JP2007331337A - 開閉型物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】
一側に設けられたヒンジ部を介して開閉可能な第2のケースと第1のケースとを、開いた状態で維持するとともに開時や閉時の動作をそれぞれ適切に行うことのできる開閉機構を備えた開閉型物品を提供することである。
【解決手段】
一端をプリンタユニット2に対して回動可能に接続され、他端をプリンタユニット2に開閉回動可能に接続されたFBSユニット3に備えられた圧接部に摺動されつつスライド移動可能に接続された支持部材の先端部が楔型形状であるように形成されている。
【選択図】図15
一側に設けられたヒンジ部を介して開閉可能な第2のケースと第1のケースとを、開いた状態で維持するとともに開時や閉時の動作をそれぞれ適切に行うことのできる開閉機構を備えた開閉型物品を提供することである。
【解決手段】
一端をプリンタユニット2に対して回動可能に接続され、他端をプリンタユニット2に開閉回動可能に接続されたFBSユニット3に備えられた圧接部に摺動されつつスライド移動可能に接続された支持部材の先端部が楔型形状であるように形成されている。
【選択図】図15
Description
本発明は、一側に設けられたヒンジ部を介して開閉可能な第2のケースと第1のケースとを、開いた状態で維持するとともに開時や閉時の動作をそれぞれ適切に行うことのできる開閉機構を備えた開閉型物品に関する。
従来、一側に設けられたヒンジ部を介して開閉可能な第2のケースと第1のケースとを開いた状態で維持する構造が種々案出されている。このような構造を備える開閉型物品の一例として、プリンタ機能やスキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を一体的に備えた装置、いわゆる多機能装置(MULTI FUNCTION DEVICE)が挙げられる。
このような多機能装置には、プリンタ機能やコピー機能、ファクシミリ機能等を実現するために、原稿の画像を読み取るための画像読取部や記録用紙等の被記録媒体に画像記録を行う画像記録部が設けられている。
画像読取部は、例えば、フラットベッドスキャナにより実現される。また、フラットベッドスキャナに、原稿の自動搬送を行う自動原稿搬送装置(オート・ドキュメント・フィーダ:以下、「ADF」と称される。)が設けられることもある。フラットベッドスキャナは、上面にプラテンガラスが配置された原稿載置台と、原稿載置台の上面を覆うとともにプラテンガラス上に原稿を固定するための原稿カバーとを有する。原稿の画像読取りが行われるとき、原稿カバーが原稿載置台に対して開かれた後、原稿はプラテンガラス上に載置される。その原稿載置台に対して原稿カバーが閉じられることにより、プラテンガラス上に原稿が固定される。そして原稿載置台の内部(プラテンガラスの下方)に往復動可能に設けられているイメージセンサが原稿を走査することにより、原稿の画像が電気信号に変換されて読取られる。
多機能装置においては、フラットベッドスキャナのプラテンガラス上に原稿を載置し易くするために、一般に画像読取部は画像記録部の上側に配置される。
一方、画像記録部においては、画像記録部内で詰まったりした被記録媒体を取り除くジャム処理やインクカートリッジの交換などのメンテナンス作業が必要になる。メンテナンス作業を行うために画像記録部の内部にアクセスするには、画像記録部のケーシングの一部が開放される必要がある。
そのアクセス手段として、画像記録部に対して画像読取部が開閉する開閉機構が採用される。また、上記メンテナンス作業の間、画像読取部は、画像記録部に対して開放された状態に維持されることが望ましい。そのために、開閉機構には、画像記録部に対する画像読取部の開放状態を保持するストッパ部材(特許文献1におけるスキャナスタンド)が筋交いの如く配置される(例えば、特許文献1)。
特許文献1の記載によれば、画像読取部(スキャナ筐体)は回動軸が設けられた縁部を支点に回動可能であるように画像記録部(プリンタ筐体)に取り付けられている。また、画像読取部と画像記録部との間には、画像読取部を画像記録部に対して一定開放角度で開放された状態に保持可能な、ストッパ部材(スキャナスタンド)が配置されている。画像読取部の下面には軸受けが形成されており、この軸受にストッパ部材の一端が回動可能に枢着される。また、画像記録部の上面にはストッパ部材を上記一端に対する他端側から収容可能な収容部(スキャナスタンド収容口)が形成されている。ストッパ部材の他端には、前記収容部の収容口に係合可能な係合部と、収容口の縁に弾性的に押圧される弾性体とが設けられている。この係合部が収容部の収容口に係合されることによって、画像記録部は画像読取部に対して開放された状態で保持される。また、上記係合が解除されることによって、ストッパ部材が収容部に収容され、画像記録部は画像読取部に対して閉鎖された状態となる。画像読取部が画像形成部に対して開閉されるときに、閉じ始めおよび開き終わりの区間で前記弾性体が収容口の縁に弾性的に押圧されて、画像読取装置の回動に負荷がかけられる。すなわち、上記閉じ始めおよび開き終わりの区間において、画像読取部はゆっくりと回動される。よって、メンテナンス作業中に画像読取装置が上記一定開放角度から閉鎖される方向に急に回動されることがないので、作業者の手が画像読取装置と画像記録装置の間に挟まれることが防止されるのである。
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、画像読取部が画像形成部に対して閉じられるときに、閉じ終わりの区間(閉じ始めの区間を過ぎて、画像読取部が画像形成部に対して完全に閉鎖された状態に至るまでの区間)においては負荷がかけられない。すなわち、閉じ終わりの区間において、画像読取部は自重によって閉鎖される方向に急に回動され得るのである。よって、画像読取部と画像形成部とが衝突し、この衝撃によって画像読取部および画像形成部が破損される虞れがあるという問題がある。
特許文献2には、各種情報端末装置等の筐体に取り付けられるカバーの開閉機構が記載されている。特許文献2の記載によれば、カバーと筐体とは案内部材によって連結され、カバーは筐体に対して開閉回動可能であるように構成されている。案内部材はカバーの側面から筐体の方向に向けて設けられた円弧状の部材である。この案内部材には貫通溝であるガイド溝が、筐体の側板に設けられたネジ孔の位置に対応して設けられている。このガイド溝とネジ孔とにボルトが挿通され、このボルトの頭とバネ材とによって、案内部材とネジ孔とが挟み付けられている。よって、カバーは筐体に対して任意の回動角度で開放した状態に保持される。また、特許文献2の記載によれば、筐体にトーションスプリングが設けられており、カバーはこのトーションスプリングによって筐体から離間する向きに付勢されている。すなわち、カバーが筐体に対して閉じられるとき、閉じ終わりの区間において、カバーはトーションスプリングによって筐体から離間する向きに付勢される。このように、特許文献2に記載の構成によれば、カバーが筐体に対して急激に閉鎖されることが防止されるので、カバーおよび筐体に対して衝撃が加えられることが防止される。
ところで、多機能装置には、上述されたようなメンテナンス作業が容易に行われるように、画像読取部が画像形成部に対して軽快に開かれることが望まれる。
しかしながら、特許文献2に記載の構成によれば、カバーは筐体に対して開閉回動されるときに、閉じ終わりおよび開き始めの区間においてのみ上向き付勢されるのであり、しかも、カバーは筐体に対して任意の開き角度で停止されるので、すなわち、このカバーが筐体に対して開閉回動されるためには大きな力が加えられる必要があった。
本発明は、第2のケースが第1のケースに対して閉鎖される方向に回動されるときに負荷が増加され、且つ開放される方向に回動されるときには負荷が減少される開閉機構、すなわち、第2のケースが第1のケースに対して開放されるときには軽やかに回動され、閉鎖されるときには、第2のケースが急激に閉じられることのない開閉機構およびこの開閉機構が適用された開閉型物品を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第2のケースと第1のケースとが、一側に設けられたヒンジ部を回動基端として開閉可能に装着され、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態を維持可能なスタンド部材を有する開閉型物品であって、前記第2のケースと前記第1のケースのうち一方のケースには、前記スタンド部材の基端部が回動可能に接続され、前記第2のケースと前記第1のケースのうち他方のケースには、前記スタンド部材の先端部を案内するガイド部材と、この先端部が摺接可能な第1の壁部および第2の壁部が備えられ、前記第1の壁部は前記第2の壁部と協働して前記先端部を挟持可能に配置され、前記先端部は、前記基端部側に向かって幅広となる楔型形状であることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開閉型物品において、前記スタンド部材の先端部の少なくとも一部には、この先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部のうちの少なくとも一方に対して摺接するときの摩擦抵抗を発生させる摩擦部材が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1および2に記載の開閉型物品において、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態において、前記基端部から遠ざかるにつれて接近して設けられることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の開閉型物品において、前記案内部は、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方に設けられ、前記先端部に設けられた被ガイド部を前記回動基端側とこの回動基端に対する回動先端側との間でスライド移動可能に案内する長手案内溝であって、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記回動先端側から前記回動基端側へ向かうにつれて接近されて設けられることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の開閉型物品において、前記他方のケースには、前記第1の壁部および前記第2の壁部を収容可能な、壁部収容部が設けられ、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方は、その一端を基準として、前記先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部とに圧接される圧接姿勢と、この圧接状態が解除される非圧接状態とに姿勢変化可能に設けられ、前記ガイド部は、前記第2のケースが前記第1のケースに対して閉じられるときに、圧接姿勢に変化され、開かれるときに、非圧接姿勢に変化されることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開閉型物品において、前記スタンド部材の先端部の少なくとも一部には、この先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部のうちの少なくとも一方に対して摺接するときの摩擦抵抗を発生させる摩擦部材が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1および2に記載の開閉型物品において、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態において、前記基端部から遠ざかるにつれて接近して設けられることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の開閉型物品において、前記案内部は、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方に設けられ、前記先端部に設けられた被ガイド部を前記回動基端側とこの回動基端に対する回動先端側との間でスライド移動可能に案内する長手案内溝であって、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記回動先端側から前記回動基端側へ向かうにつれて接近されて設けられることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の開閉型物品において、前記他方のケースには、前記第1の壁部および前記第2の壁部を収容可能な、壁部収容部が設けられ、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方は、その一端を基準として、前記先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部とに圧接される圧接姿勢と、この圧接状態が解除される非圧接状態とに姿勢変化可能に設けられ、前記ガイド部は、前記第2のケースが前記第1のケースに対して閉じられるときに、圧接姿勢に変化され、開かれるときに、非圧接姿勢に変化されることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、第2のケースと第1のケースとが、一側に設けられたヒンジ部を回動基端として開閉可能に装着され、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態を維持可能なスタンド部材を有する開閉型物品であって、前記第2のケースと前記第1のケースのうち一方のケースには、前記スタンド部材の基端部が回動可能に接続され、前記第2のケースと前記第1のケースのうち他方のケースには、前記スタンド部材の先端部を案内するガイド部材と、この先端部が摺接可能な第1の壁部および第2の壁部が備えられ、前記第1の壁部は前記第2の壁部と協働して前記先端部を挟持可能に配置され、前記先端部は、前記基端部側に向かって幅広となる楔型形状である。
よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、楔型形状に形成された先端部が第1の壁部と第2の壁部との間に進入される反力によって、第1の壁部と第2の壁部と先端部が先端部を挟持される。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間には摺動摩擦が生じる。
つまり、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、上記摺動摩擦によって第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に急回動されることが防止される。すなわち、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。また、第2のケースが第1のケースに対して開かれるときには、楔型形状に形成された先端部が第1の壁部と第2の壁部との間から抜脱される方向に移動されるので、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間の摺動摩擦は、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときに比して小さくなる。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して開かれるときに、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間に過大な摺動摩擦が発生しない。よって、第2のケースは第1のケースに対して軽快に開かれるので、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者は容易に第2のケースを第1のケースに対して開くことができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の開閉型物品において、前記スタンド部材の先端部の少なくとも一部には、この先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部のうちの少なくとも一方に対して摺接するときの摩擦抵抗を発生させる摩擦部材が設けられている。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、先端部に摩擦部材が設けられない場合に比して、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間には、大きな摺動摩擦が生じる。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、上記摺動摩擦の作用によって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に急回動されることが一層確実に防止される。すなわち、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1および2に記載の開閉型物品において、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態において、前記基端部から遠ざかるにつれて接近して設けられる。先端部は、基端部側に向かって幅広となる楔型形状である。よって、前記第1の壁部と前記第2の壁部との距離が一定である場合に比して、先端部が第1の壁部と第2の壁部とによって挟持されるときの、先端部と第1の壁部および第2の壁部との当接面積が大きくなる。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときの、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間に生ずる摺動摩擦が大きくなる。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときに、上記摺動摩擦によって第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に急回動されることが防止される。すなわち、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載の開閉型物品において、前記案内部は、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方に設けられ、前記先端部に設けられた被ガイド部を前記回動基端側とこの回動基端に対する回動先端側との間でスライド移動可能に案内する長手案内溝であって、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記回動先端側から前記回動基端側へ向かうにつれて接近されて設けられる。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるにつれて、前記第1の壁部と前記第2の壁部とによって先端部が挟持される力が増加される。つまり、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるにつれて、前記第1の壁部および前記第2の壁部と先端部との間に発生する摺動抵抗が増加される。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときの閉じ終わりの区間において、第2のケースは第1のケースに対して閉じられる方向に緩慢に回動されるので、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。また第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときの閉じ始めの区間においては、閉じ終わりの区間に比して、第2のケースは第1のケースに対して閉じられる方向に軽快に回動される。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときに、終始第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に緩慢に回動される場合に比して、閉じはじめから閉じ終わりまでにかかる時間が短縮される。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4に記載の開閉型物品において、前記他方のケースには、前記第1の壁部および前記第2の壁部を収容可能な、壁部収容部が設けられ、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方は、その一端を基準として、前記先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部とに圧接される圧接姿勢と、この圧接状態が解除される非圧接状態とに姿勢変化可能に設けられ、前記ガイド部は、前記第2のケースが前記第1のケースに対して閉じられるときに、圧接姿勢に変化され、開かれるときに、非圧接姿勢に変化される。尚、上記圧接解除状態とは、上記圧接状態に比して、前記先端部が前記摺接部に圧接される力が減少された状態を含むものとする。よって、上部ケースが下部ケースに対して閉じられる方向に急回動されることが防止されるので、この開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が上部ケースと下部ケースとの間に挟まれる危険性が回避される。また、上部ケースが下部ケースに対して開かれるときには、過大な摺動負荷が発生せず、上部ケースは下部ケースに対して軽快に開かれる。よって、この開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の負担を軽減することができる。
よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、楔型形状に形成された先端部が第1の壁部と第2の壁部との間に進入される反力によって、第1の壁部と第2の壁部と先端部が先端部を挟持される。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間には摺動摩擦が生じる。
つまり、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、上記摺動摩擦によって第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に急回動されることが防止される。すなわち、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。また、第2のケースが第1のケースに対して開かれるときには、楔型形状に形成された先端部が第1の壁部と第2の壁部との間から抜脱される方向に移動されるので、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間の摺動摩擦は、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときに比して小さくなる。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して開かれるときに、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間に過大な摺動摩擦が発生しない。よって、第2のケースは第1のケースに対して軽快に開かれるので、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者は容易に第2のケースを第1のケースに対して開くことができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の開閉型物品において、前記スタンド部材の先端部の少なくとも一部には、この先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部のうちの少なくとも一方に対して摺接するときの摩擦抵抗を発生させる摩擦部材が設けられている。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、先端部に摩擦部材が設けられない場合に比して、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間には、大きな摺動摩擦が生じる。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときには、上記摺動摩擦の作用によって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に急回動されることが一層確実に防止される。すなわち、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1および2に記載の開閉型物品において、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態において、前記基端部から遠ざかるにつれて接近して設けられる。先端部は、基端部側に向かって幅広となる楔型形状である。よって、前記第1の壁部と前記第2の壁部との距離が一定である場合に比して、先端部が第1の壁部と第2の壁部とによって挟持されるときの、先端部と第1の壁部および第2の壁部との当接面積が大きくなる。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときの、先端部と第1の壁部および第2の壁部との間に生ずる摺動摩擦が大きくなる。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときに、上記摺動摩擦によって第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に急回動されることが防止される。すなわち、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載の開閉型物品において、前記案内部は、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方に設けられ、前記先端部に設けられた被ガイド部を前記回動基端側とこの回動基端に対する回動先端側との間でスライド移動可能に案内する長手案内溝であって、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記回動先端側から前記回動基端側へ向かうにつれて接近されて設けられる。すなわち、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるにつれて、前記第1の壁部と前記第2の壁部とによって先端部が挟持される力が増加される。つまり、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるにつれて、前記第1の壁部および前記第2の壁部と先端部との間に発生する摺動抵抗が増加される。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときの閉じ終わりの区間において、第2のケースは第1のケースに対して閉じられる方向に緩慢に回動されるので、開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が第2のケースと第1のケースとの間に挟まれる危険性が回避される。また第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときの閉じ始めの区間においては、閉じ終わりの区間に比して、第2のケースは第1のケースに対して閉じられる方向に軽快に回動される。よって、第2のケースが第1のケースに対して閉じられるときに、終始第2のケースが第1のケースに対して閉じられる方向に緩慢に回動される場合に比して、閉じはじめから閉じ終わりまでにかかる時間が短縮される。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4に記載の開閉型物品において、前記他方のケースには、前記第1の壁部および前記第2の壁部を収容可能な、壁部収容部が設けられ、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方は、その一端を基準として、前記先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部とに圧接される圧接姿勢と、この圧接状態が解除される非圧接状態とに姿勢変化可能に設けられ、前記ガイド部は、前記第2のケースが前記第1のケースに対して閉じられるときに、圧接姿勢に変化され、開かれるときに、非圧接姿勢に変化される。尚、上記圧接解除状態とは、上記圧接状態に比して、前記先端部が前記摺接部に圧接される力が減少された状態を含むものとする。よって、上部ケースが下部ケースに対して閉じられる方向に急回動されることが防止されるので、この開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の手が上部ケースと下部ケースとの間に挟まれる危険性が回避される。また、上部ケースが下部ケースに対して開かれるときには、過大な摺動負荷が発生せず、上部ケースは下部ケースに対して軽快に開かれる。よって、この開閉型物品の開閉作業に際して、作業者の負担を軽減することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る多機能装置1の外観構成を示す斜視図、図2は、この多機能装置1の内部構成を示す断面図、図3は、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態の多機能装置1を示す外観斜視図、図4は、プリンタユニット2の内部構成を示す部分平面図、図5は、FBSユニット3の内部構造を示す平面図、図6は、支持部材90の構成を示す斜視図、図7は、ケーシング65の底面側を示す斜視図、図8は、支持部材90とプリンタユニット2との接続状態を示す装置背面からの斜視図、図9は、図8の要部分解斜視図、図10は図8のX−X矢視における要部断面図、図11は、前半部において負荷調整部材100が圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す概略図、図12は、支持部材収容部68に収容されて支持部材90の回動先端94を案内する負荷調整部材100の構成を示す正面図、図13は、負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときのストッパ収容部の内部構成を示す概略図、図14は、負荷調整部材100が圧接姿勢であるときのストッパ収容部の内部構成を示す概略図、図15(a)は、中間部において負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す概略図、図15(b)は、中間部において負荷調整部材100が圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す概略図、図16(a)は、後半部において負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す概略図、図16(b)は、後半部において負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す概略図、図17(a)は、本実施形態の変形例における負荷調整部材の正面図、図17(b)は、図17(a)のXVII(b)XVII(b)矢視における断面図、図18(a)は、本実施形態の変形例における上面図、図18(b)は、図18(a)のXVIII(b)XVIII(b)矢視における断面図、図18(c)は、図18(a)のXVIII(c)XVIII(c)矢視における断面図である。尚、以下に説明する具体的な装置等は、本発明の実施の形態の一例にすぎず、本発明の実施の形態が以下に詳述される具体例に限定されるものではないことは明白である。また、各図中には、前後、左右、上下の方向が示されているので、その方向に基づいて以下の説明はなされている。
以下、本発明を実施するための最良の形態が詳述される。多機能装置1は、高さより横幅および奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体の外形を有する装置本体10を備えている。この装置本体10は、原稿の画像データを読み取るフラットベッドスキャナユニット(第2のケース)3(以下、「FBSユニット」と称される)と、被記録媒体に画像記録を行うプリンタユニット2(第1のケース)とが上下二段に配置されたものであり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、電話通信機能、ファクシミリ機能等を一体的に備えたMFD(Multi Function Device)である。
プリンタ機能においては、多機能装置1が、主に不図示のコンピュータと接続され、プリンタユニット2が、該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙に画像や文書を記録する。また、プリンタユニット2は、多機能装置1に接続されたデジタルカメラ等の外部機器から出力される画像データを記録用紙に記録する。さらに、プリンタユニット2は、多機能装置1に装着されたメモリカード等の各種記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録する。
スキャナ機能においては、FBSユニット3により読み取られた原稿(被読取媒体)の画像データがコンピュータに送信される。また、該画像データをメモリカード等の各種記憶媒体に記憶させることもできる。コピー機能においては、FBSユニット3により読み取られた画像データがプリンタユニット2において記録用紙に記録される。ファクシミリ機能においては、FBSユニット3により読み取られた画像データが電話回線を通じてファクシミリ送信される。また、受信されたファクシミリデータは、プリンタユニット2により記録用紙に記録される。
装置本体10の電話通信機能においては、不図示の電話回線を通じて音声が電気信号として送受信され、ファクシミリ機能においては、FBSユニット3によって読み取られた画像データが電気信号として上記電話回線を通じてファクシミリ送信される。また、受信されたファクシミリデータは、プリンタユニット2により記録用紙に記録される。装置本体10の側面に局線が接続される接続部14が設けられている。
装置本体10の下部がプリンタユニット2である。プリンタユニット2の内部であって正面側(図3において前側)には、プリンタユニット2、FBSユニット3等の動作を制御するための制御基板9が配置されている(図3及び図8参照)。
図1および図2に示されるように、装置本体10の底側に給紙トレイ20が配置されている。この給紙トレイ20は、前後方向に挿抜可能に設けられている。給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙が積層収容される。排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。給紙トレイ20と排紙トレイ21とは、上下二段にされて多機能装置1に装着される。給紙トレイ20が多機能装置1に装着されると、記録用紙は、後述される給紙ローラ25によって記録用紙の搬送方向(図2において後方向)へ引き出され、用紙搬送路23に沿って画像記録ユニット24側へ送られる。給紙トレイ20に収容された記録用紙は、後述されるようにプリンタユニット2の内部へ給送されて所望の画像が記録され、排紙トレイ21へ排出される。
給紙トレイ20の奥側に分離傾斜板22が設けられている。この分離傾斜板22は、装置背面側へ倒れるように傾斜している。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から給送された記録用紙を分離して上方へ案内するものである。分離傾斜板22の上方に上記用紙搬送路23が形成されている。この用紙搬送路23は、分離傾斜板22から上方(図2において上方)へ向かった後、正面側(図2において前側)へ曲がっている。さらに、用紙搬送路23は、装置本体10の背面側から正面側へと延び、画像記録ユニット24を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20に収容された記録用紙は、用紙搬送路23によって下方から上方へUターンするように案内されて画像記録ユニット24に至り、この画像記録ユニット24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
装置本体10の上部がFBSユニット3である。装置本体10は、原稿カバー30を備えている。この原稿カバー30は、装置本体10の天板として機能し、開閉自在に設けられている。この原稿カバー30の下側にプラテンガラス61及びコンタクトイメージセンサ81(以下、「CIS」と称される)が設けられている。プラテンガラス61には、画像読取りを行う原稿が載置される。プラテンガラス61の下方には、装置本体10の奥行き方向(図2において前後方向)を主走査方向とするCIS81が、装置本体10の幅方向(図1において左右方向)に往復動可能に設けられている。
装置本体10は、操作パネル6を備えている。操作パネル6は、プリンタユニット2やFBSユニット3を操作するためのものであり、装置本体10の正面上部に配置されている。操作パネル6は、各種操作ボタン6Aや液晶ディスプレイ6Bから構成されている。装置本体10は、操作パネル6からの操作指示に基づいて動作される。なお、装置本体10が外部のコンピュータに接続されている場合には、このコンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても装置本体10が動作される。
装置本体10は、スロット部7を備えている。スロット部7は、装置本体10の正面に配置されており、記憶媒体である各種小型メモリカードがスロット部7に装填される。操作パネル6において所定の操作が行われることにより、スロット部7に装填された小型メモリカードに記憶された画像データが読み出される。読み出された画像データに関する情報は、例えば液晶ディスプレイ6Bに表示され、操作ボタン6Aの操作に基づいて任意に選択された画像がプリンタユニット2により記録用紙に記録される。
図3に示されるように、FBSユニット3は、装置正面側を自由端としてプリンタユニット2に対して開閉回動可能に装着されている。FBSユニット3のケーシング37は、装置本体10の背面側(図3において後側)を軸(回動基端)としてプリンタユニット2に回動可能に支持されている。ケーシング37側に軸受63が、プリンタユニット2側に軸部73が設けられている(図3、図7および図8参照)。FBSユニット3が開かれると、プリンタユニット2の上面が露出される。プリンタユニット2はカバー体8によって覆われているので、図3には制御基板9があらわれていない。カバー体8にはプリンタユニット2の内部を一部露出する開口が設けられており、この開口からプリンタユニット2内で詰まったりした記録用紙を取り除くジャム処理ジャム処理が行われる。操作パネル6は、プリンタユニット2側に固定されているので、FBSユニット3とともに開閉されない。
以下にプリンタユニット2の構成が説明される。図2に示されるように、給紙トレイ20の上方には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して原稿搬送路23へ供給するものである。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の前端に軸支されている。給紙ローラ25は、モータの駆動が伝達されることにより回転される。
給紙アーム26は、基端側を軸として上下方向に揺動可能に配設されている。給紙アーム26は、装置に給紙トレイ20が装着された状態では、給紙ローラ25を給紙トレイ20に圧接させるように下側に降下される。給紙アーム26は、給紙トレイ20を装置から外す場合に、図示されないバネの付勢力等により上側へ跳ね上げられる。給紙アーム26が下側へ下降されると、その先端に軸支された給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接される。その状態で、給紙ローラ25が回転されると、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力で、給紙トレイ20に積層収納された記録用紙のうち、最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ送り出される。該記録用紙は、その前端が分離傾斜板22に当接して上方へ案内され、原稿搬送路23へ送り込まれる。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出されたとしても、該記録用紙は分離傾斜板22に当接することにより制止される。
原稿搬送路23は、画像記録部24等が配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とから構成されている。例えば、多機能装置1の背面側(図2において後側)の原稿搬送路23は、外側ガイド部材27と内側ガイド部材28とがフレーム内に固定されることにより構成されている。原稿搬送路23の所定箇所、特に原稿搬送路23が曲がっている箇所には、搬送コロ29が設けられている。搬送コロ29は、外側ガイド面からローラ面を露出されるようにして、原稿搬送路23の幅方向を軸方向として外側ガイド部材27に回転自在に支持されている。搬送コロ29によって、原稿搬送路23が曲がっている箇所において外側ガイド面に接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
図4は、プリンタユニット2の内部構成を示す部分平面図である。画像記録部24は、記録ヘッドを搭載して主走査方向へ往復動するヘッドキャリッジ31を備えている。記録ヘッドには、インクタンクからインクチューブ33を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。図4には記録ヘッドは表れていないが、記録ヘッドは、ヘッドキャリッジ31の下面側に露出され、ノズルから各色インクを微小なインク滴として吐出する。ヘッドキャリッジ31が往復動することにより、記録ヘッドが記録用紙に対して走査され、プラテン34上を搬送される記録用紙に画像記録が行われる。
図4に示されように、プラテン34に上側には、一対のガイドレール35,36が配設されている。ガイドレール35,36は、記録用紙の搬送方向に隔てられて、原稿搬送路23の幅方向に延設されている。ヘッドキャリッジ31は、ガイドレール35,36を跨ぐようにして摺動可能に設けられている。記録用紙の搬送方向の上流側に配設されたガイドレール35は、原稿搬送路23の幅方向の長さがヘッドキャリッジ31の走査幅より長い平板状のものである。ガイドレール35の上面が、ヘッドキャリッジ31の上流側の端部を摺動自在に担持している。
記録用紙の搬送方向の下流側に配設されたガイドレール36は、原稿搬送路23の幅方向の長さがガイドレール35とほぼ同じ長さの平板状のものである。ガイドレール36の上面が、ヘッドキャリッジ31の上流側の端部を摺動自在に担持している。ガイドレール36の搬送方向の上流側の端部37は、上方へ向かって略直角に曲折されている。ヘッドキャリッジ31は、ガイドレール36の端部37を不図示の一対のローラにより狭持する。これにより、ヘッドキャリッジ31は、ガイドレール35,36上に摺動自在に担持され、ガイドレール36の端部37を基準として、原稿搬送路23の幅方向に往復動する。
ガイドレール36の上面には、ベルト駆動機構38が配設されている。ベルト駆動機構38は、原稿搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ39と受動プーリ40と間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト41が張架されてなる。駆動プーリ39の軸にはモータから駆動力が入力される。駆動プーリ39の回転により、タイミングベルト41が周運動する。
ヘッドキャリッジ31は、タイミングベルト41に固着されている。タイミングベルト41の周運動により、ヘッドキャリッジ31は、端部37を基準としてガイドレール35,36上を往復動される。ヘッドキャリッジ31に搭載された記録ヘッドも、ヘッドキャリッジ31とともに原稿搬送路23の幅方向を主走査方向として往復動される。ガイドレール36には、端部37に沿ってリニアエンコーダのエンコーダストリップ42が配設されている。リニアエンコーダは、ヘッドキャリッジ31に設けられたフォトインタラプタ43によりエンコーダストリップ42を検出する。リニアエンコーダの検出信号に基づいて、ヘッドキャリッジ31の往復動が制御される。
図4に示されるように、ヘッドキャリッジ31と上下方向に対向されてプラテン34が配設されている。プラテン34は、ヘッドキャリッジ31の往復動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に渡って配設されている。プラテン34の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものであり、記録用紙の両端は常にプラテン34の上を通過する。
記録ヘッドによる画像記録範囲外、すなわちプラテン34の両側の記録用紙が通過しない範囲には、パージ機構44および廃インクトレイ45が配設されている。パージ機構44は、記録ヘッドのノズル等からインクとともに気泡や異物を吸引除去するものである。パージ機構44は、記録ヘッドのノズル面を覆うキャップ46を備える。キャップ46には、ポンプ機構が接続されている。また、キャップ46は、移動機構により記録ヘッドのノズル面に接離される。記録ヘッドの気泡等の吸引除去を行う際には、記録ヘッドがキャップ46上に位置するようにヘッドキャリッジ31が移動される。その状態でキャップ46が上方へ移動して記録ヘッドのノズルを密閉するように密着される。そして、キャップ46と連結されたポンプにより記録ヘッドのノズルからインクが吸引される。
廃インクトレイ45は、ヘッドキャリッジ31の画像記録範囲外であってパージ機構44の反対側に配設されている。廃インクトレイ45は、記録ヘッドのインクの空吐出を受けるものである。この空吐出は、フラッシングと呼ばれる。パージ機構44および廃インクトレイ45からなるメンテナンスユニットにより、記録ヘッド内の気泡や混色インクの除去等のメンテナンスが行われる。
図4には表されていないが、プリンタユニット2はインクタンクを有する。このインクタンクからインクチューブ33を通じてヘッドキャリッジ31の記録ヘッドにインクが供給される。インクタンクは、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクを貯蔵する独立した4個のインクタンクからなる。
各インクチューブ33は、可撓性を有する合成樹脂製のチューブであり、ヘッドキャリッジ31の走査に追従して撓む。インクチューブ33は、4色のインクに対応されて4本が設けられている。各インクチューブ33は、その一端側の開口が各インクタンクに接続されている。各インクチューブ33は、装置の幅方向に沿って中央付近まで引き出されて、装置フレーム等の適当な部材に一旦固定されている。そして、該固定部からヘッドキャリッジ31までの部分は、装置フレーム等に固定されておらず、ヘッドキャリッジ31の往復動に追従して姿勢変化する。すなわち、ヘッドキャリッジ31が往復動方向の一端(図4において左側)へ移動するに従い、各インクチューブ33は、U字形状の湾曲部分の曲げ半径が小さくなるように撓みながら、ヘッドキャリッジ31の移動方向へ移動される。一方、ヘッドキャリッジ31が往復動方向の他端(図4において右側)へ移動するに従い、各インクチューブ33は、湾曲部分の曲げ半径が大きくなるように撓みながら、ヘッドキャリッジ31の移動方向へ移動される。
図4に示されるように、ヘッドキャリッジ31にはフラットケーブル50が接続されている。フラットケーブル50は、不図示の制御基板と接続されている。制御基板から記録ヘッドへはフラットケーブル50を通じて記録用信号等の伝送が行われる。フラットケーブル50は、電気信号を伝送する導体をポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムで覆って絶縁した薄帯状のものである。フラットケーブル50により、制御基板と記録ヘッドの制御基板とが電気的に接続されている。フラットケーブル50は、ヘッドキャリッジ31から往復動方向へ導出され、上下方向に略U字形状に曲折されている。この略U字形状の部分は、他の部材に固定されておらず、ヘッドキャリッジ31の往復動に追従して姿勢変化する。
図2に示されるように、画像記録部24の上流側には、搬送ローラ47が設けられている。図には表れていないが、搬送ローラ47の下側には、搬送ローラ47に圧接されてピンチローラが設けられている。搬送ローラ47は、ピンチローラとの間に記録用紙を狭持して、該記録用紙をプラテン34上へ搬送する。画像記録部24の下流側には、排紙ローラ49が設けられている。図には表れていないが、排紙ローラ49の上側には、排紙ローラ49に圧接されてピンチローラが設けられている。排紙ローラ49は、ピンチローラとの間に記録済みの記録用紙を狭持して、該記録用紙を排紙トレイ21上へ搬送する。搬送ローラ47および排紙ローラ49は、モータから駆動力が伝達されて、所定の改行幅で間欠駆動する。搬送ローラ47および排紙ローラ49の回転は同期されている。ロータリーエンコーダが、搬送ローラ47に設けられたエンコーダディスクをフォトインタラプタで検出し、ロータリーエンコーダの検出信号に基づいて、搬送ローラ47および排紙ローラ49の回転が制御される。なお、図2には、エンコーダディスクおよびフォトインタラプタは表されていない。
以下に、FBSユニット3の構成が詳述される。FBSユニット3は原稿カバー30を備えており、図2に示されるように、原稿カバー30は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する装置本体10の筐体に対して背面側(図2において後側)の図示されていない蝶番を介して開閉自在に取り付けられている。原稿カバー30は、装置本体10に対して閉じられた状態において、複合機1の上面の一部を構成する。なお、この原稿カバー30に自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)が設けられていてもよい。
図2に示されるように、原稿カバー30が閉じられることにより、プラテンガラス61は原稿カバー30に覆われる。原稿カバー30の下面には、スポンジ及び白板等からなる押さえ部材(不図示)が配設されている。プラテンガラス61は、スキャンされる原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板やアクリル板等である。このプラテンガラス61には、A4サイズやリーガルサイズ以下の原稿が載置可能である。A4サイズやリーガルサイズ以下の原稿は、プラテンガラス61上に載置されて原稿カバー30が閉じられることにより、当該原稿がプラテンガラス61上に固定される。この状態で、画像読取ユニット80(図5参照)がプラテンガラス61に沿って走査されることにより、FBSによる原稿の画像読取りが行われる。
図5は、FBSユニット3の内部構造を示す図であり、FBSユニット3の筐体を構成する上カバー(図示せず)が取り外された状態のFBSユニット3の平面図である。
画像読取ユニット80はケーシング63内に配設されている。このケーシング63には、プラテンガラス61(図2参照)を支持するための支持リブ18が、画像読取ユニット80の移動範囲を囲繞するように設けられている。支持リブ18により、プラテンガラス61が水平に支持される。上記上カバーが取り付けられると、この上カバーに設けられた開口からプラテンガラス61が露出する。プラテンガラス61が露出した領域がFBSにおける画像読取領域である。
画像読取ユニット80は、CIS81、キャリッジ82、ガイドシャフト83、及び、ベルト駆動機構84から構成されている。画像読取ユニット80にCIS81を採用することにより、イメージセンサが小型軽量化されて、FBSユニット3の小型化及び薄型化が実現される。
CIS81は、その上面が平面視で細長矩形の平面であり、且つ、全体形状が細長直方体形状の筐体85を有する。筐体85の上面111Aには、筐体85に内蔵されたLEDの光を導くライトガイド87が筐体85の長手方向に配設されている。このライトガイド87により、LEDの光がCIS81の筐体85の上面111A側へ長手方向に沿って出射される。また、筐体85の上面111Aには、複数の集光レンズ88がライトガイド87と平行するように筐体85の長手方向に一列に配設されている。
筐体85の内部には、集光レンズ88の直下に複数の受光素子(図示せず)が集光レンズ88と同方向に列設されている。LEDから出射された光はプラテンガラス61上の原稿に照射され、その反射光が集光レンズ230により受光素子に集光される。受光素子は反射光の強度に応じた電気信号を出力するいわゆる光電変換素子であり、反射光強度に応じた電気信号を出力する。CIS81の筐体85の長手方向は、画像読取りにおける主走査方向である。この主走査方向の長さ、すなわちCIS81の筐体85の長手方向の長さは、CIS81が読取り可能な最大サイズの原稿に対応した長さである。CIS81は、筐体85の長手方向を読取ラインとして画像読取りを行い、読取ライン毎の電気信号を出力する。本実施形態では、プラテンガラス61にはA4サイズやリーガルサイズの原稿が載置できるので、CIS81の読取ラインはA4サイズやリーガルサイズの原稿に対応されている。
キャリッジ82は、その上側にCIS81を搭載する容器状のものである。キャリッジ224の上端は開口しており、キャリッジ224に搭載されたCIS81の上面227が露出される。キャリッジ82はガイドシャフト62と嵌合し、ベルト駆動機構84により駆動されて、ガイドシャフト83上を摺動して移動するものである(図5参照)。キャリッジ51がCIS81をプラテンガラス61に密着させるように搭載してガイドシャフト83上を移動することにより、CIS81がプラテンガラス21に平行に往復動されるのである。
ベルト駆動機構84は、FBSユニット3の長手方向(図5において左右方向)の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ84Aと受動プーリ84Bと間に、無端環状のタイミングベルト84Cが張架されてなる。駆動プーリ84Aの軸には、CIS駆動モータ84Dの駆動力が伝達機構84Eを通じて入力される。駆動プーリ84Aの回転により、タイミングベルト84Cが周運動される。
キャリッジ82は、タイミングベルト84Cに固着されている。タイミングベルト84Cの周運動により、キャリッジ82は、ガイドシャフト83上を往復動される。キャリッジ82に搭載されたCIS81も、キャリッジ82とともに原稿搬送路23の幅方向を主走査方向として往復動される。
図5に示されるようにベルト駆動機構84のCIS駆動モータ84Dにはハーネス89A(電子装置部)の一端が接続されている。なお、ハーネス89Aの他端側は、FBSユニット3の下面における背面側(図5において後側)であって幅方向における左側(図5において左側)に設けられた延出口86AからFBSユニット3の外部に延出されている。プリンタユニット2の筐体11の上面を覆うカバー体8には収容部70Aが形成されている。FBSユニット3から延出されたハーネス89Aは、この収容部70Aに収容された後に、その他端がプリンタユニット2内部の前面側(図1および図3参照)に配置されている制御基板9に接続される(図3および図8参照)。これにより、ベルト駆動機構84のCIS駆動モータ84Dと制御基板9との間で電気信号路が形成されて、制御基板からモータへ駆動用信号の伝送および電力供給が行われる。
CIS81の筐体85の長手方向における側面であって、筐体85の長手方向の一方の端部側には、コネクタ部81Aが設けられている。コネクタ部81Aは、CIS81のLEDや受光素子と電気的に接続されて、信号等の入出力を行うためのものである。コネクタ部81Aには、フラットケーブル89Bの一端が接続される。フラットケーブル89Bは、CIS81のLEDに電力供給するための導線や、受光素子から電気信号を出力するための導線等の複数の導線が薄平形状に並べられて一体に絶縁被膜されたものである。なお、フラットケーブル89Bの他端側は、FBSユニット3の下面における背面側(図5において後側)であって幅方向における右側(図5において右側)に設けられた延出口86BからFBSユニット3の外部に延出されている。プリンタユニット2の筐体11の上面を覆うカバー体8には収容部70Bが形成されている。FBSユニット3から延出されたフラットケーブル89Bは、この収容部70Bに収容された後に、その他端がプリンタユニット3の内部に配置されている制御基板9に接続される(図3参照)。これにより、CIS81と制御基板9との間で電気信号路が形成される。
上述されたように、プリンタユニット2の筐体11の上面には、ハーネス89Aが収容される収容部70Aおよびフラットケーブル89Bが収容される収容部70B(図3参照)が形成されている。プリンタユニット2の上面には、ジャム処理等のために、開口72が形成されている。したがって、収容部70Aおよび収容部70Bは、プリンタユニット2の筐体11の上面において、装置背面側から制御基板9まで、開口72を迂回するように形成されている。図3においては、収容部70Aが蓋150(蓋部)によって、収容部70Bが蓋150Bによってそれぞれ閉塞された状態が示されている。また、蓋150は後述されるように、プリンタユニット2の上面に設けられた軸受部130と協働して支持部材90(スタンド部材)の基端(一端)をプリンタユニット2に対して回動自在に支持する。
以下に、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開閉される構造について詳述される。
プリンタユニット2とFBSユニット3との間には、支持部材90が設けられている(図3参照)。支持部材90は、装置本体10の奥行き(図3において前後方向)より若干短い長さの平板形状である(図6参照)。支持部材90は、後述されるように、基端がプリンタユニット2の上面であって装置本体10の正面側(図3において前側)に回動自在に連結されている。支持部材90は、装置奥行き方向に延出されている。支持部材90の装置背面側は回動先端94であり、ケーシング37に摺動自在に連結されている。支持部材90は、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態において、図3に示されるように、筋交いの如く、FBSユニット3を支持する。
図6は、支持部材90の構成を示す斜視図である。図6にはこの支持部材90が装置本体10に取り付けられた状態において、プリンタユニット2がFBSユニット3に対して閉じられたときの上下左右前後の方向が示されている。支持部材90は、装置高さ方向に幅広の平板形状であり、例えば、合成樹脂成型品として実現される。支持部材90の基端には、支持部材90の前面99Aから回動軸部98が突設されている。後述されるように、この支持部材90の回動軸部98がプリントユニット2側に配置された軸受部130に接続されて、支持部材90の基端がプリンタユニット2に回動自在に連結される(図8参照)。軸受部130は支持部材90と軸受部130との接続については後述される。
支持部材90には、底面側にリブ95が形成されている。リブ95は、支持部材90の長さ方向の大部分に亘って、その底面から厚み方向に突出されて、支持部材90の底面を拡張する。これにより、支持部材90の剛性が高められる。
支持部材90の表裏面には、厚み方向に突出する補強部96が形成されている。図6に示されている側の各補強部96は、支持部材90の底面側を底辺とし、上面側と頂点とする三角形に形成されている。この三角形の各補強部96が底辺側で連結されて、支持部材90の長さ方向に並べられている。図6には表れていないが、支持部材90の反対側の面にも補強部96が形成されている。
支持部材90の表裏面それぞれの補強部96は、支持部材90の厚み方向の表裏面に交互に突出されている。つまり、図6に示されるように、補強部96が形成されていない凹陥部分97に対応する図6における支持部材90の裏面側に、該裏面から厚み方向に突出する補強部96が形成されている。したがって、裏面側の補強部96は、支持部材90の上面側を底辺とし、底面側を頂点とする三角形に形成されている。そして、裏面側において補強部96が形成されていない凹陥部分97が、図6における支持部材90の表面側の補強部96と対応されている。このように、支持部材90の表裏面に一定のリズムで補強部96が形成されることにより、支持部材90の外観が向上される。
また、支持部材90の表裏面に形成された各補強部96は、凹陥部分97との境界において、表裏面で重複されている。つまり、該境界においては、支持部材90の表裏面ともに補強部96が存在する。これにより、支持部材90の上面と底面とを連結する筋交いの如く補強部96の重複部分が形成されるので、支持部材90の剛性が高められる。
支持部材90の回動先端94側には、係合ピン(被ガイド部)92が設けられている。係合ピン92は、丸軸形状に形成されており、後述するように負荷調整部材100に穿設されたほぼ円弧状のガイド溝103に嵌まって案内される。負荷調整部材100はケーシング65の支持部材収容部(拘束部)68に設けられたに係合されて、支持部材収容部68に沿って摺動可能とされる。係合ピン92と負荷調整部材100との係合については後述される。
同じく支持部材90の回動先端94側には、支持部91が設けられている。FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態において、支持部91は後述される負荷調整部材100の被支持部112に当接される。これによって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態が保持される。
図7は、ケーシング65の底面側を示す斜視図である。図7には装置本体10に装着された状態における上下左右の方向が示されている。すなわち、図7において上側が装置本体10の背面側であり、下側が装置正面側である。また、図7において左側が支持部材90が配置される側である。図7に示されるように、ケーシング65の底面の側縁近傍に支持部材収容部68が形成されている。支持部材収容部68は、ケーシング65の底板69の一部がケーシング65内へ凹陥されることにより形成されている。支持部材収容部68は、装置の幅方向に幅Wを有し、支持部材90に対応されて装置の奥行き方向(図7において前後方向)を長尺として形成されている。支持部材収容部68には、支持部材90および負荷調整部材100が厚み方向(図7において左右方向)に並べられて収容される。したがって、図1に示されるように、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられると、支持部材90は、プリンタユニット2に対して倒伏するように回動され、支持部材収容部68内に収容される。
また、ケーシング65の底面の後縁近傍(図7において後側)であって、幅方向における右端側(図7において右側)には延出口86Bが、左端側(図7において左側)には延出口86Aが設けられている。上述されたように、延出口86Bからはフラットケーブル89Bが延出口86Aからはハーネス89AがFBSユニット3の外部に延出される。延出口86Aおよび延出口86Bの近傍には軸受63が設けられている。この軸受63にプリンタユニット2側に設けられた軸部73が嵌合されることによって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して回転回動可能に取り付けられる。
以下に、支持部材90がプリンタユニット2に回動自在に連結される構造について詳述される。
以下に、支持部材90がプリンタユニット2に回動自在に連結される構造について詳述される。
図8は、支持部材90とプリンタユニット2との接続状態を示す装置背面からの斜視図、図9は図8の要部分解斜視図である。なお、図8および図9において、FBSユニット3は省略されている。また、図10は図8の要部断面図である。
図8に示されるように、支持部材90の基端はプリンタユニット2の上面に回転回動自在に連結されている。支持部材90の基端には回動軸部98が設けられており、この回動軸部98がプリンタユニット2の上部であって装置本体10の正面側(図3および図8において前側)に設けられた軸受部130に接続される。軸受部130はプリンタユニット2を覆うカバー体8と一体に形成されている(図9および図10参照)。軸受部130には軸穴131が穿設されており、この軸穴131に支持部材90の基端に設けられた回動軸部98が挿通される。軸受部130に隣接して、支持片収容部79が設けられている。支持片収容部79には、後述される蓋150の支持片155が収容される。支持片収容部79の底面79Bには、軸受部130に隣接して片持ち梁74が設けられている。片持ち梁74は、支持片収容部79の壁部79A側から軸受部130側に向かって延設された細長形状の樹脂バネであり、撓み部74Aと、この撓み部74Aから軸受部130側に向かって斜め上方に突出されて設けられた先端部74Bによって構成されている。この先端部74Bは、軸受部130の内側面130Aから、距離C1だけ離れた位置に配置されている。この距離C1は回動軸部98が軸受部130に装着された状態における、軸受部130の内側面130Aから回動軸部98の後面99Bまでの距離C2よりも僅かに大きく設定されている。このように片持ち梁74が配置されることによる作用効果については後に詳述される。
プリンタユニット2の上面には上述されたようにハーネス89Aが収容されるための収容部71Aおよびフラットケーブル89Bが収容されるための収容部71Bが設けられている。
以下に、図8、図9および図10を参照しながら、収容部71Aの構成について詳述される。尚、収容部71Bは収容部71Aとほぼ同様の構成を有するものであるが、収容部71Bに関しては本発明の趣旨とは直接関係が無いため、説明が省略される。
収容部71Aは、本実施形態において、平面視で略L字形状であるように構成され、前記L字の屈曲部分が軸受部130に隣接するように配置される。収容部71Aは、開口部77と、収容溝76と、開口78とによって構成される。収容溝76はカバー体8の左端(図7において左側)に沿って、軸受部130から軸部73にかけて設けられている。図7には図示されていないが、収容溝76にはハーネス89Aが収納される。開口78は軸受部130から右方向に(図7における右側)向かって、収納溝76に連続されて形成されている。開口78からは制御基板9(電子装置部)に設けられたコネクタ部9Aが露出される。収納溝76および開口78に連続されて開口部77が設けられている。この開口部77に後述される蓋150が取り付けられることによって収納溝76および開口78が隠蔽される。
蓋150は収容部71Aの開口部77を閉塞するものであり、平面視で開口部77と略同形状となるように形成された薄型部材である。本実施形態において、蓋150は略L字形状に形成されている。蓋部151には係合爪153が設けられている。係合爪153は収容部71Aの開口部77に沿って設けられた係合部77Aに対応されて配置されている。また、蓋部151には支持片155が装置奥行き方向(図9において前方向)に突出して蓋部151と一体に設けられている。支持片155は、プリンタユニット2を覆うカバー体8に設けられた支持片収容部79と略同形状となるように形成されており、この支持片収容部79に収容される。支持片155には、当接部151および係止片154が形成されている。当接部151は、支持部材90の基端の後面99Bに当接して、支持部材90が軸受部130から外れることを防止するものである。また、係止片154は支持片収容部79に設けられた挿通口75に対応して配置されている。
以下に、図5、図7、図8、図9および図10を参照しながら、支持部材90がプリンタユニット2を覆うカバー体8に対して回転回動可能に連結される手順が示される。尚、ここでは支持部材90はFBSユニット3にあらかじめ接続されているものとする。支持部材90のFBSユニット3に対する接続構造については後に詳述される。
まず、FBSユニット3のケーシング37側に設けられた軸受63が、プリンタユニット2側に設けられた軸部73に嵌合される(図5、図7および図8参照)。これにより、FBSユニット3のケーシング65がプリンタユニット2に対して回動可能に接続される。このとき、FBSユニット3のケーシング65の延出口86Aから延出されたハーネス89Aおよび延出口86Bから延出されたフラットケーブル89BはFBSユニット3のケーシング65とプリンタユニット2を覆うカバー体8との間に配置される。
次に、ハーネス89Aが収容部70Aの収容溝76に収容され、このハーネス89Aの他端が開口78に挿通され制御基板9に設けられたコネクタ部9Aに接続される。この状態で、支持部材90の回動軸部98がカバー体8と一体に設けられた軸受部130の軸穴131に内側面130A側から挿通される。このとき、回動軸部98が片持ち梁74の先端部74Bに当接されつつ軸受部130側に移動されるのに伴って、片持ち梁74の撓み部74Aが弾性変形される。さらに、回動軸部98が移動されて軸穴131に完全に装着されると、回動軸部98が先端部74Bを乗り越えて、撓み部74Aの変形が解除される。これによって、先端部74Bが回動軸部98の後面99Bに対向されて配置されるので、回動軸部98が軸穴131から外れることが防止される。ここで、ハーネス89Aの他端が制御基板9のコネクタ部9Aに接続される作業と回動軸部98が軸受部130の軸穴131に接続される作業が前後されても構わない。その場合には、片持ち梁74が設けられていることによって回動軸部98が軸穴131から外れることが防止されるので、作業者はハーネス89Aの他端が制御基板9のコネクタ部9Aに接続される作業を安全に行うことができる。
次に、収容部71Aの開口部77に蓋151が取り付けられる。はじめに、蓋151の支持片155に設けられた係止片154が支持片収容部79に設けられた挿通口75に挿通され、その後で、各係合爪153が係合部77Aにそれぞれ係合される。このとき、支持片155は支持片収容部79に収容されて、当接部151が支持部材90の基端における後面99Bに当接される。このようにして、支持部材90の回動軸部98は、軸受部130に挿通されて、プリンタユニット2の上面に対して回転回動可能に装着される。また、支持片155の当接部151が支持部材90の基端の後面99Bに当接されることによって、回動軸部98が、軸穴131から外れてしまうことが防止される。
収容部71Aの開口部77に蓋151が取り付けられた状態において、支持片155は、支持片収容部79に収容され、壁部79Aに隣接して配置される。すなわち、支持片155が図8における右側方向へ移動されると、壁部79Aに当接されて、この移動が制限される。よって、FBSユニット3が、プリンタユニット2に対して開閉回動されるときに、支持部材90が軸受部130から外れる方向(図8における右側方向)に移動されたとしても、支持片と一体に設けられた当接部151に当接されることによってその移動が阻止される。すなわち、支持部材90が軸受部130から外れることが確実に防止される。さらに、支持片155は、係止片154が挿通口75に挿通されることによって上下方向に位置決めされている。よって、支持部材90が装置左右方向(図8において左右方向)に傾けられた場合であっても、すなわち、支持部材90によって蓋150に上下方向に力が加えられた場合であっても、蓋150が外れてしまうことが防止される。
また、係止片154および挿通口75が設けられていることにより、蓋150が開口部77に取り付けられるときの組立性が向上される。詳細には、係止片154が挿通口75に挿通された状態において、蓋150は開口部77に対して装置前後方向および左右方向(図9において前後左右方向)におおよそ位置決めされる。よって、蓋150は、係止片154が挿通口75に挿通された状態からそのまま押下されることによって、開口部77に容易に装着されるのである。
上述されたように、ハーネス89Aが収容される収容部71Aの開口部77は蓋150によって閉塞される。よって、ジャム処理などのメンテナンスが行われる際に、ユーザが誤ってハーネス89Aに触れてしまうことが確実に防止される。
また、軸受部130はプリンタユニット2を覆うカバー体8と一体に設けられたものであり、蓋150は、ハーネス89Aが収容される収容部70Aを覆うものである。よって、支持部材90の軸受部130に対する接続状態を保持するための専用の部材が設けられる必要がない。すなわち、支持部材90の軸受部130に対する接続状態を保持するための専用の部材が不要であるため、この部品を設置するためのスペースを必要とせず、省スペース性に優れているという効果を奏する。
また、蓋部150Aを取り外してメンテナンスが行われる場合であっても、プリンタユニット2を覆うカバー体8と一体に設けられた片持ち梁74の先端部74Bが回動軸部98の後面99Bに対向されて配置されるので、回動軸部98が軸穴131から外れることが防止される。すなわち、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられる方向に急回動することが防止されるので、メンテナンスを行うユーザーの手がFBSユニット3とプリンタユニット2との間に挟まれる危険性が回避される。また、電子装置であるFBSユニット3およびプリンタユニット2が、相互に衝突することが防止されるので、電子装置に対して強い衝撃が加えられることによって引き起こされる破損や故障を回避することができる。
また、先に動軸部98が軸受部130の軸穴131に接続されて、その後にハーネス89Aの他端が制御基板9のコネクタ部9Aに接続される作業が行われる場合であっても、片持ち梁74の先端部74Bが回動軸部98の後面99Bに対向されて配置されるので、回動軸部98が軸穴131から外れることが防止される。よって、ハーネス89Aの他端が制御基板9のコネクタ部9Aに接続される作業が行われるときに、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられる方向に急回動されて作業者の手がFBSユニット3とプリンタユニット2との間に挟まれる危険性が回避される。
また、蓋150は、係止片154が挿通口75に挿通された状態からそのまま押下されることによって、開口部77に容易に装着されるので、収容部79に蓋150を装着する作業と、支持部材90の軸受部130に対する装着状態を確実にする作業とが同時に行われる。また、ネジ等を用いる必要がなく、蓋150の取り付けに際して工具等も不要であるため、多機能装置1の製造工程が簡略化され、効率化を図ることができる。
さらに、支持片155は、支持片収容部79に収容され、壁部79Aに隣接して配置されている。よって、支持部材90に対して左右方向(図8における左右方向)の力が加えられた場合であっても、支持片155が壁部79Aに当接されるので、支持部材90が軸受部130から外れることが確実に防止される。よって、ジャム処理などのメンテナンス作業が行われる際に、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられる方向に急回動されて作業者の手がFBSユニット3とプリンタユニット2との間に挟まれる危険性が回避される。また、電子装置であるFBSユニット3およびプリンタユニット2が、相互に衝突することが防止されるので、電子装置に対して強い衝撃が加えられることによって引き起こされる破損や故障を回避することができる。
また、支持片155は、係止片154が挿通口75に挿通されることによって上下方向に位置決めされている。よって、支持部材90が傾けられた場合であっても、すなわち、支持部材90によって蓋150に上下方向に力が加えられた場合であっても、蓋150が外れてしまうことが防止され、支持部材90が軸受部130から外れることが防止される。支持部材90が軸受部130から外れることが確実に防止されることによる効果は上述されたとおりである。
また、係止片154および挿通口75が設けられていることにより、蓋150が開口部77に取り付けられるときの組立性が向上される。詳細には、係止片154が挿通口75に挿通された状態において、蓋150は開口部77に対して装置前後方向および左右方向(図9において前後左右方向)におおよそ位置決めされる。よって、蓋150は、係止片154が挿通口75に挿通された状態からそのまま押下されることによって、開口部77に容易に装着される。
以下に、支持部材90の回動先端94の構成について詳述される。図11は、支持部材収容部68の内部構成を示す、ストッパ収容部68の装置幅方向(図7における左右方向)の断面図である。支持部材90の回動先端94には、前面側から突出する係合ピン92が形成されている。係合ピン92は、直径Dの丸軸形状に形成されている。係合ピン92は、後述される負荷調整部材100のガイド溝103に係合される。係合ピン92の近傍には、摩擦部93が形成されており、摩擦部93の両面を含む全周面には、摩擦部材93Aが固定されている。図11に示されるように、摩擦部93が設けられた回動先端94は基端側へ向かって厚み方向(図11における左右方向)に幅広となる楔型形状であるように形成されている。摩擦部材93Aは摩擦部93の表面に固定されるものであるので、摩擦部材93Aの外形形状もまた楔型形状である。摩擦部材93Aは最小の厚みがA1、最大の厚みがA2であるように形成されている(A1<A2)。摩擦部93が楔型形状に形成されていることによる作用効果については後に詳述される。摩擦部材93Aは、所望の摺動摩擦を生じさせるためのものであり、ゴム等の高摩擦係数を有するものである。摩擦部材93Aは、接着剤などにより摩擦部93に貼り付けられて固定される。本実施形態では、摩擦部材93Aは、両面を含む全周面に設けられているが、摩擦部93の少なくとも片面に設けられたものであっても良い。
以下に、図7、図12、図13および図14を参照しながら、負荷調整部材100の構成について詳述される。図12は、支持部材収容部68に収容されて支持部材90の回動先端94を案内する負荷調整部材100の構成を示す正面図である。図12には、装置本体10に負荷調整部材100および支持部材90が装着された状態における上下前後左右の方向が示されている。図13は、負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときのストッパ収容部の内部構成を示す断面図である。図14は、負荷調整部材100が圧接姿勢であるときのストッパ収容部の内部構成を示す断面図である。
図13および図14では、ストッパ収容部68の装置奥行き方向(図7における前後方向)の断面が示されている。
負荷調整部材100は、装置高さ方向(図12、図13および図14において上下方向)に幅広の平板形状であり、例えば、合成樹脂成型品として実現される。負荷調整部材100の一方の端部には、第1係合突起101が形成されており、他方の端部には、第2係合突起102が形成されている。この第1係合突起101および第2係合突起102により、負荷調整部材100が支持部材収容部68内に取り付けられる。詳細に説明するに、図7、図13および図14に示されるように、支持部材収容部68の天井面68Aには、装置奥行き方向(図13および図14において前後方向)に隔てられて第1係合孔58および第2係合孔59が形成されている。第1係合孔58と第2係合孔59とは、負荷調整部材100の長さに合致するように隔てられている。第1係合突起101は、第1係合孔58に挿通される。第1係合孔58により、第1係合突起101は、装置の高さ方向に対してほぼ一定位置に固定される。第2係合突起102は、第2係合孔59に挿通される。第2係合孔59は、装置の高さ方向の長孔である。したがって、第2係合突起102は、第2係合孔59の範囲内で上下動される。このようにして、負荷調整部材100が支持部材収容部68に取り付けられる。負荷調整部材100は、第1係合突起101を軸として、第2係合孔59の範囲内で第2係合突起102側が上下動される。この上下動により、負荷調整部材100は非圧接姿勢と圧接姿勢とに姿勢変化される。圧接姿勢において、負荷調整部材100は支持部材収容部68に収容される。また、非圧接姿勢においては、負荷調整部材100の一部が支持部材収容部68から突出される。支持部材収容部68から突出された部分には、後述される圧接部106が含まれる(図13および図14参照)。
図12に示されるように、負荷調整部材100は扁平板状であって、支持部材90の先端部の回動軌跡に沿う方向に長手に形成されている。また、厚み方向(図12における左右方向)の大きさは厚みB1である。負荷調整部材100の内部には、その長手方向に、すなわち前記回動軌跡に沿う方向に、ほぼ円弧状のガイド溝103が穿設されている。ガイド溝103には、支持部材90に設けられた係合ピン92が挿通される。
係合ピン92はガイド溝103およびこのガイド溝に連続して設けられた係止溝104に沿ってスライド移動自在である。これにより、図1に示されるようにFBSユニット3が装置本体10に対して閉じられている状態から、図3に示されるように開放されている状態に変化されるとき、支持部材90の回動先端94がFBSユニット3の開閉に伴って装置奥行き方向に摺動される。
ガイド溝103は、前端103A、上端103B、後端103Cおよび下端103Dによって構成されている。上端103Bと下端103Dと後端103Cとは連続した滑らかな曲線であるように形成される。装置正面側となるガイド溝103の前端103Aは開放端であり、係止溝104がこの前端103Aから連続され且つ前端103Aから上側(図12において上側)に延出されている。
係合ピン92がガイド溝103から係止溝104へ進入し、係止端113に当接することによって、図3に示されるように、支持部材90は、FBSユニット3を支持する姿勢に保持される。また、負荷調整部材100の前側(図12における前側)には、被支持部112が設けられている。この被支持部112は、前述されたように、支持部材90の回動先端94側に設けられた支持部91に当接する。すなわち、係合ピン92が係止端113に、支持部91が被支持部112にそれぞれ当接されることによって、支持部材90は、FBSユニット3を支持する姿勢に一層確実に保持されるのである。
ガイド溝103と係止溝104との境界には、ガイド溝103の溝幅を拡げる方向に弾性変形可能な突片105が形成されている。一旦、係止溝104に進入した係合ピン92がガイド溝103に戻るには、突片105が弾性変形される必要がある。これにより、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられる際に、係止溝104からガイド溝103に進入する係合ピン92が突片105を弾性変形させるので、操作にクリック感が生じる。
ガイド溝103は、それぞれ上端103Bと下端103Dとの位置関係が異なる前半部107Aと、中間部107Bと、後半部107Cと、によって構成されている。
前半部107Aにおいては、上端103Bは下端103Dと略平行であるように形成されている。また、前半部107Aにおいて、上端103Bと下端103Dとの距離114Aは係合ピン92の直径Dよりも僅かに大きく形成されている(114A>D)。よって、係合ピン92が係止溝103に沿ってスライド移動されるとき、係合ピン92が前半部107Aにあるときには、この係合ピン92はガイド溝103に沿ってスムーズに移動される。
中間部107Bにおいては、上端103Bは下端103Dより緩やかな弧であるように形成されている。すなわち、中間部107Bにおいては、前半部107Aよりも上端103Bと下端103Dとの距離114Bが小さくなる。また、中間部107Bにおいては、上端103Bと下端103Dとの距離114Bは係合ピン92の直径Dよりも小さく形成されている(114B<D)。よって、係合ピン92が中間部107Bの領域を移動されるとき、係止溝104に沿ってスライド移動されるとき、この係合ピン92によってガイド溝103は押し広げられる。すなわち、負荷調整部材100の上面111Aが負荷調整部材100の幅方向(図12中に示される矢印Fの方向)に弾性変形されて膨出される膨出姿勢115に変化される(図12参照)。
後半部107Cにおいては、上端103Bは略直線であるように形成されている。詳細には、上端103Bは、中間部107Bと後半部107Cとの境界から後端103Cに向かって、下端103Dとの距離が次第に遠ざかるように形成されている。後半部107Cにおいて、上端103Bと下端103Dとの距離114Cは係合ピン92の直径Dよりも大きく形成されている(114C>D)。上端103Bと下端103Dとがこのように構成されることによる作用効果については後に詳述される。
また、中間部107Bおよび後半部107Cにおいて、ガイド溝103の上端103Bに沿って支持部材90が配置される側(図12において右側)に突出された鍔部110が形成されている。鍔部110がこのように構成されることによる作用効果については後に詳述される。
負荷調整部材100の左右面のうち右面(図12において右側の面)、換言すれば、支持部材90が配置される側(図12において右側)には、圧接部106が形成されている。
前半部107Aにおいて、圧接部106にはガイド溝103の下端103Dに隣接して、減少部106Aが設けられ、この減少部106Aに隣接して肉薄部106Bが設けられている。本実施形態においては、前半部107Aにおいて、ガイド溝103の下端103Dの厚みは負荷調整部材100の厚みB1と等しく、肉薄部106Bの厚みB2は負荷調整部材100の厚みB1よりも薄く形成されている。減少部106Aはこの減少部106Aとガイド溝103の下端103Dとの境界から、肉薄部106Bとの境界までをつなぐ面である。前半部107Aにおいて圧接部106がこのように構成されることによる作用効果については後に詳述される。
前半部107Aと中間部107Bとの境界から、負荷調整部材100の第2係合突起102が形成されている側にかけては、圧接部106は頂部106Eの両側に斜面が形成された山形形状に形成されている。
詳細には、前半部107Aと中間部107Bとの境界から中間部107Bと後半部107Cとの境界にかけて、圧接部106には、負荷調整部材100の厚み方向(図12における右方向)に次第に膨出する緩斜面106Cが形成されている。すなわち、緩斜面106Cの厚みB3は前半部107Aと中間部107Bとの境界から中間部107Bと後半部107Cとの境界に近づくにつれて次第に大きくなる。中間部107Bと後半部107Cとは連続して設けられている。中間部107Bと後半部107Cとの境界から、頂部106Eにかけては、緩斜面106Cに比して負荷調整部材100の厚み方向に緩やか膨出する緩斜面106Dが形成されている。すなわち、緩斜面106Dの厚みB4は中間部107Bと後半部107Cとの境界から、頂部106Eに近づくにつれて次第に大きくなる。また、緩斜面106Dの厚みB4は緩斜面106Cの厚みB3よりも大きい(B4>B3)。頂部106Eから麓106Gにかけては、負荷調整部材100の厚み方向の大きさが急激に減少する急斜面106Fが形成されている。前記膨出は麓106Gにおいて、消失される。すなわち、麓106Gにおいて、急斜面106Fの厚みB6は負荷調整部材100の厚みB1と等しくなるように形成されている。つまり、後半部107Cの厚みB6は、頂部106Eの厚みB5と負荷調節部材100の厚みB1の間で変化される。換言すれば、プリンタユニット2に対してFBSユニット3が完全に開かれた状態において、圧接部106と支持部材収容部68の内壁66とは、頂部106Eから麓106Gにかけての区間を除いて、FBSユニット3の回動先端側から軸側へ向かうにつれて接近されて設けられている。
また、図15(a)、図15(b)、図16(a)および図16(b)に示されるように、緩斜面106C、緩斜面106Dおよび急斜面106Fは下端103D側から下面111B側に向かって負荷調整部材100の厚み方向の大きさが減少するように形成されている。すなわち、プリンタユニット2に対してFBSユニット3が完全に開かれた状態において、圧接部106と支持部材収容部68の内壁66とは、支持部材90の回動先端94側から基端側へ向かうにつれて接近されて設けられる。
前述されたように、負荷調整部材100が圧接姿勢であるときには、負荷調整部材100は支持部材収容部68内に没入される(図11参照)。すなわち、圧接姿勢においては、負荷調整部材100と支持部材収容部68の内壁66とが支持部材90の回動先端94を挟んで対向されて配置される(図14、図15(a)および図16(a)参照)。よって、圧接姿勢において、支持部材90の係合ピン92がガイド溝103に沿ってスライドされると、摩擦部93が圧接部106と支持部材収容部68とに挟み込まれ、これらに対して摺動するので、圧接部106の厚みに応じて摺動抵抗が生ずる。(図15(a)参照)。一方、負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときには、圧接部106を含む負荷調整部材100の一部が支持部材収容部68から突出される(図13参照)。よって、非圧接姿勢において、支持部材90の係合ピン92がガイド溝103に沿ってスライドされると、摩擦部93は圧接部106の形状に沿って負荷調整部材100から離れながら、ガイド溝103に沿って摺動される(図15(b)および図16(b)参照)。すなわち、摩擦部93に過大な摺動摩擦が生じない。上述されたように、圧接部106に対応されて、ガイド溝103の上縁に沿って圧接部106と同方向に突出された鍔部110が形成されている。この鍔部110が設けられていることによって、支持部材90の係合ピン92が、ガイド溝103から離脱する方向へ移動されたときに、ガイド溝103から離脱することが防止される。
以下に、図11、図12、図15(a)、図15(b)、図16(a)、および図16(b)を参照しながら、支持部材収容部68の幅Wと、摩擦部93の最小厚みA1と、最大厚みA2と、前半部107Aにおける圧接部106(肉薄部106B)の厚みA2と、中間部107Bおよび後半部107Cにおける圧接部106の厚みA3と、圧接部106以外の負荷調整部材100の厚みA4との関係について説明される。図11、図15(a)、図15(b)、図16(a)、および図16(b)は、支持部材収容部68の内部構成を示す断面図である。なお、図11、図15(a)、図15(b)、図16(a)、および図16(b)では、支持部材収容部68の装置幅方向(図7における左右方向)の断面が示されている。
前半部107Aにおいて、負荷調整部材100の肉薄部106Bの厚みB2は、圧接部106以外の負荷調整部材100の厚みB1よりも薄い。すなわち、B2<B1である(図11参照)。また、負荷調整部材100の肉薄部106Bの厚みB2は、支持部材収容部68の幅Wから回動先端94の最大厚みA2を減じた長さより薄い。つまり、B2<W−A2である。よって、負荷調整部材100が圧接姿勢であっても、ガイド溝103に沿って前半部107Aの領域をスライド移動される摩擦部93は、負荷調整部材100又は支持部材収容部68の内壁66に圧接されない。すなわち、摩擦部93は、過大な摺動抵抗を受けることなく軽快にスライド移動される。
減少部106Aは厚みA4である下端103Dと厚みA2である肉薄部106Bとをつなぐ面であり、この減少部106Aと肉薄部106Bによって図11に示されるように、V字形状の面が形成される。また、上述されたように、摩擦部材93Aは、先端側から基端側へ向かって厚み方向(図11における左右方向)に幅広となる楔型形状であるように形成されている。よって、支持部材90が傾けられた場合であっても、摩擦部材93Aは、下端103Dと、肉薄部106Bの一部と、に僅かに当接されるのみである。すなわち、支持部材90が傾けられた場合であっても、下端103Dおよび肉薄部106Bと摩擦部材93Aとが接する面積が小さいため、摩擦部93は過大な摺動抵抗を受けることなく軽快にスライド移動される。
図15に示されるように、中間部107Bにおいて、緩斜面106Cの厚みB3は、支持部材収容部68の幅Wから摩擦部材93Aの最小厚みA1を減じた長さより厚く形成されている。つまり、B3>W−A1である。また、図16に示されるように、後半部107Cにおける緩斜面106Dの厚みB4、図示されない頂部106Eの厚みおよび図示されない急斜面106Fの厚みも、支持部材収容部68の幅Wから摩擦部93の最小厚みA1を減じた長さより厚く形成されている。すなわち、B4>W−A1である。
したがって、負荷調整部材100が圧接姿勢であるとき、摩擦部93が圧接部106の領域を通過する際には、摩擦部材93Aが圧接部106と支持部材収容部68の内壁66とに挟み込まれ、これらに対して摺動するので、摺動抵抗が生ずる(図15(a)参照)。
また、負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときには、圧接部106を含む負荷調整部材100の一部が支持部材収容部68から突出される。また、荷調整部材100のガイド溝103に係合ピン92が係合されているので、支持部材90の一部も支持部材収容部68から突出される。詳細には、摩擦部材93Aの最大厚みA2を有する部分が、圧接部106と支持部材収容部68の内壁66との間から抜脱される。よって、非圧接姿勢において、支持部材90の係合ピン92がガイド溝103に沿ってスライドされると、摩擦部材93Aは圧接部106の形状に沿って負荷調整部材100から離れながら、ガイド溝103に沿って摺動される(図15(b)参照)。また、非圧接姿勢においては、摩擦部材93Aの最小厚みA1を有する部分のみが圧接部106と内壁66との間に配置されるので、摩擦部材93Aが圧接部106と内壁66とによって挟み込まれる力が小さい。すなわち、摩擦部93に過大な摺動摩擦が生じない。
以下に、図11〜図16を参照しながら、FBSユニット3の開閉に伴う支持部材90および負荷調整部材100の動作が説明される。図11は、前半部における支持部材収容部68の内部構成を示す断面図である。図15(a)は、中間部において負荷調整部材100が圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す断面図である。図15(b)は、中間部において負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す断面図である。図16(a)は、後半部において負荷調整部材100が圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す断面図である。図16(b)は、後半部において負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときの支持部材収容部68の内部構成を示す断面図である。図11、図15(a)、図15(b)、図16(a)、図16(b)にはいずれもストッパ収容部68の装置幅方向(図7における左右方向)の断面が示されている。
FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開閉されるに伴い、支持部材90が基端側の回動軸部98を回動軸として回動される。支持部材90の回動先端94側の係合ピン92は、負荷調整部材100のガイド溝103に沿ってスライド移動される。
上述されたように、負荷調整部材100は、FBSユニット3のケーシング65の支持部材収容部68に収容されており、FBSユニット3とともに装置背面側を回動軸として回動される。詳細には、負荷調整部材100は、第1係合突起101を軸として、第2係合孔59の範囲内で第2係合突起102側が上下動され、負荷調整部材100が圧接姿勢と非圧接姿勢に姿勢変化される。負荷調整部材100に外力が付与されなければ、図13に示されるように、重力により負荷調整部材100は、第2係合突起102側(装置背面側)が降下される。これにより、負荷調整部材100の上面111Aが支持部材収容部68の天井面68Aから離間され、負荷調整部材100の一部が支持部材収容部68から突出される。支持部材収容部68から突出された部分には、圧接部106が含まれる。
一方、負荷調整部材100に対して上向きの外力が付与されると、図14に示されるように、負荷調整部材100は重力に抗して、支持部材収容部68内に没入され、負荷調整部材100の上面111Aが支持部材収容部68の天井面68Aに当接される。したがって、圧接部106も支持部材収容部68内に位置せしめられる。
FBSユニット3が完全に開かれた状態において、支持部材90の係合ピン92は、係止溝104に係合されている。これにより、係止ピン92が負荷調整部材100の延出方向(ガイド溝103の方向)にスライド移動されることが規制され、図7に示されるように、支持部材90が起立された状態に維持される。この支持部材90が、プリンタユニット2に対して開かれたFBSユニット3を筋交いの如く支持する。
以下に、FBSユニット3の閉動作に伴う支持部材90および負荷調整部材100の動作が説明される。
図7に示されるように、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態から、図1に示されるように、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられた状態に変化されるとき、係止溝104に進入した係合ピン92をガイド溝103へ戻すべく、FBSユニット3が一旦持ち上げられる。その後、FBSユニット3が押し下げられることにより、係止ピン92は、突片105を弾性変形させてガイド溝103に進入する。支持部材90の係合ピン92は、負荷調整部材100のガイド溝103に係合されている。また、支持部材90の回動先端94は負荷調整部材100の押圧部106と支持部材収容部68の内壁66との間に配置される。FBSユニット3が閉じられると、負荷調整部材100により係合ピン92が下側へ押し下げられる。これにより、支持部材90が倒伏するように回動され、係合ピン92は、ガイド溝103を、装置正面側から装置背面側へスライド移動される。
このとき、負荷調整部材100が、ガイド溝103に係合された係合ピン92を押し下げる反力として、係合ピン92がガイド溝103の上端103Bに対して押圧(以下押圧力と称する。)される。すなわち、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときには、係合ピン92がガイド溝103の上端103Bに対して押圧されつつスライドされるので、負荷調整部材100に上方向の負荷が生ずる。これにより、負荷調整部材100は、図16に示されるように、第2係合突起102側が第2係合孔の上側に上昇されて、負荷調整部材100の上面111Aが支持部材収容部68の天井面68Aに対して押圧される。また、圧接部106を含めて負荷調整部材100の全体が支持部材収容部68に没入される。つまり、FBSユニット3が閉じられるときには、負荷調整部材100は圧接姿勢になる。また、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときには、支持部材90の回動先端94に対しては負荷調整部材100の押圧部106と支持部材収容部68の内壁66との間に入り込もうとする方向に力が働く。
FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態から、閉じられるときの閉じ始めの区間において、摩擦部93は負荷調整部材100の前半部107Aの領域を通過する。上述されたように、前半部107Aの領域において、負荷調整部材100の肉薄部106Bの厚みB2は、圧接部106以外の負荷調整部材100の厚みB1よりも薄い。すなわち、A2<B1である(図11参照)。また、負荷調整部材100の肉薄部106Bの厚みB2は、支持部材収容部68の幅Wから回動先端94の最大厚みA2を減じた幅より薄い。つまり、B2<W−A2である。よって、負荷調整部材100が圧接姿勢であっても、摩擦部93は負荷調整部材100又は支持部材収容部68の内壁66に圧接されない。すなわち、摩擦部93は、前半部107Aの領域において、過大な摺動抵抗を受けることなく軽快にスライド移動される。つまり、FBSユニット3の閉じ始めにおいては、FBSユニット3は軽快に閉じられる。
図15(a)および図16(a)に示されるように、摩擦部93がガイド溝103に沿ってスライド移動されつつ中間部107Bおよび後半部107Cの領域を通過する際には、摩擦部材93Aが負荷調整部材100の圧接部106および支持部材収容部68の内壁66に圧接される。詳細には、中間部107Bおよび後半部107Cにおいて、圧接部106には、頂部106Eへ向かって負荷調整部材100の厚み方向に膨出する緩斜面106Cおよび緩斜面106Dが形成されている。よって、摩擦部93が緩斜面106Cおよび緩斜面106Dが形成された領域を通過する際には、摺動抵抗が徐々に増加される。これにより、FBSユニット3が閉じられる方向に急激に回動することが防止される。
頂部106Eから麓106Gにかけては、負荷調整部材100の厚み方向の大きさが急激に減少する急斜面106Fが形成されている。よって、摩擦部93が圧接部106の頂部106Eを通過すると、急斜面106Fに従って、摩擦部材93Aの摺動抵抗が減少される。そして、前記膨出は麓106Gにおいて、消失される。すなわち、麓106Gにおいて、急斜面106Fの厚みB6は負荷調整部材100の厚みB1と等しくなるように形成されている。これにより、プリンタユニット2に対してFBSユニット3が完全に閉じられる。また、上述されたように、前記膨出はガイド溝103の後端103D付近において消失されるので、プリンタユニット2に対してFBSユニット3が完全に閉じられた状態が長時間に及んだ場合であっても、摩擦部材93Aの弾性力が低下することが防止される。
図15(a)および図16(a)に示されるように、負荷調整部材100が圧接姿勢であるときには、負荷調整部材100と支持部材収容部68の内壁66とが支持部材90の回動先端94を挟んで対向されて配置される。また、上述されたように、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときには、支持部材90の回動先端94に対しては負荷調整部材100の押圧部106と支持部材収容部68の内壁66との間に入り込もうとする方向に力が働く。回動先端94は、上述されたように、先端側から基端側へ向かって厚み方向(図15および図16における左右方向)に幅広となる楔型形状であるように形成されている。すなわち、支持部材90の回動先端94が、圧接部106と支持部材収容部68の内壁66との間隔を押し広げつつ入り込む反力によって、摩擦部材93Aは圧接部106と支持部材収容部68の内壁66とによって押圧される。つまり、FBSユニット3が閉じられるときには、摩擦部材93Aは圧接部106と支持部材収容部68の内壁66とによって押圧されつつ、押圧部106に沿って移動されるので、摺動抵抗が発生する。よって、FBSユニット3が開かれた状態から閉じられた状態へと急激に回動することが防止される。
また、回動先端94が楔型形状であるように形成されていることに対応されて、中間部107Bおよび後半部107Cの領域において、圧接部106は下端103D側から下面111B側に向かって厚み方向(図12における左右方向)の大きさが減少するように形成されている。よって、圧接部106の厚み方向の大きさが上下方向で均一に形成され、回動先端94の厚みが均一に形成された場合に比して、圧接部106と摩擦部材93Aとの接触面積が大きくなる。すなわち、摩擦部93に生ずる摺動抵抗が大きくなる。よって、FBSユニット3が開かれた状態から閉じられた状態へと急激に回動することが防止される。
上述されたように、中間部107Bにおいては、ガイド溝103の上端103Bと下端103Dとの距離が係合ピン92の直径Dよりも小さく形成されている。つまり、中間部107Bにおいて、係合ピン92は、ガイド溝103を押し拡げつつ、スライド移動される。しかし、上述されたように、FBSユニット3が閉じられるときには、押圧力によって負荷調整部材100の上面111Aが支持部材収容部68の天井面68Aに対して圧接される。よって、係合ピン92がガイド溝103に沿って中間部107Bをスライド移動されるときに負荷が生ずる。換言すれば、係合ピン92は、この係合ピン92がガイド溝103を押し広げようとする反力として、ガイド溝103の上端103Bおよび下端103Dによって挟みつけられるのである。これにより、中間部107Bにおいて、FBSユニット3が閉じられる方向に急激に回動されることが防止される。
後半部107Cにおいては、ガイド溝103の上端103Bと下端103Dとの距離は係合ピン92の直径Dよりも大きく形成されている。よって、後半部107Cの領域において、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときには、係合ピン92は上端103Dに沿って後端103Cまで移動される。つまり、係合ピン92は経路Yを通って移動される(図12参照)。これによって、圧接部106の下端103D側と支持部材90の摩擦部材93Aの基端側とが当接される。つまり、負荷調整部材100の上下方向において、圧接部106の厚み方向の大きさが大きい部分と、摩擦部93の厚みが大きい部分とが当接されるのである。よって、圧接部106と摩擦部93とが圧接される力が大きくなる。すなわち、摩擦部93に生ずる摺動抵抗が大きくなるので、FBSユニット3が閉じる方向に急激に回動することが防止される。
以下に、FBSユニット3の開動作に伴う支持部材90および負荷調整部材100の動作が説明される。
図1に示されるように、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられた状態から、図7に示されるように、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれた状態へと変化されると、ケーシング65の支持部材収容部68に取り付けられた負荷調整部材100は、FBSユニット3とともに上側へ回動される。
支持部材90の係合ピン92は、負荷調整部材100のガイド溝103に係合されているので、FBSユニット3が開かれると、係合ピン92が負荷調整部材100により上側へ持ち上げられる。これにより、支持部材90が起立するように回動され、係合ピン92は、ガイド溝103を、装置背面側から装置正面側へスライド移動される。
負荷調整部材100が、ガイド溝103に係合された係合ピン92を持ち上げる反力として、係合ピン92がガイド溝103の下端103Dに対して押圧される。すなわち、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれるときには、係合ピン92がガイド溝103の下端103Bに対して押圧されつつスライドされるので、負荷調整部材100に下方向の負荷が生ずる。これにより、負荷調整部材100は、図15に示されるように、第2係合突起102側が第2係合孔59の下側に降下されて、負荷調整部材100の上面111Aが支持部材収容部68の天井面68Aから離間される。また、負荷調整部材100の一部、すなわち圧接部106が支持部材収容部68から突出される。つまり、非圧接姿勢になる。また、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときには、支持部材90の回動先端94に対しては負荷調整部材100の押圧部106と支持部材収容部68の内壁66との間から抜脱される方向に力が働く。
FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられた状態から、開かれるときの開き始めの区間において、係合ピン92がガイド溝103の下端部103Dに押圧されつつ移動される。よって、負荷調整部材100のガイド溝103の上端103Bと下端103Dとの距離114Cが係合ピン92の直径Dよりも大きく形成されている後半部107Cの領域においては、係合ピン92は下端103Dに沿って後端103Cから移動される。すなわち、係合ピン92は経路Xを通って移動される(図11参照)。これによって、圧接部106の下端103D側と支持部材90の摩擦部材93Aの先端側とが当接される。つまり、摩擦部93において厚みが最も小さい部分と、圧接部106の下端103D側とが当接されるのである。よって、係合ピン92は経路Yを通って移動される場合に比して、圧接部106と摩擦部93とが圧接される力が小さくなる。すなわち、摩擦部93に生ずる摺動抵抗が小さくなるので、FBSユニット3は開く方向に軽やかに回動することができる。
図13、図15(a)および図16(a)に示されるように、負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときには、負荷調整部材100の圧接部106を含む一部が支持部材収容部68から突出される(図13、図15(a)および図16(b)参照)。また、荷調整部材100のガイド溝103に係合ピン92が係合されているので、支持部材90の一部も支持部材収容部68から突出される。詳細には、摩擦部材93Aの最大厚みA2を有する部分が、圧接部106と支持部材収容部68の内壁66との間から抜脱される。したがって、摩擦部93は、圧接部106の形状に沿って負荷調整部材100から離れながら、ガイド溝103に沿って摺動される。また、非圧接姿勢においては、摩擦部材93Aの最小厚みA1を有する部分のみが圧接部106と内壁66との間に配置されるので、摩擦部材93Aが圧接部106と内壁66とによって挟み込まれる力が小さい。よって、摩擦部93に過大な摺動摩擦が生じないことにより、FBSユニット3が軽快に開かれる。
ところで、上述されたように負荷調整部材100の中間部107Bにおいて、上端103Bと下端103Dとの距離は係合ピン92の直径Dよりも小さく形成されている。すなわち、中間部107Bにおいて係合ピン92がガイド溝103に沿ってスライド移動されるときには、ガイド溝103はこの係合ピン92によって押し広げられる。つまり、負荷調整部材100の上面111Aが負荷調整部材100の幅方向(図12中に示される矢印Fの方向)に弾性変形されて膨出される(図12および図15参照)。上記非圧接姿勢において、負荷調整部材100の上面111Aは支持部材収容部68の天井面68Aから離間されている。すなわち、係合ピン92がガイド溝103に沿って装置背面側から装置正面側に中間部107Bをスライド移動されるとき、負荷調整部材100の上面111Aと天井面68Aとは離間されているので、上面111Aは幅方向(図8において上方向)に膨出する方向に容易に弾性変形することが可能である。つまり、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられた状態から、開かれた状態に変化される際には、係合ピン92はガイド溝103に沿って中間部107Bをスムーズにスライド移動される。
FBSユニット3が完全に開かれると、支持部材90の係合ピン92は、負荷調整部材100のガイド溝103から係止溝104に進入する。これにより、係止ピン92が負荷調整部材100の延出方向(ガイド溝103の方向)にスライド移動されることが規制され、図7に示されるように、支持部材90が起立された状態に維持される。この支持部材90が、プリンタユニット2に対して開かれたFBSユニット3を筋交いの如く支持する。
本実施形態の構成によれば、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときには、負荷調整部材100は圧接姿勢となり、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開かれるときには、負荷調整部材100は非圧接姿勢となる。詳細には、圧接姿勢において、支持部材90の係合ピン92がガイド溝103に沿ってスライドされると、摩擦部93が圧接部106と支持部材収容部68とに挟み込まれ、これらに対して摺動するので、圧接部106の厚みに応じて摺動抵抗が生ずる。一方、負荷調整部材100が非圧接姿勢であるときには、圧接部106を含む負荷調整部材100の一部が支持部材収容部68から突出される、すなわち、摩擦部93は圧接部106の形状に沿って負荷調整部材100から離れながら、ガイド溝103に沿って摺動されるので、摩擦部93に過大な摺動摩擦が生じない。よって、簡単な構成によって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して、閉じられるときには緩慢に、開かれるときには軽快に回動される開閉型物品が実現される。
また、前半部107Aの領域において、負荷調整部材100の肉薄部106Bの厚みB2は、支持部材収容部68の幅Wから摩擦部材93Aの最小厚みA1を減じた幅より薄く形成されている(B2<W−A2)。よって、負荷調整部材100が圧接姿勢であっても、摩擦部93は負荷調整部材100又は支持部材収容部68の内壁66に圧接されないので、過大な摺動抵抗を受けることなく軽快にスライド移動される。よって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときの閉じ始めの区間において、FBSユニット3は軽快に閉じられる。
一方、摩擦部93がガイド溝103に沿ってスライド移動されつつ中間部107Bおよび後半部107Cの領域を通過する際には、負荷調整部材100の圧接部106および支持部材収容部68の内壁66に圧接され、摩擦部93が緩斜面106Cおよび緩斜面106Dが形成された領域を通過する際には、摺動抵抗が徐々に増加される。よって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられるときの閉じ終わりの区間において、FBSユニット3はプリンタユニット2に対して緩慢に回動されるので、FBSユニット3は閉じられる方向に急激に回動することが防止される。
よって、簡単な構成によって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して、閉じられるときには緩慢に、開かれるときには軽快に回動される開閉型物品が実現される。
また、頂部106Eから麓106Gにかけては、負荷調整部材100の厚み方向の大きさが急激に減少する急斜面106Fが形成されており、麓106Gにおいて、急斜面106Fの厚みB6は負荷調整部材100の厚みB1と等しくなるように形成されている。よって、プリンタユニット2に対してFBSユニット3が完全に閉じられた状態が長時間に及んだ場合であっても、摩擦部材93Aの弾性力が低下することが防止される。
また、中間部107Bにおいては、ガイド溝103の上端103Bと下端103Dとの距離が係合ピン92の直径Dよりも小さく形成されている。つまり、中間部107Bにおいて、係合ピン92は、ガイド溝103を押し拡げつつ、スライド移動される。すなわち、FBSユニット3が閉じられるときには、押圧力によって負荷調整部材100の上面111Aが支持部材収容部68の天井面68Aに対して圧接されるので、係合ピン92がガイド溝103に沿って中間部107Bをスライド移動されるときに負荷が生ずる。これにより、中間部107Bにおいて、FBSユニット3が閉じられる方向に急激に回動されることが防止される。一方、FBSユニット3が開かれるときには、すなわち、上記非圧接姿勢において、負荷調整部材100の上面111Aは支持部材収容部68の天井面68Aから離間されている。よって、係合ピン92がガイド溝103に沿って装置背面側から装置正面側に中間部107Bをスライド移動されるとき、負荷調整部材100の上面111Aと天井面68Aとは離間されているので、上面111Aは幅方向(図8において上方向)に膨出する方向に容易に弾性変形することが可能である。つまり、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して閉じられた状態から、開かれた状態に変化される際には、係合ピン92はガイド溝103に沿って中間部107Bをスムーズにスライド移動される。
また、負荷調整部材100の上面111Aが天井面68A側に向けて突出されて形成されていてもよい。もしくは、負荷調整部材100の上面111A側に向けて天井面68Aが突出されて形成されていてもよい。このように、ガイド溝103の上端103Bと下端103Dとの距離が係合ピン92の直径Dよりも小さく形成される構成以外の構成においても、圧接姿勢において、負荷調整部材100の上面111Aと天井面68Aとが当接されることによって、非圧接姿勢に比してガイド溝103の溝幅が狭くなるように変化される構成であれば、同様の効果を得ることができる。すなわち、簡単な構成によって、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して、閉じられるときには緩慢に、開かれるときには軽快に回動される開閉型物品が実現される。
なお、本実施形態では、プリンタユニット2の上にFBSユニット3が配置され、FBSユニット3がプリンタユニット2に対して開閉可能な多機能装置としたが、本発明に係る開閉型物品はこれに限定されない。たとえば、壁面等に垂直に取り付けられた第2のケースに対して第1のケースが開閉回動に設けられたものであっても、本実施形態で示された効果と同様の効果を得ることができる。
また、本発明は上記の実施形態の他、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態を採用することができる。たとえば、FBSユニット3側に軸受部130が設けられ、プリンタユニット2側に負荷調整部材100が設けられ、支持部材90の回動軸部98がFBSユニット3側に装着され、支持部材90の係合ピン92が、負荷調整部材100のガイド溝103にスライド移動に装着されていてもよい。このような構成によっても、本実施形態の構成による効果と同様の効果を得ることができる。
以下に、図17(a)、図17(b)、図18(a)、図18(b)および図18(c)を参照しながら、本実施例の変形例1について説明される。
負荷調整部材1100は、装置高さ方向(図17(a)、図18(b)および図18(c)において上下方向)に幅広の平板形状である、ガイド面1116と対向面1066とが接続面1117を介して一体に設けられたものであり、図17(b)に示されるように、略コの字形状の断面形状を有するものである。ガイド面1116にはガイド溝1103が、対向面1066には圧接部1106が備えられている。負荷調整部材1100の一方の端部には、第1係合突起1101が形成されており、他方の端部には、第2係合突起1102が形成されている。この第1係合突起1101および第2係合突起1102により、負荷調整部材1100が負荷調整部材100と同様に支持部材収容部68内に取り付けられる。また、負荷調整部材1100も、負荷調整部材100と同様に、第1係合突起1101を軸として、第2係合孔59の範囲内で第2係合突起1102側が上下動される。この上下動により、負荷調整部材1100は非圧接姿勢と圧接姿勢とに姿勢変化される。圧接姿勢において、負荷調整部材1100は支持部材収容部68に収容される。また、非圧接姿勢においては、負荷調整部材1100の一部が支持部材収容部68から突出される。図18(b)および図18(c)に示されるように、変形例1においては圧接部1106は対向面1066のガイド溝1103と対抗する部分にも設けられている。よって、FBSユニット3が装置本体2に対して閉じられるときに、すなわち係合ピン92が図18(c)に示される経路Pに沿って移動される場合であっても、支持部材90の回動先端94にも受けられた摩擦部材93Aは圧接部1106に圧接されるので、摺動抵抗が大きくなる。よって、FBSユニット3にADFが設けられるなど、FBSユニット3の重量が大きく構成された場合であっても、FBSユニット3が装置本体2に対して閉じられるときに、FBSユニット3が急回動されることが防止される。
また、圧接部1106がガイド溝103に対向して設けられるので、圧接部1106がガイド溝103に隣接して設けられる場合に比して、負荷構成部材1100の上下方向(図17(a)における上下方向)の大きさを小さく構成することができる。よって、この負荷調整部材1100が備えられた多機能装置1の上下方向の大きさ(図1において上下方向)を小さくすることができる。すなわち、多機能装置1を小型化、特に薄型化することができる。
1・・・多機能装置
65・・・ケーシング
90・・・支持部材
100・・・負荷調整部材
103・・・ガイド溝
106・・・圧接部
65・・・ケーシング
90・・・支持部材
100・・・負荷調整部材
103・・・ガイド溝
106・・・圧接部
Claims (5)
- 第2のケースと第1のケースとが、一側に設けられたヒンジ部を回動基端として開閉可能に装着され、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態を維持可能なスタンド部材を有する開閉型物品であって、
前記第2のケースと前記第1のケースのうち一方のケースには、前記スタンド部材の基端部が回動可能に接続され、
前記第2のケースと前記第1のケースのうち他方のケースには、前記スタンド部材の先端部を案内するガイド部材と、この先端部が摺接可能な第1の壁部および第2の壁部が備えられ、
前記第1の壁部は前記第2の壁部と協働して前記先端部を挟持可能に配置され、前記先端部は、前記基端部側に向かって幅広となる楔型形状であることを特徴とする開閉型物品。 - 前記スタンド部材の先端部の少なくとも一部には、この先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部のうちの少なくとも一方に対して摺接するときの摩擦抵抗を発生させる摩擦部材が設けられていることを特徴とした請求項1に記載の開閉型物品。
- 前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記第2のケースが前記第1のケースに対して開かれた状態において、前記基端部から遠ざかるにつれて接近して設けられることを特徴とする請求項1および2に記載の開閉型物品。
- 前記案内部は、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方に設けられ、前記先端部に設けられた被ガイド部を前記回動基端側とこの回動基端に対する回動先端側との間でスライド移動可能に案内する長手案内溝であって、前記第1の壁部と前記第2の壁部とは、前記回動先端側から前記回動基端側へ向かうにつれて接近されて設けられることを特徴とする請求項1〜3に記載の開閉型物品。
- 前記他方のケースには、前記第1の壁部および前記第2の壁部を収容可能な、壁部収容部が設けられ、前記第1の壁部と前記第2の壁部の少なくとも一方は、その一端を基準として、前記先端部が前記第1の壁部と前記第2の壁部とに圧接される圧接姿勢と、この圧接状態が解除される非圧接状態とに姿勢変化可能に設けられ、前記ガイド部は、前記第2のケースが前記第1のケースに対して閉じられるときに、圧接姿勢に変化され、開かれるときに、非圧接姿勢に変化されることを特徴とする請求項1〜4に記載の開閉型物品。
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