JP2013246346A - 水晶波長板 - Google Patents
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Abstract
市場には190〜1900nmや350〜2300nmなどの広帯域グラントムソンプリズムが既に知られているが、広帯域1/4波長板は数百nm帯域幅のものしか存在しない。また水晶の透明域は185〜5800nmとこれ等光学素子よりもはるかに広帯域である。本発明は帯域が紫外域から赤外域まで及ぶ336nm〜2086nm(帯域幅1750nm)、636nm〜3736nm(帯域幅3100nm)等の水晶1/4波長板を提供する。
【解決手段】
基準回転角度θ0b(度)または−θ0b(度)と初期値厚さ寸法D0(μm)で作製した6枚水晶波長板、およびこの水晶波長板に定めた範囲内で全厚さ寸法パラメータu、個別厚さ寸法パラメータd(μm)、個別回転角度パラメータΦ(度)を設定して、各水晶板の角度や厚さに変更を加えた水晶波長板を使用する。
【選択図】 図6
Description
水晶に直線偏光を入射させた時、入射する角度により屈折率が異なる。ここで“直線偏光”とは光波の電場ベクトルが、(ある方向を向いた)直線上を振動している偏光、という意味である。
3次元で各方向に対する屈折率を表したものは“屈折率楕円体”と呼ばれる。これは
エアギャップタイプの2枚型ゼロオーダー広帯域1/4波長板の特性として図1(a)に示したものが知られている。いずれも横軸を波長(nm)にとり、縦軸に位相差90度を中心とした、位相差−波長特性グラフである。1/4波長板としての特性を示す波長範囲は400〜700nm,600〜850nm,700〜1000nm,1000〜1600nmと様々である。オプティカルコンタクトをしていないため高出力レーザにも対応している。
広帯域1/4波長板の別の例を図1(b)に示す。1/4波長板としての特性を示す波長範囲は380〜830nmである。
1/4波長板の次数は整数mで定義され、m=0なら“ゼロオーダー”、m>0なら“マルチオーダー”1/4波長板となる。波長500nm(この波長での屈折率差ne−no=0.00925)の1/4波長板として厚さ0.5mmの水晶波長板はm=18の1/4波長板となる。
整数mは以下の式から算出できる。厚い程、次数は大きくなる。
開発が難しいのは、多数の波長で同時に1/4波長板としての特性を満たす必要があるから、と考えられる。各水晶板の厚さや回転角度を様々に変えて、少数の波長で特性を満たしたとしても、残りの波長では特性を満たさないためである。計算そのものは難しくないが、板枚数、各板厚さ、各板回転角度、波長をパラメータとした場合の数が広帯域になる程、急激に増大し計算時間が多大なものとなってしまう。水晶の全透明域185nm〜5800nmで特性を持つ水晶波長板があれば非常に素晴らしいことであるが、必要な水晶板の枚数や、このような波長板が存在するか否かという基本的問題も、理論的に解決されていないと思われる。
必要に応じてradまたは度の単位は適宜明記することにする。
と表すことにする。(数8),(数11),(数12)から
PHDはrad/πで無単位である。2個の複素数の偏角の差は2個の複素数の割算の偏角に等しい。偏角の差において2π(360度)の整数倍は省略し、−1≦PHD≦1の範囲とした。PHD=0.5の他、PHD=−0.5でもAMR=1であれば円偏光となるが、本解析では主として上式のみとした。PHD=−0.5の場合の例は(実施例10),(実施例14)に示した。
また
様々な試行錯誤を繰り返した後、θ0においては非特許文献1のθ値(有効数字2〜4桁,0.1度まで)に近い値とし、D0においてはその比が非特許文献1のD値(有効数字3桁,10μmまで)に近い値とした。
D(1)はD0に等しい。
d6の列には1番目から4096番目まで、順に1、−1、1、−1のように、1と−1が交互に表示されている。
d5の列には1番目から4096番目まで、順に1、1、−1、−1のように、1と−1が2個(=2の1乗個)ずつ交互に表示されている。
d4の列には1番目から4096番目まで、順に1、1、1、1、−1、−1、−1、−1のように、1と−1が2の2乗個(=4個)ずつ交互に表示されている。
このようにして、
d1の列には1番目から4096番目まで、順に1と−1が2の5乗個(=32個)ずつ交互に表示されている。
φ6の列には1番目から4096番目まで、順に1と−1が2の6乗個(=64個)ずつ交互に表示されている。
φ5の列には1番目から4096番目まで、順に1と−1が2の7乗個(=128個)ずつ交互に表示されている。
このようにして、
φ1の列には1番目から4096番目まで、順に1と−1が2の11乗個(=2048個)ずつ交互に表示されている。
uとしてはu=1の他、u>1なる値としてu=5,10を、またu<1なる値として、u=0.05,0.1,0.5を、合計6個のuを選択した。
φとしては最大値を20度、最小値を0.5度とし,最大値と最小値の中間の値に対しては、φ=10度,5度,1度の合計5個のφを選択した。
dの最小値としてはu=1または5であれば0.5μm、u=10であれば0.1μm、u=0.5または0.1または0.05であれば1μmとした。
dの最大値としては、u=1または5または10であればD(u)の6個の成分の最小値28/uから0.1μmを引いた値とし、u=0.5または0.1または0.05であればD(u)の6個の成分の最小値28/uから1μmを引いた値とした。
最大値と最小値の中間のdの値に対しては、u≦1なるuにおいては、最大値から約1/2、さらに約1/2・・なる値を主として選択した。
各uに対して選択したdの合計数は、u=0.05では7個で、それ以外のuでは6個である。
(数28)
が、k=1,2・・113の中に1個以上存在するかどうかを判定する。
u=1,±φ=±20度では、誤差±p%(p=5,10,・・50)のそれぞれのpに対して、歩留まりはdが大きい(|±d|≧5μm)時はdの大きさにあまり影響しない。dが小さい(d<5)時はdと共に減少する傾向がある。誤差±p=±5%での歩留まりは11%程度であるが、|±p|が大きくなるにつれて当然増加していき、誤差±p=±20%では歩留まりは50%を超え、誤差±p=±50%では歩留まりはほぼ90%以上である。
ではこのようなそれぞれの配列番号nにおいて、λkが1個以上存在するのであれば、正確には何個存在するであろうか。この数は(u,φ,d)を定めると誤差±p%と配列番号nで決まる。
一番上の表以外の残り3つの表ではNo.だけが記されnとNλの値は省略してある。
図13をθ0,D0のグラフである図6と比較してみる。前者±p=±20%、後者±p=±10%の横線は考慮しなくても、PHD,AMRの理想値(それぞれ0.5,1)からの誤差の小さい範囲が長波長側へシフトしていることがわかる。
図13において、PHD,AMRがp=±10%以内に入っている波長範囲は2586nm〜3736nm(帯域幅1150nm)である。
Tλの最大値はλkの個数113個×50nm=5650nmである。図14(b)の上部にある横実線はこれを示している。
図10に示した全てのu,φ,dにおける歩留まり表および最大の誤差内波長数Nλ(配列番号n)の表およびその説明は(実施例8),(実施例9)で示した。
6枚の全ての水晶板の回転角度から水晶板1の回転角度を引いた角度を“基準回転角度θb”と称し、以下の式で定義する。単位は度である。
各水晶板において、Zci軸の方向がわかるような目印(オリフラ等)を各水晶板に設けておく。そして基準回転角度を基にして水晶板1に水晶板2を、水晶板2に水晶板3というようにして水晶板6までを順次貼り合わせていけばよい。測定系に6枚水晶板をセットするときは、Zc1軸を観測座標系のZ軸からθ1回転させてセットすればよい。
また個別回転角度パラメータφを使用した水晶板を作製する場合、φの範囲は−20度から+20度の任意の値である。θ0の6個の各要素に、設計に応じて、この範囲の値のふぁいを加える。6個の各要素に加えるφの値はそれぞれ異なっていてもよいし、いくつかの要素で同一であってもよい。設計に応じて加えるφの値は正の場合もあれば負の場合もある。こうしてθ0に変更を加えた角度を(数22)のθとする。基準回転角度は(数39)θbで与えられる。θbに基づいて6枚の水晶板を順次貼り合わせていけばよい。
基準回転角度−θ0bの6枚水晶板から作製する場合も全く同様である。−θ0の6個の各要素に、設計に応じて、−20度から+20度の任意の値を加える。こうして−θ0に変更を加えた角度を(数22)のθとする。基準回転角度は(数39)θbで与えられる。
詳細は(実施例16)〜(実施例19)で順次説明した。
2種類のφ、2種類のdの選択は無限通り存在するが、(実施例16)ではu=1とし2種類のφとして、20度と0度、−20度と0度、10度と0度、−10度と0度の場合を例にとり説明した。さらにdも変えた場合も一例を示した。φが20度と0度で、±dのうち+dはそのままで−dの代わりに0μmとした場合やφが−10度と0度で、±dのうち+dはそのままで−dの代わりに0μmとした場合である。
一例としてu=1,φ=20度、d=27.9μmとして、θ0,D0の6枚水晶板の各板の厚さと回転角度を配列番号2825の準2進表示(0093)に基づいて作製した6枚水晶板では、φ、dを考慮しない場合よりも位相差PHD,振幅比AMRが良好な特性が長波長側へシフトする(図13)。位相差PHDおよび振幅比AMR共に、誤差が±10%以内に入る波長範囲は2586nm〜3736nm(帯域幅1150nm)である。
解析した総数はuの選択数×φの選択数×dの選択数×pの選択数となり、1860個の歩留まり、1860個の最大の誤差内波長数Nλ(個)を計算した。Nλの表には配列番号nも表示し、常に位相差PHDおよび振幅比AMRの全波長域における特性グラフが再現できるようにした。歩留まりやTλのグラフも適宜示した。(図11,図12,図14,図22〜図35,図41〜図48)
例えば、u=1,±p=±20%を見ると、±φ=±20度では歩留まりは50%台であるが、±dにもよるが、|±φ|が小さくなるにつれて|±d|の大きさに依存してきて、±φ=±10度では70%台の歩留まりも現れ、±φ=±5度では90%台の歩留まりも現れ、±φ=±1度では100%の歩留まりも現れ、±φ=±0.5度では100%の歩留まりも増えてくる。
uが大きいと振幅比AMRは波長に対して単調減少する傾向にあり、Nλ値およびTλ値は歩留まりよりもuに敏感となる。u=5,10の場合よりもu=1の方が広帯域である。またNλ値およびTλ値は歩留まり程、|±d|の大きさに敏感ではない。また歩留まりの傾向とは逆に|±d|が大きい程、Nλ値は増加する傾向にある。
uが小さいと位相差PHD,振幅比AMRは変動が大きくなる。AMRの変動は大きくても、AMRが1近辺に存在する割合が、uが大きい場合よりも大きいため、u=5,10の場合よりもu=0.1,0.05の場合の方がNλ値およびTλ値は大きい。
(数22)。また6枚水晶板の厚さも6行1列のベクトルでDと定義した(数23)。
θ,Dで作製した6枚水晶板の位相差PHDおよび振幅比AMRの全波長域における特性グラフは
θi→θi+180度
θi→θi−180度
θi→−θi+90度
θi→−θi−90度
の変換を行っても同一の特性が得られる。また
θi→−θi
θi→−θi+180度
θi→−θi−180度
θi→θi+90度
θi→θi−90度
の変換に対しては、AMRの全波長依存性は全く同じだが、位相差PHDがPHD→PHD−1となる。PHD=0.5は左回り(反時計周り)円偏光でPHD=−0.5は右回り(時計周り)偏光である。円偏光の回転の方向を上記角度の変換に対して変えることが可能であることを示している。
θ0,D0で作製した広帯域1/4波長板(図6)は336nm〜2086nmの広範囲に渡って1/4波長板としての特性を示した。
θi→θi−45度およびθi→θi+135度の変換では、PHDが1に近い波長域が386〜1836nm領域に現れる。
θi→θi+45度およびθi→θi−135度の変換では、PHDが−1に近い波長域が386〜1836nmに現れる。
θi→−θi+45度,θi→−θi−45度,θi→−θi+135度,θi→−θi−135度,では386〜1836nmの可視域を含んだ広帯域において、PHDが0に近い波長域が現れる。
PHDが0近辺に存在するという意味で1/1波長板と呼んだが、AMRが長波長になるにつれて単調減少している。これは振動の向きがX軸方向に近い振動からZ軸方向に近い振動へ変化していることを意味している。1/2波長板は直線偏光の向きを変える働きをするもの、という広い意味での見地からは、1/1波長板も386〜1836nmの波長域では1/2波長板に近い効果をもたらす。
−θiで作製した6枚水晶板は全体回転をしていくと1/4波長板と1/1波長板(1/2波長板に近い効果)が交互に現れる。また右回り円偏光と左回り円偏光が交互に現れる。
このPHD,AMRの全波長域の特性グラフを図15に示す。図6と比較してみると、PHDについては差は小さいが、AMRにおいては誤差±10%以内の領域が長波長側で減じるものの、誤差範囲はより狭まっている。
このPHD,AMRの全波長域の特性グラフを図16に示す。
PHD,AMR共に見かけ上変動が大きいが、(0075)で説明したように本質的なものではなく、PHD,AMR共に誤差±10%以内に入る波長は2536,4886,4936,4986,5036nmの5点のみである。
図6の(θ0,D(1))のグラフと比較してみると、誤差±10%範囲がAMRでは486nmまで縮小しているが、PHDの短波長側186〜336nmの急な変動は消える。PHD,AMRが共に誤差約±10%(正確には11.3%)以下の波長帯域は186〜486nmである。
(θ0,D(1))のグラフ図6と比較してみると、誤差±10%範囲がAMRでは276nmまで縮小しているが、PHDの短波長側336nm以下の急な変動は消える。
(θ0,D(5))のグラフと比較してみると、(θ0,D(5))のグラフは191〜206nmでAMRが10%を超えているが、(θ0,D(10))のグラフは10%以内におさまっている。
PHD,AMRが共に誤差約±10%以下の波長帯域は186〜276nmである。
(θ0,D(1))のグラフ図6と比較してみると、636nm以下でPHD,AMRの変動は大きくなるが、それ以外ではPHDの変動は小さい。AMRの誤差±10%(正確には11.3%)以下の範囲が2086nmから3736nmまで長波長側に拡大している。帯域は636nm〜3736nm(帯域幅3100nm)である。
(θ0,D(1))のグラフ図6と比較してみると、2686nm以下ではPHD,AMRの変動は大きいが、2686nm以上ではではPHDの変動も少なく、0.5近辺に存在している。AMRでは、誤差約±10%(正確には11.3%)以下の範囲が解析の最長波長である5786nmまで達している。帯域は2686nm〜5786nm(帯域幅3100nm)である。
(θ0,D(1))のグラフ図6と比較してみると、4836nm以下でPHD,AMRの変動は大きいが、4836nm以上ではPHD,AMR共に変動は小さい。AMRでは誤差±10%範囲が最長波長である5800nmまで達している。(θ0,D (0.1))のグラフ図20と比較してみると、(θ0,D(0.1))のグラフは4436nm〜5136nmの範囲でAMRが誤差+10%を超えるが、(θ0,D(0.05))のグラフ図21は(4836nm以上で)AMRが誤差±10%以下におさまっている。D(0.05)とした厚さの6枚水晶板は広帯域な領域は減るものの多波長用波長板(0016)としての機能をもつ。
設定値の組み合わせはuが6通り、φが5通り、u,φの各々に対してdが6通りまたは7通りある。合計186通りである。186通りの各々に対して10通りのp、即ち合計1860通りに対して歩留まりを計算した。
|±φ|が小さい程、歩留まりは|±d|の大きさに敏感なる。
|±φ|が変化しても、|±d|が大きいと歩留まりの変化は小さいが、|±d|が小さいと歩留まりの変化は大きくなる。この変化は誤差±p%が小さい程、顕著である。
|±d|が小さく|±p|が大きい程、歩留まりは大きい。5個の各表では左下程歩留まりは大きく、右上程歩留まりは小さい傾向が見られる。
|±φ|が小さい程、歩留まりは全体的に上昇する傾向が見られる。歩留まり100%に達成する割合も増えてくる。例えば、u=1,±p=±20%の行を見ると、±φ=±20度では歩留まりは50%台であるが、±dにもよるが、±φ=±10度では70%台の歩留まりも現れ、±φ=±5度では90%台の歩留まりも現れ、±φ=±1度では100%の歩留まりも現れ、±φ=±0.5度では100%の歩留まりも増えてくる。
同様にして、図25、図26、図27、図28はそれぞれu=10,0.5,0.1,0.05とした場合の歩留まりの表である。
u=0.1の表、図27において,±φ=±1度または±0.5度,±d=35μm,±p=±5%の場合の歩留まりのように値が小さく、傾向からそれる場合もある。
Tλの最大値はλkの個数113×50nm=5650nmであり、グラフ上部に横実線で示してある。
|±φ|が変化しても|±d|が5μm以上ではTλの変化は比較的小さいが|±d|が5μmよりも小さいとTλの変化は大きくなる。この変化は誤差±p%の大小とは関係が無い。
|±p|(%)を大きく設定すれば、当然ながら合計波長帯域Tλは増加していく。
|±φ|を変えると各誤差±p%ごとにTλの大きさは差も見られるが、±dも考慮した全体的な傾向として、±p=±15%ならTλは〜1000nmから2000nmを超えるまでになり、±p=25%ならば1700nmから3000nm位まで増加し、±p=35%ならば2300nmから3700nm位まで増加し、±p=45%ならば3300nmから4300nmまで増加する。
また歩留まりの表程、|±d|の大きさに敏感ではなく、歩留まりの傾向とは逆に|±d|が大きい程、Nλ値は増加する傾向にある。
(数48)も同様である。
置き換えればよい。
を計算してPHD,AMRの具体的な式を求めることができる。
sinまたはcosの形である。
全てが2倍されている。
θ1、θ2、θ3は同等に表れており、δ1、δ2、δ3とは分離されている。
θ1、θ2、θ3の和や差のみで、これ等の積や商は表れていない。
θ1、θ2、θ3には波長依存性はない。
θi→θi+180度
θi→θi−180度
θi→−θi+90度
θi→−θi−90度
例えば、θi→−θi−90度の意味は以下の通りある。
θiを(数25)のθ0とする。−θiは(数38)の−θ0となる。この6個の全ての要素に90度を引いた角度が−θi−90度である。この角度を使用したPHD、AMRの全波長依存性のグラフは図6と同一となる。
θi→−θiの変換では図36に示すようにAMRの全波長依存性は変わらない。一方、PHDの全波長依存性はPHD→PHD−1へと変わる。図36は−θ0,D0を使用してPHDとAMRの全波長域特性を表したグラフである。図36においてPHDの目盛は−1〜0である。以下の4つの変換でも図36と同一のグラフとなる。
θi→−θi+180度
θi→−θi−180度
θi→θi+90度
θi→θi−90度
PHD=0.5は左回り(反時計周り)円偏光でPHD=−0.5は右回り(時計周り)偏光である。円偏光の回転の方向を上記角度の変換に対して変えることが可能であることを示している。
一方、(実施例11)〜(実施例13)の変換ではcosとsinが逆転し(数50),(数51),(数53),(数54)の形が変わってしまう。図37,図38,図39において、全波長域の内、この部分のみにPHDがそれぞれ1、−1、0に近い領域が現れ、またAMRのグラフは変換前と全く異なるのも、これが要因と考えられ、(数46)〜(数57)から予測できるものではない。
この表の1列目にはθiまたは−θiに定数値を加えた、または減じた12個(合計12行)のパターンが記されている。この内、θiに数値を加減したパターンが7個(合計7行)で、また−θiに数値を加減したパターンが5個(合計5行)ある。
この表の2列目には、PHDの特性が示されている。1列目の12個のパターンにおいて、PHD特性が共通のものは、まとめて1つとして表示した。
この表の3列目には、AMRの特性が示されている。1列目の12個のパターンにおいてAMR特性が共通のものは、まとめて1つとして表示した。1列目の6個のパターンのAMRをまとめてAMR(θi)としてあるのは、この6個の変換のどれをとっても、AMRの全波長域特性グラフがθiを用いたグラフと同じになるという意味である。AMR(θi−45度)についても同様の意味である。
0度(1/4波長板:左回り円偏光)→45度(1/2波長板)→90度(1/4波長板:右回り円偏光)→135度(1/2波長板)→180度(1/4波長板:左回り円偏光)→225度(1/2波長板)→270度(1/4波長板:右回り円偏光)→315度(1/2波長板)
のように、波長板としての機能が変化する。
0度(1/4波長板:右回り円偏光)→45度(1/1波長板)→90度(1/4波長板:左回り円偏光)→135度(1/1波長板)→180度(1/4波長板:右回り円偏光)→225度(1/1波長板)→270度(1/4波長板:左回り円偏光)→315度(1/1波長板)
のように、波長板としての機能が変化する。
−θiで作製した6枚水晶板は全体回転をしていくと1/4波長板と1/1波長板(1/2波長板に近い効果)が交互に現れる。また右回り円偏光と左回り円偏光が交互に現れる。
θ0、D0(=D(1))で作製した6枚水晶板や−θ0、D0(=D(1))で作製した6枚水晶板以外にも多数存在することは、(実施例3)〜(実施例9)の考察等からわかる。(実施例10)〜(実施例13)の例に限らず、全体回転前、広帯域にPHD〜0.5またはPHD〜−0.5が現れる6枚水晶板であれば、全体回転することにより波長板としての機能が(0214),(0215)のように変化する波長板であるものは他多数存在すると言える。
2種類のφの選択は、正負2種類に限らず無限通り存在する。正負2種類のφ以外の選択例として20度と0度、−20度と0度、10度と0度、−10度と0度の場合を例にとり解析した。さらに正負2種類の個別厚さ寸法パラメータdμmも変えた場合の一例として、φが20度と0度で、±dのうち+dはそのままで−dの代わりに0μmとした場合と、φが−10度と0度で、±dのうち+dはそのままで−dの代わりに0μmとした場合を解析した。これらの解析において全厚さ寸法パラメータu=1とした。
図41(a)はφ=20度、0度とした歩留まりグラフ
図41(b)はφ=−20度、0度とした歩留まりグラフ
図42(a)はφ=10度、0度とした歩留まりグラフ
図42(b)はφ=−10度、0度とした歩留まりグラフ
図43(a)はφ=20度、0度でd=+dμm,0μmとした歩留まりグラフ
図43(b)はφ=−10度、0度でd=+dμm,0μmとした歩留まりグラフ
である。また
図44(a)はφ=20度、0度としたTλのグラフ
図44(b)はφ=−20度、0度としたTλのグラフ
図45(a)はφ=10度、0度としたTλのグラフ
図45(b)はφ=−10度、0度としたTλのグラフ
図46(a)はφ=20度、0度でd=+dμm,0μmとしたTλのグラフ
図46(b)はφ=−10度、0度でd=+dμm,0μmとしたTλのグラフ
である。
および±φの合計波長帯域Tλのグラフである図14(b)、図30(a)、図30(b)のグラフと比較してみる。これら6個のグラフでも当然相違は見られ、定性的ではあるが、これらの相違と比較して、(例えば歩留まりやTλの値が全体として30%とか10%位に減じてしまうなど)劇的に図41〜図46が変化しているわけではないことがわかる。
取り出して、uごとに配列させた表である。
図4(a)の水晶板1(回転角度θ1(rad),厚さD1)が薄いため、2枚の厚い水晶板11,水晶板12で作製するものとする。それぞれの回転角度をθ11,θ12とし、厚さはD11,D12とする。図4(a)において水晶板11は水晶板12より手前にあり、直線偏光は水晶板11に入射後、水晶板12に入射するものとする。
水晶板11の回転角度は水晶板の回転角度に等しく(θ11=θ1)、水晶板12の回転角度はさらに90度回転した値とする(θ12=θ1+π/2)。水晶板11の厚さをLとし(D11=L)、水晶板12の厚さは水晶板11の厚さより水晶板1の厚さ分だけ薄い(D12=L−D1)ものとする。
例えば既に市販されている可視域を含む1/4波長板と比較して、紫外域から赤外域まで及ぶ、帯域幅が3〜4倍程度に達する336nm〜2086nm(帯域幅1750nm)なる1/4波長板、また帯域が636nm〜3736nm(帯域幅3100nm)、2686nm〜5786nm(帯域幅3100nm)等の1/4波長板も本発明の中にある。また広帯域1/4波長板の中には全体回転させていくだけで、広帯域1/2波長板に近い特性が現れるものも存在する。
このような1/4波長板は様々な応用分野に広がっていく可能性がある。
ランダム偏光を1つの直線偏光に変換するグラントムソンプリズムにおいては、例えば190〜1900nmや350〜2300nmの広帯域グラントムソンプリズムが既に知られている。こうしたプリズムと併用して本発明の波長板を使用することにより、広帯域の分光分析装置または分光計測装置に適用でき、極少数または1つの波長板で実現可能となる。
2 足
3 水平板
4 直線偏光
5 水晶板1
6 水晶板2
7 水晶板6
Claims (3)
- 全厚さ寸法パラメータuを0.05≦u≦10の範囲とし、個別厚さ寸法パラメータd(μm)を−28/u≦d≦28/uの範囲とし、個別回転角度パラメータφ(度)を−20≦φ≦20の範囲とし、基準回転角度θ0b(度)である(0,−21,87,−8,−27,37)の6個の各要素のそれぞれに、異なる、または同一のφを加算した回転角度を有し、初期値厚さ寸法D0(μm)である(30,60,58,28,30,75)の6個の各要素を同一のuで割った6個の各要素のそれぞれに、異なる、または同一のdを加算した厚さである6枚水晶板。
- 全厚さ寸法パラメータuを0.05≦u≦10の範囲とし、個別厚さ寸法パラメータd(μm)を−28/u≦d≦28/uの範囲とし、個別回転角度パラメータφ(度)を−20≦φ≦20の範囲とし、基準回転角度−θ0b(度)である(0,21,−87,8,27,−37)の6個の各要素のそれぞれに、異なる、または同一のφを加算した回転角度を有し、初期値厚さ寸法D0(μm)である(30,60,58,28,30,75)の6個の各要素を同一のuで割った6個の各要素のそれぞれに、異なる、または同一のdを加算した厚さである6枚水晶板。
- 請求項1または請求項2記載の6枚水晶板を備えた光学装置。
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