JP2007331302A - インクジェット記録用光沢紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、良好なインク吸収性を持ちながら、銀塩写真並の高光沢感を有し、更に光沢面の耐擦過性にも優れ、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造された媒体に匹敵する画質と均一な光沢感を有し、かつ、リサイクル可能なインクジェット記録用光沢紙を提供することが目的である。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、インク受容層上に顔料及び結着剤を主成分とする光沢発現層が設けられ、光沢発現層の表面の写像性が55%以上であるインクジェット記録用光沢紙であって、光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有していることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀塩写真並の高光沢感を有し、かつ、光沢面の耐擦過性に優れ、写真画質に近い高さの印字品質を有するインクジェット記録用光沢紙に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク及び記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。インクジェット記録媒体に求められる要素としては、
(a)インクの吸収性及び乾燥性が高いこと、
(b)印字濃度が高いこと、
(c)ドットの広がりやひげ状の滲みが無いこと
等があげられる。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なくある程度の印字品質が期待できる。一方、より高い印字品質を求める場合には、媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙やフィルムを支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
インクジェット専用媒体は、更に表面状態からマット調媒体と光沢媒体とに分類される。銀塩写真により近い画像品質を要求する場合には、後者の光沢媒体が使用される。これら光沢媒体に要求される特性としては、前記した特性以外に、
(d)ドットの真円性が高く、画像再現性が良好なこと、
(e)耐水性及び耐光性が良好であること、
(f)画像領域及び白紙部分の光沢感が高いこと
等があげられる。
光沢媒体の製法としては、(a)のインク吸収性及び乾燥性を維持しながら(b)〜(f)の特性を維持するために、各種の方法が提案されている。その一般的方法には、キャストコート法によってインク受容層を形成し、表面に光沢を付与する方法と印画紙用基材上にインク受容層を形成する方法とがある。
一般的に、前者は、(a)のインク吸収性が後者に比べ制御しやすいが、(d)のドット真円性、画像再現性、(f)の画像領域及び白紙部分の光沢感、品質では後者に比べ劣っている。印画紙用基材は、一般にRC紙(レジンコート紙)といわれるように、紙の基材上にポリエチレンのフィルム層が形成されているためにインク受容層をその表面に形成した場合、フィルム面が平滑であることからインク受容層表面も平滑で、光沢ある表面が形成しやすい。
しかし、インク吸収性を高めるために塗工量を多くする必要があり、かつ、基材そのものが紙よりも高価であることから全体のコストは、前者のキャストコート法による光沢媒体に比べ高くなっている。また、廃棄する場合には、複合素材であることからリサイクルができていないといった問題もある。
キャストコート法による従来のインクジェット記録用光沢紙については、この点有利であるが、前記した品質面での問題があり、これらの課題を解決するために各種の提案がなされている。
例えば、記録層表面の平均粗さ、光沢度及び記録紙の透気度を規定することで表面の平滑性が高く、画質の高級感に優れるインクジェット記録用紙が得られるとの提案がある(例えば、特許文献1を参照。)。
また、記録層表面の亀裂の大きさ及び個数を規定することによって優れた光沢感及びインク受容性を有するインクジェット記録用シートが得られるとの提案もある(例えば、特許文献2を参照。)。
さらに、パールネックレス状のコロイダルシリカを含むインクジェット記録シートの提案もある(例えば、特許文献3を参照。)。
また、近年、インクの吸収速度が速く、銀塩写真並の光沢感を有する、アルミナ水和物と水溶性バインダーとを混合して塗工した記録シートが提案されている(例えば、特許文献4を参照。)。
特開平06−72017号公報 特開平11−348416号公報 特開2000−108506号公報 特開平06−055829号公報
しかし、特許文献2で開示される技術は、亀裂数が少なすぎると光沢感が増す一方、インク吸収性が低下しているという問題点もある。また、特許文献3で開示される技術は、パールネックレス状のコロイダルシリカを使用することで印字品質、特にインク吸収性の向上には一定の効果があるが、表面強度及び光沢感が必ずしも満足できるには至っていない。さらに、特許文献4で開示される技術は、光沢感が非常に優れているという特徴を持つが、光沢感に優れているが故に光沢面に傷が入りやすいという欠点を持つ。例えば、葉書用途に使用する場合に裏面に宛名印刷をするが、印刷時の給紙部ガイドによる擦れ及び排紙部の吸引車との擦れによって傷が付きやすいという欠点を持っている。また、インクジェットプリンターでの宛名印刷時に、光沢面と給紙ローラーとの接触によって傷が入りやすいという欠点も、問題となる。いずれにせよ、キャストコート法によって製造された特許文献1〜4等の従来のインクジェット記録用光沢紙において、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造された媒体を超える画質と均一な光沢感とを有し、かつ、非常に優れた耐擦過性を合わせ持つ記録媒体は無いのが現状である。
そこで、本発明は、良好なインク吸収性を持ちながら、銀塩写真並の高光沢感を有し、更に光沢面の耐擦過性にも優れ、印画紙基材又はフィルム基材を用いて製造された媒体に匹敵する画質と均一な光沢感を有し、かつ、リサイクル可能なインクジェット記録用光沢紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、光沢発現層がθ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有することによって前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層上に顔料及び結着剤を主成分とする光沢発現層が設けられ、該光沢発現層の表面の写像性(JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」)が55%以上であるインクジェット記録用光沢紙であって、前記光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを前記顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有していることを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層は、前記インク受容層上に前記顔料及び前記結着剤を含有する塗工液を塗布して塗工層を形成した後、該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート法によって形成されていることを含む。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層は、前記ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム又はヒドロキシ塩化ジルコニウムのいずれか1種或いはこれら2種以上の混合物を含有していることが好ましい。前記光沢発現層の表面強度が向上し、前記インクジェット記録用光沢紙の耐擦過性がより優れる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記ジルコニウム化合物の含有量は、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対してZrO換算で0.01〜20質量部であることが好ましい。前記インクジェット記録用光沢紙の耐擦過性とインク吸収性とをバランスさせることができる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記シリカの表面を修飾している前記アルミナの含有量は、前記シリカに対して1×10−4〜20質量%であることが好ましい。前記光沢発現層の表面強度が向上し、前記インクジェット記録用光沢紙の耐擦過性がより優れる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層は、前記顔料として気相法シリカをさらに含有していることが好ましい。前記インクジェット記録用光沢紙の画像鮮明性とインク吸収性とを高いレベルでバランスさせることができる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層は、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有していることが好ましい。前記インクジェット記録用光沢紙のインク吸収性と光沢感とを高いレベルでバランスさせながら、凝固力が強くなるが故に前記光沢発現層の表面強度が増し、前記インクジェット記録用光沢紙の耐擦過性がより優れる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層は、前記結着剤としてカチオン性アクリル樹脂を含有していることが好ましい。カチオン性アクリル樹脂は、透明性が高いため、前記光沢発現層の透明性を損ないにくく、画像鮮明性が良好になり、耐光性に優れるため前記インクジェット記録用光沢紙の保存性を悪化させにくいという効果も得られる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記カチオン性アクリル樹脂は、カチオン性アクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。カチオン性アクリルシリコーン樹脂がドラム密着性に優れるため、前記インクジェット記録用光沢紙は、高光沢感が有り、かつ、耐擦過性がより優れる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層の前記結着剤の含有量は、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対して5〜30質量部であることが好ましい。前記インクジェット記録用光沢紙の画質をより高くできる。
本発明に係るインクジェット記録用光沢紙では、前記光沢発現層は、前記キャストコート法の凝固法で形成され、凝固剤としてホウ素化合物を含有していることが好ましい。前記インクジェット記録用光沢紙は、より均一な光沢感を得ることができる。
上述したように、本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、非常に良好な光沢感、インク吸収性及び耐擦過性を高いレベルでバランスさせながら、良好な発色性を有する。本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、紙を基材としていることから、フィルム層を有する印画紙基材に比べ製造コストも低く、廃棄する場合には、リサイクル可能であり資源の有効利用という観点からも好ましい。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、インク受容層上に顔料及び結着剤を主成分とする光沢発現層が設けられ、光沢発現層の表面の写像性(JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」)が55%以上であるインクジェット記録用光沢紙であって、光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有している。
(光沢発現層の構成)
通常、キャストコート法によるインクジェット記録用光沢紙の光沢発現層の顔料としては、球状コロイダルシリカを使用することが一般的である。球状コロイダルシリカは、表面強度が強くなる傾向があるため耐擦過性は強くなるが、インク吸収性が比較的悪いために光沢感とインク吸収性とを高いレベルでバランスさせることが非常に困難である。また、非球状コロイダルシリカとしてパ−ルネックレス状のコロイダルシリカが知られているが、球状コロイダルシリカに比べインク吸収性は良好となるが、光沢感が劣る及び表面強度が弱いという問題がある。
一方、顔料としてアルミナを使用することによってインク吸収性に優れ、かつ、染料インク及び顔料インクの発色性に優れ、かつ、光沢感にも優れているインクジェット記録用光沢紙を得ることはできる。だが、前記したように傷が付きやすく、耐擦過性についてはコロイダルシリカと比較してもかなりのレベルで劣るため、印字品質、光沢感及び耐擦過性を高いレベルで維持するのが非常に困難である。本実施形態における光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有していることが特徴である。ここで、光沢発現層は、θ−アルミナ及びγ−アルミナの両方を顔料として含有しても良い。これによって、印字品質、光沢感及び耐擦過性を高いレベルで維持することが可能となる。
本実施形態で用いるθ−アルミナ及び/又はγ−アルミナは、微粒子であって、粒径が10nm〜1μmであることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。このアルミナのBET比表面積が50〜220m/gであることが好ましく、55〜150m/gであることがより好ましい。光沢発現層の光沢面の耐擦過性、その表面の光沢感及びインク吸収性をより高いレベルでバランスさせることができる。アルミナのBET比表面積が50m/g未満であると耐擦過性が向上するが、インク吸収性が悪化する傾向にある。一方、アルミナのBET比表面積が220m/gを超えるとインク吸収性が向上するが、耐擦過性が悪化していく虞がある。また、θ−アルミナ又はγ−アルミナ以外の結晶構造を有するアルミナを使用した場合は、インク吸収性と光沢面の耐擦過性とを両立させることが困難となる。
本実施形態で用いるθ−アルミナ又はγ−アルミナは、いかなる方法によって得られたものであっても良い。また、θ−アルミナ及びγ−アルミナの「θ及びγ」は、アルミナの結晶形を意味しており、X線回折測定によって判定できる。
また、本実施形態における光沢発現層は、シリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカを含有していることが必要不可欠である。本実施形態で用いるアルミナ修飾シリカは、いかなる方法によって得られても良い。本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とアルミナ修飾シリカとを併用することによって、光沢発現層の表面強度が強くなり、かつ、光沢面の摩擦係数が減少する。これらの効果によって、光沢面の耐擦過性が向上する。本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、シリカの表面を修飾しているアルミナの含有量は、シリカに対して1×10−4〜20質量%であることが好ましく、1×10−2〜5質量%であることがより好ましい。このような範囲で、上述の特性がより強く得られる。
また、本実施形態における光沢発現層には、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方及びアルミナ修飾シリカの他に公知の顔料1種以上を適宜選定して使用することもできる。本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層は、顔料として気相法シリカをさらに含有していることが好ましい。インクジェット記録用光沢紙の画像鮮明性とインク吸収性とを高いレベルでバランスさせることができる。また、上記以外の顔料としては、例えば、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、擬ベーマイト、α−アルミナ、β−アルミナ、σ−アルミナ、球状コロイダルシリカ、パ−ルネックレス状コロイダルシリカ又は複数個の粒子がランダムに凝集した形状を持つコロイダルシリカがある。
また、本実施形態における光沢発現層は、ジルコニウム化合物を含有していることが必要不可欠である。このジルコニウム化合物は、架橋剤としての役割を為す。光沢発現層がジルコニウム化合物を含有していることによって、無機微粒子と結着剤の架橋効果による結合が強くなり表面強度が向上する。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層は、ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム又はヒドロキシ塩化ジルコニウムのいずれか1種或いはこれら2種以上の混合物を含有していることが好ましい。光沢発現層の表面強度が向上し、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙の耐擦過性がより優れる。また、これらを主成分とする薬剤も、本実施形態で好ましく用いられる。上記以外のジルコニウム化合物としては、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、リン酸ジルコニウム、リン酸ナトリウムジルコニウム、硫酸ジルコニウム又は酸塩化ジルコニウムがあり、これらのうちの一種を単独で使用又は二種以上を併用しても良い。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、ジルコニウム化合物の含有量は、光沢発現層に含有される顔料100質量部に対してZrO換算で0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。光沢発現層の表面強度が向上し、インクジェット記録用光沢紙の耐擦過性がより優れる。ジルコニウム化合物の含有量が、0.01質量部未満では耐擦過性の改善効果に乏しく、20質量部を超える部数ではインク吸収性に弊害をもたらす虞がある。
また、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層は、結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有していることが好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールは、無機物に対する接着性が極めて高いため、インク吸収性と光沢感とを高いレベルでバランスさせながら、凝固力も強いために表面強度を高くすることが可能となる。シラノール変性ポリビニルアルコールの変性度及び重合度は、適宜選択することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層は、結着剤としてカチオン性アクリル樹脂を含有していることが好ましい。カチオン性アクリル樹脂は、キャストドラムと塗工層との密着性を高めることによって光沢感を向上させる効果がある。また、カチオン性アクリル樹脂は、透明性が高いため、光沢発現層の透明性を損ないにくく、画像鮮明性が良好になり、耐光性に優れるため本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙の保存性を悪化させにくいという効果も得られる。
また、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、カチオン性アクリル樹脂は、カチオン性アクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。カチオン性アクリルシリコーン樹脂が更にドラム密着性に優れるため、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、高光沢感が有り、かつ、耐擦過性がより優れる。
カチオン性アクリルシリコーン樹脂としては、例えば、アクリル酸系重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させることによって調整したブロック重合体又はグラフト重合体がある。このオルガノポリシロキサンとしては、−OH官能基を有する線状重合体があり、下記の化合物がある。
Figure 2007331302
但し、nは、10〜5000。
前記したアクリル酸系重合体は、α、β−不飽和酸又はそのエステル等のモノマーを重合反応させて得られた重合体若しくは共重合体である。該α、β−不飽和酸又はそのエステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、又は、それらのメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、ステアリルエステル、2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチルヘキシルエステル又は3−ヒドロキシプロピルエステルがある。また、該α、β−不飽和酸又はそのエステルとともに重合するコモノマーとしては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルがある。
さらに、光沢発現層の前記した結着剤と併用できる他の結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、スチレン・アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類の樹脂類がある。
光沢発現層の結着剤の含有量は、記録媒体の印字適性、光沢発現層の強度及び塗工液性を考慮して決定される。本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層の結着剤の含有量は、光沢発現層に含有される顔料100質量部に対して5〜30質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。光沢発現層の結着剤の含有量が、5質量部未満では塗工層の強度が劣り、30質量部を超えるとインク吸収性に悪影響を及ぼす。
さらに、光沢発現層には、インクジェット記録用インクを定着させるためのカチオン性ポリマー、離型剤、分散剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、耐水化剤、レべリング剤、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等の添加剤を適宜選定して添加しても良い。
本実施形態における光沢発現層は、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、コンマコーター又はブレードコーター等の公知の塗工機を用いて塗工しても良い。このときの塗工量は、固形分換算で3〜40g/mが好ましく、5〜30g/mがより好ましい。前記した塗工量が40g/mを超えると生産性が劣り、前記した塗工量が3g/m未満の場合には光沢面が形成しにくくなる。
本実施形態における光沢発現層は、その表面の写像性(JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」)が55%以上である。上記の写像性を実現するために、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層は、インク受容層上に顔料及び結着剤を含有する塗工液を塗布して塗工層を形成した後、塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート法によって形成されている場合を含む。キャストコート法には、ウエット法、凝固法又はリウエット法が知られており、本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙では、光沢発現層は、キャストコート法の凝固法で形成され、凝固剤としてホウ素化合物を含有していることが好ましい。凝固法においては、塗工層の結着剤と効果的に凝固する凝固剤を選定することが重要であり、さらに好ましいのは、ホウ酸ナトリウム及び/又はホウ酸である。なお、凝固剤にインクを定着させるためのカチオン性ポリマーを添加することも可能である。また、塗工から凝固剤を付与するまでの時間、凝固剤を付与してキャストドラムに到達するまでの時間、キャストドラム温度、圧着する際の圧力、ライン速度を調整することでより光沢度の高い光沢発現層が形成できる。これらの諸条件については、使用する設備、塗工液に応じて最適条件を求めることで適正化する必要がある。
また、キャストコート法による処理の後にマシンカレンダー、ソフトカレンダー又はスーパーカレンダー等のカレンダー処理を行っても良い。また、裏面に水やカール調整剤を塗布したり又は加湿したりしてカール調整を行うこともできる。
(インク受容層の構成)
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、基材上、かつ、光沢発現層の下に1層以上のインク受容層を設ける。インク受容層は、白色顔料と結着剤とから構成される。
インク受容層に用いる顔料は、公知の白色顔料を1種以上含み、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、サチンホワイト、合成シリカ、コロイダルシリカ又はアルミナ等の白色無機顔料或いはアクリル、スチレン、エチレン、塩化ビニル又はナイロン等の有機顔料がある。
本実施形態で用いるインク受容層の結着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリエチレンイミド系樹脂、ポリビニルピロヒドリン系樹脂、ポリアクリル酸又はその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類の樹脂類があり、これらのうちの一種を単独で使用又は二種以上を併用しても良い。インク受容層の結着剤の使用量は、記録媒体の印字適性、インク受容層の強度及び塗工液性を考慮して決定される。通常、インク受容層の結着剤は、インク受容層に含有される顔料の重量に対し1〜200質量%添加することが好ましく、5〜100質量%添加することがより好ましい。インク受容層の結着剤の添加量が、1質量%未満の場合は、塗工層の強度が劣る。また、200質量%を超える場合は、インク吸収性に悪影響を及ぼす。
本実施形態において、インク受容層の顔料及び結着剤以外にカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。カチオン性ポリマーの作用としては、インク中に使用されている染料中のアニオン成分と反応し水に不溶な塩を形成することから、インクを定着させ、耐水性が向上する。前記したカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレ−ト塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物又はその他第4級アンモニウム塩類又はポリアミンがある。カチオン性ポリマーの添加量は、特に限定されないが、インク受容層に含有される顔料100質量部に対し1〜50質量部添加することが好ましく、3〜20質量部添加することがより好ましい。カチオン性ポリマーの添加量が、1質量部未満の場合は、インク耐水性が劣る。また、50質量部を超える場合は、インク吸収性に悪影響を及ぼす。
カチオン性ポリマー以外のインク受容層の添加剤として、消泡剤、潤滑剤、分散剤、湿潤剤、蛍光増白剤、着色染料、着色顔料、増粘剤、防腐剤、耐水化剤、紫外線吸収剤又は酸化防止剤を必要に応じて使用しても良い。
本実施形態におけるインク受容層は、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、コンマコーター又はブレードコーター等の公知の塗工機を用いて塗工しても良い。このときの塗工量は、特に限定されないが、固形分換算で3g/m以上とすることが好ましく、5〜20g/mとすることがより好ましい。前記した塗工量が3g/m未満の場合にはインク吸収性が劣る場合がある。
また、インク受容層を塗工後、一定の平滑性を出すためにスーパーカレンダー、マシンカレンダー又はソフトカレンダー等の公知のカレンダー装置を用いても良い。
(基材の構成)
本実施形態で使用する基材は、例えば、通常の上質紙、中質紙又は白板紙等の紙基材とする。燃料としてリサイクルされる場合を考慮し、塩素含有量の少ない無塩素漂白パルプとして、ECF(分子状塩素を使用しない)パルプ及び/又はTCF(塩素化合物を一切使用しない)パルプを原料パルプとして使用することが好ましい。
キャストコート時における塗工液の過度の浸透を抑えるために、サイズプレスで澱粉又はポリビニルアルコール等の水溶性高分子を塗工した原紙を使用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は特に明示しない限り固形質量部及び固形質量%を示す。
(実施例1)
酸化澱粉で表面処理した坪量160g/mの上質紙に、合成シリカ(ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)100質量部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部及びエチレン・酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−6:昭和高分子社製)40質量部、添加剤としてカチオン性ポリマー(パピオゲンP−105:センカ社製)30質量部を用い、固形分16%の塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗布し、乾燥してインク受容層を塗工した。次いで、光沢発現層の顔料としてBET比表面積55m/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)20質量部と、ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム(ジルコゾールZN:第一希元素化学工業社製)3部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA420:クラレ社製)10部、添加剤としてカチオン性ポリマー(スミレーズレジン1001:住友化学社製)10質量部、離型剤としてポリエチレンエマルジョン(SNコート287:サンノプコ社製)1質量部とを用いて固形分20%の塗工液を得た。この塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/mとなるように塗布し、次いでホウ酸ナトリウム3%水溶液を塗布して凝固処理を行ったのち、得られた光沢発現層の表面が湿潤状態にあるうちに表面温度100℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例2)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積150m/gのアルミナ(AKP−G015、結晶形−γ型:住友化学社製)60質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)40質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例3)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積80m/gのアルミナ(AKP−G008、結晶形−θ型:住友化学社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)20質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例4)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積220m/gのアルミナ(TM−300、結晶形−γ型:大明化学工業社製)50質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)50質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例5)
光沢発現層の結着剤として、シラノール変性ポリビニルアルコール(R−1130:クラレ社製)2質量部、ポリビニルアルコール(PVA420:クラレ社製)5質量部及びカチオン性アクリル樹脂(ビニブラン2580:日信化学工業社製)7質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例6)
光沢発現層の結着剤として、シラノール変性ポリビニルアルコール(R−1130:クラレ社製)2質量部、ポリビニルアルコール(PVA420:クラレ社製)5質量部及びカチオン性アクリルシリコーン樹脂(アクアブリッド922:ダイセル化学工業社製)7質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例7)
光沢発現層のジルコニウム化合物として、酢酸ジルコニウム(日本軽金属社製)3部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例8)
光沢発現層のジルコニウム化合物として、ヒドロキシ塩化ジルコニウム(日本軽金属社製)3部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例9)
光沢発現層の顔料として、BET比表面積55m/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(Sylojet4001:グレースデビソン社製)20質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例10)
光沢発現層の顔料として、BET比表面積55m/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(シリカドール20P:日本化学社製)20質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(実施例11)
光沢発現層の顔料として、BET比表面積55m/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部、アルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)10質量部及び気相法シリカ(アエロジル200:日本アエロジル社製)10質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例1)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積10m/gのアルミナ(AKP−30、結晶形−α型:住友化学社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例2)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積275m/gのアルミナ(カタロイド AP−1、結晶形−擬べ−マイト型:触媒化成社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例3)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積220m/gのアルミナ(TM−300、結晶形−γ型:大明化学工業社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例4)
光沢発現層の顔料としてBET比表面積55m/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例5)
光沢発現層のジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム(ジルコゾールZN:第一希元素化学工業社製)を添加しなかったこと以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例6)
光沢発現層の顔料としてパールネックレス状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−MO:日産化学工業社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
(比較例7)
インク受容層を設けなかったこと以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
上記インクジェット記録用光沢紙について以下の試験を実施し、結果を表1及び表2に示した。
(画像鮮明性)
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−900C」を用いて印字した。印字した画像を目視し、画像鮮明性の評価を行った。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用上良好である。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用上問題ない。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用不可。
(インク吸収性)
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−900C」を用いてCMYK及びRGBのベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字の滲みの程度を目視し、インク吸収性の評価を行った。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用上良好である。
○:境界の滲みが目立たず、文字が鮮明であり、実用上問題ない。
△:境界の滲みが目立ち、文字が不鮮明で、実用上問題がある。
×:境界の滲みがひどく、文字が判別できなくなり、実用不可。
(写像性)
光沢発現層の表面の光沢感を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じて、光学くし巾2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定し評価した。このとき、写像性が55%以上であれば、反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れており、実用上問題ない。一方、写像性が55%未満であれば、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、実用上問題がある。
(耐擦過性)
オフセット印刷機(LITHRON40、KOMORI社製)にインクジェット記録用光沢紙を20枚セットして、8000枚/時の印刷速度で裏面側の印刷を行った際に発生した光沢発現層の表面の擦り傷の度合いを目視し、耐擦過性の評価を行った。
◎:擦り傷が全く無く良好であり、実用上良好である。
○:擦り傷が僅かに認められるが、実用上問題ない。
△:擦り傷が明らかに認められ、実用上問題がある。
×:擦り傷が著しく認められ、実用不可。
Figure 2007331302
Figure 2007331302
(評価結果)
表1及び表2から明らかなように、1層以上のインク受容層上に設けられた光沢発現層がθ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有している実施例1〜11のインクジェット記録用光沢紙は、比較例1〜7のインクジェット記録用光沢紙に比べて印字品質と光沢感及び耐擦過性に優れていることが判った。

Claims (11)

  1. 基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層上に顔料及び結着剤を主成分とする光沢発現層が設けられ、該光沢発現層の表面の写像性(JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」)が55%以上であるインクジェット記録用光沢紙であって、
    前記光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを前記顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有していることを特徴とするインクジェット記録用光沢紙。
  2. 前記光沢発現層は、前記インク受容層上に前記顔料及び前記結着剤を含有する塗工液を塗布して塗工層を形成した後、該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート法によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  3. 前記光沢発現層は、前記ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム又はヒドロキシ塩化ジルコニウムのいずれか1種或いはこれら2種以上の混合物を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  4. 前記ジルコニウム化合物の含有量は、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対してZrO換算で0.01〜20質量部であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  5. 前記シリカの表面を修飾している前記アルミナの含有量は、前記シリカに対して1×10−4〜20質量%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  6. 前記光沢発現層は、前記顔料として気相法シリカをさらに含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  7. 前記光沢発現層は、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  8. 前記光沢発現層は、前記結着剤としてカチオン性アクリル樹脂を含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  9. 前記カチオン性アクリル樹脂は、カチオン性アクリルシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  10. 前記光沢発現層の前記結着剤の含有量は、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対して5〜30質量部であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載のインクジェット記録用光沢紙。
  11. 前記光沢発現層は、前記キャストコート法の凝固法で形成され、凝固剤としてホウ素化合物を含有していることを特徴とする請求項2、3、4、5、6、7、8、9又は10に記載のインクジェット記録用光沢紙。
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