JP2007317967A - ボビン - Google Patents

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Abstract

【課題】バリが導線に損傷を及ぼすことのないボビンを提供する。ボビン成形型の寿命を延長可能な形状のボビンを提供する。
【解決手段】コイル巻回部11の円筒面11aに、パーティングラインPLに沿ってバリBを完全に収容可能な凹部15を設け、且つ凹部15をコイル巻回部11の型101、102の移動方向Kと平行に形成した。これにより、ボビン10に導線20巻回する工程において導線20がバリBに乗り上げて損傷を受けることを防止できるとともに、ボビンを成形型から離型させる際にボビンから成形型に及ぼす押圧力をなくして成形型の寿命を延長することができる。
【選択図】図4

Description

この発明は、例えば、オートマチックミッションの変速装置制御のための油圧回路制御に用いられる、電磁弁に内蔵されるコイル装置のボビンに関するものである。
従来の電磁弁に内蔵されるコイル装置のボビンは、コイルが巻回される円筒部とその両端に形成されたフランジ部とからなり、樹脂成型により形成されている。ボビンの円筒部は、円筒部の径方向に分割される一対の型により成型加工される。一対の型は半円筒状のキャビティを備え、これらの型が型締めされる(密着固定される)と、両型のキャビティが一つの円筒面を形成する。樹脂成型されたボビンの円筒部表面には、両型の接合面の端縁であるパーティングラインが転写される。各型の接合面は平滑に仕上げられているものの微細な凹凸があるため、両者の接合部には微細な隙間が生じる。円筒部の成型加工時において、型に加圧注入された溶融樹脂が上述の隙間に侵入し、その結果、ボビンの円筒部に、パーティングラインに沿って薄板状の突起、すなわちバリが発生する。ボビンに導線を巻回する際に、導線の絶縁被覆がバリに当接して損傷を受ける可能性がある。
この対策として、従来のボビンとして、バリが発生するボビンのアンダーカット部を、ボビン成形型のパーティングラインに沿って、型のキャビティ内に突出する膨出条部を形成し、それによりボビンにアンダーカット部を設け、このアンダーカット部の底部にばりが発生するよようにし、且つ上記アンダーカット部の大きさを発生するバリの大きさより大きくした構成のものがある(特許文献1参照)。
上述の構成によれば、ボビンにバリが発生しても、導線にバリが当接することはない。
特開2003−347117号公報
しかしながら、上述した従来のボビンはアンダーカット部を備えるため、いわゆる無理抜きとなり、成形型からボビンを離型する際に型とボビンとが強く擦れる。このため、型の磨耗が早まり型寿命が短くなるという問題がある。
また、ボビンの高温強度を上げるために樹脂材料にガラス繊維を混入することが行われているが、このようなガラス繊維強化樹脂の場合は、さらに型寿命が短縮する。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、バリの発生を許容するものの、導線巻回時に導線により押折されたバリをボビンの円筒面に設けた凹部に収容することによって、バリが導線に損傷を及ぼすことのないボビンを提供することを第1の目的としている。また、ボビン成形型の寿命を延長可能な形状のボビンを提供することを第2の目的としている。
本発明は上記目的を達成する為、以下の技術的手段を採用する。
本発明の請求項1に記載のボビンは、円筒面を備え円筒面の周方向に導線が巻回される円筒状のコイル巻回部を備え樹脂材料を成型加工して形成されるボビンであって、コイル巻回部はコイル巻回部の径方向に移動して離合する2つの型により成型加工され、コイル巻回部の円筒面上には型のパーティングラインに沿ってバリが形成され、コイル巻回部にはパーティングラインに沿って凹部が設けられ、凹部はコイル巻回工程において導線により折り曲げられたバリを収容可能に形成され、凹部は型の移動方向と平行に形成されることを特徴としている。
上述の構成によれば、凹部は、コイル巻回部の周方向においてパーティングラインに隣接している、言い換えるとバリに隣接して配置されている。このため、コイル巻回部に導線を巻き付ける工程において、導線を巻き付けていく方向を円筒面からパーティングラインを経てこのパーティングラインに隣接した凹部側へ向かう方向とすれば、バリは、導線により押し折られて凹部側に倒れて、凹部内に収容される。したがって、導線がバリに乗り上げている状態が解消されるので、バリにより導線が損傷を受けることを防止可能なボビンを提供することができる。
また、凹部は型の移動方向と平行に形成されるので、ボビンの成型工程において、コイル巻回部を成形型から離型するときに、コイル巻回部は、成形型と摺動するものの、従来のボビンの成型加工時のように成形型を押圧することはない。したがって、成形型の磨耗度合いを小さく抑えて、成形型の寿命を延長可能なボビンを提供することができる。
本発明の請求項2に記載のボビンは、凹部は、径方向において円筒面よりも内側且つ周方向においてパーティングラインよりも円筒面側に突き出していることを特徴としている。
上述の構成によれば、凹部は、隣接する円筒面の裏側部分までおよんでいる、言い換えるとバリの根元の裏側部分が抉られた状態となり、バリの根元部分の強度が低下する。このため、コイル巻回部に導線を巻き付ける工程において、円筒面からパーティングラインを経てこのパーティングラインに隣接した凹部側へ向かう方向に導線を巻き付けると、バリは、より容易に導線によって押折される。したがって、コイル巻回部に導線を巻き付ける工程において、バリを確実に押折し且つ凹部内に収容することができる。
本発明の請求項3に記載のボビンは、凹部は、パーティングラインから円筒面の周方向において離れるに連れて円筒面の径方向において型の移動方向よりも内側に向かうように形成されることを特徴としている。
上述の構成では、コイル巻回部は、その成形型内において、凹部は、型の移動方向において型の当接面から離れるに連れて円筒面の径方向において内側に向かう形状となっている。言い換えると、コイル巻回部は、その成形型に対して抜け勾配を持つような形状となっている。したがって、ボビンの成型工程において、コイル巻回部を成形型から離型するときに、コイル巻回部がその成形型に対して移動開始すると、コイル巻回部は直ちに成形型から離れる。これにより、成形型の磨耗度合いを大幅に低減して、成形型の寿命を延長することができる。
実施の形態1.
以下、本発明の一実施形態によるボビンを、自動車の自動変速機における油圧回路制御に用いられる電磁弁が備えるコイル装置のボビンに適用した場合を例に、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるボビン10の軸方向の断面図である。
図2は、図1中のII−II線断面図である。
図3は、図1中のIII矢視図である。
図4は、図1中のIV部拡大図である。
図5は、ボビン10のコイル巻回部11の成型加工終了時(型開放前)を示す断面図である。
図6(a)、(b)は、ボビン10への導線20巻回工程における、バリBと導線20との位置関係を説明する模式図である。
ボビン10は、図1に示すように、円筒面11aを備え、円筒面11aの周方向に導線が巻回される円筒状のコイル巻回部11と、コイル巻回部11の両端に配置されるフランジ12、13と、貫通孔14とから構成されている。
ボビン10は、樹脂材料を成型加工して形成されている。ボビン10に用いられる材料としては、たとえばガラス繊維入りのポリアミド樹脂が用いられている。
コイル巻回部11は図1に示すように円筒状に形成され、その表面である円筒面11aには、コイル巻回部11を成型加工する型101、102を型締めにより密着させたときの接合面の端縁が転写されて微小幅且つ微小高さのパーティングラインPLが、図3に示すように形成されている。
また、コイル巻回部11を成型加工する型101、102を型締めにより密着させたときに両型の隙間に注入された樹脂が流入することにより、薄板状に突き出したバリBが、図4に示すように、パーティングラインPLに沿って形成される。型締め時に型101、102間に形成される隙間の形状は、両型101、102の接合面の端縁全長に亘り一様ではないので、バリBの突き出し長さ(図4における左右方向長さ)は一様ではなく不規則なものになる。
コイル巻回部11を成型加工する型101、102は、コイル巻回部11の直径上で二分割して形成されている。したがって、パーティングラインPLは、円筒面11a上に180度間隔で2箇所に形成され、バリBも同様に各パーティングラインPL上に形成されている。
コイル巻回部11の円筒面11aには、図2に示すように、凹部15が形成されている。凹部15は、コイル巻回部11の全長に亘り、円筒面11aよりも内側に窪んだ形状に形成されている。凹部15は、図3に示すように、パーティングラインPLに沿い且つパーティングラインPLに隣接して形成され、その断面形状は、全長に亘り一様に図2に示すような形状となっている。凹部15は、円筒面11aの各パーティングラインPLを端部として2個設けられるとともに、図2に示すように、円筒面11aの中心軸Cに対して回転対称状に設けられている。
次に、凹部15の形状について詳細に説明する。
凹部15は、図5に示すように、コイル巻回部11を成型加工する型101、102の移動方向Kと平行に形成されている。
凹部15の円筒面11aの径方向における最大凹み長さ、すなわち、パーティングラインPL部における凹み長さD(図4参照)は、バリBの最大厚さt(図4参照)よりも大きく設定されている。同時に、凹部15の円筒面11aの周方向における長さLは、バリBの最大突き出し高さH(図4参照)よりも大きく設定されている。つまり、凹部15は、バリBを完全に収容できるような大きさに形成されている。すなわち、図4に示すように、凹部15と円筒面11aを延長した輪郭面11bにより囲まれる空間内に、バリBが完全に収容される。
凹部15を型101、102の移動方向Kと平行に形成したことにより、コイル巻回部11を型101、102から離型させる工程において、凹部15は、型101、102と摺動するものの、凹部15から型101、102へ押圧力を作用させることがない。
したがって、従来のボビンの場合における、コイル巻回部を型から離型させる際に、コイル巻回部のアンダーカット部が型に対して押圧力を作用させ、それにより、型の磨耗が促進される、という問題を解消することができる。
次に、本発明の一実施形態によるボビン10の特徴である凹部15の作用効果について、主に、ボビン10に導線20を巻き付ける工程における作用効果について、図6に基づいて説明する。
ボビン10には、導線20が、図2において時計回り、つまり右回りに巻き付けられる。すなわち、導線20は、図6(a)に示すように、円筒面11aからバリB(パーティングラインPL)を越えて凹部15に到る方向に巻き付けられている。なお、導線20として、たとえばウレタン樹脂で被覆された銅線が用いられる。
導線20は、コイル巻回部11のフランジ12あるいはフランジ13側の端部から巻き始められる。導線20がバリBにさしかかると、バリBは、図6(a)に示すように、導線20に押されて折れ曲がる。さらに、導線20がバリBを通過すると、バリBは、図6(b)に示すように、完全に折り曲げられて、凹部15内に収容された状態となる。
なお、本発明の一実施形態によるボビン10では、凹部15は、円筒面11aの各パーティングラインPLに対応して、図2に示すように、円筒面11aの中心軸Cに対して回転対称状に設けられているので、図6に示すバリBと反対側のバリBも、図6(b)に示すような状態となる。
本発明の一実施形態によるボビン10においては、コイル巻回部11の円筒面11a上のパーティングラインPLに沿って凹部15を設けている。このため、コイル巻回部11に導線20を巻回する工程において、バリBは、導線20により折り曲げられ、且つ凹部15内に収容される。すなわち、コイル巻回部11に導線20が巻回されると、バリBは円筒面11aの輪郭線の外側にほとんど出っ張らない。したがって、従来のボビンのように、コイル巻回部に巻回された導線がバリに乗り上げて導線が損傷を受ける、という問題を解消することができる。
また、凹部15の形状を、バリBを完全に収容できるような大きさに形成したことにより、導線20の巻回工程で折り曲げられたバリBに導線20が乗り上げた状態になることを確実に防止できる。
以上説明したように、本発明の一実施形態によるボビン10によれば、導線巻回工程において導線がバリに乗り上げて損傷を受けることを防止でき、且つボビンを成形型から離型させる際にボビンから成形型に及ぼす押圧力をなくして成形型の寿命を延長できるようなボビン10を提供することができる。
図7に、本発明の一実施形態の変形例によるボビン10の部分断面図を示す。
本発明の一実施形態の変形例によるボビン10は、凹部15の形状が変更されている。すなわち、凹部15を、図7に示すように、円筒面11aより内径側且つ周方向においてパーティングラインPLよりも円筒面11a側(図7においては上方)に突き出して形成されている。
凹部15をこのような形状に形成すれば、バリBの根元の剛性を低下させて、導線20の巻回工程において、バリBが容易に折れ曲がるようにすることができる。
図8に、本発明の一実施形態における他の変形例によるボビン10の部分断面図を示す。
本発明の一実施形態における他の変形例によるボビン10は、凹部15の形状が変更されている。すなわち、凹部15を、図8に示すように、パーティングラインPLから円筒面11aの周方向において離れるに連れて円筒面11aの径方向において型の移動方向Kよりも内側に向かうように形成した。なお、図8中には、本発明の一実施形態によるボビン10の凹部15の形状を一点鎖線で示している。
凹部15をこのような形状に形成すれば、ボビン10の成型工程において、コイル巻回部11を型101、102から離型するときに、コイル巻回部11が型101、102に対して移動を開始すると、コイル巻回部11は直ちに型101、102から離れる。したがって、成形型の磨耗度合いを大幅に低減して、成形型の寿命を延長することができる。
本発明の一実施形態によるボビン10の軸方向の断面図である。 図1中のII−II線断面図である。 図1中のIII矢視図である。 図1中のIV部拡大図である。 ボビン10のコイル巻回部11の成型加工終了時(型開放前)を示す断面図である。 (a)、(b)は、ボビン10への導線20巻回工程における、バリBと導線20との位置関係を説明する模式図である。 本発明の一実施形態の変形例によるボビン10の部分断面図である。 本発明の一実施形態における他の変形例によるボビン10の部分断面図である。
符号の説明
10 ボビン
11 コイル巻回部
11a 円筒面
11b 輪郭面
12、13 フランジ
14 貫通孔
15 凹面
20 導線
101、102 型
B バリ
C 中心軸
D 長さ
H 高さ
K 移動方向
L 長さ
PL パーティングライン
t 厚さ
5 コイル線
6 パーティングライン
7 コイル巻き面
8 アンダーカット部
9,10,11 樹脂型
12 樹脂注入空間
13 膨出条部

Claims (3)

  1. 円筒面を備え該円筒面の周方向に導線が巻回される円筒状のコイル巻回部を備え樹脂材料を成型加工して形成されるボビンであって、
    前記コイル巻回部は前記コイル巻回部の径方向に移動して離合する2つの型により成型加工され、
    前記コイル巻回部の円筒面上には前記型のパーティングラインに沿ってバリが形成され、
    前記コイル巻回部には前記パーティングラインに沿って凹部が設けられ、
    前記凹部はコイル巻回工程において導線により折り曲げられた前記バリを収容可能に形成され、
    前記凹部は前記型の移動方向と平行に形成されることを特徴とするボビン。
  2. 前記凹部は径方向において前記円筒面よりも下方且つ周方向において前記パーティングラインよりも前記円筒面側に突き出していることを特徴とする請求項1に記載のボビン。
  3. 前記凹部は前記パーティングラインから前記円筒面の周方向において離れるに連れて前記円筒面の径方向において前記型の移動方向よりも内側に向かうように形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボビン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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