JP2007311277A - 有機el素子 - Google Patents

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陽一 大里
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正典 吉田
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Abstract

【課題】基板とは反対側の面から発光を取り出すトップエミッションタイプの有機EL素子において、高い発光強度を維持しつつ、干渉効果による発光スペクトルの変化を小さくする。
【解決手段】基板1と、該基板1上に積層された、下部電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、上部電極6、及び透明保護層7を有する。透明保護層7の光取り出し側面が空気との界面となっている。透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaを、5nm以上30nm以下に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光取り出し側に透明保護層を有する有機EL素子、並びにこれを用いた有機EL素子アレイ及び有機EL表示装置に関する。
近年、有機EL素子をディスプレイに応用する研究開発が盛んに行われている。ところで、有機EL素子を構成する有機EL材料は、少量の水分により素子特性が劣化する。このため、吸湿材料(ゲッター)を封入した金属の缶型基板を重ねるとともに、基板周りを接着材でシールすることにより、素子内部に水分を浸入させないようにした封止構造のパネルが製品化されている。
また、有機EL素子を用いたディスプレイにおいて、さらにパネルを薄型化するための技術開発が進んでいる。例えば、素子基板側から発光を取り出すトップエミッションタイプの素子に関する提案がなされているが、これらの素子では上部電極上に、水分透過率の小さい無機材料、あるいは高分子材料からなる保護層を設けて水分を遮断している。
例えば、光透過性基板上に、陽極、有機EL層、陰極、有機塗布膜、及びSiON膜を形成した有機EL素子が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された技術では、SiON膜はバリア性の高い膜にする必要があるためイオンプレーティング法を用いて成膜され、その平均面粗さRaが0.15nmに設定され、最大高低差が15nmに設定されている。
特開2005−34831号公報
ところで、有機EL素子の保護層について十分な防湿性を確保するためには、保護層の厚さを数百乃至数千nmとする必要がある。有機材料の保護層は吸湿性を有するため、通常の場合、無機材料からなる保護層が用いられる。金属電極上に保護層が設けられたボトムエミッションタイプの有機EL素子では、保護層を光が透過することがないので、保護層の厚さによる光学的な影響は問題にならない。ところが、透明電極上に保護層が設けられたトップエミッションタイプの有機EL素子では、素子内部における光の干渉があり、透明保護層であっても、保護層の厚さによる影響が問題になる場合がある。
基板とは反対側の面から発光を取り出す構成とされた、いわゆるトップエミッションタイプの有機EL素子では、通常の場合、保護層の光学的距離が発光の波長に近い値となる。また、保護層と空気との界面における反射率は、一般的に10乃至15%程度である。例えば、SiN保護層の屈折率は2.2以下であり、空気(屈折率1.0)との界面における反射率は約14%である。このため、保護層と空気との界面と、金属電極などの他の反射面とから構成される光共振器効果により、発光スペクトルが保護層の厚さの影響を受けて変化するという不都合が発生する場合がある。より具体的には、特定の波長の発光が、干渉効果のために強めあったり、弱めあったりすることで、発光スペクトルの形状が変化することがある。
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、基板とは反対側の面から発光を取り出すトップエミッションタイプの有機EL素子において、高い発光強度を維持しつつ、干渉効果による発光スペクトルの変化を小さくすることを目的とする。
本発明の有機EL素子は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の有機EL素子は、基板と、該基板上に積層された、下部電極、有機層、上部電極、及び透明保護層を有し、前記透明保護層の光取り出し側面が空気との界面となった、いわゆるトップエミッションタイプである。そして、前記透明保護層の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、5nm以上30nm以下に設定されていることを特徴としている。
本発明の有機EL素子は、透明保護層の光取り出し側面の表面平均粗さを規定することにより、光透過を損ねることなく、干渉効果による発光スペクトルの変化が小さい有機EL素子とすることができる。
<第1の実施形態>
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造を示す縦断面模式図である。図1において、1は基板、2は下部電極、3は正孔輸送層、4は発光層、5は電子輸送層、6は上部電極、7は透明保護層をそれぞれ示す。
本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子は、基板1の上に、下部電極2及び上部電極6が配置されており、これら2つの電極間には正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を有する有機層が配置されている。さらに、上部電極6の上には透明保護層7が配置されており、透明保護層7の上面が空気との界面となっている。なお、第1の実施形態において、空気とは、例えば、外部環境である空気、あるいは透明保護層7とカバーガラス(不図示)との間に存在する空気のことである。この有機EL素子は、発光層で発光した光が基板1の反対側から取り出される、いわゆるトップエミッションタイプとなっている。
基板1は、例えばガラスあるいはプラスチックからなる板状の部材である。第1の実施形態に係る有機EL素子をフレキシブルディスプレイに用いる場合には、基板1は可撓性を有する部材であることが好ましい。また、TFTを用いて駆動する場合に、基板1はTFTを有する板状の部材のことを意味する。
下部電極2は、光取り出し側とは反対側に配置された電極である。この下部電極2は、発光層で発光した光を効率良く取り出すために、例えばCr、Al、Agなどの反射率の高い金属から構成されることが好ましい。また、下部電極2は、ITO、IZOなどの透明導電膜であってもよいが、この場合には、電極とは別に反射率の高い部材を設けることが好ましい。また、下部電極2の光取り出し側には、正孔注入性を高めるために、ITO、IZOなどの透明導電膜を積層することも可能である。
正孔輸送層3及び電子輸送層5は、発光層4に対してキャリアを輸送するための層である。したがって、正孔輸送層3及び電子輸送層5は、発光層4へ効率良くキャリアを輸送することが可能なキャリア輸送性の高い材料であることが好ましい。発光層4では、正孔輸送層3から注入された正孔と電子輸送層5から注入された電子とが再結合し、光を発光する。
なお、第1の実施形態に係る有機EL素子では、正孔輸送層3が下部電極2側に配置され、電子輸送層5が上部電極6側に配置されている。また、正孔輸送層3及び電子輸送層5の配置関係は、上述した関係に限られず、正孔輸送層3が上部電極6側に配置され、電子輸送層5が下部電極6側に配置されていてもよい。また、有機層は、正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5の3層から構成されていなくてもよい。例えば、有機層は、正孔輸送層と発光層の2層構成であってもよいし、あるいは正孔輸送層、発光層、電子輸送層の他に電子注入層を有する4層構成であってもよい。
上部電極6は、光取り出し側に配置された電極である。本発明では干渉効果を利用しないようにするため、上部電極6における光反射が少ないことが好ましい。具体的には、上部電極6として、ITO、IZOなどの透明導電膜を用いることが好ましい。
透明保護層7は、水分や酸素などから有機層を保護するための層である。この透明保護層7は、水分や酸素などを透過しにくい緻密な膜であることが好ましい。具体的には、透明保護層7として、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウムなどを主成分とした酸化物、窒化物、硫化物材料の膜を用いることができる。さらに具体的には、透明保護層7として、SiNやSiOxの膜を用いることができる。また、透明保護層7の膜厚は、十分な保護性能を得るために、300nm乃至10μm程度であることが好ましい。さらに、膜応力を小さくすること、成膜時間を短くして生産性を高めることを考えると、300nm乃至3μm程度の膜厚を有することがより一層好ましい。
透明保護層7は、例えばスパッタリング、PE−CVD法などの方法で成膜することができる。透明保護層7をスパッタリングで成膜する場合には、スパッタ成膜時の圧力を変更することにより、形成された透明保護層7の表面平均粗さ(Ra値)を変更することができる。
第1の実施形態に係る有機EL素子では、透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、5nm以上30nm以下の範囲に設定されている。
このように、透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaを5nm以上30nm以下の範囲に設定することにより、干渉効果によって特定の波長の光が強まって発光される現象を低減することができる。すなわち、透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaを5nm以上に設定すると、発光層で発光した光が透明保護層7の光取り出し側面で乱反射する。そして、この光の乱反射により、透明保護層7の光取り出し側面で反射した光が干渉に利用されなくなる。一方、透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaが5nmよりも小さい場合には、透明保護層7の光取り出し側面で反射する光が干渉し、特定の波長の光が強まってしまう。
また、透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaを30nm以下に設定することにより、高い発光強度を維持しつつ発光させることができる。一方、透明保護層7の光取り出し側面の表面平均粗さRaが30nmを超えた場合には、透明保護層7の光取り出し側面で十分な透過率を確保することができず、光取り出し効率の高い有機EL素子とすることができない。
したがって、第1の実施形態に係る有機EL素子によれば、高い発光強度を維持しつつ、干渉効果による発光スペクトルの変化を少なくすることができる。
すなわち、第1の実施形態に係る有機EL素子を正面から見た場合に、発光層4中の発光材料が発する色と正面で観測される色との色ずれがほとんど生じない。さらには、第1の実施形態に係る有機EL素子を傾けて観察した場合に、正面で観測した場合と比較して色ずれがほとんど生じない。
ここで、色ずれとは、視認される発光色の変化のことである。色ずれは、一般的にUCS色度座標を用いて評価される。
具体的に説明すると、三刺激値X,Y,ZとCIEのx、y座標値とを、以下の式(1)及び(2)で関係付けることができる。
x=X/(X+Y+Z) ・・・ (1)
y=Y/(X+Y+Z) ・・・ (2)
ここで、Yは画素の発光輝度値(cd/m2)であり、例えばY=100cd/m2とする。
このとき、発光画素のUCS色度座標u,vは、以下の式(3)及び(4)で関係付けることができる。
u=4X/(X+15Y+3Z) ・・・ (3)
v=9Y/(X+15Y+3Z) ・・・ (4)
色ずれΔuvは、それぞれのUCS色度座標u,v間の距離(差の2乗和の平方根)で表される。
第1の実施形態に係る有機EL素子において好ましい色ずれの範囲をΔuvで表すと、発光層4中の発光材料が発する色と正面で観測される色との色ずれは、0.025以下であることが好ましい。また、第1の実施形態に係る有機EL素子を正面で観察した場合と傾けて観察した場合における色ずれは0.01以下であることが好ましい。これ以上の色ずれがあると、人間の目に視認できるため好ましくない。
発光強度は各波長のフォトン数に対応する値であり、任意の単位で表される。発光強度は様々な要因で決定されるものであるが、発光強度を決定する要因の1つは光透過率である。光透過率とは入射光の強度に対する出射光の強度の割合のことであり、光透過率が高いほど発光強度は高くなる。
第1の実施形態に係る有機EL素子において好ましい発光強度は、平坦な透明保護層の素子と比較して70%以上の発光強度である。平坦な透明保護層の有機EL素子と比較して、発光強度が70%より弱いと十分な発光強度にはならず好ましくない。
そして、平坦な透明保護層の有機EL素子に比べて70%以上の発光強度を得るためには、透明保護層7の光透過率が75%以上であることが好ましい。
第1の実施形態に係る有機EL素子は、上述したように、色ずれが少ないだけではなく、高い発光強度を維持することができる有機EL素子となっている。
第1の実施形態に係る有機EL素子において、透明保護層7の表面平均粗さRaは、AFM観察像を解析することによって計測することができる。AFM観察像の解析には、セイコーインスツルメント社製AFMプローブ顕微鏡SPA−460を使用した。なお、Raとは、表面凹凸に関する算術平均値のことである。
また、第1の実施形態に係る有機EL素子は、赤色、緑色、青色等の異なる色を発光させることができる。したがって、複数の異なる色を発光する有機EL素子を組み合わせることにより、フルカラーの発光を行うことができる。例えば、それぞれ赤色、緑色、青色を発光する有機EL素子を組み合わせることで、フルカラーの発光を行うことが考えられる。
さらに、このようなフルカラーの発光が可能な複数の有機EL素子は、例えばデジタルカメラの表示部分や、テレビ、パーソナルコンピュータのディスプレイの表示部分など、様々な電子機器の表示部分に用いることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子を、図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子の構造を示す縦断面模式図である。
本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子は、上述した第1の実施形態と比較して、上部電極の上側に配置された透明保護層の構成が異なっている。すなわち、第1の実施形態に係る有機EL素子では透明保護層が1層となっていたが(図1参照)、第2の実施形態に係る有機EL素子では、図2に示すように、透明保護層が2層となっている。以下、第1の実施形態に係る有機EL素子と同様の機能を有する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子は、図2に示すように、基板1の上に、下部電極2及び上部電極6が配置されており、これら2つの電極間には正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を有する有機層が配置されている。さらに、上部電極6の上には第1透明保護層8と第2透明保護層9とが配置されており、第2透明保護層9の上面が空気との界面となっている。なお、第2の実施形態において、空気とは、例えば、外部環境である空気、あるいは第2透明保護層9とカバーガラス(不図示)との間に存在する空気のことである。この有機EL素子は、発光層で発光した光が基板1の反対側から取り出される、いわゆるトップエミッションタイプとなっている。
第2の実施形態に係る有機EL素子において、第1透明保護層8及び第2透明保護層9以外の各層は第1の実施形態に係る有機EL素子と同様の構成となっている。また、図2に示す例では、透明保護層が第1透明保護層8及び第2透明保護層9の2層となっているが、透明保護層は2層に限られず3層以上であってもよい。
第2の実施形態に係る有機EL素子では、第2透明保護層9の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、30nm以上50nm以下に設定されている。さらに、下部電極2側に配置された第1透明保護層8の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、2nm以下に設定されている。
このように、第2透明保護層9の光取り出し側面の表面平均粗さRaを30nm以上50nm以下の範囲に設定することにより、干渉効果によって特定の波長の光が強まって発光される現象を低減することができる。また、第2透明保護層9の光取り出し側面の表面平均粗さRaを30nm以上に設定すると、発光層で発光した光が第2透明保護層9の光取り出し側面で乱反射する。そして、この光の乱反射により、第2透明保護層9の光取り出し側面で反射した光が干渉に利用されなくなる。一方、第2透明保護層9の光取り出し側面の表面平均粗さRaが30nmよりも小さい場合には、第2透明保護層9の光取り出し側面で反射する光が干渉し、特定の波長の光が強まってしまう。
また、第2透明保護層9の光取り出し側面の表面平均粗さRaを50nm以下に設定することにより、高い発光強度を維持しつつ発光させることができる。一方、第2透明保護層9の光取り出し側面の表面平均粗さRaが50nmを超えた場合には、第2透明保護層9の光取り出し側面で十分な透過率を確保することができず、光取り出し効率の高い有機EL素子とすることができない。
また、第1の透明保護層8の光取り出し側面の表面平均粗さRaを2nm以下に設定することにより、第1の透明保護層8は緻密な、水分を遮断する効果の高い膜となる。この第1の透明保護層8を設けた場合は、第2透明保護層9が、表面平均粗さRaが50nmを越える緻密でない膜であっても、有機EL素子は十分な保存性を示す。
一方、第1の透明保護層8の光取り出し側面の表面平均粗さRaが2nmを超えた場合には、水分を遮断する緻密な膜とならない場合がある。この場合は、第2透明保護層9が緻密な膜でないため、有機EL素子は十分な保存性が得られない場合がある。
したがって、第2の実施形態に係る有機EL素子によれば、高い発光強度を維持しつつ、干渉効果による発光スペクトルの変化を少なくすることができる。
また、第2の実施形態に係る有機EL素子は、赤色、緑色、青色等の異なる色を発光させることができる。したがって、第1の実施形態に係る有機EL素子と同様に、複数の異なる色を発光する有機EL素子を組み合わせることにより、フルカラーの発光を行うことができる。さらに、このようなフルカラーの発光が可能な複数の有機EL素子は、例えばデジタルカメラの表示部分や、テレビ、パーソナルコンピュータのディスプレイの表示部分など、様々な電子機器の表示部分に用いることができる。
次に、具体的な実施例を用いて、本発明の有機EL素子についてさらに詳細に説明する。
<実施例1>
実施例1は、第1の実施形態に係る有機EL素子に関する実施例であり、本実施例の有機EL素子は透明保護層が1層の構成となっている。
実施例1の有機EL素子を作製するには、まず、駆動用回路などが予め設けられた基板1に対して、真空蒸着法により有機EL膜を形成する。蒸着時の真空度は、4乃至8×10-5Paである。
基板1には、予め50nmの厚さを有するCrの下部電極2がパターン形成されている。そして、この下部電極層2上に、まず有機EL材料である正孔輸送層3としてα−NPDを20nmの厚さに積層し、次に発光層4としてAlq3を30nmの厚さに積層し、次に電子輸送層5として炭酸セシウムとAlq3の混合膜を50nmの厚さに積層した。
次に、上部電極6としてITO膜をスパッタ法により60nmの厚さに積層した。なお、スパッタ時には、アルゴンガス50sccmと微量酸素ガス1sccmとを導入した。また、スパッタ時の真空度は、0.2乃至6×10-1Paであった。
このような素子構成とした場合に、Alq3分子のEL発光は、正孔輸送層3とAlq3発光層4の界面で起こることが知られている。そこで、外部から水分が有機EL膜に浸透しないように、透明保護層7としてSiN膜をスパッタ法により640nmの厚さに積層して、有機EL素子を作製した。Siターゲットサイズは5インチであり、投入DC電力は400Wであり、成膜時間は約30分であった。また、スパッタ時には、アルゴンガス50sccmと窒素ガス5sccmを導入した。また、スパッタ時の真空度は0.2乃至6×10-1Paである。このとき、スパッタ圧力を0.5Paとすることにより、表面平均粗さRaが5nmの透明保護層7が成膜された。このようにして作製した有機EL素子を実施例1−1とする。
また、上述した実施例1−1の有機EL素子の作成方法に対して、スパッタ圧力だけを変更し、他の条件は変更せずに実施例1−2及び実施例1−3の有機EL素子を作製した。なお、スパッタ時の圧力は、排気コンダクタンスバルブを調節して変化させた。また、比較例1−1として、透明保護層7の表面平均粗さRaが2nmである有機EL素子を作製した。さらに、比較例1−2として、透明保護層7の表面平均粗さRaが45nmである有機EL素子を作製した。下記表1に各有機EL素子の作製条件、透明保護層7の表面粗さを示す。
Figure 2007311277
また、表1に示す各有機EL素子について、発光スペクトルの色度と発光強度とを測定した結果を下記表2に示す。なお、表2に示すAlqPLは、Alq発光材料のフォトルミネッセンススペクトルについての色度座標について示しており、これは発光層4の発光材料Alq3が発光する光とほぼ等しい色度座標を示す。
また、色度座標の測定は、発光色の視野角依存性を調べるために、発光面に対して正面方向、すなわち発光面の法線方向からの測定と、発光面に対して45°傾いた方向、すなわち発光面の法線方向から45°傾いた方向からの測定を行った。
Figure 2007311277
表2から、以下のことが明らかになった。
なお、本発明に係る有機EL素子において、正面の色ずれ値Δuvの許容値は0.025以下であり、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45の許容値は、0.01以下である。
比較例1−1の有機EL素子は、正面の色ずれ値Δuv0が0.027(表2では小数点以下第3位を四捨五入して0.030と記されている)となっており、好ましい色ずれ許容値0.025を超えているため、本来の色味とは異なった色味となっている。また、比較例1−1の有機EL素子は、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45が0.012となっており、好ましい角度変化による色ずれ値0.01を超えて、正面における色味とは異なった色味となっている。
透明保護層7の表面平均粗さRaが5nmである実施例1−1は、正面の色ずれ値Δuv0が許容範囲内であるとともに、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45が許容範囲内である。さらに、比較例1−1の発光強度を100とすると、実施例1−1の発光強度は95であり、許容範囲内となっている。
実施例1−2及び実施例1−3についても、実施例1−1と同様に、正面の色ずれ値Δuv0が許容範囲内であるとともに、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45が許容範囲内であり、さらに発光強度も許容範囲内である。
比較例1−2の有機EL素子は、正面の色ずれ値Δuv0が許容範囲内であるとともに、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45方が許容範囲内であるが、発光強度が低くなってしまうため好ましくない。
これらの結果から、透明保護層7の表面平均粗さRaが、5nm以上30nm以下であることが好ましいことが解った。
<実施例2>
実施例2は、第2の実施形態に係る有機EL素子に関する実施例であり、本実施例の有機EL素子は透明保護層が複数層の構成となっている。
実施例2の有機EL素子において、基板1から上部電極6までの作製方法は、実施例1の有機EL素子と同様である。そして、外部からの水分が有機EL膜に浸透しないように、第1透明保護層8としてSiN膜をスパッタ法により640nmの厚さに積層した。ここで、Siターゲットサイズは5インチであり、投入DC電力は400Wであり、成膜時間は約30分であった。なお、スパッタ時には、アルゴンガス50sccmと窒素ガス5sccmとを導入した。また、スパッタ時の真空度は、0.2乃至6×10-1Paであった。スパッタ時の圧力を0.1Paとすることにより、表面平均粗さRaが2nmの第1透明保護層8が成膜された。
続いて、第1透明保護層8の上に、第2透明保護層9としてSiOx膜を成膜した。この第2透明保護層9は、SiターゲットとAr及びO2の混合ガスとを反応スパッタして50nmの厚さに積層したものである。この際のスパッタ圧力は、0.5Paであった。このようにして作製した有機EL素子を実施例2−1とする。
さらに、スパッタ圧力、ターゲット材料、及び第2透明保護層9の厚さを変更して、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、実施例2−5、及び比較例2−1の有機EL素子を作製した。下記表3に各有機EL素子の作製条件、層構成、及び第2透明保護層9の表面粗さを示す。また、表3に示す各有機EL素子について、発光スペクトルの色度と発光強度とを測定した結果を下記表4に示す。
Figure 2007311277
Figure 2007311277
表4から、以下のことが明らかになった。
上述したように、本発明に係る有機EL素子において、正面の色ずれ値Δuvの許容値は0.025以下であり、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45の許容値は、0.01以下である。
第2透明保護層9の表面平均粗さRaが30nmである実施例2−1は、正面の色ずれ値Δuv0が許容範囲内であるとともに、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45が許容範囲内であり、さらに発光強度も許容範囲内である。
また、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、及び実施例2−5についても同様に、正面の色ずれ値Δuv0が許容範囲内であるとともに、正面と45度傾けた際の発光色ずれ値Δuv0−45が許容範囲内であり、さらに発光強度も許容範囲内である。
さらに、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、実施例2−4、及び実施例2−5の有機EL素子は、2ヶ月後にも発光特性に変化は見られなかった。
一方、第2透明保護層9の表面平均粗さRaが60nmである比較例2−1は、正面の色ずれ値Δuv0が許容範囲内であるとともに、正面と45度傾けた時の発光色ずれ値Δuv0−45が許容範囲内であるが、発光強度が低くなってしまうため好ましくない。
これらの結果から、第2透明保護層9の表面平均粗さRaを30nm以上50nm以下に設定することが好ましいことが解った。
本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造を示す縦断面模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子の構造を示す縦断面模式図である。
符号の説明
1 基板
2 下部電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 上部電極
7 透明保護層
8 第1透明保護層
9 第2透明保護層

Claims (4)

  1. 基板と、該基板上に積層された、下部電極、有機層、上部電極、及び透明保護層を有し、前記透明保護層の光取り出し側面が空気との界面となっている有機EL素子であって、
    前記透明保護層の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、5nm以上30nm以下であることを特徴とする有機EL素子。
  2. 基板と、該基板上に積層された、下部電極、有機層、上部電極、及び複数の透明保護層を有し、前記複数の透明保護層のうち最も光取り出し面側に配置された透明保護層の光取り出し側面が空気との界面となっている有機EL素子において、
    前記複数の透明保護層のうち最も光取り出し側に配置された透明保護層の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、30nm以上50nm以下であり、かつ前記下部電極側に配置された透明保護層の光取り出し側面の表面平均粗さRaが、2nm以下であることを特徴とする有機EL素子。
  3. 請求項1又は2に記載の有機EL素子を複数有することを特徴とする有機EL素子アレイ。
  4. 請求項4に記載の有機EL素子アレイを有することを特徴とする有機EL表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011060551A (ja) * 2009-09-09 2011-03-24 Fujifilm Corp 有機電界発光素子及びその製造方法
JP2013500579A (ja) * 2009-07-28 2013-01-07 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 封止光電子デバイス及びその製造方法

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