JP2007319377A - 車両用シートのヘッドレスト上昇装置 - Google Patents

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正三 村石
Shigeru Kanai
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Abstract

【課題】 受圧手段の移動量の影響を受けることなく、ヘッドレストの変位量を大きく確保するという目的を、構成の複雑化等を伴うことなく実現可能とする。
【解決手段】 シートバックフレームに固定される静止手段30と、ステーホルダ21を介してヘッドレストを担持するとともに、所定のガイド手段を介して、少なくとも昇降自在に静止手段に組み付けられた可動手段20と、その上方への付勢力を可動手段に対して付与する付勢手段26と、付勢手段の付勢力に抗して、可動手段をその下方初期位置に保持可能とするロック手段40と、後突時での乗員の後方慣性移動による荷重を受圧可能に配された可動の受圧手段とを備え、受圧手段での荷重の受圧によってロック手段のロック解除を行うことにより、ヘッドレストを、付勢手段の付勢力のもとでその上方かつ前方に移動、変位させるものとしている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、後突の際の衝撃を受けたときに、ヘッドレストをその上方かつ前方に強制的に移動、変位させ得る車両用シートのヘッドレスト上昇装置に関する。
車両用のシート、主に自動車等のシートとして、後突等による衝撃を受けることでヘッドレストを上方かつ前方に移動させ、これによるヘッドレストと乗員頭部との距離の縮小により、頭部後傾角を少なくして頸部の損傷を抑制しようとする構成が、たとえば特開2000−325179号公報等において開示されている。
この公知の構成においては、ヘッドレストが、リンクやガイド等によってその軌道の規定された、シートバックフレームとは別体の可動フレーム(サブフレーム)により支持されている。そして、このサブフレームの下部等に、後突時の乗員の後方慣性移動による荷重(衝撃荷重)を受動可能とする受圧手段を一体的に設けることにより、後突時の乗員の後方慣性移動による荷重(衝撃荷重)の受動によるこの受圧手段の後方移動を上方かつ前方へのヘッドレストの移動、変位に変換するものとして、この公知の構成は具体化されている。
ところで、この公知の構成は、受圧手段およびヘッドレストの双方を、サブフレームに対して一体的に設けるものであるため、受圧手段の後方移動量および上方移動量がヘッドレストの変位量に直接的に影響する。つまり、ヘッドレストを乗員頭部により接近させるために、上方かつ前方に大きく移動させようとすると、受圧手段の移動量も大きく要求されるため、この種の公知の構成であると、薄型のシートバックに対する適応性に劣ることが容易に予想できる。
また、この種の構成においては、通常、引張コイルばね等の付勢手段の付勢力が、ヘッドレストおよび受圧手段をその初期位置方向に付勢、保持する力としてサブフレームに付与されているため、この付勢力が、ヘッドレストを変位させる際の抵抗力となる虞がある。つまり、この公知の構成であると、低速時での後突時、あるいは変則着座姿勢等での後突時等における、乗員の比較的弱い後方慣性移動、あるいは受圧手段への弱い当たり等のもとでは、ヘッドレストの迅速な変位、かつ規定変位位置への十分な変位が容易に確保できなくなる虞が否定できない。
さらに、この公知の構成においては、可動フレームの大きさおよび形状等を、シートバックフレームに対応させる必要があるため、シート形状に応じた設計、製造が要求される。従って、この種の構成であると、コストの上昇が伴われやすい。
特開2000−325179号公報
解決しようとする問題点は、ヘッドレスト、受圧手段の双方をサブフレームに一体に設ける構成であると、受圧手段の移動量がヘッドレストの変位量に直接的に影響しやすいという点である。
本発明の請求項1に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置は、シートバックフレームに固定される静止手段と、ステーホルダを介してヘッドレストを担持するとともに、所定のガイド手段を介して、少なくとも昇降自在に静止手段に組み付けられた可動手段と、その上方への付勢力を可動手段に対して付与する付勢手段と、付勢手段の付勢力に抗して、可動手段をその下方初期位置に保持可能とするロック手段と、後突時での乗員の後方慣性移動による荷重を受圧可能に配された可動の受圧手段とを備えている。そして、受圧手段を、荷重の受圧による後方側への移動によってロック手段のロック解除を行うロック解除機能を有したものとし、この受圧手段によるロック解除に伴った、付勢手段の付勢力のもとでの可動手段の上昇により、ヘッドレストを、その上方かつ前方に移動、変位させるものとしたことを、この請求項1の最も主要な特徴としている。
また、この発明の請求項2は、可動手段を、ステーホルダの挿着可能な筒状体としてなる、左右一対のホルダブラケットと、このホルダブラケットの下端に一体に設けられた架設プレートとの組み合わせとするとともに、静止手段を、少なくとも上壁を有するベースプレートとし、ベースプレートの上壁に設けられた摺接部材付き挿通孔へのホルダブラケットの挿通を伴って、可動手段を、静止手段に対してその昇降を可能に組み付けるとともに、架設プレート、ベースプレートの一方に設けたガイドピンを、その他方に形成した後方傾斜型ガイド孔に摺動自在に挿着し、これをガイド手段とすることによって、可動手段の、前傾しながらの上昇を確保可能としたことを、その最も主要な特徴としている。
さらに、この発明の請求項3は、可動手段の架設プレートにロック孔を形成するとともに、このロック孔周縁上面に係合可能なフックを有した揺動アームを、このロック孔を貫通して静止手段に前後揺動自在に枢支、連結することにより、これをロック手段とし、受圧手段を、この揺動アームに対し、その後方への一体移動を可能に枢支、連結することにより、その後方への受圧手段の移動に伴うロック解除を可能としたことを、その最も主要な特徴としている。
また、この発明の請求項4は、可動手段を、ステーホルダの挿着可能なホルダブラケットと、このホルダブラケット下方に一体に延びるステー部材との組み合わせとしてなるとともに、静止手段を、シートバックフレームに固定された、ステー部材の挿通配置されるステーガイドとし、このステーガイドにガイド手段を兼ねさせることで、静止手段に対する可動手段の上昇軌道を規定したことを、その最も主要な特徴としている。
さらに、この発明の請求項5は、ステー部材の貫通を可能とするロック孔を有したロックプレートと、このロック孔の前側縁下面に係合可能な、ステー部材に設けられたフックと、ロックプレートの前端にその上端の連結された、前後方向に延びるシーソー板との組み合わせとして、ロック手段を形成し、受圧手段を、シーソー板の下端に対し、その後方への一体移動を可能に枢支、連結することにより、その後方への受圧手段の移動に伴うロック解除を可能としたことを、その最も主要な特徴としている。
本発明の請求項1に示す車両用シートのヘッドレスト上昇装置によれば、乗員からの荷重による受圧手段の移動量とは別に、可動手段、つまりはヘッドレストの変位量が設定できるため、ヘッドレストの変位量の増大化が、シートバックの大型化を伴うことなく容易に可能になるという利点がある。
また、受圧手段が乗員からの荷重を受圧すると、それに伴うロック解除により可動手段、つまりヘッドレストは付勢手段の付勢力のもとでその変位位置に付勢、変位されるため、低速時での後突や変則着座姿勢での後突等においても、そのヘッドレストの変位、および変位位置での保持の確実性が向上されるという利点が、この請求項1にはある。
さらに、この請求項1は、可動手段を静止手段に対して可動に組み付けたユニット体として得られるため、シート形状等に影響を受けない設計、製造が可能となる。従って、その汎用性が向上されるという利点が、この請求項1にはある。
また、この請求項2によれば、静止手段に対する可動手段の、傾動しながらの上昇が確保できるため、上方かつ前方へのヘッドレストの変位が構成の複雑化等を伴う適切に確保できるという利点がある。
そして、この発明の請求項3は、上記請求項2の構成に適したロック手段が容易に確保できるという利点がある。
さらに、この請求項4によれば、静止手段に対する可動手段の上方変位が円滑に得られるという利点がある。
そして、この発明の請求項5は、上記請求項4の構成に適したロック手段が容易に確保できるという利点がある。
受圧手段の移動量の影響を受けることなく、ヘッドレストの変位量を大きく確保するという目的を、構成の複雑化等を伴うことなく実現可能とした。
以下、図1〜図4を参照して、本発明の車両シートのヘッドレスト上昇装置の第1実施例を説明する。
この実施例として説明するヘッドレスト上昇装置は、乗用車シートに対するものであり、この実施例において、前方という語は車体前方を、後方という語は車体後方をそれぞれ意味している。
この乗用車シートは、図1に示すように、シートバックSBおよびシートクッションSCを備えている。そして、ヘッドレストHRは、本発明によるヘッドレスト上昇装置10を介在してシートバックSBに装着されている。
ヘッドレスト上昇装置10は、図2に示すように、可動手段20、静止手段30およびロック手段40を備えている。
可動手段20は、ステーホルダ21、ホルダブラケット22および架設プレート23を備えている。
ステーホルダ21は、ヘッドレストHRのステーの装着されるものであり、その下軸部の嵌入、係合のもとで、左右一対のホルダブラケット22にそれぞれ固定的に保持されている。
この左右一対のホルダブラケット22の下端間に、架設プレート23が一体的に固定されている。
この架設プレート23は、たとえば断面L形状とされ、前方に向けて折曲されたばね受け23aを後壁23bの両端に、上方に向けて折曲されたガイドピンサポート23cを基部23dの両端に、それぞれ一体に有して形成されている。
静止手段30は、たとえば後面と下面とを開放した略中空箱状のベースプレート31を備えている。
ベースプレート31の前壁31aは、シートバックSBのフレーム(シートバックフレーム)に対して固定される。そして、ベースプレート31の上壁31bにはホルダブラケット22の挿通可能な挿通孔31cが設けられている。
この挿通孔31cの車体前後方向の対向縁には、周面円弧状の摺接部材32が設けてあり、この摺接部材によってホルダブラケット22をその前後方向で挟持することによって、静止手段に対する可動手段の傾動しながらの円滑な上昇が確保されている。
ベースプレート31の側壁31dには、後方に傾斜する、たとえば長孔状の後方傾斜型ガイド孔31eが設けてある。また、架設プレート23のガイドピンサポート23cにはガイドピン24が固定されている。そして、ガイドピン24は、ガイド孔31eを貫通し、貫通端にねじ込まれたナット部材25によって抜け出しを止められている。このため、ステーホルダ21、ホルダブラケット22および架設プレート23からなる可動手段20は、ガイド孔31eに沿って後斜め方向に直線移動することができる。
付勢手段26は、可動手段20を上方位置に付勢、変位させるためのものであり、たとえば引張コイルばねから形成されている。この付勢手段(引張コイルばね)26は、可動手段20を静止手段30に対してその付勢力のもとで上昇させるよう、架設プレート23にあるばね受け23aと、ベースプレート31の側壁31dにあるばね受け33との間に架設、張設されている。
ロック手段40は、可動手段20を下方位置に留めるためのものであり、揺動アーム41と、ロック孔42aを持つロック板42とを有している。
揺動アーム41は、チャネル状部材からなっており、架設プレート23の下壁に設けられた、ロック孔をなすロック板42を貫通して配置されるとともに、その上端が、ベースプレート31の上壁31bの内面にあるアームブラケット34に連結ピン35によって連結されている。揺動アーム41の両側壁41aには、たとえば、上下一対のフック41b,41cが互いに間隔を置いて、揺動アーム41の長手方向に形成されている。下方にある第一のフック41bは、ロック孔42aの周縁上面に係合可能に設けられている。
ロック板42は、貫通孔からなるロック孔42aをもつ板状のもので、基部23dにある貫通孔に対応させて架設プレート23の上壁23dに固定されている。ロック孔42aは揺動アーム41を昇降させることができる大きさを有している。揺動アーム41は、ロック孔42aを貫通し、図4に示すように、第一のフック41bがロック孔42aの周縁上面に係合して、可動手段20を下方初期位置に留めている。
受圧手段43は、後突時での乗員の後方慣性移動を受けることでロック手段40を解除するためのものである。受圧手段43自体は、細長い板状の形態を有するものであり、その上端が、揺動アーム41に対し、その後方への一体移動を可能に連結されている。そして、この受圧手段43は、図1に示すように、弾性支持部材してシートバックSBに配設された、たとえばSばねSSの後方側に配される。
なお、図2の参照符号27は、シートバック上部において受圧手段23を保護するためのガードであり、このガードは、たとえば静止手段をなすベースプレート31に一体に設けられている。
シートバックSBに対する組み付けは、たとえば、ベースプレート31を、シートバックフレームに固定し、ヘッドレストHRのステーをステーホルダ21に挿着することによりなされる。このときに、ステーホルダ21の膨出部21aは、シートバックSBの上端に位置し、シートバックに対するヘッドレスト上昇装置の位置決めをしている。
ヘッドレストHRは通常状態、つまり下方初期位置にあり、可動手段20が下方位置にあると、揺動アーム41の第一のフック41bは、図3に示すように、ロック板のロック孔42aの周縁上面に、付勢手段26の付勢力のもとで係合されている。
なお、このとき、ガイドピン24は、ガイド孔31eの下部に位置している。
ヘッドレストHRが下方初期位置にあるときにおいては、図1に示すように、シートクッションSCに座った乗員Mの頭部Hの後頭とヘッドレストHRの前面との間の距離Lが大きく開いていることが多い。
そして、このような状態において自動車の後突が発生すると、その際の乗員の後方慣性移動による過大な荷重のもとで、シートバックのSばねSSが通常以上に後方に大きく撓む。そして、このSばねSSの過大な撓みのもとで、その荷重を受圧手段43が受けると、図3および図4において、この受圧手段が連結ピン35を支点にして時計方向に回動する。それにより、第一のフック41bがロック孔42aの周縁から外れて、架設プレート23を含む可動手段20を自由状態にする。
そこで、架設プレート23が付勢手段26によって上方に付勢される。ヘッドレストHRは、架設プレート23と一緒にガイドピン24およびガイド孔31eによって案内され、ベースプレートの摺接部材32に対するホルダブラケット22の接点を支点として、前傾しながら図4に二点鎖線で示すように上昇する。そこで、ステーホルダ21、ホルダブラケット22および架設プレート23からなる可動手段20が、図4に示すように、前傾しつつ上昇する。このため、ヘッドレストHRが乗員Mの頭部Hに接近し、ヘッドレストと頭部との距離Lを縮小することで、頭部Hの後傾角が少なくなり、よって、頸部の損傷を抑制することができる(図1参照)。
なお、ヘッドレストHRの上方変位位置においては、揺動アーム41の第二のフック41cがロック孔42aの周縁下面に係合することから、上方変位位置におけるヘッドレストの保持が確実にはかられる。つまり、この構成によれば、ヘッドレストHRの上方変位位置において、乗員頭部Hからの荷重がヘッドレストHRに入力しても、この荷重によるヘッドレストの下降は生じないため、上方変位位置での支持性能が確実に向上される。
本発明によるヘッドレスト上昇装置10は、以上のように、後突による衝撃の受圧に伴ったその上方変位により、ヘッドレストHRを乗員頭部Hに接近させるため、頭部Hの後傾角の減少により、頸部の損傷を抑制にすることができる。
そして、ガイド孔31eを長く設定することで、ヘッドレストHRの上方変位量を増大させることができ、また、ガイド孔31eの後傾角を大きくすることによって、ヘッドレストの前傾量も大きく設定できる。これに対し、受圧手段43に要求される移動量は、ロック手段40をロック解除させるために必要な量であり、このように、ヘッドレストHRの変位量を受圧手段の移動量と無関係に設定することが可能となるため、この発明によれば、シートバックSBの大型化を伴うことのないヘッドレストの変位量の増大化が十分かつ容易に可能となる。
また、装置自体は、可動手段20および静止手段30の組み合わせによりなるユニットとして形成することができるため、種々の形状のシートバックに装着可能な汎用性をもつものとすることもできる。
さらに、ガイド孔31eおよびホルダブラケット22の長さ等を変えることによって、ヘッドレストHRの上方変位量および前方変位量を変更、設定できるため、この点においても、その汎用性が向上される。
なお、この実施例においては、静止手段30のガイド孔31eが、後傾した直線状に形成されているが、車体やシートなどの形態や、受ける衝撃の方向などに応じて、曲線状に形成してもよい。
また、図5〜図8を参照して、本発明の車両シートのヘッドレスト上昇装置の第2実施例を説明する。
図5、図6に示すように、このヘッドレスト上昇装置110は、ヘッドレストHRを含む可動手段120を有している。
この可動手段120はヘッドレストHR、ヘッドレストステー121およびホルダブラケット123を備えている。
ヘッドレストステー121は、例えば丸棒を逆コ字状に曲げ加工したもので、その上部がヘッドレストHRに固定されている。
このヘッドレストステー121の挿着される一対のステーホルダ123aが、1体のホルダブラケット123に、その嵌入、係止のもとで固定的に配される。そして、ヘッドレストステー121をそのステーホルダ123aに挿着することにより、ヘッドレストHRがホルダブラケット123に対して連結される。
このホルダブラケット123は、下方に延びるステー部材122を一体に有している。ステー部材122は、たとえば一本の丸棒からなり、その上端をヘッドレストサポート123の後面に固着することにより、このホルダブラケットとの一体化がなされている。
このステー部材122は、静止手段130となるステーガイド125に摺動可能に挿入されている。そして、図7に示すように、ステーガイド125が、シートバックフレームに対し、その前傾状態で固着されることによって、このステーガイドに沿ったステー部材122、つまりヘッドレストHRの上昇方向を上方かつ前方として規定している。
ステー部材122は付勢手段124によって押し上げられている。この付勢手段124としては、たとえば、略V形状に折曲されたワイヤ124aと、左右一対の引張コイルばね124bとの組み合わせが例示でき、このワイヤの下頂部をステー部材122の下端にある溝に係止するとともに、その一端をワイヤに連結した各引張コイルばねの他端を、たとえばシートバックフレームに係止することによって、ヘッドレストの上昇方向への付勢力がステー部材122に対して付与されている。
この付勢力のもとでの可動手段120の上昇は、ロック手段126によって規制されている。そして、このロック手段126は、たとえば、ステー部材122の貫通を可能とするロック孔を有したロックプレート127と、このロック孔の前側縁下面に係合可能に、ステー部材122に設けられたフックと、ロックプレートの前端にその上端の連結された、前後方向に延びるシーソー板126bとの組み合わせとして形成されている。
シーソー板126bの上端は、たとえば、係合孔127aへの遊挿のもとで、ロックプレート127の前端に連動可能に配される。そして、このシーソー板126bは、枢支ピン126aを支点としてその前後方向に揺動されるものであり、その下端の包持爪126cにより、受圧手段129が一体揺動を可能に連結、支持される。
なお、たとえばシーソー板126bに、ロックプレート127のロック方向、つまりは図3中の時計方向への付勢力が、ねじりばね等から付与されている。そして、シーソー板126bの上端が所定の遊び分を経て係合孔127a周縁前端に係合された後、ロックプレート127を伴ってシーソー板が図7の反時計方向に回動される。
そして、受圧手段129は、たとえば、SばねSSの前方側に配され、Sばねの過剰な撓みに伴って受圧手段が後方に揺動され、この受圧手段との一体的なシーソー板126bの回動によりロックプレート127がロック解除方向にスライドしたとき、ロック手段126をロック解除するよう構成されている。
シートに対する組み付けは、たとえば、ステーガイド125をシートバックフレームに固定することによりなされる。
ヘッドレストHRの下方初期位置において、自動車の後突が発生すると、その際の乗員の後方慣性移動による過大な荷重のもとで、シートバックのSばねSSが通常以上に後方に大きく撓む。そして、このSばねSSの過大な撓みに伴い、図7、図8においてシーソー板126bの上端がロックプレートの係合孔127aの周縁前端に係合すると、ロックプレート127をロック解除方向にスライドさせて、ステー部材122、つまりは可動手段120を自由状態にする。
そして、ステー部材122が付勢手段124によって上方に付勢されて、ヘッドレストHRは、ステーガイド125の傾斜に沿って上方かつ前方に変位する。このため、ヘッドレストHRが乗員Mの頭部Hに接近し、ヘッドレストと頭部との距離Lを縮小することで、頭部Hの後傾角が少なくなり、よって、頸部の損傷を抑制することができる(図5参照)。
この第2実施例によるヘッドレスト上昇装置110においても、後突の際の衝撃のもとで、ヘッドレストHRは乗員頭部H方向に変位されるため、頭部Hの後傾角を減少させることにより、頸部の損傷の軽減が十分にはかられる。
そして、このヘッドレスト上昇装置110は、シートから独立した構成となっており、静止手段20であるステーガイド125をシートバックフレームに固定することによって、ヘッドレストHRの上昇を得ることができ、ステー部材22の長さやその前傾角度等を変更することで、ヘッドレストHRの上方変位量および前方変位量を適宜、調整、設定することも可能となることから、種々のシートに適応可能な汎用性の広いものとすることができる。
なお、乗員の後方慣性移動によるロック手段126のロック解除によって、ヘッドレストHRを付勢手段124の付勢力のもとで上方変位させる点においては、上述の第1実施例と同じであるため、シートバックSBの大型化を伴うことなくヘッドレストHRの変位量の増大化がはかられるという、第1実施例における効果と同様の効果が、この第2実施例においても得られることはいうまでもない。
ここで、この第2実施例においては、付勢手段124をワイヤ124aと引張コイルばね124bとの組み合わせとして具体化しているが、ステー部材122に上方への付勢力を付与すれば足りるため、これに限定されず、他の構成として、この付勢手段を具体化してもよい。
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
一般的には、乗用車用のシートにおけるヘッドレスト上昇装置として適用されるが、他の車両、たとえばバス等のシートに、この発明を応用してもよい。また、ヘッドレストを脱着可能とすることが、自動車等のシートにおいては一般的であるが、ヘッドレストを脱着不能とするシートに対しても、この発明は応用可能である。
この発明の第1実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の装着された、車両用シートの、その後方から見た概略斜視図である。 第1実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の概略斜視図である。 第1実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の概略縦断面図である。 第1実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の概略作動図である。 この発明の第2実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の装着された、車両用シートの、その後方から見た概略斜視図である。 第2実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の概略正面図である。 第2実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の概略側面図である。 第2実施例に係る車両用シートのヘッドレスト上昇装置の概略斜視図である。
符号の説明
10,110 車両用シートのヘッドレスト上昇装置
20,120 可動手段
30,130 静止手段
40,126 ロック手段

Claims (5)

  1. シートバックフレームに固定される静止手段と;ステーホルダを介してヘッドレストを担持するとともに、所定のガイド手段を介して、少なくとも昇降自在に静止手段に組み付けられた可動手段と;その上方への付勢力を可動手段に対して付与する付勢手段と;付勢手段の付勢力に抗して、可動手段をその下方初期位置に保持可能とするロック手段と;後突時での乗員の後方慣性移動による荷重を受圧可能に配された可動の受圧手段と;を備え、
    受圧手段が、荷重の受圧による後方側への移動によってロック手段のロックを解除するロック解除機能を有し、この受圧手段によるロック解除に伴った、付勢手段の付勢力のもとでの可動手段の上昇により、ヘッドレストを、その上方かつ前方に移動、変位させる車両用シートのヘッドレスト上昇装置。
  2. 前記可動手段が、ステーホルダの挿着可能な筒状体としてなる、左右一対のホルダブラケットと;このホルダブラケットの下端に一体に設けられた架設プレートと;の組み合わせを有して形成されるとともに、
    前記静止手段が、少なくとも上壁を有するベースプレートとしてなり、
    ベースプレートの上壁に設けられた摺接部材付き挿通孔へのホルダブラケットの挿通を伴って、可動手段を、静止手段に対してその昇降を可能に組み付けるとともに、架設プレート、ベースプレートの一方に設けたガイドピンを、その他方に形成した後方傾斜型ガイド孔に摺動自在に挿着し、これを前記ガイド手段とすることによって、可動手段の、前傾しながらの上昇を確保可能とした請求項1記載の車両用シートのヘッドレスト上昇装置。
  3. 前記可動手段の架設プレートにロック孔を形成するとともに、このロック孔周縁上面に係合可能なフックを有した揺動アームを、このロック孔を貫通して前記静止手段に前後揺動自在に枢支、連結することにより、これを前記ロック手段とし、
    上記受圧手段を、この揺動アームに対し、その後方への一体移動を可能に枢支、連結することにより、その後方への受圧手段の移動に伴うロック解除を可能とした請求項2記載の車両用シートのヘッドレスト上昇装置。
  4. 前記可動手段が、ステーホルダの挿着可能なホルダブラケットと;このホルダブラケット下方に一体に延びるステー部材と;の組み合わせとしてなるとともに、
    前記静止手段が、シートバックフレームに固定された、ステー部材の挿通配置されるステーガイドからなり、
    このステーガイドが前記ガイド手段を兼ねることで、静止手段に対する可動手段の上昇軌道を規定した請求項1記載の車両用シートのヘッドレスト上昇装置。
  5. ステー部材の貫通を可能とするロック孔を有したロックプレートと;このロック孔の前側縁下面に係合可能な、ステー部材に設けられたフックと;ロックプレートの前端にその上端の連結された、前後方向に延びるシーソー板と;の組み合わせとして、前記ロック手段が形成され、
    上記受圧手段を、シーソー板の下端に対し、その後方への一体移動を可能に枢支、連結することにより、その後方への受圧手段の移動に伴うロック解除を可能とした請求項4記載の車両用シートのヘッドレスト上昇装置。
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