部83を備えており、加速度センサ故障検出部90からの故障検出信号を受け取り、CDT記憶部83にあらかじめ記憶したCDT値(後述)を参照し、CDT値を指標として騒音制御を実施するか停止するかの判定を行う。ここで騒音制御を実施すると判定した場合は、フィルタ設定部95に故障検出信号を出力し、フィルタ設定部95で新たなフィルタの設定が行われる。一方、騒音制御を停止すると判定した場合は、フィルタ設定部95に故障検出信号を出力せず、騒音推定部34の動作自体を停止する。
ここで、CDT値について説明を行う。
前述した「相関値Rが閾値RT以上となる」場合を表にしたものが、制御判定表CDTであり、この表に記載されている値をCDT値と呼ぶ。CDT値は、相関値Rが閾値RT以上となる場合に「1」が設定され、相関値Rが閾値RT未満となる場合に「0」が設定される。図23に制御判定表CDTの例を示す。
制御判定表CDTの横軸は、騒音を推定する位置に応じた数値i(以下、騒音推定位置iと呼ぶ)を、縦軸は正常な加速度センサ10の数jを表している。ここで、表に設定したCDT値の「1」、「0」は、図24に示すフローチャートにより設定される。
ステップS701では、各騒音推定位置iにおいて、N個の加速度センサ10すべてが正常である場合の騒音の推定値SPLiNが算出される。この後に、フローはステップS702に移行する。
ステップS702では、各騒音推定位置iにおいて、加速度センサ10がk個(1≦k≦N−振動源数)故障した場合について、残りの加速度センサ10のすべての組合せNCj(j=N−k)における騒音の推定値SPLijが算出される。この後に、フローはステップS702に移行する。
ステップS703では、SPLiNとSPLijとの相関を計算し、相関値Rijが算出される。この後に、フローはステップS704に移行する。
ステップS704では、相関値Rijと閾値RTとの比較が行われる。相関値Rij≧閾値RTの場合、フローはステップS705へ移行する。一方、相関値Rij<閾値RTの場合、フローはステップS706へ移行する。
ステップS705では、騒音の推定精度が高く、騒音制御による騒音低減効果が期待できるものとして、騒音制御を実施する意味の「1」をCDT(i、j)に設定する。この後に、フローはステップS707へ移行する。
ステップS706では、騒音の推定精度が低く、騒音制御による騒音低減効果が期待できないものとして、騒音制御を停止する意味の「0」をCDT(i、j)に設定する。この後に、フローはステップS507へ移行する。
ステップS707では、すべてのi、jに対してステップS501〜ステップS506を実行したか否かが判定される。すべてのi、jに対してステップS501〜ステップS506を実行し、すべてのCDT(i、j)が設定された場合は、終了する。一方、すべてのi、jに対してステップS501〜ステップS506が実行されておらず、設定されていないCDT(i、j)がある場合は、フローはステップS501に戻る。
以上の動作により、制御判定表CDTにおけるCDT値が設定される。
なお、上記フローチャートにおいて、騒音の推定値SPLiN算出の際は、標準的な加速度信号を利用すれば良い。
次に、制御判定表CDTを用いた騒音制御実施判定部82による騒音制御の実施、停止判定の動作の説明を図25のフローチャートを用いて行う。
ステップS801では、加速度センサ故障検出部90により、加速度センサ10の故障の有無の判定が行われる。加速度センサ故障検出部90により、加速度センサ10の故障が検出された場合は、フローはステップS802へ移行する。一方、加速度センサ故障検出部90により、加速度センサ10の故障が検出されない場合は、フローはステップS805へ移行する。
ステップS802では、正常な加速度センサ10の組合せに対応するCDT値がCDT記憶部83から選択される。この後に、フローはステップS803へ移行する。
ステップS803では、ステップS802で選択されたCDT値による分岐が行われる。CDT値=1の場合は、正常な加速度センサ10により精度の高い騒音の推定が行える場合にあたり、フローはステップS804へ移行する。一方、CDT値=0の場合は、正常な加速度センサ10により精度の高い騒音の推定を行うことが難しい場合にあたり、フローはステップS806へ移行する。
ステップS804では、正常な加速度センサ10の組合せに応じたフィルタ50が新たに設定される。フィルタ50の設定については、図9のフローチャートで説明した内容と同等である。この後に、フローはステップS805へ移行する。
ステップS805では、騒音制御が行われる。騒音制御については、図4のフローチャートで説明した内容と同等である。
ステップS806では、騒音制御が停止される。
以上の動作により、故障した加速度センサ10の数が増えて騒音の推定精度が十分でない場合は、騒音制御を停止することができる。これにより、精度の低い騒音の推定値により騒音制御を行うことで、かえって騒音を増やしてしまうという可能性を排除することができ、騒音低減効果を損ねることがなくなる。
本実施例は、前述した実施形態において、図14のフローチャートにおけるステップS403の処理内容を変更した実施例であり、前述した実施形態と同様の構成を備えている。このため、前述の実施形態に対して処理内容が異なるステップS403についてのみ説明を行う。
フィルタ50は、(数式13)に記載したとおり
Figure 2007331490
により求められる。ここで、加速度センサ10の故障時には伝達関数Rは変化せず伝達関数H+のみに新たな設定の必要が生じるため、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したフィルタ50を予め記憶部96に記憶しておく代わりに、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したH+を記憶しておき、それを用いてフィルタ50を新たに設定することが可能ある。こうすることで、記憶部96に記憶しておくデータ量が小さくなり、より少ない記憶容量でフィルタ50の新たな設定を実現することができる。
図26に、本実施例におけるフィルタ50の新たな設定のフローチャートを示す。
ステップS901では、故障した加速度センサ10を除く残りの加速度センサ10の組合せに対応したH+を記憶部96から選択する。ここで、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したH+が予め計算されて記憶部96に記憶されている。この後に、フローはステップS902に移行する。
ステップS902では、S901で計算したH+を用いてフィルタ50(W)が(数式15)により算出される。
以下、前述した実施形態と同様の処理によって、加速度センサ10が故障した場合でも、騒音の推定値SPL_estが精度高く算出され、高い騒音低減効果を得ることができる。
本実施例は、前述した実施形態において、図14のフローチャートにおけるステップS403の処理内容を変更した実施例であり、前述した実施形態と同様の構成を備えている。このため、前述の実施形態に対して処理内容が異なるステップS403についてのみ説明を行う。
フィルタ50は、(数式13)に記載したとおり、
Figure 2007331490
により算出される。ここで、加速度センサ10の故障時には伝達関数Rは変化せずH+のみに新たな設定の必要が生じるため、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したフィルタ50を予め記憶部96に記憶しておく代わりに、実施例3に示したように、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したH+を予め記憶部96に記憶しておくことで、フィルタ50の新たな設定が可能となる。ここで、H+はHから算出が可能であるため、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したH+を予め記憶部96に記憶しておく代わりに、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したHを予め記憶部96に記憶しておき、このHを用いてH+を算出することで、フィルタ50の新たな設定が可能となる。このようにすることで、記憶部96に記憶しておくデータ量がさらに小さくなり、より少ない記憶容量でフィルタ50の新たな設定を実現することができる。
図27に、本実施例におけるフィルタ50の新たな設定のフローチャートを示す。
ステップS911では、故障した加速度センサ10を除く残りの加速度センサ10の組合せに対応したHを記憶部96から選択する。ここで、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したHが予め計算されて記憶部96に記憶されている。この後に、フローはステップS912に移行する。
ステップS912では、S911で選択したHを用いてフィルタ50(W)が(数式16)により算出される。
以下、前述した実施形態と同様の処理によって、加速度センサ10が故障した場合でも、騒音の推定値SPL_estが精度高く算出され、高い騒音低減効果を得ることができる。
本実施例は、前述した実施形態において、図14のフローチャートにおけるステップS403の処理内容を変更した実施例であり、前述した実施形態と同様の構成を備えている。このため、前述の実施形態に対して処理内容が異なるステップS403についてのみ説明を行う。
(数式13)に示したとおり、フィルタ50は
Figure 2007331490
で表される。ここでWは、W=[W1、W2、W3、W4]として表される伝達関数を要素とする1行4列行列である。
加速度センサ10が故障した場合、(数式17)中の伝達関数Rは振動源から騒音までの伝達関数であるため変更が無く、伝達関数Hのみが変化する。ここで、Hは振動源から加速度センサ10の加速度信号までの伝達関数であるため、
Figure 2007331490
と、行列の形で表すことができる(以降、Hを伝達関数行列と呼ぶ)。(数式18)において、Hの各要素Ha〜Hdは、それぞれ振動源から4つの加速度センサ10a〜10dまでの伝達関数である。
ここで、加速度センサ10が故障した場合の伝達関数行列Hを考えると、例えば加速度センサ10cと10dとが故障した場合、故障した加速度センサ10に対応する伝達関数HcとHdの行を削除して、改めて伝達関数行列Hを
Figure 2007331490
とすることにより、加速度センサ10aと10bのみで騒音の推定を行っていた場合と同じ状態とすることができる。したがって、加速度センサ10の故障を検出した場合には、伝達関数行列Hの行の中で故障した加速度センサ10に対応する行ベクトルを全て削除し、(数式19)のように新たな伝達関数行列Hを設定する。次に、その伝達関数行列Hを用いて(数式9)から擬似逆行列H+を求め、最後にRH+を演算し、得られた行列の縦ベクトルを各フィルタ50とすることにより、フィルタ50を新たに設定することができる。
この方法を用いることで、故障した加速度センサ10を除くすべての加速度センサ10の組合せに対応したHを記憶部96上に記憶する必要は無くなり、ただ1つのHを記憶しておけばフィルタ50を新たに設定することが可能となる。このようにすることで、記憶部96に記憶しておくデータ量がさらに小さくなり、より少ない記憶容量でフィルタ50の新たな設定を実現することができる。
図28に、本実施例におけるフィルタ50の新たな設定のフローチャートを示す。
ステップS921では、故障した加速度センサ10に対応する伝達関数行列Hの行を削除し、新たな伝達関数行列Hを設定する。この後に、フローはステップS922に移行する。
ステップS922では、S921で設定した伝達関数行列Hを用いて、行列RH+=R(HT・H)-1・HTが算出される。
ステップS923では、算出された行列RH+の各列ベクトルをフィルタ50としてフィルタ50が更新される。
以下、前述した実施形態と同様の処理によって、加速度センサ10が故障した場合でも、騒音の推定値SPL_estが精度高く算出され、高い騒音低減効果を得ることができる。
以上説明した本発明の実施の形態の騒音制御装置によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
請求項1の発明は、車両の車体に配置され、車体の振動を検出する複数のセンサと、車体に制御された波動を加える波動印加部と、前記複数のセンサが出力する各出力信号に基づいて前記センサの故障を検出するセンサ故障検出部および、該センサ故障検出部により故障が検出された前記センサを除く正常な前記センサの前記出力信号に基づき前記車両の車室内の所定の空間で聞こえる車室内騒音の推定値を算出する騒音推定部とを有し、前記センサ故障検出部により前記センサの故障が検出された際に、前記センサの故障が検出される前の前記車室内騒音の推定値と前記センサの故障が検出された後の前記車室内騒音の推定値との相関値を算出し、該相関値が所定値以上の場合に前記車室内騒音の推定値に基づいて前記波動印加部に波動を出力して前記車室内騒音を低減させる騒音制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。
この装置によれば、正常なセンサで検出した振動に基づいて騒音の推定値を算出し、該推定値に基づいて騒音制御を行う騒音制御装置において、センサが故障した場合に、センサが故障する前後における騒音の推定値を算出し、センサが故障する前後における騒音の推定値の相関値が所定値以上となった場合に騒音制御を行うため、騒音低減効果を損なうことのない騒音制御を行うことができる。
また、請求項2の発明は、請求項1の騒音制御装置において、前記騒音推定部は、正常な前記センサの前記出力信号と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された所定のフィルタ処理を前記出力信号に対して行い、該フィルタ処理を行った前記出力信号の総和に基づいて前記車室内騒音の推定値を算出することを特徴としている。
この装置によれば、車体に配置したセンサで振動を検出することにより、騒音の推定値を算出することができる。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の騒音制御装置において、前記フィルタ処理は、正常な前記センサの前記出力信号と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された重み付け処理を行い、該重み付け処理は、前記車室内騒音との相関が高い前記出力信号ほど前記車室内騒音の推定値への寄与度が高くなるように該重み付け処理の係数が設定されることを特徴している。
この装置によれば、車室内騒音との相関が高い出力信号ほど車室内騒音の推定値への寄与度が高くなるように重み付け処理が行われ、車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の騒音制御装置において、前記重み付け処理は、所定の周波数帯域毎に行われることを特徴としている。
この装置によれば、重み付け処理が所定の周波数帯域毎に行われ、車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項5の発明は、請求項3または4に記載の騒音制御装置において、前記フィルタ処理は、正常な前記センサの前記出力信号と、該出力信号と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Gと、前記重み付け処理の係数とを掛け合わせることを特徴としている。
この装置によれば、センサの出力信号と伝達関数Gにより車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項6の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、前記騒音推定部は、正常な前記センサの全ての組合せに対応する前記重み付け処理の係数をあらかじめ算出し、算出した該重み付け処理の係数を記憶する記憶部を備えることを特徴としている。
この装置によれば、あらかじめ重み付け処理の係数を記憶しておくことにより、処理時間を短縮することができる。
また、請求項7の発明は、請求項2に記載の騒音制御装置において、前記フィルタ処理は、正常な前記センサの前記出力信号と、該出力信号と前記車体の振動の源となる車体振動源との間の伝達関数Hに基づく関数(HT・H)-1・HTと、該車体振動源と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Rとを掛け合わせることを特徴としている。
この装置によれば、フィルタ処理が伝達関数Hに基づいて算出され、車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の騒音制御装置において、前記騒音推定部は、正常な前記センサの全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTをあらかじめ算出し、算出した該関数(HT・H)-1・HTを記憶する記憶部を備えることを特徴としている。
この装置によれば、記憶部が記憶する容量が少なくて済み、記憶部が必要とする記憶容量を減らすことができる。
また、請求項9の発明は、請求項7に記載の騒音制御装置において、前記騒音推定部は、正常な前記センサの全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTを算出するために用いる前記伝達関数Hをあらかじめ算出し、算出した該伝達関数Hを記憶する記憶部を備えることを特徴としている。
この装置によれば、記憶部が記憶する容量が少なくて済み、記憶部が必要とする記憶容量を減らすことができる。
また、請求項10の発明は、請求項7に記載の騒音制御装置において、前記騒音推定部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出していない場合に対応する前記伝達関数Hを記憶する記憶部を備え、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、故障が検出された前記センサに対応する前記伝達関数Hの行成分を削除して新たな伝達関数Hを算出することを特徴としている。
この装置によれば、伝達関数Hを簡単に算出することができる。
また、請求項11の発明は、請求項7〜10のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、前記車体振動源の数が、前記車両が備える車輪の数であることを特徴としている。
この装置によれば、車輪の数を車体振動源の数とすることで、車室内の騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項12の発明は、請求項2〜11のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の所定の時間分の前記出力信号を記憶する出力信号記憶部を備え、前記制御部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号のうち故障が検出された前記センサの前記出力信号を除く前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この装置によれば、センサの故障が発生する前の出力信号を記憶しておくことで、センサの故障前後の騒音の推定値の相関値を簡単に算出することができる。
また、請求項13の発明は、請求項2〜11のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、所定の時間分の最新の前記出力信号を更新して記憶する出力信号記憶部を備え、前記制御部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、前記出力信号記憶部の記憶の更新を停止し、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号のうち前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号のうち前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記出力信号であって該故障を検出したセンサの前記出力信号を除く前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この装置によれば、センサの故障が発生する前の出力信号を記憶しておくことで、センサの故障前後の騒音の推定値の相関値を簡単に算出することができる。
また、請求項14の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、前記所定の空間の位置および正常な前記センサの数に応じてあらかじめ前記相関値が算出されて記憶された相関値記憶部を備え、前記制御部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、該相関値記憶部に記憶された該相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この装置によれば、センサの故障の発生前後の騒音の推定値の相関値があらかじめ算出され記憶されているため、センサの故障が発生した際に、対応する相関値を参照することで、騒音制御の実施判定を簡単に行うことができる。
また、請求項15の発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、複数の前記所定の空間に対する前記相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この装置によれば、センサの故障が発生した際に、複数の空間に対して騒音低減効果を損なうことのない騒音制御を行うことができる。
また、請求項16の発明は、請求項1〜15のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、前記センサ故障検出部は、前記出力信号の出力値と出力時間とに基づいて前記センサの故障を検出することを特徴としている。
この装置によれば、センサの出力信号の出力値と出力時間により、センサの故障を簡単に検出することができる。
さらに、請求項17の発明は、請求項1〜16のいずれか1項に記載の騒音制御装置において、前記波動は、前記車体に印加する車体振動または前記車体の前記車室内に生成する音であることを特徴としている。
この装置によれば、車体に振動または音を印加することで、車室内騒音を低減することができる。
また、以上説明した本発明の実施の形態の騒音制御方法によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
請求項18の発明は、車両の車体の振動を複数の検出箇所において検出するステップと、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出するステップと、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を除く正常な前記検出箇所からの前記振動に基づき前記車両の車室内の所定の空間で聞こえる車室内騒音の推定値を算出するステップと、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、該検出箇所を検出する前の前記車室内騒音の推定値と該検出箇所を検出した後の前記車室内騒音の推定値との相関値を算出し、該相関値が所定値以上の場合に前記車室内騒音の推定値に基づいて前記車体に制御された波動を印加し前記車室内騒音を低減させる騒音制御を行うステップとを備えることを特徴としている。
この方法によれば、正常な検出箇所で検出した振動に基づいて騒音の推定値を算出し、該推定値に基づいて騒音制御を行う騒音制御方法において、振動の検出箇所が故障した場合に、振動の検出箇所が故障する前後における騒音の推定値を算出し、振動の検出箇所が故障する前後における騒音の推定値の相関値が所定値以上となった場合に騒音制御を行うため、騒音低減効果を損なうことのない騒音制御を行うことができる。
また、請求項19の発明は、請求項18に記載の騒音制御方法において、正常な前記検出箇所からの前記振動と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された所定のフィルタ処理を前記振動に対して行い、該フィルタ処理を行った前記振動の総和に基づいて前記車室内騒音の推定値を算出することを特徴としている。
この方法によれば、車体の振動を検出することにより、騒音の推定値を算出することができる。
また、請求項20の発明は、請求項19に記載の騒音制御方法において、前記フィルタ処理は、正常な前記検出箇所において検出した前記振動と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された重み付け処理を行い、該重み付け処理は、前記車室内騒音との相関が高い前記振動ほど前記車室内騒音の推定値への寄与度が高くなるように該重み付け処理の係数が設定されることを特徴としている。
この方法によれば、車室内騒音との相関が高い振動ほど車室内騒音の推定値への寄与度が高くなるように重み付け処理が行われ、車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項21の発明は、請求項20に記載の騒音制御方法において、前記重み付け処理は、所定の周波数帯域毎に行われることを特徴としている。
この方法によれば、重み付け処理が所定の周波数帯域毎に行われ、車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項22の発明は、請求項20または21に記載の騒音制御方法において、前記フィルタ処理は、正常な前記検出箇所において検出した前記振動と、該振動と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Gと、前記重み付け処理の係数とを掛け合わせることを特徴としている。
この方法によれば、車体の振動と伝達関数Gにより車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項23の発明は、請求項20〜22のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、正常な前記検出箇所の全ての組合せに対応する前記重み付け処理の係数をあらかじめ算出し、算出した該重み付け処理の係数を記憶していることを特徴としている。
この方法によれば、あらかじめ重み付け処理の係数を記憶しておくことにより、処理時間を短縮することができる。
また、請求項24の発明は、請求項19に記載の騒音制御方法において、前記フィルタ処理は、正常な前記検出箇所において検出した前記振動と、該振動と車体の振動の源となる車体振動源との間の伝達関数Hに基づく関数(HT・H)-1・HTと、該車体振動源と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Rとを掛け合わせることを特徴としている。
この方法によれば、フィルタ処理が伝達関数Hに基づいて算出され、車室内騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項25の発明は、請求項24に記載の騒音制御方法において、正常な前記検出箇所の全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTをあらかじめ算出し、算出した該関数(HT・H)-1・HTを記憶していることを特徴としている。
この方法によれば、記憶する容量が少なくて済み、記憶容量を減らすことができる。
また、請求項26の発明は、請求項24に記載の騒音制御方法において、正常な前記検出箇所の全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTを算出するために用いる前記伝達関数Hをあらかじめ算出し、算出した該伝達関数Hを記憶していることを特徴としている。
この方法によれば、記憶する容量が少なくて済み、記憶容量を減らすことができる。
また、請求項27の発明は、請求項24に記載の騒音制御方法において、前記検出箇所が全て正常な場合に対応する前記伝達関数Hを記憶し、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない検出箇所を検出した場合に、該検出箇所に対応する前記伝達関数Hの行成分を削除して新たな伝達関数Hを算出することを特徴としている。
この方法によれば、伝達関数Hを簡単に算出することができる。
また、請求項28の発明は、請求項24〜27のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、前記車体振動源の数が、前記車両が備える車輪の数であることを特徴としている。
この方法によれば、車輪の数を車体振動源の数とすることで、車室内の騒音を精度高く推定することができる。
また、請求項29の発明は、請求項19〜28のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の所定の時間分の前記振動を記憶し、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、記憶した前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、記憶した前記振動のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所における前記振動を除く前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この方法によれば、振動を正常に検出できていない検出箇所を検出する前の振動を記憶しておくことで、振動を正常に検出できていない検出箇所を検出する前後の騒音の推定値の相関値を簡単に算出することができる。
また、請求項30の発明は、請求項19〜28のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、所定の時間分の最新の前記振動を更新して記憶し、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、前記振動の記憶の更新を停止し、記憶した前記振動のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、記憶した前記振動のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記振動であって前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所における前記振動を除く前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この方法によれば、振動を正常に検出できていない検出箇所を検出する前の振動を記憶しておくことで、振動を正常に検出できていない検出箇所を検出する前後の騒音の推定値の相関値を簡単に算出することができる。
また、請求項31の発明は、請求項18〜28のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、前記所定の空間の位置および正常な前記検出箇所の数に応じてあらかじめ前記相関値が算出されて記憶され、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、該相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この方法によれば、振動を正常に検出できていない検出箇所の検出前後の騒音の推定値の相関値があらかじめ算出され記憶されているため、振動を正常に検出できていない検出箇所を検出した際に、対応する相関値を参照することで、騒音制御の実施判定を簡単に行うことができる。
また、請求項32の発明は、請求項18〜31のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、複数の前記所定の空間に対する前記相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴としている。
この方法によれば、振動を正常に検出できていない検出箇所を検出した際に、複数の空間に対して騒音低減効果を損なうことのない騒音制御を行うことができる。
また、請求項33の発明は、請求項18〜32のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、前記振動の大きさと検出時間とに基づいて前記振動を正常に検出できていない検出箇所を検出することを特徴としている。
この方法によれば、振動の大きさと検出時間により、振動を正常に検出できていない検出箇所を簡単に検出することができる。
さらに、請求項34の発明は、請求項18〜33のいずれか1項に記載の騒音制御方法において、前記波動は、前記車体に印加する車体振動または前記車体の前記車室内に生成する音であることを特徴としている。
この方法によれば、車体に振動または音を印加することで、車室内騒音を低減することができる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
例えば、加速度センサ10の数は4個に限定されるものではなく、必要な数を設定することができる。
また、ピエゾアクチュエータ20の数は2個に限定されるものではなく、加速度センサ10の数より少ない任意の数を設定することができる。
また、算出部35が行うフィードバック制御はH∞制御に限定されるものではなく、いかなるフィードバック制御を用いても良い。
また、以上の説明ではロードノイズ低減の場合への適用例を述べたが、本発明は他の騒音に対しても適用可能である。例えばエンジン騒音に対して用いる場合には、加速度センサ10をフロアパネルおよびダッシュパネル(図示省略)に貼ることにより同様の推定を行い、加速度センサが故障した場合は同様に騒音推定部34においてフィルタ50の新たな設定を行う。また、風切り音に関してはフロントピラー(図示省略)とルーフ(図示省略)に加速度センサ10を貼り付けることで同様の推定を行い、加速度センサが故障した場合は同様に騒音推定部34においてフィルタ50の新たな設定を行う。
また、本実施形態および実施例においては、制御部本体32の出力である制御指令値には制御部本体32にフィードバックして戻るような信号線が形成されており、制御部本体32から出力された制御指令値はD/A変換を経た後もう一度A/D変換され制御部本体32に入力されるという構造となっている。したがって、制御部本体32に入力される制御指令値には処理サイクル1ステップ分の遅れが生じる。そこで、制御部30での制御指令値のフィードバックを削除し、制御部本体32の内部でフィードバックを形成するという別の形態を用いてもよい。
さらに、本実施形態では、騒音推定部34と算出部35と加速度センサ故障検出部90を分離した形で構成したが、騒音推定部34と加速度センサ故障検出部90を算出部35の内部に構成し、騒音の推定と制御指令値の算出を同時に行うことも可能である。
路面の凹凸の影響による車体の振動およびロードノイズの主な伝播経路を示す図である。 本発明の実施形態における騒音制御装置の略図である。 制御部本体の内部の構造を示すブロック図である。 制御部における処理のフローチャートである。 本発明の実施形態における騒音推定部のブロック図である。 図5に示す騒音推定部の動作を説明するために簡略化したブロック図である。 加速度センサがすべて正常である場合の騒音推定部における処理のフローチャートである。 車体への振動源、加速度信号、車室内騒音の関係を示す図である。 フィルタの算出処理のフローチャートである。 本発明の実施形態によるフィルタの周波数応答例を示す図である。 騒音の実測値と騒音推定部で算出された推定値とを示す図である。 加速度センサが故障した場合の騒音の実測値と騒音推定部で算出された推定値とを示す図である。 図5に示す騒音推定部の動作を説明するために簡略化したブロック図である。 騒音推定部における処理のフローチャートである。 加速度センサが故障した場合のフィルタの周波数応答例を示す図である。 騒音の実測値と騒音推定部で算出された推定値とを示す図である。 正常な加速度センサの個数と騒音の推定精度との関係を表すグラフである。 正常な加速度センサの個数と騒音の推定精度との関係を表す他のグラフである。 本発明の実施形態のフローチャートである。 実施例1のフローチャートである。 実施例1において、加速度信号記憶部が記憶する加速度信号の説明図である。 実施例2のブロック図である。 制御判定表CDTを説明する図である。 制御判定表CDTにおけるCDT値の設定方法を示すフローチャートである。 実施例2のフローチャートである。 実施例3におけるフィルタの新たな設定のフローチャートである。 実施例4におけるフィルタの新たな設定のフローチャートである。 実施例5におけるフィルタの新たな設定のフローチャートである。
符号の説明
10、10a、10b、10c、10d 加速度センサ(センサ)
20、20a、20b ピエゾアクチュエータ(波動印加部)
30 制御部
31 増幅部
32 制御部本体
33 A/D変換部
34 騒音推定部
35 算出部
36 D/A変換部
50 フィルタ
60 伝達関数
70 加算部
80 加速度信号記憶部(出力信号記憶部)
81、82 騒音制御実施判定部
83 CDT記憶部
90、90a、90b、90c、90d 加速度センサ故障検出部(センサ故障検出部)
95 フィルタ設定部
96 記憶部
100 制御空間
110 フロアパネル
120 車軸
130 サスペンション
140 メンバ
200 タイヤ

Claims (34)

  1. 車両の車体に配置され、車体の振動を検出する複数のセンサと、
    車体に制御された波動を加える波動印加部と、
    前記複数のセンサが出力する各出力信号に基づいて前記センサの故障を検出するセンサ故障検出部と、該センサ故障検出部により故障が検出された前記センサを除く正常な前記センサの前記出力信号に基づき前記車両の車室内の所定の空間で聞こえる車室内騒音の推定値を算出する騒音推定部とを有し、前記センサ故障検出部により前記センサの故障が検出された際に、前記センサの故障が検出される前の前記車室内騒音の推定値と前記センサの故障が検出された後の前記車室内騒音の推定値との相関値を算出し、該相関値が所定値以上の場合に前記車室内騒音の推定値に基づいて前記波動印加部に波動を出力して前記車室内騒音を低減させる騒音制御を行う制御部とを備えることを特徴とする騒音制御装置。
  2. 前記騒音推定部は、正常な前記センサの前記出力信号と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された所定のフィルタ処理を前記出力信号に対して行い、該フィルタ処理を行った前記出力信号の総和に基づいて前記車室内騒音の推定値を算出することを特徴とする請求項1に記載の騒音制御装置。
  3. 前記フィルタ処理は、正常な前記センサの前記出力信号と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された重み付け処理を行い、該重み付け処理は、前記車室内騒音との相関が高い前記出力信号ほど前記車室内騒音の推定値への寄与度が高くなるように該重み付け処理の係数が設定されることを特徴とする請求項2に記載の騒音制御装置。
  4. 前記重み付け処理は、所定の周波数帯域毎に行われることを特徴とする請求項3に記載の騒音制御装置。
  5. 前記フィルタ処理は、正常な前記センサの前記出力信号と、該出力信号と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Gと、前記重み付け処理の係数とを掛け合わせることを特徴とする請求項3または4に記載の騒音制御装置。
  6. 前記騒音推定部は、正常な前記センサの全ての組合せに対応する前記重み付け処理の係数をあらかじめ算出し、算出した該重み付け処理の係数を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  7. 前記フィルタ処理は、正常な前記センサの前記出力信号と、該出力信号と前記車体の振動の源となる車体振動源との間の伝達関数Hに基づく関数(HT・H)-1・HTと、該車体振動源と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Rとを掛け合わせることを特徴とする請求項2に記載の騒音制御装置。
  8. 前記騒音推定部は、正常な前記センサの全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTをあらかじめ算出し、算出した該関数(HT・H)-1・HTを記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項7に記載の騒音制御装置。
  9. 前記騒音推定部は、正常な前記センサの全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTを算出するために用いる前記伝達関数Hをあらかじめ算出し、算出した該伝達関数Hを記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項7に記載の騒音制御装置。
  10. 前記騒音推定部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出していない場合に対応する前記伝達関数Hを記憶する記憶部を備え、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、故障が検出された前記センサに対応する前記伝達関数Hの行成分を削除して新たな伝達関数Hを算出することを特徴とする請求項7に記載の騒音制御装置。
  11. 前記車体振動源の数が、前記車両が備える車輪の数であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  12. 前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の所定の時間分の前記出力信号を記憶する出力信号記憶部を備え、
    前記制御部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号のうち故障が検出された前記センサの前記出力信号を除く前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  13. 所定の時間分の最新の前記出力信号を更新して記憶する出力信号記憶部を備え、
    前記制御部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、前記出力信号記憶部の記憶の更新を停止し、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号のうち前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、前記出力信号記憶部に記憶された前記出力信号のうち前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出する前の前記出力信号であって該故障を検出したセンサの前記出力信号を除く前記出力信号と前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  14. 前記所定の空間の位置および正常な前記センサの数に応じてあらかじめ前記相関値が算出されて記憶された相関値記憶部を備え、前記制御部は、前記センサ故障検出部が前記センサの故障を検出した場合に、該相関値記憶部に記憶された該相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  15. 複数の前記所定の空間に対する前記相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  16. 前記センサ故障検出部は、前記出力信号の出力値と出力時間とに基づいて前記センサの故障を検出することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  17. 前記波動は、前記車体に印加する車体振動または前記車体の前記車室内に生成する音であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の騒音制御装置。
  18. 車両の車体の振動を複数の検出箇所において検出するステップと、
    前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出するステップと、
    前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を除く正常な前記検出箇所からの前記振動に基づき前記車両の車室内の所定の空間で聞こえる車室内騒音の推定値を算出するステップと、
    前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、該検出箇所を検出する前の前記車室内騒音の推定値と該検出箇所を検出した後の前記車室内騒音の推定値との相関値を算出し、該相関値が所定値以上の場合に前記車室内騒音の推定値に基づいて前記車体に制御された波動を印加し前記車室内騒音を低減させる騒音制御を行うステップと、
    を備えることを特徴とする騒音制御方法。
  19. 正常な前記検出箇所からの前記振動と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された所定のフィルタ処理を前記振動に対して行い、該フィルタ処理を行った前記振動の総和に基づいて前記車室内騒音の推定値を算出することを特徴とする請求項18に記載の騒音制御方法。
  20. 前記フィルタ処理は、正常な前記検出箇所において検出した前記振動と前記車室内騒音との相関に基づいて設定された重み付け処理を行い、該重み付け処理は、前記車室内騒音との相関が高い前記振動ほど前記車室内騒音の推定値への寄与度が高くなるように該重み付け処理の係数が設定されることを特徴とする請求項19に記載の騒音制御方法。
  21. 前記重み付け処理は、所定の周波数帯域毎に行われることを特徴とする請求項20に記載の騒音制御方法。
  22. 前記フィルタ処理は、正常な前記検出箇所において検出した前記振動と、該振動と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Gと、前記重み付け処理の係数とを掛け合わせることを特徴とする請求項20または21に記載の騒音制御方法。
  23. 正常な前記検出箇所の全ての組合せに対応する前記重み付け処理の係数をあらかじめ算出し、算出した該重み付け処理の係数を記憶していることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  24. 前記フィルタ処理は、正常な前記検出箇所において検出した前記振動と、該振動と車体の振動の源となる車体振動源との間の伝達関数Hに基づく関数(HT・H)-1・HTと、該車体振動源と前記車室内騒音の推定値との間の伝達関数Rとを掛け合わせることを特徴とする請求項19に記載の騒音制御方法。
  25. 正常な前記検出箇所の全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTをあらかじめ算出し、算出した該関数(HT・H)-1・HTを記憶していることを特徴とする請求項24に記載の騒音制御方法。
  26. 正常な前記検出箇所の全ての組合せに対応する前記関数(HT・H)-1・HTを算出するために用いる前記伝達関数Hをあらかじめ算出し、算出した該伝達関数Hを記憶していることを特徴とする請求項24に記載の騒音制御方法。
  27. 前記検出箇所が全て正常な場合に対応する前記伝達関数Hを記憶し、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない検出箇所を検出した場合に、該検出箇所に対応する前記伝達関数Hの行成分を削除して新たな伝達関数Hを算出することを特徴とする請求項24に記載の騒音制御方法。
  28. 前記車体振動源の数が、前記車両が備える車輪の数であることを特徴とする請求項24〜27のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  29. 前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の所定の時間分の前記振動を記憶し、
    前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、記憶した前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、記憶した前記振動のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所における前記振動を除く前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項19〜28のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  30. 所定の時間分の最新の前記振動を更新して記憶し、
    前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、前記振動の記憶の更新を停止し、記憶した前記振動のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記車室内騒音の推定値を算出するとともに、記憶した前記振動のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出する前の前記振動であって前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所における前記振動を除く前記振動と前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記フィルタ処理とに基づいて前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した後の前記車室内騒音の推定値を算出し、該2つの前記車室内騒音の推定値から算出した相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項19〜28のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  31. 前記所定の空間の位置および正常な前記検出箇所の数に応じてあらかじめ前記相関値が算出されて記憶され、前記複数の検出箇所のうち前記振動を正常に検出できていない前記検出箇所を検出した場合に、該相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項18〜28のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  32. 複数の前記所定の空間に対する前記相関値に基づいて前記騒音制御を行うことを特徴とする請求項18〜31のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  33. 前記振動の大きさと検出時間とに基づいて前記振動を正常に検出できていない検出箇所を検出することを特徴とする請求項18〜32のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
  34. 前記波動は、前記車体に印加する車体振動または前記車体の前記車室内に生成する音であることを特徴とする請求項18〜33のいずれか1項に記載の騒音制御方法。
JP2006163820A 2006-06-13 2006-06-13 騒音制御装置および騒音制御方法 Expired - Fee Related JP4857928B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006163820A JP4857928B2 (ja) 2006-06-13 2006-06-13 騒音制御装置および騒音制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006163820A JP4857928B2 (ja) 2006-06-13 2006-06-13 騒音制御装置および騒音制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007331490A true JP2007331490A (ja) 2007-12-27
JP4857928B2 JP4857928B2 (ja) 2012-01-18

Family

ID=38931382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006163820A Expired - Fee Related JP4857928B2 (ja) 2006-06-13 2006-06-13 騒音制御装置および騒音制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4857928B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010085187A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Nec Personal Products Co Ltd 検査装置、検査システム、センサ検査方法、及びプログラム
EP3159891A1 (en) * 2015-10-22 2017-04-26 Harman Becker Automotive Systems GmbH Noise and vibration sensing
KR20180044265A (ko) * 2015-08-10 2018-05-02 하만 베커 오토모티브 시스템즈 게엠베하 소음 및 진동 감지
US10434967B2 (en) 2016-04-28 2019-10-08 Hyundai Motor Company Trouble shooting apparatus and method for bio-signal sensor equipped in vehicle
CN113945264A (zh) * 2021-10-14 2022-01-18 科博达(重庆)智控技术有限公司 汽车执行器噪音的估计方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06318083A (ja) * 1993-05-06 1994-11-15 Daikin Ind Ltd アクティブ消音装置
JPH0728474A (ja) * 1993-06-24 1995-01-31 Alpine Electron Inc 騒音キャンセル方式
JPH08226489A (ja) * 1995-02-21 1996-09-03 Mazda Motor Corp 車両の振動低減装置
JPH08319912A (ja) * 1995-05-29 1996-12-03 Unisia Jecs Corp 自動車用アクティブ騒音制御装置
JPH0921365A (ja) * 1995-07-06 1997-01-21 Unisia Jecs Corp 自動車用アクティブ騒音制御装置
JP2000054219A (ja) * 1998-07-31 2000-02-22 Yamaha Motor Co Ltd ヘルメット
JP2005225348A (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Fuji Heavy Ind Ltd 車室内騒音低減装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06318083A (ja) * 1993-05-06 1994-11-15 Daikin Ind Ltd アクティブ消音装置
JPH0728474A (ja) * 1993-06-24 1995-01-31 Alpine Electron Inc 騒音キャンセル方式
JPH08226489A (ja) * 1995-02-21 1996-09-03 Mazda Motor Corp 車両の振動低減装置
JPH08319912A (ja) * 1995-05-29 1996-12-03 Unisia Jecs Corp 自動車用アクティブ騒音制御装置
JPH0921365A (ja) * 1995-07-06 1997-01-21 Unisia Jecs Corp 自動車用アクティブ騒音制御装置
JP2000054219A (ja) * 1998-07-31 2000-02-22 Yamaha Motor Co Ltd ヘルメット
JP2005225348A (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Fuji Heavy Ind Ltd 車室内騒音低減装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010085187A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Nec Personal Products Co Ltd 検査装置、検査システム、センサ検査方法、及びプログラム
KR20180044265A (ko) * 2015-08-10 2018-05-02 하만 베커 오토모티브 시스템즈 게엠베하 소음 및 진동 감지
KR102606318B1 (ko) 2015-08-10 2023-11-24 하만 베커 오토모티브 시스템즈 게엠베하 소음 및 진동 감지
EP3159891A1 (en) * 2015-10-22 2017-04-26 Harman Becker Automotive Systems GmbH Noise and vibration sensing
WO2017068455A1 (en) * 2015-10-22 2017-04-27 Harman Becker Automotive Systems Gmbh Noise and vibration sensing
US10453439B2 (en) 2015-10-22 2019-10-22 Harman Becker Automotive Systems Gmbh Noise and vibration sensing
US10434967B2 (en) 2016-04-28 2019-10-08 Hyundai Motor Company Trouble shooting apparatus and method for bio-signal sensor equipped in vehicle
CN113945264A (zh) * 2021-10-14 2022-01-18 科博达(重庆)智控技术有限公司 汽车执行器噪音的估计方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4857928B2 (ja) 2012-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4857897B2 (ja) 騒音制御方法および騒音制御装置
US10013967B2 (en) Method and system for selecting sensor locations on a vehicle for active road noise control
JP2939017B2 (ja) 能動型騒音制御装置
JP3094517B2 (ja) 能動型騒音制御装置
CN108140375B (zh) 噪声和振动感测
JP4857928B2 (ja) 騒音制御装置および騒音制御方法
JP4735319B2 (ja) 能動振動騒音制御装置
JP4857907B2 (ja) 騒音制御装置および騒音制御方法
Song et al. Active vibration control for structural–acoustic coupling system of a 3-D vehicle cabin model
JP4940792B2 (ja) 騒音制御装置および騒音制御方法
JP5040163B2 (ja) 騒音低減装置及び方法
JP2006213297A (ja) 能動騒音振動制御装置及び能動騒音振動制御方法
JP2010184586A (ja) 騒音低減装置及び方法
JP2007296886A (ja) 騒音低減装置及び方法
JP4765410B2 (ja) 能動振動騒音制御装置
JP2010202073A (ja) 騒音制御装置及び騒音制御方法
JP2010188871A (ja) 能動振動騒音制御装置及び伝達特性測定方法
JP2010202162A (ja) 能動振動騒音制御装置
JP2010054962A (ja) 騒音制御装置および騒音制御方法
JP2010202081A (ja) 能動振動騒音制御装置
JP2009220731A (ja) 車両用騒音制御装置
JP2010202136A (ja) 能動振動騒音制御装置
US11741926B2 (en) Echo cancelation
JP2010208456A (ja) 騒音制御装置及び騒音制御方法
JP2010202074A (ja) 騒音制御装置及び騒音制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110607

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111004

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141111

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees