JP2007329143A - 磁性金属薄帯積層体およびそれを用いたアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】
自動車用キーレスエントリーシステム等に用いられる、120〜130kHzの周波数帯域での通信に好適に用いられる、小型高性能のアンテナコアを、歩留まり良く安価に提供することを課題とする。
【解決手段】
片面又は両面の少なくとも一部に、耐熱性樹脂又は耐熱性樹脂の前駆体を付与した、鉄を主成分とする非晶質金属薄帯の積層体であって、磁気特性を向上させるための処理を300℃以上450℃以下の温度でかつ0.001MPa以上0.2MPa以下の圧力で施したことを特徴とする、磁性金属薄帯積層体をアンテナコアとして用いる。
【選択図】 なし
Description
このようなシステムの通信には120〜130kHzの周波数帯域の電波が使用されており、例えば特開2000−160897号公報(特許文献1)には自動車のドアハンドルに内蔵するフェライトをアンテナコアとするアンテナが開示されている。しかしフェライトは安価ではあるが、衝撃に弱く破損しやすく、また、最大磁束密度が0.6T程度と金属系の軟磁性材料に比べて低いため、小型化・薄型化しにくいという問題点がある。
一般に非晶質金属(アモルファス磁性)薄帯は所望の磁気特性を発現させるために熱処理を施すが、該熱処理を加えると非晶質金属(アモルファス磁性)薄帯は極めてもろくなる。
特許文献2の記載によれば、非晶質金属(アモルファス磁性)薄帯を先ず大気雰囲気中で550℃で1時間処理した後、該薄帯を30枚積層し、その状態で金型内に挿入し、エポキシ樹脂を用いて120℃で2時間加熱硬化させるかあるいはウレタンポッティング材を用いて80℃で2時間加熱硬化させてアンテナコアを形成している。550℃で1時間熱処理した非晶質金属(アモルファス磁性)薄帯は極めてもろくなっているため、これを30枚積層して金型に入れる作業は極めて困難で歩留まりが悪いという問題がある。
また、特許文献2の記載によれば、厚さ20μmの非晶質金属(アモルファス磁性)薄帯を30枚重ねて得られた積層体の厚さが1.0mmであることから、その(磁性薄帯単層の厚さ)×(積層枚数)÷(積層後の積層体の厚さ)×100で定義される占積率は60%と計算される。60%という占積率の値は低く、励振磁界に対して磁束飽和が生じやすいため、アンテナコアの小型化・薄型化に不利という問題がある。
しかし特許文献3に開示した発明は、その用途として主に電動機や発電機のロータやステータとして用いた場合に良好な磁気特性を発現させることを目的としていたため、120〜130kHzの周波数帯域での通信に用いるアンテナコアとしては十分な磁気特性を発現していないという問題がある
本発明の磁性金属薄帯積層体は、1.0T以上2.0T以下の最大磁束密度を有し、0.1Tの励振磁束密度を100kHzで印加した際の鉄損が、80W/kg以下となるため120〜130kHzの周波数帯域で使用する通信装置で用いた場合に、高感度なアンテナコアである。
本発明においては、単層の非晶質金属磁性薄帯に樹脂層を付与したものを磁性基材と定義し、磁性基材を複数枚積層して一体化したものを磁性基材積層体と定義する。
まず、本発明の磁性基材を構成する材料および製造方法について説明する。磁性基材は非晶質金属薄帯と耐熱性樹脂から構成され、それぞれの材料は以下に説明する範囲から選択し構成および作製される。
本発明の磁性基材に好適に用いられる非晶質金属薄帯としては、Fe系の非晶質金属薄帯が挙げられる。種々の非晶質金属薄帯の中でもFe系の非晶質金属薄帯は、最大磁束密度が大きいことから小型化・薄型化に有利であり、特に大出力化が要求される自動車用キーレスエントリーシステム用途には好適である。
Fe系の非晶質金属薄帯にも種々のものがあるが、Fe−Si−B系、Fe−B系やFe−P−C系等のFe−半金属系非晶質薄帯やFe−Zr系、Fe−Hf系、Fe−Ti系等のFe−遷移金属系非晶質薄帯を挙げることができる。具体的に組成式(原子数比)で表すと、Fe78Si9B13、Fe78Si10B12、Fe81Si13.5B13.5、Fe81Si13.5B13.5C2、Fe77Si5B16Cr2、Fe66Co18Si1B15、Fe74Ni4Si2B17Mo3等が例示できる。中でもFe78Si9B13、F377Si5B16Cr2が好適であり、特にFe78Si9B13が最も好ましく用いることが出来る。
これらの非晶質金属薄帯は、例えば日立金属株式会社の商標名「METGLAS」の型番2605TCA、2605SC、2605S3A、2605SA1や、同社製のナノ結晶軟磁性材料である商標名「ファインメット」の型番FT−1H、FT−1M、FT−3H、FT−3M、FT−3L等として購入することが出来る。また同社が2005年10月に発表した飽和磁束密度1.64Tを有する非晶質金属材料2605HB1も本発明のアモルファス金属薄帯として好適に用いることが可能である。
しかし本発明に使用する非晶質金属薄帯はこれらに限定されるものではない。
非晶質金属薄帯は、通常溶融された金属を急冷ロールに吹き付けて急冷して得られる。通常は10〜50μmの厚さであり、本発明に用いるには10〜30μmの厚さのものが好適に用いられる。
本発明の磁性基材に好適に用いられる耐熱性樹脂は、非晶質金属薄帯の磁気特性を向上させるための熱処理温度での熱分解が少ない耐熱性樹脂を選定することが必要である。したがって300〜450℃の温度での熱処理に耐える耐熱性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂はこの点から好ましくない。
本発明の磁性基材に用いる耐熱性樹脂としては、熱可塑性耐熱樹脂、非熱可塑性耐熱樹脂、熱硬化性耐熱樹脂のいずれも用いることが可能であるが、磁性基材の積層接着に好適であることから特に熱可塑性耐熱樹脂が好ましく用いられる。
具体的に例示すれば、ポリイミド系樹脂、ケイ素含有樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アリレート系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂、アミドイミド系樹脂を挙げることができる。これらのうちポリイミド系樹脂、スルホン系樹脂、アミドイミド系樹脂を用いることが好ましい。
また本発明は、これらの耐熱性樹脂の前駆体を非晶質金属薄帯に付与し、熱処理等を加えることで非晶質金属薄帯に付与した後に前駆体を耐熱性樹脂化する場合も含む。
耐熱性樹脂は、非晶質金属薄帯の片面または両面の全面もしくは少なくとも一部に付与し、磁性基材とする。この場合、耐熱性樹脂が付与される非晶質金属薄帯の面には、耐熱性樹脂が均一にむらなく付与されることが望ましい。ここで付与される面の少なくとも一部に均一にむらなく付与されるとは、100%よりも低い被覆率で均一にむらなく付与された状態を言い、後述するようにグラビアコータを用いて100%以下の被覆率の塗工パターンにて均一にむらなく付与した場合等を意味する。
非晶質金属薄帯に耐熱性樹脂を均一にむらなく付与するには、粉末状の耐熱性樹脂を非晶質金属薄帯に静電吸着させても良いし、溶媒に溶解させて溶液状またはペースト状とした耐熱性樹脂をコータを用いて非晶質金属薄帯に塗工しても良い。使用できるコータとしては、例えばロールコータ、エアドクタコータブレードコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、キスコータ、ビードコータ、キャストコータ等が例示できるし、ロールスクリーン法や浸漬コート法、スロットオリフィスコータ法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、電着コーティング法、スパッタ等の物理的な蒸着方法、CVD等の気相法を用いても良い。
また付与される面の一部に耐熱性樹脂を塗工するには、塗工パターンの溝を形成したグラビアヘッドを用いたグラビアコータ―を使用することで実施することが出来る。
アンテナコアとして用いられる磁性基材積層体を作製するには、アンテナコアの形状よりも大きな磁性基材積層体を作製した後にアンテナコアの形状に切断しても良いし、予めアンテナコアの平面形状に切り出した磁性基材を所望の厚さになるように積層しても良い。
アンテナコアの形状よりも大きな磁性基材積層体を作製した後に切断加工すると、磁性基材積層体の切断された端面において、磁性基材間の電気的な導通が増加するため鉄損が増大しやすいという問題がある。そのため、アンテナコアの形状よりも大きな磁性基材積層体を作製したのちに切断してアンテナコアを作製する場合は、切断されたアンテナコアの端面の電気的導通を遮断する処理を加えることが望ましい。
アンテナコアの平面形状に切り出した磁性基材を所望の厚さまで積層してアンテナコアを作製する方法では、上記のアンテナコアの端面の電気的導通が増加しにくいため、電気的導通を遮断するための後処理を行う必要性は低い。
磁性基材を切断するには、ダイサー切断加工、レーザー切断加工や放電ワイヤー加工に加えて、打抜き加工、シャーリング加工、スリット加工、フォトエッチング加工等の方法を用いることができる。
特に、広幅の磁性基材薄帯をスリット加工で細幅のリボンとした後にシャーリング加工または打抜き加工により所望の形状に加工する方法が、低コストな加工方法として好適に用いられる。
一方、磁性基材積層体をアンテナコア形状に切り出すには、ダイサー切断加工、レーザー切断加工、放電ワイヤー切断加工やエッチング加工等の方法を用いることが出来る。エッチング加工は、アモルファス金属薄帯のみの選択的エッチングと、耐熱性樹脂のみの選択的エッチングとを組み合わせることで、複雑な形状の磁性金属積層体を低コストで加工することも可能なため、好適な方法である。
磁性基材を積層した磁性基材積層体は、熱プレスまたは熱ロール処理等を施して非晶質金属薄帯に付与した耐熱性樹脂を溶融させて、磁性基材積層体を一体化させる。
熱プレス法を更に詳細に説明すれば、所望の厚さとなるように必要枚数の磁性基材を積層した磁性基材積層体を、2枚の金属平板で挟み込み、用いる非晶質金属薄帯および用いる耐熱性樹脂の種類により好適に設定された温度と圧力を加えて処理する。
温度は耐熱性樹脂のガラス転移温度以上で、軟化もしくは流動化性を発現する温度近傍とする。後述する非晶質金属薄帯の磁気特性を向上させるための加熱加圧処理で磁性基材積層体に加える温度よりも低い温度で処理する。したがって磁性基材を積層一体化する温度は300℃未満であり、磁性基材のを積層一体化する処理だけでは非晶質金属薄帯の所望の磁気特性を発現させることはできない。
圧力は非晶質金属薄帯と耐熱性樹脂層との間の不要な空隙を消失せしめる範囲で調節することが好ましい。非晶質金属薄帯と耐熱性樹脂層との間の不要な空隙が消失することで占積率が上がり最大磁束密度が向上するので、アンテナコアとしての特性が改善される。さらに不要な空隙が消失することで腐食性物質がアンテナコアの内部に進入しにくくなるため、耐腐食性が向上するという利点がある。具体的な圧力範囲としては概ね1〜50MPaの範囲が好ましく用いられる。
非晶質金属薄帯の磁気特性を向上させるために加圧加熱処理を施す。
加圧加熱処理条件は、非晶質金属薄帯の種類と目的とする磁気特性により異なるが、通常、大気中あるいは不活性ガス雰囲気下または真空中で行う。良好な磁気特性を発現させる温度範囲は概ね300〜500℃であり、好ましくは350〜450℃である。本発明の加圧加熱処理は300〜500℃の範囲で行われるが、この時の加圧条件としては、0.001MPa以上0.2MPa以下、更に好ましくは0.002MPa以上0.1MPa以下が好ましい。
これらの条件での処理が磁性基材積層体の磁気特性を大きく向上させるメカニズムは必ずしも明らかではないが、0.2MPa以下の低い圧力で高温に曝すことで、積層一体化処理の際に非晶質金属薄帯と耐熱性樹脂層のそれぞれに蓄積された応力が緩和されるためであると考えられる。特に非晶質金属薄帯間の電気的導通が大幅に低減され、励振磁場の周波数の2乗に比例する渦電流損失が大幅に低減することで、鉄損が大幅に改善されていると考えられる。
自動車用キーレスエントリーシステムのアンテナコアとして自動車に搭載された場合、自動車が実際に曝される高温高湿の環境下では、磁性基材積層体の表面に錆が発生する恐れがあるため、自動車用部品として実用的なものとするためには、防錆コーティングを施すことが好ましい。
防錆コーティングに用いるコーティング剤としては種々のものが知られているが、本発明の磁性基材積層体を実用的な自動車用部品として用いるためには、水透過性が低く緻密な樹脂層を形成できる樹脂材料が好適に用いられる。
例えば、エポキシ樹脂、亜鉛粉末含有エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素含有ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
これらの内、フッ素含有ポリアミドイミド樹脂、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂等を含む、フッ素樹脂材料が好適に用いられる。
防錆コーティングを行うには、前処理として被コーティング材料の表面に付着した汚れや錆等の異物の除去を行う。具体的には、有機溶剤による脱脂、サンドブラスト、ヤスリ研磨、研磨剤を用いたバフ研磨等の表面処理により、被コーティング面の汚れや異物を除去する。汚れや異物を前処理により除去した被コーティング面に対して、スプレー塗装や、粉体塗装、電着塗装、ディップ塗装等のコーティング方法を用いて防錆材をコートすることが出来る。
本発明の磁性金属薄帯積層体をアンテナコアとしたアンテナを作製することができる。例えば銅を主成分とする導線の周囲に絶縁加工を施した被覆導線を本発明の磁性金属薄帯積層体に巻回することで、アンテナを作製することが可能である。巻回する被覆導線としては公知の種々のものを用いることが可能であるが、熱融着線を用いると巻回加工時の工数を削減することができるので好適である。
(実施例1)
アモルファス金属薄帯として、日立金属株式会社製の商標名「METGLAS」の型番2605TCAを用いた。これはFe78B13Si9の組成を持つ非晶質金属薄帯であり、薄帯の幅は約213mm、薄帯の厚さは約25μmである。この薄帯の片面に、E型粘度系で測定すると約0.3Pa・sの粘度を有するポリアミド酸溶液をグラビアコータを用いて均一にむらなく塗布した。次いで140℃で溶媒のジメチルアセトアミドを乾燥した後に260℃でキュアしてアモルファス金属薄帯の片面に約3μmの厚さのポリイミド樹脂を付与した。
ここで用いたポリアミド酸溶液は、3、3’−ジアミノフェニルエーテルと、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物とを、1:0.98の割合でジメチルアセトアミド溶媒中で室温にて縮重合させて得られたものである。このポリアミド酸溶液は260℃の加熱により化学式1に示した基本構造を有するものである。
その後、磁気特性を向上させるために熱プレス機を用いて大気中で温度365℃、圧力0.004MPaを2時間印加した。
さらに加熱加圧処理により磁気特性を向上させた磁性基材積層体に防錆コーティングを行った。先ず前処理として日本ケミカル株式会社製の防錆剤商品名KC−12を用いて表面の錆を洗浄・除去した後、フッ素樹脂を積層体の全面にスプレーコートし防錆コーティングした。
50mm×10mm×t0.5mmの矩形状のアンテナコアに被覆導線を10ターン巻回して作製したアンテナを用いてL値とQ値を測定した。ヒューレットパッカード社製のインピーダンスアナライザHP4192を用いて、励振電圧レベルを0.5Vrmsとし100kHzでインダクタンスを測定し、L値とQ値とを測定した。
鉄損と透磁率は、トロイダルコアを用いて岩通計測株式会社製BHアナライザーSY8217を用いて、0.1Tの励振強度を100kHzで印加したときの鉄損を測定した。この測定条件での鉄損の値は70W/kgであった。
透磁率はヒューレットパッカード社製のインピーダンスアナライザHP4192を用いて、磁界強度0.4A/mで周波数100kHzにおける比透磁率として測定した。得られた結果は2200であった。
最大磁束密度(Bs値)は、理研電子株式会社製BHカーブトレーサを用いてトロイダルコアについて測定した。その結果は1.4Tであった。
JIS Z2214に準拠した方法でアンテナコアの引張強度試験を実施した。引張強度試験に用いた磁性基材積層体のサイズは幅12.5mm、長さ150mm、厚さ0.5mmであり、アンテナコアと同様の処理を行って作製したものである。引張強度の値は900MPaであり、自動車に搭載するアンテナコアとして十分な強度を有していることを確認した。
防錆性を評価した。トロイダルコアを重量濃度20%の食塩水に500時間浸漬した後、目視により表面状態を観察し、錆の発生の有無を確認した。
これらの特性評価の結果を表1に示す。
実施例1と同じ非晶質金属薄帯を用いて実施例1と同じ樹脂を塗工して磁性基材を作製した。この磁性基材をスリット加工により幅10mmのリボン状に切り出した。次いでこのリボン状の磁性基材を、一定量の自動送り機構を有するシャーリングカット加工機を用いて長さ50mmの短冊状に切り出した。この短冊状の磁性基材を18枚積み重ねて、実施例1と同様にして大気中で温度260℃で5MPaの圧力を30分間加えて積層一体化した。本プロセスによれば、実施例1で行った切断面を紙ヤスリで研磨する端面処理を省略することができる。
次いで実施例1と同様に、磁気特性を向上させるための大気中での温度365℃、圧力0.004MPaで2時間加熱加圧処理した。その後実施例1と同様にして防錆処理を行い、実施例1と同様に被覆導線を巻回してアンテナを作製し、また実施例1と同様にトロイダルコアを作製した。作製したアンテナおよびトロイダルコアを用いて実施例1ど同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
非晶質金属薄帯として、実施例1と同じものを使用した他は特許文献2の実施例に倣って、試料を調製した。実施例1の非晶質金属薄帯を幅10mm、長さ50mmの矩形状に切り出し、大気中で365℃で2時間加圧せずに熱処理した。ついで熱処理した非晶質金属薄帯を18枚積み重ねて金型に挿入して治具を用いて仮固定し、積層された非晶質金属薄帯の周囲にのみサンユレック株式会社製のSR−30、H−325(2液型)のエポキシ樹脂を塗布し、金型ごと120℃の恒温槽に投入して2時間加熱硬化してアンテナコアを作製した。得られたアンテナコアの厚みは0.75mmであり、占積率は60%であった。実施例1と同様に被覆導線を巻回してアンテナとした。また同様にして外径40mm、内径25mm、厚さ0.75mmのトロイダルコアも作製した。なお、実施例1と実施例2で行ったフッ素樹脂による防錆コーティングは施していない。
得られたアンテナとトロイダルコアを用いて実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
磁気特性を向上させるための加熱加圧処理を施す際に、2MPaの圧力で加圧した以外は、全て実施例1と同様にしてアンテナとトロイダルコアとを作製した。得られたアンテナとトロイダルコアとを用いて実施例1と同様の特性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
本発明の磁性金属薄帯積層体をアンテナコアとして用いたアンテナは、高出力化、小型化、薄型化、高強度化が要求される車載用のアンテナとして好適に用いることができる。
Claims (7)
- 片面又は両面の少なくとも一部に、耐熱性樹脂又は耐熱性樹脂の前駆体を付与した、鉄を主成分とする非晶質金属薄帯の積層体であって、磁気特性を向上させるための処理を300℃以上450℃以下の温度でかつ0.001MPa以上0.2MPa以下の圧力で施したことを特徴とする、磁性金属薄帯積層体。
- 最大磁束密度が1.0T以上2.0T以下の磁性金属薄帯積層体であって、0.1Tの励振磁束密度を100kHzで印加した際の鉄損が、80W/kg以下であることを特徴とする、請求項1に記載の磁性金属薄帯積層体。
- 請求項1又は2に記載の磁性金属薄帯積層体を用いることを特徴とする、アンテナコア。
- 請求項3に記載のアンテナコアに被覆導線を巻回してなることを特徴とする、アンテナ。
- 自動車のドアに内蔵することを特徴とする、請求項4に記載のアンテナ。
- 自動車のドアハンドルに内蔵することを特徴とする、請求項4に記載のアンテナ。
- 請求項4に記載のアンテナを用いることを特徴とする、自動車用キーレスエントリーシステム。
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