JP2007314776A - カーボンコイルを用いた導電性組成物およびその導電膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性と透明性とを両立できる導電性組成物を提供する。
【解決手段】導電性組成物を、樹脂と、少なくともカーボンコイルで構成された導電性カーボンとで構成する。前記樹脂は、導電性カーボンの樹脂に対する分散性を高めるため、フルオレン骨格を有する樹脂(例えば、フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂)で構成してもよい。また、前記カーボンコイルは、カーボンナノコイルで構成するのが好ましく、このようなカーボンナノコイルを含む組成物において、カーボンナノコイルの割合は、カーボンコイル全体に対して40重量%以上であってもよい。なお、前記組成物において、導電性カーボンの割合は、樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部程度であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンコイルで構成され、導電膜(透明導電膜)などを形成するのに有用な樹脂組成物(導電性組成物、導電性樹脂組成物)およびその導電膜(透明導電膜)に関する。
従来、導電膜は、ノートパソコンや携帯電話の表示素子用電極、太陽電池用電極、プラズマディスプレイ電極などに用いられている。このような導電膜においては、導電性材料として、金属、半導体などが利用されている。特に、このような導電膜において、高い透明性を付与するため、ワイドギャップ半導体などの透明でかつ導電性が高い導電性材料が利用されている。
このような導電膜の導電性材料として、炭素質材料を用いることも検討されている。例えば、カーボンナノチューブを導電性材料とする導電膜が知られている。しかし、カーボンナノチューブでは、導電膜の膜形成成分に対する分散性が十分でないためか、導電性および透明性を高いレベルで付与することができない。
特開2004−339499号公報(特許文献1)には、フルオレン骨格を有する樹脂と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。この文献には、前記添加剤として、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素材を例示している。そして、この文献の実施例では、具体的に、フルオレン骨格を有する共重合ポリエステルを含む溶液に、カーボンナノチューブを分散させ、コーティング膜を形成したことが記載されている。
この文献の方法では、マトリックスとしての樹脂としてフルオレン骨格を有する樹脂を用いることにより、カーボンナノチューブのマトリックスに対する分散性をやや向上できる。しかし、依然として、導電膜の透明性を改善することは困難である。
特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0215]〜[0217])
従って、本発明の目的は、導電性と透明性とを両立できる導電性組成物および導電膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、導電性材料を導電性カーボンで構成しても、高い透明性を付与できる導電性組成物および導電膜を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、樹脂をマトリックスとする導電膜において、導電性成分としてカーボンコイル(特に、カーボンナノコイル)を用いると、マトリックスに対する導電性成分の分散性を高いレベルで向上できるためか、導電性と透明性とを両立できる導電膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の導電性組成物(単に組成物ということがある)は、樹脂と、カーボンコイルで構成された導電性カーボンとで構成されている。このような本発明の組成物において、樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂(例えば、フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂)で構成されていてもよい。このようなフルオレン骨格を有する樹脂は、カーボンナノコイルの分散性をより一層向上できる。
また、前記組成物において、カーボンコイルは、通常、カーボンナノコイルで構成されていてもよい。このようなカーボンナノコイルのサイズは特に限定されないが、例えば、コイルの平均外直径は3〜1000nm程度であってもよく、平均断面直径は0.3〜200nm程度であってもよく、ピッチの平均長さは1〜300nm程度であってもよく、コイル平均長さは800nm〜2cm程度であってもよい。前記カーボンコイルは、比較的高い割合でカーボンナノコイルを含んでいるのが好ましく、例えば、カーボンコイル全体に対するカーボンナノコイルの割合は、40重量%以上であってもよい。このようなカーボンナノコイルの割合が大きいカーボンコイルは、製造に用いる触媒などを選択することにより調製でき、例えば、前記カーボンナノコイルは、反応器内部に以下の触媒(i)及び触媒(ii)から選択された少なくとも1種である触媒を配置又は粒子状に分散させ、この触媒近傍を原料として使用する炭化水素が触媒作用により分解する温度以上に加熱し、この触媒に接触するように炭化水素ガスを流通させて、炭化水素を触媒近傍で分解させながら触媒表面にカーボンナノコイル(炭素、コイル状炭素)を成長させて得られたカーボンナノコイルであってもよい。
(i)鉄、コバルト及びニッケルから選択された少なくとも1種の第1元素と、スズ及びインジウムから選択された少なくとも1種の第2元素とを少なくとも含有する触媒
(ii)SnOの一次粒子または二次粒子である中心部と、この中心部の周囲に付着する、遷移金属又は遷移金属の酸化物の一次粒子もしくは二次粒子で構成された触媒から選択された少なくとも1種である触媒
前記組成物において、導電性カーボン(又はカーボンコイル)の割合は、樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部程度であってもよい。
代表的な本発明の組成物には、(i)樹脂がフルオレン骨格を有する樹脂で少なくとも構成され、(ii)カーボンコイルが、コイルの平均外直径10〜200nmを有するカーボンナノコイルをカーボンコイル全体に対して60重量%以上の割合で含み、(iii)導電性カーボンの割合が、樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部である組成物などが含まれる。
本発明には、前記組成物で形成された導電膜も含まれる。このような本発明の導電膜は、導電性カーボンを含んでいるにもかかわらず、高い透明性を有しており、例えば、厚み1〜8μmであるとき、(i)波長600nmの光線に対する透過率が50%以上であり、かつ(ii)表面抵抗が1013Ω/□以下であってもよい。
本発明の導電性組成物では、カーボンコイルを使用するため、導電性カーボンで構成されているにもかかわらず、導電性と透明性とを両立できる。また、本発明の導電性組成物は、カーボンコイルという特定の導電性成分を使用するため、導電性カーボンで構成しても、高い透明性を付与できる。
[樹脂]
樹脂としては、膜形成可能であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂)などのいずれであってもよく、これらを単独で又は2種以上組合せた樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、非晶質ポリオレフィンなど)、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート系樹脂)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート、ポリアリレート、液晶ポリエステルなど)、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱可塑性エラストマー、フッ化樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
特に、本発明では、樹脂として、フルオレン骨格を有する樹脂を好適に使用できる。このようなフルオレン骨格を有する樹脂を使用すると、後述するように、カーボンコイルによる分散性向上効果と相まって、より一層効率よく分散性を向上でき、導電膜の透明性および導電性を向上できる。以下、フルオレン骨格を有する樹脂について詳述する。
(フルオレン骨格を有する樹脂)
フルオレン骨格を有する樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂状物質(オリゴマーや樹脂)、
特に、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格などの9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する樹脂が挙げられる。
このようなフルオレン骨格を有する樹脂は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物、例えば、下記式(I)で表される化合物を重合成分(又は構成成分)とする樹脂などが挙げられる。
Figure 2007314776
[式中、X及びXは同一又は異なって、ヒドロキシル基、−O(AO)H基(式中、Aは、アルキレン基を表し、pは1以上の整数を表す)、アミノ基又はN−モノ置換アミノ基を表し、R〜Rは同一又は異なって、非反応性基を表し、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜3の整数、m1+m2=1〜6の整数であり、n1〜n4は同一又は異なって0〜4の整数である。ただし、m1+n1及びm2+n2は、それぞれ、0〜5の整数である。]
前記式(I)において、アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,6−ヘキシレン基などのC2−10アルキレン基、好ましくはC2−6アルキレン基、さらに好ましくはC2−4アルキレン基、特にC2−3アルキレン基などが挙げられる。また、前記式(I)においてpは、オキシアルキレン基(AO)の繰り返し数を示し、好ましくは1〜50の整数、好ましくは1〜30の整数、さらに好ましくは1〜10(例えば、1〜5)の整数である。
前記X及びXで表されるN−モノ置換アミノ基としては、炭化水素基(C1−6アルキル基、C5−6シクロアルキル基、C6−10アリール基など)で置換されたN−モノ置換アミノ基が挙げられる。
及びXの置換位置は特に制限されず、フルオレンに対してo−,m−又はp−位のいずれであってもよいが、m−及び/又はp−位が好ましい。
前記式(I)において、「非反応性基」とは、エステル結合形成反応、ウレタン結合形成反応、アミド結合形成反応、イミド結合形成反応などの反応に対して非反応性の基を意味する。R〜Rで表される非反応性基には、炭化水素基、アルコキシ基、N,N−ジ置換アミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。前記炭化水素としては、直鎖又は分岐C1−6アルキル基(メチル基など)、直鎖又は分岐C2−6アルケニル基(ビニル基など)、C5−6シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、C5−6シクロアルケニル基(シクロヘキセニル基など)、C6−10アリール基(フェニル基など)、C6−10アリール−直鎖又は分岐C1−4アルキル基(ベンジル基など)などが挙げられる。前記アルコキシ基には、メトキシ基などの直鎖又は分岐C1−6アルコキシ基が含まれ、N,N−ジ置換アミノ基には、前記N−モノ置換アミノ基に対応し、前記炭化水素基で二置換されたアミノ基(ジメチルアミノ基など)が含まれる。ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が含まれる。
n1及びn2は、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1である。n3及びn4は、好ましくは0〜3の整数、さらに好ましくは0〜2の整数、特に0又は1である。m1及びm2は、それぞれ1〜3の整数、好ましくは1〜2の整数(特に1)である場合が多く、通常、それぞれ1(m1=m2=1)、2(m1=m2=2)又は3(m1=m2=3)であってもよい。
なお、基X(又はX)の置換位置は、特に限定されず、フルオレンの9位に置換するフェニル基の2〜6位から選択できる。例えば、基X(又はX)の置換位置は、m1(又はm2)が1の場合、例えば、2〜6位(好ましくは2又は4位、特に4位)であってもよく、m1(又はm2)が2の場合、例えば、3,4−位、3,5−位などであってもよく、m1(又はm2)が3の場合、例えば、3,4,5−位、2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位などであってもよい。
前記式(I)の化合物のうち、m1=m2=1、2又は3である化合物、すなわち、ビスフェノールフルオレン類[9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類]、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類及びそのC2−4アルキレンオキシド付加体などのビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類);並びにビスアニリンフルオレン及びビス(N−モノ置換アニリン)フルオレンなどのビスアニリンフルオレン類(9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類)が好ましい。
前記ビスフェノールフルオレン類としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールフルオレン,BPF)などのビスフェノールフルオレン;ビスクレゾールフルオレン(BCF、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンなど)などの9,9−ビス(C1−4アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;これらの化合物に対応し、置換基R及びRがC3−10シクロアルキルやC6−12アリール基であるビスフェノールフルオレン類が挙げられる。
9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記ビスフェノールフルオレン(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン(BCAF))、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど];これらの化合物に対応し、置換基R及びRがC3−10シクロアルキルやC6−12アリール基である9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類などが挙げられる。
9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(モノ又はジヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,3,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,3,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどが含まれる。
また、前記ビスフェノールフルオレン類のうち、アルキレンオキシド付加物としては、ビスフェノールフルオレン類のヒドロキシル基1モルに対してC2−4アルキレンオキサイド1〜10モル(好ましくは1〜5モル、特に1〜3モル)程度が付加した化合物が挙げられる。アルキレンオキサイド1モルが付加した化合物としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレン,BPEF)などの9,9−ビス[4−(ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールエタノールフルオレン,BCEF)、9,9−ビス(4−ヒドロキシイソプロポキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシイソプロポキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシC2−3アルコキシフェニル)フルオレンなど]、これらの化合物に対応する9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレンなど}、これらの化合物に対応する9,9−ビス[トリ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレンなど}などが挙げられる。
前記ビスアニリンフルオレン(9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン類)としては、例えば、9,9−ビス(モノアミノフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(ビスアニリンフルオレン);9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−アミノ−2−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アミノ−C1−4アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アミノ−ジC1−4アルキルフェニル)フルオレン;これらの化合物に対応する9,9−ビス(ジ又はトリアミノフェニル)フルオレン類;これらの化合物のアルキレンオキサイド付加体;これらの化合物に対応し、アミノ基がN−モノ置換アミノ基であるビスアニリンフルオレン類;これらの化合物に対応し、置換基R及びRがC3−10シクロアルキルやC6−12アリール基であるビスアニリンフルオレン類が挙げられる。
なお、n=0のビスフェノールフルオレン類は、例えば、文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報に記載されている方法に準じて、塩化水素ガスおよびメルカプトプロピオン酸を触媒として用い、フルオレノンとフェノール類とを縮合させることにより製造できる。また、前記塩化水素ガスに代えて、塩酸水や硫酸を用いてもよい。
なお、ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類は、種々の合成方法、例えば、(a)塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報)、(b)酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法(特開2000−26349号公報)、(c)塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(特開2002−47227号公報)、(d)硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させてビスフェノールフルオレンを製造する方法(特開2003−221352号公報)などを利用して製造できる。
また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類は、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、対応する多価アルコール類(ジヒドロキシフェノール類、トリヒドロキシフェノール類)を使用することにより製造できる。これらの方法のうち、特に、塩酸を使用する方法(c)、又は特定の晶析溶媒を使用する方法(d)を応用すると、より高収率でかつ高純度の生成物が得られる場合が多い。
さらに、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類と、対応するアルキレンオキシド(C2−4アルキレンオキシド)又はアルキレンカーボネート(C2−4アルキレンカーボネート)を、必要に応じて触媒(塩基触媒など)の存在下で反応させる方法や、フルオレノンと対応するフェノキシC2−4アルコール類とを反応させる方法(例えば、特開平11−349657号公報)などにより製造してもよい。また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体は、上記製造方法において、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類又はフェノキシC2−4アルコール類に代えて、対応するアルコール類[9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類、ジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼン類など]を使用することにより製造できる。
なお、X及びXがアミノ基であるビスアニリンフルオレンは、前記ビスフェノールフルオレンの製造方法において、フェノール類に代えて対応するアニリン類を用いることにより調製できる。
また、フルオレン骨格を有する樹脂には、例えば、前記式(I)において、フルオレンの9位に置換するベンゼン環がナフタレン環である化合物を重合成分(又は構成成分)とする樹脂なども含まれる。このような化合物としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は6,6−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9-フルオレニリデン)−ジ(1−ナフトール))など]などの置換基を有していてもよい9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン}などの9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類;これらの9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類に対応する9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類(例えば、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシナフチル)フルオレン類)などが挙げられる。
なお、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類は、前記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、ヒドロキシナフタレン類(例えば、ナフトールなどのナフトール類、ジヒドロキシナフタレンなどのポリヒドロキシナフタレン類)を使用することにより製造できる。
以下、用語「ビスフェノールフルオレン類」は、9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類などを含める意味に用いる。
前記フルオレン骨格を有する化合物(特に、前記式(I)で表される化合物)を重合成分とする代表的な樹脂としては、例えば、前記ビスフェノールフルオレン類と単官能化合物との反応生成物[モノカルボン酸(飽和又は不飽和C2−10脂肪族モノカルボン酸、飽和又は不飽和C5−10脂環族モノカルボン酸、及び芳香族C6−14モノカルボン酸など)とのエステル;モノイソシアネート化合物とのウレタン化合物など];前記ビスアニリンフルオレン類と単官能化合物との反応生成物(前記モノカルボン酸とのアミドなど);前記ビスフェノールフルオレン類又はビスフェノールアニリン類を構成モノマーとして含むオリゴマー及びポリマー(樹脂)(以下、オリゴマー及びポリマーを単に「ポリマー」又は「樹脂」と称する場合がある)などが挙げられる。
なお、前記フルオレン骨格を有する化合物(特に、前記式(I)で表される化合物)を重合成分とする樹脂の分子量(重量平均分子量)は、例えば、300〜1000000程度から選択でき、好ましくは400〜500000、さらに好ましくは500〜100000程度であってもよい。特に、前記フルオレン骨格を有する化合物(特に、前記式(I)で表される化合物)を重合成性分とする樹脂が、熱可塑性樹脂である場合、重量平均分子量は、1000〜1000000、好ましくは3000〜300000、さらに好ましくは5000〜100000程度であってもよい。また、前記式(I)で表される化合物を重合成分とする樹脂が、硬化性樹脂(オリゴマー(又はモノマー)、熱又は光硬化性樹脂)である場合、重量平均分子量は、400〜50000、好ましくは450〜30000、さらに好ましくは500〜10000程度であってもよい。
ビスフェノールフルオレン類を重合成分とする樹脂(ビスフェノールフルオレン類の樹脂)としては、熱可塑性樹脂(ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリウレタン系樹脂など)、熱硬化性樹脂[不飽和ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂(ウレタン系樹脂);エポキシ系樹脂;ビニルエステル系樹脂;前記ビスフェノールフルオレン類とカルボキシル基を有する重合性単量体とのエステル化反応により得られる(メタ)アクリル系樹脂;フェノール系樹脂など]などが挙げられる。これらの樹脂において、前記ビスフェノールフルオレン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビスアニリンフルオレン類を重合成分とする樹脂(ビスアニリンフルオレン類の樹脂)としては、熱可塑性樹脂(ポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリイミド系樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド系樹脂;アニリン樹脂など)などが挙げられる。これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、これらの樹脂において、前記ビスアニリンフルオレン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
以下、代表的なフルオレン骨格を有する樹脂について詳述する。
(1)フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂(飽和ポリエステル系樹脂)
フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂(単にポリエステル系樹脂ということがある)は、少なくとも前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類など)で構成されたジオール成分と、ジカルボン酸成分との反応生成物(重油縮合物)である。ポリエステル系樹脂には、芳香族ジカルボン酸を重合成分として用いたポリアリレート系樹脂なども含まれる。
ポリエステル系樹脂のジオール成分は、前記ビスフェノールフルオレン類と他のジオール類(ビスフェノールフルオレン類以外のジオール類)とを組み合わせて構成してもよい。このようなジオール成分(ジオール類)としては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、デカンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−12アルキレングリコールなど)、(ポリ)オキシアルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジ乃至テトラC2−4アルキレングリコールなど)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンやそのアルキレンオキサイド付加体(2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパンなど)など)、芳香族ジオール(例えば、ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールAD、ビスフェノールFやそれらのアルキレンオキサイド(C2−3アルキレンオキサイド)付加体(2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパンなど)、キシリレングリコールなど)などが挙げられる。これらのジオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましい他のジオール成分は、直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルキレングリコール、特にC2−6アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレングリコール)である。ジオール類としては、少なくともエチレングリコールを用いる場合が多い。このようなジオール類(例えば、エチレングリコール)を用いると、重合反応性を高めることができるとともに、樹脂に柔軟性を付与することもできる。
ビスフェノールフルオレン類と前記ジオール成分との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=100/0〜10/80(例えば、100/0〜20/70)の範囲から選択でき、例えば、100/0〜30/70(例えば、100/0〜40/60)、好ましくは100/0〜50/50(例えば、99/1〜60/40)、さらに好ましくは100/0〜70/30(例えば、95/5〜80/20)程度であってもよい。また、前記ジオール成分において、ビスフェノールフルオレンの割合は、ジオール成分全体に対して10モル%以上(例えば、15〜100モル%程度)、好ましくは20モル%以上(例えば、30〜99モル%程度)、さらに好ましくは50モル%以上(60〜95モル%程度)であってもよい。
前記ジオール成分には、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、前記9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類などのポリオールを併用してもよい。
ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成可能な誘導体[例えば、酸無水物;酸ハライド(酸クロライドなど);低級アルキルエステル(C1−2アルキルエステルなど)など]などが挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸などの飽和C3−20脂肪族ジカルボン酸(好ましくは飽和C3−14脂肪族ジカルボン酸など)これらのエステル形成可能な誘導体などが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、飽和脂環族ジカルボン酸(シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸などのC3−10シクロアルカン−ジカルボン酸など)、これらのエステル形成可能な誘導体などが例示できる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などの芳香族C8−16ジカルボン酸;及びこれらのエステル形成可能な誘導体などが挙げられる。
ジカルボン酸は、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
ジカルボン酸成分としては、通常、脂肪族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸から選ばれた少なくとも一種、特に、脂肪族ジカルボン酸(飽和脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル形成可能な誘導体、特にアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸などの飽和C3−14脂肪族ジカルボン酸など)や脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカンジカルボン酸)が好ましく、特に脂環族ジカルボン酸で構成してもよい。脂環族ジカルボン酸の含有率は、全ジカルボン酸誘導体に対して、例えば、30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%程度であってもよい。
また、ポリアリレート系樹脂では、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分が使用され、芳香族ジカルボン酸は他のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸)と併用してもよい。芳香族ジカルボン酸と他のジカルボン酸との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=100/0〜10/90、好ましくは100/0〜30/70、さらに好ましくは100/0〜50/50程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂において、ジカルボン酸成分とジオール成分(ビスフェノールフルオレン類及びジオール類など)との割合(モル比)は、通常、前者/後者=1.5/1〜0.7/1、好ましくは1.2/1〜0.8/1(特に、1.1/1〜0.9/1)程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量Mw(ポリスチレン換算)は、特に制限されず、例えば、400〜50×10、好ましくは500〜30×10(例えば1000〜20×10)、さらに好ましくは3000〜30×10程度である。特に、ポリエステル系樹脂の重量平均分子量Mwは、5,000〜50,000、好ましくは8,000〜30,000、さらに好ましくは10,000〜20,000程度であってもよい。ポリエステル系樹脂の末端基は、ヒドロキシル基でも、カルボキシル基でもよく、必要により保護基によって保護されていてもよい。
ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、直接重合法(直接エステル化法)又はエステル交換法などにより、ビスフェノールフルオレン類で構成されたジオール成分と前記ジカルボン酸成分とを縮合反応させることにより製造できる。
(2)フルオレン骨格を有するポリカーボネート系樹脂
フルオレン骨格を有するポリカーボネート系樹脂(以下、単にポリカーボネート系樹脂ということがある)としては、慣用の方法に従って、例えば、少なくとも前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類など)で構成されたジオール成分とホスゲンとの反応(ホスゲン法)、又は前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類)と炭酸エステルとの反応(エステル交換法)により得られるポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。
ジオール成分は、ビスフェノールフルオレン類単独で構成してもよく、ビスフェノールフルオレン類と他のジオール類(前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジオール類、特に芳香族ジオールや脂環族ジオールなど)とで構成してもよい。他のジオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。他のジオール類のうち、特に、ビスフェノールA、AD、Fなどのビスフェノール類などの芳香族ジオールが好ましい。ビスフェノールフルオレン類とジオール類との割合は、前記ポリエステル系樹脂の場合と同様の範囲から選択できる。
ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限されず、例えば、重量平均分子量1×10〜100×10(例えば、1×10〜100×10)、好ましくは5×10〜50×10(例えば、1×10〜50×10)、さらに好ましくは1×10〜25×10(例えば、1×10〜10×10)程度であってもよい。特に、ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量は、例えば、3,000〜100,000程度の範囲から選択でき、例えば、5,000〜50,000、好ましくは10,000〜30,000、さらに好ましくは12,000〜25,000程度であってもよい。
(3)フルオレン骨格を有するポリウレタン系樹脂(ウレタン系樹脂)
フルオレン骨格を有するポリウレタン系樹脂(以下、単にポリウレタン系樹脂ということがある)を構成するジオール成分は、前記ビスフェノールフルオレン類(9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類など)単独で構成してもよく、ビスフェノールフルオレン類と共に、前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジオール類と併用してもよい。さらに、ビスフェノールフルオレン類を構成単位として含むジオール成分、例えば、ビスフェノールフルオレン類で構成されたジオール成分とジカルボン酸成分との反応により生成するポリエステルジオール、ビスフェノールフルオレン類で構成されたジオール成分とアルキレンオキサイドとの反応により生成するポリエーテルジオールなども、ポリウレタン系樹脂のジオール成分として利用できる。ジオール成分も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、必要であれば、ジオール成分は、トリオールなどのポリオール成分と併用してもよい。
ジオール成分において、ビスフェノールフルオレン類(又は単位)の含有量は、例えば、ジオール成分全体に対して、10〜100モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%程度であってもよい。
ポリウレタン系樹脂を構成するジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート[パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ビス(イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,2−ビス(イソシアナトフェニル)エタン、1,3−ビス(イソシアナトフェニル)プロパン、1,4−ビス(イソシアナトフェニル)ブタン、ポリメリックMDIなど]、脂環族ジイソシアネート[シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDIなど]、脂肪族ジイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)など]などのジイソシアネート化合物が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジイソシアネート化合物は、必要であれば、ポリイソシアネート化合物(例えば、1,6,11−ウンデカントリイソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどの脂肪族トリイソシアネート;ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの脂環族トリイソシアネートなどのトリイソシアネート化合物など)、モノイソシアネート化合物(メチルイソシアネートなどのC1−6アルキルイソシアネート;シクロアルキルイソシアネートなどのC5−6シクロアルキルイソシアネート;フェニルイソシアネートなどのC6−10アリールイソシアネートなど)と併用してもよい。前記イソシアネート化合物には、前記ポリイソシアネート化合物の多量体や変性体などの誘導体も含まれる。
ポリウレタン系樹脂は慣用の方法、例えば、ジオール成分1モルに対してジイソシアネート成分0.7〜2.5モル、好ましくは0.8〜2.2モル、さらに好ましくは0.9〜2モル程度の割合で用い、ウレタン化反応させることにより得ることができる。なお、ジオール成分1モルに対して0.7〜1.1モル程度のジイソシアネート成分を用いると、熱可塑性樹脂を得ることができ、過剰モル(例えば、1.5〜2.2モル程度)のジイソシアネート成分を用いると、末端に遊離のイソシアネート基を有する熱硬化性樹脂を得ることができる。
(4)フルオレン骨格を有するエポキシ系樹脂(エポキシ樹脂)
フルオレン骨格を有するエポキシ系樹脂(以下、単にエポキシ系樹脂ということがある)を構成するジオール成分又はポリオール成分は、前記ビスフェノールフルオレン類単独で構成してもよく、前記ビスフェノールフルオレン類と、前記ポリエステル系樹脂の項で例示の他のジオール類(特に芳香族ジオールや脂環族ジオールなど)と組み合わせて構成してもよい。他のジオール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジオール類のうち、特に、ビスフェノールA、AD、Fなどのビスフェノール類などの芳香族ジオールが好ましい。ビスフェノールフルオレン類とジオール類との割合は、前記ポリエステル系樹脂の場合と同様の範囲から選択できる。さらに、前記ビスフェノールフルオレン類と必要により他のジオール類は、ポリオール類(例えば、フェノールノボラックなど)と併用してもよい。
エポキシ樹脂は少なくとも前記ビスフェノールフルオレン類とエピクロルヒドリンとを反応させて得ることができる。具体的なエポキシ樹脂としては、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCFG)などの9,9−ビス(モノグリシジルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス[3,4−ジ(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレン(ビスカテコールフルオレンテトラグリシジルエーテル)などの9,9−ビス(ジグリシジルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス[3,4,5−トリ(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(トリグリシジルオキシフェニル)フルオレン類など]、9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシフェニル)フルオレン(ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル)(BPEFG)、9,9−ビス(4−グリシジルオキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCEFG)などの9,9−ビス(モノグリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン類;これらに対応する9,9−ビス(ジ又はトリ(グリシジルオキシアルコキシ)フェニル)フルオレン類など]などが挙げられる。エポキシ系樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば、300〜30,000程度、好ましくは400〜10,000程度、さらに好ましくは500〜5,000程度であってもよい。
(5)フルオレン骨格を有するビニルエステル系樹脂
フルオレン骨格を有するビニルエステル系樹脂(以下、単にビニルエステル系樹脂ということがある)は、慣用の方法、例えば、前記ビスフェノールフルオレン単位を有するエポキシ樹脂と、少なくともカルボキシル基を有する重合性単量体(不飽和モノカルボン酸)との反応により得ることができる。カルボキシル基を有する重合性単量体は、必要により前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジカルボン酸(脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸や、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸など))と組み合わせて用いてもよい。
カルボキシル基を有する重合性単量体としては、不飽和モノカルボン酸が使用できる。不飽和モノカルボン酸としては、通常、(メタ)アクリル酸が使用でき、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸モノアルキルエステル(モノメチルマレートなど)などを用いてもよい。これらの単量体は、単独で又は二種以上組合せて使用してもよい。
不飽和モノカルボン酸の使用量は、前記エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対して0.5〜1.2モル、好ましくは0.7〜1.1モル、さらに好ましくは0.8〜1モル程度であってもよい。
ビニルエステル系樹脂は、ビスフェノールフルオレン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によっても得ることができる。グリシジル(メタ)アクリレートの使用量は、例えば、ビスフェノールフルオレン類1モルに対して1〜3モル、好ましくは1〜2モル程度であってもよい。
なお、代表的なビニルエステル系樹脂には、特開2004−2635号公報や特開2004−2636号公報に記載のビニルエステル系樹脂なども含まれる。
(6)フルオレン骨格を有するアクリル系樹脂
前記アクリル系樹脂としては、前記ビスフェノールフルオレン類とカルボキシル基を有する重合性単量体との反応により得ることができる。カルボキシル基を有する重合性単量体としては、通常、不飽和モノカルボン酸、特に(メタ)アクリル酸が使用でき、桂皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、マレイン酸モノアルキルエステル(モノメチルマレートなど)などを用いてもよい。さらに、不飽和カルボン酸は、酸クロライド、C1−2アルキルエステルなどの反応性誘導体であってもよい。これらの単量体は、単独で又は二種以上組合せて使用してもよい。
不飽和モノカルボン酸の使用量は、前記ビスフェノールフルオレン類のヒドロキシル基1モルに対して0.5〜1.2モル、好ましくは0.7〜1.1モル、さらに好ましくは0.8〜1モル程度であってもよい。このようなアクリル系樹脂はオリゴマー(樹脂前駆体)である場合が多い。
オリゴマーの形態のアクリル系樹脂は、必要により共重合性単量体と重合してアクリル系共重合体を形成してもよい。共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステル;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;スチレンなどの芳香族ビニル単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類などが例示できる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(7)フルオレン骨格を有するフェノール系樹脂
フルオレン骨格を有するフェノール系樹脂の製造において、ビスフェノールフルオレン類としては、前記式(I)において、n1及びn2が0又は1、X及びXがヒドロキシル基である化合物が使用できる。また、n1及びn2が1の場合、R及びRの置換位置は、アルデヒドの付加反応を妨げない位置である。
アルデヒド類としては、脂肪族C1−4アルデヒド、通常、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドが使用できる。
また、前記ビスフェノールフルオレン類と共に、共縮合成分、例えば、フェノール類(フェノール、クレゾールなどのC1−4アルキル−フェノール、レゾルシンなどのジヒドロキシベンゼンなど)、尿素、グアナミン類、メラミン類などを併用してもよい。ビスフェノールフルオレン類と共縮合成分との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは100/0〜10/90、さらに好ましくは100/0〜20/80程度であってもよい。
なお、フェノール系樹脂は、慣用のフェノール樹脂の製造方法に従って製造でき、酸触媒の存在下では、ノボラック型フェノール系樹脂が得られ、塩基触媒の存在下では、レゾール型フェノール系樹脂が得られる。
(8)フルオレン骨格を有するポリアミド系樹脂
フルオレン骨格を有するポリアミド系樹脂(以下、単にポリアミド系樹脂ということがある)は、ビスアニリンフルオレン類で構成されたジアミン成分と、ジカルボン酸類とを反応させることにより得ることができる。フルオレン骨格を有するポリアミド系樹脂において、ジアミン成分は、ビスアニリンフルオレン類(9,9−ビス(モノアミノフェニル)フルオレン類)単独で構成してもよく、ビスアニリンフルオレン類とジアミン類とを組み合わせて構成してもよい。ジアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカンジアミンなどの鎖状C2−14脂肪族ポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタンなどの環状C6−14アミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどのC6−20芳香族ジアミン;m−キシリレンジアミンなどのC7−14芳香脂肪族ジアミンが例示できる。これらのジアミン類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビスアニリンフルオレン類とジアミン類との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80程度である。
ポリアミド樹脂のジカルボン酸類としては、前記ポリエステル系樹脂の項で例示のジカルボン酸類(脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸)が使用できる。ジカルボン酸は単独で又は二種以上組合せて使用できる。
また、ポリアミド樹脂の調製において、共重合成分として、アミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸など)及びラクタム(ε−カプロラクタムなどのC3−12ラクタムなど)から選択された少なくとも一種の成分を用いてもよい。
(9)フルオレン骨格を有するポリイミド系樹脂
フルオレン骨格を有するポリイミド系樹脂(以下、単にポリイミド系樹脂ということがある)において、ビスアニリンフルオレン類(9,9−ビス(モノアミノフェニル)フルオレン類)は単独で用いてもよく、ジアミン成分と組み合わせて使用してもよい。ジアミン成分としては、前記ポリアミド系樹脂の項で例示のジアミン類の他、ジアミノフェニルエーテル、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)プロパンなどのビス(ジアミノフェニル)アルカンなどが例示できる。ジアミン類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
原料のポリカルボン酸類としては、テトラカルボン酸、例えば、ピロメリット酸又はその無水物、ビフェニルテトラカルボン酸又はその無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はその無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンなどのビス(ジカルボキシフェニル)アルカン又はその無水物、2,2−ビス(3,4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのビス(カルボキシフェニル)フルオロアルカン、ビスマレイミドなどが例示できる。これらのポリカルボン酸類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリイミド樹脂は熱可塑性であってもよく熱硬化性であってもよい。
(10)フルオレン骨格を有するアニリン系樹脂
フルオレン骨格を有するアニリン系樹脂(以下、単にアニリン系樹脂ということがある)の原料として使用するビスアニリンフルオレン類としては、前記式(I)において、n1及びn2が0又は1、Xがアミノ基又はヒドロキシル基(Xが少なくともアミノ基)である化合物が使用できる。また、n1及びn2が1の場合、R及びRの置換位置は、アルデヒドの付加反応を妨げない位置である。
前記ビスアニリンフルオレン類は単独で使用してもよく、アニリン類(アニリン、メチルアニリンなどのC1−4アルキル−アニリン、ジアミノベンゼンなど)と組み合わせて使用してもよい。ビスアニリンフルオレン類とアニリン類との割合は、前者/後者(モル比)=100/0〜5/95、好ましくは100/0〜10/90、さらに好ましくは100/0〜20/80程度である。
アルデヒド類としては、前記フェノール樹脂の項で記載のアルデヒド類(ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなど)が使用できる。
なお、アニリン系樹脂は、慣用のアニリン樹脂の製造方法に従って製造でき、酸触媒の存在下では、ノボラック型アニリン系樹脂が得られ、塩基触媒の存在下では、レゾール型アニリン系樹脂が得られる。
これらのフルオレン骨格を有する樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、これらのフルオレン骨格を有する樹脂と、フルオレン骨格を有しない樹脂[例えば、ポリカーボネート系樹脂(詳細にはフルオレン骨格を有しないポリカーボネート系樹脂)などの前記例示の熱可塑性樹脂など]とを組みあわせてもよい。特に、ポリカーボネート系樹脂などの熱可塑性樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂(フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂など)と、良好なポリマーアロイを形成するので、好適である。
なお、樹脂をフルオレン骨格を有する樹脂で少なくとも構成する場合、樹脂全体に対するフルオレン骨格を有する樹脂の割合は、例えば、10重量%以上(例えば、20〜100重量%程度)、好ましくは30重量%以上(例えば、40〜100重量%程度)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、60〜99重量%程度)、特に70重量%以上(例えば、80〜95重量%程度)であってもよい。また、フルオレン骨格を有する樹脂とフルオレン骨格を有しない樹脂とを組み合わせる場合、これらの割合は、前者/後者(重量比)=95/5〜1/99、好ましくは90/10〜5/95、さらに好ましくは85/15〜10/90(例えば、80/20〜15/85)、特に80/20〜20/80(例えば、75/25〜25/75)程度であってもよい。
[導電性カーボン]
本発明では、導電性組成物(および導電膜)を構成する導電性カーボンを少なくともカーボンコイル(螺旋状又はコイル状構造を有するカーボン)で構成する。カーボンコイルは、螺旋状(又はコイル状)構造を有するカーボン(カーボン繊維)であり、詳細には、炭素原子が螺旋状に巻回成長したカーボンである。本発明では、このようなカーボンコイルという特定の導電性カーボンを使用することにより、カーボンナノチューブなどに比べて、マトリックスに対する分散性を著しく向上できるためか、透明性を損なうことなく、高い導電性を導電膜に付与できる。
カーボンコイルの構造は、アモルファス構造であってもよく、グラファイト構造であってもよく、これらのいずれも含む構造であってもよい。特に、カーボンコイルは、少なくともグラファイト構造で構成されているのが好ましい。なお、後述のカーボンナノコイルは、通常、グラファイト構造で構成されている。
また、カーボンコイル(又はカーボンコイルを構成する繊維)は、中空状又はチューブ状、非中空状(中実状など)のいずれであってもよい。通常、カーボンコイル(特にカーボンナノコイル)は、チューブ状である場合が多い。すなわち、カーボンコイルは、カーボンチューブ(特にカーボンナノチューブ)で構成されている場合が多い。
カーボンコイルにおいて、コイルの外直径(又は平均外直径)は、例えば、1nm〜50μm、好ましくは3nm〜20μm、さらに好ましくは5nm〜10μm程度であってもよい。特に、本発明では、カーボンコイルを少なくともカーボンナノコイル(ナノスケールの化カーボンコイル)で構成するのが好ましい。このようなカーボンナノコイルの平均外直径は、1000nm以下(例えば、1〜800nm程度)の範囲から選択でき、例えば、600nm以下(例えば、3〜500nm程度)、好ましくは400nm以下(例えば、5〜300nm程度)、特に200nm以下(例えば、10〜150nm程度)であってもよく、通常3〜1000nm(例えば、5〜250nm、好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは15〜120nm、特に20〜100nm)程度であってもよい。
また、カーボンコイルの平均直径(詳細には、断面直径又は平均繊維径又は平均断面径)は、例えば、0.1nm〜10μm、好ましくは1nm〜8μm、さらに好ましくは5nm〜5μm、通常10nm〜3μm(例えば、20nm〜1μm)程度であってもよい。特に、カーボンナノコイルの平均直径は、ナノサイズ(又はナノスケール)、例えば、300nm以下(例えば、0.3〜200nm程度)、好ましくは150nm以下(例えば、0.5〜100nm程度)、さらに好ましくは1〜80nm(例えば、2〜60nm)、特に3〜50nm、通常5〜70nm(例えば、8〜60nm、好ましくは10〜55nm程度)であってもよい。例えば、カーボンナノコイルは、ナノサイズの直径を有するカーボンナノチューブがコイル又は螺旋を形成した繊維であってもよい。
さらに、カーボンコイルのピッチの長さ(又はピッチの平均長さ)は、例えば、1nm〜20μm、好ましくは5nm〜10μm、さらに好ましくは10nm〜5μm程度であってもよい。特に、カーボンナノコイルのピッチの平均長さは、ナノサイズ(又はナノスケール)、例えば、800nm以下(例えば、0.5〜600nm程度)、好ましくは500nm以下(例えば、1〜300nm程度)、さらに好ましくは2〜200nm(例えば、3〜150nm)、特に5〜120nm、通常5〜100nm(例えば、8〜80nm、好ましくは10〜70nm程度)であってもよい。
また、カーボンコイルの長さ(平均長さ)は、例えば、500nm〜10cm、好ましくは1μm〜5cm、さらに好ましくは10μm〜3cm程度であってもよい。特に、カーボンナノコイルの長さは、例えば、800nm〜2cm、好ましくは5μm〜1cm、さらに好ましくは20〜800μm(例えば、50〜700μm)、特に80〜600μm(例えば、100〜500μm)程度であってもよい。
カーボンコイルは、特に、カーボンナノコイルで構成するのが好ましい。このようなカーボンナノコイルで構成されたカーボンコイルにおいて、カーボンコイル全体に対するカーボンナノコイル(外直径が1000nm以下のカーボンコイル)の割合は、例えば、20〜100重量%(例えば、25〜99重量%)、好ましくは30〜98重量%、さらに好ましくは35〜97重量%(例えば、45〜95重量%)程度であってもよい。
特に、カーボンコイル全体に対するカーボンナノコイルの割合は、40重量%以上(例えば、45〜100重量%程度)、好ましくは50重量%以上(例えば、55〜99重量%程度)、さらに好ましくは60重量%以上(例えば、65〜98重量%程度)、特に好ましくは70重量%以上(例えば、75〜95重量%程度)、通常60〜100重量%(例えば、80〜100重量%、好ましくは85〜99重量%、さらに好ましくは90〜99重量%程度)であってもよい。
なお、カーボンコイルは、触媒粒子とこの粒子から成長したコイル状炭素部分とで構成されていてもよい。
このようなカーボンナノコイルの割合が大きなカーボンコイルを用いると、より一層樹脂マトリックスに対する分散性を向上できる。なお、慣用の方法により得られるカーボンナノコイルは、カーボンナノコイルと称されているものの、ナノサイズのカーボンコイルに、通常、カーボンナノコイル以外の炭素、例えば、アモルファス構造のカーボン(カーボンマイクロコイルなど)、非コイル状カーボン(例えば、直鎖状カーボン繊維など)などが混在しており、カーボンナノコイルそのものの純度は低い場合が多い。本発明では、このような低純度のカーボンナノコイルではなく、上記のような高純度のカーボンナノコイルを用いることにより、樹脂マトリックス(特に、フルオレン骨格を有する樹脂)に対する分散性を著しく向上できる。なお、カーボンナノコイルの純度は、例えば、後述するように、カーボンナノコイルを製造するための触媒の種類などを選択することにより高めることができる。
なお、カーボンコイルは、市販品を使用してもよく、慣用の方法により製造してもよい。カーボンコイルは、通常、気相成長法(CVD法)により製造されており、例えば、炭化水素ガス(アセチレンなど)と触媒(触媒粒子)とを接触させることにより前記炭化水素ガスを分解し、前記触媒に炭素を成長させることにより製造できる。このようなCVD法は、特に限定されず、化学気相成長法、熱CVD法、熱フィラメントCVD法、プラズマCVD法などのいずれであってもよい。
CVD法において用いられる触媒としては、カーボンコイルを形成可能である限り特に限定されず、例えば、インジウム/スズ/鉄系触媒、ニッケル系触媒などであってもよい。触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、カーボンナノコイルを得るためには、触媒を少なくとも鉄で構成してもよい。なお、触媒は、担体(例えば、アルミナ、シリカ、モレキュラーシーブなどの多孔質担体など)に担持されていてもよい。また、触媒は、各種処理(酸化処理、硫化処理、リン化処理など)された触媒であってもよい。
このようなカーボンコイルの製造方法のうち、特に、カーボンナノコイルの製造方法としては、例えば、特開2001−199204号公報、特開2001−310130号公報、特開2003−26410号公報、特開2003−200053号公報、特開2004−261630号公報、特開2003−213530号公報、特開2004−105827号公報などに記載の方法を利用してもよい。また、一般的なカーボンコイル(カーボンマイクロコイルなど)の製造方法については、これらの文献(例えば、特開2001−199204号公報など)の従来の技術の欄に記載されている方法などを参照できる。
特に、前記のようなカーボンナノコイルの割合が大きいカーボンコイルを得るためには、特開2001−199204号公報に記載の方法などを好適に利用してもよい。
例えば、前記カーボンコイル(炭素原子を螺旋状に巻回成長させたカーボンコイルであり、この外直径が1000nm以下であるカーボンナノコイル)は、反応器内部にインジウム・スズ・鉄系触媒などの触媒を配置又は粒子状に分散させ、この触媒近傍を原料として使用する炭化水素が触媒作用により分解する温度以上に加熱し、この触媒に接触するように炭化水素ガスを流通させて、炭化水素を触媒近傍で分解させながら触媒表面にカーボンナノコイルを成長させて製造してもよい。
このような方法において、インジウム・スズ・鉄系触媒を配置させる場合、インジウム・スズ・鉄系触媒は、基板上に分散された形態、基板上に膜形成された形態などの形態で配置されていればよく、代表的には、インジウム酸化物とスズ酸化物の混合触媒と、この混合触媒の表面に形成された鉄薄膜とで構成されていてもよく、前記混合触媒は、基板(例えば、ガラス基板)の表面に形成されたインジウム酸化物とスズ酸化物の混合触媒薄膜であってもよい。特に、このような混合触媒薄膜は、ガラス基板にITO薄膜を形成したITO基板であってもよい。なお、ITOはSnOとInとの混合物であり、具体的にはInの中にドーパントとしてSnが添加されている。
また、前記方法において、インジウム・スズ・鉄系触媒を粒子状に分散させる場合、前記インジウム・スズ・鉄系触媒を反応器内部に粒子状に噴霧して分散させ、落下中に触媒粒子の表面にカーボンナノコイルを成長させてもよい。また、反応器内部に回転体を配置し、この回転体の周面近傍を加熱し、この反応器内部に炭化水素ガスを流通させ、前記回転体の周面の一部にインジウム・スズ・鉄系触媒の粒子を塗着し、回転中に回転体の触媒面にカーボンナノコイルを成長させてもよい。
前記触媒において、各金属率は限定されるものではないが、例えば、Sn/Inモル比で0.01〜0.5、好ましくは0.02〜0.3であってもよい。また、鉄はインジウムに対し10〜99.99モル%程度であってもよい。
なお、前記方法において、触媒は、インジウム・スズ・鉄系触媒に限定されず、例えば、(i)鉄、コバルト及びニッケルから選択された少なくとも1種の第1元素(例えば、鉄、コバルト又はニッケルのいずれかの第1元素)と、スズ及びインジウムから選択された少なくとも1種の第2元素(例えば、スズ又はインジウムのいずれかの第2元素)とを少なくとも含有する触媒、(ii)SnOの一次粒子または二次粒子である中心部と、この中心部の周囲に付着する、遷移金属又は遷移金属の酸化物の一次粒子もしくは二次粒子で構成された触媒などが挙げられる。
触媒(i)又は触媒(ii)は、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、触媒は、触媒(i)および触媒(ii)から選択された少なくとも1種であってもよい。
(触媒(i))
前記触媒(i)は、特に、(a)鉄又はコバルトのいずれかの第1元素とインジウム又はスズとを少なくとも含有する触媒(例えば、鉄とインジウムとを少なくとも含有する触媒(インジウム・鉄系触媒)、鉄とスズとを少なくとも含有する触媒(スズ・鉄系触媒)など)、(b)ニッケルとインジウム又はスズとを少なくとも含有する触媒、及び(c)鉄、コバルト又はニッケルのいずれかの第1元素と、この第1元素に加えてスズ及びインジウムの両元素とを少なくとも含有する触媒(鉄、インジウム、およびスズを少なくとも含有する触媒(インジウム・スズ・鉄系触媒)など)から選択された少なくとも1種であってもよい。前記触媒(i)において、各金属は、金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケルなど)として存在していてもよい。また、前記(c)において、スズ及びインジウムの両元素は、ITO膜(インジウム・ティン・オキサイド膜)として存在していてもよい。
(触媒(ii))
前記触媒(ii)は、高純度のカーボンナノコイルを収率よく得るために有効である。前記触媒(ii)において、遷移金属は、Fe、Co、Niなどが好ましく、特にFeがさらに好ましい。また、前記遷移金属の酸化物も特に限定されるものではないが、Fe、Co、Ni等の酸化物であることがより好ましい。具体的な酸化物には、例えば、FeO、Fe、Fe、Co、CoO、NiO、Ni、NiOなどが含まれる。中でもFeの酸化物、特にFeが好ましい。Feは、従来からカーボンナノコイル用粉体触媒に用いられているFeよりも触媒活性がより高いと考えられるため好ましい。
また、前記触媒(ii)において、中心部は、1つのSnOの一次粒子またはSnOの一次粒子1が複数凝集することにより形成された二次粒子である。中心部であるSnOの一次粒子または二次粒子の粒子径、言い換えれば、中心部が1つの一次粒子でできているときの当該一次粒子の粒子径または中心部が二次粒子でできているときの当該二次粒子の粒子径は、50〜1000nm、好ましくは60〜700nm、さらに好ましくは70〜200程度であってもよい。なお、粒子径とは以下の方法で決定された値をいう。まず、試料となる粒子の分散液の数箇所から試料を採取する。それぞれの試料について、透過型電子顕微鏡による観察を行い、数箇所から採取した試料全体で、合計50個以上の触媒粒子に対して、それぞれ、対象となる粒子1つの長軸径、すなわち、粒子の形状の最も寸法の大きい方向の寸法を、顕微鏡写真から計測する。計測した50個以上の値のうち、計測値数にして、上下各20%を除いた、全計測値数の60%の計測値を平均した値を粒子径とする。
触媒(ii)において、中心部2の周囲に付着する遷移金属または遷移金属の酸化物の粒子(粒子3)も、一次粒子または二次粒子である。中心部2の周囲に付着する遷移金属または遷移金属の酸化物の一次粒子または二次粒子の粒子径、言い換えれば、粒子3が1つの一次粒子でできているときの一次粒子の粒子径または粒子3が二次粒子でできているときの二次粒子の粒子径は、30〜300nmであることが好ましい。なお、後述するポリオールを用いる方法によりカーボンナノコイル製造用触媒粒子を製造する場合、遷移金属の酸化物Feの粒子3は8〜15nm程度の一次粒子から形成される30〜300nmの二次粒子である場合が多い。
また、ここで、SnOからなる中心部の周囲に付着する遷移金属またはその酸化物の二次粒子3の数は特に限定されるものではない。したがって、上記中心部の周囲を多数の遷移金属または遷移金属その酸化物の粒子が取り囲んで外皮部を形成する構成であってもよいし、上記中心部の周囲に複数の遷移金属またはその酸化物の粒子が隙間のある状態で付着していてもよいし、上記中心部の周囲に少数の遷移金属またはその酸化物の粒子が付着していてもよい。
さらに、SnOからなる中心部の周囲に付着する遷移金属またはその酸化物の粒子3の数は複数であることが好ましいが、遷移金属またはその酸化物の粒子の外側にさらにSnOの粒子が接するような、SnO−遷移金属またはその酸化物−SnO構造となっていないことを条件に、遷移金属またはその酸化物の粒子3の数は1個であってもよい。
また、SnOからなる中心部2の周囲に付着する遷移金属またはその酸化物の粒子3の数が複数である場合にも、カーボンナノコイル製造用触媒粒子は、互いに独立して存在し、遷移金属またはその酸化物の粒子の外側にさらにSnOの粒子が接するような、SnO−遷移金属またはその酸化物−SnO構造となっていないことが好ましい。
上述したカーボンナノコイル製造用触媒粒子の構造は、透過型電子顕微鏡によって確認することができる。また、透過型電子顕微鏡像中の粒子が特定の粒子であることは組成分析(EDAX:エネルギー分散型蛍光X線分析)により確認することができる。
触媒(ii)の製造方法は、上述した構造を有するカーボンナノコイル製造用触媒粒子を製造することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、遷移金属の金属塩または金属水酸化物をポリオール中で加熱することにより金属微粒子または金属酸化物微粒子を合成する工程を含む方法を好適に用いることができる。
以下、触媒(ii)を製造する方法の一例として、遷移金属の金属塩または金属水酸化物をポリオール中で加熱することにより金属微粒子または金属酸化物微粒子を合成する工程を含む方法について2つの実施形態(ii−1)および(ii−2)を挙げて説明する。
(ii−1)
まず第1の実施形態では、遷移金属の金属塩または金属水酸化物をポリオール中で加熱することによりこれらの金属微粒子または金属酸化物微粒子を合成し、得られた金属微粒子または金属酸化物微粒子をSnO粉末と混合することによって触媒粒子(混合触媒)を製造する。すなわち、この方法は、遷移金属の金属塩または金属水酸化物をポリオール中で加熱してこれらの金属微粒子または金属酸化物微粒子を合成する金属微粒子合成工程と、合成された金属微粒子または金属酸化物微粒子を分離しまたは分離せずに洗浄して前記金属微粒子または金属酸化物微粒子の有機溶剤分散液を得る精製工程と、得られた金属微粒子または金属酸化物微粒子の有機溶剤分散液にSnO粉末を混合するSnO混合工程とを含んでいればよい。
<金属微粒子合成工程>
金属微粒子合成工程は、遷移金属の金属塩または金属水酸化物をポリオール中で加熱してこれらの金属微粒子または金属酸化物微粒子を合成する方法であれば特に限定されるものではない。なお、遷移金属の金属塩のポリオール中における加熱は塩基の存在下で行うことが好ましい。ここで遷移金属は、Fe、Co、Niなどであることが好ましい。また、遷移金属の金属塩は、Fe、Co、Niなどの金属塩であることが好ましい。金属塩としては、例えば、FeCl、FeCl、CoCl、CoCl、NiCl、NiClなどの塩化物;Fe(NO、Fe(NO、Co(NO、Ni(NOなどの硝酸塩;FeSO、CoSO、NiSOなどの硫酸塩;酢酸鉄、酢酸コバルト、酢酸ニッケルなどの酢酸塩;鉄アセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、ニッケルアセチルアセトナート等のアセチルアセトナートなどまたはこれらの水和物などを挙げることができる。中でも上記金属塩は、FeClまたはその水和物、FeSOまたはその水和物等であることがより好ましい。
また、前記ポリオールとは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。また上記ポリオールとしては、これらの化合物を単独で用いてもよいし2種類以上を混合して用いてもよい。中でも上記ポリオールはエチレングリコールであることがより好ましい。また、前記金属塩又は金属水酸化物は、前記ポリオールに溶解できるものであることが好ましいが、溶解しない場合には、上記ポリオール中に分散させて反応させればよい。前記ポリオールに対して用いる上記金属塩または金属水酸化物の量は、ポリオール1Lに対して、0.05〜0.5mol、好ましくは0.05〜0.2mol程度であってもよい。
なお、前記塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。中でも、上記塩基は水酸化ナトリウムであることがより好ましい。加える塩基の量としては、金属塩または金属水酸化物のポリオール溶液(又は分散液)1Lに対して、0.5〜1.5mol程度であればよい。
また、本工程において、ポリオール中で、上記金属塩または金属水酸化物を加熱するときの温度は、本工程を常圧で行う場合、150℃以上であることが好ましい。なお、ポリオールを沸騰させながら反応を行うため、ポリオールの沸点に相当する温度で反応を行ってもよい。
<精製工程>
精製工程では合成された金属微粒子または金属酸化物微粒子を分離しまたは分離せずに洗浄して当該金属微粒子または金属酸化物微粒子の有機溶剤分散液を得る。精製工程は、例えば、合成された金属微粒子または金属酸化物微粒子を含むポリオール溶液から金属微粒子または金属酸化物微粒子を分離し、分離した金属微粒子または金属酸化物微粒子を有機溶剤で洗浄し最終洗浄のときに前記金属微粒子または金属酸化物微粒子の有機溶剤分散液を得る方法を好適に用いることができる。分離方法は特に限定されるものではなく、例えば、通常のデカンテーションを用いればよい。また、FeやFeのように磁性を持つ金属微粒子または金属酸化物微粒子に対しては、磁石を用いて金属微粒子または金属酸化物微粒子を分離することができる。有機溶剤としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール等のアルコール;アセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−プロピルケトン、3−ヘキサノン、メチルn−ブチルケトン等のケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の低級飽和炭化水素;酢酸エチルエステル等のエステル;ジメチルスルホキシド(DMSO);N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)等のアミド;アセトニトリル等のニトリル等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
<SnO粉末混合工程>
SnO粉末混合工程では、得られた前記金属微粒子または金属酸化物微粒子の有機溶剤分散液にSnO粉末を混合する。ここで、混合するSnO粉末は、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法を用いて合成したものであってもよい。また、本工程で用いるSnO粉末の粒子径は特に限定されるものではないが、例えば、50〜1000nm程度であることが好ましい。混合するSnO粉末と金属微粒子または金属酸化物微粒子との割合は、例えば、遷移金属またはその酸化物の重量/SnOの重量は、0.5以上、好ましくは1.5以上であってもよい。また、例えば、触媒を反応炉中に浮遊させ触媒表面にカーボンナノコイルを合成する場合、触媒粒子の希薄液を基板上に滴下してスピンコートする場合等のように分散した状態で導入される場合は、遷移金属またはその酸化物の重量/SnOの重量は、0〜2、好ましくは0〜1.5であってもよい。
また、従来カーボンナノコイル製造に触媒粒子を用いる場合は、高温での焼成が必要であったが、本実施形態にかかるカーボンナノコイル製造用触媒粒子の製造方法を用いることにより、ポリオール中でその沸点付近の温度で加熱することにより、結晶性の高い触媒粒子を製造することができる。それゆえ、焼成工程が不要で、簡単に触媒粒子を得ることができる。また溶液法を用いて触媒粒子を生産する方法であることから大量生産にも適している。
(ii−2)
次に第2の実施形態では、遷移金属の金属塩または金属水酸化物とSnO粉末とをポリオール中で加熱することによってカーボンナノコイル製造用触媒粒子(複合触媒)を製造する。すなわち、本実施形態にかかるカーボンナノコイル製造用触媒粒子の製造方法は、遷移金属の金属塩または金属水酸化物とSnO粉末とをポリオール中で加熱して遷移金属の金属微粒子または金属酸化物微粒子とSnOとの複合体を合成する複合体合成工程と、合成された金属微粒子または金属酸化物微粒子とSnOとの複合体を分離しまたは分離せずに洗浄してその有機溶剤分散液を得る精製工程とを含んでいればよい。
<複合体合成工程>
上記複合体合成工程は、遷移金属の金属塩または金属水酸化物とSnO粉末とをポリオール中で加熱して遷移金属の金属微粒子または金属酸化物微粒子とSnOとの複合体を合成する方法であればよい。なお、遷移金属の金属塩を用いる場合、ポリオール中における加熱は、(ii−1)で説明した理由と同様の理由より塩基の存在下で行うことが好ましい。また、上記遷移金属の金属塩または金属水酸化物、上記ポリオール、上記ポリオールに対して用いる上記金属塩または金属水酸化物の量、上記塩基、上記塩基の量、加熱の温度、SnO粉末は、(ii−1)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。さらに、上記金属塩または金属水酸化物とSnO粉末とは上記ポリオールに溶解できるものであることが好ましいが、溶解しない場合には、上記ポリオール中に分散させて反応させればよい。
さらに、混合するSnO粉末と金属塩または金属水酸化物との割合は特に限定されるものではなく、得られるカーボンナノコイル製造用触媒粒子のSnO粉末と金属微粒子または金属酸化物微粒子との割合も特に限定されるものではない。SnO粉末と金属微粒子または金属酸化物微粒子との割合は、化学的気相成長法を用いたカーボンナノコイルの合成における、カーボンナノコイル製造用触媒粒子の導入方法等に応じて適宜選択すればよい。例えば、遷移金属またはその酸化物の重量/SnOの重量は、0.4〜2、好ましくは0.7〜1.5程度であってもよい。
<精製工程>
精製工程では、合成された金属微粒子または金属酸化物微粒子とSnOとの複合体を分離しまたは分離せずに洗浄してその有機溶剤分散液を得る。精製工程についても(ii−1)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
なお、前記方法において、触媒の粒径はカーボンナノコイルのサイズに応じて選択でき、特に制限されず、特に寸法形状が揃ったカーボンナノコイルを得るためには、微粒子状であってもよい。このような触媒微粒子の直径(平均直径)は、例えば、1nm〜100μm程度であってもよい。
以上のような触媒を用いることにより、前記のような方法でカーボンコイル(特にカーボンナノコイル)を得ることができる。
なお、前記方法おいて、炭素(カーボンコイル)を生成するための炭化水素としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族炭化水素などが利用でき、中でもアセチレン、アリレン、ベンゼンなどが有効で、特にアセチレンが好ましい。また、キャリアガスとしては、不活性ガスであれば特に限定されるものではないが、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等を好適に用いることができる。また、反応炉の構造も特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。さらに、前記方法において、加熱温度は、炭化水素が触媒の作用で分解する温度以上が効果的であり、例えば、アセチレンを用いる場合には、加熱温度は600〜800℃程度であってもよい。
なお、導電性カーボンは、カーボンコイルで構成されていればよく、カーボンコイル以外の導電性カーボン(又は非コイル状カーボン、例えば、カーボンナノチューブなど)を含んでいてもよい。特に、導電性カーボンは、カーボンコイルのみで構成してもよい。導電性カーボン全体に対するカーボンコイルの割合は、70重量%以上(例えば、75〜100重量%)、好ましくは80重量%以上(例えば、85〜99重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、95〜99重量%)であってもよい。
また、本発明の導電性組成物において、導電性カーボン(又はカーボンナノコイル)の割合は、前記樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部(例えば、0.05〜20重量部)、好ましくは0.1〜15重量部(例えば、0.5〜10重量部)、さらに好ましくは0.8〜8重量部程度であってもよく、通常1〜7重量部(例えば、1.5〜5重量部、好ましくは2〜4重量部)程度であってもよい。
なお、本発明の導電性組成物は、透明性を維持できる限り、必要に応じて、充填剤(フィラー)又は補強剤、着色剤(染顔料)、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤、低応力化剤(シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末など)、耐熱性改良剤などの添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
本発明の組成物の形態は、樹脂の形態などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、例えば、粉粒状、ペレット(樹脂ペレット、マスターバッチペレットなど)状などの形態であってもよく、組成物(コーティング組成物、塗布液)の形態などであってもよい。コーティング組成物は、無溶剤型コーティング組成物(コーティング剤)であってもよく、溶媒を含むコーティング組成物(コーティング剤)であってもよい。溶媒を含むコーティング組成物は、溶液又は分散液であってもよい。溶媒を含むコーティング組成物は、前記樹脂が溶解した溶液に、前記導電性カーボンが分散した分散液であってもよい。コーティング組成物(塗布液)において、溶媒としては、特に限定されず、樹脂の種類などに応じて、慣用の溶媒、例えば、炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族又は脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン系溶媒(ジクロロメタン、モノクロロベンゼンなど)、アルコール類(エタノール、イソプロパノールなどのアルカノール類など)、ジオール類(エチレングリコールなどのアルカンジオール類、ジエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸エチルなどの酢酸エステル類など)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、セロソルブ類、カルビトール類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
溶媒の割合は、塗布性を損なわない範囲であればよく、前記組成物の固形分(例えば、前記樹脂および導電性カーボン)1重量部に対して、溶媒0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜30重量部程度であってもよい。
本発明の組成物は、前記樹脂と前記導電性カーボンと(必要により他の成分(溶媒など)と)を混合することにより製造又は調製できる。混合方法としては、組成物の形態に応じて適宜選択でき、例えば、リボンブレンダ、タンブルミキサ、ヘンシエルミキサ、アトライター、ボールミル、ペイントシェーカーなどの混合機又は分散機を用いる方法や、オープンローラ、ニーダ、バンバリーミキサ、押出機などの混練機による混合手段などを用いた溶融混練による方法などが利用できる。また、コーティング組成物では、混合機又は分散機の種類(ペイントシェーカーなど)によっては、分散メディア、例えば、ビーズを使用してもよく、界面活性剤や分散剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミ系カップリング剤などのカップリング剤)を用いて分散させてもよい。これらの混合方法は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、本発明の導電性組成物は、組成物の形態(樹脂ペレット、コーティング組成物など)に応じて、公知の成形方法、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、塗布法(スピンコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法など)などによって成形物を得ることができる。
特に、本発明の組成物は、膜(導電膜)を形成するための組成物として有用である。導電膜(導電フィルム、導電シート)において、膜形成方法としては、上記種々の方法(押出成形法、塗布法など)を利用できる。基板(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルム)上に導電膜を形成してもよい。
導電膜の厚みは、用途に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、0.01μm〜10mm(例えば、0.05μm〜5mm)、好ましくは0.05μm〜1mm(例えば、0.1〜500μm)、さらに好ましくは0.5〜300μm(例えば、1〜100μm)、特に1.5〜50μm(例えば、2〜30μm)程度であってもよく、通常1〜20μm(例えば、3〜15μm)程度であってもよい。特に、本発明では、比較的小さい厚み[例えば、厚み7μm以下(例えば、0.5〜6μm)、好ましくは5μm以下(例えば、0.7〜4μm)、さらに好ましくは1〜3μm程度]の導電膜であっても、高い導電性および高い透明性を両立できる。
本発明の導電膜は、導電性に優れているにもかかわらず、透明性に優れている。透明性や導電性は、導電膜の厚みや導電カーボンの添加割合などに依存するが、例えば、本発明の導電膜は、厚み1〜8μm(例えば、2〜6μm)であるとき、(i)波長600nmの光線に対する透過率が40%以上(例えば、42〜99%程度)、好ましくは45%以上(例えば、48〜99%程度)、さらに好ましくは50%以上(例えば、52〜99%程度)、特に55%以上(例えば、55〜99%程度)程度であり、かつ(ii)表面抵抗が1014Ω/□以下(例えば、10〜1013Ω/□)、好ましくは1013Ω/□以下(例えば、5×10〜5×1012Ω/□)、さらに好ましくは1012Ω/□以下(例えば、10〜1011Ω/□)、特に1010Ω/□以下(例えば、5×10〜5×10Ω/□)程度であり、10Ω/□以下(例えば、10〜5×10Ω/□)程度とすることもできる。
本発明の導電性組成物は、導電膜(特に透明導電膜)を形成するのに特に有用である。このような透明導電膜は、例えば、表示機器(液晶、エレクトロルミネッセンスなど)の基板、透明電極(例えば、ノートパソコンや携帯電話の表示素子用電極、太陽電池用電極、プラズマディスプレイ電極など)、電子機器の電磁波シールドなどとして利用できる他、帯電防止性(例えば、テレビなどの陰極管の帯電防止性、ガラス、透明プラスチック材の帯電防止性、写真フィルム、光又は磁気記録媒体などの記録材料の帯電防止性、半導体素子、電子部品などの包装材の帯電防止性など)を付与するためのフィルムなどとしてとして広範な用途に用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(合成例1)カーボンナノコイルの調製
特開2001−1992204号公報(特許第3491747号公報)の実施例に準じて、カーボンナノコイルを調製した。すなわち、カーボンナノコイルの調製には、以下の図1に記載の製造装置(又はフローリアクター)を用いた。図1は、カーボンナノコイルの製造装置の概略構成図である。
図1において、製造装置2は、大気圧下に置かれたフローリアクターであり、反応室4は直径30mm、長さ700mmのクォーツチューブ6で囲まれている。クォーツチューブ6の中央部の外周には長さ450mmのチューブ状ヒーター8が配置され、反応室4の中央は長さ約50mmに亘って等温領域10に設定されている。この等温領域10に成長用基板12を載置した半円筒状のクォーツボート14が配置されている。
図2は前記成長用基板12の拡大図である。成長用基板12はガラス基板16の上面にインジウムースズ酸化物薄膜18(以後、ITO薄膜と称する)をコートして構成されている。ITO薄膜18の厚みTは300nmである。このITO薄膜18の表面には、シャドウマスクを通して真空蒸着により鉄薄膜20が形成され、鉄薄膜20の厚みtは15nmである。シャドウマスクは2mmX5mmの矩形開口部を2mmのピッチで複数形成されており、従ってその大きさに対応した鉄薄膜20が形成される。
このような製造装置2のクォーツチューブ6内にヘリウムガスを充填し、成長用基板12の温度を毎分15℃の昇温速度で700℃まで上昇した。700℃に到達した後、ヘリウムの1/3がアセチレンで置換され、ヘリウムとアセチレンの混合ガスの全流量が260semmになるように調整された。反応時間は約1時間に設定され、その後、アセチレンを遮断してヘリウムだけをフローさせ、このヘリウム雰囲気中で成長用基板12は室温にまでゆっくりと冷却された。
そして、鉄薄膜20上に堆積した堆積物を、鉄薄膜20から分離回収し、カーボンナノコイルとした。なお、前記堆積物において、炭素原子の堆積量およびコイル生成量から、推定したコイル収率(堆積物全体に対するカーボンナノコイルの重量割合)は95%であった。
また、合成されたカーボンナノコイルをさらに分析するため、カーボンナノコイルの堆積物をピンセットで取り上げ、10分間イソプロピルアルコールの中で超音波洗浄し、その後、得られた懸濁液の数滴を、透過型電子顕微鏡のグリッドの上に置き、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。TEM観察から、カーボンナノコイルを形成するカーボンファイバーは、平均直径dが約30〜40nmのカーボンナノチューブであることがわかった。また、コイルは位相ずれを持った二つのカーボンナノチューブで形成され、コイルの平均外直径Dは約50nmであり、コイルは多重グラファイト構造により形成されていた。また、コイルの長さは、5〜300μmの範囲にあった。
なお、実施例および比較例において、表面抵抗および透過率は以下のようにして測定した。
(実施例1)
フルオレン骨格を有するポリエステル(大阪ガスケミカル(株)製、商品名「OKP4」)1g、シクロヘキサノン3.7g、酢酸エチル2.0g及びジルコニアビーズをサンプル瓶に採取し、ロールミリングにて、樹脂溶液を作製した。
次に、この樹脂溶液に樹脂固形分(フルオレン骨格を有するポリエステル)に対し、合成例1で調製したカーボンナノコイル(CNC)0.01gおよび分散剤としてのアルミ系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製、「AL−M」)0.005gを添加し、ペイントシェーカー(東洋精機社製)にて11時間分散を行った。分散後、コンディショニングミキサー(シンキー社製)を用いて脱泡を行い、CNC分散液を調製した。
そして、得られたCNC分散液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ワイヤーバーにて塗布し、120℃で10分間乾燥させ、厚み約8μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、4.41×1012(Ω/□)であり、透過率は400nmで22.8%、600nmで42.6%、800nmで48.4%であった。
なお、表面抵抗は、三菱化学社製「ハイレスターUP」を、透過率は、島津製作所製「UV−3600」を用いてそれぞれ測定した。また、表面抵抗は、サンプル(膜)の任意の9箇所で測定した値の平均値とし、膜厚は、サンプル(膜)の任意の10箇所で測定した厚みの平均値とした。
(比較例1)
実施例1において、カーボンナノコイル0.01gに代えて、カーボンナノチューブ(ナノカーボン社製、径40〜60nm)0.01gを使用した以外は、実施例1と同様にして厚み約8μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、測定できず(装置の検出限界9.99×1014(Ω/□)以上であった)、透過率は400nmで23.1%、600nmで33.0%、800nmで38.8%であった。
(実施例2)
実施例1において、カーボンナノコイルを0.01gに代えて、0.03g使用した以外は実施例1と同様にして厚み約12μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、7.34×10(Ω/□)であり、透過率は400nmで5.41%、600nmで8.83%、800nmで13.5%であった。
(比較例2)
実施例2において、カーボンナノコイル0.03gに代えて、カーボンナノチューブ(ナノカーボン社製、径40〜60nm)0.03gを使用した以外は、実施例2と同様にして厚み約12μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、9.31×1011(Ω/□)であり、透過率は400nmで3.93%、600nmで8.33%、800nmで11.8%であった。
(実施例3)
実施例2において、厚みを約12μmに代えて、約4μmとしたこと以外は、実施例21と同様にして厚み約4μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、6.87×10(Ω/□)であり、透過率は400nmで51.2%、600nmで57.1%、800nmで64.4%であった。
(比較例3)
実施例3において、カーボンナノコイル0.03gに代えて、カーボンナノチューブ(ナノカーボン社製、径40〜60nm)0.03gを使用した以外は、実施例3と同様にして厚み約4μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、測定できず(装置の検出限界9.99×1014(Ω/□)以上であった)、透過率は400nmで42.5%、600nmで51.2%、800nmで55.4%であった。
(比較例4)
実施例2において、カーボンナノコイル0.03gに代えて、カーボンブラック(三菱化学(株)製、#3400B)0.03gを使用するとともに、厚みを約12μmに代えて、9.6μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして厚み9.6μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、測定できず(装置の検出限界9.99×1014(Ω/□)以上であった)、透過率は400nmで35.4%、600nmで39.4%、800nmで39.1%であった。
(比較例5)
比較例4において、厚みを9.6μmに代えて、1.9μmとしたこと以外は、比較例4と同様にして厚み1.9μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、測定できず(装置の検出限界9.99×1014(Ω/□)以上であった)、透過率は400nmで45.4%、600nmで51.2%、800nmで53.7%であった。
(比較例6)
比較例4において、カーボンブラック(三菱化学(株)製、#3400B)を0.03gに代えて、0.10g使用するとともに、厚みを9.6μmに代えて、10.5μmとしたこと以外は、比較例4と同様にして厚み10.5μmの導電膜を作製した。
得られた導電膜の表面抵抗は、8.56×10(Ω/□)であり、透過率は400nmで0.0%、600nmで0.0%、800nmで0.0%であった。
(比較例7)
比較例6において、厚みを10.5μmに代えて3.1μmとしたこと以外は、比較例6と同様にして厚み3.1μmの導電膜を作製した。
得られた導電膜の表面抵抗は、1.95×10(Ω/□)であり、透過率は400nmで5.7%、600nmで7.9%、800nmで10.2%であった。
(比較例8)
実施例1において、カーボンナノコイル0.01gに代えて、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル(株)製、EC600JD)0.01gを使用するとともに、厚みを約8μmから10.3μmにしたこと以外は、実施例1と同様にして厚み10.3μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、測定できず(装置の検出限界9.99×1014(Ω/□)以上であった)、透過率は400nmで41.1%、600nmで47.4%、800nmで48.1%であった。
(比較例9)
実施例2において、カーボンナノコイル0.03gに代えて、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル(株)製、EC600JD)0.03gを使用するとともに、厚みを約12μmに代えて、10.2μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして厚み10.2μmの導電膜を作製した。
得られた導電膜の表面抵抗は、9.01×10(Ω/□)であり、透過率は400nmで4.0%、600nmで6.4%、800nmで7.7%であった。
(比較例10)
比較例9において、厚みを10.2μmに代えて2.9μmとしたこと以外は、比較例9と同様にして厚み2.9μmの透明導電膜を作製した。
得られた透明導電膜の表面抵抗は、1.21×10(Ω/□)であり、透過率は400nmで22.3%、600nmで31.3%、800nmで22.3%であった。
実施例1、比較例1、および比較例8で得られた分散液(導電剤の固形分濃度がすべて1重量%の分散液)を用いて得られた導電膜の特性を比較した結果を表1に示す。なお、表1において、「膜厚換算透過率(10μm)」とは、膜厚を10μmに換算したときの透過率を意味する。
Figure 2007314776
また、実施例2、比較例2、比較例4および比較例9で得られた分散液(導電剤の固形分濃度がすべて3重量%の分散液)を用いて得られた導電膜の特性を比較した結果を表2に示す。なお、表2において、「膜厚換算透過率(10μm)」とは、膜厚を10μmに換算したときの透過率を意味する。
Figure 2007314776
さらに、実施例3、比較例3、比較例5および比較例10で得られた分散液(導電剤の固形分濃度がすべて3重量%の分散液)を用いて得られた導電膜の特性を比較した結果を表3に示す。なお、表3において、「膜厚換算透過率(3μm)」とは、膜厚を3μmに換算したときの透過率を意味する。
Figure 2007314776
同一膜厚および同一濃度で導電剤を使用した表1〜3の結果から明らかなように、導電剤としてカーボンコイルを用いると、表面抵抗の低減と透明性の向上とを両立できる。また、表3の結果から明らかなように、3μmという比較的小さな厚みにしても、小さい表面抵抗値および優れた透明性を有する導電膜が得られることがわかった。
図1は、合成例1で使用したカーボンナノコイルの製造装置の概略構成図である。 図2は、図1における前記成長用基板の拡大図である。
符号の説明
2…製造装置
4…反応室
6…クォーツチューブ
8…チューブ状ヒーター
10…等温領域
12…成長用基板
14…クォーツボート
16…ガラス基板
18…ITO基板
20…鉄薄膜

Claims (11)

  1. 樹脂と、カーボンコイルで構成された導電性カーボンとで構成されている導電性組成物。
  2. 樹脂が、フルオレン骨格を有する樹脂で構成されている請求項1記載の組成物。
  3. 樹脂がフルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂で構成されている請求項1記載の組成物。
  4. カーボンコイルが、カーボンナノコイルで構成されている請求項1記載の組成物。
  5. カーボンナノコイルが、コイルの平均外直径3〜1000nm、平均断面直径0.3〜200nmピッチの平均長さ1〜300nm、およびコイル平均長さ800nm〜2cmを有する請求項4記載の組成物。
  6. カーボンコイル全体に対するカーボンナノコイルの割合が、40重量%以上である請求項4記載の組成物。
  7. カーボンナノコイルが、反応器内部に以下の触媒(i)及び触媒(ii)から選択された少なくとも1種である触媒を配置又は粒子状に分散させ、この触媒近傍を原料として使用する炭化水素が触媒作用により分解する温度以上に加熱し、この触媒に接触するように炭化水素ガスを流通させて、炭化水素を触媒近傍で分解させながら触媒表面にカーボンナノコイルを成長させて得られたカーボンナノコイルである請求項4記載の組成物。
    (i)鉄、コバルト及びニッケルから選択された少なくとも1種の第1元素と、スズ及びインジウムから選択された少なくとも1種の第2元素とを少なくとも含有する触媒
    (ii)SnOの一次粒子または二次粒子である中心部と、この中心部の周囲に付着する、遷移金属又は遷移金属の酸化物の一次粒子もしくは二次粒子で構成された触媒から選択された少なくとも1種である触媒
  8. 導電性カーボンの割合が、樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部である請求項1記載の組成物。
  9. (i)樹脂がフルオレン骨格を有する樹脂で少なくとも構成され、(ii)カーボンコイルが、コイルの平均外直径10〜200nmを有するカーボンナノコイルをカーボンコイル全体に対して60重量%以上の割合で含み、(iii)導電性カーボンの割合が、樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部である請求項1記載の組成物。
  10. 請求項1記載の組成物で形成された導電膜。
  11. 厚み1〜8μmであるとき、(i)波長600nmの光線に対する透過率が50%以上であり、かつ(ii)表面抵抗が1013Ω/□以下である請求項10記載の導電膜。
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