JP2007321461A - 作業用車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】過電流が流れている状態が所定の時間継続したことを検出したときは、電動モータの作動を停止するように構成された作業用車両を提供する。
【解決手段】油圧アクチュエータ20により作動するクローラ型パワーショベル車1を、油圧アクチュエータ20に作動油を供給する油圧ポンプ32を駆動する電動モータ31と、直流電力を供給するバッテリー50と、バッテリー50の直流電力を交流電力に変換して供給することにより、電動モータ31を作動させるインバータ41と、インバータ41により電動モータ31の作動を制御する制御コントローラ40と、バッテリー50からインバータ41に流れ込む負荷電流の大きさを検出する電圧・電流センサ42とから構成し、制御コントローラ40が、電圧・電流センサ42から検出された負荷電流の大きさが、所定の時間継続して所定の閾値を超えたときに、電動モータ31を停止させるように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、バッテリーで駆動される電動モータを動力源とする作業用車両に関し、特に詳細には、この電動モータにより駆動される油圧ポンプから供給される作動油により作動する作業用車両に関する。
従来の作業用車両の動力源はエンジンが主流である。しかし、地下の建設現場のように、周囲環境との関係でエンジンを使用できない現場では、電動モータを駆動源として搭載した建設機械が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この電動モータの電源としては、商用電源や、建設機械に搭載され商用電源により充電されるバッテリーが用いられる。また、このような電動モータの作動はインバータにより制御される。
特開2004−225355号公報
しかしながら、この電動モータに負荷がかかると、バッテリーからインバータに流れ込む負荷電流が増大するが、過負荷の状態が継続するとインバータに過電流が流れ込んで発熱し、このインバータの保護回路(発熱により内部回路が壊れることを防止するための保護手段)が作動して停止してしまう。インバータが発熱により停止すると、所定の閾値より低い温度になるまで、このインバータを再起動することができず、結果として、この作業用車両を利用することができなくなる時間が発生するという課題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、インバータに過電流が流れている状態が所定の時間継続したことを検出したときは、電動モータの作動を停止するように構成された作業用車両を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る作業用車両(例えば、実施形態におけるクローラ型パワーショベル車1)は、油圧アクチュエータにより作動するものであり、この油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを駆動する電動モータと、直流電力を供給するバッテリーと、バッテリーの直流電力を交流電力に変換して供給することにより、電動モータを作動させるインバータと、インバータにより電動モータの作動を制御する制御コントローラと、バッテリーからインバータに流れ込む負荷電流の大きさを検出する電流センサ(例えば、実施形態における電圧・電流センサ42)と、を有し、制御コントローラが、電流センサから検出された負荷電流の大きさが、所定の時間継続して所定の閾値を超えたときに、電動モータを停止させるように構成される。
本発明に係る作業用車両を以上のように構成すると、電動モータに大きな負荷がかかり、インバータに過電流が流れて発熱したとしても、このインバータが有する保護回路が作動する前に、すなわち、インバータが高温状態になり停止する前に、制御コントローラにより電動モータの作動が停止されるため、すぐにこの作業用車両を用いて作業を再開することができ、作業効率が向上する。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る作業用車両の一例として、クローラ型パワーショベル車1について図1を用いて説明する。なお、このパワーショベル車1は、地下等の比較的密閉された空間で使用されることを目的に、バッテリーからの電力を利用して作動するものである。このパワーショベル車1は、走行装置2を構成する走行台車4と、この走行台車4の後部に上下に揺動自在に設けられたブレード9と、走行台車4の上に旋回可能に設けられた旋回台11と、旋回台11の前部に枢結されたパワーショベル機構13と、旋回台11の上に設けられたオペレータキャビン15とを有している。
走行装置2は、略H型をなす走行台車4と、この走行台車4の左右に設けられた走行機構3とからなる。走行機構3は、走行台車4の左右の前部に設けられた駆動用スプロケットホイール5と、後部に設けられたアイドラホイール6(駆動用スプロケットホイール5とアイドラホイール6とを合わせて「クローラホイール」と呼ぶ場合がある)と、これら両ホイール5,6に掛け回されて駆動される左右一対の履帯7とからなる。なお、駆動用スプロケットホイール5の各々は、図示しない左右の走行モータ(油圧モータ)により駆動され、このパワーショベル車1を走行させることができる。また、旋回台11は、図示しない旋回モータ(油圧モータ)により走行台車4に対して旋回動させることができる。
パワーショベル機構13は、旋回台11の前部に起伏動自在に枢結されたブーム16、ブーム16の先端部にこのブーム16の起伏面内で上下に揺動自在に枢結されたアーム17、および、このアーム17の先端に上下に揺動自在に枢結されたバケット18から構成される。ブーム16は、ブームシリンダ21により起伏動され、アーム17は、アームシリンダ22により揺動され、バケット18は、バケットシリンダ23により揺動される。なお、このようなシリンダや上述した走行モータおよび旋回モータは、図2に示すように、油圧ユニット30から供給される作動油により駆動されるため、以降の説明においては、これらをまとめて「油圧アクチュエータ20」と呼ぶ。また、このパワーショベル機構13の操作は、オペレータキャビン15内に設けられた操作装置14により行われる。
油圧ユニット30は、電動モータ31、この電動モータ31により駆動されて所定油圧・流量の作動油を吐出する油圧ポンプ32、作動油を溜めるタンク33、油圧ポンプ32から吐出される作動油を操作装置14の操作に応じた供給方向および供給量で油圧アクチュエータ20に供給制御するコントロールバルブ(電磁比例弁)34、並びに、温度上昇した作動油を冷却するオイルクーラ35等から構成される。なお、操作装置14から出力される操作信号は、後述する制御コントローラ40に入力され、この制御コントローラ40が操作信号に応じた指令信号をコントロールバルブ34に出力してこのコントロールバルブ34の作動を制御するように構成されている。
ここで、本実施例においては、油圧ポンプ32は、3台のポンプ32a〜32cから構成され、この3台のポンプ32a〜32cが電動モータ31により同時に駆動される。例えば、第1ポンプ32aは右駆動用スプロケットホイール5を駆動するアクチュエータとブーム16を駆動するブームシリンダ21に作動油を供給し、第2ポンプ32bは左駆動用スプロケットホイール5を駆動するアクチュエータ、アーム17を駆動するアームシリンダ22およびバケット18を駆動するバケットシリンダ23に作動油を供給し、第3ポンプ32cは旋回台11を旋回させる旋回モータおよびブレード9を駆動するアクチュエータに作動油を供給するように構成されている。また、電動モータ31は、バッテリー50から供給される直流電力を、インバータ41で所定の電圧および周波数を有する交流電力に変換して供給することにより駆動される。なお、このような電動モータ31としては、例えばIPM(Interior Permanent Magnetic)モータ等が用いられる。
以上のように、このパワーショベル車1は、コントロールバルブ34およびインバータ41を制御することにより供給される作動油を用いて駆動されるが、これらの作動は制御コントローラ40により制御される。なお、コントロールバルブ34およびインバータ41の作動を制御するために、油圧センサ36(36a〜36c)により油圧ポンプ32を構成するポンプ32a〜32cの各々の吐出油圧が測定されるように構成されており、検出値は制御コントローラ40に入力される。また、バッテリー50とインバータ41との間にこのバッテリー50の出力電圧Voとインバータ41に流れる負荷電流Ioを測定するために、電圧・電流センサ42が設けられており、検出値は制御コントローラ40に入力される。また、インバータ41から電動モータ31に印加される電圧値(これを以降の説明では「アクセル量」と呼ぶ)をオペレータが設定するために、オペレータキャビン15内にはアクセル量設定スイッチ24が設けられており、設定値は制御コントローラ40に入力される。
それでは、この制御コントローラ40による電動モータ31の制御について説明する。上述のように、操作装置14の操作量に応じてこの操作装置14から操作信号が出力され、制御コントローラ40は、操作信号に応じてコントロールバルブ34に指令信号を出力して油圧アクチュエータ20の作動を制御する。そのため、油圧アクチュエータ20に作動油を供給してパワーショベル車1を駆動させているときは、電動モータ31を高速で回転させて油圧ポンプ32から作動油を供給し、反対に、油圧アクチュエータ20が停止しているときは、電動モータ31は低速で回転させることで、バッテリー50の電力消費を抑えるように構成されている。
ここで、図3に示すように、電動モータ31にかかる負荷の大きさに応じて、電動モータ31に印加される電圧Viとモータ効率の関係は変化するため、本実施例においては、パワーショベル車1の作業状況に応じて、オペレータがアクセル量設定スイッチ24により3段階(L,M,H)のアクセル量(電動モータ31に印加される電圧値)を選択できるようになっている。すなわち、軽負荷の状態でモータ効率が最も良くなる印加電圧V1の付近で電動モータ31を回転させるアクセル量L、中負荷の状態でモータ効率が最も良くなる印加電圧V2の付近で電動モータ31を回転させるアクセル量M、および、重負荷の状態でモータ効率が最も良くなる印加電圧V3の付近で電動モータ31を回転させるアクセル量Hを選択可能に構成されている。
一方、電動モータ31の回転数と負荷(出力トルク)の関係において検討すると、図4に示すように、回転数が低いときは電動モータ31の効率は悪く、回転数が高くなると効率が良くなる特性を有している。特に、定格負荷(出力トルク100%)で、定格回転数で運転したときがもっとも効率が良くなる特性を有している。そこで、制御コントローラ40は、図5に示すように、アクセル量設定スイッチ24により選択されたアクセル量(L,M,H)に応じて電動モータ31の最低回転数RL,RM,RHを設定し、電動モータ31の負荷変動(負荷電流Ioの変化)に応じて、この回転数を上昇させるように構成されている(以降の説明では、この回転数の上昇量を「加速量ΔRL,ΔRM,ΔRL」と呼ぶ)。
また、無操作状態のとき(操作装置14から操作信号が出力されていない状態のとき)は、電動モータ31を効率の良い高回転で回転させなくても、負荷電流Ioが小さくなる低回転で作動させた方がバッテリー50の消費電力を抑えることができる。そのため、アクセル量設定スイッチ24によりどのアクセル量が選択されていたとしても、制御コントローラ40は、無操作状態が所定の時間継続したと判断すると、電動モータ31をアイドリング回転数RI(但し、RI<RL<RM<RH)となるように制御する(アイドリング回転数RIをインバータ41に指令する)。もちろん、この状態で操作装置14が操作されると、上述の最低回転数RL,RM,RHおよび加速量ΔRL,ΔRM,ΔRLがインバータ41に指令される。
例えば、図5の場合、最高回転数RMAXが2400rpmの電動モータ31に対して、Lモードのときの最低回転数RLを1400rpmとし、Mモードのときの最低回転数RMを1700rpmとし、Hモードのときの最低回転数RHを2000rpmとし、アイドル回転数RIを500rpmとした場合を示している。なお、Lモードのときの加速量ΔRLは、電動モータ31の回転数がMモードのときの最低回転数RMを超えない範囲で制御され、Mモードのときの加速量ΔRMは、Hモードのときの最低回転数RHを超えない範囲で制御され、Hモードのときの加速量ΔRHは、最高回転数RMAXを超えない範囲で制御される。
それでは、制御コントローラ40による電動モータ31の作動の制御について図6を用いて説明する。なお、制御コントローラ40は、インバータ41に電動モータ31の回転数と印加電圧を指令し、インバータ41がこの指令値に基づいた交流電力を電動モータ31に供給して作動を制御する。
このパワーショベル車1のメインスイッチがオンされて起動されると、制御コントローラ40はモータ制御S100を開始する。このモータ制御S100において、制御コントローラ40は、まず操作装置14から出力される操作信号を監視し、運転操作がされたか否かを判断する(S101)。ステップS101で運転操作がされたと判断したときは、制御コントローラ40は、次に負荷電流Ioを監視し、負荷変動があるか否かを判断し(S102)、負荷変動があると判断したときは、選択されているアクセル量に応じた加速量を算出してその結果を設定し(S103)、負荷変動がないと判断したときは、加速量を0に設定する(S104)。そして、制御コントローラ40は、設定された加速量(ΔRL、ΔRM、若しくは、ΔRH)とアクセル量に対応した最低回転数(RL、RM、若しくは、RH)の和を電動モータ31の回転数として、また、設定されたアクセル量に応じた電圧値を電動モータ31に印加される電圧値としてインバータ41に指令し(ステップS105)、ステップS101に戻る。
一方、ステップS101で運転操作がされていないと判断したときは、制御コントローラ40は、一定時間無操作状態が継続したか否かを判断する(ステップS106)。制御コントローラ40は、ステップS106で無操作状態が一定時間継続したと判断したときは、アイドリング回転数RIを電動モータ31の回転数として、また、設定されたアクセル量に応じた電圧値を電動モータ31に印加される電圧値としてインバータ41に指令し(ステップS107)、ステップS101に戻り、無操作状態が一定時間継続していないと判断したときは、そのままステップS101に戻る。
ここで、ステップS103における加速量ΔRL,ΔRM,ΔRHの算出方法であるが、現在設定されているアクセル量(L,M,H)、第1〜第3ポンプ32a〜32cの吐出油圧P1〜P3、インバータ41に流れ込む負荷電流I0、および、バッテリー50の出力電圧V0をパラメータとして算出される。なお、この加速量の算出は、これらのパラメータに対応した表を予め制御コントローラ40に設定しておいてこの表から求めるように構成しても良いし、制御コントローラ40で所定の計算式にこれらのパラメータを当てはめて算出するように構成しても良い。
このように、一定時間無操作状態が継続した場合は、油圧ポンプ32から油圧アクチュエータ20に作動油を供給する必要はなく、通常の運転時よりも遅いアイドル回転数RIで電動モータ31を回すことにより、バッテリー50の電力消費を抑えることができる。また、電動モータ31にかかる負荷に応じて、アクセル量設定スイッチ24によりアクセル量を設定できるため、電動モータ31を効率良く運転することができ、バッテリー50の電力を有効に利用することができる。なお、電動モータ31の応答速度はエンジンと比較して非常に大きいので、負荷電流からこの電動モータ31にかかる負荷を判断して最適な回転数になるように制御コントローラ40で制御することが可能である。そのため、リアルタイムで電動モータ31の回転数を変化させても応答速度が速いので油圧ポンプ32の油圧変動を感じることはほとんどない。
ところで、制御コントローラ40は、操作装置14の操作に応じてコントロールバルブ34を開閉する制御を行うと同時に、電動モータ31の回転速度を加速若しくは減速する制御を行うように構成されている。例えば、図7に示すように、このパワーショベル車1の走行中に、時刻t1において操作装置14を操作して加速し、時刻t2において減速した場合に、制御コントローラ40はコントロールバルブ34(走行モータに作動油を供給するコントロールバルブ)と電動モータ31との両方を制御する。すなわち、パワーショベル車1の加減速操作に対応した作動油を油圧アクチュエータ20に供給するとともに、この作動に必要な作動油を油圧ポンプ32から供給するためである。図7の場合、制御コントローラ40は、操作装置14からの操作信号が加速側に増加すると(時刻t1)、コントロールバルブ34の開度を大きくすると同時に、電動モータ31の回転数を加速して供給される作動油の量を増加させる。また、操作装置14からの操作信号が減速側に減少すると(時刻t2)、コントロールバルブ34の開度を小さくすると同時に、電動モータ31の回転数を減速して供給される作動油の量を減少させる。
このように、電動モータ31とコントロールバルブ34の作動を同時に行う場合、コントロールバルブ34の開度をステップ状に変化させると、このパワーショベル車1が急激に加減速する場合があり、操作性が悪化する。そのため、本実施例においては、制御コントローラ40は、電動モータ31の加減速とコントロールバルブ34の開閉を同時に行うときは(例えば、図7における時刻t1およびt2)、コントロールバルブ34の開閉作動をランプ出力とし、所定の時間で開閉作動するように制御する。これにより、油圧アクチュエータ20に供給される作動油の変化が緩やかになり、急激な動作の変化を防止することができる。
一方、図8に示すように、操作装置14の操作量に変化がなく、コントロールバルブ34の開度は変化しないが、負荷変動等により電動モータ31の速度を加速および減速する場合は、電動モータ31の加減速により、吐出油圧が増減して、油圧アクチュエータ20の速度も加減速してしまう場合がある。例えば、このパワーショベル車1を一定速度で走行させているときに、路面状態の悪い部分に入り、電動モータ31に流れる負荷電流Ioが増加した場合である。このような場合、制御コントローラ40は、電動モータ31の回転数を加速して作動油の供給量を増加させるが(図8における時刻t3)、同時にコントロールバルブ34の開度を所定の量だけ小さくすることにより、作動油の吐出量の増加がアクチュエータ20の作動に影響しないように制御する。同様に、路面状態が良い部分に入り、負荷電流Ioの減少に応じて電動モータ31の回転数を減速し、作動油の供給量を減少させるとき(図8の時刻t4)には、制御コントローラ40は、コントロールバルブ34の開度を所定の量だけ大きくすることにより、作動油の吐出量の減少が油圧アクチュエータ20の作動に影響しないように制御する。これにより、電動モータ31の回転数の変化による油圧ポンプ32から吐出される作動油量の変化が油圧アクチュエータ20の作動に影響を与えることを防止し、このパワーショベル車1の操作性を向上させることができる。
このパワーショベル車1において、電動モータ31に負荷がかかるとインバータ41に流れ込む負荷電流Ioが増加する。バッテリー50の充電量が多い場合に負荷電流Ioが増加しても出力電圧Voの変化は小さいが、バッテリー50の充電量が少ない場合に負荷電流Ioが増加すると、出力電圧Voの変化(出力電圧Voの低下量)は大きくなる。バッテリー50の大きな電圧変動が発生すると、電動モータ31のトルクの低下や回転ムラが発生する虞がある。また、バッテリー50の出力電圧Voが大きく低下すると、インバータ41が瞬時停電と判断して電動モータ31への出力を遮断する虞がある。
そのため、制御コントローラ40は、バッテリー50の出力電圧Voを監視しており、この出力電圧Voが所定の閾値より低下したときに、電動モータ31にかかる負荷を軽減してバッテリー50の出力電圧Voを安定させるように構成されている。例えば、電動モータ31に指令している回転数が低い場合は、回転数を増加させる指令をインバータ41に出力し、電動モータ31の回転数を増加させる。これにより、インバータ41に流れ込む負荷電流Ioが減少するため、出力電圧Voの変化も小さくすることができる。また、電動モータ31に指令している回転数が高い場合は、コントロールバルブ34の開度を小さくし、油圧ポンプ32の負荷を小さくするように制御する。これにより、電動モータ31にかかる負荷が減少し、それにより負荷電流Ioが減少するため出力電圧Voの変化を小さくすることができる。
以上説明したように、本実施例にかかるパワーショベル車1においては、オペレータがアクセル量、すなわち、電動モータ31に印加される電圧値をアクセル量設定スイッチ24により選択するように構成されている。また、このパワーショベル車1において、インバータ41は、制御コントローラ40から指令された電圧値に応じた電圧を電動モータ31に印加するとともに、この制御コントローラ40から指令された回転数になるように電動モータ31を制御する。そのため、たとえばアクセル量Lが選択されている状態で走行中に、スピンターンやピボットターンを行うと、電動モータ31にかかる負荷が増加し、電動モータ31の回転数を維持するためにインバータ41には過電流が流れる。インバータ41に過電流が流れる状態が継続すると、インバータ41は発熱し、このインバータ41の温度が所定の大きさを超えると保護回路が作動してインバータ41が停止してしまい、結果としてこのパワーショベル車1を作動させることができなくなる。
そのため、本実施例に係るパワーショベル車1においては、制御コントローラ40で負荷電流Ioを監視し、インバータ41の保護回路が作動する温度まで上昇しないように制御される。この制御コントローラ40の制御は、図9に示すように、負荷電流Ioを監視し、所定の時間、過電流状態が継続したことを検出すると(S200)、インバータ41を制御して電動モータ31を停止するとともに、オペレータキャビン15内に設けられた警報用パイロットランプ25を点灯し、オペレータに過電流で電動モータ31を停止させたことを警報する(S201)。オペレータキャビン15内には、リセットボタン26が設けられており、制御コントローラ40は電動モータ31を停止させると、リセットボタン26が押下されるのを待つ(S202)。そして、オペレータによりリセットボタン26が押下されたのを検出すると、インバータ41により電動モータ31を再起動し、このパワーショベル車1を作動可能にする(S203)。なお、この状態で、過電流で停止したときと同じ操作(たとえば、スピンターンやピボットターン)を行うと、同様に過電流が流れて電動モータ31の停止制御が作動するため、オペレータはアクセル量設定スイッチ24により、現在設定されている以上のアクセル量(MまたはH)を選択する必要がある。
このように、制御コントローラ40によりインバータ41に流れ込む負荷電流Ioを監視し、過電流状態が所定の時間継続したときに、電動モータ31を停止するように構成することにより、アクセル量設定スイッチ24による設定を誤って、インバータ41に過電流が流れたとしても、このインバータ41が発熱により停止することがなく、リセットボタン26の操作により、すぐにこのパワーショベル車1の作動を継続(再開)することができる。
本発明に係る作業用車両の一例であるクローラ型パワーショベル車の構成を示す斜視図である。 上記パワーショベル車に搭載される油圧ユニットおよび電源ユニットの構成を示すブロック図である。 電動モータに印加される電圧とモータ効率の関係を示すグラフである。 モータ回転数とモータ出力トルクから決定されるモータの効率を示すグラフである。 アクセル量と電動モータの回転数の関係を示す説明図である。 制御コントローラによる省電力のためのモータ制御の処理を示すフローチャートである。 操作装置を操作したときの電動モータ速度とコントロールバルブの開度の制御状態を示す説明図である。 負荷等により電動モータの速度が変化したときのコントロールバルブの開度の制御状態を示す説明図である。 制御コントローラによる過電流防止制御の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 クローラ型パワーショベル車(作業用車両)
20 油圧アクチュエータ
31 電動モータ
32 油圧ポンプ
40 制御コントローラ
41 インバータ
42 電圧・電流センサ(電流センサ)
50 バッテリー

Claims (1)

  1. 油圧アクチュエータにより作動する作業用車両であって、
    前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを駆動する電動モータと、
    直流電力を供給するバッテリーと、
    前記バッテリーの直流電力を交流電力に変換して供給することにより、前記電動モータを作動させるインバータと、
    前記インバータにより前記電動モータの作動を制御する制御コントローラと、
    前記バッテリーから前記インバータに流れ込む負荷電流の大きさを検出する電流センサと、を有し、
    前記制御コントローラが、前記電流センサから検出された負荷電流の大きさが、所定の時間継続して所定の閾値を超えたときに、前記電動モータを停止させるように構成された作業用車両。
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