JP2007311224A - コネクタの軸シール構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハウジングにコネクタを挿入する際の挿入荷重を低減し、シール性能を確保したまま組み付けの生産性を向上させるコネクタの軸シール構造を提供する。
【解決手段】駆動装置の外部接続用コネクタ2の軸部6と、ハウジング1のコネクタ挿入口5の側壁11と、の間隙を、軸部6に設けられた環状溝13に装着されたD字形断面の環状の弾性部材4により封止するコネクタの軸シール構造10であって、環状溝13は、その一部が、挿入されるコネクタ2の先端側に突出してコネクタ2の軸部6に設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】駆動装置の外部接続用コネクタ2の軸部6と、ハウジング1のコネクタ挿入口5の側壁11と、の間隙を、軸部6に設けられた環状溝13に装着されたD字形断面の環状の弾性部材4により封止するコネクタの軸シール構造10であって、環状溝13は、その一部が、挿入されるコネクタ2の先端側に突出してコネクタ2の軸部6に設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、コネクタの軸シール構造に係り、特に、駆動装置の外部接続用コネクタの軸部と、ハウジングのコネクタ挿入口の側壁との間隙を、軸部に設けられた環状溝に装着された環状の弾性部材により封止するコネクタの軸シール構造に関する。
駆動装置のハウジングは、信号線を取り出す等の用途に用いるコネクタと接続するためのコネクタ挿入口を有する。ここで、駆動装置とは、一般に機械部品に備えられ、その機械を駆動するための装置をいう。例えば車両の場合には、駆動装置とは、そのエンジン、モータ、モータジェネレータ等をいう。ここで、車両とは、駆動装置を有する自動車、トラック、バス等をいう。また、車両の駆動装置は、ガソリンエンジンだけではなく、ハイブリッド車に使用されるエンジンと電気モータとを併用した駆動装置や、電気自動車の電気モータも含まれる。
これらの駆動装置は、水や油といった流体や空気やガスといった気体の漏れを防止し、騒音、振動等を遮断するため、ハウジングにより覆われている。しかし、これらの駆動装置は、外部からの配線に対して接続しなければならない。そのため、一般的に、ハウジングには、外部接続用コネクタと接続するためのコネクタ挿入口が設けられる。このコネクタ挿入口は、通常円柱形状の孔であり、円柱形状のコネクタの軸部が挿入されて接続される。
このコネクタの挿入口の側壁とコネクタの軸部とは、上述したように液体や気体の漏れを防止するためにシールをする必要がある。コネクタには、一般的にプラスチック等の樹脂材料を用いるため、その表面は比較的平滑である。しかし、車両のエンジンやモータ等のハウジングは、ダイキャストによるアルミ鋳造品である場合が多く、その表面には鋳巣により微小な凹凸がある。従って、コネクタと挿入口の側壁とコネクタの軸部とは、このハウジングの鋳巣を塞ぎ、そこからの液体や気体の漏れを防ぐシール構造が要求される。本発明は、このシール構造として、コネクタの軸部に設けられた環状溝に弾性部材を装着する、軸シール構造に関する。
図5に、従来のコネクタの軸シール構造の概略構成を断面図で示す。この軸シール構造10は、ハウジング1、コネクタ2、環状溝3、および弾性部材4とから構成される。車両の駆動装置のハウジング1には、コネクタ2と接続するための円柱形状の孔であるコネクタ挿入口5が設けられる。そのコネクタ挿入口5に、コネクタ2の軸部6が挿入される。また、コネクタ2の軸部6には、環状溝3が設けられ、その環状溝3の内部に弾性部材4が装着される。コネクタ挿入口5に挿入されたコネクタ2は、ボルト15によりハウジング1に固定される。これにより、ハウジング1の挿入口5の側壁11とコネクタ2の軸部6との間隙は、弾性部材4により封止される。
図5に示すように、環状溝3は、コネクタ2の軸部6の断面方向と略並行に設けられる。従って、弾性部材4も同様に、コネクタ2の軸部6の断面方向と略並行に装着される。従って、コネクタ2をコネクタ挿入口5に挿入する際には、ほぼ全周の弾性部材4がほぼ同時に側壁11の内部に押し込まれる。弾性部材4は、環状溝3の内部においてほぼD字形の断面となり、その断面が連続的にコネクタ2の周囲を環状に囲む。
弾性部材4は、ハウジング1とコネクタ2との間隙を封止することから、その一部がコネクタ2の外周面よりも外側に、太鼓状に膨出している。この弾性部材4の膨出した部分は、挿入後には側壁11になじんで略平坦な形状となる。このことは、弾性部材4は押し込まれることで体積が減少して形状も変化し、弾性変形することを意味する。従って、この挿入の際に、弾性部材4の弾性変形を起こすためには、挿入荷重を加えなければならない。
ハウジング1のコネクタ挿入口5へのコネクタ2の挿入は、一般的には、作業者により人力で行われる。しかし、挿入荷重が大きい場合には、冶具を使用しなければならない場合もある。この挿入の際に加えられる挿入荷重は、後述するように、挿入の初期段階が最も大きく、挿入が進むにしたがって次第に減少する。
一方、特許文献1には、モータの防水構造が開示され、特許文献2には、シール構造が開示されている。特許文献1のモータの防水構造は、リップ部を備えた防水パッキンにより、エンドハウジングとモータ側コネクタとの継ぎ目を防水する構造である。特許文献2のシール構造は、切削加工や鋳巣により微小な凹部が形成された、シリンダヘッドおよびシリンダブロックのシール面に対して、充填剤を充填することで平滑面とし、金属ガスケットを用いてシールする構造である。
ハウジングのコネクタ挿入口にコネクタを挿入する際に、従来のコネクタの軸シール構造では、初期の挿入荷重が大きく、作業時間がかかり、組付けの作業効率が悪いという問題がある。
組付けの作業効率を上げるためには、環状溝の形状を小さくし、弾性部材がコネクタ挿入口の側壁と接触する接触面を減らせば良い。しかし、鋳巣を有するハウジングに対してシール性が低下することになる。一方、鋳巣を有するハウジングに対してシール性を向上させるためには、環状溝の形状を大きくし、弾性部材がコネクタ挿入口の側壁と接触する接触面を増せば良い。しかし、初期の挿入荷重が大きくなり、コネクタ挿入のための特殊な冶具や工具を使用しなければならず、組付けの作業効率が低下する。
また、特許文献1によるモータの防水構造は、防水パッキンを複雑な形状とする必要があり、コネクタを嵌合する際の組付け容易性を確保することができず、組付けの生産効率が低いという問題がある。
本願の目的は、かかる課題を解決し、ハウジングにコネクタを挿入する際の初期挿入荷重を低減し、組付けの作業効率を向上させるコネクタの軸シール構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係るコネクタの軸シール構造は、駆動装置の外部接続用コネクタの軸部と、ハウジングのコネクタ挿入口の側壁との間隙を、軸部に設けられた環状溝に装着された環状の弾性部材により封止するコネクタの軸シール構造であって、環状溝は、その一部が、挿入されるコネクタの先端側に突出してコネクタの軸部に設けられることを特徴とする。
また、コネクタの軸シール構造は、環状溝が、コネクタの軸部の断面方向に対して傾斜してコネクタの軸部に設けられることが好ましい。
また、コネクタの軸シール構造は、環状溝のコネクタの軸方向の幅は、その一部が挿入されるコネクタの先端側に拡張されてコネクタの軸部に設けられることが好ましい。
また、本発明に係るコネクタの軸シール構造は、駆動装置の外部接続用コネクタの軸部と、ハウジングのコネクタ挿入口の側壁との間隙を、軸部に設けられた環状溝に装着された環状の弾性部材が側壁と接触する接触面により封止するコネクタの軸シール構造であって、弾性部材は、その側壁との接触面が、挿入されるコネクタの後端側に偏って環状溝に装着されることを特徴とする。
また、コネクタの軸シール構造は、弾性部材のその接触面より先端側の側壁と対向する面が、接触面より後端側の側壁と対向する面よりも、緩やかな曲率を有する面であることが好ましい。
また、コネクタの軸シール構造は、弾性部材のその接触面より先端側の側壁と対向する面が、接触面より後端側の側壁と対向する面よりも、コネクタの軸方向に緩やかな傾斜角を有する面であることが好ましい。
上記構成により、本発明に係るコネクタの軸シール構造は、環状溝の一部が、挿入されるコネクタの先端側に突出してコネクタの軸部に設けられる。つまり、弾性部材は、その環の一部から側壁内に押し込まれる。すなわち、従来のコネクタに装着された弾性部材は、その環のほぼ全体が同時に押し込まれるのに対して、環の一部から押し込まれるので、後述するように、挿入の際の初期挿入荷重が低減される。これにより、シール性能を確保したまま、組付けの作業効率を向上させることが可能となる。
これは、後述するように、挿入荷重は、挿入の初期段階が最も大きく、挿入が進むにしたがって次第に減少することによる。すなわち、挿入の初期段階で、環状の弾性部材の一部から挿入することで、初期の挿入荷重を抑え、その後の弾性部材の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
また、コネクタの軸シール構造は、環状溝が、コネクタの断面方向に対して傾斜してコネクタの軸部に設けられる。つまり、傾斜してコネクタの軸部に設けられた環状溝のうち、挿入されるコネクタの先端部に向かって最先の部分から順次挿入されることになる。従って、上記と同様に、初期の挿入荷重を抑え、その後の弾性部材の挿入をスムーズに行うという効果が発生する。
また、コネクタの軸シール構造は、環状溝のコネクタの軸方向の幅は、その一部が、挿入されるコネクタの先端側に拡張されてコネクタの軸部に設けられる。つまり、コネクタの軸方向の幅がコネクタの先端側に変化する環状溝のうち、挿入されるコネクタの先端部に向かって最先の部分から順次挿入されることになる。従って、上記と同様に、初期の挿入荷重を抑え、その後の弾性部材の挿入をスムーズに行うという効果が発生する。
また、上記構成により、本発明に係るコネクタの軸シール構造は、コネクタ挿入口に挿入された弾性部材が、その接触面が挿入されるコネクタの後端側に偏っている。つまり、コネクタをコネクタ挿入口に挿入する際に、ほぼ全周の弾性部材が一様に側壁の内部に押し込まれる場合であっても、接触面が、挿入されるコネクタの後端側に偏っているため、後述するように、挿入時には初期の挿入荷重が低減される。これにより、シール性能を確保したまま、組付けの作業効率を向上させることが可能となる。
また、コネクタの軸シール構造は、弾性部材のその接触面より先端側の側壁と対向する面が、接触面より後端側の側壁と対向する面よりも、緩やかな曲率を有する面であることで、後述するように、挿入時には初期の挿入荷重が低減される。これにより、シール性能を確保したまま、組付けの作業効率を向上させることが可能となる。
また、コネクタの軸シール構造は、弾性部材のその接触面より先端側の側壁と対向する面が、接触面より後端側の側壁と対向する面よりも、コネクタの軸方向に緩やかな傾斜角を有する面であることで、後述するように、挿入時には初期の挿入荷重が低減される。これにより、シール性能を確保したまま、組付けの作業効率を向上させることが可能となる。
以上のように、本発明に係るによれば、ハウジングにコネクタを挿入する際の初期挿入荷重を低減し、シール性能を確保したまま組付けの作業効率を向上させることが可能となる。
以下に、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下、図5に示す従来のコネクタの軸シール構造と同様な構成には、同じ符号を付す。
(第1の実施の形態)
図1に、本発明に係るコネクタの軸シール構造の第1の実施形態の概略構成を示す。コネクタの軸シール構造10は、コネクタ2の軸部6と、ハウジング1のコネクタ挿入口5の側壁11との間隙を、コネクタ2の軸部6に設けられた環状溝13に装着された弾性部材14により封止する構造である。また、コネクタ挿入口5に挿入されたコネクタ2は、ボルト15によりハウジング1に固定される。以下、挿入されるコネクタ2の先端側を先端部7と、挿入されるコネクタ2の後端側を後端部8と称する。
図1に、本発明に係るコネクタの軸シール構造の第1の実施形態の概略構成を示す。コネクタの軸シール構造10は、コネクタ2の軸部6と、ハウジング1のコネクタ挿入口5の側壁11との間隙を、コネクタ2の軸部6に設けられた環状溝13に装着された弾性部材14により封止する構造である。また、コネクタ挿入口5に挿入されたコネクタ2は、ボルト15によりハウジング1に固定される。以下、挿入されるコネクタ2の先端側を先端部7と、挿入されるコネクタ2の後端側を後端部8と称する。
ハウジング1は、主にダイキャストによるアルミ鋳造品が用いられる場合が多く、その表面には鋳巣により微小な凹凸がある。また、コネクタ2は、一般的に、プラスチック等の樹脂材料が用いられる。また、弾性部材14は、シール材とも言われ、その用途によってゴム系の樹脂やアクリル系の樹脂が用いられる。ハウジング1の表面には鋳巣により微小な凹凸があるが、コネクタ2の表面は比較的平滑である。
図1に示すように、本実施の形態では、環状溝13は、コネクタ2の軸部6の断面方向に対し、θ1の角度で傾斜してコネクタ2の軸部6に設けられる。従って、弾性部材14も同様に、コネクタ2の軸方向に対し、θ1の角度で傾斜して装着される。環状の弾性部材14のうち、最も先端部7に近い部位を図1のA部とする(このとき最も後端部8に近い部位は図1のB部となる)。この実施形態において、コネクタ2をコネクタ挿入口5に挿入すると、弾性部材14のA部が最初にコネクタ挿入口5に挿入される。
ここで、一般的に、コネクタ挿入口5に挿入される弾性部材14について、そのメカニズムを説明する。図2に、コネクタ挿入口5に挿入される弾性部材14を示す。図2(a)は、弾性部材14がコネクタ挿入口5に挿入される直前の状態を示し、図2(b)は、弾性部材14がコネクタ挿入口5に挿入された直後の状態を示す。図2(a)の矢印(T)は、コネクタ2を固定して考えた場合に、相対的にハウジング1のコネクタ挿入口5が移動する方向を示す。
図2(a)に示すように、弾性部材14は、挿入前には、その一部がコネクタの表面12よりも外側に、太鼓状に膨出している。これは、弾性部材14は、ハウジング1とコネクタ2との間隙(d)を埋め、かつハウジング1の鋳巣を塞がなければならないことによる。この弾性部材14の膨出した部分は、挿入後には図2(b)の接触部分(α)に示すように側壁11になじんで略平坦な形状となり、接触面9を構成する。このことは、弾性部材14は押し込まれることで、形状が変化しつつ体積が減少することを意味する。つまり、弾性部材14は、挿入される際に弾性変形することを示す。図2(b)のように弾性変形をしてコネクタ挿入口5に挿入された弾性部材14は、その弾性によりハウジング1の側壁11に向かって膨張しようとする。これは、環状溝13の断面において3辺がコネクタ2の軸部6により固定された固定端であり、側壁11側が自由端であることによる。この弾性部材14の膨張により、接触面9が拡大し、ハウジング1の鋳巣を加圧しながら密封して塞ぐことになる。
従って、コネクタ2の挿入の際には、弾性部材14の弾性変形を引起こすだけの挿入荷重を加える必要がある。この挿入の際に加えられる挿入荷重は、挿入の初期段階が最も大きく、挿入が進むにしたがって次第に減少する(この挿入の初期段階での挿入荷重を初期挿入荷重という)。以下、このメカニズムを説明する。挿入の際に、図2(a)に示すハウジング1の端部(P)は、弾性部材14の点Qと最初に接触する。この点Q近傍の弾性部材14の接触する面は、線Lで示した角度(θ2)を有する。従って、ハウジング1の端部(P)は、接触後に弾性部材14に弾性変形を発生させながら、線Lで示した角度(θ2)を進行方向(T)に向けさせなければならない。このために、エネルギとして初期の挿入荷重が必要となる。一旦、弾性部材14に弾性変形を発生させ、線Lで示した角度(θ2)が進行方向(T)に向くと(即ち、ほぼ0になると)、ハウジング1の端部(P)は、さらに弾性部材14に弾性変形を発生させながら進行するが、初期の挿入荷重よりも小さな荷重で進行することができる。これは、弾性部材14が、初期の挿入荷重により形状が変化し(いわゆる、馴染み)、ハウジング1の端部(P)は、上記角度(θ2)を進行方向(T)に向けさせるエネルギが大幅に減少するからである。
図1に戻り、コネクタ2をコネクタ挿入口5に挿入すると、弾性部材14のA部が最初にコネクタ挿入口5に挿入されてから、弾性部材14のB部が挿入されるまでに、ハウジング1は距離Dだけ進行する。初期挿入荷重は、その距離Dだけ進行する間に分散されるため、ハウジング1にコネクタ2を挿入する際の初期挿入荷重が、分散されて低減される。
図3に、他の実施例の概略構成を示す。図1の実施例では、環状溝13が、その断面を保持したまま傾斜した場合であるが、図3に示す実施例は、環状溝23のコネクタ2の軸方向の幅が、先端部7に向かって拡張されてコネクタ2の軸部6に設けられた場合である。この場合であっても、挿入時における弾性部材24の動作については、上記実施例と同様であり、ハウジング1にコネクタ2を挿入する際の初期挿入荷重が、分散されて低減される。
(第2の実施の形態)
図4に、本発明に係るコネクタの軸シール構造10の第2の実施形態の概略構成を示す。図4(a)では、弾性部材34は、その側壁11との接触面9が、後端部8側に偏って環状溝3に装着される。従来は、図5に示すように、弾性部材4は、環状溝3に対して、コネクタ2の軸部6の軸方向に略対象に装着され、弾性部材4の側壁11との接触面9は、ほぼ中央に位置していた。しかし、本実施の形態では、図4(a)に示すように、弾性部材34は、意図的に後端部8側に偏って環状溝3に装着される。
図4に、本発明に係るコネクタの軸シール構造10の第2の実施形態の概略構成を示す。図4(a)では、弾性部材34は、その側壁11との接触面9が、後端部8側に偏って環状溝3に装着される。従来は、図5に示すように、弾性部材4は、環状溝3に対して、コネクタ2の軸部6の軸方向に略対象に装着され、弾性部材4の側壁11との接触面9は、ほぼ中央に位置していた。しかし、本実施の形態では、図4(a)に示すように、弾性部材34は、意図的に後端部8側に偏って環状溝3に装着される。
これは、図2(a)に示すように、点Q近傍の弾性部材14の接触する面の線Lで示した角度(θ2)は、小さいほど初期挿入荷重が減少することによる。すなわち、図4に示すように、接触面9が、後端部8側に偏っていると、進行したハウジング1の端部(P)が、弾性部材34の膨出した部分に到達するまでの距離が、従来よりも長くなる。従って、初期の挿入荷重は、その長くなった距離により分散されるため、ハウジング1にコネクタ2を挿入する際の初期挿入荷重が低減される。
この弾性部材34が、後端部8側に偏っているという状態を図4(b)及び図4(c)を用いて具体的に説明する。図4(b)及び図4(c)は、それぞれ弾性部材34の断面形状を拡大して示す。ここでは、ハウジング1の側壁11に対向する弾性部材34の表面を、接触面9の領域である範囲(α)と、先端部7側の領域を示す範囲(β)と、後端部8側の領域を示す範囲(γ)とに区分する。
図4(b)は、ハウジング1の側壁11に対向する弾性部材34の表面のうち、範囲(β)及び範囲(γ)の領域が、曲率半径を有する略曲面である場合を示す。ここで、これらの領域を略曲面としたのは、説明のために実際の形状をモデル化したものであり、曲率半径を有する曲面にモデル化が可能な、即ち平面とは言えない曲面であれば総ての面が含まれる。
図4(b)に示す弾性部材34には、範囲(β)の領域での曲線の半径(r1)の逆数である曲率半径(1/r1)が、範囲(γ)の領域での曲線の半径(r2)の逆数である曲率半径(1/r2)よりも小さい。すなわち、範囲(β)の領域は、範囲(γ)の領域と比較して、より緩やかな曲率を有する略曲面であることを示している。
図4(c)は、ハウジング1の側壁11に対向する弾性部材34の表面のうち、範囲(β)及び範囲(γ)の領域が、略平面である場合を示す。ここで、これらの領域を略平面としたのは、説明のために実際の形状をモデル化したものであり、平面としてモデル化が可能な、即ち曲面とは言えない平面であれば総ての面が含まれる。
図4(c)に示す弾性部材34には、範囲(β)の領域での直線の角度(θ3)が、範囲(γ)の領域での直線の角度(θ4)よりも大きい。すなわち、範囲(β)の領域は、範囲(γ)の領域と比較して、コネクタ2の軸方向に緩やかな傾斜角を有する面であることを示している。
(第3の実施の形態)
本発明に係るコネクタの軸シール構造10の第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態とが複合された形態である。第1の実施形態は、環状溝13の形状に関する発明であり、第2の実施形態は、弾性部材34の形状に関する発明である。これらの発明は、いずれも挿入する際の初期挿入荷重を低減させるという効果を有する。従って、これらは複合して実施することが可能であり、複合することで相乗効果が発揮される場合があり得る。
本発明に係るコネクタの軸シール構造10の第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態とが複合された形態である。第1の実施形態は、環状溝13の形状に関する発明であり、第2の実施形態は、弾性部材34の形状に関する発明である。これらの発明は、いずれも挿入する際の初期挿入荷重を低減させるという効果を有する。従って、これらは複合して実施することが可能であり、複合することで相乗効果が発揮される場合があり得る。
1 ハウジング、2 コネクタ、3,13,23 環状溝、4,14,24,34 弾性部材、5 コネクタ挿入口、6 軸部、7 先端部、8 後端部、9 接触面、10 コネクタの軸シール構造、11 側壁、12 コネクタの表面、15 ボルト、D ハウジングの進行距離、d ハウジングとコネクタとの間隙、L 接触する弾性部材の傾斜線、P ハウジングの接触する端部、Q 弾性部材の接触する端部、r 曲線の半径、T コネクタ挿入口の相対的な進行方向、α 接触面の領域を示す範囲、β 先端部側の領域を示す範囲、γ 後端部側の領域を示す範囲、θ1 環状溝の傾斜角度、θ2 接触する弾性部材の傾斜角。
Claims (6)
- 駆動装置の外部接続用コネクタの軸部と、ハウジングのコネクタ挿入口の側壁と、の間隙を、軸部に設けられた環状溝に装着された環状の弾性部材により封止するコネクタの軸シール構造であって、
環状溝は、その一部が挿入されるコネクタの先端側に突出してコネクタの軸部に設けられることを特徴とするコネクタの軸シール構造。 - 請求項1に記載のコネクタの軸シール構造において、環状溝は、コネクタの軸部の断面方向に対して傾斜して、コネクタの軸部に設けられることを特徴とするコネクタの軸シール構造。
- 請求項1に記載のコネクタの軸シール構造において、環状溝のコネクタの軸方向の幅は、その一部が挿入されるコネクタの先端側に拡張されてコネクタの軸部に設けられることを特徴とするコネクタの軸シール構造。
- 駆動装置の外部接続用コネクタの軸部と、ハウジングのコネクタ挿入口の側壁と、の間隙を、軸部に設けられた環状溝に装着された環状の弾性部材が側壁と接触する接触面により封止するコネクタの軸シール構造であって、
弾性部材は、その側壁との接触面が、挿入されるコネクタの後端側に偏って環状溝に装着されることを特徴とするコネクタの軸シール構造。 - 請求項4に記載のコネクタの軸シール構造において、弾性部材のその接触面より先端側の側壁と対向する面が、接触面より後端側の側壁と対向する面よりも、緩やかな曲率を有する略曲面であることを特徴とするコネクタの軸シール構造。
- 請求項4に記載のコネクタの軸シール構造において、弾性部材のその接触面より先端側の側壁と対向する面が、接触面より後端側の側壁と対向する面よりも、コネクタの軸方向に緩やかな傾斜角を有する略平面であることを特徴とするコネクタの軸シール構造。
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