JP2007323010A - 含水性コンタクトレンズの保存方法ならびに該保存方法により保存された含水性コンタクトレンズ - Google Patents

含水性コンタクトレンズの保存方法ならびに該保存方法により保存された含水性コンタクトレンズ Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエチレングリコール側鎖および/またはポリエチレングリコールを含有する含水性コンタクトレンズのシクロデキストリンを含有する液剤中での保存において、保水効果およびその持続性に優れた保存方法を提供する。
【解決手段】含水性コンタクトレンズのレンズ素材にポリエチレングリコール鎖を導入しておくことにより、シクロデキストリンを含有する保存液に浸漬するだけでレンズ表面をプソイドロタキサン構造が覆うため、レンズからの水分蒸発を抑制することができる。
【効果】ポリエチレングリコール、シクロデキストリンともに安全性の高い化合物なので、得られるレンズについても安全性に問題が生じる懸念はない。さらに、操作が単純であるために従来と同等の製造コストを維持することができるので、経済的にも優れる。
【選択図】なし

Description

本発明は、含水性コンタクトレンズの保存方法および当該保存方法により保存された含水性コンタクトレンズに係り、特に、含水性コンタクトレンズ表面にポリエチレングリコールとシクロデキストリンとからなるプソイドロタキサン構造を形成することにより、レンズの保水性を向上させ、レンズ装用者の乾燥感や不快感を軽減し、良好なうるおい感の持続を図る保存方法に関するものである。
コンタクトレンズの素材および表面構造は、コンタクトレンズ装用者に特別な影響を与える。当然であるがソフトかハードかの相違により患者の受ける装用感の差異は大きく、個人差はあるものの、ソフト系レンズの方が装用当初から異物感を感じる患者は少ない。これはハード系レンズが硬くて物体として認識されやすいことに加えて、角膜表面に載置された後もソフト系レンズよりもよく動くことから、それを異物感として捉えるためである。もちろんハード系レンズは視力矯正、眼疾患発症の発見容易さなどの点でソフト系レンズに比較して優れた特性を有し、どちらを選択するかは患者の眼の状態、涙液量、涙液の質、用途など様々な要素をもとに決定される。また、レンズの表面構造は、水濡れ性、角膜との摩擦、涙液成分の吸着などとの関係で重要であり、前記素材自体だけでなく角膜との接触部位あるいは涙液の三層構造への影響を考える上においても充分考慮されなければならない。
ところで、近年の傾向として使い捨てタイプの含水性コンタクトレンズが登場してからはソフト系レンズ分野においてはその主流となりつつあるが、レンズ装用者において装用中に乾燥感や不快感を訴える患者が増加しているように思われる。これはレンズの装用という要因だけでなく、レンズを使用する環境、特にIT(情報技術)化が急速に進むなか、パソコン等のVDT(Visual Display Terminals)作業が広く職場に導入されてきたことに伴い作業中の凝視による瞬目回数の減少や、空調の効いた室内の湿度の低下などにも原因があるものと考えられる。レンズ装用の影響以外については別途の対策を検討する(例えばVDTについては厚生労働省発表の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」など参照)として、レンズの装用中の乾燥感を解消する手段としては、前記の素材および表面構造と関連してその改善方法が種々提案されている。
具体的には、ポリビニルアルコール系レンズの共重合分子内にイオン性のカルボキシル基及びその塩を導入することにより、レンズの保水性を向上させたもの(特開2004−70066号公報)、重合可能な界面活性剤と架橋剤、ラジカル重合開始剤の水分散系にレンズを浸漬し紫外線を照射して耐久性の表面コーティングを形成して表面を改質する方法(特表平6−503118号公報)、重合開始剤基をレンズ表面に共有結合させてそこにグラフト重合により一次ポリマー被覆を形成し、さらに該一次ポリマー被覆の反応性基と共反応性である官能基を有する親水性テロマーとを反応させて表面を改質する方法(特開2001−163932号公報)、イオン性のコンタクトレンズにポリビニルピロリドンを吸着させて、イオン性コンタクトレンズの周囲に存在する涙液層を安定化するシステム(特開2001−247466号公報)、高分子化合物とシクロデキストリン類とを含有してなるコンタクトレンズ装着液(特開2001−125052号公報)、酸性ムコ多糖類およびグリセリンを含有する含水性ソフトコンタクトレンズの含水率低下防止組成物(特開2004−77953号公報)などが上げられる。
これらの提案によれば改善効果が期待されるにしても、各方法にはそれぞれの課題もまた内在する。例えば、前記イオン性のカルボキシル基を導入する方法については、ポリビニルアルコール系レンズ以外のレンズにも普遍的に応用できるのか。重合可能な界面活性剤による表面コーティングや一次ポリマーの被覆と親水性テロマーとの反応による表面改質による方法については、レンズを形成する以外に後処理としてこれらの操作が必要になりコストアップに繋がるのではないか。また、ポリビニルピロリドンを吸着させる方法には開示されるようなレンズの種類に限定があり他の非イオン性コンタクトレンズに対する対策はどうするのか、効果の持続性はどうか。さらに高分子化合物とシクロデキストリン類とを含有するコンタクトレンズ装着液は、粘性のある従来の装着液に対してべとつき感を抑え、レンズの表面濡れ性を向上させたものであり、レンズの保水効果、乾燥感の改善を考慮したものではない、などの課題が存在するのである。さらには、もっと本質的な問題として、そもそも涙液成分や涙液量その他は患者それぞれに千差万別なのであり、すべての患者に適応できるような改善方法というものを求めること事態至難であると言わざるを得ないのである。
そして、前記アプローチが提案されてはいるものの、既存の方法に依存せず、他に安全で経済的・効果的な方法が未だに求められているのが現状である。
特開2004−70066号公報 特表平6−503118号公報 特開2001−163932号公報 特開2001−247466号公報 特開2001−125052号公報 特開2004−77953号公報
本発明は、含水性コンタクトレンズに保水性を与えて装用時にはうるおい感をもたせるような保存方法を提供することを目的とし、該方法は工程が簡略かつ、保水効果およびその持続性に優れ、安全性の高い含水性コンタクトレンズの保存方法並びに該方法を用いた含水性コンタクトレンズを提供することにある。
そして、本発明にあっては前記課題を解決するために検討を行った結果、ポリエチレングリコール側鎖および/またはポリエチレングリコールを含有する含水性コンタクトレンズを、シクロデキストリンを含む液剤に浸漬保存することにより、レンズからの水分蒸発が抑制されることを見出した。ポリエチレングリコールとシクロデキストリンはよく知られているように、ポリエチレングリコール鎖を軸としてシクロデキストリンの環状分子を貫いたプソイドロタキサン構造を形成する。本発明の効果は該構造によりシクロデキストリンがレンズ表面を被覆することとなる結果、レンズからの水分蒸発が抑制されるのだと思われる。
ポリエチレングリコールは、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000などの名称で日本薬局方に収載されている。医薬品及び化粧品の基剤として繁用され、点眼薬にも等張化剤、溶解補助剤などとして用いられる安全性の高い高分子である。この高分子体をそのままレンズの素材中に相互侵入の構造で固定するか、一端に重合基を結合させたモノマーとして使用し、コンタクトレンズ形成用他モノマーとの共重合によって固定する。
一方、シクロデキストリンはD−グルコースがα−1,4結合で環状に連なった化合物で、6個、7個、8個で構成されたものをそれぞれα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンと呼んでいる。シクロデキストリンは医薬品添加物規格に収載され、医薬への応用研究はいわゆるシクロデキストリンと薬剤とのホスト・ゲストの関係の利用をはじめとして、様々な試みにより用いられている。これも前記ポリエチレングリコール同様安全性の高い化合物なのである。
そしてポリエチレングリコールとシクロデキストリンが形成するプソイドロタキサン構造は、特別な操作や化学反応を必要とせず、単純に混合することにより生成する。従ってコンタクトレンズの製造に際して新たな設備を導入する必要はなく、製造コストを従来と同様に維持しつつ新たに保水効果を付与することができる。
本発明による含水性コンタクトレンズの保存方法は、レンズ素材にポリエチレングリコール鎖を導入しておくことにより、シクロデキストリンを含有する保存液に浸漬するだけでレンズ表面をプソイドロタキサン構造が覆うため、レンズからの水分蒸発を抑制することができる。またポリエチレングリコール、シクロデキストリンともに安全性の高い化合物なので、得られるレンズについても安全性に問題が生じる懸念はない。さらに、操作が単純であるために従来と同等の製造コストを維持することができるので、経済的にも優れた方法である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
ポリエチレングリコール(以下PEGという)鎖は、前記のとおり含水性コンタクトレンズ(以下単にレンズという)を構成する高分子中に側鎖として導入されるか、またはPEGの高分子鎖とレンズ構成高分子鎖とが相互侵入構造によりレンズ素材中に固定されていてもよい。レンズ素材中に側鎖として導入する方法としては、簡易的にはPEGの末端に重合基を有するモノマーを用いることができる。当該モノマーとして例えば、日本油脂株式会社から提供されているブレンマー(登録商標)シリーズのなかでポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPEシリーズ)やポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAEシリーズ)(以下前記を総称してPEGモノマーという)が好適に使用できる。
これらのPEGモノマーを従来のレンズ形成用モノマーと混合してレンズを成形すれば、レンズを構成する高分子中にPEG側鎖が導入される。混合する比率は特に限定されないが、0.05〜10%、より好ましくは0.1〜3%の範囲が望ましい。レンズの製造方法がモールド重合法である場合、レンズの膨潤率によって成形用型の大きさに変更を加えなければならなくなるので、既存の製造ラインをそのまま用いるためには既存レンズと同等の膨潤率を維持する必要がある。PEGモノマーの添加による膨潤率変化分を他の成分の増減により調整することになるが、添加量が10%を超えるようになると、他の物性(例えばレンズの物理的強度、硬度、柔軟性など)への影響も大きくなり好ましくないからである。また、0.05%より少なくなると、レンズ表面に存在するPEG側鎖が少なくなるために以下に述べるシクロデキストリン(以下CDという)とのプソイドロタキサン構造部位が減少し、水分蒸発抑制効果が発現されなくなるおそれがあるからである。
また、PEGの高分子鎖を前記のような側鎖としての導入ではなく、単にポリマーブレンドによりレンズ素材中に固定することでも良い。このようなPEGとして例えば三洋化成工業株式会社のマクロゴール1000、マクロゴール4000、マクロゴール6000などのマクロゴールシリーズがある。これらの好ましい添加量は前記PEGモノマーと同様であるが、分子量の低いPEGでは分子鎖の相互侵入構造が形成し難く、保存液中においてレンズ素材内に留まることなく溶出してしまう為に、保水性の効果が維持できなくなる。従って分子鎖の絡み合いによりレンズ素材内に固定できるだけの高分子量のものが好ましい。具体的には分子量は1000以上、好ましくは4000以上であるが、レンズ形成用モノマーとの相溶性の問題から分子量の上限が決定される。一般的に含水性コンタクトレンズに用いられるN−ビニルピロリドンやN,N−ジメチルアクリルアミドなどの親水性モノマーと、PEGとは相溶性が良いのであるが、レンズに強度を持たせるためのメチルメタクリレートなど疎水性モノマーとは相溶性が悪い。従って組み合わせる既存のレンズ形成用モノマーによっては20000以上の高分子PEGを用いることができない場合もある。ただし、PEGのホモポリマーではなくポリオキシプロピレンなどとのブロック共重合体を用いれば、疎水性モノマーとの相溶性も向上するために、全体として20000以上の高分子を用いることも可能となる。要するに、分子量は大きい方がレンズ素材内への固定が容易である反面、レンズ形成モノマー溶液との相溶性が損なわれない程度に調整する必要があるのである。また、レンズ形成モノマーにPEGモノマーおよびPEGの双方を添加することも可能である。
一方、レンズ重合段階よりPEG側鎖ないしPEGを導入する上記の方法以外に、レンズ形成後、PEGをレンズ素材表面に固定する方法を採用することも可能である。一例として、前記背景技術に記載(特開2001−163932号)したように、重合開始剤基をレンズ表面に共有結合させて、そこにブレンマーなどのPEGモノマーを重合する方法や、ポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(例えばポリオキシエチレン−ノニルフェニルエーテルなど)をレンズ表面に吸着させる方法なども考えられる。これらの方法によれば、レンズ表面部分にのみPEG鎖を固定するので、PEG含有量は前記範囲よりもさらに低く設定することとなる。この方法は後処理工程を設けることとなるので製造コストが高くなる傾向があるが、既存レンズの素材には変更がないため同等の物性を有するレンズが得られかつ保水性向上という付加価値を与えることができる。
上記各手段のいずれかひとつ以上を選択して、本発明に用いられるPEG側鎖および/またはPEGを「固定」したレンズを準備することができるが、各手段のいづれを選択するかは、得られるレンズ素材に白濁や変形などの悪影響を及ぼさないこと、製造コストを抑えること、などを基準として適宜選択される。なお、本発明におけるPEGの「固定」とは、前記記載から明らかなように、レンズ構成分子に共有結合により結合した分子側鎖および、レンズ構成分子とPEG分子とが絡み合いによってレンズに保持された状態のいずれをも含む。
本発明による保存方法には、レンズの保存液にCDを含有する。CDは前述の通りグルコースがα−1,4結合で環状に連なった化合物であり、グルコースが5個以上結合したものが知られている。一般的なものは前示α、β、γの3種であり、水への溶解度は25℃でα体が14.5g/100mL、β体が1.8g/mL、γ体が23.2g/100mLで、β体が最も低い。CDの環状構造の内部は他の比較的小さな分子を包接できる程度の大きさの空孔となっており、この空孔をPEGが貫通することによってプソイドロタキサン構造が形成される。本発明ではレンズにPEGが固定されているが、少なくとも一端はフリーな状態であるので、この自由端を通してCDがレンズに被覆されることとなる。CDとPEGとは弱い分子間相互作用によって超分子構造を形成し簡単には外れないが、PEG末端にストッパーを設けてロタキサン構造にすることも可能である。しかし、そのためには更に処理工程が必要になりそれに伴い製造コストが高くなるので、必要に応じて任意に行いうるのであって、本発明では必ずしも必要ではない。
本発明のCDは、前記一般的なα体などのほかに、CDの糖類環状構造を有するCD誘導体を用いることができる。このようなCD誘導体としては、例えばアルキルCD、ヒドロキシアルキルCD、スルホアルキルCD、スルホブチルCD、硫酸化CDなどが挙げられる。これらは一種以上を適宜組み合わせて用いることができ、その濃度は0.05〜5%、より好ましくは0.5〜2%である。β−CDを使用する場合には溶解度との関係で1.8%以上の濃度にすることは基本的に困難であるが、α−CDやγ−CDを用いることにより前記濃度範囲の保存液を調製することができる。これらのCD濃度が0.05%より低いと、レンズ表面のPEGとプソイドロタキサンを形成し難くなり、PEGによる表面被覆効果すなわち水分蒸発抑制効果が期待できなくなる。一方、5%より多量のCDを含有させても、プソイドロタキサン形成に寄与しないCDが溶液中に溶解しているだけとなって、不要なCDを含有することになるため保存液のコストアップにつながるおそれがある。
本発明のCD含有保存液には、必要に応じてレンズ用液剤に慣用されている各種添加成分を添加することができる。それらの成分としては、等張化剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、増粘剤、界面活性剤などがあり、これらは一種以上を適宜組み合わせて使用できる。
より具体的には、等張化剤として、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられ、緩衝剤としては、クエン酸塩緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤、シュウ酸塩緩衝剤、トリス−クエン酸緩衝剤、トリス−グリシン緩衝剤、トリス−EDTA緩衝剤、トリス−塩酸緩衝剤などが挙げられる。また、キレート剤としてはEDTAおよびその塩、クエン酸、ポリリン酸などが、防腐剤としてクロロヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリクワテリウム−1などが、増粘剤としてポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸塩などが上げられる。さらに界面活性剤としてポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどがあげられる。
さらにまた、その他の添加成分としてマレイン酸クロルフェニラミン、アミノエチルスルホン酸、メチル硫酸ネオスチグミンなどの各種薬効成分、メントール、カンフル、ボルネオールなどの清涼化剤、ビタミンA、ビタミンB等のビタミン類などを挙げることができ、それらは、生体に対して安全であり、取り扱うレンズの材質に悪影響を与えないものであれば、従来より公知のいかなるものも用いることが可能で、それらを、必要に応じて、本発明の作用・効果を阻害しない量的範囲において組み合わせて用いることができる。
本発明の方法によれば、PEGを固定したレンズを前記CD含有保存液に浸漬することにより、レンズ表面にプソイドロタキサン構造に基づくCD被覆が形成されることとなるが、保存条件は特に特定されることはなく、例えば室温で1晩保存すればよい。当該保存によって形成されたCD被覆は、レンズ表面からの水分蒸発を抑制する効果があり、レンズ装用による乾燥感、異物感をやわらげて患者の眼にうるおい感を与え、しかもその効果が持続する。
以下本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係るレンズの保存方法について幾つかの実施例を例示する。
−PEG固定レンズ材の作成−
表1記載の各組成について、以下の条件によりPEGを固定したレンズ素材の棒材を重合した。重合条件としては30℃で16時間、40℃、50℃、60℃で各3時間、70〜120℃まで18時間かけて徐々に昇温した。こうして得られた各棒材から切削により乾燥時の厚さ1mm、径11mmの円盤状プレートをサンプルとして各10枚作成した。このプレートを生理食塩水中で煮沸処理することにより、素材中の未反応モノマーを溶出させ以下の試験に用いた。これらいずれのプレートも含水状態において、レンズとして十分な透明性を有していた。なお、表1記載の試験例No.5はレンズ素材にPEG鎖を固定したものではなく、本例においては比較例として用いた。
Figure 2007323010
−水分蒸発抑制効果試験−
前記により準備した含水プレートを用いて、表2記載の各種保存液(プレート5枚/50ml)中に1晩浸漬し保存する。保存後のプレートを取り出して、表面の水分をキムワイプでふき取り、プレートの側面を下にして精密天秤の上に静かに置き、プレートからの水分蒸発速度を一枚づつ経時的(1分毎)に測定して、重量減少の速度を比較した。表2記載の保存液No.5は、シクロデキストリンを含有しない保存液で、本発明の効果を示す際のコントロールとした。そして、コントロールは常に各保存液の効果を調べる際の比較として測定した。なぜなら水分蒸発速度は当然のことながら周囲環境に大きく影響されるので、同じサンプルでも測定日の温・湿度等によって蒸発量に大きな差異を生じる。天秤周囲の環境を恒温恒湿の状態に保持できれば試験日の相違すなわち測定環境が問題となることは少ないが、そのような環境下で試験を行うことができない場合においても、常にコントロールを置くことにより、それとの比較で同一環境下での相対的評価が可能となるからである。本試験例は、コントロールとサンプルの測定(1プレートにつき1分毎に10分間の経時変化を測定)をそれぞれ交互に5サイクル(1プレート1サイクルで5プレート分測定)行い、図1〜5には水分蒸発量(mg)の変化を各5サイクル測定時の平均値として、コントロールのそれと対比して示した。
Figure 2007323010
なお、本来はレンズ形状にて水分蒸発速度を測定することが望ましいのであるが、レンズ1枚あたりの重量は極めて軽い(約30mg程度)ためにそこから蒸発する水分も少なくなって、測定値に誤差が生じやすい。そこで本実施例においては全体重量を重く(含水時プレート1枚330mg前後)して、スケールを大きくした水分蒸発の変化を測定した。各図からは、本発明の保存方法によれば効果的な水分蒸発抑制効果が認められる。例えば、図1はレンズにPEGが相互侵入により固定されたものと、CDを含有する液剤に保存したものであるが、保存液にCDを含んでいない(コントロール)よりも水分蒸発の抑制効果が認められる。また、例えば図4はレンズ構成分子としてPEG側鎖を有する場合に、保存液にCDを含んでいると水分蒸発の抑制効果が認められることを示している。
次に、比較例1として、PEGを固定していないレンズ材(試験例No.5のプレート)を、CD及びPEGを含有する保存液(No.6)に浸漬したとき、コントロールと比較して水分蒸発の変化を測定し、その結果を図6に示した。この試験では、レンズにPEGが固定されていない場合においては、CDとPEGが保存液に存在しているだけでは水分の蒸発を抑制する効果が認められないことを示している。
図1は試験例No.2のプレートを、保存液No.1(実施例1)および保存液No.5(コントロール)に保存したのち取り出したプレートの水分蒸発を示す図である。 図2は試験例No.1のプレートを、保存液No.2(実施例2)および保存液No.5(コントロール)に保存したのち取り出したプレートの水分蒸発を示す図である。 図3は試験例No.3のプレートを、保存液No.1(実施例3)および保存液No.5(コントロール)に保存したのち取り出したプレートの水分蒸発を示す図である。 図4は試験例No.4のプレートを、保存液No.3(実施例4)および保存液No.5(コントロール)に保存したのち取り出したプレートの水分蒸発を示す図である。 図5は試験例No.4のプレートを、保存液No.4(実施例5)および保存液No.5(コントロール)に保存したのち取り出したプレートの水分蒸発を示す図である。 図6は試験例No.5のプレートを、保存液No.6(比較例1)および保存液No.5(コントロール)に保存したのち取り出したプレートの水分蒸発を示す図である。

Claims (4)

  1. ポリエチレングリコール側鎖および/またはポリエチレングリコールを含有する含水性コンタクトレンズをシクロデキストリンを含有する液剤に保存することを特徴とする、含水性コンタクトレンズの保存方法。
  2. ポリエチレングリコール側鎖およびまたはポリエチレングリコールの含有比率がコンタクトレンズ素材中0.05%〜10%であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. シクロデキストリンが0.05〜5%の範囲で含有されている液剤に保存することを特徴とする請求項1乃至2記載の方法。
  4. 請求項1乃至3記載の方法により保存された含水性コンタクトレンズであって、生理食塩水に保存された場合の当該コンタクトレンズと比較して水分蒸発速度が抑制されることを特徴とする含水性コンタクトレンズ。
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