JP2007319924A - アルミニウム製品のろう付け用連続炉及びろう付け方法 - Google Patents

アルミニウム製品のろう付け用連続炉及びろう付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウム製品を複数段重ね、炉内雰囲気ガスの送風速度をある程度上げても、段と最下段のアルミニウム製品では加熱温度の差が生じることなく、ろう付け炉内の炉内雰囲気ガスの濃度にばらつきを少なくし、フラックスの酸化抑制を阻害することなく、均一な加熱を可能とするアルミニウム製品のろう付け連続炉を実現する。
【解決手段】ろう付け炉20の炉内壁30の少なくとも一部を炭素質材料で形成し、ろう付け炉20内に設けたファンによって、炉内雰囲気ガスを炭素質材料の内面と接触させて反応させ、ろう付け炉20内の酸素濃度を低く保ち、開口を有する隔壁31により長手方向に第1ゾーン32と第2ゾーン33に仕切られ第1ゾーン32に設けられた第1のファン37と、第2ゾーン33に設けられた第2のファン42を有し、第1のファン37と第2のファン42は、アルミニウム製品28に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金を含むアルミニウム製品(例えばアルミニウム製熱交換器等)のろう付け用連続炉及びろう付け方法に関し、特に、ろう付け用連続炉における予熱炉及び加熱炉等の構造、並びに予熱やろう付け加熱における加熱方法に関する。
従来、アルミニウム製品のろう付けに、連続雰囲気炉が使用されている。連続雰囲気炉は、その中を循環するメッシュベルトによって、アルミニウム製品は炉内へ搬送されて、順次に前室、予熱炉、加熱炉、冷却室、衝風冷却室を通って、ろう付けが完了する。加熱炉において、アルミニウム製品のろう付けされる部分のろう材とフラクッスが、先ずフラクッス、次にろう材の順で溶けて、製品がろう付けされる。
製品が良好にろう付けされるためには、加熱炉へ搬送された製品全体がいち早く均一にろう付け温度にもたらされることが、肝要である。ところが、製品全体を均一に加熱するためには、製品を相当の温度下で相当の時間保持しなければならない。そのために、加熱炉におけるろう付けに先立って、製品は予熱炉においてフラックスとろう材の融点の近傍まで均一に昇温されなくてはならない。
ところで、予熱炉内の雰囲気がフアンによって生ずる対流によって攪拌、加熱されていると、炉内へ外乱として侵入した酸素までも扇動されて、予熱炉内を対流し、炉内を汚すことになる。特に、ろう付け時の還元融解剤として働くべきフラックスが、加熱炉内でのろう付けに先立って、予熱炉内でその相当な部分が自己酸化してしまう。このため、製品が予熱炉内で急速に加熱できても、その後のろう付けに重大な支障が生じることになる。
このような問題を解決するために、予熱炉の炉内壁の内面をグラファイト等の炭素質で形成し、炉内を対流する窒素等の炉内雰囲気ガスを、予熱炉の炉内壁をなすグラファイト等の炭素質と接触させ、これにより、反応して微量のCOとなり、炉内雰囲気ガスの酸素濃度を低く抑えることで、フラックスの自己酸化を抑制するアルミニウム製品のろう付け用連続炉が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1記載の発明では、図1に示すように、ろう付けされるアルミニウム製品は、メッシュベルト1によって搬送されて、順次に水分乾燥炉4、前室5、予熱炉6、加熱炉8、冷却室9、衝風冷却室10を通過し、アルミニウム製品は、加熱炉8でろう付けされる前に、予熱炉6で予熱される。
予熱炉6は、図2に示すように、その炉内壁11は、グラファイトで作られており、往路のメッシュベルト1を覆うように、ステンレス鋼製のバッフル12が設けられ、このバッフル内に開口する窒素ガス導入パイプ13が設けられている。そして、モータ7にて回転されるフアン15は、炉の長手方向で間隔をおいて2個設けられている。
上記引用文献1記載の発明によれば、予熱炉の炉内壁の内面をグラファイト等の炭素質で炉内を対流する窒素等の炉内雰囲気ガスの酸素濃度を低く抑えることができ、フラックスの自己酸化を抑制することができ、また従来、炉壁をステンレスで形成した場合に較べ、金属不純物等が生じることがないので、ファンによる炉内雰囲気ガスの対流する速度を上げることができる等の効果が生じる。
特開2004−50223号公報
ところで、近年、このようなろう付け用連続炉については、需用者からの作業時間のスピード化、炉(特に炉の長さ)のコンパクト化、加熱に要するエネルギー消費量の低減化等の要請がある。これに対して次のような解決手段が考えられる。
(1)ろう付けされるべきアルミニウム製品を1段ではなく、治具等で締着されたアルミニウム製品を2段、3段と複数段、積み重ねて処理量を増加する。
(2)ファンによる炉内雰囲気ガスの送風速度(風速)を上昇させて予熱炉や加熱炉内での予熱やろう付け加熱等の加熱スピードを速める。
しかしながら、送風速度を上げると、製品間に温度差が生じる。この結果、特に、アルミニウム製品を複数段、例えば、3段重ねた場合には、最上段と最下段のアルミニウム製品では加熱温度の差が生じ、予熱炉や加熱炉の雰囲気ガス内で複数のアルミニウム製品を均一に加熱することができず、ろう付けの品質を維持するためには好ましくない。
また、炉内雰囲気ガスの送風速度をあまり上げると、炉の出入り口から空気及び炉内の不純物を巻き込んで炉内の酸素量を増加させたり、露点を上げ且つ、撹拌による酸素及び水分が製品に付着したフラックスへの接触回数を増加させ、炉内の炉内雰囲気ガスによるフラックスの酸化抑制を阻害するという問題も生じかねない。
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的とし、上記(1)及び(2)の解決手段を採用しても炉内の温度差が生じないアルミニウム製品のろう付け用連続炉及びろう付け方法を実現するものである。
本発明は上記課題を解決するために、ろう付け炉(後記するが、「予熱炉」、「加熱炉」、「予熱室と加熱室が組み合わされた炉」を総称して、本明細書及び発明では「ろう付け炉」と称する。)の炉内壁の少なくとも一部を炭素質材料で形成し、該ろう付け炉内でファンによって不活性の炉内雰囲気ガスを、上記炭素質材料と接触させて反応させ酸素濃度を低く保ちながら、メッシュベルトによって搬送されるアルミニウム製品を加熱するアルミニウム製品のろう付け用連続炉であって、 前記ろう付け炉は、開口を有する隔壁により長手方向に複数のゾーンに仕切られており、前記複数のゾーンの各ゾーン内に、それぞれ前記メッシュベルトを覆うバッフルが設けられており、前記ファンは、前記複数のゾーンのうち奇数番目のゾーンに設けられた第1のファンと、偶数番目のゾーンに設けられた第2のファンを有し、前記第1のファンと第2のファンは、前記アルミニウム製品に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風するように設けられていることを特徴とするアルミニウム製品のろう付け用連続炉を提供する。
前記奇数番目のゾーン及び前記偶数番目のゾーンのいずれか一方は、前記バッフル上に設けられたファンにより、炉内雰囲気ガスをバッフルの外側から下方に送流しバッフルの内側で上方に前記アルミニウム製品に向けて送流し、前記奇数番目のゾーン及び偶数番目のゾーンのいずれか他方は、前記バッフル上に設けられたファンにより、炉内雰囲気ガスをバッフルの内側から下方に前記アルミニウム製品に向けて送流しバッフルの外側で上方に向けて送流するようにすることが好ましい。
前記ろう付け炉は、予熱炉、ろう付け用の加熱炉、及び予熱室と加熱室から成る炉のいずれか1種類の炉又は複数種類の炉である。
連続炉におけるろう付け炉の内壁の少なくとも一部を炭素質材料で形成し、該ろう付け炉内に設けたファンによって、不活性の炉内雰囲気ガスを上記炭素質材料の内面と接触し反応させ前記ろう付け炉内の酸素濃度を低く保ちながら、該ろう付け炉内でメッシュベルトによって搬送するアルミニウム製品を加熱するアルミニウム製品のろう付け方法において、 前記ろう付け炉は、開口を有する隔壁により長手方向に偶数から成る複数のゾーンに仕切られており、前記ファンは、前記複数のゾーンのうち奇数番目のゾーンに設けられた第1のファンと、偶数番目のゾーンに設けられた第2のファンを有し、前記第1のファンと第2のファンは、前記アルミニウム製品に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風するようにすることが好ましい。
前記ファンによる炉内雰囲気ガスを送風速度は、0.5〜8m/secであることが好ましい。
本発明に係るアルミニウム製品のろう付け用連続炉及びろう付け方法は、次のような効果が生じる。
(1)アルミニウム製品を複数段、例えば3段重ねても、最上段と最下段のアルミニウム製品では加熱温度の差が生じることなく、予熱炉や加熱炉の雰囲気ガス内でアルミニウム製品を均一に加熱することができ、ろう付けの品質を維持することができる。
(2)炉内雰囲気ガスの送風速度をある程度上げても、予熱炉や加熱炉内の炉内酸素濃度は変化せず、炉内雰囲気ガスによるフラックスの酸化抑制を維持させることができ、ろう付けの品質を維持することができる。
本発明に係るアルミニウム製品のろう付け用連続炉及びろう付け方法を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
(構成)
図1及び図2は、本発明に係るアルミニウム製品のろう付け用連続炉、及びろう付け方法の実施例を説明する図である。本発明に係るアルミニウム製品のろう付け用連続炉は、その全体構成を平面図である図1(a)に示すが、図5に示す従来のろう付け用連続炉と同様に、水分乾燥炉21、前室22、予熱炉23、加熱炉24、冷却室25、及び衝風冷却室26を順次、連続的に備えている。
搬送用のメッシュベルト27が、図示しない駆動輪と従動輪間にエンドレスに設けられており、このメッシュベルト27の往路側が、ろう付け用連続炉内を走行するように構成されている。ろう付けされるアルミニウム製品28は、このメッシュベルト27によって、水分乾燥炉21から衝風冷却室26を通過するように搬送される。アルミニウム製品28は、加熱炉24でろう付けされる前に、予熱炉23で予熱される。
なお、上記ろう付け用連続炉では、予熱炉23及び加熱炉24がそれぞれ独立した炉で説明したが、予熱炉及び加熱炉が、予熱室と加熱室として、一つの炉内に設置される構成でもよい。以上、本発明の前提となるろう付け用連続炉の構成について説明したが、本発明のろう付け用連続炉及びろう付け方法の特徴を説明する。
予熱炉と加熱炉はそれぞれ、その加熱温度やその目的(予熱、ろう付け等)は異なるが、「予熱炉」、「加熱炉」及び「予熱室と加熱室を有する炉」に適用される本発明の構成は同じ構造であるので、本明細書及び発明においては、「予熱炉」、「加熱炉」及び「予熱室と加熱室を有する炉」を、それぞれ「ろう付け炉」という用語で総称することとする。
本発明のろう付け用連続炉において特徴とするろう付け炉は、その構造については後で詳述するが、その概要は、アルミニウム製品を複数段重ねて炉内に搬入しても、上下段の製品について加熱温度の差が生じることなく、均一に加熱でき、しかも炉内雰囲気ガスの送風速度をある程度上げても炉内雰囲気ガスによるフラックスの酸化抑制を維持させることができ、より多数の製品をより短い時間で品質を維持し、予熱やろう付け可能とする構成としたものである。
そして、本発明のろう付け用連続炉では、上記「ろう付け炉」の構造は、「予熱炉」、「加熱炉」及び「予熱室と加熱室を有する炉」のうちのいずれか1種類の炉について適用してもよいし、又はいずれか複数の種類の炉に適用してもよい。
(ろう付け炉の構造)
以下に説明するろう付け炉20の構成は、前述のとおり、ろう付け用連続炉において、設けられる、「予熱炉」、「加熱炉」及び「予熱室と加熱室を有する炉」のいずれか1種類又はいずれか複数種類に適用される。そして、このろう付け炉20は、炉内壁の少なくとも一部を炭素質材料で形成し、炉内でファンによって不活性の炉内雰囲気ガスを、炭素質材料と接触させて反応させ酸素濃度を低く保ちながら、メッシュベルト27によって搬送されるアルミニウム製品28を加熱する構成である。
このろう付け炉20の特徴は、開口を有する隔壁により長手方向に偶数から成る複数のゾーンに仕切られており、この複数のゾーンのうち奇数番目のゾーンに設けられた第1のファンと、偶数番目のゾーンに設けられた第2のファンは、アルミニウム製品に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風するように設けられている構成である。
偶数のゾーンの数は特に限定はされないが、2〜12ゾーン程度である。以下の実施例におけるろう付け炉は、その特徴を明確に説明するために、簡単な例として、2ゾーンを有する構成について説明する。3ゾーン以上の複数のろう付け炉を有する場合についても、基本的には、2ゾーンを構成する奇数ゾーンと偶数ゾーンを交互に設ければよいのであり、ゾーン数は異なるが、その技術思想、構成は共通である。
ろう付け炉20の全体構成の断面図を図1(b)に示す。そして、図1(b)のA−A断面及びB−B断面を、それぞれ図2(a)及び図2(b)に示す図1、2において、ろう付け炉20の炉壁本体29はセラミックファイバーと煉瓦で断面が矩形で形成されるが、炉壁本体29の内側の炉内壁30は、炭素質材料であるグラファイトで形成されている。なお、炉内壁30はその全面ではなく、その一部、グラファイトで形成されていてもよい。
ろう付け炉20は、その長手方向の中央に隔壁(枠壁)31を設け、上流側の第1ゾーン32(本発明の「奇数番目のゾーン」に相当する。)と下流側の第2ゾーン33(本発明の「偶数番目のゾーン」に相当する。)の2つのゾーンに仕切られている。この隔壁31は、第1ゾーン32と第2ゾーン33内のそれぞれにおける炉内雰囲気ガス(本実施例では「窒素ガス」を利用する。)の対流(循環流)が互いに干渉しないようにする機能を有するものである。そして、隔壁31の中央部には矩形の開口34が形成されており、この開口34を通過して、メッシュベルト27及び該メッシュベルト27上のアルミニウム製品28が、第1ゾーン32から第2ゾーン33に移動する。
第1ゾーン32及び第2ゾーン33内には、それぞれ往路 にあるメッシュベルト27を覆うように、断面が門型をしたバッフル35が設けられている。このバッフル35内に開口する窒素ガス導入パイプ43が設けられている。窒素ガス導入パイプ43は、炉内雰囲気ガスである窒素ガスをろう付け炉20内に導入するものである。この場合、導入される窒素ガスは予め予熱された窒素ガスを用いるのが望ましい。炉内壁30内に、メッシュベルト27を横切る方向で上下に複数本のラジアントチューブ36が設けられている。
第1ゾーン32では、バッフル35の上にバッフル35の開口と連通するようにシロッコファン37が設けられている。メッシュベルト27の下方にはバッフル35で支持されたガイドベーン38が設けられている。シロッコファン37は、開閉可能な蓋39を通して設けられた駆動軸40により駆動される。蓋39の上部にはモータを含む駆動機構41が設けられている。
第2ゾーン33では、バッフル35の開口と連通するように軸流ファン42が設けられている。軸流ファン42は、開閉可能な蓋39を通して設けられた駆動軸40により駆動される。蓋39の上部にはモータ等の駆動機構41が設けられている。バッフル35の開口の上部に位置するように、バッフル35で支持されたガイドベーン38が設けられている。
以上のとおり、本発明のろう付け用連続炉及びろう付け方法では、ろう付け炉20の第1ゾーン32に設けられた第1のファンと、第2ゾーン33に設けられた第2のファンは、ろう付けされるべきアルミニウム製品28に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風するように炉内雰囲気ガスを対流させることを特徴とする。
ところで、アルミニウム製品28に向けて互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送流させる構成として、上記実施例では、アルミニウム製品28に対して炉内雰囲気ガスを、第1ゾーン32ではシロッコファン37により下方から送流し、第2ゾーン33では軸流ファン42により上方から送流するように、それぞれ対流を発生させる構成としている。
しかしながら、本発明のろう付け炉20は、このような構成に限定されることはない。例えば、図1(b)に示した構成とは全く逆に、炉内雰囲気ガスを、第1ゾーン32では軸流ファン42により上方から送流し、第2ゾーン33ではシロッコファン37により下方から送流するような構成としてもよい。また、シロッコファンと軸流ファンの組み合わせでなくても、同じ種類のファン又は他の種類のファンを適宜、組み合わせた構成でもよい。
そして、繰り返しにはなるが、本発明のろう付け用連続炉では、図1(a)に示す予熱炉23及び加熱炉24のいずれか1又はその両方を上記ろう付け炉20の構成としてもよい。さらに、図1(b)に示す第1のゾーン23を予熱室として機能させ、第2のゾーン24を加熱室として機能させるろう付け炉の構成としてもよい。
(作用)
以上の構成から成るろう付け用連続炉及びろう付け方法を、作用を通して、以下さらに説明する。第1ゾーン32において、シロッコファン37によって送流される炉内雰囲気ガス(本実施例では窒素ガス)は、シロッコファン37の外周から炉内壁30に沿ってバッフル35の外側のスペースを下方に流れ、さらに、ガイドベーン38及びメッシュベルト27を通過してバッフル35の内側のスペースをシロッコファン37に向けて上昇する。
他方、第2ゾーン33において、軸流ファン42に送流される炉内雰囲気ガスは、ガイドベーン38を通過してバッフル35内を直下方に流れ、メッシュベルト27を通過して炉内壁30に沿ってバッフル35の外側のスペースを上方に流れ、軸流ファン42に向けて上昇する。
このように、第1ゾーン32では、下方から上方に向けて流れる炉内雰囲気ガスの対流が形成され、第2ゾーン33では、上方から下方に向けて流れる炉内雰囲気ガスの対流が形成される。そして、第1ゾーン32及び第2ゾーン33において、それぞれ炉内雰囲気ガスの対流は、ラジアントチューブ14によって加熱され、この加熱された炉内雰囲気ガスの対流中におかれたアルミニウム製品28を加熱(予熱炉の場合は予熱)する。また、対流する炉内雰囲気ガスは炭素質材料の内面と接触して反応し、ろう付け炉20内の酸素濃度を低く保つことができる。
第1ゾーン32では、炉内雰囲気ガスは、アルミニウム製品28に対して下方から上方に向けて流れるので、3段で積載されたアルミニウム製品28の最上段より最下段の方が高温となり温度差が生じる。他方、第2ゾーン33では、第1ゾーン32の加熱の影響を考慮しないと、炉内雰囲気ガスは、アルミニウム製品28に対して上方から下方に向けて流れるので、3段で積載されたアルミニウム製品28の最下段より最上段の方が高温となり温度差が生じる。この温度差は、送風速度を増加させるに従って顕著となる。
しかしながら、本発明では、第1ゾーン32と第2ゾーン33の炉内雰囲気ガスの対流の向きは、アルミニウム製品28に対して互いに上下方向に逆向きとしているので、第1ゾーン32と第2ゾーン33における互いの温度差が相殺されて、第2ゾーン33から搬出される際のアルミニウム製品28の最上段と最下段の温度差(ろう付け炉20内の最終到達温度の温度差)は少なくなる。一般的には、ろう付け時における温度許容差は6℃以内と言われている。
このため、治具で締着されたアルミニウム製品28を3段等複数段で積載しても、最上段と最下段を均一に加熱できる。従って、シロッコファン37及び軸流ファン42による炉内雰囲気ガスの送風速度を上げることができる。この結果、ろう付け処理を短時間で行うことができ、加熱に要するエネルギー消費量を少なくすることができる。しかも、アルミニウム製品28を複数段で積載しても均一な加熱が可能となり、ばらつきのない均一なろう付けが可能となる。
炉内雰囲気ガスの送風速度については、従来のろう付け用連続炉では、金属性のバッフル(マッフルケース)を使用していたので、許容される風速は2m/sより小さい。風速を2m/s以上の速度とすると、風速の増加により炉内ガス雰囲気中に巻き込まれる酸素により、ろう付けすべきアルミニウム製品に塗布されているフラックスが酸化され、活性化が失われてしまい、炉内ガス雰囲気中に含まれている酸素の悪影響が生じる。
本発明のろう付け用連続炉によれば、炉内壁に炭素質を利用したので、風速が2m/sを超えても金属性のバッフル(マッフルケース)を使用した従来のろう付け用連続炉のような問題が生じることなく、しかも、前記のとおり第1ゾーンと第2ゾーンでは対流の向きを逆向きとしたので、炉内雰囲気ガスの送風速度を0.5〜8m/sec程度としても、炉内雰囲気ガスの濃度分布差を少なくしフラックスの酸化を抑制しや炉内の大きな温度分布差が生じたりすることはない。
しかし、風速が8m/sを超えるとアルミニウム製品に塗布したフラックスが吹き飛ばされてしまい、又、風速が大きくなると、炉内ガス雰囲気中に含まれている酸素が微量であったとしても、酸素がフラックスと接触する量が多くなり、フラックスの活性化が失われてしまう。
(試験例)
本発明に係るろう付け用連続炉及びろう付け方法を評価し、その効果を確認するために、本発明者は上記実施例のろう付け用連続炉によって、評価試験を実施した。この評価試験では、ろう付けされるアルミニウム製品28としてアルミニウム製ラジエターを利用した。
そして、ろう付けのために、フラックスについては、通常、融点が540〜570℃のものを用いるが、本試験例では融点が560℃のフッ素化合物からなるNOCOLOK(アルキャン社の商品名)というフラックスを用いた。また、ブレージングシートについては、通常、融点が570〜590℃のブレージングシートを用いるが、本試験例では融点が580℃のものを用いた。
このようなフラックス塗布し、ブレージングシートを用い、治具により締着したアルミニウム製ラジエターを上下方向に3段積みし、メッシュベルト27上に積載して、メッシュベルト27を走行速度660mm/minでろう付け用連続炉内を搬送させた。
ろう付け炉20内の第1ゾーン32では、予熱のための炉内の設定温度を500℃、シロッコファン37のモータの電源周波数を40Hzとした。この時の風速は2.68m/sであった。第2ゾーン33では、予熱のための炉内の設定温度を580℃、軸流ファン42のモータの電源周波数を40Hzとした。この時の風速は2.63m/sであった。ろう付け炉20内の窒素流量20m/hとした。
そして、3段で積載されたアルミニウム製ラジエターについて、各段のアルミニウム製ラジエターの3カ所、合計9カ所にK熱電対により、ろう付け用連続炉を通過する際の経過時間に対する温度測定を行い、この結果得た9カ所の温度の平均値をプロットし、図3のグラフの点線で示す温度−時間曲線を得た。
一方、比較例として、本発明の上記評価試験と同じ構成のろう付け用連続炉を利用し、但し、第1ゾーン32と第2ゾーン33の炉内雰囲気ガスの対流の方向(風向き)を互いに同じとし、本発明の上記評価試験と同様の温度測定試験を実施した。なお、その他の試験条件(ろう付け炉20の設定温度、メッシュベルト27走行速度、ファンの速度等)は、本発明の上記評価試験と同じとした。この結果、比較例については、図3のグラフの実線に示す温度−時間曲線を得た。
この図3によると、ろう付け炉20内に搬入してから、ろう付けに必要な最終到達温度(ほぼ600℃)に到達し安定するまでの時間は、本発明では11.5分で、比較例では13分であり、本発明の方が短い。要するに、本発明のように炉内雰囲気ガスの対流を第1ゾーン32及び第2ゾーン33を互いに逆向きの流れとした場合は、比較例のように同じ向きの対流とした場合に比較して、昇温速度が速くなるという顕著な効果が生じることとなる。この結果、エネルギー消費量が低減でき、大きな経済効果が得られ、予熱炉や加熱炉のコンパクト化も可能となる。
図4は、図3に示す本発明と比較例の評価試験を行った結果で得た、3段のアルミニウム製ラジエターの最上段と最下段の温度差を示すグラフである。この図4中、(イ)、(ロ)に示す実線、曲線は、図3と同じ温度−時間曲線を示す。(ハ)、(ニ)は、比較例と本発明のそれぞれにおける、アルミニウム製ラジエターの最上段と最下段の温度差を示す。
ところで、ろう付けの品質を維持するために要求される製品間の温度差は、6℃が限界であるが、図4によると、最終到達温度(ほぼ600℃)となる状態では、本発明では温度差が4.6℃に収まり、比較例では9.7℃である。よって、本発明によれば、比較的均一な加熱処理が可能となり、アルミニウム製ラジエターを3段に積載しても、最上段と最下段の温度差は記品質管理上の要求を十分満たすことができる。
以上、本発明に係るろう付け用連続炉及びろう付け方法を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
以上、本発明を説明したが、本発明に係るろう付け用連続炉及びろう付け方法によれば、ろう付けの予熱処理の作業の短縮化及び予熱に要するエネルギーの低減を図ることができ、ラジエター等、アルミニウム製品のろう付け用連続炉の予熱炉、加熱炉、及びそれらの加熱方法として好適である。
本発明の実施例を示し、(a)はろう付け用連続炉の全体構成の平面図を示し、(b)はろう付け炉の断面図を示している。 図1(b)の断面図を示すものであり、(a)はA−A断面図を示し、(b)はB−B断面図を示すものである。 本発明の評価試験の結果を、比較例の試験結果と対比し、ろう付け用連続炉内のアルミニウム製ラジエターについての平均昇温速度の相違を示すグラフである。 本発明の評価試験の結果を、比較例の試験結果と対比し、ろう付け用連続炉内の3段のアルミニウム製ラジエターについての最上段と最下段の温度差(温度分布差)を示すグラフである。 従来のアルミニウム製品であるラジエター等のろう付け用連続炉を示し、(a)はろう付け用連続炉の全体構成の平面図を示し、(b)は予熱炉の断面図を示している。
符号の説明
1、27 メッシュベルト
4、21 水分乾燥炉
5、22 前室
6、23 予熱炉
8、24 加熱炉
9、25 冷却室
12、35 バッフル
14、36 ラジアントチューブ
20 アルミニウム製品のろう付け用連続炉におけるろう付け炉
26 衝風冷却室
28 アルミニウム製品
29 炉壁本体
30 炉内壁
31 隔壁
32 第1ゾーン
33 第2ゾーン
34 隔壁の開口
37 シロッコファン
38 ガイドベーン
39 蓋
41 駆動機構
42 軸流ファン
43 窒素ガス導入パイプ

Claims (5)

  1. ろう付け炉の炉内壁の少なくとも一部を炭素質材料で形成し、該ろう付け炉内でファンによって不活性の炉内雰囲気ガスを、上記炭素質材料と接触させて反応させ酸素濃度を低く保ちながら、メッシュベルトによって搬送されるアルミニウム製品のろう付け用連続炉であって、
    前記ろう付け炉は、開口を有する隔壁により長手方向に複数のゾーンに仕切られており、前記複数のゾーンの各ゾーン内に、それぞれ前記メッシュベルトを覆うバッフルが設けられており、
    前記ファンは、前記複数のゾーンのうち奇数番目のゾーンに設けられた第1のファンと、偶数番目のゾーンに設けられた第2のファンを有し、前記第1のファンと第2のファンは、前記アルミニウム製品に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風するように設けられていることを特徴とするアルミニウム製品のろう付け用連続炉。
  2. 前記奇数番目のゾーン及び前記偶数番目のゾーンのいずれか一方は、前記バッフル上に設けられたファンにより、炉内雰囲気ガスをバッフルの外側から下方に送流しバッフルの内側で上方に前記アルミニウム製品に向けて送流し、前記奇数番目のゾーン及び偶数番目のゾーンのいずれか他方は、前記バッフル上に設けられたファンにより、炉内雰囲気ガスをバッフルの内側から下方に前記アルミニウム製品に向けて送流しバッフルの外側で上方に向けて送流することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム製品のろう付け用連続炉。
  3. 前記ろう付け炉は、予熱炉、ろう付け用の加熱炉、及び予熱室と加熱室から成る炉のいずれか1種類の炉又は複数種類の炉であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム製品のろう付け用連続炉。
  4. 連続炉におけるろう付け炉の内壁の少なくとも一部を炭素質材料で形成し、該ろう付け炉内に設けたファンによって、不活性の炉内雰囲気ガスを上記炭素質材料の内面と接触し反応させ前記ろう付け炉内の酸素濃度を低く保ちながら、該ろう付け炉内でメッシュベルトによって搬送するアルミニウム製品のろう付け方法において、
    前記ろう付け炉は、開口を有する隔壁により長手方向に複数のゾーンに仕切られており、
    前記ファンは、前記複数のゾーンのうち奇数番目のゾーンに設けられた第1のファンと、偶数番目のゾーンに設けられた第2のファンを有し、前記第1のファンと第2のファンは、前記アルミニウム製品に向けて、互いに上下逆方向から炉内雰囲気ガスを送風することを特徴とするアルミニウム製品のろう付け方法。
  5. 前記ファンによる炉内雰囲気ガスを送風速度は、0.5〜8m/secであることを特徴とする請求項4記載のアルミニウム製品のろう付け方法。
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