JP2007320466A - 車両用センサ付き転がり軸受装置 - Google Patents

車両用センサ付き転がり軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 自動車のブレーキ操作時に、最大制動力を利用した制御を可能とする車両用センサ付き転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】 センサ装置2は、超音波センサと、超音波センサの出力に基づいてタイヤ接地荷重の前後方向成分を求める前後荷重演算手段32と、タイヤ接地荷重の前後方向成分に基づいて車輪に与えるべきブレーキ力を演算するブレーキ力演算手段34とを備えている。ブレーキ力演算手段34は、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量を求める前後力変化量演算部35と、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量に所定係数をかけることによりブレーキ力制御のための信号を作成する信号作成部36とを有している。
【選択図】 図7

Description

この発明は、車両用転がり軸受とその各種情報を検出するセンサ装置とが一体化された車両用センサ付き転がり軸受装置に関する。
自動車においては、車両衝突回避等に、ブレーキの効き具合が極めて重要である。制動距離の短縮は車両の事故減少につながるため、アンチスキッド制御装置(ABS)が実車搭載され、普及している。たとえば、特許文献1には、車輪速度センサと、車輪のブレーキ油圧を調節するアクチュエータと、電子制御回路とを備え、車輪のスリップ率を適切に制御するアンチスキッド制御装置が開示されている。所定のスリップ率において制動力が最大値となることはよく知られており、アンチスキッド制御装置では、制動力を最大とするスリップ率を得るための制御が行われる。
特開平05−208670号公報
上記のアンチスキッド制御装置では、制動距離を短縮するためには、最大制動力が得られるスリップ率とすればよいが、最大制動力に対応するスリップ率は路面とタイヤの条件により変化し、車輪速度センサによる車輪の回転数計測のみでは、路面の状態を反映できないため、理想的な最大制動力を得ることは極めて難しいものとなっている。
この発明の目的は、自動車のブレーキ操作時に、最大制動力を利用した制御を可能とする車両用センサ付き転がり軸受装置を提供することにある。
この発明による車両用センサ付き転がり軸受装置は、固定側軌道部材、回転側軌道部材および転動体を有する転がり軸受と、センサ装置とを備えている 車両用センサ付き転がり軸受装置において、センサ装置は、転がり軸受の固定側軌道部材に取り付けられてタイヤ接地荷重の前後方向成分と相関関係がある物理量を検出する荷重検出用センサと、荷重検出用センサの出力に基づいてタイヤ接地荷重の前後方向成分を求める前後荷重演算手段と、タイヤ接地荷重の前後方向成分に基づいて車輪に与えるべきブレーキ力を演算するブレーキ力演算手段とを備えていることを特徴とするものである。
荷重検出用センサとしては、荷重センサ、歪みセンサ、応力センサ、変位センサなどと称されている種々のものが使用可能である。タイヤ接地荷重の前後方向成分を求めるには、荷重検出用センサを固定側軌道部材の前部および後部(頂部と底部とのちょうど中間)にそれぞれ配置することが好ましい。この場合、前側のセンサの出力をQf、後側のセンサの出力をQrとして、(Qr−Qf)とタイヤ接地荷重の前後方向成分との相関を予め求めておき、センサの出力をリアルタイムで処理して(Qr−Qf)を求め、これをタイヤ接地荷重の前後方向成分に換算すればよい。
タイヤ接地荷重の前後方向成分は、制動力と比例関係にあるので、ブレーキ力演算手段においては、スリップ率は考慮せずに、タイヤ接地荷重の前後方向成分を最大にするという観点からブレーキ力が求められる。すなわち、荷重検出用センサで車輪に作用する前後力をリアルタイムで検出し、その制動力が常に最大となるように、ブレーキの効き具合(制動力)が調整される。
ブレーキ力演算手段は、例えば、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量を求める前後力変化量演算部と、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量に所定係数をかけることにより、変化量が正であればブレーキ力を増加し、変化量が負であればブレーキ力を減少する信号を作成する信号作成部とを有しているものとされる。
このようにすると、制動力は、最大制動力を中心とした狭い範囲で変動することになり、常にほぼ最大制動力での制御が可能となる。
ブレーキ力演算手段の別の形態として、ドライバーによるペダルの踏み具合を検知するセンサと、センサの出力からペダル動作による制動力を演算する手段とをさらに有しているようにしてもよい。
このようにすると、タイヤ接地荷重の前後方向変化に基づいて制動力を演算することを可能にしながら、ドライバーのブレーキペダルを用いた操作に起因する制動力を同時にセンシングすることができる。こうして、2つの制動力をリアルタイムに識別できるようにすることにより、最適なブレーキ力を保持することができる。
荷重検出用センサは、各転がり軸受ごとに少なくとも3つ設けられており、センサ装置は、各転動体荷重に基づいてタイヤ接地荷重の上下方向成分および左右方向成分を求める上下方向および左右方向荷重演算手段をさらに備えていることが好ましい。
荷重検出用センサは、前後荷重を得るためだけであれば、各転がり軸受ごとに1つ(固定側軌道部材の前後いずれか一方、好ましくは、前後両方の2つ)ずつ取り付ければよい。しかしながら、荷重検出用センサは、たとえば、転がり軸受の頂部、底部、前部および後部の計4カ所に設けられ、これら4つのデータから転がり軸受に作用する荷重の3方向分力(上下方向荷重、前後方向荷重および左右方向荷重)が求められるようにすることが好ましい。なお、荷重検出用センサは、等分配でかつ上記配置以外の4カ所に設けるようにしてもよい。3方向分力を求める場合、荷重検出用センサは、頂部および底部のいずれか一方を省略して、3つとしてもよいし、円周上の任意の位置に等配分で3つ配置してもよい。また、円周上の任意の位置に等配分で5つ以上配置してもよく、荷重検出用センサの配置は、必ずしも等配でなくてもよい。荷重検出用センサの数は、必要とする荷重(モーメントを含む)の数に応じて適宜変更される。
センサは、例えば、固定側軌道部材と転動体との接触部からの超音波のエコーを検知する超音波センサであり、センサ装置は、転がり軸受ごとに転動体に作用する荷重とエコー強度との相関関係を利用して超音波センサの出力から転動体に作用する荷重を求める転動体荷重演算手段をさらに備えており、前後荷重演算手段は、転動体荷重に基づいてタイヤ接地荷重の前後方向成分を求めるものとされる。
この場合、転動体荷重演算手段は、転動体荷重と以下の式で求められるエコー比との相関関係を利用して転動体荷重を求めるものであることが好ましい。
エコー比=100×(H0−H1)/H0
H0:転動体が超音波センサから半ピッチ離れたときのエコー強度
H1:転動体が超音波センサ直下に位置するときのエコー強度
タイヤに接地荷重が作用すると、ハブユニット(車両用転がり軸受)各部には接地荷重に応じた荷重が作用し、この荷重変化によって固定側軌道部材と転動体との接触面積が変化する。超音波センサによると、接触面積の大きさに対応して検知されるエコー比が変化するので、予め転動体荷重変化またはタイヤ接地荷重変化とエコー比との関係を求めておくことにより、エコー比から転動体荷重またはタイヤ接地荷重を求めることができる。こうして、被検知部(固定側軌道部材と転動体との接触部)への加工を施すことなく転動体荷重またはタイヤ接地荷重を求めることができる。
超音波センサは、例えば、外周におねじ部が形成された筒状のケースおよびケース内に配置された振動子を有しており、固定側軌道部材に設けられた有底のめねじ部に、ケースのおねじ部がねじ込まれることで、ケース先端に所定の予荷重が設定されていることが好ましい。超音波センサで得られる反射エコーの強度は、センサの取付方、取付面の粗さ、接触媒質の相違、センサの押し付け力によって変化するので、おねじ部のねじ込み量を変化させることによって、所定箇所におけるエコー強度を所定値に設定することができ、これにより、荷重検出の精度を向上させることができる。超音波センサは、エコー強度を所定値に設定することができる種々の方法により取付け可能であり、例えば、超音波センサは、固定側軌道部材に取り付けるためのフランジ部を有する筒状のケースおよびケース内に配置された振動子を有しており、固定側軌道部材に設けられた有底のめねじ部に、フランジ部に設けられたボルト挿通孔から挿通されたボルトがねじ込まれることで、ケース先端に所定の予荷重が設定されているようにしてもよい。
転動体荷重から転がり軸受に作用する荷重を求める式として、センサ装置の処理手段には、例えば下記式(1)が設けられる。
f1=a+bFy+cFz+dMx
f2=a+bFy+cFx+dMz
f3=a+bFy−cFz−dMx
f4=a+bFy−cFx−dMz ……… 式(1)
f5=a−bFy+cFz−dMx
f6=a−bFy+cFx−dMz
f7=a−bFy−cFz+dMx
f8=a−bFy−cFx+dMz
ただし、a:転がり軸受の予圧による転動体荷重、b,c,d:外力に依存しない係数、Fx,Fy,Fz:荷重の前後(x軸)方向成分、左右(y軸)方向成分および上下(z軸)方向成分、Mx,Mz:x軸、z軸回りのモーメント、f1〜f8:各センサでの転動体荷重。
転動体荷重と転がり軸受に作用する外力との関係は、軸受計算理論に基づいて計算可能であり、転動体荷重と転がり軸受に作用する外力との関係は、ほぼ線形関係を有している。上記式(1)は、この理論計算結果を基に多重解析を行うことにより、得られたものである。
なお、荷重の各軸方向の成分(3方向分力)および各軸回りのモーメント(3方向モーメント)を合わせたものを、以下では「6分力」と称す。
上記の式(1)の関係を利用することにより、荷重の6分力を精度よく求めることができる。センサの数および処理手段の構成については、センサの数の増加に伴うコスト増も考慮して種々の対応が可能である。車両用センサ付き転がり軸受装置では、車輪に関して成り立つ式を加えて、次のような処理手段の構成が可能である。
例えば、センサの数が4つとされ、処理手段は、式(1)のうちの適宜な4つの式、下記式(2)および下記式(3)から転がり軸受に作用する6分力を求めるものとされる。
Mx=r×Fy+e×Fz ……… 式(2)
ただし、r:車輪転がり半径、e:y軸方向におけるFzの作用点と転がり軸受中心のずれ。
My=r×Fx ……… 式(3)
ただし、My:y軸回りのモーメント。
なお、上記式(1)は、転動体荷重と転がり軸受に作用する外力との関係を示す式であるので、転動体荷重と超音波センサで得られるエコー比との関係とを求めることにより、転がり軸受に作用する外力とエコー比との関係を求めるようになっている。すなわち、2つの相関関係を求める必要があり、誤差が大きくなる可能性がある。そこで、これに代えて、超音波センサで測定されたエコー比を用いて転がり軸受に作用する荷重が求められており、そのための式として、処理手段に下記式(4)〜式(6)が設けられているようにしてもよい。
j1=k+lFy+mFz+nMx
j2=k+lFy+mFx+nMz
j3=k+lFy−mFz−nMx
j4=k+lFy−mFx−nMz ……… 式(4)
j5=k−lFy+mFz−nMx
j6=k−lFy+mFx−nMz
j7=k−lFy−mFz+nMx
j8=k−lFy−mFx+nMz
Mx=r×Fy+e×Fz ……… 式(5)
My=r×Fx ……… 式(6)
ただし、k:転がり軸受の予圧によるエコー比、l,m,n:外力に依存しない係数、Fx,Fy,Fz:荷重の前後(x軸)方向成分、左右(y軸)方向成分および上下(z軸)方向成分、Mx,My,Mz:x軸、y軸、z軸回りのモーメント、j1〜j8:各センサ位置でのエコー比、r:車輪転がり半径、e:y軸方向におけるFzの作用点と転がり軸受中心のずれ。
この発明の車両用センサ付き転がり軸受装置によると、自動車のブレーキ操作時に、最大制動力を利用した制御が可能となり、スリップ率制御に比べて、制動距離の短縮が可能なる。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
図1から図3までは、この発明の車両用センサ付き転がり軸受装置の1実施形態を示している。以下の説明において、左右は図1の左右をいうものとする。なお、左が車両の内側に、右が車両の外側となっている。
この車両用センサ付き転がり軸受装置は、車両用転がり軸受(「ハブユニット」と称されることもある)(1)と、タイヤの接地荷重を検出するセンサ装置(2)とを備えている。
転がり軸受(1)は、車体側に固定される固定側軌道部材(3)、車輪が取り付けられる回転側軌道部材(4)、両部材(3)(4)の間に2列に配置された複数の転動体である玉(5)、および各列の玉(5)をそれぞれ保持する保持器(6)を備えている。
固定側軌道部材(3)は、軸受の外輪(固定輪)機能を有しているもので、内周面に2列の外輪軌道が形成されている円筒部(12)と、円筒部(12)の左端部近くに設けられて懸架装置(車体側部分)にボルトで取り付けられるフランジ部(13)とを有している。
回転側軌道部材(4)は、第1の軌道溝(15a)を有する大径部(15)および第1の軌道溝(15a)の径よりも小さい外径を有する小径部(16)を有している内軸(14)と、内軸(14)の小径部(16)外径に嵌め止められて右面が内軸(14)の大径部(15)左面に密接させられている内輪(17)とからなる。内軸(14)の右端近くには、車輪を取り付けるための複数のボルト(19)が固定されたフランジ部(18)が設けられている。内輪(17)の右部には、内軸(14)の軌道溝(15a)と並列するように、軌道溝(17a)が形成されており、内輪(17)の左部に肩部(17b)が形成されている。固定側軌道部材(3)の右端部と内軸(14)との間には、シール装置(20)が設けられている。内軸(14)の小径部(16)の左端部には、おねじ部が設けられており、このおねじ部にねじ合わされたナット(21)によって、内輪(17)が内軸(14)に固定されている。固定側軌道部材(3)の左端部には、カバー(22)が被せ止められている。内輪と内軸の固定方法としては、図示しないが、内軸の端部を塑性変形させて、かしめ止めしてもよい。
センサ装置(2)は、固定側軌道部材(3)と内列の玉(5)との間に作用する力(以下「転動体荷重」と称す)を検出する超音波センサ(Sti)(Sbi)と、外列の玉(5)の転動体荷重を検出する超音波センサ(Sto)(Sbo)と、これらの超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)の出力を処理する処理手段(図7参照)とを備えている。
超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)は、図1に示されている固定側軌道部材(3)の最上部=頂部(Sti)(Sto)(図2にAで示す位置)および固定側軌道部材(3)の最下部=底部(Sbi)(Sbo)(図2にDで示す位置)のほかに、固定側軌道部材(3)の上下の中間部の後側=後部(図2にBで示す位置)および固定側軌道部材(3)の上下の中間部の前側=前部(図2にCで示す位置)にもそれぞれ設けられている。ただし、超音波センサの個数および配置は、これに限定されるものではない。
超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)は、振動子から出力された超音波の反射波を受信部で受けることにより、図4に示すような反射エコーを求めるもので、その出力は、以下に示すエコー比として求められる。
エコー比=100×(H0−H1)/H0
H0:転動体が超音波センサから半ピッチ離れたときのエコー強度
H1:転動体が超音波センサ直下に位置するときのエコー強度
このエコー比は、転動体荷重と図6に示す関係を有しており、これを利用してエコー比から転動体荷重を求めることができる。玉(5)に作用する荷重が大きいと、接触面積が大きくなって反射波が小さくなることから、転動体荷重が大きい場合には、大きいエコー比が出力される。
走行する車両の速度変化、姿勢変化、ブレーキ操作などに伴って、タイヤに掛かる接地荷重が変動し、このタイヤ接地荷重変動に応じて、転動体荷重が変化する。複数のセンサを設置した場合、タイヤに作用する前後荷重、左右荷重および垂直荷重の成分ごとにそれぞれセンサへの影響度が異なっており、予め、前後荷重がかかった場合の転動体荷重およびこれに対応するエコー比、左右荷重がかかった場合の転動体荷重およびこれに対応するエコー比、ならびに垂直荷重がかかった場合の転動体荷重およびこれに対応するエコー比を求めておくことにより、超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)で得られたエコー比よりタイヤ接地荷重の3方向分力を求めることができる。
センサ装置(2)の処理手段には、エコー比の式、各超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)から得られたエコー比からそのセンサ位置の転動体荷重を求める式、これらの転動体荷重からタイヤ接地荷重の上下方向成分、前後方向成分および左右方向成分を求める式などが蓄えられている。
複数の箇所にセンサを設置して接地荷重の各分力をそれぞれ分離して求めようとした場合、他の分力の影響による誤差が生じやすいものとなるが、上記のように、超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)の設置箇所を固定側軌道部材(3)の頂部、底部、前部および後部のそれぞれ内側および外側の計8カ所とすることにより、3方向分力を精度よく求めることができるとともに、前後軸回りのモーメントおよび上下軸回りのモーメントを求めることもできる。
超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)は、図3に示すように(頂部内側のものを図示)、外周におねじ部(51a)が形5成された筒状のケース(51)およびケース(51)内に配置された振動子(52)を有しており、玉(5)と固定側軌道部材(3)の軌道溝(3a)との接触面に直角の方向から臨まされている。固定側軌道部材(3)には有底のめねじ部(3b)が設けられており、ケース(51)のおねじ部(51a)のねじ込み量が調整可能とされている。ケース(51)の先端面とめねじ部(3b)の底面と間には、超音波センサ(Sti)先端部を保護するためのゴム製クッションシート(53)が介在させられている。ケース(51)のおねじ部(51a)の基端側部分には、ケース(51)の回り止めのためのナット(54)がねじ合わされている。ナット(54)と固定側軌道部材(3)との間には、めねじ部(3b)への水の浸入を防止するOリング(55)が介在させられている。
超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)で得られるエコーの強度(エコー振幅)は、センサの取付方、取付面の粗さ、接触媒質の相違により大きく変化する。図5は、取付面粗さとエコー振幅との関係を示しており、このグラフから、取付面が粗くなると、エコー振幅が小さくなることが分かる。また、エコーの強度は、センサの押し付け力によっても変化する。このため、エコー比と転動体荷重との関係が超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)ごとにばらつき、タイヤ接地荷重検出の精度が低下する可能性がある。
図3に示した超音波センサ(Sti)によると、ケース(51)のおねじ部(51a)のねじ込み量を変化させることによって、センサ(Sti)の押し付け力を変化させることが可能であり、したがって、図4に示すエコー波形を見ながら、ねじ込み量を微調整することによって、エコー強度H0を変化させ所定値に設定することができる。これにより、超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)ごとのエコー比と転動体荷重との関係のばらつきが抑えられ、タイヤ接地荷重検出の精度を向上させることができる。
以下に、図7を参照して、荷重検出方法およびこの方法で得られるタイヤ接地荷重の前後方向成分(前後荷重)を利用した制動力制御方法について説明する。
まず、軸受計算理論に基づいて計算した負荷時の転動体荷重と転がり軸受に作用する外力(荷重およびモーメント)の関係は、次式で表せる。
f1=a+bFy+cFz+dMx
f2=a+bFy+cFx+dMz
f3=a+bFy−cFz−dMx
f4=a+bFy−cFx−dMz ……… 式(1)
f5=a−bFy+cFz−dMx
f6=a−bFy+cFx−dMz
f7=a−bFy−cFz+dMx
f8=a−bFy−cFx+dMz
ただし、a:転がり軸受の予圧による転動体荷重、b,c,d:外力に依存しない係数、Fx,Fy,Fz:荷重の前後(x軸)方向成分、左右(y軸)方向成分および上下(z軸)方向成分、Mx,Mz:x軸、z軸回りのモーメント、f1〜f8:超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)の出力から得られる転動体荷重であり、f1は、頂部内側のセンサ(Sti)の出力によるもの、f2は、後部内側のセンサの出力によるもの、f3は、底部内側のセンサ(Sbi)の出力によるもの、f4は、前部内側のセンサの出力によるもの、f5は、頂部外側のセンサ(Sto)の出力によるもの、f6は、後部外側のセンサの出力によるもの、f7は、底部外側のセンサ(Sbo)の出力によるもの、f8は、前部外側のセンサの出力によるもの。
式(1)の関係を用いることは、従来知られておらず、この関係を利用することで、転動体荷重から転がり軸受に作用する外力を簡易に求めることができる。
一方、車輪(タイヤ)の場合は、次式が成立する。
Mx=r×Fy+e×Fz ……… 式(2)
ただし、r:車輪転がり半径、e:y軸方向におけるFzの作用点と転がり軸受中心のずれ。
My=r×Fx ……… 式(3)
ただし、My:y軸回りのモーメント。
上記式から分かるように、式(1)のf1およびf3と式(2)を用いれば、左右方向成分Fyおよび上下方向成分Fzを求めることができる。すなわち、f1+f3とすることにより、Fyが求まり、f1−f3とすることにより、FzとMxとが含まれる一次式が得られ、式(2)のうちのFyが求まっているので、Fyを代入することで、式(2)もFzとMxとが含まれる一次式となり、これら2つの一次式を連立させることで、FzとMxとが求まる。
こうして、2つのセンサで、車輪に作用する荷重の上下方向成分および左右方向成分(付随的にx軸回りのモーメントも)を求めることができる。車輪に作用する荷重の上下方向成分および左右方向成分は、車両のコーナリング状態を知る上で重要な要素であり、これらを少ない数のセンサ(計2つのセンサ)で求めることで、コストパフォーマンスに優れた車両用センサ付き転がり軸受装置を得ることができる。
なお、上記においては、f1とf3とを用いたが、この組合せ以外のもの(例えばf1とf5など)を使用することも可能である。
また、f1+f7とすることにより、Mxを求め、f1−f7とすることにより、FyおよびFzの一次式を求め、これらと式(3)とを組み合わせることにより、Mx,FyおよびFzを求めることができる。そして、f2−f8とすることにより、FyおよびFxの一次式が求まるので、この一次式に既に求まっているFyを代入することにより、残るFxを求めることができる。Fxが求まればMxも求まる。また、f2+f8とすることで、Mzを求めることができる。
こうして、4つのセンサで、車輪に作用する6分力全てを求めることができ、コストパフォーマンスに優れた車両用センサ付き転がり軸受装置を得ることができる。
なお、上記においては、f1,f2,f7およびf8を用いたが、この組合せ以外のもの(例えば、f1,f2,f3およびf6)を使用することも可能である。
図7に示すように、処理手段には、上述のタイヤ接地荷重の上下方向成分Fzおよび左右方向成分Fyを求める上下方向および左右方向荷重演算手段(31)と、タイヤ接地荷重の前後方向成分Fxを求める前後方向荷重演算手段(32)と、両演算手段(31)(32)をまとめた6分力演算手段(33)の他に、前後方向荷重演算手段(32)で得られたタイヤ接地荷重の前後方向成分Fxに基づいて車輪に与えるべきブレーキ力を演算するブレーキ力演算手段(34)を備えている。
ブレーキ力演算手段(34)は、タイヤ接地荷重の前後方向成分Fxの変化量ΔFxを求める前後力変化量演算部(35)と、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量ΔFxに所定係数Kをかけることによりブレーキ力算出のための信号を作成する信号作成部(36)とを有している。
タイヤ接地荷重の前後方向成分Fxは、所定時間(1/10秒、1/100秒など)間隔でリアルタイムに求められて、最新の値Fx’がその前の値Fxと比較され、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量がΔFx=Fx’−Fxとして求められる。信号作成部(36)では、ブレーキ力をFb=K・ΔFxとして算出し、これを例えばECUのブレーキ力制御部(図示略)に送信する。Kは、予め求められる係数で、正の値とされる。この結果、変化量ΔFxが正であればブレーキ力を増加し、変化量ΔFxが負であればブレーキ力を減少するような制御が行われる。すなわち、最大制動力に達するまでは、ΔFxが正であるので、ブレーキ力も増加し、最大制動力を超えると、ΔFxが負となるので、ブレーキ力が減少する。最大制動力を超えるということは、スリップ率でいうと、最適な値よりも大きくなったということであり、ブレーキ力が減少することによって、最大制動力に復帰することになる。変化量ΔFxを求める間隔は短いので、ブレーキ力は、最大制動力となる条件を中心にして小さな範囲で振れることになり、制動力がほぼ最大制動力に維持される。これにより、制動距離を短くすることができる。
図示省略するが、ブレーキ力演算手段(34)には、ドライバーによるペダルの踏み具合を検知するセンサと、センサの出力からペダル動作による制動力を演算する手段とがさらに設けられていることが好ましい。このようにすると、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量ΔFxに基づいて制動力を演算することを可能にしながら、ドライバーのブレーキペダルを用いた操作に起因する制動力を同時にセンシングすることができる。こうして、2つの制動力をリアルタイムに識別できるようにすることにより、最適なブレーキ力を保持することができる。
なお、上記(1)から(3)までの式は、転がり軸受に作用する外力とエコー比との関係を求めるに際して、転動体荷重と外力との相関関係および転動体荷重とエコー比との相関関係を使用して2段階で求めていることになり、誤差が大きくなるおそれがある。
そこで、エコー比と転がり軸受に作用する外力との関係を直接求めておくことが好ましい。この関係は、kを転がり軸受の予圧によるエコー比とし、l、m、nを外力に依存しない係数とし、Fx,Fy,Fzは、それぞれ、荷重の前後(x軸)方向成分、左右(y軸)方向成分および上下(z軸)方向成分とし、Mx,My,Mzは、それぞれ、x軸、y軸、z軸回りのモーメントとし、j1〜j8は、超音波センサ(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo)の出力から得られるエコー比(j1は、頂部内側のセンサ(Sti)の出力によるもの、j2は、後部内側のセンサの出力によるもの、j3は、底部内側のセンサ(Sbi)の出力によるもの、j4は、前部内側のセンサの出力によるもの、j5は、頂部外側のセンサ(Sto)の出力によるもの、j6は、後部外側のセンサの出力によるもの、j7は、底部外側のセンサ(Sbo)の出力によるもの、j8は、前部外側のセンサの出力によるもの)として、次のようになる。
j1=k+lFy+mFz+nMx
j2=k+lFy+mFx+nMz
j3=k+lFy−mFz−nMx
j4=k+lFy−mFx−nMz ……… 式(4)
j5=k−lFy+mFz−nMx
j6=k−lFy+mFx−nMz
j7=k−lFy−mFz+nMx
j8=k−lFy−mFx+nMz
上記式を用いた6分力の演算方法を以下に説明する。6分力を求めるに際しては、上記関係に加えて、車輪(タイヤ)の場合に、次式が成立することを利用する。
Mx=r×Fy+e×Fz ……… 式(5)
My=r×Fx ……… 式(6)
ここで、r:車輪転がり半径、e:y軸方向におけるFzの作用点と転がり軸受中心のずれ
これらの2つの式を使用することで、j1〜j8の式のうちの4式を使えば、6分力を求めることができる。
なお、図3に示す超音波センサの取付け構造は、一例であり、これに限定されるものではなく、図8に示すようなものとすることもできる。図8において、固定側軌道部材(23)には、断面が二等辺直角三角形状のセンサ設置用突出部(42)がその直角部分が突出部(42)先端に来るように設けられている。そして、この突出部(42)の直角部分を挟む二面に超音波センサ(Sti)(Sto)がそれぞれ取り付けられている。この取付け構造は、図3に拡大して示したものと同じであるので、図3と同じ構成に同じ符号を付してその説明は省略する。この実施形態によると、突出部(42)により、センサ設置箇所が補強されるため、センサ設置に伴う強度低下が防止される。突出部(42)は、センサ設置位置(固定側軌道部材(23)の最上部、最下部および上下の中間部)にだけ設けられてもよく、周方向に連続するように(断面形状が一定に限られるものではない)設けられてもよい。
図1は、この発明による車両用センサ付き転がり軸受装置の第1実施形態を示す縦断面図である。 図2は、同側面図である。 図3は、超音波センサの取付け構造を示す図1の要部の拡大縦断面図である。 図4は、超音波センサで得られるエコーの波形の一例を示す図である。 図5は、超音波センサで得られるエコー振幅と取付面粗さとの関係を示すグラフである。 図6は、超音波センサで得られるエコー比と転動体荷重との関係を示すグラフである。 図7は、この発明による車両用センサ付き転がり軸受装置の処理手段を示すブロック図である。 図8は、超音波センサの取付け構造の他の実施形態を示す図3に相当する拡大縦断面図である。
符号の説明
(1) 車両用転がり軸受
(2) センサ装置
(3) 固定側軌道部材
(4) 回転側軌道部材
(5) 玉(転動体)
(Sti)(Sto)(Sbi)(Sbo) 超音波センサ(荷重検出用センサ)
(23) 固定側軌道部材
(31) 上下方向および左右方向荷重演算手段
(32) 前後方向荷重演算手段
(34) ブレーキ力演算手段
(35) 前後力変化量演算部
(36) 信号作成部

Claims (3)

  1. 固定側軌道部材、回転側軌道部材および転動体を有する転がり軸受と、センサ装置とを備えている 車両用センサ付き転がり軸受装置において、
    センサ装置は、転がり軸受の固定側軌道部材に取り付けられてタイヤ接地荷重の前後方向成分と相関関係がある物理量を検出する荷重検出用センサと、荷重検出用センサの出力に基づいてタイヤ接地荷重の前後方向成分を求める前後荷重演算手段と、タイヤ接地荷重の前後方向成分に基づいて車輪に与えるべきブレーキ力を演算するブレーキ力演算手段とを備えていることを特徴とする車両用センサ付き転がり軸受装置。
  2. ブレーキ力演算手段は、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量を求める前後力変化量演算部と、タイヤ接地荷重の前後方向成分の変化量に所定係数をかけることにより、変化量が正であればブレーキ力を増加し、変化量が負であればブレーキ力を減少する信号を作成する信号作成部とを有している請求項1の車両用センサ付き転がり軸受装置。
  3. 荷重検出用センサは、各転がり軸受ごとに少なくとも3つ設けられており、センサ装置は、各荷重検出用センサの出力に基づいてタイヤ接地荷重の上下方向成分および左右方向成分を求める上下方向および左右方向荷重演算手段をさらに備えている請求項1の車両用センサ付き転がり軸受装置。
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