JP2007322703A - 1/2波長板 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の1/2波長板では、透過光帯域のうち、PS変換効率が0%又は100%となる波長帯域幅が著しく狭いため、所望のPS変換効率となる波長帯域毎で複屈折板の厚み差を変化させた1/2波長板を作成しなければならないという課題がある。
【解決手段】複数枚の複屈折板を貼り合わせて成る1/2波長板において、材質が水晶の4枚の複屈折板が、各複屈折板の主面同士を貼り合わせた形態で形成されており、且つ各複屈折板の厚み比が、入射又は出射側の複屈折板から、1:2:1:1である1/2波長板。
【選択図】図1

Description

本発明はプロジェクタ等の投影装置内の光学エンジン内等で使用される水晶を素材とする1/2波長板に関する。
以前より、スクリーン上に映像を投射する形態の各種プロジェクタ装置が知られている。これらの各種プロジェクタ装置内に搭載される光学エンジン内には、偏光ビームスプリッタより分離されたP偏光成分とS偏光成分のいずれか一方の偏光方向を回転し、他方の偏光成分の偏光方向と一致させて出射させるための1/2波長板が設けられている。
従来までの光学エンジンに用いられている1/2波長板は、その一形態としては複屈折性を有する有機フィルムをガラスに貼り付けた形態のもの、又は2枚の水晶より成る複屈折板板(第1の複屈折板板と第2の複屈折板)とを互いの光学軸投影線の交わる角度が90°となるように貼り合わせた形態のものが用いられている。又、この波長板2枚を貼り合わせタイプの1/2波長板に使用される第1の複屈折板及び第2の複屈折板には、水晶結晶体から同じ切断角度(光学軸と水晶板主面法線との成す角度)で切り出された水晶板が使用されている。
上述したような1/2波長板を含む各種波長板については、以下のような先行技術文献に開示がある。
米国特許第5751384号公報
尚、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
しかし、上述した1/2波長板のうち、有機フィルムとガラスとを貼り合わせた形態の1/2波長板では、耐熱性が劣る問題がある。特に光源からの熱により高温度環境で長時間使用されるプロジェクタ等で1/2波長板を使用する場合は、その熱により有機フィルムの光学特性劣化が起きやすいという問題がある。又、有機フィルムとガラスとを貼り合わせた形態の1/2波長板を高温環境下で使用する場合では、1/2波長板を冷却するための冷却手段(大型のファン等)を、1/2波長板を搭載するプロジェクタ装置等に取り付ける必要があり、装置の大型化、騒音問題、及び装置の運用時に冷却時間を設けなくてはならない等の問題も発生する。
又、2枚の水晶よりなる複屈折板を貼り合わせた形態の従来の1/2波長板において、所望するPS変換効率は、貼り合わされた2枚の複屈折板の厚み差から求めているが、このような形態の1/2波長板では、図3に開示したように、透過光帯域のうち、PS変換効率が0%又は100%となる波長帯域幅が著しく狭いため、所望のPS変換効率となる波長帯域毎で複屈折板の厚み差を変化させた1/2波長板を作成しなければならないという課題がある。
因って、本発明の目的は、高温環境下でも光学特性の低下を生じず、且つPS変換効率が0%又は100%となる波長帯域幅が広い1/2波長板を提供することにある。
本発明は上述した課題を解決するために成されたものであり、複数枚の複屈折板を貼り合わせて成る1/2波長板において、材質が水晶の4枚の複屈折板が、各複屈折板の主面同士を貼り合わせた形態で形成されており、且つ各複屈折板の厚み比が、入射又は出射側の複屈折板から、1:2:1:1であることを特徴とする1/2波長板である。
本発明の1/2波長板では、有機フィルムを使用した1/2波長板に比べて、耐熱性が著しく向上し、高温度環境下の長時間使用においても、光学特性の劣化はほとんど起きない。又、有機フィルムを使用した1/2波長板では必須であった、1/2波長板を冷却するための冷却手段(大型のファン等)を、1/2波長板を搭載するプロジェクタ装置等に取り付ける必要がなくなり、搭載装置の小型化や動作音の著しい低減、及び冷却時間を設けなくても良いなどの作用を奏する。
又、本発明の1/2波長板の形態では、1/2波長板を構成する4枚の各々の複屈折板の厚み比を、入射又は出射側の複屈折板から順に1:2:1:1の比率の厚みとすることにより、透過光帯域のうち、PS変換効率が0%又は100%となる波長帯域の幅を従来の1/2波長板に比べ著しく広くすることが可能となる。
因って、本発明により、高温環境下でも光学特性の低下を生じず、又、1形状の1/2波長板で、一定の波長帯域幅においてPS変換効率0%又は100%として機能することが可能な1/2波長板を提供できる効果を奏する。
以下に、本発明における1/2波長板の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明における1/2波長板を示した外観斜視図である。図2は、実施例に開示した本発明の実施形態の1/2波長板における、各複屈折板の光学軸方位を示した方位図である。図3は、本発明における1/2波長板における、波長−PS変換効率特性を示したグラフであり、比較のために同グラフ内には従来の1/2における同特性グラフも示している。尚、各図においては、説明を明りょうにするため構造体の一部を図示せず、また寸法も一部誇張して図示している。特に図1における各複屈折板の厚み寸法は誇張して図示している。
即ち、液晶プロジェクタ等に用いられる光学エンジンでは、光源より発せられた白色光をR(赤)、G(緑)及びB(青)の各色光に分解し、各色光を色光毎に設けられた偏光ビームスプリッタ、1/2波長板及び液晶パネルにより構成される色光処理手段に導き変調し、変調された各色光を合成して投影することにより、画像をスクリーンに表示する。
図1は、上述した光学エンジン内の使用される、本発明における1/2波長板の実施例を示した。1/2波長板10の代表的な使用例としては、偏光ビームスプリッタに入射される前又は偏光ビームスプリッタから出射した後の特定波長光に対して、PS変換を行うことに使用される。
この各偏光ビームスプリッタの配置される1/2波長板10は、図1のように、水晶結晶体より所望のカットアングルにより切り出し外形加工を施された第1の複屈折板11、第1の複屈折板11と同じサイズの主面となるように形成された第2の複屈折板12,第3の複屈折板13及び第4の複屈折板14の4枚の複屈折板を、第1の複屈折板11と第2の複屈折板12と第3の複屈折板13と第4の複屈折板14の光学軸投影線が成す角度が、それぞれで異なる角度となるような形態で貼り合わせた1/2波長板10である。又、1/2波長板10の主面外形形状は円形や多角形状に加工されている。
本発明における上記1/2波長板10の一実施形態として、それぞれの複屈折板の諸仕様を下記表1に示す。
Figure 2007322703
ここで上記表1に記載の各複屈折板の厚みtは、各複屈折板の厚み比が、出射側の複屈折板から、1:2:1:1となるように、諸数値を当てはめて導出したものである。つまり、1/2波長板10を構成する複数枚の複屈折板のうち、第3の複屈折板13を他の同じ厚みの第1の複屈折板11,第2の複屈折板12及び第4の複屈折板14に比べて2倍の厚みとする。尚、図1に記載の1/2波長板10では、光出射側から順の比率とした場合の構造のものを開示しているが、本発明は、入射側から順の比率とした場合(第2の複屈折板12の厚さが2倍の場合)でも適用が可能である。
図1及び図2に示し、且つ上記のように、各複屈折板の厚みを、第1の複屈折板11でt=0.145mm、第2の複屈折板12でt=0.145mm、第3の複屈折板13でt=0.29mm及び第4の複屈折板14でt=0.145mmとし、更に各複屈折板における光学軸投影線の成す角度φを、第1の複屈折板11でφ1=−20°、第2の複屈折板12でφ2=28°、第3の複屈折板13でφ3=−7°及び第4の複屈折板14でφ4=4°とした1/2波長板の場合の波長−PS変換効率特性を図3に示す。図3に示すように、上記記載のような形態の1/2波長板を使用することにより、従来の形態の1/2波長板に比べ、PS変換効率が0%又は100%となる波長帯域幅を広くすることができる。このことにより、1形状の1/2波長板で、一定の波長帯域幅においてPS変換効率0%又は100%として機能することが可能な1/2波長板となる。
又、上記実施形態のように、本発明の1/2波長板は、その構成材として樹脂に比べ熱伝導率が高く且つ熱による膨張変形量が低い水晶を使用した複屈折板のみで構成されているので、波長板としての耐熱性が従来の樹脂フィルムを使用した1/2波長板に比べ著しく向上し、高温度環境下の長時間使用においても、光学特性の劣化はほとんど起きない。
尚、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、図3に例示したPS変換効率を0%又は100%となる波長帯域以外の帯域でPS変換効率を0%又は100%にしたい場合や、1/2波長板としての総厚みを薄くさせつつPS変換効率が良好な所望の波長帯域幅を確保する場合などは、1/2波長板を構成する各複屈折板の光学軸間の成す角度φや厚みtを、本発明に開示の本発明構成範囲内で変化させることは構わない。
図1は、本発明における1/2波長板を示した外観斜視図である。 図3は、本発明における1/2波長板の一実施形態における、各複屈折板の光学軸方位を示した方位図である。 図3は、本発明における1/2波長板の一実施形態における、波長−PS変換効率特性を示したグラフ図である(比較対象として従来の1/2波長板における波長−PS変換効率特性を重ねて図示してある。)。
符号の説明
10・・・1/2波長板
11・・・第1の複屈折板
12・・・第2の複屈折板
13・・・第3の複屈折板

Claims (1)

  1. 複数枚の複屈折板を貼り合わせて成る1/2波長板において、材質が水晶の4枚の複屈折板が、各該複屈折板の主面同士を貼り合わせた形態で形成されており、且つ各該複屈折板の厚み比が、入射又は出射側の該複屈折板から、1:2:1:1であることを特徴とする1/2波長板。
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