JP2007326037A - 塗料供給装置及び塗料供給方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】塗装機Bへ塗料を供給しないときは、ポンプ15の圧送量(即ち、塗料の循環流量)を、顔料の沈殿に必要な最少量に設定する。塗装機Bに塗料を供給する際には、制御手段20の制御動作により、ポンプ15の圧送量を増大させ、塗料の供給に要する時間の短縮化を図る。これにより、復路12において塗料の流量が低下したり塗料の流れが停止したりしても、その継続時間が短くなるので、顔料が沈殿する虞はない。
【選択図】図1
Description
尚、往路101に設けられているのは、循環路100を流れる塗料の圧力が所定値を超えたときに、一時的に塗料の流量を絞って塗料の圧力を低下させるための第1圧力制御弁106であり、復路102に設けられているのは、循環路100を流れる塗料の流量が顔料沈殿を生じさせる所定流量を下回って圧力低下を来したときに、一時的に閉弁状態に切り替わることで塗料の圧力を上昇させるための第2圧力制御弁107である。
この塗料供給装置においては、塗装機Bに塗料を供給している間、復路102では塗料の流量が一時的に低下したり塗料の流れが停止したりするのであるが、このような状態が長時間続くと、顔料が沈殿してしまうことが懸念される。そのため、塗装機Bに塗料を供給していない状態における塗料の循環流量を、顔料の沈殿防止に必要な最少量よりも大きい流量値に設定し、塗装機Bに塗料を供給するための所要時間(即ち、復路102における塗料流量低下状態の継続時間)を短縮している。
尚、顔料の沈殿防止のための塗料を循環させる装置としては、特許文献1に記載されているものがある。
しかしながら、上述したように、塗料の循環流量を少なくしてしまうと、塗装機に塗料を供給している間に顔料が沈殿する虞がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、顔料の沈殿防止のために塗料を循環させておく塗料供給装置において、塗装機へ塗料を供給している間に顔料の沈殿を生じさせることなく、塗料の循環流量を少なくすることができるようにすることを目的とする。
塗装機に対して塗料の供給を行っていない状態では、制御手段の制御動作により、ポンプによる圧送量、即ち塗料の循環流量を、塗料に含有されている顔料の沈殿防止に必要な最少量に設定する。また、塗装機に塗料を供給する際には、制御手段の制御動作により、ポンプの圧送量を増大させ、塗料の供給に要する時間の短縮化を図る。これにより、復路(塗料供給部よりも下流側)において塗料の流量が低下したり塗料の流れが停止したりしても、その継続時間を短くすることができるので、顔料が沈殿する虞はない。このように本発明によれば、塗装機に対して塗料の供給を行っている状態と行っていない状態のいずれにおいても、顔料の沈殿を防止しつつ、顔料の変形を最少に抑えることができる。
塗装機に対して塗料の供給を行っていない状態では、制御弁を開弁状態にしておき、塗料を循環させる。塗装機へ塗料を供給する際には、制御手段の制御により制御弁を閉弁状態に切り替えて、復路における塗料の流れを停滞させ、ポンプの圧送量と同じ量の塗料を塗装機へ供給する。これにより、復路に塗料が流れている状態で塗装機に塗料供給を行う場合に比べて、塗装機への塗料の供給に要する時間を短縮することができる。
尚、塗装機に塗料を供給するあいだ、復路においては塗料の流れが停止することに起因して顔料が沈殿することが懸念されるが、塗料の流れが停止する分だけ塗装機への塗料供給量が増し、塗料の供給に要する時間、即ち塗料の停滞時間が更に短縮されるので、復路において顔料が沈殿する虞はない。
塗装機へ塗料を供給していない状態において、循環路における塗料の流量が減少して圧力が低下した場合には、制御弁がその背圧バルブ機構によって閉弁状態に切り替わるので、復路における塗料の圧力が元の値へ上昇し、循環路における塗料の流量が増大する。これにより、塗料の循環流量が所定の流量値に保たれて、顔料の沈殿が防止される。
塗装機へ塗料を供給しない状態では、ポンプの圧送量、即ち塗料の循環流量を、塗料に含有されている顔料の沈殿防止に必要な最少量に設定しているので、顔料の沈殿を防止しつつ、顔料の変形を最少に抑えることができる。
また、塗装機に塗料を供給する際には、ポンプの圧送量を増大させているので、塗料の供給に要する時間が短縮される。これにより、復路(塗料供給部よりも下流側)において塗料の流量が低下したり塗料の流れが停止したりしても、その継続時間が短くなるので、顔料が沈殿する虞はない。このように本発明によれば、塗装機に対して塗料の供給を行っている状態と行っていない状態のいずれにおいても、顔料の沈殿を防止しつつ、顔料の変形を最少に抑えることができる。
塗装機へ塗料を供給する際には、制御弁を閉弁状態に切り替えて塗料供給部からタンクに至る経路における塗料の流れを停滞させることにより、ポンプの圧送量と同じ量の塗料が塗装機へ供給される。これにより、塗料供給部からタンクへ塗料が流れる状態で塗装機に塗料供給を行う場合に比べて、塗装機への塗料の供給に要する時間を短縮することができる。
尚、塗装機に塗料を供給するあいだ、塗料供給部からタンクに至る経路においては塗料の流れが停止することに起因して顔料が沈殿することが懸念されるが、上記のように塗装機への塗料供給量が増す分だけ供給時間、即ち塗料の停滞時間が短縮されるので、塗料供給部からタンクに至る経路において顔料が沈殿する虞はない。
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1を参照して説明する。
往路11の途中(往路11における塗料供給部14よりもタンク13に近い位置)には、タンク13内の塗料を汲み上げて塗料供給部14側へ圧送するポンプ15が設けられている。ポンプ15は、外部から付与される供給エアの圧力の増減に伴って塗料の圧送量が増減されるようになっている。エア駆動式のポンプ15の具体例としては、ダイアフラムポンプ、プランジャポンプ等の周知のポンプがある。このようなエア駆動式のポンプ15では、パスカルの原理を利用し、供給エアの圧力を変化させたときに、ポンプレシオ(駆動側のエアシリンダのビストンの断面積(受圧面積)と供給側の塗料シリンダのピストンの断面積(受圧面積)との比)に比例した吐出圧力が得られるようになっている。
背圧バルブ機構は、一次側の塗料圧を受ける受圧体(ピストンやダイアフラム等)と、受圧体に連結された弁体と、弁シートと、弁体を弁シートに当接させる方向へ付勢するバネとを備えており、一次側の塗料圧が所定値を下回るとバネの付勢により弁体が弁シートに当接して閉弁状態となり、一次側の塗料圧が所定値を上回ると弁体がバネの付勢に抗して弁シートから離間して開弁状態となる周知の構造のものである。
背圧バルブ16が開弁した状態では、背圧バルブ16中の塗料の通過、即ち復路12において塗料が塗料供給部14からタンク13側へ流れることが許容され、背圧バルブ16が閉弁した状態では、背圧バルブ16中の塗料の通過、即ち復路12において塗料が塗料供給部14からタンク13側へ流れることを規制(阻止)される。
また、パイロット弁23に制御信号が入力されると、パイロット弁23のソレノイド(図示せず)が励磁されて、パイロット弁23から背圧バルブ16の開閉弁機構に対して背圧バルブ16を閉弁させるためのパイロットエアが付与される。パイロット弁23への制御信号の出力が停止すると、パイロット弁23から背圧バルブ16へのパイロットエアの付与も停止し、背圧バルブ16では背圧バルブ機構のみが動作するようになる。
塗装機Bに対して塗料の供給(補給)を行わない状態(例えば、塗装機Bが塗料供給装置Aから外れて塗装(塗料の噴出)を行っている状態)では、塗料に含有されている顔料の沈殿を防止するために、背圧バルブ16に対するパイロットエアの供給を停止して塗料が背圧バルブ16を通過し得る状態にするとともに塗料供給部14を閉弁状態とした上で、ポンプ15を低速で駆動し、ポンプ15による塗料の圧送量(循環流量)を少量に設定する。このときの塗料の流量は、顔料が沈殿を来さないための必要最少の流量であり、塗料の種類に応じて適宜設定される。このように流量を設定することにより、塗料は、タンク13からポンプ15と塗料供給部14と背圧バルブ16を順に経てタンク13に戻る経路で循環する。この間、塗料の流量が比較的少量に抑えられているので、顔料の循環回数、即ち循環経路中に設けた機器(往路11、復路12、ポンプ15、塗料供給部14、背圧バルブ16)内に形成されている狭い流路や屈曲した流路を通過する頻度が少ない。このことは、これらの機器内の流路の内壁に対する顔料の接触頻度が少ないことを意味し、これにより、内壁の接触に起因する顔料の変形が最少に抑えられている。これにより、循環路10から塗装機Bに補充された塗料が被塗面(図示せず)に塗着されたときに、変形した顔料に照射された光の乱反射に起因して塗装面が暗くなるということが回避され、良好な塗装面が得られる。
一方、塗装機Bに塗料を供給する際には、制御手段20の制御動作により、ポンプ15の圧送量を増大させているので、塗料の供給に要する時間の短縮化が実現されている。これにより、復路12(塗料供給部14よりも下流側)において塗料の流量が低下したり塗料の流れが停止したりしても、その継続時間を短くすることができるので、顔料が沈殿する虞はない。
このように本実施形態によれば、塗装機Bに対して塗料の供給を行っている状態と行っていない状態のいずれにおいても、顔料の沈殿を防止しつつ、顔料の変形を最少に抑えることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では復路に開弁状態から強制的に閉弁状態に切り換えられる開閉弁機構を兼ねた制御弁(背圧バルブ)を設けたが、本発明によれば、このような制御弁を設けない構成としてもよい。この場合、塗装機に塗料を供給している間も、復路には塗料が流れ続けることになるが、復路における塗料の流量に相当する分だけポンプの圧送量を増大すれば、復路における塗料の流れを確保し、顔料の沈殿を確実に防止することができる。
(2)上記実施形態では制御弁に、一次側の塗料圧が所定値を上回るときには塗料の通過を許容する開弁状態となり、一次側の塗料圧が所定値を下回るときには塗料の通過を規制する閉弁状態となる背圧バルブ機構を設けたが、本発明によれば、制御弁が背圧バルブ機構を備えていない構成としてもよい。
(3)上記実施形態では1つの塗装機に対して色の異なる3種類の塗料を供給するようにしたが、本発明によれば、1つの塗装機に供給する塗料の種類は2種類以下、又は4種類以上であってもよい。
(4)上記実施形態では循環路が分岐せず、1つの循環路を循環する塗料が1台の塗装機のみに供給されるようにしたが、本発明によれば、循環路のうち1つのタンクから塗料供給部に至る経路を複数に分岐(1つのタンクに複数の塗料供給部を接続)して、1つのタンクから複数台の塗装機へ塗料を供給するようにしてもよい。この場合、複数台の塗装機への塗料供給が同時に行われるようにしてもよく、あるいは、複数台の塗装機への塗料供給のタイミングをずらして、複数台の塗装機への塗料供給を同時に行わないようにしてもよい。
(5)上記実施形態では塗装機が三次元方向へ変位可能なロボットアームの先端に塗装ガンを設けた形態であるが、本発明は、塗装機が、水平又は垂直方向へ往復移動するレシプロケータに塗装ガンを設けた形態である場合にも適用することができる。
(6)上記実施形態では塗料がアルミニウム製の小片からなる顔料を含有するものであったが、本発明は、顔料がアルミニウム製以外のものである場合にも適用できる。
(7)上記実施形態では塗料が水性塗料である場合について説明したが、本発明は、塗料が溶剤系塗料である場合にも適用できる。
(8)上記実施形態では制御弁(背圧バルブ)が、開弁状態から強制的に閉弁状態に切り換えられる開閉弁機構と、一次塗料圧に応じて開閉する背圧バルブ機構とを兼ね備えているが、本発明によれば、制御弁が開閉弁機構と背圧バルブ機構のうちいずれか一方の機構のみを備えたものであってもよい。
B…塗装機
10…循環路
11…往路
12…復路
13…タンク
14…塗料供給部
15…ポンプ
16…背圧バルブ(制御弁)
20…制御手段
Claims (5)
- 塗装機に対して塗料の供給を行う塗料供給部を備え、塗料が貯留されているタンクから前記塗料供給部に至る往路と、前記塗料供給部から前記タンクに戻る復路とによって構成される循環路と、
前記往路に設けられ、前記タンク内の塗料を前記塗料供給部側へ圧送するポンプと、
前記ポンプの圧送量の制御を行う制御手段とを備えていることを特徴とする塗料供給装置。 - 前記復路には、前記制御手段の制御により塗料の通過を許容する開弁状態から塗料の通過を規制する閉弁状態へ切り換えられる制御弁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の塗料供給装置。
- 前記制御弁が、一次側の塗料圧が所定値を上回るときには塗料の通過を許容する開弁状態となり、一次側の塗料圧が所定値を下回るときには塗料の通過を規制する閉弁状態となる背圧バルブ機構を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の塗料供給装置。
- 塗装機に対して塗料の供給を行う塗料供給部と、
塗料が貯留されているタンクから前記塗料供給部を経て前記タンクに戻る循環路と、
前記タンク内の塗料を前記塗料供給部側へ圧送するポンプとを備え、
前記塗装機へ塗料を供給しない状態では、前記ポンプにより、塗料を前記タンクから前記塗料供給部を経て前記タンクに戻す経路で循環させるようになっている塗料供給装置を用いた上で、
前記塗装機へ塗料を供給しない状態では、前記ポンプの圧送による塗料の循環流量を、塗料に含有されている顔料の沈殿防止に必要な最少量に設定し、
前記塗装機へ塗料を供給するときには、前記塗装機への供給量に概ね相当する分だけ前記ポンプの圧送量を増大させることを特徴とする塗料供給方法。 - 前記塗装機へ塗料を供給するときには、前記塗料供給部と前記タンクとの間に設けた制御弁を閉弁状態に切り替えて、前記塗料供給部から前記タンクに至る経路における塗料の流れを停滞させることを特徴とする請求項4に記載の塗料供給方法。
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