JP2007316675A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 予期しない放電により、電子放出素子や列配列や行配線などの配線に無視出来ないダメージが生じる場合があり、特に予期できない放電が多発すると問題となる。
【解決手段】 表示パネルの気密容器内で生じる放電もしくは該放電に関わる状態を検出シ、その検出結果に応じて、表示パネルの駆動電圧を低減するかもしくはオフにした後、自動復帰を行うモードと、表示パネルの駆動電圧を低減するかもしくはオフにした後、自動復帰を行わないモードとを含む複数のモードのいずれかを選択する。
【選択図】 図37

Description

本発明は、表示パネルを有する画像表示装置及び前記装置の制御方法とテレビジョン装置及びコンピュータディスプレイ装置に関するものである。
従来から、電子放出素子として熱陰極素子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰極素子では、例えば表面伝導型放出素子や、電界放出型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下MIM型と記す)などが知られている。
FE型の例としては、例えば、W. P. Dyke & W. W. Dolan,"Field emission", Advance in Electron Physics, 8, 89 (1956)や、或は、C. A. Spindt, "Physical properties of thin-film field emission cathodes with molybdenium cones", J. Appl. Phys., 47, 5248 (1976)などが知られている。
表面伝導型放出素子としては、例えば、M. I. Elinson, Radio E-ng. Electron Phys., 10, 1290, (1965)や、後述する他の例が知られている。
表面伝導型放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型放出素子としては、エリンソン(Elinson)等によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの[G. Dittmer: "Thin Solid Films", 9,317 (1972)]や、In2O3/SnO2薄膜によるもの[M. Hartwell and C. G. Fonstad:”IEEE Trans. ED Conf.”,519 (1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]等が報告されている。
これらの表面伝導型放出素子の素子構成の典型的な例として、図27に前述のM. Hartwellらによる素子の平面図を示す。同図において、3001は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図示のようにH字形の平面形状に形成されている。この導電性薄膜3004に、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成される。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],幅Wは、0.1[mm]に設定されている。
従来、これらの電子放出素子においては、導電性薄膜3004に予め通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施して電子放出部3005を形成するのが一般的であった。即ち、この通電フォーミングとは、導電性薄膜3004の両端に直流電圧、或は非常にゆっくりとした昇電圧、例えば1[V/分]程度を印加通電し、導電性薄膜3004を局所的に破壊、変形もしくは変質させて電気的に高抵抗な状態にした電子放出部3005を形成することである。尚、この電子放出部3005は導電性薄膜3004の一部に亀裂が発生したもので、この電子放出部3005の両端に所定電圧を印加することにより、その亀裂付近から電子が放出される。
FE型の素子構成の典型的な例として、図28に前述のC. A. Spindtらによる素子の断面図を示す。同図において、3010は基板で、3011は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタコーン、3013は絶縁層、3014はゲート電極である。本素子は、エミッタコーン3012とゲート電極3014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッタコーン3012の先端部より電界放出を起こさせるものである。
また、FE型の他の素子構成として、図28のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ平行にエミッタとゲート電極を配置した例もある。
また、MIM型の例としては、例えば、C. A. Mead, "Operation of tunnel-emission Devices", J. Appl. Phys., 32,646 (1961)などが知られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図29に示す。同図は断面図であり、図において、3020は基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚さ100オングストローム程度の薄い絶縁層、3023は厚さ80〜300オングストローム程度の金属よりなる上電極である。MIM型においては、上電極3023と下電極3021の間に適宜の電圧を印加することにより、上電極3023の表面より電子放出を起こさせるものである。
上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較して低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒータを必要としない。従って、熱陰極素子よりも構造が単純であり微細な素子を作成可能である。また、基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒータの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利点もある。このため、冷陰極素子を応用するための研究が盛んに行われてきている。
例えば、表面伝導型放出素子は、冷陰極素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易であることから、大面積に亙り多数の素子を形成できる利点がある。そこで、例えば本願出願人による特開昭64−31332号公報において開示されるように、多数の素子を配列して駆動するための方法が研究されている。
また、表面伝導型放出素子の応用については、例えば画像表示装置、画像記録装置などの画像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
特に、画像表示装置への応用としては、例えば本願出願人による米国特許5,066,883号公報や特開平2−257551号公報や特開平4−28137号公報において開示されているように、表面伝導型放出素子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置が研究されている。これら表面伝導型放出素子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されている。例えば、近年普及してきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるためバックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優れていると言える。
また、FE型を多数個ならべて駆動する方法は、例えば本願出願人による米国特許4,904,895号公報に開示されている。また、FE型を画像表示装置に応用した例として、例えば、R. Meyerにより報告された平板型表示装置が知られている。[R. Meyer: "Recent Development on Microtips Display at LETI", Tech, Digest of 4th Int. Vacuum Micro-electronics Conf., Nagahama, pp. 6-9 (1991)]
また、MIM型を多数個並べて画像表示装置に応用した例は、例えば本出願人による特開平3−55738号公報に開示されている。
本願発明者らは、上記従来技術に記載したものをはじめとして、さまざまな材料、製法、構造の冷陰極素子を試みてきた。更に、多数の冷陰極素子を配列したマルチ電子源、ならびにこのマルチ電子源を応用した画像表示装置について研究を行ってきた。本願発明者らは、例えば図30に示す電気的な配線方法によるマルチ電子源を試みてきた。即ち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子源である。
図中、4001は冷陰極素子を模式的に示したもの、4002は行配線、4003は列配線である。行配線4002及び列配線4003は、実際には有限の電気抵抗を有するものであるが、図においては配線抵抗4004および4005として示されている。上述のような配線方法を、単純マトリクス配線と呼ぶ。なお、図示の便宜上、6×6のマトリクスで示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限ったわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだけの素子を配列し配線するものである。
冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子源においては、所望の電子ビームを放出させるため、行配線4002および列配線4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マトリクスの中の任意の1行の冷陰極素子を駆動するには、選択する行の行配線4002には選択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行配線4002には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗4004および4005による電圧降下を無視すれば、選択する行の冷陰極素子には、(Ve−Vs)の電圧が印加され、また非選択行の冷陰極素子には(Ve−Vns)の電圧が印加される。Ve,Vs,Vnsを適宜の大きさの電圧にすれば選択する行の冷陰極素子だけから所望の強度の電子ビームが出力されるはずであり、また列配線の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビームが出力されるはずである。また、駆動電圧Veを印加する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時間の長さも変えることができるはずである。
従って、冷陰極素子を単純マトリクス配線したマルチ電子源はいろいろな応用可能性があり、例えば画像情報に応じた電気信号を適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に用いることができる。
図31は、上記マルチ電子源を用いた平面型の画像表示装置の表示パネルの一例を示す斜視図であり、その内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。
図中、3115はリアプレート、3116は側壁、3117はフェースプレートであり、リアプレート3115、側壁3116およびフェースプレート3117により、表示パネルの内部を真空に維持するための外囲器(気密容器)を形成している。
リアプレート3115には基板3111が固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子3112が、N×M個形成されている。ここでN,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。また、N×M個の冷陰極素子3112は、図31に示す通り、M本の行配線3113とN本の列配線3114とにより配線されている。これら基板3111、冷陰極素子3112、行配線3113及び列配線3114によって構成される部分をマルチ電子源と呼ぶ。また、行配線3113と列配線3114の少なくとも交差する部分には、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
フェースプレート3117の下面には、蛍光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(図18参照)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をなす各色蛍光体の間には黒色導電体(図18の1010)が設けてあり、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115側の面には、Al(アルミニウム)等からなるメタルバック3119が形成されている。
端子Dx1〜DxMおよびDy1〜DyNおよび端子Hvは、この表示パネルと後述する駆動回路とを電気的に接続するために設けた気密構造の接続用端子である。そして、Dx1〜DxMのそれぞれはマルチ電子源の各行配線3113と、Dy1〜DyNのそれぞれは、マルチ電子源の各列配線3114と、Hvはメタルバック3119と各々電気的に接続されている。
また、上記気密容器の内部は10の-6乗[torr]程度の真空に保持されており、画像表示装置の表示面積が大きくなるに従い、気密容器の内部と外部の気圧差によるリアプレート3115およぴフェースプレート3117の変形、或は破壊を防止する手段が必要となる。ここでリアプレート3115およぴフェースプレート3117を厚くすることによる破壊を防止するのは、画像表示装置の重量を増加するのみならず、斜め方向から見たときに画像のゆがみや視差を生ずることになる。従って、図31においては、比較的薄いガラス板で構成され大気圧を支えるための構造支持体(スペーサ或はリブと呼ばれる)3120を設けている。このようにして、マルチ電子源が形成された基板3111と蛍光膜3118が形成されたフェースプレート3117間は、通常サブミリないし数ミリに保たれ、前述したように気密容器内部は高真空に保持されている。
以上説明した表示パネルを用いた画像表示装置において、容器外端子Dx1〜DxM、Dy1〜DyNを通じて各冷陰極素子3112に電圧が印加されると、各冷陰極素子3112から電子が放出される。それと同時にメタルバック3119に容器外端子Hvを通じて数百[V]ないし数[KV]の高電圧を印加して、上記放出された電子を加速し、フェースプレート3117に衝突させる。これにより、蛍光膜3118の各色の蛍光体が励起されて発光し、カラー画像が表示される。
ところで、構造支持体(スペーサ)3120は、高電圧を印加するメタルバック3119に片側(上面)が接合され、更に下面側は行配線上に設置されているため、表示パネルを駆動する際には、スペーサ3120の上面には高電圧が、スペーサ3120の下面には走査電圧が印加されることになる。
又、図31では、スペーサ3120の全面に導線膜材料(例えばNiO)等が数千オングストロームはど蒸着されている。この導電膜は、高圧が印加された時の表示パネル内部の電界を一様にすることを目的として形成されており、膜抵抗として1×10の8乗〜1×10の9乗程度の抵抗値に設定されている。
そのため、スペーサ3120を通って、メタルバック3119から行配線に高電圧源からの電流(スペーサ電流と呼ぶ)が流れる。
図32は、本願発明者らが作製した、マルチ電子源を利用した画像表示装置の表示パネルの断面図を示している。
ここでは図の簡略化のため、基板3111上の行配線、列配線等は省略し、またマトリクス状に配置されている冷陰極素子3112(ここでは表面伝導型素子を図示)も1つだけ示している。基板3111に対向する位置には、アノード電極や蛍光体等を配置したメタルバック3119が設けられ、基板3111とフェースプレート及び、ここには図示しない支持枠によって真空容器が形成されており、冷陰極素子3112は、真空度の高い容器の中に配置されている。4104は冷陰極素子3112を駆動するための信号源であり、4105は基板3111とメタルバック3119との間に印加する高圧電源であり、冷陰極素子3112から放出された電子は、高圧電源4105が印加されたメタルバック3119により図に示すように上方に吸い上げられ、冷陰極素子3112と対向する蛍光体に衝突する。
電子放出素子が配置されている容器内において、予期しない放電が生じる場合がある。この予期しない放電により、電子放出素子や列配列や行配線などの配線に無視出来ないダメージが生じる場合がある。特に予期できない放電が多発すると問題となる。
また、上述のような画像表示装置を、非常に厳しい環境下のもとで使用したり、異常な使われ方があった場合には、画像表示装置における障害が急激に進むことがある。例えば、非常に乾燥している環境下での静電気による駆動回路への影響や、周辺温度環境の異常に高い状態における放熱のしにくさによる駆動回路系の作動への影響などが生じうる。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、本願発明の画像表示装置は、
内部の圧力を周囲の圧力よりも低く保つための気密容器を有する表示パネルと、
前記気密容器内で生じる放電もしくは該放電に関わる状態を検出する検出手段と、
前記検出手段における検出結果に応じて、前記表示パネルの駆動電圧を低減するかもしくはオフにした後、自動復帰を行うモードと、前記表示パネルの駆動電圧を低減するかもしくはオフにした後、自動復帰を行わないモードとを含む複数のモードのいずれかを選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
この発明の構成においては、検出手段を有しているので、表示パネルの状態を検出して、タイミング良く制御を行うことができる。特に、該制御により表示パネルの寿命を延ばしたり、特性の劣化を抑制して、表示パネルの使用を続けることができるようにするために本発明は好適である。よって前記検出装置は、表示パネルの状態を検出する際に検出手段の破壊を行うことなく検出できるものであることが望ましい。また、前記表示パネルの状態の検出は、電気的に行うものであると好適である。
例えば、前記表示パネルの状態の検出は、表示パネルにおいて流れる電流を検出して行う構成を取りうる。特に、表示パネルにおいて設けられる電極を介して流れる電流を検出して行うとよい。
例えば、前記表示パネルは、電子源と、該電子源から出力される電子を加速する加速電極とを有している構成において、前記検出手段は、該加速電極に流れる電流を検出すればよい。
また、前記表示パネルの状態の検出は、前記表示パネルの複数の箇所で行うとよい。例えば、前記表示パネルの複数の箇所において流れる電流を測定して行うとよい。このように複数箇所で電流の検出を行うことにより、表示パネルの状態を複数の箇所毎に検出することができる。
例えば、前記表示パネルは、電子源と、該電子源から出力される電子を加速する複数の加速電極とを有する構成において、前記検出手段は、該複数の加速電極に流れる電流を別個に検出すればよい。
また、前記表示パネルは、電子源と、該電子源から出力される電子を加速する加速電極とを有しており、前記検出手段は、前記電子源と前記加速電極との間の電流経路を流れる電流を検出するものであってもよい。該電流経路としては、電子源と加速電極の間に設けられる構造物がある。より具体的には、例えば電子源と加速電極もしくは蛍光体等が設けられる前面板との間の間隔を維持するスペーサであってもよい。この様な電流経路を流れる電流を直接検出しなくても、加速電流を流れる電流や加速電極の電位を検出することにおり間接的に検出することができる。特にそのような電流経路を表示パネル内でかつ画像を形成する領域外に設けるとよい。
また、前記表示パネルは電子源を有しており、該電子源は画像を表示するための電子を放出する電子放出素子と、表示パネルの状態を検出するために設けられる電子放出素子とを有する構成であってもよい。この場合、表示パネルの状態を検出するために設けられる電子放出素子は、画像表示領域外に設けられるとよい。
また、前記表示パネルは、電子源と、該電子源から出力される電子を加速する加速電極と、表示パネルの状態を検出するために設けられる電子捕捉用電極とを有しているものであってもよい。特に該電子捕捉用電極に印加される電位は、画像表示のための電子を加速する加速電極の電位に対して、電子源の電位に近い電位であると好ましい。また、該電子捕捉用電極に電子を出力するための電子放出素子を、画像を形成するための電子を放出する電子放出素子と別個に設けてもよい。
また、前記検出手段は、前記表示パネルの電位を検出して、表示パネルの状態を検出するものであってもよい。
特に前記検出手段は、前記表示パネル内に設けられる電極の電位を検出して、表示パネルの状態を検出するものであるとよい。
また、前記表示パネルは、電子放出素子を有しており、前記検出手段は、前記電子放出素子とは電気的にアイソレートされた電極の電位を検出して、表示パネルの状態を検出するものであるとよい。
また、前記表示パネルは、電子を出力する電子源を有しており、前記検出手段は、該電子源に設けられる電極の電位を検出して、表示パネルの状態を検出するものであるとよい。
また、前記表示パネルは、電子を出力する電子源を有する構成において、前記表示パネルの状態の検出は、電子源からの電子の放出が行われない期間に行うとよい。これにより、電子源からの電子の出力による影響を減らして検出を行うことができる。例えば、前記表示パネルは、複数の電子放出素子を有する電子源を有しており、該電子源は、複数の電子放出素子のうちの選択される電子放出素子を順次切替えながら各電子放出素子から電子を出力する構成において、前記表示パネルの状態の検出は、前記選択される電子放出素子を切替える時に行うようにすればよい。
また、前記検出手段は、前記表示パネルにおける放電を検出するものであったり、直接放電を検出しなくても、放電に関わる状態を検出するものであったりする。また、スペーサに流れる電流を検出する場合のように、前記検出手段は、前記表示パネルにおける消費電力に関わる状態を検出するものであってもよい。また、前記検出手段は、前記表示パネルの状態の変化状態を検出するものであってもよい。
また、前記検出手段が検出した情報を記憶する記憶手段を有すると、パネルの状態を記録できるため好適である。この記憶手段は、前記表示パネルにおける異常の回数に関わる情報を記憶したり、前記表示パネルにおける異常の発生位置に関わる情報を記憶したり、前記表示パネルにおける異常の発生日時もしくは終了日時もしくは発生日時と終了日時の両方に関わる情報を記憶したりする。
また、前記表示パネルの状態に応じた画像表示装置の制御は、情報伝達手段による情報の伝達であったりする。情報伝達手段としては、視覚表示によるものや、音声発生によるものを好適に用いることができる。
また、前記表示パネルの状態に応じた画像表示装置の制御は、被情報伝達者に対して、画像表示装置の制御を促す情報を伝達する制御であったりする。被情報伝達者、例えば、画像表示装置の使用者や、画像表示装置のメンテナンスを行う者が、該伝達される情報に従って異常の進行を抑制する制御を行えばよい。
また、前記表示パネルの状態に応じた画像表示装置の制御は、前記表示パネルの駆動電圧の制御であってもよい。表示パネルの状態に異常が生じた場合は、表示パネルの駆動電圧を下げることにより、異常の進行を抑制することができる。より具体的には、前記表示パネルが、電子源と、該電子源が出力する電子を加速する加速電極とを有する構成において、前記制御する電圧は、前記電子源と前記加速電極の間の電圧であったりする。また、前記表示パネルが、電圧が印加されて電子を放出する電子源を有する構成において、前記制御する電圧は、該電子を放出するための電圧であったりする。
また、前記表示パネルが、内部の圧力を周囲の圧力よりも低く保つための気密容器を有するものである構成において、前記表示パネルの状態に応じた画像表示装置の制御は、該気密容器内の真空度を向上させる制御であってもよい。例えば、気密容器内に設けたゲッタを加熱等により雰囲気中の物質を取り込める状態にする制御を行うことにより、真空度を向上させることが出来る。
また、前記表示パネルの状態に応じた画像表示装置の制御は、複数の制御の中から選択される様にすると好適である。特には、前記表示パネルの状態に応じて複数の制御の中から選択される様にするとよい。
また、前記表示パネルは、電子源を有しており、該電子源は、複数の第1配線と、該第1配線と交叉する方向に伸びる複数の第2配線とによって、マトリックス状に接続される複数の電子放出素子を有するものであったりする。
また、前記表示パネルは電子源を有しており、該電子源は冷陰極素子を有するものであったりする。
上記各発明は、前記表示パネルは、異常が発生していない状態の時に、内部の圧力が10のマイナス4乗[torr]よりも真空度が高い状態に保たれるものである場合に特に有効である。
また本願は、上記各発明を適用したテレビジョン装置やコンピュータディスプレイ装置の発明を含んでいる。
また前記電子源は、並列に配置した複数の冷陰極素子のそれぞれの両電極を接続した冷陰極素子の行を複数配し(行方向と呼ぶ)、この配線とほぼ直交する方向(列方向と呼ぶ)に沿って、冷陰極素子の上方に配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、冷陰極素子から放出される電子を制御するはしご状配置の電子源を用いることができる。
また、本発明の思想によれば、表示用として好適な画像形成装置に限るものでなく、感光牲ドラムと発光ダイオード等で構成された光プリンタの発光ダイオード等の代替の発光源として用いることもできる。またこの際、上述のM本の行配線とN本の列配線を適宜選択することで、ライン状の発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応用できる。この場合、画像形成郡材としては、以下の実施の形態で用いる蛍光体のような直接発光する物質に限るものではなく、電子の帯電による潜像画像が形成されるような部材を用いることもできる。
また、本発明の思想によれば、例えば電子顕微鏡のように、電子源からの放出電子の被照射部材が、蛍光体等の画像形成部材以外のものである場合についても本発明は適用できる。従って、本発明は被照射部材を特定しない一般的電子線装置としての形態も取り得る。
以上説明したように本発明によれば、放電現象を検知して、その放電現象における情報を記録できるという効果がある。
又本発明によれば、装置内で発生する放電を検知して、その放電に伴う装置の破損などを防止できるという効果がある。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
[実施の形態1]
次に、本発明の第1実施の形態として、電子放出素子を用いた表示パネルとその表示パネルの駆動回路について具体的に説明する。この実施の形態1の表示パネルの構成は、前述の図31と同じであるため、その構造の詳しい説明を省略する。
図1は、本実施の形態1に係る画像表示装置の表示パネルの駆動回路の構成を示すブロック図である。
図1において、1は冷陰極素子(電子放出素子:電子放出素子の詳細については後述する)を用いた表示パネルである。外部からの映像信号(例えばNTSC信号)は映像信号を検波する映像検波回路2に入力され、映像検波回路2の出力は、映像信号と水平及び垂直同期信号とを分離してそれぞれを出力する同期分離回路3に入力される。
同期分離回路3で分離された映像信号は、A/Dコンバータ4に入力される。又、同期分離回路3は、垂直、水平の各同期信号を各々垂直走査タイミング回路5と水平走査タイミング回路6に出力している。
A/Dコンバータ4からの出力は、RGBの各色成分の輝度に応じたデジタルデータで、表示パネル1のカラー画素の配列に合わせて出力されており、各々シリアル/パラレル変換回路7に順次入力される。水平走査タイミング回路6は、シリアルのデジタル信号をシリアル/パラレル変換回路7にシフト入力するためのTsp信号を出力する。この信号Tspは、映像信号に同期したシリアル・クロックで、この信号に同期してN個の信号I1〜INが、シリアル/パラレル変換回路7に格納される。尚、このシリアル/パラレル変換回路7は例えばシフトレジスタで構成できる。
水平走査タイミング回路6は、入力した画像の1ライン分のデータがシリアル/パラレル変換された時点で信号Tmを出力する。これにより、シリアル/パラレル変換回路7の出力がラインメモリ8にラッチされる。こうしてラインメモリ8は、次の信号Tmが入力されるまで、N個の信号I1〜INを保持する。
変調回格9は、ラインメモリ8に入力された1ライン分の画像データの輝度値に基づいて、表示パネル1の配線電極Dy1〜DyNの各々に接続されたトランジスタG1からGNのベースに印加する信号を出力するための回路であり、行配線に印加される走査信号に同期した信号Tmoに応じて位相変調信号を出力する。この信号Tmoが出力されている間は、変調回路9から画像データの輝度値に対応した変調信号が出力される。この位相変調信号は、本実施の形態1では輝度値に応じて電圧パルスの幅を変えるパルス幅変調方式を用いている。従って、表示パネル1の列配線には+Vf/2の電圧が、画像データの輝度値に応じたパルス幅で印加されることとなる。
又、走査信号切り替え回路10は、表示パネル1の行配線の1からM本を、変調回路9の出力に同期して順次選択して電圧を印加する回路であり、その切替えタイミングは、走査タイミング回格6から出力される水平同期信号THに同期して決定される。こうして選択された配線電極Dx1〜DxMのいずれかに一定電圧(−Vf/2)を印加し、非選択の電極をGNDに接地する。
次に、表示パネル1のフェースプレート(3117)側には、図31の基板3111上に形成されている電子放出素子3112を駆動した時に放出される電子を加速して蛍光体3118に衝突させるための高電圧が印加される高電圧端子Hvが設けられ、それらはアノード電圧制御回路11より電流検知回路12を通して印加される。電流検知回路12は、アノード電圧制御回格11から高電圧端子Hvに流れる電流値を検出しており、この電流検知回路12によって本実施の形態1におけるスペーサ電流の検出が可能となる。
次に、スペーサ電流の検出方法を図2を参照して説明する。
図2は、スペーサ電流を走査信号のブランキング時間に検出する方法を説明する図である。本実施の形態1の表示パネル1には、駆動時にはフェースプレート3117にも高電圧がDC的に印加される。ここで、フェースプレート3117と基板3111間に配置されているスペーサ3120にも高電圧が印加されるため、(スペーサ電流+電子放出電流(I1+I2)がアノード電流として流れることになる。そのため、スペーサ電流を精度よく検出するために、電子放出電流が発生していない期間、つまり電子放出素子3112を駆動しない非表示期間であるフイールド信号間のブランキング時間が適している。
従って、このブランキング時間にはスペーサ電流I1のみが流れることになる。電流検出回格12は、垂直走査タイミング回路5から、この垂直ブランキング期間を示すTv信号を受けて、この垂直ブランキング時間の間にスペーサ電流を検出している。
この電流検出回路12におけるスペーサ電流の検出方法は、例えば、I/V変換回路等を用いて行われる。本実施の形態で使用されたスペーサ3120は、10の8乗〜10の9乗[Ω]程度の抵抗値を持ち、それらが表示パネル1の大きさに依存して数十〜数百個のオーダで表示パネル1に均等に配置されている。
従って、アノード(フェースプレート3117)側からみた時のスペーサ抵抗は、例えばスペーサ抵抗を1×10の9乗[Ω]とし、使用されるスペーサ3120の数を100個とすると、その抵抗値は(1×10の9乗/100)により10の7乗[Ω]程度になる。そのため、アノード電圧として10KVを印加すると、アノード電流によりスペーサ3120を流れる電流値は約1mAとなり、電流検出回路12で検出することができる。
以上の様に、本実施の形態lでは、アノード電圧を印加する側でスペーサ電流を検出することができ、スペーサ電流の変動に対する表示パネル1の消費電力の抑制を図ることができる。
例えば、図2で、電流検知回路12により、ブランキング時間に計測されるスペーサ電流が予め設定された値を超えた場合には、この電流検知回路12からアノード電圧制御回格11に指示してアノード電圧を下げたり、或は同期分離回路3から出力される映像信号の輝度レベルを一時的に下げるなどして、表示パネル1全体のアノード電流を減らすことが可能である。
又、スペーサ電流の変動による表示パネル1の発熱が問題となる時には、表示駆動そのものを一時的に停止する方法(例えば、行配線に印加する電圧−Vf/2を上げたり、或は駆動そのものを停止する)で対処することができる。
以上の様な制卸で、実質的な表示パネル1の発熱や消費電力を抑えることが可能となる。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2の表示パネル1aの斜視図で、その内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。
この実施の形態2の表示パネルは、前述の図31に示す表示パネルとほとんど同じ構成であるが、図3の蛍光坂13で示されるように、フェースプレート3117側で蛍光体3118とメタルバック3119が均等に分割された状態となっている点が異なっている。また、本実施の形態2では、リアプレート3115を用いず基坂3111をリアプレートとして用いている。なお、前述の図31と同一の構成部材については同一符号を付して説明を省略する。
蛍光板13は、表示パネル1a内部の局所的なスペーサ電流の変動を、個別に検出することを目的としたもので、前述の実施の形態1と比較して、部分的なアノード電流等の検知を可能にしている。これら蛍光板13は、本実施の形態2では10個に分割されており、各々分割した蛍光板13にHv1〜Hv10までのアノード電圧を印加するための電極を備えている。なお、この蛍光板13の分割数は、この実施の形態に限定されるものでなく、任意に設定してよい。
図4は、図3の表示パネルに対応する駆動回路の構成を示すブロック図である。この回路と図1の回路との異なる点は、フェースプレート3117側で分割された蛍光板13のそれぞれに高電圧端子Hv1〜Hv10の各々に電流検出回路14が接続されている点、及び各々の高電圧端子に高電圧を印加するための電圧分布制御回路15が設けられている点である。この電圧分布制御回路15と接続されるアノード電圧回路16及びその他の構成は図1と同じであるため同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態2では、フェースプレート3117側の蛍光体とメタルバックが分割され、各々に高電圧の取り出し部が設けられていることから、表示パネル1のアノード電流を行配線方向に沿って検出することができる。
電流検出回路14は、前述の実施の形態1と同様に、垂直走査タイミング回路5からの信号Tvにより垂直ブランキング時間を検出して、このブランキング期間に、各々分割された蛍光板13に流れ込むアノード電流を個別に検出することができる。こうして検出された電流値を電圧分配制御回格15にフィードバックすることにより、端子Hv1〜Hv10に印加される電圧値も個別に制御することが可能である。
電流検出回路14は、前述の実施の形態1で用いたI/V変換回路を用いてもよい。こうしてI/V変換された出力は、アナログ電圧の電圧値として個々に出力され電圧分配制御回路15に入力される。
電圧分配制御回路15では、所定の高電圧に対する設定電流値に対して、検出されたアノード電流値が大きい場合には、そのエリアに相当する高電圧を電圧分配制御回路15によって制御する。
又、電流検出回路14の出力信号は、同期分離回路3にも出力されている。これにより、実施の形態1と同様に、アノード電流値が所定値よりも大きい場合には、同期分離回路3から出力される映像信号の輝度をさげることにより、表示パネル全体のアノード電流の低減を図る様な制御を行っている。
更に、この実施の形態2では、アノード電圧を印加する蛍光板13を行方向に沿って10個に分割しているため、行方向の走査信号と同期して所望のエリアのみの表示輝度を下げることも可能となる。このような制御では、分割されたエリアごとにスペーサ電流の検出と、電流制御を行うたあめ、その度合いによっては、表示パネル1aにおける表示輝度のばらつきが生じる虞がある。そのような輝度のばらつきがひどく、アノード電流を制御しなくてはいけない場合には、表示駆動を停止する方法もとられる。その場合には、高電圧を全てオフにするか、或は素子を駆動するための電圧Vfを下げる等の方法が考えられる。
以上説明したように実施の形態2では、フェースプレート側のアノード電極を複数に分割し、それぞれに対して高電圧を印加するための端子を設けることにより、スペーサ電流の変動を局所的に検知でき、更に、その電流変動のそれぞれに対する高電圧の印加制御を個別に行うことができる。これにより、表示パネルの発熱と消費電力を抑えた駆動を行うことができる。
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3の表示パネル1bの斜視図を示す。この図5では、その内部横造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。
本実施の形態3では、図3に示した実施の形態2の表示パネルにおいて、列配線に沿って設けられたダミー配線17上に、スペーサ3120と同じ材料及び同じ製法を用いて作成されたダミースペーサ16が配置されている。このダミースペーサ16は、実施の形態2と同様に、それぞれが蛍光体とメタルバックを含む複数の蛍光板13に対して各々対応して設けられており、10個に分割された蛍光板13に対して同数のダミースペーサ16が設けられている。
又、ダミー配線17は、マトリクス状に配列された素子3112を接続している行及び列配線とは独立した位置に形成されている。
また前述の実施の形態1,2では、表示パネル内のスペーサそのものに流れる電流値を検出したのに対して、この実施の形態3では、各ダミースペーサ16を流れる電流値を検出するところが異なる点である。
上述した様に、ダミースペーサ16は、スペーサ3120と同じ材料、同じ製法を用いて作られているが、その抵抗値は一桁または二桁程度、低抵抗に作製しておくことで、実際に検出する電流値のダイナミックレンジを上げることが可能となる。
図6は、本実施の形態3の表示パネル1bの駆動回路の構成を示すブロック図である。この構成は図4に示した実施の形態2の回路とほとんど同じであるが、電流検出回路14がダミースペーサ16を流れる電流値を計測する点が異なっている。また前述と同様に、電圧分配制御回路15、アノード電圧回格16とを有し、10個に分割された蛍光板13のそれぞれには、各々Hv1〜Hv10の高電圧印加用電極が設けられており、この高電圧はダミースペーサ16にも印加される。
各ダミースペーサ16を流れる電流は、列方向に沿って設けられたダミー配線17(図5)を通ってHvg端子に出力される。このHvg瑞子は、電流検出回路14と接続されており、電流検出回路14内で、このHvg端子から流れ込む電流値を計測することにより、各ダミースペーサ16を流れる電流値を計測することが可能となる。その電流検出方法は、前述の実施の形態2と同じI/V変換によって行ってもよい。
従って、実施の形態3の利点としては、高電圧が印加されているダミースペーサ16がダミー配線17に共通に接続されていて、端子Hvgに流れ込む電流をモニタしていることから、映像信号に依存せず常にスペーサ電流を検出できる点があげられる。
なお、この実施の形態3では、分割された蛍光板13を使用しているが、上記の検出方法を用いると、ダミースペーサ13に流れる電流の総和を検出することになるため、フェースプレート側のアノード電極は分割されていないものを使用しても構わない。
以上説明したように、表示パネルに形成された各ダミースペーサ16の電流値を検出し、その電流値に対して前述の実施の形態1,2と同様に、高電圧の印加制御や、輝度信号レベルの制御を行うことにより、表示パネルの発熱や消費電力を抑えることができる。
[実施の形態4]
次に、添付図面を参照して本発明の実施の形態4の画像表示装置の駆動回路を詳細に説明する。尚、以下の説明では、前述の実施の形態と同様に、表示パネルにおける表示走査方法を飛び越しなし(ノンインターレース)の線順次走査とし、表示画像に階調をつけるために、一水平走査時間(1H)内の電子放出期間を変調信号の時間幅で制御することにより蛍光体の発光総量を制御して階調表現することを基本としている。
[実施の形態4]
図7は、本発明の実施の形態4の画像表示装置の駆動回路の構成と各部の接続を表わした図である。
同図において、6001は信号処理回路で、NTSCなどの映像信号を入力し、水平同期信号、垂直同期信号、ディジタル映像信号などを生成する。この信号処理回路6001には、映像中間周波数回路、映像検波回路、同期分離回路、ローパスフィルタ、A/D変換回路、タイミング制御回路などが含まれる。6004は画像表示部で、その詳細は前述した実施の形態2の表示パネル1a(図3)と同様に構成されているが、図9を参照して後述するように、スペーサ3210が配設されていない点が異なっている。6002は走査信号側ドライバで、画像表示部6004の行配線を順次選択して駆動している。即ち、信号処理回路6001で分離、作成された水平同期信号に基づいて、線順次に走査するための走査信号(後述する)を出力している。6003は変調信号側ドライバで、映像信号に応じて、画像表示部6004の列配線を駆動しており、信号処理回路6001で分離、作成された水平同期信号、垂直同期信号、ディジタル映像信号などを基に変調信号(後述する)を出力している。
6006は放電検知部で、画像表示部6004内で発生する放電を検知するための複数のアノード電流検知部6005を有し、そこで検知された放電は放電記録部6012の放電記録制御部6008に送られてメモリ6009に記憶される。また、このメモリ6009に記憶された情報は、インターフェース部6010、コネクタ6011を介して、外部のコンピュータ機器などに送られて処理されるようにも構成できる。尚、これら放電検知部6006、放電記録部6012については詳しく後述する。
図8は、本発明の実施の形態4の画像表示装置の画像表示部6004を駆動する際に、行配線(即ち、走査信号を供給する側の配線)、列配線(即ち、変調信号を供給する側の配線)の引き出し線に印加する電圧のタイミングチャートの一例を表す図である。
図8のタイミングチャートは、画像表示部6004の行配線I,I+1,I+2を順々に駆動している際、I,I+1,I+2行の行配線に印加している電圧と、変調信号側の列配線のうち、J,J+1,J+2列の列配線に印加している電圧を表わした図である。ここでは必然的に、1<I<M−2、1<J<N−2であり、またMは行配線の総本数、Nは列配線の総本数を示している。
同図では、1水平走査の期間KではI行目の行を表示し、期間(K+1)では(I+1)行目の行を表示し、期間(K+2)では(I+2)行目を表示している。
ここで線順次に走査する走査側である行配線は、1水平走査期間(以降1Hとする)ごとに順番に選択され、その選択された行の行配線には、1Hに相当するパルス幅をもつ、波高値(−Vf/2)(Vfはここでは駆動電圧であり、およそVf=2Vth(Vth=閾値電圧))の走査信号が順番に印加されていく。この線順次走査はライン飛び越しなしで全行配線について行われ、その後、また最初の行から順番に繰り返される。
このとき列配線には、その行配線に印加する走査信号と同期して、選択された行に表示する映像信号(輝度)に対応した時間(パルス幅)で、(Vf/2)の波高値を有する変調信号が全列配線に印加される。
この変調信号は、走査信号の立ち下がりと同期して立ち上がり、映像信号の値(輝度)に対応した時間幅だけ波高値Vf/2の状態を維持した後立ち下がる。(以降、変調信号が立ち上がってから、次に立ち下がるまでの期間を単に変調信号のパルス幅と呼ぶ)。この変調信号のパルス幅は、選択された行に表示する映像信号のR,G,B3色に分解した時のそれぞれの輝度に対応しているが、実際には、高品位な画像を表示するために種々の補正をかけるため単純な比例関係ではない。
このように、各走査行毎に、入力された映像信号に応じたパルス幅の電圧を印加することにより、選択された行の冷陰極素子には、変調信号のパルス幅に応じた時間、駆動電圧Vfが印加されることになる。ここで冷陰極素子の放出電流Ieの特性は、駆動電圧Vfに対して、後述するような明確な閾値特性を持っているため、選択された行には所望の映像信号に対応した画像が表示されることになる。さらに線順次に全ての行配線に亙って走査することにより、画像表示部6004の全ての冷陰極素子により画像の表示が行われる。
(表示パネルのアノード電極の構造)
次に図9を参照して、本実施の形態4の画像表示部(表示パネル)6004について更に説明する。
図9は、本実施の形態4に用いた表示パネルのアノード電極7001と、その引き出し用端子を説明するための図であり、その内部構造を示すためにパネルの側壁(枠)や、フェースプレートの一部、蛍光体等を除いて図示している。
同図において、1001は素子基板、1005はリアプレート、1006は側壁、1007はフェースプレート、1002は冷陰極素子、1003は行配線、1004は列配線である。又、Dx1〜DxMのそれぞれは前述の行配線1003のそれぞれと接続された行端子、Dy1〜DyNのそれぞれは列配線1004のそれぞれと接続された列端子である。他の構成は前述した表示パネル1aの構成と同様であるので、詳しい説明は省略する。
7001はアノード電極を示し、前述したように、これらアノード電極7001は蛍光体、黒色導電体、メタルバックを含めたアノード側の高圧を印加するための電極である。本実施の形態4では、同図に示すように、アノード電極7001を複数の領域に分割し、それぞれのアノード電極7001のそれぞれに接続されたアノード電極端子Hv1〜Hv10を真空容器外に設けている。なお、同図では、便宜上、アノード電極端子Hv4〜Hv9、及びそれに対応するアノード電極7001を、内部構造を説明するために省略して示している。
(放電検知部、放電記録部の接続)
これらアノード電極7001の構成とその作用を図7を参照して詳しく説明する。本実施の形態4では放電検知部6006には、各アノード電極を流れる電流を検出するためのアノード電流検知部6005を備えている。
図9に示すように、マルチ電子源のアノード側に電極7001を複数設け、各アノード電極に接続された端子Hv1〜Hv10のそれぞれをアノード電流検知部6005を介して高圧電源6007に接続している。本実施の形態4で、アノード電流検知部6005を複数個設けたのは、複数の分割したエリアで独立してアノード電流の変化をモニタすることにより、真空容器内における放電の有無、その規模の検知を行うとともに、その放電の起きている領域を正確に検知するためである。
図10は、本実施の形態4のアノード電流検知部6005の回路構成を示す回路図である。
図10において、Hviは表示パネル6004のアノード電極7001と接続しているアノード電極端子を示している。抵抗6101は高圧電源6007からアノード電極7001に流れるアノード電流に応じた電圧を発生させるための電流モニタ用抵抗である。6102は差動増幅回路で、電流モニタ用抵抗6101の両端に生じる電位差を増幅している。6103はA/D変換器で、差動増幅回路6102で増幅された電圧値をデジタル信号に変換している。6104はフォトカプラで、高圧側の回路である差動増幅回路6102、A/D変換器6103などと、放電記録制御部6008との間のアイソレーションを行い、耐圧をとるために用いられている。ここでA/D変換器6103のサンプリング周期は、非常に周波数の高い放電を検知するという意味では周期が短いのが好ましいが、本実施の形態4では実用上、5μ(秒)に設定している。
このような構成により、放電により高圧電源6007からアノード電極7001に流れた電流に対応する電圧値が差動増幅器6102により増幅されてデジタル信号に変換され、フォトカプラ6104を介して放電記録制御部6008に送られて記録される。
また、アノード電流の測定範囲を広げるために、上述した差動増幅回路6102の利得を幾つかの値に切り替える機構を設けることにより、より精度のよいアノード電流の検知を行うことができるようにしている。
次に本実施の形態4の放電記録部6012について説明する。この放電記録部6012は、放電記録制御部6008とメモリ6009を備えている。放電記録制御部6008は、アノード電流検知部6005から送られてくる情報(電圧値)をメモリ6009に書き込むとともに、サービスマンがこの画像表示装置のメインテナンスを行うに際して放電情報を読み出す場合には、メモリ6009に記憶されている情報を読み出して出力することができる。
放電記録制御部6008は、アノード電流検知部6005により検知された電圧値(アノード電流値)に基づいて所定値以上のアノード電流が流れたと判断すると、その発生した日時(放電が始まった日時と、終了した日時で、この情報は図示しない内蔵タイマから得られる)と、そのアノード電流の大きさ(電圧値/モニタ用の抵抗値)、そして放電の起きた領域(図7では、エリア1〜エリア10のいずれかで端子Hv1〜Hv10に対応)をメモリ6009に記憶する。ここで、メモリ6009への記憶の仕方は、メモリ6009がオーバーフローしない限りは、上書きせず履歴情報として次々に追加記憶するようにしている。
尚、本実施の形態4では、アノード電流の所定値を1つの冷陰極素子からの放出電流の最大値を約10μAと見積もって30mAと設定した。この設定された所定値は、線順次駆動のため、列方向の全ての冷陰極素子数(M=3072個)から同時に電子が放出されるときの放出電流をも考慮している。またこの所定値は、冷陰極素子の構造や画像表示部の構造、駆動電圧、アノード電圧Va等の大きさによって変える必要がある。
また、メモリ6009は容量が十分大きければ、不揮発性のメモリや、バッテリー駆動のRAMなどでも構わないが、本実施の形態4では、ハードディスクを使用した。更に、このメモリ6009から情報を読み出す際には、その情報は外部機器との間でデータの整合性を取るように考慮しており、インターフェース6010を介して外部機器接続用コネクタ6011から出力される。このコネクタ6011を介して接続される外部機器としては、例えば、パーソナルコンピュータのようなものであってもよいし、単にデータを表示するための表示装置や、プリンタのようなものであっても構わない。
このような構成の放電検知部6006、放電記録部6012を用いることにより、表示パネル6004で放電が発生した際には、その放電の発生した時刻、放電の規模(具体的にはアノード電流の変化量)および、その放電の発生した、おおよその箇所(領域)に関する情報を履歴として残すことができる。
なお、このように放電が発生した箇所がわかることは、その放電を引き起こしている原因を推定する上で非常に有効である。こうして放電の原因が推定できれば、その後に回復動作を適切に施すことも可能になる。
例えば、あるエリアで集中的に放電が発生していて、それ以外の箇所では生じない場合には、その原因は真空度の劣化というよりはむしろ製造上の不具合により、異常な突起物がある場合や、その位置の冷陰極素子の特性の異常など、というようにその原因を推定することができる。
また、別の例できまざまなエリアでランダムに放電が発生している際には、画像表示部6004の全体で異常な動作が起きていることが確認できるために、何らかの影響で画像表示部6004を形成している真空容器内部の真空度が劣化しているのではないかと推定することができる。
このような放電検知部6006、放電情報記録部6012、メモリ6009などを有する画像表示装置を多数作製して画像の表示を行ったところ、確率的には非常に小さい確率ではあるけれども、長時間の耐久試験を行うと、多数の画像表示装置の中には、長時間駆動した後に放電が発生するものがあり、メモリ6009にそれら放電の履歴が記録された。
上述した放電が発生した画像表示装置の一つを例に取ってみると、そのメモリ6009に記録された放電の履歴情報によれば、その放電の履歴情報から放電の起き方がDC的というよりはむしろ瞬間的であり、また頻度が長時間耐久試験を行った際、十分長い時間が経過した後に増えてきたことや、そのアノード電流の大きさや放電が発生している箇所(エリア)がいつも同じではなく、ランダムに起きていることなどから、時間の経過とともに何らかの原因で真空度が劣化してきたことがこの場合の放電の要因ではないかと推測された。
これに対する対策として、真空度を向上させるために前述した追加的にゲッター材料を加熱して、ゲッター膜の吸着作用により真空度を向上させた。このような処置を施した結果、上述した画像表示装置は、その後一定の期間、放電の発生が抑制され、長時間耐久試験を行う以前の状態と変わらない正常な動作が確認された。
ここで冷陰極素子3112が配置されている容器の中は真空度の高い減圧雰囲気であることと、高圧が印加されているために非常に放電が起こりやすい状況にあり、ごく稀に容器のアノード側と、基板3111間などで予期しない放電による電流が流れることがあった。この放電による電流は多発すると、時として冷陰極素子や、行及び列配線などの電極にダメージを与えたりすることがあった。
この放電の原因については詳しくは分かっていないが、例えば真空度の劣化や基板3111の絶縁層のチャージアップ、基板3111やメタルバック3119を作製する際に誤って形成された突起やバリなどの要因が考えられる。このような放電という、非常に稀に起きる異常な状態に対して、その履歴を記録し、これまでの画像表示装置の動作状態が常に正常であったかどうかを確認するための情報や、放電という異常な動作の回数などの情報を保存することによって、例えば、調整が必要な場合でも、その調整を行うための判断材料があるため、正常動作を回復するための調整をタイミングよく施すことができる。
即ち、以上のように、本実施の形態4の画像表示装置において、放電の発生状況の履歴情報をメモリに記憶することにより、画像表示装置が正常に動作しているかどうかを確認することができる。また、非常に小さい確率で生じる放電による異常動作に対しても、その放電の起きている要因が何であるかを推測できる。更に、異常動作がおきた際にも、その要因を推定できるようにすることにより、正常な動作を回復するための適切な処置をタイミング良く行うことができるという点で非常に効果がある。
なお、上述の実施の形態4では、説明の便宜上、分割するエリアを10個にしているが、放電が発生している場所を検知するという意味では、その分割数は多い方が好ましい。しかし、実際にはフェースプレート側のアノード電極の分割数を多くすると、製造コストが多くなることや、アノード電流検知部6006の個数が多く必要になるため、実用上、好ましい値に設定すべき値である。
また、本実施の形態4では、アノード電極を分割する方向を走査線と平行な方向にしたが、もちろん、この分割の仕方はこれに限らず、例えば、これとは逆に走査線に垂直に分割しても構わない。
[実施の形態5]
この実施の形態5では、素子基板1001の表面電位測定部(表面電位測定系)を複数個用いて、冷陰極素子1002を複数配置している素子基板1001の表面電位をモニタして放電の検知を行い、更には、本実施の形態5の特徴である放電記録部6012を用いてそれらの履歴を記録した例について説明を行う。
(表面電位測定用電極の構成)
図11は、本実施の形態5の画像表示装置の画像表示部6004の一部を切り欠いた斜視図である。尚、同図では、本実施の形態5の放電検知部の一部である表面電位測定用電極7002を説明するために、フェースプレートや、側壁(枠)の一部を切り欠いて図示している。また図12は本実施の形態5の画像表示装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。尚、これらの図において、前述の実施の形態4の構成と共通する部分は同じ番号で示し、その説明を省略する。
図11において、7002は表面電位測定用電極である。
本実施の形態5の放電検知部は、表面電位測定用電極7002と、後述する表面電位測定部を備えている。即ち、本実施の形態5では、素子基板1001上に新たに表面電位測定用電極7002を複数個設けている。これら表面電位測定用電極7002の形状はさまざまな形が考えられるが、本実施の形態5では、図11に示すパターンの電極を複数設けた。
これら表面電位測定用電極7002は、素子基板1001上に行配線1003、列配線1004、冷陰極素子1002などとは電気的には絶縁された状態で配置されていて、真空容器の外部端子Ds1〜Ds14を介して、外部回路と接続されている。
ここで表面電位測定用電極7002を素子基板1001上に複数配置したのは、素子基板1001の表面電位の上昇を幾つかの領域毎に独立してモニタし、その基板1001上で放電が発生した際には、その放電が生じているエリア情報も併せて記録することにより、その放電が起きている原因を推定し易くすることを目的としている。こうして放電発生の原因の推定が可能になれば、例えば、画像表示装置を正常な動作に回復させるために適切な回復動作を施すことも可能になる。なお、これら表面電位測定用電極7002は、材質的には導電性が十分あればよく、行配線1003、列配線1004、もしくは、素子電極などと同様な材料で形成可能であり、それらを基板上に作製する際に同時に作製することができる。尚、本実施の形態5では、素子電極(図19の1102,1103)と同様な製法で作製を行った。
(表面電位測定用電極7002と表面電位測定系、放電記録部等の接続)
図12は、本実施の形態5の画像表示装置の画像表示部6004と、それを駆動するためのドライバ6002,6003、表面電位測定部6016、放電記録制御部6008aなどの接続を説明するためのブロック図で、前述と同様の構成は同じ記号で示している。
画像表示部6004の表面電位測定用電極7002の引出し端子Ds1〜Ds14は、同図に示すようにそれぞれ入力インピーダンスの高い(10の13乗Ω以上)表面電位測定部6016に接続されており、その電位の変化がそれぞれ独立してモニタされている。今、基板1001上で放電が発生すると、その箇所の素子基板1001上の電位が上昇し、特に沿面放電などの現象によって、その放電が発生した箇所だけでなく、その周辺の導電性のある部材の電位が上昇する。このため、表面電位測定用電極7002の周辺で放電が発生した際には、その表面電位測定用電極7002の電位が上昇する。こうして、その表面電位測定用電極7002に接続されている表面電位測定部6016により、その放電が発生したことを検知することができる。
本実施の形態5の放電記録部6012aは、前述の図10とほぼ同様の構成を備える放電記録制御部6008aとメモリ6009を備えている。この放電記録制御部6008aが、前述の放電記録制御部6008の構成と異なる点は、外部端子Ds1〜Ds14に発生する電位を表面電位測定部6016のそれぞれから入力し、その電圧値を差動増幅回路6102で増幅し、その増幅した電圧値をA/D変換器6103でデジタル信号に変換している点が異なっている。こうして表面電位測定用電極7002の各部の表面電位の変化を監視し、表面電位の変化が所定の大きさを超えた際には放電と判断し、メモリ6009に、その放電が発生した日時(放電が開始された日時と、終了した日時)と、その表面電位の変化量と、その表面電位の変化が所定値を超えた電極の番号を記憶する。
また、さらに放電記録制御部6008aは、サービスマンがこの画像表示装置のメインテナンスを行う際などに、そのメモリ6009に記憶されている放電情報を読み出すことができるように構成されている。こうしてメモリ6009から読み出された情報は、インターフェース6010を介して外部機器接続用コネクタ6011を介して外部機器に出力することができる。
このような構成の放電検知部と放電記録部を用いることにより、その放電が発生した際に、その放電が発生した時刻、その放電の規模(具体的にはアノード電流の変化量)および、その放電が発生した、だいたいの箇所(領域)に関する情報を履歴として残すことができる。
なお、本願発明者らは、放電が発生した箇所を特定できることは、その放電を引き起こしている原因を推定する上で非常に有効であることを確認している。この放電の原因が推定できれば、その後に回復動作を適切に施すことも可能になる。例えば、さまざまなエリアでランダムに放電が起きている際には、画像表示部全体で異常な動作が起きていることが確認でき、このような場合には、何らかの影響で画像表示部を形成している真空容器内部の真空度の劣化しているのではないかと推定することができる。
実際、このような放電検知部、放電記録部、メモリなどを有する画像表示装置を多数作製し、画像の表示を行ったところ、確率的には非常に小さい確率ではあるが、長時間の耐久試験を行うと、多数の画像表示装置の中には、放電が発生するものがあり、メモリ6009にその放電の履歴が記録されていた。
上述した放電が発生した画像表示装置の一つを例に取ってみると、メモリ6009に記録された放電の履歴情報によれば、その放電の履歴情報から放電の発生の仕方がDC的というよりはむしろ瞬間的であった。また、その発生頻度は、長時間耐久試験を行った際、十分長い時間が経過した後に増加したこと、その発生している箇所がいつも同じところではなくランダムであることから、時間の経過とともに真空度の劣化が生じたことが放電の原因ではないかと推測された。
これに対する対策として、真空度を向上させるために前述したように追加的にゲッター材料を加熱して、ゲッター膜の吸着作用により真空度を向上させた。これにより、上述した画像表示装置は、その後一定の期間、放電の発生が抑制され、長時間耐久試験を行う以前の状態と変わらない正常な動作が確認された。
以上のように、本実施の形態の画像表示装置においては、放電に対して、その履歴情報を記憶しておくことにより、画像表示装置が正常に動作しているかどうかを確認することができる。また、非常に小さい確率で生じる放電による異常動作に関して放電の原因の推測を容易にすることができる。更に、異常動作が発生した際にも、放電の原因を推測できることにより、正常な動作を回復するために適切な処置を施すことができるという点で非常に効果がある。
なお、本実施の形態5では、表面電位測定用電極7002を図11に示すように真空容器内の画像表示エリアの外の14箇所に配置したが、その個数や、配置、電極の大きさなどについては、特にこれに限定されるものでない。また、表面電位測定用電極7002は、できるだけ広い領域の放電を検知するために真空容器内部の素子基板1001上にできるだけ広い面積で配置することが好ましいが、画像の表示エリアに重なること製造上不便であるために、表示領域の外側に配置をした。
また、表面電位測定用電極7002の個数を多くしたほうが、より細かい分解能で放電を検知することが可能となるが、それに接続する表面電位測定回路などの個数も同様に増大することや、実際どの程度の細かい領域で放電を検知できるかといったこととの兼ね合いで電極の個数を決定した。
以上説明したように本実施の形態5の画像表示装置によれば、放電の発生という異常動作に対して、その放電が発生する要因が何であるかを推測するための情報を提供することができる。
さらに、異常動作がおきた際にも、その要因が放電の発生に基づくものかどうかを推測することができ、その後、画像表示装置が正常な動作を回復するために適切な調整を施すための情報を与えることができるという優れた効果がある。
[実施の形態6]
図13は、本発明の実施の形態6に係る画像表示装置における表示パネルと周辺回路との接続を説明するための模式図である。
図において、101は表示パネルで、この構成は前述の図31の構成と略同様であるが、後述する破壊検知用の高圧電極103や検知用素子102及びその端子などを備えている点が異なっている。この表示パネル101の駆動回路としては、外部から入力した映像信号に応じて行配線を順次駆動するための走査信号発生回路109、映像信号に応じて選択された行の各列配線に、映像信号に応じた変調信号を印加する変調信号発生回路110、さらには加速電圧Hvを入力する高圧電源106等がある。走査信号発生回路109は、表示パネル101の行端子Dx1〜DxMを順次選択して所定電圧を印加しており、変調信号発生回路110は列端子Dy1〜DyNのそれぞれに映像信号に応じたパルス幅変調信号を印加している。
更に本実施の形態6では、表示パネル101の素子基板上の画像表示領域と異なる場所に、少なくとも1つの破壊検知用の冷陰極素子102を設けている。また、この破壊検知用の冷陰極素子102の上方(フェースプレート側)には破壊検知用の高圧電極103を配置し、この破壊検知用の冷陰極素子102から放出された電子を補足できるようにしている。尚、この破壊検知用の高圧電極103には、表示されるべき画像と無関係な発光を防ぐために、電子の衝突により発光する蛍光体を設けないのが望ましい。また、この破壊検知用の高圧電極103には、端子121を介して、高圧電源106の出力Vaを抵抗111(抵抗値R1)と抵抗112(抵抗値R2)とにより分圧した電圧{Va×R2/(R1+R2)}を印加している。
本実施の形態6では、破壊検知用の高圧電極103へ印加する電圧は、放出電流の補足が可能で、しかもできるだけ低い電圧(約80[V])になるように、これら抵抗値R1,R2を設定している。このように破壊検知用の高圧電極103へ印加する電圧を低くする理由は、破壊検知用の高圧電極103に直列に接続している電流計104に対して耐高電圧対策(アイソレーション)を施す必要をなくして、コストを低減するためである。
このような気密容器の破壊検出手段(破壊検知用の冷陰極素子102、破壊検知用高圧電極103等)によって、気密容器の破壊を検知する方法について以下に説明する。
いま不図示の主電源から本実施の形態6の画像表示装置に電力が投入されると、パルス発生器107から破壊検知用の冷陰極素子102に電子放出を起こすための電圧パルス(電圧Vf)を端子120を介して印加する。尚、このパルス発生器107は、後述する制御部105からの信号により動作を開始するようにしてもよい。これと同時に、破壊検知用の高圧電極103と高圧電源106の間に直列に接続した電流計104により、破壊検知用の冷陰極素子102からの放出電流Ieを測定する。ここでもし、表示パネル101の気密容器の破壊が発生していた場合には、その気密容器の内部が大気圧に暴露されているため、破壊検知用の冷陰極素子102からの電子放出が停止し、放出電流Ieが検出されない状態になる。従って、冷陰極素子102に電子放出を起こすための駆動電圧パルスを印加しても放出電流Ieが検出されない場合には、その気密容器が破壊したと判定することができる。尚、このような制御は制御部105によって行われる。即ち、制御部105は、パルス発生器107からパルス信号が冷陰極素子102に印加され、かつ高圧電源106から高電圧Vaが高圧電極103に印加されている状態で電流計104により電流が検出されないときには、表示パネル101の気密容器に何らかの異常が発生したものとして、高圧電源106からの高電圧の供給を停止させる。またこの時、パルス発生器107の動作を停止してもよい。
このような制御部105による処理を示したのが図14に示すフローチャートである。この実施の形態6の電子源の異常検知とその制御方法では、この図14のフローチャートで示すような、気密容器の破壊の検知処理を画像表示装置の主電源が投入されている期間中、常時行っている。
図14に示す処理は装置の電源が投入されることにより開始され、まずステップS1で、電流計104により測定された電流値を基に、破壊検知用の冷陰極素子102からの放出電流Ieを測定する。次にステップS2に進み、その電流値が検出されたかどうかを調べ、放出電流が検出されないときはステップS3に進み、高圧電源106の駆動を停止する。
一方、ステップS2で放出電流が検出されたときはステップS4に進み、主電源がオフされたかどうかをみる。そうでないときはステップS1に戻り、前述の処理を実行するが、オフされたときは、そのまま処理を終了する。
このようにして、もし気密容器の破壊による放出電流が検出されない状態を検知した場合は、制御部105により画像表示部への駆動電圧(高圧電極108へ印加している高電圧を含む)の供給を止める。尚、この場合、ステップS3において、更にパルス発生器107によるパルス出力を停止させてもよい。
以上説明した本実施の形態6の制御方法によれば、電子源の気密容器が破壊した場合に生ずる漏電や感電等の危険を排除することができる。尚、本実施の形態6では、破壊検知用の冷陰極素子102に印加した電圧パルスVfは、波高値16.0[v]、パルス周期1[ms]、パルス幅0.1[ms]の矩形波とした。
<画像表示装置の概要説明>
次に、本発明の実施の形態に係る画像表示装置の表示パネル101の構成と、その製造法について、具体的な例を示して説明する。
図15は、本実施の形態6に係る表示パネル101の斜視図であり、その内部構造を示すために表示パネル101の一部を切り欠いて示している。なお、この図15において、前述の図31と共通する部分は同じ番号で示し、それらの説明を省略する。
図において、120は、パルス発生器107(図13)から破壊検知用の冷陰極素子102にパルス電圧を印加するための端子、121は破壊検知用の高圧電極103に高電圧を印加するための端子である。尚、図15では図示の関係上、破壊検知用の高圧電極103は省略して示している。
本発明の実施の形態の画像表示装置に用いるマルチ電子源は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子源であれば、冷陰極素子の材料や形状或は製法に制限はない。従って、例えば表面伝導型放出素子やFE型、或はMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
次に、冷陰極素子として表面伝導型放出素子(後述)を基板上に配列して単純マトリクス配線したマルチ電子源の構造について述べる。
図16に示すのは、上述の実施の形態の表示パネルに用いたマルチ電子源の基板3111(1001)の平面図である。
基板3111上には、後述の図19(a)(b)で示すものと同様な表面伝導型放出素子が配列され、これらの素子は行配線3113と列配線3114により単純マトリクス状に配線されている。そして、これら行配線3113と列配線3114の交差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
図16のB−B’に沿った断面を図17に示す。
なお、このような構造のマルチ電子源は、予め基板3111上に行配線3113、列配線3114、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型放出素子3112の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行配線3113および列配線3114を介して各素子に給電して通電フォーミング処理(後述)と通電活性化処理(後述)を行うことにより製造した。
本実施の形態においては、気密容器のリアプレート3115にマルチ電子源の基板3111を固定する構成としたが、マルチ電子源の基板3111が十分な強度を有するものである場合には、気密容器のリアプレートとしてマルチ電子源の基板3111自体を用いてもよい。
また、フェースプレート3117の下面には、蛍光膜3118が形成されている。本実施の形態の表示パネル101(1)はカラー表示装置であるため、蛍光膜3118の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えば図18(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、これら蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けてある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにするためや、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐため、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止するためなどである。黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図18(A)に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、例えば図18(B)に示すようなデルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。なお、モノクロームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜3118に用いればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
また、蛍光膜3118のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック3119を設けてある。このメタルバック3119を設けた目的は、蛍光膜3118が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させるためや、負イオンの衝突から蛍光膜3118を保護するためや、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させるためや、蛍光膜3118を励起した電子の導電路として作用させるためなどである。メタルバック3119は、蛍光膜3118をフェースプレート3117上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜3118に低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバック3119は用いない。
また、本実施の形態では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェースプレート3117と蛍光膜3118との間に、例えばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
通常、冷陰極素子である本実施の形態の表面伝導型放出素子への3112への印加電圧は12〜16[V]程度、メタルバック3119と冷陰極素子3112との距離dは0.1[mm]から8[mm]程度、メタルバック3119と冷陰極素子3112間の電圧0.1[kV]から10[kV]程度である。
[実施の形態7]
図33は、本発明の実施の形態に用いた表示パネルの斜視図であり、その内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。
図中、1005はリアプレート、1006は側壁、1007はフェースプレートであり、1005〜1007により表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器を形成している。この気密容器を組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封着する必要があるが、例えばフリットガラスを接合部に塗布し、大気中或は窒素雰囲気中で、400〜500℃で10分以上焼成することにより封着を達成した。この気密容器内部を真空に排気する方法については後述する。
リアプレート1005には、基板1001が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002がN×M個形成されている。ここでN,Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装置においては、N=3000,M=1000以上の数を設定することが望ましい。本実施の形態においては、N=3072,M=1024とした。これらN×M個の冷陰極素子は、M本の行配線1003とN本の列配線1004により単純マトリクス配線されている。これら1001〜1004によって構成される部分をマルチ電子源と呼ぶ。
本実施の形態においては、気密容器のリアプレート1005にマルチ電子源の基板1001を固定する構成としたが、マルチ電子源の基板1001が十分な強度を有するものである場合には、気密容器のリアプレートとしてマルチ電子源の基板1001自体を用いてもよい。
また、フェースプレート1007の下面には、蛍光膜1008が形成されている。本実施の形態はカラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分にはCRTの分野で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の蛍光体は、例えば図18(A)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けてある。この黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生じないようにするためや、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐため、電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止するためなどである。黒色の導電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても良い。
また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図18(A)に示したストライプ状の配列に限られるものではなく、例えば図18(B)に示すようなデルタ状配列や、それ以外の配列であってもよい。なお、モノクロームの表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜1008に用いればよく、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
また、蛍光膜1008のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009を設けている。このメタルバック1009を設けた目的は、蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させるためや、負イオンの衝突から蛍光膜1008を保護するためや、電子ビームの加速電圧を印加するための電極として作用させるためや、蛍光膜1008を励起した電子の導電路として作用させるためなどである。メタルバック1009は、蛍光膜1008をフェースプレート基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成した。なお、蛍光膜1008を低電圧用の蛍光体材料を用いた場合には、メタルバック1009は用いない。
なお、本実施の形態では、以降、フェースプレート側の加速電圧(高圧)の印加用の電圧のことをアノード電極と呼ぶこととし、それらは、蛍光体、黒色導電体、メタルバックを含めるものとする。
また、本実施の形態では用いなかったが、加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間に、たとえばITOを材料とする透明電極を補助的なアノード電極として設けてもよい。
また、Dx1〜DxM及びDy1〜DyN及びHvは、この表示パネルと不図示の電気回路とを電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜DxMはマルチ電子源の行配線1003と、Dy1〜DyNはマルチ電子源の列配線1004と、Hvはフェースプレートのメタルバック1009と電気的に接続されている。
また、この気密容器内部を真空に排気するには、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポンプとを接続し、この気密容器内を10のマイナス7乗[torr]程度の真空度まで排気する。その後、その排気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前或は封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不図示)を形成する。このゲッター膜とは、例えばBaを主成分とするゲッター材料をヒータもしくは高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、このゲッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10のマイナス5乗乃至は1×10のマイナス7乗[torr]の真空度に維持される。
以上、本実施の形態に係る表示パネルの基板構成と製法を説明した。
(マルチ電子源を駆動するための駆動回路)
以下、図面を用いて本実施の形態7の駆動回路における表示方法について詳細に説明する。以降では、走査方法を線順次走査とし、表示画像に階調をつけるために、一水平走査時間(1H)内の電子放出期間を変調信号の時間幅で制御することにより蛍光体の発光総量を制御し、階調表現することを基本としている。
図35は、本実施の形態に係る画像表示装置の電気回路の構成とそれらの接続を表わした図である。
同図において、3521はNTSCなどの映像信号から、水平同期信号、垂直同期信号、ディジタル映像信号などを作成するための回路である。この中には映像中間周波数回路、映像検波回路、同期分離回路、ローパスフィルタ、A/D変換回路、タイミング制御回路などが含まれる。
3522は、本実施の形態の画像表示装置の画像表示部である。3523は、画像表示部3522の行配線を駆動するための走査信号側ドライバであり、信号分離回路3521で分離/作成された水平同期信号に基づいて、後ほどタイミングチャートで述べるような走査信号を出力する回路である。3524は、画像表示部3522の列配線を駆動するための変調信号側ドライバであり、信号分離回路3521で分離/作成された水平同期信号、垂直同期信号、ディジタル映像信号などから、後ほどタイミングチャートで述べる変調信号を出力する回路である。
本実施の形態に係る画像表示装置の画像表示部3522を駆動する際に、行配線(即ち、走査信号を供給する側の配線)、列配線(即ち、変調信号を供給する側の配線)の引き出し線に印加する電圧のタイミングチャートの一例が図8と同様に表わされる。同図のタイミングチャートは前記画像表示装置のある行I、(I+1)、(I+2)を順々に駆動している時のI、(I+1)、(I+2)行の行配線に印加している電圧と、変調信号側である列配線J、(J+1)、(J+2)列の列配線に印加している電圧を表わした図である。(必然的に1<I<M−2、1<J<N−2、Mは行配線本数、Nは列配線本数である。
同図では、1水平走査期間KではI行目の行を表示し、期間(K+)では(I+1)行目の行を表示し、期間(K+2)では(I+2)行目の行を表示している。
線順次走査する際の走査側である行配線は、1水平走査期間(以降1Hとする)ごとに順番に選択され、選択された行の行配線には、1Hに相当するパルス幅をもつ、波高値−Vf/2(Vfはここでは駆動電圧であり、およそVf=2Vth)の走査信号が順番に印加されていく。走査は全行配線について行われた後は、また初めの行から順番に繰り返される。また列配線には、行配線に印加する走査信号と同期して、選択された行に表示する映像信号に対応した期間Vf/2の波高値を有する変調信号が全列配線に印加される。この変調信号は、走査信号の立ち下がりと同期して立ち上がり、映像信号に対応した時間だけ波高値Vf/2の状態を維持したあと立ち下がる。(以降変調信号が立ち上がってから、次に立ち下がるまでの期間を単に変調信号のパルス幅と呼ぶ。)
この変調信号のパルス幅は、選択された行に表示する映像信号のR,G,Bの3色に分解した時のそれぞれの輝度に対応しているが、実際には、高品位な画像を表示するためにさまざまな補正をかけるため単純な比例関係ではない。このように電圧を印加することにより、選択された行の冷陰極素子には、変調信号のパルス幅だけ、駆動電圧Vfが印加される。
ここで、冷陰極素子の放電電流IeはVfに対して、上述したような明確な閾値特性を持っているため、この結果、選択された行には、所望の映像信号に対応した画像が表示される。更に、線順次に走査を行っていくことにより、画像表示部3522内の全冷陰極素子に亙って画像の表示が行われる。
本実施の形態では、素子基板の表面電位測定部(表面電位測定系)を複数個用いて、冷陰極素子を配置している素子基板の表面電位をモニタし、放電の検知を行い、放電発生時に表示装置(以後、表示パネルと呼ぶ)のフェイルセーフを行う。又、表面電位電極の電位の履歴をメモリに記録し、放電に対するフェイルセーフの対処方法を決定する。
次に、この表示パネル内構成と表面電位測定用電極の説明をする。
図34は本実施の形態7の表示パネルの一部を切り欠いた斜視図である。尚、図では本実施の形態の放電検知部の一部である表面電位測定電極を説明するために、フェースプレートや側壁(枠)の一部を省略して図示している。
図34において、3411は素子基板、3412は冷陰極素子、3413は行配線、3414は列配線、3415はリアプレート、3416は側壁(枠)である。又3417は、表面電位測定電極で、3418は表面電位測定電極の周辺をガードするガード電極である。本実施の形態7では、素子基板3411の周辺に表面電位測定電極3417を複数配置し、電極形状としては矩形状の電極形状とした。又表面電位測定電極3417の周りをガード電極3418で覆うことで、表示パネル内の表示部への電位の影響を避けることと、表面電位電極の電位値を精度よく測定することが可能となる。尚、表面電位測定電極3417の形状は矩形以外でもよく、電位値が計測できれば形状は問わない。又、上記の電極数も特に限定はしないが、本実施の形態7では、表示パネル内の周辺に複数配置することで、表面の電位状態を表示パネル内の領域に分けて独立にモニタでき、どの部分での放電が発生したのかを特定することが可能となる。
表面電位測定電極3417は、素子基板状に行配線3413、列配線3414、冷陰極素子3412などとは電気的に絶縁されて配置されていて、真空容器の外部へ引き出し線Ds1〜Ds14を介して引き出されている。更に、表面電位測定電極3417は行配線、列配線の電極材料と同じ材料を用いることから、配線等の作製時に表面電位測定電極3417も同時に作製することができる。これらは材質的には導電性があればよいので配線材料は同質でなくても特に問題ない。
次に、図35を用いてフェイルセーフ機能を実現するための回路構成について述べる。3525は前述したように、表面電位電極3417の取り出し配線から電位信号を出力するための電位測定部である。ここで表面電位電極3417及び電位測定部3525が電位計測手段を構成する。次に、電位出力をメモリ等に記憶する放電記録分があり、放電記録制御部3529とメモリ3520とで構成されている。更に、表面電位の値を検出する表面電位検出部が、電位値をコンパレートするコンパレータ35211と検出部35212で構成されている。表面電位測定部3525からの出力は、表面測定電極よりも非常に入力インピーダンスの高い測定器で電位信号を受けた後、適当なゲインをかけて電位出力している。そしてそれらの信号は、アナログ値として入力されている。この場合、表面電位出力はデジタル値として出力されても良く、回路構成上最適と考えられる構成でよい。ここで、コンパレータ35211と検出部35212を含む表面電位検出部が放電検知手段を構成し、放電記録制御部3529とメモリ35210を含む放電記録部が異常計数手段を構成する。
次に、フェイルセーフを行う制御としてフェイルセーフ制御部があり、判定回路35214と処理制御部35213を含んでいる。処理制御部35213は、実際にフェイルセーフを行うための信号を出力し、それらはユーザ(オペレータ)等に警告情報を出力するための警告出力手段35216と、表示パネル内のマトリクス素子に印加するためのVf、Va電源の制御部3526,3527,3528と、表示回路系の電源電圧を制御している駆動回路電源部35215に入力されている。
警告出力手段35126は、表示インジケータやスピーカ等で構成されている出力部35217に対して最適な情報を表示するための制御手段であり、制御信号に応じてスピーカ3563もしくはインジケータ部3562の駆動を行う。次に、+Vf制御部3526、−Vf制御部3527、Va制御部3528は、処理制御部35213からの信号に応じて、素子への印加電圧を制御するための制御部である。従って、処理制御部35213からの信号によってVf、Vaの電源電圧のカットもしくは電圧値の変更を行う機能を有している。それにより、変調信号側ドライバ3524や、走査信号側ドライバ3523を通しての素子電圧の供給、表示パネルのフェースプレート側へのアノード電圧の印加を制限することにより素子が動作点電圧以下となり、素子電流Ifや放出電流Ieを抑制することが可能となる。
駆動電源部3525は、表示回路系全体への電源供給の他に、変調信号側ドライバ3524、走査信号側ドライバ3523の駆動回路系の電源電圧の制御(主にディジタル、アナログ回路系)を行っていることから、処理制御部35213からの制御によっては、表示回路系の電源電圧の供給の制限を行うことができ、本実施の形態で行っている線順次走査によるパルスは部変調駆動を停止させることができる。
次に、本実施の形態7において、放電時でのフェイルセーフを実現させるための、各制御部の具体的な制御方法について述べる。
放電記録制御部3529は、表面電位測定部3525から出力された電位信号をメモリ35210に記憶するための制御を行っている。具体的には、アナログ信号として入力されたDs1〜Ds14の電位出力を所定のタイミングでA/D変換してメモリ35210に書き込む。このメモリ35210に書き込む情報としては、Ds1〜Ds14のロケーションに対応した表面電位量と、計測を行った時刻データ(日時)が書き込まれる。従って、メモリ35210は、例えば表面電位量を位置ごとに各々分割したメモリ構成であってもよく、更に計測を行った時刻等に対応して書き込まれてもよい。これらのメモリ構成は、例えば判定回路35214から電位量を読み込む時や、外部からメモリ情報をアクセスする時に、情報として最も適する構成としておくことが望ましい。
メモリ35210に放電情報を書き込むタイミングとしては、検出部35212からの信号を基に外部入力信号を使ってのA/D変換を行う方法でもよいし、或いは内部に持つインターナルな信号を使ってA/D変換及びメモリ35210への書き込みを行ってもよい。本実施の形態では両者の機能を備えた方法を備えた。
次に、表面電位検出部のコンパレータ35211では、表面電位測定部3525からのアナログ的な電位信号を設定された閾値Vthに対して比較し、閾値Vth以上もしくは以下の電位に対してロジック的な信号(例えばTTLレベル)に変換し検出部35212に入力している。コンパレータ35211のVthの設定は外部からの設定を可能とし、表示パネルの状態に応じて可変することも可能である。又、コンパレータ35211は、表面電位量の絶対値を直接検出部35212に入力するためのバッファアンプでもよい。
検出部35212は、コンパレータ35211からの信号を基に、複数の表面電位電極3417のどの位置の電極がVthを越えているかの検出と、Vth以上の信号が検出された後、放電した時の検知を行う手段を有している。それらの信号タイミングは図36で説明される。
図36では、放電した任意の表面電位電極3417の出力電位aの状態の変化を、時間の変化に対して示し、更にコンパレータ35211で設定されているVthに対して表面電位出力が超えた時のコンパレータ信号と放電を検知するための信号タイミングをS1、S2で示している。
表示パネル内で放電が発生する前兆としては、表示パネル内のマトリクス上での電位が時間とともに上昇する傾向があることが解っている。これらは表示パネル内の雰囲気状態の劣化とともに素子或は素子配線の電極上に電荷が蓄積することが一要因であるとされているが、表示パネルの駆動条件によっても影響されるものである。
以上の様な要因で、電位aの様に、表面電位出力が設定Vthを越えた時、コンパレータ信号がL→Hに変化する。この変化時T1では例えば検出部35212内でラッチ回路を設け、ラッチクロックとしてコンパレータ信号を入力する。ラッチ回路は、この入力されたコンパレータ信号によってS1なるラッチイネーブル信号を出力する。次に、時間T4においてVthを越えた表面電位電極の近傍で放電が発生した場合、表面電位電極3417の電位は放電によって瞬時に降圧してVth以下となる。これによりコンパレータ信号はH→Lに変化する。
放電検知は、上記の現象を回路的に検知するため、ラッチイネーブル信号S1により維持されている時にコンパレータ信号がH→Lに変化した時点の信号を放電として判断している。尚、表面電位がVth以下の場合、つまり図36の非放電時での電位状態では、ラッチイネーブルっ信号S1が出力されないためディセーブル状態のままであるため、信号S2に変化があっても放電とみなされない。
従って、放電発生の検知では必ず放電発生近傍の表面電位電極3417の電位がVthを越えているため、その推測もある程度可能となる。更に別の方法として、表面電位の絶対値を入力して検知する場合には、例えばA/D変換とCPU等の演算処理系を用いて、表面電位量をデジタル的な値に変換した後、演算処理にて放電検知をしてもよい。
以上の様に、表面電位検出部では、複数の表面電位電極からの出力値に対して、コンパレータ信号を基にして放電検知を行っており、検出部35212は、放電時での検知信号を放電記録制御部3529とフェイルセーフ制御部内の判定回路35214に出力している。
次に、フェイルセーフ制御では、表示パネルのフェイルセーフを実現するために、検出部35212とメモリ35210からの信号を受け取る判定回路35214と処理制御35213とを備えている。この判定回路35214では、検出部35212から入力された放電検知信号やパネル内のメモリ35210の情報をもとに表示パネルに対してのフェイルセーフをどの様に行うかの判断が行われる。本実施の形態では、フェイルセーフを行うシーケンスを3つのモードに分類し、これは判定回路35214内のシーケンサに従って実行される。ここで、判定回路35214はシーケンス判定手段に相当し、判定回路35214と処理制御35213とが保護制御手段を構成する。
図37は、本実施の形態で用いたフェイルセーフシーケンスを示すフローチャートである。
まずステップS101において、検出部35212及びメモリ35210からの信号により、表示パネル内が異常状態であることを認識する。次に、ステップS102では、異常状態からどのようなフェイルセーフシーケンスが最も適しているかの判定を行う。
本実施の形態7では、処理レベルを3つのモード(MODE)に分類し、その異常状態に応じたシーケンスを実行している。まず、MODE1では、ユーザ(オペレータ)に警告表示、もしくは音声によるお知らせのみを行う。又MODE2は、前述のお知らせを行った後、駆動電源系の電源を制御する。更にMODE3では、お知らせを省き、直接駆動系の全てをオフにする。実際にはどのシーケンスが実行されるかは、表示パネル内の異常度によって決定され、MODE1〜3までのシーケンスの中でMODE1,2は比較的異常状態のレベルが低く、表示パネル内で再度自動復帰を可能とするのに対して、MODE3では異常状態が高いと判断され、自動での復帰を行わない様にしている。
次に、設定されたシーケンスに応じたフローを説明する。まずステップS103では、処理シーケンスの選択が行われ、例えばMODE3が実行される場合にはステップS109へ、MODE1,2の場合にはステップS104に移る。そしてステップS104では、MODE1,2のシーケンスとして警告表示の判定が行われる。
ステップS105においては、警告表示の内容は異常状態のレベルに対応したものであり、図38に示したように、画像表示装置3861の前面のメッセージ用インジケータ3562に表示したり、音声出力のスピーカ3563を設けてメッセージを発生させてもよい。例えば、MODE1の場合には放電は検出されず、電位の状態も安定している場合には、メッセージ用インジケータ3562やスピーカ3563からは、定期的な表示装置のメンテナンスを促す様にしたり、又MODE2の様に放電が発生した時には緊急を要すると判断して、TVの電源をオフにするようにオペレータに知らせてもよい。ここで、メッセージ用インジケータ3562及びスピーカ3563が情報伝達手段を構成している。次に、ステップS106では、MODE2を実行するか否かの判定が行われ、MODE1の場合にはフェイルセーフ終了する。
MODE2の場合にはステップS107の駆動電源制御指示が行われる。この制御指示では、ステップS108で実行される電源制御のどの系を制御するのかの判別が行われ例えば、Va、Vfの電源制御が対象とされる。これらの制御もしくは動作は、前述した様に表示パネル内の冷陰極素子の駆動電圧そのものをオフする場合と、表示回路系の電源電圧部もオフする場合とに別れる。放電による原因が例えば、回路系での熱的な要因により不具合が発生した場合によるものであれば、表示回路系と素子駆動電圧の両者をオフする必要があり、逆に回路系が正常である場合には、表示パネル内の素子自体に原因があると判断されると素子駆動電圧のみをオフにする。これらの判断は、処理制御部35213が駆動回路電源部35215の出力電流値を放電が発生した時点で過電流状態であるかどうかのモニタを行うことで判別が可能となる。
又、MODE3が選択された場合には、ステップS103からステップS109に進み、駆動系全体の電力がオフされるが、その時の制御系では、無条件で駆動回路系の電源部35215とVf、Vaの出力制御部3526,3527,3528の各々がオフされる。
以上、上記の各制御部によって、本実施の形態7では、放電時での検出と放電が起こった場合での放電の抑制と、表示パネルへのフェイルセーフが実現されており、放電の検出においては図36で示した検出手段を用いている。又、フェイルセーフのシーケンスとしてのMODE分けの判断処理として、例えば、放電の発生が複数に亙る場合や連続して発生する場合、更に外的な作用によって表示パネル自体の破損等が生じた場合などは、その表示パネル内の真空度(雰囲気や圧力)が非常に悪いと判断されてMODE3が実行される。それに対して放電の回数の頻度が非常に少なく、表示パネル自体への影響が少ない場合などはMODE2が設定され、更に表面電位電極3417の電位状態がVth以下やVthを超える状態にあっても放電は発生せず電位が安定している場合などは、MODE1が設定される。
[実施の形態8]
次に、本発明の実施の形態8について説明する。本実施の形態8では、素子基板の表面電位測定部(表面電位測定系)を複数個用いて、冷陰極素子を配置している素子基板の表面電位の履歴を記録しているメモリからの情報をもとに、表面電位電極の電位の時間的な変化を測定し、その変位量に応じて放電発生の推測とユーザへのお知らせを行う。又これと同時に、フェイルセーフのモード設定も行い放電に対するパネルの保護を行う。
本実施の形態8では、実施の形態7で説明した図34、図35及び図8の構成と同じであるため詳細な説明は省略する。図36に表面電位電極3417の電位変化を示す。表示パネル内部の各電極部の電位は、表面電位測定部3525を通し、放電記録部制御3529によってメモリ35210に書き込まれる。このメモリ35210への書き込み方法については実施の形態7と同様である。図36に示した任意の電位量の変化を例にとると、放電を起こす様な電位aは時間とともに徐々にその電位量の変化の増加が見られる。逆に放電が起こらない電極上の電位bでは電位の変化はほとんどなく安定している。
そのため、表示パネル内の放電に対する推測を行うためには、図35での判定回路35214からメモリ35210にアクセスしてメモリ内に書き込まれた複数の表面電位量を読み取る(本実施の形態8ではわかりやすくするため2つの電極上の電位a,bを例にとる)。ここで、判定回路35214及びメモリ35210が電位変化率算出手段を構成する。
例えば図36では、時刻T1における電位a,bの電位量はVt1,Vt1'に相当する。次に所定の時間を経過した後に時刻T2における電位量Vt2,Vt2'の電位量を読み取る、同様に時刻T3における電位量Vt3,Vt3'の電位量を読み取る。そして、これら読み取られた電位量の変化をΔT1、ΔT2における電位量の変化ΔV1,ΔV1',ΔV2,ΔV2'の算出を行う。以上異常の方法により、ある所定の時間における電位量の変化を知ることができる。そのため、図36で放電が起こる様な電位aの電位量変化ΔV1,ΔV2は、非放電時の電位bの電位量ΔV1',ΔV2'よりも各々大きいことが判る。
判定回路35214では、上記算出された電位量変化を予め設定された設定値と比較することにより、電位量の変化が放電を発生させる要因となるかどうかの判断を行う。ここで、放電予測手段は、表面電位電極3417及び電位測定3525からなる電位計測手段並びに判定回路35214及びメモリ35210からなる電位変化率算出手段から構成される。この設定値は、時間に対する電位の変化の傾きを規格化したものとし、その値に基づいて比較される。
図36の例でみれば、ΔV1,ΔV2の電位の変化の傾きは設定値に対しての変化量が大きく、又ΔV1',ΔV2'の電位の変化の傾きは設定値に対して小さいと判定された場合のように、表示パネル内での表面電位量の変化が各々異なり、設定値と比較してもその判断が異なる場合には、放電に対するフェイルセーフを行うためにΔV1,ΔV2の電位の変化に対するフェイルセーフの対処が優先される。
特定回路35214からメモリ35210へのアクセスは、表示パネル内の状態を把握するために定常的に、複数ある表面電位電極の電位量を読み取ってもよく、又必要に応じてアクセスしてもよい。
更に、別の方法として表面電位測定部3525から表面電位の絶対値を用いる方法がある。その場合には、メモリ35210からの読み取りは行わず、表面電位検出部のコンパレータ35211と検出部35212によって実現される。絶対値を入力するためにコンパレータ35211はバッファアンプとして用い、検出部35212では放電を推測するために、電位量の時間的変化とその比較を行った後、例えば異常値であるΔV1,ΔV2を判定回路35214に出力する。電位量の時間的変化の算出方法は前述した方法と同様でよく、判定回路35214で行っている処理機能を検出部35212で行うことで可能としている。検出部35214の内部構成としては、前述の実施の形態7でも述べた様に、A/D変換回路とCPU等の演算処理系を用いて行ってもよい。この場合には、コンパレータ35211と検出部35212から電位変化率算出手段が構成され、この電位変化率算出手段と判定回路35214から放電予測手段が構成される。
次に、図39に本実施の形態8で用いたフェイルセーフシーケンスを示す。
このフェイルセーフに対する対応として上記電位aのΔV1,ΔV2の変化に対して、判定回路35214では、まずその電位の変化が近い将来放電を起こす可能性があると判断し(ステップS111)、ユーザ(オペレータ)へ異状状態であることのお知らせが、処理制御部35213と警告手段35216を通して行われる(ステップS113)。ここでは、処理制御部35213及び判定回路35214が保護制御手段を構成する。
知らせる内容に関しては、前述の実施の形態7と同様に、その状態に応じて適宜対応付けられており(ステップS112)、例えば上記の例でいえば、テレビジョンの電源スイッチをオフする等のメッセージの表示、又はスピーカからの音声が出力される。
次に、判定回路35214は、表示パネル内の放電に備えてフェイルセーフへのMODE設定を行う(ステップS114)。このMODE設定は、上記の場合には放電が起きる確立が高いことから、MODE2或いはMODE3のいずれかが設定される。そして実際に放電が発生した時のフェイルセーフに関しては、実施の形態7と同様に、表面電位検出部内にあるコンパレータ35211と検出部35212によって検知され、検知信号が判定回路35214に入力されることでフェイルセーフが実行される。この場合には、図37に示す実施の形態7のフェイルセーフシーケンスのステップS105のお知らせは、既にステップS113で実行されているので省略される。
次に、図36の電位bの様にΔV1',ΔV2'の様に、表示パネル内の表面電位電極3417の値が非常に安定している場合には、その変化量が設定値以下であることから放電の発生する確立が低いと判断され、設定されるフェイルセーフのMODEを1とする(ステップS119)。その場合には、ユーザへのお知らせは通常のフェイルセーフシーケンスに従って行われる(ステップS120,S121)。
本実施の形態8では、前述の実施の形態7と異なる点として、放電が発生する以前に予めユーザに表示パネルの異常状態を知らせることと、フェイルセーフのMODEを選択しておく点にある。上記放電に対しての推測として、MODE2或いはMODE3のフェイルセーフの設定基準としては、表面電位電極3417の電位量の変化が複数の電極に亙って変化量の設定値を超える場合や、急激な電位量の変化を示す場合にはMODE3を設定し、設定値に対してその後を超える電位を示す電極数が少ない場合には、表示パネル内への影響も少ないと判断されMODE2が選択される。これらMODE2,MODE3が選択された後の処理(ステップS116,S117,S118)は、前述の実施の形態7と同様であるので説明を省略する。
またユーザへのお知らせに関しては、実施の形態7と同様に図38に示した様にディスプレイ上の前面に設けられたインジケータ3562やスピーカ3563に出力してもよい。
以上のように、本実施の形態8では、複数ある表面電位電極の電位の時間的変化の傾きを検知することで、表示パネル内の状態を推測しフェイルセーフを行うことを実現している。
また、本実施の形態8では、表面電位の変化量から放電の発生を推測しているが、同様にしてコンパレータ35211と検出部35212測定された表面電位の絶対値と設定値とを比較し、測定値が設定値を超えると検出35212から判定回路35214に信号を出力して判定回路35214が放電の発生を予測するようにすることもできる。この場合には、コンパレータ35211と検出部35212とから比較手段が構成され、この比較手段と判定回路35214から放電予測手段が構成される。
これら実施の形態7,8ともにインジケータ3562に関しては、ユーザにメッセージを表示する方式を採用したがそれ以外の方法を用いてもよく、例えばランプやLEDの点灯を行うことで異常状態を知らせてもよい。又スピーカ3563からの出力においても肉声以外に警告音等でもよく、ユーザに異常状態であることが認識できればよい。
更に、表面電位測定電極3417は、表示パネル内の素子エリアの外側に配置したが、その個数配置位置、電極形状にこだわることはなく、放電の検出を的確に行うには電極の数を増してもよい。又配置に関しても極力素子近傍に配置してもよい。
上述した本実施の形態の画像表示装置によれば、放電の発生もしくは放電が起きやすい状態であることを予め予測することによって、表示装置に対してのフェイルセーフを行うことが可能となる。更に、発生した放電を検知し放電発生の日時の履歴を記録する手段を持つことで、表示装置内の雰囲気状態を推測することも可能となる。
また、上記手段を用いてユーザ(オペレータ)への異常(状態警告出力(表示或いは音声)を行うことを実現した。
それにより、パネルもしくはユーザへの保護を行うことができ、実質的に信頼性の高い優れた表示装置を提供することができる。
<マルチ電子源の製造方法>
次に、上述した本実施の形態の表示パネルに用いたマルチ電子源の製造方法について説明する。本実施の形態の画像表示装置に用いるマルチ電子源は、複数の電子放出を用いるものであれば種々の構成のものを用いることができる。特に、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子源は好適である。冷陰極素子の材料や形状或は製法に制限はない。従って、例えば表面伝導型放出素子やFE型、或はMIM型などの冷陰極素子を用いることができる。
ただし、表面画面が大きくてしかも安価な表示装置が求められる状況の下では、これらの冷陰極素子の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。即ち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極めて高精度の製造技術を必要とするが、これは第面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。また、MIM型では、絶縁層と上電極の薄膜を薄くしてしかも均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。その点、表面伝導型放出素子は、比較的製造方法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が容易である。また、本願発明者らは、表面伝導型放出素子の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見出している。従って、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子源に用いるには、最も好適であるといえる。そこで、本実施の形態の表示パネル101においては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子を用いた。以下で、好適な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製造とを説明する。
(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と製法)
電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2種類があげられる。
(平面型の表面伝導型放出素子)
まず最初に、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法について説明する。
図19に示すのは、平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面図(b)である。
図中、1011は基板、1102と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜である。この基板1011としては、例えば、石英ガラスや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミナをはじめとする各種セラミクス基板、或は上述の各種基板上に例えばSiO2を材料とする絶縁層を積層した基板、などを用いることができる。
また、基板1011上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極1102と1103は、導電性を有する材料によって形成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじめとする金属、或はこれらの金属の合金、或はIn2O3−SnO2をはじめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜材料を選択して用いればよい。電極を形成するには、例えば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングなどのパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形成できるが、それ以外の方法(例えば印刷技術)を用いて形成しても差し支えない。
素子電極1102と1103の形状は、当該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストロームから数百マイクロメータの範囲から適当な数値を選んで設計されるが、中でも表示装置に応用するために好ましいのは数マイクロメータより数十マイクロメータの範囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常は数百オングストロームから数マイクロメータの範囲から適当な数値が選ばれる。
また、導電性薄膜1104の部分には、微粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のことを指す。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、或は微粒子が互いに隣接した構造か、或は微粒子が互いに重なり合った構造が観測される。
微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロームの範囲に含まれるものであるが、中でも好ましいのは10オングストロームから200オングストロームの範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、素子電極1102或は1103と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために必要な条件、などである。具体的には、数オングストロームから数千オングストロームの範囲のなかで設定するが、中でも好ましいのは10オングストロームから500オングストロームの間である。
また、微粒子膜を形成するのに用いられうる材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,SnO2,In2O3,PbO,Sb2O3,などをはじめとする酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4,などをはじめとする硼化物や、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WC,などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,HfN,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,などをはじめとする半導体や、カーボン、などが挙げられ、これらの中から適宜選択される。
以上述べたように、導電性薄膜1104を微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、10の3乗から10の7乗[Ω/□]の範囲に含まれるよう設定した。
なお、導電性薄膜1104と素子電極1102および1103とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造をとっている。その重なり方は、図19(a)の例においては、下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層したが、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電極、の順序で積層しても差し支えない。
また、電子放出部1105は、導電性薄膜1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、数オングストロームから数百オングストロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難なため図19においては模式的に示した。
また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミング処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。
薄膜1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下とするが、300[オングストローム]以下とするのが更に好ましい。なお、実際の薄膜1113の位置や形状を精密に図示するのは困難なため、図19においては模式的に示した。また、平面図(図19(a))においては、薄膜1113の一部を除去した素子を図示した。
以上、好ましい素子の基本構成を述べたが、本実施の形態においては以下のような素子を用いた。
即ち、基板1011には青板ガラスを用い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用いた。素子電極の厚さdは1000[オングストローム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。
微粒子膜の主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストローム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
次に、好適な平面型の表面伝導型放出素子の製造方法について説明する。
図20(a)〜(e)は、表面伝導型放出素子の製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図19と同一である。
(1)まず、図20(a)に示すように、基板1011上に素子電極1102および1103を形成する。
これら素子電極1102,1103を形成するにあたっては、予め基板1011を洗剤、純水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、素子電極の材料を堆積させる。(堆積する方法としては、例えば、蒸着法やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。)その後、堆積した電極材料を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の素子電極(1102と1103)を形成する。
(2)次に、図20(b)に示すように、導電性薄膜1104を形成する。
この導電性薄膜1104を形成するにあたっては、まず図20(a)の基板1011に有機金属溶液を塗布して乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液である(具体的には、本実施の形態では主要元素としてPdを用いた。また、実施の形態では塗布方法として、ディッピング法を用いたが、それ以外の例えばスピンナー法やスプレー法を用いてもよい)。
また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成膜方法としては、本実施の形態で用いた有機金属溶液の塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッタ法、或は化学的気相堆積法などを用いる場合もある。
(3)次に、図20(c)に示すように、フォーミング用電源1110から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子放出部1105を形成する。
通電フォーミング処理とは、例えば微粒子膜で作られた導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した部分(即ち電子放出部1105)においては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部1105が形成される前と比較すると、形成された後は素子電極1102と1103の間で計測される電気抵抗は大幅に増加する。
この通電方法をより詳しく説明するために、図21に、フォーミング用電源1110から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施の形態の場合には同図に示したようにパルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニタするためのモニタパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計測した。
本実施の形態においては、例えば10のマイナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、例えばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回の割りで、モニタパルスPmを挿入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニタパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵抗が1×10の6乗[Ω]になった段階、即ちモニタパルス印加時に電流計1111で計測される電流が1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フォーミング処理に係る通電を終了した。
なお、上記の方法は、本実施の形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい方法であり、例えば微粒子膜の材料や膜厚、或は素子電極間隔Lなど表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
(4)次に、図20(d)に示すように、活性化用電源1112から素子電極1102と1103の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善を行う。
この通電活性化処理とは、通電フォーミング処理により形成された電子放出部1105に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである(図においては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1113として模式的に示した)。なお、通電活性化処理を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を典型的には100倍以上に増加させることができる。
具体的には、10のマイナス4乗乃至10のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下、より好ましくは300[オングストローム]以下である。
この通電方法をより詳しく説明するために、図22(a)に、活性化用電源1112から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実施の形態においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ったが、具体的には,矩形波の電圧Vacは14[V],パルス幅T3は1[ミリ秒],パルス間隔T4は10[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
図20(d)に示す1114は該表面伝導型放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極で、直流高電圧電源1115および電流計1116が接続されている。(なお、基板1011を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合には、表示パネルの蛍光面をアノード電極1114として用いる。)活性化用電源1112から電圧を印加する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性化処理の進行状況をモニタし、活性化用電源1112の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電流Ieの一例を図22(b)に示すが、活性化電源1112からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終了する。
なお、上述の通電条件は、本実施の形態の表面伝導型放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
以上のようにして図20(e)に示す平面型の表面伝導型放出素子を製造した。
(垂直型の表面伝導型放出素子)
次に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、即ち垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
図23は、垂直型の基本構成を説明するための模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1202と1203は素子電極、1206は段差形成部材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1213は通電活性化処理により形成した薄膜である。
垂直型が先に説明した平面型と異なる点は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材1206の側面を被覆している点にある。従って、図19の平面型における素子電極間隔Lは、垂直型においては段差形成部材1206の段差高Lsとして設定される。なお、基板1201、素子電極1202および1203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、については、平面型の説明中に列挙した材料を同様に用いることが可能である。また、段差形成部材1206には、例えばSiO2のような電気的に絶縁性の材料を用いる。
次に、垂直型の表面伝導型放出素子の製法について説明する。
図24(a)〜(f)は、製造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は図23と同一である。
(1)まず、図24(a)に示すように、基板1201上に素子電極1203を形成する。
(2)次に、図24(b)に示すように、段差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、例えば真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。
(3)次に、図24(c)に示すように、絶縁層の上に素子電極1202を形成する。
(4)次に、図24Dに示すように、絶縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去し、素子電極1203を露出させる。
(5)次に、図24(e)に示すように、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成するには、平面型の場合と同じく、例えば塗布法などの成膜技術を用いればよい。
(6)次に、平面型の場合と同じく、通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する。(図20(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミング処理と同様の処理を行えばよい。)
(7)次に、平面型の場合と同じく、通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆積させる(図20(d)を用いて説明した平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよい)。
以上のようにして図24(f)に示す垂直型の表面伝導型放出素子を製造した。
(表示装置に用いた表面伝導型放出素子の特性)
以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子について素子構成と製法を説明したが、次に表示装置に用いた素子の特性について述べる。
図25に、表示装置に用いた素子の、(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを変更することにより変化するものであるため、2本のグラフは各々任意単位で図示した。
表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性を有している。
第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
第2に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
第3に、素子に印加する電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
以上のような特性を有するため、表面伝導型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。例えば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表示装置において、第1の特性を利用すれば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。即ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能である。
また、第2の特性かまたは第3の特性を利用することにより、発光輝度を制御することができるため、諧調表示を行うことが可能である。
図26は、本実施の形態の表面伝導型放出素子を電子源として用いた表示パネルに、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できるように構成した表示装置の一例を示すための図である。図中、2100は表示パネル、2101は表示パネルの駆動回路、2102はディスプレイコントローラ、2103はマルチプレクサ、2104はデコーダ、2105は入出力インターフェース回路、2106はCPU、2107は画像生成回路、2108および2109および2110は画像メモリインターフェース回路、2111は画像入力インターフェース回路、2112および2113はTV信号受信回路、2114は入力部である。
尚、本実施の形態の表示装置は、例えばテレビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声情報の受信,分離,再生,処理,記憶などに関する回路やスピーカなどについては説明を省略する。以下、画像信号の流れに沿って各部の機能を説明する。
まず、TV信号受信回路2113は、例えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走査線よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適した表示パネルの利点を生かすのに好適な信号源である。TV信号受信回路2113で受信されたTV信号は、デコーダ2104に出力される。
TV信号受信回路2112は、例えば同軸ケーブルや光ファイバなどのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。TV信号受信回路2113と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデコーダ2104に出力される。
画像入力インターフェース回路2111は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリインターフェース回路2110は、ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリインターフェース回路2109は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。また、画像メモリインターフェース回路2108は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像データを記憶している装置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ2104に出力される。
入出力インターフェース回路2105は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続するための回路である。画像データや文字データ・図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の備えるCPU2106と外部との間で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能である。
画像生成回路2107は、入出力インターフェース回路2105を介して外部から入力される画像データや文字・図形情報や、或はCPU2106より出力される画像データや文字・図形情報に基づき表示用画像データを生成するための回路である。本回路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応する画像パターンが記憶されている読みだし専用メモリや、画像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込まれている。本回路により生成された表示用画像データは、デコーダ2104に出力されるが、場合によっては入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータネットワークやプリンタ入出力することも可能である。
CPU2106は、主として本表示装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業を行う。例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を出力し、表示パネルに表示する画像信号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示する画像信号に応じて表示パネルコントローラ2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制御する。また、画像生成回路2107に対して画像データや文字・図形情報を直接出力したり、或は入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・図形情報を入力する。なお、CPU2106は、むろんこれ以外の目的の作業にも関わるものであっても良い。例えば、パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのように、情報を生成したり処理する機能に直接関わっても良い。或は、前述したように入出力インターフェース回路2105を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機器と協同して行っても良い。
入力部2114は、CPU2106に使用者が命令やプログラム、或はデータなどを入力するためのものであり、例えばキーボードやマウスのほか、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能である。
デコーダ2104は、2107ないし2113より入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回路である。なお、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためである。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表示が容易になる、或は画像生成回路2107およびCPU2106と協同して画像の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に行えるようになるという利点が生まれるからである。
マルチプレクサ2103は、CPU2106より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ2103はデコーダ2104から入力される逆変換された画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動回路2101に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異なる画像を表示することも可能である。
表示パネルコントローラ2102は、CPU2106より入力される制御信号に基づき駆動回路2101の動作を制御するための回路である。
まず、表示パネルの基本的な動作にかかわるものとして、例えば表示パネルの駆動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するための信号を駆動回路2101に対して出力する。また、表示パネルの駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回路2101に対して出力する。また、場合によっては表示画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に対して出力する場合もある。
駆動回路2101は、表示パネル2100に印加する駆動信号を発生するための回路であり、マルチプレクサ2103から入力される画像信号と、表示パネルコントローラ2102より入力される制御信号に基づいて動作する。
以上、各部の機能を説明したが、図26に例示した構成により、本実施の形態の表示装置によれば、多様な画像情報源より入力される画像情報を表示パネル2100に表示する事が可能である。即ち、テレビジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ2104において逆変換された後、マルチプレクサ2103において適宜選択され、駆動回路2101に入力される。一方、ディスプレイコントローラ2102は、表示する画像信号に応じて駆動回路2101の動作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路2101は、上記画像信号と制御信号に基づいて表示パネル2100に駆動信号を印加する。これにより、表示パネル2100において画像が表示される。これらの一連の動作は、CPU2106により統括的に制御される。
また、本実施の形態の表示装置においては、デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、画像生成回路2107およびCPU2106が関与することにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどをはじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本実施の形態の説明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行うための専用回路を設けても良い。
従って、本実施の形態の表示装置は、テレビジョン放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像および動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲーム機などの機能を一台で兼ね備えることが可能であり、産業用或は民生用として極めて応用範囲が広い。
なお、図26は、表面伝導型放出素子を電子源とする表示パネルを用いた表示装置の構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定されるものではない事は言うまでもない。例えば、図26の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えない。またこれとは逆に、使用目的によってはさらに構成要素を追加しても良い。例えば、本実施の形態の表示装置をテレビ電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
本実施の形態の表示装置においては、とりわけ表面伝導型放出素子を電子源とする表示パネルが容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行きを小さくすることが可能である。それに加えて、表面伝導型放出素子を電子源とする表示パネルは大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示する事が可能である。
本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の表示パネルを表示駆動するための駆動回路の構成を示すブロック図である。 本実施の形態1に係る計測のタイミングを説明するタイミング図である。 本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示す斜視図である。 本実施の形態2に係る画像表示装置の表示パネルを表示駆動するための駆動回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示す斜視図である。 本実施の形態3に係る画像表示装置の表示パネルを表示駆動するための駆動回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。 本実施の形態4に係る画像表示装置の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。 本発明の実施の形態4に係る画像表示装置の画像表示部の一部を切り欠いて示す外観斜視図である。 本実施の形態4に係る画像表示装置のアノード電流検知部の回路構成を示すブロック図である。 本実施の形態5に係る画像表示装置の画像表示部の一部を切り欠いて示した外観斜視図である。 本実施の形態5に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態6に係る画像表示装置の表示パネルと周辺回路との接続を説明するための図である。 本実施の形態6の制御部により気密容器破壊の検知処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6に係る画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。 本実施の形態で用いたマルチ電子源の基板の平面図である。 本実施の形態で用いたマルチ電子源の基板の一部断面図である。 表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を例示した平面図である。 本実施の形態で用いた平面型の表面伝導型放出素子の平面図(A)と、その断面図(B)である。 平面型の表面伝導型放出素子の製造工程を説明する断面図である。 通電フォーミング処理の際の印加電圧波形を示す図である。 通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)と、放電電流Ieの変化(b)を示す図である。 本実施の形態で用いた垂直型の表面伝導型放出素子の断面図である。 垂直型の表面伝導型放出素子の製造工程を示す断面図である。 本実施の形態で用いた表面伝導型放出素子の典型的な特性を示すグラフ図である。 本発明の実施の形態である画像表示装置を用いた多機能画像表示装置のブロック図である。 従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示す図である。 従来知られたFEの一例を示す図である。 従来知られたMIM型の一例を示す図である。 本願発明者らが試みた電子放出素子の配線方法を説明する図である。 従来の画像表示装置の表示パネルの構成を説明する図である。 本願発明者らが試みた課題の発生した画像表示装置の構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態7に係る画像表示装置の表示パネルの一部を切り欠いて示す斜視図である。 本発明の実施の形態7に係る画像表示装置の表示パネルを示す図である。 本発明の実施の形態7に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態7及び8に係る表面電位電極の電位状態とフェイルセーフのタイミングを説明する図である。 本発明の実施の形態7に係る異状状態に対する処理を示すフローチャートである。 本実施の形態7、及び8に係る画像表示装置の概観図である。 本発明の実施の形態8に係る異状状態に対する処理を示すフローチャートである。

Claims (1)

  1. 内部の圧力を周囲の圧力よりも低く保つための気密容器を有する表示パネルと、
    前記気密容器内で生じる放電もしくは該放電に関わる状態を検出する検出手段と、
    前記検出手段における検出結果に応じて、前記表示パネルの駆動電圧を低減するかもしくはオフにした後、自動復帰を行うモードと、前記表示パネルの駆動電圧を低減するかもしくはオフにした後、自動復帰を行わないモードとを含む複数のモードのいずれかを選択する選択手段と、
    を備えることを特徴とする画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010035797A1 (ja) * 2008-09-25 2010-04-01 シャープ株式会社 表示装置、およびテレビジョンシステム
US8416171B2 (en) 2007-05-29 2013-04-09 Sharp Kabushiki Kaisha Display device and television system including a self-healing driving circuit
US8587573B2 (en) 2008-02-28 2013-11-19 Sharp Kabushiki Kaisha Drive circuit and display device

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