JP7456608B2 - 全ローラーハース型熱処理炉 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の光輝焼鈍等の熱処理、鋼材のろう付け等、金属製品の熱処理に使用され、少なくとも加熱炉、冷却室を備え、炉内には酸化防止用の炉内雰囲気ガスが供給される熱処理炉に関し、特に、熱処理炉の全域(入口から出口までの処理工程)において、搬送手段として搬送ローラー手段(ローラーハース搬送)を採用して成る全ローラーハース型熱処理炉に関する。
従来、予熱室、加熱室及び冷却室を備えた雰囲気連続加熱炉において、熱処理される部材(被熱処理物)を搬送する手段として、加熱炉の全域を通して走行し炉内を循環するベルトコンベアを設けた構成は、知られている(特許文献1参照)。
また、予熱室、加熱室及び冷却室を備えた熱処理炉において、被熱処理物を搬送する手段として、熱処理炉の全域を通して、搬送ローラーを設けた全ローラーハース型熱処理炉は知られている(特許文献2参照)。
さらに、加熱室及び冷却室を備えた熱処理炉において、被熱処理物を搬送する手段として、加熱室には搬送ローラーを設け、冷却室にはベルトコンベアを設けた構成は、知られている(特許文献3参照)。
特開2000-105082号公報 特開2014-074566号公報 実公昭61-27963号公報
特許文献1に示すように、被熱処理物を搬送する手段として、加熱炉の全域を通して走行するベルトコンベアを設けた構成は、次のような問題がある。
炉内の全域を通じて同じ速度で搬送されるので、加熱室と冷却室のように各域毎の処理内容に応じて搬送速度を調整する必要がある場合や、熱処理されて連続して搬送されてくる被熱処理物を、炉の出口域で搬送速度を変え、間隔をあけて取り出す必要がある場合等では、必ずしも好ましくはない。
また、ベルトコンベアで搬送すると、加熱室から冷却室に移動する際に、被熱処理物が収縮して被熱処理物とベルトコンベアの間にずれが生じ、その結果、被熱処理物の表面に摺り傷がつくような場合もある。
さらに、加熱室と冷却室を共通のベルトコンベアで連ぐことは、ベルトコンベアが冷却室から外部に出る際に、加熱室で加熱されたベルトの熱を加熱室外に持出すことになり熱損失が大きくなる。
ところで、熱処理炉では、被熱処理物は、加熱炉内において空気中で昇温されると、被熱処理物中に含まれている炭素成分が脱炭されたり、酸化して変色したりして、被熱処理物の品質に支障を及ぼす。
その対策として、従来、予熱室、加熱室及び冷却室を含め、炉内に雰囲気ガスを導入している。雰囲気ガスとしては、熱処理の目的に応じて使用される、いろいろな種類があるが、例えば、発熱型変成ガス(プロパン、ブタン等の炭化水素ガスを原料として生成した発熱型変成ガス(DX)、吸熱側変成ガス(RX))、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)等がある。
しかしながら、炉内に雰囲気ガスを導入しても、実作業では、冷却室に被熱処理物が搬送されると、冷却室の雰囲気温度と被熱処理物との相違、雰囲気ガスの熱交換による反応等が原因で生じる水分等によって、冷却室内で、被熱処理物の表面での酸化ないし変色等が生じる(この点については、上記特許文献3において、さらに詳細に記載されている)。
このような冷却室内での被熱処理物の表面での酸化ないし変色等は、冷却室の容積が大きいほど著しい(特許文献3参照)。特許文献2に記載の熱処理炉の全域を通して、搬送ローラーを設けた全ローラーハース型熱処理炉は、その設置のためのスペースをベルトコンベアに比較して、大きくなるので、冷却室の容積が大きくなり、冷却室内での被熱処理物の表面での酸化ないし変色等を生じ易い。
このような点を考慮して、特許文献3に記載されている熱処理炉が提案されている。即ち、特許文献3の熱処理炉では、冷却室の内容積をローラーハース炉のローラー移送式冷却室に比較して数分の一に小さくできるベルトコンベアを、冷却室に採用することで、冷却室内での被熱処理物の表面での酸化ないし変色等を低減するようにした。
しかし、特許文献3に記載されているように、ベルトコンベアを冷却室に採用しても、やはり、特許文献1に記載のベルトコンベアに起因する被熱処理物に生じる擦り傷等の問題点は、解決できない。
さらに、冷却室にベルトコンベアを設ける構成では、その出口部における被熱処理物の走行速度に差が出ないので、被熱処理物の分離ができず、取り出しが必ずしも容易とならない。また、ベルトコンベアは往路のみではなく、復路が必要であり、そのために往路と復路を仕切る水平な仕切り部材等が必要であり、その構成は複雑となり、経済的にも必ずしも好ましくはない。
本発明は、上記のとおりの全ベルトコンベア型熱処理炉、全ローラーハース型熱処理炉、及びハースローラーとベルトコンベアを組み合わせた熱処理炉がそれぞれ有する問題点を解決することを目的とするもので、その課題を整理すると、次のとおりである。
即ち、本発明は、全ローラーハース型熱処理炉を採用した場合に、冷却室の容積が大きいために生じ易い冷却室内での被熱処理物の表面での酸化ないし変色等を改善するとともに、被熱処理物の冷却による収縮に起因する被熱処理物の擦り傷を防止し、走行域で搬送速度を変えることで、被熱処理物の取り出しの際の、速度差により後続する被熱処理物との切り離しを可能とし、また搬送構造を簡単な構造とする等、搬送ローラーの長所を活かすことを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、予熱室、加熱室及び冷却室を備え、予熱室、加熱室及び冷却室には、被熱処理物を搬送する搬送ローラー手段が設けられた全ローラーハース型熱処理炉であって、冷却室には搬送室が設けられており、搬送室内において、下部に搬送ローラー手段が設けられたローラー下部空間が設けられ、搬送ローラー手段の上方に被熱処理物が搬送され通過するローラー上部空間が設けられており、冷却室には、搬送室の伝熱材から成る底壁を介して、下部冷却水路が設けられており、搬送ローラー手段は、搬送室の長手方向に間隔をおいて設けられた複数のローラーを備え、複数のローラーの間に、ローラーの頂部の高さより低い隔壁板が、搬送室の底壁から起立して設けられており、隔壁板は、伝熱性の材料から成り、ローラー下部空間を長手方向の複数の区画に仕切る構成であることを特徴とする全ローラーハース型熱処理炉を提供する。
冷却室のローラー下部空間内には、雰囲気ガス導入管が設けられ、雰囲気ガスが導入される構成であることが好ましい。
隔壁板は、搬送室の長手方向に間隔をおいて複数設けられており、複数の隔壁板は、それぞれ長手方向に隣接する2つローラーであって、異なる組み合わせの2つのローラーの間に設けられている構成であることが好ましい。
加熱室、冷却室に連続して出口室を設け、加熱室、冷却室及び出口室にそれぞれ設けた搬送ローラー手段は、それぞれ速度を独立して搬送速度を調整可能な構成としたことが好ましい。
出口室に設けられた搬送ローラー手段の搬送速度は、冷却室に設けられた搬送ローラー手段の搬送速度より大きくする構成としたことが好ましい。
冷却室には、搬送室の伝熱材から成る頂壁を介して、下部冷却水路と連通する上部冷却水路が設けられていることが好ましい。
本発明に係る全ローラーハース型熱処理炉によれば、冷却室の搬送手段として搬送ローラーを設け、搬送ローラーを設けたローラー下部空間に雰囲気ガスを供給し、ローラー下部空間に伝熱性材料から成る隔壁板で長手方向に仕切って区画する構成を採用したので、次のような効果が生じる。

(1)ローラー下部空間に供給された雰囲気ガスは、隔壁板によって雰囲気ガスの流動が抑止され、容積が小さくなった場合と同様に、搬送室内で雰囲気ガスとしての酸化防止のためのポテンシャル(機能)を安定化させ、冷却室内での被熱処理物の表面での酸化ないし変色等が抑制される。
(2)隔壁板を設けることによって、冷却室における水冷壁面積が増加し、冷却効果を高める。そのために、冷却室内の被熱処理物を搬送して冷却室を通過させる速度を上げ、冷却時の酸化雰囲気領域を通過する時間を短縮することが可能となる。
(3)炉内の区域に応じて、搬送ローラー手段の搬送速度を設定することが可能となるので、冷却室内の被熱処理物搬送速度の調整、及び取り出し口における取り出し間隔の調整を容易にすることが可能となる。
(4)搬送ローラー手段は、ベルトコンベアのように往路部分が必要ないので、冷却室及び搬送手段を、ベルトコンベアを使用した場合に比較して、より簡単な構成とすることが可能となり、また加熱炉における熱の外部への放出を低減することが可能となる。
本発明に係る全ローラーハース型熱処理炉の実施例の全体構成を模式的に示す図である。 上記実施例の全ローラーハース型熱処理炉の冷却室の構成を説明する図であり、(a)は平面図であり、(b)は長手方向に沿った垂直断面図である。 上記実施例の冷却室の冷却ユニットの長手方向に沿った垂直断面図である。 上記実施例の冷却室の冷却ユニットの長手方向に直交する垂直断面図であり、(a)は図3のA-A断面であり、(b)は図3のB-B断面図である。 上記実施例の冷却室内への雰囲気ガスを導入する構成を示す冷却ユニットの長手方向に直交する垂直断面図である。
本発明に係る全ローラーハース型熱処理炉を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
(全体構成)
図1は、本発明に係る全ローラーハース型熱処理炉の実施例の全体構成を示す図である。この実施例の全ローラーハース型熱処理炉1は、鋼、銅等の材料から成る製品、例えば、ショックアブソーバ、ダンパー、スタビライザー等の自動車部品のような被熱処理物2を熱処理、ろう付け等を行う。
この全ローラーハース型熱処理炉1は、被熱処理物2が搬送手段で搬送される方向(以下、「搬送方向」又は「長手方向」という。)に向けて、例えば、搬入テーブル3、前室4、予熱室5、加熱室6、水冷の冷却室7、出口室8及び搬出テーブル9等が、直線状に連続的に設けられている。
全ローラーハース型熱処理炉1の予熱室5、加熱室6及び冷却室7には、予熱室3内に設置された変成バーナー11からの排ガスを、雰囲気ガスとして排気筒部14から雰囲気ガス供給管10を通して導入することで、予熱室5も含め、炉内の全域に行きわたる。
そして、雰囲気ガスは、雰囲気ガス排気管12を通して排気される。なお、変成バーナー11及びその排気筒部14は、本発明の要旨とするところではないが、その構成自体については、特許文献2にバーナー及び排気筒部として開示されているとおりである。
被熱処理物2は、予熱室5においてヒータ13及び変成バーナー11によって、雰囲気ガスのもとで予熱され、さらに加熱室6においてヒータ13によって、雰囲気ガスのもとで加熱される。雰囲気ガスとしては、例えば、発熱型変成雰囲気ガス(DX)、吸熱型変成雰囲気ガス(RX)、不活性雰囲気ガス等が使用される。
そして、全ローラーハース型熱処理炉1には、被熱処理物2を炉の長手方向に搬送する搬送手段として、熱処理炉内の全域、即ち前室4から出口室8に搬送ローラー手段19(「ハースローラー」とも言う。)が配設されている。
ところで、全ローラーハース型熱処理炉1は、課題の項で説明したとおり、冷却室7にも搬送ローラー手段19が配設されているので、冷却室7において被熱処理物2の酸化ないし変色がし易いと考えられる。しかし、本発明の全ローラーハース型熱処理炉1においては、この課題を解決するために、冷却室7は、以下に説明するように、きわめて特徴的な新規な構成を採用した。
(冷却室)
本実施例における冷却室7の構成を図1~図5を参照して説明する。図2(a)、(b)に示すように、本実施例では、冷却室7は、複数の水平に配置された冷却ユニット23が、直線状に結合して形成されている。冷却ユニット23の1つを、主に図3、図4、図5を参照して説明する。
冷却ユニット23は、図3、図4に示すように、本体である筒体24と、筒体24を支持する支持体28と、を備えている。支持体28は、筒体24を水平に支持する複数の支持柱29と、支持柱29を上方に起立する基礎部30と、を備えている。
筒体24の長手方向の両端には、図3、図4に示すようにフランジ25が形成されている。長手方向に隣接する冷却ユニット23の筒体24のフランジ25同士を当接してボルト等で固定することで、複数の冷却ユニット23を長手方向に直線状に連続的に接続し、冷却室7が形成されている。
冷却室7において、筒体24は、図3、図4、図5に示すように、搬送室33の上下には、冷却水が循環する上部冷却水路34と下部冷却水路35が設けられている。下部冷却水路35の上壁は搬送室33の底壁38を形成している。上部冷却水路34と下部冷却水路35は、図4(a)、(b)に示すように、長手方向に対して左右に形成された連通部39で互いに連通している。
冷却水は、図4に示すように、給水パイプ40を通して下部冷却水路35に送られ、さらに、左右の連通部39を通して上部冷却水路34に送られて、搬送室33内の被熱処理物2を熱放射冷却する。さらに、冷却水は、上部冷却水路34の排水口から排水パイプ41を通って排水される。
冷却室7には、前記したとおり雰囲気ガスが導入されるが、雰囲気ガスは、図1に示すように加熱室6に導入されたものが冷却室7にも流入する。
さらに、本実施例では、図1、図2(a)、図5にも一例を示すが、冷却室7の側方に沿って長手方向に延びるように、雰囲気ガス供給管10を配設し、雰囲気ガスを、雰囲気ガス供給管10を通し、冷却室7の左右側部に設けられた複数の供給孔15から、雰囲気ガス導入管16によって後記するローラー下部空間45内に供給し、冷却室7の複数箇所において、側方から冷却室7に直に導入する構成としている。
なお、雰囲気ガス導入管16は、図5に示すように、冷却室7の左右側部に設けられた複数の供給孔15のそれぞれから、ローラー下部空間45内の横幅方向の中心に向けて突出するように水平に延びて配設されている。雰囲気ガス導入管16は、その長手方向に間隔をおいて複数の雰囲気ガスの吐出孔17が形成され、吐出孔17から雰囲気ガスをローラー下部空間45内に導入する。
冷却室7内の雰囲気ガスを排気するために、図2(b)に示すように、排気フードから成る雰囲気ガス排出部18を前室4及び出口室8に設け、この雰囲気ガス排出部18から排気ガス排気管12を通して排気する構成とする。
冷却ユニット23の上部には、図3に示すように、メインテナンス用のホール43が設けられている。ホール43は、上部冷却水路34を通して下方の搬送室33に連通するように形成されており、常時は上部の開口が蓋で閉じられているが、必要に応じて開き、作業者が点検、修繕等をすることができる。
搬送室33は、図3、図4に示すように、その上下には伝熱性の材料で形成された頂壁37と底壁38が形成されており、搬送室33には、搬送ローラー手段19が設けられている。搬送ローラー手段19は、冷却室7の長手方向に間隔をおいて配設された複数のローラー20から成る。
搬送室33は、その内部は全域が連通する一つの空間であるが、本明細書では説明の都合上、ローラー下部空間45とローラー上部空間46に分ける。
ここで、「ローラー下部空間45」とは、搬送ローラー手段19が設けられている箇所であって、搬送室33においてローラー20の頂部21の高さより下の長手方向の空間である。
「ローラー上部空間46」とは、搬送室33においてローラー20の頂部21の高さより上の長手方向の空間であり、この空間は、搬送ローラー手段19で被熱処理物2を搬送する搬送スペースとなっている。
ローラー20は、図4(a)に示すように、左右に軸部50を有し、軸部50は搬送室33の側壁51の外面に設けられた軸受52に回転可能に支持され、さらに端部に歯車56が取り付けられている。
複数のローラー20の軸部50に取り付けられている歯車53にわたって、伝動チェーン(図示せず)が懸け渡されている。伝動チェーンは、ローラー駆動用のモーター57で駆動されるように構成されている。
伝動チェーンは、熱処理炉の全域に配置された搬送ローラー手段19の全てのローラーの歯車56に共通して設ける構成もあるが、本実施例では、前室4、予熱室5及び加熱室6の搬送ローラー手段19とは別に、冷却室7及び出口室8(後室)にそれぞれ搬送ローラー手段19を設け、それぞれ異なるローラー駆動用のモーター57で独立して駆動される構成とした。
このような構成とすることで、熱処理炉における加熱室6、冷却室7、出口室8等、各域に適した搬送速度で、被熱処理物2を送ることが可能となる。
本発明の全ローラーハース型熱処理炉1における冷却室7の特徴的な構成は、図3、図4(b)に示すように、搬送室33において、ローラー下部空間45を長手方向に複数の区画47に仕切るような隔壁板60(フィン)を設けた構成である。隔壁板60は、図4(b)において斜線部で示すが、熱伝導の良いアルミ、銅、鉄、カーボン板等から形成されている。
隔壁板60は、隣接するローラー20の間において、搬送室33の底壁38から上方に向けて起立して設けられ、その横幅は搬送室33を左右の側壁51間に渡っているが、その上端61はローラー20の頂部21より下となる高さに形成されている。
このような構成とすることで、隔壁板60の上端61が搬送スペースであるローラー上部空間46内に突出することがなく、搬送ローラー手段19で搬送される被熱処理物2は、搬送が妨げられることがない。
頂壁37及び底壁38は、搬送室33の放射熱を吸熱し、上部冷却水路34及び下部冷却水路35に伝熱し、放熱可能となっている。本発明ではさらに、隔壁板60は、室内の熱を吸熱し底壁38に伝熱し、底壁38を介して下部冷却水路35に放熱可能となっている。
このように、隔壁板60は、搬送室33のローラー下部空間45を長手方向に間隔をおいて仕切るとともに、加熱室6等で加熱された被熱処理物2が冷却室7内に持ち込む熱を、吸熱して放熱するという機能を有する。
隔壁板60は、その上端61は上記したとおりローラー20の頂部21より下になるように設けられているので、搬送室33の全体的な容積を分割していないが、図3に示すように、ローラー下部空間45の容積を実質的に分割した構成となっている。
前記したとおり、ローラー下部空間45内に突出するように設けられた雰囲気ガス導入管16によって、搬送室33の側方から雰囲気ガスが導入されるので、ローラー下部空間45には雰囲気ガスが十分供給されるとともに、上記隔壁板60により複数の区画47に仕切る構成と相俟って雰囲気ガスの流動を抑止し、保留する機能を有する。
(作用)
以上の構成から成る本発明の全ローラーハース型熱処理炉1の作用について、以下説明する。図1において、被熱処理物2は、搬入テーブル3から炉内に搬入され前室4を通り、予熱室5及び加熱室6において、雰囲気ガスのもとで、予熱及び加熱されて所定の熱処理が行われる。
そして、被熱処理物2は、加熱室6から冷却室7に送られ、搬送室33において、雰囲気ガスのもとで搬送ローラー手段19で搬送されながら冷却され、出口室8から搬出テーブル9上に取り出される。
冷却室7の搬送手段として搬送ローラー手段19を使用すると、ベルトコンベアに比較して、被熱処理物2の冷却による収縮等に起因するベルトコンベアとの擦り傷等の発生は防止でき、本発明においてもこの効果は顕著である。
ところで、課題の項でも説明したとおり、冷却室7に搬送ローラー手段19を設けると、搬送室33の容積が大きくなり、その結果、冷却室7内での被熱処理物2の表面での酸化ないし変色等を生じ易いという懸念がある。
しかしながら、本発明の全ローラーハース型熱処理炉1では、図3、図4に示すように、冷却室7に搬送ローラー手段19を設けているが、搬送室33に長手方向に間隔をおいて隔壁板60を設け、ローラー下部空間45を長手方向の複数の区画47に仕切る構成とした。
これにより、隔壁板60は、冷却フィンと同様の機能を発揮し、冷却室7内の熱を吸熱し、底壁38を介して下部冷却水路35に放散する。要するに、隔壁板60を設けることによって、冷却室7における水冷壁面積が増加し、冷却効果を高めている。
そのために、冷却室7内の被熱処理物2を搬送して冷却室7を通過させる速度を上げても良い。このようなニーズに応じて、本発明は全ローラーハース型熱処理炉1では、炉内の区域に応じて、搬送速度を設定することが可能であり、冷却室7の搬送ローラー手段19は、その搬送速度を調整できる構成である。
即ち、本発明の全ローラーハース型熱処理炉1では、冷却室7にも搬送ローラー手段19を採用しているので、図2に示すように、加熱室6等に対して冷却室7では異なるモーター57及び伝動装置(モーター57の回動を歯車、チェーン等を介してローラー20に伝動する装置)を介して、搬送速度を独立的に調整可能であるから、冷却室7内の搬送速度を適宜調整し上げることも可能となる。
その結果、冷却室7内での被熱処理物2の滞留時間が短縮され、冷却時において酸化雰囲気に曝される時間が短縮され、被熱処理物2の表面での酸化ないし変色等が低減される。また、冷却に要する時間が短縮されることは、生産性ないし経済性向上の観点から効果が大きい。
ところで、図3、図4(b)に示すように、隔壁板60を設けても、搬送室33の容積自体は小さい区画に仕切られるものではなく、あくまでも全体的には連通した空間である。しかし、本発明では、隔壁板60を設けることで、少なくともローラー下部空間45は仕切られて複数の区画が形成される構成となる。
しかも、本発明では、冷却室7の搬送室33におけるローラー下部空間45に側方から雰囲気ガスが供給される構成としている。
このように、ローラー下部空間45に、隔壁板60を設け、しかも雰囲気ガス導入管16によって雰囲気ガスを供給する構成を採用することによって、ローラー下部空間45に供給された雰囲気ガスは、隔壁板60によって雰囲気ガスの流動が抑止され、容積が小さくなった場合と同様に酸化防止のためのポテンシャル(機能)が安定して機能し、冷却室7内での被熱処理物2の表面での酸化ないし変色等を生じにくくなる。
本発明者等は、本発明の効果を確認するために冷却室において、被熱処理物をベルトコンベアで搬送する構成(特許文献3参照)と、本発明のように搬送ローラー手段で搬送する構成について、比較実証試験を行った。
ベルトコンベアを使用した場合(従来炉)の試験条件は、次の通りである。
被熱処理物
鋼製パイプ
総重量 1275Kg
パイプの寸法(単位mm) 直径54、厚み2.6、長さ6000
パイプの本数 20本×6束
搬送速度 326mm/1分
搬送ローラー手段を使用した場合(本発明)の試験条件は、次の通りである。
被熱処理物
鋼製パイプ
総重量 3000Kg
パイプの寸法(単位mm) 直径88.9、厚み6.1、長さ5440
パイプの本数 15本×6束
搬送速度 267mm/1分
比較実証試験の結果、冷却過程における冷却の度合いは、従来炉では、10分間の冷却熱量は10900Kcalであったのに対して、本発明では14640Kcalであった。従来炉と本発明の試験条件について、被熱処理物が、全く同じ寸法、総重量ではなく、また同じ搬送速度ではないので、効果は一目で分かりにくいが、従来炉から比較し約10%の冷却能力が得られた。
即ち、被熱処理物の形状にもよるが、概して重量の大きな被熱処理物を冷却するためには、冷却時間を長く、即ち冷却速度を遅くする必要がある。本比較実証試験では、従来炉も本発明も、被熱処理物はパイプであるという点で、形状においては共通している。
そこで、被熱処理物を同じ時間内に同じ温度だけ冷却するための搬送速度は、当該重量に必要な冷却熱量に大まかには反比例するので、従来炉で本発明のような総重量3000Kgの被熱処理物を10分間の冷却熱量14640Kcalで冷却するには、下記の計算のとおり、243mm/分の搬送速度が必要となる。
14640/10900Kcal=1.34
326/1.34=243mm/分
これに対して、本発明では、被熱処理物3000kgを14640Kcal/10分冷却するには、267mm/分で済むので、従来炉よりも、267/243=1.098倍の搬送速度で冷却が可能となる。要するに、本発明によれば、従来炉よりも搬送速度を約10%アップ可能となる。
その結果、本発明は従来炉に比較して、冷却室7の滞留時間が短縮されるので、酸化ないし変色を低減する効果に加えて、冷却室7の搬送速度を増すことが可能となり、生産性が向上し、必要なエネルギーの節約ともなり、経済効果を高めることが可能となる。
なお、搬送ローラー手段19を採用することによって、図2において、被熱処理物2の搬送速度を、冷却室7に対して出口室8で異ならせることも可能となるので、被熱処理物2の取り出し間隔(実際は複数の被熱処理物2から成るロットの取り出しの間隔)を調整し、次工程へ送り出す間隔の調整を容易とする。
さらに、冷却室7において搬送ローラー手段19を採用すると、特許文献3に記載されている冷却室7にベルトコンベアを設ける搬送手段に比較すると、ベルトコンベアのように復路の部分が必要ないので、搬送手段ないし冷却室7の構成が簡単となる。
以上、本発明に係る全ローラーハース型熱処理炉を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
本発明に係る全ローラーハース型熱処理炉は、ショックアブソーバ等の自動車部品の光輝熱処理、鋼材のろう付け等、鋼材若しくは鋼材から製造された製品について、又はその他の金属製品について、それぞれ所要の目的に沿った熱処理に適用可能である。
1 全ローラーハース型熱処理炉
2 被熱処理物
3 搬入テーブル
4 前室
5 予熱室
6 加熱室
7 冷却室
8 出口室
9 搬出テーブル
10 雰囲気ガス供給管
11 変成バーナー
12 雰囲気ガス排気管
13 ヒータ
14 排気筒部
15 雰囲気ガスの供給孔
16 雰囲気ガス導入管
17 雰囲気ガスの吐出孔
18 雰囲気ガス排出部
19 搬送ローラー手段
20 ローラー
21 ローラーの頂部
23 冷却ユニット
24 筒体
25 筒体のフランジ
28 支持体
29 支持柱
30 基礎部
33 搬送室
34 上部冷却水路
35 下部冷却水路
37 搬送室の頂壁
38 搬送室の底壁
39 上部冷却水路と下部冷却水路の連通部
40 冷却水の給水パイプ
41 冷却水の排水パイプ
43 メインテナンス用のホール
45 ローラー下部空間
46 ローラー上部空間
47 複数に仕切られたローラー下部空間の区画
50 ローラーの軸部
51 搬送室の側壁
52 軸受
56 ローラーの軸部の歯車
57 ローラー駆動用のモーター
60 隔壁板
61 隔壁板の上端

Claims (6)

  1. 予熱室、加熱室及び冷却室を備え、予熱室、加熱室及び冷却室には、被熱処理物を搬送する搬送ローラー手段が設けられた全ローラーハース型熱処理炉であって、
    冷却室には搬送室が設けられており、搬送室内において、下部に搬送ローラー手段が設けられたローラー下部空間が設けられ、搬送ローラー手段の上方に被熱処理物が搬送され通過するローラー上部空間が設けられており、
    冷却室には、搬送室の伝熱材から成る底壁を介して、下部冷却水路が設けられており、
    搬送ローラー手段は、搬送室の長手方向に間隔をおいて設けられた複数のローラーを備え、
    複数のローラーの間に、ローラーの頂部の高さより低い隔壁板が、搬送室の底壁から起立して設けられており、
    隔壁板は、伝熱性の材料から成り、ローラー下部空間を長手方向の複数の区画に仕切る構成であることを特徴とする全ローラーハース型熱処理炉。
  2. 冷却室のローラー下部空間内には、雰囲気ガス導入管が設けられ、雰囲気ガスが導入される構成であることを特徴とする請求項1に記載の全ローラーハース型熱処理炉。
  3. 隔壁板は、搬送室の長手方向に間隔をおいて複数設けられており、複数の隔壁板は、それぞれ長手方向に隣接する2つローラーであって、異なる組み合わせの2つのローラーの間に設けられている構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の全ローラーハース型熱処理炉。
  4. 加熱室、冷却室に連続して出口室を設け、加熱室、冷却室及び出口室にそれぞれ設けた搬送ローラー手段は、それぞれ速度を独立して搬送速度を調整可能な構成としたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の全ローラーハース型熱処理炉。
  5. 出口室に設けられた搬送ローラー手段の搬送速度は、冷却室に設けられた搬送ローラー手段の搬送速度より大きくする構成としたことを特徴とする請求項4に記載の全ローラーハース型熱処理炉。
  6. 冷却室には、搬送室の伝熱材から成る頂壁を介して、下部冷却水路と連通する上部冷却水路が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の全ローラーハース型熱処理炉。
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