JP2006144032A - 鋼線の伸線・熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 伸線と熱処理の両工程を直結し、しかも多様な熱処理を可能とすることにより設備コスト、操業コストを低減する。
【解決手段】 鋼線材を伸線して鋼線とし、該鋼線を非回転垂直螺旋リングに成形し、走行するコンベア上に落下させ、コンベア直上で1リング毎走行方向左右に分配してジグザグ・リング列を形成し、該リング列を断熱隔壁により3帯から成る流動床伝熱装置を通過させて加熱又は冷却又は保持する。連続冷却変態、恒温変態とも可能になる。3帯の個別温度条件により焼鈍、焼準、パテンティング、オーステンパー、焼入焼戻し等の熱処理がなされる。更にリング列の温間収束・保持により鋼中の脱水素処理がなされ鋼材の耐遅れ破壊性を改善する。
【選択図】 図1

Description

本発明は鋼線材の伸線と熱処理の両工程を直結させる伸線・熱処理方法に関している。
多くの鋼線は線材を材料にして伸線、熱処理、表面処理等の数工程を経て製造される。伸線と熱処理の前後2工程だけでも製品、用途、使用条件等によりその材料、加工内容が異なり、使用設備により品質水準、加工能率(t/h)、加工速度(m/s)等が異なる。従って多種多様な品種・サイズの要求に対応するため通常1工程毎に処理される。
両工程の直結はコスト低減及びリードタイム削減に寄与する。一般的には前後工程の能率が不均衡でなく、品質上の問題がなく、且つ少品種大量生産の場合には専用機的な設備設計により直結が容易となり、且つ実施例がある。逆の場合には直結すると設備の汎用設計による無理・無駄、工程条件切替に伴う無理・無駄が生ずる。ある程度の多品種・少量生産でも直結効果が得られる効果的な汎用的製造方法・製造設備の出現が期待される。このような期待に関連する先行技術を列挙する。
事例A: 線材を伸線・異形加工・熱処理直結の直進ラインに供給して焼入焼戻しPC鋼線を製造する方法が広く普及している。本方法は線径が10mm前後で実施される。当該寸法では熱処理能率(t/h)は誘導加熱等による急熱効果に支えられ伸線能率とほぼ均衡している。5mm径以下の製品では熱処理工程能力が大きく低下し不経済となる。なぜなら線径が小さいと伸線能率は増速によりある程度確保できるが、熱処理には保持時間が必要で、そのため炉長の延長、熱効率低下等の制約から増速には自ずと限度があるからである。本方法の他の問題は熱処理に時間を要する焼鈍、パテンティングに対しては明らかに不適切ある。
事例B: 非特許文献1には、線径5mm以下に伸線された鋼線をリング成形機と走行するコンベアを介して非同心平行リング列を形成せしめ、火炎式加熱炉を通過させる伸線・焼鈍方法が開示されている。鋼線をリング列に集積化することにより必要処理時間、必要生産能率を確保している。問題は、該リング列両側部の見かけ密度は中央部のそれの数倍となり且つリングが密接するので、加熱・冷却速度ともに両者間で大きく異なる。従って処理条件が緩い焼鈍には単機能的に適用できても正確性を要する焼入焼戻しには不適切である。
事例C: 非特許文献2には熱延線材を非同心平行リング列に成形した後空冷又は直ちに連続的に温水中に浸漬する方法が開示されている。本方法により焼準、パテンティング、焼入、焼入焼戻し等の熱処理がなされる。本方法を線径5mm以下に適用すると、冷却速度が過大で、しかも本質的に連続冷却であるから恒温変態からの偏りが大きくなって品質上問題となる。又リング内の位置による冷却差も解決されていない。
事例D: 特許文献1には前記平行リング列固有の不均一冷却の問題を改善する手段が開示されている。即ち相前後するリングを交互に走行方向に対し左右にずらせることによりリング列側部のリング密集を下げ、リング密接を緩めてリング列中央部に対する冷却の遅れを改善する。加熱に対しては何ら言及されていないが密集・密接による伝熱低下は加熱時では冷却時より一層大きくなって不都合である。なぜなら両側部では大きな熱負荷のため近辺の炉床温度の低下が附加されるからである。従って当該方法は提案以上の効果を持つ。この微妙な効果は開示、暗示されていない。
事例E: 非特許文献3には平行リング列を2段の溶融塩槽に浸漬・揺動・通過させ高炭素鋼線材に対して均質パテンティングする方法が開示されている。本方法は単機能であり、冷媒温度を変更して他の熱処理を行おうとしても、槽、冷媒とも熱容量が過大のため極めて困難である。2段の処理は設備・作業とも繁雑である。
事例F: 特許文献2には直進する鋼線に対して流動床による加熱の例が示されている。流動床とは炉床上において伝熱媒体の砂をノズルからの噴出ガスにより浮遊・流動化させた伝熱装置である。同様の方法は広く使用され、通常熱源は火炎であるが熱伝達率は1000kW/m 前後になり火炎加熱炉の数倍となって設備はコンパクトになる。なぜか解らないがリング列への適用例は見当たらない。焼鈍だけならあえて流動床を適用する必要性が大きくないからであろう。
本方法の問題点は以下である。熱処理では通常700℃以上に加熱され、その際、酸化・脱炭防止のため雰囲気制御が必要になる。そのため噴流ガスと加熱ガス総合の制御は煩雑である。また該雰囲気制御の結果、伸線潤滑残滓が充分酸化されずに溶融し流動砂が固着して局所的伝熱異常を誘発させることがある。該残滓から溶融亜鉛が還元生成し有害となる場合もある。リングが密集していると該現象は増幅する等の問題が予測される。防止のためには鋼線表面の予備洗浄が必要になる。これは煩雑である。
日本塑性加工学会伸線技術分科会42回 "ロール伸線はどこまで進歩したか" P62 Tranactions ISIJ, Vol.27, 1987 (47) 特開平02−133530号公報 脇本、鉄と鋼69(1983), S570 特許公表2003−531960
焼入焼戻し鋼線の場合、又は焼鈍鋼線でも最終的に焼入焼戻しされる場合には遅れ破壊がしばしば問題になる。対策として焼入焼戻し後約200℃×約2時間の時効処理により脱水素がなされることが多い。この処理も煩雑である。
上記のように伸線と熱処理を直結して合理化したい、その上多様な熱処理が可能でしかも設備効率(=生産能力/設備費用)を大きくしたい、操業効率向上のため製造条件の迅速切替えをしたい等の強い願望があるにもかかわらず、事例Aの直進ライン方式では太径の焼入焼戻し以外には必要熱処理時間が確保できず実施困難である。
事例Bの方法では鋼線を平行リング列に稠密化することにより上記問題を解決しているが、加熱・冷却条件がリング内で不均一であり、条件の緩い焼鈍単機能のみに適し他の熱処理に適用すると品質上問題が生ずる。
事例Cは加熱能力は無く実質的に冷却と保持から成り一応多機能熱処理となっているが細線に対しては冷却過剰でパテンティングその他の恒温変態は困難である。
事例Eでは溶融塩により恒温変態が可能になるが単機能的である。
事例Fでは流動床伝熱により加熱・冷却とも高能率となるが、リング列に適用すると、1)不均一熱処理が避けられない、2)雰囲気制御の必要から生ずる伸線潤滑残滓の悪影響が発生する等の問題がある。
焼入焼戻し鋼には遅れ破壊の問題もある。
本発明は上記の問題点を解決して、比較的低廉、且つ小スペースの設備で伸線と熱処理を妥当性のある同等の生産能率で直結し、多様な熱処理を可能にし、且つ迅速切替を可能にし、よってコスト低減・納期短縮を図ることを目的とする。
上記問題の解決のため以下の手段が講じられる。
1)線径が小さくても熱処理能率が伸線能率に追随できるよう伸線された鋼線を非同心平行リング列に成形して材料を集積化し、熱処理装置に供給する。
2)鋼線に必要・充分な加熱・冷却速度と必要な保持時間を与えるため、且つ処理温度の変更時間を短縮するため流動床伝熱を適用する。
3)リング列構造に不可避のリング内不均一伝熱に対して隣接リングのジグザグ配置を適用する。
4)多様な熱処理に対応し、且つ設備簡素化のため流動床伝熱装置を3帯に分割して個別温度制御する。
5)脱水素のための時効処理も当該プロセスに組み込む。
第1の発明は、鋼線材を伸線して鋼線とし、該鋼線を非回転垂直螺旋リングに成形し、該リングを水平走行するコンベアに連続的に上置して非同心平行リング列となし、該リング列を個別に温度制御が可能な3帯からなる流動床伝熱装置を通過させて、所定の温度条件で加熱・冷却したのちコイルに集束することを特徴とする鋼線の伸線・熱処理方法である。
第2発明は、垂直螺旋リングをコンベアに上置する際、1リング毎にリングを走行方向に対して左右交互に偏らせ、交互にジグザグ配置リング列にすることを特徴とする第1発明に記載の鋼線の伸線・熱処理方法である。
第3発明は、流動床伝熱装置の上流、中流、下流3帯の流動床温度をそれぞれ、1)650〜750℃,650〜700℃,30〜300℃に設定して焼鈍、2)800〜900℃,500〜600℃,30〜300℃に設定して焼準、3)900〜1000℃,480〜600℃,30〜300℃に設定してパテンティング、4)900〜1000℃,350〜500℃,350〜500℃に設定してオーステンパー、5)850〜950℃,30〜200℃,300〜550℃に設定して焼入焼戻し、6)850〜950℃,200〜400℃,200〜400℃に設定して混合焼入、7)300〜450℃,30〜300℃,30〜300℃に設定してブルーイングとすることを特徴とする第1発明又は第2発明に記載の鋼線の伸線・熱処理方法である。
第4発明は、コイルに集束する際、保持温度が150〜300℃の保温室内で行うこを特徴とする第1発明又は第2発明又は第3発明に記載の鋼線の伸線・熱処理方法である。
第5発明は、伸線された鋼線の直径をdとし、最終伸線速度をVとし、種々の線径に対してd×V=一定となる条件で伸線することを特徴とする第1発明又は第2発明又は第3発明又は第4発明に記載の鋼線の伸線・熱処理方法である。
第6発明は、鋼線材を伸線する連続伸線機と、伸線された鋼線を垂直螺旋リングに成形するリング成形機と、該リングを上置して走行するコンベアと、該リングの上置に際して相前後するリングを交互に走行方向に対して左右に偏らせてジグザグに配置させるリング分配機と、該コンベアが貫通し個別に温度制御が可能な3帯からなる流動床伝熱装置と、該伝熱装置通過後のリング列を温間のままコイルに収束し保温する収束機とから成ることを特徴とする鋼線の伸線・熱処理装置である。
上記の発明によると第1の効果として伸線工程と熱処理工程が直結される。その結果1)人件費を主とする加工費が低減する。2)生産リードタイムが大幅に短縮される。3)中間在庫が無くなり在庫・運搬に起因する費用が削減され、取扱い傷や錆発生等の品質低下が防止される。
第2の効果として比較的簡素な1ラインの設備だけで各種熱処理がなされる。しかも迅速変更が容易である。その結果設備の重複設置の必要が無く、省スペースであり、且つ設備の稼働率が向上し総合コストで有利になる。
第3に熱処理の残熱を利用した温間時効処理がなされる収束機が直結して付設されているのでコスト無しで脱水素処理がなされ焼入焼戻し鋼線等の靱性が向上する。
第4に伸線速度はdV=一定の条件で設定されるので、線径が変更されても能率一定であり、同一熱処理である限り熱処理帯各部の熱負荷は一定になる。その結果制御精度が向上し、熱損が低下する。
以下実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1において、コイル状線材1から材料が連続伸線機2に供給され複数のダイス3を通過して所定線径の鋼線4となる。該鋼線4はリング成形機5により非回転垂直螺旋リング6に成形され、落下し、該成形機5下方に配置され水平走行するローラー・コンベア7に上置される。コンベア直上にはリング分配機8が取付られている。該分配機8はリングを交互にコンベア走行方向と直角に偏らせる機能を持つ。リングの連続落下とコンベアの走行により平行リング列が形成されるが、該分配機8の作用によりジグザグ・リング列9となる。
コンベアはローラー駆動式であって負荷のみが移送される。該リング列9は該コンベア7を介して上流帯11,中流帯12,下流帯13の3帯から成る流動床伝熱装置10を通過する。該伝熱装置10は断熱壁15と加熱用バーナー14と流動砂+ガス・ノズル(それぞれ図示せず)によって生成される流動床16と冷却用送風管17とリング列が通過可能な各帯の断熱隔壁20とで構成され、それらの作用により所定の熱処理がなされる。該リング列9は温間のまま保温壁18を持つ収束機19内に連続落下し、温間保持されつつ製品コイル21を形成する。
上記の操作において各工程の意義、理由、根拠、内容について以下に説明する。
本発明を実施するに際して、材料、伸線機には何ら特別の制限は無く通常の伸線すべてに適用可能である。
一般に伸線の基本条件として最終線径d×最終線速V=一定を前提に伸線機の設計と伸線速度の設定がなされる。これは線温上昇を抑制することに起因する。設備性能仕様は想定最大径に規定されるので他の径では無駄が生ずる。生産能率は当然細径ほど低下する。本発明ではdV=一定の条件で線速を決定する。その結果どの製品寸法でも生産能率は一定になる。これは設備の無駄を少なくする。その上熱処理装置の熱負荷が一定となり、温度制御精度の向上、熱効率向上をもたらす。一方伸線温度の抑制には不利となるが、後続が加熱工程であるから通常の伸線より条件は大幅に緩和される。熱処理の内容によりボンデライズ(リン酸塩被膜処理)等の高速伸線に適する伸線前表面処理が有害となって排除されることがあるが、本発明では問題とならない。理由は後述する。
伸線直後のリング成形に対しては製品コイル径規格に適合するようリング径Dを調節する。
ジグザグ・リング列の形成は本発明の多くの熱処理に対して必要であり加熱・冷却条件を鋼線全長に対して均等に近づける作用を持つ。その理由は図2(A)に示されるように、通常の平行リング列では両側部で各リングは密接的に重畳し、かさ密度が中央部の数倍になる。図2(B)に示すジグザグ・リング列では隣接リングの接触点S(平面図上の交差点ではない)の列は片側2列に分裂し、接触点ピッチは2倍になり、しかも重畳性は2リング毎に分断される。従って側部におけるリング間の冷媒の透過性は大幅に増大し、リング列中央部との冷却差は実質的に解消される。
リング分配機はリング成形機の回転に同期させて機械的又は電磁的にリングをコンベア側方から押し引きすればよく、当業者には特に困難ではない設計事項であるから構造の説明は省略する。
コンベアは例えばローラー駆動式が用いられる。ベルト式駆動ではリング列とコンベア部材との接触点が固定され当該部位の伝熱性を阻害する。熱効率、設備耐久性からもローラー式は有利である。
リング列の加熱に流動床伝熱装置を特定した理由は以下である。800℃以上の流動床加熱では通常のバーナーを使用すると火炎加熱と同様に雰囲気は酸化性、脱炭性になる。流動砂に適切な粒度のアルミナ、ジルコン等を使用すると熱伝達率αは700〜1100kW/mが得られる。これは火炎又は雰囲気加熱の数倍の大きさになるので加熱時間は大幅短縮される。しかも加熱時間は線径に反比例するので5mm径以下の細径線の場合、加熱時間は一層短縮される。その結果、雰囲気制御が無くても鋼線表面の酸化・脱炭は実用上無視できる程度と期待される。事実それを実験で発見したからである。付加的理由は設備の小型化である。加熱速度・時間の定量化と設備小型化の根拠となる伝熱特性を図3に示す。線径1〜2mmでは必要時間は秒単位であり、上記反応の程度が裏付けられる。
酸化性雰囲気はもう一つの効果がある。高速伸線に有利なリン酸塩皮膜処理を行い、且つ非酸化性加熱になると鋼線表面に残存するリン酸塩や潤滑剤は分解・還元・化合して有害な残滓が生成・成長・付着する等の問題が生ずる。場合により事前洗浄処理が必要になるか該皮膜処理が利用できなくなる。酸化性雰囲気は当該問題を改善する。結果的に酸化性流動床加熱は高速伸線を支えている。
同様に冷却に対しても流動床伝熱と特定した第1の理由は、広範な冷却能を保有するためである。油焼入(熱伝達率α=300〜500kW/m)以上の急冷及び以下の徐冷、空冷以下の徐冷も冷媒温度の調整だけで可能になる。細径線の場合あえて水焼入(α≒3000〜10000)は必要としない。該冷却法により油消耗コスト、火災危険性、周辺汚染等油焼入特有の問題が解消される。
第2の理由は流動床伝熱では溶融塩浸漬冷却と同様に流動床の温度設定により恒温処理が可能となる。パテンティングその他の熱処理が正確且つ容易で品質上優れるからである。
ばね鋼オイルテンパー線を製造する場合、該リング列は走行しつつ上流帯で加熱オーステナイト化、中流帯で焼入れマルテンサイト化、下流帯で再加熱焼戻しがそれぞれなされる。鋼種、線径に対応して各帯の適切な温度が設定される。走行速度も補助的に調整される。
焼戻し後リング列は温間のまま保温壁で囲まれたコイル収束機で収束・温間保持されることにより、鋼中に含有している水素の拡散・除去に必要な時効処理が自動的になされる。時効処理条件は150〜350℃で2.0〜0.5時間保持で充分であり厳密性は要しない。当該時効処理により鋼線の靱性が回復し、加工性が増加すると共に製品の遅れ破壊性を改善する。
高炭素鋼線のパテンティング処理を行う場合、上流帯で約950℃加熱、中流帯は約560℃設定により約580℃の恒温変態、下流帯では300℃以下の冷却がなされる。以後の集束・温間保持の適用は望ましい。
焼鈍の場合は、上流帯〜中流帯を700℃前後に加熱するだけで良い。なぜなら冷間加工しているので炭化物の分断、球状化は早い。下流帯以後は300℃以下がリング形状乱れを防ぐ点で望ましい。以上のように3帯の設定温度により多様な熱処理が可能となる。
上述のように3帯の伝熱装置の設定温度を適切に組み合わせることにより多様な熱処理が可能で、1台の流動床伝熱装置を断熱隔壁により上流、中流、下流の3帯に分割することにより設備の簡素化、低廉化、スペース縮小が得られる。3帯分割は3基直結とは異なる。熱効率がよい。流動床伝熱装置の弱点である出入り口へ放散する流動砂の回収・循環機構が簡素化される。
表1に熱処理の内容に対応する望ましい設定温度を整理する。表中の値は通常且つ周知の適切条件を示し、特別固有の値ではないのでその根拠の説明は省略する。混合焼入とは不完全焼入+自己熱焼戻しによりフェライト、パーライト、ベイナイト、焼戻しマルテンサイト等の金属組織を混合させ所望の強度、延性、加工性を得る熱処理である。
Figure 2006144032
多様な熱処理を効率的に実施するには各帯を迅速に温度変更しなければならない。炉温の冷却は比較的容易であるが昇温は時間を要する。そのため炉の熱容量の最少化と充分な加熱能力が必要になる。前者は流動床による炉体小型化、断熱壁及び溶融塩等と比較して格段に少い熱媒体重量等により達成され、後者はバーナー火力を多少大きく設計すればよい。なぜなら火炎から流動砂への伝熱も流動床の特徴として格段に大きいからである。これらも流動床と特定した理由の一つである。
比較的に多品種・少量生産している線材2次加工工場において、本発明の伸線・熱処理直結方法及び設備は効果的に適用される。線材から直接的に熱処理鋼線が得られコスト低減、リードタイム短縮がなされる。多様な熱処理が可能の故に設備の重複設置が避けられる。
本発明の伸線・熱処理方法を実施する装置の概略側面図である。 本発明に関わるリング列の構造を平面図で表し、(A)は従来の非同心平行リング列、(B)は本発明のジグザグ・リング列を示す。 本発明に関わる流動床伝熱における加熱・冷却の速度・時間を示す。
符号の説明
1:鋼線材 2:連続伸線機 3;ダイス 4;鋼線 5;リング成形機 6;垂直螺旋リング 7:ローラーコンベア 8:リング分配機 9:ジグザグ・リング列 10:流動床伝熱装置 11:上流帯 12:中流帯 13:下流帯 14:加熱用バーナー 15:断熱壁 16:流動床 17:冷却用送風管 18:保温壁 19;収束機 20;断熱隔壁 21:製品コイル

Claims (6)

  1. 鋼線材を伸線して鋼線とし、該鋼線を非回転垂直螺旋リングに成形し、該リングを水平走行するコンベアに連続的に上置して非同心平行リング列となし、該リング列を個別に温度制御が可能な3帯からなる流動床伝熱装置を通過させて所定の温度条件で加熱・冷却したのちコイルに集束することを特徴とする鋼線の伸線・熱処理方法。
  2. 垂直螺旋リングをコンベアに上置する際、1リング毎にリングを走行方向に対して左右交互に偏らせ、ジグザグ配置リング列にすることを特徴とする請求項1に記載の鋼線の伸線・熱処理方法。
  3. 流動床伝熱装置の上流、中流、下流3帯の流動床温度をそれぞれ、1)650〜750℃,650〜700℃,30〜300℃に設定して焼鈍、2)800〜900℃,500〜600℃,30〜300℃に設定して焼準、3)900〜1000℃,480〜600℃,30〜300℃に設定してパテンティング、4)900〜1000℃,350〜500℃,350〜500℃に設定してオーステンパー、5)850〜950℃,30〜200℃,300〜550℃に設定して焼入焼戻し、6)850〜950℃,200〜400℃,200〜400℃に設定して混合焼入及び7)300〜450℃,30〜300℃、30〜300℃に設定してブルーイングとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼線の伸線・熱処理方法。
  4. コイルに集束する際、保持温度が150〜300℃の保温室内で行うことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の鋼線の伸線・熱処理方法。
  5. 伸線された鋼線の直径をdとし、最終伸線速度をVとし、種々の線径に対してd×V=一定となる条件で伸線することを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載の鋼線の伸線・熱処理方法。
  6. 鋼線材を伸線する連続伸線機と、伸線された鋼線を非回転垂直螺旋リングに成形するリング成形機と、該リングを上置して走行するコンベアと、該リングの上置に際して相前後するリングを交互に走行方向に対して左右に偏らせてジグザグに配置させるリング分配機と、該コンベアが貫通し個別に温度制御が可能な3帯からなる流動床伝熱装置と、該伝熱装置通過後のリング列を温間のままコイルに収束し保温する収束機とから成ることを特徴とする鋼線の伸線・熱処理装置。
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