JP2007311273A - 燃料電池の電解質層、燃料電池、および電解質層の製造方法 - Google Patents

燃料電池の電解質層、燃料電池、および電解質層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 プロトン伝導性の電解質層が用いられた燃料電池において、安価に製造可能で、耐水性が高く、広い温度範囲で使用可能な電解質層およびその製造方法、並びに安価に製造可能且つ広い温度範囲で使用可能なプロトン伝導性の固体電解質形の燃料電池を提供する。
【解決手段】 MEA10の電解質層12は、硫酸ストロンチウムおよび燐酸を含む無機電解質材料で構成されることから、ナフィオン等の有機高分子電解質で構成される場合に比較して広い温度範囲で使用可能である。しかも、硫酸ストロンチウムは、有機高分子電解質材料に比較して安価であるから、電解質層12を安価に製造できる。また、硫酸ストロンチウムは、燐酸処理を施さなくとも十分に高いプロトン伝導性を有することから、そのような処理を施すことなく、高い耐水性を有する電解質層12を得ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、プロトン伝導性の電解質を用いた燃料電池、その電解質層、およびその電解質層の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料として水素、メタノール、化石燃料からの改質水素等の還元剤を用い、空気や酸素を酸化剤として、電池内で燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものである。そのため、内燃機関に比較して効率が高く、静粛性に優れると共に、大気汚染の原因となるNOx、SOx、粒子状物質(PM)等の排出量が少ないことから、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。例えば、自動車用エンジンの代替、住宅用等の分散型電源や熱電供給システムとしての利用が期待されている。
このような燃料電池は、用いる電解質の種類によって、アルカリ形、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、固体高分子形等に分類される。これらのうちプロトン伝導性の電解質を用いるリン酸形および固体高分子形は、熱力学におけるカルノーサイクルの制限を受けることなく高い効率で運転できるものであり、その理論効率は、25(℃)において83(%)にも達する。特に、固体高分子形燃料電池は、近年電解質層や触媒技術の発展により性能の向上が著しくなり、低公害自動車用電源や高効率発電方法として注目を集めている。
上記の固体高分子形燃料電池は、例えば、電解質層に固体高分子電解質から成る平型のイオン交換膜を用いて、これを挟むようにその両面に正極および負極(以下、特に区別しないときは電極という)を層状に形成した膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEA)を単位構造としたもので、単位電池はシート状を成す。なお、イオン交換膜と電極との間には、酸化還元反応を促進するための触媒層が設けられる。一般に、触媒層は、PtやPt-Ru等の触媒粒子を担持させたカーボン等と、そのプロトン伝導性を補うための高分子電解質で構成されている。
特開2005−332610号公報
ところで、上記の電解質層には、一般に弗素系や炭化水素系等の有機高分子電解質が用いられてきた。しかしながら、これらの有機高分子電解質は、十分に高いプロトン伝導性を発現させるために、使用時に水を導入して加湿する。そのため、燃料電池を構成するに際して加湿器が必要になる。しかも、電解質の性能は加湿状態により大きく異なるものとなるので、湿度や温度を精密に制御するための制御装置も必要である。また、水の導入が必須であるから、氷点下で使用することはできず、有機高分子が分解する150(℃)程度の温度よりも高温で使用することはできないため、使用温度域は20〜80(℃)程度の狭い範囲に限定される。更に、高分子電解質には、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)樹脂(例えばデュポン社製Nafion(登録商標)や旭硝子(株)製フレミオン(登録商標)等)等のスルホン酸基含有ポリマーが一般的に用いられているが、これらは何れも高価であるから、電解質層の形成コストが高くなり、延いては燃料電池の製造コストが高くなる問題もある。
これに対して、電解質層を燐酸と石膏とから成る無機系の電解質材料で構成することが提案されている(例えば、前記特許文献1を参照。)。このような無機系電解質材料は、無加湿で使用することできると共に、使用温度域が室温〜300(℃)程度と広い利点がある。この無機系電解質材料を用いるに際しては、燐酸水溶液に浸漬して100(℃)程度の温度で10分間程度保持して燐酸を石膏硬化体の内部に含浸させる燐酸処理を施すことにより、石膏にプロトン源が導入される。この燐酸処理は、電解質層のプロトン伝導性を十分に高くするために必須である。
しかしながら、本発明者が上記特許文献1に記載された電解質材料を試験したところ、初期的には高い特性が得られるものの、試験時間が長くなると特性が低下し、甚だしい場合は、電解質層が分解してMEAが破損する問題があることが明らかとなった。これは、プロトン伝導性を高めるために施される燐酸処理によって、石膏の硬化が困難になり、延いては機械的強度が著しく低下するためであると考えられる。このように強度低下した石膏は、耐水性が著しく低下し、例えば水に1時間程度浸漬するだけで粉々に分解する。そのため、燃料電池の作動中に発電反応に伴ってカソード側で水が生成されると、石膏で構成された電解質層が破損し延いてはMEAが破損するのである。したがって、石膏に代わる電解質材料が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、プロトン伝導性の電解質層が用いられた燃料電池において、安価に製造可能で、耐水性が高く、広い温度範囲で使用可能な電解質層およびその製造方法、並びに安価に製造可能且つ広い温度範囲で使用可能なプロトン伝導性の固体電解質形の燃料電池を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、一対の電極間でプロトンを移動させる形式の燃料電池において、前記一対の電極間に備えられる電解質層であって、(a)硫酸ストロンチウム(SrSO4)および可動プロトンの供給源を含む無機電解質材料から成ることにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、一対の電極間にプロトン伝導性の電解質層が備えられた燃料電池であって、(a)前記電解質層が硫酸ストロンチウム(SrSO4)および可動プロトンの供給源を含む無機電解質材料から成ることにある。
また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、前記第1発明の電解質層を製造する方法であって、(a)前記可動プロトンの供給源と所定の分散媒と硫酸ストロンチウムを混合して電解質スラリーを調製する混合工程と、(b)前記電解質スラリーを所定の膜厚に成形して乾燥することにより電解質層を形成する膜形成工程とを、含むことにある。
前記第1発明によれば、硫酸ストロンチウムおよび可動プロトン供給源を含む無機電解質材料で電解質層が構成されることから、有機高分子電解質から成る電解質層に比較して広い温度範囲で使用可能な電解質層が得られる。しかも、硫酸ストロンチウムは、石膏と同様に有機高分子電解質材料に比較して安価であるから、電解質層を安価に製造できる。また、硫酸ストロンチウムは、燐酸処理を施さなくとも十分に高いプロトン伝導性を有することから、電解質層を製造するに際して燐酸処理が無用となるため、高い耐水性を有する電解質層が得られる。したがって、安価に製造可能で、耐水性が高く、しかも広い温度範囲で使用可能な電解質層が得られる。
また、前記第2発明によれば、燃料電池は、硫酸ストロンチウムおよび可動プロトンの供給源を含む第1発明の無機電解質材料によって電解質層が構成される。そのため、安価に製造可能で、広い温度範囲で使用可能な燃料電池が得られる。
また、前記第3発明によれば、混合工程において、可動プロトンの供給源と分散媒と硫酸ストロンチウムとを混合し、膜形成工程において、得られた電解質スラリーを成形してこれに乾燥処理を施すことによって、電解質層が製造される。そのため、硫酸ストロンチウムおよび可動プロトン供給源とを含む無機電解質材料によって電解質層が構成されることから、安価に製造可能で、耐水性が高く、広い温度範囲で使用可能な電解質層を製造することができる。
ここで、前記燃料電池の電解質層の製造方法において、好適には、可動プロトンの供給源、分散媒、および硫酸ストロンチウムの合計量に対する重量百分率で、前記可動プロトンの供給源が5(%)を超え45(%)以下の範囲内、前記硫酸ストロンチウムが20(%)を超え60(%)以下の範囲内の割合で混合される。十分に高いプロトン伝導性を得るためには、可動プロトンの供給源の調合割合を5(%)よりも多く、硫酸ストロンチウムの調合割合を20(%)よりも多くすることが好ましい。但し、何れも過剰になると却ってプロトン伝導性が低下する傾向が生ずるため、可動プロトンの供給源の調合割合は45(%)以下が好ましく、硫酸ストロンチウムの調合割合は60(%)以下が好ましい。なお、電解質スラリーには、上記の他に電解質の特性に著しい影響を及ぼさない範囲で、他の成分、例えば微量の不可避不純物が含まれ得る。
また、好適には、前記電解質層形成工程は、前記電解質スラリーをテープキャスティング法によって成形する成形工程と、その成形体を所定の大きさに切断する切断工程と、その切断した成形体を一対の電極層で挟んで積層体とする積層工程とを含むものである。このようにすれば、予め一定の大きさで成形したシート状成形体を、製造しようとするMEAの大きさに合わせて切断するだけで電解質層として用いることができる。
また、好適には、前記電解質層形成工程は、前記電解質スラリーを所定の電極の一面に塗布する塗布工程と、これを乾燥して電解質層を形成する工程とを含むものである。このようにすれば、電極上に電解質層が直に形成されるため、工程が簡単になる。
なお、上記何れの形成方法においても、電極と電解質層との間には、必要に応じて触媒層が設けられる。触媒層は、例えばカーボン粒子に白金を担持した触媒担持粒子と電解質材料との混合物が好適に用いられる。この電解質材料は、従来から用いられる有機高分子材料であってもよいが、電解質層に含まれる電解質材料と同一のもの等、適宜のものでよい。
また、好適には、前記可動プロトンの供給源は燐酸である。可動プロトンの供給源は特に限定されず、燐酸、硫酸、硝酸、塩酸等の種々の強酸を用い得る。しかしながら、この中でも、燐酸は熱的安定性および化学的安定性に優れていることから特に好ましい。
また、電解質層中における可動プロトンの供給源の含有量は、例えば、燐酸の場合には、5〜50(wt%)の範囲内が好ましい。燐酸が少なくなると可動プロトンが少なくなるため電解質としての機能が低下することから、5(wt%)以上であることが好ましい。また、燐酸は高い吸湿性を有することから、燐酸が多くなると電解質周辺に吸着される水が多くなる。吸着された水は触媒を失活させてその機能を低下させることから、50(wt%)以下であることが好ましい。他の可動プロトン供給源の場合には、これに相当するプロトン量となる含有量が好ましい。また、燐酸は、10〜45(wt%)の範囲内であることが一層好ましい。
また、前記電解質層の製造方法において、また、上記所定の分散媒としては、硫酸ストロンチウムおよび可動プロトンの供給源と反応しない適宜の液体、例えば水を用いることができる。
また、前記混合工程は、調合量や分散媒の粘性等に応じて、公知の適宜の混合方法で行われる。少量である場合には、例えば、スターラ等による攪拌でもよく、大量に混合する場合には、ボールミル等による混合方法を用い得る。
また、前記乾燥工程は、5〜80(℃)の範囲内の温度において、0.5〜360時間程度だけ保持するものである。乾燥温度や乾燥時間は、混合した硫酸塩、可動プロトン供給源、および分散媒の種類や調合量等に応じて適宜定めればよい。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の電解質層12を備えたMEA10の層構成を側面視にて模式的に示す図である。MEA10は、例えばプロトン伝導形燃料電池に用いられるものであって、電解質層12と、その両面にそれぞれ固着された触媒層14,16および電極18,20とを備えている。
上記の電解質層12は、例えば200(μm)程度の厚さ寸法を備えたものであって、例えば、10(mm)×10(mm)程度の平面寸法に構成された矩形状で平板型を成すものである。この電解質層12は、硫酸ストロンチウム(SrSO4)および燐酸から成る無機電解質材料で構成されている。
また、前記触媒層14,16は、何れも、白金等の触媒粒子がカーボンブラック等の導体粒子に担持された触媒担持粒子が、例えば、白金量が1.5(mg/cm2)程度となるように設けられたものである。上記触媒担持粒子としては、例えば田中貴金属工業(株)から市販されているTEC10E70TPMを用い得る。これは、粒子全体に対して白金が67.5(wt%)程度の割合で含まれるものである。
また、前記電極18,20は、例えば何れも20(mm)×20(mm)程度の平面寸法に構成された矩形状で平板型を成し、例えば、380(μm)程度の厚さ寸法を備えたものである。すなわち、電極18,20は、電解質層12よりも十分に大きい面積に構成されている。これら電極18,20は、例えば、東レ(株)から燃料電池用として市販されている380(μm)厚程度のカーボンペーパーが用いられている。
なお、図1において、22,24,26は、PTFE樹脂等で構成されたシールである。シール22は0.2(mm)程度の厚さ寸法すなわち電解質層12と同程度の厚さ寸法で、外形が40×40(mm)程度の矩形を成し、中央に10×10(mm)の矩形の孔を備えている。また、シール24,26は、0.3(mm)程度の厚さ寸法すなわち電極18,20よりも僅かに薄い厚さ寸法で、外形が40×40(mm)程度すなわちシール22と同じ大きさであって、中央に20×20(mm)の矩形の孔を備えている。シール22の孔は電解質層12と同じ平面寸法に形成されており、シール24,26の孔は電極18,20と同じ平面寸法に形成されている。
以上のように構成されるMEA10は、例えば、図2に示される製造工程に従い、以下のようにして製造される。すなわち、先ず、電解質層形成工程R1では、前記の厚さ寸法を備えた電解質層12を図3に示す各工程に従って形成する。
図3において、燐酸・水混合工程(第1混合工程)e1では、燐酸(例えば関東化学製 鹿特級)と精製水とを混合する。この工程では、例えばスターラを用い、200(r.p.m.)程度の回転数で1分間程度の混合を行う。燐酸と水との混合割合は、例えば、重量比で2:8程度である。次いで、SrSO4混合工程(第2混合工程)e2では、この混合液に硫酸ストロンチウムを混合する。この工程においても、例えばスターラを用いて200(r.p.m.)程度の回転数で3分間程度の混合を行う。燐酸と硫酸ストロンチウムとの混合比は、例えば重量比で2:10程度である。したがって、硫酸ストロンチウム、燐酸、水の混合比は、10:2:8程度である。なお、これらの混合工程では、混合すべき原料の量に応じて適宜の混合装置を用いればよい。また、本実施例においては、燐酸・水混合工程e1およびSrSO4混合工程e2が混合工程に対応する。
次いで、成形工程e3では、例えば、良く知られたテープキャスティング法等を用いて、上記混合スラリーをテープ状に成形する。次いで、乾燥工程e4では、テープ状成形体を例えば80(℃)程度の温度で60分間程度乾燥する。これにより、前記の電解質層12が得られる。したがって、本実施例の電解質層12には、前記特許文献1に示されるような燐酸処理は施されない。また、本実施例においては、上記成形工程e3および乾燥工程e4が膜形成工程に対応する。なお、上記の成形工程e3における成形厚さ寸法は、この乾燥工程e4における乾燥収縮を考慮して、前記電解質層12の厚さ寸法が得られるように定められる。
図2に戻って、触媒層形成工程R2では、触媒スラリーを調製し、これを前記電極18,20を構成するためのカーボンペーパー上に塗布して乾燥処理を施すことにより、前記触媒層14,16を形成する。上記の触媒スラリーは、例えば、前記触媒担持粒子、水、および溶媒から成るものである。溶媒としては、例えば1-プロパノール等を用いることができ、触媒、水、溶媒を1.2:10.5:7.5程度の比で混合する。混合には例えばスターラを用い、200(r.p.m.)程度の回転数で1分間程度処理する。また、カーボンペーパーは、予め20×20(mm)程度の大きさに切断したものを用いた。また、乾燥処理は、例えば20(℃)程度で24時間程度保持して行う。
次いで、電極積層工程R3では、前記シール22で電解質層12を支持し、これを触媒層14,16を形成した電極層18,20(すなわちカーボンペーパー)で挟んで前記シール24,26を電極周囲に設けることにより、前記のMEA10が得られる。このMEA10は、例えば、図4に示すようにセパレータ28,30で挟んだ状態で用いられる。セパレータ28,30には、例えば、図5に平面形状を示すように、MEA10側に0.5(mm)の深さの1(mm)幅の溝が1(mm)間隔で並ぶ1本溝サーペンタイン形状のガス流路32を備えたものを用いた。なお、ガス流路32の両端には、そのガス流路32にガスを供給するための貫通孔34,36が備えられている。
以上のようにして製造した電解質層12およびMEA10の特性を評価した結果を以下に説明する。
図6は、前記図2および図3に示す工程に従って自立膜として作製した電解質層12のプロトン伝導率を測定温度を変更しつつ測定した結果を、比較例と併せて示す図である。ここで、比較例としては、前記特許文献1に示されている石膏を用いた電解質層(「石膏A」「石膏B」と表示)と、硫酸ストロンチウムに代えて硫酸バリウムを用いた電解質層(「BaSO4」と表示)を示した。「石膏A」は、電解質層の形成後に燐酸処理を施していないものであり、「石膏B」は燐酸処理を施したものである。
上記プロトン伝導率の測定は、以下のようにして行った。すなわち、図7に示すように、平面形状が矩形で厚さ寸法Tが一様な電解質層12を作製し、その一辺の一面に一対の電極38,40の一方を押し当て、その一辺の反対側に位置する一辺の他面に一対の電極38,40の他方を押し当てた。それら電極38,40の間の抵抗値(実質的に試料の抵抗値に等しい)を測定し、下記(1)式に従ってプロトン伝導率σ(S/cm)を求めた。下記(1)式において、L(cm)は電極間距離(一対の電極38,40の各々の相対する側に位置する辺の相互間隔(電解質層12の面に沿った方向における距離)をとる)、R(Ω)は測定値すなわちサンプルインピーダンス、W(cm)は電極幅、T(cm)は試料の厚さ寸法である。電極間距離Lおよび電極幅Wは、L=0.5(cm)、W=1(cm)で一定とした。
σ=L/(R×W×T) ・・・(1)
また、室温(20(℃))から200(℃)の温度範囲の高温の測定は、マントルヒーターを巻いた円筒型ステンレス容器中で測定した。また、-10(℃)の低温の測定は、試料を設置した治具を保冷剤で囲み、そのまま-10(℃)に保った冷凍庫にて5時間以上冷やした後、保冷剤で囲んだまま治具の表面温度を表面温度計で確認しつつ測定した。
上記図6に示すように、SrSO4を用いた実施例の試料では、全温度域において10-2(S/cm)オーダーの高いプロトン伝導率が得られた。この値は、燐酸処理を施していない石膏Aよりもやや高く、燐酸処理を施した石膏Bに僅かに劣るに過ぎない。なお、石膏等のアルカリ土類の硫酸塩は、燐酸処理を施すとプロトン伝導率が向上する反面で脆くなる問題がある。したがって、燐酸処理を施した場合の特性は参考程度に過ぎず、燐酸処理を施さない状態でのプロトン伝導率が要求されるのである。また、現在、一般に用いられているナフィオン(登録商標)等の有機高分子電解質のプロトン伝導率は、10-2(S/cm)程度であるから、実施例の電解質はこれよりも十分に高く、代替材料として好適であることが明らかである。また、石膏A,Bは低温域および高温域の何れにおいても顕著な伝導率低下が認められるが、SrSO4を用いた実施例ではプロトン伝導率が略一定に保たれ、温度依存性も小さいことが確かめられた。なお、BaSO4は、石膏に代替する材料の候補としてSrSO4と併せて評価したものである。この材料も比較的高いプロトン伝導率を有しており、検討に値する。しかしながら、実際にMEAを作製して評価したところ、開放電圧が0.2(V)以下と著しく低く、出力が全く得られない結果であった。
ところで、MEA10は、図8に模式的に示す燃料電池50を構成して用いられる。図8において、燃料電池50は、燃料供給源52から燃料として例えば水素がアノード側加湿槽54を経由してアノード側電極18に供給される。水素および水が供給される電極18上では下記(2)式の酸化反応が生じ、プロトンH+と電子e-が発生する。プロトンは電解質層12内を通ってカソード側電極20に向かって流れ、電子は電極18に接続された図示しない端子から取り出され、外部回路を経由して負荷56に流れる。負荷56に供給された電子は、更に外部回路を経由してカソード側電極20に向かう。そして、電極20上において、プロトンおよび電子が、酸素供給源(或いは空気供給源)58からカソード側加湿槽60を経由して供給された酸素との間で下記(3)式の還元反応を発生させる。なお、燃料側は水素に代えてメタノールを供給してもよく、その場合の酸化反応を下記(4)式に示す。
3H2 → 6H+ + 6e- ・・・(2)
3/2O2 + 6H+ + 6e- → 3H2O ・・・(3)
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e- ・・・(4)
図9は、実施例のMEA10を用いて構成した燃料電池50の電流密度および電圧を、20〜80(℃)の範囲の4点のセル温度(MEA10の温度)で測定した結果を示したものであり、図10は、この測定結果の縦軸に出力密度を採ったものである。測定には、例えば東陽テクニカ製燃料電池測定システムを用いた。図9、図10において、「セル20℃」は、MEA10の温度および配管温度を何れも20(℃)に保持して測定した結果を表しており、他の温度表示のものも同様である。そして、H2流量を0.1(l/min)、Air流量を1(l/min)として、負荷56を調節することにより電流を変化させつつ端子電圧を測定した。なお、本実施例のMEA10は、有機高分子電解質が用いられているMEAとは異なり、加湿を必要としないため、アノード側加湿槽54およびカソード側加湿槽60は何れも作動させていない。
上記の図9、図10に示すように、実施例のMEA10は、セル温度が高いほど出力が高くなる傾向があり、セル温度が80(℃)の設定のときに、4.6(mW/cm2)(電圧0.2(V))の高出力が得られた。また、何れの作動温度においても、開放電圧は0.9(V)以上であった。また、電圧変化に対する応答性も高く、安定している。
次に、硫酸ストロンチウム、燐酸、および水の調合組成を種々変更して、プロトン伝導率を評価した結果を説明する。下記の表1に調合組成を示す。この実験では、硫酸ストロンチウムの調合量を10(g)一定とし、燐酸を0〜10(g)の範囲で、水を1〜40(g)の範囲で、それぞれ変化させることで、硫酸ストロンチウムを16.67〜66.67(%)、燐酸を0〜45(%)、水を5〜66.67(%)の範囲で調合組成を調節した。
Figure 2007311273
各サンプルについてプロトン伝導率を測定した結果を図11に示す。硫酸ストロンチウムが50(%)と十分に多い調合割合であっても、燐酸が0(%)のNo.1では、10-5(S/cm)程度の極めて低いプロトン伝導率に留まる。しかし、5(%)以上の調合割合にすれば、プロトン伝導率が著しく高められ、MEA10に使用可能な程度の特性を有する電解質層を得ることができる。なお、No.2の結果に示すように5(%)では10-3(S/cm)オーダーに留まるので、5(%)を超える調合割合とすることが、一層好ましい。
また、硫酸ストロンチウムが57.14(%)まで増加されたNo.10では、50(%)の場合に比較してやや劣るものの、10-2(S/cm)オーダーの高いプロトン伝導率が得られる。しかしながら、60(%)を超えるNo.8、No.9では、10-3(S/cm)前後のプロトン伝導率に留まる。一方、硫酸ストロンチウムが25(%)まで減じられたNo.11では、10-2(S/cm)オーダーのプロトン伝導率に維持されるが、20(%)まで減じられたNo.12では、10-2(S/cm)よりも僅かに低くなり、16.67(%)まで減じられたNo.13では、10-4(S/cm)オーダーになる。したがって、硫酸ストロンチウムが過剰になっても、過少になってもプロトン伝導率が得られなくなるので、硫酸ストロンチウムの割合は、20〜60(%)の範囲とすることが好ましく、25(%)以上にすることが一層好ましい。
上述したように、本実施例によれば、MEA10の電解質層12は、硫酸ストロンチウムおよび燐酸を含む無機電解質材料で構成されることから、ナフィオン等の有機高分子電解質で構成される場合に比較して広い温度範囲で使用可能である。しかも、硫酸ストロンチウムは、有機高分子電解質材料に比較して安価であるから、電解質層12を安価に製造できる。また、硫酸ストロンチウムは、燐酸処理を施さなくとも十分に高いプロトン伝導性を有することから、そのような処理を施すことなく、高い耐水性を有する電解質層12を得ることができる。
また、このような電解質層12を備えた燃料電池50は、安価に製造可能で、広い温度範囲で使用可能な利点がある。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明の一実施例の電解質層を備えたMEAの構成を模式的に示す図である。 図1に示すMEAの製造方法を説明するための工程図である。 図2の電解質層形成工程を説明するための工程図である。 図1のMEAを使用する際のセパレータの配置状態を示す図である。 図4のセパレータの平面図である。 図1のMEAに備えられた電解質層のプロトン伝導率と温度との関係を比較例と併せて示す図である。 プロトン伝導率の測定方法を説明する図である。 図1のMEAを用いた燃料電池の構成を模式的に示す図である。 図1のMEAにおける電流密度と電圧との関係をセル温度毎に示す図である。 図1のMEAにおける電流密度と出力密度との関係をセル温度毎に示す図である。 図1のMEAを構成するための電解質層のプロトン伝導率を種々の組成について対比して示す図である。
符号の説明
10:MEA(膜−電極接合体)、12:電解質層、14,16:触媒層、18,20:電極

Claims (4)

  1. 一対の電極間でプロトンを移動させる形式の燃料電池において、前記一対の電極間に備えられる電解質層であって、
    硫酸ストロンチウム(SrSO4)および可動プロトンの供給源を含む無機電解質材料から成ることを特徴とする燃料電池の電解質層。
  2. 一対の電極間にプロトン伝導性の電解質層が備えられた燃料電池であって、
    前記電解質層が硫酸ストロンチウム(SrSO4)および可動プロトンの供給源を含む無機電解質材料から成ることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1の電解質層を製造する方法であって、
    前記可動プロトンの供給源と所定の分散媒と硫酸ストロンチウムとを混合して電解質スラリーを調製する混合工程と、
    前記電解質スラリーを所定の膜厚に成形して乾燥することにより電解質層を形成する膜形成工程と
    を、含むことを特徴とする燃料電池の電解質層の製造方法。
  4. 可動プロトンの供給源、分散媒、および硫酸ストロンチウムの合計量に対する重量百分率で、前記可動プロトンの供給源が5(%)を超え45(%)以下の範囲内、前記硫酸ストロンチウムが20(%)を超え60(%)以下の範囲内の割合で混合されるものである請求項3の燃料電池の電解質層の製造方法。
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