JP5699155B2 - 旋回駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、旋回台を有して構成される作業機械等の旋回駆動制御装置に関し、さらに詳しくは電動モータおよび油圧モータを組み合わせて旋回駆動を行わせる構成の旋回駆動制御装置に関する。
電動モータで油圧ポンプを駆動させ、油圧ポンプから供給された作動油を用いて油圧アクチュエータを作動させる構成を有する作業機械が最近実用化されつつある。例えば、パワーショベルにこのような電気駆動装置を用いたものがある。油圧アクチュエータとしては油圧モータや油圧シリンダ等があるが、パワーショベルでは、これらの油圧アクチュエータ、すなわちブーム、アーム、バケット等を作動させる油圧シリンダ、及び走行、旋回等を行う油圧モータを作動させて走行、旋回、掘削等の各種作作動を行うようになっている。
このような作業機械として、例えば、特許文献1に記載のものがある。この作業機械は、油圧モータを駆動源とする油圧ユニットと、電動モータを駆動源とする電動ユニットとを備え、旋回時に電動ユニットにおいてコントローラとインバータが電動モータの駆動を制御し、その駆動トルクで油圧ユニットをアシストするようになっている。すなわち、電動ユニットが油圧ユニットをアシストする際には油圧モータと電動モータの両方により上部旋回体を旋回駆動させることが可能となっている。定常旋回時及び減速時には電動モータに回生作用を行わせるようになっており、回生電力を蓄電機に蓄えて発電機を不要にもしくは小さくすることができ、システムをシンプル化し且つコストダウンできるという効果を得ている。
特開2005−290882号公報
ところで、上述したような電動ユニットと油圧ユニットを用いた構成の従来の作業機械は、あくまで油圧ユニットを主として作動させる構成となっている。油圧ユニットを構成する油圧モータは、電動モータと比較して、大きな力が必要な作業には向いているものの低負荷の作業時には無駄にエネルギーを消費するという特性を有しており、その構成から見て回生エネルギーを取得しづらいと特性を有している。このことから分かるように、油圧モータは電動モータに比べて、省エネルギー化の観点からはあまり好ましくないという課題があった。
一方、油圧ユニットを用いず、電動ユニットのみにより駆動を行うということも考えられるが、電動モータは作業負荷が増すのに応じて発熱が増加し、高温化する傾向があるためヒートバランス対策を講じなければならないという課題がある。また、電動モータは特に、低回転時、例えば、停止時からの作動においては大きなトルクを出力できないという特性を有する。このため、低回転時に大きな力が必要な作業、例えば停止状態から旋回台を旋回させる場合のように静止状態から大きなトルクが必要な場合は、スムーズ且つ迅速な作動を行わせることが難しいという課題がある。
このような課題に鑑み、本発明は、電動モータおよび油圧モータの組み合わせにより駆動される構成の駆動制御装置であって、省エネルギー化を図るとともに、大きな駆動力が必要な作業でもスムーズ且つ迅速に行うことが可能な構成の駆動制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る旋回駆動制御装置は、旋回動自在な旋回台を備え、前記旋回台を油圧駆動式の旋回油圧モータおよび電気駆動式の旋回電動モータを組み合わせて旋回駆動する制御を行う構成であり、前記旋回油圧モータに駆動用の作動油を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから前記旋回油圧モータへの作動油の供給制御を行う作動油供給制御バルブと、前記旋回電動モータに駆動用の電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源から前記旋回電動モータへの電力供給制御を行う電力供給制御装置と、前記旋回台の旋回制御のために操作される旋回操作装置と、前記旋回油圧モータの駆動負荷を検出する駆動負荷検出装置と、前記旋回操作装置の操作および前記駆動負荷検出装置により検出される駆動負荷に基づいて、前記作動油供給制御バルブおよび前記電力供給制御装置の作動を制御するコントローラとを備える。そして、前記コントローラは、前記旋回操作手段の操作に対応して、前記作動油供給制御バルブにより前記油圧ポンプから前記旋回油圧モータへ作動油を供給させて前記旋回油圧モータにより前記旋回台を旋回駆動させるとともに、前記電力供給制御装置により前記旋回電動モータに駆動用の電力を供給して前記旋回電動モータによる前記旋回台を旋回駆動させる制御を行い、前記駆動負荷検出装置により検出された前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定高負荷のときには前記旋回油圧モータおよび前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させ、前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となったときに前記旋回油圧モータによる駆動を停止して前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させる制御を行なう。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となって前記旋回油圧モータによる駆動を停止するときに、前記旋回油圧モータがフリー回転する状態とする制御を行う。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記油圧ポンプが電動モータにより駆動される構成であり、前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となって前記旋回油圧モータによる駆動を停止するときに、前記電動モータの駆動を停止して前記油圧ポンプの駆動を停止する制御を行う。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記駆動負荷検出装置が、前記油圧ポンプから前記旋回油圧モータへ供給される作動油圧を検出して前記旋回油圧モータの駆動負荷を検出するように構成される。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記旋回台の旋回速度を検出する旋回速度検出装置を備え、前記コントローラは、前記旋回速度検出装置により検出される前記旋回台の旋回速度が、前記旋回操作手段の操作に対応する旋回速度となるように、前記旋回油圧モータおよび前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させる制御を行う。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記旋回油圧モータによる駆動を停止して前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させているときに、前記旋回速度検出装置により検出された前記旋回台の旋回速度が前記旋回操作手段の操作に対応する旋回速度より遅くなると、前記旋回電動モータに加えて前記旋回油圧モータによる前記旋回台の旋回駆動を行わせる。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記旋回台の旋回速度を検出する旋回速度検出装置と、前記作動油供給制御バルブから前記旋回油圧モータに供給される作動油のリリーフ圧を可変設定するリリーフバルブとを備え、前記コントローラは、前記旋回油圧モータによる前記旋回台の旋回駆動を行わせているときに、前記旋回速度検出装置により検出された前記旋回台の旋回速度が前記旋回操作手段の操作に対応する旋回速度より遅くなるのに応じて、前記リリーフバルブのリリーフ圧を高くする制御を行う。
上記構成の旋回駆動制御装置において、好ましくは、前記リリーフバルブのリリーフ圧を調整するためのリリーフ制御油圧を前記リリーフバルブに供給する調整用油圧供給バルブが設けられ、前記コントローラが前記調整用油圧供給バルブからのリリーフ制御油圧を制御することにより、前記リリーフ圧を可変設定する。
以上、本発明に係る作業機械の駆動制御装置においては、コントローラは、旋回操作手段の操作に対応して、旋回油圧モータおよび旋回電動モータによる旋回台を旋回駆動させる制御を行うのであるが、旋回油圧モータの駆動負荷が所定高負荷のときには旋回油圧モータおよび旋回電動モータにより旋回台を旋回駆動させるので、高負荷状態、すなわち大きな力が必要な時でもスムーズに作業を行わせることができる。一方、旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となったときに旋回油圧モータによる駆動を停止して旋回電動モータにより旋回台を旋回駆動させる制御を行なうので、油圧モータよりもエネルギー効率の良い電動モータのみを使用して省エネルギー化を図ることができる。
本発明に係る作業機械の駆動制御装置を適用させた一例として示すパワーショベルの斜視図である。 上記駆動制御装置を示す油圧回路及び電気回路を示す図である。 上記駆動制御装置における起動直後からの時間とトルクとの関係を示すグラフである。 図2の回路構成において、更にレゾルバと、リリーフバルブとを具備した回路を示す図である。 図2の回路構成において、更にレゾルバと、リリーフバルブと、比例バルブとを具備した回路を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1には、本発明に係る作業機械の駆動制御装置を適用した作業機械の一例としてクローラ型のパワーショベル1を示している。このパワーショベル1は、平面視略H字状の走行台車2(車体)の左右に走行機構3,3が設けられて構成される走行装置4と、走行台車2の後部に上下に揺動自在に設けられたブレード5と、走行台車2の上部に旋回可能に設けられた旋回台6と、旋回台6の前部に設けられたショベル機構7と、旋回台6の上部に立設された運転者搭乗用のオペレータキャビン8(車体)とから構成されている。
走行装置4を構成する左右一対の走行機構3,3は、走行台車2の左右前部に設けられた駆動用スプロケットホイール9と、走行台車2の左右後部に設けられたアイドラホイール10との間に履帯11が巻き掛けられて構成される。駆動用スプロケットホイール9は、油圧で作動する走行油圧モータ(不図示)により回転駆動される。ブレード5は、油圧駆動式のブレードシリンダ(不図示)の作動により揺動される。旋回台6は、図2に示す旋回油圧モータ31及び旋回電動モータ51により旋回動される(後に詳述)。
ショベル機構7は、旋回台6の前部に起伏動自在に枢結されたブーム12と、ブーム12の先端部にブーム12の起伏面内において上下に揺動自在に枢結されたアーム13と、アーム13の先端に上下に揺動自在に枢結されたバケット14と、油圧駆動式のブームシリンダ15、アームシリンダ16、及びバケットシリンダ17とから構成されている。ブーム12はブームシリンダ15の伸縮作動に応じて起伏動され、アーム13はアームシリンダ16の伸縮作動に応じて上下揺動され、バケット14はバケットシリンダ17の伸縮作動に応じて揺動される。以降の説明ではこれらシリンダ15〜17やブレード5用のブレードシリンダを纏めて油圧シリンダ群と呼ぶ。オペレータキャビン8は、上下前後左右が囲まれた矩形箱状に形成されており、内部に運転者が着座するためのオペレータシート18と、走行装置4やショベル機構7の作動操作を行うための操作装置19とが設けられている。
操作装置19には、パワーショベル1の走行、掘削等の操作を行うための操作レバー19a−19cが設けられており、運転者は、オペレータシート18に着座して操作レバー19a−19cを操作することにより油圧シリンダ群及び走行油圧モータの駆動を制御してパワーショベル1を走行させたり、旋回油圧モータ31及び旋回電動モータ51の駆動を制御して旋回台6を旋回させたり、ショベル機構7の作動を制御して掘削等の作業をしたりすることができる。
上述した油圧シリンダ群、走行油圧モータ、および旋回油圧モータ31(図2参照)は、作動油の供給(油圧)により作動する。すなわち、後述する油圧ユニット30が作業者による操作装置19の操作レバー19a−19cの操作に応じて油圧シリンダ群、走行油圧モータ、及び旋回油圧モータ31へ供給される作動油の量及び方向を制御することにより、パワーショベル1の走行、ショベル機構7の作動、旋回台6の旋回等を行い、走行、掘削、旋回等の作業ができる。操作装置19は、パワーショベル1の走行を操作する走行操作レバー19bと、ブーム、アーム、バケット等の操作を行うための作業操作レバー19cと、旋回台6の旋回を操作する旋回操作レバー19aを備える。
このように構成されるパワーショベル1において、旋回台6の旋回作動制御に本発明に係る駆動制御装置を用いており、以下においては、この旋回台6の旋回作動制御を行う装置および方法について説明する。旋回台6の旋回作動は、油圧ユニット30と電動ユニット50とを備えて構成される旋回制御機構20(図2参照)により行われる。この旋回駆動制御は、後述のように、電動ユニット50(旋回電動モータ51)のみによる駆動(以下、電動のみの駆動と称する)、油圧ユニット30(旋回油圧モータ31)のみによる駆動(以下、油圧のみの駆動と称する)、および電動ユニット50(旋回電動モータ51)および油圧ユニット30(旋回油圧モータ31)の両方による駆動(以下、電動及び油圧による駆動と称する)、という3つの駆動パターンを有している。
油圧ユニット30は、図2に示すように、旋回油圧モータ31に加えて、メイン油圧ポンプ32と、パイロット油圧ポンプ33と、第1電動モータ34と、第2電動モータ35と、メインコントロールバルブ36と、ソレノイド式切換バルブ37と、リモートコントロールバルブ38と、パイロット圧検出センサ39a,39bと、作動油圧検出センサ40a,40bと、作動油タンク41とを備えて構成される。なお、図2では、油圧回路を実線で示し、電気的または光学的信号回路を破線で示している。
油圧ユニット30において、メイン油圧ポンプ32は、第1電動モータ34により駆動され、旋回油圧モータ31に供給するための作動油を吐出する。パイロット油圧ポンプ33は、第2電動モータ35により駆動され、パイロット油路にパイロット圧を供給するための作動油を吐出する。第1電動モータ34及び第2電動モータ35は、第1インバータ53を介して交流電流を受けこれにより駆動するようになっている。メインコントロールバルブ36は、後述するようにパイロット圧を受けて旋回油圧モータ31への作動油の供給制御を行う。このパイロット圧は、リモートコントロールバルブ38において生成され、ソレノイド式切換バルブ37を経てメインコントロールバルブ36に出力される。メインコントロールバルブ36はこのパイロット圧を受けて作動され、旋回油圧モータ31への作動油の供給制御を行う。
メインコントロールバルブ36は、Pポート(ポンプポート)、Tポート(タンクポート)、及び二つのAポート(出力ポート)を有しており、Pポートにメイン油圧ポンプ32、Tポートに作動油タンク41、二つのAポートに旋回油圧モータ31の両側のポートが図示のようにそれぞれ接続されている。図2に示すように、メインコントロールバルブ36が中立状態のときには、Pポートがブロックされてメイン油圧ポンプ32からの油圧供給が遮断され、Tポートと二つのAポートが連通されて、旋回油圧モータ31の両側のポートがタンクに繋がり、旋回油圧モータ31はフリー回転する状態となる。
一方、パイロット油圧を右側に受けてメインコントロールバルブ36が図2において左動されると、Pポートが左側のAポートと繋がるとともにTポートが右側のAポートと繋がり、メイン油圧ポンプ32からの吐出油が旋回油圧モータ31の右側ポートから供給されてこれを回転駆動し、旋回台6が旋回作動される。逆に、パイロット油圧を左側に受けてメインコントロールバルブ36が図2において右動されると、Pポートが右側のAポートと繋がるとともにTポートが左側のAポートと繋がり、メイン油圧ポンプ32からの吐出油が旋回油圧モータ31の左側ポートから供給されてこれを上記と逆の方向に回転駆動し、旋回台6が上記と逆方向に旋回作動される。
リモートコントロールバルブ38は、Pポート(ポンプポート)、Tポート(タンクポート)、及び二つのAポート(出力ポート)を有しており、Pポートにパイロット油圧ポンプ33、Tポートに作動油タンク41、Aポートにソレノイド式切換バルブ37が図示のようにそれぞれ接続されている。リモートコントロールバルブ38は旋回操作レバー19aの操作に応じて作動されるように構成されており、旋回操作レバー19aの非操作時においてPポートはブロックされた状態である。旋回操作レバー19aを操作すると、その操作に対応して、パイロット油圧ポンプ33からの作動油を用いてリモートコントロールバルブ38によりパイロット圧が生成される。このパイロット圧(リモート制御圧)は、ソレノイド式切換バルブ37を介してメインコントロールバルブ36に出力される。このとき発生するパイロット圧は、旋回操作レバー19aの操作量に対応する圧を有するようにリモートコントロールバルブ38により調整される。具体的には、旋回操作レバー19aの操作量が小さければパイロット圧も小さく、操作量が大きくなるに応じてパイロット圧も大きくなる。
ソレノイド式切換バルブ37は、後に詳述するコントローラ52からの制御信号を受けて作動し、メインコントロールバルブ36により生成されたパイロット圧を、メインコントロールバルブ36に伝えたり、これを遮断したりする制御を行う。
このようにしてリモートコントロールバルブ38から出力されたパイロット圧は、リモートコントロールバルブ38とソレノイド式切換バルブ37との間に設けられたパイロット圧検出センサ39a,39bにより検出されるようになっており、検出されたパイロット圧は、コントローラ52に送られる。メインコントロールバルブ36はパイロット圧を受けて作動されるが、このとき、パイロット圧の大きさに対応してその作動量が制御される構成であり、パイロット圧が大きくなるに応じて、メイン油圧ポンプ31から旋回油圧モータ31に供給される油量が増加し、旋回速度が速くなる。
作動油圧検出センサ40a,40bは、メインコントロールバルブ36と旋回油圧モータ31との間の油路に設けられ、この油路における旋回油圧モータ31の作動油圧を検出する。作動油圧検出センサ40a,40bにより検出された作動油圧も、コントローラ52に送られる。
電動ユニット50は、上述した旋回電動モータ51と、コントローラ52と、第1及び第2インバータ53,54と、第1及び第2バッテリ55,56と、旋回油圧モータ31の回転を検出するレゾルバ61を備えて構成される。第1インバータ53は、第1バッテリ55からの直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を第1電動モータ34に供給する制御を行う。一方、第2インバータ54は、第2バッテリ56からの直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を旋回電動モータ51に供給する制御を行う。第1バッテリ55及び第2バッテリ56は、例えば一日の作業が終わった時点で、充電器(不図示)を介して外部の商用電源(不図示)から電力を受けて充電できる。第1バッテリ55及び第2バッテリ56としては、例えばリチウムイオン電池や有機ラジカル電池等の二次電池を用いることができる。なお、第1バッテリ55及び第2バッテリ56のようにバッテリを2つ設けるのではなく、1つのバッテリを共用させるようにしてもよい。
コントローラ52は、旋回制御を統括的に行うものであり、パイロット圧検出センサ39a,39bにより検出されたパイロット圧信号と、作動油圧検出センサ40a,40bにより検出された作動油圧信号と、レゾルバ61により検出された旋回油圧モータ31の回転速度信号(すなわち、旋回台6の回転速度を示す信号)を受ける。そして、これらパイロット圧信号、作動油圧信号および回転速度信号に基づいて第1及び第2インバータ53,54、並びにソレノイド式切換バルブ37の作動を制御し、旋回台6の旋回制御を行う。以下においては、コントローラ52による旋回制御について説明する。
この旋回制御は、省エネルギーという観点から、旋回電動モータ51による旋回制御を優先し、必要に応じて旋回油圧モータ31によるアシストを受けるような制御を基本とする。その上で、旋回始動時や低速旋回時のように大きな駆動トルクが必要なときには、旋回駆動モータ51および旋回油圧モータ31を駆動し、旋回駆動トルクが小さくなるのに応じて旋回油圧モータ31のアシストを低下させて旋回電動モータ51の駆動比率を大きくし、最終的に旋回油圧モータ31の駆動を無くして、旋回電動モータ51による旋回作動を行わせるような制御を行う。
このようにして旋回電動モータ51により旋回作動を行わせているときに、旋回操作レバー19aの操作に基づく旋回作動速度要求(パイロット圧もしくはリモート制御圧)に対し、実際の旋回速度が小さくなるとき(例えば、旋回させながらバケットを押し付ける作業を行うような場合で、旋回抵抗が大きくなって旋回速度が低下するとき)には、旋回油圧モータ31も併せて作動させて大きな旋回駆動力を発生させて旋回させる制御を行う。好ましい制御として、旋回操作レバー19aの操作に対する要求値(想定回転数)より旋回速度が小さいときには、その差に応じて旋回油圧モータ31の駆動におけるリリーフ圧を上げるという制御を行う。このような制御の具体例を以下に説明する。
旋回操作レバー19aが操作されると、その操作に応じてリモートコントロールバルブ38よりパイロット圧が生成されるが、パイロット圧検出センサ39a,39bによりこのパイロット圧が検出され、この検出信号がコントローラ52に送られる。コントローラ52は、このパイロット圧を検出すると、第2インバータ54に制御信号を出力し、第2インバータ54による旋回電動モータ51への電力供給制御を行って旋回電動モータ51を駆動させる。旋回操作レバー19aが中立状態から操作されて旋回台6の旋回を開始するときには、コントローラ52は、第1インバータ53にも制御信号を出力し、第1インバータ53による第1電動モータ34への電力供給制御を行ってメイン油圧ポンプ32を駆動させる。また、パイロット圧を、ソレノイド式切換バルブ37を介してメインコントロールバルブ36に出力させ、当該パイロット圧に応じてメインコントロールバルブ36を作動させ、メイン油圧ポンプ32からの吐出油を旋回油圧モータ31に供給させる。このように、旋回台6の旋回を開始するときには、旋回電動モータ51による旋回駆動と、旋回油圧モータ31による旋回駆動とが同時に行われる。すなわち、旋回開始時で大きな旋回駆動トルクが必要な時には、電動及び油圧駆動を組み合わせて、スムーズな旋回作動を行わせるようにしている。
コントローラ52には、作動油圧検出センサ40a,40bにより検出された旋回油圧モータ31の作動油圧信号と、レゾルバ61により検出された旋回油圧モータ31の回転速度信号(旋回台6の旋回速度信号)が送られている。コントローラ52は、旋回台6が旋回操作レバー19aの操作量(すなわち、パイロット圧)に対応する旋回速度で旋回するように、旋回電動モータ51による旋回駆動と、旋回油圧モータ31による旋回駆動とを制御する。ここで、旋回開始時には大きな駆動トルクが必要であっても、旋回が進むと必要駆動トルクが小さくなるので、旋回電動モータ51による旋回駆動を維持すると、旋回油圧モータ31の駆動トルク(駆動負荷)は小さくなり、作動油圧検出センサ40a,40bにより検出される作動油圧が低下する。そして、この作動油圧が小さくなり、旋回電動モータ51による駆動のみで旋回を行わせることができる状態となると、コントローラ52はソレノイド式切換バルブ37に制御信号を出力し、メインコントロールバルブ36へのパイロット圧の供給を遮断し、メインコントロールバルブ36を中立状態(図2に示す状態)にする。このとき、第1電動モータ34への電力供給も停止させ、省エネルギー化を図る。この結果、旋回油圧モータ31への油圧供給は遮断され、且つその入出力ポートがタンク41に繋がるので、旋回油圧モータ31はフリー回転状態となり、回転抵抗が生じない状態となる。この結果、この状態では旋回電動モータ51のみにより旋回台6を旋回させる状態として、省エネルギー化を図ることができる。この例では、旋回油圧モータ31の駆動負荷を作動油圧検出センサ40a,40bにより検出しているが、駆動トルクを直接検出しても良い。
以上のように、パワーショベル1の旋回制御機構20は、低負荷のときは電動のみ、高負荷のときは電動及び油圧により旋回台6の旋回を行うことが可能となっている。高負荷のときとは、例えば図3に駆動トルク変化を示すように、パワーショベル1の起動直後やバケット14を横に押しつけながら行う掘削作業のような静止しているが大きな力が必要なときが挙げられる。こうしたときに旋回油圧モータ31による旋回作動を加えて行わせることにより、旋回作動をスムーズに行うことができ操作フィーリングを向上させることもできる。また、こうした高負荷時において、旋回電動モータ51への電力供給を行わせず、旋回台6の旋回を旋回油圧モータ31のみによる駆動とすることもできる。
また、図4及び図5に示すように、回路中に旋回油圧モータ31の回転数(回転角)を検出可能なレゾルバ61と、メインコントロールバルブ36及び旋回油圧モータ31間の油路中の作動油を作動油タンク41にリリーフさせるリリーフバルブ62とを設けることにより、油圧駆動のトルクを可変調整できるようにしても良い。
例えば、図4に示す回路構成の場合、メインコントロールバルブ36と旋回油圧モータ31との間の油路から分岐する分岐油路64にリリーフバルブ62を設け、コントローラ52は、レゾルバ61が検出した旋回油圧モータ31の回転速度(すなわち、旋回台6の回転速度)を検出する。また、コントローラ52は、図2に示すようにパイロット圧検出センサ39a,39bにより検出されたパイロット圧を検出し、検出したパイロット圧から想定される旋回油圧モータ31の想定回転速度(すなわち、旋回台6の回転速度)を算出する。コントローラ52は、検出した旋回油圧モータ31の回転速度が想定回転速度よりも低いとき、リリーフバルブ62に制御信号を出力してリリーフ圧を上昇させ、旋回油圧モータ31の作動油圧を上昇させる。なお、分岐油路64にはチェックバルブ63が設けられ、メインコントロールバルブ36と旋回油圧モータ31との間の油路から分岐油路64への作動油の流入は許容されるがその逆方向の作動油の流入は規制されるようになっている。
図5に示す回路構成は、2個のリリーフバルブ62a,62bを設け、上記リリーフバルブ62a,62bをパイロット圧駆動とし、パイロット油圧ポンプ33とリリーフバルブ62a,62bとの間の油路中に比例バルブ65を設けた構成となっている。比例バルブ65は、電磁比例弁でありコントローラ52からの制御信号を受け、当該制御信号に基づいて開閉するように構成される。コントローラ52は、レゾルバ61が検出した旋回油圧モータ31の回転速度に基づいて比例バルブ65の開弁量を制御する。このように、比例バルブ65の開弁量を制御することにより、リリーフバルブ62a,62bのリリーフ圧が制御され、図4に示す回路構成と同様、旋回油圧モータ31の作動油圧を上昇させることができる。
本実施形態におけるパワーショベル1は、以上のように構成される旋回制御機構20を備え、この旋回制御機構20により、旋回台6の旋回を、電動のみの駆動、油圧のみの駆動、そして電動及び油圧による駆動のように3つの駆動パターンを負荷の状態によって切り替え可能に構成されている。従って、低負荷のときにはエネルギー効率の良い旋回電動モータ51のみを駆動させることにより省エネルギー化を実現できるとともに、高負荷のときには旋回油圧モータ31を駆動させることによりスムーズに作業を行うことができるという効果が得られる。また、油圧駆動の場合には、そのトルクを可変調整することが可能である。
以上、本発明は上記の実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改良可能である。例えば、旋回油圧モータ31については、モータに限定されることはなく、別の油圧アクチュエータにより旋回台6を旋回させるようにしてもよいし、メイン油圧ポンプ32を駆動させる駆動装置としては上記第1電動モータ34に限定されることなく、エンジンを用いて駆動させる場合でも本発明は応用可能である。
さらに、上記の実施形態では、クローラ型のパワーショベル1を用いた例について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、ショベルローダ、油圧クレーン等他の作業機械に本発明を適用させてもよい。
1 パワーショベル(作業機械)
2 走行台車(基台)
6 旋回台
19a 旋回操作レバー(旋回操作手段)
31 旋回油圧モータ 32 油圧ポンプ
34 第1電動モータ(油圧ポンプ駆動手段)
36 コントロールバルブ(作動油供給制御バルブ)
40a,40b 作動油圧検出センサ(作動油圧検出手段)
51 旋回電動モータ
52 コントローラ(旋回制御手段)
53 第1インバータ(油圧ポンプ駆動手段)
54 第2インバータ(電動モータ駆動手段)
55 第1バッテリ(油圧ポンプ駆動手段)
56 第2バッテリ(電動モータ駆動手段)
61 レゾルバ(回転数検出手段)
62 リリーフバルブ
65 比例バルブ(調整用油圧供給バルブ)

Claims (8)

  1. 旋回動自在な旋回台を備え、前記旋回台を油圧駆動式の旋回油圧モータおよび電気駆動式の旋回電動モータを組み合わせて旋回駆動する制御を行う旋回駆動制御装置であって、
    前記旋回油圧モータに駆動用の作動油を供給する油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプから前記旋回油圧モータへの作動油の供給制御を行う作動油供給制御バルブと、
    前記旋回電動モータに駆動用の電力を供給する電力供給源と、
    前記電力供給源から前記旋回電動モータへの電力供給制御を行う電力供給制御装置と、
    前記旋回台の旋回制御のために操作される旋回操作装置と、
    前記旋回油圧モータの駆動負荷を検出する駆動負荷検出装置と、
    前記旋回操作装置の操作および前記駆動負荷検出装置により検出される駆動負荷に基づいて、前記作動油供給制御バルブおよび前記電力供給制御装置の作動を制御するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、
    前記旋回操作手段の操作に対応して、前記作動油供給制御バルブにより前記油圧ポンプから前記旋回油圧モータへ作動油を供給させて前記旋回油圧モータにより前記旋回台を旋回駆動させるとともに、前記電力供給制御装置により前記旋回電動モータに駆動用の電力を供給して前記旋回電動モータによる前記旋回台を旋回駆動させる制御を行い、
    前記駆動負荷検出装置により検出された前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定高負荷のときには前記旋回油圧モータおよび前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させ、前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となったときに前記旋回油圧モータによる駆動を停止して前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させる制御を行なうことを特徴とする旋回駆動制御装置。
  2. 前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となって前記旋回油圧モータによる駆動を停止するときに、前記旋回油圧モータがフリー回転する状態とする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の旋回駆動制御装置。
  3. 前記油圧ポンプが電動モータにより駆動される構成であり、前記旋回油圧モータの駆動負荷が所定低負荷となって前記旋回油圧モータによる駆動を停止するときに、前記電動モータの駆動を停止して前記油圧ポンプの駆動を停止する制御を行うことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の旋回駆動制御装置。
  4. 前記駆動負荷検出装置が、前記油圧ポンプから前記旋回油圧モータへ供給される作動油圧を検出して前記旋回油圧モータの駆動負荷を検出するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の旋回駆動制御装置。
  5. 前記旋回台の旋回速度を検出する旋回速度検出装置を備え、前記コントローラは、前記旋回速度検出装置により検出される前記旋回台の旋回速度が、前記旋回操作手段の操作に対応する旋回速度となるように、前記旋回油圧モータおよび前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の旋回駆動制御装置。
  6. 前記旋回油圧モータによる駆動を停止して前記旋回電動モータにより前記旋回台を旋回駆動させているときに、前記旋回速度検出装置により検出された前記旋回台の旋回速度が前記旋回操作手段の操作に対応する旋回速度より遅くなると、前記旋回電動モータに加えて前記旋回油圧モータによる前記旋回台の旋回駆動を行わせることを特徴とする請求項5に記載の旋回駆動制御装置。
  7. 前記旋回台の旋回速度を検出する旋回速度検出装置と、
    前記作動油供給制御バルブから前記旋回油圧モータに供給される作動油のリリーフ圧を可変設定するリリーフバルブとを備え、
    前記コントローラは、前記旋回油圧モータによる前記旋回台の旋回駆動を行わせているときに、前記旋回速度検出装置により検出された前記旋回台の旋回速度が前記旋回操作手段の操作に対応する旋回速度より遅くなるのに応じて、前記リリーフバルブのリリーフ圧を高くする制御を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の旋回駆動制御装置。
  8. 前記リリーフバルブのリリーフ圧を調整するためのリリーフ制御油圧を前記リリーフバルブに供給する調整用油圧供給バルブが設けられ、
    前記コントローラが前記調整用油圧供給バルブからのリリーフ制御油圧を制御することにより、前記リリーフ圧を可変設定することを特徴とする請求項7に記載の旋回駆動制御装置。
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