JP2007327625A - ガス供給装置およびこれを備えた移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料ガス貯蔵容器の取り換えの際に、燃料ガス貯蔵容器を確実に閉じた状態にすることのできるガス供給装置およびこれを備えた移動体を提供すること。
【解決手段】 水素ボンベ31a,31bから燃料電池システム23に水素ガスを供給することにより走行する自動二輪車10が備えるガス供給装置30に、測定装置34a,34b、電磁弁35a,35b、表示部41a,41b、切換スイッチ38a,38b、制御コントローラ30aを設けた。そして、制御コントローラ30aの制御によって、測定装置34a,34bが測定した水素ボンベ31a,31bの燃料水素残量が所定量よりも多いときには電磁弁35a,35bに電流を流し、所定量よりも少ないときには表示部41a,41bに電流を流すように切換スイッチ38a,38bが作動するようにした。また、スタンド57が立っているときだけ表示部41a,41bに通電できるようにした。
【選択図】 図4

Description

本発明は、複数の燃料ガス貯蔵容器から順次動力発生装置に燃料ガスを供給するガス供給装置およびこれを備えた移動体に関する。
従来から、燃料電池を備えた自動車のように水素ガスを燃料として走行する移動体があり、このような移動体には水素ガス供給装置が備わっている(例えば、特許文献1参照)。この水素ガス供給装置には、複数の燃料カートリッジと、各燃料カートリッジの水素残量を表示するための複数の表示セルを含む燃料表示器とが備わっている。そして、各表示セルは、対応する燃料カートリッジの水素残量が所定量以下になったときに、消灯するように構成されており、この表示セルの表示状態により水素残量を知ることができる。
特開平5−254353号公報
しかしながら、前述した従来の水素ガス供給装置では、水素ガスの残量が所定量以下になって、燃料カートリッジを取り換える際に、燃料カートリッジの弁を開いたままの状態で、取り換え作業を行うと、水素ガスが外部に吐出されたり、外部の空気が水素ガス供給装置の内部に入ってしまったりするおそれがある。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、燃料ガス貯蔵容器の取り換えの際に、燃料ガス貯蔵容器を確実に閉じた状態にすることのできるガス供給装置およびこれを備えた移動体を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明に係るガス供給装置の構成上の特徴は、複数の燃料ガス貯蔵容器から順次動力発生装置に燃料ガスを供給するガス供給装置であって、複数の燃料ガス貯蔵容器と動力発生装置との間を接続する複数の通路にそれぞれ設けられ、通電により複数の通路のうちの対応する通路を連通させるとともに通電を停止することによって複数の通路のうちの対応する通路を遮断する複数の電磁弁と、複数の燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量をそれぞれ測定する複数の測定装置と、複数の燃料ガス貯蔵容器のうちのいずれかの燃料ガス貯蔵容器の燃料ガスの貯蔵残量が所定量以下のときにその燃料ガス貯蔵容器に対応して点灯する複数の個別残量表示部と、複数の電磁弁と複数の個別残量表示部のうちのそれぞれ対応する電磁弁と個別残量表示部とのどちらか一方だけに通電されるように電流を切り換える複数の電流切換装置と、測定装置が測定した燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量が所定量よりも多いときには電磁弁に電流を流し、燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量が所定量よりも少ないときには個別残量表示部に電流を流すように電流切換装置を作動させる制御部とを備えたことにある。
本発明に係るガス供給装置では、電流切換装置を切り換えることによって、通路を開閉する電磁弁または燃料ガス貯蔵容器の燃料残量が所定値以下になったときに点灯する個別残量表示部のどちらか一方だけに電流を流すようにしている。そして、電磁弁は通電されたときに開いて燃料ガス貯蔵容器と動力発生装置との間を連通させるように構成されている。さらに、電流切換装置は、制御部の制御によって、測定装置が測定した燃料ガスの貯蔵残量が所定量よりも多いときには電磁弁に通電させ、測定装置が測定した燃料ガスの貯蔵残量が所定量よりも少ないときには個別残量表示部に通電させるように作動する。
このため、測定装置が測定した燃料ガスの貯蔵残量が所定量よりも少ないときには電磁弁は確実に閉じた状態になる。これによって、燃料ガス貯蔵容器の取り換えの際には、燃料ガスが外部に吐出されたり、空気をガス供給装置内に浸入させたりすることなく安全な状態で燃料ガス貯蔵容器を取り外すことができる。また、複数の燃料ガス貯蔵容器に対して、それぞれ電磁弁、測定装置、個別残量表示部および電流切換装置を設けたため、すべての燃料ガス貯蔵容器の燃料ガスの貯蔵残量が所定量以下であるか否かの識別ができる。
この場合の複数の燃料ガス貯蔵容器から動力発生装置への燃料ガスの供給は、最初の燃料ガス貯蔵容器の燃料ガスがなくなると、次の燃料ガス貯蔵容器から行われるといったように1個ずつ順次行われる。また、本発明における所定値とは、燃料ガス貯蔵容器内が完全に空になった状態でなく、多少の燃料ガスが残って残圧のある状態で設定する。燃料ガス貯蔵容器内を完全に空にすると、燃料ガスの充填時に逆流して燃料ガス貯蔵容器内に異物が混入することがあるが、所定量の燃料ガスを残すことにより、このような異物の混入を防止できる。また、動力発生装置とは、燃料電池や燃料ガス内燃機関であり、燃料ガスとは、水素、プロパンガス、天然ガス等である。
また、本発明に係るガス供給装置の他の構成上の特徴は、複数の測定装置が測定した測定値に基づいて複数の燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの総貯蔵残量を表示する総残量表示部を備えたことにある。これによると、それぞれの燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量だけでなく、すべての燃料ガス貯蔵容器内に貯蔵されている燃料ガスの総貯蔵残量も知ることができる。
また、本発明に係るガス供給装置のさらに他の構成上の特徴は、総残量表示部を個別残量表示部の近傍に設置したことにある。これによると、各燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量と、すべての燃料ガス貯蔵容器内に貯蔵されている燃料ガスの総貯蔵残量とを同時に知ることができる。
また、本発明に係る移動体の構成上の特徴は、ガス供給装置を備える移動体であって、複数の燃料ガス貯蔵容器から順次動力発生装置に燃料ガスを供給することによって移動するときに、個別残量表示部への通電を遮断する遮断装置を設けたことにある。これによると、移動体が走行しているときには、個別残量表示部に通電しないため消費電力を低減させることができる。また、移動体の走行中に燃料ガス貯蔵容器の取り換えを行うことはないため、移動体の走行中に、燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスが所定量以下になったことを表示する個別残量表示部への通電を遮断しても支障は生じない。また、移動体とは、車両や船舶等、燃料ガスを用いて移動するものである。
また、本発明に係る移動体の他の構成上の特徴は、スタンドを備えた車両で構成されるとともに、スタンドを遮断装置に接続して、スタンドを立てているときにのみ遮断装置による通電の遮断を解除して個別残量表示部に通電できるようにしたことにある。この場合の車両としては、自動二輪車を用いることが好ましい。これによると、自動二輪車からなる車両の消費電力を低減させることができる。
また、本発明に係る移動体のさらに他の構成上の特徴は、パーキングブレーキを備えた車両で構成されるとともに、パーキングブレーキを遮断装置に接続して、パーキングブレーキが作動しているときにのみ遮断装置による通電の遮断を解除して個別残量表示部に通電できるようにしたことにある。この場合の車両としては、自動三輪車や自動四輪車を用いることが好ましい。これによると、自動三輪車や自動四輪車からなる車両の消費電力を低減させることができる。
以下、本発明の一実施形態に係るガス供給装置およびこれを備えた移動体を図面を用いて説明する。図1ないし図3は、同実施形態に係るガス供給装置30(図4参照)を備えた本発明の移動体としての自動二輪車10を示している。この自動二輪車10は、前輪11と後輪12とからなる一対の車輪と、これら一対の車輪が取り付けられた車体10aとを備えている。また、車体10aは、車体10aの主要部分を構成する車体フレーム13を備えている。そして、車体フレーム13は、車体10aの前部側部分を構成するヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から後方に延びるダウンチューブ15とで構成されている。
また、前輪11は、下方が二股に分岐したフロントフォーク16の下端部に回転可能に支持されている。すなわち、フロントフォーク16の両下端部は前輪11の中心軸(図示せず)の両側部分を回転可能に支持しており、これによって、前輪11は、中心軸を中心として回転可能になっている。また、フロントフォーク16の上端部には、ヘッドパイプ14内に配置されたステアリング軸17の下端部が連結されている。このステアリング軸17は、ヘッドパイプ14内に、ヘッドパイプ14の軸周り方向に回転可能な状態で取り付けられており、上端部がヘッドパイプ14から突出して上方に延びている。そして、ステアリング軸17の上端部にハンドル18が連結されている。
このため、ハンドル18を回転操作することにより、ステアリング軸17を軸周り方向に回転させると、ステアリング軸17の回転量に応じて前輪11は左右に方向を変える。また、ハンドル18の左右両端には、グリップ(図示せず)が設けられている。このグリップのうちの一方のグリップは、軸回り方向に回転可能な状態で設けられており、手で持つための把持部として使用される外、後述する駆動用モータ55aの回転速度を調節するためのアクセル操作子を構成する。そして、他方のグリップは、ハンドル18に固定され手で持つための把持部として使用される。また、グリップの近傍には、それぞれ、グリップから離れるように付勢され、グリップ側に引っ張られることにより前輪11または後輪12の回転を抑制するブレーキレバー(図示せず)が設置されている。
ダウンチューブ15は、一対のメインフレーム15a,15bで構成されており、その前端側上端部はヘッドパイプ14の下部側部分の両側部に連結されている。そして、前端側上端部がヘッドパイプ14に連結された各メインフレーム15a,15bは、ヘッドパイプ14との連結部からそれぞれ互いの間隔を広げるようにして、後方に向って斜め下方に延びたのちに屈曲して後方水平方向に延びている。さらに、メインフレーム15a,15bの後端側部分は、互いの間隔を保って後方斜め上方に向って延びている。
また、メインフレーム15a,15bの後部側部分における傾斜した部分の上面には、支持部材19が掛け渡されており、メインフレーム15a,15bにおける傾斜した部分の後方には水平部分が形成されている。支持部材19は上面が略水平面になった台状に形成されており、枠状の両側部をメインフレーム15a,15bに連結してメインフレーム15a,15bの上面側に突出している。そして、メインフレーム15a,15bの後端の水平部分と、支持部材19の上面部の上に、板状のボンベ取付トレイ21が前後に延びるようにして水平方向に設置されている。
また、メインフレーム15a,15bの中央側下端部には、メインフレーム15a,15bの下方に突出する設置台22が掛け渡されている。この設置台22の上面には凹部が形成されており、その凹部の後部側に本発明の動力発生装置としての燃料電池システム23が設置されている。この燃料電池システム23は、開閉蓋を備えた箱体の内部に収容されている。そして、設置台22の凹部における前部左側(自動二輪車10に乗った状態の運転者D(図6参照)から見た左側)に二次電池24が設置され、設置台22の凹部における前部右側に本発明の制御部を構成する制御コントローラ30aが設置されている。さらに、設置台22の凹部における二次電池24の前側にウォーターポンプ25が設置されている。
また、ヘッドパイプ14の前部には、固定部材26aを介してラジエータ26が取り付けられ、ラジエータ26の裏面にはラジエータ26を冷却するためのラジエータファン26bが取り付けられている。さらに、ヘッドパイプ14の後部には、ラジエータ26内の過剰の冷却水を逃がすためのリザーブタンク27が取り付けられている。ラジエータ26と燃料電池システム23との間は往路用の冷却水配管と復路用の冷却水配管(図示せず)とで接続されており、往路用の冷却水配管における燃料電池システム23側部分にウォーターポンプ25が設けられている。
このため、ウォーターポンプ25が作動すると、ラジエータ26内の冷却水が往路用の冷却水配管を通って燃料電池システム23に送られ燃料電池システム23を冷却する。そして、燃料電池システム23を冷却することによって熱を吸収した冷却水は、復路用の冷却水配管を通ってラジエータ26に戻され、ラジエータ26を通過する間にラジエータファン26bによって冷却される。
また、メインフレーム15a,15bの後端部と支持部材19の上面とに掛け渡されて設置されたボンベ取付トレイ21の上面には、燃料電池システム23に供給する燃料水素が充填された本発明の燃料ガス貯蔵容器としての2個の水素ボンベ31a,31bが取り付けられている。水素ボンベ31aの開口部にはレギュレータ32aが取り付けられ、水素ボンベ31bの開口部にはレギュレータ32bが取り付けられており、図4に示したように、レギュレータ32aは、ガス配管33aを介して燃料電池システム23に接続され、レギュレータ32bは、ガス配管33bを介して燃料電池システム23に接続されている。
このため、水素ボンベ31a,31bはそれぞれ内部の燃料水素を対応するレギュレータ32a,32bおよびガス配管33a,33bを介して燃料電池システム23に供給できる。レギュレータ32aは、測定装置34a、電磁弁35aおよび減圧弁36aで構成され、レギュレータ32bは、測定装置34b、電磁弁35bおよび減圧弁36bで構成されている。そして、レギュレータ32aはコネクタ37aによってガス配管33aに着脱自在に接続され、レギュレータ32aは、コネクタ37bによってガス配管33bに着脱自在に接続されている。
測定装置34a,34bは圧力計で構成されており、それぞれ接続された水素ボンベ31a,31b内の圧力を測定する。この測定装置34a,34bが測定する圧力の値によって、水素ボンベ31a,31b内の水素残量を知ることができる。また、測定装置34a,34bは測定値を電気信号として、制御コントローラ30aに送信する。電磁弁35aは、切換スイッチ38aを介して制御コントローラ30aに接続され、電磁弁35bは切換スイッチ38bを介して制御コントローラ30aに接続されている。そして、電磁弁35a,35bは、それぞれ接続された切換スイッチ38a,38bの作動に応じて水素ボンベ31a,31bの開口部を開閉する。
この場合、電磁弁35a,35bは、それぞれ切換スイッチ38a,38bの作動によって、二次電池24から制御コントローラ30aを介して送電されたときに開いて水素ボンベ31a,31b内の燃料水素を開口部から吐出させるように構成されている。また、減圧弁36a,36bは、それぞれ接続された水素ボンベ31a,31bから送り出される水素ガスの圧力を減圧して設定された所定の圧力にしたのちに燃料電池システム23に供給する。また、ガス配管33a,33bの先端部は集合管33で合流しており、集合管33と燃料電池システム23との間は1本のガス配管33cで接続されている。
集合管33は、制御コントローラ30aの制御によって所定の通路を開閉する三方弁で構成されており、通常時は、ガス配管33a,33bの一方から送られる水素ガスをガス配管33cに流す。そして、例えば、燃料電池システム23に水素ガスを供給していた水素ボンベ31a内の燃料水素が所定量以下になって、燃料電池システム23への水素ガスの供給を水素ボンベ31aから水素ボンベ31bに切り換える際には、一時的に水素ボンベ31a,31bの双方から水素ガスを供給するように制御コントローラ30aによって制御される。
切換スイッチ38a,38bは、電磁弁35a,35bの他、それぞれ遮断装置39を介して本発明の個別残量表示部としての表示部41a,41bにも接続されており、切換スイッチ38aは、二次電池24から送られる電流を電磁弁35aと表示部41a側とのどちらか一方に切り換えて通電させる。すなわち、電磁弁35aに通電されているときには表示部41a側への通電は遮断され、表示部41a側に通電されているときには電磁弁35aへの通電は遮断される。同様に、切換スイッチ38bは、二次電池24から送られる電流を電磁弁35bと表示部41b側とのどちらか一方に切り換えて、一方に通電させ、他方への通電を遮断する。
表示部41a,41bは、図5に示した表示装置40に備わっており、この表示装置40は、ハンドル18の中央部に運転者Dから見え易い方向に正面を向けて取り付けられている。表示部41a,41bは、表示装置40の中央よりもやや上部側に配置された速度表示部42の左下方に配置されており、表示部41aは「R」の文字で示され、表示部41bは「L」の文字で示されている。表示部41a,41bは、それぞれ通電により点灯するように構成されている。そして、表示部41a,41bの下方には、水素ボンベ31a,31b内の燃料水素の総量を表示する本発明の総残量表示部としての表示部43が配置されている。
この表示部43は、個々に点灯したり消灯したりする複数のランプと、「F」の文字と、「E」の文字とで構成されている。右側の「F」の文字で示した部分は満タンの状態を表し、左側の「E」の文字で示した部分は空の状態を表している。そして、満タンのときにすべてのランプが点灯し、燃料水素の残量が減少するにしたがって、右側のランプから順に消灯していく。また、表示部43の右側には、走行距離を示す表示部44が配置されている。
そして、表示装置40の下部側部分には、左右に一定間隔を保って、各種のスイッチが配置されている。この表示装置40の中の表示部41a,41bは、制御コントローラ30aの制御および切換スイッチ38a,38bの作動状態によって点灯するが、他の表示部42,43,44は、始動用の電源スイッチ(図示せず)をオン状態にすることにより点灯する。
また、遮断装置39は、切換スイッチ38a,38bの状態が表示部41a,41b側に通電させるようになっている場合であっても、後述するスタンド57の状態に応じて、その通電を遮断させる。また、制御コントローラ30aは、測定装置34a,34bから送信される燃料水素の残量値の信号に基づいて切換スイッチ38a,38bの作動を制御して、水素ボンベ31a,31bの一方から水素ガスを吐出させるとともに、水素ボンベ31a,31b内の一方の燃料水素の残量が「0」に近い所定値以下になったときに表示部41a,41bの対応する一方が点灯するように制御する。これによって、表示部41a,41bは、対応する水素ボンベ31a,31b内の燃料水素の残量が所定値以下で、かつ遮断装置39が遮断側に作動していないときだけ点灯する。
すなわち、水素ボンベ31a,31bの双方に燃料水素が十分に貯蔵されているときには、制御コントローラ30aは、切換スイッチ38a,38bのうちの一方、例えば、切換スイッチ38aを電磁弁35aを開かせるように制御し、切換スイッチ38bを電磁弁35bを閉じさせるように制御する。これによって、水素ボンベ31a内の燃料水素だけが燃料電池システム23に供給される。そして、水素ボンベ31a内の燃料水素の残量が所定値以下になると、制御コントローラ30aは、切換スイッチ38aを電磁弁35aを閉じさせるように制御し、切換スイッチ38bを電磁弁35bを開かせるように制御する。
これによって、水素ボンベ31aは閉塞され、水素ボンベ31b内の燃料水素が燃料電池システム23に供給されるようになる。また、この場合、切換スイッチ38aは、表示部41aに電流を流すように作動しているため、遮断装置39が遮断側に作動していなければ表示部41aの「R」の文字が点灯する。これによって、運転者Dは、水素ボンベ31aが交換の時期になっていることを知ることができる。また、同様にして、水素ボンベ31b内の燃料水素の残量が所定値以下になると、制御コントローラ30aは、切換スイッチ38bを電磁弁35bを閉じさせるように制御して、表示部41bの「L」の文字を点灯させる。
また、図1ないし図3に示したように、水素ボンベ31a,31bの前部側部分の上部にシート51が配置されている。このシート51は、燃料電池システム23を囲むようにしてメインフレーム15a,15bの中央上部に組み付けられた3本の支柱と支柱の上端部に掛け渡された略U字状の台部とからなる支持台52の上部に取り付けられている。また、ダウンチューブ15の後部側部分における支持部材19内の後部にエアクリーナ53が取り付けられ、ダウンチューブ15の後部側部分におけるエアクリーナ53の下部側にエアブロア54が取り付けられている。
また、エアクリーナ53とエアブロア54との間およびエアブロア54と燃料電池システム23との間はそれぞれガス配管(図示せず)によって接続されており、エアブロア54の作動により、外部の空気がエアクリーナ53を介して吸引され、燃料電池システム23に供給される。また、その空気はエアクリーナ53内を通過する際に、異物を除去される。燃料電池システム23は、エアブロア54から供給される空気中の酸素と、水素ボンベ31a,31bから供給される水素とを反応させて水を発生させるとともに電気を発生させる。
また、ダウンチューブ15の後部側部分の下部には、後方に向って延びる一対のアーム部材(図示せず)からなるリヤアームが連結されている。そして、リヤアームの両アーム部材の後端部に、後輪12の中心軸の両側部分が回転可能に支持されており、これによって、後輪12は、中心軸を中心として回転可能になっている。また、リヤアームの一方のアーム部材の外面側には、アーム部材を覆うようにして、モータユニット55が取り付けられている。このモータユニット55内には、燃料電池システム23が発生する電力によって作動する駆動用モータ55aや減速機が収容されており、駆動用モータ55aの作動により後輪12が回転して自動二輪車10が走行する。
また、ダウンチューブ15の後端側部分と、リヤアームの後端上部との間には、リヤクッション56がそれぞれ掛け渡されている。このリヤクッション56の伸縮によって、リヤアームの後端側が揺動自在に構成されている。また、モータユニット55の内側面側にはドラムブレーキ(図示せず)が取り付けられている。駆動用モータ55aは、制御コントローラ30aの制御によってグリップの操作量に応じて作動し、後輪12に駆動力を自動的に発生させる。そして、この駆動用モータ55aは、ブレーキレバーが操作されたときに制御コントローラ30aの制御によって作動を停止する。
また、この自動二輪車10は、静止状態のときに、自動二輪車10を起立状態に維持させるための回転式のスタンド57を備えており、自動二輪車10を走行させるときには、スタンド57を上方に上げておき、自動二輪車10を静止させておくときには、スタンド57を下方に下ろして、スタンド57に自動二輪車10を支持させる。また、このスタンド57は、遮断装置39に接続されて、遮断装置39のスイッチとしても機能する。すなわち、スタンド57を下ろしているときには、遮断装置39はオフ状態になって、表示部41a,41bは点灯可能な状態になり、スタンド57を上げているときには、遮断装置39はオン状態になって、切換スイッチ38a,38bの状態にかかわらず、表示部41a,41bは点灯できなくなる。
また、制御コントローラ30aは、前述した制御の他、運転者Dによるグリップ等の操作や、予め用意されたプログラム等に基づいて、ウォーターポンプ25、エアブロア54、駆動用モータ55a等を制御する。なお、図示していないが、この自動二輪車10は、所定部分の外部を覆うためのカバー部材を備えており、ラジエータ26、水素ボンベ31a,31b等の各装置が外部から見えないようにして意匠の向上を図っている。さらに、この自動二輪車10は、始動用の電源スイッチ(図示せず)も備えている。
この構成において、運転者Dが自動二輪車10に乗る場合には、運転者Dは、まず、図6に示したように、スタンド57を上げたのちにシート51を跨いで座る。ついで、電源スイッチをオン状態にする。これによって、燃料電池システム23には、エアブロア54から空気が供給されるとともに、水素ボンベ31a,31bの一方から水素ガスが供給され、燃料電池システム23は、供給される空気中の酸素と水素を反応させて電気を発生する。その際、燃料電池システム23は、ウォーターポンプ25から送られる冷却水によって冷却され所定温度を維持する。
また、燃料電池システム23は、酸素と水素との反応によって発生した水を排気とともに外部に放出する。また、表示装置40には各種の表示が点灯される。ついで、加速させる速度に応じてグリップを操作する。これによって、制御コントローラ30aは、駆動用モータ55aを作動させ、後輪12に駆動力を発生させる。また、自動二輪車10の走行速度を下げる場合には、必要に応じてブレーキレバーを操作する。これによって、自動二輪車10は、ブレーキレバーの操作量に応じて減速する。また、自動二輪車10の走行を終了させるときには、電源スイッチをオフ状態にするとともに、スタンド57を下方に回転させて地面に接地させることにより、自動二輪車10を起立状態にしておく。
また、自動二輪車10の走行により、例えば水素ボンベ31aの水素残量が所定値以下になって、表示部41aが点灯した場合には、水素ボンベ31aを新たな水素ボンベと取り換える作業を行う。この場合、コネクタ37aを外して、水素ボンベ31aのレギュレータ32aとガス配管33aとを離したのちに、ボンベ取付トレイ21から水素ボンベ31aを取り外す。そして、新たな水素ボンベをボンベ取付トレイ21上に設置してそのレギュレータをガス配管33aにコネクタ37aにより接続する。
この際、表示部41aが点灯しているため、電磁弁35aには通電されてなく、電磁弁35aは水素ボンベ31aの開口部を閉じた状態にしている。このため、取換作業中に、水素ボンベ31a内に残った水素ガスが外部に吐出されることがなく、安全な作業が行える。また、取り外した水素ボンベ31a内には多少の燃料水素が残っているため、この水素ボンベ31a内に燃料水素を充填する際に、異物等が水素ボンベ31a内に浸入することがない。
このように、本実施形態に係るガス供給装置30では、切換スイッチ38a,38bの切り換えによって、電磁弁35a,35bまたは表示部41a,41bのどちらか一方だけに電流を流せるようにしている。そして、制御コントローラ30aの制御によって、水素ボンベ31a,31b内の燃料水素の残量が所定値以上のときには電磁弁35a,35bに電流を流して水素ボンベ31a,31bの開口部を開け、水素ボンベ31a,31b内の燃料水素の残量が所定値以下のときには表示部41a,41bに電流を流すようにしている。
このため、水素ボンベ31a,31b内の燃料水素の残量が所定値以下になって取り換えの時期になったときには、表示部41a,41bの表示によりその状態を知ることができるとともに、その状態では、電磁弁35a,35bは確実に閉じた状態になる。このため、安全な状態で水素ボンベ31a,31bを取り外すことができる。また、水素ボンベ31a,31bに対して、それぞれ対応する測定装置34a,34b、電磁弁35a,35b、切換スイッチ38a,38bおよび表示部41a,41b等を設けたため、燃料水素の貯蔵残量が所定量以下の水素ボンベ31a,31bを識別できる。
さらに、遮断装置39にスタンド57を接続して、スタンド57が上方に上げられているとき、すなわち、自動二輪車10が走行しているときには、燃料水素の貯蔵残量が所定量以下の水素ボンベがあっても、表示部41a,41bに通電しないようにしている。このため消費電力を低減させることができる。なお、自動二輪車10の走行中に水素ボンベ31a,31bの取り換えを行うことはないため、自動二輪車10の走行中に表示部41a,41bに通電しなくても支障は生じない。また、水素ボンベ31a,31b内のすべての燃料水素の総貯蔵残量を表示する表示部43を表示部41a,41bの近傍に設けたため、各水素ボンベ31a,31b内の燃料残量と、水素ボンベ31a,31b内のすべての燃料残量とを同時に知ることができる。
また、図7は、本発明の他の実施形態に係るガス供給装置60を示している。このガス供給装置60は、本発明の移動体としての四輪を備えた自動車(図示せず)に備わったものであり、前述したガス供給装置30に加えて、もう一組の水素ボンベ31c等を含んでいる。以下、前述したガス供給装置30と同一部分には同一符号を記して説明する。すなわち、水素ボンベ31cには、測定装置34c、電磁弁35cおよび減圧弁36cからなるレギュレータ32cが接続され、さらに、レギュレータ32cはコネクタ37cを介してガス配管33dに接続されている。そして、ガス配管33dは、集合管63およびガス配管33cを介して燃料電池システム23に接続されている。
集合管63は、制御コントローラ30aの制御によって、ガス配管33a,33b,33dのいずれかとガス配管33cとを順次連通させる。また、電磁弁35cには、切換スイッチ38cが接続され、切換スイッチ38cには、電磁弁35cの他、遮断装置69を介して、表示部41cが接続されている。この場合の表示装置における表示部41a,41b,41cには、「R」、「L」の文字に変えて、「1」、「2」、「3」の文字や「a」、「b」、「c」の文字を使用して、各文字が水素ボンベ31a,31b,31cのいずれかに対応するようにする。
また、遮断装置69には、自動車が備えるパーキングブレーキ67を接続している。そして、自動車が駐車してパーキングブレーキ67が作動しているときには、遮断装置69がオフ状態になって、表示部41a,41b,41cは点灯可能な状態になり、パーキングブレーキ67の作動を解除したときには、遮断装置69がオン状態になって、切換スイッチ38a,38b,38cの状態にかかわらず、表示部41a,41b,41cは点灯できなくなるようにしている。このガス供給装置60のそれ以外の部分の構成は前述したガス供給装置30と同一であり、その作用効果についても同様である。
また、本発明に係るガス供給装置およびこれを備えた移動体は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、移動体を自動二輪車10または四輪を備えた自動車としているが、この移動体としては、二輪車、四輪車以外の三輪車や、レールに沿って走行する車両や、その他の車両および船舶等、燃料ガスを用いて移動するものであればよい。また、燃料ガスとしては、水素ガスの他、プロパンガス、天然ガス等を用いることもできる。さらに、前述した実施形態では、燃料ガス貯蔵容器を水素ボンベで構成したが、この燃料ガス貯蔵容器としては、水素ガス等の燃料ガスを貯蔵できる装置であればボンベ以外のものであってもよい。また、前述した実施形態では、測定装置34a,34b,34cを圧力計で構成しているが、これを圧力計と温度計とによって構成してもよい。
本発明の一実施形態に係るガス供給装置を備えた自動二輪車を示した斜視図である。 自動二輪車の側面図である。 自動二輪車の平面図である。 ガス供給装置の構成図である。 表示装置の正面図である。 自動二輪車を走行させる状態を示した側面図である。 他の実施形態に係るガス供給装置の構成図である。
符号の説明
10…自動二輪車、23…燃料電池システム、24…二次電池、30,60…ガス供給装置、30a…制御コントローラ、31a,31b,31c…水素ボンベ、33a,33b,33c,33d…ガス配管、34a,34b,34c…測定装置、35a,35b,35c…電磁弁、38a,38b,38c…切換スイッチ、39,69…遮断装置、41a,41b,41c,43…表示部、57…スタンド、67…パーキングブレーキ。

Claims (6)

  1. 複数の燃料ガス貯蔵容器から順次動力発生装置に燃料ガスを供給するガス供給装置であって、
    前記複数の燃料ガス貯蔵容器と前記動力発生装置との間を接続する複数の通路にそれぞれ設けられ、通電により前記複数の通路のうちの対応する通路を連通させるとともに通電を停止することによって前記複数の通路のうちの対応する通路を遮断する複数の電磁弁と、
    前記複数の燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量をそれぞれ測定する複数の測定装置と、
    前記複数の燃料ガス貯蔵容器のうちのいずれかの燃料ガス貯蔵容器の燃料ガスの貯蔵残量が所定量以下のときにその燃料ガス貯蔵容器に対応して点灯する複数の個別残量表示部と、
    前記複数の電磁弁と前記複数の個別残量表示部のうちのそれぞれ対応する電磁弁と個別残量表示部とのどちらか一方だけに通電されるように電流を切り換える複数の電流切換装置と、
    前記測定装置が測定した前記燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量が前記所定量よりも多いときには前記電磁弁に電流を流し、前記燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの貯蔵残量が前記所定量よりも少ないときには前記個別残量表示部に電流を流すように前記電流切換装置を作動させる制御部と
    を備えたことを特徴とするガス供給装置。
  2. 前記複数の測定装置が測定した測定値に基づいて前記複数の燃料ガス貯蔵容器内の燃料ガスの総貯蔵残量を表示する総残量表示部を備えた請求項1に記載のガス供給装置。
  3. 前記総残量表示部を前記個別残量表示部の近傍に設置した請求項2に記載のガス供給装置。
  4. 請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のガス供給装置を備える移動体であって、
    前記複数の燃料ガス貯蔵容器から順次動力発生装置に燃料ガスを供給することによって移動するときに、前記個別残量表示部への通電を遮断する遮断装置を設けた移動体。
  5. スタンドを備えた車両で構成されるとともに、前記スタンドを前記遮断装置に接続して、前記スタンドを立てているときにのみ前記遮断装置による通電の遮断を解除して前記個別残量表示部に通電できるようにした請求項4に記載の移動体。
  6. パーキングブレーキを備えた車両で構成されるとともに、前記パーキングブレーキを前記遮断装置に接続して、前記パーキングブレーキが作動しているときにのみ前記遮断装置による通電の遮断を解除して前記個別残量表示部に通電できるようにした請求項4に記載の移動体。
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