JP3717419B2 - 車両のシート構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車や商用車等の車両におけるシートの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗員がシートに着座した状態で車両が衝突すると、このときの前方への慣性力により、着座した乗員(乗員の腰部)がシートに対して前方に移動し沈み込むような状態(サブマリン現象)の生じることがある。
前述のような状態を防止する構成として、例えば特開2000−1136号公報に開示されているように、シートの座部の下側に配置された移動阻止部材(前記公報の図1及び図2中の6)を上方に移動させて、シートの座部の前部を上方に持ち上げることにより、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を防止するように構成されたものがある。この場合、例えばエアバッグ装置のインフレータ等のように、爆発的にガスを発生させることで移動阻止部材を作動させる動力発生装置(前記公報の図1及び図2中の7)が使用されている。
【0003】
これに対して例えば実開平4−13423号公報に開示されているように、着座した乗員がシートに対して前方に移動しようとして、乗員によりシートベルトを介してバックル部(前記公報の第1図及び第2図中の15)が引き操作されると、バックル部の動作がロッド(前記公報の第1図及び第2図中の12)を介して、移動阻止部材(前記公報の第1図及び第2図中の4)に伝達され、移動阻止部材が上方に移動するように構成されたものがある。
これにより、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとして、着座した乗員の太股によりシートの座部の前部が押されて沈み込む状態が、移動阻止部材によって阻止されて、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態が防止される。このようにバックル部が引き操作される現象を利用して、移動阻止部材を上方に移動させるように構成することにより、前述の特開2000−1136号公報のような動力発生装置が不要になって、生産コストの低減の面で有利なものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に記載の実開平4−13423号公報の構造においては、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとして、バックル部が引き操作されると、バックル部の動作に伴い、シートに対してシートベルトが緩むことになるので好ましくない。
【0005】
バックル部が引き操作された際のバックル部の動作を移動阻止部材に機械的に伝達するように構成する場合、機構の構成や配置等の面で、バックル部の位置と移動阻止部材の位置との間の距離は一定である必要がある。
この場合、従来の技術に記載の実開平4−13423号公報の構造では、移動阻止部材がシートに備えられているので、シートの位置を前後方向に沿って変更しても、バックル部の位置と移動阻止部材の位置との間の距離が一定に維持されるようにするには、バックル部もシートに備えなければならない。これにより、従来の技術に記載の実開平4−13423号公報の構造では、バックル部が車体の固定部に備えられた車種には対応できないものになっており、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、シートの座部の前部の下側に配置された移動阻止部材を上方に移動させて、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を防止するように構成された車両のシート構造において、動力発生装置を使用せずに移動阻止部材を上方に移動させるように構成する場合、シートベルトが緩まないように構成することを目的としており、バックル部が車体の固定部に備えられた車種にも対応できるように構成することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
[I]
請求項1の特徴によると、シートの背もたれ部を支持する第2支持部材が、前方への慣性力により上方に変位するように構成されており、シートの座部の下側に位置し上方に移動することによって、着座した乗員がシートの座部に対して前方に移動する状態を阻止する移動阻止部材が備えられている。
これにより、請求項1の特徴によると、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとした際、前方への慣性力により第2支持部材が上方に変位し、第2支持部材の上方への変位が、連係手段により移動阻止部材に機械的に伝達されて、移動阻止部材が上方に移動する。
【0008】
以上のように請求項1の特徴によると、従来の技術に記載の実開平4−13423号公報の構造のように、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとした際に、バックル部が引き操作されることによって、移動阻止部材を上方に移動させるように構成するのではなく、シートの背もたれ部を支持する第2支持部材が上方に変位することにより、移動阻止部材を上方に移動させるように構成しているので、シートに対してシートベルトが緩むと言うような状態は生じない。
【0009】
請求項1の特徴によると、前述のようにシートの背もたれ部を支持する第2支持部材が上方に変位することにより、移動阻止部材を上方に移動させるように構成しており、バックル部がシートに備えられていても車体の固定部に備えられていても、これに関係なく移動阻止部材が正常に上方に移動する。これにより請求項1の特徴では、バックル部がシートに備えられた車種及び車体の固定部に備えられた車種の両方に支障なく対応できる。
【0010】
[II]
請求項1の特徴によると、シートの背もたれ部を支持する第2支持部材が、前方への慣性力により上方に変位するように、車体側に支持された第1支持部材の横軸芯周りに揺動自在に支持されている。
これによって、請求項1の特徴によると、前方への慣性力により第2支持部材が上方に変位した際、第2支持部材に支持されたシートの背もたれ部は前方に変位することになるが、第2支持部材の上方への変位によりシートの座部が前方に変位するようなことはないので、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとした際、シートの座部が乗員の前方への移動及び沈み込みを助長するような状態は生じ難い。
【0011】
さらに、請求項1の特徴によると、シートの座部を第2支持部材に支持させるのではなく、第2支持部材とは別の部材に支持させるように構成すれば、前方への慣性力により第2支持部材が上方に変位した際、第2支持部材の上方への変位によりシートの座部が前方に変位するようなことがないのに加えて、第2支持部材の上方への変位によりシートの座部が上方に変位するようなこともない。これにより、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとした際、シートの座部が乗員の前方への移動及び沈み込みを助長するような状態が、さらに生じ難くなる。
【0012】
[III]
請求項1の特徴のように、シートの背もたれ部が第2支持部材に支持されて、車体側に支持された第1支持部材の横軸芯周りに揺動自在に第2支持部材が支持されると、比較的重量物であるシートの背もたれ部が、第2支持部材(第1支持部材の横軸芯)の上方に位置することになる。
これにより、請求項1の特徴によると、前方への慣性力によりシートの背もたれ部に基づく比較的大きなモーメントが発生することになって、第2支持部材が確実に上方に変位することになるのであり、第2支持部材の上方への変位が連係手段により移動阻止部材に機械的に伝達されて、移動阻止部材が確実に上方に移動するようになる。
【0013】
[IV]
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項2の特徴によると、車体側に支持された第1支持部材に、移動阻止部材が備えられているので、第2支持部材の上方への変位に対して、移動阻止部材は変位しない状態となっている。
これにより、請求項2の特徴によると、前方への慣性力によって第2支持部材が上方に変位しても、移動阻止部材は変位しない状態で上方に移動することになるので、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態が、移動阻止部材によって安定して阻止されるようになる。
【0014】
【0015】
[V]
請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I]〜[IV]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項3の特徴によると、前方への慣性力が設定値未満であると、第2支持部材の上方への変位を阻止し、前方への慣性力が設定値以上に大きくなると、第2支持部材の上方への変位を許すように、第2支持部材を保持する保持手段が備えられている。
これにより、請求項3の特徴によると、通常の使用状態において乗員が乗降したり、シートの前後方向の位置を調節したりしても、第2支持部材が上方に移動すると言うような状態は生じない。
【0016】
[VI]
請求項4の特徴によると、請求項1〜3のうちのいずれか一つの場合と同様に前項[I]〜[V]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項4の特徴によると、車体に固定された案内部材に、第1支持部材が前後方向に沿って位置変更及び位置固定自在に支持されている。
これにより請求項4の特徴によると、前後方向に沿って第1支持部材を位置変更及び位置固定することにより、シートの前後方向の位置を支障なく調節することができる。着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとして、前方への慣性力が第2支持部材に掛かると、第2支持部材が上方に変位して移動阻止部材が正常に上方に移動する。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は乗用車のシート1(運転席及び助手席)において、シート1の座部1a及び背もたれ部1bの付近を示しており、一つのシート1に対して左右一対のロアレール2が車体の固定部に固定されており、左右一対のアッパーレール3が、ロアレール2に沿って前後方向に移動自在に支持されている。アッパーレール3に縦壁状の左右一対の第1支持部材4が固定されており、ロアレール2に対してアッパーレール3を所望の位置で固定自在なロック機構(図示せず)が備えられている。
【0018】
図1に示すように、シート1の座部1aの下部に、アングル材状で左右一対の第2支持部材5が固定されて、第2支持部材5に固定されたピン5aが第1支持部材4の長孔4aに挿入されている。側面視で「へ」字状の左右一対の操作アーム6が、段付きリベット7により第1支持部材4に取り付けられており、操作アーム6の前端に亘ってロッド8が架設されている。
【0019】
図1に示すように、操作アーム6の後端に段付きリベット9が取り付けられ、第1支持部材4の円弧状の長孔4b及び第2支持部材5の長孔5bに、段付きリベット9が挿入されている。左右一方の第2支持部材5に固定された支持軸10に、バックル部11(シートベルトアンカー)が取り付けられており、シートベルト12が通された係止金具13をバックル部11に挿入して固定する。
【0020】
図1に示す状態は通常の使用状態であり、ロッド8がシート1の座部1aの前部の下側に位置して、段付きリベット7,9が図1に示す状態でカシメられて固定されており、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して、シート1の座部1a及び操作アーム6が図1に示す状態で固定されている。
【0021】
図1に示す通常の使用状態において、シート1の座部1aに対してシート1の背もたれ部1bの角度を変更する。ロアレール2に対してシート1(アッパーレール3)を移動させることにより、シート1(アッパーレール3)の位置を前後方向に変更して、前述のロック機構(図示せず)によりシート1(アッパーレール3)を所望の位置で固定する。
前述のようなシート1の背もたれ部1bの角度変更、シート1(アッパーレール3)の位置の前後方向への変更を行っても、段付きリベット7,9がカシメられて固定されているので、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して、シート1の座部1a及び操作アーム6が図1に示す状態から動くことはない。
【0022】
次に車両の衝突によって、着座した乗員がシート1に対して前方(図1の紙面左方)に移動し沈み込もうとして、設定値以上の大きな前方への慣性力(図1の紙面左方)がシート1に掛かると、段付きリベット7,9の固定作用に打ち勝って、シート1の座部1a及び背もたれ部1b、バックル部11、第2支持部材5が、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方(図1の紙面左方)に移動する(第2支持部材5のピン5a及び段付きリベット9が、第1支持部材4の長孔4a,4bに沿って前方(図1の紙面左方)に移動する)。
【0023】
前述のように、第2支持部材5がアッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方に移動すると、図2に示すように第2支持部材5の長孔5b及び段付きリベット9の作用により、操作アーム6が段付きリベット7を支点として図2の紙面時計方向に揺動操作されて、ロッド8によりシート1の座部1aの前部が上方に持ち上げられるのであり、第2支持部材5のピン5a及び段付きリベット9が、第1支持部材4の長孔4a,4bにおける図2の紙面左端に達すると、シート1の座部1a及び背もたれ部1b、バックル部11、第2支持部材5が、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して停止する。
このようにシート1の座部1aの前部が上方に持ち上げられることによって、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとする状態が阻止される。
【0024】
この場合に、図1及び図2に示すように、シート1の座部1aに対して位置固定状態の部分である第1支持部材4に、操作アーム6が取り付けられているので、シート1の座部1aがアッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方(図1の紙面左方)に移動すると、シート1の座部1aに対してロッド8が後方(図2の紙面右方)に移動する状態となる。操作アーム6が段付きリベット7を支点として図2の紙面時計方向に揺動操作されると、ロッド8は円弧の軌跡を描いて上方に移動しながら後方(図2の紙面右方)に移動する状態となる。
図1及び図2に示すように、シート1の座部1a及び背もたれ部1bと一緒にバックル部11(シートベルト12)も前方に移動するので、シート1の座部1a及び背もたれ部1bと、バックル部11(シートベルト12)との位置関係に変化はない。
【0025】
以上の構造により、図2に示すように、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとして、シート1の座部1a及び背もたれ部1b、バックル部11、第2支持部材5が、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方に移動すると、着座した乗員の腰部がシート1の座部1aに対して略固定された状態で、シート1の座部1aの前部の持ち上げられる部分が後方に移動する状態(シート1の座部1aに対してロッド8が上方に移動しながら相対的に後方に移動する状態)となって、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとする状態が的確に阻止される。
【0026】
[発明の実施の第1別形態]
図1及び図2に示す構造において、段付きリベット7,9のカシメによる固定を廃止して、図3に示すように、左右の第1支持部材4にピン4c,4dを固定して、左右の第1支持部材4のピン4cと左右の第2支持部材5のピン5a、並びに、左右の第1支持部材4のピン4dと左右の操作アーム6の段付きリベット9とに亘って、自由長から引き延ばされて初期引っ張り力が与えられたバネ14を接続するように構成してもよい。
【0027】
これによって、バネ14の初期引っ張り力以上の大きな前方への慣性力(図3の紙面左方)がシート1に掛かると、バネ14の初期引っ張り力に打ち勝って、シート1の座部1a及び背もたれ部1b、バックル部11、第2支持部材5が、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方(図3の紙面左方)に移動する。
【0028】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の第1別形態]に代えて、図4及び図6に示すように構成してもよい。
図4及び図6に示すように、乗用車のシート1(運転席及び助手席)において図1と同様に、左右一対のロアレール2が車体の固定部に固定されており、左右一対のアッパーレール3が、ロアレール2に沿って前後方向に移動自在に支持されている。アッパーレール3に縦壁状の左右一対の第1支持部材15が固定されており、ロアレール2に対してアッパーレール3を所望の位置で固定自在なロック機構(図示せず)が備えられ、シート1の座部1aが第1支持部材15に取り付けられている。
【0029】
図4及び図6に示すように、左右一対の操作アーム16が、第1支持部材15の中間部に段付きリベット17により取り付けられており、操作アーム16の前端に亘ってロッド18が架設されている。左右一対の天秤アーム19が段付きリベット20により第1支持部材15に取り付けられており、天秤アーム19の長孔19aに、操作アーム16の段付きリベット21が挿入されている。
【0030】
図4及び図6に示すように、左右一対の平板状の第2支持部材22の前部が、第1支持部材15の前部に段付きリベット23により取り付けられており、第2支持部材22の後部に、シート1の背もたれ部1bの下部が、リクライナ部24を介して取り付けられている。天秤アーム19の長孔19bに、第2支持部材22の段付きリベット25が挿入されている。左右一方の第1支持部材15に固定された支持軸(図示せず)に、バックル部11(シートベルトアンカー)が取り付けられており、シートベルト12が通された係止金具13をバックル部11に挿入して固定する。
【0031】
図4に示す状態は通常の使用状態であり、ロッド18がシート1の座部1aの前部の下側に位置して、段付きリベット17,20,21,23,25が図4に示す状態でカシメられて固定されており、アッパーレール3及び第1支持部材15に対して、シート1の背もたれ部1b及び操作アーム16が図4に示す状態で固定されている。
【0032】
図4に示す通常の使用状態において、リクライナ部24によりシート1の座部1aに対して、シート1の背もたれ部1bの角度を変更する。ロアレール2に対してシート1(アッパーレール3)を移動させることにより、シート1(アッパーレール3)の位置を前後方向に変更して、前述のロック機構(図示せず)により、シート1(アッパーレール3)を所望の位置で固定する。
前述のようなシート1の背もたれ部1bの角度変更、シート1(アッパーレール3)の位置の前後方向への変更を行っても、段付きリベット17,20,21,23,25がカシメられて固定されているので、アッパーレール3及び第1支持部材15に対して、シート1の背もたれ部1b及び操作アーム16が図4に示す状態から動くことはない。
【0033】
次に車両の衝突により、着座した乗員がシート1に対して前方(図4の紙面左方)に移動し沈み込もうとして、設定値以上の大きな前方への慣性力(図4の紙面左方)がシート1に掛かると、段付きリベット17,20,21,23,25の固定作用に打ち勝って、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が段付きリベット23周りに前方(上方)に揺動する。
【0034】
前述のように、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動すると、図5に示すように第2支持部材22により天秤アーム19が、段付きリベット20周りに紙面反時計方向に揺動操作され、天秤アーム19により操作アーム16が段付きリベット17周りに紙面時計方向に揺動操作されて、ロッド18によりシート1の座部1aの前部が上方に持ち上げられるのであり、ストッパー(図示せず)に第2支持部材22が接当して、これ以上のシート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22の前方(上方)への揺動が止められる。
このようにシート1の座部1aの前部が上方に持ち上げられることによって、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとする状態が阻止される。
【0035】
この場合、図4及び図5に示すように、シート1の座部1aが取り付けられた第1支持部材15に、段付きリベット17(操作アーム16)が取り付けられているので、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動しても、段付きリベット17(操作アーム16)の位置は変わらない。これによって、段付きリベット17の位置が変わらない状態で、操作アーム16が段付きリベット17周りに紙面時計方向に揺動操作されるのであり、ロッド18は円弧の軌跡を描いて上方に移動しながら少し後方(図5の紙面右方)に移動する状態となる。
図4及び図5に示すように、バックル部11が第1支持部材15に取り付けられているので、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動しても、シート1の座部1aとバックル部11(シートベルト12)との位置関係に変化はない。
【0036】
図4及び図5に示すように、第2支持部材22の前部が第1支持部材15の前部に段付きリベット23により取り付けられており、第2支持部材22が第1支持部材15に対して上方に揺動した際、第2支持部材22の後部(段付きリベット25)の移動ストロークが大きなものになっている。段付きリベット17が第1支持部材15の中間部に取り付けられており、操作アーム16において段付きリベット17,21の間隔に比べて、段付きリベット17とロッド18との間隔が大きなものになっている。これにより、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動した際、ロッド18の上方への移動ストロークが大きなものになっている。
【0037】
以上の構造により、図5に示すように、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとして、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動すると、着座した乗員の腰部がシート1の座部1aに対して略固定された状態で、シート1の座部1aの前部の持ち上げられる部分が後方に移動する状態(シート1の座部1aに対してロッド18が上方に移動しながら少し後方に移動する状態)となって、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとする状態が的確に阻止される。
【0038】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明の実施の形態]〜[発明の実施の第2別形態]において、段付きリベット7,9,17,20,21,23,25のカシメによる固定を廃止して、バネ14を使用せずに、図1,3,4に示す第1支持部材4,15及び第2支持部材5,22の間に亘って、シャーピン(図示せず)を挿入するように構成してもよい。
【0039】
これにより設定値以上の大きな前方への慣性力がシート1に掛かると、シャーピンが剪断により切断されて、図1及び図3において、シート1の座部1a及び背もたれ部1b、バックル部11、第2支持部材5が、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方に移動する。図4において、シート1の背もたれ部1b及び第2支持部材22が、第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動する。
【0040】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明の実施の形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、ロッド8,18によりシート1の座部1aの前部を上方に持ち上げるように構成しているが、ロッド8,18によりシート1の座部1aの前部をあまり上方に持ち上げないようにして、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとして着座した乗員の太股によりシート1の座部1aの前部が押されて沈み込む状態を、ロッド8,18によって受け止めるようにして阻止することにより、着座した乗員がシート1に対して前方に移動し沈み込もうとする状態を阻止するように構成してもよい。
【0041】
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明の実施の形態]〜「発明の実施の第4別形態]において、図1及び図3に示す支持軸10及びバックル部11を、第1支持部材4や車体の固定部(ロアレール2側)に備えるように構成してもよい。 前述の[発明の実施の形態]及び「発明の実施の第1別形態]において、図1及び図3に示すシート1の背もたれ部1bを、アッパーレール3及び第1支持部材4に支持させて、設定値以上の大きな前方への慣性力がシート1に掛かると、シート1の座部1a及び第2支持部材5が、アッパーレール3及び第1支持部材4に対して前方に移動して、シート1の背もたれ部1bは移動しないように構成してもよい。
【0042】
前述の[発明の実施の第2別形態]において、シート1の座部1aを第1支持部材15ではなく第2支持部材22に取り付けて、設定値以上の大きな前方への慣性力がシート1に掛かると、シート1の座部1a及び背もたれ部1b、第2支持部材22が、第1支持部材15に対して前方(上方)に揺動するように構成してもよい。
本発明は乗用車のシート1(運転席及び助手席)ばかりではなく、3列シート型式のミニバン等において、2列目のシートにベンチ型式ではなく独立式のシートを採用した場合に、このような2列目の独立式のシートにも適用できる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、シートの座部の前部の下側に配置された移動阻止部材を上方に移動させることにより、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を防止するように構成された車両のシート構造において、前方への慣性力により、シートの背もたれ部を支持する第2支持部材が前方への慣性力により上方に変位し、移動阻止部材が上方に移動するように構成することによって、シートに対してシートベルトが緩むと言うような状態を生じないようにすることができた。これにより、緩まないシートベルトと相まって、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を、的確に阻止することができるようなった。
この場合、請求項1の特徴によると、エアバッグ装置のインフレータ等のように、爆発的にガスを発生させることで移動阻止部材を上方に作動させる動力発生装置を使用していないので、生産コストの低減の面で有利と言う利点をそのまま備えている。
【0044】
請求項1の特徴によると、バックル部がシートに備えられていても車体の固定部に備えられていても、これに関係なく移動阻止部材が正常に上方に移動するのであり、バックル部がシートに備えられた車種及び車体の固定部に備えられた車種の両方に支障なく対応できるので、汎用性の高いものとなっている。
【0045】
請求項1の特徴によると、前方への慣性力により第2支持部材が上方に変位した際に、第2支持部材の上方への変位によりシートの座部が前方に変位するようなことがなく、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとした際、シートの座部が乗員の前方への移動及び沈み込みを助長するような状態が生じ難いので、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を的確に阻止すると言う面で、有利なものとなる。
さらに、請求項1の特徴によると、シートの座部を第2支持部材に支持させるのではなく、第2支持部材とは別の部材に支持させるように構成すれば、前方への慣性力により第2支持部材が上方に変位した際、第2支持部材の上方への変位によりシートの座部が前方に変位するようなことがないのに加えて、第2支持部材の上方への変位によりシートの座部が上方に変位するようなこともないので、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を的確に阻止すると言う面で、さらに有利なものとなる。
【0046】
請求項1の特徴によると、前方への慣性力によりシートの背もたれ部に基づく比較的大きなモーメントが発生することになって、第2支持部材が確実に上方に変位することになり、第2支持部材の上方への変位が連係手段により移動阻止部材に機械的に伝達され、移動阻止部材が確実に上方に移動するようになるので、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を的確に阻止すると言う面で、有利なものとなる。
【0047】
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項2の特徴によると、前方への慣性力によって第2支持部材が上方に変位しても、移動阻止部材は変位しない状態で上方に移動することになり、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態が、移動阻止部材によって安定して阻止されるようになるので、着座した乗員がシートに対して前方に移動し沈み込もうとする状態を的確に阻止すると言う面で、有利なものとなった。
【0048】
【0049】
請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項3の特徴によると、通常の使用状態において乗員が乗降したり、シートの位置を前後方向に調節したりしても、第2支持部材が上方に移動すると言うような状態は生じないので、通常の使用状態においてシートを支障なく使用することができる。
【0050】
請求項4の特徴によると、請求項1〜3のうちのいずれか一つの場合と同様に請求項1〜3の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項4の特徴によると、車体に固定された案内部材に、第1支持部材を前後方向に沿って位置変更及び位置固定自在に支持することにより、シートの前後方向の位置を支障なく調節することができるので、通常の使用状態においてシートを支障なく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 通常の使用状態での第1及び第2支持部材の付近の縦断側面図
【図2】 設定値以上の大きな前方への慣性力により第2支持部材が前方に変位した状態での第1及び第2支持部材の付近の縦断側面図
【図3】 発明の実施の第1別形態において、通常の使用状態での第1及び第2支持部材の付近の縦断側面図
【図4】 発明の実施の第2別形態において、通常の使用状態での第1及び第2支持部材の付近の縦断側面図
【図5】 発明の実施の第2別形態において、設定値以上の大きな前方への慣性力により第2支持部材が上方に変位した状態での第1及び第2支持部材の付近の縦断側面図
【図6】 発明の実施の第2別形態において、通常の使用状態での第1及び第2支持部材の付近の横断平面図
【符号の説明】
1 シート
1a シートの座部
1b シートの背もたれ部
2 案内部材
15 第1支持部材
22 第2支持部材
14,17,20,21,23,25 保持手段
16,19 連係手段
18 移動阻止部材
Claims (4)
- 車体側に支持された第1支持部材と、シートの背もたれ部を支持する第2支持部材とを備えて、
前方への慣性力により前記第2支持部材が上方に変位するように、前記第1支持部材の横軸芯周りに前記第2支持部材を揺動自在に支持し、
前記シートの座部の下側に位置し上方に移動することによって、着座した乗員が前記シートの座部に対して前方に移動する状態を阻止する移動阻止部材を備えると共に、
前方への慣性力による前記第2支持部材の変位を前記移動阻止部材に機械的に伝達して、前記移動阻止部材を上方に移動させる連係手段を備えてある車両のシート構造。 - 前記第1支持部材に前記移動阻止部材を備えてある請求項1に記載の車両のシート構造。
- 前方への慣性力が設定値未満であると、前記第2支持部材の変位を阻止し、前方への慣性力が設定値以上に大きくなると、前記第2支持部材の変位を許すように、前記第2支持部材を保持する保持手段を備えてある請求項1又は2に記載の車両のシート構造。
- 車体に固定された案内部材に、前記第1支持部材を前後方向に沿って位置変更及び位置固定自在に支持してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の車両のシート構造。
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