JP2007321180A - 光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板、その製造方法およびその製造方法により製造された光学ピックアップ部品のカバー材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安価で、機械的特性にすぐれた光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板、およびそれを用いた光学ピックアップ部品のカバー材を提供する。
【解決手段】 重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
【選択図】 図1
【解決手段】 重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
【選択図】 図1
Description
本発明は、CD−ROM、CD−R、CDーRWやDVDなどの記録媒体において、光学ピックアップ部品のカバーに使われる表面処理鋼板、その製造方法およびその製造方法により製造された光学ピックアップ部品のカバー材に関する。
現在、CD−ROM、CD−R、CD−RWやDVDなどの記録媒体において、光により記録の内容を読み取ったりあるいはデータを書き込んだりしている。この光学器械は精密機械であり、光を発する箇所以外は、外部からの圧力により破壊されないようにする必要がある。また、破壊されないようにカバーをしても、外部からの圧力によりカバーが変形しないことが重要である。近年、この特性を有する材料として耐食性、バネ性を有するステンレス鋼鈑が使われてきた。しかし、ステンレス鋼鈑は高価であり、Ni等の重金属を含むとそれだけ重くなり、軽量化できない。このため、安価な鋼板を適用することが考えられたが、バネ性が要求される。機械強度およびバネ性を向上する方法として、再結晶温度以上に加熱した後、急冷する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、急冷するため、急冷後、冷延鋼板にそりが発生し、平坦性の点で問題がある。
本出願に関する先行技術文献情報として次のものがある。
特開平9−194935号公報
本発明の目的は、安価で、バネ性(機械的強度)に優れた軽量な光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板、その製造方法およびその製造方法により製造された光学ピックアップ部品のカバー材を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする。この場合、前記鋼板が、重量%で、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.05〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有することが望ましい。さらに、また、平均粒径が5μm〜12μmのフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトであって体積率が30%以下のマルテンサイトからなる組織を有することが望ましい。
また、請求項4に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は、重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする。
さらに、請求項5に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は、重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする。前記した表面処理層がZnあるいはZn合金めっきであることが望ましい。
また、請求項4に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は、重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする。
さらに、請求項5に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は、重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする。前記した表面処理層がZnあるいはZn合金めっきであることが望ましい。
請求項7記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項8記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、その後700℃以上の連続焼鈍または550℃以上の箱型焼鈍を行い、更に圧延率60%以下の2次圧延または調質圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項9記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、その後連続焼鈍または箱型焼鈍を行い、その後圧延率60%以下の2次圧延を施し、その後、700℃以上の連続焼鈍または550℃以上の箱型焼鈍を行い、更に、圧延率60%以下の3次圧延または調質圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。この場合、前記鋼板が、重量%で、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.005〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有することが望ましい。
請求項8記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、その後700℃以上の連続焼鈍または550℃以上の箱型焼鈍を行い、更に圧延率60%以下の2次圧延または調質圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項9記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、その後連続焼鈍または箱型焼鈍を行い、その後圧延率60%以下の2次圧延を施し、その後、700℃以上の連続焼鈍または550℃以上の箱型焼鈍を行い、更に、圧延率60%以下の3次圧延または調質圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。この場合、前記鋼板が、重量%で、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.005〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有することが望ましい。
請求項11に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率50〜90%の冷間圧延し、さらにその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項12に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S≦:0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率50〜90%の冷間圧延を施し、連続焼鈍で630〜870℃または、バッチ焼鈍で500〜750℃で焼鈍を行い、その後、調質圧延を施し、さらにその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項12に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S≦:0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率50〜90%の冷間圧延を施し、連続焼鈍で630〜870℃または、バッチ焼鈍で500〜750℃で焼鈍を行い、その後、調質圧延を施し、さらにその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項13に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法は、重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率が75%以上の冷間圧延、焼鈍、調質圧延し、更に表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする。
請求項14に記載の光学ピックアップ部品のカバー材は、請求項1乃至6のいずれか記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板を用いて製造されることを特徴とする。
請求項15に記載の光学ピックアップ部品のカバー材は、請求項7乃至13のいずれか記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
請求項14に記載の光学ピックアップ部品のカバー材は、請求項1乃至6のいずれか記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板を用いて製造されることを特徴とする。
請求項15に記載の光学ピックアップ部品のカバー材は、請求項7乃至13のいずれか記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
本発明の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は、安価で、バネ性(機械的強度)に優れるため、安価な光学ピックアップ部品のカバー材を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の鋼成分は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる。また、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.005〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有するとより望ましい。
実施形態1の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の鋼成分は、重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる。また、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.005〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有するとより望ましい。
Cは光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板に高い調質度のため、0.03重量%以上であることが望ましい。しかし、Cが0.2重量%を超えると、炭化物析出量が増大し鋼板の加工性の低下をもたらすと同時に、冷間圧延の負荷の増大、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生産性低下の原因となる。そのため本発明においてはC成分の上限値を0.20重量%とする。
Siは、鋼中では大きな固溶強化機能を持ち、強靱性を得るのに有効な元素である。従って、0.1重量%以上は必要である。また、Siは、材質強化面では、多いほど良いが、冷間圧延の負荷の増大、形状の劣化を招くため上限値を0.50重量%とする。
Mnは不純物であるSによる熱延中の赤熱脆性を防止するために必要な成分であると同時に、前記のCと同様に原板に高い調質度を与えるため、Mn成分は0.5重量%以上とする。しかし、ここでもC同様に、多過ぎると冷間圧延の負荷の増大、スラブ圧延中の割れ発生、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生産性低下の原因となるため、Mn成分は上限値を3.0重量%とする。
Pは結晶粒微細化成分であり、また原板の強度を高めることから一定の割合で添加されるが、一方で耐食性を阻害する。本発明の用途としては、Pが0.10重量%を超えると耐食性、特に耐孔明性が著しく低下するためP成分の上限値を0.10重量%とする。
Sは熱延中において赤熱脆性を生じる不純物成分であり、極力少ないことが望ましいが、鉄鋼石等からの混入を完全に防止することができず、工程中の脱硫も困難なことからある程度の残留もやむをえない。少量の残留Sによる赤熱脆性はMnにより軽減できるため、S成分の上限値は0.06重量%とする。
Alは製鋼に際し脱酸剤として鋼浴中に添加されるが、0.10重量%以上になると連続鋳造時に酸化抑制剤、および、連続鋳造での鋳型への焼き付き防止剤として使用する鋳型パウダー中の酸素と過剰Alが反応し、本来のパウダー効果を阻害する。したがって、Al量は0.10重量%以下とする。
NはC,Mnと同様に原板に高い調質度を与える。耐力強化のために必要な成分であるが、0.001重量%より少なくすることは製鋼上の困難を生じ、また一方0.0160重量%を超える添加は製鋼時に添加するフェロ窒化物の歩留の低下が著しく、安定性に欠けると同時に、プレス成形時の異方性を著しく劣化させる。さらに連続鋳造片の表面に割れが生じ、鋳造欠陥となるため本発明ではN成分範囲を0.001〜0.0160重量%とする。
Ti、Nbは炭窒化化合物を形成しやすく、結晶粒を微細化する効果ある。Nbは下限を0.005重量%、Tiは0.01重量%とする。また、いずれの元素も多すぎると再結晶温度を上昇させ、連続焼鈍温度を上げなければならず、コスト増である。そこで、Tiの上限は0.2重量%、Nbの上限を0.1重量%とする。
Bは本発明の重要な組織であるマルテンサイトを得るために必要な元素であることと粒界に偏析しやすく、結晶粒粗大化を低減し結晶粒を微細化する効果があるため、必要に応じて0.001重量%以上を添加する。また、多過ぎてもその効果が飽和するため、コストなどの理由から、B成分の上限を0.01重量%とする。
熱間圧延
熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間仕上圧延温度の安定的確保の見地から1100℃以下とするのが望ましい。熱間圧延仕上温度を850℃未満にすると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大化し、目的の強度が得られないので熱間圧延仕上温度は850℃以上とするのが望ましい。
熱延仕上圧延における圧延率、冷却条件は特定するものではないが、高強度を得るためには、平均結晶粒径が5μm以下となるようにできるだけ高圧下、急冷することが望ましい。また、平均粒径が5μm以下のフエライト中にマルテンサイトが分散してなる組織であることが望ましい。
巻き取り温度は本発明において特定するものではないが、結晶粒粗大化を抑制するために巻取温度は700℃以下とするのが望ましい。
熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間仕上圧延温度の安定的確保の見地から1100℃以下とするのが望ましい。熱間圧延仕上温度を850℃未満にすると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大化し、目的の強度が得られないので熱間圧延仕上温度は850℃以上とするのが望ましい。
熱延仕上圧延における圧延率、冷却条件は特定するものではないが、高強度を得るためには、平均結晶粒径が5μm以下となるようにできるだけ高圧下、急冷することが望ましい。また、平均粒径が5μm以下のフエライト中にマルテンサイトが分散してなる組織であることが望ましい。
巻き取り温度は本発明において特定するものではないが、結晶粒粗大化を抑制するために巻取温度は700℃以下とするのが望ましい。
冷間圧延
前記の成分系で熱延された鋼板を冷間圧延するが、この冷間圧延率は、成分とともに本発明の重要な強度因子であり、目的の強度を得るために、30〜90%で行う。
前記の成分系で熱延された鋼板を冷間圧延するが、この冷間圧延率は、成分とともに本発明の重要な強度因子であり、目的の強度を得るために、30〜90%で行う。
焼鈍
前記のように圧延率30〜90%の冷間圧延を施した材料は、クリーニング工程で脱脂を施した後、連続焼鈍では700℃以上または、バッチ焼鈍では550℃以上の温度で焼鈍する。上限温度は、連続焼鈍では830℃、箱型焼鈍では700℃とする。
前記のように圧延率30〜90%の冷間圧延を施した材料は、クリーニング工程で脱脂を施した後、連続焼鈍では700℃以上または、バッチ焼鈍では550℃以上の温度で焼鈍する。上限温度は、連続焼鈍では830℃、箱型焼鈍では700℃とする。
2次冷間圧延
焼鈍後の2次冷間圧延は圧延率が高くなると強度は増し、望ましいが、伸びが小さくなるので、2次冷間圧延を行う場合は、圧延率を60%以下とする。その後、必要により調質圧延により表面粗度を付与する。
以上のように作製した冷延鋼板は、平均粒径が5μm〜12μm以下のフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトであって体積率が30%以下のマルテンサイトからなる組織を有することが望ましい。ばね用途では、平均粒径が2μm以下のフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトが体積率で6%〜30%以下からなる組織を有することがより望ましい。加工用途では、平均粒径が3μm〜12μmのフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトが体積率で5%以下からなる組織を有することがより望ましい。このようにフェライトの結晶粒径とマルテンサイトの体積比率を冷延率と焼鈍条件を組み合わせて制御することにより、強靱性が重要な冷延鋼板には、より微細な組織とし、加工性を求められる冷延鋼板には粒径を大きくすることで、それぞれに最適な特性を得ることが可能である。
焼鈍後の2次冷間圧延は圧延率が高くなると強度は増し、望ましいが、伸びが小さくなるので、2次冷間圧延を行う場合は、圧延率を60%以下とする。その後、必要により調質圧延により表面粗度を付与する。
以上のように作製した冷延鋼板は、平均粒径が5μm〜12μm以下のフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトであって体積率が30%以下のマルテンサイトからなる組織を有することが望ましい。ばね用途では、平均粒径が2μm以下のフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトが体積率で6%〜30%以下からなる組織を有することがより望ましい。加工用途では、平均粒径が3μm〜12μmのフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトが体積率で5%以下からなる組織を有することがより望ましい。このようにフェライトの結晶粒径とマルテンサイトの体積比率を冷延率と焼鈍条件を組み合わせて制御することにより、強靱性が重要な冷延鋼板には、より微細な組織とし、加工性を求められる冷延鋼板には粒径を大きくすることで、それぞれに最適な特性を得ることが可能である。
(実施形態2)
実施形態2の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の鋼成分は重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる。
実施形態2の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の鋼成分は重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる。
Cは光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板に高い調質度に加えるため、Cは0.08重量%以上あることが望ましい。一方でC成分が0.60重量%を超えると炭化物析出量が増大し、光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の加工性の低下をもたらすと同時に、冷間圧延の負荷の増大、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生産性低下の原因となる。そのため本発明ではC成分の上限値を0.60重量%とする。
Mnは不純物であるSによる熱延中の赤熱脆性を防止するために必要な成分であると同時に、上記のCと同様に光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板に高い調質度を与えるため、Mn成分は0.5重量%以上とする。しかし、ここでもC同様に、多過ぎると冷間圧延の負荷の増大、スラブ圧延中の割れ発生、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生産性低下の原因となるため、上限値を3.0重量%とする。
Pは結晶粒微細化成分であり、また光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の強度を高めることから一定の割合で添加されるが、一方で耐食性を阻害する。本発明の用途としては、Pが0.06重量%を超えると耐食性、特に耐孔明性が著しく低下するため上限値を0.06重量%とする。
Sは熱延中において赤熱脆性を生じる不純物成分であり、極力少ないことが望ましいが、鉄鋼石等からの混入を完全に防止することができず、工程中の脱硫も困難なことからある程度の残留もやむをえない。少量の残留Sによる赤熱脆性はMnにより軽減できるため、S成分の上限値は0.06重量%とする。
Alは製鋼に際し脱酸剤として鋼浴中に添加されるが、0.10重量%を超えると連続鋳造時に酸化抑制剤、および、連続鋳造での鋳型への焼き付き防止剤として使用する鋳型パウダー中の酸素と過剰Alが反応し、本来のパウダー効果を阻害する。したがって、Al量は0.10重量%以下とする。
NはC、Mnと同様に光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板に高い調質度を与える。耐力強化のために必要な成分であるが、0.001重量%未満では製鋼上の困難を生じ、また一方0.0150重量%を超える添加は製鋼時に添加するフェロ窒化物の歩留の低下が著しく、安定性に欠けると同時に、プレス成形時の異方性を著しく劣化させる。さらに連続鋳造片の表面に割れが生じ、鋳造欠陥となるため、本発明においてはN成分範囲を0.001〜0.0150重量%とする。より望ましくは0.0021〜0.0150重量%とする。
Siは本発明の主要な特徴である。Siは鋼中では大きな固溶強化能を持ち、強靱性を得るのに有効な元素である。従って、1.0重量%以上は必要である。また、材質強化面では多い程良いが、3.0重量%を超えると冷間圧延の負荷の増大、形状の劣化を招くため上限値を3.0重量%とする。
熱間圧延
熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間仕上圧延温度の安定的確保の見地から1100℃以下とするのが望ましい。熱間圧延仕上温度を850℃未満にすると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大化し、目的の強度が得られないので熱間圧延仕上温度は850℃以上とするのが望ましい。
熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間仕上圧延温度の安定的確保の見地から1100℃以下とするのが望ましい。熱間圧延仕上温度を850℃未満にすると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大化し、目的の強度が得られないので熱間圧延仕上温度は850℃以上とするのが望ましい。
巻き取り温度は450℃〜650℃とする。熱延時のコイルの幅方向および長手方向の品質安定性を考慮して450℃を下限とする。また、巻取温度が650℃を超えると、熱延時および連続焼鈍時で結晶粒径が大きくなり、加工時の不良原因となるため、巻取温度は650℃以下とするのが望ましい。
上記の成分系で熱延された鋼板を冷間圧延するが、この冷間圧延率は、成分とともに本発明の重要な強度因子であり、目的の強度を得るために、50〜90%で行う。
上記のように50〜90%の冷間圧延を施した材料は、クリーニング工程で脱脂を施した後、630〜870℃、望ましくは680〜870℃で連続焼鈍を行う。または、500〜750℃、望ましくは600〜750℃でバッチ焼鈍を行う。焼鈍時間は再結晶される範囲内であれば良い。特に板厚0.6mm以下の場合は、連続焼鈍が望ましく、板厚0.6mmを超えた場合、箱型焼鈍が望ましい。
調質圧延
焼鈍後に圧延率1〜2%の調質圧延を施す。調質圧延の際、必要により表面粗度を付与する。圧延率が1%未満だと、ストレッチャーストレインが発生しやすく、逆に2%を超えると、加工性が劣化し、問題がある。
焼鈍後に圧延率1〜2%の調質圧延を施す。調質圧延の際、必要により表面粗度を付与する。圧延率が1%未満だと、ストレッチャーストレインが発生しやすく、逆に2%を超えると、加工性が劣化し、問題がある。
(実施形態3)
実施形態3の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の鋼成分は、重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる。
実施形態3の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の鋼成分は、重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる。
Cは光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板に高い調質度に加えるため、 Cは0.09重量%以上あることが望ましい。一方でC成分が0.15重量%を超えると炭化物析出量が増大し、鋼板の加工性の低下をもたらすと同時に、冷間圧延の負荷の増大、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生産性低下の原因となる。そのため本発明ではC成分の上限値を0.15重量%とする。
Mnは不純物であるSによる熱延中の赤熱脆性を防止するために必要な成分であると同時に、上記のCと同様に鋼板に高い調質度を与えるため、Mn成分は0.25重量%以上とする。しかし、ここでもC同様に、多過ぎると冷間圧延の負荷の増大、スラブ圧延中の割れ発生、形状の劣化、連続焼鈍工程での通板性阻害等、生産性低下の原因となるため、上限値を0.60重量%とする。
Pは結晶粒微細化成分であり、また鋼板の強度を高めることから一定の割合で添加されるが、一方で耐食性を阻害する。本発明の用途としては、Pが0.03重量%を超えると耐食性、特に耐孔明性が著しく低下するため上限値を0.03重量%とする。
Sは熱延中において赤熱脆性を生じる不純物成分であり、極力少ないことが望ましいが、鉄鋼石等からの混入を完全に防止することができず、工程中の脱硫も困難なことからある程度の残留もやむをえない。少量の残留Sによる赤熱脆性はMnにより軽減できるため、S成分の上限値は0.05重量%とする。
Alは製鋼に際し脱酸剤として鋼浴中に添加されるが、0.1重量%を超えると連続鋳造時に酸化抑制剤、および、連続鋳造での鋳型への焼き付き防止剤として使用する鋳型パウダー中の酸素と過剰Alが反応し、本来のパウダー効果を阻害する。したがって、Al量は0.10重量%以下とする。
NはC、Mnと同様に鋼板に高い調質度を与える。耐力強化のために必要な成分であるが、0.001重量%未満とすることは製鋼上の困難を生じ、また一方0.0150重量%を超える添加は製鋼時に添加するフェロ窒化物の歩留の低下が著しく、安定性に欠けると同時に、成形時の異方性を著しく劣化させる。さらに連続鋳造片の表面に割れが生じ、鋳造欠陥となるため、本発明においてはN成分範囲を0.001〜0.0150重量%とする。より望ましくは0.0021〜0.0150重量%とする。
Siは多く含まれると耐食性の点で問題があり、0,03重量%以下とする。
熱間圧延
熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間仕上圧延温度の安定的確保の見地から800℃以上とするのが望ましい。熱間圧延仕上温度を800℃未満にすると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大化し、目的の強度が得られないので熱間圧延仕上温度は800℃以上とするのが望ましい。
熱間圧延工程における鋼片加熱温度は本発明において特定するものではないが、Nの積極的分解固溶および熱間仕上圧延温度の安定的確保の見地から800℃以上とするのが望ましい。熱間圧延仕上温度を800℃未満にすると、熱間鋼帯の結晶組織が混粒化するとともに粗大化し、目的の強度が得られないので熱間圧延仕上温度は800℃以上とするのが望ましい。
巻き取り温度は400℃〜650℃とする。熱延時のコイルの幅方向および長手方向の品質安定性を考慮して400℃を下限とする。また、巻取温度が650℃を超えると、熱延時および連続焼鈍時で結晶粒径が大きくなり、加工時の不良原因となるため、巻取温度は650℃以下とするのが望ましい。
冷間圧延
上記の成分系で熱延された鋼板を冷間圧延するが、この冷間圧延率は、成分とともに本発明の重要な強度因子であり、目的の強度を得るために、75%以上で行う。75%未満では、強度不足となりやすい。
上記の成分系で熱延された鋼板を冷間圧延するが、この冷間圧延率は、成分とともに本発明の重要な強度因子であり、目的の強度を得るために、75%以上で行う。75%未満では、強度不足となりやすい。
焼鈍
上記のように冷間圧延率75%以上の冷間圧延を施した材料は、クリーニング工程で脱脂を施した後、600〜720℃で30秒から10分連続焼鈍を行う。または、500〜580℃で1〜8時間箱型焼鈍を行う。これらの焼鈍時間は再結晶される範囲内であれば十分である。特に板厚0.6mm以下の場合は、連続焼鈍が望ましく、板厚0.6mmを超えた場合、箱型焼鈍が望ましい。
上記のように冷間圧延率75%以上の冷間圧延を施した材料は、クリーニング工程で脱脂を施した後、600〜720℃で30秒から10分連続焼鈍を行う。または、500〜580℃で1〜8時間箱型焼鈍を行う。これらの焼鈍時間は再結晶される範囲内であれば十分である。特に板厚0.6mm以下の場合は、連続焼鈍が望ましく、板厚0.6mmを超えた場合、箱型焼鈍が望ましい。
調質圧延
焼鈍後に圧延率1〜2%の調質圧延を施す。調質圧延の際、必要により表面粗度を付与する。圧延率が1%未満だと、ストレッチャーストレインが発生しやすく、逆に2%を超えると、加工性が劣化し、問題がある。
焼鈍後に圧延率1〜2%の調質圧延を施す。調質圧延の際、必要により表面粗度を付与する。圧延率が1%未満だと、ストレッチャーストレインが発生しやすく、逆に2%を超えると、加工性が劣化し、問題がある。
つぎに、このようにして作成した実施形態1〜3の鋼板としては、シ−ト状およびコイル状の鋼板に表面処理を施したものがあげられる。特に、表面処理として、亜鉛めっき、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、マグネシウムあるいはモリブデンの1種あるいは2種以上含んだ亜鉛合金めっきを施したもの、あるいは更にこれらのめっき表面に有機物あるいは無機物を含んだ処理液で処理したものが使える。亜鉛または亜鉛合金めっき方法として電気めっき法、溶融めっき法あるいは真空蒸着めっき法が適用できる。
有機物を含んだ処理液として、ウレタン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン及びコロイダルシリカを含んだ溶液、あるいはウレタン系樹脂、アミン系防腐剤及びコロイダルシリカを含んだ溶液を用いることができる。
無機物を含んだ処理液として、ケイ酸またはケイ酸塩と水酸化リチウムを含んだ溶液、リン酸亜鉛などのリン酸塩を含んだ溶液あるいはクロム酸を含んだ溶液を用いることができる。
有機物あるいは無機物を含んだ処理液を用いて処理する場合、浸漬方法、浸漬後絞りを行う方法、ロールコート方法、スプレーコート法等公知の処理方法が適用できる。クロム酸を含んだ溶液で処理する場合、電解処理により行っても良い。
無機物を含んだ処理液として、ケイ酸またはケイ酸塩と水酸化リチウムを含んだ溶液、リン酸亜鉛などのリン酸塩を含んだ溶液あるいはクロム酸を含んだ溶液を用いることができる。
有機物あるいは無機物を含んだ処理液を用いて処理する場合、浸漬方法、浸漬後絞りを行う方法、ロールコート方法、スプレーコート法等公知の処理方法が適用できる。クロム酸を含んだ溶液で処理する場合、電解処理により行っても良い。
本発明である実施例と比較例について、表1に鋼成分と圧延率などの製造条件を示し、表2にその特性評価結果を示す。実施例1〜5は実施形態1に関し、実施例6〜8は実施形態2に関し、実施例9〜12は実施形態3に関するものです。実施例1〜12と比較例1〜4は鋼片を熱間圧延、酸洗、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延して、表面処理を行った。表1において、仕上温度及び巻取温度は、熱間圧延条件であり、圧延率は、冷間圧延時の圧延率であり、加熱温度は連続焼鈍時の均熱温度である。均熱温度は50秒間保持した。表面処理として、亜鉛ー1重量%コバルトー0.1重量%モリブデンめっきを両面に10g/m2行い、水系ウレタン樹脂を固形分として300g/L、アミン系防錆剤を50g/L、水分散シリカを250g/Lを含んだ処理液に亜鉛ー1重量%コバルトー0.1重量%モリブデンめっきした鋼板を浸漬した。浸漬後ロールで絞って、乾燥後の厚みが0.5μmとなるように90℃で乾燥し、表面処理鋼板を得た。
<機械特性の評価>
実施例1〜12と比較例1〜4について、JIS5号試験片にして、表2に示すYp(降伏点強度)、TS(抗張力)、TEl(伸び)を測定した。
<硬度(HR−30T)の測定>
ロックウエル硬度計でHR−30Tを測定した。
<バネ性評価>
図1は、ばね性を評価するための試験法である圧縮試験の工程を示す。図1の(a)は、加工ビード部の圧縮前の状態を示し、同図(b)は、圧縮荷重を負荷した状態を示し、同図(c)は、圧縮荷重を除荷した状態を示す。図1に示すように、圧縮試験機にてビード部に上方から圧縮荷重を負荷した。荷重除荷後、圧縮量(T)に対し復元量(T1)が30%を超えたものを、ばね性が合格(表2において判定の欄に○で表示)とし、一方、30%以下の場合は、バネ性が不合格(表2において判定の欄に×で表示)として評価した。
実施例1〜12と比較例1〜4について、JIS5号試験片にして、表2に示すYp(降伏点強度)、TS(抗張力)、TEl(伸び)を測定した。
<硬度(HR−30T)の測定>
ロックウエル硬度計でHR−30Tを測定した。
<バネ性評価>
図1は、ばね性を評価するための試験法である圧縮試験の工程を示す。図1の(a)は、加工ビード部の圧縮前の状態を示し、同図(b)は、圧縮荷重を負荷した状態を示し、同図(c)は、圧縮荷重を除荷した状態を示す。図1に示すように、圧縮試験機にてビード部に上方から圧縮荷重を負荷した。荷重除荷後、圧縮量(T)に対し復元量(T1)が30%を超えたものを、ばね性が合格(表2において判定の欄に○で表示)とし、一方、30%以下の場合は、バネ性が不合格(表2において判定の欄に×で表示)として評価した。
表1と表2より、実施例1〜12は、TS(抗張力)とYp(降伏点強度)が大きく、高強度で優れた材料特性を有する。バネ性の評価において、実施例1〜12はいずれも荷重除荷後、圧縮量(T)に対し復元量(T1)が30%を超え、バネ性が良好であった。従って、実施例1〜12は光学ピックアップ部品のカバー材として適用できる。
比較例1〜4は、強度(TS)が小さく、また、バネ性において、比較例1〜4はいずれも荷重除荷後、圧縮量(T)に対し復元量(T1)が30%以下であり、バネ性の点で問題があった。このように、比較例1〜4はいずれも光学ピックアップ部品のカバー材として適用できない。
比較例1〜4は、強度(TS)が小さく、また、バネ性において、比較例1〜4はいずれも荷重除荷後、圧縮量(T)に対し復元量(T1)が30%以下であり、バネ性の点で問題があった。このように、比較例1〜4はいずれも光学ピックアップ部品のカバー材として適用できない。
本発明の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板は機械的特性およびバネ性に優れ、光学ピックアップ部品のカバー材として使用できる。高価なステンレス鋼板の代替として使用可能なので、安価な光学ピックアップ部品のカバー材が提供できる。
Claims (15)
- 重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
- 光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板を構成する鋼板が、重量%で、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.05〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
- 前記鋼板は、平均粒径が5μm〜12μmのフェライトと、平均粒径が5μm以下のマルテンサイトであって体積率が30%以下のマルテンサイトからなる組織を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
- 重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
- 重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる鋼板の表面に表面処理層を有することを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
- 前記表面処理層がZnあるいはZn合金めっきであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
- 重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、その後700℃以上の連続焼鈍または550℃以上の箱型焼鈍を行い、更に圧延率60%以下の2次圧延または調質圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 重量%で、C:0.03〜0.20%、Si:≦0.5%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.1%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0160%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、平均結晶粒径が5μm以下になるように熱間圧延し、酸洗後、圧延率が30〜90%の冷間圧延を施し、その後連続焼鈍または箱型焼鈍を行い、その後圧延率60%以下の2次圧延を施し、その後、700℃以上の連続焼鈍または550℃以上の箱型焼鈍を行い、更に、圧延率60%以下の3次圧延または調質圧延を施し、更にその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 前記光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板を構成する鋼板が、重量%で、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.005〜0.1%およびB:0.001〜0.01%の内、1種または2種を更に含有することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S:≦0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率50〜90%の冷間圧延し、さらにその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 重量%で、C:0.08〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:≦0.06%、S≦:0.06%、Al:≦0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率50〜90%の冷間圧延を施し、連続焼鈍で630〜870℃または、バッチ焼鈍で500〜750℃で焼鈍を行い、その後、調質圧延を施し、さらにその表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 重量%で、C:0.09〜0.15%、Si:≦0.03%、Mn:0.25〜0.60%、P:≦0.03%、S:≦0.05%、Al:0.03〜0.1%、N:0.0010〜0.0150%、残部Feおよび不可避的な不純物よりなる連続鋳造鋳片を、熱間圧延、酸洗、圧延率が75%以上の冷間圧延、焼鈍、調質圧延し、更に表面にZnあるいはZn合金めっきを施すことを特徴とする光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板を用いて製造されてなる光学ピックアップ部品のカバー材
- 請求項7乃至13のいずれか1項に記載の光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板の製造方法を用いて製造されてなる光学ピックアップ部品のカバー材用表面処理鋼板。
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