JP2007313927A - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者により合致した駆動力制御を行なうことが可能な車両用駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段(S109)と、前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段(S109)と、車両の現在の位置を検出する手段(S103)と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段(S104)と、前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに(S105−N)、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段(S108)とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用駆動力制御装置に関し、特に、運転者により合致した駆動力制御を行なうことが可能な車両用駆動力制御装置に関する。
例えば、車両の走行する位置に関する走行環境パラメータに基づいて、車両の駆動力を制御する技術が知られている。ここで、車両の走行する位置に関する走行環境パラメータとは、例えば、コーナー、交差点、T字路、一時停止、踏み切り、自動車専用道路等の料金所、信号、横断歩道、歩行者、自動車専用道路等の退出路や合流路、車線数の減少する地点、道路幅の狭くなる地点、見通し、道路勾配などである。また、駆動力の制御とは、例えば、自動変速機のダウンシフト、自動ブレーキ、回生ブレーキ、電子制御スロットル閉じ制御、自動変速機のアップシフトを遅らせる制御、排気ブレーキなどである。
特開2003−287117号公報(特許文献1)には、変速機のシフト特性を運転者のイメージにより適合させる、自動変速機の制御方法として、以下の技術が知られている。即ち、運転者による介入が予測的介入である場合には、変速機制御部により、来るべき路程の特徴をデータベースからバッファメモリにロードし、自動車の走行状態及び運転者による介入を記述する変数を、介入時点の前後、FIFOバッファの動作時間に相応した期間の間、バッファメモリに記録し、バッファメモリ内で特別な路程特徴を検索し、特別な路程特徴が存在する場合には、シフトロジックに対する入力データを計算し、介入のための分類システムを運転者が要望する特性に適合させ、又は、特別な路程特徴が存在しない場合には、運転者介入を拒絶するよう構成された方法により解決される。
特開2003−287117号公報
例えば、車両の走行する位置に関する走行環境パラメータに基づいて、車両の駆動力を制御する技術において、運転者により合致した駆動力制御が行なわれることが望まれている。
本発明の目的は、運転者により合致した駆動力制御を行なうことが可能な車両用駆動力制御装置を提供することである。
本発明の車両用駆動力制御装置は、車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、車両の現在の位置を検出する手段と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段と、前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段とを備えている。
本発明の車両用駆動力制御装置は、車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値を記憶する手段と、前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、車両の現在の位置を検出する手段と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段と、前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段とを備えたことを特徴としている。
本発明の車両用駆動力制御装置は、車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、車両の現在の位置を検出する手段と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行された回数及び頻度の少なくともいずれか一方を検出する手段と、前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された所定値よりも大きいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段と
を備えたことを特徴としている。
本発明の車両用駆動力制御装置は、車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、車両の現在の位置を検出する手段と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行された回数及び頻度の少なくともいずれか一方を検出する手段と、前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された所定値よりも大きいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段とを備えたことを特徴としている。
本発明の車両用駆動力制御装置において、前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された前記所定値よりも大きい設定値よりも大きいときに、走行性能を重視した駆動力特性とする車両の駆動力制御が許可されることを特徴としている。
本発明の車両用駆動力制御装置において、前記車両の駆動力の制御が実行されたときの運転者の状態、路面状態及び車両周辺状況の少なくともいずれか一つに基づいて、前記今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値が決定されることを特徴としている。
本発明の車両用駆動力制御装置によれば、運転者により合致した駆動力制御を行なうことが可能となる。
以下、本発明の車両用駆動力制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図6を参照して、一実施形態について説明する。
本実施形態は、車両の走行する位置に関する走行環境パラメータに基づいて、車両の駆動力を制御する技術の一例として、コーナーの曲がり度合い(曲率半径、曲率など)に基づいて、自動変速機のダウンシフト制御を行なう技術に関するものである。
本実施形態の車両用駆動力制御装置は、以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段(後述する図1のステップS109)と、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段(同ステップS109)と、車両の現在の位置を検出する手段(同ステップS103)と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段(同ステップS104)と、前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに(同ステップS105−N)、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段(同ステップS108)とを備えている。
本実施形態の車両用駆動力制御装置は、以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段(同ステップS109)と、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段(同ステップS109)と、車両の現在の位置を検出する手段(同ステップS103)と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記以前に車両の駆動力の制御が実行された回数及び頻度の少なくともいずれか一方を検出する手段(同ステップS104)と、前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された所定値よりも大きいときに(同ステップS105−N)、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段(同ステップS108)とを備えている。
本実施形態において、前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された前記所定値よりも大きい設定値よりも大きいときに(同ステップS106−Y)、走行性能を重視した駆動力特性とする車両の駆動力制御が許可される。
本実施形態において、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの運転者の状態、路面状態及び車両周辺状況の少なくともいずれか一つに基づいて(同ステップS107)、前記今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値が決定される。
図3は、本実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、車両のエンジン10の吸気配管には、アクセル操作量センサ52により検出されたアクセルペダル50の操作量に基づいてスロットルアクチュエータ54により駆動されるスロットル弁56が設けられている。
また、エンジン10の回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量Q/Nを検出する吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出する吸入空気温度センサ62、上記スロットル弁56の開度θTHを検出するスロットルセンサ64、出力軸(図示せず)の回転速度NOUT すなわち車速Vを検出する車速センサ66、エンジン10の冷却水温度TW を検出する冷却水温センサ68、ブレーキの作動を検出するブレーキスイッチ70、シフトレバー72の操作位置PSHを検出する操作位置センサ74、入力軸(図示せず)すなわちクラッチC0の回転速度NC0を検出するクラッチC0回転センサ75、油圧制御回路84の作動油温度TOIL を検出する油温センサ77などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE 、吸入空気量Q/N、吸入空気温度TA 、スロットル弁の開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキの作動状態BK、シフトレバー72の操作位置PSH、クラッチC0の回転速度NC0、作動油温度TOIL を表す信号がエンジン用電子制御装置76或いは変速用電子制御装置78に供給されるようになっている。
ナビゲーションシステム装置113は、自車両を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、演算処理装置と、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶された情報記憶媒体と、自立航法により自車両の現在位置や道路状況を検出し、地磁気センサやジャイロコンパス、ステアリングセンサを含む第1情報検出装置と、電波航法により自車両の現在位置、道路状況などを検出するためのもので、GPSアンテナやGPS受信機などを含む第2情報検出装置等を備えている。ナビゲーションシステム装置113から出力される信号は、変速用電子制御装置78に供給されるようになっている。
レーダー114は、車両前部に搭載されたレーザーレーダーセンサ又はミリ波レーダーセンサなどのセンサであり、前方の車両との車間距離を計測する。カメラ116は、車両周辺監視カメラと、車室内カメラを有している。車両周辺監視カメラは、車両の前方道路、道路種類、道路場面、周辺車両等の状況を示す情報を取得するために用いられる。車室内カメラは、同乗者の情報を所得するために用いられる。通信装置117は、車−車間通信や車−センター間通信を行なう。レーダー114、カメラ116、及び通信装置117のそれぞれから出力される信号は、変速用電子制御装置78に供給される。
エンジン用電子制御装置76は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。たとえば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁79を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ80を制御し、アイドルスピード制御のために図示しないバイパス弁を制御し、トラクション制御のためにスロットルアクチュエータ54によりスロットル弁56を制御する。このエンジン用電子制御装置76は、変速用電子制御装置78およびVSC用電子制御装置82と相互に通信可能に接続されており、一方に必要な信号が他方から適宜送信されるようになっている。
図3に示すように、変速用電子制御装置78も、上記と同様のマイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の各電磁弁或いはリニアソレノイド弁を駆動する。たとえば、変速用電子制御装置78は、スロットル弁56の開度θTHに対応した大きさのスロットル圧PTHを発生させるためにリニアソレノイド弁SLT を、アキュム背圧を制御してクラッチツークラッチのシフトを制御するためにリニアソレノイド弁SL1 を、ロックアップクラッチ(図示せず)の係合、解放、スリップ量を制御するためにリニアソレノイド弁SLU を、ブレーキB2を直接制御してクラッチツークラッチのシフトを制御するためにリニアソレノイド弁SL2 をそれぞれ制御する。また、変速用電子制御装置78は、予め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決定し、この決定されたギヤ段および係合状態が得られるように電磁弁S1、S2、S3、S4を駆動し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁SRを駆動する。
また、車両には、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ83、加速度センサ87、舵角センサ85、車輪回転速度センサ86、横加速度センサ89が設けられており、それらのセンサから、車体の鉛直軸まわりの回転角速度(ヨーレート)ωY 、車体の前後方向の加速度G、ステアリングホイールの舵角θW 、4つの車輪の回転速度NW1〜NW4、車体の横方向の加速度Gを表す信号がVSC用電子制御装置82に供給されるようになっている。
道路勾配を計測又は推定する道路勾配計測・推定部118は、変速用電子制御装置78の一部として設けられることができる。道路勾配計測・推定部118は、加速度センサ87により検出された加速度に基づいて、道路勾配を計測又は推定するものであることができる。また、道路勾配計測・推定部118は、平坦路での加速度を予め記憶させておき、実際に加速度センサ87により検出した加速度と比較して道路勾配を求めるものであることができる。
運転指向推定部115は、変速用電子制御装置78の一部として設けられることができる。運転指向推定部115は、運転者の運転状態及び車両の走行状態に基づいて、運転者の運転指向(スポーツ走行指向かノーマル走行指向)を推定する。運転指向推定部115の詳細については更に後述する。なお、運転指向推定部115の構成については、本実施形態において説明する内容に限定されず、運転者の運転指向を推定するものであれば、公知の様々な構成のものを広く含む。ここで、スポーツ走行指向とは、動力性能を重視した指向、加速指向ないしは運転者の操作に対する車両の反応が迅速なスポーツ走行を好むことを意味する。
次に、運転指向推定部115の詳細について説明する。
運転指向推定部115は、複数種類の運転操作関連変数のいずれかの算出毎にその運転操作関連変数が入力されて推定演算が起動されるニューラルネットワークNNを備え、そのニューラルネットワークNNの出力に基づいて車両の運転指向を推定する。
例えば図4に示すように、運転指向推定部115は、信号読込手段96と、前処理手段98と、運転指向推定手段100とを備えている。信号読込手段96は、前記スロットル弁開度64、車速66、エンジン回転速度58、車両加速度G87などの信号を比較的短い所定の周期で読み込む。信号読込手段96により読み込まれた検出信号は、前処理手段98に出力される。
前処理手段98は、信号読込手段96により逐次読み込まれた信号から、運転指向を反映する運転操作に密接に関連する複数種類の運転操作関連変数、すなわち車両発進時の出力操作量(アクセルペダル操作量)すなわち車両発進時のスロットル弁開度TAST、加速操作時の出力操作量の最大変化率すなわちスロットル弁開度の最大変化率ACCMAX 、車両の制動操作時の最大減速度GNMAX、車両の惰行走行時間TCOAST 、車速一定走行時間TVCONST、所定区間内において各センサから入力された信号の区間最大値、運転開始以後における最大車速Vmax 、などをそれぞれ算出する運転操作関連変数算出手段である。運転指向推定手段100は、前処理手段98により運転操作関連変数が算出される毎にその運転操作関連変数が許可されて運転指向推定演算を行うニューラルネットワークNNを備え、そのニューラルネットワークNNの出力である運転指向推定値を出力する。本実施形態では、例えば、ノーマル走行指向の場合の運転指向推定値を0、スポーツ走行指向の場合の運転指向推定値を1とする。
図4の前処理手段98には、車両発進時の出力操作量すなわち車両発進時のスロットル弁開度TASTを算出する発進時出力操作量算出手段98a、加速操作時における出力操作量の最大変化率すなわちスロットル弁開度の最大変化率ACCMAX を算出する加速操作時出力操作量最大変化率算出手段98b、車両の制動操作時の最大減速度GNMAXを算出する制動時最大減速度算出手段98c、車両の惰行走行時間TCOAST を算出する惰行走行時間算出手段98d、車速一定走行時間TVCONSTを算出する車速一定走行時間算出手段98e、例えば3秒程度の所定区間内における各センサからの入力信号のうちの最大値を周期的に算出する入力信号区間最大値算出手段98f、運転開始以後における最大車速Vmax を算出する最大車速算出手段98gなどがそれぞれ備えられている。
上記入力信号区間最大値算出手段98fにおいて算出される所定区間内の入力信号のうちの最大値としては、スロットル弁開度TAmaxt(64)、車速Vmaxt(66)、エンジン回転速度NEmaxt(58) が用いられる。
図4の運転指向推定手段100に備えられたニューラルネットワークNNは、コンピュータプログラムによるソフトウエアにより、或いは電子的素子の結合から成るハードウエアにより生体の神経細胞群をモデル化して構成され得るものであり、例えば図4の運転指向推定手段100のブロック内に例示されるように構成される。
図4において、ニューラルネットワークNNは、r個の神経細胞要素(ニューロン)Xi (X1 〜Xr )から構成された入力層と、s個の神経細胞要素Yj (Y1 〜Ys )から構成された中間層と、t個の神経細胞要素Zk (Z1 〜Zt )から構成された出力層とから構成された3層構造の階層型である。そして、上記入力層から出力層へ向かって神経細胞要素の状態を伝達するために、結合係数(重み)WXij を有して上記r個の神経細胞要素Xi とs個の神経細胞要素Yj とをそれぞれ結合する伝達要素DXij と、結合係数(重み)WYjk を有してs個の神経細胞要素Yj とt個の神経細胞要素Zk とをそれぞれ結合する伝達要素DYjk が設けられている。
上記ニューラルネットワークNNは、その結合係数(重み)WXij 、結合係数(重み)WYjk を所謂誤差逆伝搬学習アルゴリズムによって学習させられたパターン連想型のシステムである。その学習は、前記運転操作関連変数の値と運転指向とを対応させる走行実験によって予め完了させられているので、車両組み立て時では、上記結合係数(重み)WXij 、結合係数(重み)WYjk は固定値が与えられている。
上記の学習に際しては、複数の運転者についてそれぞれスポーツ走行指向、通常走行(ノーマル)指向の運転が例えば高速道路、郊外道路、山岳道路、市街道路などの種々の道路において実施され、そのときの運転指向を教師信号とし、教師信号とセンサ信号を前処理したn個の指標(入力信号)とがニューラルネットワークNNに入力させられる。なお、上記教師信号は運転指向を0から1までの値に数値化し、例えばノーマル走行指向を0、スポーツ走行指向を1とする。また、上記入力信号は−1から+1までの間あるいは0から1までの間の値に正規化して用いられる(本実施形態では、0から1までの間の値に正規化して用いられるとする)。
VSC用電子制御装置82は、上記と同様のマイクロコンピュータであって、VSC制御のために、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、スロットルアクチュエータ54を介してスロットル弁56を駆動するとともに、ハイドロブースタアクチュエータ88に備えられた図示しない電磁弁を駆動して4つの車輪のブレーキ油圧をそれぞれ制御する。このハイドロブースタアクチュエータ88は図示しない制動用油圧回路に組入れられており、必要に応じて4つの車輪の制動力が独立に制御されるようになっている。上記VSC用電子制御装置82も、エンジン用電子制御装置76および変速用電子制御装置78と相互に通信可能に接続されており、一方に必要な信号が他方から適宜送信されるようになっている。
路面μ検出・推定部92は、VSC用電子制御装置82の一部として設けられることができる。路面の摩擦係数μに代表される路面の滑り易さ(低μ路か否か)を検出又は推定する。ここで、低μ路には、悪路(路面の凹凸が大きい場合や路面に段差がある等を含む)が含まれる。即ち、路面μ検出・推定部92では、走行路面の摩擦係数μが演算され、その演算された摩擦係数μが予め定められたしきい値を超えているか否かによって、低μ路か否かが決定される。
路面μ検出・推定部92では、上記に代えて、演算により摩擦係数μの具体的数値を求めることなく、各種条件、例えば、車輪回転速度センサ86により検出された車両の前輪と後輪の回転速度の差に基づいて、路面が低μ路であるか否かを検出することができる。
ここで、路面μ検出・推定部92による低μ路であるか否かの検出・推定の具体的方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、上記の前後の車輪速差の他に、車輪速の変化率や、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やTRS(トラクション・コントロール・システム)やVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)の作動履歴、車両の加速度と車輪スリップ率の関係の少なくともいずれか一つを用いて、低μ路であるか否かの検出・推定を行うことができる。
路面μ検出・推定部92は、将来に走行予定の路面についての情報(ナビ情報など)に基づいて、低μ路であるか否かを予測する。ここで、ナビ情報には、ナビゲーションシステム装置113のように予め記憶媒体(DVDやHDなど)に記録されている路面(例えば非舗装路)の情報の他、車両自体が過去の実走行や他の車両や通信センターとの通信(車車間通信や路車間通信を含む)を介して得た情報(道路状況を示す情報や天候状況を示す情報を含む)が含まれる。その通信には、道路交通情報通信システム(VICS)やいわゆるテレマティクスが含まれる。
図2から図6を参照して、本実施形態で行なわれるコーナー制御の動作を説明する。
図5は、本実施形態の減速制御を説明するためのチャートである。図5には、制御実施境界線Lb、必要減速度401、目標旋回車速Vreq、道路形状上面視、アクセルがOFF(アクセル開度が全閉)とされた地点aが示されている。
[ステップS10]
ステップS10では、変速用電子制御装置78により、スロットルセンサ64からの信号に基づいて、アクセルがOFFの状態(全閉)か否かが判定される。ステップS10の結果、アクセルがOFFの状態であると判定されれば、ステップS20に進む。アクセルが全閉である場合(ステップS10−Y)に、運転者に減速の意図があると判断されて、本実施形態の減速制御が行われる。一方、アクセルがOFFの状態であると判定されなければ、ステップS120に進む。上記のように、図5では、符号aの位置(時点)にてアクセル開度がゼロ(全閉)とされている。
[ステップS20]
ステップS20では、変速用電子制御装置78により、フラグFがチェックされる。その結果、フラグFが0であればステップS30に進み、フラグFが1であればステップS50に進み、フラグFが2であればステップS60に進む。本制御フローが実行されたときに、最初は、フラグFが0であるので、ステップS30に進む。
[ステップS30]
ステップS30では、変速用電子制御装置78により、例えば制御実施境界線Lbに基づいて、本制御の要否が判定される。その判定では、図5において、現在の車速とコーナー402の入口cまでの距離との関係で、制御実施境界線Lbよりも上方に位置すれば、本制御が必要と判定され、制御実施境界線Lbよりも下方に位置すれば、本制御は不要と判定される。ステップS30の判定の結果、本制御が必要と判定された場合には、ステップS40に進み、本制御が不要と判定された場合には、本制御フローはリターンされる。
図5において、横軸は距離を示しており、先方のコーナー402は、地点403から地点404に存在している。そのコーナー402を予め設定された所望の旋回Gで旋回するために、コーナー402の入口cから所定量手前にオフセットされた地点bにおいて、コーナー402の半径(又は曲率)R405に対応した、目標旋回車速Vreqにまで減速されている必要がある。
目標旋回車速Vreqは、例えば、下記式1(理論)に従い算出されることができる。このときに使用する目標旋回横G Gytは、後述する図1の動作に基づいて、可変に設定される。
Figure 2007313927
制御実施境界線Lbは、現在の車速とコーナー402の入口cの手前の地点bまでの距離との関係で、予め設定された通常制動による減速度を超えた減速度が車両に作用しない限り、コーナー402の入口cの手前の地点bにおいて目標旋回車速Vreqに到達できない(コーナー402を目標旋回横G Gytで旋回できない)範囲に対応した線である。即ち、制御実施境界線Lbよりも上方に位置する場合には、コーナー402の入口cの手前の地点bにおいて目標旋回車速Vreqに到達するためには、予め設定された通常制動による減速度を超えた減速度が車両に作用することが必要である。
そこで、制御実施境界線Lbよりも上方に位置する場合には、本実施形態のコーナーRに対応した減速制御が実行されて(ステップS46)、減速度の増大によって、運転者によるブレーキの操作量がなくても、ないしは操作量が相対的に小さくても(フットブレーキを少ししか踏まなくても)、コーナー402の入口cの手前の地点bにおいて目標旋回車速Vreqに到達できるようにしている。
本実施形態の制御実施境界線Lbとしては、従来一般のコーナーRに対応した変速点制御に使用される制御実施境界線がそのまま適用可能である。制御実施境界線Lbは、ナビゲーションシステム装置113から入力した、コーナー402のR405とコーナーまでの距離を示すデータに基づいて、変速用電子制御装置78により作成される。
本実施形態では、図5において、アクセル開度がゼロとされた符号aに対応する時点は、制御実施境界線Lbよりも上方に位置するため、本制御が必要と判定され(ステップS30−Y)、ステップS40に進む。なお、ステップS30では、変速用電子制御装置78がナビゲーションシステム装置113から入力したデータに基づいて、先方にコーナーが無いと判定すれば、本制御は不要と判定される。
[ステップS40]
ステップS40では、変速用電子制御装置78により、上限変速段(ダウンシフトの変速量)が決定される。ここで、上限変速段とは、ダウンシフト後の変速段を意味する。本例では、コーナー402を目標旋回車速Vreqで走行するための必要減速度を算出し、その必要減速度に基づいて、上限変速段が決定されることができる。以下に、必要減速度に基づく上限変速段の決定方法について説明する。
まず、コーナー402の半径Rとコーナー402の入口cの手前の地点bまでの距離Lが求められる。コーナー402の半径Rは、例えばナビゲーションシステム装置113の地図情報により求められることができる。コーナー402の入口cの手前の地点bまでの距離Lは、例えばGPSによる自車の位置情報とナビゲーションシステム装置113の地図情報により求められることができる。
次に、必要減速度Greqxが求められる。必要減速度Greqxは、例えば、下記式2(理論)に従い算出されることができる。
Figure 2007313927
次に、上記で求めた必要減速度Greqxに基づいて、上限変速段が決定される。予め変速用電子制御装置78に、図6に示すようなアクセルOFF時の各変速段の車速毎の減速Gを示す車両特性のデータが登録されている。
ここで、出力回転数が1000[rpm]であり、必要減速度Greqxが−0.12Gである場合を想定すると、図6において、出力回転数が1000[rpm]のときの車速に対応し、かつ必要減速度Greqxの−0.12Gに最も近い減速度となる変速段は、4速であることが判る。これにより、上記例の場合、上限変速段は、4速であると決定される。
また、必要減速度Greqxに最も近い減速度となる変速段を選択する方法としては、以下の方法を用いることができる。自動変速機14の変速による減速度の最大値(最大減速度)は、予め変速用電子制御装置78に格納された最大減速度マップが参照されて求められる。その最大減速度マップには、最大減速度の値が変速の種類(例えば4速→3速、3速→2速のように、変速前の変速段と変速後の変速段の組合わせ)と車速(出力回転数)に基づく値として定められている。その最大減速度マップを参照して、現在の車速と現在の変速段から、必要減速度Greqxに最も近い減速度となる変速段を、上限変速段として決定する。
なお、ここでは、必要減速度Greqxに最も近い減速度となる変速段を上限変速段として選択したが、上限変速段は、必要減速度Greqx以下(又は以上)の減速度であって必要減速度Greqxに最も近い減速度となる変速段を選択してもよい。ステップS40の次にステップS46が行なわれる。
[ステップS46]
ステップS46では、上記ステップS40にて決定された上限変速段への変速指令が出力される。ステップS46の次に、ステップS50が行なわれる。
[ステップS50]
ステップS50では、変速用電子制御装置78により、車両がコーナー402に進入したか否かが判定される(車両の旋回判定)。変速用電子制御装置78は、舵角値や車両の横Gの大きさ等に基づいて、ステップS50の判定を行う。又は、ナビゲーションシステム装置113から入力した、車両の現在位置とコーナー402の入口cの位置を示すデータに基づいて、ステップS50の判定を行う。ステップS50の判定の結果、コーナー402に進入を開始した後であれば、ステップS60に進み、そうでない場合にはステップS100に進む。
本制御フローが実施された最初の段階では、車両はコーナー402に進入していないため(ステップS50−N)、ステップS100に進む。
[ステップS100]
ステップS100でフラグFが1にセットされて、本制御フローはリセットされる。再度の制御フローでは、アクセルが全閉である場合(ステップS10−Y)には、フラグFが1であるので(ステップS20−1)、ステップS50に進み、ステップS50の条件が成立するまで繰り返される。
[ステップS60]
ステップS60では、変速用電子制御装置78により、新たなアップシフト及びダウンシフトが規制される。コーナー402に進入した後のコーナーリング中には、上記ステップS46で出力されたダウンシフト指令に係る変速段よりも相対的に高速用の変速段にアップシフトされることが規制される。通常一般のコーナーに対する変速点制御においても、コーナー進入後のコーナーリング中のアップシフトは禁止されている。また、ダウンシフトに関しても、コーナー402に進入後のコーナーリング中には、上記ステップS46で出力されたダウンシフト指令に係る変速段よりも相対的に低速用の変速段にダウンシフトされることが規制される。コーナーリング中には、減速度の増大を防止し、車両安定性に寄与するためである。ステップS60の次には、ステップS70に進む。
[ステップS70]
ステップS70では、変速用電子制御装置78により、車両がコーナー402を脱出したか否かが判定される。変速用電子制御装置78は、舵角値や車両に作用する横Gに基づいて、車両がコーナー402を脱出したか否かを判定する。又は、ナビゲーションシステム装置113から入力した、車両の現在位置とコーナー402の出口404の位置を示すデータに基づいて、ステップS70の判定を行う。ステップS70の判定の結果、コーナー402を脱出した後であれば、ステップS80に進み、そうでない場合にはステップS110に進む。
本制御フローが実施された最初の段階では、車両はコーナー402を脱出していないため(ステップS70−N)、ステップS110でフラグFが2にセットされて、本制御フローはリセットされる。再度の制御フローでは、アクセルが全閉である場合(ステップS10−Y)には、フラグFが2であるので(ステップS20−2)、新たなアップシフト及びダウンシフトが規制されたままとなり(ステップS60)、ステップS70の条件が成立するまで繰り返される。ステップS70の条件が成立したら(ステップS70−Y)、ステップS80に進む。
[ステップS80]
ステップS80では、変速用電子制御装置78により、シフト規制が解除される。これにより、上記ステップS60にて行われていたアップシフト及びダウンシフトの規制が解除される。ステップS80の次には、ステップS90が行われる。
[ステップS90]
ステップS90では、変速用電子制御装置78により、フラグFが0にセットされる。ステップS90の次には、本制御フローはリセットされる。
[ステップS120]〜[ステップS140]
本実施形態の減速制御が開始される前に(フラグF=0で)、アクセルが非全閉の場合(ステップS10−N)、コーナーリング中であるか否かが判定される(ステップS120)。その判定の結果、コーナーリング中である場合(ステップS120−Y)には、本制御フローはリセットされる。コーナーリング中ではない場合(ステップS120−N)には、シフト規制が解除され(ステップS130)、フラグFがクリアされてリセットされる(ステップS140)。なお、本制御が開始された初期の状態では、シフト規制もされていないしフラグFも0であるのでそのままである。
ステップS50において否定的に判定された場合、又はステップS70において否定的に判定されて肯定的な判定がされるのを待っている間にアクセルが踏まれた場合(ステップS10−N)には、上記ステップS120の判定が行われ、その判定結果に応じて必要な処置がとられる。
上記のように、図2に示される動作に従って、コーナー制御が実行される。上記図2に示される動作に従ってコーナー制御が実施された場合、上限変速段などの各種制御の制御量が、必ずしも道路環境を含む走行環境、車両の走行状況、または運転者の状態に合ったものとはならない場合があり、その場合のコーナー制御は、必ずしも運転者の感覚に合ったものではない。そこで、本実施形態では、以下に図1を参照して説明する動作が行なわれることによって、より運転者の感覚に合った制御を実現することとしている。
図1を参照して、本実施形態の動作を説明する。本実施形態の動作は、コーナー(制御対象地点)の手前で実行される。
[ステップS101]
ステップS101では、運転者の認証が行なわれて、現在の運転者が特定される。現在の運転者に関する情報は、例えば、運転者自身がその情報を車両側に入力するか、免許証の情報がIDカードにおいて磁気データとして格納されている場合には、その免許証の情報により取得されることが可能である。ステップS101の次に、ステップS102が行なわれる。
[ステップS102]
ステップS102では、上記ステップS101により特定された現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの情報(以下、特定走行関連情報)が記憶されているか否かが判定される。
ここで、特定走行関連情報とは、上記特定された現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの走行状態(そのコーナーを旋回したときの車両の実際の横G、または実際の横Gと目標旋回横G Gytとの乖離など)と、そのときの運転者の状態(覚醒度、集中度、運転指向、気分、体調など)と、そのときの路面状態(路面μ、凹凸など)と、そのときの車両周辺状況(前方の車両に追従して走行していたか、それとも単独で走行していたか、自車両の前方の見通し、視界、走行環境の明暗など)と、そのときの日時と、その特定された運転者によるそのコーナーの走行回数と走行頻度等に関する情報である。
車両の実際の横Gは、横加速度センサ89により求められる。
運転者の覚醒度、集中度、気分の情報は、例えば、カメラ(車室内カメラ)116により運転者の視線、顔向きを判断することにより取得することが可能である。運転者の体調の情報は、例えばステアリングに設けられた血圧センサや脈拍センサにより取得することが可能である。運転者の運転指向は、運転指向推定部115により推定される。
路面状態は、路面μ検出・推定部92により検出・推定される。
車両周辺状況は、例えば、通信装置117によるセンターとの通信または車−車間通信や、ナビゲーションシステム装置113や、カメラ(車両周辺監視カメラ)116や、レーダー114を用いて取得されることが可能である。
ステップS102の判定の結果、特定走行関連情報が記憶されている場合には、ステップS103が行なわれ、そうでない場合にはステップS111が行なわれる。
[ステップS103]
ステップS103では、そのコーナー(制御対象地点)の位置情報とともに記憶されている、上記特定走行関連情報(上記ステップS102にて有ると判定された情報)が、そのコーナー(制御対象地点)の手前の予め設定された所定距離の地点において、ロードされる。
ここで、上記特定走行関連情報が制御対象地点の手前の予め設定された所定距離の地点においてロードされる理由は、上記特定走行関連情報が制御対象地点においてロードされたのでは、制御対象地点での制御に使用できないためである。ステップS103の次に、ステップS104が行なわれる。
[ステップS104]
ステップS104では、上記特定された現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの上記特定走行関連情報が記憶された時点から現在までの経過時間(今回の走行時間間隔)を算出し、その今回の走行時間間隔と、上記特定走行関連情報に含まれるその特定された運転者によるそのコーナーの走行回数及び走行頻度とに基づいて、今回記憶すべき今回のそのコーナーの走行に対する走行頻度が算出される。ステップS104の次にステップS105が行なわれる。
[ステップS105]
ステップS105では、上記今回の走行時間間隔が予め設定された所定値よりも長いか、そのコーナーの走行回数が予め設定された所定値よりも少ないか、または、そのコーナーの走行頻度が予め設定された所定値よりも小さいか否かが判定される。その判定の結果、ステップS105が否定的に判定された場合には、ステップS106に進み、そうでない場合にはステップS111に進む。
[ステップS106]
ステップS106では、そのコーナーの走行頻度が予め設定された設定値よりも大きいか否かが判定される。その判定の結果、そのコーナーの走行頻度が予め設定された設定値よりも大きいと判定された場合には、ステップS112に進み、そうでない場合にはステップS107に進む。
[ステップS107]
ステップS107では、上記ステップS102において有ると判定された上記特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況とが、現在の状況と同じであるか否かが判定される。その判定の結果、上記特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況とが、現在の状況と同じであると判定された場合(ステップS107−Y)には、ステップS108に進み、そうでない場合(ステップS107−N)には、ステップS111に進む。
[ステップS108]
ステップS108では、上記ステップS102において有ると判定された上記特定走行関連情報における、前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの走行状態と同じになるように、今回のコーナー制御の制御目標を設定する。本例では、今回のコーナー制御における目標旋回横G Gytを、前回の実際の横Gと同じ値に設定する。ここで、今回のコーナー制御における目標旋回横G Gytを、前回の実際の横Gと同じ値に設定することにより、運転者の感覚に合うコーナー制御が行われる理由について、以下に説明する。
前回のコーナー制御の際に、運転者がそのコーナー制御による車両の減速度に対して満足であり、そのコーナー制御による減速度が車両に作用した後に、運転者がアクセルやブレーキを操作しなかった場合と、運転者がそのコーナー制御による車両の減速度に対して不満足であり、そのコーナー制御による減速度が車両に作用した後に、運転者がアクセルやブレーキを操作した場合と、が考えられる。
前者の場合、即ち、前回のコーナー制御後にアクセルやブレーキの操作がない場合には、前回の実際の横Gは、前回の目標旋回横G Gytと同じとなり、その値で運転者はアクセルやブレーキの操作を必要としていないことから、前回の目標旋回横G Gytがそのまま今回の目標旋回横G Gytとされる。
一方、後者の場合、即ち、前回のコーナー制御後にアクセルやブレーキの操作があった場合には、そのアクセルまたはブレーキの操作の後の実際の横Gで運転者が満足したということなので、今回の目標旋回横G Gytとしては、前回の実際の横Gが用いられる。
即ち、上記前者の場合と後者の場合の両方を考えても、前回のコーナー制御後のアクセルまたはブレーキ操作の有無に関わらずに、前回のコーナー走行時には、前回の実際の横G(アクセルまたはブレーキ操作が無い場合には前回の目標旋回横G Gytと等しい)でコーナーを走行したことに運転者は満足しているはずなので、前回のコーナー制御後のアクセルまたはブレーキ操作の有無に関わらずに、今回の目標旋回横G Gytは、前回の実際の横Gにすればよい。ステップS108の次にステップS109が実行される。
[ステップS109]
ステップS109では、そのコーナー(制御対象地点)を通過して予め設定された所定距離を経過した後に、そのコーナーの位置情報とともに、今回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの上記走行状態と、そのときの上記運転者の状態と、そのときの上記路面状態と、そのときの上記車両周辺状況と、そのコーナー(制御対象地点)の走行回数と、走行頻度等が記憶される。ここで記憶された情報が、次回のコーナー制御における上記特定走行関連情報として用いられる。
[ステップS112]
ステップS112では、走り側の制御への切り換えが許可される。ここで、走り側の制御とは、例えば、走行性能を重視した駆動力特性であり、自動変速機の変速パターンを加速性能を重視したパワーパターンにする制御や、運転指向のスポーツ走行指向に対応した変速パターンに切り換える制御である。そのコーナー(制御対象地点)に対する走行頻度が高く(ステップS106−Y)、その運転者にとってそのコーナーは走り慣れた場所であると考えられるため、走り側の制御への切り換えが許可される。ステップS112の次には、ステップS107が行なわれる。
[ステップS111]
ステップS111では、状況に合わせて、今回のコーナー制御の制御目標が設定される。ここで、「状況に合わせて」とは、ステップS111が行なわれる前の各ステップにおける判定結果・判定内容に応じて、という意味である。
例えば、上記ステップS102の判定の結果、否定的に判定されてステップS111が行なわれる場合、即ち、上記特定走行関連情報が記憶されていない場合には、予め設定された制御量の変更可能範囲の中央値に、今回の制御目標(本例では、目標旋回横G Gyt)が設定される。または、制御量の変更可能範囲の中央値に代えて、より安全サイドの値に、今回の制御目標が設定されることができる。この場合、現在の運転者の状態、路面状態、車両周辺状況が考慮されることができる。
一方、上記ステップS105の判定の結果、肯定的に判定されてステップS111が行なわれる場合、即ち、そのコーナー(制御対象地点)に関する走行時間間隔が予め設定された所定値よりも長く、または、走行回数、及び走行頻度が予め設定された所定値よりも小さいと判定された場合(ステップS105−Y)には、そのコーナー(制御対象地点)が走り慣れていない地点であると考えられるため、前回の実際の横G(または、目標旋回横G Gyt)をそのまま用いることなく、予め設定された制御量の変更可能範囲の中央値に、今回の制御目標(本例では、目標旋回横G Gyt)が設定される(ステップS111)。または、制御量の変更可能範囲の中央値に代えて、より安全サイドの値に、今回の制御目標が設定されることができる。また、この場合、予め設定された制御量の変更可能範囲の中央値を、現在の運転者の状態と路面状態と車両周辺状況を用いて補正した値を、今回のコーナー制御の制御目標として設定することができる(ステップS111)。
一方、上記ステップS107の判定の結果、否定的に判定されてステップS111が行なわれる場合、即ち、上記特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況のいずれかが、現在の状況と同じであると判定されなかった場合には、その判定結果・判定内容に応じて、以下のように制御目標が設定される。
例えば、前回のそのコーナーの走行時に比べて、今回、運転指向が低い(スポーツ走行指向ではなくノーマル走行指向により近い)場合には、前回の目標旋回横G Gytよりも、今回の目標旋回横G Gytを小さな値に設定し、前回に比べて運転指向が高い場合には、前回の目標旋回横G Gytよりも、今回の目標旋回横G Gytを大きな値に設定する。また例えば、前回のそのコーナーの走行時に比べて、今回、路面μが低い場合には、前回の目標旋回横G Gytよりも、今回の目標旋回横G Gytを小さな値に設定し、前回に比べて路面μが高い場合には、前回の目標旋回横G Gytよりも、今回の目標旋回横G Gytを大きな値に設定する。
また例えば、前回に比べて運転指向が低く、かつ路面μが低い場合には、その運転指向と路面μの2つの要素が重なった分だけ、前回の目標旋回横G Gytよりも、今回の目標旋回横G Gytを小さな値に設定する。前回の目標旋回横G Gytからの今回の目標旋回横G Gytの変化量は、例えば、前回と今回の運転指向や路面μの違いの程度に基づいて設定される。
また、上記では、前回コーナー制御が行なわれたときの運転者の状態と路面状態と車両周辺状況が記憶され、それらの運転者の状態と路面状態と車両周辺状況と、現在の運転者の状態と路面状態と車両周辺状況とが同じであるときに(ステップS107−Y)、記憶されている実際の横Gが今回のコーナー制御の制御目標とされた(ステップS108)。しかし、比較の結果、一致していることが要求されるのは、上記3つの要件(運転者の状態、路面状態、車両周辺状況)に限定されない。例えば、それらのうちの一つが記憶され、その一つの要件が一致すればよい。
また、上記のステップS105では、今回の走行時間間隔が予め設定された所定値よりも長いか、そのコーナーの走行回数が予め設定された所定値よりも少ないか、または、そのコーナーの走行頻度が予め設定された所定値よりも小さいか否かの3つの条件が判定され、その判定の結果、上記3つの条件が全て否定された時のみ、ステップS107(ステップS106)の流れに移行した。これに代えて、ステップS105では、上記3つの条件のうち少なくともいずれか1つの条件のみが判定され、その1つの条件が否定された時には、ステップS107(ステップS106)の流れに移行するように構成することができる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの情報(特定走行関連情報)が記憶されており(ステップS101、ステップS102−Y)、そのコーナー(制御対象地点)に関する走行時間間隔が予め設定された所定値よりも短く、かつ、走行回数、及び走行頻度が予め設定された所定値よりも大きい場合(ステップS105−N)には、そのコーナー(制御対象地点)が走り慣れた地点であると考えられるため、
その特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況とが、現在の状況と同じである場合(ステップS107−Y)には、上記特定走行関連情報における、前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの走行状態(本例では、横G)と同じになるように、今回のコーナー制御の制御目標が設定される(ステップS108)。
前回のコーナー制御後のアクセルまたはブレーキ操作の有無に関わらずに、前回のコーナー走行時には、前回の実際の横G(アクセルまたはブレーキ操作が無い場合には前回の目標旋回横G Gytと等しい)でコーナーを走行したことに運転者は満足しているはずなので、特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況とが、現在の状況と同じである場合(ステップS107−Y)には、前回のコーナー制御後のアクセルまたはブレーキ操作の有無に関わらずに、今回の目標旋回横G Gytが前回の実際の横Gと同じ値に設定されれば(ステップS108)、運転者は、前回のコーナー走行時に前回の実際の横Gで走行したときと同様に、今回のコーナー制御に対して満足する可能性が高い。これにより、車両の走行する位置に関する走行環境パラメータ(本例ではコーナー)に基づいて、車両の駆動力を制御する技術において、運転者により合致した駆動力制御が可能となる。
(2)現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの情報(特定走行関連情報)が記憶されており(ステップS101、ステップS102−Y)、そのコーナー(制御対象地点)に関する走行時間間隔が予め設定された所定値よりも長く、または、走行回数、及び走行頻度が予め設定された所定値よりも小さい場合(ステップS105−Y)には、そのコーナー(制御対象地点)が走り慣れていない地点であると考えられるため、予め設定された制御量の変更可能範囲の中央値に、今回の制御目標(本例では、目標旋回横G Gyt)が設定される(ステップS111)。または、制御量の変更可能範囲の中央値に代えて、より安全サイドの値に、今回の制御目標が設定されることができる。この場合、現在の運転者の状態、路面状態、車両周辺状況が考慮されることができる。
また、この場合、予め設定された制御量の変更可能範囲の中央値を、現在の運転者の状態と路面状態と車両周辺状況を用いて補正した値を、今回のコーナー制御の制御目標として設定することができる(ステップS111)。
(3)現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの情報(特定走行関連情報)が記憶されており(ステップS101、ステップS102−Y)、そのコーナー(制御対象地点)に関する走行時間間隔が予め設定された所定値よりも短く、または、走行回数、及び走行頻度が予め設定された所定値よりも大きい場合(ステップS105−N)であって、上記特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況のいずれかが、現在の状況と異なると判定された場合(ステップS107−N)には、そのコーナー(制御対象地点)は走り慣れている地点であると考えられるが、記憶されている運転者状態、路面状態、または車両周辺状況と現在の状況が異なるため、その異なる状況に応じて、上記特定走行関連情報における、前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの走行状態(本例では横G)と異なる値になるように、今回のコーナー制御の制御目標が設定される(ステップS111)。
前回のコーナー制御後のアクセルまたはブレーキ操作の有無に関わらずに、前回のコーナー走行時には、前回の実際の横G(アクセルまたはブレーキ操作が無い場合には前回の目標旋回横G Gytと等しい)でコーナーを走行したことに運転者は満足しているはずなので、特定走行関連情報のうち上記運転者の状態と上記路面状態と上記車両周辺状況のいずれかが、現在の状況と異なる場合(ステップS107−N)には、その異なる状況に応じて、前回のコーナー制御後のアクセルまたはブレーキ操作の有無に関わらずに、今回の目標旋回横G Gytが前回の実際の横Gと異なる値に設定されれば(ステップS111)、運転者は、前回のコーナー走行時に前回の実際の横Gで走行したときと同様に、今回のコーナー制御に対して満足する可能性が高い。
(4)現在の運転者が前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの情報(特定走行関連情報)が記憶されており(ステップS101、ステップS102−Y)、そのコーナー(制御対象地点)に関する走行時間間隔が予め設定された所定値よりも短く、かつ、走行回数、及び走行頻度が予め設定された所定値よりも大きい場合(ステップS105−N)であり、走行頻度が予め設定された設定値よりも大きい場合(ステップS106−Y)には、そのコーナー(制御対象地点)の走行頻度が高く、走り慣れた地点であると考えられるため、自動変速機の変速パターンをパワーパターンに切り換えるなどの走り側の制御への切り換えが許可される(ステップS112)。
以上のように、本実施形態は、以下の技術を開示する。
<1>記憶装置を有し、前方のコーナーを通過する際の目標旋回横Gに基づいて、コーナー進入時の車両の減速度合いを制御する車両用駆動力制御装置において、コーナー走行時の走行状態(目標旋回横G、または目標旋回横Gと実際の横Gの差など)、位置情報と共に、運転者の状態(覚醒度、集中度、運転指向、気分、体調など)と、路面状態(路面μ、凹凸など)と、車両周辺状況(前方の車両に追従して走行していたか、それとも単独で走行していたか、自車両の前方の見通し、視界、走行環境の明暗など)と、日時と、その特定された運転者によるそのコーナーの走行回数、走行頻度(過去所定時間内の走行回数)等に関する情報を記憶しておき、同コーナー走行時の目標旋回横Gの設定に利用する。
なお、上記において、車両の減速度合いの制御手段は、特に限定されず、例えば、変速機のダウンシフト制御、制動装置の自動ブレーキ、変速機とブレーキの協調制御などの各種手段が適用可能である。
<2>そのコーナーに関する記憶された情報が無い場合(ステップS102−N)、または、記憶された前回走行時の日時と今回の走行時の日時から経過時間を算出し、その経過時間が長い場合、走行回数が少ない場合、または走行頻度が低い場合(ステップS105−Y)には、記憶された情報を用いない(ステップS111)。今回の運転者の状態、路面状態、車両周辺状況により安全側の制御目標とすることができる。
<3>経過時間が短く、走行回数も多く、走行頻度も高い場合(ステップS105−N)であって、記憶されている運転者の状態、車両周辺状況、路面状態と今回の運転者の状態、車両周辺状況、路面状態が同じである場合(ステップS107−Y)には、記憶されている走行状態と同じになるように制御目標が決定される(ステップS108)。
<4>また、走行頻度が高い地点では、走り側の制御(変速パターンをパワーパターンに切り換えるなど)への切り換えが許可される(ステップS112)。または、コーナー制御の制御量を走り側に変更可能な状態とされる。
本実施形態によれば、古い記憶された情報に基づいて制御することにより、運転者に違和感を与えることが回避される。走行回数が少なかったり、走行頻度の低い地点で前回安全性の低い運転をしたときの情報に基づいて、今回の制御量が設定されることが回避できるため、安全性が向上する。
例えば、1週間も前の路面状況、運転者の状態、または車両周辺の状況に基づいて、目標旋回横Gが前回の実際の横G(または目標旋回横G)と同じ値に設定されることや、過去に1回だけ走行したことのあるだけの地点で高い目標旋回横Gに設定されてしまうことが回避できる。
上記では、車両の走行する位置に関する走行環境パラメータに基づいて、車両の駆動力を制御する技術の一例として、コーナー制御が説明されたが、本実施形態は、コーナー制御に限定されない。例えば、交差点、T字路、踏み切り、自動車専用道路、自動車専用道路の合流路や退出路や料金所、車線数の減少する地点、道路の幅の狭くなる地点等の車両の走行する位置に基づいて、車両の駆動力を制御する技術が含まれる。
車両の駆動力の制御とは、ダウンシフトや自動ブレーキや電子スロットルの閉じ制御や排気ブレーキ等により減速度を発生される制御の他、合流路等でアップシフトの時期を遅らせたり、電子スロットルを開く制御やダウンシフトを行う制御を行なうことにより、大きな正駆動力を発生させる制御が含まれる。
(第1実施形態の第1変形例)
上記第1実施形態においては、必要減速度Greqxに基づいて、上限変速段が決定された(図2のステップS40)。ここで、必要減速度Greqxに基づいて、上限変速段が求められた場合に不都合が発生する場合がある。以下に説明する。
図7は、車両の現在位置からコーナーの入口までの距離Lと、上記式2に従って求めた必要減速度Greqxとの関係を示している。上記式2によれば、距離Lの項が分母にあることから、たとえ現在の車速Vが目標旋回車速Vreqを僅かにオーバーしているに過ぎない場合であっても、図7に示すように、距離Lが小さいと、必要減速度Greqxは無限大に近づく。そのため、距離Lが小さい領域では、その必要減速度Greqxに基づいて上限変速段を定めると、運転者に違和感を与える場合がある。
図7に示すように、距離Lが相対的に大きい領域では、必要減速度Greqxは本来必要とされる値に対して過大とならないため、その必要減速度Greqxに基づいて上限変速段を定めることに問題がないのに対して、距離Lが小さい領域では、必要減速度Greqxは本来必要とされる値よりも過大な値となるため、その必要減速度Greqxに基づいて上限変速段を定めることは好ましくないことがわかる。即ち、常に上記式2に従って求めた必要減速度Greqxのみで減速制御を行なうことは適当ではなく、距離Lが相対的に小さい領域では、上限変速段を定めるときの基準(必要減速度)が補正される必要がある。本変形例は、この問題点を解決することを主な目的としている。
そこで、第1変形例では、コーナーから遠方でコーナー制御が行われる場合は、コーナーまでの距離に基づいて決定される第1減速度(上記必要減速度Greqxと同じ)を用いて、また、コーナーの近くでコーナー制御が行われる場合は、車両がコーナーに進入したときに予想される横Gに基づいて決定される第2減速度Greqyを用いて、上限変速段を求めることができる。
上記第2減速度Greqyは、下記式3により表される。
Figure 2007313927
上記予想横Gとは、現在の車速Vでコーナーに進入した場合の横Gであり、予想横GをGyfとすると、下記式4により求められる。
Figure 2007313927
本変形例では、横G差ΔGyに基づいて、コーナー進入に際して、車両がどの程度減速すべきなのかの目安をつけることができるという知見を得て、上限変速段を求める際の指標としている。
例えば図8に示すように予め設定された関係(マップ)に従って、横G差ΔGyに基づいて、第2減速度Greqyを求めることができる。この第2減速度GreqyとΔGyとの関係は、予め実験、経験等により設定される。上記第1減速度(上記必要減速度)Greqxは、上記式2に示すように距離Lの項が入ることになり、その結果、距離Lが小さいときには上記第1減速度(上記必要減速度)が過大(無限大)になるという不都合が生じる。そのため、本変形例では、距離Lに依存しないパラメータであって、上限変速段を判断する際の好適な指標となるべきものとして、横G差ΔGyを用いている。
図8に示すように、横G差ΔGyが大きいほど、その車両の走行状態は、コーナーに進入するに際して減速の要請が高いといえることから、第2減速度Greqyが大きな値となるように設定され、その逆に、横G差ΔGyが小さいほど、コーナーへの進入に際して減速の要請が低いことから、第2減速度Greqyが小さな値となるように設定される。また、横G差ΔGyが所定値以下であるときには、第2減速度Greqyは、ゼロとなるように設定される。目標旋回車速Vreqよりも僅かに大きい車速でコーナーに進入したとき(横G差ΔGyが所定値以下であるとき)には、コーナーを問題なく旋回することが可能であるため、このようなときには、第2減速度Greqyが発生しないようにしている。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
上記第1実施形態の図1のステップS108では、前回そのコーナー(制御対象地点)を走行したときの走行状態と同じになるように、今回のコーナー制御の制御目標を設定した。即ち、上記例では、今回のコーナー制御における目標旋回横G Gytを、前回の実際の横Gと同じ値に設定した。
これに対して、第2実施形態では、上記第1実施形態に代えて、ステップS108では、今回のコーナー制御における目標旋回横G Gytを、前回のコーナー制御における目標旋回横G Gytと同じ値とすることができる。また、この場合、ステップS107で否定的に判定された場合のステップS111では、前回のコーナー制御における目標旋回横G Gytを、運転者状態、路面状態、車両周辺状況の記憶された値と現在の値の相違に応じて補正した値を、今回のコーナー制御における目標旋回横G Gytとすることが可能である。
本実施形態の車両用駆動力制御装置は、以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値を記憶する手段と、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、車両の現在の位置を検出する手段と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段と、前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段とを備えている。
本実施形態の車両用駆動力制御装置は、以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、車両の現在の位置を検出する手段と、前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記以前に車両の駆動力の制御が実行された回数及び頻度の少なくともいずれか一方を検出する手段と、前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された所定値よりも大きいときに、前記以前に車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段とを備えている。
(第2実施形態の第1変形例)
上記第1実施形態においては、目標旋回横G Gyt及び必要減速度Greqxに基づいて、上限変速段が決定された(図2のステップS40)。本変形例では、上限変速段の決定に際しては、図9に示すマップが参照される。
図9のマップでは、コーナー402の半径(又は曲率)Rと、道路勾配θRに基づいて、上限変速段が定められる。道路勾配θRは、道路勾配計測・推定部118により求められることができる。
図9は、車両の前方の曲がり道路の曲率半径Rを表す横軸と走行路面の勾配θR を表す縦軸との二次元座標内において、運転操作に対応した複数種類の領域を有するダウンシフト判定マップである。このダウンシフト判定マップでは、第1ダウン変速領域A1 、第2ダウン変速領域A2 、非ダウン変速領域A3が設けられている。ダウンシフト判定マップでは、登坂駆動力或いは降坂時のエンジンブレーキ力が、通常時(コーナー制御のような変速点制御が行われないとき)に用いられる変速線図を用いた自動変速制御による場合に比較して一層得られるように設定されている。
第1ダウンシフト領域A1 は、比較的大きな登坂駆動力(降坂時にはエンジンブレーキ力)を必要とする道路カーブがきつく(曲率半径Rが小さく)且つ路面傾斜θR がきつい(大きい)路面、又は比較的大きなエンジンブレーキを必要とする比較的大きな勾配θR の直線的降坂路に対応するものであって、その曲率半径Rおよび路面傾斜θR を示す点がその領域A1 内にある場合には第3速ギヤ段への変速が判定される。
第2ダウンシフト領域A2 は、中程度の登坂駆動力(降坂時にはエンジンブレーキ力)を必要とする道路カーブが中程度(曲率半径Rが中程度)であり且つ路面傾斜θR も中程度の路面、又は比較的小さな登坂駆動力(降坂時にはエンジンブレーキ力)増量ですむ道路カーブがゆるく(曲率半径Rが比較的大きく)且つ路面傾斜θR も比較的緩い(小さい)路面に対応するものであって、その曲率半径Rおよび路面傾斜θRを示す点がその領域A2 内にある場合は第4速ギヤ段への変速が判定される。
非ダウンシフト領域A3 は、エンジンブレーキ力の増加を必要としない直線的な登坂路或いは緩い降坂路に対応するものであって、曲率半径Rおよび路面傾斜θR を示す点がその領域A3 内にある場合は運転操作状態に拘らずダウンシフトが判定されないためのものである。
いま、コーナー402のコーナーRが中程度の中コーナーであり、道路が緩降坂であるとする。この場合には、図9のダウンシフト判定マップによれば、4速が最適な変速段(上限変速段)であることが示されている。
なお、上記の図9のマップでは、コーナーの大きさと道路勾配に基づいて、上限変速段が求められるとして説明したが、ステップS40では、これに代えて、道路勾配は考慮されずにコーナーの大きさのみに基づいて、上限変速段が求められることができる。
本変形例のステップS108では、今回のコーナー制御における上限変速段を、前回のコーナー制御における上限変速段と同じ値とすることができる。また、この場合、ステップS107で否定的に判定された場合のステップS111では、前回のコーナー制御における上限変速段を、運転者状態、路面状態、車両周辺状況の記憶された値と現在の値の相違に応じて補正した値を、今回のコーナー制御における上限変速段とすることが可能である。
本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の動作を示すフローチャートである。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の他の動作を示すフローチャートである。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の概略構成図である。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の他の概略構成図である。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態のコーナー制御を説明するための図である。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の車速と減速度と変速段の関係を示す図である。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の第1変形例のコーナー入口までの距離と目標減速度Greqxの関係を示す図である。 本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施形態の第1変形例の第2目標減速度Greqyを求めるためのマップを説明するための図である。 本発明の車両用駆動力制御装置の第2実施形態の第1変形例のコーナーの曲がり度合いと路面勾配と目標変速段の関係を説明するための図である。
符号の説明
10 エンジン
14 自動変速機
54 スロットルアクチュエータ
56 スロットル弁
58 エンジン回転速度センサ
60 吸入空気量センサ
62 吸入空気温度センサ
64 スロットルセンサ(スロットル弁開度)
66 車速センサ
68 冷却水温センサ
70 ブレーキスイッチ
72 シフトレバー
74 操作位置センサ
75 クラッチC0回転センサ
76 エンジン用電子制御装置
77 油温センサ
78 変速用電子制御装置
79 燃料噴射弁
80 イグナイタ
82 VSC用電子制御装置
83 ヨーレートセンサ
84 油圧制御回路
85 舵角センサ
86 車輪回転速度センサ
87 加速度センサ(車両加速度G)
88 ハイドロブースタアクチュエータ
89 横Gセンサ
92 路面μ検出・推定部
96 信号読込手段
98 前処理手段
98a 発進時出力操作量算出手段
98b 加速操作時出力操作量最大変化率算出手段
98c 制動時最大減速度算出手段
98d 惰行走行時間算出手段
98e 車速一定走行時間算出手段
98f 入力信号区間最大値算出手段
98g 最大車速算出手段
100 運転指向推定手段
113 ナビゲーションシステム装置
114 レーダー
115 運転指向推定部
116 カメラ
117 通信装置
118 道路勾配計測・推定部
NN ニューラルネットワーク
S1〜S4、SR 電磁弁
SL1、SL2、SLU、SLT リニアソレノイド弁

Claims (6)

  1. 車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、
    前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、
    車両の現在の位置を検出する手段と、
    前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段と、
    前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段と
    を備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  2. 車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値を記憶する手段と、
    前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、
    車両の現在の位置を検出する手段と、
    前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行されたときから今回車両の駆動力の制御が実行されるまでの経過時間を検出する手段と、
    前記経過時間が予め設定された値よりも小さいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段と
    を備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  3. 車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、
    前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、
    車両の現在の位置を検出する手段と、
    前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行された回数及び頻度の少なくともいずれか一方を検出する手段と、
    前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された所定値よりも大きいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段と
    を備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  4. 車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の走行状態を記憶する手段と、
    前記車両の駆動力の制御が実行されたときの車両の位置を記憶する手段と、
    車両の現在の位置を検出する手段と、
    前記車両の現在の位置と同じ位置に関して、前記車両の駆動力の制御が実行された回数及び頻度の少なくともいずれか一方を検出する手段と、
    前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された所定値よりも大きいときに、前記記憶された前記車両の駆動力の制御が実行されたときの制御目標値に基づいて、今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値を決定する手段と
    を備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  5. 請求項3または4に記載の車両用駆動力制御装置において、
    前記回数及び頻度の少なくともいずれか一方が予め設定された前記所定値よりも大きい設定値よりも大きいときに、走行性能を重視した駆動力特性とする車両の駆動力制御が許可される
    ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用駆動力制御装置において、
    前記車両の駆動力の制御が実行されたときの運転者の状態、路面状態及び車両周辺状況の少なくともいずれか一つに基づいて、前記今回車両の駆動力の制御が実行されるときの制御目標値が決定される
    ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009179251A (ja) * 2008-01-31 2009-08-13 Advics Co Ltd 車両の運動制御装置

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