JP2007322999A - 静電潜像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents

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Katsumi Daimon
克己 大門
Takashi Imai
孝史 今井
Susumu Yoshino
進 吉野
Toyofumi Inoue
豊文 井上
Shigeyoshi Takahashi
栄美 高橋
Seiichi Takagi
高木  誠一
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Abstract

【課題】優れた定着性能と光発色機能とを両立することができる静電潜像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。
【解決手段】互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有し、該光硬化性組成物が、さらに炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを含む静電潜像現像用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電記録方式により画像を形成するために用いられる静電潜像現像用トナー及び画像形成方法に関するものである。
近年、ITの進展とさらなる環境への配慮の要求が増し、ビジネスユースの、より省スペース、省資源の小型・軽量のカラー画像出力マシンが必要とされている。そのため、基本的に小型・軽量化が簡単なインクジェットや熱転写、昇華型などのカラー画像出力マシンでの、高速化、普通紙対応などが進んできた。
しかし、一方、これらと比較すると、小型・軽量とはならないが、その本来持つ高速出力性、普通紙対応などからオフィス使用では依然として電子写真方式が主流である。電子写真において、カラー画像を高速に出力する画像形成装置としては、感光体、現像器などからなり潜像形成・現像・転写を行う画像形成ユニットを色別に4つ備えたタンデム方式の画像形成装置が一般的である。
この装置では、色別に画像形成ユニットを持つため、ほぼ同時にC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)画像を形成することができ、高速化が可能である。しかし、同様の機能の画像形成ユニットを4つ用いるため、装置の小型・軽量化できない理由ともなっている。
そこで、1つの画像形成ユニットでカラー画像の形成を可能とするために、1種のトナー粒子で必要な色に発色するトナーの提案がなされている(例えば、特許文献1〜4等参照)。これらのトナーの発色原理は、基本的に染料前駆体と顕色剤とを画像情報に相当する外部刺激により反応させ、必要な色に発色させるものである。
一方、上記トナーの発色原理に関係したものとして、光や熱といった外部刺激に応答性のマイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした記録紙の技術も提案されている(例えば、特許文献5等)なお、このような光や熱といった外部刺激に応答性のマイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした記録紙の技術としては、この他にも様々なものが提案されている(例えば、特許文献6、7等参照)
前記トナーの具体例として、特許文献3に記載のトナーを例に挙げて説明する。このトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。
このトナーでは、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用いたり、共振周波数の超音波を印加した際に破壊されるカプセル壁を用いることにより、光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する。このため、前記タンデム方式のような4つの画像形成ユニットを備えた装置よりも、より簡単な構成の装置を用いて良好なフルカラー画像形成を容易に得ることができる。
特開平2−293869号公報 特開平8−106172号公報 特開2003−330228号公報 特開2004−45660号公報 特許第2979158号明細書 特開平4−211252号公報 特開2000−199952号公報
以上に説明した特許文献3等に示されるような光等の外部刺激の付与によって発色するトナー(以下、「発色性トナー」と称す場合がある)は、従来の顔料等の着色剤を含むトナー(以下、「着色剤含有トナー」あるいは「非発色性トナー」と称す場合がある)を用いた場合と比べて、着色剤含有トナーの顔料等の着色剤に相当する成分としてロイコ染料や顕色剤等の発色成分を用いる必要があるため、トナーを構成する材料組成や、トナー構造等は大きく異なってしまう。
このため、機械的強度を確保するために必要な結着樹脂成分をトナー中に必要な分量だけ十分に含有させること等が困難となり、紙などの記録媒体への定着性能、特に定着画像の強度が低下してしまうことがあった。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、優れた定着性能と光発色機能とを両立することができる静電潜像現像用トナー及び画像形成方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有し、
該光硬化性組成物が、さらに炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを含む静電潜像現像用トナーである。
<2> 前記光硬化性組成物中の前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの含有量が、該アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート以外の光重合性成分100質量部に対して20〜200質量部の範囲であることを特徴とする<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<3> 前記発色部として、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部を含む<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<4> 前記2種類以上の発色部が、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含む<3>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<5> 前記発色部として、特定の色に発色可能な1つの発色部のみを含む<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<6> 前記1つの発色部が、イエロー色に発色可能な発色部、マゼンタ色に発色可能な発色部及びシアン色に発色可能な発色部のうちのいずれかである<5>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<7> 前記光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、
前記光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、前記発色不可能な状態から発色可能な状態へ不可逆的に制御される<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<8> 前記光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色可能な状態を維持し、
前記光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、前記発色可能な状態から発色不可能な状態へ不可逆的に制御される<1>に記載の静電潜像現像用トナーである。
<9> 像担持体表面を帯電する帯電工程と、前記像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像しトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像に画像情報の色成分情報に対応した光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、露光後の前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面のトナー像を加熱加圧して定着および発色させて画像を形成する定着発色工程とを含み、
前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有し、該光硬化性組成物が、炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを含む静電潜像現像用トナーである画像形成方法である。
以上に説明したように、本発明によれば、優れた定着性能と光発色機能とを両立することができる静電潜像現像用トナー及び画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<静電潜像現像用トナー>
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)は、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有し、該光硬化性組成物が、さらに炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを含むことを特徴とする。
発色性トナーにおいては、光吸収効率を高くするためできる限りトナー粒子における発色部(外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域)の割合を多くすることが望ましい。しかし、前述のように、通常発色部は従来のトナーにおける結着樹脂とは異なる成分で構成されるため、前記のような方向にトナーを設計することは、熱ロール定着時における耐オフセット性や定着後の画像強度の低下といった問題を生じさせる。
上記問題の解決のための1つの手段としては、前記発色部そのものが少なくとも定着後に従来の結着樹脂と同様な特性を有するようにすればよい。その観点からは、後述するような、発色部成分として互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物とを有する本発明のトナーの構成は、光照射時(さらには定着加熱時)に光硬化性組成物が硬化してトナー内部強度が上昇するため望ましいものであるが、光硬化性組成物の硬化のみでは十分な離型性や定着強度が得られない。
本発明者等がさらに検討を進めた結果、光硬化性組成物中にさらに特定のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートを含ませることにより、上記問題が解決されることを見出した。すなわち、光照射により光硬化性組成物が硬化するときに同時に重合して、硬化・重合後の分子量を増大させることが可能な特定のモノマーを含ませることにより、十分な定着部材との離型性、定着後の画像強度が得られることがわかった。
この場合、光硬化性組成物に含ませるモノマーに必要とされる特性としては、光未照射のときには光硬化性組成物中で顕色剤等の第2成分の物質移動や光重合性化合物との相互作用を阻害しないことが望ましい。また、光照射による重合時には、前記光重合性化合物と一緒に重合しその重合性が高いこと、重合後は溶融粘度が比較的高く離型性を有すること、さらに冷却後の固体としては機械的強度が高いことが望ましい。
このような観点から、本発明においては、光硬化性組成物に添加するモノマーとして、炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを用いることが有効であることを見出した。なお、上記添加されるモノマーは、重合時には光硬化性組成物中の光重合性化合物と共重合可能なものであることが、重合後の分子量をより高くすることができる点で好ましい。
以上のような、光硬化性組成物中に特定のモノマーを含ませることにより、少なくとも定着後の定着画像を一定以上の分子量の重合体で構成することができ、通常の結着樹脂を含む定着画像と同等の定着強度を確保することができる。また、定着時にすでに高い分子量に達していれば、例えば熱ロール定着におけるロールとの良好な離型性を得ることができる。
以上のように、本発明のトナーは特に光硬化性組成物に特徴を有するが、以下、該トナーの構成を順を追って説明する。
本発明のトナーは、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物とを有し、これが発色部を形成する。該発色部はトナー粒子中に1つのみ、あるいは2つ以上含まれる。本発明において、「発色部」とは、前記のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。また、該連続した領域は内層の一部分であってもよいし、内層全体であってもよい。
また、画像形成時における第1成分および第2成分の反応(発色反応)の制御は、前記外部刺激の付与により行われる。ここで外部刺激の種類としては特に限定されず、光の照射、熱処理、超音波の印加、加圧等、種々の物理的、化学的、機械的刺激が利用でき、2種類以上を組み合わせてもよい。
しかしながら、本発明においては、外部刺激が、発色可能な状態の第1成分および第2成分を発色させる発色刺激と、この発色刺激が付与される前の第1成分および第2成分を、発色可能な状態、または、発色不可能な状態に制御する制御刺激とを含むものであることが好ましい。
この場合、制御刺激は特定波長の光(以下、「発色情報付与光」と称す場合がある)の照射であり、発色刺激は加熱処理であることが好ましい。
なお、第1成分および第2成分が、外部刺激が付与されない状態でも物質拡散が容易な同一のマトリックス内に存在するとトナーの保管時や製造時において、自発的な発色が進行してしまう可能性があるため、これら2種類の成分はトナー中で互いに隔離された状態で存在することが必要である。
このため、これらの2種類の成分は、その種類毎に、外部刺激が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていることが好ましい。このように外部刺激が付与されない状態での物質拡散を阻害して、トナーの保管時や製造時における自発的な発色を防止するためには、2種類の成分の一方の成分が第1のマトリックスに含まれ、他方の成分が第1のマトリックス外(第2のマトリックス)に含まれ、いずれか一方のマトリックスが光硬化性組成物から構成される。
また、第1のマトリックスと第2のマトリックスとの間には、外部刺激が付与されない限り両マトリックス間の物質の拡散が阻害されると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じて両マトリックス間の物質の拡散を可能とするような機能を持つ第3のマトリックス(通常は膜)が設けられることが好ましい。
なお、このような3つのマトリックスを利用して各種類の成分をトナー中に配置するには、マイクロカプセルを利用することが好適である。
この場合、本発明のトナーは、光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルを含み、第1成分および第2成分のうち、いずれか一方がマイクロカプセル内に、他方が光硬化性組成物中に含まれることが好ましい。この場合、マイクロカプセル内部が第1のマトリックス、マイクロカプセルの外殻が第3のマトリックス、マイクロカプセル外(光硬化性組成物)が第2のマトリックスに相当する。
このマイクロカプセルは、芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有するものであり、外部刺激が付与されない限りマイクロカプセル内外の物質の拡散を阻害すると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じてマイクロカプセル内外の物質の拡散を可能とする機能を有するものであれば特に限定されない。なお芯部には、第1成分または第2成分が含まれる。
また、マイクロカプセルは、光の照射や圧力などの刺激の付与によってマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とするものでもよいが、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする(外殻の物質透過性が増大する)熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましい。
なお、刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
本発明のトナーは、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物とを有する。
このような構成のトナーとしては、(1)光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により光硬化性組成物を硬化させることによって、発色不可能な状態から発色可能な状態へ不可逆的に制御されるタイプ(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)と、(2)光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、発色可能な状態から発色不可能な状態へ不可逆的に制御されるタイプ(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)とがある。これら2つのタイプのトナーの詳細については後述する。
また、前記互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分および第2成分と、第1成分および第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有するトナーにおいて、さらにマイクロカプセルを利用する場合は、(1)光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルを含み、第1成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(以下、「第1の態様」と称す場合がある)、(2)第2成分がマイクロカプセル内に含まれ、第1成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(以下、「第2の態様」と称す場合がある)、あるいは、(3)第1成分および第2成分の双方が各々マイクロカプセルに含まれ、光硬化性組成物は、第1成分または第2成分を含むいずれか一方のマイクロカプセル内に含まれる態様(以下、「第3の態様」と称する場合がある)のいずれかであることが好ましい。
しかしながら、これら3つの態様の中でも、特に第1の態様であることが好ましい。なお、以下の本発明のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
ここで、マイクロカプセルは、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましく、この場合、光硬化性組成物が、発色情報付与光の照射により硬化する場合、外部刺激としては、発色情報付与光の照射(制御刺激の付与)の有無と加熱処理(発色刺激の付与)とを含む組み合わせを利用することができる。
すなわち、この場合、第1成分と第2成分との反応の制御(発色反応制御)を行うために付与される外部刺激が、反応可能な状態の第1成分と第2成分とを反応(発色反応)させる発色刺激と、この発色刺激が付与される前の第1成分と第2成分の反応(発色反応)を、発色刺激が付与された際に可能な状態または不可能な状態に制御する制御刺激とを含み、制御刺激として発色情報付与光の照射を用い、発色刺激として加熱処理を用いる。
なお、熱応答性マイクロカプセル(以下、単に「マイクロカプセル」と略す場合がある)は、第1成分を含む芯部と、この芯部を被覆する外殻とから構成されるが、ここで、外殻を構成する材料が加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする熱応答性材料からなることが好ましい。この場合、マイクロカプセルの外殻として用いられる熱応答性材料は、加熱処理による分解、軟化や、周囲の部材との相溶等により、加熱処理を終えた後は外殻構造の分解、消失、破壊等が起こり恒久的(不可逆的)にマイクロカプセル内外の物質拡散が容易な状態が維持できるような材料(例えば、加熱により分解する熱分解性材料、熱可塑性樹脂等の熱可塑性材料や、加熱により周囲の部材と相溶する熱溶解性材料等)を用いることが好ましい。
ここで、前記「光非発色型トナー」及び「光発色型トナー」について、より詳細に説明する。
上述のように、光非発色型トナーは、光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、発色可能な状態から発色不可能な状態へ不可逆的に制御に制御される機能を有するタイプのトナーである。
このような機能を達成するためには、光硬化性組成物中に含まれる第2成分が、その分子中に光重合性基を有する物質(光重合性成分)であることが好ましい。また、この他にも光重合開始剤が含まれることがより好ましく、必要に応じてさらにその他の成分が含まれていてもよい。
光非発色型トナーおいては、第2成分自体が光重合性を有するため、発色情報付与光を照射したとしても、この光の波長が光硬化性組成物を硬化させる波長でなければ、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態を維持できる。従って、この状態で加熱処理等の発色刺激の付与によりマイクロカプセル外殻の物質透過性が増大すれば、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が可能な状態(発色可能な状態)となる。
これに対して、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させると光硬化性組成物中に含まれる第2成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が極めて困難となる。それゆえ、この状態でマイクロカプセル外殻の物質透過性の物質透過性を増大させるような刺激を付与しても、第2成分はマイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が不可能な状態(発色不可能な状態)が維持される。
なお、光硬化性組成物の硬化反応は不可逆的であるため、一旦、発色不可能な状態に制御されるとこの状態が永続的に維持される。
従って、例えば、マイクロカプセルとして熱応答性マイクロカプセルを用いている場合には、発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させて、トナーを発色不可能な状態に制御すれば、続いて加熱処理して熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大しても第1成分と第2成分とが反応できない。従って、例えば、発色前のトナーの色が無色透明であれば、この状態が安定的に維持されることになる。
一方、光硬化性組成物が未硬化の状態、すなわちトナーが発色可能な状態で加熱処理すれば熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大して第1成分と第2成分とが反応し、トナーが所定の色に発色し、この発色状態を安定的に維持できる。
以上に説明した光非発色型トナーにおいて、第1成分と第2成分との発色反応は、光硬化性組成物が未硬化の状態(光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射するプロセスを経ない状態)で、加熱処理等の発色刺激の付与によるマイクロカプセル外殻の物質透過性を増大させるという実質的に1段階のプロセスにより制御される。
それゆえ、発色反応の制御が容易で画像形成時の発色濃度の確保や、画像形成後のカラーバランスの変化の抑制が容易である。加えて、マイクロカプセル外殻の物質透過性の増大も不可逆的なものとすることにより、より一層精緻な制御が可能となる。更に、発色濃度の階調は、不可逆的な反応である光硬化性組成物の硬化(重合)度合いにより制御できるため、発色濃度の階調制御も極めて容易である。
また、トナーを発色させたくない場合には、加熱処理等の発色刺激の付与によりマイクロカプセル外殻の物質透過性の増大させる前に、発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させれば、発色不可能な状態を安定して維持できる。
次に、光発色型トナーについてより詳細に説明する。
上述したように、光発色型トナーは、光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により光硬化性組成物を硬化させることによって、発色不可能な状態から発色可能な状態へ不可逆的に制御される機能を有するタイプのトナーである。
このような機能を達成するためには、光硬化性組成物中に(光重合性を有さない)第2成分と光重合性化合物(光重合性成分)とが少なくとも含まれることが好ましい。また、この他にも光重合開始剤が含まれることがより好ましく、必要に応じてさらにその他の成分が含まれていてもよい。
ここで、光発色型トナーに用いられる光重合性化合物および第2成分としては、光硬化性組成物が未硬化の状態で両者の間に相互作用が働き、光硬化性組成物中での第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の不可逆的な硬化反応による硬化(光重合性化合物の重合)後の状態で両者の間の相互作用が減少して、光硬化性組成物中での第2成分の物質拡散が容易となる材料が用いられる(なお、光硬化性組成物を構成するこれらの材料の詳細については後述する)。
従って、光発色型トナーにおいては、発色情報付与光を照射せず、光硬化性組成物が未硬化状態の時には、第2成分は光重合性化合物にトラップされたままである。それゆえ、この状態でマイクロカプセル外殻の物質透過性の物質透過性を増大させるような刺激を付与しても、第2成分はマイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が不可能な状態(発色不可能な状態)が維持される。
これに対して、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させると、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易となる。それゆえ、この状態で加熱処理等の発色刺激の付与によりマイクロカプセル外殻の物質透過性が増大すれば、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が可能な状態(発色可能な状態)となる。
なお、光硬化性組成物の硬化反応は不可逆的であるため、一旦、発色可能な状態に制御されるとこの状態が永続的に維持される。
従って、例えば、マイクロカプセルとして熱応答性マイクロカプセルを用いている場合には、発色情報付与光を照射して光硬化性組成物を硬化させて、トナーを発色可能な状態に制御し、続いて加熱処理すれば熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大して第1成分と第2成分とが反応し、トナーが所定の色に発色し、この発色状態を安定的に維持できる。これに対して光硬化性組成物を硬化させる発色情報付与光を照射しなければ光硬化性組成物は未硬化の状態を維持し続け、加熱処理して熱応答性マイクロカプセル外殻の物質透過性が増大しても第1成分と第2成分とは反応できない。従って、例えば、発色前のトナーの色が無色透明であれば、この状態が安定的に維持されることになる。
以上に説明した光発色型トナーにおいて、第1成分と第2成分との発色反応は、(1)光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の硬化という反応と、(2)加熱処理等の発色刺激の付与によるマイクロカプセル外殻の物質透過性の増大という2段階のプロセスにより制御される。そして、光発色型トナーでは1段階目のプロセスの影響を受けずに、2段階目の発色反応を制御できるため、発色反応の制御が容易で画像形成時の発色濃度の確保や、画像形成後のカラーバランスの変化の抑制が容易である。加えて、マイクロカプセル外殻の物質透過性の増大も不可逆的なものとすることにより、より一層精緻な制御が可能となる。更に、発色濃度の階調は、不可逆的な反応である光硬化性組成物の硬化(重合)度合いにより制御できるため、発色濃度の階調制御も極めて容易である。
なお、光発色型トナーとしては、光重合性化合物として上述したように光硬化性組成物が未硬化状態の時に第2成分をトラップする特性を有する光重合性化合物を用いるタイプ(以下、「第1の光発色型トナー」と称す場合がある)以外にも、分子内に第1成分と反応することにより第1成分と第2成分との発色反応を阻害する消色反応基を含む光重合性化合物を用いるタイプ(以下、「第2の光発色型トナー」と称す場合がある)であってもよい。
第2の光発色型トナーでは、例えば、マイクロカプセルとして熱応答性マイクロカプセルを用いている場合には、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光が照射されると、光硬化性組成物が硬化(すなわち、消色反応基を含む光重合性化合物が重合)するため、続いて加熱処理が実施されても、第1成分と第2成分との発色反応が、(重合により加熱されても物質拡散できなくなった)消色反応基により阻害されないために、発色することができる。これに対して、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射することなく加熱処理を実施した場合には、消色反応基が第1成分と反応して、第1成分と第2成分との発色反応を阻害するために発色できない。
このように第2の光発色型トナーにおいても、光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、光硬化性組成物を硬化させる特徴波長の光の照射により光硬化性組成物を硬化させることによって、発色不可能な状態から発色可能な状態に制御される。
次に、本発明のトナーの構造についてより詳細に説明する。
本発明のトナーは、前記発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみが内層中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が内層中に含まれることが特に好ましい。この場合、ひとつのトナー粒子の発色可能な色は、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができる。
例えば、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部としては、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含むような組み合わせが挙げられる。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、トナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
一方、トナー中に1つの発色部のみを有する場合には、1つのトナー粒子が、特定の一の色にのみ発色することが可能である。この場合、前記1個の発色部が、イエロー色に発色可能な発色部、マゼンタ色に発色可能な発色部及びシアン色に発色可能な発色部のうちのいずれかであることが、複数の色のトナーを組み合わせて多様な色を再現することができるため好ましい。
なお、トナー中に互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が含まれる場合の、発色する色の制御は、各々の種類の発色部に含まれる第1成分および第2成分の種類や組み合わせを異なるものとすることの他に、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に用いる光の波長を異なるものとすることにより実現できる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、制御刺激として、発色部の種類に応じた波長の異なる複数種の発色情報付与光を用いればよい。なお、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
例えば、イエロー、マゼンタ、および、シアンに発色可能な3種類の発色部がトナー中に含まれる場合、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物として、光の波長が405nm、532nm及び657nmのいずれかに応答して硬化する材料を用いれば、これら3つの異なる波長の発色情報付与光(特定波長を有する光)を使い分けることによって、トナーを所望の色に発色させることができる。
なお、発色情報付与光の波長としては、可視域の波長から選択することもできるが、紫外域や赤外域の波長から選択してもよい。発色情報付与光の波長を可視域からではなく紫外域から選択することによって、短波長であることよりビーム径が絞りやすいメリットを有する(高精細が可能)。このような波長の光源としては、波長変換固体SHGレーザ(基本波長を1/2に変換する)や、ガスレーザがある。
また、発色情報付与光の波長を可視域からではなく赤外域から選択することによって従来から知られるごとく発光素子自体の値段が安く、高出力のものが得られやすいメリットがある。
本発明のトナーは、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーに用いられるのと同様な結着樹脂を主成分とする母材を含むものであってもよい。この場合、母材中に、前記2以上の発色部の各々が粒子状に分散していることが好ましく、これら粒子状に分散した発色部はトナーの作製に際しては、カプセル状の粒子として予め形成されたものであることが特に好ましい(以下、カプセル状粒子からなるひとつの発色部を「感光・感熱カプセル」と称する場合がある)。また、母材中には、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。
感光・感熱カプセルは、マイクロカプセルや光硬化性組成物を含む芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有し、この外殻は、後述するトナーの製造過程や、トナーの保管時において、感光・感熱カプセル内のマイクロカプセルや光硬化性組成物を感光・感熱カプセル外に漏れないように安定して保持できるものであれば特に限定されない。
しかしながら、本発明においては、後述するトナーの製造過程において、第2成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましく、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル等の非水溶性樹脂を用いることが特に好適である。
ここで、感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として非水溶性樹脂を用いる場合、非水溶性樹脂が結晶性樹脂である場合には、その融点は40〜80℃の範囲内であることが好ましく、50〜70℃の範囲内であることがより好ましい。また、非水溶性樹脂が非晶質樹脂である場合には、そのガラス転移温度は40〜80℃の範囲内であることが好ましく、50〜70℃の範囲内であることがより好ましい。
融点やガラス転移温度が上述した範囲を下回る場合には、トナーの製造過程における加熱により外殻が軟化してしまう場合があり、融点やガラス転移温度が上述した範囲を上回る場合には、画像形成時に、発色刺激の付与と定着とを兼ねた加熱処理を実施しても外殻が軟化しないため、発色が困難になるか、定着温度を高めに設定しなければならず、エネルギーの消費量が大きくなってしまう場合がある。
なお、上述した母材中に発色部が分散した態様(以下、「発色部分散構造」と称す場合がある)以外にも、本発明のトナーは、2以上の発色部のうちの少なくともいずれか1つの発色部が、少なくとも1つ以上の他の発色部と界面を形成するように隣接した構造を有していることが好ましい(以下、少なくとも1つ以上の他の発色部と界面を構成する発色部を、「感光・感熱層」と称す場合がある)。
このような態様としては、例えば、(1)コア層を形成する感光・感熱層と、このコア層を被覆するように、コア層上に順次積層された1以上の感光・感熱層とからなる態様(以下、「同心円構造」と称す場合がある)や、(2)トナーを所定の方向から切断した場合に得られた断面が、帯状に積層された2以上の感光・感熱層からなる態様(以下、「ストライプ構造」と称す場合がある)、あるいは、(3)トナーを所定の方向から切断した場合に得られた断面が、トナーの中心を基点に扇状に区分され、各々の扇状のエリアが感光・感熱層からなる態様(以下、「扇構造」と称す場合がある)。
なお、同心円構造、ストライプ構造、扇構造のいずれにおいても、界面を成すように隣接する2つの感光・感熱層の間には、上述した感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料を含む中間層が設けられていることが特に好ましい。また、中間層には従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。また、これら3種のトナーの最表面には、結着樹脂を含む被覆層が設けられていることが好ましい。
次に、本発明のトナーを構成する材料に関し、まず発色部を構成する第1成分、第2成分及び光硬化性組成物について、光非発色型と光発色型とに分けて具体的に説明する。
(光非発色型トナーの発色部構成材料等)
本発明のトナーが光非発色型トナーである場合に用いられる発色部構成材料や、各発色部構成材料を調製する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、発色部には、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
なお、光非発色型トナーにおいては、第1成分としては、電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等が用いられ、第2成分としては光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等(光重合性成分)が用いられる。
−第1成分および第2成分−
第1成分および第2成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1成分、後者が第2成分を表す。)。
(ア)電子供与性無色染料と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤および/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸または塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
−第1成分−
上記列挙した本発明に用いられる第1成分としては、実質的に無色の電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。以下に、その具体例を示すが、本発明に使用することができる電子供与性無色染料は、これらに限定されるものではない。
具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号、米国特許第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号及び同第3,509,174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(p−ジプロピルアミノ−o−メチルフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−5−アザ(又は−6−アザ、又は−7−アザ)フタリド等が挙げられる。
フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載の化合物が挙げられる。
フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号等に記載の化合物が挙げられる。
本発明のトナーによりフルカラー画像を形成する場合、シアン、マゼンタ、イエローの各発色色素用の電子供与性無色染料を使用することが特に好ましい。
シアン、マゼンタ、イエロー発色色素としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各色素を使用することができる。さらに、イエロー発色色素用電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,148号等に記載の色素も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性無色染料としては、特開平63−53542号公報等に記載の色素も使用することができる。
前記電子供与性無色染料の使用量としては、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)中に、0.01〜3g/m2 が好ましく、0.1〜1g/m2 がより好ましい。前記使用量が、0.01g/m2 未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、3g/m2 を超えると、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)の形成が困難になることがある。
前記ジアゾニウム塩化合物としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Ar−N2 + -
〔式中、Arは芳香族環基を表し、X- は酸アニオンを表す。〕
このジアゾニウム塩化合物は加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色したり、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
前記式において、Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
また、これらの基は、さらに、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
本発明に用いるジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmax としては、効果の点から450nm以下であることが好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。また、本発明に用いるジアゾニウム塩化合物としては、炭素数12以上で、水に対する溶解度が1質量%以下かつ酢酸エチルに対する溶解度が5質量%以上のジアゾニウム塩化合物が好ましい。
以下に、本発明に好適に使用しうるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007322999
Figure 2007322999
Figure 2007322999
Figure 2007322999
Figure 2007322999
Figure 2007322999
前記ジアゾニウム塩化合物は、単独で用いてもよいし、色相調整等の諸目的に応じて2種以上併用して使用してもよい。
前記ジアゾニウム塩化合物の使用量としては、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)中に0.01〜3g/m2 が好ましく、0.02〜1.0g/m2 がより好ましい。前記使用量が、0.01g/m2 未満であると、十分な発色性を得ることができないことがあり、3g/m2 を超えると、感度が低下したり、定着後に必要に応じて実施される光照射の時間を長くする必要が生じることがある。
−第2成分−
本発明に用いる第2成分は、同一分子内に光重合性基および第1成分と反応して発色する部位とを有する実質的に無色化合物であり、光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等の第1成分と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
前記光重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と光重合性基とを有する化合物としては、光重合性基を有し、かつ第1成分の一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。
前記電子受容性化合物としては、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
Figure 2007322999
〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、中でも、塩素原子が好ましい。Yは、重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でも、ビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基がより好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシル基を表す。〕
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
また、前記電子受容性基と光重合性基とを同一分子内に有する化合物としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、
β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、
3−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
前記光重合性基を有する電子受容性化合物は、前記電子供与性無色染料と組合わせて用いられる。この場合、電子受容性化合物の使用量としては、使用する電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。0.5質量部未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、感度の低下や、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)の形成が困難になる場合がある。
また、前記光重合性基を有するカプラー化合物としては、光重合性基を有し、かつ前記第1成分の一つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。以下に、カプラー化合物の具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
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前記カプラー化合物は、ジアゾニウム塩化合物と組合わせて用いる。前記カプラー化合物の使用量としては、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)中に、0.02〜5g/m2 が好ましく、効果の点から、0.1〜4g/m2 がより好ましい。前記添加量が、0.02g/m2 未満であると、発色性に劣ることがあり、5g/m2 を越えると、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)の形成が困難になる場合がある。
また、カプラー化合物の使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色性を得られないことがあり、20質量部を超えると、感光・感熱カプセル(または感光・感熱層)の形成が困難になる場合がある。
カプラー化合物は、その他の成分とともに水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化し、乳化物として用いることもできる。ここで、固体分散又は乳化する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。方法の詳細については、特開昭59−190886号公報、特開平2−141279号公報、特開平7−17145号公報に記載されている。
また、カップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。
前記有機塩基としては、例えば、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、
1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。前記有機塩基は、単独で用いてよいし、2種以上併用して用いてもよい。
これらは、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−94381号公報、特願平7−228731号公報、特願平7−235157号公報、特願平7−235158号公報等に記載されている。
前記有機塩基の使用量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾニウム塩1モルに対し、1〜30モルが好ましい。
さらに、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。前記発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。これらの化合物は、カプラー化合物又は塩基性物質の融点を低下させる、或いは、マイクロカプセル壁(外殻)の熱透過性を向上させる作用を有することから、高い発色濃度が得られるものと考えられる。
−アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート−
光非発色型トナーは、前記光重合性基を有する第2成分に加え、光硬化性組成物に光重合性成分として炭素数12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートを含む。ここで、上記アルキル基とはアクリル酸、メタクリル酸の−COOHを−COORとエステル化したときのR基をいい、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
上記アルキル基の炭素数が12に満たないと、重合後の融点が低く、画像がオフセットしやすくなる。一方、炭素数が30を超えると、モノマーとして入手しがたく現実的ではない。
上記炭素数は15〜26の範囲であることが好ましく、17〜22の範囲であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、重合後のトナーの溶融粘度も高くすることができ耐オフセット性に対しても効果が発揮されるため好ましい。
このようなアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートとしては、上記の要件を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、ヘンエイコシルアクリレート、ドコシルアクリレート、トリコシルアクリレート、テトラコシルアクリレート、ペンタコシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ペンタコシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルアクリレート、イソステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート等を使用することができる。
これらの中では、炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートを用いることが、光硬化性組成物における他の成分との相溶性、前記第2成分の物質拡散を妨げない、光重合時に第2成分の光重合性基を有する化合物と共重合して共重合体を形成しやすいという点で好ましく、また、特にステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレートなどを用いることが好ましい。
また、前記アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートに関しては、結晶性を有するモノマーであることが、トナーあるいは定着画像としての取り扱い時に臭いを低減することができるため好ましい。
この観点からは、用いられるアクリル(メタクリル)モノマーの融点は0〜70℃の範囲であることが好ましい。
前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートは、光硬化性組成物中に、第2成分である光重合性基を有する化合物(アルキルアクリレート及び/またはアルキルメタクリレート以外の光重合性成分)100質量部に対して20〜200質量部の範囲で含まれることが好ましく、50〜100質量部の範囲で含まれることがより好ましい。
含有量が20質量部未満であると、光重合後でも分子量やトナー中での硬化成分比率が不足し、定着後の十分な画像強度が得られない場合がある。含有量が200質量部を超えると、光重合後にモノマーが残存してしまい定着画像にべたつきや臭いが発生する場合がある。
−光重合開始剤−
次に、本発明に用いる光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
公知の光重合開始剤として、例えば、米国特許第4950581号(第20欄、第35行〜第21欄、第35行)に記載のものを挙げることができる。また、例えば、EP−A−137452、DE−A−2718254、DE−A−2243621、米国特許第4950581号(第14欄第60行〜第18欄第44行)に記載のトリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−スチルフェニル)−s−トリアジン等のトリハロメチルトリアジン等のトリアジン化合物が挙げられる。
前記光重合開始剤をハイブリッド系で使用する場合には、フリーラジカル硬化剤に加えて、カチオン系光重合開始剤を挙げることもできる。前記カチオン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、米国特許第4950581号(第19欄、第17〜25行)に記載のパーオキサイド等のパーオキサイド化合物;米国特許第4950581号(第18欄、第60行〜第19欄10行)に記載の芳香族スルホニウム若しくはヨードニウム塩;(η6 −イソプロピルベンゼン)−(η5 −シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等のシクロペンタジエニル−アレーン鉄(II)錯塩等を好適に挙げることができる。
さらに、前記色素/ホウ素化合物の例としては、特開昭62−143044号公報、特開平1−138204号公報、特表平6−505287号公報、特開平4−261406号公報等に記載のものも好適に挙げられる。
前記300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物としては、この波長領域に最大吸収波長を有する分光増感色素が好ましい。前記波長領域にある分光増感色素から所望の任意の色素を選択し、発色情報付与光の照射に用いる光源に適合するよう感光波長を調整することにより、高感度を得ることができる。
前記分光増感色素としては、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、後述の「分光増感化合物と相互作用する化合物」に関する特許公報や、「Research Disclogure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載のものが挙げられる。
具体的には、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物等が挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素等が挙げられる。
前記分光増感色素には、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンを含む。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等が含まれる。
前記分光増感色素を適宜使用することにより、本発明のトナーに用いる光重合開始剤の分光感度を紫外〜赤外域に得ることが可能となる。また、前記各種分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記分光増感化合物の使用量としては、トナーを構成する材料の総重量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記第2成分中の光重合性基と光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、有機系ボレート塩化合物又は以下の化合物等が挙げられる。
ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン、CIBA社のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、等の芳香族ケトン類;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインエーテル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二重体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体等の2,4,6−トリアリールイミダゾール二重体;四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等のポリハロゲン化合物;特開昭59−133428号公報、特公昭57−1819号公報、特公昭57−6096号公報、米国特許第3615455号に記載の化合物;
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の特開昭58−29803号公報記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリ−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリ−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の特開昭59−189340号公報記載の有機過酸化物;
米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;トリフェニールブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニールブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニール)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等のヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体等が挙げられる。
また、二種又はそれ以上の化合物を組合わせたものも知られており、これらも本発明のトナーに使用することができる。
二種又はそれ以上の化合物の組合せとしては、例えば、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメルチ)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールとの組合せ、特開昭57−23602号公報に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンとの組合せ、特開昭59−78339号公報の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物との三種組合わせ、等が挙げられる。
中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの組合せ、2,4−ジエチルチオキサントンと4−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組合せ、又は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組合せが好ましい。
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」のうち、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
前記有機系ボレート塩化合物としては、特開昭62−143044号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報等に記載の有機ボレート化合物(以下、「ボレート化合物I」という場合がある。)、又はカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物(以下、「ボレート化合物II」という場合がある。)等が挙げられる。前記ボレート化合物Iの具体例を以下に挙げるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
Figure 2007322999
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また、本発明では、前記「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載のカチオン性色素より得ることのできる分光増感色素系有機ボレート化合物(ボレート化合物II)も挙げることができる。
このボレート化合物IIは、その構造内に色素部とボレート部とを併せ持つ化合物であり、露光時に、色素部の光吸収機能により効果的に光源エネルギーを吸収し、かつボレート部のラジカル放出機能により重合反応を促進すると同時に、併存する分光増感化合物を消色するという3つの機能を有するものである。
具体的には、300nm以上の波長領域、好ましくは400〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有するカチオン性色素であれば、いずれも好適に用いることができる。中でも、カチオン性のメチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメタン色素、インドリン色素、アジン色素、キサンテン色素、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素、アザメチン色素、オキサジン色素又はアクリジン色素等が好ましく、カチオン性のシアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素又はアザメチン色素がより好ましい。
前記有機カチオン性色素から得られるボレート化合物IIは、有機カチオン性色素と有機ホウ素化合物アニオンとを用い、欧州特許第223,587A1号に記載の方法を参考にして得ることができる。
以下に、カチオン性色素から得られるボレート化合物IIの具体例を挙げるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2007322999
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前記ボレート化合物IIは、上記の通り、多機能な化合物であるが、高い感度と十分な消色性を得る観点から、本発明では、前記光重合開始剤には、分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を適宜組合わせて構成することが好ましい。この場合、光重合開始剤としては、前記分光増感化合物とボレート化合物Iとを組合わせた光重合開始剤(1)、又は前記ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを組合わせた光重合開始剤(2)であることがより好ましい。
この時、光重合開始剤中に存在する分光増感色素と有機ボレート化合物との使用比率が、高感度化と、画像形成時の定着時の加熱処理による発色後に必要に応じて実施される光照射工程の光照射による十分な消色性(未反応の成分の失活、分解等)を得る点で非常に重要となる。
前記光重合開始剤(1)の場合、光重合開始剤中には、光重合反応に必要な分光増感化合物/ボレート化合物Iの比(=1/1:モル比)に加え、さらにトナー内に残存する分光増感化合物を十分に消色するのに必要な量のボレート化合物Iを添加することが十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。
即ち、分光増感色素/ボレート化合物Iの比は、1/1〜1/50の範囲で使用することが好ましく、1/1.2〜1/30の範囲で使用することがより好ましいが、1/1.2〜1/20の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満では十分な重合反応性と消色性を得ることができず、1/50を越えると、感光・感熱カプセル(又は感光・感熱層)の形成が困難になる場合があるため好ましくない。
また、前記光重合開始剤(2)の場合には、ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを、ボレート部位が色素部位に対して等モル比以上となるように組合わせて用いることが、十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。ボレート化合物I/ボレート化合物IIの比は、1/1〜50/1の範囲で使用することが好ましく、1.2/1〜30/1の範囲で使用することがより好ましいが、1.2/1〜20/1の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満ではラジカルの発生が少なく、十分な重合反応性と消色性能が得られず、50/1を越えると、十分な感度を得られなくなるため好ましくない。
光重合開始剤中の分光増感色素と有機ボレート化合物との総量は、光重合性基を有する化合物(第2成分)の使用量に対し、0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1〜5質量%の範囲で使用することがより好ましいが、0.1〜1質量%の範囲で使用することが最も好ましい。前記使用量が、0.1質量%未満では本発明の効果を得ることができず、10質量%を越えると、トナーの保存安定性が低下するとともに、感光・感熱カプセル(又は感光・感熱層)の形成が困難になる場合がある。
−助剤−
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フェニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
−マイクロカプセル及びマイクロカプセル化−
本発明では、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1成分をマイクロカプセルに内包して使用することが好ましい。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
マイクロカプセル化する方法としては、これらに限定されるものではないが、本発明においては、特に、第1成分をカプセルの芯部となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。前記界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れたトナーを得ることができる。
本発明において好ましいマイクロカプセルは、常温では、マイクロカプセル壁(外殻)の物質隔離作用によりカプセル内外の物質の接触が妨げられ、ある値以上に熱及び/又は圧力が加えられた場合のみ、カプセル内外の物質の接触が可能となるようなものである。この現象は、マイクロカプセル壁の材料、マイクロカプセルの芯部に含まれる物質、添加剤等を適宜選択することにより、カプセルの物性の変化として自由にコントロールすることができる。
本発明において使用しうるマイクロカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記マイクロカプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
例えば、ポリウレタンをマイクロカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート及びそれと反応してマイクロカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が起こし、マイクロカプセル壁を形成する。
前記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号公報、同49−24159号公報、特開昭48−80191号公報、同48−84086号公報に記載のものを使用することもできる。
本発明において、第1成分を含有するマイクロカプセルを形成する際、内包する第1成分は、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。第1成分を溶液状態でカプセルに内包させる場合、第1成分である電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物等を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点溶媒の中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が用いられる。具体的には、特開昭59−178451〜同59−178455号公報、同59−178457号公報、同60−242094号公報、同63−85633号公報、特開平6−194825号公報、同7−13310号〜同7−13311号公報、同9−106039号公報の各公報及び特願昭62−75409号明細書に記載の有機溶剤が挙げられる。また、カプセル化の際には、上記の有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。前記有機溶媒の使用量としては、電子供与性無色染料100質量部に対し、1〜500質量部が好ましい。
また、カプセルに内包しようとする電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物等の第1成分の前記有機溶媒に対する溶解性が低い場合には、さらに補助溶剤として、溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。一方、前記有機溶媒を使用せずに前記低沸点溶媒を使用することもできる。前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
前記油相を乳化分散する水相には、水溶性高分子を溶解した水溶液を使用する。前記水相中に油相を投入した後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有するとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。ここで、乳化分散をさらに均一に行い、より安定な分散液とするためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加することができる。
前記保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO−等の連結基を有するものが挙げられる。具体的には、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品;無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。前記水溶性高分子は、0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
前記界面活性剤としては、公知の乳化用界面活性剤の中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記のように保護コロイドと作用し、沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。前記界面活性剤の添加量としては、油相重量に対し、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。
第1成分をはじめとする全ての含有成分は、例えば、水溶性高分子、増感剤及びその他の発色助剤等とともに、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることができる。さらに、第1成分をはじめとする全ての含有成分は、それぞれ別々に乳化分散することも、予め混合してから高沸点溶媒及び/又は低沸点溶媒に溶解し、乳化分散することも可能である。乳化分散して形成する乳化分散粒子径としては、1μm以下が好ましい。
乳化分散は、前記成分を含有した油相と界面活性剤及び/又は保護コロイドとを含有する水相を、高速撹拌、超音波分散等の微粒子乳化に用いる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。
乳化後は、マイクロカプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を低下させたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。一方、反応中に、別途凝集防止用の分散物を添加することもできる。前記マイクロカプセル壁形成反応の終点は、重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよその終点とみなすことができる。通常、数時間反応を行うことにより、第1成分を内包するマイクロカプセルを得ることができる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1〜3μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.1〜1μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。マイクロカプセルの体積平均粒径が0.1μm未満の場合は、外殻の厚みのため、相対的に芯物質の量が不足となり、発色濃度などが問題となる場合がある。また、体積平均粒径が3μmを超える場合は、トナー粒子中への分散が不均一となり、発色にバラツキが出る場合がある。
なお、マイクロカプセルの外殻を構成する材料としては上述したウレタン等の熱可塑性樹脂が利用できる。これら熱可塑性樹脂材料としては公知の非晶質樹脂や結晶性樹脂が利用できる。
ここで、非晶質樹脂を用いる場合には、そのガラス転移温度は90〜200℃の範囲内であることが好ましく、100〜150℃の範囲内であることがより好ましい。ガラス転移温度が90℃を下回る場合には、トナーの製造過程における加熱により外殻が消失してしまう場合があり、200℃を超える場合には、画像形成時に、発色刺激と定着とを兼ねた加熱処理を実施しても外殻が軟化・消失しないため、発色が困難になるか、定着温度を高めに設定しなければならず、エネルギーの消費量が大きくなってしまう場合がある。
また、結晶性樹脂を用いる場合には、その融点は90〜200℃の範囲内であること好ましく、100〜150℃の範囲内であることがより好ましい。融点が上述した範囲を外れる場合には、非晶質樹脂を用いた場合と同様の問題が発生することがある。
本発明においては、発色部を構成する光硬化性組成物中にバインダーが含まれていてもよい。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1成分をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
本発明においては、前記のようにトナーの結着樹脂成分の役割を、光硬化性組成物中に特定のアクリルモノマー等を含ませることにより分担させている。このため、前記バインダーは必ずしも含まなくてもよいが、含ませることにより光照射による重合度の変動による定着後の画像強度のばらつきを低減させることができる。
この場合、前記特定のアクリル(メタクリル)モノマーとバインダーとの混合比(質量比)は100:0〜100:50の範囲とすることが好ましい。
本発明においては、乳化分散等の種々の目的で、発色部や表面層等に、種々の界面活性剤を用いてもよい。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等のポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪族又は芳香族第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
さらに、必要に応じ、例えば、染料、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光増白剤、硬化剤、帯電防止剤等の添加剤を使用することもできる。前記添加剤の具体例は、「Research Disclosure,Vol.176」(1978年12月、Item 17643)及び「同Vol.187」(1979年11月、Item 18716)に記載されている。
本発明においては、発色部に硬化剤を併用することもできる。
前記硬化剤としては、例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のハロゲン化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、米国特許第3017280号等に記載のアジリジン系化合物、米国特許第3091537号等に記載のエポキシ系化合物、ムコクロル酸等のハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン類、米国特許第3642486号や米国特許第3687707号に記載のビニルスルホン類、米国特許第3841872号に記載のビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号に記載のケトビニル類が挙げられる。また、無機硬化剤として、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等も用いることができる。
中でも、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,2−ピスピニルスルホニルメタン、1,3−ビス(ビニルスルホニルメチル)プロパノール−2、ビス(α−ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩、2,4,6−トリエチレニミノ−s−トリアジンや硼酸等の化合物が好ましい。前記硬化剤の添加量としては、バインダー量に対し、0.5〜5質量%が好ましい。
(光発色型トナーの発色部構成材料等)
次に、本発明のトナーが光発色型トナーである場合に用いられる発色部構成材料や、各発色部構成材料を調製する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、発色部には、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分および光重合性化合物(光重合性成分)を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤(又は光重合開始剤系)が含まれることが特に好ましく、分光増感色素や種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
なお、光発色型トナーにおいては、第1成分としては、電子供与性無色染料が用いられ、第2成分としては電子受容性化合物(「電子受容性顕色剤」あるいは「顕色剤」と称す場合がある)が用いられ、光重合性化合物としては第1の光発色型トナーの場合にはエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられる。
−エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(光重合性化合物)−
本発明に用いることのできるエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物は、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
例えばアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等を用いることができる。この内、分子内に少なくとも1個の孤立電子対を有するヘテロ原子を含む重合性化合物が好ましい。
ここで言う孤立電子対を有するヘテロ原子とは、酸素、窒素、硫黄、燐、ハロゲン等の各原子を指す。具体的には、エステル結合、アミド結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、及びアミン、アルコール、チオアルコール、ホスフィン、ハロゲン等の基を有するものが含まれる。これらの内、電子受容性顕色剤との相互作用が強いエステル結合、アミド結合、アミン、カルボニル結合及び/またはエーテル結合を分子内に少なくとも1個有する、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が好ましく、高重合性を有するエステル結合、アミド結合を有する化合物が特に好ましい。
また、重合効率(硬化速度)を有利にするためには、分子内に複数のエチレン性不飽和2重結合を有する重合性化合物が好ましく、例えば、トリメチロールプロパンヤペンタエリスリトール等のような多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;およびアクリレートもしくはメタクリレート末端エポキシ樹脂、アクリレートもしくはメタリレート末端ポリエステル等がある。
特に好ましい化合物の具体例としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート及びジエチレングリコールジメタクリレート等を挙げられる。これらの重合性化合物の分子量としては、約100〜約5000程度のものを用いることができるが、電子供与性無色染料を含有するマイクロカプセルの中に熱拡散しにくいものがより好ましく、分子量が200以上の化合物が特に有用である。
−アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート−
光発色型トナーにおいても、前記光重合性化合物に加え、光硬化性組成物に光重合性成分として炭素数12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートを含む。
なお、ここでいう上記アルキル基の定義、好ましい炭素数範囲等は、前述の光非発色型トナーの場合と同様である。
前記アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートとしては、上記の要件を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、ヘンエイコシルアクリレート、ドコシルアクリレート、トリコシルアクリレート、テトラコシルアクリレート、ペンタコシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ペンタコシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルアクリレート、イソステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレート等を使用することができる。
これらの中では、炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートを用いることが、光硬化性組成物における他の成分との相溶性、前記第2成分の物質拡散を妨げない、光重合時に前記光重合性化合物と共重合して共重合体を形成しやすいという点で好ましく、また、特にステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレートなどを用いることが好ましい。
また、前記アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートに関しては、結晶性を有するモノマーであることが、トナーあるいは定着画像としての取り扱い時に臭いを低減することができるため好ましい。
この観点からは、用いられるアクリル(メタクリル)モノマーの融点は0〜70℃の範囲であることが好ましい。
前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートは、光硬化性組成物中に、光重合性化合物(アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート以外の光重合性成分)100質量部に対して20〜200質量部の範囲で含まれることが好ましく、50〜100質量部の範囲で含まれることがより好ましい。
含有量が20質量部未満であると、光重合後でも分子量やトナー中での硬化成分比率が不足し、定着後の十分な画像強度が得られない場合がある。含有量が200質量部を超えると、光重合後にモノマーが残存してしまい定着画像にべたつきや臭いが発生する場合がある。
−光重合開始剤(又は光重合開始剤系)−
本発明に好適に用いられる光重合開始剤としては、前記のエチレン性不飽和結合を含有する化合物の光重合を開始し得る化合物の中から1種または2種以上の化合物を組み合わせて選ぶことができる。
光重合開始剤の好ましい具体例として、次の化合物を挙げることができる。芳香族ケトン類:例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン;およびベンゾインおよびベンゾインエーテル類:例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル;および2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体:例えば2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体;およびポリハロゲン化合物、例えば四臭化炭素、フェニルトリプロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンおよび特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、特公昭57−6096号公報、米国特許第3615455号の各明細書中に記載の化合物、特開昭58−29803号公報記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体:例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の化合物。;および例えば特開昭59−189340号公報記載の有機過酸化物:例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物;および例えば米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;および例えばヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物:例えばトリフェニルブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニルブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニル)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体等、感光感熱記録材料分野では周知の光重合開始剤等を有用に使用できる。
また光重合開始剤系として、二種またはそれ以上の化合物の組合せが知られておりそれらの組合せも本発明に使用する事ができる。
二種またはそれ以上の化合物の組合せの例としては、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンまたはベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールの組合せ、また特開昭57−23602号明細書に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンの組合せ、また特開昭59−78339号明細書の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物の三種組合せを挙げることができる。
より好ましい例として、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、有機ホウ素化合物を挙げることができる。
光重合開始剤の含有量は、光硬化性組成物の全重量基準で、好ましくは0.01〜20質量%、そしてより好ましくは0.2〜15質量%であり、最も好ましい含有量は1〜10質量%である。0.01質量%未満では感度が不足し、10質量%を越えても感度の増加が期待できない場合がある。
−分光増感色素−
光硬化性組成物には、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物や光重合開始剤のほかに、その感光波長を調整するための分光増感色素が含まれていてもよい。
分光増感色素としては感光感熱記録材料分野で公知の様々な化合物を使用することができる。分光増感色素の例は上述した光重合開始剤に開する特許、Research Disclosure,Vol.200,1980年12月,Item 20036、「増感剤」(徳丸克巳・大河原信/編 講談社 1987年)の160−163ページ等を参考にできる。具体的な分光増感色素の例としては、例えば、特開昭58−15503号公報には3−ケトクマリン化合物が、特開昭58−40302号公報にはチオピリリウム塩が、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報にはナフトチアゾールメロシアニン化合物が、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報にはそれぞれメロシアニン化合物が開示されている。これらの分光増感剤によって光重合開始剤の分光感度は可視域までも延ばすことができる。上述の例では光重合開始剤としてトリハロメチル−S−トリアジン化合物を取上げているが他の光重合開始剤と組合せても良い。
分光増感色素としては、ケト色素であるクマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンも含まれる)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素及びヘミオキソノール色素、非ケト色素である非ケトポリメチン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素及びアゾ色素、非ケトポリメチン色素としてのシアニン、ヘミシアニン及びスチリル色素等が含まれる。
−助剤−
また、光硬化性組成物には、更に重合を促進するための助剤として、還元剤例えば酸素除去剤(oxygen scavenger)及び活性水素ドナーの連鎖移動剤、さらに連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を併用することもできる。
有用であることの見いだされている酸素除去剤はホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1錫塩及び酸素により容易に酸化されるその他の化合物である。例えばN−フェニルグリシン、トリメチルバルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン等である。さらに以下に示すようなチオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフインダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物等も重合促進剤として有用である。
更に、これらの化合物の他に、光硬化性組成物の中には熱重合禁止剤を必要に応じて添加する事ができる。熱重合禁止剤は、光硬化性組成物の熱的な重合や経時的な重合を防止するために添加するもので、これにより光硬化性組成物の調製時や保存時の化学的な安定性を高めることができる。熱重合禁止剤の例として、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、p−トルイジン等が挙げられる。熱重合禁止剤の好ましい添加量は、光硬化性組成物の全重量基準で0.001〜5質量%であり、より好ましくは、0.01〜1質量%である。0.001質量%未満では熱安定性が劣り、5質量%を越えると感度が低下する。
なお、光硬化性組成物は必要に応じてマイクロカプセルに内包して使用してもよい。例えばヨーロッパ特許第0223587号や上記特許を参考にマイクロカプセルに内包させることができる。
−電子受容性顕色剤(第2成分)−
電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
これらの例は、紙パルプ技術タイムス(1985年)49〜54頁及び65〜70頁に記載の他、特公昭40−9309号公報、同45−14039号公報、特開昭52−140483号公報、同48−51510号公報、同57−210886号公報、同58−87089号公報、同59−11286号公報、同60−176795号公報、同61−95988号公報等に記載されている。
これらの一部を例示すれば、フェノール性化合物としては2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリテンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等がある。
サリチル酸誘導体としては、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩がある。
これらの電子受容性化合物は単独もしくは2種以上併用することができる。電子受容性化合物の使用量は、電子供与性無色染料に対して10〜4000質量%の範囲が好ましく、100〜2000質量%が特に好ましい。
−電子供与性無色染料(第1成分)−
電子供与性無色染料としては、従来より公知のトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物など各種の化合物を使用できる。
フタリド類の具体例は米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号および同第3,509,174号、フルオラン類の具体例は米国特許明細書第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3,959,571号、スピロジピラン類の具体例は米国特許明細書第3,971,808号、ピリジン系およびピラジン系化合物類は米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号、フルオレン系化合物の具体例は特願昭61−240989号等に記載されている。
これらの一部を開示すれば、トリアリールメタン系化合物としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、等があり、ジフェニルメタン系化合物としては、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等があり、キサンテン系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、等があり、チアジン系化合物としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等があり、スピロ系化合物としては3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等がある。
特に、フルカラー記録材料に用いる場合、シアン、マゼンタ、イエロー用の電子供与性無色染料としては米国特許第4,800,149号等を、イエロー発色タイプとしては米国特許第4,800,148号等を、シアン発色タイプとしては特開昭63−53542号等を参考にできる。
−マイクロカプセル及びマイクロカプセル化−
電子供与性無色染料をマイクロカプセル化する場合は、感光感熱記録材料分野における公知の方法で作ることができる。
例えば米国特許第2800457号、同28000458号に見られるような親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報に見られるような界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に見られるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に見られるイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に見られる尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に見られるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号公報に見られるモノマーの重合によるイン シツ(in situ)法、英国特許第952807号、同965074号に見られる電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に見られるスプレードライング法等がある。これらに限定されるものではないが、マイクロカプセルの芯部となる物質を乳化した後、マイクロカプセル壁(外殻)として高分子膜を形成することが好ましい。
マイクロカプセル壁の作り方としては特に油滴内部からのリアクタントの重合によるマイクロカプセル化法を使用する場合、その効果が大きい。即ち、短時間内に、均一な粒径を持ち、生保存性にすぐれたトナーとして好ましいカプセルを得ることができる。
例えばポリウレタンをマイクロカプセル壁材として用いる場合には多価イソシアネート及び必要に応じてそれと反応しマイクロカプセル壁を形成する第2の物質(例えばポリオール、ポリアミン)をカプセル化すべき油性液体中に混合し水中に乳化分散し次に温度を上昇することにより、油滴界面で高分子形成反応を起こして、マイクロカプセル壁を形成する。このとき油性液体中に低沸点の溶解力の強い補助溶剤を用いることができる。この場合に、用いる多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンについては米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号公報、同49−24159号公報、特開昭48−80191号公報、同48−84086号公報に開示されており、それらを使用することもできる。
多価イソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニル−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネートのごときトリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートのごときテトライソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物のごときイソシアネートプレポリマーがある。
ポリオールとしては、脂肪族、芳香族の多価アルコール、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリアルキレンエーテルのごときものがある。特開昭60−49991号公報に記載された下記のポリオールも用いられる。エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、2,3−ジヒドロキシブタン、1,2−ジヒドロキシブタン、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、2−フェニルプロピレングリコール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物、グリセリンエチレンオキサイド付加物、グリセリン、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシノールジヒドロキシエチルエーテル等の芳香族多価アルコールとアルキレンオキサイドとの縮合生成物、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、α,α’−ジヒドロキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、2−(p,p’−ジヒドロキシジフェニルメチル)ベンジルアルコール、ビスフェノールAにエチレンオキサイドの付加物、ビスフェノールAにプロピレンオキサイドの付加物等が挙げられる。ポリオールはイソシアネート基1モルに対して、水酸基の割合が0.02〜2モルで使用するのが好ましい。
ポリアミンとしてはエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチレン、トリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、エポキシ化合物のアミン付加物等が挙げられる。多価イソシアネートは水と反応して高分子物質を形成することもできる。
マイクロカプセルを作るときに、水溶性高分子を用いることができるが水溶性高分子は水溶性のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子のいずれでも良い。アニオン性高分子としては、天然のものでも合成のものでも用いることができ、例えば−COO−、−SO−基等を有するものが挙げられる。具体的なアニオン性の天然高分子としてはアラビヤゴム、アルギン酸、ペクチン等があり、半合成品としてはカルボキシメチルセルローズ、フタル化ゼラチン、硫酸化デンプン、硫酸化セルローズ、リグニンスルホン酸等がある。また、合成品としては無水マレイン酸系(加水分解したものも含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系も含む)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等がある。
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等がある。両性の化合物としてはゼラチン等がある。これらの水溶性高分子は0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1〜3μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.1〜1μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。マイクロカプセルの体積平均粒径が0.1μm未満の場合は、外殻の厚みのため、相対的に芯物質の量が不足となり、発色濃度などが問題となる場合がある。また、体積平均粒径が3μmを超える場合は、トナー粒子中への分散が不均一となり、発色にバラツキが出る場合がある。
なお、マイクロカプセルの外殻を構成する材料としては上述したウレタン等の熱可塑性樹脂が利用できる。これら熱可塑性樹脂材料としては公知の非晶質樹脂や結晶性樹脂が利用できる。
ここで、非晶質樹脂を用いる場合には、そのガラス転移温度は90〜200℃の範囲内であることが好ましく、100〜150℃の範囲内であることがより好ましい。ガラス転移温度が90℃を下回る場合には、トナーの製造過程における加熱により外殻が消失してしまう場合があり、200℃を超える場合には、画像形成時に、発色刺激と定着とを兼ねた加熱処理を実施しても外殻が軟化・消失しないため、発色が困難になるか、定着温度を高めに設定しなければならず、エネルギーの消費量が大きくなってしまう場合がある。
また、結晶性樹脂を用いる場合には、その融点は90〜200℃の範囲内であることが好ましく、100〜150℃の範囲内であることがより好ましい。融点が上述した範囲を外れる場合には、非晶質樹脂を用いた場合と同様の問題が発生することがある。
−(マイクロカプセル内に用いる)溶媒−
電子供与性無色染料はマイクロカプセル中に溶液状態で存在してもよく、また、固体の状態で存在してもよい。溶媒を併用する場合、カプセル内に併用する溶媒の量は電子供与性無色染料100質量部に対して1〜500質量部の割合が好ましい。
本発明において用いられる溶媒として天然油または合成油を併用することができる。これら溶媒の例として例えば、綿実油、灯油、脂肪族ケトン、脂肪族エステル、パラフィン、ナフテン油、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン及び1−フェニル1−キシリルエタン、1−フェニル1−p−エチルフェニルエタン、1,1’−ジトリルエタン等のごときジアリールエタン、フタール酸アルキルエステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等)、リン酸エステル(ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート)、クエン酸エステル(例えばアセチルクエン酸トリブチル)、安息香酸エステル(安息香酸オクチル)、アルキルアミド(例えばジエチルラウリルアミド)、脂肪酸エステル類(例えばジブトキシエチルサクシネート、ジオクチルアセレート)、トリメシン酸エステル類(例えばトリメシン酸トリブチル)、酢酸エチル、酢酸ブチルのごとき低級アルキルアセテート、プロピオン酸エチル、二級ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン等がある。また、マイクロカプセル化の時、電子供与性無色染料を溶解するための補助溶剤として揮発性の溶媒を併用してもよい。この種の溶媒としては例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等があげられる。
−紫外線吸収剤−
本発明においては、画像の耐光性改善等を目的として必要に応じて紫外線吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、例えば、母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料に添加したり、また、前記同心円構造、ストライプ構造、扇構造等の層状の発色部を2以上有するような構造からなるトナーでは、トナー最表面を被覆する表面層や、隣接する2つの発色部の間に設けられる中間層や被覆層に添加することができるが、必要に応じてその他の部分(例えば、発色部)に添加することもできる。
なお、紫外線吸収剤としてはペンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸エステル系化合物、アミノアリリデンマロンニトリル系化合物、ベンゾフェノン系化合物等業界公知の化合物を使用できる。
−水溶性ポリマー−
本発明において、光硬化性組性物の分散や電子供与性無色染料の分散およびカプセル化は好ましくは水溶性ポリマー中で行われるが、本発明で好ましく用いることのできる水溶性ポリマーとしては、25℃の水に対して5質量%以上溶解する化合物が好ましく、具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体、アルブミン、カゼイン等の蛋白質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、デンプン類(変性デンプンを合む)等の糖誘導体、アラビアゴムやポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体の鹸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の合成高分子があげられる。これらの中ではゼラチンおよびポリビニルアルコールが好ましい。
本発明においては、発色部を構成する光硬化性組成物中にバインダーが含まれていてもよい。
バインダーとしては上記水溶性高分子およびポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリピニルブチラール、アクリル樹脂:例えばポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体、フェノール樹脂、スチレンープタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、等の溶剤可溶性高分子あるいはこれらの高分子ラテックスを用いることができる。これらの中ではゼラチンおよびポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして、光非発色型トナーに用いるものと同様の結着樹脂を用いてもよい。
なお、この場合の前記特定のアクリル(メタクリル)モノマーとバインダーとの混合比等は、前記光非発色型トナーの場合と同様である。
本発明のトナーにおいては、乳化分散等の種々の目的で、発色部や表面層等に、種々の界面活性剤を用いてもよい。
界面活性剤としては例えば非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等ポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪属あるいは芳香属第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤を必要に応じ用いる事ができる。
−溶媒(マイクロカプセル分散液、光硬化性組成物分散液)−
本発明のトナーを、後述する凝集合一法等の湿式製法により作製する場合には、マイクロカプセルを分散させた分散液や、光硬化性組成物を分散させた分散液が調製される。これらの分散液の調整に使用される溶媒としては、水、アルコール:例えばメタノール、エタノール,n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、メチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール;ハロゲン系の溶剤:例えばメチレンクロライド、エチレンクロライド;ケトン:例えばアセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン;エステル:例えば、酢酸メチルセロソルプ、酢酸エチル、酢酸メチル;トルエン、キシレン等の単独物及びそれらの2種以上の混合物が例として挙げられる。これらの中では水が特に好ましい。
以上、光非発色型トナー、光発色型トナーの発色部に用いられる材料等について説明したが、発色特性や発色制御に悪影響を与えないのであれば、光発色型トナー用として列挙した材料等を光非発色型トナーに用いてもよく、光非発色型トナー用として列挙した材料等を光発色型トナーに用いてもよい。
本発明のトナーにおける発色部は、前述のようにトナー粒子中の一部分であってもよいし、トナー粒子全体であってもよい。発色部がトナー粒子中の一部分を占める場合に該発色部の周囲に配する材料は特に制限されないが、従来のトナーの成分と同様に、結着樹脂、離型剤等により構成してもよい。
結着樹脂は、例えば、母剤中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として、また、前記同心円構造、ストライプ構造、扇構造等の層状の発色部を2以上有するような構造からなるトナーでは、トナー最表面を被覆する被覆層や、隣接する2つの発色部の間に設けられる中間層、被覆層を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
本発明においては、上記結着樹脂を隣接する2つの発色部間に設ける場合、前述のように発色部に含まれる光硬化性組成物が結着樹脂の役割を担うため、結着樹脂を用いる場合にもその含有量を低減することができる。
具体的には、トナー粒子中の結着樹脂の含有量を30質量%以下とすることができ、10質量%以下とすることがより好ましい。
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性樹脂としては、特に非結晶性ポリエステル樹脂が好適である。また、結着樹脂に低温定着性を付与するには、シャープメルト性を有する結晶性ポリエステル樹脂を用いることが有用である。
本発明において、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、前記結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステル樹脂と呼ぶ。
結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、多価カルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して0〜20モル%、好ましくは0.5〜100モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、10モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下場合がある。加えて、後述する凝集合一法によりトナーを作製する場合、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる場合がある。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
本発明に用いることのできる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させても良い。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させると良い。
結晶性ポリエステルの樹脂粒子分散液の作製については、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、調製することが可能である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
結晶性樹脂の融点としては、好ましくは50〜110℃であり、より好ましくは60〜90℃である。前記融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある一方、110℃より高いと従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない場合がある。
また結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
一方、結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」なる記述は、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含むことを意味するものである。
また、無定形高分子(非晶質樹脂)としては、公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。本発明において用いる非結晶性ポリエステル樹脂とは、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
非結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1.00質量%とすることが好ましい。
本発明に使用できる非晶性高分子は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、質量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜10000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
質量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移温度を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
本発明において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mg KOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
また、公知の非晶性高分子として、スチレンアクリル系樹脂も使用できる。この場合使用できる単量体としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類:ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類:エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類:などの単量体の重合体、これらを2種以上組み合せて得られる共重合体又はこれらの混合物を挙げることができ、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等も使用できる。
ポリエステルの場合は、樹脂の酸価の調整と中和アミンを用いホモジナイザーなどの分散機により樹脂粒子分散液を作製することができ、無定形高分子がビニル系単量体を用いて作製される場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水中に微粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を作製することができる。また非結晶性樹脂は水中にて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。
このようにして得られた樹脂粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定することができる。
本発明に使用することができる非晶性高分子のガラス転移温度は、35〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
また非晶性高分子の軟化点は80〜130℃の範囲に存在することが好ましい。より好ましくは90〜120℃の範囲である。軟化点が80℃以下の場合は、定着後及び保管時のトナー及びトナーの画像安定性が著しく悪化する。また軟化点が130℃以上の場合は、低温定着性が悪化してしまう。
非晶性高分子の軟化点の測定はフローテスター(島津製作所社製:CFT−500C)、予熱:80℃/300sec,プランジャー圧力:0.980665MPa,ダイサイズ:1mmφ×1mm,昇温速度:3.0℃/minの条件下における溶融開始温度と溶融終了温度との中間温度を指す。
−離型剤−
本発明のトナーは、離型剤を含むことができる。離型剤は、一般に、離型性を向上させる目的で使用される。
本発明に使用できる離型剤の例としては、特に限定されるものではなく、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、天然ガス系ワックス及びそれらの変性物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、などを挙げることができ、また改質助剤成分として、炭素数10から18である高級アルコールやその混合物、及び炭素数16から22の高級脂肪酸モノグリセライドやその混合物を挙げることができ、これらのものから組み合わせて用いることができる。
−その他の添加剤−
本発明のトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる。また、本発明のトナーは、それ自体が発色するため、従来のトナーに用いられている顔料等の着色剤は基本的に不要であるが、発色した時の色調を微調整するために、必要に応じて、公知の着色剤を少量用いることもできる。
帯電制御剤は、帯電性をより向上安定化させる目的で使用される。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することが出来るが、後述する凝集合一法によりトナーを作製する場合において、溶液中で形成された凝集粒子の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
帯電制御剤として、湿式で無機微粒子をトナーに添加する場合、このような無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべての無機微粒子を挙げることができる。この場合、これら無機微粒子はイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基等を用いて溶媒中に分散させて利用することができる。
(トナーの製造)
次に、本発明のトナーの製造について説明する。本発明のトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。湿式製法を利用すればトナーを作製する場合における最高プロセス温度を低く抑えることできるため、トナー製造過程における発色を防止することが容易である。
なお、トナー製造過程における発色防止という観点からは、湿式製法を利用した場合における最高プロセス温度は90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることが更に好ましい。但し、プロセス温度が低すぎる場合はトナー自体の作製が困難になるため最高プロセス温度は40℃以上であることが好ましい。
本発明では、公知の湿式製法が利用できるが、湿式製法の中でも最高プロセス温度を低く抑えることができると共に、前記例示したような様々な構造を有するトナーの作製が容易であることから凝集合一法を利用することが特に好ましい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
次に、凝集合一法を利用した本発明のトナーの製造についてより詳細に説明する。一般的に、凝集合一法は、トナーを構成する各種材料の分散液を調製した後、2種類以上の分散液を混合した原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、原料分散液に形成された凝集粒子を融合する融合工程とを含むものであり、必要に応じて凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子の表面に被覆層を形成する成分を付着させて被覆層を形成する付着工程(被覆層形成工程)とが実施されるものである。
従来の顔料等の着色剤を用いたトナーでは、凝集工程においては、樹脂粒子分散液、着色剤分散液のほかに、必要に応じて離型剤分散液等が用いられ、付着工程では、樹脂粒子分散液(凝集工程で用いられる樹脂粒子分散液と同一であっても異なっていてもよい)が用いられる。
本発明のトナーの製造においても、原料として使用する各種分散液の種類や組み合わせは異なるものの、凝集工程、融合工程の他に、必要に応じて付着工程を適宜組み合わせることによりトナーを作製することができる。
以下に、前記に例示したような発色部分散構造を有するトナーや、同心円構造を有するトナーの凝集合一法を利用した製造方法についてより詳細に説明する。
まず、前記発色部分散構造を有するトナーの凝集合一法を利用した製造方法について説明する。
この場合、まず、(a1)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
続いて、(d1)前記2種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する第2の凝集工程と、(e1)前記第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子を得る第2の融合工程とを経ることにより、発色部分散構造を有するトナーを得ることができる。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は1種類としてもよく、本発明においては(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルを、第2の凝集工程で樹脂粒子分散液を用いることなくそのままトナーとして利用することもできる。また、各工程では、必要に応じてその他の成分を含む分散液を併用することもでき、例えば、第1の凝集工程や付着工程では離型剤分散液を利用してもよい。
以下、上述した凝集合一法を利用したトナー製造方法に用いられる各種分散液の調製方法について説明する。
樹脂粒子分散液は、乳化重合などによって作製した樹脂粒子をイオン性界面活性剤を用いて溶媒中に分散させることにより調整する。或いは樹脂を溶解可能な溶媒に溶かして転相乳化によって調整する。
なお、樹脂粒子分散液における分散媒としては、例えば水系媒体や有機溶剤などが挙げられる。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエンが挙げられ、前記結着樹脂に応じて適宜選択して用いる。
また、離型剤分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられる装置により微粒子化することにより調整する。
上記機械的手段により微分散させるための装置としては、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)、連続式超音波ホモジナイザー(日本精機株式会社)、ナノマイザー(ナノマイザー社)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナイザー、スラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)などが挙げられる。
マイクロカプセル分散液は、記述したような各種のマイクロカプセル化法を利用して作製したマイクロカプセルを水溶性バインダー等を含む溶液に分散させた乳化液が利用できる。
また、光硬化性組成物分散液は、光硬化性組成物を構成する各種成分に、水溶性バインダー等の樹脂成分、水等の溶媒成分に界面活性剤等を加えて混合した後、強い剪断をかけられる装置により微粒子化することにより得られる。
なお、マイクロカプセル分散液を除く各種分散液中に含まれる微粒子の粒子径は、トナー径および粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが好ましく、100〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
−(a1)第1の凝集工程−
第1の凝集工程では、第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する。
第1の凝集工程では、原料分散液に凝集剤を加えた後、必要に応じて、加熱することにより、原料分散液中の微粒子を凝集させ、第1の凝集粒子を形成する。
なお、加熱の温度は、室温から40℃、さらに必要であれば60℃近辺まで上げてもよい。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザー等で攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性(pH=2〜4程度)にすることによってなされる。
第1の凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。
その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
−(b1)付着工程−
付着工程では、第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、離型剤粒子を分散させた離型剤分散液を添加して、凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる。これにより、感光・感熱カプセルの外殻部分に相当する被覆層を形成することができる。
被覆層の形成は、凝集工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、離型剤分散液を追添加することにより行うことができる。第1の樹脂粒子分散液に用いる結着樹脂成分としては、結晶性樹脂、非晶質樹脂のいずれでもよく、第1の樹脂粒子分散液と共に離型剤分散液を併用することもできる。また、第1の樹脂粒子分散液の代わりに離型剤分散液を用いてもよい。
なお、各種微粒子成分の分散、微粒子の凝集、凝集粒子の安定化などに界面活性剤を用いることができる。具体的には硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
−(c1)第1の融合工程−
第1の融合工程では、樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る。
第1の融合工程は、第1の凝集工程と付着工程とを経て得られた凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5〜8.5程度の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
加熱は、被覆層の形成に用いた結着樹脂(および/または離型剤)のガラス転移温度または融点以上の温度で行う。
なお、加熱温度は、マイクロカプセルの外殻を構成する材料を溶解等させ、外殻構造を消失させない程度に設定され、一般的には、マイクロカプセルの外殻を構成する材料の耐熱性と、感光・感熱カプセルの外殻を形成する材料の融合可能な温度とを考慮して決定されるが、一般的には、40〜90℃の範囲内であることが好ましく、50〜80℃の範囲内であることがより好ましい。
加熱温度が90℃を超えると、マイクロカプセルの外殻が消失して発色してしまう場合がある。また、加熱温度が40℃未満の場合には、十分な融合が行われず、後工程において、感光・感熱カプセル粒子が分解してしまう場合がある。
−(d1)第2の凝集工程−
以上の(a1)〜(c1)の工程を、トナー中に分散させる感光・感熱カプセルの種類(発色可能な色)毎に実施し、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の感光・感熱カプセル分散液を準備する。
続いて、第2の凝集工程では、2種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、必要により樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する。なお、上記の混合溶液には、必要に応じてその他の成分の分散液も添加することができる。
第2の凝集工程も、凝集に用いる液の組成が異なる以外は、基本的に第1の凝集工程と同様に行われる。すなわち、混合分散液に凝集剤を加えた後、加熱することにより、混合中の感光・感熱カプセル粒子や樹脂粒子を凝集させ、第2の凝集粒子を形成する。なお、第2の凝集粒子を形成する過程や、形成し終えた後に、非晶質樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液を追添加し、第2の凝集粒子表面を非晶質樹脂粒子で被覆することが好ましい。
なお、加熱の温度は、非晶質樹脂粒子が加熱によって非晶質樹脂粒子同士、または他の材料に対して融合が可能な温度が好ましく、具体的には非晶質樹脂粒子のガラス転移温度より数℃から数十℃高い温度が好ましい。
−(e1)第2の融合工程−
第2の融合工程では、第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子(潤湿状態のトナー)を得る。
第2の融合工程は、第2の凝集工程を経て得られた凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5〜8.5程度の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
加熱は、第2の凝集粒子の形成に用いた結着樹脂のガラス転移温度または融点以上の温度で行う。
なお、加熱温度は、マイクロカプセルの外殻を構成する材料の耐熱性、感光・感熱カプセルの外殻を形成する材料の耐熱性、および、第2の凝集粒子の形成に用いた結着樹脂の融合可能な温度を考慮して決定されるが、一般的には、40〜90℃の範囲内であることが好ましく、50〜70℃の範囲内であることがより好ましい。
加熱温度が90℃を超えると、マイクロカプセルの外殻が消失して発色してしまったり、一の色に発色可能な感光・感熱カプセル中に分散する第2成分が、感光・感熱カプセル外に拡散したり、更には他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中に拡散してしまい、画像形成時に十分な発色が得られなくなる場合がある。
また、加熱温度が40℃未満の場合には、十分な融合が行われず、洗浄・乾燥等の後工程において、トナー粒子が分解してしまう場合がある。
−洗浄、乾燥工程等−
第2の融合工程を経た後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、既述したような種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
次に、同心円構造を有するトナーの凝集合一法を利用した製造方法について説明する。
この場合、まず、(a2)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させた第1のマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた第1の光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b2)前記凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c2)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、感光・感熱カプセルを得る第1の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散液を調製する。
続いて、(d2)前記感光・感熱カプセル分散液に、第1成分を含むマイクロカプセルを分散させた第2のマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた第2の光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液を添加して、前記感光・感熱カプセル表面に、前記感光・感熱カプセルと異なる色に発色可能な感光・感熱層を形成する感光・感熱層形成工程と、(e2)該感光・感熱層形成工程を経た後の原料分散液に、必要により樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加して、前記感光・感熱層表面に前記樹脂粒子を付着させて被覆層を形成する被覆層形成工程と、(f2)前記感光・感熱層表面に前記樹脂粒子を付着させて被覆層が形成された第2の凝集粒子を含む原料分散液を加熱して、融合粒子を得る第2の融合工程と、を経ることにより、同心円構造を有するトナーを得ることができる。
なお、互いに異なる色に発色可能な3種類以上の発色部を含む同心円構造を有するトナーを作製する場合には、(d2)感光・感熱層形成工程、(e2)被覆層形成工程および(f2)第2の融合工程をこの順に順次実施するプロセスを、更に1回以上繰り返す。これにより、各々の感光・感熱層形成工程を経て形成された2以上の感光・感熱層および感光・感熱カプセルの発色可能な色を互いに異なるものとすることができる。
また、各工程では必要に応じてその他の成分を含む分散液を併用することもでき、例えば、第1の凝集工程や、付着工程、感光・感熱層形成工程、被覆層形成工程では離型剤分散液を利用してもよい。
次に、各工程についてより詳細に説明する。まず、各工程で用いる各種分散液の調製方法については、発色部分散構造を有するトナーを作製する場合と同様である。
また、(a2)〜(c2)工程についても、基本的に上述した(a1)〜(c1)工程と同様に行うことができる。但し、(a2)〜(c2)工程を経て調製する感光・感熱カプセル分散液は1種類のみである。
続いて実施される(d2)感光・感熱層形成工程、および、(e2)被覆層形成工程では、コア層(コア粒子)となる感光・感熱カプセル粒子に、感光・感熱層と被覆層とを順次積層形成する以外は、上述の(a1)および(b1)に示した工程と同様に行うことができる。これにより感光・感熱カプセル粒子をコア層とし、このコア層を被覆するように順次感光・感熱層と被覆層とが積層された第2の凝集粒子を得る。
なお、(e2)被覆層形成工程で形成される被覆層は、最終的にトナーとした場合のトナー表面を被覆する表面層、あるいは、互いに隣接する2つの感光・感熱層の間に設けられる被覆層を構成するものである。ここで、この被覆層が、トナーとした際に表面層を構成する場合には、(e2)被覆層形成工程では、非晶質樹脂を用いた樹脂粒子分散液が用いられることが特に好ましい。
(f2)第2の融合工程も、基本的に上述した(e1)に示す工程と同様に行うことができる。なお、第2の融合工程における加熱温度は、マイクロカプセルの外殻を構成する材料の耐熱性、感光・感熱カプセルの外殻や、((d2)〜(f2)を2回以上繰り返して実施した場合には)被覆層や表面層を形成する材料の耐熱性、および、第2の凝集粒子の形成に用いた離型剤や結着樹脂の融合可能な温度を考慮して決定されるが、一般的には、40〜90℃の範囲内であることが好ましく、50〜80℃の範囲内であることがより好ましい。
加熱温度が90℃を超えると、マイクロカプセルの外殻が消失して発色してしまったり、一の色に発色可能な発色部(感光・感熱カプセルおよび/または感光・感熱層)中に分散する第2成分が、発色部(感光・感熱カプセルおよび/または感光・感熱層)外に拡散したり、更には他の色に発色可能な発色部(感光・感熱カプセルおよび/または感光・感熱層)中に拡散してしまい、画像形成時に十分な発色が得られなくなる場合がある。
また、加熱温度が40℃未満の場合には、十分な融合が行われず、洗浄・乾燥等の後工程において、トナー粒子が分解してしまう場合がある。
以上に説明した一連の工程を経た後は、上述と同様に洗浄、乾燥工程等を実施してトナーを得ることができる。
−トナーの粒径・形状等−
本発明のトナーの体積平均粒径は、特に限定されず、トナーの構造や、トナー中に含まれる発色部の種類・数に応じて適宜調整することができる。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2〜4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
すなわち、前記トナーの構造が発色部分散構造の場合には5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜20μmの範囲内がより好ましい。また、このような粒径を有する発色部分散構造型のトナー中に含まれる感光・感熱カプセルの体積平均粒径は1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜3μmの範囲内であることが好ましい。
体積平均粒径が5μm未満では、トナー中に含まれる発色成分量が少なくなるため色再現性が悪化したり、画像濃度が低下してしまう場合がある。また、体積平均粒径40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合があり、また、画質低下する場合がある。
なお、その内部に複数の感光・感熱カプセルを分散させた発色部分散構造型のトナーは、従来の着色剤を用いた小径トナー(体積平均粒径5〜10μm程度)と比べると粒径が大きくなる傾向にあるものの、画像の解像度は、トナーの粒径ではなく感光・感熱カプセルの粒径により決定されるため、より高精細な画像を得ることができる。加えて、粉体流動性にも優れるため、外添剤の量が少なくても十分な流動性が確保できると共に、現像性やクリーニング性も向上させることができる。
また、前記同心円構造型、ストライプ構造型、あるいは扇構造型のトナーの場合には、発色部分散構造型のトナーと比べて、感光・感熱カプセルの粒子化を考える必要がないため、小径化が容易である。このトナーの体積平均粒径は3〜40μmの範囲内が好ましく、5〜15μmの範囲内が好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合にはトナーの作製自体が困難となる場合がある。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合があり、また、画質低下する場合がある。
また、本発明のトナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
体積分布指標GSDvが1.30を超えた場合には、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満の場合、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等が発生し画像欠陥を招く場合がある。
なお、本発明において、トナーの体積平均粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、及び数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。
まず、コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積および数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、および、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、および、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、および、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、D84v/D16vとして定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、D84p/D16pとして定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)および数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
また、本発明のトナーは、下式(1)で表される形状係数SF1が、110〜130の範囲内であることが好ましい。
・式(1) SF1=(ML/A)×(π/4)×100
〔但し、上記式(1)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
形状係数SF1が110未満の場合には、画像形成の際に転写工程で、像担持体表面にトナーが残留しやすくなるため、この残留トナーの除去が必要となるが、残留トナーをブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性を損ないやすく、結果として画像欠陥を生じる場合がある。
一方、形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像担持体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、最大長の2乗、投影面積を算出し、上記式(1)により形状係数SF1を求めた。
また、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を流動性助剤やクリーニング助剤として、乾燥状態でせん断をかけてトナー粒子表面へ添加することができる。
トナーに添加される無機酸化物微粒子としては、SiO,TiO,Al,CuO,ZnO,SnO,CeO,Fe,MgO,BaO,CaO,KO,NaO,ZrO,CaO・SiO,KO・(TiO)n,Al・2SiO,CaCO,MgCO,BaSO,MgSO等を例示することができる。これらのうち、特にシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましい。該無機酸化物微粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、耐キャリア汚染性に対してより効果的である。
上記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機酸化物微粒子を浸漬等することにより行うことができる。上記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することも可能である。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。前記疎水化処理剤の量としては、前記無機酸化物微粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、通常無機酸化物微粒子100質量部に対して、1〜50質量部程度である。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、本発明では、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。キャリアの芯材としては、上記条件を満たしていれば特に規定されないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。
芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、等のそれ自体公知の樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの樹脂の中でも、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を少なくとも使用することが好ましい。前記樹脂として、フッ素系樹脂及び/又はシリコーン樹脂を少なくとも使用すると、トナーや外添剤によるキャリア汚染(インパクション)を防止できる効果が高い点で有利である。
上記樹脂による被膜は、上記樹脂中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が少なくとも分散されてなる。前記樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。尚、これらの樹脂粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記樹脂粒子の平均粒径としては、0.1〜2μm程度が好ましく、より好ましくは0.2〜1μmである。前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、前記被膜における樹脂粒子の分散性が悪く、一方、2μmを超えると前記被膜から樹脂粒子の脱落が生じ易く、本来の効果を発揮しなくなることがある。
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子、カーボンブラック粒子、酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ、カーボンブラック、金属等で覆った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製造安定性、コスト、導電性等の良好な点で、カーボンブラック粒子が好ましい。前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50〜250ml/100g程度であるカーボンブラックが製造安定性に優れて好ましい。
キャリアの芯材の表面に樹脂を被覆する方法としては、特に制限はないが、例えば、架橋性樹脂粒子等の前記樹脂粒子及び/又は前記導電性粒子と、マトリックス樹脂としてのスチレンアクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の前記樹脂とを溶剤中に含む被膜形成用液を用いる方法等が挙げられる。
具体的な樹脂被覆方法としては、上記キャリア芯材を、上記被膜形成用液に浸漬する浸漬法、被膜形成用液を前記キャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、前記キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で前記被膜形成用液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。これらの中でも、本発明においては、ニーダーコーター法が好ましい。
前記被膜形成用液に用いる溶剤としては、マトリックス樹脂としての前記樹脂のみを溶解することが可能なものであれば、特に制限はなく、それ自体公知の溶剤の中から選択することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。前記被膜に前記樹脂粒子が分散されている場合において、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記樹脂粒子及びマトリックス樹脂としての前記粒子が均一に分散しているため、該キャリアを長期間使用して該被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、前記トナーに対し、良好な帯電付与能力を長期間にわたって維持することができる。また、前記被膜に前記導電性粒子が分散されている場合においては、その厚み方向及びキャリア表面の接線方向に、前記導電性粒子及びマトリックス樹脂としての前記樹脂が均一に分散しているため、該キャリアを長期間使用して該被膜が摩耗したとしても、常に未使用時と同様な表面形成を保持でき、キャリア劣化を長期間防止することができる。尚、前記被膜に前記樹脂粒子と前記導電性粒子とが分散されている場合において、上述の効果を同時に奏することができる。
上記二成分現像剤における、本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
次に、本発明のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本発明のトナーを用いた画像形成は、通常の電子写真法による画像形成プロセスをベースに、トナーを発色させるために外部刺激を付与する工程を設けたプロセスにより実施できる。
例えば、本発明のトナーを用いた画像形成方法が、像担持体表面を帯電する帯電工程と、像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、静電潜像をトナーを含む現像剤を用いて現像しトナー像を形成する現像工程と、トナー像に画像情報の色成分情報に対応した光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、露光後の前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、記録媒体表面のトナー像を加熱加圧して定着および発色させて画像を形成する定着発色工程とを含むものが挙げられる。この場合、この画像形成方法には、前記の構成を有するトナーが利用できる。
ここで、「光による発色情報の付与」とは、トナー像を構成する個々のトナー粒子単位での発色/不発色の制御や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に、光硬化性組成物を硬化させる1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、なんらの光を付与しないことを意味する。
ここで、発色情報付与工程で用いられる画像情報の色成分情報に対応した光には、トナー粒子に含まれる2以上の発色部の各々に含まれる光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光が含まれる。
このようなトナーを用いた画像形成においては、発色情報付与工程において、トナー像を構成する個々のトナー粒子に、画像情報の色成分情報に対応した特定波長の光が照射されるため、トナー中の発色部の種類毎に、光硬化性組成物の硬化状態への移行あるいは未硬化状態が維持され、発色部の種類毎に発色可能な状態、あるいは、発色不可能な状態に制御される。続いて、転写工程後に実施される定着発色工程における加熱によって、発色可能な状態の発色部のみが選択的に発色するため、画像情報に応じたモノトーンあるいはカラー画像が得られる。なお、外部刺激(制御刺激および発色刺激)の付与によるトナーの発色という観点では、発色情報付与工程が制御刺激の付与に相当し、定着発色工程が発色刺激の付与に相当する。
本発明では、前記光照射による光硬化性組成物の硬化状態への移行時に、前述のように光硬化性組成物中の重合物の分子量をより大きくすることができるため、定着後の画像強度を高めることができる。
本発明のトナーを前記画像形成プロセスに用いた場合、上記効果を得るために発色情報付与光により光重合した後の光硬化性組成物の分子量は、数平均分子量で1000〜15000の範囲、重量平均分子量で2000〜30000の範囲となるように、前記トナーの処方及び発色情報付与光の露光量を調節することが好ましい。
この場合、上記発色情報付与光の露光量は、0.1〜5mJ/cmの範囲、照射時間は0.01〜100μ秒の範囲とすることが好ましい。ただし、上記分子量には前記加熱による定着発色工程後に達するように設計してもよい。
また、定着発色工程を経て得られた画像には光を照射する光照射工程を含むことが好ましい。これにより発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する第1成分や第2成分を分解又は失活させることができるため、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制することができる。
これに加えて、上述の画像形成方法では、従来の顔料等の着色剤を用いて実施される電子写真プロセスに利用される公知の工程が含まれていてもよく、例えば、トナー像を転写後の像担持体表面をクリーニングブレード等によりクリーニングするクリーニング工程が含まれていてもよい。また、この他にも、転写工程が、トナー像を像担持体から中間転写ベルト等の中間転写体へ転写する第1の転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体に転写する第2の転写工程とからなる中間転写方式であってもよい。
なお、トナーには3種類の発色部が含まれていることが好ましく、この場合、これら3種類の発色部は、例えば、イエローに発色可能なイエロー発色部、マゼンタに発色可能なマゼンタ発色部、および、シアンに発色可能なシアン発色部の3種類の発色部であることが好ましい。
また、本発明のトナーを用いた画像形成方法では、フルカラー画像の形成に際しても1種類のトナーを用いるのみでよいため、タンデム方式のようにトナーの色毎に対応した複数の画像形成ユニットが不要であるため、従来のモノクロタイプの複写機と同程度にまで小型化することができる。
これに加えて、トナー像の形成に際して色毎にトナーを積層する必要がないために画像表面の凸凹が抑制でき、画像表面の光沢均一性も良好である。更に、顔料等の着色剤を使わないため、銀塩ライクな画像が得られる。
なお、像担持体としては公知の感光体が利用でき、例えば、導電性基体上にSe、α−Si等の無機の感光層、若しくは単層若しくは多層の有機感光層を有したものが利用できる。
また、帯電工程には公知の帯電手段が使用できる。帯電手段が接触方式である場合は、ロール、ブラシ、磁気ブラシ、ブレード、等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、等が使用できる。
潜像形成工程では、公知の露光手段が使用でき、例えば、レーザROS、LEDイメージバー等が挙げられる。現像工程で用いられる現像手段も公知の現像手段が使用でき、接触現像でも非接触現像でもいずれでもよく、用いる現像剤も一成分系、二成分系のいずれでもよい。
発色情報付与工程では現像されたトナー像を発色させるための露光手段(発色情報付与手段)は、用いるトナーを発色可能な状態または不可能な状態に制御することが可能な波長の光を所定の解像度で照射できるものであれば公知の光源が利用でき、例えば、LEDイメージバー、レーザROS等が利用できる。
光源が発する光の波長は、使用するトナーの各種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化可能な波長に応じて選択される。
例えば、3種類の波長を利用してイエロー、マゼンタ、シアンの発色を制御する場合には、イエローに発色させるときは450nmの光を、マゼンタに発色させる時は550nmの光を、シアンに発色させる時には650nmの光を、照射することができる。この場合に、二次色に発色させる時には、上記3つの波長のうちいずれか2つの波長の光を組み合わせて照射すればよい。
転写工程には公知の転写手段が使用できる。接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード、等が使用でき、非接触の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは、圧力および熱による転写も可能である。
定着発色工程に用いられる定着発色手段としては、従来の顔料等の着色剤を含むトナーを用いた画像形成装置に利用されている公知の定着手段が使用できる。
定着手段を構成する加熱部材及び加圧部材としては各々ロールやベルトを組み合わせて利用でき、熱源としては、ハロゲンランプ、IH等が使用可能である。
光定着工程に用いられる光照射手段は、定着発色後の画像中のトナーの発色をこれ以上進行しないようにするために用いられ、公知のランプ、例えば、蛍光灯、LED、EL等が使用できる。
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。尚、以下実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
また、以下の発色性トナーの作製において、光硬化性組成物分散液の調製およびこれを用いた一連のトナーの作製は全て暗所で実施した。
<各種測定法>
下記における各測定値は、以下の測定法により測定したものである
−粒子の体積平均粒径−
樹脂粒子等の体積平均粒子径は、レーザー散乱回析法粒度分布測定装置(ベックマン−コールター社製、LS 13 320)で測定した。
−樹脂、トナーのガラス転移温度の測定方法−
トナー及び非晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠し、吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。
なお、測定には示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−50)を用いた。
<実施例1>
以下においては、光非発色型トナーを例に挙げて説明する。
−マイクロカプセル分散液(1)の調製−
酢酸エチル16.9部に、イエローに発色可能な電子供与性無色染料(1)8.9部を溶解し、さらに、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20部とカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2部とを添加した。
得られた溶液を、8%フタル化ゼラチン42部と、水14部と、10%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4部との混合液中に添加した後、温度20℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72部とを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、電子供与性無色染料(1)を芯部に含む、体積平均粒径0.5μmのマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でタケネートD−110NおよびミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は100℃であった。
−マイクロカプセル分散液(2)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの体積平均粒径は0.5μmであった。
−マイクロカプセル分散液(3)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの体積平均粒径は0.5μmであった。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。
Figure 2007322999
−光硬化性組成物分散液(1)の調製−
重合性基を有する電子受容性化合物(1)および(2)の混合物100.0部(混合比率50:50)と熱重合禁止剤(ALI)0.1部とを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)125.0部中で42℃にて溶解し混合溶液Iとした。
この混合溶液I中に、ヘキサアリールビイミダゾール(1)〔2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール〕18.0部と、ノニオン性有機色素0.5部と、有機ホウ素化合物6.0部と、ステアリルアクリレート50部とを添加し、42℃にて溶解し、混合溶液IIとした。
上記混合溶液IIを、8%ゼラチン水溶液300.1部と、10%界面活性剤(1)水溶液17.4部との混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、その後、40℃で3時間脱溶媒処理を行った後、固形分が30%の光硬化性組成物分散液(1)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(1)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(1)、重合性基を有する電子受容性化合物(2)、熱重合禁止剤(ALI)、ヘキサアリールビイミダゾール(1)、界面活性剤(1)、ノニオン性有機色素、および、有機ホウ素化合物の構造式を以下に示す。
Figure 2007322999
Figure 2007322999
−光硬化性組成物分散液(2)の調製−
前記有機ボレート化合物(29)(ボレート化合物II)0.6部と、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(26)(ボレート化合物II)0.1部と、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.1部と、酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3部と、の混合溶液中に、重合性基を有する下記電子受容性化合物(3)5部及びステアリルステアレート50部を添加した。
得られた溶液を、13%ゼラチン水溶液13部と、下記2%界面活性剤(2)水溶液0.8部と、下記2%界面活性剤(3)水溶液0.8部と、の混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物分散液(2)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(2)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(3)、助剤(1)、界面活性剤(2)、および界面活性剤(3)の構造式を以下に示す。
Figure 2007322999
Figure 2007322999
−光硬化性組成物分散液(3)の調製−
分光増感色素系ボレート化合物(26)に代えて、前記に示した分光増感色素系ボレー
ト化合物(28)(ボレート化合物II)0.1部を用いた以外は、光硬化性組成物分散液(2)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
−光硬化性組成物分散液(4)の調製−
ステアリルアクリレートの代わりに、ベヘニルメタクリレートを用いた以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(4)を得た。
−樹脂粒子分散液の調製−
・スチレン:460部
・nブチルアクリレート:140部
・アクリル酸:12部
・ドデカンチオール:9部
以上の成分を混合溶解して溶液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス)12部をイオン交換水250部に溶解したものに、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した乳化液(単量体乳化液A)を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
次に、過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解した溶液を、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。これにより、粒子の体積平均粒径が210nm、ガラス転移点が51.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42%の樹脂粒子分散液を得た。
(トナーの作製)
・マイクロカプセル分散液(1):150部
・光硬化性組成物分散液(1):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpH=3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を150部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vは4.5μmであった。
続いて、上記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た
(現像剤の調製)
次に、キャリア芯材の表面を、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)で被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリア(キャリア全質量に対するポリメチルメタアクリレートの使用量:1%)を用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤(1)を調製した。
(評価)
暗所で、現像剤(1)を、定着器を外した画像形成装置(富士ゼロックス社製、Aカラー)に投入し、10cm×10cmのカラーバー、カラー細線からなるトナー像を形成し、紙(富士ゼロックス社製、C2紙)に転写後、定着前の未定着画像(トナー像)を得た。
この未定着画像に波長405nmの半導体レーザー光(露光量:2mJ/cm)を部分的に照射し(照射時間:1μ秒)、発色情報を付与した。その後、個別に用意された前記複写機の定着器に前記未定着画像を通紙し、発色、定着させたところ、レーザー光の照射されていない部分がイエローに発色した。なお、この時の定着器の定着温度は180℃、プロセススピードは150mm/secである。この後、得られた画像に58000luxの高輝度シャーカステンを用いて30秒光照射した。
上記の画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られた。定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいて画像の用紙から剥離、画像のひび割れ等を確認したが、何ら問題ないレベルであった。
<実施例2>
実施例1において、マイクロカプセル分散液(1)および光硬化性組成物分散液(1)に代えて、マイクロカプセル分散液(2)および光硬化性組成物分散液(2)を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてトナー、現像剤を作製し、現像剤(2)を得た。なお、トナー粒子を造粒する過程で分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(2)を用い、照射光として波長532nmの半導体レーザー光(露光量:2mJ/cm)を用いた以外は実施例1と同様の評価を実施した。
この際、定着発色後に、レーザー光の照射されていない部分がマゼンタに発色した。また、画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られた。定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいて画像の用紙から剥離、画像のひび割れ等を確認したが、何ら問題ないレベルであった。
<実施例3>
実施例1において、マイクロカプセル分散液(1)および光硬化性組成物分散液(1)に代えて、マイクロカプセル分散液(3)および光硬化性組成物分散液(3)を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてトナー、現像剤を作製し、現像剤(3)を得た。なお、トナー粒子を造粒する過程で分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(3)を用い、照射光として波長657nmの半導体レーザー光(露光量:2mJ/cm)を用いた以外は実施例1と同様の評価を実施した。
この際、定着発色後に、レーザー光の照射されていない部分がシアンに発色した。また、画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られた。定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいて画像の用紙から剥離、画像のひび割れ等を確認したが、何ら問題ないレベルであった。
<実施例4>
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1):150部
・光硬化性組成物分散液(1):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpH=3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300質量部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。これにより感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は2μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
・マイクロカプセル分散液(2):150部
・光硬化性組成物分散液(2):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は2μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
・マイクロカプセル分散液(3):150部
・光硬化性組成物分散液(3):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は2μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
(トナーの作製)
・感光・感熱カプセル分散液(1):80部
・感光・感熱カプセル分散液(2):80部
・感光・感熱カプセル分散液(3):80部
以上の成分を混合した溶液をフラスコに移し、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバス42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100部追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vは15.2μmであった。
続いて、上記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
(現像剤の調製)
次に、キャリア芯材の表面を、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)で被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリア(キャリア全質量に対するポリメチルメタアクリレートの使用量:1%)を用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間攪拌・混合して現像剤(4)を調製した。
(評価)
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして未定着画像を得た。
この未定着画像にまず波長657nmの半導体レーザー光を用いて画像様に露光し次いで波長532nmの半導体レーザー光を用いて画像様に露光し、さらに波長405nmの半導体レーザー光を用いて画像様に露光した。その後、個別に用意された前記複写機の定着機に前記未定着画像を通紙し、発色、定着させた。なお、この時の定着機の定着温度は
180℃、プロセススピードは150mm/secである。この後、得られた画像に58000luxの高輝度シャーカステンを用いて30秒光照射した。
この発色情報付与、発色・定着によって、露光したレーザー光を吸収する感光・感熱カプセルは発色せず、レーザー光を吸収しない感光・感熱カプセルが発色することにより、発色情報に応じた色にトナーが発色していることが確認された。
上記の画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られた。定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいて画像の用紙から剥離、画像のひび割れ等を確認したが、何ら問題ないレベルであった。
<実施例5>
実施例1のトナーの作製トナー粒子(1)の作製において、光硬化性組成物(1)の代わりに、光硬化性組成物(4)を用いた以外は、すべて実施例1と同様にしてトナー、現像剤を作製し、現像剤(5)を得た。なお、得られたトナー粒子の体積平均粒径は15μmであり、トナー粒子を造粒する過程で分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(5)を用いた以外は実施例1と同様の評価を実施した。
この際、定着発色後に、レーザー光の照射されていない部分がマゼンタに発色した。また、画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られた。定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいて画像の用紙から剥離、画像のひび割れ等を確認したが、若干削られる傾向にあったが何ら問題のないレベルとなった。
<実施例6>
本実施例においては、光発色型トナーの例について説明する。
−マイクロカプセル分散液(4)の調製−
電子供与性無色染料(1)12.1部を酢酸エチル10.2部に溶解し、ジシクロヘキシルフタレート12.1部とタケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製)26部とミリオネートMR200(日本ポリウレタン工業株式会社製)2.9部とを添加した溶液を準備した。
続いて、この溶液を、ポリビニルアルコール5.5部および水73部の混合液に添加し、20℃で乳化分散し、平均粒径0.5μmの乳化液を得た。得られた乳化液に水80部を加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯材とするマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液(4)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(4)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でジシクロヘキシルフタレート、タケネートD−110NおよびミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は約130℃であった。
−マイクロカプセル分散液(5)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。
−マイクロカプセル分散液(6)の調製−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(6)を得た。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。
Figure 2007322999
−光硬化性組成物分散液(5)の調製−
光重合開始剤(1−a)1.62部と、(1−b)0.54部とを酢酸エチル4部に溶解させた溶液に、電子受容性化合物(1)9部、トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー(3官能アクリレート、分子量:約300)7.5部及びステアリルアクリレート5部とを添加した。
このようにして得られた溶液を、15%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液19部と水5部と2%界面活性剤(1)水溶液0.8部と2%界面活性剤(2)水溶液0.8部とを混合した混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて8000rmpで7分間乳化して、乳化液とした光硬化性組成物分散液(5)を得た。
−光硬化性組成物分散液(6)の調製−
光重合開始剤(1−a)及び(1−b)を、光重合開始剤(2−a)0.08部、(2−b)0.18部及び(2−c)0.18部に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(5)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(6)を得た。
−光硬化性組成物分散液(7)の調製−
前記光硬化性組成物分散液(2)で用いた光重合開始剤(2−b)を、光重合開始剤(3−b)に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(5)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(7)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液の調製に用いた光重合開始剤(1−a)、(1−b)(2−a)、(2−b)、(2−c)、(3−b)、電子受容性化合物(1)、及び、界面活性剤(1)〜(2)の化学構造式を以下に示す。
Figure 2007322999
Figure 2007322999
Figure 2007322999
−感光・感熱カプセル分散液(4)の調製−
・マイクロカプセル分散液(4)24部
・光硬化性組成物分散液(5)232部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。そして、硝酸でpH3に調整し、次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20質量部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。 加熱用オイルバスでフラスコをゆっくり攪拌しながら40℃まで加熱した。これにより、感光・感熱分散液(4)を得た。
なお、この感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(5)の調製−
マイクロカプセル分散液(4)をマイクロカプセル分散液(5)に、光硬化性組成物分散液(5)を光硬化性組成物分散液(6)に、変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(4)の調製と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(5)を得た。なお、この感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
−感光・感熱カプセル分散液(6)の調製−
マイクロカプセル分散液(4)をマイクロカプセル分散液(6)に、光硬化性組成物分散液(5)を光硬化性組成物分散液(7)に、変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(4)の調製と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(6)を得た。なお、この感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
(トナーの作製)
・感光・感熱カプセル分散液(4):80部
・感光・感熱カプセル分散液(5):80部
・感光・感熱カプセル分散液(6):80部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.1質量部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液(1)を緩やかに40質量部を追加した。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら55℃まで加熱し、10時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmtとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで12時間の真空乾燥を行うことにより、母材中に3種類の感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナー粒子を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均粒径D50vは約15μmであった。また、得られたトナーの自発的な発色は確認されなかった。
このトナー粒子を用いて、実施例1と同様にして現像剤(6)を調製した。
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(6)を用いた以外は実施例4と同様にして評価を行った。その際、発色情報付与、発色・定着によって、露光したレーザー光を吸収する感光・感熱カプセルは発色し、レーザー光を吸収しない感光・感熱カプセルが発色しないことにより、発色情報に応じた色にトナーが発色していることが確認された。
上記の画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られた。定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいて画像の用紙から剥離、画像のひび割れ等を確認したが、何ら問題ないレベルであった。
<比較例1>
実施例1の光硬化性組成物分散液(1)の調製において、ステアリルステアレートを用いなかった以外は同様にして、光硬化性組成物(8)を調製した。そして、光硬化性組成物分散液(1)に代えて、光硬化性組成物分散液(8)を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてトナー、現像剤を作製し、現像剤(7)を得た。なお、トナー粒子を造粒する過程で分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(7)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。その際、レーザー光の照射されていない部分がイエローに発色していることが確認された。
上記の画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られたが、定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいたとき、画像が削られ、表面荒れが見える状態であった。
<比較例2>
実施例1の光硬化性組成物分散液(1)の調製において、ステアリルステアレート50部の代わりに、ブチルアクリレート50部を用いた以外は同様にして、光硬化性組成物(9)を調製した。そして、光硬化性組成物分散液(1)に代えて、光硬化性組成物分散液(9)を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてトナー、現像剤を作製し、現像剤(8)を得た。なお、トナー粒子を造粒する過程で分散液の自発的な発色は確認されなかった。
続いて、暗所で、現像剤(1)の代わりに現像剤(8)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。その際、レーザー光の照射されていない部分がイエローに発色していることが確認された。
上記の画像出力を計10回行ったが、画像、色調、階調性なども安定しており高精細なフルカラー画像が得られたが、定着性に関しては、べた画像部分をシャープペンシルで引っかいたとき、画像が削られ、表面荒れが見える状態であった。
以上のように、本発明のトナーは、光硬化性組成物中に長鎖のアクリレート及び/またはメタクリレート成分を含むため、定着後の画像において十分な画像強度を得ることができた。一方、光硬化性組成物中にこれらの成分を含まない比較例では、定着画像において強度不足に基づく何らかの問題が発生した。

Claims (5)

  1. 互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有し、
    該光硬化性組成物が、さらに炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを含むことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 前記光硬化性組成物中の前記アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの含有量が、該アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート以外の光重合性成分100質量部に対して20〜200質量部の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色不可能な状態を維持し、
    前記光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、前記発色不可能な状態から発色可能な状態へ不可逆的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記光硬化性組成物が未硬化状態の時に発色可能な状態を維持し、
    前記光硬化性組成物を硬化させる特定波長の光の照射により前記光硬化性組成物を硬化させることによって、前記発色可能な状態から発色不可能な状態へ不可逆的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  5. 像担持体表面を帯電する帯電工程と、前記像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像しトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像に画像情報の色成分情報に対応した光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、露光後の前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記記録媒体表面のトナー像を加熱加圧して定着および発色させて画像を形成する定着発色工程とを含み、
    前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれか一方を含む光硬化性組成物と、を有し、該光硬化性組成物が、炭素数が12〜30のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのいずれかを含む静電潜像現像用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
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JP2014077832A (ja) * 2012-10-09 2014-05-01 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダー及びトナー
JP2019219656A (ja) * 2018-06-13 2019-12-26 三洋化成工業株式会社 トナーバインダー

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