JP2007322300A - 加速度センサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加速度センサが、第2の構造体の底面に基体を接合して、第1の構造体、前記第2の構造体、および基体を含む接合部材を形成するステップと、凝固点が0℃より高いシリコーンオイル又はこれを主成分とする高分子系凝固剤を、前記接合部材の内部に充填させるステップと、前記充填された高分子系凝固剤を冷却して固化させるステップと、前記第1、第2の構造体が作成された領域に対応して前記接合部材を切断し、前記固化された高分子系凝固剤が充填された接合部材の切片を形成するステップと、前記固化した前記高分子系凝固剤を液化又は昇華させて、前記切片内から除去するステップと、を有する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、ダイシング時の切屑が、加速度センサ内の重量部の変位を可能とする空間に入ってしまうと洗浄が困難で、加速度の検出が阻害されるおそれがあり、その結果、加速度センサの製造歩留まりが低下する可能性があることが判った。また、ダイシング時に吹き付ける水等の圧力により、梁部(接続部)が損傷してしまい加速度センサの製造歩留まりが低下する可能性があることも判った。
上記に鑑み、本発明は製造歩留まりの向上を図った加速度センサの製造方法を提供することを目的とする。
図1は本発明の一実施形態に係る加速度センサ100を表す斜視図である。また、図2は加速度センサ100を分解した状態を表す分解斜視図である。図3は、加速度センサ100を図1のA−Aに沿って切断した状態を表す一部断面図である。なお、見やすさを考慮し、図1〜図3において第1の構造体110上の配線の図示を省略している。
第1の構造体110、接合部120、第2の構造体130、基体140は、その外周が例えば、1mmの辺の略正方形状であり、これらの高さはそれぞれ、例えば、3〜12μm、0.5〜3μm、600〜725μm、600μmである。
第1の構造体110、接合部120、第2の構造体130はそれぞれ、シリコン、酸化シリコン、シリコンから構成可能であり、シリコン/酸化シリコン/シリコンの3層構造をなすSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて製造可能である。また、基体140は、例えば、ガラス材料で構成できる。
変位部112は、外周が略正方形の基板であり、固定部111の開口の中央近傍に配置される。
接続部(梁)113a〜113dは略長方形の基板であり、固定部111と変位部112とを4方向(X正方向、X負方向、Y正方向、Y負方向)で接続する。
接続部113a〜113d上に、12個のピエゾ抵抗素子R(Rx1〜Rx4、Ry1〜Ry4、Rz1〜Rz4)が配置されている。このピエゾ抵抗素子Rは、抵抗の変化として接続部113a〜113dの撓み(あるいは、歪み)、ひいては変位部112の変位を検出するためのものである。なお、この詳細は後述する。
重量部132は、質量を有し、加速度によって力を受ける重錘、あるいは作用体として機能する。即ち、加速度が印加されると、重量部132の重心に力が作用する。
重量部132は、略直方体形状の重量部132a〜132eに区分される。中心に配置された重量部132aに4方向から重量部132b〜132eが接続され、全体として一体的に変位(移動、回転)が可能となっている。即ち、重量部132aは、重量部132b〜132eを接続する接続部として機能する。
突出部134は、台座131と一体的に構成され、外周、内周が共に略正方形の枠形状の基板である。突出部134の外周は、台座131の外周と一致し、突出部134の内周は、台座131の内周より大きい。
なお、接合部121、122は、シリコン酸化膜をエッチングすることで構成可能である。
基体140は、例えば、ガラス材料からなり、略直方体の外形を有する。
基体140と突出部134は、例えば、陽極接合によって接続される。基体140と突出部134とを接触させて加熱した状態で、これらの間に電圧を印加することで、接合がなされる。
突出部134の下面に対応する領域には、接合防止層141が配置されない。接合防止層141の構成材料として、例えば、Crを用いることができる。
加速度センサ100による加速度の検出の原理を説明する。既述のように、接続部113a〜113dには、合計12個のピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4、Ry1〜Ry4、Rz1〜Rz4が配置されている。
これら各ピエゾ抵抗素子は、シリコンからなる接続部113a〜113dの上面付近に形成されたP型もしくはN型の不純物ドープ領域によって構成できる。
なお、ピエゾ抵抗素子Rx1〜Rx4、Rz1〜Rz4は、接続部113a〜113dによって配置が異なる。これはピエゾ抵抗素子Rによる接続部113a〜113dの撓みの検出をより高精度化するためである。
例えば、接続部113a〜113dの構成材料の結晶面指数が{100}で、ピエゾ抵抗素子Rの長手方向での結晶方向が<110>の場合を考える。ここで、各ピエゾ抵抗素子RがシリコンへのP型不純物ドープによって構成されているとする。このときには、ピエゾ抵抗素子Rの長手方向での抵抗値は、伸び方向の応力が作用したときには増加し、縮み方向の応力が作用した場合には減少する。
なお、ピエゾ抵抗素子RをシリコンへのN型不純物ドープによって構成した場合には、抵抗値の増減が逆になる。
Vx_out/Vx_in=
[Rx4/(Rx1+Rx4)−Rx3/(Rx2+Rx3)] ……式(1)
Vy_out/Vy_in=
[Ry4/(Ry1+Ry4)−Ry3/(Ry2+Ry3)] ……式(2)
Vz_out/Vz_in=
[Rz3/(Rz1+Rz3)−Rz4/(Rz2+Rz4)] ……式(3)
加速度センサ100の作成工程につき説明する。
図5は、加速度センサ100の作成手順の一例を表すフロー図である。また、図6A〜図6Nは、図3に対応し、図5の作成手順における加速度センサ100の状態を表す断面図である。
図6Aに示すように、第1、第2、第3の層11、12、13の3層を積層してなる半導体基板Wを用意する。
なお、ここでは第1の層11と第3の層13とを同一材料(シリコン)によって構成するものとするが、第1、第2、第3の層11、12、13のすべてを異なる材料によって構成しても良い。
第1の層11をエッチングすることにより、開口部115を形成し、第1の構造体110を形成する。即ち、第1の層11に対して浸食性を有し、第2の層12に対して浸食性を有しないエッチング方法を用いて、第1の層11の所定領域(開口部115)に対して、第2の層12の上面が露出するまで厚み方向にエッチングする。
図6Bは、第1の層11に対して、上述のようなエッチングを行い、第1の構造体110を形成した状態を示す。
第2の構造体130は2段階に区分して作成される。
1)突出部134の形成(図6C)
第3の層13の下面に、突出部134に対応するパターンをもったレジスト層を形成し、このレジスト層で覆われていない露出部分を垂直上方へと浸食させる。この結果、第3の層13の下面に窪み(凹部)21が形成される。この窪み21の外周が突出部134である。
第3の層13の窪み21をさらにエッチングすることにより、開口部133を形成し、第2の構造体130を形成する。即ち、第3の層13に対して浸食性を有し、第2の層12に対して浸食性を有しないエッチング方法により、第3の層13の所定領域(開口部133)に対して、第2の層12の下面が露出するまで厚み方向へのエッチングを行う。
第2の層12をエッチングすることにより、接合部120を形成する。即ち、第2の層12に対しては浸食性を有し、第1の層11および第3の層13に対しては浸食性を有しないエッチング方法により、第2の層12に対して、その露出部分から厚み方向および層方向にエッチングする。
第1の条件は、各層の厚み方向への方向性を持つことである。第2の条件は、シリコン層に対しては浸食性を有するが、酸化シリコン層に対しては浸食性を有しないことである。第1の条件は、所定寸法をもった開口部や溝を形成するために必要な条件であり、第2の条件は、酸化シリコンからなる第2の層12を、エッチングストッパ層として利用するために必要な条件である。
この方法では、材料層を厚み方向に浸食しながら掘り進むエッチング段階と、掘った穴の側面にポリマーの壁を形成するデポジション段階と、を交互に繰り返す。掘り進んだ穴の側面は、順次ポリマーの壁が形成されて保護されるため、ほぼ厚み方向にのみ浸食を進ませることが可能になる。
第1の条件は、不要な部分に酸化シリコン層が残存して重量部132の変位の自由度を妨げることがないようにするために必要な条件である。第2の条件は、既に所定形状への加工が完了しているシリコンからなる第1の構造体110や第2の構造体130に浸食が及ばないようにするために必要な条件である。
1)基体140への接合防止層141の形成(図6F)
基体140に接合防止層141を形成する。例えば、スパッタリングによって、基体140の上面にCrの層を形成する。さらに、レジストをマスクとするエッチングにより、突出部134の下面に対応するように、この層の外周を除去する。突出部134と基体140との接合を確保しつつ、重量部132と基体140との接合を防止するためである。
半導体基板Wと基体140とを接合する。基体140と突出部134それぞれの構成材料がガラスおよびSiの場合、陽極接合(静電接合ともいう)が可能となる。
基体140と突出部134とを接触させて加熱した状態で、これらの間に電圧を印加する。加熱によって基体140のガラスが軟化する。また、ガラス中に含まれる可動イオン(例えば、Naイオン)の移動によって、基体140のガラスにナトリウム欠乏層が生成される。具体的には、可動イオンがガラス中を接合面と反対方向に移動してガラス表面に析出し、ガラス中の接合面近傍にナトリウム欠乏層が生成される。この結果、基体140と突出部134間に電気的二重層が発生し、その静電引力によりこれらが接合される。
このとき、接合防止層141が、基体140と重量部132間でのイオンの移動を制限する。この結果、基体140と重量部132間での接合が防止される。
1)基体140の底面にダイシングパッド22を接続する(図6H)。ダイシングパッド22は、粘着性を有するフィルムであり、半導体基板Wおよび基体140をダイシングして加速度センサ100を切り出すときに、加速度センサ100を固定するためのものである。なお、ダイシングパッド22の表面には、紫外線を照射することで、粘着性が低減される粘着材が塗布されている。
図6Hは、加速度センサ100が複数形成された半導体基板Wおよび基体140にダイシングパッド21を接続した状態を表す模式図である。
例えば23℃で、液状の高分子系凝固剤23を半導体基板Wおよび基体140に滴下し、少なくとも、半導体基板Wおよび基体140の内部、具体的には、重量部132と台座131との間、重量部132と基体140との間、及び接続部113a〜113dと基体140との間に介在させる(図6I)。
前記高分子系凝固剤は、半導体基板Wおよび基体140の内部のみならず、表面上にも充填されることが好ましい。ダイシング時の切屑が、加速度センサ100内(半導体基板Wおよび基体140の内部)に入ることをより確実に防止でき、また、ダイシング時に吹き付ける水等の圧力により、接続部113a〜113d(梁部)が損傷することもより確実に防止できるからである。
後述する冷却による固化が容易なため、高分子系凝固剤23の凝固点は、水(0℃)よりも高いことが好ましい。また、高分子系凝固剤23の滴下が容易であるため、凝固点が常温付近であることがさらに好ましい。
冷却手段は、特に限定されるものではなく、例えば、ステージ27内部に流体通路(図示せず)を形成し、この流体通路に例えば0℃に近い水等の冷却媒体を流通させて、高分子系凝固剤23を凝固点以下まで冷却することができる。
ダイシング後、ダイシング装置から半導体基板Wおよび基体140を取り出し、例えば0℃に近い水等で、ダイシング時の切屑を洗い流し、半導体基板Wおよび基体140を洗浄する。
高分子系凝固剤23を液化又は昇華させて除去する(図6L)。
この高分子系凝固剤23の液化又は昇華は、例えば、a.半導体基板Wおよび基体140を加熱プレートに載せて、例えば100℃に加熱して液化させる、b.例えば23℃で、N2ガス等を吹き付けて昇華させる、c.例えば23℃で、真空引きして昇華させる等により可能である。これらの方法によって、容易かつ短時間に高分子系凝固剤23を加速度センサ100内から除去することができる。
突き出しピン24で基体140の下面を押して、加速度センサ100(切片)を基板Wから持ち上げ、真空チャック25の吸引口26で吸引する(図6M、図6N)。このとき、ダイシングパッド22の粘着剤に紫外線(UV)を照射して、その粘着性を低減し、加速度センサ100がダイシングパッド22から容易に離間されるようにする。なお、真空チャック25で吸引せずに、ロボット等によって加速度センサ100(切片)を拾い上げてもよい。
また、本実施の形態で使用した高分子凝固剤23は、凍結に要する時間が極めて短い。また、高分子系凝固剤23の凝固点よりも高い温度にして、高分子系凝固剤23を固相から液相等の状態にすることにより、容易かつ短時間に高分子系凝固剤23を加速度センサ100内から除去することができる。そのため、能率的な加速度センサ100の製造が可能である。
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
110 第1の構造体
111 固定部
112 変位部
113a〜113d 接続部
115 開口部
120 接合部
121 接合部
122 接合部
130 第2の構造体
131 台座
132(132a-133e) 重量部
133 開口部
134 突出部
140 基体
141 接合防止層
Rx1-Rx4,Ry1-Ry4,Rz1-Rz4 ピエゾ抵抗素子
22 ダイシングパッド
23 高分子系凝固剤
24 突き出しピン
25 真空チャック
26 吸引口
27 ステージ
Claims (5)
- 第1の半導体材料からなる第1の層、酸化物からなる第2の層、および第2の半導体材料からなる第3の層が順に積層されてなる半導体基板の前記第1の層をエッチングして、開口を有する固定部と、この開口内に配置され、かつ前記固定部に対して変位する変位部と、前記固定部と前記変位部とを接続する接続部と、を有する第1の構造体を形成するステップと、
前記第3の層をエッチングして、前記変位部に接合される重量部と、前記重量部を囲んで配置され、かつ前記固定部に接合される台座と、を有する第2の構造体を形成するステップと、
前記第2の構造体の底面に基体を接合して、前記第1、第2の構造体、および基体を含む接合部材を形成するステップと、
凝固点が0℃より高いシリコーンオイル又はこれを主成分とする高分子系凝固剤を、前記接合部材の内部に充填させるステップと、
前記充填された高分子系凝固剤を冷却して固化させるステップと、
前記第1、第2の構造体が作成された領域に対応して前記接合部材を切断し、前記固化された高分子系凝固剤が充填された接合部材の切片を形成するステップと、
前記固化した前記高分子系凝固剤を液化又は昇華させて、前記切片内から除去するステップと、
を有することを特徴とする加速度センサの製造方法。 - 前記基体の底面に粘着性の膜を貼り付けるステップと、
前記領域に対応するように前記膜の底面を押圧して、前記切片を押し出すステップと、
前記押し出された切片を吸引する又は拾い上げるステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の加速度センサの製造方法。 - 前記高分子系凝固剤を充填させるステップにおいて、前記接合部材の内部及び表面上に前記高分子系凝固剤が充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度センサの製造方法。
- 前記接合部材の内部が、少なくとも、前記重量部と前記台座との間、前記重量部と前記基体との間、及び前記接続部と前記基体との間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加速度センサの製造方法。
- 前記第1、第2の半導体材料がいずれもシリコンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加速度センサの製造方法。
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