JP2007331302A - インクジェット記録用光沢紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用光沢紙は、基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、インク受容層上に顔料及び結着剤を主成分とする光沢発現層が設けられ、光沢発現層の表面の写像性が55%以上であるインクジェット記録用光沢紙であって、光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有していることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(a)インクの吸収性及び乾燥性が高いこと、
(b)印字濃度が高いこと、
(c)ドットの広がりやひげ状の滲みが無いこと
等があげられる。一般の普通紙でも一定以上のサイズ性があれば、滲みも少なくある程度の印字品質が期待できる。一方、より高い印字品質を求める場合には、媒体上にインクジェットプリンターのインクに対して適性のあるインク受容層を各種基材上に設けた専用の媒体が使用される。これらインクジェット記録専用の媒体としては、紙やフィルムを支持体として、顔料と結着剤とを主成分とする顔料塗工層又は顔料を含まない樹脂塗工層を表面に設けたものが多く使用される。
(d)ドットの真円性が高く、画像再現性が良好なこと、
(e)耐水性及び耐光性が良好であること、
(f)画像領域及び白紙部分の光沢感が高いこと
等があげられる。
通常、キャストコート法によるインクジェット記録用光沢紙の光沢発現層の顔料としては、球状コロイダルシリカを使用することが一般的である。球状コロイダルシリカは、表面強度が強くなる傾向があるため耐擦過性は強くなるが、インク吸収性が比較的悪いために光沢感とインク吸収性とを高いレベルでバランスさせることが非常に困難である。また、非球状コロイダルシリカとしてパ−ルネックレス状のコロイダルシリカが知られているが、球状コロイダルシリカに比べインク吸収性は良好となるが、光沢感が劣る及び表面強度が弱いという問題がある。
本実施形態に係るインクジェット記録用光沢紙は、基材上、かつ、光沢発現層の下に1層以上のインク受容層を設ける。インク受容層は、白色顔料と結着剤とから構成される。
本実施形態で使用する基材は、例えば、通常の上質紙、中質紙又は白板紙等の紙基材とする。燃料としてリサイクルされる場合を考慮し、塩素含有量の少ない無塩素漂白パルプとして、ECF(分子状塩素を使用しない)パルプ及び/又はTCF(塩素化合物を一切使用しない)パルプを原料パルプとして使用することが好ましい。
酸化澱粉で表面処理した坪量160g/m2の上質紙に、合成シリカ(ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)100質量部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)10質量部及びエチレン・酢酸ビニル(ポリゾールEVA AD−6:昭和高分子社製)40質量部、添加剤としてカチオン性ポリマー(パピオゲンP−105:センカ社製)30質量部を用い、固形分16%の塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/m2となるように塗布し、乾燥してインク受容層を塗工した。次いで、光沢発現層の顔料としてBET比表面積55m2/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)20質量部と、ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム(ジルコゾールZN:第一希元素化学工業社製)3部と、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA420:クラレ社製)10部、添加剤としてカチオン性ポリマー(スミレーズレジン1001:住友化学社製)10質量部、離型剤としてポリエチレンエマルジョン(SNコート287:サンノプコ社製)1質量部とを用いて固形分20%の塗工液を得た。この塗工液をエアーナイフコーターで絶乾塗工量10g/m2となるように塗布し、次いでホウ酸ナトリウム3%水溶液を塗布して凝固処理を行ったのち、得られた光沢発現層の表面が湿潤状態にあるうちに表面温度100℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積150m2/gのアルミナ(AKP−G015、結晶形−γ型:住友化学社製)60質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)40質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積80m2/gのアルミナ(AKP−G008、結晶形−θ型:住友化学社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)20質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積220m2/gのアルミナ(TM−300、結晶形−γ型:大明化学工業社製)50質量部及びアルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)50質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の結着剤として、シラノール変性ポリビニルアルコール(R−1130:クラレ社製)2質量部、ポリビニルアルコール(PVA420:クラレ社製)5質量部及びカチオン性アクリル樹脂(ビニブラン2580:日信化学工業社製)7質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の結着剤として、シラノール変性ポリビニルアルコール(R−1130:クラレ社製)2質量部、ポリビニルアルコール(PVA420:クラレ社製)5質量部及びカチオン性アクリルシリコーン樹脂(アクアブリッド922:ダイセル化学工業社製)7質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層のジルコニウム化合物として、酢酸ジルコニウム(日本軽金属社製)3部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層のジルコニウム化合物として、ヒドロキシ塩化ジルコニウム(日本軽金属社製)3部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料として、BET比表面積55m2/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(Sylojet4001:グレースデビソン社製)20質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料として、BET比表面積55m2/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部及びアルミナ修飾シリカ(シリカドール20P:日本化学社製)20質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料として、BET比表面積55m2/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)80質量部、アルミナ修飾シリカ(VP3375:日本アエロジル社製)10質量部及び気相法シリカ(アエロジル200:日本アエロジル社製)10質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積10m2/gのアルミナ(AKP−30、結晶形−α型:住友化学社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積275m2/gのアルミナ(カタロイド AP−1、結晶形−擬べ−マイト型:触媒化成社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積220m2/gのアルミナ(TM−300、結晶形−γ型:大明化学工業社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてBET比表面積55m2/gのアルミナ(PG−003、結晶形−γ、θ混合:CABOT社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層のジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム(ジルコゾールZN:第一希元素化学工業社製)を添加しなかったこと以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
光沢発現層の顔料としてパールネックレス状コロイダルシリカ(スノーテックスPS−MO:日産化学工業社製)100質量部とした以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
インク受容層を設けなかったこと以外は、実施例1に記載した通りの条件でインクジェット記録用光沢紙を作製した。
ISO標準画像(ISO/JIS−SCID高精細カラーデジタル標準画像データ、画像の名称:ポートレート、画像の識別番号:N1)をセイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−900C」を用いて印字した。印字した画像を目視し、画像鮮明性の評価を行った。
◎:記録画像が非常に鮮明でコントラストがはっきりしており、実用上良好である。
○:記録画像が鮮明でコントラストがはっきりしており、実用上問題ない。
△:記録画像が鮮明であるがコントラストがはっきりしなく、色が沈んでおり、実用上問題がある。
×:記録画像が不鮮明で、色が沈んでおり、実用不可。
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−900C」を用いてCMYK及びRGBのベタ(100%濃度)及び文字を印字した。ベタ部の各色の境界及び文字の滲みの程度を目視し、インク吸収性の評価を行った。
◎:境界がくっきりしてにじみが全く無く、文字が鮮明であり、実用上良好である。
○:境界の滲みが目立たず、文字が鮮明であり、実用上問題ない。
△:境界の滲みが目立ち、文字が不鮮明で、実用上問題がある。
×:境界の滲みがひどく、文字が判別できなくなり、実用不可。
光沢発現層の表面の光沢感を評価するために写像性を測定した。写像性は、JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」に準じて、光学くし巾2mmにて入反射角度60°とし、写像性測定器(ICM−1T:スガ試験機社製)にて測定し評価した。このとき、写像性が55%以上であれば、反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れており、実用上問題ない。一方、写像性が55%未満であれば、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣り、実用上問題がある。
オフセット印刷機(LITHRON40、KOMORI社製)にインクジェット記録用光沢紙を20枚セットして、8000枚/時の印刷速度で裏面側の印刷を行った際に発生した光沢発現層の表面の擦り傷の度合いを目視し、耐擦過性の評価を行った。
◎:擦り傷が全く無く良好であり、実用上良好である。
○:擦り傷が僅かに認められるが、実用上問題ない。
△:擦り傷が明らかに認められ、実用上問題がある。
×:擦り傷が著しく認められ、実用不可。
表1及び表2から明らかなように、1層以上のインク受容層上に設けられた光沢発現層がθ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有している実施例1〜11のインクジェット記録用光沢紙は、比較例1〜7のインクジェット記録用光沢紙に比べて印字品質と光沢感及び耐擦過性に優れていることが判った。
Claims (11)
- 基材の少なくとも片面に1層以上のインク受容層が設けられ、該インク受容層上に顔料及び結着剤を主成分とする光沢発現層が設けられ、該光沢発現層の表面の写像性(JIS H8686−2:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性試験方法−第2部:機器測定法」)が55%以上であるインクジェット記録用光沢紙であって、
前記光沢発現層は、θ−アルミナ又はγ−アルミナの少なくともいずれか一方とシリカの表面がアルミナによって修飾されているアルミナ修飾シリカとを前記顔料として含有し、かつ、ジルコニウム化合物を含有していることを特徴とするインクジェット記録用光沢紙。 - 前記光沢発現層は、前記インク受容層上に前記顔料及び前記結着剤を含有する塗工液を塗布して塗工層を形成した後、該塗工層を加熱された鏡面仕上げの金属面に圧着してなるキャストコート法によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記光沢発現層は、前記ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム又はヒドロキシ塩化ジルコニウムのいずれか1種或いはこれら2種以上の混合物を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記ジルコニウム化合物の含有量は、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対してZrO2換算で0.01〜20質量部であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記シリカの表面を修飾している前記アルミナの含有量は、前記シリカに対して1×10−4〜20質量%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記光沢発現層は、前記顔料として気相法シリカをさらに含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記光沢発現層は、前記結着剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記光沢発現層は、前記結着剤としてカチオン性アクリル樹脂を含有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記カチオン性アクリル樹脂は、カチオン性アクリルシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記光沢発現層の前記結着剤の含有量は、前記光沢発現層に含有される前記顔料100質量部に対して5〜30質量部であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載のインクジェット記録用光沢紙。
- 前記光沢発現層は、前記キャストコート法の凝固法で形成され、凝固剤としてホウ素化合物を含有していることを特徴とする請求項2、3、4、5、6、7、8、9又は10に記載のインクジェット記録用光沢紙。
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