JP2007314718A - 架橋ポリカーボネート樹脂組成物及びそのフィルム - Google Patents

架橋ポリカーボネート樹脂組成物及びそのフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐半田性等に優れた架橋ポリカーボネート樹脂組成物及びフィルムの提供。
【解決手段】式(1)[Rはエチレン性二重結合を側鎖に有し、炭素数8〜250の炭化水素基]で表される(A1)及び式(2)[R〜Rは水素原子、炭素原子数1〜9の炭化水素又はハロゲン、Wは単結合、炭化水素、O、S、SO、SO、CO、COO]で表される(A2)よりなり(A1)と(A2)がモル比で(A1):(A2)=6:94〜40:60であり、ガラス転移温度が120℃以上245℃未満である芳香族ポリカーボネート100部、(B)粘度が140mPa・s以上の液体及び/又は25℃において固体の多官能モノマー5〜50部を配合し架橋させたポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2007314718

Figure 2007314718

【選択図】なし

Description

本発明は、耐半田性240℃以上を持ち、且つ、高度な透明性、屈曲性に優れた架橋ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなるフィルムに関する。
このフィルムは、特にエレクトロニクス用フィルムとして好適である。エレクトロニクス用フィルムとしては、例えば、デジタルカメラ、ゲーム機、HDD、光ピックアップ、プラズマディスプレイ、携帯電話等に用いられている半田実装可能なフレキシブルプリント配線板やディスプレイ基板等に用いられる。
透明性、寸法安定性、耐熱性、耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂は、無機ガラス等の代替として広く使用されている。しかし、ポリカーボネート樹脂は用途が電気・電子部品、機械部品、自動車部品等の工業用材料に広がるにつれて、半田実装に耐えうる要求が日々強くなってきた。
一般にポリカーボネート樹脂の主鎖に嵩高い芳香環、いわゆる「カルド構造」として、フルオレン骨格を導入し、高分子の剛直性を増し耐熱性を向上させる方法が行なわれている。しかし、他の特性、例えばフィルムの屈曲性は極端に低下し、本用途で使用することは難しい。また、この要求に答える別の方法として、ポリカーボネート樹脂に架橋を施す方法がある。例えば、生産性、架橋効率等の面でポリカーボネート樹脂の放射線架橋が検討されてきた。ポリカーボネート樹脂は放射線で分子鎖が切断される典型的な崩壊型高分子である。数キログレイ(KGy)の放射線で力学特性が低下してしまい、耐放射線性の低い高分子の一つである。
そこで日本原子力研究所高崎研究所は、この放射線崩壊を利用して高温でポリカーボネート樹脂にγ線を照射することにより耐摩耗性や表面硬度が向上することが見出されている(非特許文献1)。この現象は、適当に主鎖が切断されることにより、分子鎖のからみ合いが解け、かつ主鎖が自由に運動できるガラス温度付近の照射のため、分子のパッキング状態がより密になり、その結果、硬度や耐摩耗性が高くなったと解釈されている。このようにポリカーボネートの主鎖崩壊による特性発現はこれまで行なわれてきたが、ポリカーボネートの放射線架橋を促進させ、その効能による耐熱性の向上を実現することは非常に困難であった。
このような問題を解決する技術としては、不飽和結合を側鎖に有する繰り返し単位を含有するポリカーボネート樹脂が開示されている(特許文献1)。そして、不飽和結合を持たない繰り返し単位中に不飽和結合を持った繰り返し単位を均等に分散含有させることにより、この不飽和結合を利用して架橋を施した場合に、分子間架橋が優先し、表面硬度、耐熱性、機械的特性などの諸特性がバランス良く向上された架橋ポリカーボネート樹脂が得られている。しかしながら、該公報記載の架橋性ポリカーボネート樹脂の耐熱性は210℃前後で、塩化メチレン不溶分率は40%前後で架橋度も不十分であり、本発明が達成しようとしている耐半田性240℃以上では使用できない。
また、ビスフェノール成分としてビスフェノールフルオレンのみを使用したポリカーボネート樹脂(Tg:281℃)に多官能モノマーを加え放射線を照射する方法が行なわれている(特許文献2)。この手法はベースとなるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が非常に高くなるが、フィルムのハンドリング性や屈曲性が極端に低下し、本用途では使用できない。
フルオレン共重合成分とアリル基含有共重合成分(95:5)を共重合したポリカーボネート樹脂(Tg:270℃)にジビニルビフェニルを添加したものに放射線を照射することも行なわれている(特許文献3)。この手法は前記同様、ポリマー骨格が剛直になるためTgは高くなるが、機械的物性の低下は大きく、本用途では使用できない。
また、ポリカーボネート樹脂に架橋剤を添加し、放射線により架橋する方法が明らかにされている(特許文献4)。しかし、ポリカーボネート主鎖に架橋点となるユニットを持っていない場合、本発明が求める耐半田特性240℃以上で、且つ、屈曲性300回以上を達成できず、ポリカーボネート樹脂の本質を変えることは難しい。
日本原子力研究所ホームページより「2001年成果 9章 放射線利用」http://inisjp.tokai-sc.jaea.go.jp/ACT01J/Frame01.htm 特許第3584128号公報 特開2003−176325号公報 特開2002−173529号公報 特公平8−16138号公報
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、架橋ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなるエレクトロニクス用フィルムを提供することを目的とする。そして、透明性を具備するとともに、耐半田性240℃以上であり、高屈曲性などの諸特性をバランス良く向上させた架橋ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
本発明者らは、前記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、不飽和結合を有するTg120℃以上245℃未満の芳香族ポリカーボネート共重合体と特定の架橋剤を特定量添加したものに放射線を照射することにより耐半田性240℃以上、高屈曲性、透明性などの諸特性がバランス良く向上させた架橋ポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出すことにより本発明を完成するに至った。
即ち、(A)下記一般式(1)
Figure 2007314718
[一般式(1)中のRはエチレン性二重結合を側鎖に有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数8〜250の、異種原子で中断されてもよい、炭化水素基を表す。]で表される繰返し単位(A1)及び下記一般式
Figure 2007314718
[式中、R2〜R5は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]で表される繰り返し単位(A2)よりなり、全カーボネート繰り返し単位における単位(A1)と単位(A2)の割合がモル比で(A1):(A2)=6:94〜40:60の範囲であって、ガラス転移温度が120℃以上245℃未満である芳香族ポリカーボネート共重合体100重量部に対し、
(B)25℃における粘度が140mPa・s以上で液体及び25℃において固体の多官能モノマーから一種以上選ばれた架橋剤5〜50重量部を配合し、架橋することを特徴とする架橋ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなるエレクトロニクス用フィルムである。
以下、本発明を詳細に説明する。
[芳香族ポリカーボネート共重合体]
一般式(1)で表される繰り返し単位(A1)において、R1としては
エチレン性二重結合を側鎖に有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数8〜250の、異種原子で中断されてもよい、炭化水素基であればよい。この不飽和結合は、例えば、ラジカル開始剤等により反応性が付与され、他のポリマー連鎖中の不飽和結合と反応して分子間架橋を形成することができる。このような基として、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1,4−ブタジエニル基、1,3−ペンタジエニル基等が挙げられる。
繰り返し単位(A1)において、表面硬度や機械的特性の改善のため、主鎖中にアリーレン基を有することが好ましい。このようなものとして一般式(3)の構造を有する繰り返し単位(A3)を挙げることができる。
Figure 2007314718
〔一般式(3)中Xは単結合、−O−,−S−,−SO−,−SO2 −,−CO−,−CR8R9 −(ただし、R8及びR9 はそれぞれ独立に水素、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基である)、炭素数3〜12のシクロアルキリデン基、炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、フルオレニリデン基、メンタンジイル基、ピラジリデン基、炭素数6〜12のアリーレン基であり、R6 及びR7はそれぞれ独立に水素、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基あるいは炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、m及びnはそれぞれ独立に0〜6の整数であり、a〜dは整数であり、c+dは1〜8、a+cは4、b+dは4である。〕
一般式(3)中のXが表す−CR8R9 −において、R8及びR9が表す炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。炭素数6〜24のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、スチリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基が挙げられる。
Xが表す炭素数3〜12のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロオクチリデン基、シクロノニリデン基、シクロデシリデン基、シクロウンデシリデン基、が挙げられる。
Xが表す炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基が挙げられる。
Xが表すフルオレニリデン基としては、例えば、9,9−フルオレニリデン基が挙げられる。
Xが表すメンタンジイル基としては、例えば、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基が挙げられる。
Xが表すピラジリデン基としては、例えば、2,3−ピラジリデン基、2,5−ピラジリデン基、2,6−ピラジリデン基が挙げられる。
Xが表す炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が挙げられる。
本発明においては、得られる架橋ポリカーボネート樹脂の透明性、機械的特性の面より、Xが、−SO2 −、−CR8R9 −、炭素数3〜12のシクロアルキリデン基である繰り返し単位を有することが好ましい。最も好ましくは−SO2 −である。
R6及びR7が表すハロゲン原子としては、特に、フルオロ基、クロロ基が好ましい。
R6及びR7が表す炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
R6及びR7が表す炭素数6〜24のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、スチリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基が挙げられる。
R6及びR7が表す炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基が挙げられる。
R6及びR7が表す炭素数1〜10のアルキルオキシ基としては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基が挙げられる。
R6及びR7が表す炭素数6〜24のアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基が挙げられる。
本発明おいては、R6 及びR7 はそれぞれ独立に水素、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
X,R6〜R9については、上記のような官能基を挙げられるが、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、これらの官能基に更に置換基の付加した官能基を用いることができる。付加が可能な置換基としては、例えば、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基のような炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基のような炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、イソブトキシ基のような炭素数1〜4のアルキルオキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基のようなスルフィド基などが挙げられ、これらのうち1個、または複数個の置換基が、各々独立に、結合可能な位置に結合することができる。
一般式(3)において、置換基数c及びdはそれぞれ1〜4の整数を採用できるが、置換基数が3又は4の場合には、分子間架橋の効率が低下する可能性があるため、1又は2とするのが好ましい。また、置換基数が2の場合には、前記の理由より、互いにメタ位あるいはパラ位の配置となるように付加することが好ましい。
一般式(3)において、置換基c及びd中のメチレン基の数を示すm及びnはそれぞれ独立に0〜8の整数を採用できるが、架橋後のポリマーの機械的特性が低下する可能性があるため、0〜2の整数が好ましい。
本発明の繰り返し単位(A1)において下記の形態が好ましい。繰り返し単位(A1)が下記一般式(4)で表される繰り返し単位(A4)である。
Figure 2007314718
〔一般式(4)中Xは−SO2 −,−CR8R9 −(ただし、R8及びR9 は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基である)、炭素数3〜12のシクロアルキリデン基であり、R6及びR7 はそれぞれ独立に水素、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0〜6の整数であり、a〜dは整数であり、c+dは1〜8、a+cは4、b+dは4である。〕
本発明の繰り返し単位(A1)において下記の形態が最も好ましい。繰り返し単位(A1)が下記一般式(5)で表される繰り返し単位(A5)である。
Figure 2007314718
一般式(2)で表される繰り返し単位(A2)において、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、下記式一般式(6)で表される繰り返し単位(A6)で表される。
Figure 2007314718
[式中、R2〜R5は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
繰り返し単位(A2)は、次の二価フェノールから誘導されることが好ましい。例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでも4,4′−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールMが好ましく、特にビスフェノールAが好ましい。
芳香族ポリカーボネート共重合体において、フルオレン骨格を有しない化合物から誘導される繰り返し単位(A1)及び繰り返し単位(A2)である場合には、本発明の目的を損なわない範囲で式(1)、(2)以外の第3成分としてフルオレン骨格を含むビスフェノール成分を共重合してもよい。例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
但し、式(1)と式(2)を合計した芳香族ポリカーボネート共重合体全体のビスフェノール成分由来のユニット中ですべてのフルオレン骨格を含むユニットの合計は7割以下が望ましい。好ましくは5割以下である。更に好ましくは4割以下である。7割以上のフルオレン骨格をポリマー中に導入すると、著しい物性低下が起こり好ましくない。
芳香族ポリカーボネート共重合体は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。
また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
芳香族ポリカーボネート共重合体は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよい。
芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのポリマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度をηspとしたとき、
0.18 ≦ ηsp ≦ 1.50
であることが好ましい。より好ましくは、
0.20 ≦ ηsp ≦ 1.10
である。ηspが0.18よりも小さい場合、樹脂が脆く、フィルムが非常に割れやすくなるため好ましくない。ηspが1.50よりも大きい場合、樹脂の溶融流動性が非常に低くなり好ましくない。
芳香族ポリカーボネート共重合体の繰返し単位(A1)と(A2)の割合がモル比で(A1):(A2)=6:94〜40:60である。好ましくは(A1):(A2)=10:90〜40:60である。更に好ましくは、(A1):(A2)=15:85〜40:60である。最も好ましくは、(A1):(A2)=20:80〜40:60である。反応し得る不飽和結合を側鎖に有する(A1)の割合が40を越えると放射線照射前のTgの低下が起こる。また、期待以上に架橋度が上がらない。一方、5以下であると耐熱性の改善効果が小さくなり、本用途では使用できない。
架橋前の芳香族ポリカーボネート共重合体のTgは120℃以上245℃未満であることが好ましい。さらに、好ましくは125℃以上230℃以下であり、最も好ましくは、125℃以上210℃以下である。
120℃未満であると架橋ポリカーボネート樹脂組成物の耐半田性が240℃に達しない。また、アリル基含有量が多くなりTgが120℃未満になると架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムの耐屈曲性が大幅に低下し、実使用に耐えることが出来ない。
一方、剛直なフルオレン骨格を多く導入等をしてTg245℃を超える芳香族ポリカーボネート共重合体を使用した架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムの屈曲性は、極端に低下し実使用に耐えることが出来ない。これは、主鎖の剛直化による耐熱性の向上が主鎖の自由度の低下をもたらし、主鎖間の架橋反応が進行し難くなるためと考えられる。
このガラス転移温度(Tg)の測定方法は、JIS K7121に規定されている示差走査熱量測定(熱流速DSC)に従い、DSC−2910(TAインストルメント製、商品名:DSC2910)を用いて実施した。測定条件は、加熱速度 20℃/min、窒素流量 40ml/min、測定温度 20℃〜250℃である。
[架橋剤]
本発明を効率よく達成するためには、架橋剤を添加する。本発明に用いられる架橋剤(B)としては、温度25℃、気圧1atm=101325Paにおいて、粘度が140mPa・s(25℃)以上の液体である多官能モノマー及び、温度25℃、気圧1atm=101325Paにおいて固体(半固体状、ワックス状を含む。)である多官能モノマーからなる群から選ばれる一種以上のモノマーが適用できる。この多官能モノマーは、不飽和基を2つ以上有することが好ましい。その不飽和基は、アクリル基、アリル基、ビニル基、メタクリル基などが好ましく、特にアクリル基やアリル基が好ましい。本発明で用いる多官能モノマーの具体例としては、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(25℃で固体)、ジオキサングリコールジアクリレート(25℃で390mPa・sの液体)、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(25℃で6500mPa・sの液体)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(25℃で500mPa・sの液体)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(25℃で550mPa・sの液体)、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(25℃で3000mPa・sの液体)、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(25℃で6600mPa・sの液体)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(25℃で固体)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(25℃で1000mPa・sの液体)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(25℃で160mPa・sの液体)、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(25℃で740mPa・sの液体)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(25℃で400mPa・sの液体)などが挙げられ、好ましくはエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートがよく、これらの中でもペンタエリスリトールテトラアクリレートが特に好ましい。
この粘度測定は、JIS K6833(−1980)「接着剤の一般試験方法」の中の粘度測定に準拠し、単一円筒回転粘度計(芝浦システム(株)製)を用いて実施した。測定温度は25℃である。
本発明に用いられる架橋剤(B)の添加量は、芳香族ポリカーボネート共重合体(A)100重量部に対して5〜50重量部である。好ましくは、20〜48重量部である。更に好ましくは、20〜45重量部である。5重量部未満では、架橋が不十分なため耐熱性を得ることが出来ず、また、50重量部を超えると、屈曲性等の物性の低下が大きくなるため好ましくない。
[架橋ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明の架橋ポリカーボネート樹脂組成物は、上記の芳香族ポリカーボネート共重合体の側鎖中に存在する不飽和結合と架橋剤の不飽和結合を利用して架橋させて得られるものである。本発明の架橋ポリカーボネート樹脂組成物は、従来のものに比べ効率よく架橋し、架橋度が非常に高いため、耐半田性や屈曲特性に優れ、透明性を有する。
透明性は、プリント配線板を裏表に作成する際作業上重要な特性であり、具体的にはHaze1以下が望まれている。このヘイズの測定は、フィルムから長さ5cm、幅5cm、厚み50μmの試験片を切り出し、日本電色工業(株)製 Haze Meter NDH2000を用いてヘイズを測定する。
耐半田性は、Pbフリー化の進む中、最低でも240℃×10secは必要であり、好ましくは、260℃×10secが必要とされている。さらに、特定の分野では、280℃×10secが必要とされる場合がある。
この耐半田性試験方法は、試験機(半田リフロー装置:日本アントム社製UNI−6116G)を用い、架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルム(3cm×3cm、厚み50μm)のフィルムの変形度合いを目視にて判定する。(例えば、リフロートップピーク(リフロー炉の実測最高温度)を210℃×10sec、240℃×10sec、280℃×10secに設定した。)
耐屈曲性は、プリント配線板の薄肉化にともない、最低でも300回は必要とされている。この試験方法は、試験機(東洋精機製作所製MIT耐揉疲労試験機DA型)を用い、フィルム破断までの回数を求める。試験条件:曲率半径0.38mm、角度135℃、速度175cpm、荷重500gである。
架橋ポリカーボネート樹脂組成物の架橋反応は、通常のラジカル重合、例えば、紫外線、赤外線、電子線、ガンマ線、X線若しくはマイクロ波等の照射、又は有機過酸化物の添加、加熱等により行うことができる。また、他の電離性放射線(ベータ線等)を活用しても良い。電離性とは放射線が物質中を透過してゆくとき、その通り道にある物質を形成している原子から電子をはじき出す作用をいう。これらを一つ以上組み合わせても良い。
電子線などの電離性放射線による架橋反応は、通常、無触媒下で行われ、25〜200μm程度の厚みのフィルムであれば、照射電圧50〜500KV、照射線量100〜400KGy程度で十分架橋反応が進み、所望のフィルムが得られる。
紫外線照射による架橋反応に使用される光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン及びその誘導体の他、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−クロロアントラセン、2−メチルアントラキノン、チオキサントン、ジフェニルジサルファイド、ジメチルジチオカーバメート等が挙げられ、紫外線強度は、通常1〜100mJ/cm2の値が用いられる。
熱重合による架橋反応は、通常120〜260℃、好ましくは120〜200℃で行われる。そして、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾ−ジ−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド等のパーオキシド、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩などが挙げられる。また、上記パーオキシドとナフテン酸コバルト或は芳香族アミンなどのレドックス開始剤等の熱重合開始剤を併せて使用することも可能である。
上記の架橋ポリカーボネート樹脂組成物の架橋反応時間は、架橋方法、使用するエチレン性二重結合を有する単量体の種類、単量体濃度、開始剤の種類などにより異なるため、一概に規定はできない。しかし通常は0.1〜50時間、好ましくは0.1〜25時間である。50時間を超える反応時間の選定は経済的ではない。上記の架橋反応において経済性、反応効率などの点から電子線架橋が特に好ましい。
架橋ポリカーボネート樹脂組成物は、塩化メチレン不溶分率を測定して架橋度を確認することができる。すなわち、塩化メチレン不溶分率が60%以上であり、好ましくは80%以上で、更に好ましくは90%以上ある。60%以上であれば、分子間架橋が十分に進行して耐熱性等の物性が良好になる。一方60%未満では分子間架橋が十分に進行せず、耐熱性等の物性が不良になる。
塩化メチレン不溶分率は次のように求める。架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルム50mgを塩化メチレン100mlに入れて12時間攪拌する。その後、桐山ロートで吸引ろ過し、ろ過物から塩化メチレン可溶物の量(Xmg)を測定し、下記計算にて塩化メチレン不溶分率を算出した。 塩化メチレン不溶分率(%)=(50−X)÷50×100
[添加剤]
本発明の架橋ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、シリコンオイルなどの離型剤、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等を挙げることができる。
熱安定剤は、リン系安定剤が好ましく、このようなリン系安定剤には、例えば、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、ホスフェート化合物などが含まれる。ホスファイト化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
これらの中でもトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
これらの熱安定剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。熱安定剤の含有量(又は添加量)は、前記樹脂組成物全体に対して、例えば、0.001〜0.5重
量%、好ましくは0.005〜0.3重量%程度の範囲であってもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、およびサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−α−クミル)−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
中でも2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましく、さらには2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−メチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヘキシルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヘキシルオキシエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられ、市販品ではチヌビン400、チヌビン1577(チバスペシャルティーケミカル社製)などが挙げられる。中でもチヌビン400が好ましい。
ベンゾオキサジン系の紫外線吸収剤としては、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼンなどが挙げられるが、中でも2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好ましい。
サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤としては、p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルなどが挙げられる。
紫外線吸収剤は、単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。これらの紫外線吸収剤の含有量(又は添加量)は、ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤との合計量を100重量%として、例えば、0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%程度であり、特に好ましくは0.05〜2重量%程度であってもよい。0.01重量%未満では紫外線吸収性能が不十分の場合があり、5重量%を超えると樹脂の色相が悪化することがあるので好ましくない。
離型剤としては、シリコーンオイル、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル等が挙げられ、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。このような離型剤としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートなどが挙げられ、中でもステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましい。離型剤は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
離型剤の配合量(添加量、含有量)は、前記樹脂組成物に対して、例えば、0.01〜2重量%、好ましくは0.015〜0.5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.2重量%程度であってもよい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、また該離型剤が金型汚染を起こすこともないため好ましい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド;熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂;軟質熱可塑性樹脂、例えばエチレン/酢ビ共重合体、ポリエステルエラストマ、エポキシ変性ポリオレフィンを添加することができ、さらに他の充填剤、例えば、タルク、カオリン、ワラストナイト、クレー、シリカ、セリサイト、酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ガラス繊維を添加することができる。
[エレクトロニクス用フィルム]
架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムは、例えば、キャスト法によって作成したフィルム(幅約1m、厚み100〜20μm)を引取速度10m/minのロールtoロールで電子線を照射し得ることが出来る。そしてフィルムは、基板表面に貼り付けられ、電気回路等の電子部品が半田付され配線板となる。この配線板は、電気機器内においてフレキシブルプリント配線板等として使用される。
このエレクトロニクス用フィルムは、デジタルカメラ、ゲーム機、HDD、光ピックアップ、プラズマディスプレイ、携帯電話等に用いられている半田実装可能なフレキシブルプリント配線板やディスプレイ基板に好適に用いられる。
[その他の用途]
本発明の架橋ポリカーボネート樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐半田性240℃以上、屈曲性等の機械的特性に優れるため、電気・電子部品、機械部品、自動車用部品等の工業材料、特に成形品として広範な分野に活用することができる。
本発明の架橋ポリカーボネート樹脂を有する組成物は、耐半田性240℃以上を有し、高度な透明性、屈曲性に優れたエレクトロニクス用フィルムを提供する。
以下実施例により本発明を説明する。実施例において使用した原料及び評価方法は以下のとおりである。配合量に関して表1の単位は重量部である。
1.使用樹脂
各種原料は以下のものを使用した。
・芳香族ポリカーボネート共重合体(ポリマー(1))
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水107740部、48%水酸化ナトリウム水溶液21598部を入れ、ビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフォン(以下“DAL−S”と略称することがある)7407部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)11942部およびハイドロサルファイト30部を溶解した後、塩化メチレン95398部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン10000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール168部および48%水酸化ナトリウム水溶液3085部を加え、乳化後、トリエチルアミン26部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、DAL−SとBPAの比がモル比で25:75のMvが50900、Tgが130℃である白色のポリマー(収率70%)を得た。以下、ここで得られた共重合体を表中「ポリマー(1)」と称する。
・芳香族ポリカーボネート共重合体(ポリマー(2))
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水107740部、48%水酸化ナトリウム水溶液21598部を入れ、ビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフォン(以下“DAL−S”と略称することがある)12346部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と略称することがある)8530部およびハイドロサルファイト40部を溶解した後、塩化メチレン63599部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン10000部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール168部および48%水酸化ナトリウム水溶液3085部を加え、乳化後、トリエチルアミン26部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、DAL−SとBPAの比がモル比で43:57のMvが40000、Tgが117℃である白色のポリマー(収率70%)を得た。以下、ここで得られた共重合体を表中「ポリマー(2)」と称する。
・ポリカーボネート樹脂(ポリマー(3))
帝人化成(株)製 L1225WP Tg:150℃
・ポリカーボネート樹脂(ポリマー(4))
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21540部、48%水酸化ナトリウム水溶液4930部を入れ、エタノール溶液でのb値が3.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)5590部、およびハイドロサルファイト15部を溶解した後、塩化メチレン18889部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン2200部を60分要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、クミルフェノール29部および48%水酸化ナトリウム水溶液705部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.9部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、Mv20800、Tgが250℃である黄白色のポリマーを得た(収率90%)。以下、ここで得られた共重合体を表中「ポリマー(4)」と称する。
・架橋剤(1)
共栄社化学(株)製ライトアクリレートPE−4A
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 固体(25℃)
・架橋剤(2)
新中村化学工業(株)製 NKエステル ATM−4E
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート
150mPa・sの液体(25℃)
・架橋剤(3)
新中村化学工業(株)製 NKエステル A−DCP
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
130mPa・sの液体(25℃)
・架橋剤(4)
新中村化学工業(株)製 NKエステル A−TMPT
トリメチロールプロパントリアクリレート
110mPa・sの液体(25℃)
2.電子線照射試験
各実施例及び比較例でキャスティングすることによりフィルムに、表1に示す条件で電子線を照射した。電子線照射装置:NHVコーポレーション(株)EBC−300−60
ちなみに、電子線照射をコントロールする因子は2つある。一つは線量であり、1KGyは照射される物質1Kgあたり1ジュールのエネルギー吸収があることを意味する。もう一つは、照射電圧である。照射電圧は浸透深さと関連があり、電圧を上昇させると浸透深さは深くなることを意味する。
3.塩化メチレン不溶分率
電子線照射後のフィルム50mgを塩化メチレン100mlに入れ12時間攪拌した。その後、桐山ロートで吸引ろ過し、ろ過物から塩化メチレンを減圧除去し、残った塩化メチレン可溶物の量(Xmg)を測定した。その後、下記計算にて塩化メチレン不溶分率を算出した。 不溶分率(%)=(50−X)÷50×100
4.耐半田性試験
下記の試験機を用い、電子線照射後のフィルム(3cm×3cm、厚み約50μm)を20cm×20cm、厚み約2mmのエポキシ基板にのせ、該フィルムの一辺を耐熱テープで貼り合わせた。該フィルムを貼り合わせたエポキシ基板をリフロー炉のベルトコンベアにのせ炉の中に投入した。その後、リフロー炉の出口から出てきた直後のエポキシ基板上のフィルムの様子を目視にて観察した。
溶融又は変形した時は×。カールした時(エポキシ基板表面とフィルムとの距離が10mm以上離れた時)は△、変形がない時は○。
半田リフロー装置:日本アントム社製UNI−6116G
リフロートップピーク:210℃×10sec、240℃×10sec、
280℃×10sec
5.屈曲試験
下記試験機を用い、電子線照射後のフィルム(1.5cm×10cm、厚み50μm)の破断までの回数を求めた。
試験機:東洋精機製作所製MIT耐揉疲労試験機DA型
試験条件:曲率半径0.38mm、角度135℃、速度175cpm、荷重500g
6.Tg(ガラス転移温度)測定
ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、JIS K7121に規定されている示差走査熱量測定(熱流速DSC)に従い、DSC−2910(TAインストルメント製、商品名:DSC2910)を用いて実施した。測定条件は、加熱速度 20℃/min、窒素流量 40ml/min、測定温度 20℃〜250℃である。
7.ヘイズ測定
ヘイズの測定は、JIS K7136に準拠した。フィルムから5cm×5cm、厚み50μmの試験片を切り出し、日本電色工業(株)製 HazeMeterNDH2000を用いてヘイズを測定した。光源はハロゲンランプ(定格5V9W)、測定開口部は20mmΦである。
8.粘度測定
粘度測定は、JIS K6833(−1980)「接着剤の一般試験方法」の中の粘度測定に準拠し、単一円筒回転粘度計(芝浦システム(株)製)を用いて実施した。測定温度は25℃である。
[実施例1〜3及び比較例1〜9]
表1に記載した組成に基づいて調整したPCサンプルを塩化メチレンに溶かした(ドープ濃度17wt%)。ドープを平坦なガラス板上にキャスティングすることによりフィルム(長さ30cm×幅25cm、厚み50μm)を作った。そして、このフィルムに上記の条件で電子線照射して、架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムを製造した。これを必要な大きさに切断し、塩化メチレン不溶分率、耐半田性試験、屈曲試験、Tg(ガラス転移温度)及びヘイズの測定を行った。評価結果は表1他に示す。また、圧縮成形により5cm×5cm、厚み3mmtの成形片も製造し電子線照射を行った。
実施例1、2、3では、架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルムが耐半田性240℃×10secにおいて電子線照射後のフィルムの変形、溶融は起こらず、高い屈曲性を示した。また、実施例1、2のヘイズ値はともに0.6であり、エレクトロニクス用フィルムとして有用性が確認できた。
一方、架橋剤を過剰量加えた比較例1は、架橋度は上がるものの、屈曲性は非常に悪い。従来の知見で得られる比較例2〜8は、耐半田性240℃において変形が大きく使用に耐えられない。そしてフルオレン骨格を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を用いて電子線照射した比較例9は、フィルムが非常に脆く、必要な大きさに正確に切断するのが非常に困難であった。かろうじて評価したものの耐熱性、屈曲性の面で他に劣っていた。
Figure 2007314718

Claims (19)

  1. (A)下記一般式(1)
    Figure 2007314718
    [一般式(1)中のRはエチレン性二重結合を側鎖に有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数8〜250の、異種原子で中断されてもよい、炭化水素基を表す。]で表される繰返し単位(A1)及び、下記一般式
    Figure 2007314718
    [式中、R2〜R5は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]で表される繰り返し単位(A2)よりなり、全カーボネート繰り返し単位における単位(A1)と単位(A2)の割合がモル比で(A1):(A2)=6:94〜40:60の範囲であって、且つガラス転移温度が120℃以上245℃未満である芳香族ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、
    (B)25℃において粘度が140mPa・s以上の液体である多官能モノマー及び25℃において固体の多官能モノマーからなる群より選ばれた一種以上の架橋剤5〜50重量部を配合したポリカーボネート樹脂組成物を、架橋することにより得られた架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 繰り返し単位(A1)が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(A3)である請求項1記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2007314718
    〔一般式(3)中Xは単結合、−O−,−S−,−SO−,−SO2 −,−CO−,−CR −(ただし、R及びR はそれぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基である)、炭素数3〜12のシクロアルキリデン基、炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、フルオレニリデン基、メンタンジイル基、ピラジリデン基、炭素数6〜12のアリーレン基であり、R 及びR はそれぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基あるいは炭素数6〜24のアリールオキシ基であり、m及びnはそれぞれ独立に0〜6の整数であり、a〜dは整数であり、c+dは1〜8、a+cは4、b+dは4である。〕
  3. 繰り返し単位(A1)が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位(A4)である請求項1記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2007314718
    〔一般式(3)中Xは−SO2 −,−CR −(ただし、R及びR は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基である)、炭素数3〜12のシクロアルキリデン基であり、R 及びR はそれぞれ独立に水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0〜6の整数であり、a〜dは整数であり、c+dは1〜8、a+cは4、b+dは4である。〕
  4. 繰り返し単位(A1)が、下記一般式(5)で表される繰り返し単位(A5)である請求項1記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2007314718
  5. 前記の繰り返し単位(A2)が、下記式(6)で表される繰り返し単位(A6)の少なくとも一種を有するポリカーボネート樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2007314718
    [式中、R〜Rは夫々独立して水素原子または、炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Wは下記式(7)で表される構造単位である。
    Figure 2007314718
    (R10、R11はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表し、R12及びR13が複数ある場合はそれぞれ同一もしくは異なっていてもよく、pは4〜8の整数を表す。)]
  6. 繰り返し単位(A2)が、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)およびα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)からなる群より選ばれた一種以上の化合物から誘導された繰り返し単位である請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 繰り返し単位(A2)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導された繰り返し単位である請求項1〜4のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 架橋剤(B)が、不飽和基を二以上有する多官能モノマーである請求項1〜7のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 不飽和基が、アクリル基、アリル基、ビニル基およびメタクリル基からなる群より選ばれた一種以上の多官能モノマーである請求項8記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 架橋剤(B)が、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレートからなる群より選ばれた一種以上の多官能モノマーである請求項1〜7のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  11. 架橋剤(B)がペンタエリスリトールテトラアクリレートである請求項1〜7のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  12. 架橋方法が、電子線照射、ガンマ線照射、X線照射、紫外線照射および赤外線照射からなる群より選ばれた一種以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  13. 架橋方法が、電子線照射および紫外線照射からなる群より選ばれた一種以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  14. 架橋方法が、電子線照射である請求項1〜11のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  15. 塩化メチレン不溶分率が60%以上である請求項1〜14のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなるフィルム。
  17. 半田耐熱240℃×10sec以上を有する請求項16に記載のエレクトロニクス用フィルム。
  18. 請求項17に記載のエレクトロニクス用フィルムを基板表面に貼り合わせた配線板。
  19. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の架橋ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
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