JP2007309535A - 金属スクラップ溶解炉の排ガス処理装置 - Google Patents

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庄治 北林
Yukio Niwa
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Abstract

【課題】金属スクラップ溶解炉から排出される排ガス中のダイオキシンを低コストで除去することができ、しかも溶解炉の稼働状態によらず常に安定した排ガス浄化が可能な排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】溶解炉1の排ガス排出経路2に燃焼塔3と冷却塔4とバグハウス5をその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路8を形成し、該バグハウスのバグフィルター5a後流には触媒層12を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を測定する温度計11を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量を調節する制御装置10を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属スクラップ溶解炉から排出される排ガスの処理装置に関し、特に排ガスに含まれるダイオキシン等の有害物質を除去するための処理装置に関する。
鉄屑等の金属スクラップを溶解するアーク炉等の金属スクラップ溶解炉では、ダストだけでなく、油分や悪臭、或いはダイオキシン等の有害物質を含んだ排ガスが排出される。そのため従来からその排ガス排出経路に、燃焼塔、冷却塔、バグフィルター等からなる排ガス処理装置を設け、これらを除去するようにしている。
なお、排ガス中のダイオキシンを除去する方式には、酸化チタン、五酸化バナジウム、タングステン、白金等からなる触媒をバグフィルターに縫い込むことによりダイオキシンを酸化分解させる触媒フィルタ方式と、下記特許文献1に示されたように、バグフィルターの後流に触媒反応塔を設け、該触媒反応塔にてダイオキシンを酸化分解させる触媒反応塔方式が従来から知られている。
また、下記特許文献2に示された排ガス処理システムは、バグフィルター等の集塵装置の上流側で排ガスに還元剤、脱塩剤、或いは活性炭等を吹込んで、有害物質を吸着させる方式である。
特開2000−288351号公報 特開2006−26525号公報
ところで、上記触媒フィルタ方式は、バグフィルターに縫い込まれた触媒がダスト払い落とし時に脱落し易いと共に、触媒にダストが付着することで時間とともに反応が低下するという問題がある。
また、一般に金属スクラップ溶解炉から排出される排ガスの温度は、稼働状態(即ち、スクラップ装入期、溶解期、追装期、精錬期、出鋼期等の時期)によって大きく変動するのが常であると共に、バグフィルターは耐熱温度が概略250℃程度であり、また、ダイオキシンを上記触媒によって分解するためには略160℃以上の温度が必要であるという問題があるので、上記触媒反応塔方式では、バグフィルターを通過させる前に排ガスを冷却し、触媒反応塔の前段にヒータを設けてその排ガスを再加熱する必要が生じる状況であり、そのための設備や熱エネルギーコストが高くなるという問題があった。
また、上記特許文献2に示されたように還元剤、或いは活性炭等を排ガス中に吹込んで、有害物質を吸着させる方式は、これら吸着剤のコストが高くつくという問題がある。
本発明は上記課題を解決しようとするもので、請求項1に記載した発明は、溶解炉の排ガス排出経路に燃焼塔と冷却塔とバグハウスをその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路を形成し、該バグハウスのバグフィルター後流には触媒層を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を測定する温度計を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量を調節する制御装置を設けてなることを特徴とする。
また、請求項2に記載した発明は、溶解炉の排ガス排出経路に燃焼塔と冷却塔とバグハウスをその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路を形成し、該バグハウスのバグフィルター後流には触媒層を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を計測する温度計を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量と燃焼塔に設けられたバーナの燃焼量とを調節する制御装置を設けてなることを特徴とする。
また、請求項3に記載した発明は、溶解炉の排ガス排出経路に燃焼塔と冷却塔とバグハウスをその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路を形成し、該バイパス路の後流でバグハウスの前流には該排ガス排出経路に外気を導入する導入口を形成し、該バグハウスのバグフィルター後流には触媒層を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を計測する温度計を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量と外気導入量とを調節する制御装置を設けてなることを特徴とする。
また、請求項4に記載した発明は、上記排ガス処理装置において、バグハウスを断熱材により覆うことにより保温することを特徴とする。
請求項1〜3に記載した発明によれば、再加熱や吸着剤の必要もなく低コストでダイオキシンを除去することができる。しかも溶解炉の稼働状態によらず常に安定した排ガス浄化が可能となる。
請求項4に記載した発明では、バグハウス内での排ガスの温度低下が防止され、触媒層を活性状態に保つことができる。
図1は本発明の実施形態を示す排ガス処理装置の系統図である。図中、1は金属スクラップ溶解炉(アーク炉)で、その排ガス排出経路2に燃焼塔3と冷却塔4とバグハウス5がその順に連設され、該バグハウスの後段に設けられた送風機6を作動させることにより該溶解炉1の排ガスを吸引する。燃焼塔3には複数本のバーナ3aが設けられ、溶解炉1から吸引された排ガスの油分、悪臭成分等を該バーナ3aの燃焼により焼却させる。7は該溶解炉1の排ガス出口と燃焼塔3との間に設けられた外気取入口で、燃焼塔3内での燃焼用空気が該外気取入口より吸引される。なお、冷却塔4内には冷水を循環させる熱交換器4aが設けられている。
また、燃焼塔3の後流には冷却塔4を迂回して排ガスをバグハウス5に流入させるバイパス路8が形成され、該冷却塔4の入側と出側に夫々ダンパー4b、ダンパー4cを設けるとともに、バイパス路8にダンパー8aを設け、これらのダンパーの設定状態によって冷却塔4を迂回する排ガスの量が調節できるようにしている。なお、9はバイパス路8の後流でバグハウス5の前流にて該排ガス排出経路に外気を導入するために形成された導入口、9aは該導入口に設けられたダンパーである。
そして、前記バーナ3aの燃焼量、および、前記ダンパー4b、ダンパー4c、ダンパー8a、ダンパー9aの開度は制御装置10からの指令によりコントロールされるようにしている。また、バグハウス5の排ガス入口に排ガスの温度を計測するための温度計11を設け、該温度計による温度測定信号が制御装置10に入力されるようにしている。
バグハウス5は、図3にも示したように内部に多数本のバグフィルター5aを仕切板5bから吊下してなるもので、該バグフィルターの後流であって該バグハウス内の仕切板5c上の空間に触媒層12を形成している。該触媒層12は酸化チタン、五酸化バナジウム、タングステン、白金等からなる触媒を図2に示したようにハニカム構造体に設けてなる触媒ユニット12aを形成し、この複数の触媒ユニット12aを仕切板5c上に並設することにより、バグフィルター5aを通過した排ガスが該触媒層12を通過する構成である。なお、触媒層12のSV値(排ガス風量(m/h)と触媒容積(m)との比)は、特にこだわるものではなく、5000以上の値にしてもよい。
なお、5dは仕切板5bと仕切板5cの間に設けられバグフィルター5a中に圧縮空気を適時噴射することにより該バグフィルター5aの外面に付着したダストを払い落とす逆洗用のノズルパイプである。5fは該バグハウス5内底に落下したダストを排出口5hに収拾するために設けられたスクリューコンベアである。また、バグハウス5の外周に断熱材5gを設け、該バグハウス5全体を該断熱材により覆うことにより、該バグハウス5が保温されるようにしている。
この排ガス処理装置では、溶解炉1から排出された排ガスが燃焼塔3を通ることによって油分、悪臭成分等が焼却され、該排ガスは冷却塔4またはバイパス路8を通ってバグハウス5に流入する。冷却塔4を通った排ガスは冷却されてバグハウス5に流入し、バイパス路8を通った排ガスは冷却されることなく略々その温度を保ったままでバグハウス5に流入する。
そして、バグハウス5に流入する排ガスの温度は前記温度計11によって測定され、該温度が常に160〜250℃(好ましくは、180〜200℃)に保持されるように、制御装置10が第1にダンパー4b、ダンパー4c、ダンパー8aの開度を制御し、冷却塔4を迂回する排ガスの量が調節される。即ち、冷却塔4を通す割合を増すことにより温度計11によって測定される排ガス温度が下がり、反対に冷却塔4を通す割合を減らしバイパス路8を通る割合を増すことにより温度計11によって測定される排ガス温度が上がるので、制御装置10はダンパー4b、ダンパー4c、ダンパー8aの開度を夫々フィードバック制御することにより上記温度範囲が保持されるようにする。
また、冷却塔4を迂回する排ガスの量を調節するだけでは上記温度範囲が維持されない場合に該制御装置10はバーナ3aの燃焼量、または導入口9からの外気導入量が調節される。即ち、バーナ3aの燃焼量を調節することにより排ガス温度を制御でき、例えばスクラップ装入期のように溶解炉1から排出される排ガス温度が低い時期にはバーナ3aの燃焼量を強くし排ガス温度を上昇させ、反対に精錬期のような排ガス温度が高い時期にはバーナ3aの燃焼を停止または弱くし排ガス温度を下降させる。また、該制御装置10はダンパー9aの開度を調節し外気導入量を調節することによっても上記温度範囲を維持するように制御する。即ち、ダンパー9aの開いて外気を導入することにより排ガス温度が下げられる。
このようにバグハウス5の流入口の排ガス温度が一定範囲に保持されることにより、バグフィルター5aが250℃以上の高温度の排ガスによって損傷することが防止されると共に、排ガス温度が160℃以上であることで触媒層12の活性が維持され該触媒層を通過する間に排ガス中に含まれるダイオキシンを酸化分解し除去することができる。また、断熱材5gによりバグハウス5が保温されるようにしたことで、触媒層12に至る間にその排ガス温度を下がり難くするので、ダイオキシンの除去効率を一層よくする。
また、触媒層12はこの実施形態に示したようにバグハウス5内に設けることにより少ないスペースで設置できるようになると共に、該触媒層12に接触するまでの間の排ガスの温度下降を少なくすることができる。
なお、図4に示した実施形態は、バグハウス5の一側にその側壁を隔てて一体的に触媒ハウス13を形成し、該触媒ハウス内に上記触媒ユニット12aを多段に配置し、バグハウス5を通過した排ガスが該触媒ハウス13に導かれてダイオキシンが除去されるようにしたものであり、このように触媒層をバグハウス5に隣接するように設けることによっても排ガスの温度低下を防止することができる。
本発明の実施形態である金属スクラップ溶解炉の排ガス処理装置の系統図。 図1に示した排ガス処理装置のバグハウスに設けられる触媒ユニットの斜視図。 図1に示した排ガス処理装置のバグハウスの縦断面図。 バグハウスの他の実施形態を示す縦断面図。
符号の説明
1 溶解炉
2 排ガス排出経路
3 燃焼塔
3a バーナ
4 冷却塔
4b、4c ダンパー
5 バグハウス
5a バグフィルター
5g 断熱材
6 送風機
8 バイパス路
8a ダンパー
9 導入口
9a ダンパー
10 制御装置
11 温度計
12 触媒層

Claims (4)

  1. 溶解炉の排ガス排出経路に燃焼塔と冷却塔とバグハウスをその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路を形成し、該バグハウスのバグフィルター後流には触媒層を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を測定する温度計を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量を調節する制御装置を設けてなることを特徴とした金属スクラップ溶解炉の排ガス処理装置。
  2. 溶解炉の排ガス排出経路に燃焼塔と冷却塔とバグハウスをその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路を形成し、該バグハウスのバグフィルター後流には触媒層を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を計測する温度計を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量と燃焼塔に設けられたバーナの燃焼量とを調節する制御装置を設けてなることを特徴とした金属スクラップ溶解炉の排ガス処理装置。
  3. 溶解炉の排ガス排出経路に燃焼塔と冷却塔とバグハウスをその順に連設し、燃焼塔の後流に冷却塔を迂回して排ガスをバグハウスに流入させるバイパス路を形成し、該バイパス路の後流でバグハウスの前流には該排ガス排出経路に外気を導入する導入口を形成し、該バグハウスのバグフィルター後流には触媒層を設け、該バグハウスに流入する排ガスの温度を計測する温度計を設け、該温度計によって測定される温度が常に160〜250℃に保持されるように冷却塔を迂回する排ガスの量と外気導入量とを調節する制御装置を設けてなることを特徴とした金属スクラップ溶解炉の排ガス処理装置。
  4. バグハウスを断熱材により覆うことにより保温することを特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載した金属スクラップ溶解炉の排ガス処理装置。
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