JP2007313686A - 鏡面仕上げ建材 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に付着した指紋が目立たないようにする耐指紋性が高い鏡面仕上げ建材を提供する。
【解決手段】基材1に塗膜2を設けて形成される鏡面仕上げ建材に関する。塗膜2の表面のオレイン酸接触角を15度以下に形成することによって、付着した指紋4を大きく濡れ広がらせて、指紋4が目立たないようにすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】基材1に塗膜2を設けて形成される鏡面仕上げ建材に関する。塗膜2の表面のオレイン酸接触角を15度以下に形成することによって、付着した指紋4を大きく濡れ広がらせて、指紋4が目立たないようにすることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、耐指紋性に優れた鏡面仕上げ建材に関するものである。
建材として、高級感や美観を得るために、表面に光沢塗料を塗装して鏡面仕上げをした鏡面仕上げ建材がある。この鏡面仕上げ建材は表面が光沢のある鏡面に形成されているため、指紋や手垢など人間の手の接触に伴う汚染物が付着すると目立ち易く、美観が損なわれて見苦しくなる。尚、本発明において人間の手の接触に伴う指紋や手垢などの汚染物を「指紋」と記す。
そこで、鏡面仕上げ建材の表面に指紋が付着することを防止するため、あるいは付着した指紋を除去し易くするため、例えば表面に撥油性のフッ素を含有する塗膜を形成する方法などが従来から提案されている。しかし、撥油性のフッ素を含有する塗膜は、指紋の主成分である皮脂を完全にはじくことはできず、実用上有効なレベルの耐指紋性は得られない。また、撥油性の表面においては、指紋が凝集する傾向があり、かえって付着した指紋が目立ったりする場合もある。
一方、表面を親油性にすることによって、指紋の主成分である皮脂を濡れ広がらせて、指紋が目立たなくなるようにする方法がある(特許文献1参照)。例えば、金属やガラスの表面にアクリル等のクリアー塗膜を形成すると、表面の親油性が向上し、耐指紋性はやや向上する。しかしこの方法を、鏡面仕上げ建材に適用しても、指紋が明らかに目立たないようにする実用レベルの耐指紋性を得ることは難しい。
特開2001−35808号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、表面に付着した指紋が目立たないようにする耐指紋性が高い鏡面仕上げ建材を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る鏡面仕上げ建材は、基材に塗膜を設けて形成される鏡面仕上げ建材であって、塗膜の表面のオレイン酸接触角が15度以下であることを特徴とするものである。
この発明によれば、鏡面仕上げ建材の表面を、指紋の主成分である皮脂を構成するオレイン酸の接触角が15度以下に形成することによって、付着した指紋を大きく濡れ広がらせて、指紋が目立たないようにすることができるものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、塗膜の表面のオレイン酸接触角が10度以下であることを特徴とするものである。
この発明によれば、付着した指紋をより濡れ広がらせることができ、指紋が目立たないようにすることができるものである。
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、塗膜の表面にオレイン酸を着滴させて1分間静置させた後のオレイン酸接触角が5度以下であることを特徴とするものである。
この発明によれば、付着した指紋をより濡れ広がらせることができ、指紋が目立たないようにすることができるものである。
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、塗膜は、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01以上0.5以下である樹脂を含有する塗料を基材に塗布して形成されるものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が上記のように低く、耐指紋性に優れた表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項5の発明は、請求項4において、塗料に含有される樹脂は、水酸基価が100以上200以下であることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項6の発明は、請求項4又は5において、塗料に含有される樹脂は、硬化前の重量平均分子量が10000以下のオイルフリーアルキド樹脂であることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項7の発明は、請求項4又は5において、塗料に含有される樹脂は、5%以上50%以下の重量比のオイルフリーアルキド樹脂で変性されたアクリル樹脂であることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項8の発明は、請求項6又は7において、塗料は、請求項6又は7に記載の樹脂に、この樹脂の水酸基の数1に対してアミノ基の数が0.4以上0.95以下となるようにメラミン硬化剤が配合された熱硬化性の塗料であることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項9の発明は、請求項6又は7において、塗料は、請求項6又は7に記載の樹脂に、この樹脂の水酸基の数1に対してイソシアネート基の数が0.4以上0.95以下となるようにイソシアネート硬化剤が配合された熱硬化性あるいは常温硬化性の塗料であることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項10の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、塗膜は、水酸基価が120mgKOH/g以上のアクリル樹脂を含有する塗料を基材に塗布して形成されるものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項11の発明は、請求項10において、塗料は、アクリル樹脂にメラミン硬化剤が、アクリル樹脂の水酸基の数1に対してメラミン硬化剤のアミノ基の数が0.4以上0.95以下となるように配合された熱硬化性アクリルメラミン塗料であることを特徴とするものである。
また請求項12の発明は、請求項10において、塗料は、アクリル樹脂にイソシアネート系硬化剤が、アクリル樹脂の水酸基の数1に対してイソシアネート系硬化剤のアミノ基の数が0.4以上0.95以下となるように配合された熱硬化性アクリルウレタン塗料であることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項13の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、塗膜は、エポキシアクリレートを10重量%以上含む紫外線硬化型塗料を基材に塗布して形成されるものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、オレイン酸の接触角が低く、指紋が濡れ広がり易い表面を鏡面仕上げ建材に形成することができるものである。
また請求項14の発明は、請求項4乃至13のいずれかにおいて、塗料には、HLBが10以上18以下である非イオン系界面活性剤が固形分重量比率で5%以上含有されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、鏡面仕上げ建材の表面に親水性を付与することができ、汗を含む指紋を濡れ広がらせて目立たなくなるようにすることができるものである。
また請求項15の発明は、請求項1乃至14のいずれかにおいて、塗膜は、塗膜表面の全反射測定法赤外分光分析において、C−H伸縮振動に由来する波数2800〜3000cm−1の吸収強度ピーク高さに対するC=O伸縮振動に由来する波数1500〜1900cm−1の吸収強度ピーク高さの比が2以上であることを特徴とするものである。
この発明によれば、塗膜はオレイン酸の接触角が低く、耐指紋性に優れた塗膜であると評価できるものである。
本発明によれば、鏡面仕上げ建材の表面を、指紋の主成分である皮脂を構成するオレイン酸の接触角が15度以下の塗膜で形成することによって、付着した指紋を大きく濡れ広がらせて、指紋が目立たないようにすることができ、耐指紋性が高い鏡面仕上げ建材を得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
鏡面仕上げ建材は、塗装による鏡面仕上げがなされたものであり、例えば図1に示すように、基材1の表面に光沢のある透明な塗膜2を設けることによって形成することができるものである。塗膜2の膜厚は特に制限されるものではないが、10〜200μm程度の範囲が好ましい。またこのように基材1の表面に直接、塗膜2を形成する他に、図2に示すように基材1の表面に突き板や化粧シートなどの化粧材3を貼り、この化粧材3の上に塗膜2を形成するようにしてもよい。基材1は特に限定されるものではなく、例えば、木質ボード、プラスチック板、金属板、ガラス、タイル、石材などを挙げることができるものであり、これらの材質を組み合わせたものでもよい。
そして本発明では、鏡面仕上げ建材の表面を形成するこの塗膜2のオレイン酸接触角を15度以下にすることによって、耐指紋性を付与するようにしたものである。
すなわち、指紋の主成分は皮脂であり、皮脂は中性脂肪(トリグリセリドなど)および中性脂肪が分解した脂肪酸(オレイン酸やパルミチン酸など)からなる。そして皮脂の代表的な成分であるオレイン酸の付着性、ぬれ性や付着時の目立ちやすさが、耐指紋性を左右するものであり、そこで本発明では、塗膜2の表面のオレイン酸接触角を15度以下にすることによって、図1(a)のように塗膜2の表面に指紋4が付着しても、図1(b)のように指紋4を大きく濡れ広がらせることができるものであり、指紋4が目立たないようにして、耐指紋性を高めることができるものである。
塗膜2の表面のオレイン酸接触角が15度を超える場合には、付着した指紋を濡れ広がらせる効果の発現が不十分になり、実用レベルの耐指紋性を得ることは難しい。耐指紋性を高く得るためには、オレイン酸接触角は小さいほど好ましく、オレイン酸接触角が10度以下であることがより好ましい。尚、ここでいうオレイン酸接触角は、水平に配置した塗膜2の表面にオレイン酸の液滴を着滴させた後、5秒後での静止接触角である。本発明ではオレイン酸接触角を15度以下にしたうえに、さらに、オレイン酸を着滴させて1分間静置させた後の表面のオレイン酸接触角が5度以下であることが一層好ましい。このような塗膜2の表面は、オレイン酸が拡張ぬれを起こすような表面であり、指紋による汚れが目立たなくなる効果が非常に大きくなるものである。
そして本発明において、基材1に塗料を塗布して上記のようなオレイン酸接触角を有する塗膜2を形成するために、塗料として、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01以上0.5以下である樹脂を膜形成成分として含有するものを用いるものである。ここで、樹脂の主骨格とは、樹脂を構成する高分子の主鎖であって側鎖を含まないものをいうものであり、また炭素原子に対する酸素原子の組成比とは、炭素原子の数に対する酸素原子の数の比をいうものである。
樹脂の主骨格は主として炭素原子から構成されるが、電気陰性度の高い酸素原子をこの主骨格に一定の割合で含むことにより、主骨格に酸素原子を含まない樹脂によって形成される塗膜に比して、表面自由エネルギーが高い塗膜を形成することができるものであり、このため、塗膜表面に液体が接触した際に濡れ広がりが生じ易くなるものである。特に主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01以上0.5以下である樹脂で形成される塗膜は、極性がオレイン酸の極性に近似したものとなり、オレイン酸と接触した際の界面自由エネルギーが小さくなるために、さらにオレイン酸が濡れ広がり易くなるものである。
ここで、樹脂の主骨格に該当しない側鎖に含まれる酸素原子は、樹脂が硬化した後も側鎖がある程度の分子内運動の自由度を有するため、表面自由エネルギーを最小にしようとする働きから塗膜の内部方向へと配向することにより、塗膜の表面の極性や表面自由エネルギーへの寄与が小さい。一方、樹脂の主骨格に含まれる酸素原子は、硬化後は自由な分子内運動を行えないため、塗膜の表面の極性や表面自由エネルギーに大きく寄与するものである。
樹脂の主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01未満の場合、形成される塗膜の表面自由エネルギーが低く、さらにオレイン酸と接触した際の界面自由エネルギーが大きくなるため、オレイン酸の接触角を15度以下にすることは難しい。逆に、樹脂の主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.5を超える場合、形成される塗膜の極性が高過ぎるため、オレイン酸の極性との乖離が大きくなり、オレイン酸と接触した際の界面自由エネルギーが大きくなって、この場合もオレイン酸の接触角を15度以下にすることは難しい。このため、皮脂を主成分とする指紋を濡れ広がらせて、指紋が目立ち難くなる耐指紋性を有する塗膜2を得るために、塗料として、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01以上0.5以下である樹脂を含有するものを用いるものである。
上記のような樹脂としては特に限定されるものではないが、例えば、アルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、オイルフリーアルキド変性アクリル樹脂、アルキド変性アクリル樹脂、ポリエーテル変性アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。またこれらの樹脂を、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01以上0.5以下となる条件下で、任意の配合比率でブレンドしてもよい。
これらの中でも、硬化前の重量平均分子量が10000以下であるオイルフリーアルキド樹脂が好ましい。オイルフリーアルキド樹脂は油脂成分等を含まない純アルキド樹脂(ポリエステル樹脂の一種)であり、エステル結合として主骨格に酸素原子を有するものである。重量平均分子量の下限は特に限定されるものではないが、塗膜強度を得るために、重量平均分子量は1000以上であることが望ましい。また、5%以上50%以下の重量比のオイルフリーアルキド樹脂で変性されたアクリル樹脂も好ましい。これらオイルフリーアルキド樹脂や、オイルフリーアルキド変性アクリル樹脂を膜形成成分として含有する塗料を用いて塗膜2を形成することによって、指紋による汚れが目立たなくなる効果を顕著に高く得ることができ、また耐久性や耐薬品性にも優れた塗膜2を得ることができるものである。
また、塗料に膜形成成分として含有される樹脂は、水酸基価が100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがより望ましい。樹脂の水酸基価が100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である場合、形成される塗膜2の極性がオレイン酸の極性に近似したものとなり、オレイン酸と接触した際の界面自由エネルギーが小さくなるために、オレイン酸がより濡れ広がり易くなるものである。
塗料に含有される樹脂として上記のようにオイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂を用いる場合、これにメラミン硬化剤を配合して、熱硬化性オイルフリーアルキドメラミン塗料や熱硬化性オイルフリーアルキド変性アクリルメラミン塗料として使用することができる。メラミン硬化剤としてはメラミン樹脂などを用いることができるが、メラミン硬化剤の配合量は、オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基の数を1とすると、メラミン硬化剤のアミノ基の数が0.4以上、0.95以下となるように設定するのが好ましい。
上記の配合量のメラミン硬化剤でオイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂を硬化させて形成される塗膜2には、硬化後も硬化反応に使用されなかった水酸基が塗膜内部に残留するものであり、この水酸基によって塗膜2の表面自由エネルギーが高くなって、塗膜2の表面に液体が接触した際に液体がより濡れ広がり易くなるので、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基数に対するメラミン硬化剤のアミノ基の数が0.4未満の場合、水酸基が過剰に残留するために塗膜2の耐水性が低下するおそれがあり、また架橋密度が低下するために指紋の成分が塗膜2中に浸透する場合があって、逆に耐指紋性が大きく低下するおそれがある。オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基数に対するメラミン硬化剤のアミノ基の数が0.95を超える場合は、残留する水酸基が少なくなるので、上記のようなオレイン酸の接触角を低下させる効果を高く得ることが難しくなる。
また、オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂にイソシアネート系硬化剤を配合して、熱硬化性あるいは常温硬化性のオイルフリーアルキドウレタン塗料やオイルフリーアルキド変性アクリルウレタン塗料として使用することもできる。イソシアネート系硬化剤としてはMDIやTDI等のイソシアネート樹脂などを用いることができるが、イソシアネート系硬化剤の配合量は、オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基の数を1とすると、イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基の数が0.4以上、0.95以下となるように設定するのが好ましい。
上記の配合量のイソシアネート系硬化剤でオイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂を硬化させて形成される塗膜2には、硬化後も硬化反応に使用されなかった水酸基が塗膜2内部に残留するものであり、この水酸基によって塗膜2の表面自由エネルギーが高くなって、塗膜2の表面に液体が接触した際に液体がより濡れ広がり易くなるので、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基数に対するイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基の数が0.4未満の場合、水酸基が過剰に残留するために塗膜2の耐水性が低下するおそれがあり、また架橋密度が低下するために指紋の成分が塗膜2中に浸透する場合があって、逆に耐指紋性が大きく低下するおそれがある。オイルフリーアルキド樹脂やオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基数に対するイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基の数が0.95を超える場合は、残留する水酸基が少なくなるので、上記のようなオレイン酸の接触角を低下させる効果を高く得ることが難しくなる。
本発明において、塗料に塗膜形成成分として含有される樹脂には、水酸基価が120mgKOH/g以上のアクリル樹脂を用いることもできる。水酸基価が120mgKOH/g以上のアクリル樹脂によって形成される塗膜2の内部には、極性の高い水酸基やエステル基などの水酸基誘導体が多く存在するものであり、特に後述のようにイソシアネート硬化剤で硬化させる場合、極性の高い水酸基あるいはエステル基やウレタン基などの水酸基誘導体が多く存在するものであり、塗膜2の表面自由エネルギーが高くなる。このため、塗膜2の表面に液体が接触した際に液体がより濡れ広がり易くなり、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。アクリル樹脂の水酸基価の上限は特に限定されるものではないが、実用上、300mgKOH/g程度が水酸基価の上限である。
塗料に含有される樹脂としてこのようにアクリル樹脂を用いる場合、アクリル樹脂にメラミン硬化剤を配合して、熱硬化性アクリルメラミン塗料として使用することができる。メラミン硬化剤としてはメラミン樹脂などを用いることができるが、メラミン硬化剤の配合量は、アクリル樹脂の水酸基の数を1とすると、メラミン硬化剤のアミノ基の数が0.4以上、0.95以下となるように設定するのが好ましい。
上記の配合量のメラミン硬化剤でアクリル樹脂を硬化させて形成される塗膜2には、硬化後も硬化反応に使用されなかった水酸基が塗膜2内部に残留するものであり、この水酸基によって塗膜2の表面自由エネルギーが高くなって、塗膜2の表面に液体が接触した際に液体がより濡れ広がり易くなるので、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。アクリル樹脂の水酸基数に対するメラミン硬化剤のアミノ基の数が0.4未満の場合、水酸基が過剰に残留するために塗膜2の耐水性が低下するおそれがあり、また架橋密度が低下するために指紋の成分が塗膜2中に浸透する場合があって、逆に耐指紋性が大きく低下するおそれがある。アクリル樹脂の水酸基数に対するメラミン硬化剤のアミノ基の数が0.95を超える場合は、残留する水酸基が少なくなるので、上記のようなオレイン酸の接触角を低下させる効果を高く得ることが難しくなる。
また、アクリル樹脂にイソシアネート系硬化剤を配合して、熱硬化性あるいは常温硬化性のアクリルウレタン塗料として使用することもできる。イソシアネート系硬化剤としてはMDIやTDI等のイソシアネート樹脂などを用いることができるが、イソシアネート硬化剤の配合量は、アクリル樹脂の水酸基の数を1とすると、イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基の数が0.4以上、0.95以下となるように設定するのが好ましい。
上記の配合量のイソシアネート系硬化剤でアクリル樹脂を硬化させて形成される塗膜2には、硬化後も硬化反応に使用されなかった水酸基が塗膜2内部に残留するものであり、この水酸基によって塗膜2の表面自由エネルギーが高くなって、塗膜2の表面に液体が接触した際に液体がより濡れ広がり易くなるので、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。アクリル樹脂の水酸基数に対するイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基の数が0.4未満の場合、水酸基が過剰に残留するために塗膜2の耐水性が低下するおそれがあり、また架橋密度が低下するために指紋の成分が塗膜2中に浸透する場合があって、逆に耐指紋性が大きく低下するおそれがある。アクリル樹脂の水酸基数に対するイソシアネート系硬化剤のイソシアネート基の数が0.95を超える場合は、残留する水酸基が少なくなるので、上記のようなオレイン酸の接触角を低下させる効果を高く得ることが難しくなる。
また本発明において塗料として、エポキシアクリレートを10重量%以上含む紫外線硬化型樹脂塗料を用いることもできる。このようにエポキシアクリレートを10重量%以上含む紫外線硬化型塗料を用いることによって、エポキシアクリレートがその分子あるいはオリゴマー中に反応に関与しない水酸基を含有するため、塗料の硬化後も硬化反応に使用されなかった水酸基が塗膜2内部に残留し、塗膜2の表面自由エネルギーが高くなる。このため、塗膜2の表面に液体が接触した際に液体がより濡れ広がり易くなり、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。エポキシアクリレートの含有量の上限は特に限定されるものではなく、数パーセント含有される光重合開始剤以外の全量をエポキシアクリレートが占める配合に紫外線硬化型塗料を調製することも可能である。
さらに、本発明において塗料には、HLBが10以上18以下である非イオン系界面活性剤を含有させることが好ましい。このような非イオン系界面活性剤を含有する塗料で形成した塗膜2は、親水性が顕著に向上する。指紋は汗を含むため、水分の付着性や濡れ性も耐指紋性を左右するものであり、指紋を濡れ広がらせることによって指紋による汚れが目立たなくなる効果を発現させるには、塗膜2の表面は親水性が高い方がより望ましいのである。非イオン系界面活性剤のHLBが10未満の場合、非イオン系界面活性剤は極性成分が小さいために、親水性を向上させる効果を十分に得ることができない。逆にHLBが18を超える場合は、形成される塗膜2の耐水性が著しく低下するものである。塗料中の非イオン系界面活性剤の含有量は、固形分重量比率で5%以上であることが好ましい。非イオン系界面活性剤の固形分重量比率が5%未満の場合、上記のような親水性を十分に発現させることが難しくなるものである。塗料中の非イオン系界面活性剤の含有量の上限は特に限定されないが、実用上、固形分重量比率で20%が上限である。
このようなHLBが10以上18以下である非イオン系界面活性剤としては特に限定されるものでないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを挙げることができる。
塗膜2を形成する塗料には、上記の各成分の他に、耐指紋性の向上以外の塗料や塗膜として求められる性能を発現するために各種の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、溶剤、硬化剤、顔料、レベリング剤、湿潤剤、防腐剤などを挙げることができる。
基材1に塗膜2を形成するために上記の塗料を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコーター、バーコーター、刷毛塗り、静電塗装などの任意の方法を使用することができる。
また基材1に塗布した塗料を硬化する方法についても特に限定されるものではなく、例えば、溶剤の揮発によって硬化させる方法、メラミンやイソシアネートなどの架橋性の硬化剤を用いて熱硬化させる方法、紫外線重合開始剤を添加して紫外線照射により硬化させる方法や、電子線照射によって硬化させる方法などを挙げることができる。
上記のようにして表面のオレイン酸接触角が15度以下である塗膜を形成することができるが、塗膜を表面を全反射測定法赤外分光分析した際に、C−H伸縮振動に由来する波数2800〜3000cm−1の吸収強度ピーク高さに対するC=O伸縮振動に由来する波数1500〜1900cm−1の吸収強度ピーク高さの比が2以上であることが望ましい。このような塗膜は、電気陰性度の高い酸素原子を多く含有するものであり、塗膜の表面自由エネルギーが高く、このため、塗膜表面に液体が接触した際に濡れ広がりが生じ易くなり、オレイン酸の接触角を低下させて、耐指紋性を高めることができるものである。この吸収ピーク高さの比の上限は特に限定されるものではないが、実用上の上限は10程度である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.4、硬化前の重量平均分子量が4000、水酸基価が130mgKOH/gであるオイルフリーアルキド樹脂に、このオイルフリーアルキド樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のオイルフリーアルキドメラミン塗料を得た。
主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.4、硬化前の重量平均分子量が4000、水酸基価が130mgKOH/gであるオイルフリーアルキド樹脂に、このオイルフリーアルキド樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のオイルフリーアルキドメラミン塗料を得た。
そして基材として厚み2mmで10cm角のガラス板を用い、その表面に#20のバーコーターで上記の塗料を塗布し、150℃で20分間加熱して塗料を硬化させることによって、膜厚20μmの塗膜を形成し、耐指紋性付与鏡面仕上げ建材の表面を評価するためのサンプルを得た。
(実施例2)
アクリル樹脂を重量比30%のオイルフリーアルキド樹脂で変性することにより、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.07、水酸基価が110mgKOH/gのオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂を得た。そしてこのオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂に、このオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のオイルフリーアルキド変性アクリルメラミン塗料を得た。
アクリル樹脂を重量比30%のオイルフリーアルキド樹脂で変性することにより、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.07、水酸基価が110mgKOH/gのオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂を得た。そしてこのオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂に、このオイルフリーアルキド変性アクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のオイルフリーアルキド変性アクリルメラミン塗料を得た。
そして実施例1と同様にガラス板にこの塗料を塗布して熱硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
(実施例3)
実施例1で得た熱硬化性のオイルフリーアルキドメラミン塗料に、HLBが15.3のポリオキシエチレンラウリルエーテルを固形分重量比で10%添加することにより、熱硬化性の非イオン系界面活性剤含有オイルフリーアルキドメラミン塗料を得た。
実施例1で得た熱硬化性のオイルフリーアルキドメラミン塗料に、HLBが15.3のポリオキシエチレンラウリルエーテルを固形分重量比で10%添加することにより、熱硬化性の非イオン系界面活性剤含有オイルフリーアルキドメラミン塗料を得た。
そして実施例1と同様にガラス板にこの塗料を塗布して熱硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
(実施例4)
実施例1と同じオイルフリーアルキド樹脂に、このオイルフリーアルキド樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が0.8となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のオイルフリーアルキドメラミン塗料を得た。
実施例1と同じオイルフリーアルキド樹脂に、このオイルフリーアルキド樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が0.8となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のオイルフリーアルキドメラミン塗料を得た。
そして実施例1と同様にガラス板にこの塗料を塗布して熱硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
(実施例5)
実施例1と同じオイルフリーアルキド樹脂に、このオイルフリーアルキド樹脂の水酸基1に対してイソシアネート基の数が0.8となる配合量で、イソシアネート基を有するイソシアネート樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、常温硬化性のオイルフリーアルキドウレタン塗料を得た。
実施例1と同じオイルフリーアルキド樹脂に、このオイルフリーアルキド樹脂の水酸基1に対してイソシアネート基の数が0.8となる配合量で、イソシアネート基を有するイソシアネート樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、常温硬化性のオイルフリーアルキドウレタン塗料を得た。
そして基材として厚み2mmで10cm角のガラス板を用い、その表面に#20のバーコーターで上記の塗料を塗布し、常温で24時間放置して塗料を硬化させることによって、膜厚20μmの塗膜を形成し、耐指紋性付与鏡面仕上げ建材の表面を評価するためのサンプルを得た。
(実施例6)
水酸基価が140mgKOH/gのアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のアクリルメラミン塗料を得た。
水酸基価が140mgKOH/gのアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のアクリルメラミン塗料を得た。
そして実施例1と同様にガラス板にこの塗料を塗布して熱硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
(実施例7)
実施例6と同じアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が0.8となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のアクリルメラミン塗料を得た。
実施例6と同じアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が0.8となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のアクリルメラミン塗料を得た。
そして実施例1と同様にガラス板にこの塗料を塗布して熱硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
(実施例8)
実施例6と同じアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してイソシアネート基の数が0.8となる配合量で、イソシアネート基を有するイソシアネート樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、常温硬化性のアクリルウレタン塗料を得た。
実施例6と同じアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してイソシアネート基の数が0.8となる配合量で、イソシアネート基を有するイソシアネート樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、常温硬化性のアクリルウレタン塗料を得た。
そして実施例5と同様にガラス板にこの塗料を塗布して常温硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
(実施例9)
ビスフェノールA型エポキシアクリレート30重量部、メタクリル酸メチルモノマー68重量部、光重合開始剤ベンゾイン2重量部を混合して、紫外線硬化型塗料を得た。
ビスフェノールA型エポキシアクリレート30重量部、メタクリル酸メチルモノマー68重量部、光重合開始剤ベンゾイン2重量部を混合して、紫外線硬化型塗料を得た。
そして基材として厚み2mmで10cm角のガラス板を用い、その表面に#20のバーコーターで上記の塗料を塗布し、80W/cmの水銀灯で紫外線を10秒間照射することによって、膜厚20μmの塗膜を形成し、耐指紋性付与鏡面仕上げ建材の表面を評価するためのサンプルを得た。
(比較例1)
主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0、水酸基価が100mgKOH/gであるアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のアクリル塗料を得た。
主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0、水酸基価が100mgKOH/gであるアクリル樹脂に、このアクリル樹脂の水酸基1に対してアミノ基の数が1.2となる配合量で、アミノ基を有するブチルメラミン樹脂を架橋性硬化剤として配合し、これをキシレンおよびブチルセロソルブを溶剤として混合することによって、熱硬化性のアクリル塗料を得た。
そして実施例1と同様にガラス板にこの塗料を塗布して熱硬化させることによって、表面評価用サンプルを得た。
実施例1〜9及び比較例1で得た表面評価用サンプルを用い、塗膜のオレイン酸静止接触角と、水静止接触角、耐指紋性を測定し、全反射測定法赤外分光分析を行なってピーク高さ比を求めた。
オレイン酸静止接触角は、塗膜の表面に0.3mgのオレイン酸の液滴を着滴させた後5秒後の接触角を接触角計(協和界面(株)製「CA−DT」)を用いて測定した。また0.3mgのオレイン酸の液滴を着滴させた後、1分間放置した後の接触角についても同様に測定した。
また水静止接触角は、塗膜の表面に0.3mgの水滴を着滴させた後5秒後の接触角を接触角計(協和界面(株)製「CA−DT」)を用いて測定した。
耐指紋性については、塗膜の表面に指紋を付着させた後、任意の入射角(受光面の法線が光の方向に対してなす角)で白色蛍光灯を光源とする光を指紋にあて、その正反射光を観察した際に、指紋を目視で確認できるようになる入射角の値によって評価を行った。耐指紋性が良好な場合は、指紋を目視で確認できる入射角の値が大きくなる。
全反射測定法赤外分光分析におけるピーク高さ比については、形成された塗膜表面の赤外分光スペクトルをフーリエ変換赤外分光分析装置((株)パーキンエルマージャパン製の「Spectrum One」および「Universal ATR SamplingAccessory」)を用いて全反射測定法(ATR法)にて測定し、C−H伸縮振動に由来する波数2800〜3000cm−1の吸収強度ピーク高さに対するC=O伸縮振動に由来する波数1500〜1900cm−1の吸収強度ピーク高さの比を算出した。
表1にみられるように、各実施例のものはいずれも比較例1に比べて、オレイン酸の接触角が小さく、また指紋を目視で確認できるようになる入射角が小さく、耐指紋性が優れていることが確認される。また、界面活性剤を配合した実施例3では表面の親水性が高まり、耐指紋性がより向上することが確認される。
1 基材
2 塗膜
4 指紋
2 塗膜
4 指紋
Claims (15)
- 基材に塗膜を設けて形成される鏡面仕上げ建材であって、塗膜の表面のオレイン酸接触角が15度以下であることを特徴とする耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗膜の表面のオレイン酸接触角が10度以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗膜の表面にオレイン酸を着滴させて1分間静置させた後のオレイン酸接触角が5度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗膜は、主骨格における炭素原子に対する酸素原子の組成比が0.01以上0.5以下である樹脂を含有する塗料を基材に塗布して形成されるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料に含有される樹脂は、水酸基価が100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項4に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料に含有される樹脂は、硬化前の重量平均分子量が10000以下のオイルフリーアルキド樹脂であることを特徴とする請求項4又は5に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料に含有される樹脂は、5%以上50%以下の重量比のオイルフリーアルキド樹脂で変性されたアクリル樹脂であることを特徴とする請求項4又は5に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料は、請求項6又は7に記載の樹脂に、この樹脂の水酸基の数1に対してアミノ基の数が0.4以上0.95以下となるようにメラミン硬化剤が配合された熱硬化性の塗料であることを特徴とする請求項6又は7に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料は、請求項6又は7に記載の樹脂に、この樹脂の水酸基の数1に対してイソシアネート基の数が0.4以上0.95以下となるようにイソシアネート硬化剤が配合された熱硬化性あるいは常温硬化性の塗料であることを特徴とする請求項6又は7に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗膜は、水酸基価が120mgKOH/g以上のアクリル樹脂を含有する塗料を基材に塗布して形成されるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料は、アクリル樹脂にメラミン硬化剤が、アクリル樹脂の水酸基の数1に対してメラミン硬化剤のアミノ基の数が0.4以上0.95以下となるように配合された熱硬化性の塗料であることを特徴とする請求項10に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料は、アクリル樹脂にイソシアネート系硬化剤が、アクリル樹脂の水酸基の数1に対してイソシアネート系硬化剤のアミノ基の数が0.4以上0.95以下となるように配合された熱硬化性あるいは常温硬化性の塗料であることを特徴とする請求項10に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗膜は、エポキシアクリレートを10重量%以上含む紫外線硬化型塗料を基材に塗布して形成されるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗料には、HLBが10以上18以下である非イオン系界面活性剤が固形分重量比率で5%以上含有されていることを特徴とする請求項4乃至13のいずれか一項に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
- 塗膜は、塗膜表面の全反射測定法赤外分光分析において、C−H伸縮振動に由来する波数2800〜3000cm−1の吸収強度ピーク高さに対するC=O伸縮振動に由来する波数1500〜1900cm−1の吸収強度ピーク高さの比が2以上であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の耐指紋性付与鏡面仕上げ建材。
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-
2006
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